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  • 特開-硬化性人工爪組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024560
(43)【公開日】2025-02-20
(54)【発明の名称】硬化性人工爪組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/84 20060101AFI20250213BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20250213BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20250213BHJP
   A61Q 3/02 20060101ALI20250213BHJP
【FI】
A61K8/84
A61K8/46
A61K8/35
A61Q3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128752
(22)【出願日】2023-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】390039734
【氏名又は名称】株式会社サクラクレパス
(74)【代理人】
【識別番号】110004152
【氏名又は名称】弁理士法人お茶の水内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹岡 拓昭
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC211
4C083AC212
4C083AC392
4C083AC771
4C083AC772
4C083AC892
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD092
4C083AD662
4C083CC28
4C083DD41
4C083EE03
(57)【要約】
【課題】硬化塗膜表面に未硬化成分が残存しないノンワイプ型であって貯蔵安定性が良好な、ノンワイプ型と貯蔵安定性の相反する特性を兼ね備えた硬化性人工爪組成物を提供すること。
【解決手段】(a)(メタ)アクリレート化合物、(b)多官能チオール化合物、及び(c)α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤、を含有し、前記(a)(メタ)アクリレート化合物は、重量平均分子量が1,500以上5,000以下の6官能以上のポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの1種以上を含み、硬化性人工爪組成物全量に対する(b)多官能チオール化合物の含有量をx質量%とし、硬化性人工爪組成物全量に対する(c)α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤の含有量をy質量%としたとき、以下の関係;(α)20.0≧x≧3.5、(β)15.0≧y≧0.5、(γ)x+6y≧18.5、(δ)3x+y≧21.5、を満たす、硬化性人工爪組成物。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(メタ)アクリレート化合物、
(b)多官能チオール化合物、及び
(c)α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤、
を含有し、
前記(a)(メタ)アクリレート化合物は、重量平均分子量が1,500以上5,000以下の6官能以上のポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの1種以上を含み、
硬化性人工爪組成物全量に対する(b)多官能チオール化合物の含有量をx質量%とし、硬化性人工爪組成物全量に対する(c)α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤の含有量をy質量%としたとき、以下の関係;
(α)20.0≧x≧3.5
(β)15.0≧y≧0.5
(γ)x+6y≧18.5
(δ)3x+y≧21.5
を満たす、硬化性人工爪組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性人工爪組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
手や足の自爪に装飾を施したり、人工爪を接着してこれに装飾を施したりするネイルアートの人気が高まっている。また、外力による爪の割れ・剥がれを防止するための補強のために、爪の上に人工爪を形成することが行われている。
このような爪の装飾や補強のためには、いわゆるマニキュア、ペディキュア、スカルプチュアと呼ばれる樹脂含有の材料が爪に塗布されている。
【0003】
最近、爪の装飾又は補強のために使用される材料としては、ジェルネイルと呼ばれる光硬化性人工爪組成物が注目を集めている。ジェルネイルは、光硬化性のジェル状爪被覆材料(光硬化性人工爪組成物)であって、例えば、(メタ)アクリレート系オリゴマーと(メタ)アクリル系モノマーを含むものが知られている。ジェルネイルは、爪に塗布し、紫外線を照射して硬化することで、ラジカル重合反応により、架橋した高分子被膜を形成するため、爪から剥がれにくい強靱な被膜を形成できるとされている。
ジェルネイルとしては、爪上に設けられるベースコート層、ベースコート層とトップコート層との間に設けられるカラーコート層、最表面に設けられるトップコート層の3層から構成されるものが広く知られている。
【0004】
ジェルネイルのトップコート層は、最表面に設けられるものであり、艶等の意匠性の調整や、ジェルネイルの保護の役割を担う層である。トップコート層は、(メタ)アクリレート系化合物を含むトップコート層形成用組成物を塗布し、紫外線等のエネルギー線を照射して硬化することで、ラジカル重合反応により架橋した硬化塗膜として形成される。その際、未硬化の(メタ)アクリレート系化合物が残存するため、硬化塗膜を溶剤で拭くことで、未硬化成分の除去を行うことが必要であった。このため、最近は、連鎖移動剤を含むトップコート層形成用組成物とし、酸素阻害を受けにくい硬化反応機構とすることで、未硬化成分の発生を抑制し、施術後に硬化塗膜表面の未硬化成分を拭き取る必要がない「ノンワイプ型」のジェルネイルトップコート層形成用の硬化性人工爪組成物のニーズが高まっている。
【0005】
「ノンワイプ型」のジェルネイルトップコート層形成用の硬化性人工爪組成物としては、以下のものが知られている。
特許文献1には、(A)1分子内に1個以上のラジカル重合性不飽和結合を有するラジカル重合性化合物、(B)1分子内に2個以上のチオール基を有する多官能チオール化合物、及び(C)光重合開始剤、を含む人工爪原料組成物が開示されている。
特許文献2には、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、(メタ)アクリレートモノマー、多官能チオール化合物、重合開始剤、及びトコフェロール化合物を含有し、該トコフェロール化合物の含有量が1,000ppm以上5,000ppm以下である光硬化性人工爪組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-5260号公報
【特許文献2】特許第6755544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
「ノンワイプ型」のジェルネイルトップコート層用の硬化性人工爪組成物は、連鎖移動反応を引き起こすチオール化合物と、反応性を高める多官能(メタ)アクリレート化合物を用いる必要があることが知られている。しかしながら、チオール化合物と多官能(メタ)アクリレート化合物を含む硬化性人工爪組成物は、通常の連鎖反応による(メタ)アクリレート系化合物の重合反応とは異なり、連鎖移動反応により、硬化塗膜が形成される。
この連鎖移動反応は、チオール基がラジカルの受け渡しを行っており、光照射により重合を開始すると、重合反応が急速に進み、さらに、停止反応が起こりにくいことから、じわじわと重合反応(硬化反応)が継続することとなる。これにより、塗膜の表面硬化性に優れるとともに硬化塗膜表面に未硬化の(メタ)アクリレート系化合物を残さないメリットがある一方で、その反応性に起因して、容器内でのジェルネイル用組成物の貯蔵安定性が悪くなりやすくなるというデメリットがあった。
【0008】
ジェルネイル用の硬化性人工爪組成物の貯蔵安定性向上のために、重合禁止剤を添加することが行われているが、重合禁止剤の重合禁止(重合停止)機能のため、硬化塗膜表面に未硬化の(メタ)アクリレート系化合物が残存することとなり、ノンワイプ型にできないおそれがあった。また、チオール化合物の配合量を、可能な限り少なくすることも行われているが、ノンワイプ性と貯蔵安定性のバランスを保つことが難しく、ノンワイプ型と貯蔵安定性の相反する特性を兼ね備えた硬化性人工爪組成物はこれまで知られていなかった。
