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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024474
(43)【公開日】2025-02-20
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/105 20200101AFI20250213BHJP
   H05B 47/17 20200101ALI20250213BHJP
   H05B 45/10 20200101ALI20250213BHJP
   H05B 45/345 20200101ALI20250213BHJP
   H05B 47/16 20200101ALI20250213BHJP
   H05B 45/385 20200101ALI20250213BHJP
【FI】
H05B47/105
H05B47/17
H05B45/10
H05B45/345
H05B47/16
H05B45/385
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128613
(22)【出願日】2023-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江口 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】篠田 健吾
(72)【発明者】
【氏名】今▲吉▼ ちづる
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA08
3K273RA13
3K273SA08
3K273SA09
3K273SA32
3K273SA35
3K273SA45
3K273SA48
3K273TA03
3K273TA12
3K273TA15
3K273TA27
3K273TA40
3K273TA49
3K273UA19
3K273UA21
3K273UA22
3K273UA23
3K273UA27
3K273UA29
(57)【要約】
【課題】点検時に、ユーザが異常または停電が発生していると誤認することを抑制でき、非常点灯時と同じ条件で点検を実施できる照明器具を得ることを目的とする。
【解決手段】本開示に係る照明器具は、光源部と、商用電源または非常電源から前記光源部に電力を供給して前記光源部を点灯させる点灯回路と、前記点灯回路を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記商用電源からの電力で前記光源部が点灯する常用点灯モードと、非常時に前記非常電源からの電力で前記光源部を点灯させる非常用点灯モードと、前記非常電源を点検するための自動点検モードと、を有し、前記自動点検モードでは、前記非常電源から前記光源部に供給される電力が前記非常用点灯モードと同じであり、前記商用電源と前記非常電源からの電力で前記光源部が点灯する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部と、
商用電源または非常電源から前記光源部に電力を供給して前記光源部を点灯させる点灯回路と、
前記点灯回路を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記商用電源からの電力で前記光源部が点灯する常用点灯モードと、
非常時に前記非常電源からの電力で前記光源部を点灯させる非常用点灯モードと、
前記非常電源を点検するための点検モードと、
を有し、
前記点検モードでは、前記非常電源から前記光源部に供給される電力が前記非常用点灯モードと同じであり、前記商用電源と前記非常電源からの電力で前記光源部が点灯することを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記点検モードでは、前記光源部に供給される電力が前記常用点灯モードと同じであることを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記点検モードでは、前記光源部の輝度が前記常用点灯モードと同じであることを特徴とする請求項1または2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記光源部は、常用光源部と、非常用光源部とを有し、
前記常用点灯モードでは前記商用電源からの電力で前記常用光源部が点灯し、
前記非常用点灯モードでは、前記非常電源からの電力で前記非常用光源部が点灯し、
前記点検モードでは、前記商用電源と前記非常電源からの電力で前記常用光源部が点灯することを特徴とする請求項1または2に記載の照明器具。
【請求項5】
前記点検モードでは、前記制御部は予め定められた時間にわたり、前記非常電源からの電力で前記光源部を発光させることを、予め定められた時間間隔で実行することを特徴とする請求項1または2に記載の照明器具。
【請求項6】
前記点検モードの時間間隔は、6ヵ月以上であることを特徴とする請求項5に記載の照明器具。
【請求項7】
前記点検モードの前記予め定められた時間は、60分以下であることを特徴とする請求項5に記載の照明器具。
【請求項8】
前記点灯回路は、前記常用点灯モードで前記商用電源から前記光源部に定電流を供給する常用定電流回路と、前記非常用点灯モードで前記非常電源から前記光源部に定電流を供給する非常用定電流回路と、を有し、
前記点検モードでは、前記常用定電流回路と前記非常用定電流回路からの電流を合算した電流が前記光源部に供給されることを特徴とする請求項1または2に記載の照明器具。
【請求項9】
前記点検モードでは、前記常用定電流回路が前記合算した電流を定電流制御し、前記非常用定電流回路は前記非常用定電流回路からの電流を定電流制御することを特徴とする請求項8に記載の照明器具。
【請求項10】
前記点検モードでは、前記常用定電流回路が前記合算した電流を定電流制御し、前記非常用定電流回路は前記非常用定電流回路からの電流を目標値まで段階的にまたは連続的に増加させることを特徴とする請求項8に記載の照明器具。
【請求項11】
前記常用定電流回路と前記非常用定電流回路は共にスイッチング電源回路であり、
前記常用定電流回路と前記非常用定電流回路の動作周波数の差分周波数は、20kHzよりも高いことを特徴とする請求項8に記載の照明器具。
【請求項12】
前記常用定電流回路と前記非常用定電流回路との接続点に接続された安定用コンデンサを備えることを特徴とする請求項8に記載の照明器具。
【請求項13】
前記制御部は、前記光源部の輝度が前記常用点灯モードよりも高い緊急出力モードを有し、
前記緊急出力モードでは、前記常用定電流回路と前記非常用定電流回路からの電流を合算した電流が前記光源部に供給され、前記常用定電流回路および前記非常用定電流回路は、それぞれ出力限界以下の電流を出力することを特徴とする請求項8に記載の照明器具。
【請求項14】
点検スイッチを備え、
