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特開2025-24311情報処理装置、プログラム及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024311
(43)【公開日】2025-02-20
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20250213BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20250213BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20250213BHJP
   G01R 31/392 20190101ALI20250213BHJP
   G01R 31/382 20190101ALI20250213BHJP
   G01R 31/385 20190101ALI20250213BHJP
【FI】
H02J7/00 Q
H01M10/48 P
H01M10/44 P
G01R31/392
G01R31/382
G01R31/385
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128335
(22)【出願日】2023-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】510078160
【氏名又は名称】NExT-e Solutions株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中尾 文昭
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 譲
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216BA01
2G216BA21
2G216CB02
5G503AA01
5G503AA07
5G503BA03
5G503BA04
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB11
5G503DA07
5G503EA05
5G503EA09
5G503FA06
5H030AA01
5H030AS20
5H030BB01
5H030BB21
5H030FF41
(57)【要約】      (修正有)
【課題】情報処理装置、プログラム及び情報処理方法を提供する。
【解決手段】管理サーバと、1以上の蓄電システムのそれぞれとが、通信ネットワークを介して互いに情報を送受する電力システムにおいて、管理サーバ102は、蓄電池の充電状態の変動を検出する変動検出部と、ストレス指標の値を導出する指標値導出部と、変動の度合いが予め定められた条件を満たす場合のストレス指標の値に基づいて、蓄電池が充電されている期間である充電期間又は蓄電池が放電されている期間である放電期間の何れか一方におけるストレス指標の値の積算値を導出する積算値導出部と、を備える。ストレス指標は、満充電及び完全放電を1サイクルとして蓄電池が充放電された場合に充放電により蓄電池に与えられるストレスの度合いに対する、変動検出部が検出した変動により蓄電池に与えられるストレスの度合いの割合を示す。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池の充電状態(SOC:State of Charge)の変動を検出する変動検出部と、
満充電及び完全放電を1サイクルとして前記蓄電池が充放電された場合に前記充放電により前記蓄電池に与えられるストレスの度合いに対する、前記変動検出部が検出した前記変動により前記蓄電池に与えられるストレスの度合いの割合を示す指標であるストレス指標の値を導出する指標値導出部と、
前記変動の度合いが予め定められた条件を満たす場合の前記ストレス指標の前記値に基づいて、前記蓄電池が充電されている期間である充電期間又は前記蓄電池が放電されている期間である放電期間の何れか一方における前記ストレス指標の前記値の積算値を導出する積算値導出部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記予め定められた条件は、
(i)前記変動の大きさが、予め定められた第1閾値よりも大きいという条件、
(ii)予め定められた長さを有する基準期間における前記変動の大きさが、前記第1閾値よりも大きいという条件、又は、
(iii)基準時点における前記蓄電池の充電状態の値である基準値に対する前記変動の大きさの割合が、予め定められた第2閾値よりも大きいという条件、
を含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記変動の度合いが前記予め定められた条件を満たすか否かを判定する判定部をさらに備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記判定部は、
(a)基準時点において前記蓄電池の放電が開始された場合、又は、前記基準時点において前記蓄電池が放電されている場合において、少なくとも、(i)前記基準時点から、前記基準時点よりも後の時点であって、前記蓄電池の充電状態が、前記基準時点における前記蓄電池の充電状態の値である基準値よりも大きくなった時点である第1放電時点までの間の期間である第1期間における前記蓄電池の充電状態の最小値と、前記基準値との差の絶対値である第1変動量が、予め定められた第1放電閾値よりも小さいとき、又は、(ii)前記基準値に対する前記第1変動量の割合が、予め定められた第2放電閾値よりも小さいときに、
前記第1期間において、前記変動の度合いが前記予め定められた条件を満たしていないと判定する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記判定部は、
(a)基準時点において前記蓄電池の放電が開始された場合、又は、前記基準時点において前記蓄電池が放電されている場合において、少なくとも、(iii)前記蓄電池の充電状態が、前記基準時点における前記蓄電池の充電状態の値である基準値よりも大きくなる前に、前記蓄電池の充電状態及び前記基準値の差の絶対値である放電量が、予め定められた第3放電閾値よりも大きくなったとき、又は、(iv)前記蓄電池の充電状態が前記基準値よりも大きくなる前に、前記基準値に対する前記放電量の割合が、予め定められた第4放電閾値よりも大きくなったときに、
前記変動の度合いが前記予め定められた条件を満たしていると判定する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記指標値導出部は、前記放電量が前記第3放電閾値よりも大きくなった時点若しくは前記基準値に対する前記放電量の割合が前記第4放電閾値よりも大きくなった時点である第2放電時点の後に、前記蓄電池の充電が開始された最先の時点である第3放電時点における前記蓄電池の充電状態と、前記基準値との差の絶対値に基づいて、前記ストレス指標の値を導出する、又は、
前記第3放電時点の後に、前記蓄電池の充放電の状態が放電傾向から充電傾向に転換した時点である第4放電時点における前記蓄電池の充電状態と、前記基準値との差の絶対値に基づいて、前記ストレス指標の値を導出する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記蓄電池の前記充電状態の変動の度合いと、前記ストレス指標の度合いとの対応関係を示す対応情報を記憶する記憶装置から、前記対応情報を取得する対応情報取得部をさらに備え、
前記指標値導出部は、前記蓄電池の充電状態及び前記基準値の差の絶対値と、前記対応関係とに基づいて、前記ストレス指標の値を導出する、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記判定部は、前記変動の度合いが前記予め定められた条件を満たしていると判定された場合に、前記基準時点を更新し、
更新後の基準時点は、
前記放電量が前記第3放電閾値よりも大きくなった時点、若しくは、前記基準値に対する前記放電量の割合が前記第4放電閾値よりも大きくなった時点である第2放電時点、
前記第2放電時点の後に前記蓄電池の充電が開始された最先の時点である第3放電時点、又は、
前記第3放電時点の後に前記蓄電池の充放電の状態が放電傾向から充電傾向に転換した時点である第4放電時点、
である、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記判定部は、
(b)基準時点において前記蓄電池の充電が開始された場合、又は、前記基準時点において前記蓄電池が充電されている場合において、少なくとも、(i)前記基準時点から、前記基準時点よりも後の時点であって、前記蓄電池の充電状態が、前記基準時点における前記蓄電池の充電状態の値である基準値よりも小さくなった時点である第1充電時点までの間の期間である第2期間における前記蓄電池の充電状態の最大値と、前記基準値との差の絶対値である第2変動量が、予め定められた第1充電閾値よりも小さいとき、又は、(ii)前記基準値に対する前記第2変動量の割合が、予め定められた第2充電閾値よりも小さいときに、
前記第2期間において、前記変動の度合いが前記予め定められた条件を満たしていないと判定する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記判定部は、
(b)基準時点において前記蓄電池の充電が開始された場合、又は、前記基準時点において前記蓄電池が充電されている場合において、少なくとも、(iii)前記蓄電池の充電状態が、前記基準時点における前記蓄電池の充電状態の値である基準値よりも小さくなる前に、前記蓄電池の充電状態及び前記基準値の差の絶対値である充電量が、予め定められた第3充電閾値よりも大きくなったとき、又は、(iv)前記蓄電池の充電状態が前記基準値よりも小さくなる前に、前記基準値に対する前記充電量の割合が、予め定められた第4充電閾値よりも大きくなったときに、
前記変動の度合いが前記予め定められた条件を満たしていると判定する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記指標値導出部は、前記充電量が前記第3充電閾値よりも大きくなった時点若しくは前記基準値に対する前記充電量の割合が前記第4充電閾値よりも大きくなった時点である第2充電時点の後に、前記蓄電池の放電が開始された最先の時点である第3充電時点における前記蓄電池の充電状態と、前記基準値との差の絶対値に基づいて、前記ストレス指標の値を導出する、又は、
前記第3充電時点の後に、前記蓄電池の充放電の状態が充電傾向から放電傾向に転換した時点である第4充電時点における前記蓄電池の充電状態と、前記基準値との差の絶対値に基づいて、前記ストレス指標の値を導出する、
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記蓄電池の前記充電状態の変動の度合いと、前記ストレス指標の度合いとの対応関係を示す対応情報を記憶する記憶装置から、前記対応情報を取得する対応情報取得部をさらに備え、
前記指標値導出部は、前記蓄電池の充電状態及び前記基準値の差の絶対値と、前記対応関係とに基づいて、前記ストレス指標の値を導出する、
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記判定部は、前記変動の度合いが前記予め定められた条件を満たしていると判定された場合に、前記基準時点を更新し、
更新後の基準時点は、
前記充電量が前記第3充電閾値よりも大きくなった時点、若しくは、前記基準値に対する前記充電量の割合が前記第4充電閾値よりも大きくなった時点である第2充電時点、
前記第2充電時点の後に前記蓄電池の放電が開始された最先の時点である第3放電時点、又は、
前記第3放電時点の後に前記蓄電池の充放電の状態が充電傾向から放電傾向に転換した時点である第4充電時点、
である、
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記変動検出部は、入力端子及び出力端子の間に並列に接続された複数の蓄電池のそれぞれについて、各蓄電池の充電状態の変動を検出し、
前記指標値導出部は、前記複数の蓄電池のそれぞれについて、各蓄電池に関する前記ストレス指標の値を導出し、
前記積算値導出部は、前記複数の蓄電池のそれぞれについて、各蓄電池の前記充電期間又は前記放電期間の何れか一方における前記ストレス指標の前記値の前記積算値を導出し、
前記複数の蓄電池の少なくとも1つは、直列に接続された複数の蓄電セルを含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項15】
コンピュータを、請求項1から請求項14までの何れか一項に記載の情報処理装置として機能させるためのプログラム。
【請求項16】
蓄電池の充電状態(SOC:State of Charge)の変動を検出する変動検出段階と、
満充電及び完全放電を1サイクルとして前記蓄電池が充放電された場合に前記充放電により前記蓄電池に与えられるストレスの度合いに対する、前記変動検出段階において検出された前記変動により前記蓄電池に与えられるストレスの度合いの割合を示す指標であるストレス指標の値を導出する指標値導出段階と、
前記変動の度合いが予め定められた条件を満たす場合の前記ストレス指標の前記値に基づいて、前記蓄電池が充電されている期間である充電期間又は前記蓄電池が放電されている期間である放電期間の何れか一方における前記ストレス指標の前記値の積算値を導出する積算値導出段階と、
を有する、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、プログラム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、充放電時におけるSOC変動幅を用いた電池の劣化推定方法が開示されている。非特許文献1には、電動車両のバッテリストレス制御技術が開示されている。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1)特開2023-047106号公報
(非特許文献)
(非特許文献1)坂本俊之、"科学研究費助成事業 研究成果報告書"、[online]、令和元年6月25日、[令和5年7月3日検索]、インターネット<URL:https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-16K06975/16K06975seika.pdf>
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の第1の態様においては、情報処理装置が提供される。上記の情報処理装置は、例えば、蓄電池の充電状態(SOC:State of Charge)の変動を検出する変動検出部を備える。上記の情報処理装置は、例えば、当該蓄電池のストレス指標の値を導出する指標値導出部を備える。上記の情報処理装置において、ストレス指標は、例えば、満充電及び完全放電を1サイクルとして蓄電池が充放電された場合に充放電により蓄電池に与えられるストレスの度合いに対する、変動検出部が検出した変動により蓄電池に与えられるストレスの度合いの割合を示す指標である。上記の情報処理装置は、例えば、変動の度合いが予め定められた条件を満たす場合のストレス指標の値に基づいて、蓄電池が充電されている期間である充電期間又は蓄電池が放電されている期間である放電期間の何れか一方におけるストレス指標の値の積算値を導出する積算値導出部を備える。
【0004】
上記の何れかの情報処理装置において、予め定められた条件は、(i)変動の大きさが、予め定められた第1閾値よりも大きいという条件、(ii)予め定められた長さを有する基準期間における変動の大きさが、第1閾値よりも大きいという条件、又は、(iii)基準時点における蓄電池の充電状態の値である基準値に対する変動の大きさの割合が、予め定められた第2閾値よりも大きいという条件を含んでよい。
【0005】
上記の何れかの情報処理装置は、変動の度合いが予め定められた条件を満たすか否かを判定する判定部を備えてよい。
【0006】
上記の何れかの情報処理装置において、判定部は、(a)基準時点において蓄電池の放電が開始された場合、又は、基準時点において蓄電池が放電されている場合において、少なくとも、(i)基準時点から、基準時点よりも後の時点であって、蓄電池の充電状態が、基準時点における蓄電池の充電状態の値である基準値よりも大きくなった時点である第1放電時点までの間の期間である第1期間における蓄電池の充電状態の最小値と、基準値との差の絶対値である第1変動量が、予め定められた第1放電閾値よりも小さいとき、又は、(ii)基準値に対する第1変動量の割合が、予め定められた第2放電閾値よりも小さいときに、第1期間において、変動の度合いが予め定められた条件を満たしていないと判定してよい。
【0007】
上記の何れかの情報処理装置において、判定部は、(a)基準時点において蓄電池の放電が開始された場合、又は、基準時点において蓄電池が放電されている場合において、少なくとも、(iii)蓄電池の充電状態が、基準時点における蓄電池の充電状態の値である基準値よりも大きくなる前に、蓄電池の充電状態及び基準値の差の絶対値である放電量が、予め定められた第3放電閾値よりも大きくなったとき、又は、(iv)蓄電池の充電状態が基準値よりも大きくなる前に、基準値に対する放電量の割合が、予め定められた第4放電閾値よりも大きくなったときに、変動の度合いが予め定められた条件を満たしていると判定してよい。
【0008】
上記の何れかの情報処理装置において、指標値導出部は、放電量が第3放電閾値よりも大きくなった時点若しくは基準値に対する放電量の割合が第4放電閾値よりも大きくなった時点である第2放電時点の後に、蓄電池の充電が開始された最先の時点である第3放電時点における蓄電池の充電状態と、基準値との差の絶対値に基づいて、ストレス指標の値を導出してよい。上記の何れかの情報処理装置において、指標値導出部は、第3放電時点の後に、蓄電池の充放電の状態が放電傾向から充電傾向に転換した時点である第4放電時点における蓄電池の充電状態と、基準値との差の絶対値に基づいて、ストレス指標の値を導出してよい。
【0009】
上記の何れかの情報処理装置は、蓄電池の充電状態の変動の度合いと、ストレス指標の度合いとの対応関係を示す対応情報を記憶する記憶装置から、対応情報を取得する対応情報取得部を備えてよい。指標値導出部は、蓄電池の充電状態及び基準値の差の絶対値と、対応関係とに基づいて、ストレス指標の値を導出してよい。
【0010】
