(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024394
(43)【公開日】2025-02-20
(54)【発明の名称】脱着装置
(51)【国際特許分類】
B25B 27/02 20060101AFI20250213BHJP
B26B 23/00 20060101ALI20250213BHJP
【FI】
B25B27/02 Z
B26B23/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128464
(22)【出願日】2023-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】502278275
【氏名又は名称】株式会社京阪エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100182121
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 紘子
(72)【発明者】
【氏名】川上 孝司
【テーマコード(参考)】
3C031
3C061
【Fターム(参考)】
3C031DD47
3C061AA02
3C061BB08
3C061DD15
3C061EE09
(57)【要約】
【課題】簡便に斧刃と柄との脱着を行うことができ、斧の製造又はメンテナンスを行うことができる斧の脱着装置を提供することをその主たる目的とする。
【解決手段】斧100を構成する斧刃101及び柄102が配置可能な平面が一軸方向に延伸する台座2と、台座2の一端部に設けられて、斧刃101または柄のいずれか一方を一軸方向に押圧するための押圧部3と、台座2に設けられて、斧刃101又は柄102を固定するための固定部4と、を備える脱着装置1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記斧を構成する斧刃及び柄が配置可能な平面が一軸方向に延伸する台座と、
前記台座の一端部に設けられて、前記斧刃または前記柄のいずれか一方を前記一軸方向に押圧するための押圧部と、
前記台座に設けられて、前記斧刃又は前記柄を固定するための固定部と、を備える脱着装置。
【請求項2】
前記固定部は、前記平面に設けられて、前記押圧部に隣接して配置する前記斧刃の前記一軸方向の移動を規制する第1固定部材と、前記平面に設けられて、前記柄が配置可能な凹部が設けられた第2固定部材とを備え、
前記台座には、前記一軸方向に向かって、前記押圧部、前記第1固定部材、前記第2固定部材の順に配置されていることを特徴とする、請求項1記載の脱着装置。
【請求項3】
前記押圧部が、軸方向が前記一軸方向となるように配置されるシリンダ部と、前記シリンダ部の内部であって、前記一軸方向に移動可能に配置されるピストン部と、前記ピストン部に連動して、前記一軸方向に前記シリンダ部から押し出されて、前記斧刃又は前記柄のいずれか一方を押圧するロッド部と、前記ピストン部を前記一軸方向に移動させる作動部と、を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の脱着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、斧を製造又はメンテナンスするための脱着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ブームとなっているキャンプで焚火を楽しんだり、また、インテリアとしても注目されている薪ストーブで暖を取ったりするための薪を製造するために、斧が用いられている。
【0003】
斧は、斧刃と柄とを接合させて製造されるものであり、具体的には、斧刃に設けられた貫通孔に柄を手動で圧入して、斧刃と柄とを嵌合して一体化することで製造される。ここで、使用中に、斧刃が柄から抜け出てしまわないように、例えば特許文献1記載の斧では、斧刃の貫通孔に、柄とともにくさびを圧入して、くさびによって、斧刃が柄から脱落することを防止したものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、使用状態や経年劣化によって、斧は、斧刃が欠けたり、また木材やプラスチックで構成される柄にひび割れを生じたりすることがある。この場合、斧刃を柄から取り外して、斧刃を研いだり、柄を新調したりする等のメンテナンスを行う必要があるが、斧刃及び柄の取り付け又は取り外しを行う脱着作業は、手作業で行われることが多い。そのため、くさびを圧入している特許文献1記載の斧において、手作業で斧刃を柄から取り外すことには困難が伴う。
