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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024278
(43)【公開日】2025-02-20
(54)【発明の名称】プリント配線板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/11 20060101AFI20250213BHJP
   H05K 3/42 20060101ALI20250213BHJP
   H05K 3/40 20060101ALI20250213BHJP
【FI】
H05K1/11 H
H05K3/42 630
H05K3/40 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128273
(22)【出願日】2023-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122622
【弁理士】
【氏名又は名称】森 徳久
(72)【発明者】
【氏名】石田 敦
【テーマコード(参考)】
5E317
【Fターム(参考)】
5E317AA24
5E317BB02
5E317BB12
5E317BB30
5E317CC32
5E317CC33
5E317GG14
(57)【要約】
【課題】高い品質を有するプリント配線板の提供。
【解決手段】実施形態のプリント配線板は、第1導体層と、第1面と前記第1面と反対側の第2面と前記第1面から前記第2面に至る開口とを有し、前記第2面が前記第1導体層と対向するように前記第1導体層上に積層されている樹脂絶縁層と、前記樹脂絶縁層の前記第1面上に形成されている第2導体層と、前記開口内に形成されていて、前記第1導体層と前記第2導体層とを接続するビア導体、とを有する。前記樹脂絶縁層は樹脂と無機粒子を含み、前記無機粒子は前記第1面を形成する第1無機粒子と前記樹脂に埋まっている第2無機粒子を含み、前記第1無機粒子は実質的に平坦な露出部分を有し、前記樹脂は前記第1面を形成する上面を有し、前記第1面は前記樹脂の前記上面と前記第1無機粒子の前記露出部分で形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導体層と、
第1面と前記第1面と反対側の第2面と前記第1面から前記第2面に至る開口とを有し、前記第2面が前記第1導体層と対向するように前記第1導体層上に積層されている樹脂絶縁層と、
前記樹脂絶縁層の前記第1面上に形成されている第2導体層と、
前記開口内に形成されていて、前記第1導体層と前記第2導体層とを接続するビア導体、とを有するプリント配線板であって、
前記樹脂絶縁層は樹脂と無機粒子を含み、前記無機粒子は前記第1面を形成する第1無機粒子と前記樹脂に埋まっている第2無機粒子を含み、前記第1無機粒子は実質的に平坦な露出部分を有し、前記樹脂は前記第1面を形成する上面を有し、前記第1面は前記樹脂の前記上面と前記第1無機粒子の前記露出部分で形成される。
【請求項2】
請求項1のプリント配線板であって、前記第2無機粒子の形状は球であって、前記第1無機粒子は前記第2無機粒子から形成されている。
【請求項3】
請求項2のプリント配線板であって、前記第1無機粒子の体積と前記第1無機粒子から想定される球の体積との比(第1無機粒子の体積/第1無機粒子から想定される球の体積)は0.6以上である。
【請求項4】
請求項3のプリント配線板であって、前記比は0.8以上である。
【請求項5】
請求項1のプリント配線板であって、前記上面は実質的に平坦である。
【請求項6】
請求項5のプリント配線板であって、前記上面の算術平均粗さ(Ra)は0.08μm未満である。
【請求項7】
請求項1のプリント配線板であって、前記上面と前記露出部分との間に段差が形成されている。
【請求項8】
請求項1のプリント配線板であって、前記無機粒子は前記開口の内壁面を形成する第3無機粒子をさらに含み、前記内壁面は前記第3無機粒子と前記樹脂によって形成されており、前記第3無機粒子は平坦部を有し、前記平坦部が前記内壁面を形成する。
【請求項9】
請求項8のプリント配線板であって、前記平坦部と前記内壁面を形成する前記樹脂の面は、ほぼ共通な面を形成する。
【請求項10】
請求項8のプリント配線板であって、前記第2無機粒子の形は球であり、前記第3無機粒子の形状は前記第2無機粒子を平面で切断することで得られる。
【請求項11】
請求項8のプリント配線板であって、前記開口を形成することは、前記開口の前記内壁面を形成する前記樹脂から突出する突出部分を有する前記無機粒子を形成することを含み、前記第3無機粒子は前記無機粒子の前記突出部分を除去することで形成される。
【請求項12】
請求項8のプリント配線板であって、前記開口を形成することは、前記第2無機粒子から突出部分を有する前記無機粒子を形成することを含み、前記開口の前記内壁面は前記突出部分を除去することで形成される前記第3無機粒子の露出面を含む。
【請求項13】
請求項8のプリント配線板であって、前記無機粒子は酸素元素を含む。
【請求項14】
請求項1のプリント配線板であって、前記第2導体層は第1層と前記第1層上の第2層とからなるシード層と前記シード層上の電解めっき層で形成されていて、前記第1層と前記第2層はスパッタリング製膜であって、前記第1層は銅とアルミニウムを含有する合金からなり、前記第2層は銅で形成されている。
【請求項15】
請求項14のプリント配線板であって、前記合金はさらにケイ素を含む。
【請求項16】
請求項1のプリント配線板であって、さらに、前記第2導体層上に形成されている接着層を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、プリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、第1導体層と、第1導体層上に形成されている絶縁層と、絶縁層上に形成されている第2導体層とを有するプリント配線板を開示している。絶縁層は第1導体層を露出するビア導体用の貫通孔を有する。貫通孔内に第1導体層と第2導体層を接続するビア導体が形成されている。ビア導体は無電解めっき層および電解めっき層で形成されている。絶縁層は樹脂と無機粒子を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-126103号公報
【発明の概要】
【0004】
[特許文献1の課題]
特許文献1の図17に示されるように、特許文献1は貫通孔の壁面(内周面)上に中間層を有する。中間層は、無機粒子間に形成されている隙間により、複雑な凹凸面を有する。中間層に含まれる無機粒子は絶縁層に含まれる無機粒子と同じである。特許文献1の図18に示されるように、特許文献1は、貫通孔内に無電解めっき膜を形成する。無電解めっき膜は中間層に形成されている凹凸に追従している。もしくは、中間層に形成されている隙間が無電解めっき膜で充填される。しかしながら、凹凸が複雑であると、隙間を無電解めっき膜で完全に充填することは難しいと考えられる。無電解めっき膜が析出する時、反応により発生するガスが隙間を充填することを阻害すると考えらえる。隙間が無電解めっき膜で完全に充填されないと、貫通孔の壁面と無電解めっき膜との間にボイドが発生すると考えられる。熱でボイドが膨張すると、無電解めっき膜が貫通孔の壁面から剥がれると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のプリント配線板は、第1導体層と、第1面と前記第1面と反対側の第2面と前記第1面から前記第2面に至る開口とを有し、前記第2面が前記第1導体層と対向するように前記第1導体層上に積層されている樹脂絶縁層と、前記樹脂絶縁層の前記第1面上に形成されている第2導体層と、前記開口内に形成されていて、前記第1導体層と前記第2導体層とを接続するビア導体、とを有する。前記樹脂絶縁層は樹脂と無機粒子を含み、前記無機粒子は前記第1面を形成する第1無機粒子と前記樹脂に埋まっている第2無機粒子を含み、前記第1無機粒子は実質的に平坦な露出部分を有し、前記樹脂は前記第1面を形成する上面を有し、前記第1面は前記樹脂の前記上面と前記第1無機粒子の前記露出部分で形成される。
