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特開2025-24660凍結乾燥食品の製造方法及び凍結乾燥食品の復元性向上方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024660
(43)【公開日】2025-02-20
(54)【発明の名称】凍結乾燥食品の製造方法及び凍結乾燥食品の復元性向上方法
(51)【国際特許分類】
   A23B 2/92 20250101AFI20250213BHJP
   A23B 2/91 20250101ALI20250213BHJP
   A23L 13/60 20160101ALI20250213BHJP
   A23L 13/00 20160101ALI20250213BHJP
   A23B 2/85 20250101ALI20250213BHJP
   A23L 17/40 20160101ALI20250213BHJP
   A23L 19/10 20160101ALI20250213BHJP
   A23L 17/50 20160101ALI20250213BHJP
   A23L 17/00 20160101ALI20250213BHJP
   A23B 4/037 20060101ALI20250213BHJP
   A23B 7/024 20060101ALI20250213BHJP
   A23B 7/022 20060101ALI20250213BHJP
【FI】
A23L3/44
A23L3/42
A23L13/60 Z
A23L13/00 A
A23L3/37 A
A23L17/40 A
A23L19/10
A23L17/50
A23L17/00 A
A23L17/00 Z
A23L13/00 Z
A23L17/40 C
A23B4/037
A23B7/024
A23B7/022
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024013850
(22)【出願日】2024-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2023128570
(32)【優先日】2023-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】715011078
【氏名又は名称】アサヒグループ食品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】檀上 悟史
(72)【発明者】
【氏名】西原 孝裕
(72)【発明者】
【氏名】松本 英士
【テーマコード(参考)】
4B016
4B022
4B042
4B169
【Fターム(参考)】
4B016LC02
4B016LG06
4B016LG08
4B016LG10
4B016LK08
4B016LK20
4B016LP06
4B016LP08
4B016LP11
4B016LP13
4B022LA01
4B022LA05
4B022LA06
4B022LB06
4B022LJ04
4B022LN01
4B022LR06
4B042AC03
4B042AC10
4B042AD18
4B042AD20
4B042AG02
4B042AG03
4B042AG07
4B042AG12
4B042AG16
4B042AG30
4B042AG57
4B042AG59
4B042AG68
4B042AG72
4B042AH01
4B042AH11
4B042AK01
4B042AK06
4B042AK08
4B042AK10
4B042AK11
4B042AK20
4B042AP03
4B042AP05
4B042AP07
4B042AP14
4B042AP17
4B042AP18
4B042AP20
4B042AP21
4B169BA07
4B169HA03
4B169HA05
4B169HA06
4B169HA09
4B169KA10
4B169KB03
4B169KC39
(57)【要約】
【課題】簡易な方法で、復元性が良好な、固形食材を含有する食品を含む凍結乾燥食品を製造することができる凍結乾燥食品の製造方法及び凍結乾燥食品の復元性向上方法を提供する。
【解決手段】固形食材を含有する食品を処理液と接触させる接触工程と、前記処理液と接触させた前記固形食材を含有する食品を凍結する凍結工程と、前記凍結工程で凍結した前記固形食材を含有する食品を、調味材の凍結物と共に凍結乾燥する凍結乾燥工程と、を含む凍結乾燥食品の製造方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形食材を含有する食品を処理液と接触させる接触工程と、
前記処理液と接触させた前記固形食材を含有する食品を凍結する凍結工程と、
前記凍結工程で凍結した前記固形食材を含有する食品を、調味材の凍結物と共に凍結乾燥する凍結乾燥工程と、
を含むことを特徴とする凍結乾燥食品の製造方法。
【請求項2】
前記凍結乾燥工程が、前記凍結工程で凍結した前記固形食材を含有する食品の上に、前記調味材の凍結物が位置する状態で凍結乾燥する工程である請求項1に記載の凍結乾燥食品の製造方法。
【請求項3】
前記凍結乾燥工程が、前記調味材の凍結物の上に、前記凍結工程で凍結した前記固形食材を含有する食品が位置する状態で凍結乾燥する工程である請求項1に記載の凍結乾燥食品の製造方法。
【請求項4】
前記凍結工程が、前記固形食材を含有する食品を前記処理液に浸漬した状態で凍結する工程である請求項1から3のいずれかに記載の凍結乾燥食品の製造方法。
【請求項5】
前記凍結工程が、前記処理液と接触させた後、液切りした前記固形食材を含有する食品を凍結する工程である請求項1から3のいずれかに記載の凍結乾燥食品の製造方法。
【請求項6】
前記処理液が、糖アルコールを含有する請求項1から3のいずれかに記載の凍結乾燥食品の製造方法。
【請求項7】
前記処理液が、糖アルコールを含有する請求項4に記載の凍結乾燥食品の製造方法。
【請求項8】
前記処理液が、糖アルコールを含有する請求項5に記載の凍結乾燥食品の製造方法。
【請求項9】
固形食材を含有する食品を処理液と接触させる接触工程と、
前記処理液と接触させた前記固形食材を含有する食品を凍結する凍結工程と、
前記凍結工程で凍結した前記固形食材を含有する食品を、調味材の凍結物と共に凍結乾燥する凍結乾燥工程と、
を含むことを特徴とする凍結乾燥食品の復元性向上方法。
【請求項10】
前記凍結乾燥工程が、前記凍結工程で凍結した前記固形食材を含有する食品の上に、前記調味材の凍結物が位置する状態で凍結乾燥する工程である請求項9に記載の凍結乾燥食品の復元性向上方法。
【請求項11】
前記凍結乾燥工程が、前記調味材の凍結物の上に、前記凍結工程で凍結した前記固形食材を含有する食品が位置する状態で凍結乾燥する工程である請求項9に記載の凍結乾燥食品の復元性向上方法。
【請求項12】
前記凍結工程が、前記固形食材を含有する食品を前記処理液に浸漬した状態で凍結する工程である請求項9から11のいずれかに記載の凍結乾燥食品の復元性向上方法。
【請求項13】
前記凍結工程が、前記処理液と接触させた後、液切りした前記固形食材を含有する食品を凍結する工程である請求項9から11のいずれかに記載の凍結乾燥食品の復元性向上方法。
【請求項14】
前記処理液が、糖アルコールを含有する請求項9から11のいずれかに記載の凍結乾燥食品の復元性向上方法。
【請求項15】
前記処理液が、糖アルコールを含有する請求項12に記載の凍結乾燥食品の復元性向上方法。
【請求項16】
前記処理液が、糖アルコールを含有する請求項13に記載の凍結乾燥食品の復元性向上方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凍結乾燥食品の製造方法及び凍結乾燥食品の復元性向上方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生活様式の変化や嗜好の多様化などにより、お湯を注いで少し待つだけで食べることができる、凍結乾燥工程を含む方法により製造された凍結乾燥即席食品(以下、「凍結乾燥食品」と称することがある。)に対する需要が近年増々高まっている。そして、凍結乾燥食品についての様々な開発が行われている。
【0003】
