IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社パスコの特許一覧

<>
  • 特開-送受信システムおよび送受信方法 図1
  • 特開-送受信システムおよび送受信方法 図2
  • 特開-送受信システムおよび送受信方法 図3
  • 特開-送受信システムおよび送受信方法 図4
  • 特開-送受信システムおよび送受信方法 図5
  • 特開-送受信システムおよび送受信方法 図6
  • 特開-送受信システムおよび送受信方法 図7
  • 特開-送受信システムおよび送受信方法 図8
  • 特開-送受信システムおよび送受信方法 図9
  • 特開-送受信システムおよび送受信方法 図10
  • 特開-送受信システムおよび送受信方法 図11
  • 特開-送受信システムおよび送受信方法 図12
  • 特開-送受信システムおよび送受信方法 図13
  • 特開-送受信システムおよび送受信方法 図14
  • 特開-送受信システムおよび送受信方法 図15
  • 特開-送受信システムおよび送受信方法 図16
  • 特開-送受信システムおよび送受信方法 図17
  • 特開-送受信システムおよび送受信方法 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024542
(43)【公開日】2025-02-20
(54)【発明の名称】送受信システムおよび送受信方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 17/05 20110101AFI20250213BHJP
【FI】
G06T17/05
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128727
(22)【出願日】2023-08-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】000135771
【氏名又は名称】株式会社パスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【氏名又は名称】阿形 直起
(72)【発明者】
【氏名】坂元 光輝
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 俊明
【テーマコード(参考)】
5B050
【Fターム(参考)】
5B050BA09
5B050BA13
5B050CA07
5B050CA08
5B050DA10
5B050EA07
5B050EA18
5B050FA02
5B050FA09
5B050GA08
(57)【要約】
【課題】点群のクラスを示す情報の送受信に要する時間を短縮することを可能とする送受信システム等を提供する。
【解決手段】送受信システムは、送信装置および受信装置を有する送受信システムであって、送信装置は、所定の座標空間において、地表および地物の形状を示す複数の構成点の位置を示す座標情報を含む第1点群情報を記憶する第1記憶部と、第1点群情報に含まれる複数の構成点の座標情報を含まず、かつ第1点群情報に含まれる複数の構成点が示す物の種類に基づく各構成点の分類結果を示すクラス情報を生成する生成部と、クラス情報を送信する送信部と、を有し、受信装置は、第1点群情報と同一の地表および地物の形状を示す第2点群情報を記憶する第2記憶部と、クラス情報を受信する受信部と、クラス情報を第2点群情報に含まれる複数の構成点に対応付ける対応付け部と、を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置および受信装置を有する送受信システムであって、
前記送信装置は、
所定の座標空間において、地表および地物の形状を示す複数の構成点の位置を示す座標情報を含む第1点群情報を記憶する第1記憶部と、
前記第1点群情報に含まれる複数の構成点の座標情報を含まず、かつ前記第1点群情報に含まれる前記複数の構成点が示す物の種類に基づく各構成点の分類結果を示すクラス情報を生成する生成部と、
前記クラス情報を送信する送信部と、を有し、
前記受信装置は、
前記第1点群情報と同一の地表および地物の形状を示す第2点群情報を記憶する第2記憶部と、
前記クラス情報を受信する受信部と、
前記クラス情報を前記第2点群情報に含まれる複数の構成点に対応付ける対応付け部と、
を有することを特徴とする送受信システム。
【請求項2】
前記送信装置は、前記第1点群情報に含まれる構成点を所定の規則に従って並べ替えるとともに、前記並べ替えられた構成点に対応するように前記クラス情報を並べ替える分類部をさらに有し、
前記対応付け部は、前記第2点群情報に含まれる構成点を前記所定の規則に従って並べ替え、前記第2点群情報に含まれる複数の構成点に前記クラス情報を対応付ける、
請求項1に記載の送受信システム。
【請求項3】
前記分類部は、前記所定の規則に従って前記第1点群情報に含まれる構成点を複数のグループに分類し、当該複数のグループのそれぞれについて前記構成点を並べ替え、
前記対応付け部は、前記所定の規則に従って前記第2点群情報に含まれる構成点を複数のグループに分類し、当該複数のグループのそれぞれについて前記構成点を並べ替える、
請求項2に記載の送受信システム。
【請求項4】
前記分類部は、各グループについて、当該グループに分類された構成点を複数の小グループに分類し、当該複数の小グループのそれぞれについて、当該小グループに含まれる構成点を各構成点の座標情報に基づいて並べ替える、
請求項3に記載の送受信システム。
【請求項5】
送信装置および受信装置を有する送受信システムによって実行される送受信方法であって、
前記送信装置が、
所定の座標空間において、地表および地物の形状を示す複数の構成点の位置を示す座標情報を含む第1点群情報を記憶し、
前記第1点群情報に含まれる複数の構成点の座標情報を含まず、かつ前記第1点群情報に含まれる前記複数の構成点が示す物の種類に基づく各構成点の分類結果を示すクラス情報を生成し、
前記クラス情報を送信し、
前記受信装置が、
前記第1点群情報と同一の地表および地物の形状を示す第2点群情報を記憶し、
前記クラス情報を受信し、
前記クラス情報を前記第2点群情報に含まれる複数の構成点に対応付ける、
ことを含むことを特徴とする送受信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送受信システムおよび送受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LiDAR(Light Detection and Ranging)計測等により取得された点群データに基づいて、物体の形状を推定する技術が知られている。例えば、航空レーザ測量により取得された点群データに基づいて、地物や地表の形状を示すDSM(Digital Surface Model)およびDEM(Digital Elevation Model)等が生成される。点群データに基づく形状推定においては、点群データが示す物体の種別に応じて適切に点群を分類することが求められる。特許文献1には、点群データから道路面を示す道路面候補点群を抽出する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-173749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
点群は、点群データを構成する構成点のそれぞれに、各構成点が示す物の種類(例えば、地表面、建物、ノイズ等)のクラスを設定することにより分類される。クラスは、特許文献1に記載の装置等によって自動で設定され、作業者によってクラスが適切に設定されているか否かが確認される。クラスは、作業者によって全て手動で設定されてもよい。いずれの場合も、点群データの管理者と、クラスを設定する作業者との間で点群データの受け渡しが必要となる。
【0005】
点群データはデータ容量が大きく、ネットワークを介してこれを送信するためには長い時間を要する。そこで、点群のクラスを設定する作業者との間でのデータの送受信に要する時間を短縮することが求められている。
【0006】
発明者らは、点群データの全てを送受信するのではなく、点群データに含まれる構成点のクラスを示す情報のみを効率的に送受信することにより、データの送受信に要する時間を短縮する手法を発明した。
【0007】