上記の何れかの情報処理装置において、判定部は、変動の度合いが予め定められた条件を満たしていると判定された場合に、基準時点を更新してよい。更新後の基準時点は、放電量が第3放電閾値よりも大きくなった時点、若しくは、基準値に対する放電量の割合が第4放電閾値よりも大きくなった時点である第2放電時点、第2放電時点の後に蓄電池の充電が開始された最先の時点である第3放電時点、又は、第3放電時点の後に蓄電池の充放電の状態が放電傾向から充電傾向に転換した時点である第4放電時点であってよい。
【0011】
上記の何れかの情報処理装置において、判定部は、(b)基準時点において蓄電池の充電が開始された場合、又は、基準時点において蓄電池が充電されている場合において、少なくとも、(i)基準時点から、基準時点よりも後の時点であって、蓄電池の充電状態が、基準時点における蓄電池の充電状態の値である基準値よりも小さくなった時点である第1充電時点までの間の期間である第2期間における蓄電池の充電状態の最大値と、基準値との差の絶対値である第2変動量が、予め定められた第1充電閾値よりも小さいとき、又は、(ii)基準値に対する第2変動量の割合が、予め定められた第2充電閾値よりも小さいときに、第2期間において、変動の度合いが予め定められた条件を満たしていないと判定してよい。
【0012】
上記の何れかの情報処理装置において、判定部は、(b)基準時点において蓄電池の充電が開始された場合、又は、基準時点において蓄電池が充電されている場合において、少なくとも、(iii)蓄電池の充電状態が、基準時点における蓄電池の充電状態の値である基準値よりも小さくなる前に、蓄電池の充電状態及び基準値の差の絶対値である充電量が、予め定められた第3充電閾値よりも大きくなったとき、又は、(iv)蓄電池の充電状態が基準値よりも小さくなる前に、基準値に対する充電量の割合が、予め定められた第4充電閾値よりも大きくなったときに、変動の度合いが予め定められた条件を満たしていると判定してよい。
【0013】
上記の何れかの情報処理装置において、指標値導出部は、充電量が第3充電閾値よりも大きくなった時点若しくは基準値に対する充電量の割合が第4充電閾値よりも大きくなった時点である第2充電時点の後に、蓄電池の放電が開始された最先の時点である第3充電時点における蓄電池の充電状態と、基準値との差の絶対値に基づいて、ストレス指標の値を導出してよい。上記の何れかの情報処理装置において、指標値導出部は、第3充電時点の後に、蓄電池の充放電の状態が充電傾向から放電傾向に転換した時点である第4充電時点における蓄電池の充電状態と、基準値との差の絶対値に基づいて、ストレス指標の値を導出してよい。
【0014】
上記の何れかの情報処理装置は、蓄電池の充電状態の変動の度合いと、ストレス指標の度合いとの対応関係を示す対応情報を記憶する記憶装置から、対応情報を取得する対応情報取得部を備えてよい。指標値導出部は、蓄電池の充電状態及び基準値の差の絶対値と、対応関係とに基づいて、ストレス指標の値を導出してよい。
【0015】
上記の何れかの情報処理装置において、判定部は、変動の度合いが予め定められた条件を満たしていると判定された場合に、基準時点を更新してよい。更新後の基準時点は、充電量が第3充電閾値よりも大きくなった時点、若しくは、基準値に対する充電量の割合が第4充電閾値よりも大きくなった時点である第2充電時点、第2充電時点の後に蓄電池の放電が開始された最先の時点である第3放電時点、又は、第3放電時点の後に蓄電池の充放電の状態が充電傾向から放電傾向に転換した時点である第4充電時点であってよい。
【0016】
上記の何れかの情報処理装置において、変動検出部は、入力端子及び出力端子の間に並列に接続された複数の蓄電池のそれぞれについて、各蓄電池の充電状態の変動を検出してよい。上記の何れかの情報処理装置において、指標値導出部は、複数の蓄電池のそれぞれについて、各蓄電池に関するストレス指標の値を導出してよい。上記の何れかの情報処理装置において、積算値導出部は、複数の蓄電池のそれぞれについて、各蓄電池の充電期間又は放電期間の何れか一方におけるストレス指標の値の積算値を導出してよい。上記の何れかの情報処理装置において、複数の蓄電池の少なくとも1つは、直列に接続された複数の蓄電セルを含んでよい。
【0017】
本発明の第2の態様においては、情報処理方法が提供される。上記の情報処理方法は、例えば、蓄電池の充電状態(SOC:State of Charge)の変動を検出する変動検出段階を有する。上記の情報処理方法は、例えば、ストレス指標の値を導出する指標値導出段階を有する。上記の情報処理方法において、ストレス指標は、例えば、満充電及び完全放電を1サイクルとして蓄電池が充放電された場合に充放電により蓄電池に与えられるストレスの度合いに対する、変動検出段階において検出された変動により蓄電池に与えられるストレスの度合いの割合を示す指標である。上記の情報処理方法は、例えば、変動の度合いが予め定められた条件を満たす場合のストレス指標の値に基づいて、蓄電池が充電されている期間である充電期間又は蓄電池が放電されている期間である放電期間の何れか一方におけるストレス指標の値の積算値を導出する積算値導出段階を有する。上記の情報処理方法において、各段階の動作主体がコンピュータであってもよい。
【0018】
本発明の第3の態様においては、プログラムが提供される。上記のプログラムを格納するコンピュータ可読媒体が提供されてもよい。コンピュータ可読媒体は、非一時的コンピュータ可読媒体であってもよく、コンピュータ可読記録媒体であってもよい。上記のプログラムは、コンピュータを、上記の第1の態様に係る何れかの情報処理装置として機能させるためのプログラムであってよい。上記のプログラムは、コンピュータに、上記の第2の態様に係る何れかの情報処理方法を実行させるためのプログラムであってもよい。
【0019】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】電力システム100のシステム構成の一例を概略的に示す。
図2】蓄電モジュール110の内部構成の一例を概略的に示す。
図3】管理サーバ102における情報処理の一例を概略的に示す。
図4】放電傾向時の判定処理の一例を概略的に示す。
図5】放電傾向時の判定処理の他の例を概略的に示す。
図6】充電傾向時の判定処理の一例を概略的に示す。
図7】充電傾向時の判定処理の他の例を概略的に示す。
図8】管理サーバ102の内部構成の一例を概略的に示す。
図9】対応情報の生成処理の一例を概略的に示す。
図10】管理サーバ102の内部構成の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は、特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、図面を参照して、実施形態について説明するが、図面の記載において、同一または類似の部分には同一の参照番号を付して重複する説明を省く場合がある。
【0022】
(電力システム100の概要)
図1は、電力システム100のシステム構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、電力システム100は、管理サーバ102と、1以上の蓄電システム104とを備える。本実施形態において、管理サーバ102と、1以上の蓄電システム104のそれぞれとは、通信ネットワーク10を介して互いに情報を送受することができる。本実施形態において、1以上の蓄電システム104のそれぞれは、負荷装置12及び/又は充電装置14と電気的に接続される。電力システム100は、負荷装置12及び/又は充電装置14に対して並列に接続された複数の蓄電システム104を有してよい。電力システム100は、負荷装置12及び/又は充電装置14に対して直列に接続された複数の蓄電システム104を有してもよい。
【0023】
本実施形態において、「A及びBが電気的に接続される」とは、A及びBが物理的に直接接続される場合に限定されない。A及びBの間に導電性の物質が介在していてもよい。また、A及びBが物理的に接続されていなくてもよい。例えば、変圧器の入力巻線と出力巻線とは物理的には接続されていないが、電気的には接続されている。また、「A及びBが直列に接続される」とは、A及びBが直列に電気的に接続されることを示し、「A及びBが並列に接続される」とは、A及びBが並列に電気的に接続されることを示す。
【0024】
(電力システム100に関連する各部の概要)
本実施形態において、通信ネットワーク10は、複数の装置の間で情報を伝送する。通信ネットワーク10は、有線通信の伝送路であってもよく、無線通信の伝送路であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。通信ネットワーク10は、インターネット、専用回線、無線通信網又はそれらの組み合わせであってもよい。通信ネットワーク10は、アドホックネットワークなどのP2Pネットワークを含んでもよい。
【0025】
無線通信網における通信方式は、移動体通信方式であってもよく、無線データ通信方式であってもよい。移動体通信方式としては、3G方式、LTE方式、4G方式、5G方式、6G方式などが例示される。無線データ通信方式としては、無線PAN方式、無線LAN方式、無線MAN方式、無線WAN方式などが例示される。無線通信網における通信方式は、各種の近距離無線通信方式であってもよい。
【0026】
本実施形態において、負荷装置12は、1以上の蓄電システム104が出力する電力を受け取り、当該電力を消費する。本実施形態において、充電装置14は、1以上の蓄電システム104のそれぞれに電力を供給し、1以上の蓄電システム104のそれぞれを充電する。
【0027】
本実施形態において、管理サーバ102は、1以上の蓄電システム104のそれぞれを管理する。管理サーバ102は、例えば、1以上の蓄電システム104のそれぞれに配された蓄電部の劣化の度合い、残存寿命(単に、寿命と称される場合がある。)又は交換時期を管理する。管理サーバ102の詳細は後述される。
【0028】
本実施形態においては、管理サーバ102の理解を容易にすることを目的として、電力システム100が単一の蓄電システム104を備え、管理サーバ102が当該単一の蓄電システム104を管理する場合を例として、電力システム100の詳細が説明される。しかしながら、電力システム100は、本実施形態に限定されない。他の実施形態において、電力システム100は複数の蓄電システム104を備え、管理サーバ102は当該複数の蓄電システム104のそれぞれを管理してよい。また、本願明細書の記載に接した当業者であれば、電力システム100が複数の蓄電システム104を備える場合であっても、管理サーバ102が、電力システム100が単一の蓄電システム104を備える場合と同様の手順により、複数の蓄電システム104のそれぞれを管理できることを理解することができる。
【0029】
本実施形態において、蓄電システム104は、他の装置との間で電力を授受する。一実施形態において、蓄電システム104は、負荷装置12と電気的に接続され、負荷装置12に電力を供給する(蓄電システム104の放電と称する場合がある)。他の実施形態において、蓄電システム104は、充電装置14と電気的に接続され、充電装置14から供給された電力を蓄積する(蓄電システム104の充電と称する場合がある)。
【0030】
蓄電システム104は、例えば、蓄電装置、電気機器、輸送装置などに利用される。蓄電装置としては、定置式の蓄電装置、携帯式又は可搬式の蓄電装置などが例示される。輸送装置としては、電気自動車、ハイブリッド自動車、電気二輪車、鉄道車両、飛行機、昇降機、クレーンなどを例示することができる。
【0031】
本実施形態において、蓄電システム104は、接続端子106と、接続端子107と、接続端子106及び接続端子107を電気的に接続する配線108と、正極端子112及び負極端子114を有する蓄電モジュール110と、正極端子122及び負極端子124を有する蓄電モジュール120と、システム制御部140とを備える。
【0032】
本実施形態においては、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120が、配線108を用いて並列に接続される場合を例として、蓄電システム104の詳細が説明される。しかしながら、蓄電システム104は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、蓄電システム104は、単一の蓄電モジュールを備えてもよく、3以上の蓄電モジュールを備えてもよい。さらに他の実施形態において、蓄電システム104は、直列に接続される複数の蓄電モジュールを備えてもよい。
【0033】
本実施形態において、接続端子106及び接続端子107は、蓄電システム104と、負荷装置12又は充電装置14とを電気的に接続する。本実施形態において、配線108は、接続端子106及び接続端子107と、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれとを電気的に接続する。
【0034】
本実施形態において、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれは、他の装置との間で電力を授受する。一実施形態において、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれは、負荷装置12に電力を供給する。他の実施形態において、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれは、充電装置14から供給された電力を蓄積する。
【0035】
本実施形態において、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれは、蓄電システム104の筐体に着脱自在に保持される。これにより、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれを、個別に交換することができる。
【0036】
本実施形態において、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれは、システム制御部140からの制御信号又はユーザの操作に基づいて、各蓄電モジュールの蓄電部と配線108との接続関係を切り替えることができる。例えば、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれは、システム制御部140からの制御信号、又は、ユーザの操作に基づいて、各蓄電モジュールの蓄電部を配線108に電気的に接続させたり、各蓄電モジュールの蓄電部を配線108から電気的に切断したりすることができる。
【0037】
これにより、蓄電システム104に新たに実装する蓄電モジュールの電圧と、蓄電システム104に既に実装されている蓄電モジュールの電圧とが異なる場合であっても、蓄電モジュールの破損又は劣化を心配することなく、蓄電システム104に含まれる複数の蓄電モジュールのそれぞれを、個別に交換することができる。
【0038】
本実施形態において、システム制御部140は、蓄電システム104の各部を制御する。システム制御部140は、例えば、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の少なくとも一方の蓄電部と、配線108との接続関係を切り替える。
【0039】
システム制御部140は、例えば、各蓄電モジュールの蓄電部の電圧に基づいて、各蓄電モジュールの蓄電部を配線108に電気的に接続させる順番を決定する。一実施形態において、蓄電システム104の動作を開始する場合において、蓄電システム104の状態が充電状態から始まるとき、システム制御部140は、電圧の小さな蓄電モジュールの蓄電部から、配線108に電気的に接続させる。一方、蓄電システム104の動作を開始する場合において、蓄電システム104の状態が放電状態から始まるとき、システム制御部140は、電圧の大きな蓄電モジュールの蓄電部から、配線108に電気的に接続させる。他の実施形態において、システム制御部140は、各蓄電モジュールの端子間電圧に基づいて、各蓄電モジュールの蓄電部を配線108に電気的に接続させる順番を決定してもよい。
【0040】
システム制御部140は、例えば、蓄電部を配線108に接続させるための信号を、決定された順番に従って各蓄電モジュールに送信する。各蓄電モジュールは、システム制御部140からの信号に従って、各蓄電モジュールの蓄電部と、配線108とを電気的に接続させる。システム制御部140は、電圧若しくはSOCが最も小さな蓄電モジュール、又は、電圧若しくはSOCが最も大きな蓄電モジュールを選択して、選択された蓄電モジュールに対してのみ、蓄電部を配線108に接続させるための信号を送信してもよい。
【0041】
システム制御部140は、蓄電システム104、並びに/又は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の少なくとも一方の状態を監視してよい。上記の状態としては、電源のON/OFF、運転状態などが例示される。運転状態としては、充電中、放電中、停止中などが例示される。
【0042】
システム制御部140は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれの電池特性に関する情報を収集してよい。蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれの電池特性に関する情報は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれに含まれる蓄電部の電池特性に関する情報であってよい。蓄電部の電池特性に関する情報としては、当該蓄電部の電圧値、当該蓄電部を流れる電流値、当該蓄電部の電池容量、当該蓄電部のSOC(State Of Charge)、当該蓄電部の温度及び当該蓄電部の劣化状態から選択される少なくとも1つに関する情報が例示される。
【0043】
蓄電部の劣化状態に関する情報としては、任意の時点における蓄電部の情報であって、(i)満充電状態における電池容量、(ii)予め定められた温度条件におけるSOC、(iii)SOH(State Of Health)、(iv)等価直列抵抗(DCR、内部抵抗と称される場合もある。)、(v)初期状態又は予め定められたタイミングから当該任意の時点までの期間における使用時間の積算値、当該期間における充電回数、当該期間中に充電された電気容量、当該期間中の放電回数、当該期間中に放電された電気容量、及び、当該期間における充放電サイクル数の少なくとも1つ、並びに、(vi)初期状態又は予め定められたタイミングから当該任意の時点までの期間における温度ストレス要素及び/又は過電流ストレス要素の少なくとも1つに関する情報が例示される。蓄電部の電池特性に関する情報は、蓄電部の劣化状態に関する情報と、当該情報が取得された時刻に関する情報とを対応付けて格納してもよい。蓄電部の電池特性に関する情報は、複数の時刻における、蓄電部の劣化状態に関する情報を格納してよい。
【0044】
