(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024569
(43)【公開日】2025-02-20
(54)【発明の名称】セルホルダおよび電池パックの筐体
(51)【国際特許分類】
H01M 50/242 20210101AFI20250213BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20250213BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20250213BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20250213BHJP
【FI】
H01M50/242
H01M50/211
H01M50/291
H01M50/289 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128772
(22)【出願日】2023-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005382
【氏名又は名称】古河電池株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000142115
【氏名又は名称】株式会社協豊製作所
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 里美
(72)【発明者】
【氏名】山下 桃子
(72)【発明者】
【氏名】河野 雅史
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA01
5H040AA03
5H040AA07
5H040AS01
5H040AS06
5H040AS07
5H040AT04
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY10
5H040CC13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電池パックの筐体に収容されるセルアセンブリ積層体の耐振性および耐震性を向上することができるセルホルダおよび電池パックの筐体を提供する。
【解決手段】セルアセンブリ積層体の両側面を構成するセルホルダの両側面に、凸部63aが突出して形成される。セルホルダの両側面に形成されるこの凸部63aは、セルアセンブリ積層体の左側面の少なくとも一部を構成する幾つかのセルホルダの側面、および、セルアセンブリ積層体の右側面の少なくとも一部を構成する幾つかのセルホルダの側面から突出して形成されるものが、筐体の左側板7および右側板9の両側板内面に固定される係止部材51にZ軸方向において係止されて、Z軸方向の動きが抑止される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パックの筐体に収容されるセルアセンブリ積層体を構成するセルアセンブリにおいてラミネートセルを保持するセルホルダであって、
前記ラミネートセルの一面側から前記ラミネートセルを保持する第1フレームと、
前記ラミネートセルの他面側から前記ラミネートセルを保持する第2フレームと、
前記第1フレームおよび前記第2フレーム間を固定して、前記第1フレームおよび前記第2フレーム間に前記ラミネートセルを挟持した前記セルアセンブリの状態を保持する固定手段と、
前記セルアセンブリが一方向に積層されて一体に構成される前記セルアセンブリ積層体の両側面を構成する前記セルホルダの両側面に突出してまたは窪んで形成され、前記セルアセンブリ積層体の一側面の少なくとも一部を構成する前記セルホルダの側面および前記セルアセンブリ積層体の他側面の少なくとも一部を構成する前記セルホルダの側面から突出してまたは窪んで形成されるものが、前記セルアセンブリ積層体の両側面を挟む前記筐体の両側板内面に固定される係止部材に前記一方向に直交する方向において係止されて、前記一方向に直交する方向の動きが抑止される凸部または凹部と
を備えることを特徴とするセルホルダ。
【請求項2】
前記凸部または凹部は、前記セルアセンブリ積層体の側面を構成する前記第1フレームおよび前記第2フレームの少なくとも一方自体がその側面から突出してまたは窪んで形成されることを特徴とする請求項1に記載のセルホルダ。
【請求項3】
前記凸部は、前記固定手段の一部によって構成されることを特徴とする請求項1に記載のセルホルダ。
【請求項4】
前記固定手段は、前記セルアセンブリ積層体の側面を構成する前記第1フレームおよび前記第2フレームの側面において、前記第1フレームおよび前記第2フレーム間を挟持して固定する結合部材によって構成され、
前記凸部は、前記結合部材の、前記第1フレームおよび前記第2フレームの前記側面から突出する部分によって形成されることを特徴とする請求項3に記載のセルホルダ。
【請求項5】
前記固定手段は、前記セルアセンブリ積層体の側面を構成する前記第1フレームおよび前記第2フレームの側面から窪んで形成される前記凹部の窪み内で、前記係止部に係止される前記凹部の窪み部分を残して、前記第1フレームおよび前記第2フレーム間を挟持して固定する結合部材によって構成されることを特徴とする請求項2に記載のセルホルダ。
【請求項6】
電池パックの筐体に収容されるセルアセンブリ積層体を構成するセルアセンブリにおいてラミネートセルを保持するセルホルダであって、
前記ラミネートセルの一面側から前記ラミネートセルを保持する第1フレームと、
前記ラミネートセルの他面側から前記ラミネートセルを保持する第2フレームと、
前記第1フレームおよび前記第2フレーム間を固定して、前記第1フレームおよび前記第2フレーム間に前記ラミネートセルを挟持した前記セルアセンブリの状態を保持する固定手段と、
前記セルアセンブリが一方向に積層されて一体に構成される前記セルアセンブリ積層体の両側面を構成する前記セルホルダの両側面のうちの一方の側面に突出して形成される凸部と、前記両側面のうちの他方の側面に窪んで形成される凹部であって、前記セルアセンブリ積層体の一側面の少なくとも一部を構成する前記セルホルダの前記一方の側面から突出して形成される前記凸部および前記セルアセンブリ積層体の他側面の少なくとも一部を構成する前記セルホルダの前記他方の側面から窪んで形成される前記凹部は、前記セルアセンブリ積層体の両側面を挟む前記筐体の両側板内面に固定される係止部材に前記一方向に直交する方向においてそれぞれ係止されて、前記一方向に直交する方向の動きが抑止される凸部および凹部と
を備えることを特徴とするセルホルダ。
【請求項7】
前記凸部または凹部の前記一方向に直交する方向の動きを抑止する前記係止部材が、前記セルアセンブリ積層体の両側面を挟む両側板内面に固定され、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のセルホルダが積層されて構成されるセルアセンブリ積層体を収容する電池パックの筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルアセンブリにおいてラミネートセルを保持するセルホルダ、および、セルアセンブリが積層されて構成されるセルアセンブリ積層体が収容される電池パックの筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電装置等に用いられるリチウムイオン二次電池(LIB:Lithium Ion Battery、以下、LIBと記す)は、ニッケルカドミウム電池やニッケル水素電池といった他の二次電池と比較して、エネルギー密度が高く、小型且つ軽量であることで知られている。
【0003】
このLIBは例えばラミネートフィルムに封入されてラミネートセルとされ、セルホルダに保持されてセルアセンブリとされる。セルアセンブリは、ラミネートセルがさらに直列に接続されてセルアセンブリ積層体であるLIBモジュールを構成する。このLIBモジュールは、各LIBの電圧や温度を監視するモジュールモニタリングユニット(MMU:Module Management Unit)を含む制御回路と接続されて、電池パックの筐体内部に収容される。
【0004】
例えば特許文献1および特許文献2には、このような多数のLIBが積層されてなるリチウム2次電池単位セットにおいて、より強固にかつ安定的にLIBが収容されるリチウム2次電池単位セットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5465726号公報
【特許文献2】特許第5249339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した電池パックは、例えば無停電電源装置、産業ロボット、電気車両、または無人飛行体といった給電の対象となる各種負荷に搭載される。このとき、セルアセンブリ積層体が負荷から受ける振動や、地震による振動にも対処する必要があり、振動対策が講じられることが好ましい。
【0007】
以上の点に鑑みて、本発明の目的は、負荷に搭載される電池パックの筐体に収容されるセルアセンブリ積層体の耐振性および耐震性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するため、本発明は、
電池パックの筐体に収容されるセルアセンブリ積層体を構成するセルアセンブリにおいてラミネートセルを保持するセルホルダであって、
ラミネートセルの一面側からラミネートセルを保持する第1フレームと、
ラミネートセルの他面側からラミネートセルを保持する第2フレームと、
第1フレームおよび第2フレーム間を固定して、第1フレームおよび第2フレーム間にラミネートセルを挟持したセルアセンブリの状態を保持する固定手段と、