【0006】
また、そもそも手作業で斧刃と柄とを嵌合させる従来の方法では、1日あたりに製造できる斧の数には限りがあり、簡便に斧を製造できる方法が望まれていた。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、簡便に斧刃と柄との脱着を行うことができ、斧の製造又はメンテナンスを行うことができる脱着装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の脱着装置は、前記斧を構成する斧刃及び柄が配置可能な平面が一軸方向に延伸する台座と、前記台座の一端部に設けられて、前記斧刃または前記柄のいずれか一方を前記一軸方向に押圧するための押圧部と、前記台座に設けられて、前記斧刃又は前記柄を固定するための固定部と、を備える。
【0009】
この脱着装置においては、斧刃を柄に取り付けて斧を製造する場合には、例えば、固定部に斧刃を固定するとともに、柄を斧刃に設けられた貫通孔に向けて押圧部で一軸方向に押圧すれば斧刃に柄を取り付けることができる。また、斧刃から柄を取り外してメンテナンスをしたい場合には、例えば、固定部に斧刃を固定して、斧刃の貫通孔に圧入された柄を押圧部で一軸方向に押圧すれば、斧刃から柄を取り外すことができる。つまり、使用者は本発明の脱着装置を使用すれば、簡便に斧刃と柄との脱着を行うことができる。そのため、本発明の脱着装置一台で、斧の製造又はメンテナンスを行うことができ、また、手作業で斧刃及び柄の脱着作業を行っていた場合に比べて作業効率を各段にあげることが可能となる。加えて、押圧部で斧刃に対して柄を圧入するので、手作業と比較して強い力で圧入することができ、斧刃が柄から外れることを確度高く防止することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡便に斧刃と柄との脱着を行うことができ、斧の製造又はメンテナンスを行うことができる斧の脱着装置を実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】第1の実施形態の脱着装置において、斧刃に柄を取り付けている図である。
【
図4】第1の実施形態の脱着装置において、斧刃から柄を取り外している図である。
【
図6】第2の実施形態の脱着装置において、斧刃に柄を取り付けている図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を、添付する図面に基づいて詳細に述べる。なお、この説明に際し、全図にわたり、特に言及がない限り、共通する部分には共通する参照符号が付されている。また、図中、各実施形態の要素のそれぞれは、必ずしも互いの縮尺比を保って示されてはいない。また、各図面を見やすくするために、一部の符号が省略されうる。
【0013】
<第1実施形態>
第1実施形態の脱着装置1は、斧刃101に柄102を取り付けて斧100を製造する作業、又は、斧刃101から柄102を取り外して斧100をメンテナンスする作業のいずれにも使用可能な装置である。脱着装置1は、
図1に示すように、台座2と、台座2の一端部に設けられた押圧部3と、台座2に設けられた固定部4とを備える。
【0014】
ここで、斧100は、斧刃101と柄102とで構成されるものである。斧刃101には貫通孔が設けられており、この貫通孔に柄102を差し込んで斧刃101と柄102とを一体化することで、斧100が構成されている。
【0015】
台座2は、斧100を構成する斧刃101及び柄102が配置可能な一軸方向に延伸する平面が設けられたものである。(以下、台座2の平面が延伸する方向を「一軸方向」と記載する。)柄102の太さや斧刃101の大きさに応じて、平面の水平方向の幅や、平面が配置される鉛直方向の高さを適宜変更することができる。また、台座2の鉛直方向の高さについては作業者が作業しやすい高さに設定することが好ましい。なお、本実施形態では、台座2の平面上に例えば木材等の別部材からなる調整部材30を配置して鉛直方向の高さを調整している。
【0016】
