(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024299
(43)【公開日】2025-02-20
(54)【発明の名称】乗物用照明装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 3/64 20170101AFI20250213BHJP
B60Q 3/54 20170101ALI20250213BHJP
B60Q 3/78 20170101ALI20250213BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20250213BHJP
B60Q 3/225 20170101ALI20250213BHJP
B60Q 3/14 20170101ALI20250213BHJP
B60Q 3/217 20170101ALI20250213BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20250213BHJP
F21W 106/00 20180101ALN20250213BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20250213BHJP
F21W 107/20 20180101ALN20250213BHJP
F21W 107/30 20180101ALN20250213BHJP
【FI】
B60Q3/64
B60Q3/54
B60Q3/78
F21V17/00 402
B60Q3/225
B60Q3/14
B60Q3/217
F21S2/00 435
F21W106:00
F21Y115:10
F21W107:20
F21W107:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128318
(22)【出願日】2023-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 昭文
【テーマコード(参考)】
3K011
3K040
3K244
【Fターム(参考)】
3K011CA09
3K011HA05
3K011JA01
3K040AA02
3K040BA00
3K040CA05
3K040GA04
3K040GB05
3K040GB08
3K040GC14
3K040HB04
3K244AA04
3K244BA08
3K244CA03
3K244DA01
3K244EA08
3K244EA12
3K244ED02
3K244ED08
3K244ED12
(57)【要約】
【課題】導光棒を透光部材に対してしっかりと固定しつつ、長手方向における光の均一化を図った乗物用照明装置を提供する。
【解決手段】光源20と、一端22aから入射された光源20の光を他端20b側に案内しつつ長手方向に沿う光出射面22cから光を出射する導光棒22と、導光棒22に沿って延在する長手状をなし、長手方向に沿って形成された溝部40において導光棒22を収容し、光出射面22cから出射した光を乗物室側に透光する透光部材24と、を備え、導光棒22は、長手方向に延設されて本体部から突出する凸部60を有し、透光部材24は、凸部60を係合させる凹部54を有し、凸部60における他端側の部分である凸部他端部60aが、他端22a側に向かうにつれて突出量δが漸減する形状とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
長手状をなし、長手方向における一端から前記光源の光が入射され、その入射された光を他端側に導光しつつ長手方向に沿って形成された光出射面から光を出射する導光棒と、
前記導光棒に沿って延在する長手状をなし、長手方向に沿って形成された溝部において前記導光棒を収容し、前記光出射面から出射した光を乗物室側に透光する透光部材と、
を備え、
前記導光棒は、本体部と、前記長手方向に延設されて前記本体部から突出する凸部と、を有し、
前記透光部材は、前記凸部を係合させる凹部を有し、
前記凸部における前記他端側の部分である凸部他端部は、前記他端側に向かうにつれて突出量が漸減する形状とされている乗物用照明装置。
【請求項2】
前記長手方向と前記凸部が突出する方向とを含む平面視において、前記凸部他端部は、外縁の延びる方向と前記導光棒の軸線とのなす角度が10°以上45°以下となる形状とされている請求項1に記載の乗物用照明装置。
【請求項3】