セルアセンブリが一方向に積層されて一体に構成されるセルアセンブリ積層体の両側面を構成するセルホルダの両側面に突出してまたは窪んで形成され、セルアセンブリ積層体の一側面の少なくとも一部を構成するセルホルダの側面およびセルアセンブリ積層体の他側面の少なくとも一部を構成するセルホルダの側面から突出してまたは窪んで形成されるものが、セルアセンブリ積層体の両側面を挟む筐体の両側板内面に固定される係止部材に一方向に直交する方向において係止されて、一方向に直交する方向の動きが抑止される凸部または凹部と
を備えるセルホルダを構成した。
【0009】
本構成によれば、セルアセンブリが一方向に積層されて一体に構成されるセルアセンブリ積層体の両側面を構成するセルホルダの両側面に、凸部または凹部が突出してまたは窪んで形成される。セルホルダの両側面に形成されるこの凸部または凹部は、セルアセンブリ積層体の一側面の少なくとも一部を構成する幾つかのセルホルダの側面、および、セルアセンブリ積層体の他側面の少なくとも一部を構成する幾つかのセルホルダの側面から突出してまたは窪んで形成されるものが、筐体の両側板内面に固定される係止部材に一方向に直交する方向において係止されて、一方向に直交する方向の動きが抑止される。
【0010】
セルアセンブリ積層体は複数のセルアセンブリが一体に構成されるので、セルアセンブリ積層体を構成する少なくとも一部のセルホルダの各側面に形成される凸部または凹部が、電池パックの筐体の両側板内面に固定される係止部材に一方向に直交する方向において係止されることで、セルアセンブリ積層体の筐体内における動きが、その積層方向である一方向に直交する方向において、抑止される。このため、セルアセンブリ積層体の、電池パック筐体内におけるその積層方向に直交する方向での耐振性および耐震性が、向上するようになる。
【0011】
また、セルアセンブリ積層体の電池パック筐体内におけるその積層方向に直交する方向での動きの抑止は、セルアセンブリ積層体を電池パックの筐体内に収容する組み立ての際に、セルホルダの凸部または凹部が筐体の係止部材に係止することで、行われる。このため、セルアセンブリ積層体の、電池パック筐体内におけるその積層方向に直交する方向での耐振性および耐震性の向上は、電池パックの組み立ての際に特別な工程を行うことなく、電池パックを単に組み立てることで、電池パックの組み立て効率を低下させずに、行うことが出来る。
【0012】
また、セルホルダの両側面に凹部が窪んで形成される場合、セルアセンブリの外周囲に突出する部分が無いので、セルアセンブリ積層体を収容する電池パックの筐体をコンパクトにすることが出来て、電池パックの単位体積当たりのエネルギー密度を向上させることが出来る。
【0013】
また、本発明は、凸部または凹部が、セルアセンブリ積層体の側面を構成する第1フレームおよび第2フレームの少なくとも一方自体がその側面から突出してまたは窪んで形成されることを特徴とする。
【0014】
本構成によれば、セルアセンブリを構成する第1フレームおよび第2フレームの少なくとも一方自体によって凸部または凹部が形成されるため、セルアセンブリを構成する部品の点数を増やすことなく、セルアセンブリ積層体の、電池パック筐体内におけるその積層方向に直交する方向における耐振性および耐震性を向上させることができる。
【0015】
また、本発明は、凸部が、固定手段の一部によって構成されることを特徴とする。
【0016】
本構成によれば、凸部が固定手段の一部によって実現されるため、セルアセンブリの構成要素を減らして、セルアセンブリ積層体の、電池パック筐体内におけるその積層方向に直交する方向における耐振性および耐震性を安価に向上させることができる。
【0017】
また、本発明は、
固定手段が、セルアセンブリ積層体の側面を構成する第1フレームおよび第2フレームの側面において、第1フレームおよび第2フレーム間を挟持して固定する結合部材によって構成され、
凸部が、結合部材の、第1フレームおよび第2フレームの側面から突出する部分によって形成されることを特徴とする。
【0018】
本構成によれば、固定手段および凸部が、第1フレームおよび第2フレームの側面において、第1フレームおよび第2フレーム間を挟持して固定する結合部材によって構成され、凸部を構成する部品の点数および組み立て工数の削減が図れる。
【0019】
また、本発明は、固定手段が、セルアセンブリ積層体の側面を構成する第1フレームおよび第2フレームの側面から窪んで形成される凹部の窪み内で、係止部に係止される凹部の窪み部分を残して、第1フレームおよび第2フレーム間を挟持して固定する結合部材によって構成されることを特徴とする。
【0020】
本構成によれば、固定手段が凹部の窪み内に設けられ、セルアセンブリの外周囲に固定手段が突出しないので、セルアセンブリ積層体の大きさを抑制できる。このため、セルアセンブリ積層体を収容する電池パックの筐体をコンパクトにすることが出来て、電池パックの単位体積当たりのエネルギー密度を向上させることが出来る。
【0021】
さらに、本発明は、電池パックの筐体に収容されるセルアセンブリ積層体を構成するセルアセンブリにおいてラミネートセルを保持するセルホルダであって、
ラミネートセルの一面側からラミネートセルを保持する第1フレームと、
ラミネートセルの他面側から前記ラミネートセルを保持する第2フレームと、
第1フレームおよび第2フレーム間を固定して、第1フレームおよび第2フレーム間にラミネートセルを挟持したセルアセンブリの状態を保持する固定手段と、
セルアセンブリが一方向に積層されて一体に構成されるセルアセンブリ積層体の両側面を構成するセルホルダの両側面のうちの一方の側面に突出して形成される凸部と、両側面のうちの他方の側面に窪んで形成される凹部であって、セルアセンブリ積層体の一側面の少なくとも一部を構成するセルホルダの一方の側面から突出して形成される凸部およびセルアセンブリ積層体の他側面の少なくとも一部を構成するセルホルダの他方の側面から窪んで形成される凹部は、セルアセンブリ積層体の両側面を挟む筐体の両側板内面に固定される係止部材に一方向に直交する方向においてそれぞれ係止されて、一方向に直交する方向の動きが抑止される凸部および凹部と
を備えるセルホルダを構成した。
【0022】
本構成によれば、セルアセンブリ積層体は複数のセルアセンブリが一体に構成されるので、セルアセンブリ積層体を構成する少なくとも一部のセルホルダの一方の側面に形成される凸部と他方の側面に形成される凹部が、電池パックの筐体の両側板内面に固定される係止部材に一方向に直交する方向においてそれぞれ係止されることで、セルアセンブリ積層体の筐体内における動きが、その積層方向である一方向に直交する方向において、抑止される。このため、セルアセンブリ積層体の、電池パック筐体内におけるその積層方向に直交する方向での耐振性および耐震性が、向上するようになる。
【0023】
また、本発明は、凸部または凹部の一方向に直交する方向の動きを抑止する係止部材が、セルアセンブリ積層体の両側面を挟む両側板内面に固定され、上記のいずれかに記載のセルホルダが積層されて構成されるセルアセンブリ積層体を収容する電池パックの筐体を構成した。
【0024】
本構成によれば、セルアセンブリ積層体の、電池パック筐体内におけるその積層方向に直交する方向での耐振性および耐震性を向上させることが可能な電池パックの筐体を提供することが出来る。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、セルアセンブリ積層体の、電池パック筐体内におけるその積層方向に直交する方向での耐振性および耐震性を向上させることが可能なセルホルダおよび電池パックの筐体を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る電池パックの筐体を示す外観斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施の形態に係るセルホルダから構成されるセルアセンブリ積層体を収容する電池パックの筐体を部分的に解体したときの外観斜視図である。
【
図3】一実施の形態に係る電池パックの筐体の側面図である。
【
図4】
図3に示す電池パックの筐体のVI-VI線破断矢視横断面図である。
【
図5】(a)は、
図3に示す電池パックの筐体のV-V線破断矢視側断面図、(b)は(a)に示す領域Aの詳細図、(c)は(a)に示す領域Aの変形例を示す図である。
【
図6】第1実施の形態に係るセルホルダから構成されるセルアセンブリを例示する斜視図である。
【
図7】(a)は
図6に例示したセルアセンブリの正面図、(b)はその側面図である。
【
図8】
図6に例示したセルアセンブリをY軸方向に分解したときの分解斜視図である。
【
図9】
図6に例示したセルアセンブリをY軸方向に分解したときの分解側面図である。
【
図10】本発明の第2実施の形態に係るセルホルダから構成されるセルアセンブリを例示する斜視図である。
【
図11】(a)は、
図10に示すセルアセンブリから構成されるセルアセンブリ積層体を収容する
図3に示す電池パックの筐体のV-V線破断矢視側断面図、(b)は(a)に示す領域Bの詳細図、(c)は(a)に示す領域Bの変形例を示す図である。
【
図12】第1実施の形態の変形例に係るセルホルダから構成されるセルアセンブリを例示する斜視図である。
【
図13】(a)は
図12に例示したセルアセンブリの正面図、(b)はその側面図である。
【
図14】(a)は
図12に例示したセルアセンブリから結合部材を取り外した状態を示す斜視図、(b)は取り出した結合部材の単体の斜視図である。
【
図15】(a)は、
図14(a)に示す状態のセルアセンブリの正面図、(b)はその側面図である。
【
