(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024511
(43)【公開日】2025-02-20
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/12 20060101AFI20250213BHJP
D06F 37/26 20060101ALI20250213BHJP
【FI】
D06F39/12 A
D06F37/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128678
(22)【出願日】2023-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167438
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100166800
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 裕治
(72)【発明者】
【氏名】山本 憲太郎
(72)【発明者】
【氏名】大我 穣
【テーマコード(参考)】
3B165
【Fターム(参考)】
3B165AA05
3B165AE01
3B165AE02
3B165BA82
3B165BA85
3B165CA01
3B165CA02
3B165CA03
3B165CA04
3B165CA05
3B165CA08
3B165CA11
3B165CA21
3B165CB01
3B165CB31
3B165CD02
3B165CD15
3B165DW03
3B165DW05
3B165FA02
3B165GA02
3B165GH02
(57)【要約】
【課題】筐体と水槽との隙間を適切に確保しつつ筐体の剛性を高めることが可能な洗濯機を提供することである。
【解決手段】洗濯機Xは、左右の側板103を有する筐体10と、開口部が前側を向いた状態で筐体内に配される水槽と、水槽内に回転可能に配された洗濯槽とを備え、側板103は、基準面103aに対して水槽に近づく方向に凹む凹部131aを含む絞り領域131と、基準面103aを有する基準領域133とを有し、絞り領域131において、凹部131aの範囲において、凹部131aよりも水槽から離れる方向に突出する凸部131bを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の側板を有する筐体と、
開口部が前側を向いた状態で前記筐体内に配される水槽と、
前記水槽内に回転可能に配された洗濯槽と
を備え、
前記側板は、基準面に対して前記水槽に近づく方向に凹む凹部を含む絞り領域と、前記基準面を有する基準領域とを有し、
前記絞り領域において、前記凹部の範囲において、前記凹部よりも前記水槽から離れる方向に突出する凸部を有する、
洗濯機。
【請求項2】
前記凸部は、前記側板の前後方向における中央に存在する、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記洗濯槽は、前後の2つの槽部材から構成され、
前記2つの槽部材の結合位置は、前記凸部と対向する、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記凸部は、間隔を空けて複数形成されている、
請求項1~3の何れか1項に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記凸部は、前記基準面と面一となるよう突出しているか、前記基準面より低く突出している、
請求項1~3の何れか1項に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記凹部は、上下方向に複数あり、前記側板において、前記洗濯槽の上端及び下端と比べて、中央に近い側に存在する、
請求項1~3の何れか1項記載の洗濯機。
【請求項7】
前記絞り領域は、前記洗濯槽の回転軸線に沿って延びている、
請求項1~3の何れか1項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体内の水槽に洗濯槽を備える洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
筐体内に配された水槽と、水槽内に回転可能に設けられた洗濯槽とを備えたドラム式の洗濯機において、筐体の剛性を高めるために側板に凹凸形状を設けた構造が従来知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の洗濯機では、側板の凹凸の形状によって、水槽と側板との距離の大小が生じるが、水槽と側板との距離を小さくしすぎると、例えば脱水時の洗濯物のアンバランスに起因する洗濯槽の揺れにより、水槽が側板に当たり易くなってしまうといった懸念がある。
本発明は、筐体と水槽との隙間を適切に確保しつつ筐体の剛性を高めることが可能な洗濯機を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る洗濯機は、左右の側板を有する筐体と、開口部が前側を向いた状態で前記筐体内に配される水槽と、前記水槽内に回転可能に配された洗濯槽とを備え、前記側板は、基準面に対して前記水槽に近づく方向に凹む凹部を含む絞り領域と、前記基準面を有する基準領域とを有し、前記絞り領域において、前記凹部の範囲において、前記凹部よりも前記水槽から離れる方向に突出する凸部を有する。
【発明の効果】
【0006】
上記構成によれば、筐体と水槽との隙間を適切に確保しつつ筐体の剛性を高めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】(a)は前後方向と直交する断面を前側から見た図であり、(b)は(a)の一部を拡大した図である。
