(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024577
(43)【公開日】2025-02-20
(54)【発明の名称】車載用カメラ
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20210101AFI20250213BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20250213BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20250213BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20250213BHJP
【FI】
G02B7/02 Z
G03B30/00
G03B15/00 V
G02B7/02 E
H04N23/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128781
(22)【出願日】2023-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138771
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 将明
(72)【発明者】
【氏名】中村 健
(72)【発明者】
【氏名】亀山 真吾
【テーマコード(参考)】
2H044
5C122
【Fターム(参考)】
2H044AE06
2H044AJ03
2H044AJ04
2H044AJ05
2H044AJ06
5C122DA14
5C122EA12
5C122EA55
5C122FB03
5C122FB08
5C122FB17
5C122FC00
5C122GE01
5C122GE05
5C122GE07
5C122GE11
5C122GE18
5C122GE22
5C122HB05
(57)【要約】
【課題】低コストで製造可能であるとともに、優れた撮像性能を確保した車載用カメラを提供する。
【解決手段】車載用カメラは、レンズユニットと、回路基板と、撮像素子と、筐体と、第3面及び第4面を備えたリング部材と、を備える。リング部材は、第1の厚さを備える第1層端面を備える第1層と、第1層より回路基板の近くに配置され、第1層より面積が小さく、第2の厚さを備える第2層端面を備える第2層と、を有する。第1層は、第2層が配置された第1領域と、第2層が配置されていない第2領域と、を備える。第1層は、第2領域において、第3面と反対の第5面を備える。第1層の第5面は、レンズユニットのフランジ部の第1フランジ面に固着され、かつ筐体の大径筒状部の端部に固着される。第2層の第2層端面は、筐体の大径筒状部の内面に向かって突出し、かつ大径筒状部の内面に当接する少なくとも1つの第2層突起部を有する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筒状である第1筒状部と、前記第1筒状部の内部に配置された少なくとも1つのレンズと、前記第1筒状部の外側に前記少なくとも1つのレンズの光軸を中心として全周に渡り、前記光軸を基準に外に向かって延びるように配置されたフランジ部と、を備えるレンズユニットと、
第1面と、前記第1面と反対の第2面と、を備える回路基板と、
前記レンズの光軸上であり、前記回路基板の前記第1面に配置された撮像素子と、
前記光軸に沿って第2筒状である第2筒状部を有し、少なくとも前記回路基板と前記撮像素子とを前記第2筒状部の内部に収容する筐体と、
前記レンズユニットの前記第1筒状部の周囲に配置され、第3面と、前記第3面と反対であって、前記第3面より前記回路基板に近い第4面とを備えた面状部材と、を備え、
前記レンズユニットの前記フランジ部は、第1フランジ面と、前記第1フランジ面と反対であって、前記筐体の前記第2筒状部の内部空間に位置する第2フランジ面と、前記第1フランジ面と前記第2フランジ面とを繋ぐフランジ端面と、を有し、
前記面状部材は、
前記第3面と前記第4面の間であって前記第1筒状部の周囲に配置され、第1の厚さを備える第1層端面を備える第1層と、
前記第3面と前記第4面の間であって前記第1筒状部の周囲の少なくとも一部であって、前記第1層に沿い、前記第1層より前記回路基板の近くに配置され、前記第1層より面積が小さく、第2の厚さを備える第2層端面を備える第2層と、を有し、
前記面状部材の前記第1層は、前記第2層が配置された第1領域と、前記第2層が配置されていない第2領域と、を備え、
前記面状部材の前記第1層は、前記第2領域において、前記第3面と反対の第5面を備え、
前記面状部材の前記第1層の前記第5面は、前記レンズユニットの前記フランジ部の前記第1フランジ面に固着され、かつ前記筐体の前記第2筒状部の端部に固着され、
前記面状部材の前記第2層の前記第2層端面は、前記筐体の前記第2筒状部の内面に向かって突出し、かつ前記筐体の前記第2筒状部の前記内面に当接する少なくとも1つの第2層突起部を有する、
車載用カメラ。
【請求項2】
請求項1に記載の車載用カメラであって、
前記面状部材の前記第1層の前記第1の厚さは、前記面状部材の前記第2層の前記第2の厚さより薄い、
車載用カメラ。
【請求項3】
請求項1に記載の車載用カメラであって、
前記第1層の、所定の波長の光に係る第1光透過性が、前記第2層の、前記所定の波長の光に係る第2光透過性よりも大きい、
車載用カメラ。
【請求項4】
請求項1に記載の車載用カメラであって、
前記面状部材は、前記第1層と前記第2層とのレーザ溶着、又は前記第1層の樹脂材料と前記第2層の樹脂材料との二色成型により構成される、
車載用カメラ。
【請求項5】
請求項1に記載の車載用カメラであって、
前記面状部材の前記第2層は、前記面状部材の平面視において第1辺及び前記第1辺に対向する第2辺を含む第1矩形を有し、
前記面状部材の前記第2層の前記第2層端面は、前記第1辺に対応する第1の第2層端面を有し、
前記面状部材の前記第2層の前記第2層端面は、前記第2辺に対応する第2の第2層端面を有し、
前記面状部材の前記第2層の前記少なくとも1つの第2層突起部は、前記面状部材の前記第2層の前記第1の第2層端面に配置された第1の第2層突起部と、前記面状部材の前記第2層の前記第2の第2層端面に配置された第2の第2層突起部と第3の第2層突起部と、を含む。
車載用カメラ。
【請求項6】
請求項5に記載の車載用カメラであって、
前記面状部材の前記第2層の前記第1の第2層突起部は、前記面状部材の前記第2層の前記第1の第2層端面の中央に配置され、
前記面状部材の前記第2層の前記第2の第2層突起部は、前記第2の第2層端面の中央から第1距離だけ離れた位置に配置され、
前記面状部材の前記第2層の前記第3の第2層突起部は、前記第2の第2層端面の中央から第2距離だけ離れた位置に配置される、
車載用カメラ。
【請求項7】
請求項6に記載の車載用カメラであって、
前記第1距離の長さは、前記第2距離の長さと同じ長さである、
車載用カメラ。
【請求項8】
請求項5に記載の車載用カメラであって、
前記レンズユニットの前記フランジ部は、前記フランジ部の平面視において第3辺及び前記第3辺に対向する第4辺を含む第2矩形を有するとともに、
前記レンズユニットの前記フランジ部の前記フランジ端面は、前記第3辺に対応する第1フランジ端面を有し、
前記レンズユニットの前記フランジ部の前記フランジ端面は、前記第4辺に対応する第2フランジ端面を有し、
前記フランジ部の前記第1フランジ端面の中央において、前記第1フランジ端面から前記第2層の内面に向かって突出し、接触するように配置された第1フランジ突起部と、
前記フランジ部の前記第2フランジ端面において、前記フランジ部の前記第2フランジ端面の中央から第3距離だけ離れた位置に配置される第2フランジ突起部と、
前記フランジ部の前記第2フランジ端面の中央から第4距離だけ離れた位置に配置される第3フランジ突起部と、を有する、
車載用カメラ。
【請求項9】
請求項8に記載の車載用カメラであって、
前記第3距離の長さは、前記第4距離の長さと同じ長さである、
車載用カメラ。
【請求項10】
請求項9に記載の車載用カメラであって、
前記第2層の前記第2の第2層端面上における前記第2の第2層突起部と前記第3の第2層突起部との間の第5距離が、前記フランジ部の前記第2フランジ端面上における前記第2フランジ突起部と前記第3フランジ突起部との間の第6距離より大きい、
車載用カメラ。
【請求項11】
請求項10に記載の車載用カメラであって、
前記第2層の前記内面は、少なくとも前記第2フランジ突起部を収容する第1収容部と、前記第3フランジ突起部を収容する第2収容部と、を有する、
車載用カメラ。
【請求項12】
請求項11に記載の車載用カメラであって、
前記第2層の前記第1収容部は、前記第2層の前記内面から前記第2の第2層端面に向かう方向に第1凹部を有し、
前記第2層の前記第2収容部は、前記第2層の前記内面から前記第2の第2層端面に向かう方向に第2凹部を有し、
前記第1凹部と前記第2凹部との間は、前記第6距離だけ離れている、
車載用カメラ。
【請求項13】
請求項12に記載の車載用カメラであって、
前記第2層の前記第1矩形が長方形であり、
前記第1矩形の前記第1辺及び前記第1矩形の前記第2辺が、前記長方形の長辺である、
車載用カメラ。
【請求項14】
請求項13に記載の車載用カメラであって、
前記第2層は、前記第2層の前記第4面であり、かつ、前記第4面から前記第3面に向かう方向に第3凹部を有する、
車載用カメラ。
【請求項15】
請求項14に記載の車載用カメラであって、
前記第2層は、前記第2層の前記第4面であり、かつ、前記第4面から前記第3面に向かう方向において、前記第3凹部とは異なる第4凹部を有する、
車載用カメラ。
【請求項16】
請求項15に記載の車載用カメラであって、
前記筐体の前記第2筒状部は、第1内面を有する第1側壁部と、前記第1側壁部と対向し、第2内面を有する第2側壁部と、を備え、
前記第2層の前記内面は、第1の第2層内面と、第2の第2層内面と、を備え、
前記第2層の前記第1の第2層突起部は、前記筐体の前記第1側壁部の前記第1内面と接触し、
前記第2層の前記第2の第2層突起部は、前記筐体の前記第2側壁部の前記第2内面と接触し、
前記第2層の前記第3の第2層突起部は、前記筐体の前記第2側壁部の前記第2内面と接触し、
前記フランジ部の前記第1フランジ突起部は、前記第2層の前記第1の第2層内面と接触し、
前記フランジ部の前記第2フランジ突起部は、前記第2層の前記第2の第2層内面と接触し、
前記フランジ部の前記第3フランジ突起部は、前記第2層の前記第2の第2層内面と接触する、
車載用カメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載用カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の安全性向上、自動運転機能の導入などの要請に伴い、車両に搭載され、車両の内外を撮影する車載用カメラの開発が活発になっている(例えば特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-197798号公報
【特許文献2】登録実用新案第3234888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両に求められる安全性、自動運転機能などに関する要求レベルは向上する一方であり、車載用カメラについてもさらなる性能向上などが求められている。
【0005】