図16】第2実施の形態の変形例に係るセルホルダから構成されるセルアセンブリを例示する斜視図である。
【
図17】(a)は
図16に例示したセルアセンブリの正面図、(b)はその側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態に係るセルホルダおよび電池パックの筐体について詳細に説明する。なお、各図において同一または相当する部分には同一符号を付して説明する。また、
図1におけるXYZ座標軸は
図2以降の各図におけるXYZ座標軸とそれぞれ一致する。
【0028】
図1は本発明の一実施の形態に係る電池パック1の筐体の外観斜視図、
図2は一実施の形態に係る電池パック1の筐体を部分的に解体したときの外観斜視図である。この一実施の形態にかかる電池パック1の筐体には、後述する、本発明の第1実施の形態に係るセルホルダ62から構成されるセルアセンブリ積層体15が収容されている。
【0029】
図1および
図2を参照すると、電池パック1の筐体は、天板3、底板5、左側板7、右側板9、前板11及び後板13により構成される。
図2は、
図1に示される電池パック1の筐体のうち、天板3および右側板9が取り外されたときの外観斜視図である。本実施の形態では、筐体は、表面塗装が施された亜鉛メッキ鋼板で形成され、底板5、左側板7、前板11および後板13は、1枚の亜鉛メッキ鋼板に曲げ加工が施されて形成される。
【0030】
底板5はXY平面に配置され、左側板7はYZ平面に配置され、前板11および後板13はXZ平面にそれぞれ配置される。底板5のY軸負方向の辺と前板11のZ軸負方向の辺、および、底板5のY軸正方向の辺と後板13のZ軸負方向の辺は、それぞれ溶接により接続される。
【0031】
前板11のZ軸正方向の上端部には、
図2に示すように、その上端部がY軸正方向に折り曲げられて、天板接続代が設けられている。この天板接続代の2箇所にはねじ穴20が開けられており、XY平面に配置される天板3のY軸負方向の前端部における2箇所には、ねじ穴19が開けられている。天板3のY軸負方向の前端部は、ねじ穴19とねじ穴20とのそれぞれに通されるねじにより、前板11の天板接続代に締結される。
【0032】
また、前板11のX軸正方向の右端部には、その右端部がY軸正方向に折り曲げられて、側板接続代が設けられている。この側板接続代の2箇所にはねじ穴26が開けられており、YZ平面に配置される右側板9のY軸負方向の前端部における2箇所には、ねじ穴25が開けられている。右側板9のY軸負方向の前端部は、ねじ穴25とねじ穴26とのそれぞれに通されるねじにより、前板11の側板接続代に締結される。
【0033】
同様に、後板13のZ軸正方向の上端部には、その上端部がY軸負方向に折り曲げられて、天板接続代が設けられている。この天板接続代の2箇所にはねじ穴18が開けられており、XY平面に配置される天板3のY軸正方向の後端部における2箇所には、ねじ穴17が開けられている。天板3のY軸正方向の後端部は、ねじ穴17とねじ穴18とのそれぞれに通されるねじにより、後板13の天板接続代に締結される。
【0034】
また、後板13のX軸正方向の右端部には、その右端部がY軸負方向に折り曲げられて、側板接続代が設けられている。この側板接続代の2箇所にはねじ穴22が開けられており、YZ平面に配置される右側板9のY軸正方向の後端部における2箇所には、ねじ穴21が開けられている。右側板9のY軸正方向の後端部は、ねじ穴21とねじ穴22とのそれぞれに通されるねじにより、後板13の側板接続代に締結される。
【0035】
また、左側板7のZ軸正方向の上端部には、その上端部がX軸正方向に折り曲げられて、天板接続代が設けられている。この天板接続代の4箇所にはねじ穴16が開けられており、XY平面に配置される天板3のX軸負方向の左端部における4箇所には、ねじ穴14が開けられている。天板3のX軸負方向の左端部は、ねじ穴14とねじ穴16とのそれぞれに通されるねじにより、左側板7の天板接続代に締結される。
【0036】
また、天板3のX軸正方向の右端部には、その右端部がZ軸負方向に折り曲げられて、側板接続代(図示せず)が設けられている。この側板接続代の4箇所にはねじ穴(図示せず)が開けられており、YZ平面に配置される右側板9のZ軸正方向の上端部における4箇所には、ねじ穴23が開けられている。右側板9のZ軸正方向の上端部は、天板3の側板接続代におけるねじ穴(図示せず)とねじ穴23とのそれぞれに通されるねじにより、天板3の側板接続代に締結される。
【0037】
前板11の前面の外側表面には、一対の外部出力端子27、一対の通信コネクタ29および1つの取手31が設けられている。LIBモジュールであるセルアセンブリ積層体15は、前板11の背面の内側表面に設けられたMMU(モジュールモニタリングユニット:Module Management Unit)基板33と接続されて、電池パック1の筐体内部に収容される。MMU基板33には、各LIBの電圧や温度を監視するMMUを含む制御回路が形成されている。通信コネクタ29は、このMMU基板33と電気的に接続されている。各外部出力端子27からは、セルアセンブリ積層体15の各LIBから出力される電力が取り出される。また、取手31は、電池パック1を移動させるときに力が印加され、例えばY軸負方向の力が印加されたときに、電池パック1は水平方向に移動される。
【0038】
電池パック1の筐体内部に収容されているセルアセンブリ積層体15は、セルアセンブリ41(
図6参照)がY軸方向の一方向に複数積層されて構成される。セルアセンブリ41は、
図6に示すように、セルアセンブリ41においてセルホルダ62を構成する第1フレーム63と第2フレーム64との間に、1つのラミネートセル61を保持している。第1フレーム63は、ラミネートセル61の一面側からラミネートセル61を保持し、第2フレーム64bは、ラミネートセル61の他面側からラミネートセル61を保持する。
【0039】
各セルホルダ62には、セルアセンブリ積層体15の両側面を構成するセルホルダ62の両側面に突出して、凸部63a,64aが形成されている。本実施の形態では、凸部63a,64aは、セルアセンブリ積層体15の側面を構成する第1フレーム63および第2フレーム64の双方自体が、その側面から突出して形成されている。これら凸部63a,64aは、セルアセンブリ積層体15の両側面のそれぞれから、該両側面のそれぞれに直交する方向であって、且つ、外部に向かって突出している。
【0040】
また、本実施の形態では、凸部63a,64aは、セルアセンブリ積層体15の両側面のそれぞれの下部であって、底板5と接する位置に設けられる。また、本実施の形態では、凸部63a,64aは、XZ平面からみたときに例えば矩形であり、底板5に接する底面およびその底面と対向する上面63a1,64a1は、底板5の表面と実質的に平行である。しかも、凸部63a,64aのXZ平面における形状および寸法は同じである。
【0041】
セルアセンブリ積層体15を構成している各セルホルダ62は、その四隅に設けられた4つの貫通孔62aをそれぞれ貫通するロングボルト45およびナット46により、集合的に締結される。これにより、セルアセンブリ積層体15は、各セルアセンブリ41がY軸方向に規則的に且つ緩みなく一体に積層されて、構成される。また、各セルホルダ62に設けられた凸部63a,64aは、Y軸方向に規則的に且つ緩みなく一体に積層されてそれぞれ凸群65を形成し、凸群65の底板5に接する底面と対向する上面63a1,64a1は面一となる。
【0042】
セルアセンブリ積層体15は、互いに隣接する2つのセルアセンブリ41の正極と負極とが並列に接続されたものが、バスバー35により電気的に直列に接続されることで、セルアセンブリ41が直列接続された二次電池モジュールを構成する。本実施形態では、セルアセンブリ積層体15は、並列に接続された2つのセルアセンブリ41の対が15個直列に接続された二次電池モジュールを構成する。
【0043】
セルアセンブリ積層体15の一方の端部に位置するラミネートセル61の正電極61a(
図2参照)は、締結部材37,39により電池パック1の筐体の左側板7に沿って誘導されるケーブル(図示せず)を介してSCP(Self Control Protection)と呼ばれる二次保護用ヒューズ(図示せず)に接続されて、SCPから一方の外部出力端子27に接続される。セルアセンブリ積層体15の他方の端部に位置するラミネートセル61の負電極61bは、別ケーブル(図示せず)を介して他方の外部出力端子27に接続される。
【0044】
SCPに接続される電流モニタ用ケーブル(図示せず)はMMU基板33に接続され、正電極61aと負電極61bとの間に流れる電流がMMU基板33の制御回路に送出される。また、各バスバー35に接続される電圧モニタ用ケーブル(図示せず)はMMU基板33に接続され、各セルアセンブリ41に保持されるラミネートセル61(
図6参照)の端子間電圧がMMU基板33の制御回路に送出される。
【0045】
さらに、セルアセンブリ積層体15を構成しているセルアセンブリ41のうち、特定のセルアセンブリ41に保持されるラミネートセル61にはサーミスタが当接されている。サーミスタは温度モニタ用ケーブル(図示せず)を介してMMU基板33に接続される。これにより、特定のセルアセンブリ41に保持されるラミネートセル61の温度は、サーミスタによって測定されて、MMU基板33の制御回路に送出される。
【0046】
図3は
図1に示す電池パック1の側面図であり、
図4は
図3に示す電池パック1のVI-VI線破断矢視横断面図、
図5(a)は
図3に示す電池パック1のV-V線破断矢視側断面図である。また、
図5(b)は
図5(a)の領域Aの詳細図であり、
図5(c)は領域Aの後述する変形例を示す図である。
【0047】