例えば、復元性・風味が良好な凍結乾燥した乾燥肉を提供できる方法として、加熱処理を施した肉に対して表面から複数の穿孔を設けた後に、過熱蒸気処理し、凍結乾燥する凍結乾燥肉の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、趣向性が高く、かつ短時間で容易に摂食可能状態に復元し得る乾燥食品として、食材ブロックとしてのハンバーグ等の第1ブロック及びデミグラスソース等の第2ブロックを備え、当該第1ブロックよりも当該第2ブロックの方が摂食可能状態において流動性が高くなる食材で構成されると共に、当該第2ブロックよりも当該第1ブロックの方が容器体における入出口側に位置するように容器体内に収容されている乾燥食品が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-135918号公報
【特許文献2】特開2022-147879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年の即席食品に対する需要の高まりに伴い、復元性に対して消費者が求めるレベルも高くなっている。また、ハンバーグ等の固形食材と、デミグラスソース等の調味材とが一体となった凍結乾燥食品とした場合には、十分な復元性を担保できていない。そのため、凍結乾燥食品の復元性を良好にできる技術の速やかな提供が強く求められているのが現状である。
【0007】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、簡易な方法で、復元性が良好な、固形食材を含有する食品を含む凍結乾燥食品を製造することができる凍結乾燥食品の製造方法及び凍結乾燥食品の復元性向上方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、固形食材を含有する食品を処理液と接触させる接触工程を行った後、凍結し、前記凍結した食品を、調味材の凍結物と共に凍結乾燥することで、簡易に、固形食材を含有する食品と、調味材とを一体化した凍結乾燥食品の復元性を向上できることを知見した。
【0009】
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 固形食材を含有する食品を処理液と接触させる接触工程と、
前記処理液と接触させた前記固形食材を含有する食品を凍結する凍結工程と、
前記凍結工程で凍結した前記固形食材を含有する食品を、調味材の凍結物と共に凍結乾燥する凍結乾燥工程と、
を含むことを特徴とする凍結乾燥食品の製造方法である。
<2> 前記凍結乾燥工程が、前記凍結工程で凍結した前記固形食材を含有する食品の上に、前記調味材の凍結物が位置する状態で凍結乾燥する工程である前記<1>に記載の凍結乾燥食品の製造方法である。
<3> 前記凍結乾燥工程が、前記調味材の凍結物の上に、前記凍結工程で凍結した前記固形食材を含有する食品が位置する状態で凍結乾燥する工程である前記<1>に記載の凍結乾燥食品の製造方法である。
<4> 前記凍結工程が、前記固形食材を含有する食品を前記処理液に浸漬した状態で凍結する工程である前記<1>から<3>のいずれかに記載の凍結乾燥食品の製造方法である。
<5> 前記凍結工程が、前記処理液と接触させた後、液切りした前記固形食材を含有する食品を凍結する工程である前記<1>から<3>のいずれかに記載の凍結乾燥食品の製造方法である。
<6> 前記処理液が、糖アルコールを含有する前記<1>から<5>のいずれかに記載の凍結乾燥食品の製造方法である。
<7> 固形食材を含有する食品を処理液と接触させる接触工程と、
前記処理液と接触させた前記固形食材を含有する食品を凍結する凍結工程と、
前記凍結工程で凍結した前記固形食材を含有する食品を、調味材の凍結物と共に凍結乾燥する凍結乾燥工程と、
を含むことを特徴とする凍結乾燥食品の復元性向上方法である。
<8> 前記凍結乾燥工程が、前記凍結工程で凍結した前記固形食材を含有する食品の上に、前記調味材の凍結物が位置する状態で凍結乾燥する工程である前記<7>に記載の凍結乾燥食品の復元性向上方法である。
<9> 前記凍結乾燥工程が、前記調味材の凍結物の上に、前記凍結工程で凍結した前記固形食材を含有する食品が位置する状態で凍結乾燥する工程である前記<7>に記載の凍結乾燥食品の復元性向上方法である。
<10> 前記凍結工程が、前記固形食材を含有する食品を前記処理液に浸漬した状態で凍結する工程である前記<7>から<9>のいずれかに記載の凍結乾燥食品の復元性向上方法である。
<11> 前記凍結工程が、前記処理液と接触させた後、液切りした前記固形食材を含有する食品を凍結する工程である前記<7>から<9>のいずれかに記載の凍結乾燥食品の復元性向上方法である。
<12> 前記処理液が、糖アルコールを含有する前記<7>から<11>のいずれかに記載の凍結乾燥食品の復元性向上方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、簡易な方法で、復元性が良好な、固形食材を含有する食品を含む凍結乾燥食品を製造することができる凍結乾燥食品の製造方法及び凍結乾燥食品の復元性向上方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(凍結乾燥食品の製造方法、凍結乾燥食品の復元性向上方法)
本発明の凍結乾燥食品の製造方法は、接触工程と、凍結工程(1)と、凍結乾燥工程とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
本発明の凍結乾燥食品の復元性向上方法は、接触工程と、凍結工程(1)と、凍結乾燥工程とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
本発明の凍結乾燥食品の復元性向上方法は、本発明の凍結乾燥食品の製造方法と同様にして実施することができるため、以下では、本発明の凍結乾燥食品の製造方法と本発明の凍結乾燥食品の復元性向上方法をまとめて説明する。
【0012】
<固形食材を含有する食品>
前記固形食材を含有する食品(以下、「固形食材含有食品」と称することがある。)は、固形食材を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
【0013】
前記固形食材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、肉類、魚介類、野菜類、これらを模した食材などが挙げられる。
前記固形食材は、いずれか1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記固形食材の前記固形食材含有食品における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記固形食材含有食品は、固形食材のみからなるものであってもよい。
【0014】
前記肉類としては、食品に用いることができるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、鶏肉、牛肉、豚肉、羊肉、馬肉、猪肉、猪豚肉、鴨肉、合鴨肉、七面鳥肉、家鴨肉などが挙げられる。
【0015】
前記魚介類としては、食品に用いることができるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、えび;いか;たこ;鮭、鱈、鮪、鱒、ムツ、鯛、鰆、鰤、鰈、鰹、鯵、鰯、秋刀魚、間八等の魚肉;はまぐり、ほたて、いたやがい等の貝類などが挙げられる。
【0016】
前記肉類及び魚介類の使用する部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0017】
前記野菜類としては、食品に用いることができるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、さつまいも、里芋、にんじん、かぼちゃ、ごぼう、キャベツ、ブロッコリーなどが挙げられる。
【0018】
前記野菜類の使用する部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0019】
前記これらを模した食材とは、調理した際に、上記した肉類、魚介類、又は野菜類と同様の食感等を有する食品を製造することができる食材のことをいう。
前記これらを模した食材としては、特に制限はなく、公知の食材を適宜選択することができ、例えば、大豆たん白や小麦たん白等の植物性原料を用いて製造された食材などが挙げられる。
【0020】
前記固形食材含有食品としては、固形食材を含む限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ハンバーグ、ポークカツ、チキンカツ、海老天ぷらなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0021】