【0006】
本発明の実施形態のプリント配線板では、樹脂絶縁層の第1面に凹部がほぼ形成されない。そのため、樹脂絶縁層上にスパッタリングによってシード層が形成される場合、スパッタリング製膜の厚みが薄くても実施形態は連続するシード層を形成することができる。その結果、シード層が除去される時、実施形態はエッチング量を少なくすることができる。実施形態は微細な信号配線を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態のプリント配線板を模式的に示す断面図。
図2】実施形態のプリント配線板の一部を模式的に示す拡大断面図。
図3】実施形態のプリント配線板の一部を模式的に示す拡大断面図。
図4】実施形態のプリント配線板の一部を模式的に示す拡大断面図。
図5A】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図5B】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図5C】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図5D】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す拡大断面図。
図5E】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す拡大断面図。
図5F】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図6】実施形態の改変例を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態]
図1は実施形態のプリント配線板2を示す断面図である。図2図3は実施形態のプリント配線板2の一部を示す拡大断面図である。図1に示されるように、プリント配線板2は、絶縁層4と導体層(第1導体層)10と樹脂絶縁層(第1樹脂絶縁層)20と導体層(第2導体層)30とビア導体40と樹脂絶縁層(第2樹脂絶縁層)120と導体層(第3導体層)130とビア導体140を有する。
【0009】
絶縁層4は樹脂を用いて形成される。絶縁層4はシリカ等の無機粒子を含んでもよい。絶縁層4は、ガラスクロス等の補強材を含んでもよい。絶縁層4は、第3面6と第3面6と反対側の第4面8を有する。
【0010】
第1導体層10は絶縁層4の第3面6上に形成されている。第1導体層10は信号配線12とパッド14を含む。図に示されていないが、第1導体層10は信号配線12とパッド14以外の導体回路も含んでいる。第1導体層10は主に銅によって形成される。第1導体層10は、絶縁層4上のシード層10aとシード層10a上の電解めっき層10bで形成されている。シード層10aの厚みは0.5μm未満である。シード層10aは第3面6上の第1層11aと第1層11a上の第2層11bで形成されている。第1層11aは絶縁層4に接している。第1層11aの厚みと第2層11bの厚みとの比(第1層の厚み/第2層の厚み)は0.25以上、0.7以下である。第2層11bの厚みは第1層11aの厚みより厚いことが好ましい。
【0011】
第1層11aは銅と銅以外の金属を含む合金(銅合金)で形成されている。例えば、第1層11aは銅とアルミニウムを含む合金で形成される。第1層11aは銅とアルミニウムと特定金属を含む合金で形成される。特定金属の例は、ニッケル、亜鉛、ガリウム、ケイ素、マグネシウムである。合金は1種類の特定金属、または、2種類の特定金属、または、3種類の特定金属を含むことが好ましい。特定金属の例はケイ素である。合金中のアルミニウムの含有量は1.0at%以上15.0at%以下である。合金が特定金属を含む場合、合金中の特定金属の含有量は0.5at%以上10.0at%以下である。第1層11aは不純物を含んでも良い。不純物の例は酸素と炭素である。第1層11aは酸素、または、炭素を含むことができる。第1層11aは酸素と炭素を含むことができる。実施形態では、合金はさらに炭素を含有している。合金中の炭素の含有量は50ppm以下である。合金はさらに酸素を含有している。合金中の酸素の含有量は100ppm以下である。上記各元素の含有量の値は一例である。第1層11aを形成する元素の中で銅の量が最も大きい。次いで、アルミニウムの量が大きい。合金が特定金属を含む場合、特定金属の量はアルミニウムの量より小さい。従って、銅は主の金属であり、アルミニウムは第1の副の金属であり、特定金属は第2の副の金属である。不純物の量は特定金属の量より小さい。
【0012】
第2層11bは銅で形成されている。電解めっき層10bは銅で形成されている。
【0013】
第1層11aを形成している銅合金中の銅の含有量は90at%より大きい。合金中の銅の含有量は99at%未満である。銅合金中の銅の含有量は98at%以下である。第2層11bを形成している銅の含有量は99.9at%以上である。第2層11b中の銅の含有量は99.95at%以上であることが好ましい。電解めっき層10bは銅で形成されている。電解めっき層10bを形成している銅の含有量は99.9at%以上である。電解めっき層10b中の銅の含有量は99.95at%以上であることが好ましい。
【0014】
樹脂絶縁層(第1樹脂絶縁層)20は絶縁層4の第3面6と第1導体層10上に形成されている。第1樹脂絶縁層20は第1面22と第1面22と反対側の第2面24を有する。第1樹脂絶縁層20の第2面24は第1導体層10と対向する。第1樹脂絶縁層20はパッド14を露出する開口(ビア導体用の開口)26を有している。開口26の底部の径は20μm以上50μm以下である。樹脂絶縁層(第1樹脂絶縁層)20は樹脂80と樹脂80内に分散されている多数の無機粒子90で形成されている。樹脂80は上面80Rと上面80Rと反対側の下面80Sを有する。上面80Rは第1面22を形成し、下面80Sは第2面24を形成する。樹脂80はエポキシ系樹脂である。樹脂の例は熱硬化性樹脂と光硬化性樹脂である。無機粒子90は例えばガラス粒子やアルミナ粒子である。無機粒子90は酸素元素を含むことが好ましい。無機粒子90の平均粒径は0.5μm以下である。樹脂絶縁層20中の無機粒子90の量は75wt%以上である。
【0015】
図1図2に示されるように、無機粒子90は、第1面22を形成する第1無機粒子91と樹脂80内に埋まっている第2無機粒子92を含む。第2無機粒子92は樹脂80内に完全に埋まっている。第2無機粒子92の形は球である。第1無機粒子91は第2無機粒子92から形成される。第1無機粒子91は第2無機粒子92の一部を除去することで形成される。第1無機粒子91の形状と第2無機粒子92の形状は異なる。第1無機粒子91の形状は実質的に球欠である。第1無機粒子91の表面の一部は実質的な平面であって、その平面はほぼ平坦である。その平面は球欠の切り口の面91cを形成し第1面22を向いている。あるいは、第1無機粒子91の表面の一部は実質的な曲面であって、その曲面はほぼ平滑である。その曲面は球欠の切り口の面91cを形成し第1面22を向いている。切り口の面91cが第1面22を形成するように、第1無機粒子91は樹脂80内に埋まっている。第1無機粒子91の切り口の面91cと樹脂80の上面80Rで第1面22が形成される。切り口の面91cと上面80Rは実質的に同一な面を形成する。切り口の面91cは樹脂80の上面80Rから露出している。第1無機粒子91の表面の内、樹脂80の上面80Rによって露出される部分は露出部分91Pである。露出部分91Pの面(露出面)91xは第1面22を形成する。露出面(第1露出面)91xは実質的な平坦な面、あるいは、実質的な曲面である。第1露出面91xはほぼ平坦である。第1露出面91xはほぼ平滑である。第1露出面91xと切り口の面91cは実質的に同じ面である。第1露出面91xと樹脂80の上面80Rで第1面22が形成される。第1露出面91xと上面80Rは実質的に同一な面を形成する。