SOH[%]は、例えば、劣化時の満充電容量(例えば、現在の満充電容量である。)[Ah]÷初期の満充電容量[Ah]×100として表される。SOHの算出方法又は推算方法は特に限定されるものではないが、例えば、蓄電部のSOHは、当該蓄電部の直流抵抗値及び開放電圧値の少なくとも一方に基づいて、算定又は推定される。SOHは、任意の換算式などを利用して、予め定められた温度条件における値に換算された値であってもよい。
【0045】
蓄電部の劣化状態の判定方法は、特に制限されるものでなく、現在知られている、又は、将来開発された判定方法を利用することができる。一般的に、蓄電部の劣化が進行するにつれて、利用可能な電池容量は減少し、等価直列抵抗は増加する。そのため、例えば、現在の電池容量、SOC又は等価直列抵抗と、初期状態の電池容量、SOC又は等価直列抵抗とを比較することで、電池の劣化状態を判定することができる。
【0046】
SOC[%]は、例えば、残容量[Ah]÷満充電容量[Ah]×100として表される。SOCの算出方法又は推算方法は特に限定されるものではないが、SOCは、例えば、(i)蓄電部の電圧の測定結果、(ii)蓄電部の電圧のI-V特性データ及び(iii)蓄電部の電流値の積算値の少なくとも1つに基づいて、算出又は推定される。SOCは、任意の換算式などを利用して、予め定められた温度条件における値に換算された値であってもよい。
【0047】
システム制御部140は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれ、又は、各蓄電モジュールに含まれる蓄電部の仕様に関する情報を収集してもよい。蓄電部の仕様に関する情報としては、蓄電部の種類又は型式、蓄電部の接続状態、蓄電部を充電することができる充電方式の種類、蓄電部を充電することができない充電方式の種類、定格電池容量(定格容量と称される場合がある。)、定格電圧、定格電流、エネルギー密度、最大充放電電流、充電特性、充電温度特性、放電特性、放電温度特性、自己放電特性、充放電サイクル特性、初期状態における等価直列抵抗、初期状態における電池容量、初期状態におけるSOC[%]、蓄電電圧[V]などに関する情報が例示される。
【0048】
充電方式としては、CCCV方式、CC方式、トリクル充電方式などが例示される。蓄電部の接続状態としては、蓄電部を構成する単位セルの種類、当該単位セルの数、当該単位セルの接続形式などを例示することができる。単位セルの接続形式としては、直列に接続された単位セルの数、並列に接続された単位セルの数などを例示することができる。エネルギー密度は、体積エネルギー密度[Wh/m]であってもよく、重量エネルギー密度[Wh/kg]であってもよい。
【0049】
システム制御部140は、通信ネットワーク10を介して、管理サーバ102との間で情報を送受してもよい。システム制御部140は、例えば、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の少なくとも一方の電池特性に関する情報を、管理サーバ102に送信する。システム制御部140は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の少なくとも一方に含まれる蓄電部の電池特性に関する情報を、管理サーバ102に送信してもよい。
【0050】
システム制御部140は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよい。また、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。一実施形態において、システム制御部140は、アナログ回路、デジタル回路、又は、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせにより実現されてもよい。他の実施形態において、システム制御部140は、CPU、ROM、RAM、通信インターフェース等を有するデータ処理装置等を備えた一般的な情報処理装置において、システム制御部140の各部を制御するためのプログラムが実行されることにより実現されてよい。
【0051】
電力システム100は、情報処理装置の一例であってよい。管理サーバ102は、情報処理装置の一例であってよい。蓄電モジュール110は、蓄電池の一例であってよい。蓄電モジュール110の蓄電部は、蓄電池の一例であってよい。蓄電モジュール120は、蓄電池の一例であってよい。蓄電モジュール120の蓄電部は、蓄電池の一例であってよい。
【0052】
図2は、蓄電モジュール110の内部構成の一例を概略的に示す。なお、蓄電モジュール120は、蓄電モジュール110と同様の構成を有してよい。
【0053】
本実施形態において、蓄電モジュール110は、例えば、正極端子212及び負極端子214を有する蓄電部210と、切替部230と、モジュール制御部240と、保護部250と、バランス補正部260とを備える。本実施形態において、蓄電部210は、例えば、蓄電セル222と、蓄電セル224とを備える。
【0054】
本実施形態においては、蓄電部210の正極端子212が、蓄電モジュール110の正極端子112及び切替部230を介して配線108と電気的に接続され、蓄電部210の負極端子214が、蓄電モジュール110の負極端子114を介して配線108と電気的に接続される場合を例として、蓄電モジュール110の詳細が説明される。しかしながら、蓄電モジュール110は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、蓄電部210の負極端子214が、蓄電モジュール110の負極端子114及び切替部230を介して配線108と電気的に接続され、蓄電部210の正極端子212が、蓄電モジュール110の正極端子112を介して配線108と電気的に接続されてもよい。
【0055】
本実施形態において、蓄電部210は、他の装置との間で電力を授受する。一実施形態において、蓄電部210は、負荷装置12に電力を供給する。他の実施形態において、蓄電部210は、充電装置14から供給された電力を蓄積する。
【0056】
本実施形態において、蓄電セル222及び蓄電セル224は、他の装置との間で電力を授受する。本実施形態において、蓄電セル222及び蓄電セル224は直列に接続される。蓄電セル222及び蓄電セル224は、二次電池またはキャパシタであってよい。蓄電セル222及び蓄電セル224の少なくとも一方は、リチウムイオン電池であってよい。蓄電セル222及び蓄電セル224の少なくとも一方は、当該蓄電セルの内部に、さらに直列、並列又はマトリクス状に接続された複数の蓄電セルを含んでもよい。
【0057】
本実施形態において、切替部230は、配線108及び蓄電部210の間に配される。本実施形態において、切替部230は、モジュール制御部240が生成した信号に基づいて、配線108及び蓄電部210の接続状態を切り替える。これにより、蓄電部210を配線108に電気的に接続させたり、蓄電部210を配線108から電気的に切断したりすることができる。蓄電モジュール110が蓄電システム104に実装される場合、蓄電モジュール110は、切替部230により蓄電部210及び配線108が電気的に切断された状態で、蓄電システム104に装着されてよい。これにより、蓄電モジュール110の破損又は劣化が抑制され得る。
【0058】
切替部230は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよく、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。切替部230は、アナログ回路、デジタル回路、又は、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせにより実現されてもよい。切替部230は、1以上の素子を有してよい。切替部230は、1以上のスイッチング素子を有してもよい。1以上のスイッチング素子のそれぞれは、正極端子112及び正極端子212の間、又は、負極端子114及び負極端子214の間に配されてよい。スイッチング素子としては、リレー、サイリスタ、トランジスタなどを例示することができる。サイリスタは、双方向性サイリスタ(トライアックと称される場合がある。)であってもよい。トランジスタは、半導体トランジスタであってもよい。半導体トランジスタは、バイポーラトランジスタであってもよく、電界効果トランジスタであってもよい。電界効果トランジスタは、MOSFETであってもよい。
【0059】
モジュール制御部240は、蓄電モジュール110の蓄電部210と、配線108との間に流れる電流を制御する。本実施形態において、モジュール制御部240は、切替部230の端子間電圧(本実施形態においては、正極端子112及び正極端子212の間の電圧である。)が予め定められた条件を満足する場合に、切替部230が蓄電部210及び配線108を電気的に接続するように、切替部230を制御する。切替部230は、蓄電部210及び正極端子112を電気的に接続することで、蓄電部210及び配線108を電気的に接続してよい。
【0060】
一方、切替部230の端子間電圧が予め定められた条件を満足しない場合には、切替部230が蓄電部210及び配線108又は正極端子112を電気的に切断するように、切替部230を制御する。切替部230は、蓄電部210及び正極端子112を電気的に切断することで、蓄電部210及び配線108を電気的に切断してよい。
【0061】
予め定められた条件は、切替部230の端子間電圧の絶対値が、予め定められた範囲内であるという条件であってよい。予め定められた範囲は、3V以下であってもよく、1V以下であってもよく、0.1V以下であってもよく、10mV以下であってもよく、1mV以下であってもよい。また、予め定められた範囲は、0.5mV以上であってもよく、1mV以上であってもよい。予め定められた範囲は、0.5mV以上3V以下であってもよい。予め定められた範囲は、1mV以上3V以下であってもよく、1mV以上1V以下であってもよく、1mV以上0.1V以下であってもよく、1mV以上10mV以下であってもよく、10mV以上1V以下であってもよく、10mV以上0.1V以下であってもよく、0.1V以上1V以下であってもよい。なお、切替部230の端子間電圧は、正極端子112及び正極端子212の間の電圧であってもよく、配線108及び蓄電部210の間の電圧であってもよい。
【0062】
予め定められた範囲は、蓄電部210のインピーダンスに基づいて、設定されてもよい。予め定められた範囲は、蓄電部210の定格電流又は許容電流に基づいて、設定されてよい。予め定められた範囲は、蓄電部210のインピーダンスと、蓄電部210の定格電流又は許容電流とに基づいて、設定されてよい。予め定められた範囲は、蓄電モジュール110を構成する素子のうち、定格電流又は許容電流が最も小さな素子の定格電流又は許容電流に基づいて、設定されてよい。予め定められた範囲は、蓄電モジュール110のインピーダンスと、蓄電モジュール110を構成する素子のうち、定格電流又は許容電流が最も小さな素子の定格電流又は許容電流に基づいて、設定されてよい。
【0063】
これにより、蓄電モジュールが交換される場合に、新たに実装された蓄電モジュールと、既に実装されていた蓄電モジュールとの電圧差が予め定められた範囲内になるまで、配線108と、新たに実装された蓄電モジュールの蓄電部210とが電気的に切断された状態が維持される。そして、既に実装されていた蓄電モジュールの充電又は放電により、新たに実装された蓄電モジュールと、既に実装されていた蓄電モジュールとの電圧差が予め定められた範囲内になると、新たに実装された蓄電モジュールの蓄電部が配線108に電気的に接続される。このように、本実施形態によれば、新たに実装された蓄電モジュールと、他の蓄電モジュールとが、自動的に電気的に接続される。
【0064】
本実施形態において、モジュール制御部240は、システム制御部140から、蓄電モジュール110の端子間電圧が、他の蓄電モジュールの端子間電圧よりも小さいことを示す信号を受信する。モジュール制御部240は、蓄電システム104が充電状態に移行するときに上記の信号を受信すると、切替部230が蓄電部210及び配線108を電気的に接続するように、切替部230を制御する。これにより、並列に接続された複数の蓄電モジュール110を効率よく充電することができる。
【0065】
本実施形態において、モジュール制御部240は、システム制御部140から、蓄電モジュール110の端子間電圧が、他の蓄電モジュールの端子間電圧よりも大きいことを示す信号を受信する。モジュール制御部240は、蓄電システム104が放電状態に移行するときに上記の信号を受信すると、切替部230が蓄電部210及び配線108を電気的に接続するように、切替部230を制御する。これにより、並列に接続された複数の蓄電モジュール110を効率よく放電することができる。
【0066】
本実施形態において、モジュール制御部240は、保護部250から、蓄電セル222又は蓄電セル224の端子間電圧が予め定められた範囲内にないことを示す信号を受信する。モジュール制御部240は、当該信号を受信すると、切替部230が蓄電部210及び配線108を電気的に切断するように、切替部230を制御する。これにより、過充電又は過放電による蓄電部210の劣化又は損傷を抑制することができる。
【0067】
本実施形態において、モジュール制御部240は、ユーザの操作を受け付けて、ユーザから、切替部230をオン動作又はオフ動作させる旨の指示を受け取る。モジュール制御部240は、ユーザの指示を受け取ると、当該指示に従って、切替部230を制御する。
【0068】
本実施形態において、モジュール制御部240は、蓄電部210の電池特性に関する情報を取得してよい。モジュール制御部240は、蓄電部210の電池特性に関する情報を、外部の機器に出力してよい。これにより、外部の機器は、蓄電部210の電池特性に関する情報を利用することができる。外部の機器としては、負荷装置12、充電装置14などを例示することができる。外部の機器は、ユーザに情報を出力する出力装置であってもよい。
【0069】
モジュール制御部240は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよい。また、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。一実施形態において、モジュール制御部240は、アナログ回路、デジタル回路、又は、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせにより実現されてもよい。他の実施形態において、モジュール制御部240は、CPU、ROM、RAM、通信インターフェース等を有するデータ処理装置等を備えた一般的な情報処理装置において、モジュール制御部240を制御するためのプログラムが実行されることにより実現されてよい。
【0070】
本実施形態において、保護部250は、蓄電部210を保護する。本実施形態において、保護部250は、蓄電部210を過充電及び過放電から保護する。保護部250は、蓄電セル222又は蓄電セル224の端子間電圧が予め定められた範囲内にないことを検出すると、その旨を示す信号をモジュール制御部240に送信する。保護部250は、蓄電部210の端子間電圧に関する情報をシステム制御部140に送信してよい。保護部250は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよく、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。保護部250は、アナログ回路、デジタル回路、又は、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせにより実現されてもよい。
【0071】
本実施形態において、バランス補正部260は、複数の蓄電セルの電圧を均等化する。バランス補正部260の動作原理は特に限定されるものではなく、任意のバランス補正装置を利用することができる。蓄電部210が3以上の蓄電セルを有する場合、蓄電モジュール110は、複数のバランス補正部260を有してよい。例えば、蓄電部210がn個(nは、2以上の整数である。)の蓄電セルを有する場合、蓄電モジュール110は、n-1個のバランス補正部260を有する。
【0072】
バランス補正部260は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよく、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。バランス補正部260は、アナログ回路、デジタル回路、又は、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせにより実現されてもよい。一実施形態において、バランス補正部260は、アクティブ方式のバランス補正装置である。アクティブ方式のバランス補正部は、特開2006-067742号公報に記載されているような、2つの蓄電セルの間でインダクタを介して電荷を移動させるバランス補正部であってもよく、特開2012-210109号公報に記載されているような、キャパシタを用いて電荷を移動させるバランス補正部であってもよい。他の実施形態において、バランス補正部260は、パッシブ方式のバランス補正装置であってもよい。パッシブ方式のバランス補正装置は、例えば、外部抵抗を用いて余計な電荷を放出する。
【0073】
蓄電部210は、蓄電池の一例であってよい。蓄電セル222は、蓄電池の一例であってよい。蓄電セル224は、蓄電池の一例であってよい。
【0074】
(別実施形態の一例)
本実施形態において、蓄電部210が直列に接続された2つの蓄電セルを有する場合について説明した。しかしながら、蓄電部210は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、蓄電部210は、直列に接続された3以上の蓄電セルを有してもよい。また、蓄電部210は、並列に接続された複数の蓄電セルを有してもよく、マトリクス状に接続された複数のセルを有してもよい。
【0075】
図3は、管理サーバ102における情報処理の一例を概略的に示す。図3を用いて、管理サーバ102が、特定の蓄電システム104に配された蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の少なくとも一方の交換時期又は寿命を推定する手順の一例が説明される。本実施形態においては、上記の手順の理解を容易にすることを目的として、管理サーバ102が蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれの交換時期又は寿命を推定する場合を例として、上記の手順の詳細が説明される。
【0076】
(推定手順の概要)
