(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024500
(43)【公開日】2025-02-20
(54)【発明の名称】レンジフード
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20250213BHJP
F24F 13/20 20060101ALI20250213BHJP
【FI】
F24F7/06 101A
F24F13/20 207
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128664
(22)【出願日】2023-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】000108661
【氏名又は名称】タカラスタンダード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中出 武文
【テーマコード(参考)】
3L058
【Fターム(参考)】
3L058BK08
(57)【要約】
【課題】本発明によれば、レンジフードからの操作部の落下を抑制しつつ、操作部の取外作業の作業性の向上を図ることができる。
【解決手段】レンジフードは、操作部と、送風ボックスと、上記操作部を挿入するための挿入口を有するフードと、上記フードの内部において、上記挿入口に挿入された上記操作部と嵌合し、スナップフィットで固定するための裏部材と、を備え、上記操作部は、上記裏部材と嵌合する、複数の凹部が設けられた嵌合部を有し、上記裏部材は、上記嵌合部と嵌合するための嵌合口と、上記凹部を係止する複数の凸部と、指で摘まむことにより、上記凸部による上記凹部の係止を解除するための、解除機構と、を有し、上記凸部及び上記凹部は、上記操作部及び上記裏部材が嵌合した際、上記裏部材の長手方向において、上記解除機構の幅の中心線から、上記解除機構の幅の2.5倍以下の長さまでの解除領域に複数配置されている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部と、
ファンを備える送風ボックスと、
前記操作部を挿入するための挿入口、及び前記送風ボックスに空気を取り込む開口部を有する、前記送風ボックスの下側に取り付けられるフードと、
前記フードの内部において、前記挿入口に挿入された前記操作部と嵌合し、スナップフィットにより、前記操作部を着脱可能に固定するための裏部材と、
を備え、
前記操作部は、前記裏部材と嵌合する嵌合部を有し、
前記嵌合部は、長手方向に、複数の凹部を有し、
前記裏部材は、
前記嵌合部と嵌合するための嵌合口と、
長手方向に、前記凹部を係止する複数の凸部と、
指で摘まむことにより、前記凸部による前記凹部の係止を解除するための、解除機構と、
を有し、
前記凸部及び前記凹部は、前記操作部及び前記裏部材が嵌合した際、前記裏部材の長手方向において、前記解除機構の幅の中心線から、前記解除機構の幅の2.5倍以下の長さまでの解除領域に複数配置されている、レンジフード。
【請求項2】
前記フードは、
開口部が設けられる継ぎ目のない下面と、
前記下面の外縁から上側に延び、且つ前記挿入口が設けられる側面と、
前記フード内部へのアクセスを可能とするための着脱可能なパネルを有する上面と、
を有する、請求項1に記載のレンジフード。
【請求項3】
前記裏部材は、前記操作部及び前記裏部材をスナップフィットにより固定する際、指で前記嵌合口の短手方向の中央に力を加えるための、指掛け部を有する、請求項2に記載のレンジフード。
【請求項4】
前記指掛け部は、少なくとも前記裏部材の長手方向の両端側に配置される、請求項3に記載のレンジフード。
【請求項5】
前記解除機構は、前記裏部材の長手方向の中心線を基準として、線対称となる位置に複数配置される、請求項1~4のいずれかに記載のレンジフード。
【請求項6】
前記解除領域は、前記裏部材の長手方向において、前記解除機構の幅の中心線から、前記解除機構の幅の0.8倍以下の長さまでの領域である、請求項5のいずれかに記載のレンジフード。
【請求項7】
前記裏部材の長手方向における、前記解除領域の合計の長さは、前記裏部材の長手方向の長さの、40%以上である、請求項6に記載のレンジフード。
【請求項8】
前記解除機構の幅の長さは、20mm以上40mm以下である、請求項7に記載のレンジフード。
【請求項9】
前記裏部材は、長手方向の両端側の面に、前記嵌合口側に開く、スリットを有する、請求項1~4のいずれかに記載のレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジフードに関する。
【背景技術】
【0002】
レンジフードはシロッコファンやターボファンなどの気流発生器を内蔵し、室内の空気をフード下面に設けられた開口部より取り込んで排気する。吸い込み口にはフィルタが取り付けられ、吸い込んだ空気から調理に伴って発生する油煙等を捕集する。
【0003】
フード正面には、レンジフードの使用者が、レンジフードの運転開始、運転停止、換気量調整等の運転動作を入力するための操作部が設けられている。フード正面に設けられた挿入口に挿入され、フード内部において、ネジやスナップフィット等の着脱機構で、レンジフードに着脱可能に固定されている操作部が知られている。このような操作部は、操作部の着脱機構がフード内部に存在する。そのため、フード外部に着脱機構が露出せず、レンジフードの美観が向上する。また、油汚れ等の着脱機構への付着が抑制され、レンジフードの清掃性が向上する。
【0004】
レンジフードのメンテナンスの際、操作部の着脱作業が行われる場合がある。操作部の着脱機構がフード内部に存在するレンジフードでは、作業者は、フード内部にアクセスし、操作部の着脱作業を行う必要がある。一般的なレンジフードでは、フード下面に、着脱可能な下面パネルが設けられている。下面パネルを取り外すことで、作業者のフード内部へのアクセスが可能となる。
