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  • 特開-荷箱を有する車両 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024575
(43)【公開日】2025-02-20
(54)【発明の名称】荷箱を有する車両
(51)【国際特許分類】
   B60P 3/14 20060101AFI20250213BHJP
   A62B 35/00 20060101ALI20250213BHJP
【FI】
B60P3/14 Z
A62B35/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128778
(22)【出願日】2023-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085316
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 三雄
(74)【代理人】
【識別番号】100171572
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100213425
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 正憲
(74)【代理人】
【識別番号】100221707
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100099977
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 章吾
(74)【代理人】
【識別番号】100104259
【弁理士】
【氏名又は名称】寒川 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100229116
【弁理士】
【氏名又は名称】日笠 竜斗
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 貴英
(72)【発明者】
【氏名】木原 柊平
【テーマコード(参考)】
2E184
【Fターム(参考)】
2E184JA01
2E184KA11
2E184LA07
(57)【要約】
【課題】荷箱上で作業する作業員のつまづきリスクを軽減するとともに、転落時の安全を確保可能な墜落制止設備を備えた荷箱を有する車両を提供する。
【解決手段】ごみ収集用の機械設備が収容された荷箱2の上に、支柱4と柵体5とで構成された安全柵3を設け、この安全柵3によって囲まれた範囲が作業領域WSとされた塵芥車1において、支柱4と柵体5とが交差する交差部の内角側に、一端を支柱4に連結し、他端を柵体5に連結してなる棒状部材81を配設することで、支柱4と柵体5と棒状部材81とによって、墜落制止用のフック104と係合可能な装着孔FHを形成する。荷箱2上の作業領域WSで作業を行う際、作業員はこの装着孔FHに墜落制止用器具100のフック104を装着して作業を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井のある荷箱を備え、前記荷箱の上に安全柵によって囲まれた作業領域が形成されてなる車両であって、
前記安全柵は、前記荷箱の天井面に起立して設けられる複数の支柱と、前記支柱に支持される柵体とで構成され、
前記支柱および/または柵体に、前記作業領域で作業を行う作業員が装着する墜落制止用のフックを着脱するフック装着部が設けられている
ことを特徴とする荷箱を有する車両。
【請求項2】
前記フック装着部は、前記安全柵の内側に突出しないように取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の荷箱を有する車両。
【請求項3】
前記フック装着部は、車幅方向に延びて配設される前記柵体と車長方向に延びて配設される前記柵体とが交差する交差部において、一端が前記車幅方向に延びて配設される柵体に連結され、他端が前記車長方向に延びて配設される柵体に連結されることにより、前記墜落制止用のフックと係合可能な装着孔が形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の荷箱を有する車両。
【請求項4】
前記フック装着部は、前記支柱と前記柵体とが交差する交差部において、一端が前記支柱に連結され、他端が前記柵体に連結されることにより、前記墜落制止用のフックと係合可能な装着孔が形成される
ことを特徴とする請求項2に記載の荷箱を有する車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、荷箱を有する車両に関し、より詳細には、天井を有する荷箱の上に安全柵によって囲まれた作業領域が形成されている車両に関する。