<凍結乾燥食品>
前記凍結乾燥食品は、前記固形食材含有食品と、調味材とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。前記凍結乾燥食品は、前記固形食材含有食品と、前記調味材とからなるものであってもよい。
【0022】
前記調味材とは、前記固形食材含有食品の調味をするために用いるものであり、例えば、デミグラスソース、カレーソース、天丼ソース等の調味液などが挙げられる。また、前記調味液には、例えば、味噌汁等の調味料を含むものも含まれる。なお、前記調味材は、固形成分が含まれていてもよい。
【0023】
前記凍結乾燥食品におけるその他の成分としては、特に制限はなく、熱湯で湯戻しするタイプの凍結乾燥した即席食品に通常用いられる具材などを目的に応じて適宜選択することができる。
【0024】
前記凍結乾燥食品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、みそかつ、チキンカツカレー、トンカツカレー、海老天丼の具、味噌汁などが挙げられる。
【0025】
前記凍結乾燥食品の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、形状としては、ブロック状などが挙げられる。また、構造としては、前記固形食材含有食品の層と、前記調味材の層とを含む少なくとも2層の複層構造などが挙げられる。前記固形食材含有食品の層と、前記調味材の層とは、前記凍結乾燥食品を置いた際に、上下方向に積層されたものであってもよいし、左右方向に並べて配置されたものであってもよい。
【0026】
本発明は、接触工程と、凍結工程(1)と、凍結乾燥工程とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含むことができる。前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、固形食材含有食品調製工程、調味材充填工程、凍結工程(2)などが挙げられる。
【0027】
<固形食材含有食品調製工程>
前記固形食材含有食品調製工程は、固形食材を含有する食品を調製する工程である。
【0028】
前記固形食材含有食品調製工程における処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カット処理、穴開け処理、油調処理、充填処理、殺菌処理などが挙げられる。
【0029】
前記カット処理は、前記固形食材含有食品をカットする工程である。
前記固形食材の厚み、形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記固形食材は、凍結したものを解凍してから用いてもよいし、未凍結のものをそのまま用いてもよい。
【0030】
前記穴開け処理は、前記固形食材含有食品に対して穴開けを行う処理である。
前記穴開けの方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、ミートテンダライザーを用いて行う方法などが挙げられる。
前記穴の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記穴の大きさ(直径)、深さ、穴と穴との間隔としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記穴は、対象の厚み部分を貫通する必要はないが、貫通してもよい。
前記穴開けは、前記固形食材含有食品の一方の面にのみ行ってもよいし、両方の面に行ってもよい。
前記穴開けは、1度に複数個所に穴を開けてもよいし、複数回に分けて穴を開けてもよい。
【0031】
前記油調処理は、前記固形食材含有食品を油調(以下、「フライ」、「油揚げ」と称することがある。)する工程である。
前記油調の方法及び条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0032】
前記充填処理は、前記固形食材含有食品を容器に充填する工程である。
前記容器としては、凍結乾燥食品の製造に用いることができる容器であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0033】
前記殺菌処理は、前記固形食材含有食品に対して殺菌を行う処理である。
前記殺菌の方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、蒸煮(スチーム)、茹で(ボイル)などが挙げられる。
前記殺菌の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0034】
上記した各処理を行なう順序としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0035】
<接触工程>
前記接触工程は、前記固形食材含有食品を処理液と接触させる工程である。
【0036】
-処理液-
前記処理液は、水等の食品に用いることができる水性溶媒のみからなるものであってもよいし、糖アルコールを含有するものであってもよい。これらの中でも、復元性をより良好にすることができる点で、糖アルコールを含有するものが好ましい。
前記処理液は、必要に応じてその他の成分を含んでいてもよい。
【0037】
前記糖アルコールとしては、食品に用いることができるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、還元水飴、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、還元パラチノースなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記糖アルコールの中でも、より優れた効果が得られる点で、還元水飴、ソルビトールが好ましい。
【0038】
前記処理液における前記糖アルコールの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1~10質量%が好ましく、1.5~5質量%がより好ましく、2~4質量%が特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、復元性と風味とが共に優れる点で、有利である。
【0039】
前記処理液におけるその他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化防止剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記酸化防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビタミンE、ビタミンCなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記処理液における前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0040】
前記接触の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記固形食材含有食品を前記処理液に浸漬させる方法、前記処理液を前記固形食材含有食品に塗布したり、噴霧したりする方法などが挙げられる。例えば、前記固形食材含有食品を詰めた容器に前記処理液を充填し、接触させることができる。
【0041】
前記処理液の前記固形食材含有食品に対する使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、浸漬の場合には、前記固形食材含有食品の全体が漬かる程度の量を使用することができ、塗布又は噴霧の場合には、前記固形食材含有食品の全体が前記処理液に接する程度の量を使用することができる。
【0042】
前記接触の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10分間以上が好ましく、20分間以上がより好ましく、30分間以上が特に好ましい。
【0043】
前記固形食材含有食品は、前記接触工程後に液切りを行ってもよいし、液切りを行わずにそのまま後述の工程を行ってもよい。
【0044】
<凍結工程(1)>
前記凍結工程(1)は、前記処理液と接触させた前記固形食材含有食品を凍結する工程である。
【0045】