【0005】
フード下面は、油煙に晒されるため、油汚れが付着しやすい。フード下面に、下面パネルが設けられている場合、下面パネルの外縁に継ぎ目が生じる。下面パネルを備えるレンジフードは、下面パネルの継ぎ目に油汚れが付着する。継ぎ目に付着した油汚れは、清掃が困難である。そのため、レンジフードの清掃性を向上すべく、下面に継ぎ目のないフード(以下、単に「継ぎ目レスフード」と称する)を採用するレンジフードが知られている。
【0006】
継ぎ目レスフードでは、フード上面に、着脱可能な上面パネルが設けられている。操作者は、上面パネルが取り外されたフード上面側から、フード内部へアクセスする必要がある。そのため、上面パネルが取り外されたフード上面側を、操作者が覗き込むような形で、操作部の着脱作業が行われていた。よって、継ぎ目レスフードを採用するレンジフードでは、操作部の着脱作業における、作業者への負担が大きかった。
【0007】
特許文献1には、換気扇本体の操作部として着脱可能に設けられる送信機本体を備える、換気扇操作用送信機が開示されている。特許文献2には、電子機器と取付アダプタの係止解除操作を容易に行えるようにするため、指で摘まむことにより前記係止爪と凹凸部の係止が解除可能な解除操作部を備える、電子機器取付装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7-143574号公報
【特許文献2】特開2002-324981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者は、特許文献1に記載の操作部の着脱機構としてスナップフィットを採用し、スナップフィットの係止解除を、特許文献2に記載の指で摘まむ解除操作部(以下、「解除機構」と称する)で行えば、継ぎ目レスフードを採用するレンジフードにおける、操作部の取外作業の作業性が向上すると考えた。しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の技術の単なる組み合わせでは、継ぎ目レスフードを採用するレンジフードにおける、操作部の取外作業の作業性は、十分に向上しなかった。
【0010】
本発明者は、操作部の取外作業の作業性が十分に向上しない理由を、詳細に分析した。その結果、本発明者は、継ぎ目レスフードを採用するレンジフードにおける、操作部の取外作業に特有の課題が存在すること見出した。具体的には、加熱調理中の操作部の落下を防止すべく、スナップフィットによる操作部の固定には、凸部と凹部の係止箇所が、複数存在する。継ぎ目レスフードを採用するレンジフードでの操作部の取外作業では、作業者は、手首をひねりながら不自然な体勢で、解除機構を指で摘まむことになる。そのため、解除機構に十分な力が加わらず、解除機構から離れた位置にある凸部と凹部の係止が解除されない状態(以下、単に「未解除状態」と称する)が生じる場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係るレンジフードは、操作部と、ファンを備える送風ボックスと、上記操作部を挿入するための挿入口、及び上記送風ボックスに空気を取り込む開口部を有する、上記送風ボックスの下側に取り付けられるフードと、上記フードの内部において、上記挿入口に挿入された上記操作部と嵌合し、スナップフィットにより、上記操作部を着脱可能に固定するための裏部材と、を備え、上記操作部は、上記裏部材と嵌合する嵌合部を有し、上記嵌合部は、長手方向に、複数の凹部を有し、上記裏部材は、上記嵌合部と嵌合するための嵌合口と、長手方向に、上記凹部を係止する複数の凸部と、指で摘まむことにより、上記凸部による上記凹部の係止を解除するための、解除機構と、を有し、上記凸部及び上記凹部は、上記操作部及び上記裏部材が嵌合した際、上記裏部材の長手方向において、上記解除機構の幅の中心線から、上記解除機構の幅の2.5倍以下の長さまでの解除領域に複数配置されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、レンジフードからの操作部の落下を抑制しつつ、操作部の取外作業の作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図4】作業者による操作部の着脱作業の様子を示す説明図である。
【
図5】フードの側面から操作部が取り外された状態を示す斜視図である。
【
図7】操作部の取外作業における、裏部材及び操作部の状態を示す説明図である。
【
図8】操作部の取付作業における、裏部材及び操作部の状態を示す説明図である。
【
図9】裏部材の解除領域と、凸部及び凹部の配置位置の関係を示す説明図である。
【
図10】凸部及び凹部の配置位置の変形例を示す説明図である。
【
図11】実施例1で作成した評価用裏部材の説明図である。
【
図12】実施例2で作成した量産用裏部材の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[本発明の実施形態の概要]
以下、本発明の実施形態の概要を列記して説明する。
【0015】
(1)本実施形態に係るレンジフードは、
操作部と、
ファンを備える送風ボックスと、
上記操作部を挿入するための挿入口、及び上記送風ボックスに空気を取り込む開口部を有する、上記送風ボックスの下側に取り付けられるフードと、
上記フードの内部において、上記挿入口に挿入された上記操作部と嵌合し、スナップフィットにより、上記操作部を着脱可能に固定するための裏部材と、
を備え、
上記操作部は、上記裏部材と嵌合する嵌合部を有し、
上記嵌合部は、長手方向に、複数の凹部を有し、
上記裏部材は、
上記嵌合部と嵌合するための嵌合口と、
長手方向に、上記凹部を係止する複数の凸部と、
指で摘まむことにより、上記凸部による上記凹部の係止を解除するための、解除機構と、
を有し、