本開示は、新たな車載用カメラを提供する技術に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、第1筒状である第1筒状部と、前記第1筒状部の内部に配置された少なくとも1つのレンズと、前記第1筒状部の外側に前記少なくとも1つのレンズの光軸を中心として全周に渡り、前記光軸を基準に外に向かって延びるように配置されたフランジ部と、を備えるレンズユニットと、第1面と、前記第1面と反対の第2面と、を備える回路基板と、前記レンズの光軸上であり、前記回路基板の前記第1面に配置された撮像素子と、前記光軸に沿って第2筒状である第2筒状部を有し、少なくとも前記回路基板と前記撮像素子とを前記第2筒状部の内部に収容する筐体と、前記レンズユニットの前記第1筒状部の周囲に配置され、第3面と、前記第3面と反対であって、前記第3面より前記回路基板に近い第4面とを備えた面状部材と、を備え、前記レンズユニットの前記フランジ部は、第1フランジ面と、前記第1フランジ面と反対であって、前記筐体の前記第2筒状部の内部空間に位置する第2フランジ面と、前記第1フランジ面と前記第2フランジ面とを繋ぐフランジ端面と、を有し、前記面状部材は、前記第3面と前記第4面の間であって前記第1筒状部の周囲に配置され、第1の厚さを備える第1層端面を備える第1層と、前記第3面と前記第4面の間であって前記第1筒状部の周囲の少なくとも一部であって、前記第1層に沿い、前記第1層より前記回路基板の近くに配置され、前記第1層より面積が小さく、第2の厚さを備える第2層端面を備える第2層と、を有し、前記面状部材の前記第1層は、前記第2層が配置された第1領域と、前記第2層が配置されていない第2領域と、を備え、前記面状部材の前記第1層は、前記第2領域において、前記第3面と反対の第5面を備え、前記面状部材の前記第1層の前記第5面は、前記レンズユニットの前記フランジ部の前記第1フランジ面に固着され、かつ前記筐体の前記第2筒状部の端部に固着され、前記面状部材の前記第2層の前記第2層端面は、前記筐体の前記第2筒状部の内面に向かって突出し、かつ前記筐体の前記第2筒状部の前記内面に当接する少なくとも1つの第2層突起部を有する、車載用カメラを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、低コストで製造可能であるとともに、優れた撮像性能を確保した車載用カメラが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】車両の一例であって、車載用カメラが搭載された車両の上面図
【
図2】
図1に示した車両に設けられる車載用カメラ、カメラECU及びディスプレイの接続例を示すブロック図
【
図3】車両の他の例であって、車載用カメラが搭載された車両の車室の概略図
【
図5】
図3に示した車両に設けられる車載用カメラ、カメラECU及び表示器の接続例を示すブロック図
【
図6】第1実施形態に係る車載用カメラの上面斜視図
【
図7】第1実施形態に係る車載用カメラの下面斜視図
【
図8】第1実施形態に係る車載用カメラの分解斜視図
【
図15】リング部材の第1層の部分のみを除外した状態の車載用カメラの上面図
【
図17】第2実施形態に係る車載用カメラの上面斜視図
【
図18】第2実施形態に係る車載用カメラの下面斜視図
【
図19】第2実施形態に係る車載用カメラの分解斜視図
【
図22】キャップ部材とリング部材を分離した状態で示す斜視図
【
図25】キャップ部材を除外した状態の車載用カメラの上面図
【
図28】キャップ部材と面状部材を裏側から見た底面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を適宜参照しつつ、本開示に係る車載用カメラを具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の記載の主題を限定することは意図されていない。
【0010】
(車載用カメラが搭載された車両)
図1は、車両の一例であって、車載用カメラが搭載された車両の上面図を示す。車両Vは、車載用カメラ100として、車載用カメラ100A、車載用カメラ100B、車載用カメラ100C、車載用カメラ100Dを搭載している。車載用カメラ100Aはフロントカメラであり、車載用カメラ100Bはリアカメラであり、車載用カメラ100Cは右サイドカメラであり、 車載用カメラ100Dは左サイドカメラである。車載用カメラ100A~100Dは、例えば180°程度の画角を有する広角カメラであり、車両Vの全周が撮像されるように配置される。
【0011】
例えば、車載用カメラ100Aは、車両Vのフロントグリルに設置され、前方の領域を地面に対して斜めに見下ろす方向に撮像する。車載用カメラ100Bは、車両Vのルーフスポイラーに設置され、後方の領域を地面に対して斜めに見下ろす方向に撮像する。車載用カメラ100C及び車載用カメラ100Dは、それぞれ車両Vのサイドミラーに設置され、側方の領域を地面に対して斜めに見下ろす方向に撮像する。
【0012】
図2は、
図1に示した車両Vに設けられる車載用カメラ100A~100D、カメラECU110及びディスプレイ7の接続例を示すブロック図である。
図2にて示されるカメラElectronic Control Unit(ECU)110が、車載用カメラ100A~100Dが撮像した画像を合成し、例えばインストルメントパネルに配置されるナビゲーションシステムのディスプレイ7に合成した画像を表示する。乗員はディスプレイ7を視認して、車両Vの周囲の状況を確認することができる。
【0013】
図3は、車両の他の例であって、車載用カメラが搭載された車両の車室の概略図であり、
図4は。
図3の車両の上面図である。車両Vは車室内の運転席3と助手席4との間の前方部分であって、ルームミラーの取付位置に表示器5(例えば、電子ルームミラー)を備えている。更に車両Vは車体後方に車載用カメラ100を搭載している。
図5は、
図3に示した車両Vに設けられる車載用カメラ100、カメラECU111及び表示器5の接続例を示すブロック図である。
図4にて示されるカメラECU111が、車載用カメラ100が撮像した画像を処理し、表示器5が画像を表示する。乗員は表示器5を視認して、車両Vの後方の状況を確認することができる。
【0014】
(第1実施形態)
図6は、第1実施形態に係る車載用カメラ100の上面斜視図である。
図7は、第1実施形態に係る車載用カメラ100の下面斜視図である。
図8は、第1実施形態に係る車載用カメラ100の分解斜視図である。
図9は、第1実施形態に係る車載用カメラ100の上面図である。
図10は、
図9のA-A線に沿った断面図である。なお、車載用カメラ100の一辺に沿ったX軸、このX軸に直交し、車載用カメラ100の他辺に沿ったY軸、X軸及びY軸に直交し、車載用カメラ100の高さ方向に沿ったZ軸を含む座標を定義し、以後の説明に活用する。
【0015】
本実施形態の車載用カメラ100は、面状部材であるリング部材20と、レンズユニット30と、回路基板40と、撮像素子50と、筐体60とを備えている。
【0016】
リング部材20は、平面視(Z軸に沿って車載カメラ200を見る視線、以下同じ)で矩形環状の部材により構成され、レンズユニット30及び筐体60に対し、レーザ溶着により溶着されている。リング部材20の内周面は、後述するレンズユニット30のレンズ鏡筒31を構成する第1筒状部37の外周面と対向している。リング部材20の内径は、レンズユニット30の第1筒状部37(レンズ鏡筒31)が挿入可能な長さを有する。
【0017】
リング部材20は、所定の光透過性を有する樹脂材料により形成される。この樹脂材料は光透過性樹脂を含む材料から成る。例えば、光透過性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂などから形成される。ポリエステル樹脂としては、ポリプチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを用いることができる。ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを用いることができる。なお、用いる光透過性樹脂は、1種類であっても複数種類であってもよい。また、一定水準以上の透過性能を実現可能であれば、主となる光透過性樹脂に、着色材料或いは充填材又はその両方を含有させてもよい。
【0018】
レンズユニット30は、円筒状のレンズ鏡筒31を構成し、第1筒状を有する第1筒状部37と、第1筒状部37の内部に配置された少なくとも1つのレンズ(図示せず)とを含む。第1筒状部37は円筒状であり、第1筒状部37の内部において、例えば複数のレンズからなるレンズ群を保持している。レンズ群において各レンズは、それぞれの光軸L(
図9の紙面に垂直な方向に延びる軸であり、Z軸に沿った軸)を一致させた状態に並べられ、車両の車体の内外の撮像に用いられるレンズ群を構成している。
【0019】
レンズユニット30は、第1筒状部37の外周面から外側に向けて張り出した鍔状のフランジ部32を有する。フランジ部32は、第1筒状部37の外側に光軸Lを中心に全周に渡り、光軸Lを基準に外に向かって延びるように配置されており、径方向に沿った断面は四角の形状を有する。フランジ部32の少なくとも一部は、リング部材20を介して筐体60と接合される。レンズユニット30と筐体60との関係については後述する。
【0020】
また、フランジ部32は、第1フランジ面32aと、第1フランジ面32aと反対であって、筐体60の後述する大径筒状部61の内部空間に位置する第2フランジ面32bと、第1フランジ面32aと第2フランジ面32bとを繋ぐフランジ端面32cと、とを有する。
【0021】
レンズユニット30のうち少なくともフランジ部32の第1フランジ面32aは、例えば、所定の光吸収性を有する樹脂により形成される。この樹脂は光吸収性樹脂を含む材料から成る。光吸収性樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂、オレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂などを用いることができる。なお、用いる光吸収性樹脂は、1種類であっても複数種類であってもよい。また、主となる光吸収性樹脂に、レーザ光を吸収する吸収剤或いは着色材料又はその両方を含有させてもよい。
【0022】
フランジ部32の第1フランジ面32aを、光吸収性樹脂から構成することにより、内部空間への光の透過を低減することができる。すなわち、車載用カメラ100の外部から車載用カメラ100の内部への光の透過を低減することができる。そのため、透過光による撮像素子50のハレーションを防止することができる。フランジ部32の全体又はレンズユニット30の全体が、光吸収性樹脂から形成されてもよい。
【0023】
回路基板40は、筐体60の内部空間に配置され、第1面40aと、第1面40aと反対の第2面40bを有する。ただし、2枚以上の回路基板を設けてもよい。
【0024】
撮像素子50は、レンズユニット30の少なくとも一つのレンズの光軸L上であって、回路基板40の第1面40aに配置されており、外部からの光を撮像素子50に導くことにより、撮像素子50が画像を撮像できる。
【0025】
筐体60は、内部空間を有する筒状の部材であり、レンズユニット30を直接的に、場合によっては間接的に支持し、少なくとも回路基板40と撮像素子50を収容する役割を果たす。筐体60は、光軸Lに沿った第2筒状を有する大径筒状部61と光軸Lに沿った小径筒状部62とを有する。第2筒状部を構成する大径筒状部61は、小径筒状部62に比べて大きな断面積を有し、ともに矩形の断面を有する。大径筒状部61は、少なくとも回路基板40と撮像素子50を内部に収容する。小径筒状部62は、もっぱら車載用カメラ100の外部との電気的接続を確保するコネクタ80を収容する(