【0016】
第1面22の算術平均粗さ(Ra)は0.08μm未満である。第1面22の粗さRaは0.05μm以下であることが好ましい。第1面22の粗さRaは0.03μm以下であることがより好ましい。上面80Rの算術平均粗さ(Ra)は0.08μm未満である。上面80Rの粗さRaは0.05μm以下であることが好ましい。上面80Rの粗さRaは0.03μm以下であることがより好ましい。
【0017】
第1面22は第1露出面91xと上面80Rとの間に段差(第1段差)を有することができる。第1露出面91xは上面80Rに対し出っ張っている。あるいは、第1露出面91xは上面80Rに対し凹んでいる。出っ張っていることが好ましい。段差(第1段差)の大きさ(第1露出面91xと樹脂80の上面80Rとの間の距離)は5μm以下である。第1段差の大きさは3μm以下であることが好ましい。第1段差の大きさは1.5μm以下であることがより好ましい。段差(第1段差)が形成されていても、段差が小さいので、第1露出面91xと樹脂80の上面80Rはほぼ共通な面を形成する。例えば、段差の大きさは最大値で代表される。
【0018】
第1無機粒子91の体積と第1無機粒子91から予測される球(仮想球)の体積との比R(第1無機粒子の体積/仮想球の体積)は0.6以上、1未満である。比Rは0.8以上であることが好ましい。比Rは0.9以上であることがより好ましい。比Rは0.95以上であることが最も好ましい。比Rは0.97以下であることが好ましい。上面80R近くの樹脂80の熱膨張係数が制御される。
【0019】
図1図3に示されるように、無機粒子90は、開口(ビア導体用の開口)26の内壁面(第1内壁面)27を形成する第3無機粒子93をさらに含む。第3無機粒子93の形状は球を平面で切断することで得られる。第3無機粒子93の形状は第2無機粒子92を平面で切断することで得られる。第3無機粒子93は第2無機粒子92から形成される。第2無機粒子92の一部を除去することで第3無機粒子93が得られる。第3無機粒子93の形状は実質的に球欠である。第1無機粒子91の形状と第3無機粒子93の形状はほぼ同じである。第3無機粒子93の形状と第2無機粒子92の形状は異なる。第3無機粒子93は平坦部93aを有する。平坦部93aは内壁面27を形成する。内壁面27は樹脂80と平坦部93aで形成されている。平坦部93aと内壁面27を形成する樹脂80の面(第1の樹脂の面)80aは、ほぼ共通な面を形成する。内壁面27を形成する樹脂80上に凹凸が形成されない。内壁面27を形成する樹脂80の面80aはほぼ平滑である。平坦部93aの露出面(内壁面27を形成する面)93b上に凹凸が形成されない。平坦部93aの露出面(第2露出面)93bは平滑である。内壁面27は平滑に形成される。内壁面27の算術平均粗さ(Ra)は1.0μm以下である。内壁面27を形成する樹脂80の面80aの粗さ(Ra)は1.0μm以下である。
【0020】
内壁面27は平坦部93aと内壁面27を形成する樹脂80の面80aとの間に段差(第2段差)を有することができる。平坦部93aの露出面(第2露出面)93bは内壁面27を形成する樹脂80の面80aに対し出っ張っている。あるいは、平坦部93aの露出面93bは内壁面27を形成する樹脂80の面80aに対し凹んでいる。出っ張っていることが好ましい。段差(第2段差)の大きさ(平坦部93aの露出面93bと内壁面27を形成する樹脂80の面80aとの間の距離)は5μm以下である。第2段差の大きさは3μm以下であることが好ましい。第2段差の大きさは1.5μm以下であることがより好ましい。段差(第2段差)が形成されていても、段差が小さいので、平坦部93aの露出面93bと内壁面27を形成する樹脂80の面80aはほぼ共通な面を形成する。第1露出面91xが出っ張ると第2露出面93bも出っ張る。第1露出面91xが凹むと第2露出面93bも凹む。
【0021】
図1に示されるように、第2導体層30は樹脂絶縁層(第1樹脂絶縁層)20の第1面22上に形成されている。第2導体層30は第1信号配線32と第2信号配線34とランド36を含む。図に示されていないが、第2導体層30は第1信号配線32と第2信号配線34とランド36以外の導体回路も含んでいる。第1信号配線32と第2信号配線34はペア配線を形成している。第1信号配線32と第2信号配線34は隣り合っている。図2に示されるように、第1信号配線32と第2信号配線34との間の間隔D1は1.5μm以上10μm以下である。間隔D1は1.5μm以上8μm以下であることが好ましい。第1信号配線32は第1導体回路の一例であり、第2信号配線34は第2導体回路の一例である。
【0022】
導体層(第2導体層)30は主に銅によって形成される。第2導体層30は、第1面22上のシード層30aとシード層30a上の電解めっき層30bで形成されている。シード層30aは第1面22上の第1層31aと第1層31a上の第2層31bで形成されている。シード層30aの厚みは0.5μm未満である。第1導体層10と第2導体層30は同様である。第1層31aの厚みと第2層31bの厚みとの関係と第1層11aの厚みと第2層11bの厚みとの関係は同様である。第1層31aと第2層31bは第2導体層30を形成し、第1層11aと第2層11bは第1導体層10を形成する。第1層31aは第1層11aと同様な合金(銅合金)で形成されている。第2層31bは銅で形成されている。電解めっき層30bは銅で形成されている。第1層31aは第1面22に接している。
【0023】
ビア導体(第1ビア導体)40は開口(ビア導体用の開口)26内に形成されている。開口26は第1樹脂絶縁層20を貫通し第1導体層10に至っている。ビア導体(第1ビア導体)40は第1導体層10と第2導体層30を接続する。図1ではビア導体40はパッド14とランド36を接続する。ビア導体40はシード層30aとシード層30a上の電解めっき層30bで形成されている。ビア導体40を形成するシード層30aと第2導体層30を形成するシード層30aは共通である。ビア導体40を形成する第1層31aと第2導体層30を形成する第1層31aは共通である。第1層31aは内壁面27に接している。ビア導体40を形成する第2層31bと第2導体層30を形成する第2層31bは共通である。ビア導体40を形成する電解めっき層30bと第2導体層30を形成する電解めっき層30bは共通である。
【0024】
第1導体層10を形成する第1層11aと第2導体層30を形成する第1層31aとビア導体40を形成する第1層31aは同様である。両者11a、31aは同様な元素で形成される。両者11a、31aを形成する元素のそれぞれは同様な量を有する。第1導体層10を形成する第2層11bと第2導体層30を形成する第2層31bとビア導体40を形成する第2層31bは同様である。第2層11b、31bのそれぞれは同様な元素で形成される。第2層11b、31bのそれぞれはほぼ同量の元素で形成されている。第1導体層10を形成する電解めっき層10bと第2導体層30を形成する電解めっき層30bとビア導体40を形成する電解めっき層30bは同様である。電解めっき層10b、30bのそれぞれは同様な元素で形成される。電解めっき層10b、30bのそれぞれはほぼ同量の元素で形成されている。
【0025】
図1に示されるように、実施形態は、第2導体層30の表面(上面と側面)上に接着層100を形成することができる。接着層100は必須ではない。第2導体層30の表面は第1表面と第2表面で形成される。表面の内、第1表面はビア導体140用の開口126により露出される部分である。ビア導体140は第2樹脂絶縁層120を貫通し第2導体層30に至っている。第2表面は第1表面以外の部分である。第1表面は接着層100で覆われず、第2表面は接着層100で覆われる。接着層100は第2導体層30に接している。接着層100は第2導体層30の第2表面に接している。接着層100は樹脂で形成されている。接着層100は有機製の材料(有機製樹脂)で形成されている。有機製の材料の例は窒素系有機化合物である。窒素系有機化合物は例えばテトラゾール化合物である。窒素系有機化合物の例は特開2015-54987号公報に開示されている。接着層100は第2導体層30から露出する樹脂絶縁層20の第1面22を覆っていない。接着層100は第2導体層30と第2樹脂絶縁層120の間に形成されている。接着層100は第2導体層30と樹脂絶縁層(第2樹脂絶縁層)120で挟まれている。接着層100は第2導体層30と第2樹脂絶縁層120を接着している。