上記凸部及び上記凹部は、上記操作部及び上記裏部材が嵌合した際、上記裏部材の長手方向において、上記解除機構の幅の中心線から、上記解除機構の幅の2.5倍以下の長さまでの解除領域に複数配置されている。
【0016】
上記の構成では、上記操作部と上記裏部材とが嵌合した際、上記操作部及び上記裏部材が、複数の上記凸部及び上記凹部で係止される。そのため、レンジフードからの上記操作部の落下が抑制される。
【0017】
上記の構成では、上記凸部及び上記凹部は、解除機構を指で摘まむ力が弱い場合でも、上記凸部及び上記凹部の係止状態が解除される上記解除領域に配置されている。そのため、未解除状態の発生が抑制され、操作部の取外作業の作業性が向上する。
【0018】
(2)本実施形態に係るレンジフードは、
上記フードが、
上記開口部が設けられる継ぎ目のない下面と、
上記下面の外縁から上側に延び、且つ上記挿入口が設けられる側面と、
上記フード内部へのアクセスを可能とするための着脱可能なパネルを有する上面と、
を有するように構成されても良い。
【0019】
上記の構成によれば、フードの下面に継ぎ目がない、継ぎ目レスフードを採用するレンジフードにおいて、操作部の落下を抑制しつつ、操作部の取外作業の作業性の向上を図ることができる。
【0020】
(3)本実施形態に係るレンジフードは、上記裏部材が、上記操作部及び上記裏部材をスナップフィットにより固定する際、指で上記嵌合口の短手方向の中央に力を加えるための、指掛け部を有するように構成されても良い。
【0021】
本発明者は、継ぎ目レスフードを採用するレンジフードにおける、操作部の取付作業では、作業者が、手探りで操作部に裏部材を嵌め込むことがあり、裏部材の凸部による操作部の凹部の係止が不十分な状態(以下、単に「未係止状態」と称する)が生じる場合があることを見出した。
【0022】
上記の構成では、上記嵌合口の短手方向の中央に力を加えるための指掛け部により、作業者は、操作部の裏部材への嵌め込みの際に、上記裏部材に効率的に力を加えることができる。そのため、未係止状態の発生が低減し、レンジフードからの上記操作部の落下が抑制される。また、操作部の取付作業の作業性が向上する。
【0023】
(4)本実施形態に係るレンジフードは、上記指掛け部が、少なくとも上記裏部材の長手方向の両端側に配置されるように構成されてもよい。
【0024】
上記の構成により、未係止状態の発生がより低減し、レンジフードからの上記操作部の落下がより抑制される。
【0025】
(5)本実施形態に係るレンジフードは、上記解除機構が、上記裏部材の長手方向の中心線を基準として、上記裏部材の長手方向において線対称となる位置に複数配置されるように構成されても良い。
【0026】
上記の構成により、上記解除機構が、上記裏部材の長手方向にバランスよく複数配置される。すなわち、上記解除領域が、上記裏部材の長手方向にバランスよく配置されることになる。これにより、未解除状態の発生がより抑制され、操作部の取外作業の作業性がより向上する。
【0027】
また、上記の構成により、複数の上記凸部及び上記凹部を、上記裏部材及び上記嵌合部の長手方向に、バランスよく配置することが可能となる。これにより、レンジフードからの上記操作部の落下がより抑制される。
【0028】
(6)本実施形態に係るレンジフードは、上記解除領域が、上記裏部材の長手方向において、上記解除機構の幅の中心線から、上記解除機構の幅の0.8倍以下の長さまでの領域となるように構成されてもよい。
【0029】
上記の構成により、未解除状態の発生がさらに抑制され、操作部の取外作業の作業性がさらに向上する。
【0030】
(7)本実施形態に係るレンジフードは、上記裏部材の長手方向における、上記解除領域の合計の長さが、上記裏部材の長手方向の長さの、40%以上となるように構成されてもよい。
【0031】
上記の構成により、上記裏部材の長手方向の長さに対し、解除領域が十分に確保され、複数の凸部及び凹部を、裏部材及び嵌合部の長手方向に、バランスよく配置することが可能となる。これにより、レンジフードからの上記操作部の落下がより抑制される。
【0032】
(8)本実施形態に係るレンジフードは、上記解除機構の幅の長さが、20mm以上40mm以下となるように構成されてもよい。
【0033】
上記の構成により、操作部の取外作業の作業性がより向上する。
【0034】
(9)本実施形態に係るレンジフードは、上記裏部材が、長手方向の両端側の面に、上記嵌合口側に開く、スリットを有するように構成されてもよい。
【0035】
上記の構成により、操作部の着脱作業の作業性がより向上する。
【0036】
<本発明の実施形態の詳細>
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態の詳細を説明する。なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0037】
[レンジフード]
図1はレンジフード1の一部切欠側面図である。
図1における2つの両矢印は、それぞれレンジフード1の高さ方向、及び奥行方向を示す。
図2は、レンジフード1の下方向からの斜視図である。
図3は、レンジフード1の上方向からの斜視図である。
図2及び
図3における3つの両矢印は、それぞれレンジフード1の高さ方向、幅方向及び奥行方向を示す。
図4は、作業者OPによる操作部200の着脱作業の様子を示す説明図である。
【0038】
レンジフード1は、気流発生器であるファン4を内蔵した送風ボックス3と、その下部に取り付けられた、下面が開放された扁平箱型のフード2と、を有する。フード2の下面2aは、送風ボックス3に空気を取り込むための開口部5を有する。開口部5には、フィルタ6が備えられる。下面2aの下方であって開口部5の空気の流れの上流側には、下面2aから離間した状態で開口部5を覆うように、整流板8が、ヒンジ部7及び磁着部9により支持される。整流板8は、開口部5から吸い込まれる空気の流れを整流する。ヒンジ部7は、整流板8の後縁部を基端として、整流板8を上下方向に回動可能に支持する。
