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  • 特開-固定具および固定具を備えた調理器 図1
  • 特開-固定具および固定具を備えた調理器 図2
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  • 特開-固定具および固定具を備えた調理器 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024497
(43)【公開日】2025-02-20
(54)【発明の名称】固定具および固定具を備えた調理器
(51)【国際特許分類】
   F16B 47/00 20060101AFI20250213BHJP
   A47G 29/00 20060101ALI20250213BHJP
【FI】
F16B47/00 M
A47G29/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128661
(22)【出願日】2023-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】杉山 孝宏
【テーマコード(参考)】
3J038
3K100
【Fターム(参考)】
3J038AA02
3J038CA09
3J038CB02
3K100AA20
3K100AD01
3K100AE09
3K100AF02
3K100AH05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】取付面に固定しやすい固定具を提供することにある。
【解決手段】取付面に固定される固定具10であって、平板状の吸盤20と、吸盤を上面から押さえつけるカップ体13と、カップ体13の上部に吸盤20の固定と固定の解除を行うレバー11と、レバー11と連動し、吸盤を上下に変位させる操作軸17と、を有し、吸盤20は、吸盤20の上面にリブ21と、下面に突起22を有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付面に固定される固定具であって、
前記固定具は平板状の吸盤と、
前記吸盤を上面から押さえつけるカップ体と、
前記カップ体の上部に前記吸盤の固定と固定の解除を行うレバーと、
前記レバーと連動し、前記吸盤を上下に変位させる操作軸と、を有し、
前記吸盤は、吸盤の上面にリブと下面に突起を有す、
ことを特徴とする固定具。
【請求項2】
取付面に固定されるよう固定具を備える調理器であって、
前記固定具は、
平板状の吸盤と、
前記吸盤を上面から押さえつけるカップ体と、
前記カップ体の上部に前記吸盤の固定と固定の解除を行うレバーと、
前記レバーと連動し、前記吸盤を上下に変位させる操作軸と、を有し、
前記吸盤は、吸盤の上面にリブと下面に突起を有す、
ことを特徴とする調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定具および固定具を備えた調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
実登3000622号(以下、特許文献1という)には、タイルやガラス面などの取付面に固定する円盤状の固定具が記載されている。固定具の底面中心には、底面から突出する突起部が設けられている。この突起部により固定具底面と取付面との間に隙間が形成され、その隙間により、固定具と取付面との吸着を容易に解除することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実登3000622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の固定具は、突起部により取付面との吸着を容易に解除することができるが、突起部により固定具の底面周縁が取付面から浮いてしまう。そのため、固定具を取付面に吸着させる際、固定具の周縁が均等に取付面に密着せず、固定具を取付面に固定しにくい。
【0005】
そこで、本発明の一目的は、取付面に固定しやすい固定具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一解決手段に係る固定具は、取付面に固定される固定具であって、平板状の吸盤と、吸盤を上面から押さえつけるカップ体と、カップ体の上部に吸盤の吸着と吸着の解除を行うレバーと、レバーと連動し、吸盤を上下に変位させる操作軸と、を有す。吸盤は、吸盤の上面と下面に突起を有している。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一解決手段によれば、取付面に固定しやすい固定具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る固定具の固定状態と解除状態を示す断面図である。
