(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024449
(43)【公開日】2025-02-20
(54)【発明の名称】気泡掻き出し用具
(51)【国際特許分類】
E04G 21/06 20060101AFI20250213BHJP
【FI】
E04G21/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128562
(22)【出願日】2023-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】000245852
【氏名又は名称】矢作建設工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】清水 啓介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 峰里
(72)【発明者】
【氏名】小平 渉
【テーマコード(参考)】
2E172
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172DB03
2E172FA05
(57)【要約】
【課題】打設されたコンクリートを通過する鉄骨の下面に溜まった気泡を掻き出す際の作業効率を向上させることができる気泡掻き出し用具を提供する。
【解決手段】気泡掻き出し用具21は、打設されたコンクリートに挿入することが可能な挿入板22と、その挿入板22に繋がる操作棒23とを備え、上記コンクリート内を通過する梁12におけるフランジ12bの下面に溜まった気泡を掻き出すためのものである。挿入板22は、長板状に形成されている。操作棒23と挿入板22との位置関係は、操作棒23を上下に延びるように配置したとき、挿入板22の長手方向及び厚さ方向が水平方向となる位置関係とされている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
打設されたコンクリートに挿入することが可能な挿入板と、その挿入板に繋がる操作棒とを備え、前記コンクリート内を通過する鉄骨の下面に溜まった気泡を掻き出すための気泡掻き出し用具において、
前記挿入板は、長板状に形成され、
前記操作棒と前記挿入板との位置関係は、前記操作棒を上下に延びるように配置したとき、前記挿入板の長手方向及び厚さ方向が水平方向となる位置関係とされている気泡掻き出し用具。
【請求項2】
前記鉄骨の前記下面は、前記鉄骨にその長手方向に沿って延びるよう形成されたフランジの下面であって、
前記挿入板には、前記操作棒を上下に延びるように配置した状態で前記挿入板を前記フランジの下側に挿入したとき、前記挿入板よりも上に突出するガイド部材が固定されており、
前記ガイド部材には、前記フランジにおける突出方向の端面に対して前記鉄骨の長手方向に沿って定められた長さに亘り面接触することが可能であるガイド面が形成され、
前記ガイド面は、前記挿入板の長手方向に対し傾斜している請求項1に記載の気泡掻き出し用具。
【請求項3】
前記ガイド部材は、前記挿入板に対しその長手方向に変位させることが可能であり、変位した位置で前記挿入板に対し固定することが可能である請求項2に記載の気泡掻き出し用具。
【請求項4】
前記操作棒は、その操作棒から同操作棒の軸線と交差する方向に突出する把持部を備えている請求項1~3のいずれか一項に記載の気泡掻き出し用具。
【請求項5】
前記挿入板には弾性体が設けられ、
前記弾性体は、前記操作棒を上下に延びるように配置したときの前記挿入板の上縁から上に突出するとともに、前記挿入板の長手方向に延びている請求項1~3のいずれか一項に記載の気泡掻き出し用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気泡掻き出し用具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、建物を柱RC梁S構法(RCS構法)で建てる場合、柱と梁との接合部にコンクリートを打設するとき、梁を形成する鉄骨が上記打設されたコンクリートを通過するようになる。そして、上記コンクリートを打設した後、そのコンクリートに含まれる空気が浮かび上がることにより、鉄骨の下面には気泡が溜まる。このように気泡が溜まる箇所としては、例えば鉄骨のウェブから突出して鉄骨の長手方向に延びるフランジの下面があげられる。
【0003】