本発明者は、検討を進めた結果、ノンワイプ型のジェルネイル用の硬化性人工爪組成物において、特定の多官能(メタ)アクリレート化合物を含むとともに、多官能チオール化合物の含有量とα-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤の配合量を、特定の関係とすることで、ノンワイプ型と貯蔵安定性の相反する特性を兼ね備えた硬化性人工爪組成物が得られるとの知見を得た。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、硬化塗膜表面に未硬化成分が残存しないノンワイプ型であって貯蔵安定性が良好な、ノンワイプ型と貯蔵安定性の相反する特性を兼ね備えた硬化性人工爪組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の組成の硬化性人工爪組成物とすることで、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には以下の通りである。
[項1]
(a)(メタ)アクリレート化合物、
(b)多官能チオール化合物、及び
(c)α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤、
を含有し、
前記(a)(メタ)アクリレート化合物は、重量平均分子量が1,500以上5,000以下の6官能以上のポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの1種以上を含み、
硬化性人工爪組成物全量に対する(b)多官能チオール化合物の含有量をx質量%とし、硬化性人工爪組成物全量に対する(c)α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤の含有量をy質量%としたとき、以下の関係;
(α)20.0≧x≧3.5
(β)15.0≧y≧0.5
(γ)x+6y≧18.5
(δ)3x+y≧21.5
を満たす、硬化性人工爪組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、硬化塗膜表面に未硬化成分が残存しないノンワイプ型であって貯蔵安定性が良好な、ノンワイプ型と貯蔵安定性の相反する特性を兼ね備えた硬化性人工爪組成物が提供されるという顕著な効果を発揮する。
【0012】
本発明の硬化性人工爪組成物が、硬化塗膜表面に未硬化成分が残存しないノンワイプ型であって貯蔵安定性が良好な硬化性人工爪組成物となる機構等は不明であるが、本発明者は、次のように推察している。
【0013】
一般的に紫外線硬化性の塗膜に紫外線を照射する際、紫外線領域の短波長側にピーク吸収波長を持つ重合開始剤は、長波長側に吸収波長を持つ重合開始剤と比べて、表面硬化性に寄与する度合いが高いといわれている。また紫外線の性質として、波長の短い紫外線は、表面近傍の重合開始剤に接触し反応を開始しやすいことから、塗膜表面の硬化を促進し、塗膜表面の未硬化成分の残存量を低下するのに有利であると推察される。本発明の硬化性人工爪組成物に含まれるα-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤は、紫外線領域の短波長側にピーク吸収波長を持つ重合開始剤に該当することから、塗膜表面の硬化を促進し、塗膜表面の未硬化成分の残存量を低下させたものと考えられる。一方で、ノンワイプ型とするためには、反応性を高める多官能(メタ)アクリレート化合物と、酸素阻害を受けずに反応できる連鎖移動剤である多官能チオール化合物との使用が必須である。
これより、特定の多官能(メタ)アクリレート化合物を含むとともに、多官能チオール化合物の含有量とα-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤の配合量を、特定の関係とすることで、ノンワイプ型と貯蔵安定性の相反する特性を兼ね備えた硬化性人工爪組成物になると推測される。なお、本発明は、この推察に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】硬化性人工爪組成物全量に対する、(b)多官能チオール化合物の含有量及び(c)α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤の含有量の関係を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の硬化性人工爪組成物について説明する。
【0016】
[(a)(メタ)アクリレート化合物]
本発明の硬化性人工爪組成物の構成成分である(a)(メタ)アクリレート化合物は、分子内に(メタ)アクリロイル基を1つ以上有し、光等のエネルギー線を照射することで硬化し得る化合物である。
(a)(メタ)アクリレート化合物は、重量平均分子量が1,500以上5,000以下の6官能以上のポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの1種以上を含むものであれば、特に限定されない。(a)(メタ)アクリレート化合物は、(メタ)アクリレートオリゴマー及び(メタ)アクリレートモノマーからなる群より選ばれる1種以上を含んでいてもよい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレートオリゴマー」は、アクリレートオリゴマー及びメタクリレートオリゴマーを指し、「(メタ)アクリレートモノマー」は、アクリレートモノマー及びメタクリレートモノマーを指す。
【0017】
<(メタ)アクリレートオリゴマー>
(メタ)アクリレートオリゴマーは、分子内に(メタ)アクリロイル基を1個以上有するとともに繰返し単位を複数有するオリゴマーであって、重量平均分子量が1,500以上5,000以下の6官能以上のポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの1種以上を含むものであれば、特に制限されない。
【0018】
(重量平均分子量が1,500以上5,000以下の6官能以上のポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー)
重量平均分子量が1,500以上5,000以下の6官能以上のポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリイソシアネート成分とポリオール成分より合成されたポリウレタン骨格に残ったイソシアネート基に、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物を付加して得ることができる。
【0019】
ポリイソシアネート成分としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、これらのカルボジイミド変性ポリイソシアネート、これらのイソシアヌレート変性ポリイソシアネート等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0020】
ポリオール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、コ(ポリエチレンオキシド-プロピレンオキシド)ジオール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、エトキシ化ビスフェノールA、カプロラクタン変性ポリオール、カーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0021】
水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0022】
重量平均分子量が1,500以上5,000以下の6官能以上のポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、脂環族系ポリイソシアネート化合物とポリオールとを反応させて、分子中に6個以上のイソシアネート基を有するポリウレタンオリゴマーを得たのちに、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物を反応させることで得ることができる。重量平均分子量が1,500以上5,000以下の6官能以上のポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの一分子内に含まれる(メタ)アクリロイル基の数は、6個以上であれば特に制限されないが、硬化性人工爪組成物の硬化性、硬化塗膜の硬度等の観点から、6個以上であり、例えば10個以下、好ましくは8個以下である。
本発明において、(メタ)アクリロイル基の数は、赤外吸収分光法(IR)、核磁気共鳴法(NMR)、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)等を用いて分析することによって確認できる。
【0023】
(重量平均分子量が1,500以上5,000以下の6官能以上のポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー以外の(メタ)アクリレートオリゴマー)
重量平均分子量が1,500以上5,000以下の6官能以上のポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー以外の(メタ)アクリレートオリゴマーは、特に限定されないが、例えば、
(i)主骨格(主鎖)にウレタン結合、エポキシ基の開環反応によって生じる結合、エステル結合、エーテル結合、ウレア結合、カーボネート結合、アミド結合からなる群より選ばれる1種以上を有する(メタ)アクリレートオリゴマー、(ii)主骨格(主鎖)がスチレン系、(メタ)アクリル系、オレフィン系、ジエン系モノマーからなる群より選ばれる1種以上のモノマーの重合により分子鎖を有する(メタ)アクリレートオリゴマー、等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0024】