【背景技術】
【0002】
一般公道を走行可能な車両のなかには、特定の目的を達成するための装置や機械が架装された車両が存在する。この種の車両のなかには、天井を有する略箱型の荷箱に装置や機械を収容してなる車両(たとえば、ごみ収集用の機械設備が収容された塵芥車や、自動販売機への補充用の缶やペットボトルの積載設備が収容されたベンディングカー、荷箱として液体や気体などを収容するタンク設備を備えたタンクローリーなど)が存在する。
【0003】
ところで、このような天井のある荷箱を備えた車両では、天井上のスペースを荷物積載用のスペースとして利用するものがある。そのような車両では、作業員が荷箱上で作業することがあるため、荷箱には作業員の墜落制止措置が施されている。
【0004】
図4は、この種の車両における作業員の墜落制止設備の一例を示している(特許文献1参照)。図示の墜落制止設備は、荷箱bの天井に荷物積載用のルーフラックcが備えられた車両aの墜落制止設備であって、ルーフラックc上に側壁dに沿って車長方向(車両の前後方向)に延びるレールeと、このレールeに沿ってスライド自在なスライダfとを備えており、ルーフラックc上で作業する作業員は、このスライダfに自身の墜落制止用器具(安全帯)に備えられたフックを装着して作業を実施する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3211247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような墜落制止設備では、作業員が車長方向に移動するとそれに伴ってスライダfも車長方向に可動するので、作業員は墜落制止用器具による制約(墜落制止用器具とフックとを連結する紐状または帯状の連結帯の長さによる行動範囲の制約)を受けることなくルーフラックc上を車長方向に自由に移動できる。そのため、作業員はルーフラックc上での作業を効率よく実施することができる。
【0007】
しかしその一方で、従来の墜落制止設備はスライダfが可動式であるため、たとえば、ルーフラックc上から車外に作業員が転落した場合、スライダfが転落地点に引き寄せられるようにスライドするおそれがある。このようなスライダfの意図しないスライドは、転落した作業員と地面との距離を縮めるように作用するため、作業員の安全を確保できないおそれがあった。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、荷箱上で作業する作業員のつまづきリスクを軽減するとともに、転落時の安全を確保可能な墜落制止設備を備えた荷箱を有する車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る荷箱を有する車両は、天井のある荷箱を備え、上記荷箱の上に安全柵によって囲まれた作業領域が形成されてなる車両であって、上記安全柵は、上記荷箱の天井面に起立して設けられる複数の支柱と、上記支柱に支持される柵体とで構成され、上記支柱および/または柵体に、上記作業領域で作業を行う作業員が装着する墜落制止用のフックを着脱するフック装着部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
この発明では、墜落制止用のフックを着脱するフック装着部は、安全柵の支柱および/または柵体に設けられているので、従来の墜落制止設備のように装着したフックがスライド移動することがない。そのため、転落時などにおいて意図しないフックのスライド移動が起きることがなく、墜落制止用器具による作業員の安全を確保することができる。
【0011】
そして、その好適な実施態様として、上記フック装着部は、上記安全柵の内側に突出しないように取り付けられていることを特徴とする。
【0012】
このようにフック装着部が安全柵の内側に突出しないように取り付けられることで、荷箱上の作業領域内で作業中の作業員がフック装着部につまづくおそれを大幅に減少させることができ、転倒リスクのきわめて少ない墜落制止設備を備えた荷箱を有する車両を提供することができる。
【0013】
また、本発明はその好適な実施態様として、上記フック装着部は、車幅方向に延びて配設される上記柵体と車長方向に延びて配設される上記柵体とが交差する交差部において、一端が上記車幅方向に延びて配設される柵体に連結され、他端が上記車長方向に延びて配設される柵体に連結されることにより、上記墜落制止用のフックと係合可能な装着孔が形成されることを特徴とする。
【0014】
この実施態様の発明では、車幅方向に延びて配設される柵体と車長方向に延びて配設される柵体とが交差する交差部にフック装着部が形成されるので、たとえば、安全柵が略矩形状に配置されるような場合、その四隅(内隅)にフック装着部を形成することができる。安全柵の内隅の近傍は、通常の作業において作業員があまり足を踏み入れることのない場所であることから、内隅に設けられたフック装着部に作業員がつまづくおそれは殆どない。また、フック装着部が作業領域の四隅に配置されることで、作業員は作業位置に応じて最も適切な位置のフック装着部を選択して墜落制止用器具のフックを装着することができ、作業領域の全域において安全に作業を行うことができる。