【0026】
図4は第2導体層30の第2表面上に形成されている接着層100の一部を示す拡大断面図である。図4に示されるように、接着層100は、ほぼ平滑な平滑膜102と平滑膜102から突出している複数の突出部104で形成されている。
【0027】
平滑膜102はほぼ均一な厚みTを有する。平滑膜102の厚みTは、10nm以上、120nm以下である。突出部104から露出する平滑膜102の面積(S1)と接着層100の面積(S2)との比(S1/S2)は0.1以上、0.5以下である。第2導体層30の第2表面上の平滑膜102は第2導体層30の第2表面の形状にほぼ沿って形成されている。第2導体層30の上面と側面にうねりが形成されている場合、平滑膜102はそのうねりに追随している。
【0028】
突出部104は複数の突起106で形成されている。複数の突起106により、突出部104の上面に凹凸が形成される。1mmあたりの突起106の数は5以上、15以下である。突出部104は、平滑膜102の上面と突出部104の頂部間に高さH1、H2を有する。高さH1、H2の最大値は、平滑膜102の厚みTの10倍以上30倍以下である。高さH1、H2は、200nm以上、450nm以下である。
【0029】
第2導体層30と第1樹脂絶縁層20の第1面22上に第2樹脂絶縁層120が形成されている。第2樹脂絶縁層120は接着層100を介して第2導体層30上に形成されている。第2樹脂絶縁層120は第1面122と第1面122と反対側の第2面124を有する。第2樹脂絶縁層120の第2面124は第2導体層30と対向している。第2樹脂絶縁層120は開口(ビア導体用の開口)126を有する。開口126は第2樹脂絶縁層120を貫通し、第2導体層30に至る。
【0030】
第2樹脂絶縁層120は樹脂80と無機粒子90で形成される。第1樹脂絶縁層20と第2樹脂絶縁層120は同様である。そのため、第2樹脂絶縁層120を形成する樹脂80と第1樹脂絶縁層20を形成する樹脂80は同様である。第2樹脂絶縁層120を形成する無機粒子90と第1樹脂絶縁層20を形成する無機粒子90は同様である。第1樹脂絶縁層20と同様に、第2樹脂絶縁層120を形成する無機粒子90は第1無機粒子91と第2無機粒子92と第3無機粒子93を含む。第1樹脂絶縁層20内の第1無機粒子91と第2樹脂絶縁層120内の第1無機粒子91は同様である。第1樹脂絶縁層20内の第2無機粒子92と第2樹脂絶縁層120内の第2無機粒子92は同様である。第1樹脂絶縁層20内の第3無機粒子93と第2樹脂絶縁層120内の第3無機粒子93は同様である。
【0031】
第1樹脂絶縁層20の第1面22と第2樹脂絶縁層120の第1面122は同様である。樹脂絶縁層(第2樹脂絶縁層)120の第1面122は、樹脂絶縁層(第2樹脂絶縁層)120を形成する樹脂80の上面(第2上面)と樹脂絶縁層(第2樹脂絶縁層)120を形成する第1無機粒子91の露出部分の露出面(第3露出面)で形成される。第2上面と第3露出面はほぼ共通な面を形成する。第1樹脂絶縁層20の第1面22と同様に、第2樹脂絶縁層120の第1面122は、第2上面と第3露出面との間に段差(第3段差)を有することができる。第1段差と第3段差は同様である。第1段差の大きさと第3段差の大きさは同様である。第1面122が段差を有しても、段差の大きさが小さいので、樹脂80の上面(第2上面)と第1無機粒子91の露出面(第3露出面)は実質的に同一面上に位置する。
【0032】
第2樹脂絶縁層120を貫通する開口(ビア導体用の開口)126と第1樹脂絶縁層20を貫通する開口(ビア導体用の開口)26は同様である。従って、開口126の内壁面(第2内壁面)127と開口26の内壁面(第1内壁面)27は同様である。第2内壁面127は樹脂80と第3無機粒子93の平坦部93aで形成される。第1内壁面27と同様に、第2内壁面127は第2内壁面127を形成する樹脂80の面(第2の樹脂の面)と第2樹脂絶縁層120を形成する第3無機粒子93の平坦部で形成される。第1樹脂絶縁層20を形成する第3無機粒子93の平坦部93aと同様に、第2樹脂絶縁層120を形成する第3無機粒子93の平坦部は露出面(第4露出面)を有する。第2の樹脂の面と内壁面127を形成する第4露出面はほぼ共通な面を形成する。第1内壁面27と同様に、第2内壁面127は第2の樹脂の面と第4露出面の間に段差(第4段差)を有することができる。第2段差と第4段差は同様である。第4段差の大きさと第2段差の大きさは同様である。従って、第2内壁面127が第4段差を有しても、第2の樹脂の面と第4露出面は実質的に共通な面を形成する。
【0033】
図1に示されるように、第2樹脂絶縁層120の第1面122上に第3導体層130が形成されている。開口126内に第2導体層30と第3導体層130を接続するビア導体(第2ビア導体)140が形成されている。第3導体層130と第2導体層30は同様である。第2ビア導体140と第1ビア導体40は同様である。第3導体層130と第2ビア導体140は第1層131aと第1層131a上の第2層131bとからなるシード層130aとシード層130a上の電解めっき層130bで形成されている。第3導体層130と第2ビア導体140を形成する第1層131aと第2導体層30の第1層31aは同様である。第3導体層130と第2ビア導体140を形成する第2層131bと第2導体層30の第2層31bは同様である。第3導体層130と第2ビア導体140を形成する電解めっき層130bと第2導体層30の電解めっき層30bは同様である。第1層131aは第2樹脂絶縁層120の第1面122に接する。第1層131aは内壁面(第2内壁面)127に接する。第2導体層30を形成する各層(第1層31a、第2層31b、電解めっき層30b)と第3導体層130を形成する各層(第1層131a、第2層131b、電解めっき層130b)は同様な厚みや組成を有する。第2導体層30を形成する各層(第1層31a、第2層31b、電解めっき層30b)と第3導体層130を形成する各層(第1層131a、第2層131b、電解めっき層130b)は同様な元素で形成される。第2導体層30を形成する各層(第1層31a、第2層31b、電解めっき層30b)に含まれる元素と第3導体層130を形成する各層(第1層131a、第2層131b、電解めっき層130b)に含まれる元素は同様な量を有する。
【0034】
プリント配線板2の各辺の長さは50mm以上である。各辺の長さは100mm以上であることが好ましい。各辺の長さは250mm以下である。
【0035】
プリント配線板2は第2樹脂絶縁層120の第1面122と第3導体層130上にソルダーレジスト層を有することができる。絶縁層4はコア材を形成してもよい。実施形態は第3導体層130の第2表面を覆う接着層100を有しても良い。接着層100は第3導体層130とソルダーレジスト層で挟まれる。
【0036】
[実施形態のプリント配線板2の製造方法]
図5A図5Fは実施形態のプリント配線板2の製造方法を示す。図5A図5C図5Fは断面図である。図5D図5Eは拡大断面図である。図5Aは絶縁層4と絶縁層4の第3面6上に形成されている導体層(第1導体層)10を示す。第1導体層10はセミアディティブ法によって形成される。第1層11aと第2層11bはスパッタリングで形成される。第1層11aと第2層11bは真空中で形成される。電解めっき層10bは電解めっきで形成される。
【0037】
図5Bに示されるように、絶縁層4と第1導体層10上に樹脂絶縁層(第1樹脂絶縁層)20と保護膜50が形成される。樹脂絶縁層20の第2面24が絶縁層4の第3面6と対向している。第1樹脂絶縁層20の第1面22上に保護膜50が形成されている。樹脂絶縁層20は樹脂80と無機粒子90を有する。無機粒子90は樹脂80内に埋まっている。無機粒子90の例はガラス粒子である。
