(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024527
(43)【公開日】2025-02-20
(54)【発明の名称】見切り材の取付構造
(51)【国際特許分類】
E04F 19/02 20060101AFI20250213BHJP
E04F 19/04 20060101ALI20250213BHJP
【FI】
E04F19/02 N
E04F19/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128698
(22)【出願日】2023-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】竹内 ゆう
(57)【要約】
【課題】見切り材の位置調整を好適に行うことができる見切り材の取付構造を提供する。
【解決手段】建物の二階部分に設けられたバルコニーのキャンチバルコニー部には、その周囲に腰壁部25が立設され、その底部に軒天材51が設けられている。腰壁部25の下端側には、腰壁部25の下端部に沿って延び、腰壁部25の壁面材38と軒天材51との間を覆う見切り部55が設けられている。見切り部55は、長さ方向に分割された複数の見切り材57を有している。見切り材57の裏側には複数のブラケット70がビス63により取り付けられている。各ブラケット70は、腰壁部25の腰壁フレーム39の下方に配置され、腰壁フレーム39にボルト78を用いて固定されている。各ブラケット70には、腰壁フレーム39に対する見切り材57の位置を調整する位置調整手段が設けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の上階部に設けられ、少なくとも一部が屋外側に張り出したキャンチ部とされているバルコニーと、
前記バルコニーの床面を形成する床部と、
前記キャンチ部において前記床部の周囲に立設され、壁面材と前記壁面材の裏側に設けられた腰壁フレームとを有してなる腰壁部と、
前記腰壁部よりも下方に設けられ、前記キャンチ部の底面を形成する軒天材と、
前記腰壁部の下端部に沿って延び、前記壁面材と前記軒天材との間を覆う見切り部と、
を備える建物に適用され、
前記見切り部は、長さ方向に分割された複数の見切り材を有し、
前記見切り材の裏側には、複数のブラケットが第1締結具により取り付けられ、
前記各ブラケットは、前記腰壁フレームの下方に配置され、前記腰壁フレームに第2締結具により固定され、
前記各ブラケットには、前記腰壁フレームに対する前記見切り材の位置を調整可能とする位置調整手段が設けられている、見切り材の取付構造。
【請求項2】
前記各ブラケットには、前記第1締結具を挿通する第1孔部と、前記第2締結具を挿通する第2孔部とが形成され、
前記各ブラケットでは、前記第1孔部及び前記第2孔部のうちいずれかが、前記各見切り材の並ぶ第1方向と平面視で直交する第2方向に長い長孔とされ、
前記位置調整手段は、前記長孔により前記腰壁フレームに対する前記見切り材の位置を前記第2方向に調整可能とするものである、請求項1に記載の見切り材の取付構造。
【請求項3】
前記各ブラケットでは、前記第1孔部及び前記第2孔部のうちいずれか一方の孔部が前記第2方向に長い長孔とされ、他方の孔部が前記第1方向に長い長孔とされ、
前記位置調整手段は、前記他方の孔部が前記第1方向に長い長孔とされていることで、前記腰壁フレームに対する前記見切り材の位置を前記第1方向に調整可能とするものである、請求項2に記載の見切り材の取付構造。
【請求項4】
前記腰壁部は、前記キャンチ部における前記張り出し側の縁部に沿って延びる第1壁部と、前記第1壁部の壁幅方向の両端部からそれぞれ前記張り出し側とは反対側に延びる一対の第2壁部とを有し、
前記各見切り材は、前記第1壁部の壁幅方向に分割され、
前記各見切り材には、前記第1壁部に沿って延びる第1部分と、前記第2壁部に沿って延びる第2部分とを有する平面視L字状のL字見切り材が含まれており、
前記L字見切り材の前記第1部分及び前記第2部分にそれぞれ前記ブラケットが取り付けられており、
前記第1部分の前記ブラケットについては、前記第1孔部が前記第1方向に長い長孔とされ、前記第2孔部が前記第2方向に長い長孔とされ、
前記第2部分の前記ブラケットについては、前記第1孔部が前記第2方向に長い長孔とされ、前記第2孔部が前記第1方向に長い長孔とされている、請求項3に記載の見切り材の取付構造。
【請求項5】
前記軒天材は、その上面側に設けられた軒天下地材に固定され、
前記ブラケットは、前記軒天下地材が取り付けられる取付部を有している、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の見切り材の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、見切り材の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物には、その上階部にキャンチ式のバルコニーが設けられる場合がある(例えば特許文献1参照)。かかるバルコニーには、床面を形成するバルコニー床部が設けられ、バルコニー床部の周囲には腰壁部が立設される。腰壁部は、壁面材と、壁面材の裏面側に設けられた腰壁フレームとを有して構成される。また、キャンチ式のバルコニーでは、その底部に軒天材が設けられる。軒天材は、腰壁部よりも下方に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述したキャンチ式のバルコニーにおいて、腰壁部の下端部に沿って延び、腰壁部の壁面材と軒天材との間を覆う見切り部を設けることが考えられる。見切り部は、長さ方向に分割された複数の見切り材を有して構成することが考えられる。この場合、例えば腰壁部の腰壁フレームを壁面材よりも下方に延出させ、その延出させた部分に見切り材をビスにより取り付けることが考えられる。
