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特開2025-24306移動する流体の移動エネルギーを回転エネルギーに変換する装置ならびに発電装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024306
(43)【公開日】2025-02-20
(54)【発明の名称】移動する流体の移動エネルギーを回転エネルギーに変換する装置ならびに発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03D 1/06 20060101AFI20250213BHJP
   F03D 3/06 20060101ALI20250213BHJP
   F03B 13/12 20060101ALI20250213BHJP
【FI】
F03D1/06 A
F03D3/06 G
F03B13/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128328
(22)【出願日】2023-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】316018030
【氏名又は名称】久米 英廣
(72)【発明者】
【氏名】久米 英廣
【テーマコード(参考)】
3H074
3H178
【Fターム(参考)】
3H074AA02
3H074AA06
3H074BB11
3H074CC16
3H074CC24
3H178AA03
3H178AA16
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB31
3H178CC03
3H178CC04
3H178DD12Z
3H178DD26X
(57)【要約】
【課題】設置による環境への影響を抑制可能で設置自由度が高く、移動する流体の移動方向が変動しても移動流体の移動エネルギーを高効率で安定的に回転エネルギーや電気エネルギーに変換することが可能なエネルギー変換装置並びに発電装置を提供する。
【解決手段】外部空間を移動する流体の移動経路中に設けられた回転可能な境界部で区画された内部空間を有する回転体において、移動する流体の内部空間への流入および外部空間への流出に応じて揚力およびまたは抗力あるいは抗力およびまたは揚力を発生させ流体の移動エネルギーを回転エネルギーに変換する変換部を境界部の境界面に配置することで、流体の移動方向あるいは移動速度が頻繁に変化する場合でも変換効率を安定させることが可能な流体エネルギー変換装置並びに発電装置を実現する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間的に移動する流体の運動エネルギーを回転エネルギーに変換する装置において、少なくとも前記流体の移動する経路に設けられた、前記流体の移動する方向の少なくとも一つの成分に対し略直交する回転軸と、
前記回転軸を中心に回転するとともに前記移動する流体が外部空間から流入して前記外部空間に流出する内部空間を形成する境界部と、
前記境界部において前記移動する流体が前記外部空間から前記内部空間に流入することにより揚力およびまたは抗力を発生し、前記移動する流体が内部空間から外部空間に流出することにより抗力およびまたは揚力を発生させることで、前記移動する流体の運動エネルギーを前記境界部の回転エネルギーに変換する少なくとも一つ以上の表面からなる少なくとも一つ以上のエネルギー変換部を有する回転体と、
前記エネルギー変換部の前記外部空間および前期内部空間に対向する表面が略同一の表面粗さを有するとともに、前記エネルギー変換部が前記移動する流体が前記外部空間から前記内部空間に流入およびまたは前記内部空間から前記外部空間に流出する際に、前記回転体において略同一の回転方向に回転エネルギーを発生させる表面状態を有することにより、前記移動する流体の運動エネルギーが前記回転体の同一の回転方向への回転エネルギーに変換されることを特徴とする流体エネルギー変換装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記境界部を前記回転軸と略平行に設けたことを特徴とする流体エネルギー変換装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記境界部を前記回転軸と略垂直に設けたことを特徴とする流体エネルギー変換装置。
【請求項4】
請求項1乃至3において
前記境界部に近接する前記外部空間に、前記境界部を構成する境界面に対して前記移動する流体の少なくとも一部が略垂直に流入するよう前記移動する流体を導く流体導入部を設けたことを特徴とする流体エネルギー変換装置。
【請求項5】
請求項4において
前記移動する流体の前記流体導入部を、前記移動する流体の少なくとも一部が前記境界を構成する境界面部に対して30度乃至150度の角度範囲で流入するように設けたことを特徴とする流体エネルギー変換装置。
【請求項6】
請求項1乃至5において
前記エネルギー変換部が、前記移動する流体の前記外部空間から前記内部空間への流入により主として揚力を発生し、前記移動する流体の前記内部空間から前記外部空間への流出により主として抗力を発生させる表面状態を有することを特徴とする流体エネルギー変換装置。
【請求項7】
請求項1乃至5において