【0039】
レンジフード1では、ファン4によって発生した気流によってレンジフード1の設置された室内の空気が上昇して下面2a及び整流板8に当たり、下面2aと整流板8との隙間から開口部5に吸い込まれる。その際に、空気はフィルタ6を通過することで、空気に含まれる油分や埃などがフィルタ6によって回収される。開口部5から吸い込まれた室内の空気は、フード2の図示しない開口を通過して送風ボックス3に取り込まれ、ファン4を通過して機外へ排気される。
【0040】
フード2の側面2bは、下面2aの外縁から上側に延びるように構成されている。下面2a及び側面2bは、たとえば、鉄、コバルト、及びニッケルなどを含むホーロー製である。フード2は、下面2aに継ぎ目を有さない、継ぎ目レスフードである。レンジフード1では、下面2a及び側面2bが、継ぎ目なく構成されている。
【0041】
フード2は、レンジフード1の設置時に水平または略水平となる扁平箱型である。フード2の背面と送風ボックス3の背面とは同一面または概ね同一面であり、レンジフード1は、背面を室内の壁面に接して設置可能である(壁付け型)。以降の説明では、レンジフード1が背面によって壁付け施工されているものとする。なお、レンジフード1は、側面によって壁付け施工されていてもよい。また、レンジフード1は、壁面に接することなく、天井に接して設置されてもよい(天井付け型)。
【0042】
レンジフード1は、フード2の前側の側面2bに操作部200を備えている。操作部200は、後述する側面2bに設けられた挿入口ISに挿入された嵌合部210が、フード2の内部において、裏部材100と嵌合することで、スナップフィットにより側面2bに着脱可能に固定されている。
【0043】
上述したようにフード2は、継ぎ目レスフードのため、下面2a側から、フード2の内部へアクセスできない。そのため、フード2の上面2cには、レンジフード1に着脱可能に固定される、上面パネル10が設けられている。上面パネル10をレンジフード1から取り外すことで、フード2の内部へのアクセスが可能となる。すなわち、操作部200の着脱作業を行う作業者OPは、上面パネル10をレンジフード1から取り外し、フード2の上側から、フード2の内部の裏部材100へアクセスすることになる。
【0044】
レンジフード1は、一般的に、室内の高い位置に設置される。上述のように、レンジフード1のフード2は、継ぎ目レスフードのため、フード2の下側からフード2の内部へアクセスできない。そのため、
図4に示すように、操作部200の着脱作業を行う作業者OPは、上面パネル10が取り外されたフード2の上側から覗き込むように作業を行う必要がある。すなわち、作業者OPは、フード2の内部の視認が困難な条件下、不自然な体勢で操作部200の着脱作業を行うことになる。
【0045】
[裏部材、及び操作部]
図5は、フード2の前側の側面2bから、操作部200が取り外された状態を示す斜視図である。
図5における3つの両矢印は、それぞれ操作部200の長手方向、短手方向、及び奥行方向を示す。
図6は、裏部材100の斜視図である。
図6における3つの両矢印は、それぞれ裏部材100の長手方向、短手方向、及び奥行方向を示す。
図7は、操作部200の取外作業の過程における、裏部材100及び操作部200の状態を示す説明図である。
図8は、操作部200の取付作業の過程における、裏部材100及び操作部200の状態を示す説明図である。
【0046】
裏部材100は、解除機構110、指掛け部120、凸部130、スリット140、及び緩衝部150を有している。操作部200は、嵌合部210、パネル部220、及び凹部230を有している。フード2の側面2bは、操作部200の嵌合部210が挿入される挿入口ISを有している。
【0047】
操作部200が側面2bに固定されている状態において、挿入口ISに挿入された嵌合部210は、フード2の内部において、裏部材100と嵌合している。嵌合部210の長手方向に延びる側面には、凹部230が設けられている。
図5に示されるように、操作部200は、嵌合部210の長手方向に延びる一方の側面に、4つの凹部230が設けられている。同様に、嵌合部210の長手方向に延びる他方の側面にも、4つの凹部230が設けられている(図示せず)。一方の側面に設けられた凹部230と、他方の側面に設けられた凹部230とは、嵌合部210の短手方向において対向する位置に配置されている。
【0048】
裏部材100は、嵌合部210が嵌め込まれる嵌合口HFを有する。嵌合口HFは、裏部材100の長手方向に延びる2つの長手面100a、及び裏部材100の短手方向に延びる2つの短手面100bで囲まれ、裏部材100の前側に形成されている。2つの長手面100aは、裏部材100の短手方向において対向している。2つの短手面100bは、裏部材100の長手方向において対向している。嵌合口HFの後側には、後面100cが配置されている。なお、後面100cには、操作部200の配線(図示せず)を通すための開口APが設けられている。
【0049】
2つの長手面100aには、嵌合部210が嵌合した際に、凹部230を係止するための凸部130が設けられている。
図5及び
図6に示されるように、2つの長手面100aには、それぞれ4つの凸部130が設けられている。一方の長手面100aに設けられた凸部130と、他方の長手面100aに設けられた凸部130とは、裏部材100の短手方向において対向する位置に配置されている。
【0050】
凸部130及び凹部230は、操作部200の嵌合部210と裏部材100とが嵌合した際、凸部130により凹部230が係止されるように、それぞれ裏部材100及び嵌合部210に配置されている。凸部130により凹部230が係止されることで、操作部200の嵌合部210と、裏部材100とが、スナップフィットにより固定される。
【0051】