前記制御部は、前記点検スイッチが操作された際に前記非常電源からの電力で前記光源部を点灯させる手動点検モードを有することを特徴とする請求項1または2に記載の照明器具。
【請求項15】
点検動作中であること、または点検結果を報知する報知部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の照明器具。
【請求項16】
前記非常電源は、蓄電池であることを特徴とする請求項1または2に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、防災用照明装置の点灯装置が開示されている。この点灯装置は、点灯回路と、電源タイマと、制御回路と、を備える。点灯回路は、外部電源の停止時に非常電源から供給される非常用電力で光源を点灯させる。電源タイマは、電池の使用期間を計時する。制御回路は、使用期間の計時値が予め決められた点検値に達した後、非常電源を放電させる点検を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-027706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の点灯装置では、停電を検出していないときは点灯回路を停止させ、点検時には点灯回路を動作させて光源を点灯させる。このため、常用時と自動点検時とで光源の点灯状態が大きく異なる。従って、点検時に、ユーザが照明器具の異常または停電が発生していると誤認するおそれがある。
【0005】
本開示は、点検時に、ユーザが異常または停電が発生していると誤認することを抑制でき、非常点灯時と同じ条件で点検を実施できる照明器具を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る照明器具は、光源部と、商用電源または非常電源から前記光源部に電力を供給して前記光源部を点灯させる点灯回路と、前記点灯回路を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記商用電源からの電力で前記光源部が点灯する常用点灯モードと、非常時に前記非常電源からの電力で前記光源部を点灯させる非常用点灯モードと、前記非常電源を点検するための自動点検モードと、を有し、前記自動点検モードでは、前記非常電源から前記光源部に供給される電力が前記非常用点灯モードと同じであり、前記商用電源と前記非常電源からの電力で前記光源部が点灯する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る照明器具によれば、常用点灯モードにおいても自動点検モードにおいても光源部が点灯する。このため、点検時に、ユーザが異常または停電が発生していると誤認することを抑制できる。また、自動点検モードでは、非常電源から光源部に供給される電力が非常用点灯モードと同じであるため、非常点灯時と同じ条件で点検を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る照明器具を示す図である。
図2】実施の形態1に係る照明器具のブロック図である。
図3】実施の形態1に係る制御部の動作モードを説明する図である。
図4】比較例に係る照明器具の自動点検モードを説明する図である。
図5】実施の形態1の照明器具の自動点検モードを説明する図である。
図6】比較例に係る照明器具の回路ブロック図である。
図7】比較例に係る常用点灯電流と非常点灯電流の関係を説明する図である。
図8】実施の形態1に係る照明器具の回路ブロック図である。
図9】実施の形態1に係る常用点灯電流と非常点灯電流の関係を説明する図である。
図10】実施の形態1の変形例に係る照明器具の回路ブロック図である。
図11】実施の形態2に係る照明器具を示す図である。
図12】実施の形態2に係る照明器具のブロック図である。
図13】実施の形態2に係る制御部の動作モードを説明する図である。
図14】比較例に係る照明器具の自動点検モードを説明する図である。
図15】実施の形態2の照明器具の自動点検モードを説明する図である。
図16】実施の形態2に係る照明器具の回路ブロック図である。
図17】実施の形態3に係る照明器具の回路ブロック図である。
図18】実施の形態3に係る常用点灯電流と非常点灯電流の関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
各実施の形態に係る照明器具について、図面を参照しながら説明する。図面において、同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものを示す。これは、以下に記載する実施の形態の全文において共通する。また、図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。そして、明細書全文に表わされている構成要素の形態は、あくまでも例示であって、明細書に記載された形態に限定されるものではない。特に、構成要素の組み合わせは、各実施の形態における組み合わせのみに限定されるものではなく、他の実施の形態に記載した構成要素を別の実施の形態に適用することができる。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明器具1を示す図である。照明器具1は、例えば災害または停電時に用いられる誘導灯である。照明器具1は、本体2と、表示部3と、点検スイッチ5と報知部6を有する。本体2は、照明器具1の外郭を構成しており、後述する機器を格納している。本体2は、照明器具1の設置場所である天井、壁、床等に取り付けられる。
【0011】
表示部3は、本体2の表面に設けられ、災害または停電時における避難口または避難方向を示すピクトグラム、矢印等を表示している。表示部3は、後述する発光体12によって、所定の輝度で点灯する。以下では、表示部3の点灯を、照明器具1の点灯として説明することがある。なお、表示部3は、本体2と一体的な構造であっても良く、本体2の一面に設けられたパネルなどであっても良い。
【0012】
点検スイッチ5は、照明器具1の管理者が、後述する非常電源11の電池残量等を点検する際に操作する1つまたは複数個のスイッチである。照明器具1は、点検スイッチ5が操作されると、後述するように、各種点検モードによる動作を行う。
【0013】
報知部6は、後述する制御装置10からの報知信号に基づいて報知を行う。報知部6は、例えばLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)を有し、LEDが発光することにより報知を行う。特に、本実施の形態の報知部6は、点検動作中であること、または点検結果を報知する。
【0014】
図2は、実施の形態1に係る照明器具1のブロック図である。表示部3は光源部15を有する。また、照明器具1は、非常電源11および制御装置10を有している。光源部15は、照明器具1の本体2に格納され、実装基板13と、実装基板13に実装された発光体12を有する。
【0015】