重量平均分子量が1,500以上5,000以下の6官能以上のポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー以外の(メタ)アクリレートオリゴマーにおいて、一分子内に含まれる(メタ)アクリロイル基の数は特に制限されない。硬化性人工爪組成物の硬化性、硬化塗膜の硬度等の観点から、1個以上、好ましくは2個以上であり、例えば10個以下、好ましくは8個以下とすることができる。
重量平均分子量が1,500以上5,000以下の6官能以上のポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー以外の(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量は、特に限定されない。例えば1,000以上、好ましくは2,000以上、より好ましくは3,000以上であり、例えば100,000以下、好ましくは50,000以下、より好ましくは35,000以下である。重量平均分子量の範囲をこのような範囲とすることで、低粘度を保持しつつ、硬化塗膜の耐久性を向上できる。
【0025】
これらのうち、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(ウレタン結合を主骨格に有する(メタ)アクリレートオリゴマー)、エポキシ基の開環反応によって生じた分子鎖を有するエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル(メタ)アクリレートオリゴマー(エステル結合を主骨格に有する(メタ)アクリレートオリゴマー)、エーテル(メタ)アクリレートオリゴマー(エーテル結合を主骨格に有する(メタ)アクリレートオリゴマー)等からなる群より選ばれる1種以上を用いると、密着性等の点で有利である。本発明においては、特にウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく用いられる。
(メタ)アクリレートオリゴマーは、市販品又は合成品のいずれを使用してもよい。また、本発明においては、硬化性人工爪組成物及び/又はその硬化塗膜の密着性や耐久性等の観点から、1種以上のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含んでいることが好ましい。
【0026】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとの反応によりイソシアネート基又は水酸基含有ウレタンプレポリマーを形成し、イソシアネート基又は水酸基含有ウレタンプレポリマーに対し、分子内に活性水素含有基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等)又は分子内にイソシアネート基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物を反応させること等により合成できるが、この方法に限定されるものではない。
【0027】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを硬化性人工爪組成物に使用すると、伸縮性、密着性、強度に優れる硬化塗膜を得ることができる。
本発明にて使用できる1種以上のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエーテル骨格、ポリカーボネート骨格、ポリエステル骨格、アクリル骨格、ポリオレフィン骨格からなる群より選ばれる1種以上を有するものから選択して使用できる。中でも、ポリエーテル骨格を有するポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及び/又はポリカーボネート骨格を有するポリカーボネート系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの1種以上が好ましい。
【0028】
例えば、ポリエーテル骨格の1種以上を有するポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオキシプロピレンポリオール等のポリオキシアルキレンポリオールと、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、これらのイソシアヌレート化物、ビューレット化物等のポリイソシアネートを反応させて得られるイソシアネート基含有ポリエーテルウレタンプレポリマーに、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物を加えて、前記ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基総数の10%以上のイソシアネート基に、前記水酸基を有する(メタ)アクリル化合物により付加反応させて得ることができる。
【0029】
例えば、ポリカーボネート骨格の1種以上を有するポリカーボネート系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと同様に、ポリカーボネートポリオールと、ポリイソシアネートを反応させて得られるイソシアネート基含有ポリカーボネートウレタンプレポリマーに、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物を加えて、前記ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基総数の10%以上のイソシアネート基に、前記水酸基を有する(メタ)アクリル化合物により付加反応させて得ることができる。
【0030】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、AH-600、AT-600、UA-306H、UF-8001G(共栄社化学社製)、RUA-071、RUA-003VE、RUA-075、RUA-048(亜細亜化学工業社製)、SUA TH1、SUA 2、SUA-16N(ケーエスエム社製)、UV-3310B(三菱ケミカル社製)、アートレジン UN-6303、UN-6304、UN-6305、UN-9000PEP、UN-9200A、UN-353、UN-333、UN-352(根上工業社製)、AU-2040(トクシキ社製)、KUA-PC2I(ケーエスエム社製)等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
エポキシ基の開環反応によって生じた分子鎖を有するエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、多官能エポキシ樹脂に対して、エポキシ基と反応する官能基を有する(メタ)アクリレートを反応させることによって合成できるが、この方法に限定されない。
市販品は、例えば、EBECRYL 1259、605、1606(ダイセル・サイテック社製)、EPOXY ESTER 3000A、3000MK、3002A(N)、3002M(N)、40EM(共栄社化学社製)等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
エステル結合を有するエステル(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリオールと多価カルボン酸との反応により得られたエステル系オリゴマーが有するカルボキシル基及び/又は水酸基に対し、分子内に水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物及び/又は(メタ)アクリル酸やカルボキシル基を有するアクリル化合物を付加することにより合成できるが、この方法に限定されるものではない。
市販品は、例えば、アロニックス(登録商標)M-6100、M-6200、M-6250、M-6500、M-7100、M-7300K、M-8030、M-8060、M-8100、M-8530、M-8560、M-9050(東亞合成社製)や、UV-3500BA、UV3520TL、UV-3200B、UV-3000B(三菱ケミカル社製)等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
エーテル結合を有するエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、脂肪族系のポリエーテルポリオールの水酸基や、ビスフェノール等を原料とする芳香族系のポリエーテルポリオールの水酸基に対し、分子内に水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物、(メタ)アクリル酸、及び、分子内にカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物等からなる群より選ばれる1種以上を付加させることにより合成できるが、この方法に限定されるものではない。
市販品は、例えば、UV-6640B、UV-6100B、UV-3700B(三菱ケミカル社製)、ライトアクリレート(登録商標)3EG-A、4EG-A、9EG-A、14EG-A、PTMGA-250、BP-4EA、BP-4PA、BP-10EA、ライトエステル4EG、9EG、14EG(共栄社化学社製)、EBECRYL(登録商標)3700(ダイセル・サイテック社製)等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