前記エネルギー変換部が、前記移動する流体の前記外部空間から前記内部空間への流入により主として抗力を発生し、前記移動する流体の前記内部空間から前記外部空間への流出により主として揚力を発生させる表面状態を有することを特徴とする流体エネルギー変換装置。
【請求項8】
請求項6または7において
前記エネルギー変換部の表面状態が、揚力を発生する表面形状およびまたは抗力を発生する表面形状からなることを特徴とする流体エネルギー変換装置。
【請求項9】
請求項8において
前記エネルギー変換部の表面形状が、前記移動する流体の前記外部空間からの流入量あるいは流入速度、若しくは前記内部空間からの流出量あるいは流出速度に応じてその形状が変化するように構成されたことを特徴とする流体エネルギー変換装置。
【請求項10】
請求項6乃至9において
前記エネルギー変換部が、前記エネルギー変換部の前記外部空間もしくは前記内部空間に対向するそれぞれの表面において、前記表面の面積及びまたは前記表面の取り付け角度が単独に若しくは連動して変化する構造を有することを特徴とする流体エネルギー変換装置。
【請求項11】
請求項6乃至10において
前記移動する流体の前記外部空間からの流入若しくは前記内部空間からの流出によって経時的に生じる、前記エネルギー変換部の前記外部空間もしくは前記内部空間に対向する表面粗さの変化に応じて、前記外部空間もしくは前記内部空間に対向する表面粗さが所定の値でかつ略同一となるように構成されたことを特徴とする流体エネルギー変換装置。
【請求項12】
請求項1乃至11において
前記移動する流体が気体であることを特徴とする流体エネルギー変換装置。
【請求項13】
請求項1乃至11において
前記移動する流体が液体であることを特徴とする流体エネルギー変換装置。
【請求項14】
請求項1乃至13の流体エネルギー変換装置によって前記移動する流体エネルギーから変換した回転エネルギーを電気エネルギーに変換することを特徴とする発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動する方向が一定でない流体の移動エネルギーを回転力エネルギーに変換する装置、及び、その装置を用いた風力発電機および水力発電機等の発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、空気や水のような流体の移動する運動エネルギーを回転力エネルギーに変換し、例えば風力による揚水や発電、波力や潮力による機械動力源や発電、などに用いることが広く行われている。特に地球温暖化に対する社会的な対応も踏まえ、環境低負荷エネルギーを生成できる風力発電あるいは波力発電や潮力発電は、さまざまな研究開発がなされ実用化も進められている。
【0003】
また、風力発電や波力発電や潮力発電は風や波や潮流があればエネルギー源として用いることができるので、電力消費地に隣接して発電設備を分散して設けることにより低損失遠距離送電の為の高電圧送電に伴う設備を用いる必要がなくなり、設備コストの削減と送電に伴う熱量ロスの抑制が可能となる。
【0004】
ここで、自然現象である風や潮流は一般的に移動する流体の移動速度や移動方向が常に一定とはならず、必要とする十分な流速が得られかつ流速変動が少ないことが求められる回転エネルギー変換装置においては、その設置場所に多くの制約が課されること多い。
【0005】
この流体の移動速度や移動方向変動による制約に対応するために、例えば特開平6-137258、特開2015-21491、US2013/0309062A1において、異なる方向からの風に対しても回転力を発生可能な風力発電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6-137258
【特許文献2】特開2015-21491
【特許文献3】US2013/0309062A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、特開平6-137258においては、外部導入翼と内部導入翼を用いて異なる方向からの風でも回転翼に対して常に同一方向の回転力が生じるように風を導く風力発電装置が開示されているが、導入され回転翼に当たった風がどの様に風力発電装置の外部に出てゆくかは示されておらず、例えば方向が一定しない風の流出などが発生して回転翼に当たることで回転力を相殺してしまう可能性が高い。
【0008】
また、特開2015-21491においては、複数の可動羽板と複数の固定羽板を組み合わせることにより異なる方向からの風でも常に同一方向の回転力が生じるようにした風力発電装置が開示されているが、羽板に当たる方向が限定されず高いエネルギー変換効率を得ることは困難である。
【0009】
また、US2013/0309062A1においては、中央空間を取り囲む回転エネルギー発生用ローターベーンを有する環状ローターアセンブリで、角度変えることが可能な内側ガイドアレイと外側ガイドベーンを用いて異なる方向で外部から流入した風が環状ローターアセンブリの中央空間内で同じ方向に循環するように案内する風力タービンが開示されているが、内側ガイドアレイと外側ガイドベーンの角度を流入方向が変化する風にタイミングよく適合させるには極めて複雑な構造が必要となる。
【0010】