裏部材100は、後側に2つの解除機構110を有している。解除機構110は、裏部材100の後側に延び、裏部材100の短手方向で対向する一対の摘まみ部110aを有している。解除機構110の一対の摘まみ部110aを指で摘まみ、一対の摘まみ部110aの後側の端部の短手方向の間隔を狭めるように力を加える(以下、単に「解除機構110を指で摘まむ」と説明する場合がある)ことで、嵌合口HFの2つの長手面100aで形成される辺の短手方向の間隔が広がる。そのため、操作部200と裏部材100とがスナップフィットにより固定されている状態において、解除機構110を指で摘まむことで、凸部130による凹部230の係止が解除される。これにより、フード2の側面2bに固定されている操作部200の取り外しが可能となる。なお、裏部材100では、解除機構110の一対の摘まみ部110aは、一方の摘まみ部110aと、他方の摘まみ部110aとが同じ形状となるように構成されている。
【0052】
裏部材100は、後側に2つの指掛け部120を有している。指掛け部120は、裏部材100の背面の、嵌合口HFの短手方向の略中央の位置から、裏部材100の後側に延びるように構成されている。挿入口ISに挿入された嵌合部210を裏部材100に嵌合する際、作業者OPは、指掛け部120に指を掛け、裏部材100を挿入口IS側に引き込むように力を加えることができる。指掛け部120に加えられた力は、嵌合口HFの短手方向の略中央に伝わる。そのため、指掛け部120により、嵌合部210の裏部材100への嵌め込み際に、裏部材100に効率的に力を加えることができる。これにより、未係止状態の発生が抑制され、操作部の取付作業の作業性が向上する。
【0053】
裏部材100では、指掛け部120が、裏部材100の長手方向の両端側に配置されている。そのため、嵌合部210を裏部材100に嵌合する際、指掛け部120に加えられた力が、裏部材100の両端にバランスよく伝わる。これにより、未係止状態の発生がより抑制され、操作部200の取付作業の作業性がより向上する。
【0054】
裏部材100では、指掛け部120の後側の端部に、作業者OPが指を掛けるための丸みのある凹みが設けられている。これにより、作業者OPは、指掛け部120に力を加えやすくなる。また、上述のように、フード2は、継ぎ目レスフードのため、操作部200の取付作業は、フード2の内部の視認が困難な条件下で行われる場合がある。指掛け部120は、指を掛けるための凹みを有するため、作業者OPが、手探りにより指掛け部120を確認しやすくなる。そのため、操作部200の取付作業の作業性がさらに向上する。
【0055】
裏部材100の短手面100bは、嵌合口HF側に開くスリット140を有している。裏部材100では、スリット140が、嵌合口HFの短手方向の略中央の位置に配置されている。これにより、長手面100aの前側の短手方向の間隔が広がり易くなる。そのため、操作部200と裏部材100のスナップフィットによる固定解除に必要な、解除機構110を指で摘まむ力を小さくすることができる。また、嵌合部210を裏部材100に嵌合する際に必要な、指掛け部120に加える力を小さくすることができる。よって、操作部200の着脱作業の作業性がより向上する。
【0056】
裏部材100は、嵌合口HFの短手方向の外側、且つ長手面100aの外縁に、緩衝部150を有している。緩衝部150の前側には、スポンジやゴム等の緩衝材が貼付されている。操作部200が側面2bに固定されている際、緩衝部150の前側は、フード2の内部側の側面2bに、押し付けられた状態で接触している。
【0057】
パネル部220は、レンジフード1の運転動作を入力するためのタッチパネルを備えている。パネル部220の長手方向及び短手方向の長さは、嵌合部210の長手方向及び短手方向の長さより、長く構成されている。嵌合部210は、パネル部220の後側の略中央に配置されている。そのため、操作部200は、パネル部220の後側に、嵌合部210が配置されていないフランジ面200aを有している。操作部200が側面2bに固定されている際、フランジ面200aは、フード2の外部側の側面2bに、押し付けられた状態で接触している。
【0058】
上述のように、操作部200が側面2bに固定されている際、側面2bは、裏部材100の緩衝部150と、操作部200のフランジ面200aとに挟まれる状態となっている。そのため、側面2bに固定されている操作部のぐらつきが抑制される。
【0059】
[取外作業、及び取付作業]
図7は、操作部200の取外作業における、裏部材100及び操作部200の状態の変化を示す説明図である。
図8は、操作部200の取付作業における、裏部材100及び操作部200の状態の変化を示す説明図である。
図7及び
図8における2つの両矢印は、それぞれレンジフード1の高さ方向、及び奥行方向を示す。
【0060】
図7(a)及び
図8(c)は、いずれも操作部200が側面2bに固定されている状態を示す断面模式図である。
図7(c)及び
図8(a)は、いずれも操作部200が側面2bから取り外されている状態を示す断面模式図である。
図7(a)及び
図8(c)において、操作部200の凹部230は、裏部材100の凸部130により係止されている。すなわち、操作部200が、側面2bに、裏部材100とのスナップフィットにより固定されている状態となっている。
【0061】
図7(b)は、作業者OPにより、解除機構110が指で摘ままれることで、裏部材100の凸部130による、操作部200の凹部230の係止が解除された状態を示す断面模式図である。
図7(b)に示されるように、作業者OPにより、解除機構110が指で摘ままれることで、上側の凸部130と、下側の凸部130との高さ方向の間隔が広がる。これにより、裏部材100の凸部130による、操作部200の凹部230の係止が解除される。
【0062】
上述のように、レンジフード1のフード2は、継ぎ目レスフードである。そのため、作業者OPは、フード2の下側からフード2の内部へアクセスできない。よって、
