IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハラックス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-二重ロック機構及び作業用具 図1
  • 特開-二重ロック機構及び作業用具 図2
  • 特開-二重ロック機構及び作業用具 図3
  • 特開-二重ロック機構及び作業用具 図4
  • 特開-二重ロック機構及び作業用具 図5
  • 特開-二重ロック機構及び作業用具 図6
  • 特開-二重ロック機構及び作業用具 図7
  • 特開-二重ロック機構及び作業用具 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024338
(43)【公開日】2025-02-20
(54)【発明の名称】二重ロック機構及び作業用具
(51)【国際特許分類】
   E06C 7/06 20060101AFI20250213BHJP
   E06C 1/39 20060101ALI20250213BHJP
【FI】
E06C7/06
E06C1/39 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128372
(22)【出願日】2023-08-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2025-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】392013497
【氏名又は名称】ハラックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092808
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 亘
(74)【代理人】
【識別番号】100207549
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 慎也
(74)【代理人】
【識別番号】100140981
【弁理士】
【氏名又は名称】柿原 希望
(72)【発明者】
【氏名】篠原 実
(72)【発明者】
【氏名】小菅 聡也
【テーマコード(参考)】
2E044
【Fターム(参考)】
2E044CA05
2E044EE11
(57)【要約】
【課題】施錠時には通常ロックと二重ロックとを同時に1アクションで施錠させることが可能な二重ロック機構及び、これを備えた作業用具を提供する。
【解決手段】この二重ロック機構80及びこれを備えた作業用具100は、脚部12をロック状態にする場合、使用者が解錠位置で保持していた第1のロック部材30を解放するのみで、第1のロック部材30が第1の弾性部材34の復元力によって自動で回動し脚部12をロックし、第2のロック部材40が第2の弾性部材44の弾性力によって自動でスライド移動して第1のロック部材30をロックする。即ち、ロック時には1アクションのみで第1のロック部材30、第2のロック部材40による二重ロックが自動で行われる。これにより、二重ロックの施錠忘れが発生せず、使用者は常に二重ロックの掛かった安全な状態で作業用具100を使用することができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業用具の縦支柱の下部に設置された脚部のスライド移動をロックする二重ロック機構であって、
前記脚部に設けられたラックギアと、
前記縦支柱の側に設けられるとともに係合歯を備え、前記係合歯が前記ラックギアと係合する施錠位置と、前記係合歯がラックギアから離間する解錠位置との間で回動する第1のロック部材と、
前記第1のロック部材を施錠位置の方向に付勢する第1の弾性部材と、
前記第1のロック部材の回動を阻止する回動施錠位置と、回動を可能とする回動解錠位置との間で移動する第2のロック部材と、
前記第2のロック部材を回動施錠位置の方向に付勢する第2の弾性部材と、を有し、
前記脚部のロックが解除された状態で、前記第1のロック部材を解錠位置から解放すると、前記第1の弾性部材が前記第1のロック部材を施錠位置に自動で回動するとともに前記第2の弾性部材が前記第2のロック部材を自動で回動施錠位置に移動させ、前記脚部に対する二重ロックが自動で行われることを特徴とする二重ロック機構。
【請求項2】
前記第1のロック部材が回動するための回動スペースを備えるとともに、この回動スペースに面した第1のロック部材の一部に第2のロック部材が当接する受部を設け、
前記第1のロック部材が施錠位置にあるときには、第2のロック部材が前記受部に当接して回動施錠位置をとり、
前記第1のロック部材が解錠位置にあるときには、前記第1のロック部材が前記回動スペースを塞いで前記第2のロック部材の回動施錠位置への移動を阻止することを特徴とする請求項1記載の二重ロック機構。
【請求項3】