発光体12は、発光することで照明器具1を点灯させる。具体的には、発光体12は、商用電源100から電力が供給されている常用時に、商用電源100から供給された電力で発光し、照明器具1を点灯させる。また、発光体12は、商用電源100からの電力が断たれた非常時に、非常電源11から供給された電力で発光し、照明器具1を点灯させる。発光体12は例えばLEDである。発光体12は、例えば有機EL(Electro Luminescence)またはレーザーダイオードなどでも良い。
【0016】
非常電源11は、たとえば蓄電池であり、本体2に格納される。非常電源11は、商用電源100から電力が供給されているときに、電力を貯める。非常電源11は、商用電源100からの電力が供給されないときに、バックアップ用電源となって、照明器具1の各機器へ電力を供給する。ここで、非常電源11は、例えばNi-MH蓄電池である。非常電源11は、これに限らず、例えばNi-Cd蓄電池またはLi-Ion電池などの2次電池であっても良い。また、非常電源11は、本体2に格納されていなくても良い。
【0017】
制御装置10は、照明器具1における点灯および点検などの動作を制御する装置であり、例えば照明器具1の本体2に格納される。制御装置10は、上述した機能を実現するための、点灯回路10A、充電回路10Bおよび制御部10Cを有する。制御部10Cは、点検処理部10Dと計時部10Eとを有する。
【0018】
点灯回路10Aは、商用電源100または非常電源11から光源部15に電力を供給して光源部15を点灯させる。点灯回路10Aは、発光体12の発光状態の制御を行う。点灯回路10Aは、主として、後述する機能(1)および機能(4)を行う。充電回路10Bは、商用電源100から供給される電力を非常電源11に充電する際の充電制御を行う。充電回路10Bは、主として、後述する機能(2)を行う。
【0019】
制御部10Cは点灯回路10Aおよび充電回路10Bを制御する。制御部10Cは、ハードウェアとしては、例えばプロセッサ、CPU(Central Processing Unit)などの処理装置を有するマイクロコンピュータなどで構成することができる。制御部10Cは、複数の処理装置で構成されても良い。制御部10Cは、プロセッサが制御装置10に後述する機能(1)~(9)を実行させるためのプログラムを実行するように構成されていても良い。
【0020】
点検処理部10Dは、後述する各種点検機能を実行する際の点検制御に係る処理を行う。点検処理部10Dは、主として、後述する機能(5)~機能(9)を行う。計時部10Eはタイマを有し、計時を行う。計時部10Eが計時した時間などは、点検処理部10Dなどが制御を行う際に用いる。計時部10Eは、主として、後述する機能(3)を行う。
【0021】
実施の形態1の制御装置10は、次の(1)~(9)に示す機能を有し、照明器具1の点灯、消灯、非常電源11の充電および非常電源11に関する点検などを行う。
(1)商用電源100からの電源供給を受けて発光体12を発光させ、照明器具1を点灯させる機能。
(2)商用電源100からの電力供給を受け、非常電源11を通常充電する通常充電機能。ここで、通常充電は、例えば微少な電流を非常電源11に供給して充電するトリクル充電で行われる。
(3)商用電源100からの電力供給を受けた経過時間を計時するタイマ機能。
(4)商用電源100からの電力供給が断たれた場合、非常電源11からの電力供給に切り替えて発光体12を発光させ、照明器具1を点灯させる機能。
(5)照明器具1が、非常電源11によって規定時間にわたって点灯可能か、および、非常電源11の劣化状況を確認する点検機能。規定時間は60分以下であると良く、例えば20分または60分である。機能(5)は、発光体12を発光させて点検機能を実現する。
(6)点検スイッチ5が操作されると、非常電源11により発光体12を発光させて、機能(5)の点検を実行する自動点検機能。
(7)機能(3)のタイマ機能により、予め定められた時間間隔経過後に、点検スイッチ5の操作によらずに、機能(5)の点検を自動的に実行する定期自動点検機能。機能(7)での点検は、予め設定された規定時間にわたり実行される。
(8)点検スイッチ5を操作中のみ、非常電源11により発光体12を発光させ、照明器具1が点灯可能かどうかを確認する手動点検機能。
(9)機能(5)~機能(7)に基づいて実行した点検結果を報知部6に報知させる機能。
【0022】
図3は、実施の形態1に係る制御部10Cの動作モードを説明する図である。照明器具1は、例えば(a)常用点灯モード、(b)非常用点灯モード、(c)手動点検モードおよび(d)自動点検モードの4つのモードを実行することができる。(c)手動点検モードおよび(d)自動点検モードは、非常電源11を点検するための点検モードである。
【0023】
(a)の常用点灯モードは、商用電源100の供給がある通常の状態におけるモードである。常用点灯モードでは、制御部10Cは、商用電源100からの電力で光源部15を点灯させる。常用点灯モードにおいて、点灯回路10Aは、機能(1)を実行して商用電源100から供給された電力で発光体12を発光させる。常用点灯モードにおいて、充電回路10Bは、機能(2)を実行して非常電源11を充電する。
【0024】
(b)の非常用点灯モードは、商用電源100の供給が遮断された非常時におけるモードである。非常用点灯モードにおいて、制御部10Cは、非常時に非常電源11からの電力で光源部15を点灯させる。制御部10Cは、停電の発生によって商用電源100からの電力供給が断たれたことを検知すると、常用点灯モードから非常用点灯モードに切り替える。点灯回路10Aは、機能(4)を実行して、非常電源11から供給された電力で発光体12を発光させて照明器具1を点灯させる。このとき、発光体12が負荷となり、非常電源11は放電する。
【0025】
常用点灯モードで発光体12に供給される電力を100%とした場合に、非常用点灯モードで発光体12に供給される電力は、例えば50%である。このように非常用点灯モードで発光体12に供給される電力は、常用点灯モードで発光体12に供給される電力よりも小さい。このため、非常用点灯モードでは、常用点灯モードよりも表示部3が暗く点灯する。
【0026】
(c)の手動点検モードは、管理者による点検スイッチ5の操作を点検開始条件として点検を行うモードである。手動点検モードにおいて制御部10Cは、点検スイッチ5が操作された際に、非常電源11からの電力で光源部15を点灯させる。具体的には、手動点検モードにおいて点検処理部10Dは、機能(6)の自動点検機能または機能(8)の手動点検機能を実行し、機能(9)の報知を行う。手動点検モードとして、機能(6)の自動点検機能または機能(8)の手動点検機能の両方または一方のみが採用されても良い。手動点検モードにおいて、光源部15は非常用点灯モードと同じ明るさで非常用点灯を行う。
【0027】
(d)の自動点検モードは、予め定められた時間間隔の経過を点検開始条件として、自動的に点検を行うモードである。自動点検モードにおいて点検処理部10Dは、機能(7)の定期自動点検機能を実行する。つまり、自動点検モードにおいて制御部10Cは、予め定められた規定時間にわたり、非常電源11からの電力で光源部15を発光させることを、予め定められた時間間隔で実行する。