前記凸部は、乗物室内外方向からの視点において山型形状とされることで、前記凸部他端部が、前記他端側に向かうにつれて突出量が漸減する形状とされるとともに、前記凸部における先端より前記一端側の部分である凸部一端部も、前記一端側に向かうにつれて突出量が漸減する形状とされている請求項1または請求項2に記載の乗物用照明装置。
【請求項4】
前記導光棒の前記本体部は、
前記光出射面とは反対側の面であって、前記光出射面に向かって光を屈折させる複数のプリズムを前記長手方向に並んで有する対向面と、
前記光出射面と前記対向面とをつなぐ一対の側壁面と、
を備え、
前記凸部は、前記一対の側壁面に形成されている請求項1または請求項2に記載の乗物用照明装置。
【請求項5】
前記凸部は、先端側に向かうにつれて乗物室内外方向の寸法が小さくなる形状とされいている請求項4に記載の乗物用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用照明装置に関する
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、乗物用照明装置の一例が記載されている。下記特許文献1に記載の乗物用照明装置は、光源と、長手方向における一端から入射された光を他端側に導光しつつ長手方向に沿って形成された光出射面から光を出射する導光部材と、導光部材に沿って延在する長手状をなし、長手方向に沿って形成された溝部において導光棒を収容し、光出射面から出射した光を乗物室側に透光するレンズ(透光部材)と、を備えている。下記特許文献1に記載の乗物用照明装置は、レンズにおける溝部を形成する一対の壁部を互いに近接するように弾性変形させて、その部分に形成された一対の係合部において、乗物用部材に設けられた一対の被係合部に係合させる構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の乗物用照明装置は、導光部材がレンズに対して溝部の中に収容されているだけで固定されていないため、ガタ付きにより異音が生じる虞がある。一方で、レンズ(透光部材)に対して導光部材(導光棒)を固定するために、導光棒に凸部を設けるとともにレンズに凹部を設け、それらを互いに係合させる構成のものが存在する。しかしながら、そのような構成の乗物用照明装置は、導光棒に凸部を設けていることで、その凸部内に光が集まって、その凸部付近から出射される光が他の部分から出射される光に比較して明るくなってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、導光棒を透光部材に対してしっかりと固定しつつ、長手方向における光の均一化を図った乗物用照明装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願に開示される乗物用照明装置は、下記の構成とされている。
(1)光源と、
長手状をなし、長手方向における一端から前記光源の光が入射され、その入射された光を他端側に導光しつつ長手方向に沿って形成された光出射面から光を出射する導光棒と、
前記導光棒に沿って延在する長手状をなし、長手方向に沿って形成された溝部において前記導光棒を収容し、前記光出射面から出射した光を乗物室側に透光する透光部材と、
を備え、
前記導光棒は、本体部と、前記長手方向に延設されて前記本体部から突出する凸部と、を有し、
前記透光部材は、前記凸部を係合させる凹部を有し、
前記凸部における前記他端側の部分である凸部他端部は、前記他端側に向かうにつれて突出量が漸減する形状とされている乗物用照明装置。
【0007】
本願に開示の乗物用照明装置は、導光棒の凸部を透光部材の凹部に係合させることで、それら導光棒を透光部材に対してしっかりと固定することができる。その凸部は、本体部から外側に向かって突出する部分であり、従来は、長手方向にある程度の幅を有して長手方向に直交する方向に突出する形状、つまり、概して矩形状の凸部が形成される場合があった。このような形状の凸部であると、凸部に光源側を向く面が形成されてしまうことになるため、この光源側を向く面から光が外に漏れたり、光源側に反射して凸部に光が集まってしまったりして、凸部近傍から出射される光が、他の部分から出射される光に比較して明るくなってしまうという問題が生じる。それに対して、本願に開示の乗物用照明装置は、凸部の他端側の部分が、他端側に向かうにつれて突出量が漸減する形状、例えばテーパー状とされていることで、その凸部の他端側の界面においては他端側に向けて光を反射させることができる。つまり、凸部から光が外に漏れたり、光源側に反射してしまったりすることを抑え、凸部近傍が明るくなることを抑制することができる。したがって、本願に開示の乗物用照明装置は、透光部材から乗物室側に透光される光の長手方向における均一化を図ることができる。