はじめに、
図2と
図4を参照すると、セルアセンブリ積層体15を構成するセルアセンブリ41のうち、後板13に最も近いセルアセンブリ41は、各スペーサ55の一方の端に当接している。スペーサ55はL字形状に曲げられて形成されており、各スペーサ55の他方の端は、後板13に溶接されている。各ロングボルト45は、その先端が各スペーサ55の一方の端から突出し、その突出部分においてナット46と螺合して、セルアセンブリ積層体15をY軸方向において締め付けている。
【0048】
セルアセンブリ積層体15を構成するセルアセンブリ41のうち、前板11に最も近いセルアセンブリ41は横断面がL字形状をした固定部材56に当接する。したがって、セルアセンブリ積層体15は、スペーサ55および固定部材56により、電池パック1の筐体の長手方向であるY軸方向において固定される。
【0049】
また、セルアセンブリ積層体15の凸群65のうち、右側板9の側に配置される凸群65の上面は、右側板9に一体となって固定される断面L字型の係止部材51に当接して、係止部材51に覆われる。本実施の形態では、右側板9の側に配置される凸群65の上面は、セルアセンブリ積層体15の長手方向の両端部分の2か所において、係止部材51に当接する。
【0050】
図5(b)に示すように、本実施の形態では、係止部材51のうちの、Z軸方向に延在する垂直板51aは右側板9に溶接により固定されている。また、係止部材51のうちの、X軸方向に延在する、垂直板51aに垂直な水平板51bの先端には、弾性部材からなるスペーサ51cが取り付けられている。スペーサ51cは、凸群65の上面と実質的に平行に当接している。係止部材51を構成する垂直板51aおよび水平板51bは、本実施の形態では、電池パック1の筐体と同様に、亜鉛メッキ鋼板により形成される。
【0051】
同様に、セルアセンブリ積層体15の凸群65のうち、左側板7の側に配置される凸群65の上面は、左側板7と一体になって固定される係止部材51に当接して、係止部材51に覆われる。本実施の形態では、左側板7の側に配置される凸群65の上面は、セルアセンブリ積層体15の長手方向の両端部分と中央部分の3か所において、係止部材51に当接する。この係止部材51のうちの、Z軸方向に延在する垂直板51aは左側板7に溶接により固定されており、水平板51bに取り付けられたスペーサ59は、凸群65の上面と実質的に平行に当接している。
【0052】
凸部63a,64aは、セルアセンブリ積層体15の一側面の少なくとも一部を構成するセルホルダ62の側面、および、セルアセンブリ積層体15の他側面の少なくとも一部を構成するセルホルダ62の側面から突出して形成されるものが、セルアセンブリ積層体15の両側面を挟む筐体の左側板7および右側板9の両側板内面に固定される係止部材51に、Y軸方向である一方向に直交するZ軸方向において係止されて、一方向に直交するZ軸方向の動きが抑止される。
【0053】
本実施の形態では、左側板7の3か所に固定された係止部材51に当接して、セルアセンブリ積層体15の左側面の少なくとも一部を構成するセルホルダ62の側面、および、右側板9の2か所に固定された係止部材51に当接して、セルアセンブリ積層体15の右側面の少なくとも一部を構成するセルホルダ62の側面に形成される凸部63a,64aについての、Z軸方向の動きが抑止される。
【0054】
なお、本実施の形態では、凸部63a,64aと係止部材51の水平板51bとの当接面に設けられているスペーサ51cは、本発明では必須の構成ではない。しかし、スペーサ51cは、凸部63a,64aと係止部材51の水平板51bとの隙間を埋める役割を果たすのに加えて、電池パック1の筐体が振動・震動した際に底板5から係止部材51が受ける衝撃を吸収する役割も果たす。
【0055】
図6は、第1実施の形態に係るセルホルダ62がラミネートセル61を保持した状態を示すセルアセンブリ41を例示する斜視図である。
図7(a)は、
図6に例示したセルアセンブリ41をXZ平面から見たときの正面図、
図7(b)は、
図6に例示したセルアセンブリ41をYZ平面から見たときの側面図である。また、
図8は、
図6に例示したセルアセンブリ41をY軸方向に分解したときの分解斜視図、
図9は、
図6に例示したセルアセンブリ41をY軸方向に分解したときの分解側面図である。
【0056】
本実施の形態では、ラミネートセル61は、例えばLIB(リチウムイオン二次電池)をラミネートフィルムである外装体に封入したものである。詳しくは、ラミネートセル61は、例えばアルミやステンレスのごく薄い金属を樹脂フィルムで挟み込んだラミネートフィルムに、電極積層体が電解液と共に収容されて構成される。電極積層体は、例えばアルミニウム箔等である正極集電体に、例えばLiFePO4等のオリビン型正極活物質からなる正極層が設けられた正極と、例えば銅箔等である負極集電体に、例えば黒鉛等の炭素材からなる負極層が設けられた負極とが、セパレータを介して積層されて構成される。
【0057】
図8に示すように、ラミネートセル61に収容されている電極積層体のうち、正極集電体どうしが正電極61aと共に溶接され、正電極61aがラミネートセル61からZ軸正方向に突出している。また、負極集電体どうしが負電極61bと共に溶接され、負電極61bがラミネートセル61からZ軸正方向に突出している。正電極61aは金具67と溶接され、負電極61bは、X軸方向で逆向きに配置された金具67と溶接される。各金具67は、各金具67の端部に設けられたねじ穴67cに通されるボルトにより、
図2に示すようにバスバー35と接続される。
【0058】
本実施形態では、セルアセンブリ積層体15のY軸方向で隣接するセルアセンブリ41同士の2つが並列に接続されるため、隣接する一方のセルアセンブリ41の正電極61aは他方のセルアセンブリ41の正電極61aと共に、ねじ穴67cがX軸負方向側に寄った金具67と溶接される。また、隣接する一方のセルアセンブリ41の負電極61bは他方のセルアセンブリ41の負電極61bと共に、逆向きに配置されてねじ穴67cがX軸正方向側に寄った金具67と溶接される。このため、各金具67におけるねじ穴67cの配置は互いに離反する配置となる。
【0059】
また、2つ並列に接続されたセルアセンブリ41の対に、セルアセンブリ積層体15のY軸方向で隣接するセルアセンブリ41の対においては、電極の配置が
図8に示す配置と逆に配置される。つまり、Y軸方向で見たときに、当該隣接するセルアセンブリ41の対の正電極61aは、
図8に示す負電極61bと対向し、当該隣接するセルアセンブリ41の対の負電極61bは、
図8に示す正電極61aと対向する。
【0060】
そして、2つ並列に接続されたセルアセンブリ41の対に、セルアセンブリ積層体15のY軸方向で隣接するセルアセンブリ41の対においては、金具67の配置が
図8に示す配置と逆に配置される。つまり、当該隣接するセルアセンブリ41の対においては、隣接する一対のセルアセンブリ41の正電極61aは、
図8に示す負電極61bと対向し、ねじ穴67cがX軸負方向側に寄った金具67が接続される。また、隣接する一対のセルアセンブリ41の負電極61bは、
図8に示す正電極61aと対向し、ねじ穴67cがX軸正方向側に寄った金具67が接続される。
【0061】
このため、当該隣接するセルアセンブリ41の対においては、正電極61aおよび負電極61bに接続される各金具67におけるねじ穴67cの配置は、
図8に示す配置と異なり、互いに近接する配置となる(
図2参照)。
【0062】
各金具67には、それぞれ、X軸方向の両端部に貫通孔67aおよび切り欠き67bが設けられている。それぞれの貫通孔67aおよび切り欠き67bは、XZ平面からY軸正方向に沿ってみたときに、第1フレーム63の4箇所に設けられた貫通孔63cと、第2フレーム64の4箇所に設けられた突起64cとの間に介在する。
【0063】
各貫通孔63cは、第1フレーム63の、XZ平面においてX軸方向に延在する上枠に設けられている。本実施の形態では、各貫通孔63cは円筒状に形成されており、上枠の左端に1つ、中央に2つ、右端に1つ設けられる。各突起64cは、第2フレーム64の、XZ平面においてX軸方向に延在する上枠に設けられている。本実施の形態では、各突起64cは円柱状に形成されており、第1フレーム63に設けられている4つの貫通孔63cのそれぞれに対応して、上枠の左端に1つ、中央に2つ、右端に1つ設けられる。
【0064】
ラミネートセル61のY軸負方向側にある表面である一面と当接される第1フレーム63と、ラミネートセル61のY軸正方向側にある裏面である他面と当接される第2フレーム64とは、本実施の形態では、同じ樹脂でそれぞれ成形される。
【0065】
第1フレーム63は、ラミネートセル61の表面において電極積層体が外装体に収容されているラミネートセル61の凸領域61cを収容するために貫通された、貫通領域63dを含む。貫通領域63dは、貫通領域63dを囲む4つの内法面63d1,63d2,63d3,63d4により画定される。電極積層体が外装体に収容されている凸領域61cは、凸領域61cの天面を底面よりも小さな面積にして凸領域61cを囲む4つの傾斜面61c1,61c2,61c3,61c4により画定される。
【0066】
第2フレーム64は、ラミネートセル61の裏面において電極積層体が外装体に収容されている凸領域(図示せず)を収容するための凹みが設けられた、凹み領域64dを含む。凹み領域64dは、凹み領域64dの開口面積をその底の面積より大きくして凹み領域64dを囲む4つの傾斜面64d1,64d2,64d3,64d4により画定される。ラミネートセル61の裏面において電極積層体が外装体に収容されている凸領域は、ラミネートセル61の表面側と同様に形成される4つの傾斜面(図示せず)により画定される。