【0038】
保護膜50は樹脂絶縁層20の第1面22を完全に覆っている。保護膜50の例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルムである。保護膜50と樹脂絶縁層20との間に離型剤が形成されている。
【0039】
図5Cに示されるように、保護膜50の上からレーザ光Lが照射される。レーザ光Lは保護膜50と樹脂絶縁層20を同時に貫通する。第1導体層10のパッド14に至る開口(ビア導体用の開口)26が形成される。レーザ光Lは例えばUVレーザ光、CO2レーザ光である。開口26によりパッド14が露出される。開口26が形成される時、第1面22は保護膜50で覆われている。そのため、開口26が形成される時、樹脂が飛散しても、第1面22に樹脂が付着することが抑制される。
【0040】
図5Dは、レーザ光照射後の開口26の内壁面27bを示す。樹脂絶縁層20にレーザ光Lを照射することで、樹脂80に埋まっている第2無機粒子92の一部がレーザ光照射後の内壁面27bを形成する。内壁面27bは樹脂80と樹脂80から突出している無機粒子90で形成されている。樹脂絶縁層20に埋まっている第2無機粒子の中のいくつかが内壁面27bから部分的に突出する。レーザ光照射後の内壁面27bを形成する第2無機粒子92は、樹脂80から突出している突出部分Pと樹脂80に埋まっている部分Eで形成される。内壁面27bを形成する第2無機粒子92は第3突出粒子と称される。
【0041】
保護膜が除去される。保護膜50の除去後、樹脂絶縁層20の第1面22が洗浄される。第1面22を形成する樹脂80がドライプロセスで除去される。例えば、逆スパッタリングで樹脂絶縁層20の第1面22が洗浄される。例えば、樹脂絶縁層20の第1面22を洗浄することはアルゴンガスを用いるスパッタリング(アルゴンスパッタリング)によって行われる。図5E(a)(b)は洗浄前後の樹脂絶縁層20の第1面22を模式的に示す。図5E(a)(b)に示されるように、スパッタリング等による洗浄によって樹脂絶縁層20を形成する樹脂80が20nm程度除去される。例えば、保護膜50を樹脂絶縁層20に接着するための接着材が除去される。洗浄によって樹脂80が選択的に除去される。樹脂80の厚みが薄くなる。無機粒子90のいくつかは、洗浄によって樹脂80の上面80Rから部分的に露出する。第2無機粒子92の一部分が樹脂80の上面80Rから露出する。図5E(b)は洗浄後の第1面22bを示す。図5E(b)に示されるように、洗浄後の第1面22bを形成する無機粒子(第2無機粒子92)90は樹脂80から突出する第1部分91aと樹脂80に埋まっている第2部分91bで形成されている。洗浄後の第1面22bを形成する第2無機粒子92は第1突出粒子と称される。
【0042】
内壁面の形状を制御するため、レーザ光照射後の内壁面27bは処理される。第1面の形状を制御するため、洗浄後の第1面22bは処理される。第1突出粒子と第3突出粒子は選択的に除去されることが好ましい。これにより、無機粒子90から第1無機粒子91が形成される。無機粒子90から第3無機粒子93が形成される。例えば、レーザ光照射後の内壁面27bと洗浄後の第1面22bを薬品で処理することで、第1突出粒子と第3突出粒子が選択的に除去される。あるいは、レーザ光照射後の内壁面27bと洗浄後の第1面22bをプラズマで処理することで、第1突出粒子と第3突出粒子が選択的に除去される。選択的に除去することは、無機粒子90のエッチング速度が樹脂80のエッチング速度より大きいことを含む。例えば、両者のエッチング速度差は10倍以上である。あるいは、両者のエッチング速度差は50倍以上である。あるいは、両者のエッチング速度差は100倍以上である。洗浄後の第1面22bを処理することで、露出部分91Pを有する第1無機粒子91が得られる。レーザ光照射後の内壁面27bを処理することで、平坦部93aを有する第3無機粒子93が得られる。洗浄後の第1面22bを処理するための条件を制御することで、実施形態は第1面22の形状を制御することができる。レーザ光照射後の内壁面27bを処理するための条件を制御することで、実施形態は内壁面27の形状を制御することができる。条件の例は、温度、濃度、時間、ガスの種類や圧力である。無機粒子90のエッチング速度と樹脂のエッチング速度が制御される。
【0043】
レーザ光照射後の内壁面27bが処理される。例えば、四フッ化メタンを含むガスのプラズマで内壁面27bが処理される。突出部分Pを選択的に除去することで、実施形態の内壁面27が形成される。第2無機粒子92から第3無機粒子93が形成される。突出部分Pを選択的に除去することで、平坦部93aを有する第3無機粒子93が形成される。平坦部93aを形成する面は略平面である。平坦部93aを形成する面は略曲面である。球の形を持つ第2無機粒子92が平面で切断されると、第3無機粒子93の形状が得られる。あるいは、第2無機粒子92が曲面で切断される。第3無機粒子93の形状はほぼ球欠である。内壁面27は平坦部93aと樹脂80の面80aで形成される。平坦部93aの露出面93bと樹脂80の面80aはほぼ同一平面上に位置する。例えば、スパッタリングで内壁面27b上にシード層30aが形成されると、突出部分Pはスパッタリング製膜の成長を阻害する。例えば、内壁面27b上に連続しているシード層30aを形成することが難しい。あるいは、シード層30aの厚みを厚くすることが必要である。第3突出粒子を有するプリント配線板は第1面22上に微細な導体回路を形成することができないと考えられる。実施形態では、突出部分Pが除去される。実施形態はスパッタリングで形成されるシード層30aの厚みを薄くできる。スパッタリングで形成されるシード層30aの厚みが薄くても、連続しているシード層30aが得られる。シード層30aの厚みは0.05μm以上、0.5μm未満である。
【0044】
開口26を形成することは、突出部分Pを有する無機粒子(第2無機粒子92)90を形成することを含む。突出部分Pは開口26の内壁面27bを形成する樹脂80から突出している。第3無機粒子93は無機粒子(第2無機粒子92)90の突出部分Pを除去することで形成される。開口26の内壁面27は第3無機粒子93の露出面93bを含む。第3無機粒子93の露出面93bは突出部分Pを除去することで形成される。
【0045】
球の形を持つ第2無機粒子92を平面で切断することで第3無機粒子93の形状を得ることは、無機粒子90の突出部分Pを除去することを含む。実際の開口26の内壁面27は略曲面である。突出部分Pを除去することで平坦部93aが形成されるので、平坦部93aの露出面93bは曲面を含む。すなわち、平坦部93aと樹脂80で共通な面を形成することは実質的な曲面で形成される内壁面27を形成することを含む。
【0046】
洗浄後の第1面22bが処理される。例えば、四フッ化メタンを含むガスのプラズマで第1面22bが処理される。第1部分91aを選択的に除去することで、実施形態の第1面22が形成される。第2無機粒子92から第1無機粒子91が形成される。図5E(c)に示されるように、第1部分91aを選択的に除去することで、露出部分91Pを有する第1無機粒子91が形成される。露出部分91Pの露出面(第1露出面)91xは略平面である。第1露出面91xは略曲面でもよい。球の形を持つ第2無機粒子92が平面で切断されると、第1無機粒子91の形状が得られる。あるいは、第2無機粒子92が曲面で切断される。第1面22は露出部分91Pと樹脂80の上面80Rで形成される。露出部分91Pの第1露出面91xと樹脂80の上面80Rはほぼ同一平面上に位置する。例えば、スパッタリングで第1面22b上にシード層30aが形成されると、第1部分91aはスパッタリング製膜の成長を阻害する。例えば、第1面22b上に連続しているシード層30aを形成することが難しい。あるいは、シード層30aの厚みを厚くすることが必要である。第1突出粒子を有するプリント配線板は第1面22上に微細な導体回路を形成することができないと考えられる。実施形態では、第1部分91aが除去される。実施形態はスパッタリングで形成されるシード層30aの厚みを薄くできる。スパッタリングで形成されるシード層30aの厚みが薄くても、連続しているシード層30aが得られる。シード層30aの厚みは0.05μm以上、0.5μm未満である。