【0005】
ところで、各見切り材を上記のように腰壁フレームに取り付ける場合、腰壁フレームの寸法ばらつき等により、隣り合う見切り材の間の隙間が大きくなったり、隣り合う見切り材の間で前後方向(各見切り材の並ぶ方向に対して平面視で直交する方向)のずれが生じたりする場合が想定される。そのような場合、見切り材を腰壁フレームに取り付けているビスを取り外し、見切り材の位置調整を行うとともに、その位置調整した位置で見切り材を再度ビスにより取り付ける必要がある。しかしながら、このような作業は、見切り材が長尺状であるため複数人で行う必要があり、工数の増大を招くおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、見切り材の位置調整を好適に行うことができる見切り材の取付構造を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、第1の発明の見切り材の取付構造は、建物の上階部に設けられ、少なくとも一部が屋外側に張り出したキャンチ部とされているバルコニーと、前記バルコニーの床面を形成する床部と、前記キャンチ部において前記床部の周囲に立設され、壁面材と前記壁面材の裏側に設けられた腰壁フレームとを有してなる腰壁部と、前記腰壁部よりも下方に設けられ、前記キャンチ部の底面を形成する軒天材と、前記腰壁部の下端部に沿って延び、前記壁面材と前記軒天材との間を覆う見切り部と、備える建物に適用され、前記見切り部は、長さ方向に分割された複数の見切り材を有し、前記見切り材の裏側には、複数のブラケットが第1締結具により取り付けられ、前記各ブラケットは、前記腰壁フレームの下方に配置され、前記腰壁フレームに第2締結具により固定され、前記各ブラケットには、前記腰壁フレームに対する前記見切り材の位置を調整可能とする位置調整手段が設けられている。
【0008】
第1の発明によれば、見切り材の裏側に複数のブラケットが第1締結具(例えばビス)により取り付けられている。各ブラケットは、腰壁部の腰壁フレームの下方に配置され、腰壁フレームに第2締結具(例えばボルト)を用いて固定されている。この場合、見切り材を腰壁フレームに各ブラケットを介して取り付けることができる。また、各ブラケットには、腰壁フレームに対する見切り材の位置を調整可能とする位置調整手段が設けられている。これにより、見切り材を腰壁フレームに取り付けた状態(例えば仮取り付けした状態)で見切り材の位置を調整することが可能となる。そのため、見切り材の位置調整を一人で行うことが可能となり、省施工を図ることが可能となる。よって、この場合、見切り材の位置調整を好適に行うことが可能となる。
【0009】
第2の発明の見切り材の取付構造は、第1の発明において、前記各ブラケットには、前記第1締結具を挿通する第1孔部と、前記第2締結具を挿通する第2孔部とが形成され、前記各ブラケットでは、前記第1孔部及び前記第2孔部のうちいずれかが、前記各見切り材の並ぶ第1方向と平面視で直交する第2方向に長い長孔とされ、前記位置調整手段は、前記長孔により前記腰壁フレームに対する前記見切り材の位置を前記第2方向に調整可能とするものである。
【0010】
上述したように、各ブラケットは第1締結具により見切り材に取り付けられ、第2締結具により腰壁フレームに固定されている。そして、第2の発明では、各ブラケットに、第1締結具を挿通する第1孔部と、第2締結具を挿通する第2孔部とが形成されている。各ブラケットでは、第1孔部及び第2孔部のうちいずれかが、各見切り材の並ぶ第1方向と平面視で直交する第2方向に長い長孔とされている。そして、その長孔により腰壁フレームに対する見切り材の位置を第2方向に調整可能となっている。
【0011】
ここで、見切り材を腰壁フレームに直接取り付ける構成では、隣り合う見切り材の間で第2方向のずれが生じた場合、一方の見切り材を腰壁フレームから取り外し、その一方の見切り材と腰壁フレームとの間にスペーサを配した状態で再度、一方の見切り材を腰壁フレームに取り付ける作業を行う必要がある。つまり、スペーサを用いて、隣り合う見切り材の間の第2方向のずれをなくす作業を行う必要がある。しかしながら、こうした位置調整の作業は非常に手間であると考えられる。その点、上述した本発明の構成によれば、見切り材を腰壁フレームから取り外すことなく、見切り材の位置を第2方向に調整することが可能となる。そのため、見切り材を第2方向に位置調整する作業を容易に行うことが可能となる。
【0012】
