(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024547
(43)【公開日】2025-02-20
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/184 20210101AFI20250213BHJP
H01M 50/109 20210101ALI20250213BHJP
H01M 50/153 20210101ALI20250213BHJP
H01M 50/531 20210101ALI20250213BHJP
H01M 50/559 20210101ALI20250213BHJP
H01M 50/193 20210101ALI20250213BHJP
H01M 50/197 20210101ALI20250213BHJP
【FI】
H01M50/184 E
H01M50/109
H01M50/153
H01M50/531
H01M50/559
H01M50/193
H01M50/197
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128737
(22)【出願日】2023-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】影山 雅之
【テーマコード(参考)】
5H011
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA03
5H011HH02
5H011HH13
5H043AA05
5H043CA07
5H043LA21E
(57)【要約】
【課題】コンパクトな構成でありながら高い容量を有する電池を提供する。
【解決手段】本開示の一実施の形態の電池は、電池素子、外装体、封止体を備える。外装体は、第1の底部と、第1の方向に第1の底部と対向する第2の底部と、第1の底部と第2の底部との間に位置すると共に電池素子を取り囲む側壁部とを有する。外装体は、第1の底部として、電池素子に対し第1の方向に隣り合って配置されて電池素子と接続された端子部材と、その端子部材と離間し第1の方向に眺めた平面視において端子部材と重なり合うことなく端子部材を取り囲む環状の蓋部とを有する。外装体は、第2の底部および側壁部として、蓋部と接合されて電池素子を収容する収容部を有する。封止体は、端子部材の一部および蓋部の一部のそれぞれと接して第1の方向に重なり合うと共に端子部材と蓋部との隙間の少なくとも一部を覆うように配置される。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池素子と、
第1の底部と、第1の方向に前記第1の底部と対向する第2の底部と、前記第1の底部と前記第2の底部との間に位置すると共に前記電池素子を取り囲む側壁部とを有する外装体と、
封止体と
を備え、
前記外装体は、
前記第1の底部として、前記電池素子に対し前記第1の方向に隣り合って配置されて前記電池素子と接続された端子部材と、前記端子部材と離間し前記第1の方向に眺めた平面視において前記端子部材と重なり合うことなく前記端子部材を取り囲む環状の蓋部とを有し、
前記第2の底部および前記側壁部として、前記蓋部と接合されて前記電池素子を収容する収容部を有し、
前記封止体は、
前記端子部材の一部および前記蓋部の一部のそれぞれと接して前記第1の方向に重なり合うと共に前記端子部材と前記蓋部との隙間の少なくとも一部を覆うように配置される
電池。
【請求項2】
前記端子部材は、前記第1の方向において前記蓋部よりも前記外装体の内側に配置されている
請求項1記載の電池。
【請求項3】
前記蓋部は開口を有し、
前記端子部材は、前記開口の内部に配置されている
請求項1記載の電池。
【請求項4】
前記第1の方向において前記端子部材が占める領域は、前記第1の方向において前記蓋部が占める領域内に含まれている
請求項1記載の電池。
【請求項5】
前記封止体は、前記端子部材と前記蓋部との隙間を封止する
請求項1に記載の電池。
【請求項6】
前記端子部材と前記蓋部との隙間の少なくとも一部を埋める樹脂をさらに備えた
請求項1記載の電池。
【請求項7】
前記封止体は、前記端子部材の外側表面の一部および前記蓋部の外側表面の一部のそれぞれを覆っている
請求項1記載の電池。
【請求項8】
前記端子部材の内側表面の一部および前記蓋部の内側表面の一部のそれぞれを覆うと共に前記隙間を封止する追加封止体をさらに備えた
請求項1記載の電池。
【請求項9】
前記封止体は、基材層と、前記端子部材の一部および前記蓋部の一部のそれぞれと前記基材層とを接合する接合層とを含む積層構造を有する
請求項1記載の電池。
【請求項10】
前記基材層の剛性は、前記接合層の剛性よりも高い
請求項9記載の電池。
【請求項11】
前記基材層は金属層であり、前記接合層は樹脂接着層である
請求項10記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機などの多様な電子機器が普及しているため、小型かつ軽量であると共に高エネルギー密度を得ることが可能である電源として、二次電池の開発が進められている。この二次電池は、外装部材の内部に収納された正極、負極および電解質を備えており、その二次電池の構成に関しては、様々な検討がなされている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
例えば特許文献1には、正極体と負極体とがセパレータを介して積層または捲回されてなる電極体と、その電極体を収納する外装ケースとを備える密閉型蓄電装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
二次電池の性能を改善するために様々な検討がなされている。しかしながら、二次電池の性能には改善の余地がある。
【0006】
したがって、コンパクトな構成でありながら高い容量を有する電池を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態の電池は、電池素子と、外装体と、封止体とを備える。外装体は、第1の底部と、第1の方向に第1の底部と対向する第2の底部と、第1の底部と第2の底部との間に位置すると共に電池素子を取り囲む側壁部とを有する。外装体は、第1の底部として、電池素子に対し第1の方向に隣り合って配置されて電池素子と接続された端子部材と、その端子部材と離間し前記第1の方向に眺めた平面視において端子部材と重なり合うことなく端子部材を取り囲む環状の蓋部とを有する。外装部材は、第2の底部および側壁部として、蓋部と接合されて電池素子を収容する収容部を有する。封止体は、端子部材の一部および蓋部の一部のそれぞれと接して第1の方向に重なり合うと共に端子部材と蓋部との隙間の少なくとも一部を覆うように配置される。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一実施形態の電池によれば、蓋部と端子部材とが第1の方向に重なり合うことなく、電池素子が外装体の内部に収容される。このため、本開示の一実施形態の二次電池は、薄型の形状でありながら高い容量を有することができる。
