(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002466
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】モータの回転子
(51)【国際特許分類】
H02K 1/276 20220101AFI20241226BHJP
【FI】
H02K1/276
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102664
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000128175
【氏名又は名称】株式会社エフ・シー・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】岡井 建太
(72)【発明者】
【氏名】城下 健治
(72)【発明者】
【氏名】斎賀 聖司
(72)【発明者】
【氏名】椎木 健次
【テーマコード(参考)】
5H622
【Fターム(参考)】
5H622CA02
5H622CA07
5H622CA14
5H622CB03
5H622CB05
5H622DD02
5H622PP03
(57)【要約】
【課題】回転子の軸方向の長さ、重量および慣性モーメントを低減することができるモータの回転子を提供すること。
【解決手段】回転子10は、回転軸20に支持され、かつ、上下方向Zに積層された複数の電磁鋼板35から構成された回転子鉄心30と、回転子鉄心30に形成され、かつ、上下方向Zに延びる磁石挿入孔40と、磁石挿入孔40に挿入された磁石50と、回転子鉄心30の上方に設けられ、かつ、磁石50が上方から脱落することを抑制し、かつ、非磁性体から構成された第1端面板60と、回転子鉄心30の下方に設けられ、かつ、磁石50が下方から脱落することを抑制し、かつ、非磁性体から構成された第2端面板70と、を備え、第2端面板70の上下方向Zの厚みTBは、第1端面板60の上下方向Zの厚みTAよりも薄い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に延びる回転軸と、
前記回転軸に支持され、かつ、前記第1の方向に積層された複数の電磁鋼板から構成された回転子鉄心と、
前記回転子鉄心に形成され、かつ、前記第1の方向に延びる磁石挿入孔と、
前記磁石挿入孔に挿入された磁石と、
前記回転子鉄心の前記第1の方向の一方側に設けられ、かつ、前記磁石挿入孔に挿入された前記磁石が前記第1の方向の一方側から脱落することを抑制し、かつ、非磁性体から構成された第1端面板と、
前記回転子鉄心の前記第1の方向の他方側に設けられ、かつ、前記磁石挿入孔に挿入された前記磁石が前記第1の方向の他方側から脱落することを抑制し、かつ、前記非磁性体から構成された第2端面板と、を備え、
前記第2端面板の前記第1の方向の厚みは、前記第1端面板の前記第1の方向の厚みよりも薄い、モータの回転子。
【請求項2】
前記第2端面板の前記第1の方向の厚みは、積層された2枚の前記電磁鋼板の前記第1の方向の厚みより薄い、請求項1に記載のモータの回転子。
【請求項3】
前記第2端面板の前記第1の方向の厚みは、1枚の前記電磁鋼板の前記第1の方向の厚みと同じまたは1枚の前記電磁鋼板の前記第1の方向の厚みより厚い、請求項1に記載のモータの回転子。
【請求項4】
前記第2端面板の前記第1の方向の厚みは、1枚の前記電磁鋼板の前記第1の方向の厚みと同じである、請求項3に記載のモータの回転子。
【請求項5】
前記第2端面板の前記第1の方向の厚みは、積層された5枚の前記電磁鋼板の前記第1の方向の厚み以下である、請求項3に記載のモータの回転子。
【請求項6】
前記第1端面板は、前記回転軸が挿入されかつ前記第1の方向に貫通形成された第1貫通孔と、前記第1の方向に開口する開口部と、を有し、
前記第2端面板は、前記回転軸が挿入されかつ前記第1の方向に貫通形成された第2貫通孔を有し、かつ、前記第1の方向に開口する開口部を有していない、請求項1または2に記載のモータの回転子。
【請求項7】
前記第1端面板の前記開口部は、前記第1の方向の一方側に向けてのみ開口している、請求項6に記載のモータの回転子。
【請求項8】
前記第1端面板は、前記回転軸が挿入されかつ前記第1の方向に貫通形成された第1貫通孔と、前記第1の方向に貫通形成された第1開口部と、を有する、請求項1または2に記載のモータの回転子。
【請求項9】