【0008】
本願に開示の乗物用照明装置において「漸減」とは、段階的に減ることなく、連続的に(徐々に)減少していくことを意味する文言であり、本願に開示の乗物用照明装置における「凸部」は、その縁部が、先端部から、段差なく、直線状あるいは曲線状で、緩やかに本体部に近づいていくような形状のものとすることができる。
【0009】
また、上記構成の乗物用照明装置において、以下に示す種々の態様とすることが可能である。なお、本発明は以下の態様に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【0010】
(2)前記長手方向と前記凸部が突出する方向とを含む平面視において、前記凸部他端部は、外縁の延びる方向と前記導光棒の軸線とのなす角度が10°以上45°以下となる形状とされている(1)項に記載の乗物用照明装置。
【0011】
この構成の乗物用照明装置は、凸部他端部の外縁の形状が上記角度範囲内とされることで、導光棒の界面への光の入射角が鈍角となって、光が界面から外部に抜け出たり、光源側へ反射したりすることが回避され、光源からの光を、他端側へ確実に案内することができる。また、外縁の延びる方向と前記導光棒の軸線とのなす角度が10°以上とされることで、凸部と凹部とを十分に係合させることができ、導光棒を透光部材に対してしっかりと固定することができる。
【0012】
(3)前記凸部は、乗物室内外方向からの視点において山型形状とされることで、前記凸部他端部が、前記他端側に向かうにつれて突出量が漸減する形状とされるとともに、前記凸部における先端より前記一端側の部分である凸部一端部も、前記一端側に向かうにつれて突出量が漸減する形状とされている(1)項または(2)項に記載の乗物用照明装置。
【0013】
この構成の乗物用照明装置は、凸部全体において、鋭角な部分が無くされているため、光源からの光を、一端側から他端側へスムースに送ることができ、凸部における集光を確実に抑え、より確実に長手方向における光の均一化が図られる。
【0014】
(4)前記導光棒の前記本体部は、
前記光出射面とは反対側の面であって、前記光出射面に向かって光を屈折させる複数のプリズムを前記長手方向に並んで有する対向面と、
前記光出射面と前記対向面とをつなぐ一対の側壁面と、
を備え、
前記凸部は、前記一対の側壁面に形成されている(1)項から(3)項のいずれか一項に記載の乗物用照明装置。
【0015】
この構成の乗物用照明装置は、凸部の位置が具体化されており、透光部材における溝部の側壁面を形成する部分に凹部が形成されて、それら凸部と凹部とが互いに係合している構成となっている。この構成の乗物用照明装置は、凸部が、プリズムから光出射面へと向かう光の進行を妨げることがなく、長手方向における光の均一化が図られる。
【0016】
(5)前記凸部は、先端側に向かうにつれて乗物室内外方向の寸法が小さくなる形状とされいている(4)項に記載の乗物用照明装置。
【0017】
この構成の乗物用照明装置は、導光棒を透光部材に対して組み付ける際に、凸部が、その組付方向において先細りする形状となっているため、容易に組み付けることが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、導光棒を透光部材に対してしっかりと固定しつつ、長手方向における光の均一化を図った乗物用照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態1の車両用照明装置が設けられたドアトリムの正面図
【
図3】実施形態1の車両用照明装置の断面図(
図2におけるA-A断面)
【
図4】実施形態1の車両用照明装置の要部を室外側からの視点において示す平面図
【
図7】実施形態1の車両用照明装置の要部の断面図(
図2におけるB-B断面)
【
図8】実施形態1の車両用照明装置の輝度を示すグラフ
【
図9】実施形態2の車両用照明装置の要部を室外側からの視点において示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
本発明の乗物照明構造が採用された第1の実施形態の車両用照明装置10(以下、単に「照明装置10」と呼ぶ場合がある。)について、
図1~
図8を参照しつつ説明する。本照明装置10は、
図1に示すように、車両のサイドドアのドアトリム12に設けられるものであり、ライン状に光を出射するライン照明である。なお、図面の一部には、符号Fr,Rr,IN,OUT,U,Dを用いて方向を示しており、それぞれ、車両の前方側,後方側,車幅方向における車室(乗物室)内側,車室外側,上側,下側を表している。