図10参照)。大径筒状部61と小径筒状部62とは、後述する樹脂により、一体成形することが可能であるが、あらかじめ用意された個別の大径筒状部61と小径筒状部62とを溶着若しくはビス止めなどの方法により接合してもよい。なお、筐体60は本実施の形態において矩形筒状であるが、これに限らず、矩形以外の多角形の筒状、円形や楕円形の筒状、その他の形状の筒であってもよい。
【0026】
筐体60のうち、大径筒状部61の端部63は、光吸収性を有する樹脂により形成される。この樹脂は光吸収性樹脂を含む材料から成る。光吸収性樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂、オレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂などを用いることができる。なお、用いる光吸収性樹脂は、1種類であっても複数種類であってもよい。また、主となる光吸収性樹脂に、レーザ光を吸収する吸収剤或いは着色材料又はその両方を含有させてもよい。
【0027】
筐体60を、光吸収性樹脂を含む材料から構成することにより、筐体60の内部空間への光の透過を低減することができる。すなわち、車載用カメラ100外部から車載用カメラ100内部への光の透過を低減することができる。そのため、透過光による撮像素子50のハレーションを防止することができる。大径筒状部61の全体又は筐体60の全体が、光吸収性樹脂から形成されてもよい。
【0028】
次に、リング部材20について改めて説明する。
図11は、リング部材20の底面図、
図12は、一方向から視認したリング部材20の斜視図、
図13は、他方向から視認したリング部材20の斜視図、
図14は、
図11のB-B線に沿った断面図である。
【0029】
リング部材20は面状部材であり、レンズユニット30の第1筒状部37の周囲に配置される。リング部材20は、第3面20a(
図9参照)と、第3面20aと反対であって、第3面20aより回路基板40に近い第4面20b(
図11又は
図12参照)とを備える。
【0030】
リング部材20は、積層した少なくとも第1層21と第2層22とを含む二層構造を有する。第1層21は、第1の厚さを備える第1層端面21a(
図12参照)を備える。第1層端面21aは、第3面20aと第4面20bとの間であって第1筒状部37の周囲に配置される。第2層22は、第1層21より平面視における面積が小さく、第2の厚さを備える第2層端面22a(
図12参照)を備える。第2層端面22aは、第3面20aと第4面20bとの間であって第1筒状部37の周囲の少なくとも一部であって、第1層21に沿い、第1層21より回路基板40の近くに配置される。
【0031】
第1層21は、第2層22が配置された第1領域23と、第2層22が配置されていない第2領域24と、を備える(
図14参照)。すなわち、第1領域23は第2層22に直接対向し、第2領域24は第2層22に対向しない。
【0032】
さらに第1層21は、第2領域24において、第3面20aと反対の第5面20cを備えている。第5面20cは、レンズユニット30のフランジ部32の第1フランジ面32aに固着され、かつ筐体60の大径筒状部61の端部63に固着される。一方、第2層の22の第2層端面22aは、筐体60の大径筒状部61の内面に向かって突出し、かつ筐体60の大径筒状部61の内面に当接する少なくとも1つの第2層突起部22cを有する。
【0033】
リング部材20は中央部に開口部25を有する環状の部材であり、第1層21は、平面視における中央部に矩形状の第1開口部250Aを含み、第2層22は、平面視における中央部に矩形状の第2開口部250Bを含む。レンズユニット30の第1筒状部37は、第1層21の第1開口部250Aと、第2層22の第2開口部250Bとを通過する。第1層21の第1開口部250Aの面積は、第2層22の第2開口部250Bの面積よりも小さく、第1層21の第1開口部250Aの面積は、レンズユニット30のフランジ部32の面積よりも小さい。
【0034】
リング部材20、レンズユニット30、筐体60は、例えばレーザ溶着によって溶着される一般的なレーザ溶着方法においては、樹脂に圧力を加えた状態で、光透過性樹脂にレーザを照射すると、レーザは光透過性樹脂では吸収されずに透過し、光吸収性樹脂の表面で吸収される。吸収されたレーザのエネルギーは熱に変換され、光吸収性樹脂の表面は加熱される。更には、熱伝導により、光吸収性樹脂の表面に当接する光透過性樹脂の表面も加熱される。これにより、光吸収性樹脂と光透過性樹脂の境界面において樹脂が溶融される。レーザの照射を停止すると、溶融された樹脂が固化し、両樹脂が溶着される。
【0035】
本実施形態においては、まず、リング部材20の第1層21の第5面20cをレンズユニット30のフランジ部32の第1フランジ面32aに押圧した状態でレーザを照射し、リング部材20の第5面20cとフランジ部32の第1フランジ面32aとを固着する。その後、リング部材20の第1層21の第5面20cを筐体60の端部63に押圧した状態でレーザを照射し、リング部材20の第5面20cと端部63とを固着する。
【0036】
本実施形態に係る車載用カメラ100によれば、レンズユニット30の第1筒状部37の周囲に配置されるリング部材20が、第1筒状部37の周囲に配置される第1層21と、第1層21より回路基板40の近くに配置される第2層22とを備えている。そして、第1層21の第5面20cが、レンズユニット30のフランジ部32の第1フランジ面32aと筐体60の大径筒状部61の端部63に固着される。さらに、第2層22の第2層端面22aが、筐体60の大径筒状部61の内面に当接する少なくとも1つの第2層突起部22cを有する。
【0037】
車載用カメラは種々のサイズ、性能等を有する製品のバリエーションを想定しており、特に回路基板40は、製品に応じて、その性能、サイズ、形状等のスペックを変更したものが用いられる。回路基板40の変更に伴い、筐体60の大径筒状部61のサイズを変更する必要があるが、大径筒状部61のサイズ変更に伴い、レンズユニット30のサイズ、特にフランジ部32も設計変更する必要性が生ずる。しかしながら、レンズユニット30は精密な光学部品であり、その設計変更は容易ではなく、労力、コスト、時間等を要する。
【0038】
一方、本実施形態に係る車載用カメラ100においては、比較的安価で容易に製造可能なリング部材20が第1層21と第2層22を含む二層構造を有している。この構造により、車載用カメラ100の製品ごとに、回路基板40の変更に伴う大径筒状部61のサイズ変更が生じても、レンズユニット30を変更することなく、第2層22のサイズを変更することにより、筐体60の大径筒状部61と、レンズユニット30のフランジ部32との間の隙間を埋めることができる。また、第2層22の第2層突起部22cの作用により、リング部材20を筐体60の大径筒状部61に容易に固定することができる。この結果、回路基板40の変更に伴い筐体60の大径筒状部61の大きさが変化しても、レンズユニット30の変更を伴わず、リング部材20の設計変更により、光が外部から筐体60の内部に侵入するのを防止できる。よって、労力、コスト、時間等を抑制しつつ、車載用カメラのバリエーションを増やすことができる。
【0039】
リング部材20の更なる詳細について説明する。
図14に示す様に、第1層21の第1の厚さT1(第3面20aと第5面20cの距離に等しい)は、第2層22の第2の厚さT2(第5面20cと第4面20bの距離に等しい)より薄くなるように構成されている。これにより、第2層22が、光が外部から筐体60の内部に侵入するのを効率的に防止できる。
【0040】
また、リング部材20は、所定の光透過性を有する樹脂材料により形成されることを既に述べた。ここで、リング部材20の光透過性に関し、第1層21の、所定の波長の光(例えば可視光、赤外光等)に係る第1光透過性は、第2層22の、所定の波長の光に係る第2光透過性よりも大きくなるように設定することができる。これにより、第1層21が、レーザ溶着により、レンズユニット30のフランジ部32及び筐体60の大径筒状部61の端部63に円滑に固着され、かつ、第2層22が、光が外部から筐体60の内部に侵入するのを効率的に防止できる。
【0041】
なお、リング部材20は、例えば、別々に成形した第1層21と第2層22との溶着(レーザ溶着、接着剤等による貼り合わせ等)又は第1層21の樹脂材料と第2層22の樹脂材料との二色成型により製造することができる。これにより、リング部材20を容易に製造することができる。
【0042】
リング部材20の第2層22について詳細に説明する。第2層22は、リング部材20の平面視において第1辺220A及び第1辺220Aに対向する第2辺220Bを含む第1矩形を有する。第2層22の第2層端面22aは、第1辺220Aに対応する第1の第2層端面22a1を有するとともに、第2辺220Bに対応する第2の第2層端面22a2を有する。そして、第2層22の少なくとも1つの第2層突起部22cは、第2層22の第1の第2層端面22a1に配置された第1の第2層突起部22c1と、第2層22の第2の第2層端面22a2に配置された第2の第2層突起部22c2と第3の第2層突起部22c3と、を含む。
【0043】
これにより、第2層22を容易に製造することができるとともに、3つの第2層突起部22cにより、第2層22を筐体60の大径筒状部61に強固かつ安定的に固定することができる。
【0044】
第2層22の第1の第2層突起部22c1は、第2層22の第1の第2層端面22a1の中央(
図11のP-P線)に配置される(
図11参照)。第2の第2層突起部22c2は、第2の第2層端面22a2の中央(
図11のP-P線)から第1距離D1だけ離れた位置に配置される(
図11参照)。第3の第2層突起部22c3は、第2の第2層端面22a2の中央(
図11のP-P線)から第2距離D2だけ離れた位置に配置される(
図11参照)。
【0045】
これにより、三つの第2層突起部22cが、第2層22を筐体60の大径筒状部61に強固かつ安定的に固定することができる。
【0046】
第1距離D1の長さは、第2距離D2の長さと同じ長さであってよい。これにより、第2の第2層突起部22c2及び第3の第2層突起部22c3が、第2の第2層端面22a2の中央から等しい距離に形成されるため、第2層22を筐体60の大径筒状部61に安定的に固定することができる。
【0047】
次に、レンズユニット30のフランジ部32と、リング部材20の第2層22との関係について詳細に説明する。
図15は、説明のため、リング部材20の第1層21の部分のみを除外した状態の車載用カメラ100の上面図、
図16は、
図15のC-C線に沿った断面図である。レンズユニット30のフランジ部32は、フランジ部32の平面視において第3辺320A及び第3辺320Aに対向する第4辺320Bを含む第2矩形を有する。フランジ部32のフランジ端面32cは、第3辺320Aに対応する第1フランジ端面32c1を有するとともに、第4辺320Bに対応する第2フランジ端面32c2を有する。
【0048】
ここで、第1フランジ突起部33aが、第1フランジ端面32c1の中央において、第1フランジ端面32c1から、リング部材20の第2層22の内面に向かって突出し、接触するように配置されている。また、第2フランジ突起部33bが、第2フランジ端面32c2において、第2フランジ端面32c2の中央(