【0028】
次に、自動点検モードについて詳細に説明する。消防法で規定される誘導灯は、例えば内蔵する非常電源11を充電しておき、商用電源100からの電源が断たれた停電時に、非常電源11による電力供給で光源を点灯させる。ここで、誘導灯では、非常電源11による点灯継続時間が規定されており、停電時には規定された点灯継続時間以上、点灯を継続できるようにしておく必要がある。点灯継続時間は、誘導灯の場合20分または60分である。
【0029】
照明器具1における点灯継続時間は、非常電源11の充電量および非常電源11の劣化状況に左右される。誘導灯は、充電方式として主にトリクル充電を用いており、通常時には、非常電源11の電力が常に満充電状態となるように制御されている。しかし、非常電源11が劣化すると、満充電状態であっても、時間経過とともに点灯継続時間が短くなる傾向にある。
【0030】
このため、照明器具1が規定時間点灯可能か否かを定期的に点検することで、非常電源11の劣化状態を確認し、非常電源11の劣化が認められた場合は、非常電源11を交換することにより、照明器具1が規定時間点灯可能な状態に維持管理する必要がある。このような維持管理として、一般に管理者の操作により点検が行われ、点検結果の確認がなされる。この場合、照明器具1の管理は、管理者による点検頻度に依存する。このため、点検間隔が長くなること、および適正交換時期に非常電源11が交換されないことが懸念される。
【0031】
本実施の形態の照明器具1では、制御装置10は、上述した機能(5)および機能(7)の定期自動点検機能を有する。制御装置10は、自動点検モードにおいて、機能(3)のタイマ機能により、例えば商用電源100からの電力供給を受けてからの時間が点検間隔時間に達した際に、点検スイッチ5が操作されなくても、自動的に点検を実行する。ここで、上述した自動点検モードの時間間隔は、特に規定するものではないが、例えば6ヵ月以上であると良く、6ヶ月または1年などとする。自動点検モードによる点検は、1年に1回は実施されることが好ましい。
【0032】
次に、照明器具1が非常電源11からの給電で規定時間点灯可能か否かを判定する方法について説明する。図4は、比較例に係る照明器具の自動点検モードを説明する図である。図4の左側は、常用点灯モードでの比較例に係る表示部803の輝度を簡易的に示している。図4の右側は、自動点検モードでの比較例に係る表示部803の輝度を簡易的に示している。比較例に係る制御装置10は、自動点検モードでは、非常用点灯モードと同じ電力を非常電源11から発光体12に供給する。その電力の値は、例えば常用点灯モードの半分の50%である。そして、制御装置10は、規定時間経過後の非常電源11の電圧が閾値以上の電圧を保っているか否かを判定することで、点検を行う。
【0033】
比較例の照明器具では、自動点検モードにおいて常用点灯モードよりも表示部803の輝度が低い。このため、明るさの変化が照明器具の設置場所に存在するユーザに認知される可能性がある。この際、ユーザに、停電または照明器具に異常が発生しているものと誤認させるおそれがある。
【0034】
図5は、実施の形態1の照明器具1の自動点検モードを説明する図である。図5の左側は、常用点灯モードでの表示部3の輝度を簡易的に示している。図5の右側は、自動点検モードでの表示部3の輝度を簡易的に示している。本実施の形態の自動点検モードでは、非常電源11から光源部15に供給される電力が、非常用点灯モードと同じである。また、本実施の形態の自動点検モードでは、商用電源100と非常電源11からの電力で光源部15が点灯する。
【0035】
このように本実施の形態の自動点検モードでは、制御部10Cは、非常電源11から光源部15に供給される電力を非常用点灯モードと同じに設定するとともに、商用電源100と非常電源11からの電力で光源部15を点灯させる。これにより、非常用点灯モードと比べて自動点検モードにおいて表示部3が明るく点灯する。従って、点検が実行されていることをユーザに認識させにくくすることが可能となり、ユーザが照明器具1の異常または停電が発生していると誤認することを抑制できる。
【0036】
また、本実施の形態の自動点検モードでは、光源部15に供給される電力が常用点灯モードと同じであっても良い。自動点検モードでは、光源部15に対して、例えば常用点灯モードの50%の電力が商用電源100から供給され、常用点灯モードの50%の電力が非常電源11から供給される。これにより、自動点検モードでは、発光体12の輝度が常用点灯モードと同じとなる。
【0037】
このように本実施の形態の自動点検モードでは、商用電源100と非常電源11から光源部15に供給される電力を、常用点灯モードにおいて商用電源100から光源部15に供給される電力と同じとしても良い。これにより、常用点灯モードと自動点検モードとで表示部3を同一の輝度で点灯させることができる。従って、ユーザの誤認をさらに抑制することができる。
【0038】
また、本実施の形態の自動点検モードでは、非常用点灯モードと同じ大きさの電力が非常電源11から光源部15に供給される。このため、実際の非常用点灯モードと同一の条件で非常電源11の点検を行うことができ、点検の精度を向上できる。
【0039】
また、他の比較例として、商用電源100から電力が供給されている常用時に、光源部が消灯しているような照明器具がある。この場合、常用時と自動点検時とで光源の点灯状態が大きく異なり、ユーザの誤認を招きやすい。これに対し、本実施の形態の照明器具1は、常用点灯モードにおいても自動点検モードにおいても光源部15が点灯する。このため、点検時に、ユーザが異常または停電が発生していると誤認することを抑制できる。
【0040】
制御部10Cは、上述した(9)の機能により、点検結果に基づく報知信号を報知部6に送る。報知部6は、報知信号に基づいて表示を行い、管理者に報知する。
【0041】
図6は、比較例に係る照明器具801の回路ブロック図である。なお、図6において制御部10C、基板、照明器具等の構造物は省略されている。照明器具801において制御装置810は、点灯回路810Aを有している。常用点灯モードにおいて、点灯回路810Aの常用定電流回路19は、AC/DC回路を介して商用電源100から電力を供給され、常用点灯電流を出力する。これにより、発光体12が常用点灯する。また、充電回路10Bは、常用定電流回路から電流を供給されて非常電源11を充電する。この時、充電スイッチ16および常用スイッチ17が導通している。
【0042】
一方、商用電源100が遮断される非常用点灯モードでは、充電スイッチ16および常用スイッチ17が切断され、非常スイッチ18が導通する。このとき、点灯回路810Aの非常用定電流回路20は、非常電源11から電力を供給されて非常点灯電流を出力する。これにより、発光体12が点灯する。
【0043】
また、自動点検モードでは、商用電源100が通電されている状態で、充電スイッチ16と常用スイッチ17は切断され、非常スイッチ18が導通する。これにより、非常用点灯モードと同じ非常点灯電流が発光体12に供給され、非常電源11の点検が実施される。