蓄電モジュール(例えば、上記の蓄電モジュール110及び/又は蓄電モジュール120である。)の製造者又は販売者(製造者等と称される場合がある。)が、当該蓄電モジュールの交換時期又は寿命を設定又は保証する場合、当該蓄電モジュールの交換時期又は寿命の設定値又は保証値は、例えば、満充電及び完全放電を1サイクルとして当該蓄電モジュールの充放電を繰り返したときに、当該蓄電モジュールのSOHが予め定められた値となる充放電サイクルの回数(充放電サイクル数又はサイクル数と称される場合がある。)を用いて表される。蓄電モジュールのSOHが予め定められた値となるときのサイクル数は、例えば、サイクル寿命と呼ばれる。
【0077】
上記の充放電サイクルにおいて、蓄電モジュールの満充電状態におけるSOCは、100%であってもよく、当該蓄電モジュールの製造者等が設定したSOCの上限値であってもよい。上記の充放電サイクルにおいて、蓄電モジュールの完全放電状態におけるSOCは、0%であってもよく、当該蓄電モジュールの製造者等が設定したSOCの下限値であってもよい。
【0078】
蓄電モジュールが実際に使用される場面において、満充電及び完全放電を1サイクルとして当該蓄電モジュールの充放電が繰り返されることは稀であり、多くの場合、単一の充電イベント又は単一の放電イベントの間におけるSOCの変動量は100%未満である。なお、放電時におけるSOCの変動量は、放電深度(DOD)とも呼ばれる。放電深度は、例えば、放電容量に対する、放電された電気量の割合[%]を示す。放電深度が深いほど、蓄電モジュールに与えられるストレスも大きくなる。
【0079】
蓄電モジュールの充電イベントは、例えば、当該蓄電モジュールの充電が開始されてから、当該充電が終了されるまでの間の期間を示す。蓄電モジュールの放電イベントは、例えば、当該蓄電モジュールの放電が開始されてから、当該放電が終了されるまでの間の期間を示す。
【0080】
充放電におけるSOCの変動量が比較的小さい場合と、満充電及び完全放電を1サイクルとして当該蓄電モジュールの充放電が繰り返される場合とでは、蓄電モジュールに与えられるストレスが異なる。特に、上記のSOCの変動量が非常に小さい場合には、蓄電モジュールの電極がキャパシタとして機能し得る。この場合、蓄電モジュールの電極における酸化反応及び還元反応がほとんど起こらず、当該蓄電モジュールの劣化もほとんど進行しない。
【0081】
このように、満充電及び完全放電を1サイクルとして蓄電モジュールの充放電が繰り返される場合における当該蓄電モジュールの劣化の進行度合いと、蓄電モジュールの実際の使用環境における当該蓄電モジュールの劣化の進行度合いとが異なる。そのため、満充電及び完全放電を1サイクルとして当該蓄電モジュールの充放電が繰り返されることを前提として設定されたサイクル数を用いて、実際に使用されている蓄電モジュールの劣化の度合い、残存寿命又は交換時期を精度よく推定することは難しい。
【0082】
そこで、本実施形態によれば、満充電及び完全放電を1サイクルとして蓄電モジュールが充放電された場合に当該充放電により当該蓄電モジュールに与えられるストレスの度合い(A)に対する、当該蓄電モジュールの使用時におけるSOCの変動により当該蓄電モジュールに与えられるストレスの度合い(B)の割合(B/A)[-]を示す指標(ストレス指標と称される場合がある。)の値(ストレス指標値と称される場合がある。)が導出される。また、本実施形態によれば、上記のストレス指標値に基づいて、蓄電モジュールの劣化の度合い、残存寿命又は交換時期が推定される。より具体的には、ストレス指標値の積算値に基づいて、蓄電モジュールの劣化の度合い、残存寿命又は交換時期が推定される。
【0083】
例えば、期間Taにおけるストレス指標値が0.1であり、期間Taに続く期間Tbにおけるストレス値が0.3であり、期間Tbに続く期間Tcにおけるストレス指標値が0.1である場合、期間Ta、期間Tb及び期間Tcの間におけるストレス指標値の積算値は0.5である。ここで、特定の期間における蓄電モジュールのSOCの変動に対応するストレス指標値の積算値がN(Nは正の数である。)である場合、当該特定の期間において、満充電及び完全放電を1サイクルとした場合のサイクル数N回分に相当する量の劣化が進行し、当該サイクル数N回分に相当する寿命が消費されたことを意味する。
【0084】
蓄電モジュールが劣化する要因としては、(i)サイクル回数の増加に伴うサイクル劣化、(ii)SOCが非常に高い状態(例えば、満充電の状態である。)又はSOCが非常に高い状態(例えば、充電切れの状態である。)で蓄電モジュールが放置されることにより生じる保存劣化、(iii)高温環境による温度劣化などが例示されるが、多くの場合、サイクル劣化が支配的である。そのため、蓄電モジュールのストレス指標値の積算値を用いて、当該蓄電モジュールの劣化の度合い、残存寿命又は交換時期が、精度よく推定され得る。
【0085】
(推定手順の詳細)
本実施形態によれば、まず、ステップ322(ステップがSと省略される場合がある。)において、管理サーバ102は、蓄電システム104から、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれのSOCを示す情報を取得する。一実施形態において、管理サーバ102は、1以上の時刻のそれぞれにおける、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれのSOCを示す情報を取得する。他の実施形態において、管理サーバ102は、1以上の時刻のそれぞれについて、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれのSOCの前回の時刻からの変動量を示す情報を取得する。
【0086】
次に、管理サーバ102は、蓄電システム104から取得した情報に基づいて、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれにおけるSOCの変動を検出する。管理サーバ102は、例えば、特定の時点(基準時点と称される場合がある。)における各蓄電モジュールのSOCの値(基準値と称される場合がある。)を基準として、各蓄電モジュールのSOCの変動を検出する。
【0087】
管理サーバ102は、適切なタイミングで上記の基準時点及び/又は基準値を更新してよい。基準時点及び/又は基準値の更新手順の詳細は後述される。
【0088】
次に、S324において、管理サーバ102は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれについて、SOCの変動の度合いが予め定められた条件(積算条件と称される場合がある。)を満たすか否かを判定する。変動の度合いとしては、変動の大きさ、変動の割合などが例示される。
【0089】
上記の積算条件は、例えば、(i)S322において検出された変動の大きさが、予め定められた閾値(第1閾値と称される場合がある。)よりも大きいという条件、(ii)予め定められた長さを有する期間(基準期間と称される場合がある。)における上記の変動の大きさが、第1閾値よりも大きいという条件、又は、(iii)上記の基準値に対する上記の変動の大きさの割合が、予め定められた閾値(第2閾値と称される場合がある。)よりも大きいという条件を含む。これにより、各蓄電モジュールにおけるSOCの変動の度合いが比較的大きいか否かが判定され得る。
【0090】
積算条件は、後述されるS326におけるストレス指標の値を導出するための処理(指標値導出処理と称される場合がある。)の対象を決定するための条件の一例であってよい。積算条件は、後述されるS328におけるストレス指標の値の積算値を導出するための処理(積算値導出処理と称される場合がある。)の対象を決定するための条件の一例であってよい。
【0091】
次に、S326において、管理サーバ102は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれについて、上述されたストレス指標値を導出する。より具体的には、管理サーバ102は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれについて、S322において検出された変動の度合いに応じたストレス指標値を導出する。管理サーバ102は、1以上の期間のそれぞれについて、各期間の識別情報と、各期間におけるストレス指標値を示す情報とが対応付けられた情報を生成及び格納してよい。
【0092】
管理サーバ102は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれについて、各蓄電モジュールにおけるSOCの変動の度合いと、ストレス指標の度合い(例えば、ストレス指標値である。)との対応関係を示す情報(対応情報と称される場合がある。)に基づいて、S322において検出された変動の度合いに応じたストレス指標値を導出してよい。対応情報としては、(i)SOCの変動の度合いを説明変数とし、ストレス指標値を目的変数とする関数を示す情報、(ii)SOCの変動の度合いに関する1以上の区分のそれぞれと、ストレス指標値に関する1以上の区分のそれぞれとが対応付けられたテーブルを示す情報などが例示される。対応情報の詳細は後述される。
【0093】
一実施形態において、管理サーバ102は、例えば、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれについて、(i)S324において当該蓄電モジュールのSOCの変動の度合いが積算条件を満たすと判定された場合に、当該蓄電モジュールのストレス指標値を導出し、(ii)S324において当該蓄電モジュールのSOCの変動の度合いが積算条件を満たすと判定されていない場合には、当該蓄電モジュールのストレス指標値を導出しない。他の実施形態において、管理サーバ102は、S324における判定結果によらず、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれのストレス指標値を導出してよい。
【0094】
次に、S328において、管理サーバ102は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれについて、各蓄電モジュールの充電期間又は放電期間の何れか一方におけるストレス指標値の積算値を導出する。各蓄電モジュールの充電期間は、当該蓄電モジュールが充電されている期間を示す。各蓄電モジュールの放電期間は、当該蓄電モジュールが放電されている期間を示す。
【0095】
蓄電モジュールが比較的長期間に渡って使用される場合、当該期間中における充電期間の長さの合計と、当該期間中における放電期間の長さの合計とが略一致する。同様に、蓄電モジュールが比較的長期間に渡って使用される場合、当該期間中の放電イベントにより当該期間中に当該蓄電モジュールが放電した電気量の合計と、当該期間中の充電イベントにより当該期間中に当該蓄電モジュールが蓄積した電気量とが略一致する。そのため、各蓄電モジュールの充電期間及び放電期間の両方におけるストレス指標値の積算値が導出されない場合であっても、各蓄電モジュールの劣化の度合い、残存寿命又は交換時期が適切に管理され得る。
【0096】
一実施形態によれば、S326において、管理サーバ102が、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれについて、(i)S324において当該蓄電モジュールのSOCの変動の度合いが積算条件を満たすと判定されたときには当該蓄電モジュールのストレス指標値を導出し、(ii)S324において当該蓄電モジュールのSOCの変動の度合いが積算条件を満たすと判定されていないときには当該蓄電モジュールのストレス指標値が導出されない。この場合、S328において、各蓄電モジュールのSOCの変動の度合いが積算条件を満たすと判定されたときのストレス指標値が積算される。
【0097】
他の実施形態によれば、S326において、管理サーバ102が、S324における判定結果によらず、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれのストレス指標値を導出する。この場合、S328において、管理サーバ102は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれについて、各蓄電モジュールのSOCの変動の度合いが積算条件を満たすと判定されたときのストレス指標値に基づいて、上記の積算値を導出する。具体的には、管理サーバ102は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれについて、各蓄電モジュールのSOCの変動の度合いが積算条件を満たすと判定されたときのストレス指標値を積算する。この場合において、各蓄電モジュールのSOCの変動の度合いが積算条件を満たすと判定されていないときのストレス指標値は、上記の積算処理の対象から除外される。
【0098】
次に、S330において、管理サーバ102は、S328において導出された、各蓄電モジュールのストレス指標値の積算値に基づいて、各蓄電モジュールの劣化の度合い、残存寿命又は交換時期を推定する。上述されたとおり、特定の期間における蓄電モジュールのSOCの変動に対応するストレス指標値の積算値がN(Nは正の数である。)である場合、当該特定の期間において、満充電及び完全放電を1サイクルとした場合のサイクル数N回分に相当する量の劣化が進行し、当該サイクル数N回分に相当する寿命が消費されたことを意味する。
【0099】
一実施形態において、各蓄電モジュールの寿命は、サイクル寿命により表される。各蓄電モジュールのサイクル寿命は、例えば、各蓄電モジュールの製造者等により決定される。管理サーバ102は、各蓄電モジュールの製造者等から各蓄電モジュールのサイクル寿命を示す情報を取得してよい。
【0100】
管理サーバ102は、各蓄電モジュールのサイクル寿命と、各蓄電モジュールのストレス指標値の積算値とに基づいて、各蓄電モジュールの残存寿命を推定してよい。例えば、各蓄電モジュールのサイクル寿命から、各蓄電モジュールのストレス指標値の積算値を引くことで、各蓄電モジュールの残存寿命が推定される。
【0101】
管理サーバ102は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれについて、単位時間あたりのストレス指標値の積算値の増加量(積算値の増加速度と称される場合がある。)を導出してよい。管理サーバ102は、各蓄電モジュールの残存寿命と、各蓄電モジュールの積算値の増加速度とに基づいて、各蓄電モジュールの交換時期を推定してよい。例えば、各蓄電モジュールの残存寿命を、各蓄電モジュールの積算値の増加速度で除することで、各蓄電モジュールの交換時期が推定される。
【0102】
他の実施形態において、各蓄電モジュールの寿命は、例えば、各蓄電モジュールのSOHにより決定される。管理サーバ102は、例えば、S326又はS328において、各蓄電モジュールのSOHを導出する。
【0103】
管理サーバ102は、1以上の期間のそれぞれについて、各期間の識別情報と、各期間を代表する時刻におけるストレス指標値の積算値と、各期間を代表する時刻におけるSOHとが対応付けられた情報を生成及び格納してよい。管理サーバ102は、1以上の期間のそれぞれについて、各期間の識別情報と、各期間におけるストレス指標値を示す情報と、各期間を代表する時刻におけるストレス指標値の積算値を示す情報と、各期間を代表する時刻におけるSOHを示す情報とが対応付けられた情報を生成及び格納してよい。
【0104】
管理サーバ102は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれについて、ストレス指標値の積算値と、SOHとの対応関係を導出してよい。一実施形態において、管理サーバ102は、ストレス指標値の積算値を説明変数とし、SOHを目的変数とする関数を示す情報を生成及び格納する。他の実施形態において、管理サーバ102は、ストレス指標値の積算値に関する1以上の区分のそれぞれと、SOHに関する1以上の区分のそれぞれとが対応付けられたテーブルを示す情報を生成及び格納する。
【0105】
管理サーバ102は、ストレス指標値の積算値と、SOHとの対応関係に基づいて、各蓄電モジュールのSOHが予め定められた値になるときの各蓄電モジュールのストレス指標値の積算値(寿命到達時又は交換時期における積算値と称される場合がある。)を導出する。上記の予め定められた値は、各蓄電モジュールの製造者等が、各蓄電モジュールの寿命又は交換時期におけるSOHとして設定した値であってよい。
【0106】
管理サーバ102は、各蓄電モジュールの寿命到達時又は交換時期における積算値と、各蓄電モジュールの現在のストレス指標値の積算値とに基づいて、各蓄電モジュールの残存寿命を推定してよい。例えば、各蓄電モジュールの寿命到達時又は交換時期における積算値から、各蓄電モジュールの現在のストレス指標値の積算値を引くことで、各蓄電モジュールの残存寿命が推定される。
【0107】
管理サーバ102は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれについて、単位時間あたりのストレス指標値の積算値の増加量(積算値の増加速度と称される場合がある。)を導出してよい。管理サーバ102は、各蓄電モジュールの残存寿命と、各蓄電モジュールの積算値の増加速度とに基づいて、各蓄電モジュールの交換時期を推定してよい。例えば、各蓄電モジュールの残存寿命を、各蓄電モジュールの積算値の増加速度で除することで、各蓄電モジュールの交換時期が推定される。
【0108】
S322は、変動検出段階の一例であってよい。S324は、判定段階の一例であってよい。S326は、指標値導出段階の一例であってよい。S328は、積算値導出段階の一例であってよい。
【0109】
(別実施形態の一例)
本実施形態においては、S324において、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれについて、SOCの変動の度合いが積算条件を満たすか否かが判定される場合を例として、管理サーバ102における情報処理の詳細が説明された。しかしながら、管理サーバ102における情報処理は本実施形態に限定されない。他の実施形態によれば、S326において、上記の積算条件の成否に関する判定処理が実施され得る。さらに他の実施形態によれば、S328において、上記の積算条件の成否に関する判定処理が実施され得る。
【0110】
図4は、放電傾向にある蓄電モジュール110に関する判定処理の一例を概略的に示す。図4において、実線420は、蓄電モジュール110のSOCの変動履歴を示す。図4を用いて、蓄電モジュール110の放電期間における判定処理の一例が説明される。具体的には、管理サーバ102が、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが上述された積算条件を満たしていると判定する場合を例として、管理サーバ102による判定処理の一例が説明される。
【0111】