<(メタ)アクリレートモノマー>
(メタ)アクリレートモノマーは、前記(メタ)アクリレートオリゴマー以外の化合物であって、分子内に(メタ)アクリロイル基を1個以上有する化合物であれば、特に限定されない。一分子内に含まれる(メタ)アクリロイル基の数は特に制限されないが、硬化性人工爪組成物の硬化性、硬化塗膜の硬度等の観点から、1個以上であり、例えば10個以下、好ましくは8個以下、より好ましくは6個以下である。
本発明においては、(メタ)アクリレートモノマーとして、(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーより選ばれる1種以上を用いることができる。また、(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーより選ばれる1種以上と、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーより選ばれる1種以上との混合物を用いてもよい。
【0035】
(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の一価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物;アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-tert-ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヘプチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジオクチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-tert-オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジドデシル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジオクタデシル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリロイル基含有アミド化合物;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素アルキル(メタ)アクリレート;リン酸(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸(メタ)アクリロイルオキシプロピル、カプロラクトン変性リン酸(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸(メタ)アクリル酸ヘキサン酸エチル、リン酸(メタ)アクリル酸プロパン酸ペンチル等のリン酸エステル系(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-シクロヘキシル-1,3-ジオキソラン、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、(2-イソブチル-2-メチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-メチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、(1,4-ジオキサスピロ[4,5]デカン-2-イル)メチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラフルフリルアルコールオリゴ(メタ)アクリレート、アルコキシ化テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、(メタ)アクリロイルモルホリン、N-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレ-ト、N-(メタ)アクリルオキシスクシンイミド、N-(メタ)アクリルオキシフタルイミド等の複素環含有(メタ)アクリレート等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0036】
これらの(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーのうち、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐アルキル基含有(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート等の脂環式モノ(メタ)アクリレートモノマー;ヒドロキシエチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリロイル基含有アミド化合物;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロイルモルホリン、N-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレートの含有量等の複素環含有(メタ)アクリレート等からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
【0037】
(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート(イソピリデンジフェニルビス(メタクリル酸オキシヒドロキシプロピル)等)、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、リン酸ジ(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸ジ(メタ)アクリロイルオキシプロピル、カプロラクトン変性リン酸ジ(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸ジ(メタ)アクリル酸ヘキサン酸エチル、リン酸ジ(メタ)アクリル酸プロパン酸ペンチル等のリン酸エステル系ジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレートモノマー;グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等のトリ(メタ)アクリレートモノマー;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレートモノマー;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、トリアジントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の(メタ)アクリレート基を4個以上有する(メタ)アクリレートモノマー;等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0038】
これらの(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーのうち、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等からなる群より選ばれる1種以上を使用することが好ましい。
【0039】
<(a)(メタ)アクリレート化合物の構成及び含有量>
本発明の硬化性人工爪組成物において、(a)(メタ)アクリレート化合物の含有量は、特に限定されない。硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して、例えば20.0質量%以上、好ましくは40.0質量%以上、より好ましくは50.0質量%以上、さらに好ましくは60.0質量%以上であり、例えば88.8質量%以下、好ましくは80.0質量%以下、より好ましくは75.0質量%以下、さらに好ましくは70.0質量%以下である。
【0040】
本発明の硬化性人工爪組成物において、(a)(メタ)アクリレート化合物における重量平均分子量が1,500以上5,000以下の6官能以上のポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量は、特に限定されない。(a)(メタ)アクリレート化合物全量100質量%に対して、例えば10.0質量%以上、好ましくは15.0質量%以上、より好ましくは20.0質量%以上であり、例えば60.0質量%以下、好ましくは50.0質量%以下、より好ましくは40.0質量%以下、さらに好ましくは30.0質量%以下である。
【0041】
本発明においては、(a)(メタ)アクリレート化合物として、(メタ)アクリレートオリゴマーと(メタ)アクリレートモノマーを混合して用いることが好ましい。
本発明の硬化性人工爪組成物において、(a)(メタ)アクリレート化合物における(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量は、特に限定されない。(a)(メタ)アクリレート化合物全量100質量%に対して、例えば35.0質量%以上、好ましくは40.0質量%以上であり、例えば90.0質量%以下、好ましくは80.0質量%以下である。