図15のQ-Q線)から第3距離D3だけ離れた位置に配置されている。また、第3フランジ突起部33cが、第2フランジ端面32c2において、第2フランジ端面32c2の中央(
図15のQ-Q線)から第4距離D4だけ離れた位置に配置される。
【0049】
これにより、フランジ端面32cに形成された三つのフランジ突起部が、レンズユニット30のフランジ部32を第2層22の内面に強固かつ安定的に固定することができる。
【0050】
第3距離D3の長さは、第4距離D4の長さと同じ長さであってよい。これにより、第2フランジ突起部33b及び第3フランジ突起部33cが、第2フランジ端面32c2の中央から等しい距離に形成されるため、レンズユニット30のフランジ部32を第2層22の内面に安定的に固定することができる。
【0051】
また、リング部材20の第2層22の第2の第2層端面22a2上における第2の第2層突起部22c2と第3の第2層突起部22c3との間の第5距離D5(=第1距離D1+第2距離D2)が、フランジ部32の第2フランジ端面32c2上における第2フランジ突起部33bと第3フランジ突起部33cとの間の第6距離(=第3距離D3+第4距離D4)より大きい。
【0052】
これにより、2つの第2層突起部22cが、光軸Lを基準に2つのフランジ突起部より外側に配置され、かつ、2つの第2層突起部22cの間の距離が、2つのフランジ突起部の間の距離より大きい。よって、第2層22を筐体60の大径筒状部61に安定的に固定することができるとともに、レンズユニット30のフランジ部32を第2層22の内面に安定的に固定することができる。
【0053】
さらに第2層22の内面は、少なくとも第2フランジ突起部33bを収容する第1収容部22dと、第3フランジ突起部33cを収容する第2収容部22eと、を有する。これにより、レンズユニット30のフランジ部32を第2層22の内面に安定的に固定することができる。
【0054】
第1収容部22dは、第2層22の内面から第2の第2層端面22a2に向かう方向に第1凹部22d1を有し、第2収容部22eは、第2層22の内面から第2の第2層端面22a2に向かう方向に第2凹部22e1を有し、第1凹部22d1と第2凹部と22e1の間は、第6距離(=第3距離D3+第4距離D4)だけ離れている。これにより、レンズユニット30のフランジ部32を第2層22の内面に安定的に固定することができる。
【0055】
図示の様に、リング部材20の第2層22の第1矩形は長方形であり、第1矩形の第1辺22A及び第1矩形の第2辺22Bが、長方形の長辺である。ただし、「矩形」は、他の部材も含めて長方形のみならず正方形をも含む。これにより、第2層22を容易に製造することができる。
【0056】
なお、第2層22は、第2層22の第4面20bであり、かつ、第4面20bから第3面20aに向かう方向に第3凹部26を有する。第3凹部26は、第2層22の一部を中実ではなく空間にするものである。これにより、リング部材20を軽量化することができる。
【0057】
第2層22は、第2層22の第4面20bであり、かつ、第4面20bから第3面20aに向かう方向において、第3凹部26とは異なる第4凹部27をも有する。第4凹部27は、第3凹部26と同様に、第2層22の一部を中実ではなく空間にするものである。これにより、リング部材20を軽量化することができる。
【0058】
次に、筐体60と、レンズユニット30のフランジ部32と、リング部材20の第2層22との関係について詳細に説明する。筐体60の大径筒状部61は、第1内面64aを有する第1側壁部64と、第1側壁部64と対向し、第2内面65aを有する第2側壁部65と、を備える。リング部材20の第2層22の内面は、第1の第2層内面22fと、第2の第2層内面22gと、を備える。
【0059】
第2層22の第1の第2層突起部22c1は、筐体60の第1側壁部64の第1内面64aと接触し、第2層22の第2の第2層突起部22c2は、筐体60の第2側壁部65の第2内面65aと接触し、第2層22の第3の第2層突起部22c3は、筐体60の第2側壁部65の第2内面65aと接触する。そして、フランジ部32の第1フランジ突起部33aは、第2層22の第1の第2層内面22fと接触し、フランジ部32の第2フランジ突起部33bは、第2層22の第2の第2層内面22gと接触し、フランジ部32の第3フランジ突起部33cは、第2層22の第2の第2層内面22gと接触する。
【0060】
これにより、筐体60の二つの対向する側壁部のそれぞれに、一つの第2層突起部と二つの第2層突起部が接触し、フランジ部32の一つのフランジ突起部が、第2層22の第1の第2層内面22fと接触し、二つのフランジ突起部が、第2層22の第2の第2層内面22gと接触する。よって、第2層22を筐体60の大径筒状部61に強固かつ安定的に固定することができるとともに、レンズユニット30のフランジ部32を第2層22の内面に強固かつ安定的に固定することができる。
【0061】
なお、レーザ溶着にあたって、レンズユニット30のフランジ部32の第1フランジ突起部33a、第2フランジ突起部33b、第3フランジ突起部33cが、リング部材20の第2層22に対する位置決めの機能を有する。まず、レンズユニット30の第1筒状部37を、リング部材20の第4面20bの側から、第2開口部250B、第1開口部250Aの順に通過させる。そして、フランジ部32を傾けながら、最初に、第1フランジ突起部33aを第2層22の第1の第2層内面22fに押し当てる。押し当てた状態で、第1フランジ突起部33aを中心として、第2フランジ突起部33bが、第2層22の第2の第2層内面22gの第1収容部22d(第1凹部22d1)に沿う様に、かつ第3フランジ突起部33cが第2収容部22e(第2凹部22e1)に沿う様にフランジ部32を第2開口部250Bに押し込む。この過程で第1フランジ突起部33aが潰れながら、第2フランジ突起部33bが第1収容部22d(第1凹部22d1)に収容され、かつ第3フランジ突起部33cが第2収容部22e(第2凹部22e1)に収容される。これにより、レンズユニット30のフランジ部32が、リング部材20の第2層22の内面に位置決めされる(第1段階の位置決め)。
【0062】
さらにレーザ溶着にあたって、リング部材20の第2層22の第1の第2層突起部22c1、第2の第2層突起部22c2、第3の第2層突起部22c3が、筐体60に対する位置決めの機能を有する。レンズユニット30とリング部材20との溶着後、リング部材20を傾けながら、最初に、リング部材20の第2層22の第1の第2層突起部22c1を、筐体60の大径筒状部61の第1側壁部64の第1内面64aに押し当てる。押し当てた状態で、第1の第2層突起部22c1を中心として、第2層22の第2の第2層突起部22c2及び第3の第2層突起部22c3が、第2側壁部65の第2内面65aに沿う様にリング部材20を大径筒状部61に押し込む。この過程で第1の第2層突起部22c1が潰れながら、第2の第2層突起部22c2及び第3の第2層突起部22c3が、第2側壁部65の第2内面65aに接触し、固定される。これにより、リング部材20が、筐体60の大径筒状部61の第1内面64a、第2内面65aに位置決めされる(第2段階の位置決め)。
【0063】
(第2実施形態)
図17は、第2実施形態に係る車載用カメラ100の上面斜視図である。
図18は、第2実施形態に係る車載用カメラ100の下面斜視図である。
図19は、第2実施形態に係る車載用カメラ100の分解斜視図である。
図20は、第2実施形態に係る車載用カメラ100の上面図である。
図21は、
図20のD-D線に沿った断面図である。
【0064】
本実施形態の車載用カメラ100は、キャップ部材10と、面状部材であるリング部材20と、レンズユニット30と、回路基板40と、撮像素子50と、筐体60とを備えている。レンズユニット30、回路基板40、撮像素子50は、実質的に第1実施形態のものと同じ構成を有するものであってよい。
【0065】
キャップ部材10は、レンズユニット30の第1筒状部37の周囲に設けられ、第3筒状部15を少なくとも有し、レンズユニット30を保護する役割を果たす。キャップ部材10の詳細は後述する。
【0066】
面状部材であるリング部材20は、第1実施形態と同様に、平面視で矩形環状の部材により構成され、レンズユニット30及び筐体60に対し、レーザ溶着により溶着されている。ただし、リング部材20は必ずしも独立した部材である必要はない。本実施形態において、リング部材20は、筐体60の大径筒状部61の端部63の一部を覆う端面部として機能すればよく、リング部材20と筐体60が一体となった部品で供給されてもよい。そして、端面部がレンズユニット30を支持する。
【0067】
次に、キャップ部材10とリング部材20との関係について説明する。
図22は、キャップ部材10とリング部材20を分離した状態で示す斜視図である。
図23は、キャップ部材10を裏側から視認した斜視図である。
図24は、リング部材20を裏側から視認した斜視図である。
【0068】
キャップ部材10の第3筒状部15は、リング部材20(筐体60の大径筒状部61の端面部)に面するキャップ端部16と、筐体60の大径筒状部61の内部に向かって突出する脚状の第1突出部11、第2突出部12、及び第3突出部13を有する(
図23参照)。リング部材20(端面部)は、キャップ部材10の第1突出部11と係合する第1係合部201、キャップ部材10の第2突出部12と係合する第2係合部202、及びキャップ部材10の第3突出部13と係合する第3係合部203を有する(
図22参照)。係合の具体的な態様は後述する。
【0069】
さらにリング部材20は、光軸Lに沿った方向において、回路基板40の第1面40aから離れる方向に突出し、キャップ部材10のキャップ端部16の少なくとも一部に当接する第1凸部211、第2凸部212、及び第3凸部213を備える(
図22参照)。
【0070】
車載用カメラは種々のサイズ、性能等を有する製品のバリエーションを想定しており、特に撮像素子50は、製品に応じて、その性能を変更したものが用いられる。撮像素子50の変更に伴い、焦点調整等の観点から、レンズユニット30の第1筒状部37のZ軸方向の突出量を変更する必要が生ずる。第1筒状部37の突出量が変化すれば、キャップ部材10も設計変更する必要性が生ずるが、コスト、労力等の削減の観点から、複数の製品に対し共通なキャップ部材10を利用することが望まれる。
【0071】
本実施形態に係る車載用カメラ100においては、筐体60の大径筒状部61の端面部、すなわち、リング部材20が、キャップ部材10の第1突出部11、第2突出部12、及び第3突出部13と係合する第1係合部201、第2係合部202、及び第3係合部203を有する。また、リング部材20は、キャップ部材10のキャップ端部16の少なくとも一部に当接する第1凸部211、第2凸部212、及び第3凸部213を有する。この構造により、車載用カメラ100の製品ごとに、撮像素子50の変更に伴う第1筒状部37の突出量変更が生じても、キャップ部材10を変更することなく、リング部材20を変更することにより、キャップ部材10のZ軸方向の位置を調整することができる。特に、リング部材20の第1凸部211、第2凸部212、及び第3凸部213のZ軸方向の突出量を変更することにより、キャップ部材10のZ軸方向の位置を調整し、第1筒状部37に合わせながら、キャップ部材10とリング部材20とを係合することができる。よって、キャップ部材10の設計変更に必要なコスト、労力等を削減することができる。
【0072】
図21に示す様に、本実施形態によれば、キャップ端部16とリング部材20との間に、Z軸方向で隙間gが生成され、外観に問題が生ずる可能性があるが、車体により覆われる構造の場合は問題がない。特に