第3の発明の見切り材の取付構造は、第2の発明において、前記各ブラケットでは、前記第1孔部及び前記第2孔部のうちいずれか一方の孔部が前記第2方向に長い長孔とされ、他方の孔部が前記第1方向に長い長孔とされ、前記位置調整手段は、前記他方の孔部が前記第1方向に長い長孔とされていることで、前記腰壁フレームに対する前記見切り材の位置を前記第1方向に調整可能とするものである。
【0013】
第3の発明によれば、第1孔部及び第2孔部のうち一方の孔部が第2方向に長い長孔とされ、他方の孔部が第1方向(各見切り材の並び方向)に長い長孔とされている。そして、他方の孔部が第1方向に長い長孔とされていることで、腰壁フレームに対する見切り材の位置を第1方向に調整可能となっている。かかる構成では、腰壁フレームに対する見切り材の位置を第2方向に加えて、第1方向に調整することができる。そのため、例えば隣り合う見切り材の間の隙間が大きい場合には、見切り材の位置を第1方向に調整して隙間を小さくするといったことが可能となる。これにより、見切り材を第1方向及び第2方向のいずれにも位置調整し易くすることができる。
【0014】
第4の発明の見切り材の取付構造は、第3の発明において、前記腰壁部は、前記キャンチ部における前記張り出し側の縁部に沿って延びる第1壁部と、前記第1壁部の壁幅方向の両端部からそれぞれ前記張り出し側とは反対側に延びる一対の第2壁部とを有し、前記各見切り材は、前記第1壁部の壁幅方向に分割され、前記各見切り材には、前記第1壁部に沿って延びる第1部分と、前記第2壁部に沿って延びる第2部分とを有する平面視L字状のL字見切り材が含まれており、前記L字見切り材の前記第1部分及び前記第2部分にそれぞれ前記ブラケットが取り付けられており、前記第1部分の前記ブラケットについては、前記第1孔部が前記第1方向に長い長孔とされ、前記第2孔部が前記第2方向に長い長孔とされ、前記第2部分の前記ブラケットについては、前記第1孔部が前記第2方向に長い長孔とされ、前記第2孔部が前記第1方向に長い長孔とされている。
【0015】
第4の発明によれば、L字見切り材の第1部分に取り付けられたブラケットについては、第1孔部が第1方向に長い長孔とされ、第2孔部が第2方向に長い長孔とされている。また、L字見切り材の第2部分に取り付けられたブラケットについては、第1孔部が第2方向に長い長孔とされ、第2孔部が第1方向に長い長孔とされている。これにより、L字見切り材の各ブラケットではそれぞれ、第1孔部及び第2孔部のうちいずれか一方の孔部が第1方向に長い長孔、他方の孔部が第2方向に長い長孔とされている。よって、L字見切り材について、第1方向及び第2方向のいずれにも位置調整し易くすることができる。
【0016】
第5の発明の見切り材の取付構造は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記軒天材は、その上面側に設けられた軒天下地材に固定され、前記ブラケットは、前記軒天下地材が取り付けられる取付部を有している。
【0017】
第5の発明によれば、ブラケットが、軒天材の下地となる軒天下地材が取り付けられる取付部を有している。これにより、見切り材を取り付けるためのブラケットを軒天下地材を取り付けるためにも用いることができ、ブラケットの有効利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】バルコニーが設けられた建物の概略を示す概略縦断面図。
【
図2】(a)がバルコニー周辺を示す概略横断面図であり、(b)が見切り部を構成する各見切り材の配置を示す概略横断面図である。
【
図4】見切り部周辺の構成を拡大して示す縦断面図。
【
図5】見切り材の裏側にブラケットが取り付けられた状態を示す斜視図。
【
図6】見切り材の裏側に複数のブラケットが取り付けられた状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、建物が、複数の建物ユニットが互いに連結されてなるユニット式の建物となっている。
【0020】
図1に示すように、住宅等の建物10は、建物本体11と、建物本体11の上方に配設された屋根部12とを備える。建物本体11は、直方体状をなす複数の建物ユニット(図示略)が互いに連結されることにより構成されている。また、屋根部12は、切り妻式の屋根となっている。但し、屋根部12は必ずしも切り妻式である必要はなく、例えば寄せ棟式の屋根であってもよい。
【0021】
建物10(建物本体11)は、下階部としての一階部分14と、上階部としての二階部分15とを有する二階建てとなっている。一階部分14には居室16が設けられ、二階部分15には居室17が設けられている。また、二階部分15には、バルコニー20が設けられている。バルコニー20は居室17と隣接しており、バルコニー20と居室17との間には仕切壁18が設けられている。仕切壁18には、掃き出し窓からなる窓部19が設けられ、その窓部19を通じて居室17からバルコニー20へ出入りが可能となっている。また、窓部19には、ガラス戸23が設けられている。
【0022】
図1及び
図2(a)に示すように、バルコニー20は、建物本体11の内部に設けられたインナバルコニー部21と、建物本体11から屋外側に張り出して設けられたキャンチバルコニー部22とを有している。なお、キャンチバルコニー部22がキャンチ部に相当する。
【0023】