【
図3】(a)は側板の前側を除去した状態を前側上方から見た拡大図であり、(b)は洗濯槽と水槽の上側を除去した状態を左側上方から見た拡大図である。
【
図4】筐体等を取り外した状態を前側上方から見た図である。
【
図5】筐体等を取り外した状態であり、(a)は前側から見た図であり、(b)は右側から見た図である。
【
図6】(a)は台座を右側上方から見た図であり、(b)は台座を左側下方から見た図であり、(c)は脚の取り付け部分の拡大図である。
【
図7】(a)は前側の防振部材の位置を説明する図であって水槽及び洗濯槽の断面を右側から見た図であり、(b)は後側の防振部材の位置を説明する図であって水槽及び洗濯槽の断面を右側から見た図である。
【0008】
<実施形態>
【0009】
1.概要
実施形態に係る洗濯機Xの概略構造について、
図1及び
図2を用いて説明する。
洗濯機Xは、筐体10内に配された水槽11と、水槽11内に回転可能に設けられ洗濯槽12とを少なくとも備える。洗濯機Xは、洗濯槽12の中心軸(回転軸)が水平方向に配された、所謂、ドラム式(横型)である。なお、
図2の(b)では、洗濯槽12の周面の脱水孔の図示を省略している。
ここで、洗濯槽12の中心軸(回転軸)が延伸する方向を前後方向とし、洗濯物の出し入れ用のドア15が存在する側を前側とし、上下方向と前後方向とに直交する方向を左右方向とする。なお、右・左はドア15と対向する状態で洗濯機Xを見た状態を基準とする。
【0010】
洗濯機Xは、具体的には、筐体10と、洗濯水等を貯留するための水槽11と、水槽11の内部に設けられ且つ衣類等の洗濯物を収容する洗濯槽12と、水槽11を下方から支持する台座26と、水槽11を上方から支持するフレーム14と、水槽11の開口部を開閉するドア15と、洗濯槽12を回転させるモータ(駆動手段)16(
図5の(b)参照)と、水槽11へ給水するための給水ユニット17Aと、洗濯運転や乾燥運転の操作等を行うための操作ユニット13と、洗濯運転や乾燥運転等を行う制御ユニットと、水槽11の排水を行うための排水ユニット17B(
図4参照)と、洗濯槽12に洗濯処理剤を投入する処理剤手動投入ユニット21及び処理剤自動投入ユニット22とを備える。
以下、各部について説明する。
【0011】
2.筐体
筐体10は、直方体や立方体のような箱状をし、前板101、後板102、右板103A、左板103B(図示省略)、上板105を備える。なお、右板103A及び左板103Bを区別する必要がない場合、単に、側板103として表す。
前板101は開口部を有し、当該開口部を塞ぐようにドア15が設けられている。
側板103は、基準面103aに対して水槽11に近づく方向に凹む凹部131aを含む絞り領域131と、基準面103aを有する基準領域133とを有する。
【0012】
(1)絞り領域
絞り領域131は、ここでは、洗濯槽12の回転軸(の延伸方向(前後方向))に沿って延伸している。なお、「回転軸に沿って延伸する」には、回転軸と平行に延伸する場合、回転軸に対して45°以下の角度で傾斜する状態で延伸する場合を含む。
絞り領域131の延伸方向の長さは、側板103における絞り領域131の延伸方向の寸法の50~90%の範囲内である。絞り領域131は回転軸と直交する方向に間隔を置いて複数設けられている。これらにより、側板103を補強できる。
絞り領域131は、凹部131aの範囲において、凹部131aよりも水槽11から離れる方向(左右方向の外方)に突出する凸部131bを1個又は複数個含む。ここでは、凹部131a(絞り領域131)の長手方向の中央領域に1個の凸部131bが形成されている。
【0013】
凸部131bは、絞り領域131又は凹部131aの前後方向の中央領域に位置する。凸部131bが複数個ある場合、少なくとも1つが前後方向の中央領域に位置する。ここでの中央領域は、
図3に示すように、水槽11の前槽部材111と後槽部材112とを結合する結合部分113の位置を含む範囲である。換言すると、凸部131bは、水槽11の結合部分113と対向する領域に設けられている。なお、凸部131bの位置(範囲)は、絞り領域131又は凹部131aの前後方向の中央領域に限定されるものではなく、結合部分113と対向していれば良い。なお、水槽11の前後それぞれを構成する2つの槽のフランジ(張出部)を合わせて結合するため結合部分113は外方に突出している。
凸部131bは、基準面103aと面一となるように突出してもよい(この場合、凸部131bの基準面103aからの凹入量は「0」となる)し、基準面103aよりも低く(水槽11側である)突出してもよい。凸部131bは、基準面103aよりも水槽11側と反対側に突出してもよいが、筐体10の左右方向の寸法を考慮すると、基準面103aと面一又は基準面103aよりも低いことが好ましい。
凸部131bは、側板103において、水槽11の上端及び下端と比べて、上下方向の中央に近い側に存在している。これは、水槽11の上端及び下端と比べて、中央に近い側において、水槽11の外形(結合部分)が外方に突出しているからである。
側板103において、洗濯槽12の回転軸を通り且つ左右方向に延伸する仮想線と交差する部位には、基準領域133が位置している。これにより、洗濯槽12が振動した場合でも、水槽11が側板103に接触し難くできる。
【0014】
3.水槽
水槽11は、
図3及び
図4に示すように、前槽部材111と後槽部材112とから構成されている。前槽部材111の張出部111aと後槽部材112の張出部112aとが前後方向に突き合わせた状態で結合されている。なお、結合には、ねじ、リベット等の固定具、接着剤、水槽11が金属材料の場合は溶接、水槽11が樹脂材料の場合は溶着等を利用できる。