【0047】
第1面22を形成することは、第1部分91aを有する無機粒子(第2無機粒子92)90を形成することを含む。第1部分91aは樹脂80の上面80Rから突出している。第1無機粒子91は無機粒子(第2無機粒子92)90の第1部分91aを除去することで形成される。第1面22は第1無機粒子91の露出面91xを含む。第1無機粒子91の露出面91xは第1部分91aを除去することで形成される。
【0048】
球の形を持つ第2無機粒子92を平面で切断することで第1無機粒子91の形状を得ることは、無機粒子90の第1部分91aを除去することを含む。第1部分91aを除去することで露出部分91Pが形成されるので、露出部分91Pの露出面91xは曲面を含む。すなわち、露出面91xは実質的な曲面を含む。
【0049】
例えば、図5E(c)を用いて、比R(第1無機粒子の体積/仮想球の体積)が求められる。図5E中の断面図と第1面22は垂直である。第1無機粒子91の外周は実線と破線で描かれている。第1露出面91xは破線で描かれ、第1露出面91x以外の部分の外周は実線で描かれている。図5E(c)中の第1無機粒子91の平面図を用いて円(仮想円)91Mが想定される。仮想円91Mの円周は点線と実線で描かれている。点線で示されている部分は第1無機粒子91から予測される部分である。第1無機粒子91の形状は球欠である。第1無機粒子91の形状の起源は球なので、仮想円は比較的容易に予測される。図5E(c)中の第1無機粒子91の面積が求められる。図5E(c)中の仮想円の面積が求められる。両者の比(第1無機粒子91の面積/仮想円91Mの面積)が比Rを代表することができる。例えば、比Rは0.95である。図5E(c)中の第1露出面91xは導体層で覆われている。
【0050】
レーザ光照射後の内壁面27bと洗浄後の第1面22bは同時に処理される。あるいは、レーザ光照射後の内壁面27bと洗浄後の第1面22bは別々に処理される。別々に処理が行われる場合、両者は同じ方法で処理される。あるいは、両者は異なる方法で処理される。
【0051】
レーザ光照射後の内壁面27bが処理される時、内壁面27bはほとんど荒らされない。内壁面27はほぼ凹凸を有していない。内壁面27は平滑に形成される。内壁面27を形成する樹脂80の面80aは平滑に形成される。樹脂80の面80aはほぼ凹凸を有していない。樹脂80の面80aの算術平均粗さ(Ra)は0.2μm以下である。レーザ光照射後の内壁面27bを処理するための条件を制御することで、凹凸の大きさが制御される。
【0052】
洗浄後の第1面22bが処理される時、第1面22はほとんど荒らされない。第1面22はほぼ凹凸を有していない。第1面22は平滑に形成される。第1面22を形成する樹脂80の上面80Rは平滑に形成される。樹脂80の上面80Rはほぼ凹凸を有していない。樹脂80の上面80Rの算術平均粗さ(Ra)は0.2μm以下である。洗浄後の第1面22bを処理するための条件を制御することで、凹凸の大きさが制御される。
【0053】
実施形態は開口26内を洗浄することができる。開口26内の洗浄はプラズマによって行われる。即ち洗浄はドライプロセスで行われる。洗浄はデスミア処理を含む。レーザ光照射後の内壁面27bを処理することが開口26内を洗浄することを含む場合、実施形態は開口26内を洗浄することを削除することができる。洗浄後の第1面22bを処理することが開口26内を洗浄することを含む場合、実施形態は開口26内を洗浄することを削除することができる。実施形態はデスミア処理を削除することができる。
【0054】
図5Fに示されるように、樹脂絶縁層20の第1面22上にシード層30aが形成される。シード層30aはスパッタリングによって形成される。シード層30aの形成はドライプロセスで行われる。第1層31aが第1面22上にスパッタリングで形成される。同時に、開口26から露出する内壁面27とパッド14上に第1層31aがスパッタリングで形成される。第1面22上には凹部がほとんど形成されていない。そのため、第1面22上の第1層31aはほぼ平坦に形成される。その後、第1層31a上に第2層31bがスパッタリングで形成される。第2層31bはほぼ平坦に形成される。第1層31aと第2層31bは真空中で形成される。シード層30aは開口26から露出するパッド14の上面と開口26の内壁面27にも形成される。第1層31aは銅とアルミニウムを含む合金で形成される。アルミニウムは高い延性と高い展性を有する。そのため、樹脂絶縁層20と第1層31a間の密着力が高い。ヒートサイクルにより樹脂絶縁層20が伸縮したとしても、アルミニウムを含むシード層30aがその伸縮に追従することができると考えられる。樹脂絶縁層20の第1面22が平滑であっても、シード層30aは樹脂絶縁層20から剥がれ難い。アルミニウムは酸化しやすいと考えられる。第3無機粒子93が酸素(酸素元素)を含む無機粒子90であると、内壁面27上に形成される第1層31aは内壁面27を形成する無機粒子90内の酸素を介して第3無機粒子93に密着すると考えられる。第1層31aと内壁面27が強く接合される。実施形態は内壁面27と第1層31a間の密着力を高くすることができる。シード層30aは内壁面27から剥がれ難い。内壁面27を形成する第3無機粒子93は酸素元素を含むことが好ましい。第1無機粒子91が酸素(酸素元素)を含む無機粒子90であると、第1面22上に形成される第1層31aは第1面22を形成する無機粒子90内の酸素を介して第1無機粒子91に密着すると考えられる。第1層31aと第1面22が強く接合される。実施形態は第1面22と第1層31a間の密着力を高くすることができる。シード層30aは第1面22から剥がれ難い。第1面22を形成する第1無機粒子91は酸素元素を含むことが好ましい。第1層31aはさらにケイ素を含むことができる。この場合、ケイ素は特定金属であり、第1層31aは銅とアルミニウムとケイ素を含む合金で形成される。無機粒子90がガラス粒子であると、第1層31aと第1無機粒子91が共にケイ素を含む。両者はケイ素を介して強く接着されると考えられる。実施形態は第1層31aと第1面22間の接着力をさらに高くすることできると考えられる。第1層31aと第3無機粒子93が共にケイ素を含む。両者はケイ素を介して強く接着されると考えられる。実施形態は第1層31aと内壁面27間の接着力をさらに高くすることできると考えられる。第2層31bは銅で形成される。
【0055】
第1面22はほとんど凹部を有していない。内壁面27はほとんど凹部を有していない。第1面22はほぼ平滑に形成されている。内壁面27はほぼ平滑に形成されている。そのためスパッタリング製膜(第1層31a、第2層31b)の厚みが薄くても、実施形態は連続するシード層30aを形成することができる。その結果、実施形態は微細な配線を形成することができる。
【0056】
シード層30a上にめっきレジストが形成される。めっきレジストは、第1信号配線32と第2信号配線34とランド36を形成するための開口を有する。第1面22が凹部を有すると、その凹部に起因する空気がめっきレジストとシード層30a間に閉じ込められやすい。しかしながら、実施形態では、第1面22は凹部をほとんど有していない。そのため、第1面22上のシード層30aはほぼ平坦に形成される。シード層30aがほぼ凹部を有さない。めっきレジストとシード層30aの間に空気が残りがたい。めっきレジストとシード層30a間の接触面積が大きい。第1信号配線32と第2信号配線34間の空間を形成するためのめっきレジストの幅が10μm以下であっても、めっきレジストがシード層30aの上面から剥がれがたい。めっきレジストの幅が3μm以上、8μm以下であっても、実施形態は、めっきレジストをシード層30a上に形成することができる。めっきレジストの幅が6μm以下であっても、めっきレジストがシード層30aから剥がれ難い。