図2図1の線A-A’の拡大図である。
図3】調理器の斜視図である。
図4図3に示す調理器の断面図である。
図5】調理器の固定状態と解除状態を示す断面図である。。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明における実施形態では、必要な場合に複数のセクションなどに分けて説明するが、原則、それらは互いに無関係ではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細などの関係にある。このため、全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0010】
また、構成要素の数(個数、数値、量、範囲などを含む)については、特に明示した場合や原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。また、構成要素などの形状に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合などを除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る固定具について図面を参照して説明する。図1は固定具10の断面図であり、aは、固定具の解除状態を示し、bは、固定具の固定状態を示している。図2は、図1の線A-A’間における拡大図である。尚、図1の左右方向を固定具の幅方向、上下方向を固定具の高さ方向として説明する。固定具10は物体を水平面に固定したり、垂直面あるいは天井などに吊り下げるものである。本発明に係る実施形態では、固定具10を水平面(取付面S)に固定することを例にして説明する。
【0012】
固定具10は、カップ体13とカップ体13上に、固定具10を固定および解除を行うためのレバー11を有している。レバー11は支軸18を介して操作軸17と連係している。レバー11は、カップ体13上で約90度上下方向に回動されると、連係する操作軸17を上下方向に変位させることができる。固定具10が固定される時のレバー11と操作軸17との動きを具体的に説明すると、レバー11は支軸18を中心に下方向に回動させられる。すると、レバー11は力点となる。また、レバー11とカップ体13とが接する箇所は支点となる。すると、レバー11は、レバー11と連係する操作軸17を上方向に変位させることができる。
【0013】
また、固定具10は操作軸17の先端に吸盤20を備えている。操作軸17の先端には、図示しない円形のプレートが接続されており、そのプレートの周囲は、円形の例えば樹脂製のゴムの吸盤20がインサート成形により設けられている。これにより、操作軸17と吸盤20は連動することができる。レバー11を下方向へ回動させると、操作軸17は上側に変位され、吸盤20は、円中心から持ち上げられる。吸盤20は、上方向に引っ張られることで取付面Sに固定される。
【0014】
バネ16は、操作軸17に巻回され、吸盤20を固定状態から解除状態へと変位しやすいよう作用するものである。具体的に説明すると、固定具10の固定を解除する時、操作軸17は上方から下方向へと変位する。するとバネ16は縮んだ状態から元の状態へと戻る。そのため、バネ16の作用により、吸盤20は、上方へ引っ張られている状態からフラット(平板)な状態へと変位しやすい。
【0015】
吸盤20は、上方へ向かって突起するリブ21を有している。リブ21は、カップ体13の縁14と接するよう吸盤20の周縁に設けられている。また、リブ21の高さ方向の長さL1は、カップ体13の縁14とリブ21とが接するよう設けられている。カップ体13の縁14とリブ21とが接することで、固定具10を安定して取付面Sに載置することができる。また、固定具10を取付面Sに固定するとき、リブ21は、カップ体13から取付面S方向に伝わる力を後述する突起22に伝えられるよう作用する。
【0016】
リブ21の幅L2はカップ体13縁14の幅より長く設けられている。長く設けられることで、固定具10が固定されるとき、縁14から伝わる下方向へ押さえつける力をリブ21の上面で受け止めることができる。
【0017】
また、吸盤20は底面周縁に突起22が設けられている。突起22は吸盤20を挟んでリブ21の下部(真下)に設けられている。突起22はリブ21の下部に設けられることで、リブ21を通じて固定具10を取付面S方向へ押さえつけられる力を取付面Sに伝えるよう作用する。突起22は、吸盤20の底面周縁に設けられることで、固定具10を取付面Sと平行に載置することができる。つまり、固定具10の載置時、突起22が取付面と接することで、吸盤20と取付面Sとの間は密閉された空間が形成されやすくなる。具体的に説明すると、レバー11を下方向へ回動すると、カップ体13を下方向に押しつける力が発生する。この力は、レバー11を下げると同時にリブ21を取付面S方向(下方向)へ押し付けるため、リブ21の裏面に構成される突起22にも下方向への力が伝わる。そのため、突起22を取付面Sに密着させることができる。