【0015】
また、本発明は他の好適な実施態様として、上記フック装着部は、上記支柱と上記柵体とが交差する交差部において、一端が上記支柱に連結され、他端が上記柵体に連結されることにより、上記墜落制止用のフックと係合可能な装着孔が形成されることを特徴とする。
【0016】
この発明では、支柱と柵体とが交差する交差部に両者を連結するようにしてフック装着部が形成されるので、安全柵の内側に突出させずにフック装着部を形成することができる。しかも、たとえば、複数の支柱にフック装着部を設けることにより、作業領域の全体をカバーするようにフック装着部を配置することができる。そのため、作業員は作業位置に応じて最も適切な位置にあるフック装着部に墜落制止用器具のフックを装着して作業を行うことができ、作業領域の全域において安全に作業を実施することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、作業領域内で作業中の作業員がフック装着部につまづくおそれが少なく、転倒リスクの少ない墜落制止設備を備えた荷箱を有する車両を提供することができる。また、フック装着部に装着されたフックはスライド移動しないので、転落時における作業員の安全を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る荷箱を有する車両の荷箱上に設けられた墜落制止設備の一例を示す分解斜視図である。
図2】同荷箱を有する車両の墜落制止設備の他の一例を示す分解斜視図である。
図3】作業員が使用する墜落制止用器具(安全帯)の概略構成の一例を示す正面図である。
図4】従来の荷箱を有する車両における墜落制止設備を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施の形態を図を参照しながら詳しく説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
実施形態1
本発明に係る荷箱を有する車両は、特定の目的を達成するための装置や機械を荷箱に収容してなる車両であって、本実施形態では、荷箱内にごみ収集用の機械設備を収容してなる塵芥車1が例示される。
【0021】
塵芥車1は、周知のとおり、ごみを収集して処分施設まで運搬する車両である。塵芥車1の荷箱2は天井を有する略箱型の形態をしており、荷箱2の後端部にはごみを投入するための投入口が備えられている。そして、この投入口の奥に、ごみを圧縮するプレスプレート、ごみを収容するごみ収容部、ごみを排出するための排出プレートなどのごみ収集用の機械設備が収容されている(いずれも図示は省略する)。
【0022】
このような塵芥車1において、本実施形態では、図1に示すように、荷箱2上に、安全柵3によって囲まれた作業領域WSが形成されている。作業領域WSは、たとえば、塵芥車1のごみ収容部に収容できないゴミや備品(清掃用具など)などの荷物を一時的に積載しておくのに適した領域であり、この作業領域WS上で作業員がごみの積み下ろしなどの作業を行えるようになっている。
【0023】
安全柵3は、主として、作業領域WS上に載置される荷物や作業領域WS上で作業する作業員の転落を防止するための柵であって、荷箱2の上面(天井面)に起立して設けられる複数の金属製の支柱4,4,…と、これら支柱4,4,…に支持される金属製の柵体5とを主要部として構成されている。
【0024】
本実施形態では、この安全柵3は、車幅方向(車両の左右方向)Aの一側に配設される平面視略コ字状の安全柵3aと、車幅方向Aの他の一側に配設される平面視略コ字状の安全柵3bとで構成されており、これら一対の安全柵3a,3bが対向配置されることによって、荷箱2の上面に、安全柵3a,3bによって囲まれた略矩形状の作業領域WSが形成されている。
【0025】
各安全柵3a,3bは、それぞれ複数の支柱4,4,…の先端に柵体5が連結された構造を有している。具体的には、柵体5は、荷箱2の平面(上面)形状に合わせて平面視略コ字状に形成されており、この柵体5の下面側に複数の支柱4,4,…が直交するように配設されている。支柱4,4,…の基端側には、支柱4を荷箱2に設けられた安全柵取付用の基台6にネジ留め固定するためのネジ孔41がそれぞれ形成されており、このネジ孔41と基台6に形成されたネジ孔61の位置を合わせて両者をネジ留めすることで、荷箱2上に安全柵3a,3bが取り付けられるようになっている。なお、支柱4,4,…の高さ寸法は適宜設定されるが、本実施形態では、これら支柱4,4,…の高さは十数cm乃至数十cm程度に設定される。
