(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002431
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】給水装置およびその逆止弁
(51)【国際特許分類】
F04B 23/02 20060101AFI20241226BHJP
F16K 15/02 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
F04B23/02 C
F16K15/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102605
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一輝
【テーマコード(参考)】
3H058
3H071
【Fターム(参考)】
3H058AA02
3H058BB14
3H058BB22
3H058CA06
3H058CC08
3H058CC11
3H058EE10
3H071AA01
3H071BB13
3H071CC14
3H071CC33
3H071DD11
3H071DD31
(57)【要約】
【課題】装置の省スペース化はもちろん流路における給水上の損失を低減することを目的とする。
【解決手段】筐体101Aは、流水を増圧するポンプ(1号ポンプ、2号ポンプ)と、そのポンプの流路に連結され、水平方向とその水平方向に続く垂直方向に向けて流路を形成して、その流路に逆流防止機構である逆止弁カートリッジ401を配置した配管402Aを有する逆止弁(1号逆止弁、2号逆止弁)とを備え、逆止弁は、流路上、配管402Aに対して、水平方向の流路に逆止弁カートリッジ401を設け、その逆止弁カートリッジ401の後段から水平方向の流路を折り返して垂直方向の流路を略S字に形成した構造である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水装置であって、
筐体と、
当該筐体に設置され、流水を増圧するポンプと、
当該筐体に設置され、前記ポンプの後段で水平方向と当該水平方向に続く垂直方向の流路を形成して当該流路上に流水の逆流を防止する逆流防止機構を設置した逆止弁と、
を備え、
前記逆止弁は、前記水平方向の流路に前記逆流防止機構を配置させ、当該逆流防止機構の後段に前記水平方向の折り返しを設け、当該折り返しから前記垂直方向に延びる流路を形成したことを特徴とする給水装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給水装置の給水装置において、前記逆止弁は前記流路の方向に対して断面略S字状に形成されたことを特徴とする給水装置。
【請求項3】
請求項1に記載の給水装置において、前記逆止弁は、前記水平方向の流路上、前記逆流防止機構の後段を流水面積が減少する略円錐形状の構造を有したことを特徴とする給水装置。
【請求項4】
請求項3に記載の給水装置において、前記逆止弁は、前記垂直方向の流路上、前記略円錐形状の構造の後段から流水面積が拡大する形状の構造を有したしたことを特徴とする請求項2に記載の給水装置。
【請求項5】
請求項1に記載の給水装置において、前記筐体と前記逆止弁の垂直方向における端部との連結部位に着脱自在の延長アダプタを設けたことを特徴とする給水装置。
【請求項6】
請求項1に記載の給水装置において、前記逆止弁は前記逆流防止機構の上部に前記ポンプから外部に向けて空気の通路を設けたことを特徴とする給水装置。
【請求項7】
請求項1に記載の給水装置において、前記筐体と前記逆止弁の水平方向における端部との連結部位に着脱自在のフランジを設けたことを特徴とする給水装置。
【請求項8】
請求項7に記載の給水装置において、前記逆流防止機構は前記逆止弁から着脱自在の構造としたことを特徴とする請求項1に記載の給水装置。
【請求項9】
ポンプを有する給水装置の逆止弁であって、
前記ポンプの後段で水平方向の流路に逆流防止の逆流防止機構を配置させ、当該逆流防止機構の後段に前記水平方向の折り返しを設け、当該折り返しから垂直方向に延びる流路を形成したことを特徴とする給水装置の逆止弁。
【請求項10】
請求項9に記載の給水装置の逆止弁において、前記流路方向について、断面略S字状に形成されたことを特徴とする給水装置の逆止弁。
【請求項11】