【0044】
常用点灯電流および非常点灯電流は、電流検出抵抗21で検出され、一定になるように制御される。ここで、非常用点灯モードにおける非常点灯電流は常用点灯モードにおける常用点灯電流よりも小さく、例えば常用点灯電流が100%に対して非常点灯電流は50%である。
【0045】
図7は、比較例に係る常用点灯電流と非常点灯電流の関係を説明する図である。比較例に係る照明器具801において、発光体12に流れる電流は、常用点灯モードの常用点灯電流100%または非常用点灯モードでの非常点灯電流50%に制御される。発光体12の明るさは、電流値の違いにより変化する。このため、自動点検モードにおいて非常用点灯モードと同じ電力を発光体12に出力すると、発光体12は常用点灯モードよりも自動点検モードで暗く点灯することになる。従って、ユーザに違和感を与えるおそれがある。
【0046】
図8は実施の形態1に係る照明器具1の回路ブロック図である。照明器具1の回路構成は、常用スイッチ17と非常スイッチ18が設けられず、非常電流検出抵抗22が設けられている点が、照明器具801の回路構成と異なっている。常用点灯モードにおいて点灯回路10Aでは、常用定電流回路19はAC/DC回路を介して商用電源100から電力を供給され、常用点灯電流を出力する。これにより、発光体12が常用点灯する。常用点灯電流は電流検出抵抗21により検出され、常用定電流回路19により定電流制御されている。このように、常用定電流回路19は、常用点灯モードで商用電源100から光源部15に定電流を供給する回路である。
【0047】
また、常用点灯モードにおいて充電回路10Bは、常用定電流回路19から電流を供給されて非常電源11を充電する。この時、充電スイッチ16は導通している。なお、非常用定電流回路20は停止しており、非常点灯電流は流れない。
【0048】
商用電源100が遮断される非常用点灯モードでは、充電スイッチ16が切断され、非常電源11への充電が停止される。また、常用定電流回路19が停止し、非常用定電流回路20が起動して、非常点灯電流が発光体12に供給される。これにより、発光体12が点灯する。非常点灯電流は、非常電流検出抵抗22により検出され、非常用定電流回路20により定電流制御される。このように、非常用定電流回路20は、非常用点灯モードで非常電源11から光源部15に定電流を供給する回路である。
【0049】
非常用点灯モードにおいて、非常電源11からの電源供給で一定時間以上、発光体12を点灯させる必要がある。非常用点灯モードにおける非常点灯電流は、常用点灯モードにおける常用点灯電流よりも小さく、例えば常用点灯電流が100%に対して非常点灯電流は50%である。
【0050】
自動点検モードでは、商用電源100が通電された状態で充電スイッチ16が切断され、非常電源11から供給される電力で非常用定電流回路20が非常点灯電流を出力する。また、常用定電流回路19も起動しており、電流検出抵抗21の電流値を一定にする制御を行っている。このため、発光体12には常用点灯電流が供給される。つまり、自動点検モードでは、常用定電流回路19と非常用定電流回路20からの電流を合算した電流が、光源部15に供給される。自動点検モードでは、商用電源100から光源部15に供給される電力と、非常電源11から光源部15に供給される電力は、共に高インピーダンスで出力され、光源部15に同時に供給される。
【0051】
自動点検モードでは、常用定電流回路19が、常用定電流回路19と非常用定電流回路20からの電流を合算した電流を定電流制御する。また、非常用定電流回路20は非常用定電流回路20からの電流のみ定電流制御する。常用点灯電流は非常点灯電流よりも多い。このため、常用点灯電流に対する非常点灯電流の不足分が、常用定電流回路19から供給されることとなる。これにより、発光体12には自動点検モードに移行する前の常用点灯モードと同じ大きさの電流が流れつつ、非常用定電流回路20からは非常点灯電流が流れることになる。
【0052】
常用定電流回路19は例えばフライバック回路であり、非常用定電流回路20は例えばは昇圧回路である。
【0053】
図9は、実施の形態1に係る常用点灯電流と非常点灯電流の関係を説明する図である。常用点灯モードにおける常用点灯電流を100%とすると、非常用点灯モードにおける非常点灯電流は例えば50%である。このため、非常用点灯モードでは発光体12に供給される電力が常用点灯モードよりも低く、照明器具1は常用点灯モードよりも暗く点灯する。一方、自動点検モードでは100%に対する電流の不足分を常用定電流回路19が補填する。このため、常用点灯モードと自動点検モードとで明るさの変化が無い。従って、ユーザに与える違和感を抑制して自動点検を実施することができる。
【0054】
図10は、実施の形態1の変形例に係る照明器具201の回路ブロック図である。照明器具201の点灯回路210Aでは、電流検出抵抗21が無く、常用点灯電流を常用電流検出抵抗23で検出している点が点灯回路10Aと異なっている。この点灯回路210Aでは、常用点灯モードと非常用点灯モードでの制御の方法は点灯回路10Aと同じである。
【0055】
一方で、自動点検モードにおいて、常用定電流回路19は発光体12全体の電流を制御するのではなく、常用点灯電流を常用点灯モードの50%に設定して出力する。常用点灯電流50%と非常点灯電流50%を合算することで、発光体12に常用点灯モードと同じ100%の電流を供給することができる。つまり点灯回路10Aでは、常用定電流回路19の電流目標値を発光体12に流れる電流目標値に設定していたが、点灯回路210Aでは常用定電流回路19の電流目標値を、発光体12に流れる電流目標値と非常点灯電流の差分に設定する。
【0056】
上述した変形は、以下の実施の形態に係る照明器具について適宜応用することができる。なお、以下の実施の形態に係る照明器具については実施の形態1との共通点が多いので、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0057】
実施の形態2.
図11は、実施の形態2に係る照明器具301を示す図である。本実施の形態の照明器具301は、光源部として、常用光源部15aと、非常用光源部15bを有している。照明器具301は、非常用照明器具である。非常用照明器具の仕様などは、建築基準法により規定される。なお、図11においては、本体302に設けられた点検スイッチ5および報知部6の図示を省略している。点検スイッチ5および報知部6は、本体302ではなく、照明器具301を操作するリモコンなどに設けられていても良い。
【0058】
図12は、実施の形態2に係る照明器具301のブロック図である。照明器具301は、制御装置310、点検スイッチ5、報知部6、非常電源11に加えて、常用光源部15a、非常用光源部15bおよび常用点灯装置330を有している。
【0059】