バルコニー20には、バルコニー20の床面を形成するバルコニー床部24と、キャンチバルコニー部22の周縁部に立設された腰壁部25とが設けられている。腰壁部25の上方には手摺部26が設けられている。
図2(a)では便宜上、手摺部26の図示を省略している。また、以下の説明では、キャンチバルコニー部22において腰壁部25により囲まれた内側空間をキャンチ空間27ともいう。なお、バルコニー床部24が床部に相当する。
【0024】
腰壁部25は、平面視においてコ字状をなしており、キャンチバルコニー部22の張り出し側の縁部に沿って延びる第1壁部25aと、第1壁部25aの壁幅方向の両端部から上記張り出し側とは反対側に延びる一対の第2壁部25bとを有している。第1壁部25aは、キャンチ空間27を挟んで仕切壁18と対向している。また、第1壁部25aは、その壁幅が各第2壁部25bよりも十分に大きくなっている。
【0025】
続いて、バルコニー20における腰壁部25周辺の構成について
図3に基づき説明する。なお、
図3は、
図2(a)のA-A線断面図に相当する。
【0026】
図3に示すように、バルコニー床部24の下方には、バルコニー床部24を下方から支持する床フレーム31が設けられている。床フレーム31は、複数の床梁32が矩形枠状に組まれてなるものである。床梁32は、例えば断面コ字状の溝形鋼よりなる。図示は省略するが、床フレーム31は、一階部分14の建物ユニットの天井部の上に固定されている。
【0027】
バルコニー床部24は、床フレーム31の上に敷設された床下地材34と、床下地材34の上に敷設された床断熱材35と、床断熱材35の上に敷設された防水板36とを有している。床下地材34は、例えばパーティクルボード等からなり、床断熱材35は、例えば発泡ポリスチレン等からなる。また、防水板36の上面によりバルコニー床部24の床面が形成されている。
【0028】
腰壁部25は、バルコニー床部24の周囲に立設され、バルコニー床部24よりも下方から立ち上がっている。腰壁部25は、その屋外側に設けられた壁面材38と、壁面材38の裏面側(換言するとキャンチ空間27側)に設けられた腰壁フレーム39とを有している。壁面材38は、窯業系サイディングにより形成されている。
【0029】
腰壁フレーム39は、腰壁部25の壁幅方向に所定の間隔で設けられた腰壁支柱41と、各腰壁支柱41の上端部に跨がって設けられた上弦材42と、隣り合う腰壁支柱41の下端部間に架け渡された下桟43とを有する。腰壁支柱41は、リップ付溝形鋼よりなり、その溝開口をキャンチ空間27側に向けて配置されている。各腰壁支柱41は、床フレーム31よりも下方に延びており、その床フレーム31にボルトにより固定されている。これにより、腰壁フレーム39ひいては腰壁部25が床フレーム31に支持されている。
【0030】
手摺部26は、腰壁部25の腰壁フレーム39上に立設された複数の手摺支柱45を有している。各手摺支柱45は、その下端部が腰壁フレーム39の上弦材42に固定されている。各手摺支柱45の上端側には、各手摺支柱45に跨って笠木46が設けられている。
【0031】
腰壁部25及び手摺部26の屋外側には、ガラスパネル48が設けられている。ガラスパネル48は、透明性を有する強化ガラスからなる。ガラスパネル48は、笠木46と、腰壁フレーム39の下端側に固定された受け材49との間に配設され、それら笠木46及び受け材49に挟まれた状態で支持されている。
【0032】
キャンチバルコニー部22の底部には、軒天材51が設けられている。軒天材51は、腰壁部25の下端部よりも低い位置に配置されている。軒天材51は、腰壁部25の下方位置から一階部分14の外壁に向けて延びている。軒天材51の上面側には、軒天下地材52が設けられている。軒天下地材52は木製の角材よりなり、軒天材51の上面に沿って延びている。この軒天下地材52に対して軒天材51がビス等で固定されている。
【0033】
腰壁部25の下端側には、腰壁部25の下端部に沿って延びる見切り部55が設けられている。見切り部55は、腰壁部25の壁面材38と軒天材51との間を屋外側から覆うように設けられている。以下、見切り部55の構成について、
図2(b)に加えて、
図4及び
図5に基づき説明する。なお、
図2(b)では説明の便宜上、見切り部55を構成する各見切り材57,58にハッチングを付して示している。また、
図4は、
図3の見切り部55周辺を拡大した図となっている。
【0034】
図2(b)に示すように、見切り部55は、腰壁部25に沿って平面視コ字状に延びている。見切り部55は、長さ方向に分割された複数の見切り材57,58を有している。各見切り材57,58は、腰壁部25の第1壁部25aの壁幅方向に分割されている。この場合、各見切り材57,58が並ぶ並び方向は第1壁部25aの壁幅方向となっている。以下の説明では、各見切り材57,58の並ぶ方向を第1方向Xといい、第1方向Xと平面視で直交する方向を第2方向Yという。
【0035】
各見切り材57,58には、第1見切り材57と、第1見切り材57を挟んだ両側に配置された一対の第2見切り材58とが含まれている。第1見切り材57は、腰壁部25の第1壁部25aに沿って直線状に延びている。また、各第2見切り材58は、腰壁部25の第1壁部25a及び第2壁部25bに沿って平面視L字状に延びている。各第2見切り材58は、左右対称の形状を有している。各第2見切り材58は、第1壁部25aに沿って延びる第1部分58aと、第2壁部25bに沿って延びる第2部分58bとを有している。各第2見切り材58の第1部分58aはそれぞれ第1見切り材57と第1方向Xに隣接している。なお、第2見切り材58がL字見切り材に相当する。