図7(b)に示されるように、作業者OPは、操作部200の取外作業において、手首をひねりながら不自然な体勢で、解除機構110を指で摘まむ必要がある。そのため、フードの内部に下側からアクセスできるレンジフートでの取外作業に比べ、レンジフード1での取外作業では、作業者OPにより解除機構110に加えられる力が弱まりやすい。
【0063】
裏部材100は、長手方向の両端側の短手面100bに、スリット140を有している。これにより、凸部130による凹部230の係止解除に必要な、解除機構110を指で摘まむ力が軽減される。また、裏部材100及び操作部200では、凸部130及び凹部230が、操作部200及び裏部材100が嵌合した際、後述の解除領域RAに位置するように配置されている。解除領域RAは、解除機構110を指で摘まむことで、凸部130による凹部230の係止が、十分に解除できる領域である。よって、操作部200の取外作業における作業者OPの負担が軽減される。
【0064】
図8(b)は、作業者OPが、嵌合部210が挿入口ISに挿入された操作部200を、フード2の側面2bに押し付けると共に、裏部材100の指掛け部120に指を掛け、裏部材100を奥行方向の前側に移動させる力を加えている状態を示す断面模式図である。裏部材100が、奥行方向の前側に移動することで、裏部材100の上側及び下側の凸部130が、それぞれ嵌合部210の上側及び下側の面に乗り上げる。その後、裏部材100が、さらに奥行方向の前側に移動することで、裏部材100の上側及び下側の凸部130が、それぞれ嵌合部210の上側及び下側の面に設けられた凹部230に、弾性力で嵌りこむ。これにより、操作部200が側面2bにスナップフィットで固定されている状態となる。
【0065】
上述のように、継ぎ目レスフードのフード2を有するレンジフード1では、作業者OPによるフード2の内部の視認が困難な場合がある。そのため、作業者OPが、操作部の取外作業において、裏部材に効率的に力を加えられず、未係止状態が発生する恐れがある。裏部材100は、裏部材100に効率的に力を加えるための、指掛け部120を有している。また、裏部材100は、裏部材100への嵌合部210の嵌め込みに必要な、裏部材100を奥行方向の前側に移動させる力を軽減するための、スリット140を有している。そのため、操作部200の取付作業における作業者OPの負担が軽減される。
【0066】
[解除領域]
図9は、裏部材100の解除領域RAと、凸部130及び凹部230の配置位置の関係を示す説明図である。
図9(a)は、裏部材100の平面図である。
図9(a)における2つの両矢印は、それぞれ裏部材100の長手方向、及び奥行方向を示す。
図9(b)は、裏部材100の正面図である。
図9(b)における2つの両矢印は、それぞれ裏部材100の長手方向、及び短手方向を示す。
図9(c)は、操作部200の平面図である。
図9(c)における2つの両矢印は、それぞれ操作部200の長手方向、及び奥行方向を示す。
【0067】
図9において、LCは、裏部材100及び操作部200の長手方向の中心線を示す。RCは、解除機構110の長手方向の幅の中心線を示す。BWは、裏部材100の長手方向の幅を示す。RWは、解除機構110の幅を示す。RDは、解除機構110の奥行を示す。FWは、指掛け部120の後側端部の幅を示す。FDは、指掛け部120の奥行を示す。RAは、解除領域を示す。RCLは、中心線RCから解除領域RAの外端までの長さを示す。MWは、嵌合部210の長手方向の幅を示す。
【0068】
図9(a)に示されるように、裏部材100では、解除機構110及び指掛け部120は、長手方向において、中心線LCを基準として、線対称となる位置に配置されている。これにより、裏部材100の長手方向に、解除機構110が、バランスよく配置される構成となる。すなわち、裏部材100の長手方向に、解除領域RAが、バランスよく存在する構成となる。これにより、凸部130及び凹部230を、裏部材100及び嵌合部210の長手方向に、バランスよく配置することが可能となる。そのため、操作部200と裏部材100とが嵌合した際、操作部200と裏部材100とを、バランスよくスナップフィットにより固定することが可能となる。その結果、レンジフード1からの操作部200の落下がより抑制される。
【0069】
裏部材100では、指掛け部120は、裏部材100の長手方向の両端に配置されている。解除機構110は、指掛け部120より、中心線LC側に配置されている。操作部200の取付作業の作業性の観点から、指掛け部120の幅FWは10mm以上20mm以下、及び奥行FDは20mm以上30mm以下とすることが好ましい。
【0070】
図9(b)及び
図9(c)に示されるように、嵌合部210の幅MWは、裏部材100の長手方向における、一方の短手面100bから他方の短手面100bまでの長さと、略同じ長さとなるように構成されている。これにより、嵌合部210の裏部材100への嵌め込みにおける、位置決めの精度が向上する。
【0071】
図9(b)に示されるように、裏部材100の凸部130は、解除領域RAに4つ配置されている。解除領域RAに配置されている4つの凸部130は、2つが一組となって、裏部材100の短手方向で対向する位置に配置されている。また、嵌合部210の凹部230は、操作部200及び裏部材100が嵌合した際、凸部130により係止されるよう、凸部130に対応する位置に配置されている。そのため、嵌合部210の凹部230は、操作部200及び裏部材100が嵌合した際の解除領域RAに対応する位置に、4つ配置されている。また、4つの凹部230は、2つが一組となって、操作部200の短手方向で対向する位置に配置されている。すなわち、凸部130及び凹部230は、操作部200及び裏部材100が嵌合した際の解除領域RAに、それぞれ4つ配置されている。
【0072】