前記第2端面板は、前記回転軸が挿入されかつ前記第1の方向に貫通形成された第2貫通孔と、前記第1の方向に貫通形成された第2開口部と、を有する、請求項8に記載のモータの回転子。
【請求項10】
前記第1端面板は、前記回転軸が挿入されかつ前記第1の方向に貫通形成された第1貫通孔と、前記第1の方向に開口する第1開口部と、を有し、
前記第2端面板は、前記回転軸が挿入されかつ前記第1の方向に貫通形成された第2貫通孔と、前記第1の方向に開口する第2開口部と、を有し、
前記第1開口部の容積は、前記第2開口部の容積よりも大きい、請求項1または2に記載のモータの回転子。
【請求項11】
前記第1開口部は、前記第1の方向の一方側に向けてのみ開口し、
前記第2開口部は、前記第1の方向の他方側に向けてのみ開口している、請求項10に記載のモータの回転子。
【請求項12】
第1の方向に延びる回転軸と、
前記回転軸に支持され、かつ、前記第1の方向に積層された複数の電磁鋼板から構成された回転子鉄心と、
前記回転子鉄心に形成され、かつ、前記第1の方向に延びる磁石挿入孔と、
前記磁石挿入孔に挿入された磁石と、
前記回転子鉄心の前記第1の方向の一方側に設けられ、かつ、前記磁石挿入孔に挿入された前記磁石が前記第1の方向の一方側から脱落することを抑制し、かつ、非磁性体から構成された端面板と、を備え、
前記電磁鋼板は、
前記第1の方向に積層された複数の第1電磁鋼板と、
複数の前記第1電磁鋼板のうち前記第1の方向の最も他方側に位置する前記第1電磁鋼板の前記第1の方向の他方側に設けられ、かつ、前記磁石挿入孔に挿入された前記磁石が前記第1の方向の他方側から脱落することを抑制する第2電磁鋼板と、を含む、
モータの回転子。
【請求項13】
前記第2電磁鋼板は、前記第1の方向から見たときに、前記磁石挿入孔と重なる脱落抑制部を有している、請求項12に記載のモータの回転子。
【請求項14】
前記脱落抑制部は、前記第1の方向から見たときに、前記磁石挿入孔の全体と重なる、請求項13に記載のモータの回転子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの回転子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、モータの回転子は、複数の電磁鋼板から構成された回転子鉄心と、回転子鉄心に形成された磁石挿入孔に挿入された磁石と、回転子鉄心の軸方向の両端に設けられかつ挿入された磁石が回転子鉄心から脱落することを抑制する端面板と、を備えている。例えば、特許文献1には、回転子鉄心の両端部に設けられ、永久磁石の抜け止めとなる非磁性体の端板(即ち端面板)を備えたモータの回転子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1において、回転子鉄心の両端部には永久磁石の抜け止めとなる端面板を設ける必要があるため、モータの回転子の軸方向の長さが増加してしまい、モータが大型化する虞がある。また、端面板によって回転子の重量が増加してしまうという問題もある。さらには、端面板による重量の増加によって、回転子の慣性モーメントが増加するという問題も生じ得る。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、回転子の軸方向の長さ、重量および慣性モーメントを低減することができるモータの回転子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るモータの回転子は、第1の方向に延びる回転軸と、前記回転軸に支持され、かつ、前記第1の方向に積層された複数の電磁鋼板から構成された回転子鉄心と、前記回転子鉄心に形成され、かつ、前記第1の方向に延びる磁石挿入孔と、前記磁石挿入孔に挿入された磁石と、前記回転子鉄心の前記第1の方向の一方側に設けられ、かつ、前記磁石挿入孔に挿入された前記磁石が前記第1の方向の一方側から脱落することを抑制し、かつ、非磁性体から構成された第1端面板と、前記回転子鉄心の前記第1の方向の他方側に設けられ、かつ、前記磁石挿入孔に挿入された前記磁石が前記第1の方向の他方側から脱落することを抑制し、かつ、前記非磁性体から構成された第2端面板と、を備え、前記第2端面板の前記第1の方向の厚みは、前記第1端面板の前記第1の方向の厚みよりも薄い。
【0007】
