(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024310
(43)【公開日】2025-02-20
(54)【発明の名称】ケース
(51)【国際特許分類】
B65D 21/02 20060101AFI20250213BHJP
【FI】
B65D21/02 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128334
(22)【出願日】2023-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀田 康孝
【テーマコード(参考)】
3E006
【Fターム(参考)】
3E006AA02
3E006BA01
3E006DA03
3E006DB05
3E006EA10
(57)【要約】
【課題】ユーザの利便性を向上させるケースを提供する。
【解決手段】ケースは、上部が開口された収容部を有するケース本体と、ケース本体の収容部を開閉可能な蓋部と、ケース本体に設けられ、蓋部と係止可能なラッチとを備え、上下方向に積層可能なケースであって、ラッチは、ケースに対して固定された軸部を有し、軸部の軸回りに回動可能に設けられ、蓋部と係止する第1位置と、複数のケースが積層された積層状態において上方に配置されるケースと係止する第2位置とで係止位置を切り替え可能である。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口された収容部を有するケース本体と、
前記ケース本体の前記収容部を開閉可能な蓋部と、
前記ケース本体に設けられ、前記蓋部と係止可能なラッチと
を備え、上下方向に積層可能なケースであって、
前記ラッチは、前記ケースに対して固定された軸部を有し、前記軸部の軸回りに回動可能に設けられ、前記蓋部と係止する第1位置と、複数の前記ケースが積層された積層状態において上方に配置される前記ケースと係止する第2位置とで係止位置を切り替え可能である
ケース。
【請求項2】
前記ラッチは、前記第1位置で前記蓋部に下方に力を加えるように設けられる
請求項1に記載のケース。
【請求項3】
前記ラッチは、
前記蓋部及び前記ケースと係止可能であり、前記軸部と平行な第2軸部を有するラッチ本体と、
一端が前記軸部の軸回りに回動可能となるように前記軸部に連結され、他端が前記第2軸部の軸回りに回動可能となるように前記第2軸部に連結されるリンク部材と、を有する
請求項1又は請求項2に記載のケース。
【請求項4】
前記ラッチは、前記第1位置において前記蓋部に係止され、前記第2位置において上方の前記ケースに係止される第1係止部を有する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のケース。
【請求項5】
前記ラッチは、前記第2位置において前記蓋部に係止される第2係止部を有する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のケース。
【請求項6】
前記軸部は、前記ケース本体に圧入される
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のケース。
【請求項7】
前記蓋部は、
前記蓋部の上方に突出した突出位置と、前記蓋部の下方の待機位置との間で移動可能に設けられ、前記突出位置に配置されることで、前記積層状態において上方に配置される前記ケースに当接して当該ケースの移動を規制する規制部材を有する
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のケース。
【請求項8】
前記規制部材は、上下方向に延びるアーム部を有し、
前記蓋部は、前記待機位置及び前記突出位置のそれぞれにおいて前記アーム部を支持する凹部又は凸部を有する支持部を有し、
前記アーム部は、前記待機位置及び前記突出位置において前記支持部の凹部又は凸部と係止する凸部又は凹部を有し、前記アーム部の前記凸部又は前記凹部が前記支持部の前記凹部又は前記凸部を乗り越えるように前記規制部材に力を加えることで弾性変形可能である
請求項7に記載のケース。
【請求項9】
前記ケース本体の一部と前記蓋部の一部とを貫通した状態で前記ケース本体と前記蓋部と連結するシャフトを更に備え、
前記蓋部は、前記シャフトの軸回りに回動可能に設けられ、
前記シャフトは、軸方向の一部に外周面から突出した返し部を有し、前記返し部が設けられる部分の内部に中空部を有する
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