【0067】
第1フレーム63は、XZ平面においてZ軸方向に延在する右枠および左枠のそれぞれに、Y軸正方向に突出したレバー63eが2つ設けられる。本実施の形態では、右枠の上方および下方に設けられた2つのレバー63eには、先端にX軸負方向側に突出する爪が形成されている。左枠の上方および下方に設けられた2つのレバー63e(何れも図示せず)には、先端にX軸正方向側に突出する爪が形成されている。
【0068】
第2フレーム64は、XZ平面においてZ軸方向に延在する右枠および左枠のそれぞれに凹部64eが2つずつ設けられる。各凹部64eは、第1フレーム63に設けられている4つのレバー63eのそれぞれに対応して、右枠の上方および下方に1つずつ、左枠の上方および下方(図示せず)に1つずつ設けられる。本実施の形態では、各凹部64eは、第2フレーム64のYZ平面にある両側面から2段階の深さで形成されている(
図9参照)。2段階の深さのうちの第1フレーム63側の深さは、レバー63eのX軸方向の厚みに相当する浅い深さになっており、第1フレーム63から遠い側の深さは、レバー63eの先端の爪を含むX軸方向の厚みに相当する深い深さになっている。
【0069】
各レバー63eは、その先端の爪が各凹部64eの深さの深い切り欠き部分にスナップフィットにより嵌合し、各凹部64eに固定される。これにより、第1フレーム63および第2フレーム64間が固定される。各レバー63eおよび各凹部64eは、第1フレーム63および第2フレーム64間を固定して、第1フレーム63および第2フレーム64間にラミネートセル61を挟持したセルアセンブリ41Aの状態を保持する固定手段を構成する。
【0070】
また、第1フレーム63は、XZ平面においてZ軸方向に延在する左枠に、Y軸負方向に突出した突起63fが2つ設けられる。本実施の形態では、2つの突起63fは円柱状に形成されており、左枠の上方に1つおよび下方に1つ設けられる。第2フレーム64は、Z軸方向に延在する左枠に2つの貫通孔64fが設けられる。本実施の形態では、2つの貫通孔64fは円筒状に形成されており、XZ平面でみたときに、第1フレーム63に設けられた2つの突起63fに対応して、左枠の上方に1つおよび下方に1つ(図示せず)設けられる。
【0071】
第1フレーム63と第2フレーム64のそれぞれの対向面を合わせると、第1フレーム63に設けられた4つの円筒状の貫通孔63cと第2フレーム64に設けられた4つの円柱状の突起64cとが、金具67に設けられた貫通孔67aおよび切り欠き67bを介して嵌合する。これと共に、第1フレーム63に設けられた4つのレバー63eと第2フレーム64に設けられた4つの凹部64eとが、スナップフィットにより嵌合する。第1フレーム63と第2フレーム64のこれらの嵌合により、ラミネートセル61の表面および裏面のそれぞれにおいて電極積層体が外装体に収容されている凸領域61cの周辺に位置する熱溶着領域61dが、第1フレーム63と第2フレーム64とで挟まれて、ラミネートセル61はセルホルダ62に保持されて、その保持された状態が維持される。
【0072】
この状態では、ラミネートセル61の表面において電極積層体が外装体に収容されている凸領域61cを画定する傾斜面61c1,61c2,61c3,61c4のうち、傾斜面61c1よりもZ軸負方向に位置する熱溶着領域61d、傾斜面61c2よりもX軸正方向に位置する熱溶着領域61d、および傾斜面61c4よりもX軸負方向に位置する熱溶着領域61dの3つの領域が、第1フレーム63と第2フレーム64とで挟まれる。
【0073】
また、ラミネートセル61の表面において電極積層体が外装体に収容されている凸領域61cは、第1フレーム63の貫通領域63dの内部に固定され、ラミネートセル61の裏面において電極積層体が外装体に収容されている凸領域(図示せず)は、第2フレーム64の凹み領域64dの内部に固定される。
【0074】
図7(a)を参照すると、ラミネートセル61の表面において電極積層体が外装体に収容されている凸領域61cが第1フレーム63の貫通領域63dの内部に固定されている様子が見て取れる。また、
図7(b)を参照すると、ラミネートセル61の表面および裏面において電極積層体が外装体に収容されている凸領域61cの厚みは、第1フレーム63の貫通領域63dと第2フレーム64の凹み領域64dとが収容可能な厚みよりも薄いことが、見て取れる。
【0075】
なお、
図6を参照すると、第1フレーム63のY軸負方向の側の表面と、ラミネートセル61の表面において電極積層体が外装体に収容されている凸領域61cの表面とは面一である。これらの表面に例えば左側板7に当接されるアルミニウム板を当接することで、セルアセンブリ41ごとの放熱効果を図ることもできる。
【0076】
また、第1フレーム63と第2フレーム64の上記嵌合により、第1フレーム63の四隅に開けられたねじ穴63gと第2フレーム64の四隅に設けられたねじ穴64gとは、ロングボルト45が貫通可能なようにXZ平面において整合し、セルホルダ62の4つの貫通孔62aを形成する。
図7(a)を参照すると、第1フレーム63の四隅に設けられたねじ穴63gと第2フレーム64の四隅に設けられたねじ穴64gとがXZ平面において貫通孔62aとして整合している様子が見て取れる。
【0077】
さらに、第1フレーム63の左枠および右枠のそれぞれの下部に設けられた凸部63aと、第2フレーム64の左枠および右枠のそれぞれの下部に設けられた凸部64aとは、XZ平面において整合して当接される。また、
図7(b)を参照すると、第1フレーム63の左枠および右枠のそれぞれの下部に設けられた凸部63aと、第2フレーム64の左枠および右枠のそれぞれの下部に設けられた凸部64aとは、電池パック1の筐体の底板5に接する底面に対向する各上面63a1,64a1が整合して、面一である様子が見て取れる。
【0078】
また、第1フレーム63の左枠に設けられた2つの円筒状の突起63fのそれぞれが、当該第1フレーム63が含まれるセルアセンブリ41とY軸負方向で隣接するセルアセンブリ41(図示せず)に含まれる第2フレーム64に設けられた2つの円筒状の貫通孔64fのそれぞれと嵌合したとき、当該第1フレーム63が含まれるセルアセンブリ41の貫通孔62aと、当該隣接するセルアセンブリ41の貫通孔62aとが整合し、当該第1フレーム63が含まれるセルアセンブリ41の凸部63a,64aと、当該隣接するセルアセンブリ41の凸部63a,64aとが整合する。
【0079】
第1フレーム63と第2フレーム64の上記嵌合により、セルアセンブリ41を積層単位とするセルアセンブリ積層体15が構成される。また、このセルアセンブリ積層体15の凸群65について、電池パック1の筐体の底板5に接する底面およびその底面に対向する上面はそれぞれ面一となる。また、本実施形態による電池パック1の筐体は、凸部63a,64aのY軸方向に直交するZ軸方向の動きを抑止する係止部材51が、セルアセンブリ積層体15の両側面を挟む左側板7および右側板9の両側板内面に固定されて、セルアセンブリ積層体15を上記のように収容する。
【0080】
このような第1実施の形態によるセルホルダ62によれば、セルアセンブリ積層体15の両側面を構成するセルホルダ62の両側面に、凸部63a,64aが突出して形成される。セルホルダ62の両側面に形成されるこの凸部63a,64aは、セルアセンブリ積層体15の左側面の少なくとも一部を構成する幾つかのセルホルダ62の側面、および、セルアセンブリ積層体15の右側面の少なくとも一部を構成する幾つかのセルホルダ62の側面から突出して形成されるものが、筐体の左側板7および右側板9の両側板内面に固定される係止部材51にZ軸方向において係止されて、Z軸方向の動きが抑止される。
【0081】
セルアセンブリ積層体15は複数のセルアセンブリ41Aが一体に構成されるので、セルアセンブリ積層体15を構成する少なくとも一部のセルホルダ62の各側面に形成される凸部63a,64aが、電池パック1の筐体の左側板7および右側板9の両側板内面に固定される係止部材51にZ軸方向において係止されることで、セルアセンブリ積層体15の筐体内における動きが、その積層方向であるY軸方向に直交するZ軸方向において、抑止される。このため、セルアセンブリ積層体15の、電池パック筐体内におけるその積層方向に直交するZ軸方向での耐振性および耐震性を向上させることが可能なセルホルダ62および電池パック1の筐体を提供することが出来る。
【0082】
また、セルアセンブリ積層体15の電池パック筐体内におけるその積層方向に直交するZ軸方向での動きの抑止は、セルアセンブリ積層体15を電池パック1の筐体内に収容する組み立ての際に、セルホルダ62の凸部63a,64aが筐体の係止部材51に係止することで、行われる。すなわち、本実施の形態では、電池パック1の筐体は、底板5、左側板7、前板11および後板13が曲げ加工および溶接により一体化された後に、天板3が取り付けられ、最後に右側板9が取り付けられて筐体が完成されるが、右側板9の取り付けと同時に、セルホルダ62の右側面における残りの凸部63a,64aが筐体の係止部材51に係止して、セルアセンブリ積層体15の耐振性および耐震性が向上される。このため、セルアセンブリ積層体15の、電池パック筐体内におけるその積層方向に直交するZ軸方向での耐振性および耐震性の向上は、電池パック1の組み立ての際に特別な工程を行うことなく、電池パック1を単に組み立てることで、電池パック1の組み立て効率を低下させずに、行うことが出来る。
【0083】
また、第1実施の形態によるセルホルダ62では、凸部63a,64aが、セルアセンブリ積層体15の側面を構成する第1フレーム63および第2フレーム64自体が、その側面から突出して形成される。このため、セルアセンブリ41を構成する部品の点数を増やすことなく、セルアセンブリ積層体15の、電池パック筐体内におけるその積層方向に直交するZ軸方向における耐振性および耐震性を向上させることができる。