本実施形態においては、上述された基準時点において蓄電モジュール110の放電が開始された場合、又は、基準時点において蓄電モジュール110が放電されている場合を例として、管理サーバ102による判定処理の一例が説明される。なお、放電傾向にある蓄電モジュール120に関する判定処理は、放電傾向にある蓄電モジュール110に関する判定処理と同様の手順により実行され得る。
【0112】
(時刻ta~時刻tb)
本実施形態によれば、まず、時刻taにおいて、蓄電システム104の電源が投入される。このとき、蓄電システム104に配された蓄電モジュール110のSOCは、Sa[%]である。その後、時刻tbにおいて、蓄電モジュール110の放電が開始される。
【0113】
本実施形態において、管理サーバ102は、時刻tbを、蓄電システム104の電源が投入された後に最初に設定される基準時点として設定する。管理サーバ102は、時刻tbを、蓄電モジュール110の放電に関する基準時点として設定してよい。また、時刻tbにおける蓄電モジュール110のSOCであるSaが、基準値として設定される。
【0114】
(時刻tb~時刻tc)
時刻tbにおいて蓄電モジュール110の放電が開始された後、蓄電モジュール110のSOCは、例えば、減少及び増加を繰り返しながら減少し、時刻tcにおいてSta[%]より小さくなる。時刻tbから時刻tcまでの期間の一部において、SOCの変動が観察されなくてもよい。また、他の実施形態において、時刻tbから時刻tcまでの期間中、蓄電モジュール110のSOCは単調減少してもよい。
【0115】
本実施形態によれば、時刻tbから時刻tcまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCは、Saに等しい又はSaよりも小さい。また、時刻tbから時刻tcまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCは、Staよりも大きい又はStaに等しい。
【0116】
一実施形態において、Staは、時刻tbから時刻tcまでの期間における基準値であるSaと、Staとの差の絶対値が、予め定められた値(第3放電閾値と称される場合がある。)となるように設定される。本実施形態によれば、時刻tbにおいて蓄電モジュール110の放電が開始された後、蓄電モジュール110のSOCが基準値Saよりも大きくなる前に、蓄電モジュール110のSOCと、基準値Saとの差の絶対値(放電量と称される場合がある。)が第3放電閾値よりも大きくなる。
【0117】
このとき、管理サーバ102は、時刻tbから時刻tcまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが上述された積算条件を満たしていると判定してよい。管理サーバ102は、時刻tbから時刻tcまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが、放電に関する積算条件を満たしていると判定してもよい。
【0118】
他の実施形態において、Staは、上記の基準値Saに対する、Sa及びStaの差の絶対値の割合(つまり、(Sa-Sta)/Saである。)が、予め定められた値(第4放電閾値と称される場合がある。)となるように設定される。本実施形態によれば、時刻tbにおいて蓄電モジュール110の放電が開始された後、蓄電モジュール110のSOCが基準値Saよりも大きくなる前に、基準値Saに対する、Sa及びStaの差の絶対値の割合が第4放電閾値よりも大きくなる。
【0119】
このとき、管理サーバ102は、時刻tbから時刻tcまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが上述された積算条件を満たしていると判定してよい。管理サーバ102は、時刻tbから時刻tcまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが、放電に関する積算条件を満たしていると判定してもよい。
【0120】
(時刻tc~時刻td)
その後、蓄電モジュール110の放電に伴い、蓄電モジュール110のSOCも減少する。本実施形態によれば、時刻tdにおいて蓄電モジュール110のSOCがSd[%]となった時点で、蓄電モジュール110の放電が終了し、蓄電モジュール110の充電が開始される。図4に示される実施形態において、時刻tdは、時刻tcの後に蓄電モジュール110の充電が開始された最先の時点である。上述されたとおり、時刻tcは、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが積算条件を満たしていると判定された時点である。
【0121】
(時刻td~時刻te)
本実施形態によれば、時刻tdにおいて蓄電モジュール110の充電が開始された後、蓄電モジュール110の充電及び放電が繰り返された結果、時刻teにおいて、蓄電モジュール110のSOCがSdよりも小さくなる。時刻tdから時刻teまでの期間の一部において、SOCの変動が観察されなくてもよい。
【0122】
本実施形態によれば、時刻tdから時刻teまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCは、Std[%]よりも小さい。また、時刻tdから時刻teまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCは、Sdよりも大きい又はSdに等しい。この場合、時刻tdから時刻teまでの期間における蓄電モジュール110のSOCの最大値と、Sdとの差の絶対値Vde[%]が、Std及びSdの差の絶対値よりも小さくなる。
【0123】
一実施形態において、Stdは、Sd及びStdの差の絶対値が、予め定められた値(第1充電閾値と称される場合がある。)となるように設定される。本実施形態によれば、時刻tdから時刻teまでの期間における蓄電モジュール110のSOCの最大値と、Sdとの差の絶対値Vdeが、第1充電閾値よりも小さくなる。このとき、管理サーバ102は、時刻tdから時刻teまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが充電に関する積算条件を満たしていないと判定してよい。
【0124】
他の実施形態において、Stdは、Sdに対する、Sd及びStdの差の絶対値の割合(つまり、(Std-Sd)/Sdである。)が、予め定められた値(第2充電閾値と称される場合がある。)となるように設定される。本実施形態によれば、Sdに対するVdeの割合が、第2充電閾値よりも小さくなる。このとき、管理サーバ102は、時刻tdから時刻teまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが充電に関する積算条件を満たしていないと判定してよい。
【0125】
(時刻te~時刻tf)
その後、蓄電モジュール110の放電に伴い、蓄電モジュール110のSOCも減少する。本実施形態によれば、時刻tfにおいて蓄電モジュール110のSOCがSf[%]となった時点で、蓄電モジュール110の放電が終了し、蓄電モジュール110の充電が開始される。
【0126】
(時刻tf~時刻tg)
本実施形態によれば、時刻tfにおいて蓄電モジュール110の充電が開始された後、蓄電モジュール110の充電及び放電が繰り返された結果、時刻tgにおいて、蓄電モジュール110のSOCがStf[%]よりも大きくなる。時刻tfから時刻tgまでの期間の一部において、SOCの変動が観察されなくてもよい。また、他の実施形態において、時刻tfから時刻tgまでの期間中、蓄電モジュール110のSOCは単調増加してもよい。
【0127】
本実施形態によれば、時刻tfから時刻tgまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCは、Sfに等しい又はSfよりも大きい。また、時刻tfから時刻tgまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCは、Stfよりも小さい又はStfに等しい。
【0128】
一実施形態において、Stfは、Sfと、Stfとの差の絶対値が、予め定められた値(第3充電閾値と称される場合がある。)となるように設定される。本実施形態によれば、時刻tfにおいて蓄電モジュール110の充電が開始された後、蓄電モジュール110のSOCがSfよりも小さくなる前に、蓄電モジュール110のSOCと、Sfとの差の絶対値(充電量と称される場合がある。)が第3充電閾値よりも大きくなる。
【0129】
このとき、管理サーバ102は、時刻tfから時刻tgまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが上述された積算条件を満たしていると判定してもよい。管理サーバ102は、時刻tfから時刻tgまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが、充電に関する積算条件を満たしていると判定してもよい。
【0130】
他の実施形態において、Stfは、Sfに対する、Sf及びStfの差の絶対値の割合(つまり、(Stf-Sf)/Sfである。)が、予め定められた値(第4充電閾値と称される場合がある。)となるように設定される。本実施形態によれば、時刻tfにおいて蓄電モジュール110の充電が開始された後、蓄電モジュール110のSOCがSfよりも小さくなる前に、Sfに対する、Sf及びStfの差の絶対値の割合が第4充電閾値よりも大きくなる。
【0131】
このとき、管理サーバ102は、時刻tfから時刻tgまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが上述された積算条件を満たしていると判定してもよい。管理サーバ102は、時刻tfから時刻tgまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが、充電に関する積算条件を満たしていると判定してもよい。
【0132】
本実施形態によれば、時刻tbから時刻tfまでの期間において放電に関する積算条件が満たされており、時刻tfから時刻tgまでの期間において充電に関する積算条件が満たされている。そこで、例えば、時刻tgにおいて、管理サーバ102は、時刻tfにおいて蓄電モジュール110の充放電の状態が放電傾向から充電傾向に転換したと判断する。
【0133】
時刻tgにおいて、管理サーバ102は、基準時点を更新することを決定してもよい。具体的には、管理サーバ102は、時刻tfを、新たな基準時点として設定する。管理サーバ102は、時刻tfを、蓄電モジュール110の充電に関する基準時点として設定してもよい。また、時刻tfにおける蓄電モジュール110のSOCであるSfが、基準値として設定される。
【0134】
(時刻tg~時刻th)
その後、蓄電モジュール110の充電に伴い、蓄電モジュール110のSOCも増加する。本実施形態によれば、時刻thにおいて、蓄電モジュール110のSOCがSaよりも大きくなる。
【0135】
以上のとおり、本実施形態によれば、時刻tbにおいて蓄電モジュール110の放電が開始された後、蓄電モジュール110のSOCは、微小な増減を繰り返しながら、SaからSfまで減少する。その後、蓄電モジュール110のSOCは、微小な増減を繰り返しながら、SfからSaまで増加する。時刻tfにおける蓄電モジュール110のSOCであるSfは、時刻tbから時刻thまでの期間における蓄電モジュール110のSOCの最小値であってよい。
【0136】
本実施形態において、管理サーバ102は、時刻tbから時刻thまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCがSaからSfまで変動したことを検出する。管理サーバ102は、検出されたSOCの変動量と、上述された対応情報とに基づいて、時刻tbから時刻thまでの期間におけるストレス指標値を導出する。これにより、時刻tbから時刻thまでの期間のうち、放電期間(即ち、時刻tbから時刻tfまでの期間である。)におけるストレス指標値が導出される。
【0137】
管理サーバ102は、例えば、1以上のストレス指標値を積算し、当該積算値に基づいて蓄電モジュール110の劣化の度合い、残存寿命又は交換時期を管理する。管理サーバ102は、新たなストレス指標値が導出されるたびにストレス指標値の積算値を導出してもよく、任意の期間ごとに当該期間内に導出された1以上のストレス指標値の積算値を導出してもよい。
【0138】
図4の時刻tbは、蓄電モジュール110の放電に関する基準時点の一例であってよい。図4のSaは、蓄電モジュール110の放電に関する基準値の一例であってよい。図4の時刻tcは、第2放電時点の一例であってよい。図4の時刻tdは、第3放電時点の一例であってよい。図4の時刻tfは、第4放電時点の一例であってよい。図4の時刻tfは、蓄電モジュール110の充電に関する基準時点の一例であってよい。図4のSfは、蓄電モジュール110の充電に関する基準値の一例であってよい。
【0139】
図4の時刻tdは、蓄電モジュール110の充電に関する基準時点の一例であってよい。図4のSdは、蓄電モジュール110の充電に関する基準値の一例であってよい。図4の時刻teは、第1充電時点の一例であってよい。図4の時刻tdから時刻teまでの期間は、第2期間の一例であってよい。図4のVdeは、第2変動量の一例であってよい。
【0140】
(別実施形態の一例)
本実施形態においては、蓄電システム104の電源が投入された後に、最初に設定される基準時点が時刻tbである場合を例として、管理サーバ102による判定処理の一例が説明された。しかしながら、管理サーバ102による判定処理は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、時刻taが、蓄電システム104の電源が投入された後に最初に設定される基準時点に設定されてよい。
【0141】
本実施形態においては、蓄電モジュール110の充放電の状態が放電傾向から充電傾向に転換したときに、基準時点が更新される場合を例として、管理サーバ102による積算条件の判定処理の一例が説明された。しかしながら、管理サーバ102による判定処理は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが積算条件を満たしていると判定された場合に、基準時点が更新されてもよい。例えば、時刻tc、時刻td又は時刻teが、新たな基準時点として設定され得る。
【0142】
管理サーバ102は、基準時点が更新されるごとに、蓄電モジュール110のSOCの変動を検出してよい。管理サーバ102は、基準時点が更新されるごとに、蓄電モジュール110のSOCの変動量を導出してよい。管理サーバ102は、基準時点が更新されるごとに、ストレス指標値を導出してよい。
【0143】
図5は、放電傾向にある蓄電モジュール110に関する判定処理の他の例を概略的に示す。図5において、実線520は、蓄電モジュール110のSOCの変動履歴を示す。図5を用いて、蓄電モジュール110の放電期間における判定処理の一例が説明される。具体的には、管理サーバ102が、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが上述された積算条件を満たしていないと判定する場合を例として、管理サーバ102による判定処理の一例が説明される。
【0144】
本実施形態においては、上述された基準時点において蓄電モジュール110の放電が開始された場合、又は、基準時点において蓄電モジュール110が放電されている場合を例として、管理サーバ102による判定処理の一例が説明される。なお、放電傾向にある蓄電モジュール120に関する判定処理は、放電傾向にある蓄電モジュール110に関する判定処理と同様の手順により実行され得る。
【0145】
(時刻ta~時刻tb)
本実施形態によれば、まず、時刻taにおいて、蓄電システム104の電源が投入される。このとき、蓄電システム104に配された蓄電モジュール110のSOCは、Sa[%]である。その後、時刻tbにおいて、蓄電モジュール110の放電が開始される。
【0146】
本実施形態において、管理サーバ102は、時刻tbを、蓄電システム104の電源が投入された後に最初に設定される基準時点として設定する。管理サーバ102は、時刻tbを、蓄電モジュール110の放電に関する基準時点として設定してよい。また、時刻tbにおける蓄電モジュール110のSOCであるSaが、基準値として設定される。
【0147】
(時刻tb~時刻ti)
時刻tbにおいて蓄電モジュール110の放電が開始された後、例えば、蓄電モジュール110の充電及び放電が繰り返される。本実施形態によれば、蓄電モジュール110のSOCは、時刻tjにおいて、時刻tbから時刻tiまでの期間における最小値Sj[%]となった後、時刻tiにおいて、Saよりも大きくなる。時刻tb~時刻tiまでの期間の一部において、SOCの変動が観察されなくてもよい。
【0148】
本実施形態によれば、時刻tbから時刻tiまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCは、Saよりも小さい又はSaに等しい。また、時刻tbから時刻tiまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCは、Sta[%]よりも大きい。
【0149】
一実施形態において、Staは、時刻tbから時刻tiまでの期間における基準値であるSaと、Staとの差の絶対値が、予め定められた値(第1放電閾値と称される場合がある。)となるように設定される。本実施形態によれば、時刻tbから時刻tiまでの期間における蓄電モジュール110のSOCの最小値であるSjと、Saとの差の絶対値Vbiが、第1放電閾値よりも小さくなる。第1放電閾値は、第3放電閾値と同一であってもよく、第3放電閾値より小さくてもよく、第3放電閾値より大きくてもよい。
【0150】
このとき、管理サーバ102は、時刻tbから時刻tiまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが上述された積算条件を満たしていないと判定してよい。管理サーバ102は、時刻tbから時刻tiまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが、放電に関する積算条件を満たしていないと判定してもよい。
【0151】
他の実施形態において、Staは、上記の基準値Saに対する、Sa及びStaの差の絶対値の割合(つまり、(Sa-Sta)/Saである。)が、予め定められた値(第2放電閾値と称される場合がある。)となるように設定される。本実施形態によれば、基準値Saに対する上記のVbiの割合が、第2放電閾値よりも小さくなる。第2放電閾値は、第4放電閾値と同一であってもよく、第4放電閾値より小さくてもよく、第4放電閾値より大きくてもよい。