第2のロック部材が第1のロック部材の内側に設けられた収容部内をスライド移動することを特徴とする請求項1に記載の二重ロック機構。
【請求項4】
左右の縦支柱と、前記左右の縦支柱の間に架け渡された踏桟と、前記縦支柱の下部に設置され前記縦支柱に沿ってスライド移動する脚部と、を備えた梯子部材と、
前記脚部のスライド移動をロックする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の二重ロック機構と、を有することを特徴とする作業用具。
【請求項5】
複数の縦支柱と、前記複数の縦支柱によって保持される台板と、前記縦支柱の下部に設置され前記縦支柱に沿ってスライド移動する脚部と、前記脚部のスライド移動をロックする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の二重ロック機構と、を有することを特徴とする作業用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脚立や、作業台、梯子、トラック用昇降ステップ、選果台、移動ラック等の作業用具の脚部に設けられた伸縮機構の二重ロック機構及び、これを備えた作業用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高所での作業もしくは高所への移動に用いる梯子部材を有する作業用具として、梯子や脚立、踏み台、高所作業台、足場台、トラックの荷台へ上がるためのトラック用昇降ステップ等が商品化されている。このような梯子部材を備えた作業用具では、梯子部材の下部に位置する脚部が上下方向にスライド移動する伸縮機構を備えたものが存在する。このような伸縮機構を備えた作業用具は、例えば設置面に段差等が存在する場合、それぞれの脚部をその段差に合わせてスライド移動させ位置調整を行うことで、梯子部材の踏桟が略水平な安定した状態での使用が可能となる。
【0003】
また、脚部に伸縮機構を備えた他の作業用具として、選果台や作業台、車輪を備えた移動ラックや牽引台車等が存在する。これらの作業用具では脚部をスライド移動させ位置調整を行うことで台板の位置を作業のし易い高さに調節することができる。さらに、車輪を備えた作業用具では移動時には脚部を縮小して車輪を接地させ移動可能とし、作業時には脚部を伸長して接地させ車輪による移動を不可とするブレーキとしても機能させることができる。
【0004】
そして、このような脚部の伸縮機構には安全性確保の観点から、意図しない脚部のスライド移動を防止するロック機構が設けられ、さらにはこのロック機構を更にロックする二重ロック機構を備えたものも多く商品化している。このような、二重ロック機構に関する特許文献として、例えば下記[特許文献1]が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-052581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、[特許文献1]に記載のような一般的な二重ロック機構は、通常のロックを行った後に、さらに二重ロックを行う必要がある。即ち、ロック時には通常ロックへの施錠動作と二重ロックへの施錠動作の2アクションが必要となる。このため、使用者が二重ロックを行わずに通常ロックのみで作業用具を使用する可能性があり、安全性確保の観点から更なる改善が望まれる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ロックの解除には従来通り2アクションが必要でありながら、施錠時には通常ロックと二重ロックとを同時に1アクションで施錠させることが可能な二重ロック機構及び、これを備えた作業用具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
(1)作業用具の縦支柱2の下部に設置された脚部12のスライド移動をロックする二重ロック機構80であって、
前記脚部12に設けられたラックギア20と、
前記縦支柱2側に設けられるとともに係合歯32を備え、前記係合歯32が前記ラックギア20と係合する施錠位置と、前記係合歯32がラックギア20から離間する解錠位置との間で回動する第1のロック部材30と、
前記第1のロック部材30を施錠位置の方向に付勢する第1の弾性部材34と、
前記第1のロック部材30の回動を阻止する回動施錠位置と、回動を可能とする回動解錠位置との間で移動する第2のロック部材40と、
前記第2のロック部材40を回動施錠位置の方向に付勢する第2の弾性部材44と、を有し、
前記脚部12のロックが解除された状態で、前記第1のロック部材30を解錠位置から解放すると、前記第1の弾性部材34が前記第1のロック部材30を施錠位置に自動で回動するとともに前記第2の弾性部材44が前記第2のロック部材40を自動で回動施錠位置に移動させ、前記脚部12に対する二重ロックが自動で行われることを特徴とする二重ロック機構80を提供することにより、上記課題を解決する。