常用光源部15aは、商用電源100からの電力供給が得られる場合に用いられる光源である。非常用光源部15bは、商用電源100からの電力供給が断たれた場合に、非常電源11からの電力供給で用いられる光源である。常用光源部15aは、常用発光体12aと、常用発光体12aが実装された実装基板13aを有する。非常用光源部15bは、非常用発光体12bと、非常用発光体12bが実装された実装基板13bを有する。
【0060】
非常用光源部15bで非常用発光体12bに供給される電力は、常用光源部15aの常用発光体12aに供給される電力よりも低い。常用光源部15aの常用発光体12aに供給される電力を100%とした場合に、非常用光源部15bで非常用発光体12bに供給される電力は、例えば50%である。このため、非常用点灯モードでの非常用光源部15bは、常用点灯モードでの常用光源部15aよりも暗く点灯する。
【0061】
常用点灯装置330は、常用発光体12aの発光状態の制御を行う。常用点灯装置330は、主として、後述する機能(1)を行う。制御装置310の点灯回路310Aは、主として、後述する機能(4)を行う。充電回路10Bは、商用電源100から供給される電力を非常電源11に充電する際の充電制御を行う。充電回路10Bは、主として、後述する機能(2)を行う。
【0062】
制御部10Cは、点灯回路310Aおよび充電回路10Bを制御する。点検処理部10Dは、後述する各種点検機能を実行する際の点検制御に係る処理を行う。点検処理部10Dは、主として、後述する機能(5)~機能(9)を行う。計時部10Eは、タイマを有し、計時を行う。計時部10Eが計時した時間などは、点検処理部10Dなどが制御を行う際に用いる。計時部10Eは、主として、後述する機能(3)を行う。制御部10Cは、プロセッサが制御装置310に後述する機能(1)~(9)を実行させるためのプログラムを実行するように構成されていても良い。
【0063】
本実施の形態の常用点灯装置330および制御装置310は、次の(1)~(9)に示す機能を有し、照明器具301の点灯、消灯、非常電源11の充電および非常電源11に関する点検などを行う。
(1)商用電源100からの電源供給を受けて常用発光体12aを発光させ、照明器具301を点灯させる機能。
(2)商用電源100からの電力供給を受け、非常電源11を通常充電する通常充電機能。ここで、通常充電は、微少な電流を非常電源11に供給して充電するトリクル充電で行われる。
(3)商用電源100からの電力供給を受けた経過時間を計時するタイマ機能。
(4)商用電源100からの電力供給が断たれた場合、非常電源11からの電力供給に切り替えて非常用発光体12bを発光させ、照明器具301を点灯させる機能。
(5)照明器具301が、非常電源11によって、規定時間点灯可能か、および非常電源11の劣化状況を確認する点検機能。規定時間は、例えば30分または60分である。機能(5)は、常用発光体12aまたは非常用発光体12bを発光させて点検機能を実現する。
(6)点検スイッチ5が操作されると、非常電源11により非常用発光体12bを発光させて、機能(5)の点検を実行する自動点検機能。
(7)機能(3)のタイマ機能により、予め定められた時間間隔経過後に、点検スイッチ5の操作によらず、非常電源11により常用発光体12aを発光させて、機能(5)の点検を自動的に実行する定期自動点検機能。機能(7)での点検は、予め設定された規定時間にわたり実行される。
(8)点検スイッチ5を操作中のみ、非常電源11により非常用発光体12bを発光させ、照明器具301が点灯可能かどうかを確認する手動点検機能。
(9)機能(5)~機能(7)に基づいて実行した点検結果を報知部6に報知させる機能。
【0064】
図13は、実施の形態2に係る制御部10Cの動作モードを説明する図である。照明器具301は、例えば(a)常用点灯モード、(b)非常用点灯モード、(c)手動点検モードおよび(d)自動点検モードの4つのモードを実行することができる。
【0065】
(a)の常用点灯モードでは、機能(1)のように、商用電源100からの電力で、常用点灯装置330によって常用光源部15aが点灯する。非常用光源部15bは消灯状態である。
【0066】
(b)の非常用点灯モードでは、機能(4)のように、非常電源11からの電力で、点灯回路310Aによって非常用光源部15bが点灯する。常用光源部15aは消灯状態となる。
【0067】
(c)の手動点検モードは、管理者による点検スイッチ5の操作を点検開始条件として点検を行うモードである。手動点検モードにおいて点検処理部10Dは、機能(6)の自動点検機能または機能(8)の手動点検機能を実行し、機能(9)の報知を行う。手動点検モードとして、機能(6)の自動点検機能または機能(8)の手動点検機能の両方または一方のみが採用されても良い。手動点検モードでは、常用点灯装置330は常用発光体12aを発光させず、点灯回路330Aは非常用発光体12bを発光させる。
【0068】
(d)の自動点検モードは、予め定められた時間間隔の経過を点検開始条件として、自動的に点検を行うモードである。自動点検モードにおいて点検処理部10Dは、機能(7)の定期自動点検機能を実行する。
【0069】
図14は、比較例に係る照明器具901の自動点検モードを説明する図である。図14(a)に示すように、比較例の照明器具901では、常用点灯モードにおいて常用光源部15aのみを点灯させる。また、図15(b)に示すように、比較例の照明器具901では、非常用点灯モードと自動点検モードにおいて、非常用光源部15bのみを点灯させる。このため、比較例に係る照明器具901では、自動点検モードに移行する際に、常用点灯モードよりも常用光源部15aが暗くなる為、明るさの変化がユーザに認知され易い。この際、ユーザに停電または照明器具901に異常が発生しているものと誤認させるおそれがある。
【0070】
図15は、実施の形態2の照明器具301の自動点検モードを説明する図である。自動点検モードでは、常用点灯装置330が常用発光体12aを発光させ、非常用発光体12bは発光しない。つまり、図15(a)に示すように、常用点灯モードと自動点検モードでは、共に常用光源部15aのみが点灯する。また、図15(b)に示される、非常用点灯モードと手動点検モードでは、共に非常用光源部15bのみが点灯する。なお、非常用照明器具の場合、自動点検における点灯継続時間である規定時間は、例えば30分または60分である。
【0071】
このように本実施の形態では、常用点灯モードと自動点検モードとで常用光源部15aが点灯するため、自動点検モードが実行されていることをユーザに認識させにくい。このため、照明器具301に異常または停電が発生しているとユーザに誤認されることを抑制することができる。
【0072】
また、自動点検モードでは、商用電源100と非常電源11からの電力で常用光源部15aが点灯する。このとき、非常電源11から常用光源部15aに供給される電力は、非常用点灯モードにおいて非常電源11から非常用光源部15bに供給される電力と同じである。つまり、実施の形態1と同様に、自動点検モードにおいて非常電源11は非常用点灯モードと同等の電力を供給し、不足分の電力は常用点灯装置330から供給される。従って、自動点検モードにおいて、非常用点灯モードと同一の条件で点検を行うことができ、点検の精度を向上できる。