図1の車載用カメラ100C及び車載用カメラ100Dの様に、車両Vのサイドミラーに設置される場合、キャップ部材10の部分はサイドミラーによって隠されるため、問題がない。
【0073】
また、車載用カメラ100の製造過程において、製品ごとに第1筒状部37の突出量の違いを判別し、異なる種類のキャップ部材10を取り付けるのは困難である。突出量の違いはわずかだからである。本実施形態によれば、予めリング部材20の第1凸部211、第2凸部212、及び第3凸部213が製品ごとに変更されており、同じキャップ部材10を取り付けても、適切な位置に取り付けられるため、製品ごとに異なるキャップ部材10を取り付ける煩雑さをなくすこともできる。
【0074】
実施形態では、筐体60の端面部は、大径筒状部61の端部63に固着された平板状の面状部材であるリング部材20を備える。これにより、筐体60の端面部を、平板状の面状部材により容易に製造することができる。筐体60とリング部材20との固着は、例えばレーザ溶着によりなされるが、接着剤によるものでもよい。
【0075】
リング部材20は、第3面20aと、第3面20aと反対の第4面20bと、を備えており、第4面20bと、筐体60の大径筒状部61の端部63とで全周に渡り溶着されてよい。これにより、筐体60の端部63とリング部材20とを強固に固着することができる。
【0076】
また、キャップ部材10の第3筒状部の外形は、平面視において第1角部15a、第2角部15b、第3角部15c、及び第4角部15dを備えた第1矩形を有する。リング部材20は、レンズユニット30の第1筒状部37が貫通する開口部25を有する。リング部材20の開口部25は、平面視において第5角部25a、第6角部25b、第7角部25c、及び第8角部25dを備えた第2矩形を有する。
【0077】
そして、キャップ部材10の第1突出部11は、第1矩形の第1角部15aに対応して形成され、キャップ部材10の第2突出部12は、第1矩形の第2角部15bに対応して形成され、キャップ部材10の第3突出部13は、第1矩形の第3角部15cに対応して形成される。キャップ部材10が更に有する第4突出部14は、第1矩形の第4角部15dに対応して形成される。
【0078】
リング部材20の第1係合部201は、第2矩形の第5角部25aに対応して形成され、リング部材20の第2係合部202は、第2矩形の第6角部25bに対応して形成され、リング部材20の第3係合部203は、第2矩形の第7角部25cに対応して形成される。リング部材20が更に有する第4係合部204は、第2矩形の第8角部25dに対応して形成される。
【0079】
これにより、キャップ部材10の第3筒状部15及びリング部材20の開口部25を容易に製造することができるとともに、キャップ部材10の四つの突出部及びリング部材20の四つの係合部を容易に形成することができる。
【0080】
次に、キャップ部材の突出部と、リング部材20との関係について説明する。
図25は、キャップ部材10を除外した状態の車載用カメラ100の上面図である。
図26は、
図25のE-E線に沿った断面図である。
図27は、
図26のB領域の拡大図である。
【0081】
図22に示す様に、リング部材20の開口部25の第2矩形は、第1辺251、第1辺251と交差する第2辺252、第2辺252と交差する第3辺253、及び第3辺253と交差する第4辺254、を備える。
図23に示す様に、キャップ部材10の第1突出部11は、キャップ部材10の第3筒状部15からリング部材20の開口部25を貫通するように延びる第1脚部11aと、第1脚部11aの先端部分から延びる第1爪部11bと、を備える。
【0082】
図22、
図26、
図27に示す様に、リング部材20の第1係合部201は、リング部材20の開口部25の第2矩形の第5角部25aにおいて、リング部材20の第3面20aからキャップ部材10のキャップ端部16に向かって起立する第1起立突条201aを含む。
【0083】
リング部材20の第1起立突条201aは、リング部材20の開口部25に対面しつつキャップ部材10の第1爪部11bが係合する第1係合面201b(
図30参照)と、リング部材20の開口部25の第2矩形における第1辺251から起立する第1起立面201cと、第2辺252から起立する第2起立面201dと、を含む。そして、
図27の傾斜角θで示す様に、リング部材20の第1起立突条201aの第1起立面201c及び第2起立面201dは、光軸Lに沿う方向において、リング部材20の平面視における中心に向かうように傾斜している。
【0084】
これにより、キャップ部材10の第1突出部11の第1爪部11bと、第1係合部201の第1起立突条201aの第1係合面201bが強固かつ安定的に係合する。また、
図27に示す様に、レンズユニット30のフランジ部32とリング部材20のレーザ溶着時において、溶着レーザは上方からZ軸方向に沿って、かつ、第1起立突条201aと第1凸部211との間の位置に照射される。もし第1起立突条201aが、溶着レーザが通過する位置に存在すると、溶着を妨げるおそれがある。しかしながら、溶着レーザに最も近い、第1起立面201c及び第2起立面201dが、光軸Lに沿う方向において、リング部材20の平面視における中心に向かうように傾斜しているため、溶着レーザが第1起立突条201aに接触することなくリング部材20及びフランジ部32に届く。よって、フランジ部32とリング部材20のレーザ溶着を円滑に行うことができる。
【0085】
上述の説明は、キャップ部材10の第1突出部11と、リング部材20の第1起立突条201aとの関係に関する。ただし、他の三つの突出部と他の三つの起立突条も同様な構成及び作用効果を有する。
【0086】
すなわち、キャップ部材10の第2突出部12は、キャップ部材10の第3筒状部15からリング部材20の開口部25を貫通するように延びる第2脚部12aと、第2脚部12aの先端部分から延びる第2爪部12bと、を備える。キャップ部材10の第3突出部13は、キャップ部材10の第3筒状部15からリング部材20の開口部25を貫通するように延びる第3脚部13aと、第3脚部13aの先端部分から延びる第3爪部13bと、を備える。キャップ部材10の第4突出部14は、キャップ部材10の第3筒状部15からリング部材20の開口部25を貫通するように延びる第4脚部14aと、第4脚部14aの先端部分から延びる第4爪部14bと、を備える。
【0087】
リング部材20の第2係合部202は、リング部材20の開口部25の第2矩形の第6角部25bにおいて、リング部材20の第3面20aからキャップ部材10のキャップ端部16に向かって起立する第2起立突条202aを含む。リング部材20の第3係合部203は、リング部材20の開口部25の第2矩形の第7角部25cにおいて、リング部材20の第3面20aからキャップ部材10のキャップ端部16に向かって起立する第3起立突条203aを含む。リング部材20の第4係合部204は、リング部材20の開口部25の第2矩形の第8角部において、リング部材20の第3面20aからキャップ部材10のキャップ端部16に向かって起立する第4起立突条204aを含む。
【0088】
リング部材20の第2起立突条202aは、リング部材20の開口部25に対面しつつキャップ部材10の第2爪部12bが係合する第2係合面202bと、リング部材20の開口部25の第2矩形における第2辺252から起立する第3起立面202cと、第3辺253から起立する第4起立面202dと、を含む。リング部材20の第3起立突条203aは、リング部材20の開口部25に対面しつつキャップ部材10の第3爪部13bが係合する第3係合面203bと、リング部材20の開口部25の第2矩形における第3辺253から起立する第5起立面203cと、第4辺から起立する第6起立面203dと、を含む。リング部材20の第4起立突条204aは、リング部材20の開口部25に対面しつつキャップ部材10の第4爪部14bが係合する第4係合面204bと、リング部材20の開口部25の第2矩形における第4辺254から起立する第7起立面204cと、第1辺251から起立する第8起立面204dと、を含む。
【0089】
そして、
図27と同様に、リング部材20の第2起立突条202aの第3起立面202c及び第4起立面202dは、光軸Lに沿う方向において、リング部材20の平面視における中心に向かうように傾斜している。リング部材20の第3起立突条203aの第5起立面203c及び第6起立面203dは、光軸に沿う方向において、リング部材20の平面視における中心に向かうように傾斜している。リング部材20の第4起立突条204aの第7起立面204c及び第8起立面204dは、光軸Lに沿う方向において、リング部材20の平面視における中心に向かうように傾斜している。
【0090】
次に、キャップ部材の爪部の詳細について説明する。
図28は、キャップ部材10とリング部材20を裏側から見た底面図である。
図29は、
図28のF-F線に沿った断面図である。
図30は、
図28のD領域の拡大図である。
【0091】
キャップ部材10の第1爪部11bは、リング部材20の開口部25の第2矩形の第1辺251と対向する第1縁部11b1と、リング部材20の開口部25の第2矩形の第2辺252と対向する第2縁部11b2と、第1縁部11b1と第2縁部11b2とを繋ぐ第3縁部11b3と、を備る。第1縁部11b1、第2縁部11b2及び第3縁部11b3は、リング部材20の第1起立突条201aの第1係合面201bに配置される。そして、第1爪部11bの第1縁部11b1及び第2縁部11b2が、面取り加工されており、それぞれ、第1辺251、第2辺252から離れている。
【0092】
これにより、第1爪部11bにおいて、開口部25の辺に対向する二つの縁部が面取り加工されており、第1爪部11bが第1起立突条201aの第1係合面201bに円滑に係合することができる。なお、他の第2爪部12b、第3爪部13b、第4爪部14bも、第1爪部11bと同様に面取り加工されてよい。
【0093】
リング部材20の第1凸部211が、キャップ部材10の第3筒状部15の第1矩形の第1角部15aに対応するキャップ端部16に当接する。リング部材20の第2凸部212が、キャップ部材10の第3筒状部15の第1矩形の第2角部15bに対応するキャップ端部16に当接する。リング部材20の第3凸部213が、キャップ部材10の第3筒状部15の第1矩形の第3角部15cに対応するキャップ端部16に当接する。
【0094】
これにより、リング部材20の少なくとも三つの凸部がキャップ部材10のキャップ端部16に当接するため、キャップ部材10を安定的にリング部材20上に配置することができる。
【0095】
なお、第1実施形態でも述べた通り、レンズユニット30は、第1筒状部37の外側に少なくとも1つのレンズの光軸Lを中心として全周に渡り、光軸Lを基準に外に向かって延びるように配置されたフランジ部32を備える。フランジ部32があることで、レンズユニット30をリング部材20、すなわち筐体60の大径筒状部61の端部63により支持することができる。端面部が筐体60とは別体のリング部材20である場合、レンズユニット30とリング部材20とが一体となって部品で供給されてもよい。
【0096】
レンズユニット30のフランジ部32は、第1フランジ面32aと、第1フランジ面32aと反対であって、回路基板40の第1面40aと対向する第2フランジ面32bと、第1フランジ面32aと第2フランジ面32bとを繋ぐフランジ端面32cと、を有する。そして、リング部材20の第4面20bは、レンズユニット30のフランジ部32の第1フランジ面32aと固着される。これにより、リング部材20を介して、レンズユニット30を筐体60の大径筒状部61の端部63により支持することができる。