(a)(メタ)アクリレート化合物における(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量が35.0質量%未満である場合には、硬化性人工爪組成物の硬化性が低下するおそれがあり、粘度が低くなりすぎるおそれがある。(メタ)アクリレートオリゴマーが90質量%を超える場合には、硬化性人工爪組成物の硬化性が低下するおそれがあり、粘度が高くなりすぎるおそれがある。
【0042】
[(b)多官能チオール化合物]
本発明の硬化性人工爪組成物の構成成分である(b)多官能チオール化合物は、分子内にチオール基を2つ以上有する化合物であれば、特に限定されない。(b)多官能チオール化合物は、硬化性人工爪組成物の連鎖移動剤、硬化性調整剤、架橋剤及び粘度調整剤として配合される。多官能チオール化合物を硬化性人工爪組成物に配合することで、硬化塗膜の表面における未硬化成分の残存を抑制することができる。
多官能チオール化合物としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、エチレングリコール等のポリオール化合物の水酸基に、チオール基又は反応してチオール基になる基を有する化合物が反応して得られたもの等が挙げられる。例えば、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトブチレート)、1,3,5-トリス[2-(3-メルカプトブチリルオキシ)エチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、トリス[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,2-エタンジチオール、1,3-プロパンジチオール、1,4-ブタンジチオール、1,6-へキサンジチオール、1,8-オクタンジチオール、1,2-シクロヘキサンジチオール、デカンジチオール、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネレート、エチレングリコールビスチオグリコレート(EGTG)、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート(BDTG)、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2,4,6-トリメルカプト-s-トリアジン、
2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン等の多官能チオール基含有モノマー等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。これらの中でも、3官能又は4官能のチオール化合物が好ましく、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
【0043】
[(c)α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤]
本発明の硬化性人工爪組成物の構成成分である(c)α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤は、光(例えば、紫外線)や熱の照射等によりエネルギーが与えられることで、ラジカルを発生するものであって、前記(a)(メタ)アクリレート化合物の重合を開始し得るものであれば、特に制限されない。(c)α-ヒドロキシアルキルフェノン型光重合開始剤は、比較的高いモル吸光係数と低黄変性を有している。
【0044】
α-ヒドロキシアルキルフェノン型光重合開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン(Omnirad 184)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシメトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-[4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル]-2-メチル-プロパン-1-オン、1-(4-(フェニルチオ)-2,2-(O-ベンゾイルオキシム))1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0045】
[(b)多官能チオール化合物の含有量と(c)α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤の含有量の関係]
本発明においては、(b)多官能チオール化合物の含有量と(c)α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤の含有量の関係が、硬化性人工爪組成物全量に対する(b)多官能チオール化合物の含有量をx質量%とし、硬化性人工爪組成物全量に対する(c)α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤の含有量をy質量%としたとき、以下の関係;
(α)20.0≧x≧3.5
(β)15.0≧y≧0.5
(γ)x+6y≧18.5
(δ)3x+y≧21.5
を満たす。
これにより、(b)多官能チオール化合物の含有量の下限値を3.5質量%まで引き下げることが可能となり、硬化塗膜表面に未硬化成分が残留することを抑制することができることからノンワイプ性に優れ、さらに、貯蔵安定性に優れた硬化性人工爪組成物とすることができる。
【0046】
これまで、硬化性人工爪組成物において、ノンワイプ型とするためには、連鎖移動反応を引き起こす多官能チオール化合物と、反応性を高める多官能(メタ)アクリレート化合物を併用することが必須であった。その一方で、多官能チオール化合物と多官能(メタ)アクリレート化合物を含むノンワイプ型の硬化性人工爪組成物は、貯蔵安定性が悪くなるという問題があった。貯蔵安定性を得るために、多官能チオール化合物の配合量を可能な限り少なくすることが求められているが、ノンワイプ性を確実に発現させるためには、多官能チオールをある程度の量配合する必要があり、これにより、ノンワイプ性と貯蔵安定性のバランスをとっていた。
【0047】
本発明は、(b)多官能チオール化合物の含有量と(c)α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤の含有量の関係を、前記(α)~(δ)の関係を満たすようにすることで、表面硬化性に優れ、ノンワイプ性と貯蔵安定性に優れる硬化性人工爪組成物を構成できるとの知見に基づくものである。
【0048】
本発明の硬化性人工爪組成物において、硬化性人工爪組成物全量に対する(b)多官能チオール化合物の含有量x(質量%)は、前記(α)~(δ)の関係を満たすものであれば特に限定されない。このうち、(α)におけるxの下限値は3.5質量%以上、好ましくは4.0質量%以上、より好ましくは4.5質量%以上であり、xの上限値は20.0質量%以下、好ましくは15.0質量%以下、より好ましくは12.0質量%以下とすることができる。硬化性人工爪組成物全量に対する(b)多官能チオール化合物の含有量x質量%が20.0質量%を超えると、硬化性人工爪組成物の貯蔵安定性が低下し、硬化性人工爪組成物の臭気の点で問題が発生するおそれがあり、3.5質量%未満であると、硬化性人工爪組成物が十分に硬化せず、硬化塗膜表面に未硬化成分が残存しノンワイプ型の硬化性人工爪組成物とすることができないおそれがある。
【0049】
本発明の硬化性人工爪組成物において、硬化性人工爪組成物全量に対する(c)α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤y(質量%)の含有量は、前記(α)~(δ)の関係を満たすものであれば特に限定されない。このうち、(β)におけるyの下限値は0.5質量%以上、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上であり、yの上限値は15.0質量%以下、好ましくは12.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下とすることができる。硬化性人工爪組成物全量に対する(c)α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤の含有量y質量%が15.0質量%を超えても、得られる特性等の点で差異がなくコスト等の点で不利となるおそれがあり、0.5質量%未満であると、硬化性人工爪組成物が十分に硬化せず、硬化塗膜表面に未硬化成分が残存しノンワイプ型の硬化性人工爪組成物とすることができないおそれがある。
【0050】
[(d)その他成分]
本発明の硬化性人工爪組成物には、貯蔵安定性、硬化性、硬化塗膜の色調、硬化塗膜耐久性、硬化塗膜接着性、粘度、取扱性、塗布性等に悪影響を与えない範囲で、前記(a)~(c)に加え、各種の成分を「(d)その他成分」として配合することができる。
(d)その他成分としては、例えば、前記(a)(メタ)アクリレート化合物以外のラジカル重合性化合物、樹脂、前記(c)α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤以外の重合開始剤、重合禁止剤、着色剤、ポリオール化合物、溶剤、香料、アルミナ等の沈降防止剤、シリコーン系やフッ素系の消泡剤、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、第3級アミン等の重合促進剤、表面張力調整剤、難燃剤、酸化防止剤、イオン吸着体、低応力化剤、防腐剤、抗菌剤、可撓性付与剤、ワックス類、ハロゲントラップ剤、レベリング剤、濡れ改良剤、装飾用材料等の各種の添加剤からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0051】