【0057】
めっきレジストから露出するシード層30a上に電解めっき層30bが形成される。電解めっき層30bは銅で形成される。電解めっき層30bは開口26を充填する。第1面22上のシード層30aと電解めっき層30bによって、第1信号配線32と第2信号配線34とランド36が形成される。第2導体層30が形成される。開口26内のシード層30aと電解めっき層30bによって、ビア導体(第1ビア導体)40が形成される。ビア導体40は、パッド14とランド36を接続する。第1信号配線32と第2信号配線34はペア配線を形成する。第1ビア導体40は導体層(第1導体層)10と導体層(第2導体層)30を接続する。
【0058】
めっきレジストが除去される。電解めっき層30bから露出するシード層30aが除去される。シード層30aはウェットエッチングによって除去される。ウェットエッチングに用いられるエッチング液は過酸化水素水と硫酸を含む水溶液である。ウェットエッチングにより第1層31aと第2層31bは同時に除去される。第2導体層30とビア導体40は同時に形成される。
【0059】
第2導体層30の上面と側面上に接着層100が形成される。接着層100は、第2導体層30とビア導体40を有する途中基板を窒素系有機化合物を含む薬液に浸漬することによって形成される。薬液のphは7以下である。途中基板を薬液に浸漬することで第2導体層30の上面と側面上に平滑膜102と突出部104を有する接着層100が形成される。途中基板が薬液に浸漬される前に第2導体層30の上面と側面の酸化膜が除去される。改変例では接着層100は、第2導体層30上に薬液を塗布することによって形成される。接着層100が形成されると、途中基板が薬液から取り出される。接着層100が乾燥される。乾燥前の接着層100の上面は平滑でもよい。その場合、乾燥により、接着層の一部が凝集する。凝集することで、平滑膜102と突出部104を含む接着層100が形成される。
【0060】
第1樹脂絶縁層20の第1面22と接着層100で覆われている第2導体層30上に樹脂絶縁層(第2樹脂絶縁層)120が第1樹脂絶縁層20と同様な方法で形成される。第2樹脂絶縁層120は第1面122と第1面122と反対側の第2面124と開口(ビア導体用の開口)126を有する。第2樹脂絶縁層120の第2面124と第2導体層30が向かい合っている。樹脂絶縁層120にレーザ光Lで開口126が形成される時、レーザ光Lは第2導体層30を覆う接着層100を除去する。あるいは、レーザ光Lによって接着層100が完全に除去されない。その場合開口126内を洗浄することにより開口126の底の接着層100が除去される。開口126によって第2導体層30が露出される。第2樹脂絶縁層120の第1面122上に導体層(第3導体層)130が第2導体層30と同様な方法で形成される。開口(第2開口)126内に第2導体層30と第3導体層130を繋ぐビア導体(第2ビア導体)140が第1ビア導体40と同様な方法で形成される。実施形態のプリント配線板2が得られる。
【0061】
各樹脂絶縁層は樹脂80と無機粒子90で形成される。各樹脂絶縁層を形成する樹脂と第1樹脂絶縁層20を形成する樹脂80は同様である。各樹脂絶縁層を形成する無機粒子と第1樹脂絶縁層20を形成する無機粒子90は同様である。各樹脂絶縁層は第1無機粒子と第2無機粒子と第3無機粒子を含み、各樹脂絶縁層内のそれらと第1樹脂絶縁層20内のそれらは同様である。各樹脂絶縁層は第1面を有し、各樹脂絶縁層の第1面と第1樹脂絶縁層20の第1面22は同様である。各樹脂絶縁層は開口(ビア導体用の開口)を有し、各樹脂絶縁層を貫通する開口と第1樹脂絶縁層を貫通する開口26は同様である。各樹脂絶縁層を貫通する開口の内壁面と第1樹脂絶縁層20を貫通する開口26の内壁面27は同様である。
【0062】
各導体層はシード層とシード層上の電解めっき層で形成される。各導体層を形成するシード層と第2導体層30を形成するシード層30aは同様である。各導体層を形成する第1層と第2導体層30を形成する第1層31aは同様である。各導体層を形成する第2層と第2導体層30を形成する第2層31bは同様である。各導体層を形成する電解めっき層と第2導体層30を形成する電解めっき層30bは同様である。
【0063】
各ビア導体はシード層とシード層上の電解めっき層で形成される。各ビア導体を形成するシード層と第1ビア導体40形成するシード層30aは同様である。各ビア導体を形成する第1層と第1ビア導体40形成する第1層31aは同様である。各ビア導体を形成する第2層と第1ビア導体40形成する第2層31bは同様である。各ビア導体を形成する電解めっき層と第1ビア導体40を形成する電解めっき層30bは同様である。
【0064】
実施形態のプリント配線板2では、スパッタリング製膜の厚みが薄くても、実施形態は連続するシード層30aを形成することができる。開口26の内壁面27は第3無機粒子93の平坦部93aと樹脂80によって形成される。平坦部93aと内壁面27を形成する樹脂80の面80aは共通な面を形成する。内壁面27は平滑に形成される。そのため、開口26の内壁面27上に均一な厚みのシード層30aが形成される。シード層30aは薄く形成される。第1面22は第1無機粒子91の露出部分91Pと樹脂80の上面80Rで形成される。露出面91xと樹脂80の上面80R共通な面を形成する。第1面22は平滑に形成される。そのため、第1面22上に均一な厚みのシード層30aが形成される。シード層30aは薄く形成される。シード層30aが除去される時、エッチング量が少ない。そのため、電解めっき層30bのエッチング量が少ない。第1信号配線32と第2信号配線34を有する第2導体層30が設計値通りの幅を有する。微細な配線が形成される。高い品質を有するプリント配線板2が提供される。
【0065】
シード層30aの第1層31aがアルミニウムを含み、第3無機粒子93が酸素元素を含むと、実施形態は第1層31aと内壁面27間の接着力を高くすることができる。開口26の径が小さくてもビア導体40が内壁面27から剥がれ難い。そのため、ビア導体40を介する接続抵抗が上昇しがたい。図5Fに示されるように、ビア導体40の径(開口26の直径)Dはパッド14上で測定される。径Dは20μm以上、50μm以下である。プリント配線板2の各辺の長さが50mmを超えてもビア導体40を介する接続抵抗が上昇しがたい。プリント配線板2の各辺の長さが100mm以上であっても長期間接続抵抗が上昇しがたい。高い接続信頼性を有するプリント配線板2が提供される。
【0066】
実施形態はビア導体40を形成する第1層31aの厚みを薄くすることができる。実施形態はビア導体40を形成する第2層31bの厚みを薄くすることができる。第1層31aと第2層31bはシード層を30a形成する。実施形態はシード層形成後のビア導体用の開口の体積を大きくすることができる。シード層形成後のビア導体用の開口はシード層形成後の開口と呼ばれてもよい。シード層形成後の開口内に電解めっき層を形成することでシード層と電解めっき層からなるビア導体が形成される。ビア導体用の開口の径が小さくても、シード層形成後のビア導体用の開口内に電解めっき液が入り込みやすい。ビア導体を形成する電解めっき層がボイドを含みがたい。低抵抗なビア導体が形成される。シード層形成後の開口260の例が図5Fに示されている。シード層形成後の開口260はシード層で囲まれている。開口260の底と側面はシード層に接している。
【0067】
実施形態はアルミニウムを含む合金からなる第1層31aの厚みを薄くすることができる。信号配線中のアルミニウムの含有量は小さく、銅の含有量は大きい。実施形態は低抵抗な信号配線を提供することができる。実施形態は樹脂絶縁層に対し高い密着力を有し低抵抗な信号配線を提供することができる。
【0068】