押圧部3は、斧刃101または柄102のいずれか一方を一軸方向に押圧するものである。押圧部3は、
図2に示すように、シリンダ部5と、ピストン部6と、ロッド部7と、作動部8とを備える。
【0017】
シリンダ部5は、円筒状の内部空間5aが設けられた略円筒形状をなすものであって、円筒形状の軸方向が台座2の平面の一軸方向と一致するように、台座2の一端部に配置される。
【0018】
ピストン部6は、シリンダ部5の内部空間5aに配置され、内部空間5aを構成する内周面に外周面が接する円盤体を備える。円盤体の軸方向は、シリンダ部5の軸方向と一致するように配置されるとともに、該内部空間5aにおいて該一軸方向に移動可能に配置される。
【0019】
ロッド部7は、ピストン部6の円盤体の略中心に一体となるように連結されて、一軸方向に延伸する円柱体と、円柱体の先端に設けられた円盤状の押圧部材9とを備える。この押圧部材9が、斧刃101または柄102に当接して、これらを一軸方向に押圧する。また、押圧部材9は、側周面の相対する位置に一対の取っ手部9aが設けられている。押圧部材9は、一軸方向に移動していない状態で、シリンダ部5の一端に当接して配置される。この状態を以下、説明のため「基本状態」という。
【0020】
作動部8は、ピストン部6及びロッド部7を一軸方向に移動させるものであって、本実施形態では、油圧を用いて押圧する構成を備える。そのため、作動部8はシリンダ部5に油を充填するための油タンク(不図示)、及びシリンダ部5に油を供給するためのポンプ(不図示)及びレバー12をさらに備えている。シリンダ部5は、内部空間5aに油が供給される油供給路10と、内部空間5aから油を排出させる油排出路11が設けられている。油供給路10及び油排出路11は、油タンク及びポンプに接続されている。
【0021】
シリンダ部5の内部空間5aにおいて、油供給路10と油排出路11との間にピストン部6が配置されており、ピストン部6は内部空間5aに充填される油圧によって、一軸方向に移動する。また、ピストン部6に連結されたロッド部7も同様に一軸方向に移動する。
【0022】
また、本実施形態では、作動部8は、ストロークが異なる2つのレバー12を備える。作業者はこのレバー12を引くことでポンプを動作させて、油タンクから油供給路10を介してシリンダ部5の内部空間5aに油を供給する。ここで、レバー12のストロークが異なることで、油タンクから供給される油の量を異ならせることができる。そのため、ピストン部6及びロッド部7の一軸方向に移動させる距離を大きくしたい場合と、ピストン部6及びロッド部7の一軸方向に移動させる距離を小さくして位置の微調整を行いたい場合とで、レバー12を使い分けて、より使い勝手のよい装置を提供することができる。
【0023】
加えて、本実施形態では、作動部8は一軸方向に移動したピストン部6及びロッド部7を基本状態に戻すための弾性部材13(本実施形態ではコイルバネ)を備える。この弾性部材13は、シリンダ部5の軸方向に対して平行となるように、シリンダ部5の両側に一対配置されている。一対の弾性部材13は、それぞれ一端部がシリンダ部5を固定する留め板に係止されるとともに、他端部が押圧部材9の取っ手部9aに係止されている。
【0024】
この構成により、ピストン部6及びロッド部7が一軸方向に移動すると、ロッド部7の先端に配置する押圧部材9も移動するため、弾性部材13が延びて弾性変形する。この状態で、内部空間5aに充填された油が油排出路11から排出されると、弾性部材13の弾性力により押圧部材9がシリンダ側に移動して、押圧部材9がシリンダ部5に当接する基本状態へと戻る。
【0025】
押圧部3は、
図3に示すように、押圧部材9に取り外し可能に取り付けられるアタッチメント14をさらに備える。このアタッチメント14は、押圧部材9に被せるための被せ部材と、被せ部材に設けられて、押圧部材9の略中心から、一軸方向に向かって延伸する円柱形状をなす突出部14aとを備える。なお、
図1において、アタッチメント14は取り付けられていない。
【0026】
固定部4は、台座2の平面に設けられて、一軸方向とは直交する方向に一定間隔を隔てて相対して配置される一対の第1固定部材15と、台座2の平面に設けられて、上方が開口する凹部16aが設けられた第2固定部材16とを備える。
【0027】