前槽部材111と後槽部材112との結合部分113は、前後の張出部111a,112aにより構成され、凸部113bの範囲内で対向しており、例えば水槽11の前後方向の中間領域にある。なお、中間領域は、水槽11の前端から水槽11の全長の30%移った第1位置から、前端から全長の70%移った第2位置までの領域である。
張出部111a,112aは、径方向の外方へ張り出している。このため、結合部分113を前後方向から見ると、結合部分113の周縁が円形状又は円形状に似た形状をしている。張出部111a,112aは、左右両側部分で欠けており、前後方向から見たときに、左右両端面113aが上下方向に平行となっている。これにより、水槽11の結合部分113の左右方向の寸法を小さくできる。なお、結合部分113の左右両端面と側板103の基準領域133との距離は、12~15mmの範囲内である。結合部分113の左右両端面と側板103の凸部131bとの距離は、7~15mmの範囲内である。これにより、側板103と水槽11との接触を防止でき且つ筐体10が左右方向に大型化するのを規制できる。
【0015】
水槽11は、
図4に示すように、複数本の防振部材18,19により支持されている。また、水槽11は、複数本の弾性支持部材20により支持されている。防振部材18,19は、例えば、ダンパにより構成され、4本ある。弾性支持部材20は、例えばコイルスプリングにより構成され、2本ある。防振部材18,19の第2端部18b,19bそれぞれは、水槽11の被支持部(114)に回転可能に接続される。具体的には、水槽11の被支持部を構成する1対の対向壁部114の貫通孔と、第2端部(18b,19b)の挿通孔とを挿通するピンにより回転可能に固定される。弾性支持部材20の第1端部が、水槽11のリブ壁部115の貫通孔に係合する。
水槽11は、重量バランサ23を外周面に備える。重量バランサ23は、結合部分113よりも前側であって左右両側に設けられている。ここでは、左右両側の上下に設けられ、合計で4個ある。重量バランサ23により水槽11の振動を抑制できる。
【0016】
4.洗濯槽
洗濯槽12は、内周面に脱水孔やリフタ等を備える。ここでの洗濯槽12は、回転バランサ123を内部に備える。ここでは、回転バランサ123は、円環状容器内に液体が封入された液体バランサであり、前端部に設けられている。
【0017】
5.台座
台座26は、筐体10の下側に配されている。台座26は、
図6の(a)、(b)に示すように、防振部材18,19を支持する上面部を含む枠状の本体部261と、本体部261に設けられ、設置面と接触する脚25とを備え、本体部261は、脚25の直上に位置する隙間265であって、上面部と脚25の間に隙間265が形成されるよう切り欠き形状を有する。これにより、隙間265が無い構成と比べると、防振部材18,19から脚25へ振動が伝わる長さが長くなるため振動が減衰し易くなる。また、異なる表現をすれば、本体部261の上部から左右方向又は前後方向に張り出す第1張出部262と、本体部261の角部から第1張出部262と間隔を置いて張り出す第2張出部263とを有し、第2張出部263に脚25が設けられている。つまり、脚25は、台座26の左右の両側であって前後に互いに離間して4個設けられている。これにより、洗濯機Xを安定した状態で設置面に設置できる。
本体部261は、上方から見ると矩形状、方形状又はこれらに似た形状の枠状をしている。これにより、台座26を軽量化できる。本体部261は、
図6の(a)に示すように、上方から開口する中空状で、左右又は前後に延伸するリブにより補強されている。これにより、さらに軽量化が図られる。
【0018】
第1張出部262(上面部)には、防振部材18,19の第1端部18a,19aが取付部材24を介して取り付けられる。取付部材24は、防振部材18,19を前後方向の回転軸回りに回転可能に取り付ける。これにより、回転により振動する洗濯槽12を収容する水槽11を支持できる。取付部材24は、
図4の(c)に示すように、一対のL字部材241により構成され、一方の辺部243が第1張出部262に固定され、他方の辺部245に防振部材18,19の第1端部18a,19aの貫通孔を挿通するピン用の貫通孔245aを有する。なお、第1端部18a,19a又は取付部材24は、上下方向において脚25の投影領域又は隙間265と少なくとも一部が重なっていることが好ましい。異なる表現をすれば、第1端部18a,19a又は取付部材24の直下に隙間265又は脚25が存在していることが好ましい。なお、脚25は、上下方向で見た場合に、第1端部18a,19a又は取付部材24とは重ならない形態があってもよい。
【0019】
第2張出部263は、ここでは、本体部261の前端部と後端部から左右方向に張り出す。第2張出部263は、第1張出部262の下方に位置するが、第1張出部262と上下方向に隙間265(
図6の(c)では、本体部261と区別するための、符号の引き出し線を矢印としている)を有している。このため、洗濯槽12(防振部材18,19)の振動が、第1張出部262、本体部261、第2張出部263及び脚25に伝わる。つまり、隙間265が無い構成と比べると、防振部材18,19から脚25へ振動が伝わる長さが長くなるため振動が減衰し易くなる。したがって、洗濯槽12(防振部材18,19)の振動が、第1張出部262、本体部261、第2張出部263を伝わる間に減衰され、脚25から設置面に伝わる振動を小さくできる。
また、第2張出部263は、本体部261における左右両側に位置し且つ前後方向に延伸する部分261a(
図6の(c)参照)との間に隙間266(
図6の(c)では、本体部261と区別するための、符号の引き出し線を矢印としている)を有している。
脚25は、高さ調整可能とするねじ部を有し、当該ねじ部が第2張出部263のねじ孔に螺合する。
【0020】