上記コンクリートが打設された後に鉄骨の下面に溜まった気泡を除去する用具としては、例えば特許文献1に示される気泡除去具が知られている。この気泡除去具は、操作棒と挿入部とを備えている。気泡除去具の挿入部は、打設された上記コンクリートに挿入される。この状態で、操作棒を持って挿入部を鉄骨の下面に当てる。更に、操作棒を動かして挿入部を鉄骨の下面に沿って移動させることにより、鉄骨の下面に溜まった気泡を上記下面の外に掻き出す。これにより、鉄骨の下面に溜まった気泡が除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の気泡除去具は、比較的大きい挿入部を備えたものである。このため、打設したコンクリートに挿入部を挿入するときの抵抗が大きくなる。その結果、上記コンクリートに挿入部を挿入しにくくなる。従って、鉄骨の下面に溜まった気泡を気泡除去具によって掻き出す際の作業効率が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
次に、上記課題を解決する気泡欠きだし用具の各態様について記載する。
(態様1)
打設されたコンクリートに挿入することが可能な挿入板と、その挿入板に繋がる操作棒とを備え、前記コンクリート内を通過する鉄骨の下面に溜まった気泡を掻き出すための気泡掻き出し用具において、前記挿入板は、長板状に形成され、前記操作棒と前記挿入板との位置関係は、前記操作棒を上下に延びるように配置したとき、前記挿入板の長手方向及び厚さ方向が水平方向となる位置関係とされている気泡掻き出し用具。
【0007】
上記構成によれば、打設されたコンクリートに対し挿入板が挿入される。そして、操作棒を持って挿入板を鉄骨の下面に沿って移動させることにより、鉄骨の下面に溜まった気泡が挿入板によって鉄骨の下面の外に掻き出される。上記コンクリートに対する挿入板の挿入は、操作棒を上下に延びるように配置した状態で行われる。操作棒を上下に延びるように配置したときには、挿入板の長手方向及び厚さ方向が水平方向となる。このため、打設されたコンクリートに対し上述した状態の挿入板を挿入することにより、その挿入の際の抵抗を小さく抑えることができる。これにより上記コンクリートに挿入板を挿入しやすくなるため、鉄骨の下面に溜まった気泡を気泡除去具によって掻き出す際の作業効率が向上する。
【0008】
(態様2)
前記鉄骨の前記下面は、前記鉄骨にその長手方向に沿って延びるよう形成されたフランジの下面であって、前記挿入板には、前記操作棒を上下に延びるように配置した状態で前記挿入板を前記フランジの下側に挿入したとき、前記挿入板よりも上に突出するガイド部材が固定されており、前記ガイド部材には、前記フランジにおける突出方向の端面に対して前記鉄骨の長手方向に沿って定められた長さに亘り面接触することが可能であるガイド面が形成され、前記ガイド面は、前記挿入板の長手方向に対し傾斜している(態様1)に記載の気泡掻き出し用具。
【0009】
上記構成によれば、打設されたコンクリートに挿入板を挿入した後、挿入板の上縁が鉄骨におけるフランジの下面に当てられるとともに、ガイド部材のガイド面がフランジの突出方向の端面に当てられる。この状態のもと、操作棒に対する挿入板の突出方向の先端が前となるように、気泡掻き出し用具が鉄骨の長手方向に移動される。この気泡掻き出し用具の移動は、フランジの突出方向の端面にガイド部材のガイド面を接触させながら行われる。これにより、気泡掻き出し用具の上記移動を案内するとともに、移動中の挿入板のフランジに対する姿勢を維持することができる。そして、気泡掻き出し用具の上記移動に伴い、鉄骨におけるフランジの下面に溜まった気泡が挿入板によって上記下面の外に効率よく押し出される。これにより、気泡を鉄骨の下面から効率良く取り除くことができる。
【0010】
(態様3)
前記ガイド部材は、前記挿入板に対しその長手方向に変位させることが可能であり、変位した位置で前記挿入板に対し固定することが可能である(態様2)に記載の気泡掻き出し用具。
【0011】
上記構成によれば、ガイド部材を挿入板に対し長手方向に変位させ、その変位後の位置に固定することにより、ガイド面から挿入板の先端までの距離を鉄骨におけるウェブからのフランジの突出量に対応した値に合わせることができる。これにより、鉄骨におけるフランジの下面に溜まった気泡を挿入板により、その下面に取り残すことなく下面の外に掻き出すことができる。
【0012】
(態様4)
前記操作棒は、その操作棒から同操作棒の軸線と交差する方向に突出する把持部を備えている(態様1)~(態様3)のいずれか一つに記載の気泡掻き出し用具。
【0013】