請求項9に記載の給水装置の逆止弁において、前記水平方向の流路上、前記逆流防止機構の後段を流水面積が減少する略円錐形状に形成したことを特徴とする給水装置の逆止弁。
【請求項12】
請求項11に記載の給水装置の逆止弁において、前記垂直方向の流路上、前記略円錐形状の構造の後段から流水面積が拡大する形状に形成したことを特徴とする給水装置の逆止弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は給水装置およびその逆止弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、架台と防滴用のポンプカバーとで構成される収容部に、モータを備えるポンプ装置、弁類、配管、アキュムレータ、制御盤等の構成品が収容された直結給水方式の増圧給水装置がある。
【0003】
この種の給水装置としては、一般的に、各ポンプ装置の吐出口と吐出し側合流管との間に運転する他方ポンプで昇圧された流体が逆流しないように逆止弁を配置する構成が知られている(例えば特許文献1)。
【0004】
このような給水装置の場合には、装置本体が屋外、ポンプ室、階段下スペースなどのように様々な環境下に設置されるため、一般的には自然環境に対する対候性や設置環境から省スペース化が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、近年の電力料金の高騰、カーボンニュートラルなどの環境対応の高まりから給水における低損失かつ高効率化を両立させる必要がある。特許文献1の場合には、流路が逆L形を描くように曲がって下方に延びる連結管構造となっているので、流水はそのまま下方に落とされる。さらに、連結管構造が水平方向に向かって逆L形に張り出した形状となっていることから、装置本体の省スペース化が難しく、給水上の損失が危惧される。
【0007】
そこで、本発明は、上記のような背景に鑑みてなされたものであり、装置全体の省スペース化はもちろん流路における給水上の損失を低減することが可能な給水装置およびその逆止弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の給水装置の一態様は、給水装置であって、筐体と、当該筐体に設置され、流水を増圧するポンプと、当該筐体に設置され、前記ポンプの後段で水平方向と当該水平方向に続く垂直方向の流路を形成して当該流路上に流水の逆流を防止する逆流防止機構を設置した逆止弁と、を備え、前記逆止弁は、前記水平方向の流路に前記逆流防止機構を配置させ、当該逆流防止機構の後段に前記水平方向の折り返しを設け、当該折り返しから前記垂直方向に延びる流路を形成したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の給水装置の逆止弁の一態様は、ポンプを有する給水装置の逆止弁であって、前記ポンプの後段で水平方向の流路に逆流防止の逆流防止機構を配置させ、当該逆流防止機構の後段に前記水平方向の折り返しを設け、当該折り返しから垂直方向に延びる流路を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、装置全体の省スペース化はもちろん流路における給水上の損失を低減することが可能な給水装置およびその逆止弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明を適用した実施形態1による給水装置を示す正面図である。
【
図2】本発明を適用した実施形態1による給水装置の逆止弁を示す三面図である。
【
図3】本発明を適用した実施形態1による逆止弁の側面を示す側断面図である。
【
図4】本発明を適用した実施形態1の逆止弁における配管の流路方向の断面を示す断面図である。
【
図5】本実施形態1による給水装置による損失低減をグラフ化した説明図である。
【
図6】本発明を適用した実施形態2による給水装置の逆止弁を示す三面図である。
【
図7】本発明を適用した実施形態2による給水装置の逆止弁の側面を示す側断面図である。
【
図8】本発明を適用した実施形態3による給水装置の逆止弁を示す三面図である。
【
図9】本発明を適用した実施形態3による給水装置の逆止弁の側面を示す側断面図である。
【
図10】本発明を適用した実施形態3による逆止弁の空気抜き用の穴を示す断面図である。
【
図11】本発明を適用した実施形態3による給水装置の逆止弁を示す三面図である。
【