第1固定部材15は、斧刃101を押圧部3に隣接して配置した際に、斧刃101が一軸方向に移動しないように規制するとともに、押圧部3によって押圧した際に、柄102が押圧部3からの圧力によって曲がってしまわないように規制するものである。第1固定部材15は、一対の略直方体をなす部材で構成されており、当該部材は、一定間隔を隔てて平面が相対するように、台座2の平面に固定して配置されている。この一定間隔とは、柄102は当該部材の間に配置することができるが、斧刃101は当該部材の間に配置することができない距離をいう。
【0028】
第2固定部材16は、斧刃101や柄102の一軸方向の移動を規制するものである。第2固定部材16は、一軸方向に一定間隔を隔てて台座2の平面上に起立して配置される仕切り板17と、仕切り板17の側端部同士を連結する連結板18とを備える。この構成により、仕切り板17と連結板18とで囲まれる空間が設けられる。本実施形態では3つの仕切り板17によって2つの空間を備える。この空間には斧刃101を配置することが可能である。仕切り板17には、上方に開口する略半円形状の凹部16aがそれぞれ設けられている。
【0029】
凹部16aは、柄102が配置可能なものである。凹部16aの鉛直下方の位置から台座2までの鉛直方向の高さは、斧刃101を一軸方向と水平となるように台座2に起立して配置した場合の台座2から斧刃101の貫通孔までの鉛直方向の高さと同等になるように構成されている。そのため、空間に刃101を一軸方向と水平となるように台座2に起立して配置した場合に、斧刃101の貫通孔と、凹部16aとが連通する。
【0030】
台座2には、押圧部3が設けられた一端部から一軸方向に向かって、第1固定部材15、第2固定部材16の順に配置されている。ここで、押圧部3と第1固定部材15との間には所定距離を隔てて配置されるとともに、第1固定部材15と第2固定部16との間も所定距離を隔てて配置されている。この所定距離は、斧100の種類等によって適宜変更することができる。
【0031】
上述のように構成された脱着装置1において、斧刃101から柄102を取り外す場合と、斧刃101に柄102を取り付ける場合について説明する。
【0032】
<斧刃101から柄102を取り外す場合>
まず、
図3に示すように、斧100を本実施形態の脱着装置1に配置する。ここで、第1固定部材15及び第2固定部16に柄102を配置するとともに、押圧部3と第1固定部材15との間に斧刃101が配置するように、台座2上に斧100を配置する。具体的には、柄102が差し込まれた斧刃101の貫通孔が、押圧部材9と対向するように斧100を配置する。
【0033】
この状態で、押圧部材9にアタッチメント14を装着する。これにより、押圧部材9の略中心から突出部14aが突出した状態となる。この状態で、押圧部3のレバー12を操作して、ポンプを動作させて、油タンクから油供給路10を介してシリンダ部5の内部空間5aに油を供給する。シリンダ部5の内部空間5aでは油圧によって、ピストン部6、ロッド部7及び押圧部材9が一軸方向に移動する。これにより、押圧部材9に設けられた突出部14aが斧刃101の貫通孔に差し込まれた柄102を一軸方向に押圧する。押圧された柄102は、斧刃101の貫通孔から取り出されて、これにより斧刃101と柄102とを分離して取り外すことが可能となる。
【0034】
<斧刃101に柄102を取り付ける場合>
次に、斧刃101に柄102を取り付ける場合について説明する。
図4に示すように、斧刃101を、第2固定部材16の仕切り板17で区切られた空間に配置する。このとき、斧刃101は、仕切り板17によって、筐体の外に移動することを規制される。また、柄102を、押圧部材9から第1固定部材15を介して第2固定部材16までの間に配置するとともに、その一端を凹部16a上に配置する。
【0035】
この状態で、押圧部3のレバー12を操作してポンプを動作させて、油タンクから油供給路10を介してシリンダ部5の内部空間5aに油を供給する。シリンダ部5の内部空間5aでは油圧によって、ピストン部6、ロッド部7及び押圧部材9が一軸方向に移動する。これにより、押圧部材9が柄102を一軸方向に移動させて斧刃101の貫通孔に柄102を圧入する。ここで、斧刃101は、仕切り板17によって一軸方向の移動が規制されているので、斧刃101が第2固定部16により固定された状態で斧刃101の貫通孔に柄102を取り付けることができる。加えて、柄102の一端を凹部16a上に配置しており、凹部16aと斧刃101の貫通孔は連通しているので、柄102をスムーズに貫通孔に挿入することができる。