【0018】
突起22の幅L3は、リブ21の幅L2よりも長く設けられている。吸盤20が固定されるとき、吸盤20は上方へ変位する。このとき、突起22の幅L3はリブ21の幅L2よりも長く設けているため、突起22は上方へ変位しにくい。そのため、固定具10の固定時、吸盤20が上方へ変位しても吸盤20の周縁である突起22は取付面Sと密着し続ける。そのため、後述する、吸盤20と取付面Sとの間(隙間24)に空気が入りにくくなる。
【0019】
また、吸盤20は底面中心に突起22と同じ高さの突起23が設けられている。固定具10の固定を解除するとき、レバー11を上方へと回動させると、操作軸17は下方へと変位し、バネ16は縮んだ状態から元の状態へと変位する。そのため、吸盤20はフラット状態に変位する。吸盤20がフラットな状態に戻るとき、バネ16の作用により突起23は取付面Sに接する。突起23と取付面Sが接したことにより生じる僅かな振動により吸盤20の固定が解除されやすくなる。また、操作軸17が下方向へ変位するとき、操作軸17が取付面Sに当たり傷をつけるおそれがある。しかし、突起23が操作軸17をカバーすることで、取付面Sに傷を付けることを防げる。
【0020】
固定具10の載置時、吸盤20は突起22と突起23との間に隙間24を有している。一般的に吸盤を取付面に押さえ付けることにより、取付面と吸盤との間の体積が減少する。そのまま吸盤を引っ張り上げると吸盤内の体積は増加する。すると、吸盤内の空気の密度は低くなり、吸盤内の圧力が周囲と比べ低下する。吸盤は吸盤内と吸盤周囲とで大気圧に差が生じることで取付面に固定される。吸盤20は、突起22と突起23とにより、固定具10の載置時に隙間24が形成される。レバー11を下方向へ回動すると、吸盤20は上方へ変位する。それにより隙間24の空気の密度が下がる。隙間24の圧力が周囲と比べ低下することによって、吸盤20は取付面Sに固定される。
【0021】
吸盤20を固定するとき、吸盤20の周縁は取付面Sと密着するが、吸盤20の円中心は上方へ変位しやすい。具体的に説明すると、吸盤20は、突起22、23を有さないと仮定する。このとき、固定具10を載置すると、吸盤20は板状のため取付面Sと密着してしまう。密着するとレバー11を下方へ回動するとき、吸盤20は取付面Sと密着しているため、レバー11を回動しずらい(吸盤20を上方へ変位させにくい)。しかし、突起22、23を有することで吸盤20の底面と取付面Sとの間に隙間24が形成される。これにより、レバー11を下方向へ回動すると、吸盤20は上方へと変位しやすくなる。また、突起22を有することで吸盤20の周縁は、カップ体13縁14により取付面S方向へと押さえつけられるため、取付面Sと密着する。これにより、固定具10は取付面Sと固定しやすい。
【0022】
以下、本発明の固定具10Aの一使用例として、固定具10Aを調理器30で使用した場合について説明するが、第一実施形態と重複する説明は省略する。図3は、調理器30の斜視図で、図4は、調理器30の断面図である。図5は、調理器30の固定状態と解除状態を示す断面図であり、aは解除状態を示し、bは、固定具の固定状態を示している。調理器30は、固定具10Aを有し、ついた餅を任意の大きさで切断することができる器具である。調理器30は、固定具10Aを介して取付面Sに固定して使用するものである。
【0023】
調理器30は主にホッパー32と移送部40と基台34とで構成されている。ホッパー32は、例えば、つきたての餅を収容するもので、上部と下部が開口している。また、ホッパー32は、上部から下部にかけて順次小径となるようすり鉢状に形成されている。
【0024】
ホッパー32の下部には、移送部40が設けられている。移送部40は、案内筒43とキャップ46とカッター48と回転ハンドル47を有している。案内筒43は開口するホッパー32の下部に設けられ、ホッパー32に収容される餅を案内筒43へと移送できるようホッパー32と連通している。また、案内筒43の一端には、案内筒43内を移動する餅を排出する半球状のキャップ46が設けられている。また、キャップ46はカッター48が設けられ、キャップ46から排出される餅をカットするためのものでである。また、案内筒43には、収容する餅をキャップ46へと移送させるための図示しないスパイラル羽根が備えられている。案内筒43の他端には、スパイラル羽根を回転させるための回転ハンドル47が設けられている。
【0025】