電動工具等の物品を収容可能なケースが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0124231号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ケースは、上部が開口された収容部を有するケース本体と、ケース本体の収容部を開閉可能な蓋部と、ケース本体に設けられ、蓋部と係止可能なラッチとを備える。複数のケースを上下方向に積み重ねて連結する際、ユーザの利便性を向上させることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、ケースを開示する。ケースは、上部が開口された収容部を有するケース本体と、ケース本体の収容部を開閉可能な蓋部と、ケース本体に設けられ、蓋部と係止可能なラッチとを備え、上下方向に積層可能なケースであって、ラッチは、ケースに対して固定された軸部を有し、軸部の軸回りに回動可能に設けられ、蓋部と係止する第1位置と、複数のケースが積層された積層状態において上方に配置されるケースと係止する第2位置とで係止位置を切り替え可能である。
【発明の効果】
【0006】
本明細書で開示する技術によれば、ユーザの利便性を向上させることが可能なケースが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るケースが上下方向に積層された状態の例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係るケースの一例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係るケースの他の例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、積層状態のケースを前方から見た図である。
【
図5】
図5は、
図4におけるA-A断面に沿った構成を示す図である。
【
図6】
図6は、
図4におけるB-B断面に沿った構成を示す図である。
【
図7】
図7は、
図6におけるC-C断面に沿った構成を示す図である。
【
図8】
図8は、
図4におけるD-D断面に沿った構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ケースは、上部が開口された収容部を有するケース本体と、ケース本体の収容部を開閉可能な蓋部と、ケース本体に設けられ、蓋部と係止可能なラッチとを備え、上下方向に積層可能なケースであって、ラッチは、ケースに対して固定された軸部を有し、軸部の軸回りに回動可能に設けられ、蓋部と係止する第1位置と、複数のケースが積層された積層状態において上方に配置されるケースと係止する第2位置とで係止位置を切り替え可能であってもよい。
【0009】
上記の構成では、ラッチを軸部の軸回りに回動可能させることで、第1位置及び第2位置の特定の位置で蓋部又は上方のケースと係止させることができる。したがって、ユーザの利便性を向上させることが可能である。
【0010】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ラッチは、第1位置で蓋部に下方に力を加えるように設けられてもよい。
【0011】
上記の構成では、ラッチが第1位置で蓋部に下方に力を加えるため、蓋部を確実に閉塞することができる。
【0012】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ラッチは、蓋部及びケースと係止可能であり、軸部と平行な第2軸部を有するラッチ本体と、一端が軸部の軸回りに回動可能となるように軸部に連結され、他端が第2軸部の軸回りに回動可能となるように第2軸部に連結されるリンク部材とを有してもよい。
【0013】
上記の構成では、リンク部材により、ラッチ本体は、軸部及び第2軸部の2つの回転軸を中心として回動することができる。したがって、第1位置と第2位置との係止位置の切り替えを円滑に行うことができる。
【0014】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ラッチは、第1位置において蓋部に係止され、第2位置において上方のケースに係止される第1係止部を有してもよい。
【0015】
上記の構成では、第1係止部が、第1位置においては蓋部に係止され、第2位置においては上方のケースに係止されるため、1つの第1係止部によりラッチを蓋部及び上方のケースに効率的に係止させることができる。
【0016】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ラッチは、第2位置において蓋部に係止される第2係止部を有してもよい。
【0017】