【0009】
なお、本開示の効果は、必ずしもここで説明された効果に限定されるわけではなく、後述する本技術に関連する一連の効果のうちのいずれの効果でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】
図1Aは、本開示の一実施の形態としての二次電池の構成を表す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1Aに示した二次電池の断面構成を表す垂直断面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示した二次電池の一部の断面構成を拡大して表す拡大断面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示した電池素子の構成を表す部分断面図である。
【
図6】
図6は、第1変形例の二次電池の垂直断面構成を表す断面図である。
【
図7】
図7は、第2変形例の二次電池の一部の断面構成を拡大して表す拡大断面図である。
【
図8】
図8は、第3変形例の二次電池の一部の断面構成を拡大して表す拡大断面図である。
【
図9】
図9は、第4変形例の二次電池の一部の断面構成を拡大して表す拡大断面図である。
【
図10】
図10は、第5変形例の二次電池の一部の断面構成を拡大して表す拡大断面図である。
【
図11】
図11は、第6変形例の二次電池の一部の断面構成を拡大して表す拡大断面図である。
【
図12】
図12は、第7変形例の二次電池の一部の断面構成を拡大して表す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の一実施形態に関して、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、説明する順序は、下記の通りである。
1.一実施の形態
1-1.構成
1-2.動作
1-3.製造方法
1-4.作用および効果
2.一実施の形態の変形例
2-1.第1の変形例
2-2.第2の変形例
2-3.第3の変形例
2-4.第4の変形例
2-5.第5の変形例
2-6.第6の変形例
2-7.第7の変形例
3.その他の変形例
【0012】
<1.一実施の形態>
まず、本開示の一実施の形態の二次電池に関して説明する。
【0013】
ここで説明する二次電池は、扁平かつ柱状の立体的形状の外観を有しており、いわゆるコイン型およびボタン型などと呼称されている。この二次電池は、後述するように、互いに対向する一対の底部と、それら一対の底部の間に位置する側壁部とを有している。この二次電池では、外径よりも高さが小さくなっている。ここでいう「外径」とは、底部の最大直径(最大外径)である。この二次電池では、対向する一対の底部の各々の最大直径は互いに実質的に等しい。また、ここでいう「高さ」とは、一方の底部の上面から他方の底部の下面までの最大の距離である。なお、本実施の形態では、一対の底部が対向する方向を高さ方向Zとしている。
【0014】
二次電池の充放電原理は、特に限定されないが、以下では、電極反応物質の吸蔵放出を利用して電池容量が得られる場合に関して説明する。この二次電池は、正極および負極と共に電解質を備えている。この二次電池では、充電途中において負極の表面に電極反応物質が析出することを防止するために、その負極の充電容量が正極の放電容量よりも大きくなっている。すなわち、負極の単位面積当たりの電気化学容量は、正極の単位面積当たりの電気化学容量よりも大きくなるように設定されている。なお、本実施の形態の二次電池は、4.38V以上の高電圧での充電を実施した場合においてもエネルギー密度を下げずに良好なサイクル特性を発揮できる高充電圧仕様の二次電池である。
【0015】
電極反応物質の種類は、特に限定されないが、具体的には、アルカリ金属およびアルカリ土類金属などの軽金属である。アルカリ金属は、リチウム、ナトリウムおよびカリウムなどであると共に、アルカリ土類金属は、ベリリウム、マグネシウムおよびカルシウムなどである。
【0016】
以下では、電極反応物質がリチウムである場合を例に挙げる。リチウムの吸蔵放出を利用して電池容量が得られる二次電池は、いわゆるリチウムイオン二次電池である。このリチウムイオン二次電池では、リチウムがイオン状態で吸蔵放出される。
【0017】
(1-1.構成)
図1Aは、本実施の形態の二次電池の斜視構成を表している。
図1Bは、
図1Aに示した二次電池の構成を分解して表す斜視図である。
図2は、
図1Aに示した二次電池の高さ方向に沿った垂直断面構成を表している。
図3は、
図2に示した二次電池の一部の垂直断面を拡大して表した部分断面図である。ただし、
図3では、二次電池のうちの一部の構成要素のみを記載している。
【0018】
以下では、便宜上、
図1A,1Bおよび
図2のそれぞれにおける紙面上側を二次電池の上側として説明すると共に、
図1A,1Bおよび
図2のそれぞれにおける紙面下側を二次電池の下側として説明する。
【0019】
ここで説明する二次電池は、
図1Aに示したように、外径Dよりも高さHが小さい立体的形状、すなわち扁平かつ柱状の立体的形状を有している。
図1Aに示した二次電池の立体的形状は、扁平かつ円筒(円柱)状である。なお、本実施の形態では、
図1A,
図1Bおよび
図2のそれぞれにおける紙面上下方向を高さ方向Zとしている。したがって、高さHは、本実施の形態の二次電池における高さ方向Zの寸法を意味する。また、外径Dは、本実施の形態の二次電池における高さ方向Zと直交する方向の寸法を意味する。
【0020】
二次電池の寸法は、特に限定されないが、一例を挙げると、外径D=3mm~30mmであると共に、高さH=0.5mm~70mmである。ただし、高さHに対する外径Dの比(D/H)は、1よりも大きくなっている。すなわち、外径Dのほうが高さHよりも大きい。この比(D/H)の上限は、特に限定されないが、25以下であることが好ましい。
【0021】
この二次電池は、
図1A,
図1Bおよび
図2に示したように、外装体10と、封止体30と、電池素子40と、正極リード51と、負極リード52と、絶縁フィルム62,63とを備えている。