図12】本発明を適用した実施形態4による給水装置の逆止弁の側面を示す側断面図である。
【
図13】本発明を適用した実施形態4による逆止弁の空気抜き用の穴を示す断面図である。
【
図14】本発明を適用した実施形態5による給水装置の逆止弁を示す三面図である。
【
図15】本発明を適用した実施形態5による給水装置の逆止弁の側面を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。なお、以下の記載及び図面は本発明を説明するための例示に過ぎず、説明の明確化のため、適宜、省略や簡略化がなされている。また、本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。また、本発明の各実施形態においては、後述するが、1号逆止弁及び2号逆止弁が構成として備わっており、逆止弁と表現した場合には、各実施形態の1号逆止弁及び2号逆止弁を指しているものとする。
【実施形態1】
【0013】
以下、本発明の実施形態1に係る逆止弁を備えた給水装置について、
図1を参照して説明する。
図1は本実施形態1にかかる給水装置を示す正面図である。なお、説明簡単のため、正面扉は図示しない。給水装置101には、その筐体101Aに給水を行うための各ユニットが配置されている。
【0014】
本実施形態1においては、逆止弁(1号逆止弁111A,2号逆止弁112A)が重要な構成となっているので、給水の流路上、筐体101Aにおいてポンプ(1号ポンプ106、2号ポンプ107)の後段に設置される逆止弁を中心に説明する。よって、その筐体101A内で1号逆止弁111A,2号逆止弁112A以外の各部の詳細な説明については省略する。
【0015】
まず、筐体101Aに配置される各ユニットについて簡単に説明する。給水装置101は、例えば
図1に示すように、装置全体を支持する筐体フレーム(ポンプ用筐体)102、筐体フレーム102上に設置され制御部103が収納される制御フレーム104、筐体フレーム102内に収納されるユニット装置であるユニット部105、ポンプ等のユニット部105の機器を制御する制御部103などから構成される。
【0016】
ユニット部105は、1号ポンプ106、2号ポンプ107、減圧式逆流防止器108、圧力タンク109、バイパス管110、1号逆止弁111A、2号逆止弁112A、吸込仕切弁113(吸込み方向113a)、吐出し曲管114(吐出し方向114a)、吸込圧力センサ115、吐出圧力センサ116、吸込合流管201、吐出合流管301などを備えている。
【0017】
ポンプは、
図1の例では、1号ポンプ106および2号ポンプ107のように2台設けられているが、少なくとも1台でもよい。ユニット部105において、内部の流体は、吸込仕切弁113から減圧式逆流防止器108、吸込合流管201、1号ポンプ106または2号ポンプ107、1号逆止弁111Aまたは2号逆止弁112A、吐出合流管301、吐出し曲管114へと流れる。ここで、流入圧力が十分に高いときには、ポンプ(1号ポンプ106、2号ポンプ107)を経由せずにバイパス管110を経由して流体は需要先へ供給される。
【0018】
制御部103は、筐体フレーム102の上部に設置された制御フレーム104に収納され、主に漏電遮断器、インバータ、制御基板、その他電子機器を有している。給水装置101では、吸込圧力センサ115および吐出圧力センサ116から得られる圧力値を制御基板に取り込み、インバータを制御してポンプを可変速運転させている。
【0019】
吸込合流管201の一端側は減圧式逆流防止器108に接続される。減圧式逆流防止器108は吸込合流管201と吸込仕切弁113との間に設けられている。減圧式逆流防止器108は流路における液体の流れの方向を一方向に規制する機能を備える。減圧式逆流防止器108の下部に逃がし弁部117が設けられている。
【0020】
逃がし弁部117は減圧式逆流防止器108から下方に延びている。逃がし弁部117の下方の先端部の排水口には漏水検知電極が設けられている構成でもよい。漏水検知電極は減圧式逆流防止器108からの漏水を検出する。検出された漏水信号は漏水検知基板へ送ることができる。
【0021】
吸込合流管201は、減圧式逆流防止器108の二次側に接続される。吸込合流管201は例えば2台の1号ポンプ106および2号107の下方に水平に配置される。吸込合流管201は、1号ポンプ106、2号ポンプ107にそれぞれ吸込側リフト弁を介して接続されている。
【0022】