前記凍結工程(1)の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(a)前記固形食材含有食品を前記処理液に浸漬した状態で凍結する態様、(b)前記処理液と接触させた後、液切りした前記固形食材含有食品を凍結する態様などが挙げられる。
【0046】
前記凍結の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、-10℃以下で完全に凍結するまで静置するなどが挙げられる。なお、凍結の際の温度は、一定であってもよいし、異なる温度で段階的に凍結してもよい。
【0047】
<調味材充填工程>
前記調味材充填工程は、容器に前記調味材を充填する工程である。
【0048】
前記調味材を充填する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、未凍結の調味材を容器に充填する方法、凍結させた調味材を容器に充填する方法などが挙げられる。具体的には、(c)前記凍結工程(1)で凍結した前記固形食材含有食品の上又は前記容器に、液体状等の未凍結の調味材を充填する方法、(d)凍結した状態の調味材を前記凍結工程(1)で凍結した前記固形食材含有食品の上又は前記容器に配置する方法などが挙げられる。前記(c)の方法では、後述する凍結工程(2)で調味材を凍結することができる。
【0049】
前記調味材の使用量としては、特に制限はなく、前記固形食材含有食品の種類などに応じて適宜選択することができる。
【0050】
<凍結工程(2)>
前記凍結工程(2)は、容器に充填した調味材を凍結する工程である。
【0051】
前記凍結工程(2)は、前記固形食材含有食品の凍結の前に行ってもよいし、後に行ってもよい。
前記凍結工程(2)の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(e)前記固形食材含有食品が入っていない容器に充填された調味材を凍結する態様、(f)前記凍結した固形食材含有食品が入っている容器に、前記固形食材含有食品の上から未凍結の調味材を充填し、凍結する態様などが挙げられる。
【0052】
前記凍結の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、-5℃以下で完全に凍結するまで静置するなどが挙げられる。なお、凍結の際の温度は、一定であってもよいし、異なる温度で段階的に凍結してもよい。
【0053】
なお、前記凍結工程(2)の代わりに、凍結した調味材を用意し、それを容器に充填することもできる。
【0054】
<凍結乾燥工程>
前記凍結乾燥工程は、前記凍結工程で凍結した前記固形食材含有食品を、調味材の凍結物と共に凍結乾燥(以下、「真空凍結乾燥」と称することがある。)する工程である。
前記凍結乾燥工程は、前記凍結工程(1)よりも後に行われればよく、前記凍結工程(1)と、前記凍結乾燥工程との間に他の工程が含まれていてもよい。
【0055】
前記凍結乾燥の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(i)前記凍結工程(1)で凍結した前記固形食材含有食品の上に、前記調味材の凍結物が位置する状態で凍結乾燥する態様、(ii)前記調味材の凍結物の上に、前記凍結工程(1)で凍結した前記固形食材含有食品が位置する状態で凍結乾燥する態様などが挙げられる。
【0056】
前記凍結乾燥の方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。
【0057】
前記真空凍結乾燥は、公知の凍結乾燥機を用いて行うことができる。
前記真空凍結乾燥の方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができるが、真空度90Pa以下に減圧するとともに、昇温させて真空凍結乾燥させることが好ましい。
前記真空凍結乾燥後の凍結乾燥食品の水分量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5質量%以下が好ましい。
【0058】
本発明の方法によれば、前記固形食材含有食品と、前記調味材とを含み、2層以上の層構造を有し、前記固形食材含有食品と、前記調味材とが一体化した凍結乾燥食品であって、復元性が良好な凍結乾燥食品を製造することができる。
【0059】
また、より優れた復元性を得るために、喫食時には、前記固形食材含有食品の側から熱湯が接するように、熱湯を注ぐことが好ましい。
【実施例0060】
以下に試験例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの試験例に何ら限定されるものではない。
【0061】
(試験例1)
固形食材を含有する食品の一例として、ハンバーグを用い、以下のようにして、凍結乾燥食品を製造した。
【0062】
<工程A:ハンバーグの調製>
加熱調理済みの冷凍ハンバーグを解凍後、ミートテンダライザーを用いて物理的に穴を開けた。次いで、蒸煮処理(90℃達温停止)を行い、殺菌した。
なお、加熱調理済みの冷凍ハンバーグの処方は、下記のとおりとした。
-加熱調理済みの冷凍ハンバーグの処方-
・ 牛肉 ・・・ 40.0質量%
・ たまねぎ ・・・ 20.0質量%
・ つなぎ(パン粉・液卵白) ・・・ 9.0質量%
・ 粒状大豆たん白 ・・・ 5.0質量%
・ 乳たん白 ・・・ 1.0質量%
・ 食塩 ・・・ 1.0質量%
・ 果実調味料 ・・・ 0.5質量%
・ 香辛料 ・・・ 0.2質量%
・ pH調整剤 ・・・ 0.3質量%
・ 水 ・・・ 23.0質量%
合計 100.0質量%
【0063】
<工程B:接触>
殺菌したハンバーグ(90.0g)を個食容器に手詰めした。次いで、処理液(水又は糖アルコールを含有する水)70.0g(ハンバーグが浸る程度、処理液の詳細は表1~2参照)を充填し、一定時間静置した(以下、「接触時間」と称することがある。接触時間は表1~2参照)。
【0064】
<工程C:凍結>
一定時間静置した後のハンバーグを個食容器ごと-25℃の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させた。
【0065】
<工程D:調味液充填>
凍結した後のハンバーグの上から調味液(デミグラスソース)100.0gを充填した。
【0066】
<工程E:凍結>
再度個食容器ごと-5℃以下の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させ、凍結したハンバーグ(処理液の凍結物を含む)の上に、調味液の凍結物が位置する2層構造の積層構造物とした。
【0067】
<工程F:凍結乾燥>
前記積層構造物を、個食容器ごと凍結乾燥機(共和真空技術株式会社製)を用い、60Paの圧力で真空凍結乾燥を行った。これにより、調味層とハンバーグ層との2層構造の乾燥ブロックである凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0068】
<評価>
得られた凍結乾燥食品を、ハンバーグ面が上になるように皿に置き、熱湯160mLをハンバーグ面に注ぎ、2分間混ぜた後に喫食し、復元性及び風味を下記の評価基準で評価した。結果を表1~2に示す。なお、評価は、訓練された3名の評価者により実施した。復元性の評価結果は3名の評価者による評価結果の平均値を示した。風味の評価結果は、3名の評価者で一致した結果となった(試験例2以降も同様)。
【0069】
[評価基準]
-復元性-
5点 : 復元しており、食感が非常に柔らかい。
4点 : 復元しており、食感が柔らかい。
3点 : 復元している。
2点 : 外側は復元しているが、中心部は復元していない。
1点 : 復元していない。
【0070】
-風味-
○ : 甘味は感じられない。
△ : 甘味がややある。
× : 甘味が強い。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
以上の結果から、本発明の方法によれば、固形食材を含有する食品と、調味材とが積層された状態で一体となったブロックとした場合でも、2分間以内という短時間で喫食可能な状態に復元することができ、復元性が良好な凍結乾燥食品を製造できることが確認された。また、本発明の方法によれば、固形食材を含有する食品と、調味材とを別々のブロックとして製造するよりも製造工程を簡略化することができた。
【0074】
(試験例2)
<試験例2-1>