【0022】
[外装体]
外装体10は、
図1A,
図1Bおよび
図2に示したように、電池素子40などを収納する内部空間Vを有する中空構造体である。
【0023】
図1Aに示した構成例では、外装体10は、扁平かつ円柱状である二次電池の立体的形状に応じて、扁平かつ略円柱状の外形を有している。具体的には、外装体10は、互いに対向する一対の底部M1,M2と、底部M1と底部M2との間に位置する側壁部M3とを有している。すなわち、側壁部M3は、底部M1と底部M2とを繋ぐと共に電池素子40を取り囲んでいる。側壁部M3の上端部は底部M1に連結されている。側壁部M3の下端部は底部M2に連結されている。底部M1,M2のそれぞれの平面形状は円形である。側壁部M3は、円形の平面形状を有する円筒状部材である。
【0024】
外装体10は、底部M1として正極端子板11と蓋部12とを有し、底部M2および側壁部M3として収容部13とを有する。収容部13は、筒状壁部14と、負極端子板15とを有する。蓋部12と、筒状壁部14と、負極端子板15とは互いに溶接されて電池缶20(
図1A参照)を構成している。すなわち電池缶20は、互いに物理的に分離されていた蓋部12、筒状壁部14、および負極端子板15が互いに溶接されている缶であり、いわゆる溶接缶である。これにより、溶接後の電池缶20は、全体として物理的に一体化された1個の部材であり、事後的に蓋部12と、筒状壁部14と、負極端子板15とに分離できない状態である。また、蓋部12、筒状壁部14、および負極端子板15は、いずれも、例えば金属材料および合金材料などの複数の導電性材料のうちのいずれか1種以上を含んでいる。導電性材料は、例えばFe(鉄),Cu(銅),Ni(ニッケル),ステンレス鋼,鉄合金、銅合金、およびニッケル合金などである。ステンレス鋼の種類は、特に限定されないが、具体的には、SUS304およびSUS316などである。なお、電池缶20は、互いに物理的に分離されていた蓋部12と筒状壁部14と負極端子板15とが溶接により一体化されたものに限定されない。電池缶20は、例えば一の板状部材を成型加工することで蓋部12、筒状壁部14、および負極端子板15のうちの少なくとも2つが一体化したものであってもよい。
【0025】
蓋部12は、全体として円環状をなしており、高さ方向Zと直交する面内において正極端子板11を取り囲む開口縁12Kを有する。蓋部12は、高さ方向Zから眺めた平面視において正極端子板11と重なり合うことなく正極端子板11を取り囲んでいる。開口縁12Kにより画定される蓋部12の開口には、正極端子板11が配置されている。正極端子板11は、蓋部12の開口縁12Kと離間して対向する端面11Eを有する。開口縁12Kと正極端子板11の端面11Eとの隙間を跨ぐように覆う封止体30が配置されている。したがって、正極端子板11、蓋部12、筒状壁部14、負極端子板15、および封止体30によって外装体10の内部空間Vは封止されている。本実施の形態の二次電池では、内部空間Vに電池素子40が密封された状態となっている。蓋部12および正極端子板11は底部M1を構成し、負極端子板15は底部M2を構成し、筒状壁部14は側壁部M3を構成している。なお、蓋部12の径方向Rの寸法である幅W12は、筒状壁部14の径方向Rの寸法である幅W14よりも大きい。
【0026】
筒状壁部14の内側には、高さ方向Zに貫通する内部空間Vが設けられている。すなわち、筒状壁部14は高さ方向Zに対向する上部開放端14K1および下部開放端14K2を含んでいる。上部開放端14K1は、電池素子40が高さ方向Zに挿通可能な挿通口としての上部開口を形成している。同様に、電池素子40が高さ方向Zに挿通可能な挿通口としての下部開口を下部開放端14K2が形成していてもよい。
【0027】
正極端子板11は、
図1Aおよび
図1Bに示したように、蓋部12の開口を封止体30と共に閉塞している略円板状部材である。正極端子板11は、高さ方向Zと直交する水平面に沿って延在する外側表面11S1と、外側表面11S1の外縁に沿って周回する端面11Eとを含んでいる。正極端子板11は、蓋部12の開口縁12Kにより画定される蓋部12の開口の内部に配置されている。この二次電池では、正極端子板11は、高さ方向Zにおいて蓋部12よりも外装体10の内側に配置されている。すなわち、高さ方向Zにおいて、正極端子板11の外側表面11S1の位置は蓋部12の外側表面12S1の位置と同じであるか、外側表面12S1の位置よりも内部空間V側にあるとよい。また、高さ方向Zにおいて、正極端子板11の内側表面11S2の位置は、蓋部12の内側表面12S2の位置と同じであるか、内側表面12S2の位置よりも外装体10の外側にあるとよい。したがって、高さ方向Zにおいて正極端子板11が占める領域は、高さ方向Zにおいて蓋部12が占める領域内に含まれているとよい。負極端子板15は、
図1Aおよび
図1Bに示したように、筒状壁部14の下部開口を閉塞している略円板状部材である。負極端子板15は、筒状壁部14の下部開放端14K2と隙間なく接合されている。負極端子板15は、高さ方向Zと直交する水平面に沿って延在する外側表面15S1と、外側表面15S1の外縁に沿って周回する端面15Eとを含んでいる。
【0028】
正極端子板11および負極端子板15は、それぞれ外部との接続を行うための外部接続端子である。正極端子板11は、正極リード51を介して電池素子40の正極41(後出)と接続されている。また、負極端子板15は、負極リード52を介して電池素子40の負極42(後出)と接続されている。正極端子板11および負極端子板15のそれぞれは、例えば金属材料からなる導電性の板状部材である。本実施の形態の二次電池を使用する際には、正極端子板11および負極端子板15のそれぞれを介して正極41および負極42が電子機器に接続される。よって、その電子機器は、二次電池を電源として用いて動作可能になる。
【0029】
正極端子板11は、金属材料および合金材料などの複数の導電性材料のうちのいずれか1種以上を含んでいる。その導電性材料は、アルミニウムおよびアルミニウム合金などである。また、正極端子板11は、例えばFe(鉄),Cu(銅),Ni(ニッケル),ステンレス鋼,鉄合金、銅合金、およびニッケル合金のうちの1種以上からなる金属層とアルミニウム層とを圧延接合してなるクラッド材であってもよい。より具体的には、正極端子板11として、例えばAl(アルミニウム)層と、ステンレス鋼層と、ニッケル層との3層構造を有する複合部材を用いることができる。この複合部材は、Al層が外装体10の内側(内部空間V側)に位置し正極リード51と接合され、ニッケル層が正極端子板11の外側表面11S1に露出するように配置される。ステンレス鋼の種類は、特に限定されないが、具体的には、SUS304およびSUS316などである。