本発明は、点群のクラスを示す情報の送受信に要する時間を短縮することを可能とする送受信システムおよび送受信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態に係る送受信システムは、送信装置および受信装置を有する送受信システムであって、送信装置は、所定の座標空間において、地表および地物の形状を示す複数の構成点の位置を示す座標情報を含む第1点群情報を記憶する第1記憶部と、第1点群情報に含まれる複数の構成点の座標情報を含まず、かつ第1点群情報に含まれる複数の構成点が示す物の種類に基づく各構成点の分類結果を示すクラス情報を生成する生成部と、クラス情報を送信する送信部と、を有し、受信装置は、第1点群情報と同一の地表および地物の形状を示す第2点群情報を記憶する第2記憶部と、クラス情報を受信する受信部と、クラス情報を第2点群情報に含まれる複数の構成点に対応付ける対応付け部と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、送信装置は、第1点群情報に含まれる構成点を所定の規則に従って並べ替えるとともに、並べ替えられた構成点に対応するようにクラス情報を並べ替える分類部をさらに有し、対応付け部は、第2点群情報に含まれる構成点を所定の規則に従って並べ替え、第2点群情報に含まれる複数の構成点にクラス情報を対応付ける、ことが好ましい。
【0010】
また、分類部は、所定の規則に従って第1点群情報に含まれる構成点を複数のグループに分類し、当該複数のグループのそれぞれについて構成点を並べ替え、対応付け部は、所定の規則に従って第2点群情報に含まれる構成点を複数のグループに分類し、当該複数のグループのそれぞれについて構成点を並べ替えることが好ましい。
【0011】
また、分類部は、各グループについて、グループに分類された構成点を複数の小グループに分類し、複数の小グループのそれぞれについて、小グループに含まれる構成点を各構成点の座標情報に基づいて並べ替えることが好ましい。
【0012】
本発明の実施形態に係る送受信方法は、送信装置および受信装置を有する送受信システムによって実行される送受信方法であって、送信装置が、所定の座標空間において、地表および地物の形状を示す複数の構成点の位置を示す座標情報を含む第1点群情報を記憶し、第1点群情報に含まれる複数の構成点の座標情報を含まず、かつ第1点群情報に含まれる複数の構成点が示す物の種類に基づく各構成点の分類結果を示すクラス情報を生成し、クラス情報を送信し、受信装置が、第1点群情報と同一の地表および地物の形状を示す第2点群情報を記憶し、クラス情報を受信し、クラス情報を第2点群情報に含まれる複数の構成点に対応付ける、ことを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る送受信システムおよび送受信方法は、点群のクラスを示す情報の送受信に要する時間を短縮することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】送受信システム1の概略構成の例を示す模式図である。
図2】管理装置2の例示的な機能ブロック図である。
図3】編集装置3の例示的な機能ブロック図である。
図4】点群情報テーブルT1のデータ構造の例を示す図である。
図5】クラス情報テーブルT2のデータ構造の例を示す図である。
図6】クラス情報設定処理の流れの例を示すシーケンス図である。
図7】変換処理の流れの例を示すフロー図である。
図8】構成点の分類の例について説明するための模式図である。
図9】構成点の並べ替えの結果について説明するための模式図である。
図10】符号化クラス情報について説明するための模式図である。
図11】領域設定処理の流れの例を示すフロー図である。
図12】座標情報の正規化について説明するための模式図である。
図13】下方分離面および上方分離面の算出について説明するための模式図である。
図14】追加分離面の算出について説明するための模式図である。
図15】変換処理によって生成される変換データDのデータ構造の例を示す図である。
図16】複数クラス領域に含まれる構成点のクラスに関する情報Eのデータ構造の例を示す図である。
図17】対応付け処理の流れの例を示すフロー図である。
図18】相互に傾きが異なる下方分離面および上方分離面の算出について説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明の様々な実施形態について説明する。本発明の技術的範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明及びその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る送受信システム1の概略構成の例を示す図である。送受信システム1は、点群情報を管理する管理拠点と、点群情報に含まれる構成点の分類結果を示すクラス情報を設定する編集拠点との間でクラス情報を送受信する。点群情報は、所定の座標空間において地表および建物の形状を示す複数の構成点の位置を示す座標情報を含む。クラス情報は、各構成点が示す物の種類に基づく各構成点の分類結果を示す。送受信システム1は、管理拠点に設置される管理装置2および編集拠点に設置される編集装置3を有する。管理装置2と編集装置3とは、インターネットまたはイントラネットであるネットワークNを介して通信する。管理装置2および編集装置3は、受信装置および送信装置の一例である。
【0017】
図2は、管理装置2の例示的な機能ブロック図である。管理装置2は、例えばサーバ、PC(Personal Computer)、タブレット端末、スマートフォン等のコンピュータである。管理装置2は、点群情報を編集装置3に送信する。また、管理装置2は、点群情報に含まれる構成点のクラスを示すクラス情報を編集装置3から受信し、構成点に対応付ける。管理装置2は、記憶部21、通信部22および処理部23を有する。
【0018】
記憶部21は、プログラムおよびデータを記憶するための構成であり、例えば半導体メモリを備える。記憶部21は、プログラムとして、処理部23による処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等を記憶する。プログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)等のコンピュータ読取可能かつ非一時的な可搬型記憶媒体から記憶部21にインストールされる。
【0019】
通信部22は、管理装置2を他の装置と通信可能にする構成であり、通信インタフェース回路を備える。通信インタフェース回路は、有線LAN(Local Area Network)又は無線LAN等の通信インタフェース回路である。通信部22は、データを他の装置から受信して処理部23に供給するとともに、処理部23から供給されたデータを他の装置に送信する。
【0020】
処理部23は、管理装置2の動作を統括的に制御する構成であり、一つまたは複数のプロセッサおよびその周辺回路を備える。処理部23は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を備える。処理部23は、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等を備えてもよい。処理部23は、記憶部21に記憶されているプログラムに基づいて管理装置2の各種処理が適切な手順で実行されるように、各構成の動作を制御するとともに、各種の処理を実行する。
【0021】
処理部23は、送信部231、受信部232および対応付け部233を機能ブロックとして有する。これらの機能ブロックは、処理部23がプログラムを実行することによって実現される機能モジュールである。これらの各部は、専用の処理回路として管理装置2に実装されてもよい。
【0022】
図3は、編集装置3の例示的な機能ブロック図である。編集装置3は、例えばPC、タブレット端末、スマートフォン等のコンピュータである。編集装置3は、点群情報を管理装置2から受信する。また、編集装置3は、点群情報に含まれる構成点のクラスを示すクラス情報を設定し、クラス情報を管理装置2に送信する。編集装置3は、記憶部31、通信部32、表示部33、操作部34および処理部35を有する。
【0023】
記憶部31は、プログラムおよびデータを記憶するための構成であり、例えば半導体メモリを備える。記憶部31は、プログラムとして、処理部35による処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等を記憶する。プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読取可能かつ非一時的な可搬型記憶媒体から記憶部31にインストールされる。
【0024】
通信部32は、編集装置3を他の装置と通信可能にする構成であり、通信インタフェース回路を備える。通信インタフェース回路は、有線LAN(Local Area Network)又は無線LAN等の通信インタフェース回路である。通信部32は、データを他の装置から受信して処理部35に供給するとともに、処理部35から供給されたデータを他の装置に送信する。
【0025】
表示部33は、画像を表示するための構成であり、液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイを備える。表示部33は、処理部35から供給された表示データに基づいて画像を表示する。
【0026】