(2)前記第1のロック部材30が回動するための回動スペース42を備えるとともに、この回動スペース42に面した第1のロック部材30の一部に第2のロック部材40が当接する受部38を設け、
前記第1のロック部材30が施錠位置にあるときには、第2のロック部材40が前記受部38に当接して回動施錠位置をとり、
前記第1のロック部材30が解錠位置にあるときには、前記第1のロック部材30が前記回動スペース42を塞いで前記第2のロック部材40の回動施錠位置への移動を阻止することを特徴とする上記(1)記載の二重ロック機構80を提供することにより、上記課題を解決する。
(3)第2のロック部材40が第1のロック部材30の内側に設けられた収容部39内をスライド移動することを特徴とする上記(1)に記載の二重ロック機構80を提供することにより、上記課題を解決する。
(4)左右の縦支柱2と、前記左右の縦支柱2の間に架け渡された踏桟4と、前記縦支柱2の下部に設置され前記縦支柱2に沿ってスライド移動する脚部12と、を備えた梯子部材10と、
前記脚部12のスライド移動をロックする上記(1)乃至上記(3)のいずれかに記載の二重ロック機構80と、を有することを特徴とする作業用具100を提供することにより、上記課題を解決する。
(5)複数の縦支柱2と、前記複数の縦支柱2によって保持される台板7と、前記縦支柱2の下部に設置され前記縦支柱2に沿ってスライド移動する脚部12と、前記脚部12のスライド移動をロックする上記(1)乃至上記(3)のいずれかに記載の二重ロック機構80と、を有することを特徴とする作業用具100を提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る二重ロック機構及びこれを備えた作業用具は、脚部のロック時には保持中の第1のロック部材を解放するという1アクションのみで第1のロック部材、第2のロック部材による二重ロックが自動で行われる。これにより、二重ロックの施錠忘れが発生せず、使用者は常に二重ロックの掛かった安全な状態で作業用具を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る作業用具をトラック用昇降ステップに適用した例を示す図である。
図2】本発明に係る作業用具を選果台に適用した例を示す図である。
図3】本発明に係る二重ロック機構を示す図である。
図4】本発明に係る二重ロック機構の拡大図及び模式的な断面図である。
図5】本発明に係る二重ロック機構の二重ロック状態の斜視図及び模式断面図である。
図6】本発明に係る二重ロック機構の第2のロック部材のロック解除状態の斜視図及び模式断面図である。
図7】本発明に係る二重ロック機構のロック解除状態の斜視図及び模式断面図である。
図8】本発明に係る二重ロック機構に好適な第1のロック部材、第2のロック部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る二重ロック機構80及び作業用具100の実施の形態を図面に基づいて説明する。ここで、図1は本発明に係る作業用具100をトラック用昇降ステップに適用した例を示す図である。また、図2は本発明に係る作業用具100を選果台に適用した例を示す図である。尚、本発明に係る作業用具100は、トラック用昇降ステップ及び選果台に限定されるものではなく、梯子や脚立、踏み台、高所作業台、足場台、作業台、移動ラック、牽引台車等、縦支柱2に沿ってスライド移動する脚部12を備えた全ての作業用具100に対して適用が可能である。
【0012】
先ず、図1に示すトラック用昇降ステップとしての作業用具100は、主たる構成部材として梯子部材10を有している。そして、本発明の梯子部材10は、左右一対の縦支柱2と、この左右の縦支柱2の間に架け渡された複数の踏桟4と、縦支柱2の下部に設置され縦支柱2に沿ってスライド移動することで伸縮動作する脚部12と、この脚部12の伸縮動作(スライド移動)を個々にロックする本発明に係る二重ロック機構80と、を有している。
【0013】
また、本発明に係る作業用具100がトラック用昇降ステップの場合、梯子部材10の上端には天板4aが設置され、この天板4aの下面にはトラックのアオリ等に引掛けることで作業用具100をトラックに固定する掛止部6が設けられている。尚、この天板4aは、例えば縦支柱2に設けられた支点を軸に回動して折り畳み可能とすることが可搬性の面から好ましい。また、トラック用昇降ステップとしての作業用具100の縦支柱2には、図示しない手摺が着脱可能もしくは折畳み可能で設置されることが好ましい。尚、図1では縦支柱2が手摺ジョイント8を備えた例を示しており、使用時には、この手摺ジョイント8に手摺(図示せず)を設置することで、使用者のより安全な昇降が可能となる。
【0014】