上記構成によれば、打設されたコンクリートに挿入板を挿入した後に気泡掻き出し用具を鉄骨の長手方向に移動させる際、その移動を操作棒の把持部を持つことによって簡単に行うことができる。また、挿入板の進行方向を変えるために操作棒をその軸線周りに回転させる場合など、そのための操作を操作棒の把持部を持つことによって簡単に行うことができる。
【0014】
(態様5)
前記挿入板には弾性体が設けられ、前記弾性体は、前記操作棒を上下に延びるように配置したときの前記挿入板の上縁から上に突出するとともに、前記挿入板の長手方向に延びている(態様1)~(態様4)のいずれか一つに記載の気泡掻き出し用具。
【0015】
上記構成によれば、打設されたコンクリートに挿入板を挿入した後、挿入板の上縁から上に突出する弾性体が鉄骨の下面に押し付けられる。この状態で、気泡掻き出し用具を鉄骨の長手方向に移動させることにより、鉄骨の下面に溜まった気泡を効率よく下面の外に掻き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】建物における柱梁接合部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、気泡掻き出し用具の一実施形態について、
図1~
図4を参照して説明する。
図1に示すように、柱RC梁S構法(RCS構法)で建てられた建物は、鉄筋コンクリート造の柱11と鉄骨造の梁12とを備えている。梁12を形成する鉄骨は、上下方向に立った状態となる板状のウェブ12aと、そのウェブ12aの上下両端から水平方向に突出するフランジ12bと、を有している。フランジ12bは、鉄骨の長手方向に延びている。
【0018】
こうした建物には柱梁接合部13が存在している。柱梁接合部13は、建物において、梁12同士が交差するとともに上記梁12同士と柱11とが交差する箇所である。柱梁接合部13における交差する梁12同士の間であって、柱11の外側面に対応する位置にはそれぞれL字状に屈曲された塞ぎ板15が配置されている。塞ぎ板15は、梁12のウェブ12a及びフランジ12bに対し接合されている。
【0019】
建物の柱RC梁S構法では、鉄筋コンクリート造の柱11を形成した後、その柱11の上端部に梁12同士の交差部分を配置する。更に、梁12同士の交差部分(柱梁接合部13)における塞ぎ板15で囲まれた部分には、柱梁接合部13よりも上段の柱11を形成するための鉄筋16が通されるとともにコンクリートが打設される。その後、上記柱梁接合部13の上側に同柱梁接合部13よりも上段の柱11が形成される。
【0020】
建物の柱RC梁S構法では、このように柱11と梁12とが上段に向けて段階的に形成される。そして、柱RC梁S構法で建てられた建物の柱梁接合部13では、塞ぎ板15が剪断抵抗となるとともに、同塞ぎ板15によって柱梁接合部13内のコンクリートの拘束が行われる。
【0021】
柱梁接合部13における塞ぎ板15で囲まれた部分にコンクリートを打設するとき、梁12を形成する鉄骨が上記打設されたコンクリートを通過するようになる。そして、上記コンクリートを打設した後、そのコンクリートに含まれる空気が浮かび上がることにより、梁12を形成する鉄骨の下面には気泡が溜まる。このように気泡が溜まる箇所としては、例えば梁12を形成する鉄骨における上側のフランジ12bの下面があげられる。
【0022】
<気泡掻き出し用具の詳細な構造>
図2及び
図3は、梁12におけるフランジ12bの下面に溜まった上記気泡を、その下面から外に掻き出して取り除くための気泡掻き出し用具21を示している。以下、気泡掻き出し用具21について詳しく説明する。
【0023】
気泡掻き出し用具21は、打設された上記コンクリートに挿入することが可能な挿入板22と、その挿入板22に繋がる操作棒23とを備えている。挿入板22は、長板状に形成され、長手方向の中央よりも端部に近い位置、より詳しくは長手方向の中央から最も離れた位置で操作棒23と繋がっている。操作棒23は、その操作棒23から同操作棒23の軸線と交差する方向に突出する把持部23aを備えている。
【0024】
操作棒23と挿入板22との位置関係は、操作棒23を上下に延びるように配置したとき、挿入板22の長手方向及び厚さ方向が水平方向となる位置関係とされている。上述したように操作棒23を上下に延びるように配置したときの操作棒23の配置は、必ずしも重力の作用する方向に対し平行となる配置である必要はなく、重力の作用する方向に対し幾らか傾斜している配置であってもよい。
【0025】