【0030】
封止体30は、正極端子板11の一部および蓋部12の一部のそれぞれと接して高さ方向Zに重なり合うと共に正極端子板11と蓋部12との隙間G(
図3など参照)を封止する部材である。隙間Gの幅WG、すなわち円筒状を有する二次電池の径方向Rにおける隙間Gの寸法は、例えば0.5mm~1mm程度である。隙間Gの幅WGは、二次電池の外径Dに対して例えば0.4以下の寸法である(WG≦0.4×D)。封止体30は、正極端子板11の外側表面11S1の一部および蓋部12の外側表面12S1の一部のそれぞれを覆っている。封止体30は、
図3に示したように、例えば基材層31と接合層32とを含む積層構造を有する。基材層31の剛性は、接合層32の剛性よりも高いとよい。基材層31の剛性および接合層32の剛性については、例えば、JIS7171などの試験で確認することができる。
【0031】
基材層31は、例えば金属層である。その金属層を構成する金属材料は、例えばステンレス鋼である。ステンレス鋼の種類は、特に限定されないが、具体的には、SUS304およびSUS316などである。また、基材層31に用いる金属材料としては、例えばアルミニウム、鉄、銅、およびニッケルなどの単体金属、ならびにそれらの合金、すなわちアルミニウム合金、鉄合金、銅合金、およびニッケル合金などが挙げられる。基材層31の厚さは、例えば10μm以上200μm以下とすることができる。
【0032】
接合層32は電気絶縁性を有する。接合層32は、例えば樹脂接着層である。この樹脂接着層は、例えばポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)などの熱可塑性樹脂により構成され得る。より具体的には、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルムが好ましい。接合層32の厚さは、例えば5μm以上200μm以下とすることができる。
【0033】
封止体30は、さらに、基材層31から見て接合層32と反対側に積層された絶縁層33を含んでいてもよい。絶縁層33は、例えばナイロンなどのポリアミド樹脂により構成することができる。あるいは、ポリエチレンテレフタレート(PET)により絶縁層33を構成することもできる。絶縁層33は、接合層32よりも優れた耐熱性を有するとよい。
【0034】
[電池素子]
電池素子40は、充放電反応を進行させる発電素子であり、
図1Bおよび
図2に示したように外装体10の内部空間Vに収納されている。電池素子40は、正極41および負極42を含んでいる。ここでは、電池素子40は、さらに、セパレータ43と、液状の電解質である電解液(図示せず)とを含んでいる。
【0035】
電池素子40は、正極41とセパレータ43と負極42とセパレータ43とが順に積層された積層構造を有している。電池素子40の積層構造における積層方向は、二次電池の高さ方向Zに一致している。
【0036】
電池素子40は、外装体10の立体的形状に即した立体的形状を有している。具体的には、電池素子40は、扁平かつ円柱状の立体的形状を有している。電池素子40が外装体10の立体的形状とは異なる立体的形状を有している場合と比較して、外装体10の内部に電池素子40が収納された際に、いわゆるデッドスペース、具体的には外装体10と電池素子40との間の空隙が発生しにくくなる。このため、外装体10の内部空間が有効に利用される。その結果、素子空間体積が増加し、二次電池の単位体積当たりのエネルギー密度が増加する。
【0037】
(正極)
正極41は、充放電反応を進行させるために用いられる第1電極であり、
図4に示したように、正極集電体41Aおよび正極活物質層41Bを含んでいる。
【0038】
正極集電体41Aは、正極活物質層41Bが設けられる一対の面を有している。正極集電体41Aは、金属材料などの導電性材料を含んでおり、その金属材料は、アルミニウムなどである。
【0039】
正極活物質層41Bは、正極集電体41Aの両面に設けられており、リチウムを吸蔵放出可能である正極活物質のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。ただし、正極活物質層41Bは、正極集電体41Aの片面だけに設けられていてもよい。また、正極活物質層41Bは、さらに、正極結着剤および正極導電剤などを含んでいてもよい。正極活物質層41Bの形成方法は、特に限定されないが、具体的には、塗布法などである。
【0040】
正極活物質は、リチウム化合物を含んでいる。このリチウム化合物は、リチウムを構成元素として含む化合物の総称であり、より具体的には、リチウムと共に1種類または2種類以上の遷移金属元素を構成元素として含む化合物である。高いエネルギー密度が得られるからである。ただし、リチウム化合物は、さらに、他の元素(リチウムおよび遷移金属元素を除く。)のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。リチウム化合物の種類は、特に限定されないが、具体的には、酸化物、リン酸化合物、ケイ酸化合物およびホウ酸化合物などである。酸化物の具体例は、LiNiO2 、LiCoO2 およびLiMn2 O4 などであると共に、リン酸化合物の具体例は、LiFePO4 およびLiMnPO4 などである。
【0041】
正極結着剤は、合成ゴムおよび高分子化合物などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。合成ゴムは、スチレンブタジエン系ゴムなどであると共に、高分子化合物は、ポリフッ化ビニリデンなどである。正極導電剤は、炭素材料などの導電性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、その炭素材料は、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックおよびケッチェンブラックなどである。ただし、導電性材料は、金属材料および高分子化合物などでもよい。
【0042】
(負極)
負極42は、充放電反応を進行させるために用いられる第2電極であり、
図4に示したように、負極集電体42Aおよび負極活物質層42Bを含んでいる。
【0043】
負極集電体42Aは、負極活物質層42Bが設けられる一対の面を有している。負極集電体42Aは、金属材料などの導電性材料を含んでおり、その金属材料は、銅などである。
【0044】