上記の構成では、ラッチが第2位置において蓋部にも係止することができるため、ラッチを第1位置及び第2位置のいずれかに配置することで、蓋部を閉塞させることができる。
【0018】
1つ又はそれ以上の実施形態において、軸部は、ケース本体に圧入されてもよい。
【0019】
上記の構成では、軸部がケース本体に圧入されるため、衝撃等によるラッチの脱落を防止できる。
【0020】
1つ又はそれ以上の実施形態において、蓋部は、蓋部の上方に突出した突出位置と、蓋部の下方の待機位置との間で移動可能に設けられ、突出位置に配置されることで、積層状態において上方に配置されるケースに当接して当該ケースの移動を規制する規制部材を有してもよい。
【0021】
上記の構成では、ラッチとは別個に規制部材を有するため、規制部材を突出位置に配置することで、上方に配置されるケースに当接して当該ケースの移動を規制することができる。当該規制部材を用いる構成としては、例えば、前後方向及び左右方向のうち3つ以下の方向の移動を他の規制手段で規制した状態で上方にケースを積層し、前後方向及び左右方向のうちの残りの移動方向について当該規制部材で切り替え可能に規制する構成とすることができる。この場合、ラッチ又は他の連結手段により上方のケースと連結した状態(上下方向への移動を規制した状態)でも、前後方向及び左右方向のうち移動が規制されない方向が存在すると、当該方向に上方のケースを移動させることで、上方のケースを取り外すことができる。これに対して、前後方向及び左右方向の全ての方向について移動を規制することで、上方のケースが前後方向及び左右方向のいずれの方向にも移動しないため、上方のケースとの連結を維持することができる。このように、規制部材により、上方に配置されるケースとの連結及び連結解除を切り替えることが可能となる。なお、前後方向及び左右方向の全ての方向に規制部材を配置してもよい。
【0022】
1つ又はそれ以上の実施形態において、規制部材は、上下方向に延びるアーム部を有し、蓋部は、待機位置及び突出位置のそれぞれにおいてアーム部を支持する凹部又は凸部を有する支持部を有し、アーム部は、待機位置及び突出位置において支持部の凹部又は凸部と係止する凸部又は凹部を有し、アーム部の凸部又は凹部が支持部の凹部又は凸部を乗り越えるように規制部材に力を加えることで弾性変形可能であってもよい。
【0023】
上記の構成では、規制部材が待機位置及び突出位置に配置される場合、アーム部の凸部又は凹部が支持部の凹部又は凸部を乗り越えるようにアーム部を弾性変形させて移動する必要がある。アーム部を弾性変形させる力よりも小さな力を作用させても、規制部材は移動しない。これにより、規制部材を上下方向に移動可能としつつ、位置ズレを抑制することができる。
【0024】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ケース本体の一部と蓋部の一部とを貫通した状態でケース本体と蓋部と連結するシャフトを更に備え、蓋部は、シャフトの軸回りに回動可能に設けられ、シャフトは、軸方向の一部に外周面から突出した返し部を有し、突起部が設けられる部分の内部に中空部を有してもよい。
【0025】
上記の構成では、シャフトが返し部及び中空部を有することにより、例えばシャフトをケース本体の一部及び蓋部の一部に貫通させる際、返し部が中空部側に撓むようにシャフトを変形させることができる。したがって、シャフトを円滑に挿入することができる。また、シャフトを挿入した後、返し部が変形した状態から復帰することで、当該返し部により位置ズレを抑制できる。
【0026】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0027】
実施形態においては、「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、及び「下」の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、ケースの中心を基準とした相対位置又は方向を示す。
【0028】
図1は、本実施形態に係るケースが上下方向に積層された状態(以下、積層状態と表記する)の例を示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係るケースの一例を示す斜視図である。
図3は、本実施形態に係るケースの他の例を示す斜視図である。
図4は、積層状態のケースを前方から見た図である。
図5は、
図4におけるA-A断面に沿った構成を示す図である。
図6は、
図4におけるB-B断面に沿った構成を示す図である。
図7は、
図6におけるC-C断面に沿った構成を示す図である。
図8は、
図4におけるD-D断面に沿った構成を示す図である。