このように従来開示された流体の移動エネルギーを回転エネルギに変換して利用する風力発電装置等では、流体の移動方向の変化に対して簡便に効率よく安定した同一方向への回転エネルギーを発生させることが困難な構造となっていることに対し、本発明は移動する流体の移動方向が変動しても高効率で安定した移動流体移動エネルギーの回転エネルギーへの変換が可能な、エネルギー変換機構ならびに発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、外部空間を移動する流体の移動経路中に設けられた回転可能な境界部で区画された内部空間を有する回転体において、移動する流体の内部空間への流入および外部空間への流出に応じて揚力および抗力、もしくは抗力および揚力を発生させる表面状態を有し流体の移動エネルギーを回転エネルギーに変換する変換部を境界部の境界面に配置することで、流体の移動方向あるいは移動速度が頻繁に変化する場合でも変換効率を安定させることが可能で設置場所の制約を抑制可能な流体エネルギー変換装置を容易に実現する。また、回転エネルギー変換部への流体の流入が安定するように導入部を設けることで、安定したエネルギーの変換と効率の向上を達成する。さらに移動する流体の外部空間からの流入量あるいは流入速度若しくは内部空間からの流出量あるいは流出速度に応じて、境界部に設けられた回転エネルギー変換部の形状が適宜変化させることでより安定かつ効率的に流体の移動エネルギーを回転エネルギーに変換することを可能とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の流体エネルギー変換装置を用いることにより以下のような効果を得ることが出来る。
外部領域から流入する流体の移動方向が変化しても内部領域への流入および外部領域への流出において流体の移動エネルギーを常に同一方向への回転エネルギーに変換することが高効率で実現できる。
さらに、エネルギー変換部の外部領域および内部領域に対向する表面を略同一の表面粗さとすることによってエネルギー変換部で発生する不要な乱流を抑制することが容易となるとともに、エネルギー変換部の作製においてコストダウンを図ることができる。
さらに、エネルギー変換部の外部領域および内部領域に対向する表面の粗さが流体の移動によって経時的に変化した場合、所定の値で略同一の表面粗さに復元する構成により安定したエネルギー変換効率を実現できる。
さらに、導入部を適宜配置することでエネルギー変換効率のさらなる向上と安定化が容易となる。
さらに、移動流体の変化する移動方向や移動流量を検知して能動的にエネルギー変換部の表面状態を変化させることでエネルギー変換効率のさらなる向上と安定化が容易となる。
さらに、移動流体の変化する移動方向や移動流量に対し受動的な構造で変化させることが可能であり能動的な部材を用いる必要が無いため安価で信頼性の高いエネルギー変換用設備が実現できる。
さらに、移動流体の変化する移動方向や移動流量に対し装置形状に対する制約が少ないため、エネルギー変換用設備の設置場所や設置間隔あるいは設置する方角に対して高い自由度が得られる。
さらに、回転するエネルギー変換部を環境に直接的に露出させない構成とすることが可能なため、周辺の環境や景観の維持が容易であるとともに周辺の動植物の生息環境における悪影響を抑制することができる。
さらに、流体エネルギー変換部の境界部を回転軸と略垂直に設けることにより境界部と回転中心との距離を大きくすることが可能なため、比較的簡便な低層構造の装置によっても移動流体の移動エネルギーを大きなトルクで回転エネルギーに変換させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施例の斜視外形図
図2図1の流体エネルギー変換装置部分の一部断面斜視図
図3図1の部分断面図
図4図3のA-A’断面図
図5】第1実施形態に係るエネルギー変換部の斜視図
図6】第1実施形態のエネルギー変換部を用いた流体エネルギー変換装置の作用
図7図6で外部空間から内部空間に移動流体が流入する場合のエネルギー変換部の状態
図8図6で内部空間から外部空間に移動流体が流出する場合のエネルギー変換部の状態
図9】第2実施形態に係るエネルギー変換部の斜視図
図10】第2実施形態のエネルギー変換部を用いた流体エネルギー変換装置の作用
図11図10で外部空間から内部空間に移動流体が流入する場合のエネルギー変換部の状態
図12図10で内部空間から外部空間に移動流体が流出する場合のエネルギー変換部の状態
図13】第3実施形態のエネルギー変換部における表面形状の変化状態
図14】第4実施形態のエネルギー変換部における表面形状と取り付け角度の変化状態
図15】第5実施形態のエネルギー変換部の表面状態
図16】本発明の第2実施例の一部断面斜視外形図
図17図16の一部を分離した断面斜視図
図18図16の第2実施例の断面図
図19】第2実施例で用いる第6実施形態に係るエネルギー変換部の斜視図
図20】第6実施形態のエネルギー変換部を用いた流体エネルギー変換装置の作用
図21図20で外部空間から内部空間に移動流体が流入する場合のエネルギー変換部の状態
図22図20で内部空間から外部空間に移動流体が流出する場合のエネルギー変換部の状態
図23】本発明に係る複数の風力発電装置を海岸などの陸上にに密接させて配置した実用化例
図24】本発明に係る風力発電装置を渓谷内や橋脚などに配置した実用化例
図25】本発明に係る風力発電装置を従来からある構造物の上などに配置した実用化例