本発明に係るモータの回転子によると、第2端面板の第1の方向の厚みは、第1端面板の第1の方向の厚みよりも薄い。このため、第1端面板の第1の方向の厚みおよび第2端面板の第1の方向の厚みが同じである場合と比較して、回転子の軸方向の長さを低減する(短くする)ことができる。また、第2端面板の第1の方向の厚みが比較的薄いため、回転子の重量が低減されると共に、回転子の慣性モーメントを低減することができる。
【0008】
本発明に係る他のモータの回転子は、第1の方向に延びる回転軸と、前記回転軸に支持され、かつ、前記第1の方向に積層された複数の電磁鋼板から構成された回転子鉄心と、前記回転子鉄心に形成され、かつ、前記第1の方向に延びる磁石挿入孔と、前記磁石挿入孔に挿入された磁石と、前記回転子鉄心の前記第1の方向の一方側に設けられ、かつ、前記磁石挿入孔に挿入された前記磁石が前記第1の方向の一方側から脱落することを抑制し、かつ、非磁性体から構成された端面板と、を備え、前記電磁鋼板は、前記第1の方向に積層された複数の第1電磁鋼板と、複数の前記第1電磁鋼板のうち前記第1の方向の最も他方側に位置する前記第1電磁鋼板の前記第1の方向の他方側に設けられ、かつ、前記磁石挿入孔に挿入された前記磁石が前記第1の方向の他方側から脱落することを抑制する第2電磁鋼板と、を含む。
【0009】
本発明に係る他のモータの回転子によると、磁石挿入孔に挿入された磁石は、端面板と第2電磁鋼板によって磁石挿入孔から脱落することが抑制される。このように、他のモータの回転子では、回転子鉄心の第1の方向の他方側には端面板が設けられていないため、回転子の軸方向の長さを低減する(短くする)ことができる。また、回転子鉄心の第1の方向の他方側には端面板を設けなくてもよいため、端面板分だけ回転子の重量が低減されると共に、回転子の慣性モーメントを低減することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、回転子の軸方向の長さ、重量および慣性モーメントを低減することができるモータの回転子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るモータの回転子の断面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る電磁鋼板の平面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る第1端面板の平面図である。
【
図4】
図4は、他の一実施形態に係るモータの回転子の断面図である。
【
図5】
図5は、他の一実施形態に係る第2電磁鋼板の平面図である。
【
図6】
図6は、変形例に係る第2電磁鋼板の平面図である。
【
図7】
図7は、他の変形例に係る第2電磁鋼板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るモータの回転子の実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0013】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るモータの回転子10の断面図である。モータ(図示せず)は、回転子10と、回転子を収容する固定子(図示せず)とを含む。
図1に示すように、回転子10は、回転軸20と、回転子鉄心30と、磁石挿入孔40と、磁石50と、第1端面板60と、第2端面板70と、第1軸受け80と、第2軸受け90と、を備えている。
【0014】
図1に示すように、回転軸20は、上下方向Zに延びる。上下方向Zは、第1の方向の一例である。なお、回転軸20が延びる方向は、上下方向Zに限定されない。回転軸20の一部は、固定子(図示せず)から上方に突出している。回転軸20の上端部20Aには、他の部材が取り付けられる。
【0015】
図1に示すように、回転子鉄心30は、回転軸20の軸線20Cを中心とする環状の部材である。回転子鉄心30は、回転軸20に支持されている。回転子鉄心30は、上下方向Zに積層された複数の電磁鋼板35から構成されている。回転子鉄心30には、回転軸挿入孔38と、磁石挿入孔40とが形成されている。回転軸挿入孔38は、回転軸20が挿入される孔である。磁石挿入孔40は、磁石50が挿入される孔である。回転軸挿入孔38および磁石挿入孔40は、上下方向Zに延びる。
【0016】
図1に示すように、1枚の電磁鋼板35の上下方向Zの厚みT1は、例えば、0.15mm~0.5mmである。電磁鋼板35は、プレス金型を用いた打ち抜き加工によって、所定の形状に加工されている。