【0152】
このとき、管理サーバ102は、時刻tbから時刻tiまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが上述された積算条件を満たしていないと判定してよい。管理サーバ102は、時刻tbから時刻tiまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが、放電に関する積算条件を満たしていないと判定してもよい。
【0153】
図5の時刻tiは、第1放電時点の一例であってよい。図5の時刻tbから時刻tiまでの期間は、第1期間の一例であってよい。図5のVbiは、第1変動量の一例であってよい。
【0154】
図6は、充電傾向にある蓄電モジュール110に関する判定処理の一例を概略的に示す。図6において、実線620は、蓄電モジュール110のSOCの変動履歴を示す。図6を用いて、蓄電モジュール110の充電期間における判定処理の一例が説明される。具体的には、管理サーバ102が、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが上述された積算条件を満たしていると判定する場合を例として、管理サーバ102による判定処理の一例が説明される。
【0155】
本実施形態においては、上述された基準時点において蓄電モジュール110の充電が開始された場合、又は、基準時点において蓄電モジュール110が充電されている場合を例として、管理サーバ102による判定処理の一例が説明される。なお、充電傾向にある蓄電モジュール120に関する判定処理は、充電傾向にある蓄電モジュール110に関する判定処理と同様の手順により実行され得る。
【0156】
(時刻ta~時刻tb)
本実施形態によれば、まず、時刻taにおいて、蓄電システム104の電源が投入される。このとき、蓄電システム104に配された蓄電モジュール110のSOCは、Sa[%]である。その後、時刻tbにおいて、蓄電モジュール110の充電が開始される。
【0157】
本実施形態において、管理サーバ102は、時刻tbを、蓄電システム104の電源が投入された後に最初に設定される基準時点として設定する。管理サーバ102は、時刻tbを、蓄電モジュール110の充電に関する基準時点として設定してよい。また、時刻tbにおける蓄電モジュール110のSOCであるSaが、基準値として設定される。
【0158】
(時刻tb~時刻tc)
時刻tbにおいて蓄電モジュール110の充電が開始された後、蓄電モジュール110のSOCは、例えば、増加及び減少を繰り返しながら増加し、時刻tcにおいてSta[%]より大きくなる。時刻tbから時刻tcまでの期間の一部において、SOCの変動が観察されなくてもよい。また、他の実施形態において、時刻tbから時刻tcまでの期間中、蓄電モジュール110のSOCは単調増加してもよい。
【0159】
本実施形態によれば、時刻tbから時刻tcまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCは、Saに等しい又はSaよりも大きい。また、時刻tbから時刻tcまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCは、Staよりも小さい又はStaに等しい。
【0160】
一実施形態において、Staは、時刻tbから時刻tcまでの期間における基準値であるSaと、Staとの差の絶対値が、予め定められた値(第3充電閾値と称される場合がある。)となるように設定される。本実施形態によれば、時刻tbにおいて蓄電モジュール110の充電が開始された後、蓄電モジュール110のSOCが基準値Saよりも小さくなる前に、蓄電モジュール110のSOCと、基準値Saとの差の絶対値(充電量と称される場合がある。)が第3充電閾値よりも大きくなる。
【0161】
このとき、管理サーバ102は、時刻tbから時刻tcまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが上述された積算条件を満たしていると判定してよい。管理サーバ102は、時刻tbから時刻tcまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが、充電に関する積算条件を満たしていると判定してもよい。
【0162】
他の実施形態において、Staは、上記の基準値Saに対する、Sa及びStaの差の絶対値の割合(つまり、(Sta-Sa)/Saである。)が、予め定められた値(第4充電閾値と称される場合がある。)となるように設定される。本実施形態によれば、時刻tbにおいて蓄電モジュール110の充電が開始された後、蓄電モジュール110のSOCが基準値Saよりも小さくなる前に、基準値Saに対する、Sa及びStaの差の絶対値の割合が第4充電閾値よりも大きくなる。
【0163】
このとき、管理サーバ102は、時刻tbから時刻tcまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが上述された積算条件を満たしていると判定してよい。管理サーバ102は、時刻tbから時刻tcまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが、充電に関する積算条件を満たしていると判定してもよい。
【0164】
(時刻tc~時刻td)
その後、蓄電モジュール110の充電に伴い、蓄電モジュール110のSOCも増加する。本実施形態によれば、時刻tdにおいて蓄電モジュール110のSOCがSd[%]となった時点で、蓄電モジュール110の充電が終了し、蓄電モジュール110の放電が開始される。図6に示される実施形態において、時刻tdは、時刻tcの後に蓄電モジュール110の放電が開始された最先の時点である。上述されたとおり、時刻tcは、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが積算条件を満たしていると判定された時点である。
【0165】
(時刻td~時刻te)
本実施形態によれば、時刻tdにおいて蓄電モジュール110の放電が開始された後、蓄電モジュール110の放電及び充電が繰り返された結果、時刻teにおいて、蓄電モジュール110のSOCがSdよりも大きくなる。時刻tdから時刻teまでの期間の一部において、SOCの変動が観察されなくてもよい。
【0166】
本実施形態によれば、時刻tdから時刻teまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCは、Std[%]よりも大きい。また、時刻tdから時刻teまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCは、Sdよりも小さい又はSdに等しい。この場合、時刻tdから時刻teまでの期間における蓄電モジュール110のSOCの最小値と、Sdとの差の絶対値Vde[%]が、Std及びSdの差の絶対値よりも小さくなる。
【0167】
一実施形態において、Stdは、Sd及びStdの差の絶対値が、予め定められた値(第1放電閾値と称される場合がある。)となるように設定される。本実施形態によれば、時刻tdから時刻teまでの期間における蓄電モジュール110のSOCの最小値と、Sdとの差の絶対値Vdeが、第1放電閾値よりも小さくなる。このとき、管理サーバ102は、時刻tdから時刻teまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが放電に関する積算条件を満たしていないと判定してよい。
【0168】
他の実施形態において、Stdは、Sdに対する、Sd及びStdの差の絶対値の割合(つまり、(Sd-Std)/Sdである。)が、予め定められた値(第2放電閾値と称される場合がある。)となるように設定される。本実施形態によれば、Sdに対するVdeの割合が、第2放電閾値よりも小さくなる。このとき、管理サーバ102は、時刻tdから時刻teまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが放電に関する積算条件を満たしていないと判定してよい。
【0169】
(時刻te~時刻tf)
その後、蓄電モジュール110の充電に伴い、蓄電モジュール110のSOCも増加する。本実施形態によれば、時刻tfにおいて蓄電モジュール110のSOCがSf[%]となった時点で、蓄電モジュール110の充電が終了し、蓄電モジュール110の放電が開始される。
【0170】
(時刻tf~時刻tg)
本実施形態によれば、時刻tfにおいて蓄電モジュール110の放電が開始された後、蓄電モジュール110の放電及び充電が繰り返された結果、時刻tgにおいて、蓄電モジュール110のSOCがStf[%]よりも小さくなる。時刻tfから時刻tgまでの期間の一部において、SOCの変動が観察されなくてもよい。また、他の実施形態において、時刻tfから時刻tgまでの期間中、蓄電モジュール110のSOCは単調減少してもよい。
【0171】
本実施形態によれば、時刻tfから時刻tgまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCは、Sfに等しい又はSfよりも小さい。また、時刻tfから時刻tgまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCは、Stfよりも大きい又はStfに等しい。
【0172】
一実施形態において、Stfは、Sfと、Stfとの差の絶対値が、予め定められた値(第3放電閾値と称される場合がある。)となるように設定される。本実施形態によれば、時刻tfにおいて蓄電モジュール110の放電が開始された後、蓄電モジュール110のSOCがSfよりも大きくなる前に、蓄電モジュール110のSOCと、Sfとの差の絶対値(放電量と称される場合がある。)が第3放電閾値よりも大きくなる。
【0173】
このとき、管理サーバ102は、時刻tfから時刻tgまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが上述された積算条件を満たしていると判定してもよい。管理サーバ102は、時刻tfから時刻tgまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが、放電に関する積算条件を満たしていると判定してもよい。
【0174】
他の実施形態において、Stfは、Sfに対する、Sf及びStfの差の絶対値の割合(つまり、(Sf-Stf)/Sfである。)が、予め定められた値(第4放電閾値と称される場合がある。)となるように設定される。本実施形態によれば、時刻tfにおいて蓄電モジュール110の放電が開始された後、蓄電モジュール110のSOCがSfよりも大きくなる前に、Sfに対する、Sf及びStfの差の絶対値の割合が第4充電閾値よりも大きくなる。
【0175】
このとき、管理サーバ102は、時刻tfから時刻tgまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが上述された積算条件を満たしていると判定してもよい。管理サーバ102は、時刻tfから時刻tgまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが、放電に関する積算条件を満たしていると判定してもよい。
【0176】
本実施形態によれば、時刻tbから時刻tfまでの期間において充電に関する積算条件が満たされており、時刻tfから時刻tgまでの期間において放電に関する積算条件が満たされている。そこで、例えば、時刻tgにおいて、管理サーバ102は、時刻tfにおいて蓄電モジュール110の充放電の状態が充電傾向から放電傾向に転換したと判断する。
【0177】
時刻tgにおいて、管理サーバ102は、基準時点を更新することを決定してもよい。具体的には、管理サーバ102は、時刻tfを、新たな基準時点として設定する。管理サーバ102は、時刻tfを、蓄電モジュール110の放電に関する基準時点として設定してもよい。また、時刻tfにおける蓄電モジュール110のSOCであるSfが、基準値として設定される。
【0178】
(時刻tg~時刻th)
その後、蓄電モジュール110の放電に伴い、蓄電モジュール110のSOCも減少する。本実施形態によれば、時刻thにおいて、蓄電モジュール110のSOCがSaよりも小さくなる。
【0179】
以上のとおり、本実施形態によれば、時刻tbにおいて蓄電モジュール110の充電が開始された後、蓄電モジュール110のSOCは、微小な増減を繰り返しながら、SaからSfまで増加する。その後、蓄電モジュール110のSOCは、微小な増減を繰り返しながら、SfからSaまで減少する。時刻tfにおける蓄電モジュール110のSOCであるSfは、時刻tbから時刻thまでの期間における蓄電モジュール110のSOCの最大値であってよい。
【0180】
本実施形態において、管理サーバ102は、時刻tbから時刻thまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCがSaからSfまで変動したことを検出する。管理サーバ102は、検出されたSOCの変動量と、上述された対応情報とに基づいて、時刻tbから時刻thまでの期間におけるストレス指標値を導出する。これにより、時刻tbから時刻thまでの期間のうち、充電期間(即ち、時刻tbから時刻tfまでの期間である。)におけるストレス指標値が導出される。
【0181】
管理サーバ102は、例えば、1以上のストレス指標値を積算し、当該積算値に基づいて蓄電モジュール110の劣化の度合い、残存寿命又は交換時期を管理する。管理サーバ102は、新たなストレス指標値が導出されるたびにストレス指標値の積算値を導出してもよく、任意の期間ごとに当該期間内に導出された1以上のストレス指標値の積算値を導出してもよい。
【0182】
図6の時刻tbは、蓄電モジュール110の充電に関する基準時点の一例であってよい。図6のSaは、蓄電モジュール110の充電に関する基準値の一例であってよい。図6の時刻tcは、第2充電時点の一例であってよい。図6の時刻tdは、第3充電時点の一例であってよい。図6の時刻tfは、第4充電時点の一例であってよい。図6の時刻tfは、蓄電モジュール110の放電に関する基準時点の一例であってよい。図6のSfは、蓄電モジュール110の放電に関する基準値の一例であってよい。
【0183】
図6の時刻tdは、蓄電モジュール110の放電に関する基準時点の一例であってよい。図6のSdは、蓄電モジュール110の放電に関する基準値の一例であってよい。図6の時刻teは、第1放電時点の一例であってよい。図6の時刻tdから時刻teまでの期間は、第2期間の一例であってよい。図6のVdeは、第2変動量の一例であってよい。
【0184】
(別実施形態の一例)
本実施形態においては、蓄電システム104の電源が投入された後に、最初に設定される基準時点が時刻tbである場合を例として、管理サーバ102による判定処理の一例が説明された。しかしながら、管理サーバ102による判定処理は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、時刻taが、蓄電システム104の電源が投入された後に最初に設定される基準時点に設定されてよい。
【0185】
本実施形態においては、蓄電モジュール110の充放電の状態が充電傾向から放電傾向に転換したときに、基準時点が更新される場合を例として、管理サーバ102による積算条件の判定処理の一例が説明された。しかしながら、管理サーバ102による判定処理は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが積算条件を満たしていると判定された場合に、基準時点が更新されてもよい。例えば、時刻tc、時刻td又は時刻teが、新たな基準時点として設定され得る。
【0186】
管理サーバ102は、基準時点が更新されるごとに、蓄電モジュール110のSOCの変動を検出してよい。管理サーバ102は、基準時点が更新されるごとに、蓄電モジュール110のSOCの変動量を導出してよい。管理サーバ102は、基準時点が更新されるごとに、ストレス指標値を導出してよい。
【0187】
図7は、充電傾向にある蓄電モジュール110に関する判定処理の他の例を概略的に示す。図7において、実線720は、蓄電モジュール110のSOCの変動履歴を示す。図7を用いて、蓄電モジュール110の充電期間における判定処理の一例が説明される。具体的には、管理サーバ102が、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが上述された積算条件を満たしていないと判定する場合を例として、管理サーバ102による判定処理の一例が説明される。
【0188】
本実施形態においては、上述された基準時点において蓄電モジュール110の充電が開始された場合、又は、基準時点において蓄電モジュール110が充電されている場合を例として、管理サーバ102による判定処理の一例が説明される。なお、充電傾向にある蓄電モジュール120に関する判定処理は、充電傾向にある蓄電モジュール110に関する判定処理と同様の手順により実行され得る。
【0189】
(時刻ta~時刻tb)
本実施形態によれば、まず、時刻taにおいて、蓄電システム104の電源が投入される。このとき、蓄電システム104に配された蓄電モジュール110のSOCは、Sa[%]である。その後、時刻tbにおいて、蓄電モジュール110の充電が開始される。
【0190】
本実施形態において、管理サーバ102は、時刻tbを、蓄電システム104の電源が投入された後に最初に設定される基準時点として設定する。管理サーバ102は、時刻tbを、蓄電モジュール110の充電に関する基準時点として設定してよい。また、時刻tbにおける蓄電モジュール110のSOCであるSaが、基準値として設定される。
【0191】
(時刻tb~時刻ti)
時刻tbにおいて蓄電モジュール110の充電が開始された後、例えば、蓄電モジュール110の充電及び放電が繰り返される。本実施形態によれば、蓄電モジュール110のSOCは、時刻tjにおいて、時刻tbから時刻tiまでの期間における最大値Sj[%]となった後、時刻tiにおいて、Saよりも小さくなる。時刻tb~時刻tiまでの期間の一部において、SOCの変動が観察されなくてもよい。
【0192】
本実施形態によれば、時刻tbから時刻tiまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCは、Saよりも大きい又はSaに等しい。また、時刻tbから時刻tiまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCは、Sta[%]よりも小さい。
【0193】