操作部34は、編集装置3に対する操作を受け付けるための構成であり、キーボード、キーパッド、マウス等の入力デバイスを備える。操作部34は、表示部33と一体化されたタッチパネルを備えてもよい。操作部34は、受け付けた操作に応じた信号を処理部35に供給する。
【0027】
処理部35は、編集装置3の動作を統括的に制御する構成であり、一つまたは複数のプロセッサおよびその周辺回路を備える。処理部35は、例えば、CPUを備える。処理部23は、GPU、DSP、LSI、ASIC、FPGA等を備えてもよい。処理部35は、記憶部31に記憶されているプログラムに基づいて編集装置3の各種処理が適切な手順で実行されるように、各構成の動作を制御するとともに、各種の処理を実行する。
【0028】
処理部35は、受信部351、生成部352、送信部353、分類部354、設定部355および変換部356を機能ブロックとして有する。これらの機能ブロックは、処理部35がプログラムを実行することによって実現される機能モジュールである。これらの機能ブロックは、専用の処理回路として編集装置3に実装されてもよい。
【0029】
図4は、点群情報テーブルT1のデータ構造の例を示す図である。点群情報テーブルT1は、点群情報を記憶する。点群情報は、LiDAR計測により取得され、管理装置2に記憶される。点群情報は、例えばLASファイル形式に従うデータであるが、このような例に限られず、テキストデータ等の任意の形式のデータでもよい。
【0030】
点群情報は、複数の構成点のそれぞれを識別する構成点IDと、各構成点の座標情報を記憶する。各構成点は、LiDAR計測において照射されたレーザの反射点に対応する。構成点IDは、各構成点を識別する情報である。座標情報は、座標空間において構成点の位置を示す情報である。座標空間は、平面直角座標系または任意の数学座標系(直交座標系)に従う空間である。点群情報に含まれる複数の構成点は、所定の基準に基づいて順序付けられる。図4に示す例では、複数の構成点は、構成点IDに基づいて順序付けられている。
【0031】
図5は、クラス情報テーブルT2のデータ構造の一例を示す図である。クラス情報テーブルT2は、複数の構成点のそれぞれのクラスを示すクラス情報を記憶する。クラスは、各構成点が示す物体の種別等を示す情報である。例えば、地表および建物のクラス情報が対応付けられた構成点は、座標空間において、地表および建物の形状をそれぞれ示す。また、ノイズのクラス情報が対応付けられた構成点は、レーザのマルチパスまたは空気中の雲若しくは水蒸気での反射等のノイズに起因するものであり、特定の物体の形状を示さない。
【0032】
クラス情報は、点群情報テーブルT4に含まれる構成点と同一の順序となるように順序付けられる。これにより、クラス情報を取得した管理装置2は、クラス情報に構成点IDおよび座標情報が含まれなくても、点群情報に含まれる各構成点にクラス情報を対応付けることができる。図5に示す例では、構成点IDが1、2、3および4の構成点に、地表クラス、建物クラス、建物クラスおよびノイズクラスがそれぞれ設定されている。
【0033】
図6は、送受信システム1によって実行されるクラス情報設定処理の流れの例を示すシーケンス図である。クラス情報設定処理は、点群情報にクラス情報を対応付けるための処理である。クラス情報設定処理は、管理装置2および編集装置3の処理部が、各装置の他の構成と協働することにより実現される。
【0034】
最初に、管理装置2の送信部231は、通信部22を介して点群情報を編集装置3に送信する(ステップS101)。点群情報は、記憶部21にあらかじめ記憶されている。記憶部21に記憶されている点群情報は、第1点群情報の一例である。
【0035】
次に、編集装置3の受信部351は、通信部32を介して点群情報を受信する(ステップS102)。受信部351は、受信した点群情報を記憶部31に記憶する。記憶部31に記憶されている点群情報は、第2点群情報の一例である。
【0036】
次に、編集装置3の生成部352は、クラス情報を生成する(ステップS103)。例えば、生成部352は、所定のアルゴリズムに従って、点群情報に含まれる複数の構成点のそれぞれにクラスを自動で設定する。生成部352は、点群情報に含まれる構成点を表示部33に表示し、操作部34に対する作業者の操作に基づいて各構成点にクラスを手動で設定してもよい。生成部352は、各構成点に設定されたクラスを示すクラス情報を生成して記憶部31に記憶する。
【0037】
次に、変換処理が実行される(ステップS104)。変換処理は、クラス情報に基づいて変換データを生成する処理である。変換データは、クラス情報を可逆圧縮したデータである。変換処理の詳細は後述する。
【0038】
次に、編集装置3の送信部353は、通信部32を介して変換データを管理装置2に送信する(ステップS105)。
【0039】
次に、管理装置2の受信部232は、通信部22を介して変換データを受信する(ステップS106)。受信部232は、受信した変換データを記憶部21に記憶する。
【0040】
次に、管理装置2の対応付け部233は、対応付け処理を実行する(ステップS107)。対応付け処理は、変換データに基づいて、複数の構成点にクラス情報を対応付ける処理である。対応付け処理の詳細は後述する。以上で、クラス情報設定処理が終了する。
【0041】
図7は、変換処理の流れの例を示すフロー図である。変換処理は、編集装置3によって、クラス情報設定処理のステップS104において実行される。
【0042】
最初に、分類部354は、点群情報およびクラス情報を第2記憶部31から取得する(ステップS201)。
【0043】
次に、分類部354は、所定の規則に従って、点群情報に含まれる構成点を複数のグループに分類する(ステップS202)。例えば、分類部354は、点群情報に含まれる構成点を、各構成点の位置情報に基づいて複数のグループに分類する。
【0044】
図8は、構成点の分類の例について説明するための模式図である。分類部354は、点群情報に含まれる複数の構成点Pの水平方向における分布範囲Rを特定する。図8に示す例では、水平方向は、例えば任意の数学座標系(直交座標系)におけるX方向およびY方向を含む平面に沿った方向である。この場合、分類部354は、複数の構成点のうちから、最小のX座標を有する構成点、最大のX座標を有する構成点、最小のY座標を有する構成点および最大のY座標を有する構成点をそれぞれ特定する。分類部354は、X方向において最小のX座標の位置から最大のX座標の位置まで延伸し、Y方向において最小のY座標の位置から最大のY座標の位置まで延伸する矩形領域を分布範囲Rとして特定する。図8に示す例では、X方向における幅がWxであり、Y方向における幅がWyである矩形領域が分布範囲Rとして特定されている。
【0045】
分類部354は、それぞれが所定の大きさおよび形状を有する複数のバケットを分布範囲に設定する。図8に示す例では、各バケットはX方向の幅がbx、Y方向の幅がbyである矩形の領域であり、各バケットは分布範囲の内部でX方向およびY方向に配列されている。各バケットの大きさは、バケットの内部において地物および地表の形状が急峻に変化しないような範囲で設定される。例えば、bxおよびbyは、それぞれ10[m]以上かつ100[m]以下に設定される。図8に示す例では、X方向にN個のバケットが、Y方向にM個のバケットが配列されている。NはWxをbxで除した値以上で最小の整数であり、MはWyをbyで除した値以上で最小の整数である。
【0046】
分類部354は、複数のバケットを、それらの位置関係に基づいて順序付ける。例えば、複数のバケットは、X方向またはY方向に隣接するバケットが隣接する順序となるように順序付けられる。図8に示す例では、X方向に隣接するバケットが隣接する順序になるように順序付けられている。すなわち、図8に示す例では、分布範囲Rの左上端に位置するバケットB1が先頭のバケットとされ、そこから右側に位置するバケットB2、…BNが隣接する順序となるように順序付けられている。分布範囲Rの右上端に位置するBNの次がバケットB1にY方向に隣接するバケットB(N+1)となるように順序付けられている。以降も同様の規則に従い、各バケットが順序付けられている。
【0047】
分類部354は、各構成点の水平位置に基づいて、各構成点が複数のバケットのうちのいずれに含まれるかを判定する。すなわち、分類部354は、各構成点のX座標およびY座標によって特定される水平位置が、いずれのバケットの内部に位置するかを判定する。分類部354は、同一のバケットに含まれる構成点が同一のグループに含まれるように、各構成点を複数のグループに分類する。なお、一般的な点群データにおいては、各バケットに数百点以上の構成点が含まれるが、見やすさのため、図8では一部の構成点のみが図示されている。
【0048】