【0084】
次に、本発明の第2実施の形態によるセルホルダについて説明する。
【0085】
図10は、第2実施の形態に係るセルホルダ62Aから構成されるセルアセンブリ41Aを例示する斜視図であり、
図6に対応する。
図11(a)は、第2実施の形態に係るセルアセンブリ41Aが収容された際の
図3に示す電池パック1のV-V線破断矢視側断面図であり、
図5(a)に対応する。
図11(b)は
図11(a)の領域Bの詳細図であり、
図5(b)に対応する。
図11(c)は領域Bの後述する変形例を示す図である。
【0086】
第1実施の形態に係るセルホルダ62では、第1フレーム63と第2フレーム64のそれぞれの2つの側面に凸部63a,64aが設けられ(
図6参照)、該凸部63a,64aの上面63a1,64a1は、左側板7,右側板9のそれぞれと固定された係止部材51と少なくとも部分的に当接される構成であった(
図5参照)。
【0087】
これに対して、第2実施の形態に係るセルホルダ62Aでは、セルホルダ62Aが第1フレーム63Aと第2フレーム64Aとから構成される。第1フレーム63Aと第2フレーム64Aの左枠および右枠のそれぞれ下方の2つの側面には、
図10に示すように凹部63h,64hが設けられる。該凹部63h,64hは、セルホルダ62Aの左枠および右枠のそれぞれ下方に、レバー63eと凹部64eとから構成される固定手段の直下に設けられ、該凹部63h,64hの下面63h1,64h1は、
図11に示すように、左側板7,右側板9のそれぞれに固定される係止部材51と少なくとも部分的に当接される。
【0088】
したがって、セルアセンブリ積層体15の一側面の少なくとも一部を構成するセルホルダ62Aの側面、および、セルアセンブリ積層体15の他側面の少なくとも一部を構成するセルホルダ62Aの側面から窪んで形成される凹部63h,64hは、セルアセンブリ積層体15の両側面を挟む筐体の左側板7および右側板9の両側板内面に固定される係止部材51に、Y軸方向である一方向に直交するZ軸方向において係止されて、一方向に直交するZ軸方向の動きが抑止される。
【0089】
このような第2実施の形態によるセルホルダ62Aによれば、セルアセンブリ積層体15の両側面を構成するセルホルダ62Aの両側面に、凹部63h,64hが窪んで形成される。セルホルダ62Aの両側面に形成されるこの凹部63h,64hは、セルアセンブリ積層体15の左側面の少なくとも一部を構成する幾つかのセルホルダ62Aの側面、および、セルアセンブリ積層体15の右側面の少なくとも一部を構成する幾つかのセルホルダ62Aの側面から窪んで形成されるものが、筐体の左側板7および右側板9の両側板内面に固定される係止部材51にZ軸方向において係止されて、Z軸方向の動きが抑止される。
【0090】
セルアセンブリ積層体15は複数のセルアセンブリ41Aが一体に構成されるので、セルアセンブリ積層体15を構成する少なくとも一部のセルホルダ62Aの各側面に形成される凹部63h,64hが、電池パック1の筐体の左側板7および右側板9の両側板内面に固定される係止部材51にZ軸方向において係止されることで、セルアセンブリ積層体15の筐体内における動きが、その積層方向であるY軸方向に直交するZ軸方向において、抑止される。このため、セルアセンブリ積層体15の、電池パック筐体内におけるその積層方向に直交するZ軸方向での耐振性および耐震性が、向上するようになる。
【0091】
また、セルアセンブリ積層体15の電池パック筐体内におけるその積層方向に直交するZ軸方向での動きの抑止は、セルアセンブリ積層体15を電池パック1の筐体内に収容する組み立ての際に、セルホルダ62の凹部63h,64hが筐体の係止部材51に係止することで、行われる。すなわち、本実施の形態では、電池パック1の筐体は、底板5、左側板7、前板11および後板13が曲げ加工および溶接により一体化された後に、天板3が取り付けられ、最後に右側板9が取り付けられて筐体が完成されるが、右側板9の取り付けと同時に、セルホルダ62の右側面における残りの凹部63h,64hが筐体の係止部材51に係止して、セルアセンブリ積層体15の耐振性および耐震性が向上される。このため、セルアセンブリ積層体15の、電池パック筐体内におけるその積層方向に直交するZ軸方向での耐振性および耐震性の向上は、電池パック1の組み立ての際に特別な工程を行うことなく、電池パック1を単に組み立てることで、電池パック1の組み立て効率を低下させずに、行うことが出来る。
【0092】
また、第2実施の形態によるセルホルダ62Aでは、凹部63h,64hは、セルアセンブリ積層体15の側面を構成する第1フレーム63Aおよび第2フレーム64A自体が、その側面から窪んで形成される。このため、セルアセンブリ41Aを構成する部品の点数を増やすことなく、セルアセンブリ積層体15の、電池パック筐体内におけるその積層方向に直交するZ軸方向における耐振性および耐震性を向上させることができる。
【0093】
また、第2実施の形態によるセルホルダ62Aでは、セルホルダ62Aの両側面に凹部63h,64hが窪んで形成されるため、外周囲に凸部63a、64aのように突出する部分が無いので、セルアセンブリ積層体15を収容する電池パック1の筐体をコンパクトにすることが出来て、電池パック1の単位体積当たりのエネルギー密度を向上させることが出来る。
【0094】
すなわち、この第2実施の形態に係るセルホルダ62Aによれば、第1実施の形態に係るセルホルダ62と同様に、電池パック1の組み立て効率を考慮して、負荷に搭載される電池パック1の耐振性および耐震性を向上することができるのと同時に、電池パック1の筐体の容積をコンパクトにすることができるため、単位体積当たりのエネルギー密度を向上することもできる。
【0095】
なお、上記の第1実施および第2実施の各形態では、ラミネートセル61は、リチウムイオン二次電池を封入している場合について、説明した。しかし、二次電池は、例えばニッケル-水素二次電池等であってもよく、何れにしても、電極積層体が電解液と共にラミネートフィルムからなる外装体に収容される他の二次電池であっても良い。
【0096】
また、上記の第1実施および第2実施の各形態では、電池パック1の筐体を構成する底板5、左側板7、前板11および後板13は、1枚の亜鉛メッキ鋼板に曲げ加工が施されて一体として形成される場合について、説明した。しかし、底板5、左側板7、前板11および後板13は1枚の亜鉛メッキ鋼板から形成される必要はなく、天板3や右側板9のように別体として形成され、後にねじで締結される構成としても良い。この場合、互いに別体となる天板3、底板5、左側板7、右側板9、前板11および後板13を取り付ける順番は、本発明を制限するものではない。
【0097】
また、上記の第1実施および第2実施の各形態では、別体である2つのフレーム63,64および63A,64Aによりセルホルダ62および62Aが構成されている場合について、説明した。しかし、セルホルダを構成する2つのフレームは別体でなくても良く、2つのフレーム63,64および63A,64Aのそれぞれの外周を形成している4辺のうち、例えばZ軸負方向に位置する底辺において2つのフレーム63,64および63A,64Aがそれぞれつながっており、この底辺において、成形樹脂の柔軟性を利用して折り畳み可能に接続されていても良い。何れにしても、本発明のセルホルダは、ラミネートセル61の一面側に当接する第1フレームに相当する部分と、他面側に当接する第2フレームに相当する部分とにより、ラミネートセル61を保持する構成であれば良い。
【0098】
また、上記の第1実施および第2実施の各形態では、2つのフレーム63,64および63A,64AのX軸方向において対向するそれぞれの左側面および右側面において、底板5に接するZ軸方向の同じ位置に凸部63a,64aおよび凹部63h,64hが設けられている場合について、説明した。しかし、各凸部63a,64aおよび各凹部63h,64hは、それぞれの左側面と右側面とにおいて、Z軸方向の同じ位置に設けられなくても良い。
【0099】
何れにしても、第1実施の形態では、第1フレーム63の左側面に設けられる凸部63aの上面63a1と、第2フレーム64の左側面に設けられる凸部64aの上面64a1とが面一であり、第1フレーム63の右側面に設けられる凸部63aの上面63a1と、第2フレーム64の右側面に設けられる凸部64aの上面64a1とが面一であれば良い。また、第2実施の形態では、第1フレーム63Aの左側面に設けられる凹部63hの下面63h1と、第2フレーム64Aの左側面に設けられる凹部64hの下面64h1とが面一であり、第1フレーム63Aの右側面に設けられる凹部63hの下面63h1と、第2フレーム64Aの右側面に設けられる凹部64hの下面64h1とが面一であれば良い。
【0100】
また、上記の第1実施の形態では、2つのフレーム63,64のX軸方向において対向するそれぞれの左側面および右側面に、凸部63a,64aが設けられている場合について、説明した。しかし、第1フレーム63の左側面および右側面のそれぞれにのみ凸部63aが設けられていても良く、また、第2フレーム64の左側面および右側面のそれぞれにのみ凸部64aが設けられていても良い。また、第1フレーム63の一方の左側面にのみ凸部63aが設けられ、第2フレーム64の他方の右側面にのみ凸部64aが設けられていても良く、また、第1フレーム63の他方の右側面にのみ凸部63aが設けられ、第2フレーム64の一方の左側面にのみ凸部64aが設けられていても良い。何れにしても、2つのフレーム63,64から構成されるセルホルダ62の2つの左側面および右側面の両方に少なくとも1つの凸部が設けられていれば良い。この場合、セルホルダ62の2つの側面にそれぞれ直交する方向に凸部63a,64aが設けられていなくても良く、Z軸方向において係止部材51に係止する箇所を凸部63a,64aが備えていれば良い。