【0097】
上述した
図27のレーザ溶着から明らかな様に、光軸Lに沿った方向におけるリング部材20とレンズユニット30のフランジ部32との断面視において、リング部材20の第1起立突条201aと第1凸部211との間において、レンズユニット30のフランジ部32の第1フランジ面32aがリング部材20の第4面20bと溶着される。これにより、リング部材20とフランジ部32のレーザ溶着時に、第1起立突条201aと第1凸部211が、溶着レーザの照射を邪魔するのを抑制することができる。
【0098】
さらにキャップ部材10は、第3筒状部15の光軸Lと直交する第1断面よりも断面積が小さい第2断面を有し、第3筒状部15と連続して形成される第4筒状部17を備えている。これにより、キャップ部材10の第4筒状部17を、レンズユニット30の第1筒状部37の周囲に配置することができ、第1筒状部37を保護することができる。
【0099】
リング部材20は、光軸Lに沿った方向において、回路基板40の第1面40aから離れる方向に突出し、キャップ部材10のキャップ端部16の少なくとも一部に当接する第4凸部214をさらに備えている。リング部材20の第1凸部211、第2凸部212、第3凸部213、及び第4凸部214は、例えば多角形であり、光軸Lと直交するキャップ部材10の第2断面は、例えば円状である。
【0100】
これにより、リング部材20の四つの凸部が、キャップ部材10のキャップ端部16に当接するため、キャップ部材10を安定的にリング部材20上に配置することができ、かつ、第4筒状部17の断面が円状であるため、円筒状の第1筒状部37の周囲に第4筒状部17がフィットし、第1筒状部37を適切に保護することができる。第1凸部211、第2凸部212、第3凸部213、及び第4凸部214の多角形は、例えば図示の様な八角形でもよいが、特に限定されない。
【0101】
キャップ部材10の第1突出部11、第2突出部12、第3突出部13及び第4突出部14は、スナップフィット形状である。これにより、第1突出部11、第2突出部12、第3突出部13及び第4突出部14は弾性を有し、キャップ部材10をリング部材20に対し容易に取り外しすることができる。
【0102】
以上により、本開示には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素などを示しているが、これに限定されるものではない。
【0103】
(A1)第1筒状である第1筒状部(第1筒状部37)と、前記第1筒状部の内部に配置された少なくとも1つのレンズと、前記第1筒状部の外側に前記少なくとも1つのレンズの光軸(光軸L)を中心として全周に渡り、前記光軸を基準に外に向かって延びるように配置されたフランジ部(フランジ部32)と、を備えるレンズユニット(レンズユニット30)と、
第1面(第1面40a)と、前記第1面と反対の第2面(第2面40b)と、を備える回路基板(回路基板40)と、
前記レンズの光軸上であり、前記回路基板の前記第1面に配置された撮像素子(撮像素子50)と、
前記光軸に沿って第2筒状である第2筒状部(大径筒状部61)を有し、少なくとも前記回路基板と前記撮像素子とを前記第2筒状部の内部に収容する筐体(筐体60)と、
前記レンズユニットの前記第1筒状部の周囲に配置され、第3面(第3面20a)と、前記第3面と反対であって、前記第3面より前記回路基板に近い第4面(第4面20b)とを備えた面状部材(リング部材20)と、を備え、
前記レンズユニットの前記フランジ部は、第1フランジ面(第1フランジ面32a)と、前記第1フランジ面と反対であって、前記筐体の前記第2筒状部の内部空間に位置する第2フランジ面(第2フランジ面32b)と、前記第1フランジ面と前記第2フランジ面とを繋ぐフランジ端面(フランジ端面32c)と、を有し、
前記面状部材は、
前記第3面と前記第4面の間であって前記第1筒状部の周囲に配置され、第1の厚さを備える第1層端面(第1層端面21a)を備える第1層(第1層21)と、
前記第3面と前記第4面の間であって前記第1筒状部の周囲の少なくとも一部であって、前記第1層に沿い、前記第1層より前記回路基板の近くに配置され、前記第1層より面積が小さく、第2の厚さを備える第2層端面(第2層端面22a)を備える第2層(第2層22)と、を有し、
前記面状部材の前記第1層は、前記第2層が配置された第1領域(第1領域23)と、前記第2層が配置されていない第2領域(第2領域24)と、を備え、
前記面状部材の前記第1層は、前記第2領域において、前記第3面と反対の第5面(第5面20c)を備え、
前記面状部材の前記第1層の前記第5面は、前記レンズユニットの前記フランジ部の前記第1フランジ面に固着され、かつ前記筐体の前記第2筒状部の端部(端部63)に固着され、
前記面状部材の前記第2層の前記第2層端面は、前記筐体の前記第2筒状部の内面に向かって突出し、かつ前記筐体の前記第2筒状部の前記内面に当接する少なくとも1つの第2層突起部(第2層突起部22c)を有する、
車載用カメラ。
【0104】
車載用カメラは種々のサイズ、性能等を有する製品のバリエーションを想定しており、特に回路基板は、製品に応じて、その性能、サイズ、形状等のスペックを変更したものが用いられる。回路基板の変更に伴い、筐体の第2筒状部のサイズを変更する必要があるが、第2筒状部のサイズ変更に伴い、レンズユニットのサイズ、特にフランジ部をも設計変更する必要性が生ずる。しかしながら、レンズユニットは精密な光学部品であり、その設計変更は容易ではなく、労力、コスト、時間等を要する。
【0105】
一方、上記車載用カメラにおいては、比較的安価で容易に製造可能な面状部材が第1層と第2層を含む二層構造を有している。この構造により、車載用カメラの製品ごとに、回路基板の変更に伴う第2筒状部のサイズ変更が生じても、レンズユニットを変更することなく、第2層のサイズを変更することにより、筐体の第2筒状部と、レンズユニットのフランジ部との間の隙間を埋めることができる。また、第2層の第2層突起部の作用により、リング部材を筐体の第2筒状部に容易に固定することができる。この結果、回路基板の変更に伴い筐体の第2筒状部の大きさが変化しても、レンズユニットの変更を伴わず、リング部材の設計変更により、光が外部から筐体の内部に侵入するのを防止できる。よって、労力、コスト、時間等を抑制しつつ、車載用カメラのバリエーションを増やすことができる。
【0106】
(A2)(A1)に記載の車載用カメラであって、
前記面状部材の前記第1層の前記第1の厚さは、前記面状部材の前記第2層の前記第2の厚さより薄い、
車載用カメラ。
【0107】
これにより、第2層が、光が外部から筐体の内部に侵入するのを効率的に防止できる。
【0108】
(A3)(A1)に記載の車載用カメラであって、
前記第1層の、所定の波長の光に係る第1光透過性が、前記第2層の、前記所定の波長の光に係る第2光透過性よりも大きい、
車載用カメラ。
【0109】
これにより、第1層が、レーザ溶着により、レンズユニットのフランジ部及び筐体の第2筒状部の端部に円滑に固着され、かつ、第2層が、光が外部から筐体の内部に侵入するのを効率的に防止できる。
【0110】
(A4)(A1)に記載の車載用カメラであって、
前記面状部材は、前記第1層と前記第2層とのレーザ溶着、又は前記第1層の樹脂材料と前記第2層の樹脂材料との二色成型により構成される、
車載用カメラ。
【0111】
これにより、面状部材を容易に製造することができる。
【0112】
(A5)(A1)に記載の車載用カメラであって、
前記面状部材の前記第2層は、前記面状部材の平面視において第1辺(第1辺22A)及び前記第1辺に対向する第2辺(第2辺22B)を含む第1矩形を有し、
前記面状部材の前記第2層の前記第2層端面は、前記第1辺に対応する第1の第2層端面(第1の第2層端面22a1)を有し、
前記面状部材の前記第2層の前記第2層端面は、前記第2辺に対応する第2の第2層端面(第2の第2層端面22a2)を有し、
前記面状部材の前記第2層の前記少なくとも1つの第2層突起部は、前記面状部材の前記第2層の前記第1の第2層端面に配置された第1の第2層突起部(第1の第2層突起部22c1)と、前記面状部材の前記第2層の前記第2の第2層端面に配置された第2の第2層突起部(第2の第2層突起部22c2)と第3の第2層突起部(第3の第2層突起部22c3)と、を含む。
車載用カメラ。
【0113】
これにより、第2層を容易に製造することができるとともに、三つの第2層突起部により、第2層を筐体の第2筒状部に強固に固定することができる。
【0114】
(A6)(A5)に記載の車載用カメラであって、
前記面状部材の前記第2層の前記第1の第2層突起部は、前記面状部材の前記第2層の前記第1の第2層端面の中央に配置され、
前記面状部材の前記第2層の前記第2の第2層突起部は、前記第2の第2層端面の中央から第1距離だけ離れた位置に配置され、
前記面状部材の前記第2層の前記第3の第2層突起部は、前記第2の第2層端面の中央から第2距離だけ離れた位置に配置される、
車載用カメラ。
【0115】
これにより、三つの第2層突起部が、第2層を筐体の第2筒状部に強固に固定することができる。
【0116】
(A7)(A1)に記載の車載用カメラであって、
前記第1距離の長さは、前記第2距離の長さと同じ長さである、
車載用カメラ。
【0117】
これにより、第2の第2層突起部及び第3の第2層突起部が、第2の第2層端面の中央から等しい距離に形成されるため、第2層を筐体の第2筒状部に安定的に固定することができる。
【0118】
(A8)(A1)に記載の車載用カメラであって、
前記レンズユニットの前記フランジ部は、前記フランジ部の平面視において第3辺(第3辺320A)及び前記第3辺に対向する第4辺(第4辺320B)を含む第2矩形を有するとともに、
前記レンズユニットの前記フランジ部の前記フランジ端面は、前記第3辺に対応する第1フランジ端面(第1フランジ端面32c1)を有し、
前記レンズユニットの前記フランジ部の前記フランジ端面は、前記第4辺に対応する第2フランジ端面(第2フランジ端面32c2)を有し、
前記フランジ部の前記第1フランジ端面の中央において、前記第1フランジ端面から前記第2層の内面に向かって突出し、接触するように配置された第1フランジ突起部(第1フランジ突起部33a)と、
前記フランジ部の前記第2フランジ端面において、前記フランジ部の前記第2フランジ端面の中央から第3距離だけ離れた位置に配置される第2フランジ突起部(第2フランジ突起部33b)と、
前記フランジ部の前記第2フランジ端面の中央から第4距離だけ離れた位置に配置される第3フランジ突起部(第3フランジ突起部33c)と、を有する、
車載用カメラ。
【0119】
これにより、フランジ端面に形成された三つのフランジ突起部が、レンズユニットのフランジ部を第2層の内面に強固に固定することができる。
【0120】
(A9)(A8)に記載の車載用カメラであって、
前記第3距離の長さは、前記第4距離の長さと同じ長さである、
車載用カメラ。
【0121】
これにより、第2フランジ突起部及び第3フランジ突起部が、第2フランジ端面の中央から等しい距離に形成されるため、レンズユニットのフランジ部を第2層の内面に安定的に固定することができる。
【0122】
(A10)(A9)に記載の車載用カメラであって、
前記第2層の前記第2の第2層端面上における前記第2の第2層突起部と前記第3の第2層突起部との間の第5距離が、前記フランジ部の前記第2フランジ端面上における前記第2フランジ突起部と前記第3フランジ突起部との間の第6距離より大きい、
車載用カメラ。