【0036】
各見切り材57,58はアルミ製であり、同じ横断面形状を有している。そのため、以下では、各見切り材57,58の構成をまとめて説明する。
図4及び
図5に示すように、見切り材57,58は、横断面の形状が略コ字状をなしており、その溝開口を屋外側に向けた状態で配置されている。見切り材57,58は、その溝底部において上下に延びる見切り板部61を有している。見切り板部61には、その裏面側(背面側)に延出する上下2つの延出板部64,65が設けられている、各延出板部64,65は、見切り材57,58の長さ方向に延びており、延出板部64が上側、延出板部65が下側に配置されている。各延出板部64,65は、見切り板部61と離間対向する部分を有し、その部分に対してビス63をねじ込み可能となっている。
【0037】
各見切り材57,58は、腰壁部25の腰壁フレーム39にブラケット70を介して取り付けられている。以下、かかる見切り材57,58の取付構造について、
図2(b)及び
図4~
図7に基づき説明する。なお、
図6では便宜上、腰壁フレーム39を一点鎖線で示している。
【0038】
図2(b)及び
図4~
図6に示すように、各見切り材57,58の裏側には、ブラケット70がビス63により取り付けられている。ブラケット70は、各見切り材57,58にそれぞれ複数ずつ取り付けられている。各見切り材57,58において、複数のブラケット70は見切り材57,58の延びる方向に離間して配置されている。また、第2見切り材58においては、第1部分58a及び第2部分58bにそれぞれブラケット70が取り付けられている。
【0039】
図4~
図7に示すように、各ブラケット70は、固定プレート71と、一対の補強プレート72とを有している。固定プレート71は、鋼板によりL字状に形成され、見切り材57,58(詳しくは見切り板部61)の裏側に取り付けられる縦板部71aと、縦板部71aの上端部から見切り材57,58に対して離間する側に延びる横板部71bとを有する。
【0040】
各補強プレート72は鋼板により形成され、固定プレート71の内側に縦向きの状態で設けられている。各補強プレート72は、固定プレート71の幅方向の両端側に配置され、固定プレート71に溶接により固定されている。また、各補強プレート72には、縦板部71a側とは反対側の端部に受け板部73が設けられている。各補強プレート72の受け板部73は、互いに離間する側に延び、縦板部71aと平行に配置されている。また、各受け板部73は、補強プレート72の下部に配置されている。
【0041】
固定プレート71の縦板部71aには、ビス63を挿通可能な一対の第1孔部74が形成されている。各第1孔部74は、縦板部71aを厚み方向に貫通しており、上下に並んで配置されている。また、各第1孔部74は、縦板部71aの横幅方向に長い長孔とされている。各第1孔部74は、その長さ寸法が幅寸法の2倍以上とされている。
【0042】
各第1孔部74にはそれぞれビス63が挿通されており、それら各ビス63が見切り材57,58の延出板部64,65にねじ込まれている。これにより、縦板部71aひいてはブラケット70がビス63により見切り材57,58に取り付けられている。なお、ビス63は、例えばセルフドリリングねじからなる。また、ビス63が第1締結具に相当する。
【0043】
見切り材57,58に取り付けられた各ブラケット70は、腰壁部25の腰壁フレーム39の下方に配置されている。各ブラケット70はいずれも、腰壁フレーム39の腰壁支柱41の下方に配置されている。腰壁支柱41の下端部には、水平板状の下端プレート76が溶接により固定されている。各ブラケット70は、腰壁支柱41の下端プレート76にボルト78を用いて固定されている。
【0044】
各ブラケット70において固定プレート71の横板部71bには、ボルト78を挿通可能な第2孔部79が形成されている。第2孔部79は、横板部71bを厚み方向つまり上下方向に貫通している。第2孔部79は、縦板部71aの厚み方向に長い長孔とされている。第2孔部79は、その長さ寸法が幅寸法の2倍以上とされている。また、腰壁支柱41の下端プレート76には、厚み方向に貫通する孔部81が形成されている。下端プレート76の上面には、その孔部81と対応する位置にナット82が溶接固定されている。
【0045】
ブラケット70の第2孔部79と下端プレート76の孔部81とにはそれぞれ下方からボルト78が挿通されている。ボルト78は、かかる挿通状態でナット82と締結されている。これにより、ブラケット70が下端プレート76ひいては腰壁フレーム39にボルト78を用いて固定されている。そして、このように固定された各ブラケット70を介して、見切り材57,58が腰壁フレーム39に取り付けられている。なお、ボルト78が第2締結具に相当する。
【0046】