【0101】
また、上記の第2実施の形態では、2つのフレーム63A,64AのX軸方向において対向するそれぞれの左側面および右側面に、凹部63h,64hそれぞれが設けられている場合について、説明した。しかし、第1フレーム63Aの左側面および右側面のそれぞれにのみ凹部63hが設けられていても良く、また、第2フレーム64Aの左側面および右側面のそれぞれにのみ凹部64hが設けられていても良い。また、第1フレーム63Aの一方の左側面にのみ凹部63hが設けられ、第2フレーム64Aの他方の右側面にのみ凹部64hが設けられていても良く、また、第1フレーム63Aの他方の右側面にのみ凹部63hが設けられ、第2フレーム64Aの一方の左側面にのみ凹部64hが設けられていても良い。何れにしても、2つのフレーム63A,64Aから構成されるセルホルダ62Aの2つの左側面および右側面の両方に少なくとも1つの凹部が設けられていれば良い。この場合、セルホルダ62Aの2つの側面にそれぞれ直交する方向に凹部63h,64hが設けられていなくても良く、Z軸方向において係止部材51に係止する箇所を凹部63h,64hが備えていれば良い。
【0102】
また、上記の第1実施の形態では、2つのフレーム63,64のそれぞれに設けられる凸部63a,64aの上面63a1,64a1および底面63a2,64a2(
図5,
図8参照)は、底板5と平行となるように設けられている場合について、説明した。しかし、凸部63a,64aの上面63a1,64a1および底面63a2,64a2は底板5と平行でなくても良い。何れにしても、凸部63a,64aの上面63a1,64a1は、対向する左側板7および右側板9と溶接されるL字型の係止部材51の水平板51bと少なくとも部分的に当接することができれば良い。
【0103】
また、上記の第2実施の形態では、2つのフレーム63A,64Aのそれぞれに設けられる凹部63h,64hの下面63h1,64h1(
図10参照)は、底板5と平行となるように設けられている場合について、説明した。しかし、凹部63h,64hの下面63h1,64h1は底板5と平行でなくても良い。何れにしても、凹部63h,64hの下面63h1,64h1は、対向する左側板7および右側板9と溶接されるL字型の係止部材51の水平板51bと少なくとも部分的に当接することができれば良い。
【0104】
また、上記の第1実施の形態では、セルアセンブリ積層体15の積層方向に沿って形成される2つの凸群65のうち、左側板7の側の凸群65は、左側板7と溶接される3つの係止部材51の水平板51bに当接され、右側板9の側の凸群65は、右側板9と溶接される2つの係止部材51の水平板51bに当接される場合について、説明した。しかし、左側板7と溶接される係止部材51の数および位置、ならびに、右側板9と溶接される係止部材51の数および位置は、これに限定されるものではない。何れにしても、左側板7と対向する凸群65について係止部材51が少なくとも1箇所設けられ、右側板9と対向する凸群65について係止部材51が少なくとも1箇所設けられていれば良い。また、左側板7および右側板9の各側において、1つのセルホルダ62の凸部63a,64aの上面63a1,64a1の双方または一方が、係止部材51に当接して係止部材51に覆われるように構成してもよい。
【0105】
また、上記の第2実施の形態では、セルアセンブリ積層体15の積層方向に沿って形成される2つの凹群(図示せず)のうち、左側板7の側の凹群は、左側板7と溶接される3つの係止部材51の水平板51bに当接され、右側板9の側の凹群は、右側板9と溶接される2つの係止部材51の水平板51bに当接される場合について、説明した。しかし、左側板7と溶接される係止部材51の数および位置、ならびに、右側板9と溶接される係止部材51の数および位置は、これに限定されるものではない。何れにしても、左側板7と対向する凹群について係止部材51が少なくとも1箇所設けられ、右側板9と対向する凹群について係止部材51が少なくとも1箇所設けられていれば良い。また、左側板7および右側板9の各側において、1つのセルホルダ62Aの凹部63h,64hの下面63h1,64h1の双方または一方が、係止部材51に当接するように構成してもよい。
【0106】
また、上記の第1実施の形態では、
図5(b)に示すように、左側板7および右側板9の各内面に固定される係止部材51の水平板51bが、セルホルダ62の凸部63a,64aの上面63a1,64a1にスペーサ51cを介して当接して、セルアセンブリ積層体15の電池パック筐体内におけるZ軸方向の動きを抑制する構成について、説明した。しかし、
図5(c)に示すように、水平板51bの端部をY軸方向において曲げ加工して、係止部材51にZ軸負方向に垂れ下がる垂れ下がり板51dを形成することで、セルアセンブリ積層体15の電池パック筐体内におけるY軸方向の動きをも抑制することも可能になる。
【0107】
同様に、上記の第2実施の形態では、
図11(b)に示すように、左側板7および右側板9の各内面に固定される係止部材51の水平板51bが、セルホルダ62Aの凹部63h,64hの下面63h1,64h1にスペーサ51cを介して当接して、セルアセンブリ積層体15の電池パック筐体内におけるZ軸方向の動きを抑制する構成について、説明した。しかし、
図11(c)に示すように、水平板51bの端部をY軸方向において曲げ加工して、係止部材51にZ軸負方向に垂れ下がる垂れ下がり板51dを形成することで、セルアセンブリ積層体15の電池パック筐体内におけるY軸方向の動きをも抑制することも可能になる。
【0108】
また、上記の第1実施の形態では、各レバー63eおよび各凹部64eによって構成される、第1フレーム63および第2フレーム64間を固定する固定手段と、セルホルダ62に設けられる凸部63a,64aとが別体に設けられる場合について、説明した。しかし、これら固定手段と凸部とが1つの構成として結合されていても良く、何れにしても、本発明は、第1フレーム63と第2フレーム64とを一体化して固定する固定手段に相当する部分と、左側板7および右側板9に固定される係止部材51に当接される凸部に相当する部分とを備えていれば良い。
【0109】
図12は、固定手段と凸部とが1つの構成として結合された、第1実施の形態の変形例に係るセルホルダ62Bから構成されるセルアセンブリ41Bを例示する斜視図であり、
図6に対応する。
図13(a)は、
図12に例示したセルアセンブリ41BをXZ平面から見たときの正面図であり、
図7(a)に対応する。
図13(b)は、
図12に例示したセルアセンブリ41BをYZ平面から見たときの側面図であり、
図7(b)に対応する。
【0110】
セルアセンブリ41Bにおけるセルホルダ62Bは、第1フレーム63Bおよび第2フレーム64Bから構成される。セルホルダ62Bは、第1フレーム63Bおよび第2フレーム64B間を固定する固定手段として、セルホルダ62Bの左枠および右枠の各下方には、レバー63eおよび凹部64eによって構成される固定手段に代えて、結合部材70から構成される固定手段を備える点、および、結合部材70を備えるために必要な凹部62bが形成された第1フレーム63Bおよび第2フレーム64Bを備える点が、第1実施の形態に係るセルホルダ62と相違する。
【0111】
図14(a)は、
図12に例示するセルアセンブリ41Bから結合部材70を取り外したセルアセンブリ41Bの斜視図、
図14(b)は、結合部材70単体の斜視図である。また、
図15(a)は、
図14(a)に示す状態のセルアセンブリ41BをXZ平面から見たときの正面図、
図15(b)は、
図14(a)に示す状態のセルアセンブリ41BをYZ平面から見たときの側面図である。
【0112】
セルホルダ62Bの左枠および右枠の各下方には、
図14(a)に示すように、結合部材70が嵌まる凹部62bがそれぞれ形成されている。一対の各結合部材70が各凹部62bにそれぞれ嵌合すると共に、セルホルダ62Bの左枠および右枠の各上方に設けられた各レバー63eが各凹部64eに嵌合することで、セルホルダ62Bは、第1フレーム63Bおよび第2フレーム64B間にラミネートセル61を保持する。
【0113】
各結合部材70は、
図14(b)に示すように、XY平面において見たときに略コの字型の形状を有しており、一対の腕部70cの先端の開放端には互いに向き合う向きに爪70bが形成されている。第1フレーム63Bと第2フレーム64Bとを、それぞれの外表面からY軸方向に沿って腕部70cが挟み、各爪70bが各凹部62bのX軸方向最深部両側に噛み込むことにより、各結合部材70は、第1フレーム63Bおよび第2フレーム64Bの各下方を結合する。結合部材70は、セルアセンブリ積層体15の側面を構成する第1フレーム63Bおよび第2フレーム64Bの側面において、第1フレーム63Bおよび第2フレーム64B間を挟持して固定する固定手段を構成する。
【0114】
XZ平面に着目すると、
図13(b)に示すように、第1フレーム63BのY軸負方向の側にある表面と、各結合部材70のそれぞれのY軸負方向の側にある表面とは面一であり、同様に、第2フレーム64BのY軸正方向の側にある表面と、各結合部材70のそれぞれのY軸正方向の側にある表面とは面一である。
【0115】
また、YZ平面に着目すると、
図12および