【0029】
図1から
図7に示すように、ケース積層構造1は、3種類のケース100、200、300が上下方向に5段に積層された構成である。ケース100、200、300は、例えば電動工具等を収容して持ち運ぶことが可能である。ケース100、200、300は、単体で用いてもよいし、
図1から
図7に示すようにケース積層構造1として用いてもよい。
【0030】
図2に示すように、ケース100は、ケース本体10と、蓋部20と、ラッチ30と、規制部材40とを備える。
【0031】
ケース本体10は、矩形の箱状である。ケース本体10は、前面10a、後面10b、左面10c、右面10d、上面10e及び下面10fを有する。ケース本体10は、上面10eが開口された収容部10g(
図5等参照)を有する。
【0032】
前面10aには、ラッチ30と、ハンドル11と、溝部12とが設けられる。ラッチ30及び規制部材40については、後述する。ハンドル11は、ケース本体10に回動可能に取り付けられる。ハンドル11を把持して前側に引っ張ることで、ハンドル11が回動し、前面10aに対して前方に立った状態となる。
【0033】
溝部12は、前面10aのうち左右の両側にそれぞれ配置される。溝部12は、上下方向の全体に亘って形成される。溝部12は、左右方向の寸法(幅)が上下に亘って同一又はほぼ同一となるように形成される。なお、溝部12の形状は、上記に限定されず、上下方向の一部に形成された構成であってもよいし、左右方向の寸法が上下に亘って同一とはならない構成であってもよい。溝部12の下端部には、突起部14が設けられる。突起部14は、積層状態におけるケース同士を連結する際に用いられる。具体的には、突起部14は、後述するラッチ80を係止させる。
【0034】
上面10eには、ヒンジ部13が設けられる。ヒンジ部13は、上面10eの後端部に配置される。ヒンジ部13は、蓋部20との連結に用いられる。
【0035】
左面10c及び右面10dには、側部ラッチ16が設けられる。側部ラッチ16は、上下方向に移動させることにより、蓋部20に係止する位置と、積層状態において上方に配置されるケースに係止する位置との間で位置を変更可能である。側部ラッチ16の下方には、突起部18が設けられる。突起部18は、後述する側部ラッチ66を係止させる。なお、
図1から
図7では、左面10c側が示されているが、右面10d側についても対象となるように側部ラッチ16が設けられる。
【0036】
なお、
図3に示すケース200は、ケース本体110と、蓋部20と、ラッチ30と、規制部材40とを備える構成である。ケース200は、蓋部20、ラッチ30及び規制部材40の構成については、ケース100と同様の構成である。また、ケース200は、ケース本体110において、上下方向の寸法がケース本体10よりも大きく、ハンドル11が設けられない点で、ケース本体10とは構成が異なっている。なお、ケース本体110の他の構成については、ケース本体10と同様である。
【0037】
また、
図1及び
図4~
図7に示す2つのケース300は、それぞれケース本体60と、蓋部70と、ラッチ80とを備える。
【0038】
ケース本体60は、矩形の箱状である。ケース本体60は、前面60a、後面60b、左面60c、右面60d、上面60e及び下面60fを有する。ケース本体60は、上面60eが開口された収容部60gを有する。
【0039】
前面60aには、ラッチ80及び溝部62が設けられる。溝部62は、前面60aのうち左右の両側にそれぞれ配置される。溝部62は、上下方向の全体に亘って形成される。溝部62は、左右方向の寸法(幅)が上下に亘って同一又はほぼ同一となるように形成される。なお、溝部62の形状は、上記に限定されず、上下方向の一部に形成された構成であってもよいし、左右方向の寸法が上下に亘って同一とはならない構成であってもよい。溝部62の下端部には、突起部64が設けられる。突起部64は、積層状態において下方に配置されるケースのラッチ30(又はラッチ80)を係止させる。
【0040】
なお、左面60c、右面60dには、側部ラッチ66及び突起部68が設けられる。
【0041】
また、ラッチ80は、上記した側部ラッチ16と同様の構成を有する。すなわち、ラッチ80は、上下方向に移動させることにより、蓋部70に係止する位置と、積層状態において上方に配置されるケースに係止する位置との間で位置を変更可能である。
【0042】
続いて、ケース100及びケース200に共通する構成として、蓋部20、ラッチ30、規制部材40の構成を説明する。
【0043】