【0021】
ドアトリム12は、概して板状をなすトリムボード14を主体として構成される。そのトリムボード14は、複数のボード部材が互いに組み付けられることで構成されている。具体的には、トリムボード14は、アッパボード15,アームレストボード16,ロアボード17等を含んで構成されている。
【0022】
アッパボード15は、トリムボード14の上部を構成しており、その下端は、前方部分においてロアボード17に接続され、後方部分においてアームレストボード16に接続される。そして、アッパボード15には、本実施形態の照明装置10が配されている。より詳しく言えば、アッパボード15には、前方上端から後方かつ下方に向かって曲線状に延びる長孔15aが形成され、本実施形態の照明装置10は、その長孔15aから車室内に向けて光を出射するものとされている。
【0023】
本実施形態の照明装置10は、
図2に示すように、光源ユニット20と、その光源ユニット20からの光を導光する長手状の導光棒22と、導光棒22から出射された光を透光して車室内側に向けて拡散するレンズ部材(透光部材)24と、を含んで構成される。本照明装置10は、それら光源ユニット20,導光棒22,レンズ部材24が組み付けられて一体化されており、その一体化された状態で、アッパボード15の室外側に固定される。
【0024】
光源ユニット20は、詳しい説明は省略するが、導光棒22の一端22a(後端,
図1および
図2における右側の端)に設けられている。この光源ユニット20は、点状光源であるLEDと、そのLEDを収容する遮光性を有するケースとを含んで構成される。そのケースは、導光棒22をそれの一端をLEDに対向させた状態で保持するものとされており、光源ユニット20は、導光棒22の一端22aから光を入射する。そして、後に詳しく説明するが、導光棒22は、一端22aから他端22b側に向かって光を導光しつつ、長手方向に沿って形成された光出射面22cから光を出射する。レンズ部材24は、その導光棒22に沿って延在する長手状をなし、光出射面22cを覆った形状とされており、その導光棒22の光出射面22cから出射した光を車室側(乗物室側)に透光するものとなっている。
【0025】
導光棒22は、屈折率が空気よりも十分に高く、ほぼ透明な合成樹脂材料からなる。本実形態では、導光棒22として、約42.2°の臨界角を有するアクリル樹脂からなるものを例示する。導光棒22は、内部を進行する光が臨界角より大きい入射角で外部の空気層との界面に入射すると、全反射しつつ、内部を伝播する構成となっている。
【0026】
導光棒22は、
図3に示すように、延設方向(長手方向)における断面形状が、室外側が平らで、かつ、室内側が円弧状とされている。その導光棒22の室外側面22d(光出射面に対向する対向面に相当する。)には、
図3~
図5に示すように、複数のプリズム30が、長手方向に並んで設けられている。なお、それら複数のプリズム30は、長手方向に交差する方向に延びて、断面山形形状とされている。導光棒22は、これら複数のプリズム30によって、内部を伝播する光を、室内側の円弧状の光出射面22cに向けて立ち上げるような構成、換言すれば、光出射面22cに対して臨界角より小さな角度とする構成とされている。そして、その立ち上げられた光が、光出射面22cから出射し、レンズ部材24の内部に入射するようになっている。ちなみに、導光棒22の室外側の端部には、換言すれば、光出射面22cと対向面22dとをつなぐ一対の側壁面22eの各々には、自身の幅方向(上下方向)に突出するフランジ部32が形成されている。
【0027】
レンズ部材24は、長手方向に沿って延びて室外側に開口する溝部40を有している。その溝部40は、その内面が円弧状に形成され、導光棒22の光出射面22cに沿って対向する断面形状とされており、光出射面22cから出射された光を、内部に効率的に入射させる。レンズ部材24は、室内側の面から室内側に向かって突出するとともに長手方向に沿って延びる突条42を有している。その突条42は、アッパボード15の長孔15aに嵌合する部分であり、
図1に示すように、その突条42の室内側の端面42aが、ドアトリム12の意匠面上に現れるような構成となっており、この端面42aから車室内に向けて光が出射されることとなる。なお、レンズ部材24は、導光棒22から出射された光を透過可能な樹脂、本実施例においては、ポリカーボネートからなる。また、レンズ部材24は、乳白色のものとされており、乗員がレンズ部材24から導光棒22のプリズム30等が透けて視認できないようになっている。
【0028】
次に、本実施形態の照明装置10の特徴となる導光棒22とレンズ部材24との取り付け構造について、