上述のように、継ぎ目レスフードのフード2を有するレンジフード1では、作業者OPは、操作部200の取外作業を行う際、手首をひねりながら不自然な体勢で、解除機構110を指で摘まむ必要がある。そのため、作業者OPにより解除機構110に加えられる力が、弱くなる場合がある。そのため、凸部130及び凹部230を、解除領域RA外に配置すると、未解除状態の発生頻度が高まる。裏部材100及び操作部200では、凸部130及び凹部230が、操作部200及び裏部材100が嵌合した際、解除領域RAに位置するように配置されている。よって、未解除状態の発生が抑制され、操作部の取外作業の作業性が向上する。
【0073】
図9(b)に示されるように、裏部材100では、凸部130は、解除領域RAの両端に配置されている。これにより、操作部200及び裏部材100の嵌合による係止位置が、長手方向に分散する。そのため、操作部200と裏部材100とが、バランスよくスナップフィットにより固定される。その結果、レンジフード1からの操作部200の落下がより抑制される。
【0074】
後述の実施例に示されるように、解除領域RAは、最長で幅RWの5倍の長さに設定することができる。すなわち、長さRCLは、幅RWの2.5倍以下まで設定することができる。解除領域RA、幅RW、及び長さRCLの関係は、以下の式(1)及び式(2)で表すことができる。
RA ≦ 5×RW ・・・(1)
RCL ≦ 2.5×RW ・・・(2)
【0075】
裏部材100では、長さRCLが、幅RWの0.8倍に設定されている。後述の実施例に示されるように、長さRCLは、幅RWの0.8倍以下が好ましい。すなわち、解除領域RAは、幅RWの1.6倍以下が好ましい。これにより、未解除状態の発生がより抑制され、操作部の取外作業の作業性がより向上する。好ましい解除領域RAの設定における、解除領域RA、幅RW、及び長さRCLの関係は、以下の式(3)及び式(4)で表すことができる。
RA ≦ 1.6×RW ・・・(3)
RCL ≦ 0.8×RW ・・・(4)
【0076】
裏部材100は、解除領域RAの合計の長さが、幅BWの約50%となるように構成されている。解除領域RAの合計の長さは、幅BWの40%以上であることが好ましい。これにより、幅BWに対し、解除領域RAが十分に確保される。そのため、複数の凸部130及び凹部230を、裏部材100及び嵌合部210の長手方向に、バランスよく配置することが可能となる。その結果、レンジフード1からの操作部200の落下が抑制される。
【0077】
解除機構110の幅RWは、20mm以上40mm以下であることが好ましい。幅RWが、20mm以上であれば、解除機構110の一つ当たりの解除領域RAが、十分に確保できる。そのため、凸部130及び凹部230をバランスよく配置することが可能となり、レンジフード1からの操作部200の落下が抑制される。幅RWが、40mm以下であれば、解除機構110が、作業者OPの指からの力を、効果的に受け止めることができる。そのため、操作部の取外作業の作業性がより向上する。
【0078】
裏部材100の幅BWは、100mm以上400mm以下であることが好ましい。幅RWが、100mm以上であれば、レンジフード1からの操作部200の落下を抑制しつつ、レンジフード1に十分な大きさの操作部200を固定することができる。幅RWが、400mm以下であれば、2つの解除機構110、及び2つの指掛け部120で、操作部200の着脱作業を十分に行うことができる。そのため、操作部200の着脱作業の作業性が向上する。
【0079】
凸部130が配置されている長手面100aから凸部130の頂点までの長さ(以下、単に「凸部高さ」と称する)は、0.5mm以上1mm以下であることが好ましい。凸部高さが、0.5mm以上であれば、凸部130による凹部230の係止強度を担保できる。凸部高さが、1mm以下であれば、操作部の取外作業の作業性が担保できる。凹部230の深さは、凸部高さに応じ、凸部130が凹部230に嵌りこむ深さに適宜設定される。
【0080】
凸部130の長手方向の幅(以下、単に「凸部幅」と称する)は、3mm以上10mm以下であることが好ましい。凸部幅が、3mm以上であれば、凸部130による凹部230の係止強度を担保できる。凸部幅が、10mm以下であれば、解除機構110の歪みによる凸部130への影響を低減できる。凹部230の長手方向の幅は、凸部幅に応じ、凸部130が凹部230に嵌りこむ幅に適宜設定される。
【0081】
[変形例]
本実施形態に係る裏部材100は、2つの解除機構110を有しているが、本発明はこれに限定されない。裏部材100に配置される解除機構110の数は、裏部材100の幅BWに応じ、適宜変更することができる。操作部200の取外作業の作業性の観点から、裏部材100に配置される解除機構110の数は、1つ又は2つが好ましい。
【0082】
本実施形態に係る裏部材100は、2つの指掛け部120を有しているが、本発明はこれに限定されない。裏部材100に配置される指掛け部120の数は、裏部材100の幅BWに応じ、適宜変更することができる。操作部200の取付作業の作業性の観点から、裏部材100に配置される指掛け部120の数は、1つ又は2つが好ましい。
【0083】
本実施形態に係る解除機構110は、一対の同じ形状の摘まみ部110aを有しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、裏部材100の長手方向における、一方の摘まみ部110aの幅と、他方の摘まみ部110aの幅とが、異なるように構成することもできる。この場合、解除機構110の幅RWは、摘まみ部110aの狭い方の幅を基準とすることが好ましい。これにより、操作部200の取外作業の作業性が担保される。
【0084】
本実施形態に係る凸部130及び凹部230は、操作部200及び裏部材100が嵌合した際、解除領域RAの両端に配置されているが、本発明はこれに限定されない。凸部130及び凹部230は、解除領域RAに複数配置されれば良い。レンジフード1からの操作部200の落下抑制の観点から、凸部130及び凹部230は、少なくとも解除領域RAの両端に配置することが好ましい。