図13(a)に示すように、セルアセンブリ41BのYZ平面にある2つの側面のうち、X軸正方向の側にある側面に設けられる結合部材70は、該側面からX軸正方向に突出する凸部70aを有する。この凸部70aの上面70a1は、右側板9に固定される係止部材51と当接される。また、セルアセンブリ41BのYZ平面にある2つの側面のうち、X軸負方向の側にある側面に設けられる結合部材70は、該側面からX軸負方向に突出する凸部70aを有する。この凸部70aの上面70a1は、左側板7に固定される係止部材51と当接される。
【0116】
このように第1実施の形態の変形例によるセルホルダ62Bにおいては、凸部70aは、結合部材70の、第1フレーム63Bおよび第2フレーム64Bの側面から突出する部分によって形成される。このような第1実施の形態の変形例によるセルホルダ62Bによれば、固定手段および凸部70aが、第1フレーム63Bおよび第2フレーム64Bの側面において、第1フレーム63Bおよび第2フレーム64B間を挟持して固定する結合部材70によって構成され、凸部を構成する部品の点数および組み立て工数の削減が図れる。すなわち、凸部70aが固定手段である結合部材70の一部によって実現されるため、セルアセンブリ41Bの構成要素を減らして、セルアセンブリ積層体15の、電池パック筐体内におけるその積層方向に直交するZ軸方向における耐振性および耐震性を安価に向上させることができる。
【0117】
なお、上記の第1実施の形態の変形例では、2つの結合部材70をセルホルダ62Bに備える場合について、説明した。しかし、セルホルダ62Bの左枠および右枠の各上方に設けられたレバー63eおよび凹部64eから構成される固定手段に代えて、上記の、凹部62bに結合する結合部材70から構成される固定手段をさらに設けて、セルホルダ62Bに4つの結合部材70を備えるように構成しても良い。本構成によっても上記の第1実施の形態の変形例と同様な作用効果が奏される。
【0118】
また、上記の第2実施の形態では、各レバー63eおよび各凹部64eによって構成される、第1フレーム63Aおよび第2フレーム64A間を固定する固定手段と、セルホルダ62Aに設けられる凹部63h,64hとが別体に設けられる場合について、説明した。しかし、これら固定手段と凹部とが1つの構成として結合されていても良く、何れにしても、本発明は、第1フレーム63Aと第2フレーム64Aとを一体化して固定する固定手段に相当する部分と、左側板7および右側板9に固定される係止部材51に当接される凹部に相当する部分とを備えていれば良い。
【0119】
図16は、固定手段と凹部とが1つの構成として結合された、第2実施の形態の変形例に係るセルホルダ62Cから構成されるセルアセンブリ41Cを例示する斜視図であり、
図6に対応する。
図17(a)は、
図16に例示したセルアセンブリ41CをXZ平面から見たときの正面図であり、
図7(a)に対応する。
図17(b)は、
図16に例示したセルアセンブリ41CをYZ平面から見たときの側面図であり、
図7(b)に対応する。
【0120】
セルアセンブリ41Cにおけるセルホルダ62Cは、第1フレーム63Cおよび第2フレーム64Cから構成される。セルホルダ62Cは、第1フレーム63Cおよび第2フレーム64C間を固定する固定手段として、セルホルダ62Cの左枠および右枠の各下方に、レバー63eおよび凹部64eによって、凹部63h,64hの直上に構成されていた固定手段に代えて、結合部材70Aから構成される固定手段を凹部62cに備える点が、第2実施の形態に係るセルホルダ62Aと相違する。
【0121】
2つの結合部材70Aは上記の結合部材70と同様な形状をしており、2つの凹部62cは、第2実施の形態に係るセルホルダ62Aにおける凹部63h,64hの深さよりも深い深さを有する。2つの結合部材70Aは、第1フレーム63Cと第2フレーム64Cのそれぞれの側面に設けられた凹部62cへX軸方向に沿って挿入され、第1フレーム63Cと第2フレーム64CとをY軸方向に挟む。これにより、2つの結合部材70Aは、セルホルダ62Cの左枠および右枠の各上方に、レバー63eおよび凹部64eによって構成される固定手段と共に、第1フレーム63Cおよび第2フレーム64C間を固定し、第1フレーム63Cおよび第2フレーム64C間にラミネートセル61を保持した状態を維持する。
【0122】
2つの結合部材70Aのうちの一方は、セルアセンブリ41CのYZ平面にある2つの側面のうち、X軸正方向の側にある側面において、レバー63eおよび凹部64eによって構成される固定手段よりもZ軸の下側に設けられ、第1フレーム63Cおよび第2フレーム64CのX軸正方向の側で、Z軸方向に延在する右枠どうしを結合する。また、2つの結合部材70Aのうちの他方は、セルアセンブリ41CのYZ平面にある2つの側面のうち、X軸負方向の側にある側面において、レバー63eおよび凹部64eによって構成される固定手段よりもZ軸の下側に設けられ、第1フレーム63Cおよび第2フレーム64CのX軸負方向の側で、Z軸方向に延在する左枠どうしを結合する。
【0123】
XZ平面に着目すると、
図17(b)に示されるように、第1フレーム63CのY軸負方向の側にある表面と、結合部材70AのY軸負方向の側にある表面とは面一であり、同様に、第2フレーム64CのY軸正方向の側にある表面と、結合部材70AのY軸正方向の側にある表面とは面一である。
【0124】
また、YZ平面に着目すると、
図17(a)に示されるように、セルホルダ62Cは、セルアセンブリ41CのYZ平面にある2つの側面のうち、X軸正方向の側にある側面に、結合部材70Aがその内部に挿入される凹部62cを有する。この凹部62cの下面62c1は、右側板9に固定される係止部材51と当接される(
図11参照)。また、セルホルダ62Cは、セルアセンブリ41CのYZ平面にある2つの側面のうち、X軸負方向の側にある側面に、結合部材70Aがその内部に挿入される凹部62cを有する。この凹部62cの下面62c1は、左側板7に固定される係止部材51と当接される(
図11参照)。
【0125】
このように上記の第2実施の形態の変形例では、固定手段を構成する結合部材70Aは、セルアセンブリ積層体15の側面を構成する第1フレーム63Cおよび第2フレーム64Cの側面から窪んで形成される凹部62cの窪み内で、係止部材51に係止される凹部62cの窪み部分を残して、第1フレーム63Cおよび第2フレーム64C間を挟持する。本構成によれば、結合部材70Aが凹部62cの窪み内に設けられ、セルアセンブリ41Cの外周囲に結合部材70Aが突出しないので、セルアセンブリ積層体15の大きさを抑制できる。このため、セルアセンブリ積層体15を収容する電池パック1の筐体をコンパクトにすることが出来て、電池パック1の単位体積当たりのエネルギー密度を向上させることが出来る。
【0126】
なお、上記の第2実施の形態の変形例では、2つの結合部材70Aをセルホルダ62Cに備える場合について、説明した。しかし、セルホルダ62Cの左枠および右枠の各上方に設けられたレバー63eおよび凹部64eから構成される固定手段の部分についても、上記の、結合部材70Aから構成される固定手段と凹部62cとの結合部をさらに設けて、セルホルダ62Cに、4つの凹部62cと一体となる4つの結合部材70Aを備えるように構成しても良い。本構成によっても上記の第2実施の形態の変形例と同様な作用効果が奏される。
【0127】
さらに、上記の第1実施の形態および変形例では、セルアセンブリ41,41Bが一方向に積層されて一体に構成されるセルアセンブリ積層体15の両側面を構成するセルホルダの両側面に凸部のみが突出して形成される態様が開示され、上記第2実施の形態および変形例では、セルアセンブリ41A,41Cが一方向に積層されて一体に構成されるセルアセンブリ積層体15の両側面を構成するセルホルダの両側面に凹部のみが窪んで形成される態様が開示された。
【0128】
本発明は、これらに限定されず、例えばセルアセンブリ積層体15の両側面を構成するセルホルダの両側面のうちの一方の側面に凸部が突出して形成され、他方の側面に凹部が窪んで形成されても良く、この場合、凸部および凹部は、セルアセンブリ積層体15の両側面を挟む筐体の両側板内面に固定される係止部材に上記一方向に直交する方向においてそれぞれ係止されて、上記一方向に直交する方向の動きが抑止される。
【0129】
また、本実施形態による電池パック1の筐体は、上記の第1実施の形態によるセルホルダ62を備えるセルアセンブリ41に限らず、上記の第2実施の形態によるセルホルダ62Aを備えるセルアセンブリ41Aや、第1実施の形態の変形例によるセルホルダ62Bを備えるセルアセンブリ41B、および、第2実施の形態の変形例によるセルホルダ62Cを備えるセルアセンブリ41Cから構成されるセルアセンブリ積層体15を収容することができる。このため、本実施形態による電池パック1の筐体によれば、様々な形態のセルアセンブリから構成されるセルアセンブリ積層体15の、電池パック筐体内におけるその積層方向に直交するZ軸方向での耐振性および耐震性を向上させることが可能な電池パック1の筐体を提供することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明による上述の各セルホルダ62,62A,62B,62Cおよび各電池パック1の筐体は、電池パック1の筐体の組み立て効率を考慮して振動対策が講じられるものであるから、産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0131】
1:電池パック
3:天板
5:底板
7:左側板
9:右側板
11:前板
13:後板
15:セルアセンブリ積層体
41,41A,41B,41C:セルアセンブリ
51:係止部材
63a,64a:凸部
63h,64h:凹部
65:凸群
61:ラミネートセル
62,62A,62B,62C:セルホルダ
63,63A,63B,63C:第1フレーム
64,64A,64B,64C:第2フレーム