図2に示すように、電磁鋼板35は、環状に形成されている。電磁鋼板35は、回転軸挿入孔38と複数の磁石挿入孔40とを有している。磁石挿入孔40は、回転軸挿入孔38の径方向外側に位置する。回転軸挿入孔38は、略円形状に形成されている。磁石挿入孔40は、略L字形状に形成されている。1つの磁石挿入孔40には、2つの磁石50が挿入される。磁石挿入孔40は、1つの磁石50が挿入される第1部分40Aと、他の1つの磁石50が挿入される第2部分40Bと、を有する。第1部分40Aと第2部分40Bとは連続している。なお、磁石挿入孔40の形状および磁石挿入孔40に挿入される磁石50の数は、上述のものに限定されない。電磁鋼板35は、複数の円形状の第1貫通孔44と、複数の略台形状の第2貫通孔45と、を有している。積層された複数の電磁鋼板35は、例えば、加締め、接着、溶接等によって互いに固定されている。複数の電磁鋼板35は、例えば、加締めによって互いに固定されている。なお、
図2では、1つの磁石挿入孔40にのみ2つの磁石50が挿入された状態を示している。
【0017】
図1に示すように、磁石50は、磁石挿入孔40に挿入されている。磁石50は、上方方向Zに延びる。磁石50は、平板状に形成されている。磁石50は、例えば、永久磁石である。磁石50は、例えば、希土類磁石である。磁石50は、例えば、ネオジム(Nd)、鉄(Fe)およびホウ素(B)を含むネオジム磁石である。
【0018】
図1に示すように、第1端面板60は、回転子鉄心30の上方に設けられている。第1端面板60は、回転子鉄心30の複数の電磁鋼板35のうち最も上方に位置する電磁鋼板35Aの上に設けられている。第1端面板60は、例えば、圧入によって回転軸20に固定されている。なお、第1端面板60は、回転子鉄心30が回転軸20に圧入されることにより、回転軸20に固定されていてもよい。このとき、第1端面板60は、回転軸20に圧入されていない。第1端面板60は、磁石挿入孔40に挿入された磁石50が磁石挿入孔40の上方から脱落することを抑制する。第1端面板60は、平面視で、磁石挿入孔40の全体と重なる。
図1および
図3に示すように、第1端面板60は、上下方向Zに貫通形成された第1貫通孔62と、上下方向Zに開口する(ここでは上方に向けてのみ開口する)開口部65を有している。第1貫通孔62には、回転軸20が挿入される。開口部65は、平面視で、円形状に形成されている。開口部65は、磁石挿入孔40の上方に位置する。開口部65の一部は、平面視で、磁石挿入孔40と重なる。なお、開口部65の形状および数は特に限定されない。開口部65の直径は、第1貫通孔62の直径よりも小さい。
【0019】
図1に示すように、第2端面板70は、回転子鉄心30の下方に設けられている。第2端面板70は、回転子鉄心30の複数の電磁鋼板35のうち最も下方に位置する電磁鋼板35Bの下に設けられている。第2端面板70は、例えば、圧入によって回転軸20に固定されている。第2端面板70は、磁石挿入孔40に挿入された磁石50が磁石挿入孔40の下方から脱落することを抑制する。第2端面板70は、平面視で、磁石挿入孔40の全体と重なる。第2端面板70は、上下方向Zに貫通形成された第2貫通孔72を有している。なお、第2端面板70は、上下方向Zに開口する(例えば下方に向けてのみ開口する)開口部を有していないが、かかる開口部を有していてもよい。第2端面板70が開口部を有するとき、第1端面板60の開口部65を第1開口部とし、かつ、第2端面板70の開口部を第2開口部とすると、第1開口部の容積は、第2開口部の容積よりも大きい。第1開口部および第2開口部がそれぞれ複数設けられている場合には、複数の第1開口部の合計の容積は、複数の第2開口部の合計の容積よりも大きい。なお、第1開口部は、上方に向けてのみ開口しているが、下方に向けてのみ開口していてもよい。第2開口部は、下方に向けてのみ開口しているが、上方に向けてのみ開口していてもよい。また、第1開口部および第2開口部は、上下方向Zに貫通形成された貫通孔であってもよい。
【0020】