具体的には、吸込合流管201は鉛直方向に配置されるポンプと接続するため、上方向に延伸する開口部204および205を一体に有し、開口部中心軸と吸込管201の水平軸が交差する節部に吸込側リフト弁がそれぞれ配置される。開口部204、205がそれぞれ対面する吸込側リフト弁下部は組立、メンテナンス作業時に取り外し可能となっている。
【0023】
1号逆止弁111A、2号逆止弁112Aは、それぞれその一端が1号ポンプ106,2号ポンプ107の側壁部に配されるポンプ吐出口122、123に接続されている。1号逆止弁111A、2号逆止弁112Aは、流路上、それぞれポンプ吐出口122、123から前方(水平方向)に延び、屈曲して下方(垂直方向)に延びる形状の配管402Aを有している。1号逆止弁111A、2号逆止弁112Aの流路における下端部はそれぞれ吐出し側リフト弁を介して、下方に設けられた吐出し合流管301に接続されている。
【0024】
具体的には、吐出し合流管301は、
図1に示すように、鉛直方向に配置される1次逆止弁111A、2次逆止弁112Aと接続するため、上方向に延伸する1号吐出し開口部304、2号吐出し開口部305を一体に有している。この吐出し合流管301は開口部中心軸と吸込合流管201の水平軸が交差する節部に吐出し側リフト弁が配置される。
【0025】
1号吐出し開口部304、2号吐出し開口部305の各対面の1号吸込側リフト弁、2号吸込側リフト弁下部は組立、メンテナンス作業時に取り外し可能となっている。また、各吐出し側リフト弁の下部には吐出し側合流管301に流入した液体を吐出し曲管114と接続されている。リフト弁体の開閉により、通水、止水、流れ方向の変更を行う。
【0026】
吸込合流管201と吐出し合流管301のそれぞれ中間部分に下方に延伸する開口部、バイパス接続部206,306を有し、バイパス管が接続されている。また、バイパス管110内の吐出し合流管301に近い側にバイパス逆止弁124が配置される。
【0027】
つづいて、
図2、
図3および
図4を用いて1号逆止弁111Aおよび2号逆止弁112Aについて詳述する。
図2は本発明を適用した実施形態1による給水装置の逆止弁を示す三面図、
図3は本発明を適用した実施形態1による逆止弁の側面(E方向)を示す側断面図、そして、
図4は本発明を適用した実施形態1の逆止弁における配管の流路方向の断面を示す断面図である。
【0028】
ここで、1号逆止弁111Aおよび2号逆止弁112Aは同様の構成を有していることから1号逆止弁111Aを代表して説明する。1号逆止弁111Aは、
図2に示すように、水平方向は中心線Ch1、垂直方向は中心線Cv1に合わせて、上面から見た形状を(a)、正面から見た形状を(b)、そして、側面(E方向)から見た形状を(c)で示している。
【0029】
1号逆止弁111Aは、例えば、逆止弁ボディ402から着脱自在な逆止弁カートリッジ401、逆止弁ボディ402、逆止弁流入継手403、Oリング404、空気抜きコック405などによって構成される。逆流防止機構である逆止弁カートリッジ401はバネ式の弁体401bを備え、逆止弁ボディ402により水平方向に保持されている。
【0030】
この弁体401bにおいては、その構造をスウィング式とせずバネ式としたことで流水の力に対して柔軟に逆流防止を機能させることができることはもちろん、逆流リスクのあるウォーターハンマーの発生を抑えることができる。
【0031】
本実施形態1では、設置スペースを必要とする逆止弁カートリッジ401が配管402Aの水平方向の流路上に設置され、逆止弁ボディ402は、その後段から水平方向の流路を湾曲させて戻るように折り返し、その折り返しから垂直方向に流路をつなげる逆止弁ボディ402(配管402A)の構造となる。
【0032】
また、逆止弁カートリッジ401の主材はPOM(Polyoxymethylene)樹脂であり、ケース401aと弁体402bのシール部401cにはNBR(Nitril Butadiene Rubber)が備えられている。
【0033】
逆止弁ボディ402は逆止弁カートリッジ401の保持部402a、逆止弁カートリッジ401の2次側流れを吐出し合流管301に導く略S字の配管402Aを備えている。具体的には、1号逆止弁111Aは、その配管402Aを水平方向に延びる上流側から垂直下方に延びる下流側に向かってその水平方向に対して折り返すように屈曲させ、流路方向での断面形状が略S字形状となるように湾曲させた構造を有している。