蓋部20は、ケース本体10の上面10eに配置される。蓋部20は、収容部10gを開閉する。蓋部20は、ヒンジ部23を有する。ヒンジ部23は、ケース本体10のヒンジ部13に連結される。ヒンジ部13とヒンジ部23との連結には、シャフト50が用いられる。シャフト50は、ヒンジ部13とヒンジ部23とを左右方向に貫通した状態で配置される。蓋部20は、シャフト50の長手方向、すなわち左右方向に沿った回動軸の軸回りに回動可能である。蓋部20は、当該回動によって開閉される。蓋部20は、上下規制部25、後方規制部26及び左右規制部27を有する。上下規制部25は、積層されるケース100、200の脚部17に係止され、当該ケース100、200の上下方向への移動を規制する(
図6、
図8参照)。後方規制部26は、積層されるケース100、200の不図示の脚部に係止され、当該ケース100、200の後方への移動を規制する(
図6、
図8参照)。左右規制部27は、積層されるケース100、200の脚部18に係止され、当該ケース100、200の左右方向への移動を規制する(
図6、
図8参照)。
【0044】
シャフト50は、返し部51及び中空部52を有する(
図7参照)。返し部51は、軸方向の一部に外周面から突出するように設けられる。返し部51がヒンジ部13の端面13aに当たることにより、シャフト50の位置ずれが抑制される。中空部52は、シャフト50の長手方向において返し部51が設けられる部分の内部に形成される。中空部52が設けられることにより、ヒンジ部13とヒンジ部23とを貫通するようにシャフト50を差し込む際、返し部51がシャフト50の径方向の内側に入り込むように変形する(
図7の一点鎖線)。このため、ヒンジ部13及びヒンジ部23の内周等に傷がつくのを防ぎつつ、シャフト50を円滑に配置することができる。
【0045】
蓋部20は、上面20aにハンドル21を有する。ハンドル21は、蓋部20に回動可能に取り付けられる。ハンドル21を把持して上側に引っ張ることで、ハンドル21が回動し、上面20aに対して上方に立った状態となる。
【0046】
ラッチ30は、ケース本体10に設けられ、第1位置P1で蓋部20と係止可能である。また、ラッチ30は、積層状態において、第2位置P2で上方のケースと係止可能である。
【0047】
図9は、ラッチ30の一例を示す斜視図である。
図10は、ラッチ30の一例を示す断面図である。ラッチ30は、ケース側軸部(軸部)31と、ラッチ本体32と、リンク部材33とを有する。
【0048】
ケース側軸部31は、円柱状又は円筒状であり、ケース本体10に圧入される。ケース側軸部31は、左右方向に沿って配置される。
【0049】
ラッチ本体32は、リンク部材33を介してケース側軸部31に連結される。ラッチ本体32は、ベース部34と、本体側軸部(第2軸部)35とを有する。ベース部34は、例えば矩形又はほぼ矩形の枠状に形成される。本体側軸部35は、左右両側から中央側に向けて延びている。本体側軸部35は、ケース側軸部31と平行に設けられる。
【0050】
リンク部材33は、基部33aと、ケース側連結部33bと、本体側連結部33cとを有する。ケース側連結部33bは、基部33aの一端に設けられ、ケース側軸部31に連結される。ケース側連結部33bは、ケース側軸部31の軸回りに回動可能となるように連結される。本体側連結部33cは、基部33aの他端に設けられ、本体側軸部35に連結される。本体側連結部33cは、本体側軸部35の軸回りに回動可能となるように連結される。このような連結により、ラッチ本体32は、リンク部材33を介して、ケース側軸部31及び本体側軸部35の2つの軸部の軸回りに回動可能となっている。
【0051】
また、ラッチ本体32は、第1係止部36と、第2係止部37とを有する。
【0052】
第1係止部36は、第1位置P1において蓋部20の突起部24に係止され、第2位置P2において上方のケースの突起部(突起部14又は突起部64)に係止される。第1係止部36は、下方に突出する凸部36aを有する。第1係止部36は、凸部36aが突起部24の凹部24bに入り込んだ状態で突起部24に係止される。この状態において、第1係止部36は、凸部36aが突起部24の前側端部の凸部24aに接触するにより、前後方向の移動が規制される。凸部36aは、第1係止部36が突起部24に係止された状態で、ラッチ30の弾性力により突起部24を下方に押圧する。第2係止部37は、第2位置P2において蓋部20の突起部24に係止される。
【0053】
ラッチ30の動作について説明する。蓋部20又は上方のケースに対して係止されていない状態(
図10の係止解除状態ST1)で、本体側軸部35がケース側軸部31の下方に位置するようにラッチ本体32を下方に移動させることで、リンク機構33のケース側連結部33bがケース側軸部31の軸回りに回動し、本体側連結部33cが本体側軸部35の軸回りに回動する。リンク機構33の当該回動により、ラッチ本体32を第1位置P1に配置することができる。ラッチ本体32を第1位置P1に配置した状態から、第1係止部36を蓋部20の突起部24に係止させることで、
