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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024403
(43)【公開日】2025-02-20
(54)【発明の名称】シーリングファン
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/38 20060101AFI20250213BHJP
【FI】
F04D29/38 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128483
(22)【出願日】2023-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】000219233
【氏名又は名称】東プレ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】岡澤 直希
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB04
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC25
3H130BA22C
3H130BA22Z
3H130BA97C
3H130BA97Z
3H130CB01
3H130CB19
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130DJ01Z
3H130EA01C
3H130EA06C
3H130EA07C
3H130EA07Z
3H130EB02C
(57)【要約】
【課題】ブレードを複数の翼部から構成される分割構造としたシーリングファンにおいて、翼部同士の接続部の剛性を高めつつ、ブレード全体の重量増加を抑制する。
【解決手段】シーリングファン10は、モータ20と、モータ20により回転する回転軸22に配置されるハブ30と、ハブ30を中心に放射状に配置される複数のブレード40と、を備える。ブレード40は、放射方向に沿って直線状に配置される複数の翼部41を有し、翼部41には、翼部41を放射方向に沿って貫通する円形孔部48aが形成される。翼部41における放射方向の端部には、放射方向に対して垂直な翼端板部(ウイングレット60)が配置され、この翼端板部には、翼端板部を貫通する挿通孔部64が形成される。隣接する翼部41の翼端板部同士が当接されて固定され、隣接する翼部41の円形孔部48a及び翼端板部の挿通孔部64に跨って円筒状部材34が配置されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータにより回転する回転軸に配置されるハブと、
前記ハブを中心に放射状に配置される複数のブレードと、を備え、
前記ブレードは、放射方向に沿って直線状に配置される複数の翼部を有し、
複数の前記翼部は、互いに同一の翼型断面を有し、且つ、前記回転軸に直交する平面に対して迎角をそれぞれ設けて配置され、前記翼部には、前記翼部を前記放射方向に沿って貫通する円形孔部が形成され、
前記翼部における前記放射方向の端部には、前記放射方向に対して垂直な翼端板部が配置され、前記翼端板部には、前記翼端板部を貫通する挿通孔部が形成され、
隣接する前記翼部の前記翼端板部同士が当接されて固定され、隣接する前記翼部の前記円形孔部及び前記翼端板部の前記挿通孔部に跨って円筒状部材が配置されている、
シーリングファン。
【請求項2】
前記翼部は、前記円筒状部材を回動中心として前記翼部の迎角が設定され、前記翼部における前記放射方向の端部と前記翼端板部とが結合されている、
請求項1に記載のシーリングファン。
【請求項3】
前記円筒状部材は、前記放射方向の最も内側に配置される前記翼部においては、該翼部の円形孔部における一端から他端まで延在し、該翼部と前記円筒状部材とは、前記放射方向に沿って複数か所で固定されている、
請求項1又は2に記載のシーリングファン。
【請求項4】
一の前記ブレードの複数の前記翼部は、前記放射方向の外側の前記翼部の迎角よりも内側の前記翼部の迎角を大きくして配置される、
請求項1又は2に記載のシーリングファン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーリングファンに関する。
【背景技術】
【0002】