図7に戻り、次に、分類部354は、所定の規則に従って、点群情報に含まれる構成点を、座標情報に基づいて並べ替える(ステップS203)。例えば、分類部354は、各グループのそれぞれについて、ステップS202と同様にして、各グループの内部に小バケットを設定することにより、グループに含まれる構成点を複数の小グループに分類する。小バケットの大きさは、各小グループに含まれる構成点の数が概ね数十以下となるように、LiDAR計測の測定密度に応じて設定される。例えば、小バケットは、X方向の幅およびY方向の幅がそれぞれ1[m]以上かつ2[m]以下となるように設定される。分類部354は、ステップS202におけるバケットの順序付けと同様に、複数の小バケットをそれらの位置関係に基づいて順序付ける。
【0049】
分類部354は、各小グループのそれぞれについて、小グループに含まれる構成点を座標情報に基づいて並べ替える。例えば、小グループに含まれる構成点は、X座標の昇順となるように並べ替えられる。X座標が同一である複数の構成点がある場合には、それらの構成点は、Y座標の昇順となるように並べ替えられる。X座標およびY座標が同一である複数の構成点がある場合には、それらの構成点は、Z座標の昇順となるように並べ替えられる。例えば、分類部354は、クイックソートを適用して小グループに含まれる構成点を並べ替える。
【0050】
分類部354は、同一のグループの内部の各小グループに含まれる、並べ替えられた構成点を、各小グループの順序に基づいて連結することにより、各グループに含まれる構成点を並べ替える。分類部354は、各グループに含まれる、並べ替えられた構成点を、各グループの順序に基づいて連結することにより、点群情報に含まれる構成点を並べ替える。すなわち、分類部354は、2段階のバケットソートとクイックソートを組み合わせて適用して構成点を並べ替える。計算量がO(N)であるバケットソートにおいて同一の小バケットに含まれた構成点のみに計算量がO(NlogN)であるクイックソートを適用することにより、全ての構成点にクイックソートを適用する場合よりも高速に構成点が並べ替えられる。
【0051】
図9は、構成点の並べ替えの結果について説明するための模式図である。点群情報に含まれる複数の構成点は、各構成点が含まれるグループの順序に基づいて並べられる。グループの順序は、各グループに対応する、ステップS202で設定されたバケットの順序である。同一のグループに属する複数の構成点は、各構成点が含まれる小グループの順序に基づいて並べられる。小グループの順序は、各小グループに対応する小バケットの順序である。同一の小グループに属する複数の構成点は、X座標、Y座標およびZ座標の昇順に並べられる。
【0052】
図7に戻り、次に、分類部354は、並べ替えられた構成点に対応するようにクラス情報を並べ替える(ステップS204)。
【0053】
次に、設定部355は、ステップS202で設定された複数のグループのうちから処理対象のグループを選択する(ステップS205)。例えば、設定部355は、グループの順序に基づいて、処理対象のグループを選択する。
【0054】
次に、設定部355は、領域設定処理を実行する(ステップS206)。領域設定処理は、処理対象のグループに含まれる構成点の座標情報に基づいて、座標空間に複数の領域を設定する処理である。領域設定処理の詳細は後述する。
【0055】
次に、変換部356は、設定された複数の領域のうちから処理対象の領域を選択する(ステップS207)。
【0056】
次に、変換部356は、処理対象の領域が単一クラス領域であるか、複数クラス領域であるかを判定する(ステップS208)。単一クラス領域は、処理対象のグループに含まれる構成点のうち、含まれる全ての構成点のクラスが同一である領域である。複数クラス領域は、処理対象のグループに含まれる構成点のうち、含まれる構成点のクラスが2種類以上である領域である。
【0057】
処理対象の領域が単一クラス領域である場合(ステップS208-Yes)、変換部356は、単一クラス領域に含まれる構成点のクラス情報を領域クラス情報に変換する(ステップS209)。領域クラス情報は、単一クラス領域の識別情報と単一クラス領域に含まれる構成点のクラスの識別情報とが対応付けられた情報である。
【0058】
すなわち、処理対象の領域が単一クラス領域である場合には、処理対象の領域に含まれる全ての構成点のクラスが同一であるため、個々の構成点のクラス情報を記憶する必要がない。個々の構成点のクラス情報が省略され、代わりに処理対象の領域に含まれる構成点のクラスの識別情報のみを記憶することにより、データ量が低減される。
【0059】
処理対象の領域が複数クラス領域である場合(ステップS208-No)、変換部356は、複数クラス領域に含まれる構成点のクラス情報を符号化クラス情報に変換する(ステップS210)。符号化クラス情報は、複数クラス領域に含まれる構成点のクラス情報を、領域最頻クラスの識別情報が省略されるように変換した情報である。領域最頻クラスは、処理対象のグループに含まれ、かつ処理対象の複数クラス領域に含まれる構成点のクラスのうち、最も多くの構成点に対応するクラスである。
【0060】
図10は、符号化クラス情報について説明するための模式図である。変換部356は、点群情報に含まれる構成点のクラス情報から、処理対象のグループに含まれ、かつ処理対象の領域に含まれる構成点のクラス情報を抽出する。このとき、変換部356は、ステップS204で並べ替えられたクラス情報の順序が維持されるようにクラス情報CLを抽出する。
【0061】
変換部356は、抽出されたクラス情報CLに基づいて、領域最頻クラスおよび非領域最頻クラスを特定する。非領域最頻クラスは、処理対象のグループに含まれ、かつ処理対象の複数クラス領域に含まれる構成点のクラスのうち、領域最頻クラスとは異なるクラスである。図10に示す例では、領域最頻クラスとして建物クラスが、非領域最頻クラスとして地表クラスおよびノイズクラスがそれぞれ特定される。
【0062】
変換部356は、非領域最頻クラスの種類を計数し、計数の結果に応じたビット数で非領域最頻クラスのクラス情報を符号化する。図10に示す例では、クラス情報CLには地表クラス、建物クラスおよびノイズクラスの3種類のクラスが含まれている。また、3種類のクラスのうちの建物クラスが領域最頻クラスとして特定されている。したがって、非領域最頻クラスには、地表クラスおよびノイズクラスの2種類のクラスが含まれる。これらのクラスを識別可能となるように、非領域最頻クラスのクラス情報は1ビットで符号化される。図10に示す例では、地表クラスおよびノイズクラスのクラス情報がそれぞれビット列0および1で符号化されている。
【0063】
また、変換部356は、各種類のクラスについて、同種のクラスが連続する最大数を算出する。図10に示す例では、地表、建物およびノイズのクラスが連続する最大数はそれぞれ3、4および2である。変換部356は、算出された最大数に基づいて、同種のクラスが連続する連続数を符号化するときのビット数を決定する。このとき、変換部356は、領域最頻クラスについては、0以上かつ最大数以下の整数が識別可能となるようにビット数を決定する。また、変換部356は、非領域最頻クラスについては、1以上かつ最大数以下の整数が識別可能となるようにビット数を決定する。図10に示す例では、領域最頻クラスである建物クラスについては、0以上かつ4以下の整数(すなわち、0、1、2、3および4)が識別可能となるように、3ビットで符号化される。非領域最頻クラスである地表クラスについては、1から3までの整数(すなわち、1、2または3)が識別可能となるように、2ビットで符号化される。非領域最頻クラスであるノイズクラスについては、1以上かつ2以下の整数(すなわち、1または2)が識別可能となるように、1ビットで符号化される。変換部356は、決定したビット数に従って連続数を符号化する。
【0064】
変換部356は、領域最頻クラスの連続数、非領域最頻クラスの識別情報および非領域最頻クラスの連続数がこの順で繰り返すように、複数クラス領域に含まれる構成点のクラス情報を符号化することにより、符号化クラス情報を生成する。図10に示す例では、見やすさのため、変換データの非領域最頻クラスの識別情報と連続数との間にハイフン(-)が、領域最頻クラスの連続数と非領域最頻クラスの識別情報との間および非領域最頻クラスの連続数と領域最頻クラスの連続数との間にスラッシュ(/)がそれぞれ図示されている。図10に示すように、異なる種類の非領域最頻クラスが連続する場合には、変換データにおいて、それらの間に領域最頻クラスの連続数が0であること(すなわち、非領域最頻クラスの間に領域最頻クラスがないこと)を示す000のビット列(下線にて図示)が挿入される。
【0065】
このようにして生成された符号化クラス情報には、非領域最頻クラスの識別情報は含まれるが、領域最頻クラスの識別情報が含まれない。すなわち、変換部356は、領域最頻クラスの識別情報が省略されるように複数クラス領域に含まれる構成点のクラス情報を変換する。
【0066】
図7に戻り、ステップS209またはS210の次に、変換部356は、全ての領域が処理対象の領域として選択されたか否かを判定する(ステップS211)。