各ブラケット70の下方には軒天材51が設けられている。この場合、各ブラケット70は、軒天材51と腰壁フレーム39との間に配置されている。軒天材51を支持する軒天下地材52は、見切り部55に沿って延びており、ブラケット70の各受け板部73にビス等により取り付けられている。なお、各受け板部73が取付部に相当する。
【0047】
ここで、上述したように、各ブラケット70では、ビス63を挿通する第1孔部74と、ボルト78を挿通する第2孔部79とがそれぞれ長孔とされている。本実施形態では、これらの孔部74,79が長孔とされていることにより、腰壁フレーム39に対する見切り材57,58の取付位置を調整可能となっている。そこで、以下では、かかる見切り材57,58の位置調整に関する構成について説明する。
【0048】
まず、第1見切り材57の位置調整について説明する。
図4~
図7に示すように、第1見切り材57に取り付けられた各ブラケット70においては、第1孔部74が第1方向X(各見切り材57,58の並び方向)に長い長孔となっている。この場合、その長孔により、ビス63を第1孔部74において第1方向Xに変位させることができる。そのため、第1見切り材57を各ブラケット70に対して第1方向Xに位置調整することが可能となり、ひいては第1見切り材57を各ブラケット70が固定された腰壁フレーム39に対して第1方向Xに位置調整することが可能となる。
【0049】
また、第1見切り材57の各ブラケット70においては、第2孔部79が第2方向Yに長い長孔となっている。この場合、その長孔により、ボルト78を第2孔部79において第2方向Yに変位させることができる。そのため、各ブラケット70を腰壁フレーム39に対して第2方向Yに変位させることが可能となり、その結果、各ブラケット70が取り付けられる第1見切り材57を腰壁フレーム39に対して第2方向Yに位置調整することが可能となる。
【0050】
続いて、第2見切り材58の位置調整について説明する。第2見切り材58の第1部分58aに取り付けられたブラケット70(以下、ブラケット70Aという)においては、第1孔部74が第1方向Xに長い長孔となっている。また、第2見切り材58の第2部分58bに取り付けられたブラケット70(以下、ブラケット70Bという)においては、第2孔部79が第1方向Xに長い長孔となっている。この場合、ブラケット70Aの第1孔部74(長孔)により、ビス63を第1孔部74において第1方向Xに変位させることができる。そのため、第2見切り材58の第1部分58aを各ブラケット70Aひいては腰壁フレーム39に対して第1方向Xに変位させることが可能となる。また、ブラケット70Bの第2孔部79(長孔)により、ボルト78を第2孔部79において第1方向Xに変位させることができる。そのため、第2見切り材58の第2部分58bをブラケット70Bとともに腰壁フレーム39に対して第1方向Xに変位させることが可能となる。よって、この場合、第1部分58a及び第2部分58bをいずれも腰壁フレーム39に対して第1方向Xに変位させることができ、その結果、第2見切り材58を腰壁フレーム39に対して第1方向Xに位置調整することが可能となる。
【0051】
また、第2見切り材58の第1部分58aのブラケット70Aにおいては、第2孔部79が第2方向Yに長い長孔となっており、第2部分58bのブラケット70Bにおいては、第1孔部74が第2方向Yに長い長孔となっている。この場合、ブラケット70Aの第2孔部79(長孔)により、ボルト78を第2孔部79において第2方向Yに変位させることができる。そのため、第2見切り材58の第1部分58aをブラケット70Aとともに腰壁フレーム39に対して第2方向Yに変位させることが可能となる。また、ブラケット70Bの第1孔部74(長孔)により、ビス63を第1孔部74において第2方向Yに変位させることができる。そのため、第2見切り材58の第2部分58bをブラケット70Bひいては腰壁フレーム39に対して第2方向Yに変位させることが可能となる。よって、この場合、第1部分58a及び第2部分58bをいずれも腰壁フレーム39に対して第2方向Yに変位させることができ、その結果、第2見切り材58を腰壁フレーム39に対して第2方向Yに位置調整することが可能となる。
【0052】
上述したように、各見切り材57,58は、ブラケット70の孔部74,79が長孔とされていることにより、腰壁フレーム39に対して第1方向X及び第2方向Yのいずれにも位置調整することが可能となっている。したがって、上記長孔(孔部74,79)が形成された各ブラケット70には、腰壁フレーム39に対する見切り材57,58の位置(取付位置)を調整する位置調整手段が設けられているといえる。
【0053】
続いて、各見切り材57,58を腰壁フレーム39にブラケット70を介して取り付ける際の作業手順について説明する。なお、かかる作業は、軒天材51の取付前に、作業者が足場の上で行うものとなっている。
【0054】
まず、各見切り材57,58にブラケット70を取り付ける作業を行う。この作業は、例えば製造工場において行う。
【0055】
続いて、各見切り材57,58をブラケット70を介して腰壁フレーム39に仮取り付けする作業を行う。この仮取付作業は、例えば、第2見切り材58→第1見切り材57→第2見切り材58の順に行う。
【0056】