大型のシーリングファンが工場、倉庫等の天井に取り付けられている。これは、大きな空間内の空気を攪拌し、作業環境改善、結露防止等の目的がある。近年はシーリングファンの直径を大きくして、大風量の風を広い範囲に送風するものが開発されている。シーリングファンの直径を大きくするので、回転速度が低くても大風量の風を発生することができ、騒音低下にも役立つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-149300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シーリングファンは直径を大きくすれば、大風量の風を発生させることが可能であるが、大きい直径を持つブレード(羽根)に回転により作用する遠心力も大きくなる。しがたって、特にブレードの剛性を高くすることが要求されるが、剛性を高くすると重量が増え、剛性と重量とはトレードオフの関係がある。また、例えば特許文献1に開示されているようにブレードを複数の翼部から構成される分割構造とすると、翼部同士の接続部に応力が集中し易くなり、翼部同士の接続部において破損等する可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、ブレードを複数の翼部から構成される分割構造としたシーリングファンにおいて、翼部同士の接続部の剛性を高めつつ、ブレード全体の重量増加を抑制することができるシーリングファンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るシーリングファンは、モータと、モータにより回転する回転軸に配置されるハブと、ハブを中心に放射状に配置される複数のブレードと、を備える。ブレードは、放射方向に沿って直線状に配置される複数の翼部を有する。複数の翼部は、互いに同一の翼型断面を有し、且つ、回転軸に直交する平面に対して迎角をそれぞれ設けて配置され、翼部には、翼部を放射方向に沿って貫通する円形孔部が形成される。翼部における放射方向の端部には、放射方向に対して垂直な翼端板部が配置され、翼端板部には、翼端板部を貫通する挿通孔部が形成される。隣接する翼部の翼端板部同士が当接されて固定され、隣接する翼部の円形孔部及び翼端板部の挿通孔部に跨って円筒状部材が配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様に係るシーリングファンによれば、ブレードを複数の翼部から構成される分割構造としたシーリングファンにおいて、翼部同士の接続部の剛性を高めつつ、ブレード全体の重量増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るシーリングファンの斜視図である。
図2図1に示したシーリングファンの要部を示す斜視図である。
図3図2に示したシーリングファンの要部の平面図である。
図4図3に示したシーリングファンの要部を側方から見た図である。
図5図4のA-A線による断面図である。
図6図4のB-B線による断面図である。
図7図4のC-C線による断面図である。
図8図4のD-D線による断面図である。
図9】ブレードの翼部をシーリングファンの径方向から見た図である。
図10】各翼部の迎角の関係を示す図である。
図11】各翼部における揚力係数と迎角との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態に係るシーリングファンを、図面を参照して説明する。
【0010】
[シーリングファンの構成]
図1から図4に示すように、本実施形態に係るシーリングファン10は、モータ20と、ハブ30と、複数のブレード40と、を備える。なお、図1において、下降気流(下降する風)を発生させる際のブレード40の回転方向を矢印Rで示し、以下の説明における「前」はブレード40の回転方向Rの前方側であり、「後」はブレード40の回転方向Rの後方側である。また、図2から図4においては、ハブ30と、複数のブレード40の内の1枚のブレード40とが示される。
【0011】
シーリングファン10の架台11が、建物の天井フレーム(図示せず)から吊り下げて固定される。この架台11の下端部には、モーターボックス12が接続(吊り下げて固定)される。モーターボックス12の内部には、複数のブレード40を回転させる電動機としてのモータ20と、モータ20の回転を減速させる減速機としてのギヤボックス21とが収納される。なお、図1においては、モーターボックス12の枠体13のみが示され、外側パネルは図示が省略される。
【0012】
モータ20の回転をギヤボックス21により減速させ、モーターボックス12の下方に配置された回転中心部としてのハブ30を回転させる。
【0013】
ギヤボックス21には、回転軸22(図3及び図4参照)を介してハブ30が接続され、ハブ30には、6枚のブレード40が等角度(60°)で放射状に配置される。1枚のブレード40には、3枚の翼部41a,41b,41cがシーリングファン10の径方向中心から外方向に向かう一直線上に配置される。シーリングファン10の外径(直径)Dは約9.6mであり、1枚のブレード40の長さは約4.5mである。このため、1枚の翼部41a,41b,41cの長さLは約1.5mである。
【0014】
3枚の翼部41a,41b,41cのうち、最も半径方向内側(内周側)の翼部41cは、ハブ30の近傍に配置される。具体的には、内周側の翼部41cは、ハブ30の取付部31に当接させて、ハブ30の取付部31と同じ高さで配置される。
【0015】
ハブ30には、6つの取付部31が等角度(60°)で放射状に形成され、各取付部31には、内周側の翼部41cに装着した連結部材42の軸部43が挿入される挿入孔部32が設けられる。