脚25が設けられる領域は、上方から見たときに、防振部材18,19の第1端部18a,19aの取り付け位置と重なる。つまり、第1張出部262における防振部材18,19が取り付けられる部分の下方に、脚25が配置されている。これにより、水槽11や洗濯槽12の荷重が脚25に作用し易い構造にできる。
【0021】
6.防振部材
4本の防振部材18,19は、水槽11の前後方向の中央を挟んで前後に設けられている。これにより、水槽11をバランスよく支持できる。なお、防振部材18,19は、振動を吸収するため、振動吸収部材や減衰部材としてもよい。
前側に位置する防振部材18は、
図7の(a)に示すように、水槽11の前側において洗濯槽12の回転軸に垂直な第1仮想面P1内に中心軸が存在する。後側に位置する防振部材19は、
図7の(b)に示すように、水槽11の後側において洗濯槽12の回転軸に垂直な第2仮想面P2内に中心軸が存在する。なお、第1仮想面P1と第2仮想面P2とは、前後方向と直交する仮想面であってもよい。これにより、防振部材18にねじり負荷等が作用するのを防止できる。
4本の防振部材18,19は、
図5の(b)に示すように、前後方向又は回転軸線Oの延伸方向において水槽11の前端(仮想線L3)と後端(仮想線L5)との間に位置し、
図5の(a)に示すように、左右方向において水槽の左右端と略一致するように位置している。なお、略一致するとは、左右端と防振部材18,19の第1端部18a,19a(回転可能に指示された回転軸)との左右方向の距離が、-20~20mmの範囲内にあることをいう。
【0022】
防振部材18,19は、棒状をし、その第1端部18a,19aが台座26により支持され、第2端部18b,19bが水槽11により支持されている。なお、換言すると、第1端部18a,19aは下端部であり、第2端部18b,19bは上端部である。
4本の防振部材18,19は、
図4に示すように、左右両側であって前後方向に間隔をおいて配されている。これにより、水槽11を左右方向と前後方向にバランスよく支持できる。
防振部材18,19は、
図5の(a)に示すように、第1端部18a,19aが左右方向の一方側(外方側)で台座26に支持され、第2端部18b,19bが左右方向の他方側(中央側)で水槽11に支持される。つまり、防振部材18,19は棒状をし、その中心軸L1,L2が、上方に移るにしたがって左右方向の中央(回転軸線Oを通り且つ上下方向に延伸する仮想線L9)に近づくように傾斜している。また、仮想線L9と防振部材18,19の中心軸L1,L2との間の角度Aは、20~50度の範囲内、好ましくは25~45度の範囲内である。この範囲とすることで、左右方向と上下方向の寸法が大きくなるのを抑制できる。
第1端部18a,19aと第2端部18b,19bとを結ぶ仮想線(ここでは、中心軸と一致する)L1は、洗濯槽12に第1負荷が作用した状態において、洗濯槽12の回転軸線Oと交差するように、防振部材18,19が設けられている。つまり、前側から見たときに、
図5の(a)に示すように、中心軸L1,L2の延長線上に洗濯槽12の回転軸線Oが位置するように、構成されている。
ここでの第1負荷は、洗濯槽12に洗濯容量(カタログ上の定格容量)の75~85%の洗濯物が収容された状態であって、脱水工程が完了した状態で作用する負荷以上、脱水工程前における排水を完了した状態で作用する負荷以下の範囲内にある。これにより、洗濯工程及び脱水工程で洗濯槽12の振動を吸収できる。なお、第1負荷は、上記負荷の範囲に限らず、脱水工程が完了した状態で作用する負荷としてもよいし、脱水工程前における排水を完了した状態で作用する負荷としてもよいし、脱水工程が完了した状態での負荷と脱水工程前の排水が完了した状態での負荷との平均の負荷としてもよいし、脱水工程が完了した状態での負荷と平均の負荷との範囲としてもよいし、脱水工程前の排水が完了した状態での負荷と平均の負荷との範囲としてもよい。
脱水工程を完了した状態で作用する負荷は、脱水工程を完了した際の洗濯物の重量W1に重力が作用した負荷であり、脱水工程前における排水が完了した状態の負荷は、脱水工程前の排水が完了した際の洗濯物の重量W2に重力が作用した負荷である。
脱水工程完了後の洗濯物の重量W1は、以下により算出できる。
W1=定格容量×洗濯物の収容率×[(1/脱水率)-1]
脱水工程前における排水完了後の洗濯物の重量W2は、以下により算出できる。
W2=定格容量×洗濯物の収容率×K
上記式の「収容率」は、ここでは、75~85%であり、「K」は、2~3である。脱水率は、56~75%である。定格容量は、例えば、7~12kgである。
4本の防振部材18,19は、
図5の(a)に示すように、回転軸線Oを通り且つ上下方向に延伸する仮想線L9に対して左右対称に設けられている。これにより、左右方向にバランスよく水槽11を支持できる。
【0023】
前側の防振部材18の中心軸L1は、
図7の(a)に示すように、水槽11の外側の前面(仮想線L3)から、回転バランサ123の後面から後側に10~20mm移った位置(仮想線L4)までの範囲に位置する。好ましくは、回転バランサ123を設けない場合には、洗濯槽12の前面から、洗濯槽12の前面から後側に10~20mm移った位置までの範囲に位置するのが良く、回転バランサ123を設ける場合には、回転バランサ123の後面から仮想線L4までの範囲に位置するのが良い。これは、洗濯物が洗濯槽12の前側に偏った場合に、偏った洗濯物の重心が上記範囲に来ることを想定している。
後側の防振部材19の中心軸L2は、水槽11の外側の後面(仮想線L5)から、洗濯槽12の内側の後面から前側に10~20mm移った位置(仮想線L6)までの範囲に位置する。好ましくは、洗濯槽12の内側の後面から仮想線L6までの範囲に位置するのが良い。また、回転バランサ123を洗濯槽12の後端に設ける場合には、回転バランサ123の後面から、洗濯槽12の後面から前側に10~20mm移った位置までの範囲に位置するのが良い。これは、洗濯物が洗濯槽12の後側に偏った場合に、偏った洗濯物の重心が上記範囲に来ることを想定している。これらにより、洗濯槽12の回転による振動を吸収でき、振動抑制性能を高めることができる。