【0067】
全ての領域が処理対象の領域として選択されていない場合(ステップS211-No)、変換処理はステップS207に戻り、変換部356は、まだ処理対象の領域として選択されていない領域のうちのいずれかを処理対象の領域として選択する。
【0068】
全ての領域が処理対象の領域として選択されている場合(ステップS211-Yes)、設定部355は、全てのグループが処理対象のグループとして選択されたか否かを判定する(ステップS212)。
【0069】
全てのグループが処理対象のグループとして選択されていない場合(ステップS212-No)、変換処理はステップS205に戻り、設定部355は、まだ処理対象のグループとして選択されていないグループのうちのいずれかを処理対象のグループとして選択する。
【0070】
全てのグループが処理対象のグループとして選択されている場合(ステップS212-Yes)、変換部356は、変換データを生成する(ステップS213)。変換部356は、各グループについて設定された複数の領域についての領域クラス情報または符号化クラス情報を所定の順序で連結する。例えば、所定の順序は、複数の領域の位置関係に基づく順序である。変換部356は、各グループについて連結された領域クラス情報または符号化クラス情報を、グループの順序に基づいて連結することにより、変換データを生成する。以上で、変換処理は終了する。
【0071】
図11は、領域設定処理の流れの例を示すフロー図である。領域設定処理は、編集装置3によって、変換処理のステップS206において実行される。
【0072】
最初に、設定部355は、複数の領域を分離する分離面を算出するための条件が満たされているか否かを判定する(ステップS301)。分離面を算出するための条件は、処理対象のグループに含まれる構成点のクラスの種類の数に基づく条件である。例えば、分離面を算出するための条件は、処理対象のグループに含まれる構成点のクラスが2種類以上であることである。
【0073】
分離面を算出するための条件が満たされていない場合(ステップS301-No)、領域設定処理は終了する。
【0074】
分離面を算出するための条件が満たされている場合(ステップS301-Yes)、設定部355は、処理対象のグループに含まれる構成点の座標情報を正規化する(ステップS302)。
【0075】
図12は、座標情報の正規化について説明するための模式図である。設定部355は、変換処理のステップS201で設定された、処理対象のグループに対応するバケットBの4つの頂点のX座標およびY座標(X,Y)が(-1,-1)、(-1,1)、(1,-1)および(1,1)となるようにX座標およびY座標を線形座標変換する。また、設定部355は、処理対象のグループに含まれる構成点のZ座標の平均値Zav、最小値Zminおよび最大値Zmaxを算出する。設定部355は、平均値Zavと最小値Zminとの差の絶対値が平均値Zavと最大値Zmaxとの差の絶対値よりも大きい場合には、平均値Zavが0となり、最小値Zminが-1となるようにZ座標を線形座標変換する。設定部355は、平均値Zavと最大値Zmaxとの差の絶対値が平均値Zavと最小値Zminとの差の絶対値よりも大きい場合には、平均値Zavが0となり、最大値Zmaxが1となるようにZ座標を線形座標変換する。
【0076】
このようにして、処理対象のグループに含まれる構成点のX座標、Y座標およびZ座標の絶対値が1以下となるように、構成点の座標情報が正規化される。なお、構成点のZ座標の平均値Zavに代えて、構成点のZ座標の中央値が用いられてもよい。
【0077】
図11に戻り、次に、設定部355は、処理対象のグループに含まれる構成点のクラスのうち、最も多くの構成点に対応する最頻クラスを特定し、最頻クラスの構成点の近似平面を算出する(ステップS303)。例えば、設定部355は、最頻クラスの構成点の座標情報を要素とする行列に特異値分解を適用し、行列の特異値および特異ベクトルを算出する。設定部355は、最小の特異値に対応する3次元の特異ベクトルを法線とする平面のうち、最頻クラスの構成点の重心を通るものを最頻クラスの構成点の近似平面として算出する。設定部355は、主成分分析等の他の方法を用いて近似平面を算出してもよい。
【0078】
次に、設定部355は、分離面として、下方分離面および上方分離面を算出する(ステップS304)。下方分離面は近似平面より下方の分離面であり、上方分離面は近似平面より上方の分離面である。ここで、下方はZ軸の負の方向であり、上方はZ軸の正の方向である。
【0079】
図13は、下方分離面および上方分離面の算出について説明するための模式図である。図13において、白丸で図示された構成点は、最頻クラスである建物クラスの構成点である。黒丸で図示された構成点は、最頻クラスとは異なる非最頻クラスである地表クラスの構成点である。三角形で図示された構成点は、非最頻クラスであるノイズクラスの構成点である。
【0080】
設定部355は、近似平面APより下方の非最頻クラスの構成点のうち、近似平面APとの間のZ方向に沿った距離が最小である構成点を特定する。設定部355は、近似平面に平行な平面のうち、特定された構成点を通る平面を下方分離面として算出する。図13に示す例では、近似平面APとの間のZ方向に沿った距離Dが最小である地表クラスの構成点PLが特定され、構成点PLを通る下方分離面LPが算出されている。
【0081】
近似平面は、次の式により表される。
【数1】
設定部355は、近似平面APより下方の非最頻クラスの各構成点について、次の式で示されるZpを算出する。
【数2】
ここで、XpおよびYpは、構成点のX座標およびY座標である。設定部355は、近似平面APより下方の非最頻クラスの構成点のうち、Zpが最大となる構成点を、近似平面APとの間のZ方向に沿った距離Dが最小である構成点PLとして特定することができる。
【0082】
なお、近似平面APより下方に非最頻クラスの構成点がない場合、設定部355は、下方分離面を算出しない。
【0083】
また、設定部355は、近似平面APより上方の非最頻クラスの構成点のうち、近似平面APとの間のZ方向に沿った距離が最小である構成点を特定する。設定部355は、近似平面に平行な平面のうち、特定された構成点を通る平面を上方分離面として算出する。図13に示す例では、近似平面APとの間のZ方向に沿った距離が最小であるノイズクラスの構成点PUが特定され、構成点PUを通る上方分離面UPが算出されている。
【0084】
設定部355は、近似平面APより上方の非最頻クラスの各構成点について、上述の式によりZpを算出する。設定部355は、近似平面APより上方の非最頻クラスのうち、Zpが最小となる構成点を、近似平面APとの間のZ方向に沿った距離Dが最小である構成点PUとして特定することができる。
【0085】
なお、近似平面APより上方に非最頻クラスの構成点がない場合、設定部355は、上方分離面を算出しない。
【0086】
このようにして下方分離面および上方分離面を算出することにより、下方分離面および上方分離面に挟まれた領域が単一クラス領域になる。設定部355は、算出された下方分離面および上方分離面を示すパラメータ(a,b,cおよびd)を記憶部31に記憶する。
【0087】
図11に戻り、次に、設定部355は、追加分離面を算出するための条件が満たされているか否かを判定する(ステップS305)。追加分離面は、下方分離面および上方分離面とは異なる分離面である。追加分離面を算出するための条件は、領域に含まれる構成点のクラスの種類の数に基づく条件である。例えば、追加分離面を算出するための条件は、いずれかの領域に含まれる構成点のクラスが3種類以上であることである。
【0088】
追加分離面を算出するための条件が満たされている場合(ステップS305-Yes)、設定部355は、条件が満たされた領域について追加分離面を算出する(ステップS306)。
【0089】
図14は、追加分離面の算出について説明するための模式図である。図13と同様に、図14において、白丸で図示された構成点は、最頻クラスである建物クラスの構成点である。黒丸で図示された構成点は、最頻クラスとは異なる非最頻クラスである地表クラスの構成点である。三角形で図示された構成点は、非最頻クラスであるノイズクラスの構成点である。
【0090】
図14に示す例では、下方分離面LPより下方の領域には、建物クラス、地表クラスおよびノイズクラスの3種類のクラスの構成点が含まれている。したがって、下方分離面LPより下方の領域について追加分離面が算出される。一方で、上方分離面UPより上方の領域には、ノイズクラスの構成点のみが含まれている。したがって、上方分離面UPより上方の領域について追加分離面は算出されない。
【0091】
設定部355は、条件が満たされた領域に含まれる構成点のクラスのうち、最も多くの構成点に対応する第1最頻クラスおよび2番目に多くの構成点に対応する第2最頻クラスを特定する。図14に示す例では、地表クラスが第1最頻クラスとして、建物クラスが第2最頻クラスとしてそれぞれ特定される。