【0016】
内周側の翼部41cの径方向内側端部(内周側端部)には、軸部43と挟持部44と凸部45とを有する連結部材42が配置される。連結部材42の軸部43が前述の挿入孔部32に挿入されて、ボルト等の第一締結部材71を用いて連結部材42がハブ30に対して固定される。
【0017】
また、ハブ30の取付部31にはそれぞれ、切欠部33が設けられる。この切欠部33と連結部材42の凸部45とが係合することにより、連結部材42の軸部43がハブ30に回り止めされ、ハブ30とブレード40とが一体的に回転可能となる。
【0018】
その一方、内周側の翼部41cが連結部材42の挟持部44に挟持された状態で、ボルト及びナット等の第二締結部材72を用いて内周側の翼部41cが連結部材42に対して固定される。
【0019】
ブレード40における3枚の翼部41a,41b,41cは、断面が全て同形状の翼型断面を有している。本実施形態では、製造コストを考慮し、アルミニウム材料の引き抜き加工材を予め1.5mに切断した翼部41(図9参照)を複数枚(本実施形態では、3枚)連結して、1枚のブレード40を構成している。このアルミニウム材料の引き抜き加工材から構成される翼部41a,41b,41cは、シーリングファン10の半径方向に一様な断面構造(断面形状)を有する。
【0020】
図9に示すように、翼部41は、上方に凸となるように湾曲する翼上面46aと、上方に凹となるように湾曲する翼下面46bとを有する。翼部41の前縁側部分及び後縁側部分にはそれぞれ、後述するウイングレット60の固定のための皿ネジ等の第三締結部材73が挿通される連結孔部47a,47bが形成される。また、翼部41における前後の連結孔部47a,47b間には、円形孔部48aを有する円筒状のリブ48と、翼部41の迎角の設定のための複数の迎角設定孔部49a,49b,49cとが形成される。これら複数の迎角設定孔部49a,49b,49cは、円筒状のリブ48の軸中心を基準として互いに対して等角度(5°)で形成される。また、円筒状のリブ48の軸中心(円形孔部48aの孔中心)は、翼部41の空力中心とほぼ一致するように設定されている。このため、翼部41のほぼ空力中心には、翼部41の延在方向(シーリングファン10の半径方向)の一端から他端まで貫通するように、後述する円形孔部48aが形成されている。
【0021】
図2から図4に示すように、少なくとも径方向に隣り合う翼部41a,41b,41cのリブ48(円形孔部48a;図9参照)間には、例えばグラスファイバー(GFRP)製の円筒状部材34が跨るようにかけ渡される。各翼部41a,41b,41cには、リブ48に連通する第一連通孔部50が設けられており、この第一連通孔部50にボルト及びナット等の取付部材(図示せず)を用いて、円筒状部材34が各翼部41a,41b,41cに対して固定される。
【0022】
翼部41aと翼部41bとには、円筒状部材34が跨って配置され、円筒状部材34が、翼部41aとは2か所の第一連通孔部50とボルト及びナット等を用いて固定され、翼部41bとは2か所の第一連通孔部50とボルト及びナット等を用いて固定されている。翼部41bと翼部41cとには、円筒状部材34が跨って配置され、この円筒状部材34は、放射方向(シーリングファン10の半径方向)の最も内側に配置される翼部41cにおいては、翼部41cの円形孔部48aにおける一端から他端まで延在している。そして、円筒状部材34が、翼部41bとは2か所の第一連通孔部50とボルト及びナット等を用いて固定され、翼部41cとは6か所の第一連通孔部50とボルト及びナット等を用いて固定されている。
【0023】
また、少なくとも径方向に隣り合う翼部41a,41b,41cの迎角設定孔部49a,49b,49c間には、断面四角形状部材51が跨るようにかけ渡される。各翼部41a,41b,41cには、迎角設定孔部49a,49b,49cに連通する第二連通孔部52が設けられている。この第二連通孔部52に平ネジ等の取付部材(図示せず)を螺合することにより、断面四角形状部材51が各翼部41a,41b,41cに対して固定される。
【0024】
さらに、図10に示されるように、各翼部41a,41b,41cは、回転面(回転軸22に直交する平面PL)に対する迎角α1,α2,α3がそれぞれ異なる。本実施形態では、3枚の翼部41a,41b,41cは、迎角α1,α2,α3が最も外周側から10°、15°、20°となるように、翼部41a,41b,41cに設けた円筒状のリブ48(円形孔部48a)を回動中心として回動させた状態で固定される。すなわち、一のブレード40の複数の翼部41a,41b,41cは、放射方向(シーリングファン10の半径方向)の外側の翼部の迎角よりも内側の翼部の迎角を大きくして配置される。
【0025】