図10に示す係止状態ST2となる。係止状態ST2において、ラッチ30は、第1係止部36の凸部36aが突起部24に対して下方に弾性力を付与する。このため、蓋部20を確実に閉塞することができる。
【0054】
係止状態ST2から本体側軸部35を中心としてラッチ本体32の上部を手前側に引くことにより、突起部24に対する第1係止部36の係止が解除された状態(
図10の係止解除状態ST1)となる。係止解除状態ST1では、蓋部20が開閉可能となる。また、ラッチ30のケース側軸部31がケース本体10に圧入されて固定されるため、ラッチ30がケース本体10から脱落することを抑制できる。
【0055】
係止解除状態ST1で、本体側軸部35がケース側軸部31の上方に位置するようにラッチ本体32を上方に移動させることで、リンク機構33のケース側連結部33bがケース側軸部31の軸回りに回動し、本体側連結部33cが本体側軸部35の軸回りに回動する。リンク機構33の当該回動により、ラッチ本体32を第2位置P2に配置することができる。このように、ケース側軸部31及び本体側軸部35の2箇所の軸部の軸回りにリンク機構33を回動させることで、ラッチ本体32を特定の位置である第1位置P1及び第2位置P2に容易に配置することができる。ラッチ本体32を第2位置に配置した状態で、第1係止部36を突起部14又は突起部64に係止させ、第2係止部37を蓋部20の突起部24に係止させることにより、
図10に示す係止状態ST3となる。
【0056】
なお、積層状態ではない状態、すなわち、ケース100の上方に他のケースが積層されていない状態において、ラッチ本体32を第2位置に配置した状態で、第2係止部37を蓋部20の突起部24に係止させることができる。この場合、第2係止部37により蓋部20が閉塞された状態となる。このように、積層状態であるか否かに関わらず、ラッチ30を第2位置P2に配置することにより、第2係止部37によって蓋部20を閉塞することができる。
【0057】
規制部材40は、蓋部20に設けられる。規制部材40は、上下方向に移動可能である。
図11は、規制部材40の一例を示す図である。
図11は、規制部材40を移動させた場合について示している。規制部材40は、上下方向に移動することで、蓋部20の上方に突出した突出位置P3と、蓋部20から下方に退避した待機位置P4とに配置可能である。規制部材40は、突出位置P3に配置されることで、積層状態において上方に配置されるケースの前面又はハンドルと接触することで、当該ケースの前方への移動を規制する。
【0058】
規制部材40は、ベース部41と、分岐部42と、アーム部43とを有する。ベース部41は、上下方向に帯状に延びた状態で形成される。分岐部42は、ベース部41の上端から左右両側に延びるように設けられる。アーム部43は、分岐部42の先端から下方に延びるように設けられる。
【0059】
アーム部43は、左右方向に弾性変形可能に設けられる。アーム部43は、下端にストッパ43aを有する。ストッパ43aは、規制部材40が突出位置P3に配置される場合に、支持部15に当たるように設けられる。ストッパ43aが設けられることにより、規制部材40が突出位置P3を超えて上方に移動することを防止できる。また、アーム部43は、ストッパ43aの上方に突起部43bを有する。突起部43bは、ベース部41側に向けて突出する。また、アーム部43は、下端に突起部43cを有する。突起部43cは、ベース41側は反対側に突出する(二点鎖線の領域内に拡大して示す)。
【0060】
図11の状態ST11は、規制部材40が待機位置P4に配置された状態を示している。待機位置P4に配置された状態では、規制部材40は、アーム部43の突起部43cが支持部19の凹部19aに嵌め込まれた状態で保持される。この状態から規制部材40を上方に移動させる際、状態ST12に示すように、両側のアーム部43が左右に閉じる方向に弾性変形して突起部43cが凹部19aを乗り越える。このように、待機位置P4に配置される規制部材40を上方に移動させる場合(状態ST12)、アーム部43が左右方向に閉じるように弾性変形し、突起部43cが凹部19aを乗り越えることができる力を作用させる必要がある。このため、当該力よりも小さな力を作用させても、規制部材40は上方に移動しない。このように、規制部材40は、アーム部43が弾性変形可能であり、待機位置P4において突起部43cが凹部19aに挿入された状態となることで、アーム部43の上下方向への位置ズレが抑制される。
【0061】