負極活物質層42Bは、負極集電体42Aの両面に設けられており、リチウムを吸蔵放出可能である負極活物質のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。ただし、負極活物質層42Bは、負極集電体42Aの片面だけに設けられていてもよい。また、負極活物質層42Bは、さらに、負極結着剤および負極導電剤などを含んでいてもよい。負極結着剤および負極導電剤のそれぞれに関する詳細は、正極結着剤および正極導電剤のそれぞれに関する詳細と同様である。負極活物質層42Bの形成方法は、特に限定されないが、具体的には、塗布法、気相法、液相法、溶射法および焼成法(焼結法)などのうちのいずれか1種類または2種類以上である。
【0045】
負極活物質は、炭素材料および金属系材料のうちの一方または双方を含んでいる。高いエネルギー密度が得られるからである。炭素材料は、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素および黒鉛(天然黒鉛および人造黒鉛)などである。金属系材料は、リチウムと合金を形成可能である金属元素および半金属元素のうちのいずれか1種類または2種類以上を構成元素として含む材料であり、その金属元素および半金属元素は、ケイ素およびスズのうちの一方または双方などである。ただし、金属系材料は、単体でもよいし、合金でもよいし、化合物でもよいし、それらの2種類以上の混合物でもよいし、それらの2種類以上の相を含む材料でもよい。金属系材料の具体例は、TiSi2 およびSiOx (0<x≦2、または0.2<x<1.4)などである。
【0046】
高さ方向Zと直交する面内において、負極42の面積は、正極41の面積よりも大きい。すなわち、負極42の端縁42Tは、高さ方向Zと直交する径方向Rにおいて正極41の端縁41Tよりも外側にはみ出している。
【0047】
(セパレータ)
セパレータ43は、絶縁性の多孔質膜であり、
図2および
図4に示したように、正極41と負極42との間に配置されている。セパレータ43は、正極41と負極42との短絡を防止しながらリチウムイオンを通過させる。セパレータ43は、ポリエチレンなどの高分子化合物を含んでいる。
【0048】
高さ方向Zと直交する面内において、セパレータ43の面積は、正極41の面積および負極42の面積の各々よりも大きいとよい。すなわち、セパレータ43の端縁43Tは、高さ方向Zと直交する径方向Rにおいて正極41の端縁41Tおよび負極42の端縁42Tの各々よりも外側にはみ出している。
【0049】
(電解液)
電解液は、正極41、負極42およびセパレータ43のそれぞれに含浸されており、溶媒および電解質塩を含んでいる。溶媒は、炭酸エステル系化合物、カルボン酸エステル系化合物およびラクトン系化合物などの非水溶媒(有機溶剤)のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、その非水溶媒を含んでいる電解液は、いわゆる非水電解液である。電解質塩は、リチウム塩などの軽金属塩のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
【0050】
また、蓋部12と電池素子40との間には、絶縁フィルム62が配置されている。これにより、蓋部12と電池素子40とが絶縁フィルム62を介して互いに絶縁され、蓋部12と電池素子40の正極41との短絡が防止される。
【0051】
[正極リード]
正極リード51は、
図2に示したように、外装体10の内部空間Vに収納されている。正極リード51は、正極41および正極端子板11のそれぞれに電気的に接続された接続配線である。したがって、正極端子板11(底部M1)は、正極リード51を介して正極41と電気的に接続されている。
図2に示した二次電池は、一の正極リード51を備えている。ただし、二次電池は、2以上の正極リード51を備えていてもよい。
【0052】
正極リード51の形成材料に関する詳細は、正極集電体41Aの形成材料に関する詳細と同様である。ただし、正極リード51の形成材料と正極集電体41Aの形成材料とは、互いに同じでもよいし、互いに異なってもよい。
【0053】
正極41に対する正極リード51の接続位置は、特に限定されず、任意に設定可能である。なお、正極リード51は、正極集電体41Aとは別体として設けられている。ただし、正極リード51は、正極集電体41Aと物理的に連続していることから、正極集電体41Aと一体化されていてもよい。
【0054】
[負極リード]
負極リード52は、
図2に示したように、外装体10の内部に収納されている。負極リード52は、負極42および負極端子板15のそれぞれに電気的に接続されている。ここでは、二次電池は、1つの負極リード52を備えている。ただし、二次電池は、2以上の負極リード52を備えていてもよい。
【0055】
負極リード52は、負極42の下端部に接続されており、より具体的には、負極集電体42Aの下端部に接続されている。また、負極リード52は、収容部13の底面に接続されている。負極リード52の接続方法は、特に限定されないが、具体的には、抵抗溶接法およびレーザー溶接法などの溶接法のうちのいずれか1種類または2種類以上である。
【0056】
負極リード52の形成材料に関する詳細は、負極集電体42Aの形成材料に関する詳細と同様である。ただし、負極リード52の形成材料と負極集電体42Aの形成材料とは、互いに同じでもよいし、互いに異なってもよい。
【0057】
なお、負極リード52は、負極集電体42Aとは別体として設けられている。ただし、負極リード52は、負極集電体42Aと物理的に連続していることから、負極集電体42Aと一体化されていてもよい。
【0058】
[絶縁フィルム]
絶縁フィルム62は、
図2に示したように、高さ方向Zにおいて蓋部12と電池素子40との間に配置されている絶縁部材である。絶縁フィルム62は、電池素子40と正極リード51および蓋部12とを電気的に絶縁している。絶縁フィルム62は、高さ方向Zと直交する平面において略円形状の平面形状を有している。絶縁フィルム62は、接着層を介して蓋部12に接着されていてもよい。
【0059】
また、絶縁フィルム62は、絶縁性の高分子化合物などの絶縁性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。絶縁フィルム62に含まれる絶縁性材料は、ポリイミドなどである。
【0060】
絶縁フィルム63は、
図2に示したように、高さ方向Zにおいて底部M2である負極端子板15と電池素子40との間に設けられた絶縁部材である。絶縁フィルム63は、電池素子40と負極リード52および底部M2(負極端子板15)とを電気的に絶縁している。
【0061】