実施形態のプリント配線板2では樹脂絶縁層20の第1面22は凹部をほとんど有していない。樹脂絶縁層20の第1面22近傍部分の比誘電率の標準偏差が大きくなることが抑制される。樹脂絶縁層20の第1面22の比誘電率は場所によって大きく変わらない。複数の信号配線が樹脂絶縁層20の第1面22に接していても、実施形態は信号配線間の電気信号の伝搬速度の差を小さくすることができる。そのため、実施形態のプリント配線板2ではノイズが抑制される。実施形態のプリント配線板2にロジックICが実装されても、各信号配線で伝達されるデータがロジックICにほぼ同時に到達する。実施形態はロジックICの誤動作を抑制することができる。各信号配線の長さが5mm以上であっても、実施形態は伝搬速度の差を小さくすることができる。各信号配線の長さが10mm以上、20mm以下であっても、実施形態はロジックICの誤動作を抑制することができる。第2樹脂絶縁層120の第1面122も樹脂絶縁層20の第1面22と同様である。そのため第3導体層130内の信号配線も第2導体層30内の信号配線と同様の効果を有する。高い品質を有するプリント配線板2が提供される。
【0069】
実施形態のプリント配線板2は、導体層と樹脂絶縁層との間に接着層を有する。接着層は導体層と樹脂絶縁層を接着している。そのため、信号配線の上面と側面が平滑であっても樹脂絶縁層が信号配線から剥がれ難い。信号配線の上面と側面を荒らすことは行われないことが好ましい。接着層100はほぼ平滑な平滑膜102と平滑膜102から突出している突出部104で形成されている。接着層100が突出部104と平滑膜102によって形成される凹凸を有する。接着層100は複数の突起106によって形成される凹凸を有する。そのため、第2導体層30と第2樹脂絶縁層120が接着層100を介して十分に密着する。高い品質を有するプリント配線板2が提供される。例えば、プリント配線板2の各辺の長さが50mm以上であっても、第2樹脂絶縁層120が第2導体層30から剥がれがたい。プリント配線板2の各辺の長さが100mm以上であっても、接着層100起因のクラックが第2樹脂絶縁層120内に発生しがたい。第2導体層30が5μm以下の幅を有する導体回路を含んでも、第2樹脂絶縁層120が第2導体層30から剥がれがたい。第2導体層30が3μm以下の幅を有する導体回路を含んでも、接着層100起因のクラックが第2樹脂絶縁層120内に発生しがたい。
【0070】
第1層が特定金属としてケイ素を含み、無機粒子がガラス粒子であると、内壁面上の第1層と第3無機粒子93はケイ素を含む。第1面上の第1層と第1無機粒子91はケイ素を含む。両者はケイ素を介して強く接着されると考えられる。銅とアルミニウムとケイ素を含む合金からなるシード層が内壁面から剥がれ難い。シード層が第1面から剥がれ難い。シード層が樹脂絶縁層から剥がれ難い。
【0071】
第1層がアルミニウムを含み、無機粒子(第1無機粒子91、第2無機粒子92、第3無機粒子93)90が酸素を含むと、第1層と無機粒子(ガラス粒子等の酸素を含む無機粒子)90が強く接着されると考えられる。第1層がアルミニウムを含み、無機粒子90が酸素を含む場合、第1層は銅とアルミニウムと不純物で形成されてもよい。
【0072】
[実施形態の別例1]
実施形態の別例1では、特定金属は、チタン、ニッケル、クロム、スズ、カルシウムの中から選ばれる。
【0073】
[実施形態の別例2]
実施形態の別例2では、シード層10a、30aの第1層11a、31aは、銅と第2元素で形成されている。第2元素は、ケイ素、アルミニウム、チタン、ニッケル、クロム、炭素、酸素、スズ、カルシウムの中から選ばれる。第1層11a、31aは銅を含む合金で形成される。第2層11b、31bは銅で形成される。第2層11b、31bを形成している銅の量は99.9at%以上である。銅の量は99.95at%以上であることが好ましい。
【0074】
[実施形態の改変例]
図6は実施形態の改変例を示す。図6に示されるように、改変例のプリント配線板502は絶縁層4上にビルドアップ層500を有する。ビルドアップ層500は複数の導体層と複数の樹脂絶縁層を有する。導体層と樹脂絶縁層は交互に積層される。ビルドアップ層500は5層の導体層と4層の樹脂絶縁層を有する。5層の導体層は第1導体層10と第2導体層30、第3導体層130、第4導体層230、第5導体層330を含む。第1導体層10と第2導体層30と第3導体層130は実施形態のそれらと同様である。第4導体層230と第5導体層330は、第2導体層30と共通する構成(シード層と電解めっき層)を有する。第4導体層230と第5導体層330は、第2導体層30と同様の方法によって形成される。
【0075】
4層の樹脂絶縁層は第1樹脂絶縁層20と第2樹脂絶縁層120、第3樹脂絶縁層220、第4樹脂絶縁層320を含む。第1樹脂絶縁層20と第2樹脂絶縁層120は実施形態のそれらと同様である。第3樹脂絶縁層220と第4樹脂絶縁層320は、第1樹脂絶縁層20と共通する構成(樹脂と無機粒子)を有する。第1樹脂絶縁層20と第2樹脂絶縁層120、第3樹脂絶縁層220、第4樹脂絶縁層320は実施形態の樹脂絶縁層20と同様の方法で形成される。第1樹脂絶縁層20と第2樹脂絶縁層120、第3樹脂絶縁層220、第4樹脂絶縁層320は開口26、126、226、326を有している。
【0076】
ビルドアップ層500は4個のビア導体40、140、240、340を有する。ビア導体40は開口26内に形成されており、第1導体層10と第2導体層30を接続する。ビア導体140は開口126内に形成されており、第2導体層30と第3導体層130を接続する。ビア導体240は開口226内に形成されており、第3導体層130と第4導体層230を接続する。ビア導体240は開口226内に形成されており、第3導体層130と第4導体層230を接続する。ビア導体340は開口326内に形成されており、第4導体層230と第5導体層330を接続する。各樹脂絶縁層20、120、220、320に形成されている各開口(ビア導体用の開口)26、126、226、326は同様であり、各開口(ビア導体用の開口)26、126、226、326は同様な内壁面を有する。3個のビア導体140、240、340はビア導体40の直上に積層されている。4個のビア導体40、140、240、340はスタックビアを形成する。
【0077】
改変例のプリント配線板502は5層の導体層10、30、130、230、330と、4個のビア導体40、140、240、340で形成されるスタックビアを含んでいる。プリント配線板502の使用に伴って最も下のビア導体40とパッド14等の第1導体層10との間の接続部分に大きい応力が加わる。しかしながら、改変例では、ビア導体40と第1導体層10間の接続信頼性は高い。ビア導体40を介する接続抵抗が上昇しがたい。
【0078】
[改変例の別例]
ビルドアップ層500は5層以上の導体層を有する。ビルドアップ層500は10層以上の導体層を有することが好ましい。導体層の数は20以下である。
【0079】
第1面22と垂直な面でプリント配線板2を切断することで各断面図は得られる。断面図が導体回路を含む場合、導体回路の側面と断面図は垂直である。
【0080】
本明細書内では、平面は内壁面27の形状と平坦部93aの形状、第3無機粒子93の形状に対し用いられている。これらに対し用いられている平面の意味は図1図3に示されている。すなわち、図1図3では、内壁面27はほぼまっすぐに描かれている。図1図3中の内壁面27の形状はほぼ直線である。本明細中の平面は、断面中に実質的な直線を含む。図1図3の第3無機粒子93の断面に示されるように、断面では、平面で切断することは直線で切断することを含む。本明細書内の平面は完全な平面を意味せず実質的な平面を含む。実質的な平面は小さな凹凸を含んでもよい。
【符号の説明】
【0081】
2 :プリント配線板
4 :絶縁層
10 :第1導体層
20 :樹脂絶縁層
22 :第1面
24 :第2面
26 :開口
27 :内壁面
30 :第2導体層
30a :シード層
31a :第1層
31b :第2層
40 :ビア導体
80 :樹脂
90 :無機粒子
91 :第1無機粒子
92 :第2無機粒子
93 :第3無機粒子
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6