【0024】
4本の防振部材18,19は、上方から見ると、方形状、矩形状又はこれらに似た4角形状の角又はその近傍位置に、第1端部18a,19aが位置するように設けられている。ここでの方形状又は矩形状は、一方の一対の辺が前後方向と平行であり、他方の一対の辺が左右方向と平行である四角形である。より具体的には、上方から見たときに、略方形枠状の台座26の角部分に、第1端部18a,19aが固定されている。
【0025】
4本の防振部材18,19は、4個の脚25に対して特定の位置関係で設けられている。つまり、上方から見たときに、前側に位置する2本の防振部材18の第1端部18aの取り付け位置は、前側に位置する2個の脚25の中心軸L7よりも後側に位置する。一方、後側に位置する2本の防振部材19の第1端部19aの取り付け位置は、後側に位置する2個の脚25の中心軸L8よりも前側に位置する。これにより、防振部材19から伝わった振動が脚25を伝わって前後方向に分散される。
【0026】
7.脚
4個の脚25は、上方から見ると、方形状、矩形状又はこれらに似た4角形状の角又はその近傍に位置するように設けられている。ここでの方形状又は矩形状は、一方の一対の辺が前後方向と平行であり、他方の一対の辺が左右方向と平行である四角形である。換言すると、4個の脚25の配置と、4本の防振部材18,19の配置とは、合同又は相似の形状の四角形の角位置に配されている。
前側の脚25の中心軸L7と水槽11の外側の前面(仮想線L3)との距離D1は、10~80mmの範囲内である。後側の脚25の中心軸L8と水槽11の外側の後面(仮想線L5)との距離D2は、10~80mmの範囲内である。
【0027】
8.弾性支持部材
弾性支持部材20は、水槽11に対して左右両側であって前後方向の中間領域に設けられている。換言すると、左右方向から見る(
図5の(b)である)と、弾性支持部材20は、前後の防振部材18,19の間に位置している。これにより、弾性支持部材20の本数を2本とすることができ、弾性支持部材20の本数を少なくできる。
弾性支持部材20を構成するコイルスプリングの第1端部(下端部)が水槽11のリブ壁部115の貫通孔に係合し、第2端部が筐体10側、ここでは、前後方向に延伸するフレーム14の貫通孔14aに係合する。
【0028】
<変形例>
実施形態を説明したが、これらの実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例であってもよい。また、実施形態と変形例、変形例同士を組み合わせたものであってもよい。
また、実施形態や変形例に記載していない例や、要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。
【0029】
1.洗濯槽
洗濯槽12の中心軸は水平に限定されるものではなく、前側から後側に下がるよう傾斜していてもよい。また、洗濯槽12の回転軸の延伸方向に関連しない場合は、洗濯の中心軸は垂直(縦方向)であってもよい。
2.台座
(1)台座26は、四角枠状をしていたが、中央に凹部を有する四角柱状、中央に凹部や貫通孔を有しない四角柱状をしてもよい。
四角枠状の台座の側面は、上下方向と直交する断面において、直線状に延伸してもよいし、外側に膨出する又は没入する直線状若しくは曲線状に延伸してもよい。
(2)第1張出部262は、左右方向又は前後方向の外方側に張り出しているが、内方側に張り出してもよい。
(3)第2張出部263は、左右方向に張り出しているが、前後方向に張り出してもよいし、左右方向又は前後方向に交差する斜め方向に張り出してもよい。
(4)防振部材18,19の第1端部18a,19aは、取付部材24を利用して取り付けられているが、第1端部18a,19aの貫通孔を挿通するピン用の貫通孔を有する一対の対向壁部を台座26の第1張出部262に一体で有してもよい。
【0030】
3.絞り領域
(1)凸部131bの両側の凹部131aは、基準面103aから同じ凹入量であってもよいし、異なる凹入量であってもよい。
(2)複数の絞り領域131のそれぞれの凹部131aは、基準面103aからの凹入量が他の凹部131aと同じであってもよいし、異なってもよい。
(3)凸部131bが形成されている複数の絞り領域131のそれぞれの凸部131bは、基準面103aからの凹入量が同じであってもよいし、異なってもよい。
(4)凸部131bは、1つの絞り領域131に複数個ある場合、すべての凸部131bの突出量は同じであってもよいし、異なってもよいし、段差状に突出するようにしてもよい。
(5)1つの絞り領域に、2個の凹部131aを有してもよいし、1個又は3個以上の凹部131aを有してもよい。
【0031】
4.防振部材
(1)防振部材18,19は、前後に2本ずつ設けられていたが、さらに水槽11の前後方向の中間を支持するようにしてもよい。この場合、防振部材の本数は、合計で6本となる。
(2)防振部材18,19は、前後に2本ずつ設けられていたが、左右のうち一方は2本で、他方は1本であってもよい。また、この場合において、その他方に存在する1本の防振部材は、前後方向の前側であってもよいし、後側であってもよいし、前端及び後端とくらべて中央側に位置していてもよい。
【0032】
上記実施形態及び変形例には、以下の発明が含まれている。
<発明1>
1.先行技術
特開2010-63893号公報には、筐体内に配された水槽と、水槽内に回転可能に設けられた洗濯槽とを備えたドラム式の洗濯機において、筐体の剛性を高めるために側板に凹凸形状を設けた構造が開示されている。