【0092】
設定部355は、条件が満たされた領域に含まれ、かつ第1最頻クラスおよび第2最頻クラスとは異なる非最頻クラスの構成点のうち、下方分離面との間のZ方向に沿った距離が最小である構成点を特定する。設定部355は、下方分離面に平行な平面のうち、特定された構成点を通る平面を追加分離面として算出する。図13に示す例では、下方分離面LPとの間のZ方向に沿った距離Dが最小であるノイズクラスの構成点PBが特定され、構成点PBを通る追加分離面BPが算出されている。
【0093】
なお、上方分離面より上方の領域について追加分離面が算出される場合には、設定部355は、非最頻クラスの構成点のうち、上方分離面との間のZ方向に沿った距離が最小である構成点を特定し、近似平面に平行な平面のうち、特定された構成点を通る平面を追加分離面として算出する。また、追加分離面よりも下方または上方の領域についてさらに追加分離面が算出される場合にも、同様に、設定部355は、近似平面に平行な平面のうち、追加分離面との間のZ方向に沿った距離が最小である構成点を通る平面をさらなる追加分離面として算出する。設定部355は、算出された追加分離面を示すパラメータを記憶部31に記憶する。追加分離面は下方分離面に平行であるから、追加分離面を示すパラメータは、その傾きを示すパラメータを含まなくてもよい。
【0094】
図11に戻り、ステップS306の次に領域設定処理はステップS305に戻り、設定部355は、追加分離面を算出するための条件が満たされているか否かを判定する。
【0095】
ステップS305において追加分離面を算出するための条件が満たされていない場合(ステップS305-No)、領域設定処理は終了する。
【0096】
図15は、変換処理によって生成される変換データDのデータ構造の例を示す図である。変換データDは、グループの識別情報、領域の数、分離面のパラメータ、各領域に含まれる構成点のクラスに関する情報を相互に関連付ける。
【0097】
図15に示す例では、グループG1について2つの分離面が算出されているため、3つの領域が設定されている。また、平面である分離面は4つのパラメータにより特定されるため、分離面のパラメータとして4つのパラメータが記憶されている。各領域に含まれる構成点のクラスに関する情報は、領域が単一クラス領域であるか複数クラス領域であるかに応じて異なる。領域が単一クラス領域である場合には、変換処理のステップS209で生成された領域クラス情報が記憶される。
【0098】
図16は、複数クラス領域に含まれる構成点のクラスに関する情報Eのデータ構造の例を示す図である。複数クラス領域に含まれる構成点のクラスに関する情報Eは、複数クラス領域に含まれる構成点のクラスの種類の数、構成点のクラス情報、連続数を符号化するためのビット数、非領域最頻クラスの識別情報および符号化クラス情報を相互に関連付ける。
【0099】
複数クラス領域に含まれる構成点のクラス情報は、対応する構成点の数の降順に順序付けられる。連続数を符号化するためのビット数は、構成点のクラス情報と同様に順序付けられる。図16に示す例では、複数クラス領域に含まれる構成点のうち、建物クラスの構成点が最も多く、ノイズクラスの構成点が最も少ないことが示されている。また、建物クラス、地表クラスおよびノイズクラスの連続数を符号化するためのビット数は、それぞれ3、2および1であることが示されている。
【0100】
非領域最頻クラスの識別情報は、構成点のクラス情報と同様に順序付けられる。図16に示す例では、非領域最頻クラスの識別情報は、領域最頻クラスである建物クラスを除くクラスについて、対応する構成点の数の降順に順序付けられている。すなわち、地表クラスの識別情報が0であり、ノイズクラスの識別情報が1であることが示されている。符号化クラス情報は、変換処理のステップS210において生成されたものである。
【0101】
図17は、対応付け処理の流れの例を示すフロー図である。対応付け処理は、管理装置2によって、クラス情報設定処理のステップS107において実行される。
【0102】
最初に、対応付け部233は、所定の規則に従って、点群情報に含まれる構成点を複数のグループに分類する(ステップS401)。対応付け部233は、変換処理のステップS201における分類と同一の規則に従って構成点を複数のグループに分類する。
【0103】
次に、対応付け部233は、所定の規則に従って、点群情報に含まれる構成点を、座標情報に基づいて並べ替える(ステップS402)。対応付け部233は、変換処理のステップS202における並べ替えと同一の規則に従って構成点を並べ替える。
【0104】
次に、対応付け部233は、複数のグループのうちから、処理対象のグループを選択する(ステップS403)。
【0105】
次に、対応付け部233は、処理対象のグループについて設定された複数の領域のうちから、処理対象の領域を選択する(ステップS404)。
【0106】
次に、対応付け部233は、並べ替えられた構成点のうちから、処理対象の領域に含まれる構成点を抽出する(ステップS405)。対応付け部233は、変換データから、処理対象のグループについて算出された分離面のパラメータを取得する。対応付け部233は、取得した分離面のパラメータに基づいて、処理対象のグループに含まれる構成点のそれぞれが分離面の上方に位置するか下方に位置するかを判定する。対応付け部233は、判定の結果に基づいて、各構成点が処理対象の領域に含まれるか否かを判定する。
【0107】
次に、対応付け部233は、抽出された構成点にクラス情報を対応付ける(ステップS406)。対応付け部233は、変換データを参照して、処理対象の領域が単一クラス領域であるか複数クラス領域であるかを判定する。
【0108】
処理対象の領域が単一クラス領域である場合には、対応付け部233は、変換データから、処理対象の領域に対応する領域クラス情報を取得する。対応付け部233は、領域クラス情報に含まれるクラスの識別情報を、抽出された構成点のそれぞれに対応付ける。
【0109】
処理対象の領域が複数クラス情報である場合には、対応付け部233は、変換データから、処理対象の領域に対応する符号化パラメータおよび符号化クラス情報を取得する。対応付け部233は、符号化パラメータに基づいて符号化クラス情報を復号してクラス情報を生成し、抽出された構成点のそれぞれに対応付ける。
【0110】
次に、対応付け部233は、全ての領域が処理対象の領域として選択されたか否かを判定する(ステップS407)。
【0111】
全ての領域が処理対象の領域として選択されていない場合(ステップS407-No)、対応付け処理はステップS404に戻り、対応付け部233は、まだ処理対象の領域として選択されていない領域のうちのいずれかを処理対象の領域として選択する。
【0112】
全ての領域が処理対象の領域として選択されている場合(ステップS407-Yes)、対応付け部233は、全てのグループが処理対象のグループとして選択されたか否かを判定する(ステップS408)。
【0113】
全てのグループが処理対象のグループとして選択されていない場合(ステップS408-No)、対応付け処理はステップS403に戻り、対応付け部233は、まだ処理対象のグループとして選択されていないグループのうちのいずれかを処理対象のグループとして選択する。
【0114】
全てのグループが処理対象のグループとして選択されている場合(ステップS408-Yes)、対応付け処理は終了する。
【0115】
以上説明したように、送受信システム1において、編集装置3の生成部352は、複数の構成点の座標情報を含まず、かつ複数の構成点のクラスを示すクラス情報を生成する。管理装置2の対応付け部233は、クラス情報を複数の構成点に対応付ける。これにより、編集装置3が管理装置2に座標情報を送信する必要がなくなるため、送受信システム1は、点群のクラスを示す情報の送受信に要する時間を短縮することを可能とする。
【0116】
管理者は、管理装置2によって構成点に対応付けられたクラス情報が適切なものであるかを検査する。クラス情報が不適切なものである場合には、編集装置3によってクラス情報が修正され、再び管理装置2に送信される。このように、クラス情報は繰り返し編集装置3から管理装置2に送信されることがあるため、クラス情報の送受信に要する時間は、クラス情報の設定作業に要する時間のうち大きな割合を占める。クラス情報の送受信に要する時間が短縮されることにより、クラス情報の設定作業が大きく効率化される。
【0117】
また、編集装置3の分類部354は、点群情報に含まれる構成点を所定の規則に従って並べ替えるとともに、並べ替えられた構成点に対応するようにクラス情報を並べ替える。対応付け部233は、点群情報に含まれる構成点を所定の規則に従って並べ替え、並べ替えられた複数の構成点に並べ替えられたクラス情報を対応付ける。すなわち、構成点は、分類部354および対応付け部233によって、同一の規則に従って並べ替えられる。
【0118】