図4~
図7も参照しつつ説明する。レンズ部材24には、導光棒22を取り付けるための取付部50が、長手方向に所定の間隔をおいて複数設けられている(
図1参照)。取付部50は、溝部40の内面のうち、幅方向(上下方向)において互いに対向する一対の側壁面を形成する一対の側壁部52に設けられ、その側壁部52から室外側に突出した門型形状のものとされている。つまり、取付部50は、側壁部52の先端との間で、幅方向に貫通する概して矩形状の貫通孔(凹部)54を形成するものとなっている。
【0029】
一方、導光棒22は、上記の複数の取付部50の各々に対応して、貫通孔54に嵌まり込む凸部60を有している。この凸部60は、フランジ部32に形成されている。より詳しく言えば、フランジ部32の幅方向の外縁は、ほぼ、導光棒22の軸線L0に平行に形成されており、凸部60は、その軸線に平行なラインL1より幅方向に突出した部分が相当する。この凸部60は、
図4および
図6に示すように、室外側からの視点において、概してなだらかな山型に膨らんだ形状となっている。つまり、この凸部60は、光源ユニット20とは反対側の他端22b側の部分である凸部他端部60aは、他端22bに向かうにつれて突出量δが漸減する形状とされるとともに、光源ユニット20側(一端22a側) の部分である凸部一端部60bは、一端22aに向かうにつれて突出量δが漸減する形状とされている。より詳しく言えば、
図6に示すように、室外側からの視点において、凸部他端部60aは、その外縁が延びる方向L2と、導光棒22の軸線L0とのなす角度θが、10°以上45°以下となるように形成されている。なお、本実施形態においては、その角度θが13°程度とされている。なお、凸部一端部60bも同様に、外縁が延びる方向と導光棒22の軸線L0とのなす角度が、凸部他端部60a側と同じ角度となるように形成されている。
【0030】
導光棒22をレンズ部材24に取り付ける際には、導光棒22をレンズ部材24の溝部40の開口方向(
図5および
図7における左側)から挿入することになる。その際、一対の凸部60は、一対の取付部50の間隔を広げるように弾性変形させつつ、その凸部60の先端が、貫通孔54に入り込むようになっている。また、凸部60の先端が貫通孔54に入り込んだ状態においては、
図5に示すように、取付部50の長手方向における両側において、レンズ部材24の側壁部52の先端52a(
図5における左端)が、導光棒22のフランジ部32の室内側面(右側面)32aに接触している。つまり、導光棒22は、フランジ部60が、取付部50を利用して挟持された状態となり、レンズ部材24に対して、車室内外方向の位置が定まるようになっている。ちなみに、導光棒22のレンズ部材24に対する長手方向の位置は、上記の個所とは別に設けられた係合部によって定まるようになっている。
【0031】
なお、凸部60は、
図7に示すように、室外側面が先端側に向かって下降傾斜する形状とされている。それにより、凸部60を貫通孔54に嵌め入れやすく、また、嵌合した状態においては、貫通孔54の孔縁が、その凸部60の傾斜した面のどこかに確実に当接し、レンズ部材24は、導光棒22をしっかりと固定することができる。
【0032】
従来の照明装置においては、導光棒の凸部が長手方向にある程度の幅を有して長手方向に直交する方向に突出する形状、つまり、概して矩形状の凸部が形成される場合があった。このような形状の凸部であると、凸部に光源側を向く面が形成されてしまうことになるため、この光源側を向く面から光が外に漏れたり、光源側に反射して凸部に光が集まってしまったりして、凸部近傍から出射される光が、他の部分から出射される光に比較して明るくなってしまうという問題が生じていた。それに対して、本実施形態の照明装置10は、導光棒22の凸部60の他端側の部分60aが、他端22aに向かうにつれて突出量δが漸減する形状とされていることで、その凸部他端部60aの界面において他端22b側に向けて光を反射させることができる。つまり、凸部60から光が外に漏れたり、光源ユニット20側に反射してしまったりすることを抑え、凸部60の近傍から室内側に出射する光が明るくなることを抑制することができる。
図8には、本実施形態の照明装置10における導光棒22に凸部60が設けられている近傍の輝度を、上述した従来の構成の照明装置の輝度と比較している。この
図8から分かるように、凸部付近の輝度を大きく減少できていることが確認できる。以上のように、本実施形態の照明装置10は、レンズ部材24から車室側に透光される光の長手方向における均一化が図られている。
【0033】
