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▶ 三谷 干城の特許一覧

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  • 特開-お香の製造方法及びお香 図1
  • 特開-お香の製造方法及びお香 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024652
(43)【公開日】2025-02-20
(54)【発明の名称】お香の製造方法及びお香
(51)【国際特許分類】
   C11B 9/00 20060101AFI20250213BHJP
   C11B 9/02 20060101ALI20250213BHJP
【FI】
C11B9/00 A
C11B9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023137597
(22)【出願日】2023-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】515038745
【氏名又は名称】三谷 干城
(72)【発明者】
【氏名】三谷 干城
(72)【発明者】
【氏名】山上 秀樹
【テーマコード(参考)】
4H059
【Fターム(参考)】
4H059BC10
4H059BC23
4H059DA09
4H059EA36
(57)【要約】
【課題】市販のばらのお香キットは、採算性から生花のばらの花から採取したばらオイルは使えず、科学的に香りが再現・合成された合成ばらオイルを使うので、好みのばらの香りは作れないという課題がある。他方ばら蒸留湯とパウダーだけの組み合わせでは、パウダーの匂いが強くバラの香りがまける、さらに乾燥が不十分だとカビが作品(お香)に生えてしまうという課題があった、
【解決手段】合成ばらオイルの代わりにばら科ばら属の落葉低木ハマナスを使う事により、好きな香りのハマナスのお香を作り、同時にカビが生えにくいお香を提供する。ハマナスの花から水蒸気蒸留法でハマナス蒸留湯を蒸留し、このハマナス蒸留湯を、市販のばらキットのパウダーと混ぜ、お香の香りを自分の好きなハマナスの香りを含ませたものに変えることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パウダーと、ハマナス蒸留湯とを混錬する素材混錬工程と、このお香混錬工程で得られた素材を所定の厚みに平たく延ばす拡張工程と、該拡張工程で延ばされた素材から所定の形状に型抜きする型抜き工程とからなるお香製造方法。
【請求項2】
パウダーと、ハマナス蒸留湯とを混錬して成形したお香。
【請求項3】
パウダーと、ハマナス蒸留湯とバラ蒸留湯とを混錬して成形したお香。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自分の好みの植物の香りを生かしたお香の製造方法、及びそのお香に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、香りのお香は、特にばらは、パウダーとばら蒸留湯と合成ばらオイルを混ぜた香りである。
【0003】
ばらの香りは、微香・中香・強香の三種類に分類され、ばらの花から採取される天然ばらオイルは、0.02%程度しか取れないとされている。すなわち10kgのばらの花から2gしか取れないので、やむを得ず科学的に合成されたばらオイルが使われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2022-171818
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では合成されたばらオイルを使うので、水蒸気蒸留法で採取したばら沸騰湯の香りが合成ばらオイルの香りにまけ、画一的になる。合成ばらオイルを用いないで、パウダーとばら蒸留湯のみとすれば、パウダーの香りにまけてしまい、同時にカビが生えやすいという課題がある。
【0006】
前記お香作りでは、香りにつながる天然ばらオイルの量が自然界では非常に少なく(0.02重量%)、高価なため、科学的に香りが再現・合成された合成ばらオイルを使う。そのため大量生産され、香りが決まっており、自分の好みの香りのお香が作りにくいという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、市販のばらキットのパウダーと沸騰湯だけでパウダーの香りに負けない、同時にカビの生えにくく、また、合成ばらオイルを使うことなく、好みの香りを得ることができるお香を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、合成されたばらオイルの代わりにばら科ばら属の落葉低木ハマナスを使う事により、好きな香りのハマナスのお香を作り、同時にカビが生えにくいお香を提供する。ハマナスの花から水蒸気蒸留法でハマナス蒸留湯を蒸留し、このハマナス蒸留湯を、市販のばらキットのパウダーと混ぜ、お香の香りを自分の好きなハマナスの香りを含ませたものに変えることができることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、合成ばらオイルを使わず容易に且つ安価に品質の良い好きな香りのお香を作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のお香製作手順を示す説明図である。
図2】本発明の実施の形態1によるハマナス蒸留湯を作り出す水蒸気蒸留装置と蒸留作業の写真である。
【発明を実施するための形態】
実施の形態1.
【0011】
次に本発明の第1実施形態におけるお香の作り方について説明する。第1実施形態1においては、パウダー201(例えばタブ粉)と、ハマナス蒸留湯402とを乳鉢101に入れて粘土状になるまで混錬102する(素材混錬工程)。次にこの混錬した粘土状の素材を所定の厚みなるまで手などを使って平たく延ばす103(拡張工程)。そして、この平たく延ばされた素材を外形成形型104、型押し105、を使って所定の形(例えばハート形、菱形など)をしたお香106に仕上げる(型抜き工程)。
【0012】
なお、ハマナス蒸留湯は以下の手順で製造する。図示していないお気に入りのハマナスの花を所定量だけ窯502の中に入れ、同時にあらかじめ決められた量の水も窯502にいれて、ヒータ501で加熱する。沸騰した水蒸気はハマナスの香り成分を含んでおり、配管503を通り冷却タンク504に進む。冷却タンク504の中の配管503はらせん状になっている。例えば水道から冷水が常に冷却タンク504の中を流れており、ハマナスの香り成分を含んだ配管503中の水蒸気は凝結し、ハマナス蒸留湯402となり、この蒸留湯402は採取口505から流出し、ビーカー506に集められる。
【0013】
このハマナス蒸留湯402を図1のばら蒸留水202の代わりに使うことにより、市販の合成ばらオイルをいれなくても、お香制作者独自の香りのお香を作ることができることが、実験的に確認できた。
【0014】
さらにハマナス蒸留湯402を使うことにより、バラ蒸留湯202とパウダーのみの組みあわせでのパウダーの香りは弱まり、ハマナスの香りに変わり、またお香にカビが生えていたが、これも無くなった
【0015】
これはハマナスの花には通常のばらとは異なる香気特性を持つ香料、すなわちflower likeな香りを有するアルコール成分の含有率が高く見られるためで(*)、またハマナス蒸留湯には抗菌作用を補助する作用がある(*)と述べられており、これを実験で実証した。
【0016】
*は2012年発行のVol.20のコスメトロジー研究報告・「自生ハマナスの精油成分とその抗菌活性~コスメトロジーへの有効利用を目的とした基礎的研究~ 長岐正彦」のp32とp39に掲載されている。
【0017】
上記した第1実施形態ではパウダー201と、ハマナス蒸留湯402とを乳鉢101に入れて粘土状になるまで混錬したが、このパウダー201と、ハマナス蒸留湯402と、さらに天然のばら蒸留湯202を加えて粘土状になるまで混錬しても良いものである。この場合は出来上がったお香の香りがさらに強くなるという効果がある。
【0018】
本実施の形態1では、ハマナス蒸留湯を採取するのに通常の水蒸気蒸留法を用いたが、蒸留室を負圧ポンプで引きながら蒸留してもより精度がいい蒸留湯が得られる効果がある。
【符号の説明】
【0019】
50 水蒸気蒸留装置
201 パウダー
202 ばら蒸留湯
402 ハマナス蒸留湯
図1
図2