絶縁フィルム63の形成材料に関する詳細は、絶縁フィルム62の形成材料に関する詳細と同様である。ただし、絶縁フィルム63の形成材料と絶縁フィルム62の形成材料とは、互いに同じでもよいし、互いに異なってもよい。
【0062】
[その他]
なお、二次電池は、さらに、1種類または2種類以上の他の構成要素を備えていてもよい。
【0063】
具体的には、二次電池は、安全弁機構を備えている。この安全弁機構は、外装体10の内圧が一定以上に到達すると、外装体10と電池素子40との電気的接続を切断するようになっている。外装体10の内圧が一定以上に到達する原因は、二次電池の内部において短絡が発生すること、二次電池が外部から加熱されることなどである。安全弁機構の設置場所は、特に限定されないが、中でも、その安全弁機構は、底部M1,M2のうちのいずれかに設けられていることが好ましい。
【0064】
また、二次電池は、外装体10と電池素子40との間に絶縁フィルム62,63以外の絶縁体を備えていてもよい。この絶縁体は、絶縁フィルムおよび絶縁シートなどのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、外装体10と電池素子40との短絡を防止する。絶縁体の設置範囲は、特に限定されず任意に設定可能である。
【0065】
なお、外装体10には、開列弁が設けられている。この開列弁は、外装体10の内圧が一定以上に到達した際に開裂するため、その内圧を開放する。開列弁の設置場所は、特に限定されないが、中でも、上記した安全弁機構の設置場所と同様に、底部M1,M2のうちのいずれかが好ましく、特に底部M2がより好ましい。
【0066】
(1-2.動作)
二次電池の充電時には、電池素子40において、正極41からリチウムが放出されると共に、そのリチウムが電解液を介して負極42に吸蔵される。一方、二次電池の放電時には、電池素子40において、負極42からリチウムが放出されると共に、そのリチウムが電解液を介して正極41に吸蔵される。これらの充放電時には、リチウムがイオン状態で吸蔵放出される。
【0067】
(1-3.製造方法)
次に、本実施の形態の二次電池の製造方法を説明する。以下の説明では、
図1A~
図4に加えて
図5A~5Dを参照する。
【0068】
ここでは、外装体10を形成するために、
図1Bに示したように、互いに物理的に分離されている正極端子板11、蓋部12、筒状壁部14、および負極端子板15を用意する。次に、例えば負極端子板15の端面15Eを筒状壁部14の下部開放端14K2に接触させた状態で、その接触箇所に対する加熱および加圧を行うことにより、端面15Eを下部開放端14K2に接着する。これにより筒状壁部14と負極端子板15とが接合されてなる収容部13を得る。
【0069】
[正極の作製]
最初に、正極活物質、正極結着剤および正極導電剤などを混合することにより正極合剤を作製する。次に、作製した正極合剤を有機溶剤などに投入することにより、ペースト状の正極合剤スラリーを調製する。続いて、正極集電体41Aの両面に正極合剤スラリーを塗布することにより、正極活物質層41Bを形成する。最後に、ロールプレス機などを用いて正極活物質層41Bを圧縮成型する。この場合には、正極活物質層41Bを加熱してもよいし、圧縮成型を複数回繰り返してもよい。これにより、正極41が作製される。
【0070】
[負極の作製]
正極41の作製手順と同様の手順により、負極42を作製する。具体的には、負極活物質、負極結着剤および負極導電剤などを混合してなる負極合剤を有機溶剤に投入してペースト状の負極合剤スラリーを調製したのち、負極集電体42Aの両面に負極合剤スラリーを塗布することにより、負極活物質層42Bを形成する。こののち、ロールプレス機などを用いて負極活物質層42Bを圧縮成型する。これにより、負極42が作製される。
【0071】
[電解液の調製]
溶媒に電解質塩を投入する。これにより、溶媒中において電解質塩が分散または溶解されるため、電解液が調製される。
【0072】
[二次電池の組み立て]
最初に、封止体30を用意したのち、
図5Aに示したように、正極端子板11の表面11S1の周辺部分に封止体30の(接合層32の)一部を接着する。そののち、
図5Bに示したように、封止体30の(接合層32の)他の一部を、蓋部12の開口縁12Kの近傍の外側表面12S1に接着する。
【0073】
次に、抵抗溶接法などの溶接法を用いて、正極リード51の一部を正極41(正極集電体41A)の一部に接続させると共に、負極リード52の一部を負極42(負極集電体42A)の一部に接続させる。
【0074】
続いて、正極41と負極42とをセパレータ43を介して積層させ、積層構造を得る。この積層構造は、正極41、負極42およびセパレータ43のそれぞれに電解液が含浸されていないことを除いて、電池素子40の構成と同様の構成を有している。
【0075】
続いて、
図5Cに示したように、筒状壁部14の上部開放端14K1から収容部13の内部に、絶縁フィルム63と、正極リード51および負極リード52のそれぞれが接続されている積層構造とを収納する。その際、抵抗溶接法などの溶接法を用いて、負極リード52を負極端子板15の内側表面15S2に接続させる。続いて、積層構造の上に絶縁フィルム62を載置する。
【0076】
続いて、抵抗溶接法などの溶接法を用いて、
図5Dに示したように、正極リード51を正極端子板11の内側表面11S2に接続させる。
【0077】
続いて、上部開放端14K1から収容部13の内部に電解液を注入する。これにより、正極41、負極42およびセパレータ43を含む積層構造に電解液が含浸され、電池素子40が作製される。なお、積層構造を収容部13に収容する前に、あらかじめ積層構造に電解液を含浸させておいてもよい。
【0078】
続いて、蓋部12と収容部13とを重ね合わせる。その際、蓋部12が上部開放端14K1を塞ぐようにする。
【0079】
最後に、レーザー溶接法などの溶接法を用いて収容部13に蓋部12の内側表面12S2を溶接する。これにより、電池缶20および外装体10が形成されると共に、外装体10の内部に電池素子40などが収納され、二次電池の組み立てが完了する。
【0080】
[二次電池の安定化]
組み立て後の二次電池を充放電させる。環境温度、充放電回数(サイクル数)および充放電条件などの各種条件は、任意に設定可能である。これにより、負極42などの表面に被膜が形成されるため、二次電池の状態が電気化学的に安定化する。よって、二次電池が完成する。
【0081】
(1-4.作用および効果)