各々のブレード40において、最も半径方向外側(外周側)の翼部41aの迎角α1は10°であり、中間の翼部41bの迎角α2は15°であり、内周側の翼部41cの迎角α3が20°である。すなわち、最も半径方向内側(内周側)の翼部41cの迎角α3は、中間の翼部41bの迎角α2よりも大きい。さらに、中間の翼部41bの迎角α2は、最も半径方向外側(外周側)の翼部41aの迎角α1よりも大きい。このため、シーリングファン10の半径方向に隣接する翼部41a,41b,41cの迎角α1,α2,α3同士の差は、全て同等の角度(5°)である。
【0026】
図2から図8に示すように、少なくとも、外周側の翼部41aの径方向外側端部(外周側端部)には、翼部41aの延在方向(シーリングファン10の半径方向)に対して垂直な板により構成される翼端板部としてのウイングレット60が固定される。翼部41aとウイングレット60とは、例えば全周の溶接部70により固定される(図3参照)。このウイングレット60には、整流の効果がある。
【0027】
また、本実施形態では、シーリングファン10の半径方向に隣接する翼部41a,41b,41c間(当接部)にも、ウイングレット60が配置される。翼部41a,41b,41cとウイングレット60とはそれぞれ、例えば全周の溶接部70により固定される(図2及び図3参照)。シーリングファン10の半径方向に隣接する翼部41a,41b,41cの外周側端部又は内周側端部に固定されたウイングレット60同士は、当接されて、ボルト及びナット等の接続部材74を用いて接続(締結)される。
【0028】
図8に示されるように、ウイングレット60の周縁部(フランジ部)には、ボルト及びナット等の接続部材74を挿通するための接続孔部61が複数(本実施形態では、3か所)設けられている。また、ウイングレット60の前側部分には、翼部41a,41b,41cへの連結のために皿ネジ等の第三締結部材73が挿通される前側取付孔部62が形成される。その一方、ウイングレット60の後側部分には、翼部41a,41b,41cへの連結のために皿ネジ等の第三締結部材73が挿通される複数の後側取付孔部63a,63b,63cが形成される。さらに、ウイングレット60における前側取付孔部62と後側取付孔部63a,63b,63cとの間には、前述の円筒状部材34が挿通される第一の挿通孔部64と、前述の断面四角形状部材51が挿通される第二の挿通孔部(図示省略)とが形成される。
【0029】
前側取付孔部62は、挿通孔部64の孔中心を基準として円弧状に延びる長孔として形成される。その一方、複数の後側取付孔部63a,63b,63cは、挿通孔部64の孔中心を基準として互いに対して等角度(5°)で形成される。
【0030】
[各翼部の迎角の設定]
図11は、ブレード40を定格速度(40RPM)で回転させた場合の各翼部41a,41b,41cの代表位置P1,P2,P3(図4参照)での迎角と揚力係数との関係を示したグラフである。また、このグラフにおいては、各翼部41a,41b,41cにおける揚力係数の変化がそれぞれ、符号CL1,CL2,CL3を付した線で示される。
【0031】
前述のように、3枚の翼部41a,41b,41cの迎角α1,α2,α3は、外周側から順に、10°、15°、20°に設定されている。例えば、本実施形態に係るシーリングファン10を40RPM(回転毎分)で回転させた場合、外周側、中間、内周側の各翼部41a,41b,41cの代表速度はそれぞれ、19.6m/s、10.4m/s、3.9m/sである。すなわち、揚力係数の変化のグラフ線CL1は19.6m/s、CL2は10.4m/s、CL3は3.9m/sでの迎角と揚力係数との関係を示している。各翼部41a,41b,41cにおける揚力係数の変化のグラフ線CL1,CL2,CL3に共通していることは、迎角を0°から大きくしていくと揚力係数も大きくなるが、その翼部の失速点を超えると揚力係数は一旦下降する。しかし、さらに迎角を大きくすると、揚力係数は上昇に転じて、失速点での揚力係数を上回る場合も見受けられる。
【0032】
例えば、3枚の翼部41a,41b,41cの迎角α1,α2,α3を全て同じ角度とする場合、具体的には迎角が全て10°であった場合を説明する。そのときの翼部41a,41b,41cの揚力係数は、それぞれポイントA,B,Cで示す値となる。ポイントA及びポイントBは同じ値となるが、ポイントCの揚力係数は他に比べかなり劣る数値となることが分かる。すなわち内周側の翼部41cの迎角α3が10°の場合、揚力係数が低下して十分な揚力、すなわち風速(風量)を得ることができない。
【0033】
しかしながら、内周側の翼部41cの迎角α3を20°にすることにより他の翼部41a,41bとほぼ同等の揚力係数を得ることができる。すなわち、内周側の翼部41cも他の翼部41a,41bとほぼ同様の風速(風量)を得ることができる。
【0034】
図11から分かるように、内周側の翼部41cの迎角α3は、失速が発生する失速角αsよりも大きく、且つ、迎角を失速角αsよりもさらに大きくした場合に揚力係数が再び増加する角度αrよりも大きくなるように設定される。尚且つ、内周側の翼部41cの迎角α3は、失速角αsの揚力係数と同じ値の迎角(ポイントDで示す角度、約14°)、よりも大きな角度に設定される。さらに、内周側の翼部41cの迎角α3は、外周側の翼部41aの迎角α1、及び中間の翼部41cの迎角α2よりも大きい角度に設定されている(α3>α2>α1)。