試験例1-3と同様にして工程A~Fを行い、調味層とハンバーグ層との2層構造の乾燥ブロックである凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0075】
<試験例2-2>
工程Bを行わなかった以外は、試験例2-1と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。なお、本試験例の凍結乾燥食品は、ハンバーグ部分と調味部分とが同一層に位置する単層構造の凍結乾燥食品となった。
【0076】
<試験例2-3>
-工程1-
個食容器に、調味液(デミグラスソース)100.0gを充填した。
【0077】
-工程2-
調味液を個食容器ごと-5℃以下の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させた。
【0078】
-工程3-
試験例2-1における工程Aと同様にして、ハンバーグを調製した。
【0079】
-工程5-
調味液の凍結物の上に前記ハンバーグを置き、再度個食容器ごと-25℃の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させ、調味液の凍結物の上に、凍結したハンバーグが位置する2層構造の積層構造物とした。なお、本試験例のハンバーグは、処理液と接触させる接触工程を行わなかった。
【0080】
-工程6-
試験例2-1における工程Fと同様にして、凍結乾燥を行い、ハンバーグ層と調味層との2層構造の乾燥ブロックである凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0081】
<試験例2-4>
-工程1-
個食容器に、調味液(デミグラスソース)100.0gを充填した。
【0082】
-工程2-
調味液を個食容器ごと-5℃以下の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させた。
【0083】
-工程3-
試験例2-1における工程Aと同様にして、ハンバーグを調製した。
【0084】
-工程4-
殺菌したハンバーグ(90.0g)を処理液(2質量%の還元水飴含有水)70.0gに浸漬し、30分間静置した後、液切りした。
【0085】
-工程5-
調味液の凍結物の上に前記ハンバーグを置き、再度個食容器ごと-25℃の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させ、調味液の凍結物の上に、凍結したハンバーグが位置する2層構造の積層構造物とした。
【0086】
-工程6-
試験例2-1における工程Fと同様にして、凍結乾燥を行い、ハンバーグ層と調味層との2層構造の乾燥ブロックである凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0087】
<試験例2-5>
-工程1-
個食容器に、調味液(デミグラスソース)100.0gを充填した。
【0088】
-工程2-
調味液を個食容器ごと-5℃以下の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させた。
【0089】
-工程3-
試験例2-1における工程Aと同様にして、ハンバーグを調製した。
【0090】
-工程4-
調味液の凍結物の上に前記殺菌したハンバーグ(90.0g)を手詰めした。次いで、処理液(2質量%の還元水飴含有水)をハンバーグが浸る程度まで充填し、30分間静置した。
【0091】
-工程5-
30分間静置した後、再度個食容器ごと-25℃の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させ、調味液の凍結物の上に、凍結したハンバーグ(処理液の凍結物を含む)が位置する2層構造の積層構造物とした。
【0092】
-工程6-
試験例2-1における工程Fと同様にして、凍結乾燥を行い、ハンバーグ層と調味層との2層構造の乾燥ブロックである凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0093】
<評価>
得られた凍結乾燥食品について、試験例1と同様にして評価を行った。結果を表3に示す。なお、試験例2-2及び2-3では、復元しなかったため、風味の評価は行えなかった(表中、「※」で示した。)。
【0094】
【表3】
【0095】
試験例2-1、2-4、及び2-5の結果から、製造工程を変えた場合でも、本発明の方法によれば、復元性が良好な凍結乾燥食品を製造できることが確認された。
【0096】
(試験例3)
固形食材を含有する食品の一例として、ポークカツを用い、以下のようにして、凍結乾燥食品を製造した。
【0097】
<試験例3-1>
-ポークカツの調製-
ポークカツを180~185℃で3分間フライし、4等分にカットし、容器に手詰めした(70.00g)。
【0098】
-接触-
次いで、処理液(糖アルコール含有水(還元水飴濃度 0.64質量%))40.00g(ポークカツが浸る程度)を前記容器に充填し、30分間静置した。
【0099】
-蒸煮-
次いで、蒸煮処理(90℃達温後3分間)を行い、殺菌した。
【0100】
-凍結-
蒸煮後のポークカツを容器ごと-25℃の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させた。
【0101】
-調味液充填-
凍結した後のポークカツの上から調味液(みそかつのソース)103.00gを充填した。
【0102】
-凍結-
再度容器ごと-5℃以下の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させ、凍結したポークカツ(処理液の凍結物を含む)の上に、調味液の凍結物が位置する2層構造の積層構造物とした。
【0103】
-凍結乾燥-
前記積層構造物を、容器ごと凍結乾燥機(共和真空技術株式会社製)を用い、60Paの圧力で真空凍結乾燥を行った。これにより、調味層とポークカツ層との2層構造の乾燥ブロックである凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0104】
<試験例3-2>
接触処理及び蒸煮処理を行なわなかった以外は、試験例3-1と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0105】
<評価>
試験例1と同様にして、得られた凍結乾燥食品について評価を行った。結果を表4に示す。
【0106】
【表4】
【0107】
(試験例4)
固形食材を含有する食品の一例として、チキンカツを用い、以下のようにして、凍結乾燥食品を製造した。
【0108】
<試験例4-1>
-チキンカツの調製-
チキンカツを180~185℃で3分間フライし、4等分にカットし、容器に手詰めした(75.00g)。
【0109】
-接触-
次いで、処理液(糖アルコール含有水(還元水飴濃度 1.3質量%))20.00g(チキンカツが浸る程度)を前記容器に充填し、30分間静置した。
【0110】
-蒸煮-
次いで、蒸煮処理(90℃達温後3分間)を行い、殺菌した。
【0111】
-凍結-
蒸煮後のチキンカツを容器ごと-25℃の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させた。
【0112】
-調味液充填-
凍結した後のチキンカツの上から調味液(チキンカツカレーのソース)145.00gを充填した。
【0113】
-凍結-
再度容器ごと-5℃以下の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させ、凍結したチキンカツ(処理液の凍結物を含む)の上に、調味液の凍結物が位置する2層構造の積層構造物とした。
【0114】
-凍結乾燥-
前記積層構造物を、容器ごと凍結乾燥機(共和真空技術株式会社製)を用い、60Paの圧力で真空凍結乾燥を行った。これにより、調味層とチキンカツ層との2層構造の乾燥ブロックである凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0115】
<試験例4-2>
接触処理及び蒸煮処理を行なわなかった以外は、試験例4-1と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0116】
<評価>
試験例1と同様にして、得られた凍結乾燥食品について評価を行った。結果を表5に示す。
【0117】
【表5】
【0118】
(試験例5)
固形食材を含有する食品の一例として、海老天ぷらを用い、以下のようにして、凍結乾燥食品を製造した。