作業者が編集装置3を操作して構成点にクラスを手動で設定する場合には、作業者によって構成点の順序が変更される場合がある。編集装置3によって自動で設定されたクラスを作業者が確認する場合も同様である。これらの場合に管理装置2が構成点とクラス情報とを適切に対応付けるためには、編集装置3は、変更された構成点の順序を示す情報を管理装置2に送信する必要がある。送受信システム1においては、分類部354および対応付け部233があらかじめ設定された同一の規則に従って構成点を並べ替えるため、編集装置3または管理装置2において構成点の順序が変更された場合でも、変更された構成点の順序を示す情報を送受信することなく構成点にクラス情報を対応付けることができる。すなわち、管理装置2または編集装置3において構成点の順序が変更される場合でも構成点の順序を示す情報を送受信する必要がなくなるため、送受信システム1は、クラスを示す情報の送受信に要する時間を短縮することを可能とする。
【0119】
また、分類部354および対応付け部233は、所定の規則に従って複数の構成点を複数のグループに分類し、複数のグループのそれぞれについて構成点を並べ替える。構成点を複数のグループに分類することにより、一度の並べ替え処理の対象となる構成点の数が少なくなるため、並べ替え処理が効率化される。したがって、送受信システム1は、クラスを示す情報の送受信に伴う処理に要する時間を短縮することを可能とする。
【0120】
また、分類部354は、各グループについて、グループに分類された構成点を複数のグループに分類し、複数の小グループのそれぞれについて、小グループに含まれる構成点を座標情報に基づいて並べ替える。送受信システム1は、小グループごとに構成点を座標情報に基づいて並べ替えることにより、全ての構成点を座標情報に基づいて並べ替える場合よりも計算負荷を低減させる。
【0121】
また、送受信システム1において、設定部355は、座標空間に複数の領域を設定する。変換部356は、単一クラス領域に含まれる構成点のクラス情報を領域クラス情報に変換する。これにより、単一クラス領域に含まれる構成点のそれぞれのクラス情報を送信する必要がなくなるため、送受信システム1は、点群のクラスを示す情報の送受信に要する時間を短縮することを可能とする。
【0122】
また、変換部356は、複数クラス領域に含まれる構成点のクラスのうちから領域最頻クラスを特定し、領域最頻クラスの構成点のクラスの識別情報が省略されるように複数クラス領域に含まれる構成点のクラス情報を変換する。これにより、複数クラス領域に含まれる構成点のうち最も数が多い、領域最頻クラスを示すクラス情報が省略されるため、送受信システム1は、点群のクラスを示す情報の送受信に要する時間をより短縮することを可能とする。
【0123】
また、設定部355は、複数の領域に少なくとも1つの単一クラス領域が含まれるように、複数の領域を設定する。単一クラス領域においては、それに含まれる全ての構成点のクラス情報が省略されるのに対し、複数クラス領域においては、領域最頻クラスの構成点のクラス情報のみが省略される。したがって、単一クラス領域の方が、複数クラス領域よりもクラス情報のデータ量の削減効果が大きい。複数の領域に少なくとも1つの単一クラス領域が含まれるように複数の領域が設定されることにより、送受信システム1は、点群のクラスを示す情報の送受信に要する時間をより短縮することを可能とする。
【0124】
また、送受信システム1において、分類部354は、点群情報に含まれる構成点を、各構成点の座標情報に基づいて複数のグループに分類する。設定部355は、各グループに複数の領域を設定する。一般に、対象とする地理的領域が狭い場合には、その地理的領域の内部において地形は一様であるとみなすことができる。この場合、その地理的領域に対応する点群データに含まれる構成点の大部分(8割~9割程度)は同一のクラスが対応付けられる。構成点をその座標情報に基づいて複数のグループに分類することにより、同一のグループに含まれる構成点の大部分が同一のクラスとなるため、多くの構成点を単一クラス領域に含めることができる。これにより、多くの構成点のクラス情報が省略され、送受信システム1は、点群のクラスを示す情報の送受信に要する時間をさらに短縮することを可能とする。
【0125】
また、送受信システム1において、点群情報はLASファイル形式に従うデータである。これにより、送受信システム1は、LASファイル形式を用いる汎用的なシステムにおいても、点群のクラスを示す情報の送受信に要する時間を短縮することを可能とする。
【0126】
送受信システム1には、次に述べるような変形例が適用されてもよい。
【0127】
上述した実施形態では、領域設定処理のステップS303およびS304において、設定部355は、領域最頻クラスの近似平面に平行な下方分離面および上方分離面を算出するものとした。このような例に限られず、設定部355は、相互に傾きが異なる下方分離面および上方分離面を算出してもよい。
【0128】
図18は、相互に傾きが異なる下方分離面および上方分離面の算出について説明するための模式図である。設定部355は、変換処理のステップS202で設定された小バケットのそれぞれについて、小バケットに含まれる領域最頻クラスの構成点のうち、最も上方に位置するものおよび最も下方に位置するものをそれぞれ特定する。図18に示す例では、各小バケットに含まれ、かつ最も上方に位置する領域最頻クラスの構成点がPmaxとして特定され、各小バケットに含まれ、かつ最も下方に位置する領域最頻クラスの構成点がPminとして特定されている。
【0129】
次に、設定部355は、各バケットにおいて最も上方に位置する領域最頻クラスの構成点の近似平面である上方分離面と、各バケットにおいて最も下方に位置する領域最頻クラスの構成点の近似平面である下方分離面とをそれぞれ算出する。例えば、設定部355は、特異値分解、主成分分析等を用いて上方分離面および下方分離面を算出する。図18に示す例では、各小バケットにおいて最も上方に位置する領域最頻クラスの構成点Pmaxの近似平面として上方分離面UPが算出されている。また、各小バケットにおいて最も下方に位置する領域最頻クラスの構成点Pminの近似平面として下方分離面LPが算出されている。
【0130】
設定部355は、上方分離面と下方分離面との交線の平面位置が、処理対象のグループに対応するバケットの内部であるか否かを判定する。図18に示す例では、上方分離面UPと下方分離面LPとの交線ILの平面位置は、バケットBの内部でない。この場合、設定部355は、算出された上方分離面UPおよび下方分離面LPを採用する。
【0131】
交線の平面位置がバケットの内部である場合、上方分離面が下方分離面の下方に位置することがあるため、領域が適切に設定されなくなる。したがって、この場合、設定部355は、交線の平面位置がバケットの内部でなくなるように、上方分離面または下方分離面を再算出する。例えば、設定部355は、ステップS303およびS304の処理を実行して上方分離面および下方分離面を再算出し、この上方分離面および下方分離面を採用する。
【0132】
このように、相互に傾きが異なる上方分離面および下方分離面を算出することにより、各領域に同一のクラスの構成点が偏在しやすくなる。上述したように、単一クラス領域においては、全ての構成点のクラスの識別情報が省略される。また、複数クラス領域においては、領域最頻クラスの構成点のクラスの識別情報が省略される。したがって、特定の領域に同一のクラスの構成点が偏在するほど、変換処理においてデータ量が大きく削減される。
【0133】
なお、設定部355は、複数の領域に少なくとも1つの単一クラス領域が含まれるように、算出された上方分離面および下方分離面を平行移動させてもよい。例えば、ステップS304と同様に、設定部355は、所定位置より上方に位置する非最頻クラスの構成点のうち、上方分離面に対してZ方向に沿って最も下方に位置するものを通るように上方分離面を平行移動させる。また、設定部355は、所定位置より下方に位置する非最頻クラスの構成点のうち、下方分離面に対してZ方向に沿って最も上方に位置するものを通るように下方分離面を平行移動させる。例えば、所定位置は、処理対象のグループに含まれる構成点のZ座標の中央値に対応する位置である。図18に示す例では、上方分離面UPが、上方分離面UPに対してZ方向に沿って最も下方に位置する非最頻クラスの構成点PUを通る平面UP’に平行移動されている。また、下方分離面LPが、下方分離面LPに対してZ方向に沿って最も上方に位置する非最頻クラスの構成点PLを通る平面LP’に平行移動されている。これにより、各領域に同一のクラスの構成点がより偏在しやすくなる。
【0134】
上述した実施形態では、変換処理においてクラス情報が変換データに変換されるものとした。このような例に限られず、変換処理が省略されてもよい。この場合、送信部353は、点群情報に含まれる複数の構成点の座標情報を含まないクラス情報を管理装置2に送信する。このようにしても、座標情報を送信する必要がなくなるため、点群のクラスを示す情報の送受信に要する時間が短縮される。