このように、本実施の形態の二次電池では、環状の蓋部12が高さ方向Zと直交する面に沿って正極端子板11を取り囲んでおり、封止体30が、正極端子板11の一部および蓋部12の一部とそれぞれ高さ方向Zに重なり合うと共に正極端子板11と蓋部12との隙間Gを封止するようになっている。すなわち、正極端子板11と蓋部12とが高さ方向Zに重なり合うことなく電池素子40が外装体10の内部に収容されている。さらに、隙間Gを跨ぐように設けられた封止体30により二次電池の内部が封止されている。このため、本実施の形態の二次電池によれば、全体として薄型の形状でありながら高い容量を有することができる。さらに、封止体30を設けることにより、高さ方向Zにおいて、正極端子板11の外側表面11S1の位置が、封止体30の上面の位置よりも低くなっている。このため、外部の導体を介した正極端子板11と電池缶20との意図しない短絡を防止できる。
【0082】
特に、本実施の形態の二次電池では、封止体30が、基材層31と、正極端子板11の一部および蓋部12の一部のそれぞれと基材層31とを接合する接合層32とを含む積層構造を有するようにしている。このため、例えば接合層32を接着性に優れる材料により構成すると共に、基材層31を接合層32よりも剛性の高い材料により構成することで、封止性能の確保と高い強度の確保との両立を図ることができる。
【0083】
また、本実施の形態の二次電池では、高さ方向Zにおいて、正極端子板11の内側表面11S2の位置と蓋部12の内側表面12S2の位置とが実質的に一致しているので、外装体10の内部空間Vを無駄なく電池素子40が占めることができる。よって、より高い容量効率を得ることができる。
【0084】
また、本実施の形態の二次電池では、外装体10の外形が円柱状であることから、例えば外装部材が角柱状の外形や楕円柱の外形を有する場合と比較して、より高い機械的強度を有することができる。ただし、本開示の二次電池は、外装部材が角柱状の外形や楕円柱の外形を有する場合をも包含する。
【0085】
また、二次電池がリチウムイオン二次電池であれば、リチウムの吸蔵放出を利用して十分な電池容量が安定に得られる。
【0086】
<2.一実施の形態の変形例>
(2-1.第1変形例)
続いて、
図6を参照して本開示の一実施の形態の第1変形例としての二次電池について説明する。
図6は、第1変形例としての二次電池を表す断面図であり、上記一実施の形態の二次電池を表す
図2に対応している。上記一実施の形態の二次電池では、蓋部12の外径が側壁部M3を構成する筒状壁部14の外径と実質的に一致している場合を例示している。すなわち、上記一実施の形態の二次電池では、蓋部12の外径および筒状壁部14の外径がいずれも二次電池の外径Dと一致している。これに対し、第1変形例の二次電池では、蓋部12の外径が筒状壁部14の外径よりも大きくなっている。その点を除き、第1変形例の二次電池の構成は、上記一実施の形態の二次電池の構成と実質的に同じである。なお、第1変形例の二次電池では、蓋部12の内径、すなわち開口縁12Kの径が筒状壁部14の内径と実質的に一致していてもよい。第1変形例の二次電池においても上記一実施の形態の二次電池と同様の効果が期待できる。
【0087】
なお、第1変形例としての二次電池では、蓋部12と筒状壁部14とが一体に形成されていてもよい。あるいは、蓋部12と筒状壁部14とが別体で構成され、互いに接続されるようにしてもよい。
【0088】
(2-2.第2変形例)
続いて、
図7を参照して本開示の一実施の形態の第2変形例としての二次電池について説明する。
図7は、第2変形例としての二次電池の一部を拡大して表す部分断面図であり、上記一実施の形態の二次電池の一部を拡大して表す部分断面図である
図3に対応している。第2変形例の二次電池は、
図7に示したように、樹脂層16をさらに有する。その点を除き、第2変形例の二次電池の構成は、上記一実施の形態の二次電池の構成と実質的に同じである。樹脂層16は、正極端子板11と蓋部12との隙間Gの少なくとも一部を埋めるように設けられている。なお、
図7に示した例では、樹脂層16が隙間Gの一部のみを満たしているが、樹脂層16は隙間Gの全てを満たすように充填されていてもよい。
【0089】
第2変形例の二次電池によれば、隙間Gに樹脂層16をさらに有するようにしたので、上記一実施の形態の二次電池と比較して機械的強度を向上させることができる。例えば外部から意図せず印加された応力に対する耐性を高め、高い信頼性の二次電池が実現される。
【0090】
(2-3.第3変形例)
続いて、
図8を参照して本開示の一実施の形態の第3変形例としての二次電池について説明する。
図8は、第3変形例としての二次電池の一部を拡大して表す部分断面図であり、上記一実施の形態の二次電池の一部を拡大して表す部分断面図である
図3に対応している。第3変形例の二次電池は、
図8に示したように、樹脂層16に加えて封止体17をさらに有する。その点を除き、第3変形例の二次電池の構成は、上記一実施の形態の第2変形例の二次電池の構成と実質的に同じである。封止体17は、正極端子板11の内側表面11S2の一部および蓋部12の内側表面12S2の一部のそれぞれを覆うと共に隙間Gを封止している。封止体17は、
図8に示したように、例えば基材層17Aと接合層17Bとを含む積層構造を有する。基材層17Aの剛性は、接合層17Bの剛性よりも高いとよい。基材層17Aは、例えば金属層である。その金属層を構成する金属材料は、例えば基材層31と同じである。接合層17Bは電気絶縁性を有する。接合層17Bの構成材料は、例えば接合層32の構成材料と同じである。したがって、基材層17Aの剛性は、接合層17Bの剛性よりも高いとよい。
【0091】
第3変形例の二次電池によれば、隙間Gを封止する封止体17をさらに有するようにしたので、上記第2の変形例の二次電池と比較して機械的強度をさらに向上させることができる。例えば外部から意図せず印加された応力に対する耐性をよりいっそう高め、よりいっそう高い信頼性の二次電池が実現される。
【0092】
(2-4.第4変形例)
続いて、
図9を参照して本開示の一実施の形態の第4変形例としての二次電池について説明する。
図9は、第4変形例としての二次電池の一部を拡大して表す部分断面図であり、上記一実施の形態の二次電池の一部を拡大して表す部分断面図である
図3に対応している。第4変形例の二次電池は、
図9に示したように、樹脂層16を設けずに封止体17をさらに有するようにしてもよい。その点を除き、第4変形例の二次電池の構成は、
図7に示した第2変形例の二次電池の構成と実質的に同じである。封止体17の構成は、
図8に示した第3変形例としての二次電池の封止体17と同じである。
【0093】
(2-5.第5変形例)