図26】本発明に係る風力発電装置を海上構造物あるいは船舶などに配置した実用化例
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、空間的に移動する流体の運動エネルギーを回転エネルギーに変換する装置において、少なくとも流体の移動する経路に設けられた、流体の移動する方向の少なくとも一つの成分に対し略直交する回転軸と、回転軸を中心に回転するとともに移動する流体が外部空間から流入した後に再び外部空間に流出する内部空間を形成する境界部と、境界部において移動する流体が外部空間から内部空間に流入および内部空間から流出することによって揚力または抗力もしくは抗力または揚力を発生させることで移動する流体の運動エネルギーを境界部の回転軸に対する回転エネルギーに変換する少なくとも一つ以上のエネルギー変換部を有する回転体と、エネルギー変換部が移動する流体が外部空間から内部空間に流入およびまたは内部空間から流出する際に、回転体に略同一の回転方向に回転エネルギーを発生させるように表面状態を構成することで、移動する流体の運動エネルギーが回転体の同一の回転方向への回転エネルギーに変換される流体エネルギー変換装置である。
【0015】
設定された境界部は回転軸と略平行もしくは略垂直に設けることができ、境界部に近接する外部空間に、境界部を構成する境界面に対して移動する流体の少なくとも一部が略垂直に流入するよう移動する流体を導く流体導入部が設けられている。この導入部を、移動する流体の少なくとも一部が境界部を構成する境界面に対して30度乃至150度の角度範囲で流入するように設けることもできる。
【0016】
エネルギー変換部の外部領域および内部領域に対向する表面は略同一の表面粗さを有するとともに移動流体の外部空間からの流入に応じて揚力を発生し内部空間からの流出に応じて抗力を発生する表面状態に構成することができる。
【0017】
エネルギー変換部の外部領域および内部領域に対向する表面は略同一の表面粗さを有するとともに移動流体の外部空間からの流入に応じて抗力を発生し内部空間からの流出に応じて揚力を発生する表面状態に構成することができる。
【0018】
エネルギー変換部の表面状態は揚力を発生する表面形状およびまたは抗力を発生する表面形状からなり、移動する流体の外部空間からの流入若しくは内部空間からの流出に応じてその表面積及びまたは取り付け角度が変化する構成とすることができる。
【0019】
移動する流体は気体及びまたは液体であり、移動する流体エネルギーから変換した回転エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。
【実施例0020】
図1から図4を用いて本発明に係るエネルギー変換装置と発電装置の第1実施例の構成を説明する。
図1は本発明にの第1実施例の斜視外形図であり、例えば空気の移動エネルギーすなわち風エネルギーを用いて回転エネルギーを発生する流体エネルギー変換装置と、その回転エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機を備えた構成となっている。図1において、1は流体エネルギー変換装置、6は移動流体を導く流体導入部、7は6の要素である流体導入板、28は回転エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機である。
【0021】
図2図1の流体エネルギー変換装置1の一部を破断した一部断面斜視図であり、複数のエネルギー変換部5で構成され回転可能な境界部4によって外部空間2と隔てられた内部空間3が形成されている。
【0022】
図3図1の部分断面図であり、複数のエネルギー変換部5で構成され回転可能な境界部4は軸受9に保持された回転軸8と平行に回転が可能となるように支持されている。内部空間3は複数のエネルギー変換部5からなる境界部4と上下の端板20によって円筒形の密閉空間を形成している。
ここで、本発明の第1実施例においては複数のエネルギー変換部5からなる境界部4の境界面は、回転軸8と略平行となるように配置されている。
【0023】
図4図3のA-A’断面図であり、移動流体19(本実施例においては風)が外部空間2から流体導入部6に設けられた流体導入板7によって境界部4の境界面に対して略直角に導かれエネルギー変換部5を通り内部空間3へと流入する。ここで、流体導入板7の形状は移動流体19が境界部4の境界面に対して略直角に流入すれば任意であり、材料としても板状、膜状、網状等で種々の材質を用いることができる。また、移動流体19の取入口に例えば鳥獣などの侵入を防止する受動的機構または能動的システムを設けたり、移動流体19の移動速度等に応じて取入口通過流量を調整する受動的機構または能動的システムを設けることも可能である。
さらに、内部空間3に流入した移動流体は任意のエネルギー変換部5を通って外部空間2へと流出する。
【0024】
図5は第1の実施形態に係るエネルギー変換部5の斜視図であり、外部空間2に対抗する表面状態が揚力を発生する揚力発生表面10で内部空間3に対抗する表面状態が抗力を発生する抗力発生表面11となっている。この実施例において揚力発生表面10および抗力発生表面11は略同一の表面粗さを有するとともに、エネルギー変換部5の表面状態は表面の形状によって揚力もしくは抗力を発生する構成となっている。