【0135】
また、変換処理のステップS204以降が省略されてもよい。すなわち、送信部353は、所定の規則に従って並べ替えられたクラス情報を管理装置2に送信してもよい。このようにしても、点群のクラスを示す情報の送受信に要する時間が短縮される。また、管理装置2または編集装置3において構成点の順序が変更される場合でも、構成点の順序を示す情報を送受信する必要がなくなる。
【0136】
上述した実施形態では、変換処理のステップS201において、分類部354は、点群情報に含まれる構成点を複数のグループに分類するものとした。このような例に限られず、構成点が複数のグループに分類されなくてもよい。すなわち、ステップS201が省略されてもよい。構成点の分布範囲が狭い場合等には、構成点を複数のグループに分類しなくても、同一のクラスの構成点が同一の領域に遍在するようになり、変換データのデータ量が削減される。
【0137】
上述した実施形態では、変換処理のステップS202およびS203において、点群情報に含まれる構成点およびそのクラス情報が所定の規則に従って並べ替えられるものとした。このような例に限られず、分類部354は、構成点およびクラス情報を並べ替えなくてもよい。すなわち、ステップS202およびS203が省略されてもよい。管理装置2若しくは編集装置3において構成点の順序が変更されない場合、または点群情報に含まれる構成点が管理装置2においてあらかじめ所定の規則に従って並べ替えられている場合には、構成点およびクラス情報を並べ替えなくても、クラス情報が構成点に適切に対応付けられる。
【0138】
上述した実施形態では、変換処理によって生成される変換データには構成点IDが含まれないものとした。このような例に限られず、変換データに含まれるクラス情報に構成点IDが対応付けられていてもよい。これにより、管理装置2において、構成点とクラス情報とが容易に対応付けられる。また、この場合も、一部の構成点のクラス情報が省略されるため、点群のクラスを示す情報の送受信に要する時間が短縮される。
【0139】
上述した実施形態では、変換処理のステップS209において、変換部356は、複数クラス領域に含まれる構成点のクラス情報を、領域最頻クラスの構成点のクラスの識別情報が省略される符号化クラス情報に変換するものとした。このような例に限られず、構成点のクラスの識別情報が省略されなくてもよい。例えば、変換部356は、複数クラス領域に含まれる構成点のクラス情報を、構成点のクラスの識別情報とクラスの連続数とが繰り返されるランレングス符号に変換してもよい。また、変換部356は、複数クラス領域に含まれる構成点のクラス情報を符号化クラス情報とランレングス符号とにそれぞれ変換し、符号化クラス情報とランレングス符号とのうちデータ量が小さいものを採用してもよい。
【0140】
上述した実施形態では、領域設定処理のステップS303およびS304において、設定部355は、処理対象のグループのそれぞれについて近似平面を算出し、近似平面に平行な下方分離面および上方分離面を算出するものとした。このような例に限られず、設定部355は近似平面を算出しなくてもよい。例えば、設定部355は、処理対象のグループのそれぞれについて、そのグループに隣接するグループの下方分離面および上方分離面に平行な下方分離面および上方分離面をそれぞれ算出してもよい。このようにしても、隣接するグループの地形は類似している可能性が高いため、構成点をクラスに応じて適切に分類することができる。また、近似平面を算出する計算負荷が低減する。また、ステップS302において座標情報が正規化されているため、各分離面が平行である場合には各分離面の傾きを示すパラメータを省略することができ、点群のクラスを示す情報の送受信に要する時間が短縮される。
【0141】
また、設定部355は、下方分離面または上方分離面の傾きが小さい場合には、算出された下方分離面または上方分離面に代えて、水平面を分離面として算出してもよい。例えば、下方分離面または上方分離面の傾きが小さい場合とは、次の式で示されるvが閾値以上である場合である。
【数3】
これにより、各分離面の傾きを示すパラメータが省略されるため、点群のクラスを示す情報の送受信に要する時間が短縮される。
【0142】
上述した実施形態では、ステップS305における追加分離面を算出するための条件は、領域に含まれる構成点のクラスの種類の数に基づく条件であるものとした。このような例に限られず、追加分離面を算出するための条件は、領域に含まれる構成点の数および領域に含まれるクラスの種類の数に基づく条件であってもよい。例えば、追加分離面を算出するための条件は、(1)領域に含まれる構成点の数が閾値以上であり、かつ領域に含まれる構成点のクラスの種類の数が2種類以上であること、および(2)領域に含まれる構成点のクラスの種類の数が3種類以上であることのうちの少なくとも一方が満たされることであってもよい。
【0143】
この場合において、(1)の条件が満たされた場合には、設定部355は、ステップS301と同様に、領域に含まれる構成点のクラスのうちから領域最頻クラスと非最頻クラスとを特定し、追加分離面を算出する。すなわち、設定部355は、追加分離面によって単一クラス領域が分離されるように追加分離面を算出する。(2)の条件が満たされた場合には、設定部355は、ステップS306と同様に、領域に含まれる構成点のクラスのうちから第1領域最頻クラスと第2領域最頻クラスと非最頻クラスとを特定し、追加分離面を算出する。すなわち、設定部355は、追加分離面によって、2種類のクラスの構成点のみを含む複数クラス領域が分離されるように追加分離面を算出する。
【0144】
追加分離面によって単一クラス領域が分離されるとしても、その単一クラス領域に含まれる構成点の数が少ない場合には、クラス情報を領域クラス情報に変換することによるデータ量の削減の度合いは小さい。一方で、追加分離面を算出することにより編集装置3及び管理装置2における計算負荷が増加する。設定部355は、追加分離面によって分離される領域に含まれる構成点の数が少なく、データ量の削減の度合いが小さい場合に追加分離面を算出しないことにより、計算負荷を低減させる。
【0145】
また、設定部355は、追加分離面を算出した後に、算出された追加分離面を採用するための条件が満たされるか否かを判定してもよい。例えば、追加分離面を採用するための条件は、追加分離面によって分離された2つの領域のそれぞれに含まれる構成点の数に基づく条件である。
【0146】
この場合、設定部355は、ステップS305において、領域に含まれる構成点のクラスの種類の数が2種類以上であるか否かを判定する。領域に含まれる構成点のクラスの種類の数が2種類以上である場合、設定部355は、ステップS306において、単一クラス領域が分離されるように追加分離面を算出する。ステップS306の後に、設定部355は、追加分離面を採用するための条件が満たされているか否かを判定する。例えば、設定部355は、追加分離面によって分離された2つの領域のそれぞれに含まれる構成点の数が閾値以上であるか否かを判定する。2つの領域のそれぞれに含まれる構成点の数がいずれも閾値以上である場合、設定部355は追加分離面を採用し、領域設定処理はステップS305に戻る。2つの領域のうちの少なくとも一方に含まれる構成点の数が閾値未満である場合、設定部355は追加分離面を採用しない。この場合、設定部355は、2種類のクラスの構成点のみを含む複数クラス領域が分離されるように追加分離面を再算出し、再算出された追加分離面を採用する。その後、領域設定処理はステップS304に戻る。
【0147】
追加分離面によって分離された領域に含まれる構成点の数が少ない場合には、クラス情報を領域クラス情報または符号化クラス情報に変換することによるデータ量の削減の度合いは小さい。設定部355は、追加分離面によって分離される領域に含まれる構成点の数が多く、データ量の削減の度合いが大きい追加分離面を採用することにより、点群のクラスを示す情報の送受信に要する時間を効率的に短縮する。
【0148】
上述した実施形態では、下方分離面、上方分離面および追加分離面は平面であるものとした。このような例に限られず、下方分離面、上方分離面または追加分離面は、二次曲面等の曲面でもよい。これにより、構成点をより適切に分離することができる。
【0149】
当業者は、本発明の範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。例えば、上述した実施形態及び変形例は、本発明の範囲において、適宜に組み合わせて実施されてもよい。
【符号の説明】
【0150】
2 管理装置
231 送信部
232 受信部
233 対応付け部
3 編集装置
351 受信部
352 生成部
353 送信部
354 分類部
355 設定部
356 変換部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18