【0073】
なお、自動点検モードと常用点灯モードにおける常用光源部15aの明るさは、同じでは無くても良い。
【0074】
図16は、実施の形態2に係る照明器具301の回路ブロック図である。常用点灯モードでは、常用点灯装置330の常用定電流回路19は、AC/DC回路を介して商用電源100から電力を供給されて常用点灯電流を出力する。これにより、常用発光体12aが常用点灯を行う。常用点灯電流は電流検出抵抗21により検出され、常用定電流回路19により定電流制御される。
【0075】
また、常用点灯モードでは、制御装置310の充電回路10Bは、AC/DC回路および降圧回路を介して商用電源100から電力を供給されて、非常電源11を充電する。この時、充電スイッチ16は導通している。また、非常スイッチ24および常用側供給スイッチ25は切断されている。また、非常用定電流回路20は停止しており、非常点灯電流は流れない。
【0076】
商用電源100が遮断される非常用点灯モードでは、充電スイッチ16が切断され非常電源11への充電が停止されるとともに、常用定電流回路19が停止し、非常用定電流回路20が起動する。この時、非常スイッチ24は導通、常用側供給スイッチ25は切断されており、非常用発光体12bに非常点灯電流が供給される。非常点灯電流は、非常電流検出抵抗22により検出され、非常用定電流回路20により定電流制御される。実施の形態1と同様に、非常用点灯モードにて、非常電源11からの電源供給で一定時間以上、非常用発光体12bを点灯させる必要がある。
【0077】
自動点検モードでは、商用電源100が通電された状態で充電スイッチ16が切断される。また、非常電源11から供給される電力で非常用定電流回路20が非常点灯電流を出力する。この時、非常スイッチ24は切断、常用側供給スイッチ25は導通しており、非常用定電流回路20は常用発光体12aに非常点灯電流を供給する。一方で、常用定電流回路19も起動しており、電流検出抵抗21の電流値を一定にする制御を行っている。このため、常用発光体12aには常用点灯電流が供給される。
【0078】
常用点灯電流は非常点灯電流よりも多い。このため、常用点灯電流に対する非常点灯電流の不足分が、常用定電流回路19から供給されることとなる。これにより、常用発光体12aには自動点検モードに移行する前の常用点灯モードと同じ常用点灯電流が流れつつ、非常用定電流回路20からは非常用点灯モードと同じ非常点灯電流が流れることになる。従って、実施の形態1と同様に、自動点検モードにおいても常用点灯モードと同じ明るさとなり、ユーザに与える違和感を抑制して、自動点検を実施することができる。
【0079】
また、本実施の形態では、非常用照明器具において、常用光源部15aと非常用光源部15bとが分かれている場合について説明した。これに限らず、常用光源部15aと非常用光源部15bとが同一の発光体12を有する同一の光源として設けられていても良い。この場合は、実施の形態1と同様に、常用点灯モードと、自動点検モードとの何れにおいても発光体12を同一の輝度で発光させる。
【0080】
実施の形態3.
図17は、実施の形態3に係る照明器具401の回路ブロック図である。本実施の形態では、非常用定電流回路20における制御が実施の形態1と異なる。本実施の形態では実施の形態1と同様に、自動点検モードにおいて、常用定電流回路19が、常用定電流回路19と非常用定電流回路20からの電流を合算した電流を、電流検出抵抗21で検出して定電流制御する。また、非常用定電流回路20は非常用定電流回路20からの電流を非常電流検出抵抗22で検出して定電流制御する。このため、常用定電流回路19の目標電流値に対する非常点灯電流の不足分が、常用定電流回路19から供給されることとなる。さらに本実施の形態では、自動点検モードに移行すると非常用定電流回路20は、非常用定電流回路からの電流を目標値まで段階的にまたは連続的に増加させる。自動点検モードに移行すると非常用定電流回路20は、非常用定電流回路からの電流を目標値まで予め定められた時間をかけて増加させても良い。
【0081】
図18は、実施の形態3に係る常用点灯電流と非常点灯電流の関係を説明する図である。自動点検モードにおいて常用定電流回路19は、常用定電流回路19と非常用定電流回路20からの電流を合算した合成点灯電流を、目標電流値である100%出力に維持する。このため、自動点検モードに移行後、非常用定電流回路20が非常点灯電流を増加させて行くと、常用点灯電流は非常点灯電流の増加分だけ減少することになる。
【0082】
自動点検モードから常用点灯モードへの移行時には、非常用定電流回路20が非常点灯電流を段階的にまたは連続的に減少させる。このため、常用点灯電流は非常点灯電流の増加分だけ増加することになる。
【0083】
このように本実施の形態では、自動点検モードの開始時または終了時に、光源部15の明るさが徐々に、または段階的に変化する。このため、ユーザに違和感を与えることなく自動点検が可能となる。
【0084】
また、常用定電流回路19と非常用定電流回路20は共にスイッチング電源回路であっても良い。このとき、常用定電流回路19と非常用定電流回路20の動作周波数をそれぞれf1、f2とした場合に、差分周波数f1-f2は20kHzよりも高いことが望ましい。
【0085】
常用定電流回路19と非常用定電流回路20を、自動点検時に同時に起動すると、f1-f2の周波数のうなりが発生することがある。このため、差分周波数f1-f2を可聴領域の20kHzよりも高くすることで、騒音の発生を抑制できる。
【0086】
また、常用定電流回路19と非常用定電流回路20との接続点に安定用コンデンサC1を接続しても良い。これにより、常用定電流回路19と非常用定電流回路20双方の制御を、より安定化する事ができる。
【0087】
次に、各実施の形態での変形例について説明する。実施の形態1~3では自動点検モードにおける非常点灯電流を、非常用点灯モードにおける非常点灯電流と同じに制御している。ここで、常用点灯モードで点灯する発光体の電圧は、通常、非常点灯モードで点灯する発光体の電圧よりも高い。このため、自動点検モードと非常点灯モードとで同じ電流を光源に流すと、自動点検モードにおいて電力が大きくなる傾向がある。このため、自動点検モードでは、本来の目的である非常電源11からの出力電力を非常用点灯モードと同じとするように、非常点灯電流を調整することが望ましい。具体的には、自動点検モードでは、電圧の上昇分だけ非常点灯電流を削減すれば良い。
【0088】
本実施の形態1~3では発光体12の自動点検時の点灯電流を常用点灯モードと同じに制御している。これに限らず、常用点灯モードと自動点検モードとで、発光体に流れる電流は異なっても良い。例えば常用定電流回路19の出力に余裕がある場合、または非常電源11による点灯時間に制限が無い場合、点検時に明るさを得たい場合などに、必要に応じて自動点検モードにおいて常用点灯モードよりも大きな点灯電流を流しても良い。