気泡掻き出し用具21の挿入板22は、操作棒23を上下に延びるように配置した状態で、上記コンクリート内であって梁12におけるフランジ12bの下側に挿入される。挿入板22における長手方向の端部であって、操作棒23が繋がる端部と反対側の端部には、斜面24が形成されている。このように斜面24を形成することにより、挿入板22における操作棒23が繋がる端部と反対側の端部の形状が、梁12におけるウェブ12aとフランジ12bとの境界部分に対応した形状となる。
【0026】
挿入板22には弾性体25が設けられている。弾性体25は、ボルト26及びナット27によって挿入板22に固定されている。弾性体25は、操作棒23を上下に延びるように配置したとき、挿入板22の上縁から上に突出するとともに、挿入板22の長手方向に延びている。弾性体25としては、ゴム、スポンジ、もしくは樹脂等の金属よりも柔らかい材料で形成されたものや、ブラシ等の刷毛体からなるものを採用することが考えられる。
【0027】
挿入板22における弾性体25が固定された箇所と操作棒23が繋がる箇所との間には、ガイド部材28がボルト29及びナット30によって固定されている。ガイド部材28は、操作棒23を上下に延びるように配置した状態で挿入板22をフランジ12bの下側に挿入したとき、挿入板22の上縁よりも上に突出する。
【0028】
ガイド部材28にはガイド面31が形成されている。ガイド面31は、フランジ12bにおけるウェブ12aからの突出方向の端面に対し、梁12の長手方向に沿って定められた長さに亘り面接触することが可能である。ガイド面31は、挿入板22の長手方向に対し、傾斜している。挿入板22の長手方向に対するガイド面31の傾斜角度は、例えば45°とすることが考えられる。
【0029】
ガイド部材28は、挿入板22に対しその長手方向に変位させることが可能であり、且つ、変位した位置で挿入板22に対し固定することが可能となっている。詳しくは、挿入板22には、その挿入板22の長手方向に延びるスリット32が形成されている。そして、ガイド部材28を挿入板22に固定するための上記ボルト29がスリット32を貫通している。
【0030】
従って、ガイド部材28を挿入板22に固定するためのボルト29及びナット30による締結を解除することにより、ガイド部材28をスリット32に沿って変位させることが可能になる。そして、ガイド部材28をスリット32に沿って変位させた後、ボルト29及びナット30による締結を通じて、ガイド部材28が挿入板22に対し固定される。
【0031】
次に、気泡掻き出し用具21の作用について説明する。
建物の柱梁接合部13であって塞ぎ板15によって囲まれた部分にコンクリートが打設されると、そのコンクリートを梁12が通過するようになる。そして、気泡掻き出し用具21の操作棒23を上下に延びるように配置した状態で、気泡掻き出し用具21の挿入板22が上記コンクリートに挿入される。このときには挿入板22の長手方向及び厚さ方向が水平方向となるため、上記コンクリートに対し挿入板22を挿入する際の抵抗が小さく抑えられる。
【0032】
上記コンクリートに挿入された挿入板22は、梁12におけるフランジ12bの下側に配置される。そして、挿入板22の上縁、言い換えれば挿入板22に固定された弾性体25がフランジ12bの下面に押し付けられる。更に、ガイド部材28のガイド面31がフランジ12bの突出方向の端面に当てられる。挿入板22の長手方向についてのガイド部材28の固定位置は、このときのガイド面31から挿入板22の操作棒23が繋がる端部と反対側の端部までの距離がフランジ12bのウェブ12aからの突出量に対応した値となるように予め調整される。
【0033】
弾性体25がフランジ12bの下面に押し付けられるとともに、ガイド部材28のガイド面31がフランジ12bの突出方向の端面に当てられた状態のもと、操作棒23に対する挿入板22の突出方向の先端が前となるように、気泡掻き出し用具21が梁12の長手方向に移動される。この気泡掻き出し用具21の移動は、フランジ12bの突出方向の端面にガイド部材28のガイド面31を接触させながら、
図4に矢印で示すように行われる。気泡掻き出し用具21を梁12の長手方向に移動させたり、挿入板22の進行方向を変えるために操作棒23をその軸線周りに回転させたりする際には、そうした動作を操作棒23の把持部23aを持つことによって簡単に行える。
【0034】
気泡掻き出し用具21の上記移動に伴い、梁12におけるフランジ12bの下面に溜まった気泡、すなわち