【0119】
<試験例5-1>
-海老天ぷらの調製-
冷凍海老天ぷらを解凍し、0.1質量%のビタミンE含有液に5秒間浸漬させた。次いで、蒸煮処理(90℃達温停止)を行い、殺菌した。
【0120】
-接触-
殺菌した海老天74.00gを容器に手詰めした。次いで、処理液(糖アルコール含有水(還元水飴濃度 0.5質量%))20.10g(海老天ぷらが浸る程度)を前記容器に充填し、30分間静置した。
【0121】
-三つ葉の手詰め-
次いで、解凍した三つ葉(4.00g)を海老天の上に手詰めした。
【0122】
-凍結-
海老天ぷらを容器ごと-25℃の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させた。
【0123】
-調味液充填-
凍結した後の海老天ぷらの上から調味液(海老天丼のソース)129.97gを充填した。
【0124】
-凍結-
再度容器ごと-25℃の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させ、凍結した海老天ぷら(処理液の凍結物、三つ葉を含む)の上に、調味液の凍結物が位置する2層構造の積層構造物とした。
【0125】
-凍結乾燥-
前記積層構造物を、個食容器ごと凍結乾燥機(共和真空技術株式会社製)を用い、60Paの圧力で真空凍結乾燥を行った。これにより、調味層と海老天ぷら層との2層構造の乾燥ブロックである凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0126】
<試験例5-2>
接触処理を行なわず、調味液の量を145.00gに変更した以外は、試験例5-1と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0127】
<試験例5-3>
海老天ぷらの調製処理におけるビタミンE含有液への浸漬時間を10秒間に変更し、接触処理における処理液の使用量を30.00g、還元水飴濃度を2質量%に変更し、三つ葉の量を3.20gに変更し、調味液の量を120.00gに変更した以外は、試験例5-1と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0128】
<評価>
試験例1と同様にして、得られた凍結乾燥食品について評価を行った。結果を表6に示す。
【0129】
【表6】
【0130】
(試験例6)
固形食材を含有する食品の一例として、銀杏切りしたさつまいもを用い、以下のようにして、凍結乾燥食品を製造した。
【0131】
<試験例6-1>
-さつまいもの調製-
さつまいもを銀杏切り(厚み5mm)した後、ミートテンダライザーを用いて物理的に穴を開けた。次いで、蒸煮処理(90℃達温3分間)を行い、殺菌した。
【0132】
-接触-
殺菌したさつまいも(40.0g)を個食容器に手詰めした。次いで、処理液(糖アルコール含有水(還元水飴濃度 2質量%))40.0g(さつまいもが浸る程度)を前記容器に充填し、30分間静置した。
【0133】
-凍結-
上記接触処理後のさつまいもを容器ごと-25℃の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させた。
【0134】
-調味液充填-
凍結した後のさつまいもの上から調味液(デミグラスソース)80.0gを充填した。
【0135】
-凍結-
再度容器ごと-5℃以下の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させ、凍結したさつまいも(処理液の凍結物を含む)の上に、調味液の凍結物が位置する2層構造の積層構造物とした。
【0136】
-凍結乾燥-
前記積層構造物を、容器ごと凍結乾燥機(共和真空技術株式会社製)を用い、60Paの圧力で真空凍結乾燥を行った。これにより、調味層とさつまいも層との2層構造の乾燥ブロックである凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0137】
<試験例6-2>
接触処理を行なわなかった以外は、試験例6-1と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0138】
<評価>
試験例1と同様にして、得られた凍結乾燥食品について評価を行った。結果を表7に示す。
【0139】
【表7】
【0140】
(試験例7)
固形食材を含有する食品の一例として、短冊切りしたさつまいもを用い、以下のようにして、凍結乾燥食品を製造した。
【0141】
<試験例7-1>
-さつまいもの調製-
さつまいもを短冊切り(厚み5mm)した後、ミートテンダライザーを用いて物理的に穴を開けた。次いで、蒸煮処理(90℃達温3分間)を行い、殺菌した。
【0142】
-接触-
殺菌したさつまいも(40.0g)を個食容器に手詰めした。次いで、処理液(糖アルコール含有水(還元水飴濃度 2質量%))40.0g(さつまいもが浸る程度)を前記容器に充填し、30分間静置した。
【0143】
-凍結-
上記接触処理後のさつまいもを容器ごと-25℃の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させた。
【0144】
-調味液充填-
凍結した後のさつまいもの上から調味液(デミグラスソース)80.0gを充填した。
【0145】
-凍結-
再度容器ごと-5℃以下の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させ、凍結したさつまいも(処理液の凍結物を含む)の上に、調味液の凍結物が位置する2層構造の積層構造物とした。
【0146】
-凍結乾燥-
前記積層構造物を、容器ごと凍結乾燥機(共和真空技術株式会社製)を用い、60Paの圧力で真空凍結乾燥を行った。これにより、調味層とさつまいも層との2層構造の乾燥ブロックである凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0147】
<試験例7-2>
接触処理を行なわなかった以外は、試験例7-1と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0148】
<試験例7-3>
さつまいもの調製において、穴開け処理を行なわなかった以外は、試験例7-1と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0149】
<試験例7-4>
接触処理を行なわなかった以外は、試験例7-3と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0150】
<評価>
試験例1と同様にして、得られた凍結乾燥食品について評価を行った。結果を表8に示す。
【0151】
【表8】
【0152】
(試験例8)
固形食材を含有する食品の一例として、里芋を用い、以下のようにして、凍結乾燥食品を製造した。
【0153】
<試験例8-1>
-里芋の調製-
冷凍里芋を解凍し、厚み5mmに切った後、ボイル(90℃達温90秒間)し、殺菌した。
【0154】
-接触-
殺菌した里芋(40.0g)を個食容器に手詰めした。次いで、処理液(糖アルコール含有水(還元水飴濃度 2質量%))40.0g(里芋が浸る程度)を前記容器に充填し、30分間静置した。
【0155】
-凍結-
上記接触処理後の里芋を容器ごと-25℃の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させた。
【0156】
-調味液充填-
凍結した後の里芋の上から調味液(デミグラスソース)80.0gを充填した。
【0157】
-凍結-
再度容器ごと-5℃以下の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させ、凍結した里芋(処理液の凍結物を含む)の上に、調味液の凍結物が位置する2層構造の積層構造物とした。
【0158】
-凍結乾燥-
前記積層構造物を、容器ごと凍結乾燥機(共和真空技術株式会社製)を用い、60Paの圧力で真空凍結乾燥を行った。これにより、調味層と里芋層との2層構造の乾燥ブロックである凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0159】
<試験例8-2>
接触処理を行なわなかった以外は、試験例8-1と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0160】
<試験例8-3>