【0035】
[作用効果等]
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0036】
(1)本実施形態に係るシーリングファン10は、モータ20と、モータ20により回転する回転軸22に配置されるハブ30と、ハブ30を中心に放射状に配置される複数のブレード40と、を備える。ブレード40は、放射方向に沿って直線状に配置される複数の翼部41a,41b,41cを有する。複数の翼部41a,41b,41cは、互いに同一の翼型断面を有し、且つ、回転軸22に直交する平面PLに対して迎角α1,α2,α3をそれぞれ設けて配置される。翼部41a,41b,41cには、翼部41a,41b,41cを放射方向に沿って貫通する円形孔部48aが形成される。翼部41a,41b,41cにおける放射方向の端部には、放射方向に対して垂直な翼端板部(ウイングレット60)が配置される。この翼端板部には、翼端板部を貫通する挿通孔部64が形成される。隣接する翼部41a,41b,41cの翼端板部同士が当接されて固定され、隣接する翼部41a,41b,41cの円形孔部48a及び翼端板部の挿通孔部64に跨って円筒状部材34が配置されている。
【0037】
各翼部41a,41b,41cの端部に翼端板部(ウイングレット60)を設け、これらのウイングレット60のフランジ部同士を当接して、両フランジ部を複数の接続部材74によって結合(締結)した。これにより、翼部41a,41b,41c同士の接続部に応力が集中せず、翼部41a,41b,41c及びウイングレット60の自重によりブレード40が下方に撓むことを抑制し、シーリングファン10の駆動時の回転方向の撓みも抑制することができる。
【0038】
隣接する翼部41a,41b,41cの円形孔部48a及びウイングレット60の挿通孔部64に跨ってGFRP製の円筒状部材34を配置した。これにより、翼部41a,41b,41c同士の接続部の剛性を高めつつ、ブレード40全体の重量増加を抑制することできる(ハイブリッド効果)。
【0039】
(2)翼部41a,41b,41cは、円筒状部材34を回動中心として翼部41a,41b,41cの迎角α1,α2,α3が設定され、翼部41a,41b,41cにおける放射方向の端部と翼端板部(ウイングレット60)とが結合されている。
【0040】
翼部41a,41b,41c及びウイングレット60にはそれぞれ、円筒状の空洞部である円形孔部48a及び挿通孔部64が設けられ、これら円形孔部48a及び挿通孔部64に円筒状部材34を挿入し、翼部41a,41b,41cを回動可能にしている。また、翼部41a,41b,41cの端部とウイングレット60とを皿ネジ等によって結合(締結)して固定した。これにより、翼部41a,41b,41cの迎角α1,α2,α3が設定され、且つ、シーリングファン10の駆動時に翼部41a,41b,41cのねじれ振動を抑制することができる。
【0041】
(3)円筒状部材34は、放射方向の最も内側に配置される翼部41cにおいては、この翼部41cの円形孔部48aにおける一端から他端まで延在し、翼部41cと円筒状部材34とは、放射方向に沿って複数か所で固定されている。
【0042】
放射方向の最も内側に配置される翼部41cは、その外側に配置される翼部41b,41aの重量を支持しているため、当該翼部41cには大きな応力が加わり、当該翼部41cにおいてブレード40が下方へ大きく撓み得る。そこで、当該翼部41cと円筒状部材34との固定部を複数(本実施形態では、6か所)設けることにより、当該翼部41の剛性を高めることができ、ブレード40の下方への撓みを抑制することができる。
【0043】
(4)一のブレード40の複数の翼部41a,41b,41cは、放射方向の外側の翼部の迎角よりも内側の翼部の迎角を大きくして配置される。
【0044】
すなわち、最も半径方向内側(内周側)の翼部41cの迎角α3は、中間の翼部41bの迎角α2よりも大きい。さらに、中間の翼部41bの迎角α2は、最も半径方向外側(外周側)の翼部41aの迎角α1よりも大きい。このように、各々のブレード40において、外周側の翼部は迎角を小さく、内周側の翼部は迎角を大きくして、ブレード40の長手方向での揚力を均等化することにより、ブレード40の回転時に発生する風量を調整することが可能である。
【0045】
ところで、本発明のシーリングファンは前述の実施形態に例をとって説明したが、この実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。
【符号の説明】
【0046】
10 シーリングファン
20 モータ
22 回転軸
30 ハブ
34 円筒状部材
40 ブレード
41,41a,41b,41c 翼部
48a 円形孔部
60 ウイングレット(翼端板部)
64 挿通孔部
PL 平面
α1 迎角
α2 迎角
α3 迎角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11