第1端面板60および第2端面板70は、非磁性体(例えばステンレス鋼(例えばSUS303))から構成されている。第1端面板60と第2端面板70とは同じ材料から形成されている。第1端面板60および第2端面板70は、円板状に形成されている。第1端面板60と第2端面板70とは、例えば、平面視で同じ形状である。第1端面板60および第2端面板70の直径は、電磁鋼板35の直径より小さい。第2端面板70の上下方向Zの厚みTBは、第1端面板60の上下方向Zの厚みTAよりも薄い。第2端面板70の上下方向Zの厚みTBは、例えば、0.5mm~1.5mmである。第1端面板60の上下方向Zの厚みTAは、例えば、3mm~5mmである。第2端面板70の上下方向Zの厚みTBは、例えば、積層された5枚の電磁鋼板35の上下方向Zの厚みT5以下である。第2端面板70の上下方向Zの厚みTBは、例えば、積層された2枚の電磁鋼板35の上下方向Zの厚みT2より薄い。第2端面板70の上下方向Zの厚みTBは、例えば、1枚の電磁鋼板35の上下方向Zの厚みT1と同じである。第2端面板70の上下方向Zの厚みTBは、例えば、1枚の電磁鋼板35の上下方向Zの厚みT1より厚くてもよい。第2端面板70の上下方向Zの厚みTBは、例えば、積層された2枚の電磁鋼板35の上下方向Zの厚みT2と同じであってもよい。
【0021】
第1軸受け80および第2軸受け90は、転がり軸受けである。第1軸受け80および第2軸受け90は、例えば、玉軸受けである。第1軸受け80は、負荷側の軸受けである。第1軸受け80は、回転軸20を回転可能に支持する。第2軸受け90は、反負荷側の軸受けである。第2軸受け90は、回転軸20の下端部20Bを回転可能に支持する。第1軸受け80および第2軸受け90は、モータの固定子(図示せず)に固定されている。
【0022】
以上のように、本実施形態のモータの回転子10によると、第2端面板70の上下方向Zの厚みTBは、第1端面板60の上下方向Zの厚みTAよりも薄い。このため、第1端面板60の上下方向Zの厚みTAおよび第2端面板70の上下方向Zの厚みTBが同じである場合と比較して、回転子10の軸方向(ここでは上下方向Z)の長さを低減する(短くする)ことができる。また、第2端面板70の上下方向Zの厚みTBが比較的薄いため、回転子10の重量が低減されると共に、回転子10の慣性モーメントを低減することができる。
【0023】
本実施形態のモータの回転子10では、第2端面板70の上下方向Zの厚みTBは、積層された2枚の電磁鋼板35の上下方向Zの厚みT2より薄い。上記態様によれば、回転子10の軸方向(ここでは上下方向Z)の長さをより低減する(短くする)ことができる。また、第2端面板70の上下方向Zの厚みTBが非常に薄いため、回転子10の重量がより低減されると共に、回転子10の慣性モーメントをより低減することができる。
【0024】
本実施形態のモータの回転子10では、第2端面板70上下方向Zの厚みTBは、1枚の電磁鋼板35の上下方向Zの厚みT1と同じまたは厚みT1より厚い。上記態様によれば、回転子10の軸方向(ここでは上下方向Z)の長さをより低減する(短くする)ことができる。
【0025】
本実施形態のモータの回転子10では、第2端面板70上下方向Zの厚みTBは、1枚の電磁鋼板35の上下方向Zの厚みT1と同じである。上記態様によれば、回転子10の軸方向(ここでは上下方向Z)の長さをより低減する(短くする)ことができる。また、第2端面板70の上下方向Zの厚みTBが非常に薄いため、回転子10の重量がより低減されると共に、回転子10の慣性モーメントをより低減することができる。
【0026】
本実施形態のモータの回転子10では、第2端面板70の上下方向Zの厚みTBは、積層された5枚の電磁鋼板35の上下方向Zの厚みT5以下である。上記態様によれば、回転子10の軸方向(ここでは上下方向Z)の長さを低減する(短くする)ことができる。
【0027】
本実施形態のモータの回転子10では、第1端面板60は、回転軸20が挿入されかつ上下方向Zに貫通形成された第1貫通孔62と、上下方向Zに開口する開口部65と、を有し、第2端面板70は、回転軸20が挿入されかつ上下方向Zに貫通形成された第2貫通孔72を有し、かつ、上下方向Zに開口する開口部を有していない。上記態様によれば、回転子10の重量がより低減されると共に、回転子10の慣性モーメントをより低減することができる。また、第1端面板60の開口部65の形状によって、回転子10全体の重量バランスを調整することができる。
【0028】
本実施形態のモータの回転子10では、第1端面板60の開口部65は、上方に向けてのみ開口している。開口部65は、通常、回転軸20に第1端面板60、回転子鉄心30、磁石50および第2端面板70を組付けた後に、ドリルなどを使って形成される。このため、第1端面板60の開口部65が上方にのみ開口するように形成することで、回転子鉄心30や磁石50をドリルなどで損傷することが抑制される。
【0029】