【0123】
これにより、二つの第2層突起部が、光軸を基準に二つのフランジ突起部より外側に配置され、かつ、二つの第2層突起部の間の距離が、二つのフランジ突起部の間の距離より大きい。よって、第2層を筐体の第2筒状部に安定的に固定することができるとともに、レンズユニットのフランジ部を第2層の内面に安定的に固定することができる。
【0124】
(A11)(A10)に記載の車載用カメラであって、
前記第2層の前記内面は、少なくとも前記第2フランジ突起部を収容する第1収容部(第1収容部22d)と、前記第3フランジ突起部を収容する第2収容部(第2収容部22e)と、を有する、
車載用カメラ。
【0125】
これにより、レンズユニットのフランジ部を第2層の内面に安定的に固定することができる。
【0126】
(A12)(A11)に記載の車載用カメラであって、
前記第2層の前記第1収容部は、前記第2層の前記内面から前記第2の第2層端面に向かう方向に第1凹部(第1凹部22d1)を有し、
前記第2層の前記第2収容部は、前記第2層の前記内面から前記第2の第2層端面に向かう方向に第2凹部(第2凹部22e1)を有し、
前記第1凹部と前記第2凹部との間は、前記第6距離だけ離れている、
車載用カメラ。
【0127】
これにより、レンズユニットのフランジ部を第2層の内面に安定的に固定することができる。
【0128】
(A13)(A12)に記載の車載用カメラであって、
前記第2層の前記第1矩形が長方形であり、
前記第1矩形の前記第1辺及び前記第1矩形の前記第2辺が、前記長方形の長辺である、
車載用カメラ。
【0129】
これにより、第2層を容易に製造することができる。
【0130】
(A14)(A13)に記載の車載用カメラであって、
前記第2層は、前記第2層の前記第4面であり、かつ、前記第4面から前記第3面に向かう方向に第3凹部(第3凹部26)を有する、
車載用カメラ。
【0131】
これにより、面状部材を軽量化することができる。
【0132】
(A15)(A14)に記載の車載用カメラであって、
前記第2層は、前記第2層の前記第4面であり、かつ、前記第4面から前記第3面に向かう方向において、前記第3凹部とは異なる第4凹部(第4凹部27)を有する、車載用カメラ。
【0133】
これにより、面状部材を軽量化することができる。
【0134】
(A16)(A15)に記載の車載用カメラであって、
前記筐体の前記第2筒状部は、第1内面(第1内面64a)を有する第1側壁部(第1側壁部64)と、前記第1側壁部と対向し、第2内面(第2内面65a)を有する第2側壁部(第2側壁部65)と、を備え、
前記第2層の前記内面は、第1の第2層内面(第1の第2層内面22f)と、第2の第2層内面(第2の第2層内面22g)と、を備え、
前記第2層の前記第1の第2層突起部は、前記筐体の前記第1側壁部の前記第1内面と接触し、
前記第2層の前記第2の第2層突起部は、前記筐体の前記第2側壁部の前記第2内面と接触し、
前記第2層の前記第3の第2層突起部は、前記筐体の前記第2側壁部の前記第2内面と接触し、
前記フランジ部の前記第1フランジ突起部は、前記第2層の前記第1の第2層内面と接触し、
前記フランジ部の前記第2フランジ突起部は、前記第2層の前記第2の第2層内面と接触し、
前記フランジ部の前記第3フランジ突起部は、前記第2層の前記第2の第2層内面と接触する、
車載用カメラ。
【0135】
これにより、筐体の二つの対向する側壁部のそれぞれに、一つの第2層突起部と二つの第2層突起部が接触し、フランジ部の一つのフランジ突起部が第1の第2層内面と接触し、二つのフランジ突起部が第2の第2層内面と接触する。よって、第2層を筐体の第2筒状部に強固かつ安定的に固定することができるとともに、レンズユニットのフランジ部を第2層の内面に強固かつ安定的に固定することができる。
【0136】
(B1)第1筒状である第1筒状部(第1筒状部37)と、前記第1筒状部の内部に配置された少なくとも1つのレンズと、を備えるレンズユニット(レンズユニット30)と、
第1面(第1面40a)と、前記第1面と反対の第2面(第2面40b)と、を備える回路基板(回路基板40)と、
前記レンズの光軸(光軸L)上であり、前記回路基板の前記第1面に配置された撮像素子(撮像素子50)と、
前記光軸に沿って第2筒状である第2筒状部(大径筒状部61)と、前記第2筒状部の端部の一部を覆う端面部(リング部材20)とを有し、少なくとも前記回路基板と前記撮像素子とを前記第2筒状部の内部に収容するとともに、前記第2筒状部の前記端面部が前記レンズユニットを支持する筐体(筐体60)と、
前記レンズユニットの前記第1筒状部の周囲に設けられ、第3筒状部(第3筒状部15)を有するキャップ部材(キャップ部材10)と、を備え、
前記キャップ部材の前記第3筒状部は、前記第2筒状部の前記端面部に面するキャップ端部(キャップ端部16)と、前記筐体の前記第2筒状部の前記内部に向かって突出する第1突出部(第1突出部11)、第2突出部(第2突出部12)、及び第3突出部(第3突出部13)を有し、
前記筐体の前記第2筒状部の前記端面部は、前記キャップ部材の前記第1突出部と係合する第1係合部(第1係合部201)、前記キャップ部材の前記第2突出部と係合する第2係合部(第2係合部202)、及び前記キャップ部材の前記第3突出部と係合する第3係合部(第3係合部203)を有し、
前記筐体の前記第2筒状部の前記端面部は、前記光軸に沿った方向において、前記回路基板の前記第1面から離れる方向に突出し、前記キャップ部材の前記キャップ端部の少なくとも一部に当接する第1凸部(第1凸部211)、第2凸部(第2凸部212)、及び第3凸部(第3凸部213)、を備える、
車載用カメラ。
【0137】
車載用カメラは種々のサイズ、性能等を有する製品のバリエーションを想定しており、特に撮像素子は、製品に応じて、その性能を変更したものが用いられる。撮像素子の変更に伴い、焦点調整等の観点から、レンズユニットの第1筒状部のZ軸方向の突出量を変更する必要が生ずる。第1筒状部の突出量が変化すれば、キャップ部材をも設計変更する必要性が生ずるが、コスト、労力等の削減の観点から、複数の製品に対し共通なキャップ部材を利用することが望まれる。
【0138】
上記車載用カメラにおいては、筐体の第2筒状部の端面部が、キャップ部材の第1突出部、第2突出部、及び第3突出部と係合する第1係合部、第2係合部、及び第3係合部を有する。また、リング部材は、キャップ部材のキャップ端部の少なくとも一部に当接する第1凸部、第2凸部、及び第3凸部を有する。この構造により、車載用カメラの製品ごとに、撮像素子の変更に伴う第1筒状部の突出量変更が生じても、キャップ部材を変更することなく、端面部を変更することにより、キャップ部材のZ軸方向の位置を調整することができる。特に、リング部材の第1凸部、第2凸部、及び第3凸部のZ軸方向の突出量を変更することにより、キャップ部材のZ軸方向の位置を調整し、第1筒状部に合わせながら、キャップ部材と端面部とを係合することができる。よって、キャップ部材の設計変更に必要なコスト、労力等を削減することができる。
【0139】
(B2)(B1)に記載の車載用カメラであって、
前記筐体の前記端面部は、前記筐体の前記第2筒状部の前記端部に固着された平板状の面状部材(リング部材20)を備える、
車載用カメラ。
【0140】
これにより、筐体の端面部を、平板状の面状部材により容易に製造することができる。
【0141】
(B3)(B2)に記載の車載用カメラであって、
前記面状部材は、第3面(第3面20a)と、前記第3面と反対の第4面(第4面20b)と、を備え、
前記面状部材は、前記面状部材の前記第4面と、前記筐体の前記第2筒状部の前記端部とで全周に渡り溶着される、
車載用カメラ。
【0142】
これにより、筐体の端部と面状部材とを強固に固着することができる。
【0143】
(B4)(B1)に記載の車載用カメラであって、
前記キャップ部材の前記第3筒状部の外形は、平面視において第1角部(第1角部15a)、第2角部(第2角部15b)、第3角部(第3角部15c)、及び第4角部(第4角部15d)を備えた第1矩形を有し、
前記面状部材は、前記レンズユニットの前記第1筒状部が貫通する開口部(開口部25)を有し、
前記面状部材の前記開口部は、平面視において第5角部(第5角部25a)、第6角部(第6角部25b)、第7角部(第7角部25c)、及び第8角部(第8角部25d)を備えた第2矩形を有し、
前記キャップ部材の前記第1突出部は、前記第1矩形の前記第1角部に対応して形成され、
前記キャップ部材の前記第2突出部は、前記第1矩形の前記第2角部に対応して形成され、
前記キャップ部材の前記第3突出部は、前記第1矩形の前記第3角部に対応して形成され、
前記キャップ部材が更に有する第4突出部(第4突出部14)は、前記第1矩形の前記第4角部に対応して形成され、
前記面状部材の前記第1係合部は、前記第2矩形の前記第5角部に対応して形成され、
前記面状部材の前記第2係合部は、前記第2矩形の前記第6角部に対応して形成され、
前記面状部材の前記第3係合部は、前記第2矩形の前記第7角部に対応して形成され、
前記面状部材が更に有する第4係合部(第4係合部204)は、前記第2矩形の前記第8角部に対応して形成される、
車載用カメラ。
【0144】
これにより、キャップ部材の第3筒状部及び面状部材の開口部を容易に製造することができるとともに、キャップ部材の四つの突出部及び面状部材の四つの係合部を容易に形成することができる。
【0145】
(B5)(B4)に記載の車載用カメラであって、
前記面状部材の前記開口部の前記第2矩形は、第1辺(第1辺251)、前記第1辺と交差する第2辺(第2辺252)、前記第2辺と交差する第3辺(第3辺253)、及び前記第3辺と交差する第4辺(第4辺254)、を備え、
前記キャップ部材の前記第1突出部は、前記キャップ部材の前記第3筒状部から前記面状部材の前記開口部を貫通するように延びる第1脚部(第1脚部11a)と、前記第1脚部の先端部分から延びる第1爪部(第1爪部11b)と、を備え、
前記面状部材の前記第1係合部は、前記面状部材の前記開口部の前記第2矩形の前記第5角部において、前記面状部材の前記第3面から前記キャップ部材の前記キャップ端部に向かって起立する第1起立突条(第1起立突条201a)を含み、
前記面状部材の前記第1起立突条は、前記面状部材の前記開口部に対面しつつ前記キャップ部材の前記第1爪部が係合する第1係合面(第1係合面201b)と、前記面状部材の前記開口部の前記第2矩形における前記第1辺から起立する第1起立面(第1起立面201c)と、前記第2辺から起立する第2起立面(第2起立面201d)と、を含み、
前記面状部材の前記第1起立突条の前記第1起立面及び前記第2起立面は、前記光軸に沿う方向において、前記面状部材の平面視における中心に向かうように傾斜している、
車載用カメラ。
【0146】
これにより、キャップ部材の第1突出部の第1爪部と、第1係合部の第1起立突条の第1係合面が強固に係合する。また、レンズユニットのフランジ部とリング部材のレーザ溶着時において、溶着レーザは上方からZ軸方向に沿って、かつ、第1起立突条と第1凸部との間の位置に照射される。もし第1起立突条が、溶着レーザが通過する位置に存在すると、溶着を妨げるおそれがある。しかしながら、溶着レーザに最も近い、第1起立面及び第2起立面が、光軸Lに沿う方向において、リング部材の平面視における中心に向かうように傾斜しているため、溶着レーザが第1起立突条に接触することなくリング部材及びフランジ部に届く。よって、フランジ部とリング部材のレーザ溶着を円滑に行うことができる。
【0147】
(B6)(B5)に記載の車載用カメラであって、