揚力発生表面10および抗力発生表面11が略同一の表面粗さとするには、同一の表面粗さを有する同一の表面素材を用いることは勿論、同一の表面粗さを有するカバー部材でエネルギー変換部5を覆う、或いは表面に付着しかつ固有の表面張力によって略同一の表面粗さとなる粘着性材料をエネルギー変換部5の表面に塗布するなどの構成あるいは方法が考えられる。
さらに、エネルギー変換部5の外部領域および内部領域に対向する表面の粗さが流体の移動によって経時的に変化した場合、所定の値で略同一の表面粗さに復元する構成としては、同一の表面粗さを有するシート状の表面素材もしくは同一の表面粗さを有するカバー部材をエネルギー変換部5の内部にロール状に収納し適宜繰出しと巻取りをして所定の表面粗さに復元する、或いは表面に付着しかつ固有の表面張力によって略同一の表面粗さとなる粘着性材料をエネルギー変換部5の内部に収納し表面を清浄した後に適宜吐出して付着させるなどの構成あるいは方法が考えられるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
図6は第1実施形態のエネルギー変換部5を用いた第1実施例の流体エネルギー変換装置1の作用を説明する図であり、外部空間2から内部空間3に流入する移動流体19あるいは内部空間3から外部空間2に流出する移動流体によってエネルギー変換部5が同一方向に回転する状態を示している。
【0026】
さらにエネルギー変換部5によって移動流体19の移動エネルギーが回転エネルギーに変換される詳細を図7及び図8によって説明する。
図7は外部空間2から内部空間3に移動流体19が流入する場合のエネルギー変換部5の状態であり、揚力発生表面10の表面形状によって流入する移動流体19の流量及び流速は外部空間2側の表面のほうが内部空間側の表面(流体の移動に対して裏面)よりも大きくなる。このため、エネルギー変換部5には揚力FLが発生しその一部が回転軸8に対する回転力FRとなる。この時、移動流体19が任意のエネルギー変換部5の外部空間側表面に与える抗力は、エネルギー変換部5によって移動方向が偏向された移動流体19により隣接するエネルギー変換部5の内部空間側表面(流体の流入に対して裏面)に加わる逆方向の抗力によってその多くが相殺されるため、揚力FLによる回転力のほとんどが回転エネルギーとして変換されることになる。
【0027】
図8は内部空間3から外部空間2に移動流体19が流出する場合のエネルギー変換部5の状態であり、抗力発生表面11の表面形状により流出する移動流体19による揚力をほとんど発生させないためエネルギー変換部5には抗力FDが発生しその一部が回転軸8に対する回転力FRとなる。この時、移動流体19が任意のエネルギー変換部5の内部空間側表面に与える揚力は、エネルギー変換部5によって移動方向が偏向された一部の移動流体19により隣接するエネルギー変換部5の内部空間側表面に加わる抗力と相殺するため、抗力FDによる回転力のほとんどが回転エネルギーとして変換されることになる。
これらのことから移動流体の外部空間2から内部空間3への流入時および内部空間3から外部空間2への流出時において常に同じ回転方向、本実施例においては反時計回り方向に揚力FLおよび抗力FDに応じた回転力FRすなわち回転エネルギーを発生することになる。さらに本発明においては移動流体19の流入方向あるいは流出方向がどのように変化しても発生する回転エネルギーの方向は常に一定であり安定した回転動作を実現する。
【0028】
図9は第2の実施形態に係るエネルギー変換部12の斜視図であり、外部空間2に対抗する表面状態が抗力を発生する抗力発生表面13で内部空間3に対抗する表面状態が揚力を発生する揚力発生表面14となっている。この実施例において抗力発生表面13および揚力発生表面14は略同一の表面粗さを有するとともに、エネルギー変換部12の表面状態は表面の形状によって抗力もしくは揚力を発生する構成となっている。
抗力発生表面13および揚力発生表面14が略同一の表面粗さとするには、同一の表面粗さを有する同一の表面素材を用いることは勿論、同一の表面粗さを有するカバー部材でエネルギー変換部12を覆う、或いは表面に付着しかつ固有の表面張力によって略同一の表面粗さとなる粘着性材料をエネルギー変換部12の表面に塗布するなどの構成あるいは方法が考えられる。
さらに、エネルギー変換部12の外部領域および内部領域に対向する表面の粗さが流体の移動によって経時的に変化した場合、所定の値で略同一の表面粗さに復元する構成としては、同一の表面粗さを有するシート状の表面素材もしくは同一の表面粗さを有するカバー部材をエネルギー変換部12の内部にロール状に収納し適宜繰出しと巻取りをして所定の表面粗さに復元する、或いは表面に付着しかつ固有の表面張力によって略同一の表面粗さとなる粘着性材料をエネルギー変換部12の内部に収納し表面を清浄した後に適宜吐出して付着させるなどの構成あるいは方法が考えられるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
図10は第2実施形態のエネルギー変換部12を用いた第1実施例の流体エネルギー変換装置1の作用を説明する図であり、外部空間2から内部空間3に流入する移動流体19あるいは内部空間3から外部空間2に流出する移動流体によってエネルギー変換部5が同一方向に回転する状態を示している。
【0030】
さらにエネルギー変換部13によって移動流体19の移動エネルギーが回転エネルギーに変換される詳細を図11及び図12で説明する。