基台34は、移送部40の下部に設けられ、調理器30を支えるためのものである。基台34内には固定具10Aが設けられている。レバー11Aは、基台34の前面に有する開口部から外部に露出している。レバー11Aにより、支軸18Aを起点に上方向に起こした状態と倒した状態とで調理器30の固定と解除を操作することができる。また、レバー11Aの下部(基台34内)にはカップ体13Aが設けられている。固定具10A(調理器30)は、レバー11Aを下げることで取付面Sに押しつけられる。レバー11Aには操作軸17Aが先端の支軸18Aを介して連係している。操作軸17Aの一端には吸盤20Aが設けられている。吸盤20Aは、カップ体13Aの下部に設けられ、操作軸17Aの上下方向の移動により変位する。吸盤20Aは、円中心から上方向に引っ張られることで取付面Sに固定される。
【0026】
また、バネ16Aは、操作軸17Aに巻回され、操作軸17Aを下方向に変位させることで、バネ16Aは元の状態に変位する。バネ16Aは縮んだ状態から元の状態へと戻るため、吸盤20Aは、上方へ引っ張られている状態からフラット(平板)な状態へと変位させやすい。
【0027】
リブ21Aは吸盤20Aの上面周縁に設けられている。そのため、リブ21は、カップ体13Aを通して下方向に押しつける力を後述する吸盤20Aの底面に有する突起22Aへ伝えるよう作用する。また、リブ21Aは、カップ体13Aと接するよう設けられている。リブ21Aは、カップ体13Aと接することで、調理器30を取付面Sに載置するとき、安定して載置することができる。
【0028】
吸盤20Aの底面は突起23Aを有している。突起23Aは、突起22Aと同じ高さで設けられている。調理器30(固定具10A)の固定を解除するとき、レバー11Aを上方へと回動させると、操作軸17Aは下方へと変位し、バネ16Aは縮んだ状態から元の状態へと変位する。そのため吸盤20Aはフラット状態に変位する。吸盤20Aがフラットな状態に戻るときバネ16Aの変位により突起23Aは取付面Sに接する。突起23Aと取付面Sとが接したことにより生じる僅かな振動により吸盤20Aの固定は、解除されやすくなる。
【0029】
次に、調理器30を取付面Sに固定する方法を説明する。まず、調理器30を取付面Sに載置する。このとき、吸盤20Aの底面は突起22Aと突起23Aが同じ高さに設けられているため、調理器30を安定させることができる。また、カップ体13A縁14Aとリブ21Aが接するよう設けられているため、固定具10Aを安定して載置することができる。すなわち、調理器30を安定して載置することができる。
【0030】
次に、ユーザーは調理器30を取付面Sに固定させるためレバー11Aを下方向に回動させる。すると、レバー11Aと連動する操作軸17Aが上方へと変位し、操作軸17Aと連動する吸盤20Aも上方へと変位する。吸盤20Aは突起22A、23Aを有すので、隙間24Aが形成される。この隙間24Aにより吸盤20Aの中心は上方へと変位しやすい。また、ユーザーがレバー11Aを下方向に回動させると、カップ体13Aは取付面S方向に押さえつけられる。吸盤20Aは上面にリブ21Aを有すため、カップ体13Aの縁14Aから伝わる力を突起22Aへと伝えるよう作用する。それにより、カップ体13Aが下方向に押さえつけられると同時に突起22Aは取付面Sと密着する。密着することで吸盤20A内に周囲の空気が流入しにくくなる。吸盤20A内の圧力が周囲と比べ低下することによって、吸盤20Aは取付面Sに固定される。つまり、調理器30は取付面Sに固定される。
【0031】
次に、固定具10Aの解除方法を説明する。ユーザーはレバー11Aを上方向へ回動させる。すると、レバー11Aと連係する操作軸17Aが下方向へと変位し、操作軸17Aと連動する吸盤20Aも下方向へと変位する。吸盤20Aが変位するとき、バネ16Aは縮んだ状態から元の状態へと変位する。そのため吸盤20Aはフラットな状態に変位しやすい。吸盤20Aが変位すると、突起23Aが取付面Sに接する。。突起23Aと取付面Sとが接したことにより生じる僅かな振動により吸盤20Aの固定は、解除されやすくなる。
【0032】
以上、本発明に関する固定具10、10Aについて説明した。固定具10Aは、ついた餅を任意の大きさで切断する調理器30に使用するものとして説明したが、これにこだわることなく、固定具10Aは振動する機器(例えば、ミキサーや生地を練るニーダーなど)に使用してもよい。さらに本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能としている。
【符号の説明】
【0033】
10、10A 固定具
11、11A レバー
13、13A カップ体
14、14A 縁
16、16A バネ
17、17A 操作軸
20、20A 吸盤
21、21A リブ
22、23、22A、23A 突起
24、24A 隙間
30 調理器
図1
図2
図3
図4
図5