また、図2に示す選果台としての作業用具100は、複数(4本)の縦支柱2と、この複数の縦支柱2によって保持される台板7と、これら縦支柱2の下部に設置され縦支柱2に沿ってスライド移動する脚部12と、この脚部12のスライド移動をロックする本発明に係る二重ロック機構80と、を有している。そして、縦支柱2は台板7の短辺方向の2本を一対として連結され台板7に対して回動可能に軸支される。そして、収容時には対となった2本の縦支柱2が台板7側に回動して折り畳まれ収納状態をとる。また、使用時には対となった2本の縦支柱2が外側に展開して所定の位置で固定し使用状態をとる。
【0015】
次に、本発明に係る二重ロック機構80に関して説明を行う。ここで、図3(a)~(e)は、本発明に係る二重ロック機構80の上面図、正面図、側面図、背面図、下面図である。また、図4(a)は正面の拡大図であり、図4(b)はX-X線における模式的な断面図である。また、図5(a)、(b)は二重ロック機構80の二重ロック状態を示す斜視図及び模式断面図であり、図6(a)、(b)は二重ロック機構80の第2のロック部材のロック解除状態を示す斜視図及び模式断面図であり、図7(a)、(b)は二重ロック機構80のロック解除状態を示す斜視図及び模式断面図である。尚、図5(a)、図6(a)、図7(a)では取付金具16を破線により透過状態で示し、図5(b)、図6(b)、図7(b)では第2の弾性部材44を部分的に省略して示している。
【0016】
先ず、本発明に係る二重ロック機構80は、作業用具100を構成する脚部12のスライド移動(伸縮動作)を個別にロックするものである。そして、脚部12は、下端に位置し地面や床面に接地する接地部12aと、脚部12が出入りしてスライド移動する脚筒2aと、を有している。尚、図1図2では、脚筒2aが縦支柱2に平行に固定された別体で構成された例を示しているが、脚部12を縦支柱2内に直接出入り可能とし、縦支柱2が脚筒2aを兼ねるように構成しても良い。そして、脚部12が脚筒2a内に出入りすることで接地部12aの位置が縦支柱2に沿って上下方向にスライド移動し、これにより脚部12が伸縮動作する。
【0017】
そして、本発明に係る二重ロック機構80は伸縮動作する脚部12ごとに設けられ、上記の脚部12の一面(通常、対となった脚部12の内側に位置する面)に設けられたラックギア20と、このラックギア20と係合する第1のロック部材30と、第1のロック部材30を施錠位置の方向に付勢する第1の弾性部材34と、第1のロック部材30の回動を阻止する第2のロック部材40と、この第2のロック部材40を後述の回動施錠位置の方向に付勢する第2の弾性部材44と、を有している。そして、二重ロック機構80は、例えば略コの字形状の取付金具16を介して脚筒2aに固定される。
【0018】
また、本発明に好適な第1のロック部材30は、図8(a)に示すように、一端側にラックギア20と係合する係合歯32が脚筒2a側に突出するように設けられ、他端側(係合歯32の逆端側)には人が第1のロック部材30を回動させるための回動レバー36が脚筒2a側とは逆方向に突出する形で設けられている。そして、第1のロック部材30は軸体22によって軸支されるとともに、この軸体22は図5図7に示すように例えば取付金具16に設けられた軸孔22aによって軸支され脚筒2a(縦支柱2)側で保持される。そして、第1のロック部材30は、この軸体22を軸に係合歯32がラックギア20と係合する図4図6に示す施錠位置と、回動レバー36が脚筒2a側に押し下げられて係合歯32が持ち上がりラックギア20から離間した図7に示す解錠位置との間で回動する。尚、第1のロック部材30が施錠位置にあるときは、回動レバー36と脚筒2aとの間に第1のロック部材30が回動するための回動スペース42が形成される。このとき、この回動スペース42に面した第1のロック部材30の所定の位置には第2のロック部材40が当接する受部38を設けることが好ましい。この受部38の形状としてはスライドピン48と略同径の凹みとすることが好ましいが、単なる面で構成しても構わない。そしてこの受部38を設けた構成では、第1のロック部材30が施錠位置にあるときに、スライドピン48と受部38とが係合して第1のロック部材30の回動と第2のロック部材40の移動とをより確実に阻止することができる。
【0019】
さらに、本発明に好適な第1のロック部材30では、内側に第2のロック部材40を収容する略長方形の収容部39を設けることが好ましい。この場合、第1のロック部材30は、係合歯32を備えた先部分と、回動レバー36の押し釦部分と、回動レバー36の左右のアームとで構成された正面視で略ロの字形状を呈する。
【0020】
また、第1のロック部材30には第1の弾性部材34が設置され、第1のロック部材30を施錠位置の方向に付勢する。このとき用いる第1の弾性部材34に関しては特に限定は無いが、軸体22にコイル部分を通して保持された「ねじりコイルバネ」を用いることが好ましい。そして、使用者が第1のロック部材30から手を離した解放状態において、第1のロック部材30は第1の弾性部材34の弾性力によって自動的に施錠位置に回動し、係合歯32とラックギア20とが係合して脚部12のスライド移動をロックする。
【0021】