まず、第2見切り材58の仮取付作業では、第2見切り材58に取り付けられた各ブラケット70を腰壁フレーム39にボルト78により仮固定する。これにより、第2見切り材58が各ブラケット70を介して腰壁フレーム39に仮取り付けされる。残りの第1見切り材57及び第2見切り材58についても、これと同様の手順で腰壁フレーム39に各ブラケット70を介して仮取り付けする。
【0057】
続いて、各見切り材57,58の仮取付状態で、それら各見切り材57,58を腰壁フレーム39に対して位置調整する作業を行う。この作業では、隣り合う見切り材57,58の間の隙間が小さくなるように見切り材57,58を腰壁フレーム39に対して第1方向Xに位置調整したり、隣り合う見切り材57,58の間で前後方向(つまり第2方向Y)のずれが生じないように見切り材57,58を腰壁フレーム39に対して第2方向Yに位置調整したりする。
【0058】
例えば、第2見切り材58を腰壁フレーム39に対して第1方向X又は第2方向Yに位置調整する場合、ビス63やボルト78を少し緩めた状態で、第2見切り材58を腰壁フレーム39に対して第1方向X又は第2方向Yに変位させ位置調整する。この位置調整の作業は、第2見切り材58の仮取り付け状態で行うため、作業者1人で行うことができる。また、これと同様に第1見切り材57についても、ビス63やボルト78を少し緩めた状態で、第1見切り材57を腰壁フレーム39に対して第1方向X又は第2方向Yに変位させ位置調整を行う。
【0059】
各見切り材57,58の位置調整を行った後、各ブラケット70のビス63やボルト78を締める。これにより、各見切り材57,58が腰壁フレーム39にブラケット70を介して取り付けられる(本取り付けされる)。各見切り材57,58を取り付けた後、軒天下地材52をブラケット70の受け板部73に取り付け、その後、軒天下地材52に軒天材51を取り付ける。
【0060】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0061】
見切り材57,58の裏側に複数のブラケット70がビス63により取り付けられている。各ブラケット70は、腰壁部25の腰壁フレーム39の下方に配置され、腰壁フレーム39にボルト78を用いて固定されている。この場合、見切り材57,58を腰壁フレーム39に各ブラケット70を介して取り付けることができる。また、各ブラケット70には、腰壁フレーム39に対する見切り材57,58の位置を調整可能とする位置調整手段(具体的には、長孔からなる各孔部74,79)が設けられている。これにより、見切り材57,58を腰壁フレーム39に取り付けた状態(例えば仮取り付けした状態)で見切り材57,58の位置を調整することが可能となる。そのため、見切り材57,58の位置調整を一人で行うことが可能となり、省施工を図ることが可能となる。よって、この場合、見切り材57,58の位置調整を好適に行うことが可能となる。
【0062】
各見切り材57,58のうち、直線状をなす第1見切り材57に取り付けられた各ブラケット70では、ビス63挿通用の第1孔部74が各見切り材57,58の並ぶ第1方向Xに長い長孔となっている。そして、その長孔により腰壁フレーム39に対する第1見切り材57の位置を第1方向Xに調整可能となっている。これにより、隣り合う見切り材57,58の間の隙間が大きい場合には、第1見切り材57の位置を第1方向Xに調整して隙間を小さくするといったことが可能となる。
【0063】
また、第1見切り材57に取り付けられた各ブラケット70では、ボルト78挿通用の第2孔部79が第1方向Xと平面視で直交する第2方向Yに長い長孔となっている。そして、その長孔により腰壁フレーム39に対する第1見切り材57の位置を第2方向Yに調整可能となっている。これにより、隣り合う見切り材57,58の間で第2方向Yのずれが生じている場合には、第1見切り材57を第2方向Yに位置調整することでずれをなくすことができる。
【0064】
このように、第1見切り材57は、第1方向X及び第2方向Yのいずれにも位置調整可能とされている。そして、かかる位置調整は、上述のように、第1見切り材57を腰壁フレーム39に各ブラケット70を介して取り付けた状態で行うことができる。そのため、第1見切り材57を第1方向X及び第2方向Yのいずれにも位置調整し易くすることができる。
【0065】
各見切り材57,58のうち、平面視L字状をなす第2見切り材58の第1部分58aに取り付けられた各ブラケット70Aについては、第1孔部74が第1方向Xに長い長孔とされ、第2孔部79が第2方向Yに長い長孔とされている。また、第2見切り材58の第2部分58bに取り付けられたブラケット70Bについては、第1孔部74が第2方向Yに長い長孔とされ、第2孔部79が第1方向Xに長い長孔とされている。これにより、第2見切り材58の各ブラケット70A,70Bではそれぞれ、第1孔部74及び第2孔部79のうちいずれか一方が第1方向Xに長い長孔、他方が第2方向Yに長い長孔となっている。よって、第2見切り材58について、第1方向X及び第2方向Yのいずれにも位置調整し易くすることができる。
【0066】
ブラケット70が、軒天材51の下地となる軒天下地材52が取り付けられる受け板部73を有している。これにより、見切り材57,58を取り付けるためのブラケット70を軒天下地材52を取り付けるためにも用いることができ、ブラケット70の有効利用を図ることができる。