【0034】
逆止弁カートリッジ401の2次側流れ下方に偏向する屈曲部の上半部402bは流入中心線O1を中心とした略円錐形の流路を形成して、先細りの構造を有している。
【0035】
上流におけるこの略円錐形の流路から下流に向かって今度は流水面積が末広がりに大きくなることで、流水の速度が増して淀みなく逆止弁から出力される。流路の形状は、
図3に示す半円断面位置の方向での断面から、下半部402cの断面形状が
図4に示したように略半円形となって、円形に開口する逆止弁流入口407に漸次連通している。
【0036】
逆止弁ボディ402の屈曲中心O3は流出中心O2に対して逆止弁流入口406と対向位置に延在する。屈曲中心O3と流出中心O2の間は滑らかに連通するように流路を形成する。実施例では屈曲部下半部402c断面から逆止弁流入口407は断面積が大きくなる減速の流れになっている。すなわち、1号逆止弁111Aにおいて、配管402Aは、鉛直方向、すなわち、垂直方向(下方)の流路上、先細りとなる略円錐形の構造の後段から内径を拡大させた構造となる。
【0037】
断面積の拡大指標となる流線長さと断面積等価円直径から求める拡大角2θは例えば8~10°が最もよく、大きくとも20°以下とする。また、屈曲部下半部402c断面から逆止弁流入口407は断面積が小さくなる増速流れ、屈曲部下半部402c断面から逆止弁流入口407は断面積が等しい等速流れでもよい。
【0038】
給水装置の流路全体で最も高い位置にある屈曲部上半部402bにはポンプ運転時に必要となる空気抜きコック取付け408及び空気抜きコック405を備えている。逆止弁ボディ402の下流側一端は吐出し合流管301とフェルール接続できるように略傘形状である。
【0039】
また、逆止弁ボディ402の上流側一端は逆止弁カートリッジ401を保持する円筒部外周に逆止弁流入継手403を接続する為のねじ部を備えている。逆止弁流入継手403はポンプ吐出し口122、123から流出する流れを逆止弁カートリッジ401に導き、逆止弁ボディ402に保持された逆止弁カートリッジ401が可動しないように押える。Oリング404は押し潰して封水する役割を持つ。本実施形態1では、逆止弁流入継手403断面から逆止弁流入継手流出口409は断面積が小さくなる増速流れになっている。
【0040】
また、逆止弁流入継手403断面から逆止弁流入継手流出口409は断面積が大きくなる減速流れの場合、断面積の拡大指標となる流線長さと断面積等価円直径から求める拡大角2θは例えば8~10°が最もよく、大きくとも20°以下とする。逆止弁流入継手403断面から逆止弁流入継手流出口409は断面積が等しい等速流れでもよい。
【0041】
ポンプ吐出し口122、123から逆止弁流入継手403の上流側一端はポンプ吐出し口122、123とフェルール接続できるように略傘形状である。また、逆止弁流入継手403の下流側一端は逆止弁カートリッジ401を保持する逆止弁ボディ402と接続するためのねじ部を備えている。
【0042】
逆止弁ボディ402および逆止弁流入継手403は水道水などの作動流体に接した際に鉛の浸出が少ないCAC911を採用している。その他、ステンレスや鉛の浸出を抑制する脱鉛処理を施した材質でもよい。
【0043】
以上のように構成された逆止弁を備えた給水装置101では、水平方向にポンプ吐出しを持つ鉛直方向に回転軸を持つポンプ106、107において、逆止弁カートリッジ401を水平に配置することで高さ方向の空間を、逆止弁ボディ402を略S字形状にすることで流入中心O1方向の空間を有効に活用することができる。さらに、従来同等の取り付け寸法にもかかわらず、従来よりも大きな逆止弁容積を提供することで圧力損失を低減した高効率な給水装置が得られる。
【0044】
また、逆止弁部をカートリッジ化することで、異物や経年劣化による不具合の際にもメンテナンス工数、利用材料を最小化することができる。逆止弁カートリッジ401はバネ式の弁体401bとすることで停電や異常検知によりポンプ運転が急停止した際に流量に応じて漸次弁開度が小さくなり、全閉状態となる為ウォーターハンマーを抑制することができる。
【0045】
屈曲部上半部402bは略円錐状にすることで、逆止弁カートリッジ2次側流れが不必要な面積拡大による流れの剥離を抑制し、損失を低減することができる。屈曲部下半部402cは断面形状を略半円形にすることで逆止弁取り付け空間内において流路面積を最大化でき、流速の増加を抑制し、摩擦損失を低減することができる。さらに逆止弁流入口407まで流下する際の拡大角も抑制できるため、拡大損失を低減することができる。