本実施形態のモータの回転子10では、第1端面板60は、回転軸20が挿入されかつ上下方向Zに貫通形成された第1貫通孔62と、上下方向Zに貫通形成された第1開口部と、を有していてもよい。上記態様によれば、回転子10の重量がより低減されると共に、回転子10の慣性モーメントをより低減することができる。また、第1端面板60の第1開口部の形状によって、回転子10全体の重量バランスを調整することができる。
【0030】
本実施形態のモータの回転子10では、第2端面板70は、回転軸20が挿入されかつ上下方向Zに貫通形成された第2貫通孔72と、上下方向Zに貫通形成された第2開口部と、を有していてもよい。上記態様によれば、回転子10の重量がより低減されると共に、回転子10の慣性モーメントをより低減することができる。また、第2端面板70の第2開口部の形状によって、回転子10全体の重量バランスを調整することができる。
【0031】
本実施形態のモータの回転子10では、第1端面板60は、回転軸20が挿入されかつ上下方向Zに貫通形成された第1貫通孔62と、上下方向Zに開口する第1開口部(例えば開口部65)を有し、第2端面板70は、回転軸20が挿入されかつ上下方向Zに貫通形成された第2貫通孔72と、上下方向Zに開口する第2開口部とを有し、第1開口部の容積は、第2開口部の容積よりも大きくてもよい。上記態様によれば、回転子10の重量がより低減されると共に、回転子10の慣性モーメントをより低減することができる。また、第1端面板60の開口部65の形状によって、回転子10全体の重量バランスを調整することができる。
【0032】
本実施形態のモータの回転子10では、第1開口部(例えば開口部65)は、上方に向けてのみ開口し、第2開口部は、下方に向けてのみ開口していてもよい。第1開口部および第2開口部は、通常、回転軸20に第1端面板60、回転子鉄心30、磁石50および第2端面板70を組付けた後に、ドリルなどを使って形成される。このため、第1端面板60の第1開口部が上方にのみ開口し、かつ、第2端面板70の第2開口部が下方にのみ開口するように形成することで、回転子鉄心30や磁石50をドリルなどで損傷することが抑制される。
【0033】
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態に係るモータの回転子110の断面図である。モータ(図示せず)は、回転子110と、回転子110を収容する固定子(図示せず)とを含む。
図4に示すように、回転子110は、回転軸20と、回転子鉄心130と、磁石挿入孔40と、磁石50と、第1端面板60と、第1軸受け80と、第2軸受け90と、を備えている。回転子110は、第2端面板70(
図1参照)を備えていない。
【0034】
図4に示すように、回転子鉄心130は、回転軸20の軸線20Cを中心とする環状の部材である。回転子鉄心130は、回転軸20に支持されている。回転子鉄心130は、上下方向Zに積層された複数の電磁鋼板135から構成されている。回転子鉄心130には、回転軸挿入孔38と、磁石挿入孔40とが形成されている。電磁鋼板135は、上下方向Zに積層された複数の第1電磁鋼板135Aと、第2電磁鋼板135Bとを含む。第1電磁鋼板135Aは、第1実施形態に係る電磁鋼板35と同じ構成である。
【0035】
図4に示すように、第2電磁鋼板135Bは、積層された複数の第1電磁鋼板135Aのうち最も下方に位置する第1電磁鋼板135ABの下方に設けられている。第2電磁鋼板135Bは、例えば、加締め、接着、溶接等によって第1電磁鋼板135ABに固定されている。第2電磁鋼板135Bおよび第1電磁鋼板135ABは、例えば、加締めによって互いに固定されている。第2電磁鋼板135Bの上下方向Zの厚みT3は、例えば、0.15mm~0.5mmである。第2電磁鋼板135Bの厚みT3は、第1電磁鋼板135Aの厚みT1と同じである。第2電磁鋼板135Bは、プレス金型を用いた打ち抜き加工によって、所定の形状に加工されている。
図5に示すように、第2電磁鋼板135Bは、環状に形成されている。第2電磁鋼板135Bは、回転軸挿入孔38を有している。第2電磁鋼板135Bは、複数の円形状の第1貫通孔44と、複数の略台形状の第2貫通孔45と、を有している。第2電磁鋼板135Bは、磁石挿入孔40(