一実施形態において、Staは、時刻tbから時刻tiまでの期間における基準値であるSaと、Staとの差の絶対値が、予め定められた値(第1充電閾値と称される場合がある。)となるように設定される。本実施形態によれば、時刻tbから時刻tiまでの期間における蓄電モジュール110のSOCの最大値であるSjと、Saとの差の絶対値Vbiが、第1充電閾値よりも小さくなる。第1充電閾値は、第3充電閾値と同一であってもよく、第3充電閾値より小さくてもよく、第3充電閾値より大きくてもよい。
【0194】
このとき、管理サーバ102は、時刻tbから時刻tiまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが上述された積算条件を満たしていないと判定してよい。管理サーバ102は、時刻tbから時刻tiまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが、充電に関する積算条件を満たしていないと判定してもよい。
【0195】
他の実施形態において、Staは、上記の基準値Saに対する、Sa及びStaの差の絶対値の割合(つまり、(Sta-Sa)/Saである。)が、予め定められた値(第2充電閾値と称される場合がある。)となるように設定される。本実施形態によれば、基準値Saに対する上記のVbiの割合が、第2充電閾値よりも小さくなる。第2充電閾値は、第4充電閾値と同一であってもよく、第4充電閾値より小さくてもよく、第4充電閾値より大きくてもよい。
【0196】
このとき、管理サーバ102は、時刻tbから時刻tiまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが上述された積算条件を満たしていないと判定してよい。管理サーバ102は、時刻tbから時刻tiまでの期間において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが、充電に関する積算条件を満たしていないと判定してもよい。
【0197】
図7の時刻tiは、第1充電時点の一例であってよい。図7の時刻tbから時刻tiまでの期間は、第1期間の一例であってよい。図7のVbiは、第1変動量の一例であってよい。
【0198】
図8は、管理サーバ102の内部構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、管理サーバ102は、例えば、格納部820と、対応情報取得部830と、データ収集部840とを備える。管理サーバ102は、例えば、変動検出部852と、判定部854と、指標導出部856と、積算値導出部858とを備える。管理サーバ102は、例えば、サイクル数推定部860と、SOH導出部874と、交換時期推定部876とを備える。
【0199】
本実施形態において、格納部820は、各種の情報を格納する。一実施形態において、格納部820は、管理サーバ102における情報処理に用いられる各種の情報を格納する。格納部820は、例えば、上述された対応情報を格納する。格納部820は、蓄電モジュールごとに、又は、蓄電モジュールの種類ごとに、上述された対応情報を格納してよい。他の実施形態において、格納部820は、管理サーバ102における情報処理により生成される各種の情報を格納する。
【0200】
本実施形態において、対応情報取得部830は、上述された対応情報を取得する。対応情報取得部830は、対応情報を指標導出部856に出力してよい。一実施形態において、対応情報取得部830は、格納部820に格納されている対応情報を取得する。他の実施形態において、対応情報取得部830は、上述された対応情報を生成する。対応情報取得部830は、生成された対応情報を格納部820に格納してよい。これにより、対応情報取得部830は対応情報を取得することができる。対応情報の生成手順の詳細は後述される。
【0201】
本実施形態において、データ収集部840は、各種のデータを収集する。データ収集部840は、図3に関連して説明されたS322における情報処理の少なくとも一部を実行してよい。
【0202】
一実施形態において、データ収集部840は、各蓄電モジュールの仕様に関する情報を収集する。データ収集部840は、各蓄電モジュールの製造者等が管理又は運営する情報処理装置にアクセスして、各蓄電モジュールの仕様に関する情報を収集してよい。各蓄電モジュールの仕様に関する情報としては、各蓄電モジュールの初期状態における満充電容量、上述された各蓄電モジュールに含まれる蓄電部の仕様に関する情報又はこれらと同様の情報等が例示される。他の実施形態において、データ収集部840は、各蓄電モジュールのSOCを示す情報を取得する。データ収集部840は、蓄電システム104から、各蓄電モジュールのSOCを示す情報を取得してよい。
【0203】
データ収集部840は、収集された情報を格納部820に格納してよい。データ収集部840は、各蓄電モジュールのSOCを示す情報を変動検出部852に出力してよい。
【0204】
本実施形態において、変動検出部852は、各蓄電モジュールのSOCの変動を検出する。変動検出部852は、図3に関連して説明されたS322における情報処理の少なくとも一部を実行してよい。
【0205】
変動検出部852は、例えば、データ収集部840が蓄電システム104から取得した情報に基づいて、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれにおけるSOCの変動を検出する。変動検出部852は、特定の時点(基準時点と称される場合がある。)における各蓄電モジュールのSOCの値(基準値と称される場合がある。)を基準として、各蓄電モジュールのSOCの変動を検出してよい。
【0206】
本実施形態において、判定部854は、各蓄電モジュールのSOCの変動の度合いが上述された積算条件を満たすか否かを判定する。判定部854は、図3に関連して説明されたS324における情報処理の少なくとも一部を実行してよい。判定部854は、図4から図7に関連して説明された手順に従って、各蓄電モジュールのSOCの変動の度合いが上述された積算条件を満たすか否かを判定してよい。
【0207】
一実施形態において、判定部854は、判定結果を示す情報を、例えば、指標導出部856に出力する。他の実施形態において、判定部854は、判定結果を示す情報を、積算値導出部858に出力してよい。
【0208】
(放電時の判定処理)
(a)基準時点において蓄電モジュール110の放電が開始された場合、又は、基準時点において蓄電モジュール110が放電されている場合、判定部854は、例えば、下記の手順に従って、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが積算条件を満たすか否かを判定する。判定部854は、1以上の期間のそれぞれについて、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが積算条件を満たすか否かを判定してよい。なお、判定部854は、同様の手順に従って、蓄電モジュール120のSOCの変動の度合いが積算条件を満たすか否かを判定してもよい。
【0209】
(積算条件を満たしていないと判定される場合の具体例)
例えば、少なくとも、(i)基準時点から、蓄電モジュール110のSOCが基準値よりも大きくなった時点(第1放電時点と称される場合がある。)までの間の期間(第1期間と称される場合がある。)における蓄電モジュール110のSOCの最小値と、基準値との差の絶対値である第1変動量が、予め定められた値(第1放電閾値と称される場合がある。)よりも小さいとき、又は、(ii)基準値に対する第1変動量の割合が、予め定められた値(第2放電閾値と称される場合がある。)よりも小さいとき、判定部854は、第1期間において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが積算条件を満たしていないと判定する。第1放電時点は、基準時点よりも後の時点であってよい。
【0210】
(積算条件を満たしていると判定される場合の具体例)
例えば、少なくとも、(iii)蓄電モジュール110のSOCが基準値よりも大きくなる前に、蓄電モジュール110のSOC及び基準値の差の絶対値である放電量が、予め定められた値(第3放電閾値と称される場合がある。)よりも大きくなったとき、又は、(iv)蓄電モジュール110のSOCが基準値よりも大きくなる前に、基準値に対する放電量の割合が、予め定められた値(第4放電閾値と称される場合がある。)よりも大きくなったとき、判定部854は、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが積算条件を満たしていると判定する。第3放電閾値は、第1放電閾値と同一であってもよく、第1放電閾値より大きくてもよい。第4放電閾値は、第2放電閾値と同一であってもよく、第2放電閾値より大きくてもよい。
【0211】
(放電時の基準更新処理)
本実施形態において、判定部854は、適切なタイミングで上記の基準時点を更新する。このとき、基準時点の更新に伴い、基準値も更新される。判定部854は、例えば、SOCの変動の度合いが積算条件を満たしていると判定された場合に、基準時点を更新する。更新後の基準時点としては、(i)放電量が第3放電閾値よりも大きくなった時点、若しくは、基準値に対する放電量の割合が第4放電閾値よりも大きくなった時点である第2放電時点、(ii)第2放電時点の後に蓄電モジュール110の充電が開始された最先の時点である第3放電時点、又は、(iii)第3放電時点の後に蓄電モジュール110の充放電の状態が放電傾向から充電傾向に転換した時点である第4放電時点が例示される。
【0212】
(充電時の判定処理)
(b)基準時点において蓄電モジュール110の充電が開始された場合、又は、基準時点において蓄電モジュール110が充電されている場合、判定部854は、例えば、下記の手順に従って、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが積算条件を満たすか否かを判定する。判定部854は、1以上の期間のそれぞれについて、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが積算条件を満たすか否かを判定してよい。なお、判定部854は、同様の手順に従って、蓄電モジュール120のSOCの変動の度合いが積算条件を満たすか否かを判定してもよい。
【0213】
(積算条件を満たしていないと判定される場合の具体例)
例えば、少なくとも、(i)基準時点から、蓄電モジュール110のSOCが基準値よりも小さくなった時点(第1充電時点と称される場合がある。)までの間の期間(第2期間と称される場合がある。)における蓄電モジュール110のSOCの最大値と、基準値との差の絶対値である第2変動量が、予め定められた値(第1充電閾値と称される場合がある。)よりも小さいとき、又は、(ii)基準値に対する第2変動量の割合が、予め定められた値(第2充電閾値と称される場合がある。)よりも小さいとき、判定部854は、第2期間において、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが積算条件を満たしていないと判定する。第1充電時点は、基準時点よりも後の時点であってよい。
【0214】
(積算条件を満たしていると判定される場合の具体例)
例えば、少なくとも、(iii)蓄電モジュール110のSOCが基準値よりも小さくなる前に、蓄電モジュール110のSOC及び基準値の差の絶対値である充電量が、予め定められた値(第3充電閾値と称される場合がある。)よりも大きくなったとき、又は、(iv)蓄電モジュール110のSOCが基準値よりも小さくなる前に、基準値に対する放電量の割合が、予め定められた値(第4充電閾値と称される場合がある。)よりも大きくなったとき、判定部854は、蓄電モジュール110のSOCの変動の度合いが積算条件を満たしていると判定する。第3充電閾値は、第1充電閾値と同一であってもよく、第1充電閾値より大きくてもよい。第4充電閾値は、第2充電閾値と同一であってもよく、第2充電閾値より大きくてもよい。
【0215】
(充電時の基準更新処理)
本実施形態において、判定部854は、適切なタイミングで上記の基準時点を更新する。このとき、基準時点の更新に伴い、基準値も更新される。判定部854は、例えば、SOCの変動の度合いが積算条件を満たしていると判定された場合に、基準時点を更新する。更新後の基準時点としては、(i)充電量が第3充電閾値よりも大きくなった時点、若しくは、基準値に対する充電量の割合が第4充電閾値よりも大きくなった時点である第2充電時点、(ii)第2充電時点の後に蓄電モジュール110の放電が開始された最先の時点である第3放電時点、又は、(iii)第3放電時点の後に蓄電モジュール110の充放電の状態が充電傾向から放電傾向に転換した時点である第4充電時点が例示される。
【0216】
本実施形態において、指標導出部856は、上述されたストレス指標値を導出する。指標導出部856は、図3に関連して説明されたS326における情報処理の少なくとも一部を実行してよい。指標導出部856は、図4から図7に関連して説明された手順に従って、上述されたストレス指標値を導出してよい。
【0217】
一実施形態において、指標導出部856は、SOCの変動の度合いが積算条件を満たす場合にはストレス指標値を導出し、SOCの変動の度合いが積算条件を満たさない場合にはストレス指標値を導出しない。他の実施形態において、指標導出部856は、SOCの変動の度合いが積算条件を満たすか否かに関わらず、ストレス指標値を導出する。
【0218】
(放電時の指標導出処理)
本実施形態において、指標導出部856は、例えば、上述された第2放電時点における蓄電モジュールのSOCと、当該時点における基準値との差の絶対値に基づいて、ストレス指標値を導出する。指標導出部856は、蓄電モジュールのSOC及び基準値の差の絶対値(上述されたとおり、放電量と称される場合がある。)と、上述された対応関係とに基づいて、ストレス指標値を導出してよい。
【0219】
本実施形態において、指標導出部856は、例えば、上述された第3放電時点における蓄電モジュールのSOCと、当該時点における基準値との差の絶対値に基づいて、ストレス指標値を導出する。指標導出部856は、蓄電モジュールのSOC及び基準値の差の絶対値(上述されたとおり、放電量と称される場合がある。)と、上述された対応関係とに基づいて、ストレス指標値を導出してよい。
【0220】
本実施形態において、指標導出部856は、例えば、上述された第4放電時点における蓄電モジュールのSOCと、当該時点における基準値との差の絶対値に基づいて、ストレス指標値を導出する。指標導出部856は、蓄電モジュールのSOC及び基準値の差の絶対値(上述されたとおり、放電量と称される場合がある。)と、上述された対応関係とに基づいて、ストレス指標値を導出してよい。
【0221】
一実施形態において、指標導出部856は、上記の対応情報を示す関数に、特定の期間における放電量を説明変数として入力する。上記の関数は、ストレス指標値を出力する。これにより、上記の特定の期間におけるストレス指標値が得られる。他の実施形態において、指標導出部856は、上記の対応情報を示すテーブルを参照して、特定の期間における放電量に対応するストレス指標値を取得する。これにより、上記の特定の期間におけるストレス指標値が得られる。
【0222】
図4に関連して説明された実施形態において、特定の期間における放電量は、時刻tbから時刻tcまでの放電量であってよい。上記の放電量は、時刻tbから時刻tdまでの放電量であってもよく、時刻tbから時刻tfまでの放電量であってもよい。
【0223】
(充電時の指標導出処理)
本実施形態において、指標導出部856は、例えば、上述された第2充電時点における蓄電モジュールのSOCと、当該時点における基準値との差の絶対値に基づいて、ストレス指標値を導出する。指標導出部856は、蓄電モジュールのSOC及び基準値の差の絶対値(上述されたとおり、充電量と称される場合がある。)と、上述された対応関係とに基づいて、ストレス指標値を導出してよい。
【0224】
本実施形態において、指標導出部856は、例えば、上述された第3充電時点における蓄電モジュールのSOCと、当該時点における基準値との差の絶対値に基づいて、ストレス指標値を導出する。指標導出部856は、蓄電モジュールのSOC及び基準値の差の絶対値(上述されたとおり、充電量と称される場合がある。)と、上述された対応関係とに基づいて、ストレス指標値を導出してよい。
【0225】
本実施形態において、指標導出部856は、例えば、上述された第4充電時点における蓄電モジュールのSOCと、当該時点における基準値との差の絶対値に基づいて、ストレス指標値を導出する。指標導出部856は、蓄電モジュールのSOC及び基準値の差の絶対値(上述されたとおり、充電量と称される場合がある。)と、上述された対応関係とに基づいて、ストレス指標値を導出してよい。
【0226】
一実施形態において、指標導出部856は、上記の対応情報を示す関数に、特定の期間における充電量を説明変数として入力する。上記の関数は、ストレス指標値を出力する。これにより、上記の特定の期間におけるストレス指標値が得られる。他の実施形態において、指標導出部856は、上記の対応情報を示すテーブルを参照して、特定の期間における充電量に対応するストレス指標値を取得する。これにより、上記の特定の期間におけるストレス指標値が得られる。
【0227】
図6に関連して説明された実施形態において、特定の期間における充電量は、時刻tbから時刻tcまでの充電量であってよい。上記の放電量は、時刻tbから時刻tdまでの放電量であってもよく、時刻tbから時刻tfまでの充電量であってもよい。
【0228】
本実施形態において、積算値導出部858は、上述されたストレス指標値の積算値を導出する。積算値導出部858は、図3に関連して説明されたS328における情報処理の少なくとも一部を実行してよい。積算値導出部858は、図4から図7に関連して説明された手順に従って、上述されたストレス指標値を導出してよい。
【0229】
本実施形態において、積算値導出部858は、蓄電モジュールのSOCの変動の度合いが上述された積算条件を満たす場合のストレス指標値に基づいて、当該蓄電モジュールが充電されている期間(充電期間と称される場合がある。)又は当該蓄電モジュールが放電されている期間(放電期間と称される場合がある。)の何れか一方におけるストレス指標値の積算値を導出する。積算値導出部858は、蓄電モジュールのSOCの変動の度合いが上述された積算条件を満たさない場合のストレス指標値を上記の積算処理の対象から除外してよい。
【0230】
一実施形態において、積算値導出部858は、蓄電モジュールが放電されている複数の期間のうち、蓄電モジュールのSOCの変動の度合いが上述された積算条件を満たす1以上の期間のそれぞれにおけるストレス指標値を積算する。他の実施形態において、積算値導出部858は、蓄電モジュールが充電されている複数の期間のうち、蓄電モジュールのSOCの変動の度合いが上述された積算条件を満たす1以上の期間のそれぞれにおけるストレス指標値を積算する。