【0046】
1号、2号逆止弁111A、112Aの両端をフェルール接続にすることで取り付け、取り外しが容易であり、組立性、メンテナンス性を向上させることができる。また、材質を鉛レス青銅のCAC911、POM樹脂とすることで、給水する水道水への有害物質の浸出を抑制し、給水の信頼性を向上させることができる。
【0047】
ここで、本実施形態1の給水装置による損失低減について
図5を用いて説明する。
図5は本実施形態1による給水装置による損失低減を説明するグラフである。
図5に示すように、縦軸に圧力損失、横軸に流量となるグラフが示され、実線は従来型の逆止弁、破線は実施形態1の逆止弁の各流量における圧力損失を示している。
【0048】
ここでは、損失を説明するために一例として圧力損失を例に挙げる。流量の増加に対してそれぞれ圧力損失は増える傾向にあるが、本実施形態1の場合には、従来型に対して流量100%のところで1/5の圧力損失に低減できていることがわかる。なお、このグラフは一例であって、給水装置や逆止弁のサイズ等の条件によって値が異なるが、大きく低減効果が得られることに変わりはない。
【0049】
ここで、本実施形態1では、逆止弁の流路について、水平方向や垂直方向といった表現を使用していたが、これは水平方向や垂直方向に全く傾きを持たせない逆止弁ボディの形状に限定しているのではなく、水平方向、垂直方向に沿って逆止弁ボディの配管が配置されるという趣旨である。もちろん、完全に水平方向、垂直方向に配管を有する逆止弁の構造であってもよい。
【0050】
以上説明したように、本実施形態1によれば、逆止弁について、1次側から2次側に進む流路が、水平方向に対して折り返すように湾曲されて戻り、垂直方向に下降する略S字の配管構造としている。このため、逆止弁と筐体との連結において水平方向における筐体の取り付け寸法を小さく抑えることができる。このため、逆止弁の構成及び配置が筐体はもちろん、フレーム、他のユニットとの干渉を抑制してくれるので、給水装置101全体の省スペース化を図ることが可能である。
【0051】
また、逆止弁については、流路の上流から下流に向けて略S字形状の配管とした構造としつつ垂直方向下流に向けて配管の口径すなわち流路面積を拡大させた構造としたことで、2次側の適正な流路面積を確保しつつ流路における給水上の損失を低減することが可能である。このようにして、省スペース化と給水にかかる各種の損失の抑制を同時に成立させることが可能である。
【0052】
ここで、各種の損失抑制について個別の効果についても説明する。本実施形態1の逆止弁カートリッジを逆止弁の上流に配置したことから弁体を大型化することが可能となる。その結果、流水の圧力抑制を実現することが可能となる。また、その逆止弁カートリッジを逆止弁ボディに対して水平配置させたことで、逆止弁の構造自体が省スペース化に寄与する。
【0053】
このような省スペース化を実現した構成において、逆止弁の上流に設けた略円錐形状が流路における不必要な面積拡大を防止して、流水の剥離損失を抑制することが可能となり、さらに、逆止弁の流路を略S字形状として流路面積を確保したことで、流水の摩擦損失を抑制することが可能となる。
【実施形態2】
【0054】
つぎに、
図6および
図7を用いて本発明の実施形態2について説明する。
図6は本発明を適用した実施形態2による給水装置の逆止弁を示す三面図であり、
図7は本発明を適用した実施形態2による給水装置の逆止弁の側面(E方向)を示す側断面図である。以下、実施形態1と同様の構成については、説明および符号の図示を省略するとともに説明の際には同様の番号を用いるものとする。
【0055】
逆止弁については、1号、2号逆止弁の代表として、
図6に示すように、1号逆止弁111Bを例に説明する。1号逆止弁111Bは、
図6に示すように、水平方向は中心線Ch2、垂直方向は中心線Cv2に合わせて、上面から見た形状を(a)、正面から見た形状を(b)、そして、側面(E方向)から見た形状を(c)で示している。
【0056】
本実施形態2の1号逆止弁111Bは、
図7に示すように、逆止弁ボディ402の下流側一端はねじ込み継手であり、逆止弁ボディ402と吐出し側合流管301との間に延長アダプタ410を備えた構成である。延長アダプタ410の上流側一端は逆止弁ボディ402と接続できるようにねじ部を有し、延長用Oリングを備えている。延長用アダプタ410の下流側一端はポンプ吐出し口122、123とフェルール接続できるように略傘形状である。