上記の洗濯機では、側板の凹凸の形状によって、水槽と側板との距離の大小が生じるが、水槽と側板との距離を小さくしすぎると、例えば脱水時の洗濯物のアンバランスに起因する洗濯槽の揺れにより、水槽が側板に当たり易くなってしまうといった懸念がある。
本発明1は、筐体と水槽との隙間を適切に確保しつつ筐体の剛性を高めることが可能な洗濯機を実現することである。
【0033】
2.発明1に係る洗濯機
(1)第1の洗濯機
第1の洗濯機は、左右の側板を有する筐体と、開口部が前側を向いた状態で前記筐体内に配される水槽と、前記水槽内に回転可能に配された洗濯槽とを備え、前記側板は、基準面に対して前記水槽に近づく方向に凹む凹部を含む絞り領域と、前記基準面を有する基準領域とを有し、前記絞り領域において、前記凹部の範囲において、前記凹部よりも前記水槽から離れる方向に突出する凸部を有する。
これにより、筐体と水槽との隙間を適切に確保しつつ筐体の剛性を高めることが可能である。
なお、洗濯槽は、前後の2個の部材から構成されてもよいし、3個以上の部材から構成されてもよいし、上下(左右)の2個の部材から構成されてもよい。
【0034】
(2)第2の洗濯機
第2の洗濯機は、第1の洗濯機において、前記凸部は、前記側板の前後方向における中央に存在する。
これにより、水槽が前後2つの部材が水槽の回転軸の延伸する方向の中間で結合している場合であっても、筐体と水槽との隙間を適切に確保できる。
【0035】
(3)第3の洗濯機
第3の洗濯機は、第1又は第2の洗濯機において、前記洗濯槽は、前後の2つの槽部材から構成され、前記2つの槽部材の結合位置は、前記凸部と対向する。
これにより、水槽の結合部分と筐体との隙間を適切に確保できる。
【0036】
(4)第4の洗濯機
第4の洗濯機は、第1~第3の洗濯機において、前記凸部は、間隔を空けて複数形成されている。
これにより、側板を効果的に補強できる。
【0037】
(5)第5の洗濯機
第5の洗濯機は、第1~第4の洗濯機において、前記凸部は、前記基準面と面一となるよう突出しているか、前記基準面より低く突出している。
これにより、洗濯機の左右方向の寸法が大きくなるのを抑制できる。
【0038】
(6)第6の洗濯機
第6の洗濯機は、第1~第5の洗濯機において、前記凹部は、上下方向に複数あり、前記側板において、前記洗濯槽の上端及び下端と比べて、中央に近い側に存在する。
これにより、上側及び下側よりも中央に近い側の方が、水槽が筐体に接近しているため、筐体と水槽との隙間を適切に確保できる。
【0039】
(7)第7の洗濯機
第7の洗濯機は、第1~第6の洗濯機において、前記絞り領域は、前記洗濯槽の回転軸線に沿って延びている。
これにより、凸部を回転軸線に沿って広い範囲に設けることができ、筐体との隙間を適切に確保できる。
【0040】
<発明2>
1.先行技術
特開2010-170678号公報には、振動を抑制した洗濯機として、回転ドラムと、回転ドラムを回転可能に設けた水槽と、ダンパーとを備えた洗濯機が開示されている。
上記の洗濯機では、振動を抑制されているが、振動抑制をさらに向上させたいとの要望がある。
本発明2は、振動抑制を向上させたドラム式洗濯機を実現することである。
【0041】
2.発明2に係るドラム式洗濯機
(1)第1のドラム式洗濯機
第1のドラム式洗濯機は、
開口部が前側を向いた状態で筐体内に配される水槽と、
前記水槽内に回転可能に設けられる洗濯槽と、
前記水槽の振動を減衰させる複数の防振部材と、
前記防振部材を支持する台座と、
を備え、
複数の防振部材は、前記水槽の前後方向の中央を挟んで前後に設けられる。
これにより、水槽の振動を前後で吸収でき、振動抑制効果を高めることができる。
防振部材の本数は、前後と異なってもよいし、同じであってもよい。例えば、前側が1本で、後側が2本であってもよい(前後の本数が逆であってもよい)し、前側が2本で後側も2本であってもよい。
なお、ここでは、複数の防振部材は、水槽の左右方向の中央を挟んで左右に設けられるとしてもよい。この場合も、水槽の振動を左右で吸収でき、振動抑制効果を高めることができる。
【0042】
(2)第2のドラム式洗濯機
第2のドラム式洗濯機は、第1のドラム式洗濯機において、
前側の防振部材は、前記水槽の前側において前記洗濯槽の回転軸に垂直な第1仮想面内に存在する。
これにより、重力方向と反対側から水槽を支持できる
ここでの「回転軸に垂直な第1仮想面」には、回転軸に対して直交する仮想面と、直交する仮想面に対して、-15~15度の角度で傾斜する仮想面とが含まれる。
【0043】
(3)第3のドラム式洗濯機
第3のドラム式洗濯機は、第1のドラム式洗濯機(又は第1、第2のドラム式洗濯機)において、
後側の防振部材は、前記水槽の後側において前記洗濯槽の回転軸に垂直な第2仮想面内に存在する。
これにより、重力方向と反対側から水槽を支持できる
ここでの「回転軸に垂直な第2仮想面」には、回転軸に対して直交する仮想面と、直交する仮想面に対して、-15~15度の角度で傾斜する仮想面とが含まれる。
【0044】
(4)第4のドラム式洗濯機
第4のドラム式洗濯機は、第2のドラム式洗濯機(又は第1~第3のドラム式洗濯機)において、
前記前側の防振部材は、前記筐体の左右方向の一方側に位置する第1端部が前記台座に支持され、
前記前側の防振部材は、前記第1端部よりも前記左右方向の他方側に位置する第2端部が前記水槽を支持し、
前記第2端部は、前記左右方向において、前記第1端部と比べて前記洗濯槽の回転軸線に近い位置で前記水槽を支持する。
これにより、前側の防振部材は、その中心軸が回転軸側に向く状態で配される。これにより、回転軸を中心とした振動をその周り(径方向)から吸収でき、振動抑制効果を高めることができる。
【0045】
(5)第5のドラム式洗濯機