調味液として味噌汁を用いた以外は、試験例8-1と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0161】
<試験例8-4>
接触処理を行なわなかった以外は、試験例8-3と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0162】
<評価>
試験例1と同様にして、得られた凍結乾燥食品について評価を行った。結果を表9に示す。
【0163】
【表9】
【0164】
(試験例9)
固形食材を含有する食品の一例として、にんじんを用い、以下のようにして、凍結乾燥食品を製造した。
【0165】
<試験例9-1>
-にんじんの調製-
にんじんを15mm四方のサイコロ状にカットした後、ミートテンダライザーを用いて物理的に穴を開けた。次いで、ボイル(90℃達温10分間)を行い、殺菌した。
【0166】
-接触-
殺菌したにんじん(30.0g)を個食容器に手詰めした。次いで、処理液(糖アルコール含有水(還元水飴濃度 2質量%))40.0g(にんじんが浸る程度)を前記容器に充填し、30分間静置した。
【0167】
-凍結-
上記接触処理後のにんじんを容器ごと-25℃の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させた。
【0168】
-調味液充填-
凍結した後のにんじんの上から調味液(デミグラスソース)80.0gを充填した。
【0169】
-凍結-
再度容器ごと-5℃以下の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させ、凍結したにんじん(処理液の凍結物を含む)の上に、調味液の凍結物が位置する2層構造の積層構造物とした。
【0170】
-凍結乾燥-
前記積層構造物を、容器ごと凍結乾燥機(共和真空技術株式会社製)を用い、60Paの圧力で真空凍結乾燥を行った。これにより、調味層とにんじん層との2層構造の乾燥ブロックである凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0171】
<試験例9-2>
接触処理を行なわなかった以外は、試験例9-1と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0172】
<試験例9-3>
にんじんの調製において、穴開け処理を行なわなかった以外は、試験例9-1と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0173】
<試験例9-4>
接触処理を行なわなかった以外は、試験例9-3と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0174】
<評価>
試験例1と同様にして、得られた凍結乾燥食品について評価を行った。結果を表10に示す。
【0175】
【表10】
【0176】
(試験例10)
固形食材を含有する食品の一例として、かぼちゃを用い、以下のようにして、凍結乾燥食品を製造した。
【0177】
<試験例10-1>
-かぼちゃの調製-
厚み5mmに切ったかぼちゃを蒸煮処理(90℃達温3分間)し、殺菌した。
【0178】
-接触-
殺菌したかぼちゃ(20.0g)を個食容器に手詰めした。次いで、処理液(糖アルコール含有水(還元水飴濃度 2質量%))40.0g(かぼちゃが浸る程度)を前記容器に充填し、30分間静置した。
【0179】
-凍結-
上記接触処理後のかぼちゃを容器ごと-25℃の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させた。
【0180】
-調味液充填-
凍結した後のかぼちゃの上から調味液(デミグラスソース)80.0gを充填した。
【0181】
-凍結-
再度容器ごと-5℃以下の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させ、凍結したかぼちゃ(処理液の凍結物を含む)の上に、調味液の凍結物が位置する2層構造の積層構造物とした。
【0182】
-凍結乾燥-
前記積層構造物を、容器ごと凍結乾燥機(共和真空技術株式会社製)を用い、60Paの圧力で真空凍結乾燥を行った。これにより、調味層とかぼちゃ層との2層構造の乾燥ブロックである凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0183】
<試験例10-2>
接触処理を行なわなかった以外は、試験例10-1と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0184】
<試験例10-3>
調味液として味噌汁を用いた以外は、試験例10-1と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0185】
<試験例10-4>
接触処理を行なわなかった以外は、試験例10-3と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0186】
<評価>
試験例1と同様にして、得られた凍結乾燥食品について評価を行った。結果を表11に示す。
【0187】
【表11】
【0188】
(試験例11)
固形食材を含有する食品の一例として、ごぼうを用い、以下のようにして、凍結乾燥食品を製造した。
【0189】
<試験例11-1>
-ごぼうの調製-
ごぼうを厚み5mmにカットした後、ミートテンダライザーを用いて物理的に穴を開けた。次いで、ボイル(90℃達温10分間)を行い、殺菌した。
【0190】
-接触-
殺菌したごぼう(15.0g)を個食容器に手詰めした。次いで、処理液(糖アルコール含有水(還元水飴濃度 2質量%))20.0g(ごぼうが浸る程度)を前記容器に充填し、30分間静置した。
【0191】
-凍結-
上記接触処理後のごぼうを容器ごと-25℃の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させた。
【0192】
-調味液充填-
凍結した後のごぼうの上から調味液(デミグラスソース)80.0gを充填した。
【0193】
-凍結-
再度容器ごと-5℃以下の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させ、凍結したごぼう(処理液の凍結物を含む)の上に、調味液の凍結物が位置する2層構造の積層構造物とした。
【0194】
-凍結乾燥-
前記積層構造物を、容器ごと凍結乾燥機(共和真空技術株式会社製)を用い、60Paの圧力で真空凍結乾燥を行った。これにより、調味層とごぼう層との2層構造の乾燥ブロックである凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0195】
<試験例11-2>
接触処理を行なわなかった以外は、試験例11-1と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0196】
<試験例11-3>
ごぼうの調製において、穴開け処理を行なわなかった以外は、試験例11-1と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0197】
<試験例11-4>
接触処理を行なわなかった以外は、試験例11-3と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0198】
<評価>
試験例1と同様にして、得られた凍結乾燥食品について評価を行った。結果を表12に示す。
【0199】
【表12】
【0200】
(試験例12)
固形食材を含有する食品の一例として、キャベツを用い、以下のようにして、凍結乾燥食品を製造した。
【0201】
<試験例12-1>
-キャベツの調製-
30mm角に切ったキャベツをボイル(95℃以上2分間)し、殺菌した。
【0202】
-接触-
殺菌したキャベツ(40.0g)を個食容器に手詰めした。次いで、処理液(糖アルコール含有水(還元水飴濃度 2質量%))40.0g(キャベツが浸る程度)を前記容器に充填し、30分間静置した。
【0203】
-凍結-
上記接触処理後のキャベツを容器ごと-25℃の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させた。
【0204】
-調味液充填-
凍結した後のキャベツの上から調味液(デミグラスソース)80.0gを充填した。
【0205】
-凍結-