図10は、第5変形例としての二次電池の一部を拡大して表す部分断面図であり、上記一実施の形態の二次電池の一部を拡大して表す部分断面図である
図3に対応している。第5変形例の二次電池では、
図10に示したように、封止体30の接合層32の一部と封止体17の接合層17Bの一部とが隙間Gの内部で接合されている。その点を除き、第5変形例の二次電池の構成は、
図9に示した第4変形例の二次電池の構成と実質的に同じである。
【0094】
第5変形例の二次電池によれば、封止体30の一部と封止体17の一部とが隙間Gの内部で互いに接合されているので、上記第4の変形例の二次電池と比較して機械的強度をさらに向上させることができる。
【0095】
(2-6.第6変形例)
図11は、一実施の形態の第6変形例としての二次電池の構成を分解して表す分解斜視図であり、上記一実施の形態の二次電池の分解斜視図である
図1Bに対応している。第6変形例の二次電池では、
図11に示したように、電池素子40が巻回構造を有する。その点を除き、第6変形例の二次電池の構成は、
図1Bに示した一実施の形態の二次電池の構成と実質的に同じである。
【0096】
(2-7.第7変形例)
図12は、本開示の一実施の形態の第7変形例としての二次電池を拡大して表す部分断面図であり、上記一実施の形態の二次電池の一部を拡大して表す部分断面図である
図3に対応している。上記一実施の形態の二次電池(
図3)では、蓋部12における径方向Rの寸法である幅W12が、筒状壁部14の径方向Rの寸法である幅W14よりも大きくなっている。これに対し第7変形例の二次電池では、
図12に示したように、蓋部12の径方向Rの幅W12が筒状壁部14の径方向Rの幅W14と同等以下となっている。このため、高さ方向Zと直交する面方向において、正極端子板11の面積をより大きくすることができる。但し、封止体30と蓋部12の外側表面12S1との接合面積が上記一実施の形態の二次電池(
図3)と比較して小さくなってしまう。このため、機械的強度は第7変形例の二次電池(
図12)よりも上記一実施の形態の二次電池(
図3)のほうが高い。
【0097】
<3.一実施の形態>
以上、一実施の形態およびいくつかの変形例を挙げながら本開示に関して説明したが、その本技術の構成は、一実施の形態およびいくつかの変形例において説明された構成に限定されず、種々に変形可能である。
【0098】
具体的には、外装部材の外形が円柱状をなすようにしたが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば角柱状や楕円形状の外形を有する外装部材を備えた二次電池であってもよい。角柱状の外装部材では、角部が丸みを帯びていてもよい。
【0099】
また、上記一実施の形態では、電極反応物質がリチウムである場合に関して説明したが、その電極反応物質は、特に限定されない。このため、電極反応物質は、上記したように、ナトリウムおよびカリウムなどの他のアルカリ金属でもよいし、ベリリウム、マグネシウムおよびカルシウムなどのアルカリ土類金属でもよい。この他、電極反応物質は、アルミニウムなどの他の軽金属でもよい。
【0100】
また、上記一実施の形態では二次電池を例示したが、本開示の電池は二次電池に限定されるものではなく一次電池であってもよい。
【0101】
さらに、上記一実施の形態では液状の電解質である電解液を有する電池を例示したが、本開示の電池は固体電解質を備えた全固体電池であってもよい。
【0102】
本明細書中に記載された効果はあくまで例示であり、本開示の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されない。よって、本開示に関して、他の効果が得られてもよい。
【0103】
さらに、本開示は、以下の態様を取り得る。
<1>
電池素子と、
第1の底部と、第1の方向に前記第1の底部と対向する第2の底部と、前記第1の底部と前記第2の底部との間に位置すると共に前記電池素子を取り囲む側壁部とを有する外装体と、
封止体と
を備え、
前記外装体は、
前記第1の底部として、前記電池素子に対し前記第1の方向に隣り合って配置されて前記電池素子と接続された端子部材と、前記端子部材と離間し前記第1の方向に眺めた平面視において前記端子部材と重なり合うことなく前記端子部材を取り囲む環状の蓋部とを有し、
前記第2の底部および前記側壁部として、前記蓋部と接合されて前記電池素子を収容する収容部を有し、
前記封止体は、
前記端子部材の一部および前記蓋部の一部のそれぞれと接して前記第1の方向に重なり合うと共に前記端子部材と前記蓋部との隙間の少なくとも一部を覆うように配置される
電池。
<2>
前記端子部材は、前記第1の方向において前記蓋部よりも前記外装体の内側に配置されている
上記<1>記載の電池。
<3>
前記蓋部は開口を有し、
前記端子部材は、前記開口の内部に配置されている
上記<1>または<2>に記載の電池。
<4>
前記第1の方向において前記端子部材が占める領域は、前記第1の方向において前記蓋部が占める領域内に含まれている
上記<1>から<3>のいずれか1つに記載の電池。
<5>
前記端子部材と前記蓋部との隙間の少なくとも一部を埋める樹脂をさらに備えた
上記<1>から<4>のいずれか1つに記載の電池。
<6>
前記封止体は、前記端子部材の外側表面の一部および前記蓋部の外側表面の一部のそれぞれを覆っている
上記<1>から<5>のいずれか1つに記載の電池。
<7>
前記端子部材の内側表面の一部および前記蓋部の内側表面の一部のそれぞれを覆うと共に前記隙間を封止する追加封止体をさらに備えた
上記<1>から<6>のいずれか1つに記載の電池。
<8>
前記封止体は、基材層と、前記端子部材の一部および前記蓋部の一部のそれぞれと前記基材層とを接合する接合層とを含む積層構造を有する
上記<1>から<7>のいずれか1つに記載の電池。
<9>
前記基材層の剛性は、前記接合層の剛性よりも高い
上記<8>に記載の電池。
<10>
前記基材層は金属層であり、前記接合層は樹脂接着層である
上記<9>に記載の電池。
【符号の説明】
【0104】
10…外装体、M1,M2…底部、M3…側壁部、11…正極端子板、11E…端面、11S1…外側表面、12…蓋部、12K…開口縁、12S1…外側表面、12S2…内側表面、13…収容部、14…筒状壁部、14K1…上部開放端、14K2…下部開放端、14S…内壁面、15…負極端子板、16…樹脂層、17…封止体、20…電池缶、30…封止体、31…基材層、32…接合層、33…絶縁層、40…電池素子、41…正極、41A…正極集電体、41B…正極活物質層、42…負極、42A…負極集電体、42B…負極活物質層、51…正極リード、52…負極リード、62,63…絶縁フィルム、V…内部空間。