アーム部43を弾性変形させて規制部材40を上方に移動させると、突起部43bが支持部15の下端の傾斜部15aに当たる。更に規制部材40を上方に移動させると、アーム部43が左右方向に弾性変形し、突起部43bが傾斜部15aを乗り越えて凹部15bに挿入される。突起部43bが凹部15bに挿入されることで、規制部材40が突出位置P3に配置される(状態ST13)。
【0062】
突出位置P3に配置される規制部材40を下方に移動させる場合(状態ST14)、アーム部43が左右方向に開くように弾性変形し、突起部43bが凹部15bを乗り越えることができる力を作用させる必要がある。このため、当該力よりも小さな力を作用させても、規制部材40は下方に移動しない。このように、規制部材40は、アーム部43が弾性変形可能であり、突出位置P3において突起部43bが凹部15bに挿入された状態となることで、アーム部43の上下方向への位置ズレが抑制される。
【0063】
以上説明したように、本実施形態において、ケース100、200は、上部が開口された収容部10gを有するケース本体10、110と、ケース本体10、110の収容部10gを開閉可能な蓋部20と、ケース本体10、110に設けられ、蓋部20と係止可能なラッチ30とを備え、上下方向に積層可能なケース100、200であって、ラッチ30は、ケース100、200に対して固定されたケース側軸部31を有し、ケース側軸部31の軸回りに回動可能に設けられ、蓋部20と係止する第1位置P1と、複数のケース100、200が積層された積層状態において上方に配置されるケース100、200、300と係止する第2位置P2とで係止位置を切り替え可能であってもよい。
【0064】
上記の構成では、ラッチ30をケース側軸部31の軸回りに回動可能させることで、第1位置P1及び第2位置P2の特定の位置で蓋部20又は上方のケース100、200、300等と係止させることができる。したがって、ユーザの利便性を向上させることが可能である。
【0065】
本実施形態において、ラッチ30は、第1位置P1で下方に弾性力を付与してもよい。
【0066】
上記の構成では、ラッチ30が第1位置P1で下方に弾性力を付与するため、蓋部20を確実に閉塞することができる。
【0067】
本実施形態において、ラッチ30は、蓋部20及びケース100、200と係止可能であり、ケース側軸部31と平行な本体側軸部35を有するラッチ本体32と、一端がケース側軸部31の軸回りに回動可能となるようにケース側軸部31に連結され、他端が本体側軸部35の軸回りに回動可能となるように本体側軸部35に連結されるリンク部材33とを有してもよい。
【0068】
上記の構成では、リンク部材33により、ラッチ本体32は、ケース側軸部31及び本体側軸部35の2つの回転軸を中心として回動することができる。したがって、第1位置P1と第2位置P2との係止位置の切り替えを円滑に行うことができる。
【0069】
本実施形態において、ラッチ30は、第1位置P1において蓋部20に係止され、第2位置P2において上方のケースに係止される第1係止部36を有してもよい。
【0070】
上記の構成では、第1係止部36が、第1位置P1においては蓋部20に係止され、第2位置P2においては上方のケースに係止されるため、1つの第1係止部36によりラッチ30を蓋部20及び上方のケースに効率的に係止させることができる。
【0071】
本実施形態において、ラッチ30は、第2位置P2において蓋部20に係止される第2係止部37を有してもよい。
【0072】
上記の構成では、ラッチ30が第2位置P2において蓋部20にも係止することができるため、ラッチ30を第1位置P1及び第2位置P2のいずれかに配置することで、蓋部20を閉塞させることができる。
【0073】
本実施形態において、ケース側軸部31は、ケース本体10、110に圧入されてもよい。
【0074】
上記の構成では、ケース側軸部31がケース本体10、110に圧入されるため、衝撃等によるラッチ30の脱落を防止できる。
【0075】
本実施形態において、ケース本体10、110は、蓋部20の上方に突出した突出位置P3と、蓋部20の下方の待機位置P4との間で移動可能に設けられ、突出位置P3に配置されることで、積層状態において上方に配置されるケース100、200の前後方向及び左右方向の少なくとも一方への移動を規制する規制部材40を有してもよい。
【0076】
上記の構成では、ラッチ30とは別個に規制部材40を有するため、規制部材40を突出位置P3に配置することで、上方に配置されるケース100、200に当接して当該ケース100、200の前後方向及び左右方向の少なくとも一方への移動を適切に規制することができる。当該規制部材40を用いる構成としては、例えば、前後方向及び左右方向のうち3つ以下の方向の移動を他の規制手段で規制した状態で上側にケース100、200を積層し、前後方向及び左右方向のうちの残りの移動方向について当該規制部材40で切り替え可能に規制する構成とすることができる。本実施形態では、