【0089】
また、制御部10Cは、光源部の輝度が常用点灯モードよりも高い緊急出力モードを有しても良い。緊急出力モードでは、常用定電流回路19と非常用定電流回路20からの電流を合算した電流が光源部に供給される。また、緊急出力モードにおいて、常用定電流回路19および非常用定電流回路20は、それぞれ出力限界以下の電流を出力する。常用定電流回路19と非常用定電流回路20からの電流を合算した電流で光源部を点灯させることで、常用定電流回路19および非常用定電流回路20の出力を出力限界以下に維持しつつ、輝度の高い緊急出力モードを実現できる。
【0090】
自動点検モードにおいて、商用電源100から光源部に供給される電力と、非常電源11から光源部に供給される電力は、制御部10Cまたは常用点灯装置330からの制御で、増減できても良い。これにより、自動点検モードにおいて光源部の明るさを調整することができる。
【0091】
また、実施の形態1~3では自動点検モードにおいて、非常電源11から光源部に供給される電力が非常用点灯モードと同じであり、商用電源100と非常電源11からの電力で光源部が点灯するものとした。このような制御は、例えば機能(6)のような他の点検モードにおいて実施されても良い。
【0092】
また、上述した実施の形態1~3では、報知部6は、LEDを有し、発光色、点滅などにより点検結果を報知している。これに限らず、報知部6は、点検動作の結果等の照明器具の状態を報知できれば良い。例えば報知部6は、セグメント表示により報知を行っても良く、液晶モニタなどを有し、文字、絵などで情報を表示しても良い。
【0093】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
光源部と、
商用電源または非常電源から前記光源部に電力を供給して前記光源部を点灯させる点灯回路と、
前記点灯回路を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記商用電源からの電力で前記光源部が点灯する常用点灯モードと、
非常時に前記非常電源からの電力で前記光源部を点灯させる非常用点灯モードと、
前記非常電源を点検するための点検モードと、
を有し、
前記点検モードでは、前記非常電源から前記光源部に供給される電力が前記非常用点灯モードと同じであり、前記商用電源と前記非常電源からの電力で前記光源部が点灯することを特徴とする照明器具。
(付記2)
前記点検モードでは、前記光源部に供給される電力が前記常用点灯モードと同じであることを特徴とする付記1に記載の照明器具。
(付記3)
前記点検モードでは、前記光源部の輝度が前記常用点灯モードと同じであることを特徴とする付記1または2に記載の照明器具。
(付記4)
前記光源部は、常用光源部と、非常用光源部とを有し、
前記常用点灯モードでは前記商用電源からの電力で前記常用光源部が点灯し、
前記非常用点灯モードでは、前記非常電源からの電力で前記非常用光源部が点灯し、
前記点検モードでは、前記商用電源と前記非常電源からの電力で前記常用光源部が点灯することを特徴とする付記1から3の何れか1項に記載の照明器具。
(付記5)
前記点検モードでは、前記制御部は予め定められた時間にわたり、前記非常電源からの電力で前記光源部を発光させることを、予め定められた時間間隔で実行することを特徴とする付記1から4の何れか1項に記載の照明器具。
(付記6)
前記点検モードの時間間隔は、6ヵ月以上であることを特徴とする付記5に記載の照明器具。
(付記7)
前記点検モードの前記予め定められた時間は、60分以下であることを特徴とする付記5に記載の照明器具。
(付記8)
前記点灯回路は、前記常用点灯モードで前記商用電源から前記光源部に定電流を供給する常用定電流回路と、前記非常用点灯モードで前記非常電源から前記光源部に定電流を供給する非常用定電流回路と、を有し、
前記点検モードでは、前記常用定電流回路と前記非常用定電流回路からの電流を合算した電流が前記光源部に供給されることを特徴とする付記1から7の何れか1項に記載の照明器具。
(付記9)
前記点検モードでは、前記常用定電流回路が前記合算した電流を定電流制御し、前記非常用定電流回路は前記非常用定電流回路からの電流を定電流制御することを特徴とする付記8に記載の照明器具。
(付記10)
前記点検モードでは、前記常用定電流回路が前記合算した電流を定電流制御し、前記非常用定電流回路は前記非常用定電流回路からの電流を目標値まで段階的にまたは連続的に増加させることを特徴とする付記8に記載の照明器具。
(付記11)
前記常用定電流回路と前記非常用定電流回路は共にスイッチング電源回路であり、
前記常用定電流回路と前記非常用定電流回路の動作周波数の差分周波数は、20kHzよりも高いことを特徴とする付記8から10の何れか1項に記載の照明器具。
(付記12)
前記常用定電流回路と前記非常用定電流回路との接続点に接続された安定用コンデンサを備えることを特徴とする付記8から11の何れか1項に記載の照明器具。
(付記13)
前記制御部は、前記光源部の輝度が前記常用点灯モードよりも高い緊急出力モードを有し、
前記緊急出力モードでは、前記常用定電流回路と前記非常用定電流回路からの電流を合算した電流が前記光源部に供給され、前記常用定電流回路および前記非常用定電流回路は、それぞれ出力限界以下の電流を出力することを特徴とする付記8から12の何れか1項に記載の照明器具。
(付記14)
点検スイッチを備え、
前記制御部は、前記点検スイッチが操作された際に前記非常電源からの電力で前記光源部を点灯させる手動点検モードを有することを特徴とする付記1から13の何れか1項に記載の照明器具。
(付記15)
点検動作中であること、または点検結果を報知する報知部を備えることを特徴とする付記1から14の何れか1項に記載の照明器具。
(付記16)
前記非常電源は、蓄電池であることを特徴とする付記1から15の何れか1項に記載の照明器具。
【符号の説明】
【0094】
1 照明器具、2 本体、3 表示部、5 点検スイッチ、6 報知部、10 制御装置、10A 点灯回路、10B 充電回路、10C 制御部、10D 点検処理部、10E 計時部、11 非常電源、12 発光体、12a 常用発光体、12b 非常用発光体、13 実装基板、13a 実装基板、13b 実装基板、15 光源部、15a 常用光源部、15b 非常用光源部、16 充電スイッチ、17 常用スイッチ、18 非常スイッチ、19 常用定電流回路、20 非常用定電流回路、21 電流検出抵抗、
22 非常電流検出抵抗、23 常用電流検出抵抗、24 非常スイッチ、25 常用側供給スイッチ、30 常用点灯装置、100 商用電源、201 照明器具、210A 点灯回路、301 照明器具、302 本体、310 制御装置、310A 点灯回路、330 常用点灯装置、330A 点灯回路、401 照明器具、801 照明器具、803 表示部、810 制御装置、810A 点灯回路、901 照明器具、C1 安定用コンデンサ
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