【0067】
また、ブラケット70が受け板部73を有していることで、見切り材57,58をブラケット70を介して腰壁フレーム39に取り付けた後、すぐに軒天材51の施工を行うことができ都合がよい。
【0068】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0069】
(1)上記実施形態では、第1見切り材57に取り付けられた各ブラケット70の第1孔部74及び第2孔部79をいずれも長孔としたが、これら各孔部74,79のうちいずれか一方だけ長孔にしてもよい。例えば、第1孔部74だけ第1方向Xに長い長孔とし、第2孔部79については丸孔とすることが考えられる。この場合、第1見切り材57を腰壁フレーム39に対して第1方向Xにのみ位置調整可能となる。
【0070】
また、第2孔部79だけ第2方向Yに長い長孔とし、第1孔部74については丸孔にしてもよい。この場合、第1見切り材57を腰壁フレーム39に対して第2方向Yにのみ位置調整可能となる。また、第2孔部79だけ第1方向Xに長い長孔とし、第1孔部74については丸孔にしてもよい。その場合、第1見切り材57を腰壁フレーム39に対して第1方向Xにのみ位置調整可能となる。
【0071】
(2)上記実施形態では、第2見切り材58の第1部分58aに取り付けたブラケット70Aについては、第1孔部74を第1方向Xに長い長孔、第2孔部79を第2方向Yに長い長孔とし、第2部分58bに取り付けたブラケット70Bについては、第1孔部74を第2方向Yに長い長孔、第2孔部79を第1方向Xに長い長孔としたが、これを変更してもよい。例えば、第1部分58aのブラケット70Aについては、第1孔部74を第1方向Xに長い長孔、第2孔部79を丸孔とし、第2部分58bのブラケット70Bについては、第1孔部74を丸孔、第2孔部79を第1方向Xに長い長孔とすることが考えられる。この場合、第2見切り材58を腰壁フレーム39に対して第1方向Xにのみ位置調整可能となる。
【0072】
また、第1部分58aのブラケット70Aについては、第1孔部74を丸孔、第2孔部79を第2方向Yに長い長孔とし、第2部分58bのブラケット70Bについては、第1孔部74を第2方向Yに長い長孔、第2孔部79を丸孔にしてもよい。この場合、第2見切り材58を腰壁フレーム39に対して第2方向Yにのみ位置調整可能となる。
【0073】
(3)上記実施形態では、ブラケット70の孔部74,79を長孔にすることにより、腰壁フレーム39に対する見切り材57,58の位置を調整可能としたが、見切り材57,58の位置を調整する位置調整手段は必ずしもこれに限らない。例えば、ブラケットを、見切り材57,58に固定される第1部材と、腰壁フレーム39に固定される第2部材とを有して構成し、それら各部材をボルト及びナットにより固定する。第1部材及び第2部材にはそれぞれボルトの挿通孔を形成し、それら各挿通孔のうちいずれか一方を第1方向Xに長い長孔とする。そして、その長孔により第1部材及び第2部材を第1方向Xに相対変位可能とする。かかる構成によれば、ブラケットの第1部材及び第2部材を第1方向Xに相対変位させることにより、腰壁フレーム39に対する見切り材57,58の位置を第1方向Xに調整可能となる。
【0074】
また、第1部材及び第2部材の各挿通孔のうちいずれか一方を第2方向Yに長い長孔としてもよい。この場合、第1部材及び第2部材を第2方向Yに相対変位させることにより、腰壁フレーム39に対する見切り材57,58の位置を第2方向Yに調整可能となる。また、第1部材及び第2部材の各挿通孔のうちいずれか一方を第1方向Xに長い長孔、他方を第2方向Yに長い長孔としてもよい。その場合、腰壁フレーム39に対する見切り材57,58の位置を第1方向X及び第2方向Yのいずれにも調整可能となる。
【0075】
(4)上記実施形態では、第1締結具としてビス63を用い、第2締結具としてボルト78を用いたが、第1締結具としてビス以外の締結具を用い、第2締結具としてボルト以外の締結具を用いてもよい。
【0076】
(5)上記実施形態では、バルコニー20の一部だけがキャンチ部(キャンチバルコニー部22)となっていたが、バルコニーの全体がキャンチ部となっている場合もある。そこで、かかるバルコニーに対して本発明を適用してもよい。
【0077】
(6)上記実施形態では、建物10の二階部分に設けられたバルコニーのキャンチ部に本発明を適用したが、建物の三階以上に設けられたバルコニーのキャンチ部に本発明を適用してもよい。
【0078】
(7)上記実施形態では、ユニット式建物に本発明を適用したが、鉄骨軸組工法により構築される建物等、他の構造の建物にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0079】
10…建物、20…バルコニー、22…キャンチ部としてのキャンチバルコニー部、25…腰壁部、25a…第1壁部、25b…第2壁部、38…壁面材、39…腰壁フレーム、51…軒天材、52…軒天下地材、57…第1見切り材、58…L字見切り材としての第2見切り材、58a…第1部分、58b…第2部分、63…第1締結具としてのビス、70…ブラケット、73…取付部としての受け板部、74…第1孔部、78…第2締結具としてのボルト、79…第2孔部。