図2参照)を備えていない。第2電磁鋼板135Bは、磁石挿入孔40に挿入された磁石50が磁石挿入孔40の下方から脱落することを抑制する。第2電磁鋼板135Bは、脱落抑制部140を備えている。脱落抑制部140は、上下方向Zから見たとき(即ち平面視で)、磁石挿入孔40と重なる。脱落抑制部140は、平面視で、磁石挿入孔40の全体と重なる。第2電磁鋼板135Bは脱落抑制部140を備えている点を除き、第1電磁鋼板135Aと実質的に同じ構成である。
【0036】
以上のように、本実施形態のモータの回転子110によると、磁石挿入孔40に挿入された磁石50は、第1端面板60と第2電磁鋼板135Bによって磁石挿入孔40から脱落することが抑制される。このように、モータの回転子110では、回転子鉄心130の下方には端面板が設けられていないため、回転子110の軸方向(ここでは上下方向Z)の長さを低減する(短くする)ことができる。また、回転子鉄心130の下方には端面板を設けなくてもよいため、端面板分だけ回転子110の重量が低減されると共に、回転子110の慣性モーメントを低減することができる。
【0037】
本実施形態のモータの回転子110では、第2電磁鋼板135Bは、上下方向Zから見たときに、磁石挿入孔40と重なる脱落抑制部140を有している。上記態様によれば、脱落抑制部140によって、磁石挿入孔40に挿入された磁石50が下方から脱落することを確実に抑制することができる。
【0038】
本実施形態のモータの回転子110では、脱落抑制部140は、上下方向Zから見たときに、磁石挿入孔40の全体と重なる。上記態様によれば、脱落抑制部140によって、磁石挿入孔40に挿入された磁石50が下方から脱落することをより確実に抑制することができる。
【0039】
図6に示すように、電磁鋼板135は、第2電磁鋼板135B(
図5参照)に代えて第2電磁鋼板135Cを備えていてもよい。第2電磁鋼板135Cは、複数の貫通孔255を有している。貫通孔255と磁石挿入孔40とは略相似の関係にある。貫通孔255は、磁石挿入孔40よりも小さい。第2電磁鋼板135Cは、脱落抑制部240を備えている。脱落抑制部240は、上下方向Zから見たとき(即ち平面視で)、磁石挿入孔40の一部と重なる。脱落抑制部240は、貫通孔255を区画する部分である。脱落抑制部240によって、磁石挿入孔40に挿入された磁石50は、貫通孔255を通過することができない。
【0040】
図7に示すように、電磁鋼板135は、第2電磁鋼板135B(
図5参照)に代えて第2電磁鋼板135Dを備えていてもよい。第2電磁鋼板135Dは、複数の貫通孔355を有している。第2電磁鋼板135Dは、脱落抑制部340を備えている。脱落抑制部340は、上下方向Zから見たとき(即ち平面視で)、磁石挿入孔40の一部と重なる。脱落抑制部340は、貫通孔355に向けて突出する突起である。脱落抑制部340によって、磁石挿入孔40に挿入された磁石50は、貫通孔355を通過することができない。なお、この変形例では脱落抑制部340が設けられていない場合、磁石50は貫通孔355を通過可能な大きさに形成されている。
【0041】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の各実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【0042】
上述した第1実施形態では、第2端面板70の上下方向Zの厚みTBは、第1端面板60の上下方向Zの厚みTAよりも薄いがこれに限定されない。例えば、第1端面板60の上下方向Zの厚みTAは、第2端面板70の上下方向Zの厚みTBよりも薄くてもよい。
【0043】
上述した第2実施形態では、回転子110は、第1端面板60を備えていたが、第1端面板60に代えて第2端面板70を備えていてもよい。この場合、第2電磁鋼板135Bは、積層された複数の第1電磁鋼板135Aのうち最も上方に位置する第1電磁鋼板135Aの上方に設けられている。
【0044】
上述した各実施形態では、第1端面板60には、開口部65が形成されていたが、第1端面板60は開口部65を有していなくてもよい。また、第1端面板60に開口部65が形成されていない場合には、第2端面板70に開口部が形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0045】
10 回転子
20 回転軸
30 回転子鉄心
35 電磁鋼板
38 回転軸挿入孔
40 磁石挿入孔
50 磁石
60 第1端面板
65 開口部
70 第2端面板
110 回転子
130 回転子鉄心
135 電磁鋼板
135A 第1電磁鋼板
135B 第2電磁鋼板
140 脱落抑制部