前記キャップ部材の前記第1爪部は、前記面状部材の前記開口部の前記第2矩形の前記第1辺と対向する第1縁部(第1縁部11b1)と、前記面状部材の前記開口部の前記第2矩形の前記第2辺と対向する第2縁部(第2縁部11b2)と、前記第1縁部と前記第2縁部とを繋ぐ第3縁部(第3縁部11b3)と、を備え、
前記第1縁部、前記第2縁部及び前記第3縁部は、前記面状部材の前記第1起立突条の前記第1係合面に配置され、
前記キャップ部材の前記第1爪部の前記第1縁部及び前記第2縁部が、面取り加工されている、
車載用カメラ。
【0148】
これにより、第1爪部において、開口部の辺に対向する二つの縁部が面取り加工されており、第1爪部が第1起立突条の第1係合面に円滑に係合することができる。
【0149】
(B7)(B5)に記載の車載用カメラであって、
前記面状部材の前記第1凸部が、前記キャップ部材の前記第3筒状部の前記第1矩形の前記第1角部に対応する前記キャップ端部に当接し、
前記面状部材の前記第2凸部が、前記キャップ部材の前記第3筒状部の前記第1矩形の前記第2角部に対応する前記キャップ端部に当接し、
前記面状部材の前記第3凸部が、前記キャップ部材の前記第3筒状部の前記第1矩形の前記第3角部に対応する前記キャップ端部に当接する、
車載用カメラ。
【0150】
これにより、面状部材の少なくとも三つの凸部がキャップ部材のキャップ端部に当接するため、キャップ部材を安定的に面状部材上に配置することができる。
【0151】
(B8)(B7)に記載の車載用カメラであって、
前記レンズユニットは、前記第1筒状部の外側に前記少なくとも1つのレンズの光軸を中心として全周に渡り、前記光軸を基準に外に向かって延びるように配置されたフランジ部(フランジ部32)を備える、
車載用カメラ。
【0152】
これにより、フランジ部があることで、レンズユニットを筐体の第2筒状部の端部により支持することができる。
【0153】
(B9)(B8)に記載の車載用カメラであって、
前記レンズユニットの前記フランジ部は、第1フランジ面(第1フランジ面32a)と、前記第1フランジ面と反対であって、前記回路基板の前記第1面と対向する第2フランジ面(第2フランジ面32b)と、前記第1フランジ面と前記第2フランジ面とを繋ぐフランジ端面(フランジ端面32c)と、を有し、
前記面状部材の前記第4面は、前記レンズユニットの前記フランジ部の前記第1フランジ面と固着される、
車載用カメラ。
【0154】
これにより、面状部材を介して、レンズユニットを筐体の第2筒状部の端部により支持することができる。
【0155】
(B10)(B9)に記載の車載用カメラであって、
前記光軸に沿った方向における前記面状部材と前記レンズユニットの前記フランジ部との断面視において、前記面状部材の前記第1起立突条と前記第1凸部との間において、前記レンズユニットの前記フランジ部の前記第1フランジ面が前記面状部材の前記第4面と溶着される、
車載用カメラ。
【0156】
これにより、面状部材とフランジ部のレーザ溶着時に、第1起立突条と第1凸部がレーザの照射を邪魔するのを抑制することができる。
【0157】
(B11)(B6)に記載の車載用カメラであって、
前記キャップ部材は、前記第3筒状部の前記光軸と直交する第1断面よりも断面積が小さい第2断面を有し、前記第3筒状部と連続して形成される第4筒状部を備える、
車載用カメラ。
【0158】
これにより、キャップ部材の第4筒状部を、レンズユニットの第1筒状部の周囲に容易に配置することができ、第1筒状部を保護することができる。
【0159】
(B12)(B11)に記載の車載用カメラであって、
前記面状部材は、前記光軸に沿った方向において、前記回路基板の前記第1面から離れる方向に突出し、前記キャップ部材の前記キャップ端部の少なくとも一部に当接する第4凸部をさらに備え、
前記面状部材の第1凸部、前記第2凸部、前記第3凸部、及び前記第4凸部は、多角形であり、
前記光軸と直交する前記キャップ部材の前記第2断面は、円状である、
車載用カメラ。
【0160】
これにより、面状部材の四つの凸部がキャップ部材のキャップ端部に当接するため、キャップ部材を安定的に面状部材上に配置することができ、かつ、第4筒状部の断面が円状であるため、円筒状の第1筒状部の周囲に第4筒状部がフィットし、第1筒状部を適切に保護することができる。
【0161】
(B13)(B12)に記載の車載用カメラであって、
前記キャップ部材の前記第1突出部、前記第2突出部、前記第3突出部及び前記第4突出部は、スナップフィット形状である、
車載用カメラ。
【0162】
これにより、第1突出部、第2突出部、第3突出部及び第4突出部は弾性を有し、キャップ部材を、面状部材に対し容易に取り外しすることができる。
【0163】
(B14)(B5)に記載の車載用カメラであって、
前記キャップ部材の前記第2突出部は、前記キャップ部材の前記第3筒状部から前記面状部材の前記開口部を貫通するように延びる第2脚部(第2脚部12a)と、前記第2脚部の先端部分から延びる第2爪部(第2爪部12b)と、
前記キャップ部材の前記第3突出部は、前記キャップ部材の前記第3筒状部から前記面状部材の前記開口部を貫通するように延びる第3脚部(第3脚部13a)と、前記第3脚部の先端部分から延びる第3爪部(第3爪部13b)と、
前記キャップ部材の前記第4突出部は、前記キャップ部材の前記第3筒状部から前記面状部材の前記開口部を貫通するように延びる第4脚部(第4脚部14a)と、前記第4脚部の先端部分から延びる第4爪部(第4爪部14b)と、を備え、
前記面状部材の前記第2係合部は、前記面状部材の前記開口部の前記第2矩形の前記第6角部において、前記面状部材の前記第3面から前記キャップ部材の前記キャップ端部に向かって起立する第2起立突条(第2起立突条202a)を含み、
前記面状部材の前記第3係合部は、前記面状部材の前記開口部の前記第2矩形の前記第7角部において、前記面状部材の前記第3面から前記キャップ部材の前記キャップ端部に向かって起立する第3起立突条(第3起立突条203a)を含み、
前記面状部材の前記第4係合部は、前記面状部材の前記開口部の前記第2矩形の前記第8角部において、前記面状部材の前記第3面から前記キャップ部材の前記キャップ端部に向かって起立する第4起立突条(第4起立突条204a)を含み、
前記面状部材の前記第2起立突条は、前記面状部材の前記開口部に対面しつつ前記キャップ部材の前記第2爪部が係合する第2係合面(第2係合面202b)と、前記面状部材の前記開口部の前記第2矩形における前記第2辺から起立する第3起立面(第3起立面202c)と、前記第3辺から起立する第4起立面(第4起立面202d)と、を含み、
前記面状部材の前記第3起立突条は、前記面状部材の前記開口部に対面しつつ前記キャップ部材の前記第3爪部が係合する第3係合面(第3係合面203b)と、前記面状部材の前記開口部の前記第2矩形における前記第3辺から起立する第5起立面(第5起立面203c)と、前記第4辺から起立する第6起立面(第6起立面203d)と、を含み
前記面状部材の前記第4起立突条は、前記面状部材の前記開口部に対面しつつ前記キャップ部材の前記第4爪部が係合する第4係合面(第4係合面204b)と、前記面状部材の前記開口部の前記第2矩形における前記第4辺から起立する第7起立面(第7起立面204c)と、前記第1辺から起立する第8起立面(第8起立面204d)と、を含み、
前記面状部材の前記第2起立突条の前記第3起立面及び前記第4起立面は、前記光軸に沿う方向において、前記面状部材の平面視における中心に向かうように傾斜しており、
前記面状部材の前記第3起立突条の前記第5起立面及び前記第6起立面は、前記光軸に沿う方向において、前記面状部材の平面視における中心に向かうように傾斜しており、
前記面状部材の前記第4起立突条の前記第7起立面及び前記第8起立面は、前記光軸に沿う方向において、前記面状部材の平面視における中心に向かうように傾斜している、
車載用カメラ。
【0164】
これにより、キャップ部材の第2~第4突出部の第2~第4爪部と、第2~第4係合部の第2~第4起立突条の第2~第4係合面が強固に係合する。また、レンズユニットのフランジ部とリング部材のレーザ溶着時において、溶着レーザは上方からZ軸方向に沿って、かつ、第2~第4起立突条と第2~第4凸部との間の位置に照射される。もし第2~第4起立突条が、溶着レーザが通過する位置に存在すると、溶着を妨げるおそれがある。しかしながら、溶着レーザに最も近い、それぞれの起立面が、光軸Lに沿う方向において、リング部材の平面視における中心に向かうように傾斜しているため、溶着レーザが第2~第4起立突条に接触することなくリング部材及びフランジ部に届く。よって、フランジ部とリング部材のレーザ溶着を円滑に行うことができる。
【0165】
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に相当し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0166】
本開示は、低コストで製造可能であるとともに、優れた撮像性能を確保した車載用カメラとして有用である。
【符号の説明】
【0167】
10 キャップ部材
11 第1突出部
11a 第1脚部
11b 第1爪部
11b1 第1縁部
11b2 第2縁部
11b3 第3縁部
12 第2突出部
12a 第2脚部
12b 第2爪部
13 第3突出部
13a 第3脚部
13b 第3爪部
14 第4突出部
14a 第4脚部
14b 第4爪部
15 第3筒状部
15a 第1角部
15b 第2角部
15c 第3角部
15d 第4角部
16 キャップ端部
17 第4筒状部
20 リング部材(面状部材、端面部)
20a 第3面
20b 第4面
20c 第5面
21 第1層
21a 第1層端面
22 第2層
22A 第1辺
22B 第2辺
22a 第2層端面
22a1 第1の第2層端面
22a2 第2の第2層端面
22c 第2層突起部
22c1 第1の第2層突起部
22c2 第2の第2層突起部
22c3 第3の第2層突起部
22d 第1収容部
22d1 第1凹部
22e 第2収容部
22e1 第2凹部
22f 第1の第2層内面
22g 第2の第2層内面
23 第1領域
24 第2領域
25 開口部
250A 第1開口部
250B 第2開口部
25a 第5角部
25b 第6角部
25c 第7角部
25d 第8角部
26 第3凹部
27 第4凹部
30 レンズユニット
31 レンズ鏡筒
32 フランジ部
32A 第3辺
32B 第4辺
32a 第1フランジ面
32b 第2フランジ面
32c フランジ端面
32c1 第1フランジ端面
32c2 第2フランジ端面
33a 第1フランジ突起部
33b 第2フランジ突起部
33c 第3フランジ突起部
37 第1筒状部
40 回路基板
40a 第1面
40b 第2面
50 撮像素子
60 筐体
61 大径筒状部(第2筒状部)
62 小径筒状部
63 端部
64 第1側壁部
64a 第1内面
65 第2側壁部
65a 第2内面
80 コネクタ
100 車載用カメラ
201 第1係合部
201a 第1起立突条
201b 第1係合面
201c 第1起立面
201d 第2起立面
202 第2係合部
202a 第2起立突条
202b 第2係合面
202c 第3起立面
202d 第4起立面
203 第3係合部
203a 第3起立突条
203b 第3係合面
203c 第5起立面
203d 第6起立面
204 第4係合部
204a 第4起立突条
204b 第4係合面
204c 第7起立面
204d 第8起立面
211 第1凸部
212 第2凸部
213 第3凸部
214 第4凸部
251 第1辺
252 第2辺
253 第3辺
254 第4辺