<(a)(メタ)アクリレート化合物以外のラジカル重合性化合物>
(a)(メタ)アクリレート化合物以外のラジカル重合性化合物は、(メタ)アクリロイル基含有重合性化合物以外のラジカル重合性化合物であれば、特に限定されない。例えば、ビニル基含有化合物、アリル基含有化合物等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。具体的には、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、α-クロルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、N-ビニルピロリドン、ビニルピリジン、アリルグリシジルエーテル、ビニル基含有オリゴマー、アリル基含有オリゴマー等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0052】
<樹脂>
樹脂は、重合性ではなく、ポリオール化合物でもない樹脂であれば、特に限定されない。例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、オレフィン系樹脂、芳香族オレフィン系樹脂、芳香族炭化水素系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、コアシェルポリマー、グラフト系樹脂、ブロック系樹脂等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0053】
<(c)α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤以外の重合開始剤>
(c)α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤以外の重合開始剤は、光(例えば、紫外線)や熱の照射等によりエネルギーが与えられることで、ラジカルを発生するものであって、前記(a)(メタ)アクリレート化合物の重合を開始し得るα-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤であれば、特に制限されない。例えば、アシルフォスフィンオキシド系、α-ヒドロキシアルキルフェノン系、ベンゾインエーテル系、ベンジルケタール系、アシッドエステル系、α-アミノアルキルフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、チタノセン系、キノン系、過酸化物系、アゾ系、過硫酸塩系等からなる群より選ばれる1種以上の重合開始剤が挙げられる。
(c)α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤以外の重合開始剤として光重合開始剤を用いると、硬化性人工爪組成物に対して、UV-LED光源を含む各種の光源を用いて光を照射した場合であっても、良好な硬化性を付与することができる。
【0054】
例えば、アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤は、一般的に用いられるUV-LED光源から発せられる約365nm~約405nmの波長の紫外線の照射によりラジカルを発生する。このため、UV-LED光源を含む各種の光源を用いて光を照射して硬化させる場合であっても、良好な硬化性を硬化性組成物に付与でき、さらに、UV-LED光源を用いて光を照射して硬化させる場合には、硬化塗膜の黄変を防止できることから、好ましく用いられる。
アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。特に、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド(OMNIRAD TPO)は、皮膚コンディショニング剤としても機能することから、本発明において好ましく用いることができる。
【0055】
アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤以外の重合開始剤としては、例えば、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロピルチオキサントン、3-[3,4-ジメチル-9-オキソ-9H-チオキサントン-2-イル-オキシ]-2-ヒドロキシプロピル-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド、フルオロチオキサントン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-(1-メチルビニル)フェニル)プロパノン)、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルスルフィド、1,2-オクタンジオン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン、イソフタルフェノン、フェニルグリオキシ酸メチル、ブチルアントラキノンエチルアントラキノン、フェナントレンキノン、カンファーキノン、ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、1,1-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(メチルイソブチレ-ト)、t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジアセチルパーオキサイド、ジデカノイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジサクシニックアシッドパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ヘキシルパーオキサイドパレレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、n-ブチル-4,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)バレレート、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)オクタン、ジセチルパーオキシジカーボネート、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0056】
本発明の硬化性人工爪組成物においては、硬化時に照射する紫外線波長領域(例えば、波長405nm付近及び365nm付近)において、効率的にラジカルを発生し重合を開始することができる重合開始剤を用いることが好ましく、α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤と他の重合開始剤の混合物、特に、α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤とアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤を含む重合開始剤混合物を用いることがより好ましい。また、アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤に加えて、α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤を含む重合開始剤を用いてもよく、アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤及び過酸化物系重合開始剤を含む重合開始剤組成物を用いることもできる。
【0057】
本発明の硬化性人工爪組成物において、重合開始剤としてアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤とα-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤を含む重合開始剤を用いる場合、アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤の含有量は、硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して、例えば0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、例えば15.0質量%以下、好ましくは12.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下とすることができる。アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤の含有量が15.0質量%を超えると、硬化性人工爪組成物の硬化塗膜が脆くなるおそれや黄変(黄ばみ)するおそれがある。アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤の含有量が0.05質量%未満であると、硬化性人工爪組成物の硬化熱が高くなり、硬化時上昇温度が大きくなるおそれがある。
【0058】
<重合禁止剤>