図11は外部空間2から内部空間3に移動流体19が流入する場合のエネルギー変換部12の状態であり、抗力発生表面13の表面形状によって流入する移動流体19による揚力をほとんど発生させないためエネルギー変換部12には抗力FDが発生しその一部が回転軸8に対する回転力FRとなる。この時、移動流体19が任意のエネルギー変換部12の外部空間側表面に与える揚力は、エネルギー変換部12によって移動方向が偏向された一部の移動流体19により隣接するエネルギー変換部12の外部空間側表面に加わる抗力と相殺するため、抗力FDによる回転力のほとんどが回転エネルギーとして変換されることになる。
【0031】
図12は内部空間3から外部空間2に移動流体19が流出する場合のエネルギー変換部12の状態であり、流出する移動流体19の流量及び流速は内部空間2側の表面のほうが外部空間側の表面(流体の移動に対して裏面)よりも大きくなる。このため、エネルギー変換部12には揚力FLが発生しその一部が回転軸8に対する回転力FRとなる。
これらのことから移動流体の外部空間2から内部空間3への流入時および内部空間3から外部空間2への流出時において常に同じ回転方向、本実施例においては時計回方向に抗力もしくは揚力に応じた回転力すなわち回転エネルギーを発生することになる。さらに本発明においては移動流体19の流入方向あるいは流出方向がどのように変化しても発生する回転エネルギーの方向は常に一定であり安定した回転動作を実現する。
【0032】
図13は第3実施形態のエネルギー変換部15であり、第1実施形態のエネルギー変換部5と同様に移動流体19の内部空間への流入あるいは外部空間への流出によって揚力ないしは抗力を発生する表面を有するが、本実施形態においてはその表面形状が変化可能となっている。例えば移動流体の移動速度や流量が季節や時間あるいは気象状況に応じて変化する場合に、揚力や抗力が適切となるように揚力発生表面及びまたは抗力発生表面の形状が変化する構成とすることができる。本実施形態においてはA1およびB1に示すエネルギー変換部15の抗力発生表面の表面形状がA2およびB2のように変化して移動流体の移動速度や流量の変化に対応する様子を示している。なお揚力発生表面及びまたは抗力発生表面の形状変化にはセンサー類を併用した機械方式あるいは圧力流体方式などによる能動的方法や可撓性部材もしくは伸縮性部材などの利用による受動的方法などを任意に用いることが可能である。
【0033】
図14は第4実施形態のエネルギー変換部16であり、第1実施形態のエネルギー変換部5と同様に移動流体19の内部空間への流入あるいは外部空間への流出によって揚力ないしは抗力を発生する表面を有するが、本実施形態においてはその表面形状と取り付け角度が変化可能となっている。例えば例えば移動流体の移動速度や流量が季節や時間あるいは気象状況に応じて変化する場合に、揚力や抗力が適切となるように揚力発生表面及びまたは抗力発生表面の形状及びまたは取り付け角度が変化する構成とすることができる。本実施形態においてはA1およびB1に示すエネルギー変換部15の抗力発生表面の表面形状とエネルギー変換部16の取り付け角度がA2およびB2のように変化して移動流体の移動速度や流量の変化に対応する様子を示している。本実施例によれば、例えば移動流体の移動速度や流量の変化が比較的緩やかな場合は揚力発生表面及びまたは抗力発生表面の形状を変化させるとともに、移動流体の移動速度や流量の変化が比較的急な場合はエネルギー変換部16の取り付け角度を変化させることで安定したエネルギー変換を実現できる。なお揚力発生表面及びまたは抗力発生表面の形状変化及びエネルギー変換部16の取り付け角度変化にはセンサー類を併用した機械方式あるいは圧力流体方式などによる能動的方法や可撓性部材もしくは伸縮性部材あるいは弾性部材などの利用による受動的方法などを任意に用いることが可能である。
【0034】
図15は第5実施形態のエネルギー変換部17であり、第1実施形態のエネルギー変換部5と同様に移動流体19の内部空間への流入あるいは外部空間への流出によって揚力ないしは抗力を発生する表面を有するが、本実施形態においてはその表面の状態として外部空間もしくは内部空間に対向するそれぞれの表面において異なる表面粗さを有する構成となっている。例えばエネルギー変換部17の抗力発生表面18の表面粗度を大きくもしくは荒くすることで移動流体19の外部空間への流出あるいは内部空間への流入によって発生する抗力を増加させることができる。この場合、抗力発生表面18に砂掛けを施したり微小突起や微小窪みを設ける、あるいは艶消し塗料を塗布することなどで表面粗度を大きくもしくは荒くすることが可能である。さらに移動流体の移動速度や流量が季節や時間あるいは気象状況に応じて変化する場合に、抗力が適切となるように抗力発生表面の粗度を変化させる構成としてもよく、例えばセンサー類を併用した機械方式あるいは圧力流体方式などによる能動的方法や可撓性表面部材もしくは伸縮性表面部材などの利用による受動的方法などを任意に用いて粗度を変化させることが可能である。
【0035】
図16は本発明の第2実施例の一部断面斜視外形図であり、例えば空気の移動エネルギーすなわち風エネルギーを用いて回転エネルギーを発生しさらにその回転エネルギーによって電気エネルギーに変換する発電機を備えている。図16において、6は移動流体を導く流体導入部、7は6の要素である流体導入板、28は回転エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機である。