【0231】
本実施形態において、サイクル数推定部860は、各蓄電モジュールの現在のサイクル数を推定する。サイクル数推定部860は、図3に関連して説明されたS330における情報処理の少なくとも一部を実行してよい。蓄電モジュールのサイクル数を推定する工程は、当該蓄電モジュールの交換時期又は寿命を推定する工程の一部であってよい。蓄電モジュールの交換時期又は寿命は、蓄電モジュールの劣化の度合いを示す指標の一例であってよい。
【0232】
本実施形態において、サイクル数推定部860は、積算値導出部858が出力した各蓄電モジュールのストレス指標値の積算値に基づいて、各蓄電モジュールの現在のサイクル数を推定する。具体的には、サイクル数推定部860は、積算値導出部858が出力した各蓄電モジュールのストレス指標値の積算値が、満充電及び完全放電を1サイクルとした場合のサイクル数の何回分に相当するかを決定する。上述されたとおり、特定の期間における蓄電モジュールのSOCの変動に対応するストレス指標値の積算値がN(Nは正の数である。)である場合、当該特定の期間において、満充電及び完全放電を1サイクルとした場合のサイクル数N回分に相当する
【0233】
本実施形態において、SOH導出部874は、各蓄電モジュールのSOHを導出する。SOH導出部874は、図3に関連して説明されたS330における情報処理の少なくとも一部を実行してよい。蓄電モジュールのSOHを導出する工程は、当該蓄電モジュールの交換時期又は寿命を推定する工程の一部であってよい。蓄電モジュールの交換時期又は寿命は、蓄電モジュールの劣化の度合いを示す指標の一例であってよい。
【0234】
SOH導出部874は、例えば、各蓄電モジュールの現在の満充電容量を、データ収集部840が収集した各蓄電モジュールの初期状態における満充電容量で除することにより、各蓄電モジュールのSOHを導出する。蓄電モジュールの初期状態における満充電容量は、当該蓄電モジュールの製造者等により提示された値であってもよく、管理サーバ102による管理が開始された時点において、管理サーバ102により推定された値であってもよい。
【0235】
本実施形態において、交換時期推定部876は、各蓄電モジュールの交換時期を推定する。一実施形態において、交換時期推定部876は、SOH導出部874が導出した各蓄電モジュールのSOHに基づいて、各蓄電モジュールの交換時期を推定する。他の実施形態において、交換時期推定部876は、サイクル数推定部860が推定した各蓄電モジュールの現在のサイクル数に基づいて、各蓄電モジュールの交換時期を推定する。
【0236】
本実施形態において、交換時期推定部876は、例えば、図3のS330に関連して説明された手順に従って、各蓄電モジュールの交換時期を推定する。蓄電モジュールの交換時期は、蓄電モジュールの劣化の度合い又は寿命を示す指標の一例であってよい。
【0237】
交換時期推定部876は、(i)各蓄電モジュールの製造者等により提供される各蓄電モジュールのSOH及びサイクル数の関係を示す情報と、(ii)SOH導出部874が導出した各蓄電モジュールのSOH、及び、サイクル数推定部860が推定した各蓄電モジュールの現在のサイクル数の関係を示す情報とに基づいて、各蓄電モジュールの性能を管理してもよく、蓄電モジュールの型番ごとの品質のばらつきを管理してもよく、製造者等ごとの品質のばらつきを管理してもよい。
【0238】
(管理サーバ102の各部の具体的な構成)
管理サーバ102の各部は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよく、ハードウエア及びソフトウエアにより実現されてもよい。管理サーバ102の各部は、その少なくとも一部が、単一のサーバによって実現されてもよく、複数のサーバによって実現されてもよい。管理サーバ102の各部は、その少なくとも一部が、仮想マシン上又はクラウドシステム上で実現されてもよい。管理サーバ102の各部は、その少なくとも一部が、パーソナルコンピュータ又は携帯端末によって実現されてもよい。携帯端末としては、携帯電話、スマートフォン、PDA(登録商標)、タブレット、ノートブック・コンピュータ又はラップトップ・コンピュータ、ウエアラブル・コンピュータなどを例示することができる。管理サーバ102の各部は、ブロックチェーンなどの分散型台帳技術又は分散型ネットワークを利用して、情報を格納してもよい。
【0239】
管理サーバ102を構成する構成要素の少なくとも一部がソフトウエアにより実現される場合、当該ソフトウエアにより実現される構成要素は、一般的な構成の情報処理装置において、当該構成要素に関する動作を規定したソフトウエア又はプログラムを起動することにより実現されてよい。上記の一般的な構成の情報処理装置は、(i)CPU、GPUなどのプロセッサ、ROM、RAM、通信インタフェースなどを有するデータ処理装置と、(ii)キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、カメラ、音声入力装置、ジェスチャ入力装置、各種センサ、GPS受信機などの入力装置と、(iii)表示装置、音声出力装置、振動装置などの出力装置と、(iv)メモリ、HDD、SSDなどの記憶装置(外部記憶装置を含む。)とを備えてよい。
【0240】
上記の一般的な構成の情報処理装置において、上記のデータ処理装置又は記憶装置は、上記のソフトウエア又はプログラムを記憶してよい。上記のソフトウエア又はプログラムは、プロセッサによって実行されることにより、上記の情報処理装置に、当該ソフトウエア又はプログラムによって規定された動作を実行させる。上記のソフトウエア又はプログラムは、非一時的なコンピュータ可読記録媒体に格納されていてもよい。上記のソフトウエア又はプログラムは、コンピュータを、管理サーバ102又はその一部として機能させるためのプログラムであってよい。上記のソフトウエア又はプログラムは、コンピュータに、管理サーバ102又はその一部における情報処理方法を実行させるためのプログラムであってよい。
【0241】
本実施形態において、上記の情報処理方法は、例えば、蓄電池の充電状態の変動を検出する変動検出段階を有する。上記の情報処理方法は、例えば、満充電及び完全放電を1サイクルとして蓄電池が充放電された場合に充放電により蓄電池に与えられるストレスの度合いに対する、変動検出段階において検出された変動により蓄電池に与えられるストレスの度合いの割合を示す指標であるストレス指標の値を導出する指標値導出段階を有する。上記の情報処理方法は、例えば、変動の度合いが予め定められた条件を満たす場合のストレス指標の値に基づいて、蓄電池が充電されている期間である充電期間又は蓄電池が放電されている期間である放電期間の何れか一方におけるストレス指標の値の積算値を導出する積算値導出段階を有する。
【0242】
格納部820は、記憶装置の一例であってよい。管理サーバ102は、コンピュータの一例であってよい。管理サーバ102に含まれるCPU、GPU及び/又はプロセッサは、コンピュータの一例であってよい。
【0243】
図9は、対応情報の生成処理の一例を概略的に示す。図9を用いて、対応情報取得部830が蓄電モジュール110の対応情報を生成することにより、対応情報取得部830が蓄電モジュール110の対応情報を取得する場合を例として、対応情報取得部830における情報処理の一例が説明される。
【0244】
本実施形態において、対応情報取得部830は、例えば、蓄電モジュール110の放電深度と、蓄電モジュール110のサイクル寿命との対応関係を示す情報922を取得する。対応情報取得部830は、蓄電モジュール110の製造者等が管理又は運営する情報処理装置にアクセスして、上記の情報922を取得してよい。
【0245】
本実施形態において、対応情報取得部830は、上記の情報922に基づいて、蓄電モジュール110の充放電深度と、蓄電モジュール110のストレス指標値との対応関係を示す情報924を生成する。具体的には、まず、対応情報取得部830は、特定の放電深度におけるサイクル寿命を、基準となるサイクル寿命として決定する。対応情報取得部830は、例えば、放電深度が85%の場合のサイクル寿命を、基準となるサイクル寿命として決定する。基準となるサイクル寿命は、蓄電モジュール110の製造者等により指定された値であってもよい。
【0246】
次に、対応情報取得部830は、基準となるサイクル寿命を、1以上の放電深度のそれぞれにおけるサイクル寿命の値で除することにより、1以上の放電深度のそれぞれに対応するストレス指標値を決定する。これにより、対応情報取得部830は、上記の情報924を生成する。
【0247】
図10は、本発明の複数の態様が全体的又は部分的に具現化されてよいコンピュータ3000の一例を示す。電力システム100の少なくとも一部は、1以上のコンピュータ3000により実現されてよい。例えば、管理サーバ102の少なくとも一部が、1以上のコンピュータ3000により実現される。例えば、蓄電システム104の少なくとも一部が、1以上のコンピュータ3000により実現される。
【0248】
コンピュータ3000にインストールされたプログラムは、コンピュータ3000に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該装置の1又は複数の「部」として機能させ、又は当該オペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ3000に、本発明の実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ3000に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU3012によって実行されてよい。
【0249】
本実施形態によるコンピュータ3000は、CPU3012、RAM3014、グラフィックコントローラ3016、及びディスプレイデバイス3018を含み、それらはホストコントローラ3010によって相互に接続されている。コンピュータ3000はまた、通信インターフェース3022、ハードディスクドライブ3024、DVD-ROMドライブ3026、及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ3020を介してホストコントローラ3010に接続されている。コンピュータはまた、ROM3030及びキーボード3042のようなレガシの入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ3040を介して入出力コントローラ3020に接続されている。
【0250】
CPU3012は、ROM3030及びRAM3014内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ3016は、RAM3014内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、CPU3012によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス3018上に表示されるようにする。
【0251】
通信インターフェース3022は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ3024は、コンピュータ3000内のCPU3012によって使用されるプログラム及びデータを格納する。DVD-ROMドライブ3026は、プログラム又はデータをDVD-ROM3001から読み取り、ハードディスクドライブ3024にRAM3014を介してプログラム又はデータを提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0252】
ROM3030はその中に、アクティブ化時にコンピュータ3000によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ3000のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ3040はまた、様々な入出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ3020に接続してよい。
【0253】
プログラムが、DVD-ROM3001又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもあるハードディスクドライブ3024、RAM3014、又はROM3030にインストールされ、CPU3012によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ3000に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ3000の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0254】
例えば、通信がコンピュータ3000及び外部デバイス間で実行される場合、CPU3012は、RAM3014にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インターフェース3022に対し、通信処理を命令してよい。通信インターフェース3022は、CPU3012の制御の下、RAM3014、ハードディスクドライブ3024、DVD-ROM3001、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0255】
また、CPU3012は、ハードディスクドライブ3024、DVD-ROMドライブ3026(DVD-ROM3001)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM3014に読み取られるようにし、RAM3014上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU3012は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0256】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU3012は、RAM3014から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM3014に対しライトバックする。また、CPU3012は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU3012は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0257】
上で説明したプログラム又はソフトウェアモジュールは、コンピュータ3000上又はコンピュータ3000近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それにより、上記のプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ3000に提供する。
【0258】
上記実施形態におけるフローチャート及びブロック図におけるブロックは、オペレーションが実行されるプロセスの段階又はオペレーションを実行する役割を持つ装置の「部」を表わしてよい。特定の段階及び「部」が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタル及び/又はアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)及び/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及びプログラマブルロジックアレイ(PLA)等のような、論理積、論理和、排他的論理和、否定論理積、否定論理和、及び他の論理演算、フリップフロップ、レジスタ、並びにメモリエレメントを含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0259】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0260】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0261】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路が、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を生成するために当該コンピュータ可読命令を実行すべく、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路に提供されてよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0262】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、技術的に矛盾しない範囲において、特定の実施形態について説明した事項を、他の実施形態に適用することができる。また、各構成要素は、名称が同一で、参照符号が異なる他の構成要素と同様の特徴を有してもよい。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0263】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0264】
10 通信ネットワーク、12 負荷装置、14 充電装置、100 電力システム、102 管理サーバ、104 蓄電システム、106 接続端子、107 接続端子、108 配線、110 蓄電モジュール、112 正極端子、114 負極端子、120 蓄電モジュール、122 正極端子、124 負極端子、140 システム制御部、210 蓄電部、212 正極端子、214 負極端子、222 蓄電セル、224 蓄電セル、230 切替部、240 モジュール制御部、250 保護部、260 バランス補正部、420 実線、520 実線、620 実線、720 実線、820 格納部、830 対応情報取得部、840 データ収集部、852 変動検出部、854 判定部、856 指標導出部、858 積算値導出部、860 サイクル数推定部、874 SOH導出部、876 交換時期推定部、922 情報、924 情報、3000 コンピュータ、3001 DVD-ROM、3010 ホストコントローラ、3012 CPU、3014 RAM、3016 グラフィックコントローラ、3018 ディスプレイデバイス、3020 入出力コントローラ、3022 通信インターフェース、3024 ハードディスクドライブ、3026 DVD-ROMドライブ、3030 ROM、3040 入出力チップ、3042 キーボード
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