【0036】
なお、仕切り板17が複数設けられているので、斧刃101を配置する仕切り板17で区切られた空間を変えることで、柄102の長さに応じて本実施形態の脱着装置1を使用することができる。
【0037】
上述のように構成された本実施形態の脱着装置1は、斧刃101と柄102とを、第1固定部材15及び/又は第2固定部材16に配置し、押圧部3のレバー12を操作するだけで、簡便に斧刃101と柄102との脱着を行うことができる。そのため、本実施形態の脱着装置1が一台あれば、斧100の製造又はメンテナンスを行うことができる。また、手作業で斧刃101及び柄102の脱着作業を行っていた場合に比べて作業効率を各段にあげることが可能となる。加えて、押圧部3で斧刃101に対して柄102を圧入するので、手作業と比較して強い力で圧入することができ、斧刃101が柄102から外れることを確度高く防止することができる。
【0038】
また、固定部4を備えるため、斧刃101または柄102を固定した状態で、押圧部3を操作して作業を行うことができるので、作業者の熟練度等に関わらず、誰でも簡便に斧の製造またはメンテナンス作業を行うことができる。
【0039】
さらに、本実施形態の脱着装置1では、ピストンにより押圧部を作動させるとともに、レバー12を操作することで押圧部3を動作させるため、例えば電力がない場所であっても使用することができる。
【0040】
<第2実施形態>
次に第2実施形態の脱着装置20について、説明する。この脱着装置20は、斧刃と柄とを配置する位置を変えることなく、斧刃と柄との脱着を行うことができるものであって、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0041】
第2実施形態の脱着装置20は、押圧部3が、
図5に示すように、押圧部材9に取り外し可能に取り付けられるアタッチメント21をさらに備える。このアタッチメント21は、斧刃101を柄102に取り付ける際に装着されるものであって、押圧部材9から第1固定部材15側に延伸する延伸部が設けられている。延伸部は、柄102の先端部分の大きさと同程度の穴部が設けられており、本実施形態では楕円形状をなす。
【0042】
また、第2固定部材16にストッパー22が取り付けられており、このストッパー22は、第2固定部材16の仕切り板17で区切られた空間に嵌合する形状、本実施形態では直方体形状をなすように構成されている。なお、ストッパー22の鉛直上面に取っ手23が設けられているが、この取っ手23はなくてもよい。
【0043】
さらに、第2実施形態の脱着装置20では、第1固定部材15が、斧刃101が一軸方向に移動しないように規制する固定材15Aと、柄102が曲がってしまわないように規制する固定材15Bとを備える。
【0044】
固定材15Aは、略直方体をなす一対の部材で構成されて、一定間隔を隔てて平面が相対するように台座2に固定して配置されている。固定材15Bは、略直方体をなす一対の部材で構成されて、一定間隔を隔てて平面が相対するように台座2に固定して配置されている。ここで、固定材15A及び固定材15Bは、ともにその一軸方向の長さが、第1実施形態の第1固定部材15の一軸方向の長さに比べて十分に小さくなるように構成される。また、一軸方向において、押圧部3から固定材15A、固定材15B、第2固定部材16の順に台座2上に配置されている。
【0045】
上述のように構成された第2実施形態の脱着装置20において、斧刃101から柄102を取り外す場合と、斧刃101に柄102を取り付ける場合について説明する。
【0046】
<斧刃101に柄102を取り外す場合>
まず、斧100を本実施形態の脱着装置20に配置する。ここで、固定材15A、固定材15B及び第2固定部16に柄102を配置するとともに、押圧部3と固定材15Aとの間に斧刃101が配置するように、台座2上に斧100を配置する。
【0047】