【0085】
実施形態に係る凸部130及び凹部230は、2つが一組となって、それぞれ裏部材100及び操作部200の短手方向で対向する位置に配置されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図10に示すように、裏部材100の短手方向において、一方の凸部130と他方の凸部130とを、対向しない位置に配置することもできる。この場合、凹部230も、凸部130に対応する、嵌合部210の短手方向で対向しない位置に配置される。
【0086】
実施形態に係る凸部130及び凹部230は、操作部200及び裏部材100が嵌合した際、中心線LCに対して、線対称となる位置に配置されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図10に示すように、凸部130を、中心線LCに対して、非対称となる位置に配置することもできる。この場合、凹部230も、中心線LCに対して、非対称となる位置に配置される。
【0087】
本実施形態に係る裏部材100は、長手方向の両端に、スリット140を有する短手面100bが設けられているが、本発明はこれに限定されない。例えば、裏部材100は、短手面100bを設けない構成とすることもできる。嵌合部210の裏部材100への嵌め込みにおける、位置決め精度の観点から、裏部材100は、短手面100bを有することが好ましい。
【実施例0088】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0089】
(実施例1)
裏部材における、解除機構及び凸部の配置位置と、解除領域の関係を確認すべく、
図11に示すプラスチック製の評価用裏部材を作成した。
図11における2つの両矢印は、それぞれ評価用裏部材の長手方向及び短手方向を示す。
【0090】
評価用裏部材は、R1~R5で示される位置に、解除機構を有している。位置R1~R5は、それぞれに対応する解除機構の長手方向の幅の中心線の位置である。また、C1~C11で示される位置に、一対の凸部を有している。位置C1~C11は、それぞれに対応する凸部の長手方向の幅の中心線の位置である。
【0091】
図11に示される、幅BWは231mm、隣接する解除機構の間隔RSは40mm、隣接する凸部の間隔CSは20mmである。評価用裏部材の解除機構は、幅25mm、奥行30mmである。なお、凸部高さは0.6mm、凸部幅は5mmである。
【0092】
位置R1~R5に配置されている解除機構それぞれの一対の摘まみ部に、万力で圧力を付加して固定することで、指で摘ままれた解除機構の状態を再現した。万力による固定前及び固定後において、位置C1~C11の短手方向における、一方の凸部が配置されている面から、他方の凸部が配置されている面までの間隔を測定し、その変化量を算出した。固定前及び固定後の位置C1~C11における、間隔の測定結果及び変化量の算出結果を表1に示す。
【0093】
【0094】
表1から、位置R1~R5に配置されている解除機構のいずれに圧力を付加した場合も、圧力を付加した解除機構から3つ目の凸部の位置までの変化量は、1.2mm以上であることが分かる。すなわち、解除機構から60mm以内の領域では、解除機構を指で摘まむことにより、一方の凸部から、他方の凸部までの間隔を1.2mm以上確保できることが明らかとなった。このことから、解除機構の幅の中心線から、解除機構の幅の2.5倍以下の長さまでの領域が、解除領域として設定できることが示唆された。
【0095】
また、表1から、圧力を付加した解除機構の隣の凸部の位置までの変化量は、2.4mm以上であることが分かる。すなわち、解除機構から20mm以内の領域では、解除機構を指で摘まむことにより、一方の凸部から、他方の凸部までの間隔を2.4mm以上確保できることが明らかとなった。このことから、解除機構の幅の中心線から、解除機構の幅の0.8倍以下の長さまでの領域を、解除領域として設定することで、操作部の取外作業の作業性がより向上することが示唆された。
【0096】
(実施例2)
図12に示すプラスチック製の量産用裏部材を作成した。
図12における2つの両矢印は、それぞれ量産用裏部材の長手方向及び短手方向を示す。
【0097】
量産用裏部材は、R6及びR7で示される位置に、解除機構を有している。また、C12~C15で示される位置に、一対の凸部を有している。M1~M3は、長手方向における、C13とC14との間隔を4等分した際の位置を示す。
【0098】
図12に示される、幅BWは187mm、間隔RSは120mm、間隔CSは40mm、長さRCLは20mm、長さMLは20mmである。量産用裏部材の解除機構の幅及び奥行、並びに、凸部高さ及び凸部幅は、評価用裏部材と同様とした。
【0099】
実施例1と同様の手法で、位置C12~C15、及び位置M1~M3における、間隔の測定、及び変化量の算出を行った。固定前及び固定後の、間隔の測定結果及び変化量の算出結果を表2に示す。
【0100】
【0101】
表2から、位置R6、及び位置R7に配置されている解除機構のいずれに圧力を付加した場合も、位置M2までの変化量は、1.2mm以上であることが分かる。また、解除機構から20mm以内の領域では、解除機構を指で摘まむことにより、一方の凸部から、他方の凸部までの間隔を略2.4mm以上確保できることが分かる。このことから、解除機構の幅の中心線から、解除機構の幅の2.5倍以下の長さまでの領域が、解除領域として設定でき、且つ解除機構の幅の0.8倍以下の長さまでの領域を、解除領域として設定することで、操作部の取外作業の作業性がより向上することが示唆された。
【0102】
[補記]
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的ではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及びその範囲内でのすべての変更が含まれる。