【0036】
図17図16の第2実施例の一部を分離した断面斜視図であり、複数のエネルギー変換部22で構成され回転可能な境界部4及び側壁26と底板27によって外部空間2と隔てられた内部空間3が形成されている。
【0037】
図18図16の第2実施例の断面図であり、複数のエネルギー変換部22で構成され回転可能な境界部4は軸受9に保持された回転軸8によって回転可能に支持されている。内部空間3は複数のエネルギー変換部22からなる境界部4及び側壁26と底板27よって略円筒形の密閉空間を形成している。25は密閉円筒空間における流体の移動を円滑にするための整流部材であり、内部空間3の形状は円筒形状以外に球状体の一部あるいは回転楕円体の一部などを用いる形状に任意に設定することができる。
ここで、本発明の第2実施例においては複数のエネルギー変換部22からなる境界部4は、回転軸8と略垂直となるように配置されている。
【0038】
図19は第2実施例で用いる第6の実施形態に係るエネルギー変換部22の斜視図であり、第1の実施形態に係るエネルギー変換部5と同様に外部空間2に対抗する表面状態が揚力を発生する揚力発生表面23と内部空間3に対抗する表面状態が抗力を発生する抗力発生表面24から構成されている。エネルギー変換部22の幅は回転する境界部4の境界面形状に適合するために境界面の半径方向にそって回転軸に近づくほど幅狭になるよう変化している。この実施例においてエネルギー変換部22の表面状態は表面の形状によって揚力もしくは抗力を発生する構成となっている。
【0039】
図20は第6実施形態のエネルギー変換部22を用いた第2実施例の流体エネルギー変換装置21の作用を説明する図であり、外部空間2から内部空間3に流入する移動流体19(本実施例においては風)あるいは内部空間3から外部空間2に流出する移動流体によってエネルギー変換部22が同一方向に回転する状態を示している。図20の中央に示す平面図は図18でエネルギー変換部22からなる境界部4を下側から見た配置であり、その左右にはエネルギー変換部22の配置状態が回転軸に直行する矢視方向の図として示されている。
【0040】
さらにエネルギー変換部22によって移動流体19の移動エネルギーが回転エネルギーに変換される詳細を図21及び図22で説明する。
図21は外部空間2から内部空間3に移動流体19が流入する場合のエネルギー変換部22の状態であり、揚力発生表面23の表面形状によって流入する移動流体19の流量及び流速は外部空間2側の表面のほうが内部空間側の表面(流体の移動に対して裏面)よりも大きくなる。このため、エネルギー変換部22には揚力FLが発生しその一部が回転軸8に対する回転力FRとなる。この時、移動流体19が任意のエネルギー変換部22の外部空間側表面に与える抗力は、エネルギー変換部22によって移動方向が偏向された移動流体19により隣接するエネルギー変換部22の内部空間側表面(流体の流入に対して裏面)に加わる逆方向の抗力によってその多くが相殺されるため、揚力FLによる回転力のほとんどが回転エネルギーとして変換されることになる。
【0041】
図22は内部空間3から外部空間2に移動流体19が流出する場合のエネルギー変換部22の状態であり、抗力発生表面24の表面形状により流出する移動流体19による揚力をほとんど発生させないためエネルギー変換部22には抗力FDが発生しその一部が回転軸8に対する回転力FRとなる。この時、移動流体19が任意のエネルギー変換部22の内部空間側表面に与える揚力は、エネルギー変換部22によって移動方向が偏向された一部の移動流体19により隣接するエネルギー変換部22の内部空間側表面に加わる抗力と相殺するため、抗力FDによる回転力のほとんどが回転エネルギーとして変換されることになる。
これらのことから移動流体の外部空間2から内部空間3への流入時および内部空間3から外部空間2への流出時において常に同じ回転方向、本実施例においては反時計回り方向に揚力FLおよび抗力FDに応じた回転力FRすなわち回転エネルギーを発生することになる。さらに本発明においては移動流体19の流入方向あるいは流出方向がどのように変化しても発生する回転エネルギーの方向は常に一定であり安定した回転動作を実現する。
【0042】
なお、図示及び詳細な説明は省略するが、第2実施例においても第1実施例の第2実施形態から第5実施形態と同様に作用するエネルギー変換部を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は移動流体の移動エネルギーを用いて回転エネルギーに変換する装置のおいて移動流体の移動方向が異なっても安定したエネルギー変換が可能であるため、特に風向きが頻繁に変わる場所における風力発電装置において有効である。また、複数のエネルギー変換装置を隣接して設置した場合に装置間で生じる移動流体の移動方向変化があってもエネルギー変換への影響が抑制されるため、設置スペースの効率化が実現できる。さらにエネルギー変換装置として様々な形状とすることが可能なため、今までは設置することが困難であった場所への設置も可能となる。
【0044】