また、本発明に好適な第2のロック部材40は、図8(b)に示すように、本体部40aと、使用者が本体部40aをスライド移動させるためのスライドレバー46と、本体部40aから左右方向に突出したスライドピン48と、を有している。尚、本発明に好適な第2のロック部材40では、本体部40aを脚筒2a側が開いた略コの字形状に構成するとともに、スライドピン48をこの本体部40aを左右方向に貫通した金属棒で形成することが好ましい。そして、この第2のロック部材40は第1のロック部材30の収容部39内にスライド移動可能な状態で設置される。また、取付金具16には縦支柱2の長手方向と平行な長孔48aが設けられるとともに、スライドピン48が回動レバー36の左右のアームの下方を通って長孔48aに可動な状態で挿入する。これにより、第2のロック部材40は長孔48aのガイドにより縦支柱2の長手方向に沿ってスライド移動が可能となる。そして、第2のロック部材40はスライドピン48が回動スペース42に進入して受部38と当接する回動施錠位置と、スライドピン48が回動スペース42から離脱する回動解錠位置との間でスライド移動する。またこのとき、回動レバー36に段差を設け、図6に示すように、この回動レバー36の段差の面と第2のロック部材40が回動解錠位置にある時のスライドレバー46の端面位置とを略同一とすることが好ましい。この構成では、使用者はスライドレバー46をどこまでスライド移動させれば回動解錠位置に到達するかを直感的に把握することができる。
【0022】
また、第2の弾性部材44はこの第2のロック部材40を上記の回動施錠位置の方向に付勢する。このとき用いる第2の弾性部材44に関しては特に限定は無いが、一端が第1のロック部材30側で保持され、他端が第2のロック部材40側で保持された「引張りコイルバネ」を用いることが好ましい。尚、本発明に好適な第2のロック部材40では、コの字形状に開いた本体部40aの内側に第2の弾性部材44の一端を差し入れて、本体部40aを貫通しているスライドピン48に引っ掛けて保持させるとともに、他端を第1のロック部材30の軸体22に引っ掛けて保持することが好ましい。この構成では本発明に係る二重ロック機構80の部品点数の削減と省スペース化、コンパクト化を図ることができる。
【0023】
そして、第1のロック部材30が施錠位置にある場合、回動レバー36は持ち上がった状態にあり、この回動レバー36の左右のアームの受部38の下の領域には回動スペース42が形成される。そして、この回動スペース42に第2のロック部材40のスライドピン48が進入して受部38と当接し回動施錠位置をとる。この回動施錠位置では、第2のロック部材40(スライドピン48)が回動レバー36と脚筒2aとの間に位置しているから、第1のロック部材30はこのスライドピン48が障害となって施錠位置から回動することが出来ず、解錠位置をとることができない。これにより、脚部12は第1のロック部材30によるロックと、この第1のロック部材30に対する第2のロック部材40のロックとの二重のロックがなされる。
【0024】
次に、本発明に係る二重ロック機構80の動作をトラック用昇降ステップの場合及び選果台の場合を例に説明を行う。先ず、作業用具100を使用場所に載置する。このとき、脚部12は脚筒2a内に収納された縮小状態にある。またこのとき二重ロック機構80は、図4図5に示すように、第1のロック部材30の係合歯32が脚部12のラックギア20と係合した施錠位置をとり、第2のロック部材40は第1のロック部材30の受部38に当接した回動施錠位置をとっており、これにより脚部12は二重ロック機構80の第1のロック部材30と第2のロック部材40とで二重にロックされた状態となっている。
【0025】
次に作業用具100がトラック用昇降ステップの場合、天板4aを回動して折畳み状態から展開状態とし、天板4aの掛止部6を設置場所であるトラックのアオリ等に引掛ける。また、作業用具100が選果台の場合、対となった2本の縦支柱2をそれぞれ外側に展開する。そして、これらの縦支柱2は台板7から立ち上がった所定の位置で固定され、台板7の脚となる。次に、これら作業用具100の脚部12の二重ロック機構80を以下の手順で解除する。
【0026】
二重ロック機構80の解除は、先ず使用者が第2のロック部材40のスライドレバー46を縦支柱2に沿って上方に押し上げる。これにより、第2のロック部材40のスライドピン48が取付金具16の長孔48aをガイドにして上方にスライド移動する。これにより、図6に示すようにスライドピン48が第1のロック部材30の受部38から外れて、第2のロック部材40は回動解錠位置となる。そして、第1のロック部材30の回動が可能となる。
【0027】