第5のドラム式洗濯機は、第3のドラム式洗濯機(又は第1~第4のドラム式洗濯機)において、
前記後側の防振部材は、前記筐体の左右方向の一方側に位置する第1端部が前記台座に支持され、
前記後側の防振部材は、前記第1端部よりも前記左右方向の他方側に位置する第2端部が前記水槽を支持し、
前記後側の防振部材の前記第2端部は、前記左右方向において、前記後側の防振部材の前記第1端部と比べて前記洗濯槽の回転軸線に近い位置で前記水槽を支持する。
これにより、後側の防振部材は、その中心軸が回転軸側に向く状態で配される。これにより、回転軸を中心とした振動をその周り(径方向)から吸収でき、振動抑制効果を高めることができる。
【0046】
(6)第6のドラム式洗濯機
第6のドラム式洗濯機は、第4又は第5のドラム式洗濯機(又は第1~第5のドラム式洗濯機)において、
前記第1端部と前記第2端部とを結ぶ仮想線は、前記洗濯槽に第1負荷が作用した状態において、前記洗濯槽の回転軸線と交差し、
前記第1負荷は、前記洗濯槽に洗濯容量の75~85%の衣類が収容された状態であって、脱水工程が完了した状態で作用する負荷以上、脱水工程前の排水を完了した状態で作用する負荷以下の範囲内にある。
これにより、洗濯機の使用状態を想定し、使用状態において、防振部材の中心軸が回転軸と交差するため、回転軸を中心とした振動を径方向から効率的に吸収でき、振動抑制効果を高めることができる。
【0047】
(7)第7のドラム式洗濯機
第7のドラム式洗濯機は、第2又は第4のドラム式洗濯機(又は第1~第6のドラム式洗濯機)において、
前記前側の防振部材の中心軸は、前記水槽の外側の前面から、前記洗濯槽の内側の前面から後側に10~20mm移った位置までの範囲に位置する。
これにより、前側の防振部材が、使用状態の洗濯機の前側に位置することとなり、洗濯機の前側で水槽を支持でき、振動抑制効果を高めることができる。
【0048】
(8)第8のドラム式洗濯機
第8のドラム式洗濯機は、第2又は第4のドラム式洗濯機(又は第1~第7のドラム式洗濯機)において、
前記洗濯槽は、前端部に環状のバランサを備え、
前記前側の防振部材の中心軸は、前記水槽の外側の前面から、前記バランサの後面から後側に10~20mm移った位置までの範囲に位置する。
これにより、前側の防振部材が、使用状態の洗濯機の前側に位置することとなり、洗濯機の前側で水槽を支持でき、振動抑制効果を高めることができる。
【0049】
(9)第9のドラム式洗濯機
第9のドラム式洗濯機は、第3又は第5のドラム式洗濯機(又は第1~第8のドラム式洗濯機)において、
前記後側の防振部材の中心軸は、前記水槽の外側の後面から、前記洗濯槽の内側の後面から前側に10~20mm移った位置までの範囲に位置する。
これにより、後側の防振部材が、使用状態の洗濯機の後側に位置することとなり、洗濯機の後側で水槽を支持でき、振動抑制効果を高めることができる。
【0050】
(10)第10のドラム式洗濯機
第10のドラム式洗濯機は、第1のドラム式洗濯機(又は第1~第9のドラム式洗濯機)において、
前記防振部材は、4本あり、
4本の前記防振部材は、上方から見たときに、方形状又は矩形状の4つの角又はその近傍位置に、前記第1端部が取り付けられている。
これにより、水槽の振動を4方向から吸収できる。防振部材の本数を多くすることなく、効率よく振動抑制効果を高めることができる。
【0051】
(11)第11のドラム式洗濯機
第11のドラム式洗濯機は、第10のドラム式洗濯機(又は第1~第10のドラム式洗濯機)において、
前記方形状又は矩形状は、一方の一対の辺が前後方向と平行であり、他方の一対の辺が左右方向と平行である。
これにより、水槽の振動を前後左右の4方向から効率的に吸収できる。
【0052】
(12)第12のドラム式洗濯機
第12のドラム式洗濯機は、第10のドラム式洗濯機(又は第1~第11のドラム式洗濯機)において、
前記台座には、左右の両側であって前後方向に互いに離間する4個の脚が設けられ、
上方から見たときに、前記防振部材の前記第1端部の取り付け位置が前記脚の領域と重なる。
これにより、洗濯槽の回転により発生した振動をスムーズに脚に伝えることができ、台座の振動を抑制できる。
【0053】
(13)第13のドラム式洗濯機
第13のドラム式洗濯機は、第12のドラム式洗濯機(又は第1~第12のドラム式洗濯機)において、
上方から見たときに、前記後側に位置する2本の前記防振部材の前記第1端部の取り付け位置は、後側に位置する2個の前記脚の中心よりも前側に位置する。
これにより、水槽の重心が後側の脚より前側に位置することとなり、洗濯機を安定した状態で設置できる。
【0054】
(14)第14のドラム式洗濯機
第14のドラム式洗濯機は、第12のドラム式洗濯機(又は第1~第13のドラム式洗濯機)において、
上方から見たときに、前記前側に位置する2本の前記防振部材の前記第1端部の取り付け位置は、前側に位置する2個の前記脚の中心よりも後側に位置する。
これにより、水槽の重心が前側の脚より後側に位置することとなり、洗濯機を安定した状態で設置できる。
【0055】
(15)第15のドラム式洗濯機
第15のドラム式洗濯機は、第10~第14のドラム式洗濯機(又は第1~第14のドラム式洗濯機)において、
前記水槽の上側と前記筐体とを弾性的に連結する弾性支持部材を備える。
これにより、弾性支持部材により水槽の振動の吸収が可能となり、振動抑制効果を高めることができる。
【0056】
<発明3>
1.先行技術
特開2010-170678号公報には、振動を抑制した洗濯機として、回転ドラムと、回転ドラムを回転可能に設けた水槽と、ダンパーとを備えた洗濯機が開示されている。
上記の洗濯機では、振動を抑制されているが、振動抑制をさらに向上させたいとの要望がある。