この状態で、押圧部材9にアタッチメント14を装着する。これにより、押圧部材9の略中心から突出部14aが突出した状態となる。この状態で、押圧部3のレバー12を操作して、ポンプを動作させて、油タンクから油供給路10を介してシリンダ部5の内部空間5aに油を供給する。シリンダ部5の内部空間5aでは油圧によって、ピストン部6、ロッド部7及び押圧部材9が一軸方向に移動する。これにより、押圧部材9に設けられた突出部14aが斧刃101の貫通孔に差し込まれた柄102を一軸方向に押圧する。押圧された柄102は、斧刃101の貫通孔から取り出されて、これにより斧刃101と柄102とを分離して取り外すことが可能となる。
【0048】
<斧刃101に柄102を取り付ける場合>
次に、斧刃101に柄102を取り付ける場合について説明する。
図6に示すように、斧刃101を、押圧部3と固定材15Aとの間に配置するとともに、柄を固定材15A、固定材15B及び第2固定部16に配置する。
【0049】
この状態で、押圧部材9にアタッチメント21を装着する。これにより、押圧部材9から一対の延伸部が延伸した状態となる。この状態で、押圧部3のレバー12を操作して、ポンプを動作させて、油タンクから油供給路10を介してシリンダ部5の内部空間5aに油を供給する。シリンダ部5の内部空間5aでは油圧によって、ピストン部6、ロッド部7及び押圧部材9が一軸方向に移動する。これにより、押圧部材9に設けられた延伸部が斧刃101を一軸方向に押圧する。このとき、延伸部に設けられた穴部に柄102の先端が入り込む。また、柄102は、第2固定部材16のストッパー22により、柄102の一軸方向の移動が規制されるので柄102が固定され、一軸方向に押圧された斧刃101の貫通孔に柄102が挿入されて、斧刃101を柄102に取り付けることができる。
【0050】
また、ストッパー22によって柄102の移動が規制された状態で、斧刃101が一軸方向に押圧されると、柄102が斧刃101の圧力を受けて、その圧力を逃がすために一軸方向とは異なる方向に力がかかり、柄102が屈曲することがある。しかし、本実施形態では固定材15Bによって、柄102の一軸方向と異なる方向への屈曲を防止することで斧刃101にかかる圧力を貫通孔に柄102を通す力として伝達して、斧刃101に柄102を挿入することができる。
【0051】
第2実施形態の脱着装置20では、斧刃101及び柄102の取り付け、取り外しのいずれにおいても、斧刃101を押圧部3と固定材15Aとの間に配置する。ここで、凹部16aの鉛直方向の高さと斧刃101の貫通孔が配置される鉛直方向の高さは一致しているので、凹部16aに柄102を配置すれば、柄102の鉛直方向の高さを斧刃101の貫通孔の高さに合わせることができる。そのため、作業者は、斧刃101を押圧部3と固定材15Aとの間に配置するとともに、凹部16aに柄102を載置するだけで、位置合わせをすることなく、斧刃101と柄102の脱着を行うことができる。
【0052】
本発明は上述の実施形態に限られたものではない。
【0053】
例えば、柄が傷つかないように凹部の表面に保護膜を設置してもよい。このようにすれば、押圧部で押圧したときに、柄が凹部によって削れて傷つくことを防止できる。
【0054】
作動部の構成は油圧式に限られたものではなく、電磁式のものであってもよいし、電動式のものであってもよい。また作動部の構成も、レバー操作するものに限られず、適宜変更することができる。
【0055】
第1固定部材や第2固定部材の構成は上述のものに限られたものではない。例えば、第2固定部材は、台座上に屹立して配置される少なくとも1以上の平板で構成されていてもよい。この場合、平板に凹部が設けられていればよい。また、第1固定部及び第2固定部は、ともに台座上を一軸方向に移動可能に構成してもよい。
【0056】
上述の各実施形態の開示は、それらの実施形態の説明のために記載したものであって、本発明を限定するために記載したものではない。加えて、各実施形態の他の組み合わせを含む本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲の含まれるものとする。
【符号の説明】
【0057】
1、20・・・脱着装置
2・・・台座
3・・・押圧部
4・・・固定部
5・・・シリンダ部
6・・・ピストン部
7・・・ロッド部
8・・・作動部
9・・・押圧部材
15・・・第1固定部材
15A、15B・・・固定材
16・・・第2固定部材
16a・・・凹部
17・・・仕切り板
18・・・連結板
14、21・・・アタッチメント
22・・・ストッパー
100・・・斧
101・・・斧刃
102・・・柄