図3に記載された気泡33が挿入板22によって矢印で示すように上記下面の外に効率よく押し出される。その結果、フランジ12bの下面に溜まった気泡33が挿入板22によってフランジ12bの下面の外に掻き出されるため、気泡33を梁12におけるフランジ12bの下面から効率良く取り除くことができる。
【0035】
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)柱梁接合部13に打設されたコンクリートに対する挿入板22の挿入は、操作棒23を上下に延びるように配置した状態で行われる。操作棒23を上下に延びるように配置したときには、挿入板22の長手方向及び厚さ方向が水平方向となる。このため、打設されたコンクリートに対し上述した状態の挿入板22を挿入することにより、その挿入の際の抵抗を小さく抑えることができる。これにより、上記コンクリートに挿入板22を挿入しやすくなるため、梁12におけるフランジ12bの下面に溜まった気泡を気泡除去具によって掻き出す際の作業効率が向上する。
【0036】
(2)柱梁接合部13に打設されたコンクリートに挿入板22を挿入した後、挿入板22の上縁、言い換えれば挿入板22に固定された弾性体25が、フランジ12bの下面に押し付けられることにより、その下面に当てられる。更に、ガイド部材28のガイド面31が、梁12におけるフランジ12bのウェブ12aからの突出方向の端面に当てられる。この状態のもと、操作棒23に対する挿入板22の突出方向の先端が前となるように、気泡掻き出し用具21が梁12の長手方向に移動される。気泡掻き出し用具21の上記移動は、フランジ12bの突出方向の端面にガイド部材28のガイド面31を接触させながら行われる。これにより、気泡掻き出し用具21の上記移動を案内するとともに、移動中の挿入板22のフランジ12bに対する姿勢を維持することができる。そして、気泡掻き出し用具21の上記移動に伴い、梁12におけるフランジ12bの下面に溜まった気泡33が挿入板22によって上記下面の外に効率よく押し出される。これにより、気泡33をフランジ12bの下面から効率良く取り除くことができる。
【0037】
(3)気泡掻き出し用具21では、ガイド部材28を挿入板22に対し長手方向に変位させ、その変位後の位置に固定することが可能である。このため、気泡掻き出し用具21において、ガイド面31から挿入板22の先端までの距離を、梁12におけるウェブ12aからのフランジ12bの突出量に対応した値に合わせることができる。その結果、梁12におけるフランジ12bの下面に溜まった気泡33を挿入板22により、その下面に取り残すことなく下面の外に掻き出すことができる。
【0038】
(4)打設されたコンクリートに挿入板22を挿入した後に気泡掻き出し用具21を梁12の長手方向に移動させる際、その移動を操作棒23の把持部23aを持つことによって簡単に行うことができる。また、挿入板22の進行方向を変えるために操作棒23をその軸線周りに回転させる場合など、そのための操作を操作棒23の把持部23aを持つことによって簡単に行うことができる。
【0039】
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・気泡掻き出し用具21を用いる箇所は、柱梁接合部13に打設されたコンクリート以外の箇所であってもよい。例えば、柱梁接合部13以外の箇所に打設されたコンクリートであって、そのコンクリートを鉄骨が通過する場合に、その鉄骨の下面から気泡を掻き出すために気泡掻き出し用具21を用いてもよい。
【0040】
・弾性体25は、必ずしもボルト26及びナット27によって挿入板22に固定されている必要はなく、ボルト26及びナット27の代わりに接着剤等による接着によって挿入板22に固定されていてもよい。
【0041】
・弾性体25については、必ずしも設ける必要はない。
・把持部23aについては、必ずしも設ける必要はない。
・挿入板22の長手方向に対するガイド面31の傾斜角度は、45°以外の角度であってもよい。
【0042】
・ガイド部材28については、必ずしも挿入板22の長手方向に変位させることが可能なものである必要はない。
・ガイド部材28を省略してもよい。
【符号の説明】
【0043】
11…柱
12…梁
12a…ウェブ
12b…フランジ
13…柱梁接合部
15…塞ぎ板
16…鉄筋
21…気泡掻き出し用具
22…挿入板
23…操作棒
23a…把持部
24…斜面
25…弾性体
26…ボルト
27…ナット
28…ガイド部材
29…ボルト
30…ナット
31…ガイド面
32…スリット
33…気泡