また、本実施形態の照明装置10は、長手方向と凸部60が突出する方向とを含む平面視(室外側からの視点)において、凸部他端部60aは、外縁の延びる方向L2と導光棒22の軸線L0とのなす角度θが10°以上45°以下となる形状とされている。これにより、凸部他端部60aの外縁の形状がこの角度範囲内とされることで、導光棒22の界面への光の入射角が大きくなって、光が界面から外部に抜け出たり、光源ユニット20側へ反射したりすることが回避され、光源ユニット20からの光を、他端22b側へ確実に案内することができる。また、外縁の延びる方向L2と導光棒22の軸線L0とのなす角度が10°以上とされることで、凸部60と貫通孔(凹部)54とを十分に係合させることができ、導光棒22をレンズ部材24に対してしっかりと固定することができる。
【0034】
また、本実施形態の照明装置10は、凸部60が、導光棒22の光出射面22cと対向面22dとを繋ぐ一対の側壁面22eに形成されている。これにより、凸部60が、プリズム30から光出射面22cへと向かう光の進行を妨げることがなく、長手方向における光の均一化が図られている。
【0035】
<実施形態2>
上記実施形態の照明装置10は、導光棒22の凸部60が平面視で概して山型形状とされ、凸部一端部60bが、凸部他端部60aと同様に、一端側に向かうにつれて突出量が漸減する形状とされていたが、一端側に突出量が漸減する形状は必須ではない。例えば、、
図9に示す第2の実施形態の照明装置100のように、導光棒102の凸部104を形成することができる。つまり、導光棒102の凸部104は、他端側の部分104aが、実施形態1の凸部他端部60aと同じ形状とされているのに対して、一端側の部分104bの外縁が、本体部106(ラインL1)に対して直交する方向に延び出した形状とされている。したがって、凸部一端部104bの外縁(界面)は、光の進行方向に対向する面を形成するものではないため、他端側に向かう光の進行に大きな影響は生じない。一方で、レンズ部材110の凹部112に対して、十分に係合させることができ、導光棒102をレンズ部材110に対して、しっかりと固定させることができる。
【0036】
<他の実施形態>
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。例えば、次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0037】
上記2つの実施形態において、凸部他端部60aは、その外縁が概して直線状をなし、凸部60の先端付近および本体部との接合部分が曲線状をなしていたが、その形状に限定されない。例えば、凸部他端部60aの全体が曲線状をなしていてもよい。つまり、凸部他端部は、その外縁の導光棒の軸線L0に対してなす角度が45°以下で変化する構成とすることができる。なお、その場合には、凹部に対して十分に係合させるために、最も角度が大きい箇所で10°以上であることが望ましい。また、外縁が直線状をなしている場合には、途中で角度が変化する構成であってもよい。
【0038】
上記実施形態において、導光棒22は、延設方向における断面形状が、室外側が平らで、かつ、室内側が円弧状とされていたが、それに限定されない。導光棒(詳しく言えば、導光棒の本体部)は、例えば、断面がほぼ円形状のものであってもよく、矩形状のものであってもよい。また、透光部材(詳しく言えば溝部)は、その導光棒を収容可能な形状であればよい。そして、導光棒の凸部は、内部における光出射面へ向かう光の進行を妨げる位置でなければよく、透光部材との関係で、本体部に対する位置や突出角度を調整することができる。
【0039】
上記実施形態では、乗物用照明装置として自動車のサイドドアに設けられ車両用照明装置10を例示したが、本願に開示される技術はそれに限らず、ドアトリム以外の各種トリム、インストゥルメントパネル、コンソールボックス、ダッシュボードなどの車両用内装材に設けられたライン照明の他、鉄道、飛行機、船舶等の乗物用内装材に設けられたライン照明に適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
10…車両用照明装置〔乗物用照明装置〕、20…光源ユニット、22…導光棒、22a…一端、22b…他端、22c…光出射面、22d…室外側面〔対向面〕、22e…側壁面、24…レンズ部材、40…溝部、54…貫通孔〔凹部〕、60…凸部、60a…凸部他端部、60b…凸部一端部、100…車両用照明装置、102…導光棒、104…凸部、104a…凸部他端部、104b…凸部一端部、106…本体部、110…レンズ部材〔透光部材〕、112…凹部