図2及び
図3に示すように、上下規制部25、後方規制部26及び左右規制部27により、上方のケース100、200の上下方向、後方、左右方向への移動を規制することができる。なお、上方のケース100、200には、積層される場合に上下規制部25、後方規制部26及び左右規制部27に対応する脚部が設けられるようにする。この場合、前方への移動が規制されないと、上方のケース100、200を前方に移動させることで、当該ケース100、200が取り外される。これに対して、規制部材40を突出位置P3に配置することで、前後方向及び左右方向の全ての方向について移動を規制することで、上方のケース100、200が前後方向及び左右方向のいずれの方向にも移動しないため、当該上方のケース100、200との連結を維持することができる。このように、規制部材により、上方のケース100、200との連結及び連結解除を切り替えることが可能となる。なお、前後方向及び左右方向の全ての方向に規制部材を配置してもよい。
【0077】
本実施形態において、規制部材40は、上下方向に延びるアーム部43を有し、蓋部20は、待機位置P4及び突出位置P3のそれぞれにおいてアーム部43を支持する凹部15b、19aを有する支持部15、19を有し、アーム部43は、待機位置P4及び突出位置P3において支持部15、19の凹部15b、19aと係止する凸部43b、43cを有し、アーム部43の凸部43b、43cが支持部15、19の凹部15b、19aを乗り越えるように規制部材40に力を加えることで弾性変形可能であってもよい。
【0078】
上記の構成では、規制部材40が待機位置P4及び突出位置P3に配置される場合、アーム部43の凸部43b、43cが支持部15、19の凹部15b、19aを乗り越えるようにアーム部43を弾性変形させて移動する必要がある。アーム部43を弾性変形させる力よりも小さな力を作用させても、規制部材40は移動しない。これにより、規制部材40を上下方向に移動可能としつつ、位置ズレを抑制することができる。
【0079】
本実施形態において、ケース本体10、110の一部と蓋部20の一部とを貫通した状態でケース本体10、110と蓋部20と連結するシャフト50を更に備え、蓋部20は、シャフト50の軸回りに回動可能に設けられ、シャフト50は、軸方向の一部に外周面から突出した返し部51を有し、突起部が設けられる部分の内部に中空部52を有してもよい。
【0080】
上記の構成では、シャフト50が返し部51及び中空部52を有することにより、例えばシャフト50をケース本体10、110の一部及び蓋部20の一部に貫通させる際、返し部51が中空部52側に撓むようにシャフト50を変形させることができる。したがって、シャフト50を円滑に挿入することができる。また、シャフト50を挿入した後、返し部51が変形した状態から復帰することで、当該返し部51により位置ズレを抑制できる。
【0081】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、ケース本体10の左面10c及び右面10dに側部ラッチ16が配置された構成を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。側部ラッチ16に代えて、上記したラッチ30が設けられてもよい。ケース本体110においても同様である。
【符号の説明】
【0082】
P1…第1位置、P2…第2位置、P3…突出位置、P4…待機位置、1…ケース積層構造、10,60,110…ケース本体、10a,60a…前面、10b,60b…後面、10c,60c…左面、10d,60d…右面、10e,20a,60e…上面、10f,60f…下面、10g,60g…収容部、11,21…ハンドル、12,62…溝部、13,23…ヒンジ部、13a…端面、14,24,43b,64…突起部、15…支持部、15a…傾斜部、15b…凹部、16…側部ラッチ、16a…軸部、17,18…脚部、20,70…蓋部、25…上下規制部、26…後方規制部、27…左右規制部、30,80…ラッチ、31…ケース側軸部、32…ラッチ本体、33…リンク部材、33a…基部、33b…ケース側連結部、33c…本体側連結部、34,41…ベース部、35…本体側軸部、36…第1係止部、37…第2係止部、40…規制部材、42…分岐部、43…アーム部、43a…ストッパ、50…シャフト、51…返し部、52…中空部、100,200,300…ケース