【0026】
また、本実施形態では、安全柵3a,3bにはそれぞれ車長方向(車両の前後方向)Bに沿って脱落防止網7が備えられている。脱落防止網7は、作業領域WSに載置された荷物(図示せず)が荷箱2と柵体5との間に形成された隙間をすり抜けて脱落するのを防止するものであって、本実施形態では、荷箱2と柵体5との隙間を塞ぐように配置された矩形の金網で構成されている。そして、この脱落防止網7には、作業領域WSをネットやシートで被う際に使用するネット装着用のフック71が備えられている。なお、図示例では、脱落防止網7を安全柵3a,3bの車幅方向Aの両端に車長方向Bに沿って配設した場合を示したが、脱落防止網7は車長方向Bの端部に車幅方向Aに沿って設けられていてもよい。また、脱落防止網7は省略することもできる。
【0027】
本実施形態では、このように構成された安全柵3a,3bに、作業領域WS上で作業を行う作業員が装着する墜落制止用器具(安全帯)100(図3参照)のフック104を着脱可能に係合させるフック装着部8が設けられている。
【0028】
図3は墜落制止用器具100の一例を示している。図示の墜落制止用器具100は、胴ベルト型と称されるタイプの器具であって、作業員の腰回りに装着するベルト本体101と、巻取器102を介してベルト本体101に伸縮自在に備えられた連結帯103と、連結帯103の先端に備えられたフック104とを主要部として構成される。作業員は、荷箱2上の作業領域WSで作業を行う場合、この墜落制止用器具100を装着するとともに、墜落制止用器具100のフック104を安全柵3のフック装着部8に装着するようになっている。なお、作業員が使用する墜落制止用器具100は、フック104を備える器具であれば胴ベルト型の墜落制止用器具には限定されず、たとえば、作業員の肩、胸部、足の付け根なども固定するハーネス型と称されるタイプのような他のタイプの墜落制止用器具であってもよい。
【0029】
フック装着部8は、墜落制止用器具100のフック104を安全柵3に装着するために用いる部位であって、本実施形態では、図1に示すように、支柱4と柵体5とが交差する交差部の内角側に、一端を支柱4に連結し、他端を柵体5に連結してなる金属製の棒状部材81を配設することで、支柱4と柵体5と棒状部材81とにより、墜落制止用のフック104と係合可能な装着孔FHを形成している。そのため、本実施形態に示すフック装着部8は、平面視において、安全柵3の内側に突出することなく、換言すれば、柵体5からみて作業領域WS側に突出することなく、柵体5の下方に形成される。
【0030】
しかして、このように構成された塵芥車1では、荷箱2上の作業領域WS内で作業を行う場合、作業員は、自身が装着する墜落制止用器具100のフック104を安全柵3に設けられたフック装着部8(装着孔FH)に装着して作業を行う。これにより、仮に作業領域WSから転落したとしても、作業員は墜落制止用器具100の連結帯103によって落下(墜落)が制止され、作業員の安全が確保される。特に、本実施形態に示すフック装着部8は、従来の墜落制止設備のようにフックがスライド移動することがないので、墜落制止用器具100による作業員の安全を十分に確保することができる。
【0031】
また、本実施形態に示すフック装着部8は、フック装着部8を形成する棒状部材81が安全柵3の内側に突出しないように取り付けられているので、作業領域WS内を移動しながら作業を行う作業員がフック装着部8につまづくおそれは殆どない。そのため、転倒リスクがきわめて少ない墜落制止設備を提供することができる。
【0032】
なお、図示例では、安全柵3a,3bの端部にフック装着部8を形成した場合を示したが、フック装着部8は支柱4と柵体5とが交差する交差部であれば、安全柵3a,3bの端部以外の位置にある支柱4と柵体5との交差部に形成することも可能である。また、これに関連して、安全柵3a,3bに形成するフック装着部8の数は適宜変更可能である。たとえば、支柱4と柵体5との交差部のすべてにフック装着部8を設けたり、あるいは、一部の交差部にのみフック装着部を設けることが可能である。つまり、少なくとも1か所以上にフック装着部8が形成されていればよい。
【0033】
実施形態2
次に、本発明の第2の実施形態を図2に基づいて説明する。
第2の実施形態に示す塵芥車1は、安全柵3に設けられたフック装着部8を改変したものであって、その他の構成は実施形態1に示す塵芥車1と同様である。よって、以下の説明では改変した点を中心に説明する。
【0034】
本実施形態に示す塵芥車1では、安全柵3a,3bにおいて、柵体5が略直角に折り曲げられているコーナー部分にフック装着部8を設けている。具体的には、本実施形態に示すフック装着部8は、車幅方向Aに延びて配設される柵体5aと車長方向Bに延びて配設される柵体5bとが交差する交差部の内角側に、一端を車幅方向Aに延びて配設される柵体5aに連結し、他端を車長方向Bに延びて配設される柵体5bに連結してなる金属製の棒状部材82を配設することで、柵体5a,5bと棒状部材82とにより、墜落制止用のフック104と係合可能な装着孔FHを形成している。