次に、使用者は第2のロック部材40を回動解錠位置で保持したまま、図7に示すように回動レバー36を脚筒2a側に押し下げる。これにより、第1のロック部材30が軸体22を軸に回動し、係合歯32が持ち上がってラックギア20との係合が解除され解錠位置をとる。そしてこの解錠位置では係合歯32とラックギア20とが離間しているため、脚部12はロック解除された状態となり脚筒2aに対するスライド移動が可能となる。次に、使用者は回動レバー36を押し下げた状態のまま、第2のロック部材40から手を放す。これにより、第2のロック部材40は第2の弾性部材44の復元力によって回動施錠位置側にスライド移動しようとするが、回動レバー36を押し下げた状態では回動スペース42に相当する部位が回動レバー36によって塞がれ、第2のロック部材40は図7に示すように回動施錠位置の手前で第1のロック部材30と当接して回動施錠位置への移動は阻止される。これにより、第1のロック部材30は解錠位置のまま変化せず、脚部12の解錠状態は維持される。
【0028】
次に使用者は脚部12を脚筒2aから出し入れして縦支柱2に沿ってスライド移動させ、接地部12aを例えば作業用具100が安定する最適な位置、もしくは使用者が作業し易い最適な高さ位置とする。次に、使用者は回動レバー36を解放する。これにより、第1のロック部材30は第1の弾性部材34の復元力によって自動で回動し施錠位置となる。そして、係合歯32とラックギア20とが係合して脚部12に対するロックが行われる。また、第1のロック部材30が施錠位置に回動することで回動レバー36が持ち上がり、回動スペース42が開放状態となる。これにより、第2のロック部材40は第2の弾性部材44の弾性力によってスライド移動して回動スペース42に進入し受部38と当接して回動施錠位置となる。これにより、第1のロック部材30は施錠位置から回動できなくなり、第1のロック部材30に対するロックが施される。これにより、脚部12は第1のロック部材30でロックされ、さらに第1のロック部材30は第2のロック部材40にてロックされた二重ロック状態となる。
【0029】
次に、使用者は上記の二重ロック機構80の解錠操作と接地部12aの位置調整、二重ロック機構80の施錠操作を作業用具100の全ての脚部12に対して行う。これにより、作業用具100がトラック用昇降ステップの場合には踏桟4と天板4aとが略水平な安定した設置状態となり、使用者は安全に昇降及び作業を行うことができる。また、作業用具100が選果台の場合には台板7が作業し易い高さ位置となる。
【0030】
また、本発明に係る二重ロック機構80は、作業用具100の使用時において第2のロック部材40の回動施錠位置を下とし、回動解錠位置が上となるように構成することが好ましい。この構成では、仮に第2の弾性部材44が破損した場合でも、第2のロック部材40は作業用具100の自重及び荷重によって第1のロック部材30側に押圧され回動施錠位置のまま保持される。これにより、第1のロック部材30は施錠位置のまま保持され、第2の弾性部材44が破損した場合でも、脚部12に対するロック状態は維持される。また、第1の弾性部材34が破損した場合でも、第2のロック部材40が回動施錠位置に存在するため、第1のロック部材30は施錠位置のまま保持され、脚部12に対するロック状態は維持される。このように、本発明に係る二重ロック機構80は、仮に第1の弾性部材34もしくは第2の弾性部材44が破損した場合でも、脚部12へのロック状態を維持することができる。
【0031】
以上のように、本発明に係る二重ロック機構80及びこれを備えた作業用具100は、脚部12に対するロックを解除する場合、従来の二重ロック機構と同様に使用者による2アクションが必要となる。しかしながら、脚部12をロック状態にする場合には、使用者が解錠位置で保持していた第1のロック部材30を解放するのみで、第1のロック部材30が第1の弾性部材34の復元力によって自動で回動し施錠位置となって脚部12をロックし、また第1のロック部材30が回動することで回動スペース42が開放状態となり、第2のロック部材40が第2の弾性部材44の弾性力によって自動で回動施錠位置にスライド移動して第1のロック部材30をロックする。即ち、本発明に係る二重ロック機構80及びこれを備えた作業用具100では、脚部12のロック時には保持中の第1のロック部材30を解放するという1アクションのみで第1のロック部材30、第2のロック部材40による二重ロックが自動で行われる。これにより、二重ロックの施錠忘れが発生せず、使用者は常に二重ロックの掛かった安全な状態で作業用具100を使用することができる。
【0032】
尚、上記に示した二重ロック機構80及び作業用具100の各部の構成、形状、デザイン等は一例であるから、上記の例に限定されるわけでは無く、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0033】
2 縦支柱
4 踏桟
7 台板
10 梯子部材
12 脚部
20 ラックギア
30 第1のロック部材
32 係合歯
34 第1の弾性部材
38 受部
39 収容部
40 第2のロック部材
42 回動スペース
44 第2の弾性部材
80 二重ロック機構
100 作業用具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8