重合禁止剤としては、前記(a)(メタ)アクリレート化合物の重合を抑制し得ることができる化合物であれば、特に制限されない。例えば、トコフェロール系化合物、キノン系化合物、フェノール系化合物、カテコール系化合物、オキシジフェニルアミン系化合物、ニトロソ系化合物、ニトロン系化合物、ニトリル系化合物、ヒドラジル系化合物、フェノチアジン系化合物等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。これらのうち、トコフェロール系化合物及び/又はキノン系化合物を用いることが好ましい。
【0059】
トコフェロール系化合物としては、例えば、トコール、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、η-トコフェロール、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、γ-トコトリエノール、δ-トコトリエノール、酢酸-α-トコフェロール、酢酸-β-トコフェロール、酢酸-γ-トコフェロール、酢酸-δ-トコフェロール、コハク酸-α-トコフェロール、コハク酸-β-トコフェロール、コハク酸-γ-トコフェロール、コハク酸-δ-トコフェロール、α-トコフェロールグリシンエステル、β-トコフェロールグリシンエステル、γ-トコフェロールグリシンエステル、δ-トコフェロールグリシンエステル、酢酸-α-トコトリエノール、酢酸-β-トコトリエノール、酢酸-γ-トコトリエノール、酢酸-δ-トコトリエノール、コハク酸-α-トコトリエノール、コハク酸-β-トコトリエノール、コハク酸-γ-トコトリエノール、コハク酸-δ-トコトリエノール等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。好ましくは、トコール、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、η-トコフェロール、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、γ-トコトリエノール、δ-トコトリエノール、酢酸-α-トコフェロール、酢酸-β-トコフェロール、酢酸-γ-トコフェロール、酢酸-δ-トコフェロール等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0060】
キノン系化合物としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、1-o-2,3,5-トリメチロールハイドロキノン、2-tert-ブチルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジメチルハイドロキノン、ジ-t-ブチルハイドロキノン、ベンゾキノン、p-ベンゾキノン、2,6-ジクロロ-p-ベンゾキノン、2,5-ジクロロ-p-ベンゾキノン等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0061】
フェノール系化合物としては、例えば、3,5-t-ジブチル-6-ヒドロキシトルエン等が挙げられる。
カテコール系化合物としては、例えば、カテコール、4-t-ブチルカテコール等が挙げられる。
オキシジフェニルアミン系化合物としては、例えば、2-オキシジフェニルアミン、その水酸基位置異性体、フェニル基置換体、アミノ基のアルキル置換体等が挙げられる。
ニトロソ系化合物としては、例えば、カルボニル化合物のα炭素にニトロソ基を有する化合物(メチル-α-ニトロソイソプロピルケトン等)、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミン化合物(N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等)等が挙げられる。
ニトロン系化合物としては、例えば、フェニル-t-ブチルニトロン等が挙げられる。
ニトリル系化合物としては、例えば、ニトリル基が共役している化合物(フルフリリデンマロノニトリル等)等が挙げられる。
ヒドラジル系化合物としては、例えば、1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジルが好ましい。
フェノチアジン系化合物としては、例えば、フェノチアジン又は芳香環部分に1つ以上の置換基を有する化合物等が挙げられる。
【0062】
本発明の硬化性人工爪組成物において、重合禁止剤の含有量は、とくに限定されない。例えば、硬化性人工爪組成物全量に対し、0質量%を超え1.0質量%以下とすることができる。好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上である。重合禁止剤の含有量が1.0質量%を超えると、硬化性人工爪組成物の効果塗膜表面に未硬化成分が残存するおそれがあり、経時的に増粘して塗布性や取扱性等が低下するおそれがあり、重合禁止剤を含有していない場合には、貯蔵安定性が低下するおそれがある。
【0063】
<着色剤>
着色剤は、顔料、光輝材、染料からなる群より選ばれる1種以上が挙げられ、任意の量用いて、硬化性人工爪組成物に所望の色調を付与する。特に、爪用被覆材に使用されている無機顔料、光輝材、有機顔料及び染料からなる群より選ばれる1種以上であって、紫外線照射(光照射)等による硬化を大きく阻害しないものである。
硬化前の硬化性人工爪組成物には、顔料等のみではなく樹脂粒子や、公知の硬化性人工爪組成物に配合できる装飾用材料等を配合しておくことも可能である。
【0064】
着色剤としては、例えば、褐色201号、黒色401号、紫色201号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色202号、青色203号、青色204号、青色205号、青色403号、青色404号、緑色201号、緑色202号、緑色204号、緑色205号、緑色3号、緑色401号、緑色402号、黄色201号、黄色202号-(1)、黄色202号-(2)、黄色203号、黄色204号、黄色205号、黄色4号、黄色401号、黄色402号、黄色403号-(1)、黄色404号、黄色405号、黄色406号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、橙色206号、橙色207号、橙色401号、橙色402号、橙色403号、赤色102号、赤色104号-(1)、赤色105号-(1)、赤色106号、赤色2号、赤色201号、赤色202号、赤色203号、赤色204号、赤色205号、赤色206号、赤色207号、赤色208号、赤色213号、赤色214号、赤色215号、赤色218号、赤色219号、赤色220号、赤色221号、赤色223号、赤色225号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号-(1)、赤色230号-(2)、赤色231号、赤色232号、赤色3号、赤色401号、赤色405号、赤色501号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色505号、赤色506号、酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、マンガンバイオレット、カーボンブラック、金属粉、金属フレーク、金属酸化物フレーク、ガラスフレーク等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0065】
本発明の硬化性人工爪組成物において、透明の硬化塗膜の形成・硬化塗膜の黄ばみ抑制のために、ブルーイング剤を配合することが好ましい。本発明において用いられるブルーイング剤としては、青色系着色剤と反応性希釈剤を含むものが好ましく用いられる。青色系着色剤としては、例えば、紫色201号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色202号、青色203号、青色204号、青色205号、青色403号、青色404号、緑色201号、緑色202号、緑色204号、緑色205号、緑色3号、緑色401号、緑色402号等からなる群より選ばれる1種以上を含む着色剤、好ましくは、紫色201号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色202号、青色203号、青色204号、青色205号、青色403号、青色404号等からなる群より選ばれる1種以上を含む着色剤が用いられる。反応性希釈剤としては、前記(a)(メタ)アクリレート化合物における(メタ)アクリレートモノマーからなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
【0066】
<ポリオール化合物>
ポリオール化合物は、硬化性人工爪組成物の希釈剤、密着性向上剤としての機能を有している。ポリオール化合物としては、例えば、アルキルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、フェノリックポリオール等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。中でも、アルキルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールが好ましい。
アルキルポリオールとしては、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0067】