【0057】
以上説明したように、本実施形態2によれば、上述した延長アダプタ410を備えた構成により逆止弁の取り付け寸法を容易に変更することができる。したがって、顧客仕様によりポンプ羽根車段数の違いによるポンプ吐出し口高さが変化しても不具合なく取り付けすることができる。言い換えると、ポンプの仕様(サイズなど)に柔軟に対応させることが可能となる。このようにして、逆止弁ボディについて、異なるサイズを各種揃える必要がなくなって、製造過程での生産効率はもちろん部品点数も削減できる。
【実施形態3】
【0058】
つぎに、
図8、
図9および
図10を用いて本発明の実施形態3について説明する。
図8は本発明を適用した実施形態3による給水装置の逆止弁を示す三面図、
図9は本発明を適用した実施形態3による給水装置の逆止弁の側面(E方向)を示す側断面図、そして、
図10は本発明を適用した実施形態3による逆止弁の空気抜き用の穴を示す断面図である。
【0059】
以下、実施形態1と同様の構成については、説明符号の図示を省略するとともに説明の際には同様の番号を用いるものとする。逆止弁については、
図8に示すように、1号、2号逆止弁の代表として1号逆止弁111Cを例に説明する。1号逆止弁111Cは、
図8に示すように、水平方向は中心線Ch3、垂直方向は中心線Cv3に合わせて、上面から見た形状を(a)、正面から見た形状を(b)、そして、側面(E方向)から見た形状を(c)で示している。なお、
図10は流路方向に対する断面形状を示している。
【0060】
1号逆止弁111Cは、
図9に示すように、逆止弁ボディ402の逆止弁カートリッジ401を保持する円筒部の側面に空気抜き取り付け穴408及び空気抜きコック405を備える。空気抜きコック405は、逆止弁111Cの2次側、すなわち、下流側に設けず、1次側、すなわち、上流側に設けて空気を抜くことが望ましいためである。
【0061】
また、1号逆止弁111Cは、
図9および
図10に示すように、円筒部側面に空気抜き取り付け穴408に連通して空気AR1を通す略半円形の溝として逆止弁カートリッジ401の側壁との間に空気抜き流路411Aを形成する。これによって、ポンプから外部に向かって空気を抜き出すための通路が逆止弁ボディ402の内部に形成される。ここでは、略半円形としたが、その断面形状については、略円形であってもよく、これに限定されるものではない。
【0062】
逆止弁流入継手403の逆止弁カートリッジ401と対向する面には例えば4か所の凸部が備わっている。この凸部により逆止弁カートリッジ401との間に隙間が形成され、逆止弁ボディ402の空気抜き流路411Aと連通する流路が形成される。また、逆止弁カートリッジ401については、1次側の封水として1次側Oリング404、2次側の封水として2次側Oリング404がそれぞれ備わっている。
【0063】
以上説明したように、本実施形態3によれば、逆止弁ボディ402と逆止弁カートリッジ401との間に設けた溝によって空気抜き流路を形成することで、逆止弁1次側から容易に空気抜きを行うことができる。したがって、前述の実施形態1に比べて短時間でポンプ内部の空気を排出し、満水状態にすることができる。これにより、注水効率または呼水効率を向上させることができる。
【実施形態4】
【0064】
つぎに、
図11、
図12および
図13を用いて本発明の実施形態4について説明する。
図11は本発明を適用した実施形態4による給水装置の逆止弁を示す三面図、
図12は本発明を適用した実施形態4による給水装置の逆止弁の側面を示す側断面図であり、
図13は本発明を適用した実施形態4による逆止弁の空気抜き用の穴を示す断面図である。なお、
図13は流路方向に対する断面形状を示している。
【0065】
以下、実施形態1および実施形態3と同様の構成については、説明を省略するとともに説明の際には同様の番号を用いるものとする。逆止弁については、1号、2号逆止弁の代表として、
図11に示すように、1号逆止弁111Dを例に説明する。1号逆止弁111Dは、
図11に示すように、水平方向は中心線Ch4、垂直方向は中心線Cv4に合わせて、上面から見た形状を(a)、正面から見た形状を(b)、そして、側面(E方向)から見た形状を(c)で示している。