例えば図23に示すように、海や湖あるいは河川の沿岸部や岸近傍部などに複数の風力発電装置29を密接して配置する場合に問題となる他のエネルギー発生装置により生じる風向きの変化に対し、本発明のエネルギー変換装置ではその動作が風向きに依存しないため各々のエネルギー変換装置の間隔を広げる必要が少なくなり複数装置の配置に対するスペース効率を高くすることができる。また、図示はしないが、小規模な風力発電装置29を海岸沿に林立状態に配置させることで防風林の代替としての機能を持たせることも容易に実現できる。
また図24に示すように、例えば山岳部の峡谷などで頻繁に風向きが変わる場所においても本発明の風力発電装置30ではその動作が風向きに依存しないため設置場所の制限が無い状態で運用することが可能となると同時に、設置による自然環境の破壊や景観の劣化もしくは周辺生態への悪影響を抑制することが可能となる。
さらに、例えば峡谷や海峡にかかる橋の橋脚などの構造物に複合化する形で配置することも容易であり前記悪影響の抑制を図るとともに設置費用の低減を図ることが可能となる。
【0045】
さらに図25に示すように、例えば既存の建造物を用いて本発明の風力発電装置31を設置する場合でも風向きの変化に対する回転エネルギー変換効率の変化が抑制されるためそれぞれの風力発電装置の間隔を必要以上に広げる必要はなく効率的な配置が可能となる。このような地上構造物への設置に際して、都市部等の構造体においては高さ方向に長い風力発電装置とすることも好ましく、その場合は複数の風力発電装置を積み重ねる構造としてもよい。
また図26に示すように、例えば海上に構築された構造物や海上を移動可能な船舶等に本発明の風力発電装置32を設置する場合でもエネルギー変換装置の間隔を必要以上に広げる必要がないことはもちろん、風向きの変化に対して回転エネルギー変換効率の変化が抑制されるため設置場所や設置方向の自由度が高く、船舶等においては停泊ないし接岸時の船体の向きや移動時においても航行方向の設定を自由に行うことが可能となる。
【0046】
なお、実施例として風力発電への応用を説明してきたが、波力発電や潮力発電などの移動方向が一定でない移動液体の移動エネルギーを回転エネルギーに変換して発電する発電装置への応用は同様の構成によって容易に実現できることは明らかであり、さらに移動流体の移動エネルギーから変換された回転エネルギーを例えば揚水機や推進器あるいは工作機械や加工機械などの動力源として直接利用することも可能である。例えばテトラポット(登録商標)などの波消しブロックに複合化させて灯台の光源用に小規模発電をさせることなどが考えられる。
【0047】
さらに図示はしないが、回転体の境界部を回転軸と垂直に設けた流体エネルギー変換装置において、境界部を構成するエネルギー変換部と回転体の回転中心との距離を大きくするとともに例えば転動体などにより回転体の外周を支持させることで移動流体の移動エネルギーを大きなトルクによって回転エネルギーに変換させることも可能である。この場合、リング状の回転体表面からなる内部空間と外部空間との境界部に任意の形状およびまたは位置にエネルギー変換部を設けることも可能である。
【0048】
以上説明したように、本発明を用いることで移動方向や移動速度が頻繁に変動する移動流体の移動エネルギーを効率よく安定して回転エネルギーもしくは電気エネルギーに変換することが可能となり、複数の装置を密接して配置し効率よく運用することや今まで設置困難とされていた場所への設置を可能とし、さらに装置の設置に伴う環境あるいは景観の破壊や設置場所周辺での動植物への悪影響を抑制することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 第1実施例に係る流体エネルギー変換装置
2 外部空間
3 内部空間
4 境界部
5 第1実施形態に係るエネルギー変換部
6 流体導入部
7 流体導入板
8 回転軸
9 軸受
10 第1実施形態に係るエネルギー変換部の揚力発生表面
11 第1実施形態に係るエネルギー変換部の抗力発生表面
12 第2実施形態に係るエネルギー変換部
13 第2実施形態に係るエネルギー変換部の抗力発生表面
14 第2実施形態に係るエネルギー変換部の揚力発生表面
15 第3実施形態に係るエネルギー変換部
16 第4実施形態に係るエネルギー変換部
17 第5実施形態に係るエネルギー変換部
18 第5実施形態に係るエネルギー変換部の抗力発生表面
19 移動流体
20 端板
21 第2実施例に係る流体エネルギー変換装置
22 第6実施形態に係るエネルギー変換部
23 第6実施形態に係るエネルギー変換部の揚力発生表面
24 第6実施形態に係るエネルギー変換部の抗力発生表面
25 整流部材
26 側壁
27 底板
28 発電機
29 海岸に密接して配置した風力発電装置
30 渓谷内や橋脚に配置した風力発電装置
31 既存の建造物上に配置した風力発電装置
32 海上構造物や船舶に配置した風力発電装置
FL エネルギー変換部の表面を移動する流体によって生じる揚力
FD エネルギー変換部の表面を移動する流体によって生じる抗力
FR 揚力若しくは抗力の分力として生じる回転軸周りの回転力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図16
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図20
図21
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図26