ポリエステルポリオールとしては、縮合型ポリエステルポリオール、付加重合ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。縮合型ポリエステルポリオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル1,5-ペンタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,4-ヘキサンジメタノール、ダイマー酸ジオール、ポリエチレングリコール等からなる群より選ばれる1種以上のジオール化合物と、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸等からなる群より選ばれる1種以上の有機多塩基酸との縮合反応によって得られ、分子量は100以上100,000以下が好ましい。付加重合ポリエステルポリオールとしては、ポリカプロラクトンが挙げられ、分子量は100以上100,000以下が好ましい。ポリカーボネートポリオールはポリオールの直接ホスゲン化、ジフェニルカーボネートによるエステル交換法などによって合成され、分子量は100以上100,000以下が好ましい。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、アルキレンオキシドの開環重合により得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0068】
<溶剤>
溶剤は、希釈により塗布時の粘度を調整し得るものであれば、特に限定されない。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エチルセロソルブ等のセロソルブ類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類:プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、ジアセトンアルコール等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0069】
[硬化性人工爪組成物の粘度]
本発明の硬化性人工爪組成物は、25℃での粘度を、例えば0.1Pa・s以上60.0Pa・s以下とすることができる。好ましくは0.5Pa・s以上、より好ましくは0.7Pa・s以上であり、好ましくは50.0Pa・s以下、より好ましくは40.0Pa・s以下である。このような粘度範囲とすることで、筆やインクジェット等の塗布具による塗布作業性に優れる硬化性人工爪組成物にできる。
【0070】
[硬化性人工爪組成物の用途]
本発明の硬化性人工爪組成物は、いわゆる一般のマニキュアやペディキュアのように、爪の表面に被覆を行うための組成物である。
本発明の硬化性人工爪組成物は、特にジェルネイルとして好適に使用でき、例えば、使用者の爪に直接塗布されるベースコート層、該ベースコート層の上に塗布されるカラーコート層、さらにその上に塗布されるトップコート層のいずれの層の形成に用いても、長期間(例えば、硬化後少なくとも2週間)硬化塗膜が欠けることなく、剥がれず、また下層や使用者の爪に対して浮きが発生することを抑制できる。特に、硬化性に優れたノンワイプ型のトップコート層用の硬化性人工爪組成物として用いることができる。
【0071】
本発明の硬化性人工爪組成物は、特に、所望の色調としたカラートップコート層、所望の色調が付与されていてもよいクリア系トップコート層、金属粉、金属フレーク、金属酸化物フレーク、ガラスフレーク等の光輝材を含むラメ入りクリア系トップコート層として、好適に用いることができる。また、本発明の硬化性人工爪組成物を塗布後、硬化前に小さな飾りや粉体等を、硬化性人工爪組成物の塗膜表面に付着させ、意匠性を高めることも可能である。
【0072】
[硬化性人工爪組成物を用いた爪の被覆]
本発明の硬化性組成物を用いて被覆される爪は、人の手の爪と足の爪のいずれでもよく、犬や猫等の動物の爪でもよい。さらに、ネイルチップ(つけ爪)等の人工の爪であってもよい。
本発明の硬化性人工爪組成物を、爪又は爪に設けられた(未)硬化塗膜の上に塗布して被覆する際、塗布面にサンディングを施してもよく、施さなくてもよい。硬化性人工爪組成物の塗布方法は、特に限定されず、例えば、筆等の塗布具や、インクジェット等の塗布方法を用いることができる。
【0073】
本発明の硬化性人工爪組成物を用い、シートの少なくとも一方の面に、爪等の形状を有する未硬化の塗膜層を作製し、この層を爪表面と接触(転写)させた後に、シートを剥離するか又は剥離せずに、紫外線を照射して硬化させることもできる。
シート表面に予め硬化性人工爪組成物を用いて未硬化の塗膜層を設け、これを転写する方法によれば、筆等の塗布具を使用することなく、爪の表面に均一かつ正確な模様を被覆することが可能であり、使用後においても該塗布具を洗浄等する必要がない。
【0074】
塗布後の硬化性人工爪組成物の硬化手段については、硬化性人工爪組成物の硬化を生起させるエネルギーを付与し得る手段であれば、特に限定されない。例えば、光(紫外線(UV)等)、電子線、熱等のエネルギー線照射等が挙げられる。特に、紫外線(UV)照射による硬化は、比較的迅速に、簡便に行うことができることから、好ましく用いることができる。紫外線等の光を照射することで硬化させる際には、公知の紫外線硬化用の装置を用いることができる。硬化性人工爪組成物の組成によって、硬化に必要なエネルギー量は異なるものの、例えば、紫外線等の光照射により硬化する際には、光照射による照射エネルギー(積算光量)は、例えば5mJ/cm以上、好ましくは10mJ/cm以上であり、例えば1000mJ/cm以下、好ましくは800mJ/cm以下である。照射エネルギーがこの範囲内であれば、十分な密着性及び耐擦性を有するネイルアートを得ることができる。
光を照射する際の光源としては、例えば、マルチタイプUVランプ(UV+LED)、水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線発光ダイオード(UV-LED)、紫外線レーザーダイオード(UV-LD)等の公知の紫外線の光源を用いることができる。その中でも、小型、高寿命、高効率、低コストの観点から、マルチタイプランプ(UV+LED)(3線主波長:約365nm、約405nm及び約436nm)、紫外線発光ダイオード(UV-LED;波長約385nm~約415nm;ピーク波長約405nm)及び紫外線レーザーダイオード(UV-LD)が好ましい。
【実施例0075】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
【0076】
[実施例1~14、比較例1~5]
表1及び表2に示す成分を、それぞれ表1及び表2に示す量比(質量部)となるように容器内に投入し、ディゾルバーにより撹拌しつつ50℃に加温し撹拌した。
撹拌しながら圧力0.1MPa下で10分脱泡し、撹拌後50℃で2時間静置し脱泡し、硬化性人工爪組成物を得た。これらの工程は、全て遮光下にて行った。
【0077】
<成分>
表1及び表2中の成分は、それぞれ以下のとおりである。
PU1:2官能ポリエーテル系ポリウレタン(メタ)アクリレート
PU2:6官能脂環族系ポリウレタン(メタ)アクリレート(重量平均分子量2,400)
PU3:4官能脂環族系ポリウレタン(メタ)アクリレート(重量平均分子量1,800)
PU4:2官能脂環族系ポリウレタン(メタ)アクリレート(重量平均分子量3,000)
PETA:ペンタエリスリトールテトラアクリレート
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
PEMP:ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)
HCPK:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド
a-TP:α-トコフェロール
Blu-Agt:ブルーイング剤(紫201/HEMA=0.1質量%/99.9質量%)
【0078】
<表面硬化性>
得られた硬化性人工爪組成物を、硬質塩化ビニル板上に塗布して、膜厚100μmの塗膜を形成し、36Wのマルチタイプ(UV+LED)のランプ(照射波長約385nm~約415nm)を30秒照射して硬化して硬化塗膜付き試験片を得た。得られた硬化直後の硬化塗膜の表面を手指で触り、表面の粘着性・タックの有無により以下の基準に基づき表面硬化性を評価した。A、Bは合格であり、C、Dは不合格である。表面硬化性の評価結果を表1及び表2に併せて示す。
A:硬化塗膜表面に未硬化成分が残存していない。硬化塗膜表面を触った際にタックを感じない。
B:硬化塗膜表面に未硬化成分が残存していない。硬化塗膜表面を触った際にわずかなタックを感じる。
C:硬化塗膜表面に未硬化成分が残存していない。硬化塗膜表面を触った際にタックを感じ、試験片を抑えた指に試験片が張り付く。
D:硬化塗膜表面に未硬化成分が残存している。硬化塗膜表面を触った際に未硬化成分が指に付着し、べたつく。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
表1及び表2に示すように、実施例1~14の硬化性人工爪組成物は、いずれも表面硬化性に優れるものであり、一方、比較例1~5の硬化性人工爪組成物は、いずれも表面硬化性に劣るものであった。これより、実施例1~14の硬化性人工爪組成物は、いずれも、爪上に硬化塗膜を形成した際に、硬化塗膜表面に未硬化成分が残存することがないもので、ノンワイプ型のジェルネイルとして有用なもので、特にノンワイプ型のトップジェルネイルとして有用であることがわかる。
図1