【0066】
1号逆止弁111Dは、
図12および
図13に示すように、逆止弁ボディ402の逆止弁カートリッジ401を保持する円筒部の側面に空気抜き取り付け穴408及び空気抜きコック405を備える。また、逆止弁ボディ402の円筒部側面に、
図13に示すように、空気抜き取り付け穴408に連通して空気AR2を通す穴として断面略円形の構造を有する空気抜き流路411Bを備える。これによって、ポンプから外部に向かって空気を抜き出すための通路が逆止弁ボディ402の内部に形成れる。逆止弁流入継手403の逆止弁カートリッジ401と対向する面には例えば4か所の凸部が備わっている。
【0067】
この凸部により逆止弁カートリッジ401との間に隙間がされ、逆止弁ボディ402の空気抜き流路411Bと連通する流路を形成する。また、逆止弁カートリッジ4011次側の封水として1次側Oリング404が備わっている。
【0068】
以上説明したように、本実施形態4によれば、逆止弁ボディ自体に空気抜き流路を形成することで、逆止弁1次側(上流側)から空気抜きを行うことができる。したがって、実施形態1に比べて短時間でポンプ内部の空気を排出し、満水状体にすることができる。これにより、注水効率または呼水効率を向上させることができる。さらに、前述の実施形態3と比べて封水箇所を低減することができるので、製作性ならびに信頼性を向上させることができる。
【実施形態5】
【0069】
つぎに、
図14および
図15を用いて本発明の実施形態5について説明する。
図14は本発明を適用した実施形態5による給水装置の逆止弁を示す三面図であり、
図15は本発明を適用した実施形態5による給水装置の逆止弁の側面を示す側断面図である。以下、実施形態1と同様の構成については、説明符号の図示を省略するとともに説明の際には同様の番号を用いるものとする。逆止弁については、1号、2号逆止弁の代表として、
図14および
図15に示すように、1号逆止弁111Eを例に説明する。1号逆止弁111Eは、
図14に示すように、水平方向は中心線Ch5、垂直方向は中心線Cv5に合わせて、上面から見た形状を(a)、正面から見た形状を(b)、そして、側面(a)、正面から見た形状を(b)、そして、側面(E方向)から見た形状を(c)で示している。
【0070】
逆止弁流入継手403のポンプ吐出し側一端は、
図15に示すように、ボルト締結が可能なフランジ500を備え、逆止弁カートリッジ側一端は実施形態1と同様にねじ部を備える。逆止弁ボディ402の吐出し合流管側一端は、ボルト締結が可能なフランジ500を備え、逆止弁カートリッジ側一端は実施形態1と同様にねじ部を備える。
【0071】
以上説明したように、本実施形態5によれば、1号逆止弁111Eのように逆止弁はフランジ500によるボルト締結ができる。したがって、他の実施形態に比べて安価に製作できるため、経済性を向上させることができる。特に、逆止弁の交換が可能な構成としていることからフランジ500によって交換作業が容易になる点も有用性が高くなる。
【0072】
また、上述した各実施形態によれば、弁体を逆止弁カートリッジによって交換可能にしたので、SDGs(Sustainable Development Goals)の観点から逆止弁自体の再利用化はもちろん材料費の軽減に寄与することは明らかである。
【0073】
以上、本発明の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。
【符号の説明】
【0074】
101 給水装置
101A 筐体
106 1号ポンプ
107 2号ポンプ
111A 1号逆止弁
111B 1号逆止弁
111C 1号逆止弁
111D 1号逆止弁
111E 1号逆止弁
112A 2号逆止弁
112B 2号逆止弁
112C 2号逆止弁
112D 2号逆止弁
112E 2号逆止弁
122 ポンプ吐出口
123 ポンプ吐出口
304 吐出し開口部
305 吐出し開口部
401 逆止弁カートリッジ
401a ケース
401b 弁体
401c シール部
402 逆止弁ボディ
402a 保持部
402A 配管
402b 屈曲部上半部
402c 屈曲部下半部
403 逆止弁流入継手
404 Oリング
405 空気抜きコック
406 逆止弁流入口
407 逆止弁流出口
408 空気抜きコック取り付け穴
409 逆止弁流入継手流出口
410 延長アダプタ
411A 空気抜き流路
411B 空気抜き流路
500 フランジ