【0035】
本実施形態に示すフック装着部8は、棒状部材82が車幅方向Aに延びて配設される柵体5aと車長方向Bに延びて配設される柵体5bとが交差する交差部に配置されるので、たとえば、安全柵3a,3bによって囲まれる作業領域WSの四隅にフック装着部8を形成することができる。なお、本実施形態に示すフック装着部8は、上述した実施形態1と同様、四隅のうちの少なくと1か所以上に形成されていればよい。
【0036】
このように、本実施形態に示すフック装着部8(棒状部材82)は、安全柵3a,3bの内側に配設されることになるが、棒状部材82が配設されるのは略矩形状を呈する作業領域WSのうちの四隅(内隅)であり、その近傍は、作業領域WSにおける通常の作業では作業員がほとんど足を踏み入れることがない位置であるので、棒状部材82が作業の妨げになることはない。
【0037】
そのため、本実施形態に示すフック装着部8においても、作業領域WS内を移動しながら作業を行う作業員がフック装着部8につまづくおそれは殆どなく、転倒リスクが少ない墜落制止設備を提供することができる。しかも、実施形態1と同様に、フック装着部8は、従来の墜落制止設備のようにスライド移動することがないので、墜落制止用器具100による作業員の安全を十分に確保することもできる。
【0038】
なお、上述した実施形態はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなくその範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0039】
たとえば、上述した実施形態では、荷箱を有する車両として塵芥車1を例示したが、天井のある荷箱2を備えた車両であれば、塵芥車以外の車両、たとえば、ベンディングカーやタンクローリーなど、ごみ収集以外の目的を有する特装車、さらには特装車以外の荷箱を有する車両について本発明を適用することも可能である。
【0040】
また、上述した実施形態では、支柱4と柵体5とが交差する交差部、柵体5aと柵体5bとが交差する交差部にフック装着部8を設けた場合を示したが、たとえば、フック装着部8を構成する棒状部材として略U字状を呈する金属部材を用い、この金属部材の両端を支柱4または柵体5に連結することによりフック装着部8を形成してもよい。すなわち、本発明におけるフック装着部8は、支柱4および/または柵体5に設けることができる。
【0041】
また、上述した実施形態では、支柱4と柵体5の交差部にフック装着部8を設けた場合(実施形態1)と、柵体5aと柵体5bの交差部にフック装着部8を設けた場合(実施形態2)とをそれぞれ示したが、支柱4と柵体5の交差部と柵体5aと柵体5bの交差部の双方にフック装着部8を設けるように構成することももちろん可能である。また、たとえば、柵体5bのみにフック装着部8を形成することも可能である。その場合、柵体5bに形成されるフック装着部8は、安全柵3の内側にしないように構成するのが望ましい。
【0042】
また、上述した実施形態では、平面視略コ字状を呈する2基1組(一対)の安全柵3a,3bを用いて作業領域WSを形成した場合を示したが、たとえば、平面視略L字状を呈する2基1組の安全柵3を対向配置することによって作業領域WSを形成したり、あるいは、平面視略I字状を呈する2基1組の安全柵3を車幅方向(車両の左右方向)または車長方向(車両の前後方向)の両側に対向配置することによって作業領域WSを形成することも可能である。さらには、単一の安全柵3、すなわち、平面視略矩形環状を呈する安全柵によって作業領域WSを形成することも可能である。要は、作業領域WSからの転落防止を目的とする安全柵3の形状、配置は適宜変更可能であり、上述したフック装着部8は、これら安全柵3の少なくともいずれか1か所以上に備えられていればよい。
【0043】
また、上述した実施形態では、荷箱2の天井面(上面)を作業領域WSとした場合を示したが、荷箱2の上に荷物を載置するための部材(たとえば、ルーフラックなど)を設け、そこに安全柵3を設けるように構成してもよい。要は、作業領域WSを取り囲む安全柵3にフック装着部8が形成される構造であれば、荷箱2上にルーフラックなどが介在してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 塵芥車
2 荷箱
3,3a,3b 安全柵
4 支柱
41 ネジ孔
5 柵体
6 基台
61 ネジ孔
7 脱落防止網
8 フック装着部
81,82 棒状部材
100 墜落制止用器具
101 ベルト本体
103 連結帯
104 フック
WS 作業領域
FH 装着孔
図1
図2
図3
図4