本発明3は、振動抑制を向上させたドラム式洗濯機を実現することである。
【0057】
2.発明3に係るドラム式洗濯機
(1)第1のドラム式洗濯機
第1のドラム式洗濯機は、
開口部が前側を向いた状態で筐体内に配される水槽と、
前記水槽内に回転可能に設けられる洗濯槽と、
前記水槽の振動を減衰させる複数の防振部材と、
前記防振部材を支持する台座と、
を備え、
前記防振部材は、第1端部が前記台座に接続され、第2端部が前記水槽に接続され、
前記複数の防振部材は、左右の両側であって前後方向に離間して4本あり、
前記台座は、4本の防振部材に対応して4個の脚を備え、
上方から見たときに、前記4本の前記防振部材の前記第1端部の取り付け位置は、前記4個の脚の領域内に位置する。
これにより、洗濯槽の回転により発生した振動をスムーズに脚に伝えることができ、台座の振動を抑制できる。
【0058】
(2)第2のドラム式洗濯機
第2のドラム式洗濯機は、第1のドラム式洗濯機において、
上方から見たときに、後側に位置する2本の前記防振部材の前記第1端部の取り付け位置は、後側に位置する2個の前記脚の中心よりも前側に位置する。
これにより、水槽の重心が後側の脚より前側に位置することとなり、洗濯機を安定した状態で設置できる。
【0059】
(3)第3のドラム式洗濯機
第3のドラム式洗濯機は、第1又は第2のドラム式洗濯機において、
上方から見たときに、前側に位置する2本の前記防振部材の前記第1端部の取り付け位置は、前側に位置する2個の前記脚の中心よりも後側に位置する。
これにより、水槽の重心が前側の脚より後側に位置することとなり、洗濯機を安定した状態で設置できる。
【0060】
<発明4>
1.先行技術
特開2010-170678号公報には、振動を抑制した洗濯機として、回転ドラムと、回転ドラムを回転可能に設けた水槽と、ダンパーとを備えた洗濯機が開示されている。
上記の洗濯機では、振動を抑制されているが、振動抑制をさらに向上させたいとの要望がある。
本発明4は、振動抑制を向上させたドラム式洗濯機を実現することである。
【0061】
2.発明4に係る洗濯機
(1)第1の洗濯機
第1の洗濯機は、
筐体内に配される水槽と、
前記水槽内に回転可能に設けられる洗濯槽と、
前記水槽の振動を減衰させる防振部材と、
前記防振部材を介して前記水槽を支持する台座と
を備え、
前記台座は、前記防振部材を支持する上面部を含む本体部と、前記本体部に設けられ、設置面と接触する脚とを備え、
前記本体部は、前記脚の直上に位置する隙間であって、前記上面部と前記脚の間に隙間が形成されるよう切り欠き形状を有する。
これにより、防振部材の振動が、上面部から脚に伝わるのを抑制でき、振動抑制効果を高めることができる。
なお、洗濯機は、洗濯槽の回転軸が縦方向に延伸する縦型洗濯機と、洗濯槽の回転軸が横方向に延伸するドラム型洗濯機を含む。横方向は、上下方向と直交する方向であり、左右方向、前後方向、これらと交差する方向を含む。
【0062】
(2)第2の洗濯機
第2の洗濯機は、第1の洗濯機において、
前記本体部は、一方の一対の辺が前後方向と平行であり、他方の一対の辺が左右方向と平行である四角枠状を有し、
前記本体部の上面から前後方向及び左右方向に張り出す第1張出部と、
前記第1張出部と間隔をおいて横方向及び左右方向に張り出す第2張出部とを有し、
前記第1張出部に前記防振部材の第1端部が取り付けられ、
前記第2張出部に前記脚が設けられ、
前記第2張出部は、前記本体部の前後両側を左右方向に延伸する部分から左右方向に張り出すと共に前記本体部の左右両側を前後方向に延伸する部分の前端部又は後端部との間に隙間を有している。
これにより、防振部材の振動が、本体部から第2張出部に伝わり難くできる。
【0063】
(3)第3の洗濯機
第3の洗濯機は、第1の洗濯機(又は第1、第2の洗濯機)において、
前記本体部は、一方の一対の辺が前後方向と平行であり、他方の一対の辺が左右方向と平行である四角枠状を有し、
前記第2張出部は、前記本体部の左右両側を前後方向に延伸する部分から前後方向に張り出すと共に前記本体部の前後両側を左右方向に延伸する部分の右端部又は左端部との間に隙間を有している。
これにより、防振部材の振動が、本体部から第2張出部に伝わり難くできる。
【0064】
(4)第4の洗濯機
第4の洗濯機は、第1の洗濯機(又は第1~第3の洗濯機)において、
前記防振部材の第1端部は前記上面部に取付部材によって取り付けられ、
前記第1端部又は前記取付部材は、前記脚又は前記隙間の投影領域と少なくとも一部が重なる。
これにより、防振部材を容易に取り付けることができ、防振部材の負荷を脚に伝達し難くできる。
(5)第5の洗濯機
第5の洗濯機は、第1の洗濯機(又は第1~第4の洗濯機)において、
前記防振部材の第1端部は前記上面部に取付部材によって取り付けられ、
前記第1端部又は前記取付部材の直下に前記隙間又は前記脚が存在する。
これにより、防振部材を容易に取り付けることができ、防振部材の負荷を脚に伝達し難くできる。
【0065】
(6)第6の洗濯機
第6の洗濯機は、第1~第5の洗濯機において、
前記洗濯機は、ドラム式洗濯機であり、
上方から見たときに、前記防振部材の前記台座の取り付け位置は、前記脚の取り付け領域内に位置する。
これにより、台座における脚間に作用する水槽の負荷を低減できる。
【0066】
<その他>
各発明の発明特定事項は、他の発明の発明特定事項により限定されるものではない。また、各発明は、他の発明の発明特定事項を含んでもいいし、実施形態に記載の構成を含んでもいい。
【符号の説明】
【0067】
X 洗濯機
11 水槽
12 洗濯槽
18 防振部材
19 防振部材
25 脚
26 台座
103 側板
103a 基準面
131 絞り領域
131a 凹部
131b 凸部
133 基準領域
261 本体部
262 第1張出部
263 第2張出部