再度容器ごと-5℃以下の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させ、凍結したキャベツ(処理液の凍結物を含む)の上に、調味液の凍結物が位置する2層構造の積層構造物とした。
【0206】
-凍結乾燥-
前記積層構造物を、容器ごと凍結乾燥機(共和真空技術株式会社製)を用い、60Paの圧力で真空凍結乾燥を行った。これにより、調味層とキャベツ層との2層構造の乾燥ブロックである凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0207】
<試験例12-2>
接触処理を行なわなかった以外は、試験例12-1と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0208】
<評価>
試験例1と同様にして、得られた凍結乾燥食品について評価を行った。結果を表13に示す。
【0209】
【表13】
【0210】
(試験例13)
固形食材を含有する食品の一例として、いかを用い、以下のようにして、凍結乾燥食品を製造した。
【0211】
<試験例13-1>
-いかの調製-
冷凍いかを解凍し、厚み10mmに切った後、ミートテンダライザーを用いて物理的に穴を開けた。次いで、ボイル(90℃達温3分間)を行い、殺菌した。
【0212】
-接触-
殺菌したいか(50.0g)を個食容器に手詰めした。次いで、処理液(糖アルコール含有水(還元水飴濃度 2質量%))40.0g(いかが浸る程度)を前記容器に充填し、30分間静置した。
【0213】
-凍結-
上記接触処理後のいかを容器ごと-25℃の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させた。
【0214】
-調味液充填-
凍結した後のいかの上から調味液(デミグラスソース)80.0gを充填した。
【0215】
-凍結-
再度容器ごと-5℃以下の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させ、凍結したいか(処理液の凍結物を含む)の上に、調味液の凍結物が位置する2層構造の積層構造物とした。
【0216】
-凍結乾燥-
前記積層構造物を、容器ごと凍結乾燥機(共和真空技術株式会社製)を用い、60Paの圧力で真空凍結乾燥を行った。これにより、調味層といか層との2層構造の乾燥ブロックである凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0217】
<試験例13-2>
接触処理を行なわなかった以外は、試験例13-1と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0218】
<評価>
試験例1と同様にして、得られた凍結乾燥食品について評価を行った。結果を表14に示す。
【0219】
【表14】
【0220】
(試験例14)
固形食材を含有する食品の一例として、まぐろを用い、以下のようにして、凍結乾燥食品を製造した。
【0221】
<試験例14-1>
-まぐろの調製-
まぐろを20mm四方のサイコロ状にカットした後、ミートテンダライザーを用いて物理的に穴を開けた。次いで、ボイル(90℃達温3分間)を行い、殺菌した。
【0222】
-接触-
殺菌したまぐろ(30.0g)を個食容器に手詰めした。次いで、処理液(糖アルコール含有水(還元水飴濃度 2質量%))40.0g(まぐろが浸る程度)を前記容器に充填し、30分間静置した。
【0223】
-凍結-
上記接触処理後のまぐろを容器ごと-25℃の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させた。
【0224】
-調味液充填-
凍結した後のまぐろの上から調味液(デミグラスソース)80.0gを充填した。
【0225】
-凍結-
再度容器ごと-5℃以下の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させ、凍結したまぐろ(処理液の凍結物を含む)の上に、調味液の凍結物が位置する2層構造の積層構造物とした。
【0226】
-凍結乾燥-
前記積層構造物を、容器ごと凍結乾燥機(共和真空技術株式会社製)を用い、60Paの圧力で真空凍結乾燥を行った。これにより、調味層とまぐろ層との2層構造の乾燥ブロックである凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0227】
<試験例14-2>
接触処理を行なわなかった以外は、試験例14-1と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0228】
<試験例14-3>
まぐろの調製において、穴開け処理を行なわなかった以外は、試験例14-1と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0229】
<試験例14-4>
接触処理を行なわなかった以外は、試験例14-3と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0230】
<評価>
試験例1と同様にして、得られた凍結乾燥食品について評価を行った。結果を表15に示す。
【0231】
【表15】
【0232】
(試験例15)
固形食材を含有する食品の一例として、サーモンを用い、以下のようにして、凍結乾燥食品を製造した。
【0233】
<試験例15-1>
-サーモンの調製-
サーモンを20mm四方のサイコロ状にカットした後、ミートテンダライザーを用いて物理的に穴を開けた。次いで、ボイル(90℃達温3分間)を行い、殺菌した。
【0234】
-接触-
殺菌したサーモン(50.0g)を個食容器に手詰めした。次いで、処理液(糖アルコール含有水(還元水飴濃度 2質量%))40.0g(サーモンが浸る程度)を前記容器に充填し、30分間静置した。
【0235】
-凍結-
上記接触処理後のサーモンを容器ごと-25℃の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させた。
【0236】
-調味液充填-
凍結した後のサーモンの上から調味液(デミグラスソース)80.0gを充填した。
【0237】
-凍結-
再度容器ごと-5℃以下の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させ、凍結したサーモン(処理液の凍結物を含む)の上に、調味液の凍結物が位置する2層構造の積層構造物とした。
【0238】
-凍結乾燥-
前記積層構造物を、容器ごと凍結乾燥機(共和真空技術株式会社製)を用い、60Paの圧力で真空凍結乾燥を行った。これにより、調味層とサーモン層との2層構造の乾燥ブロックである凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0239】
<試験例15-2>
接触処理を行なわなかった以外は、試験例15-1と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0240】
<評価>
試験例1と同様にして、得られた凍結乾燥食品について評価を行った。結果を表16に示す。
【0241】
【表16】
【0242】
(試験例16)
固形食材を含有する食品の一例として、かつおを用い、以下のようにして、凍結乾燥食品を製造した。
【0243】
<試験例16-1>
-かつおの調製-
かつおを20mm四方のサイコロ状にカットした後、ミートテンダライザーを用いて物理的に穴を開けた。次いで、ボイル(90℃達温3分間)を行い、殺菌した。
【0244】
-接触-
殺菌したかつお(40.0g)を個食容器に手詰めした。次いで、処理液(糖アルコール含有水(還元水飴濃度 2質量%))40.0g(かつおが浸る程度)を前記容器に充填し、30分間静置した。
【0245】
-凍結-
上記接触処理後のかつおを容器ごと-25℃の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させた。
【0246】
-調味液充填-
凍結した後のかつおの上から調味液(デミグラスソース)80.0gを充填した。
【0247】
-凍結-
再度容器ごと-5℃以下の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させ、凍結したかつお(処理液の凍結物を含む)の上に、調味液の凍結物が位置する2層構造の積層構造物とした。
【0248】
-凍結乾燥-
前記積層構造物を、容器ごと凍結乾燥機(共和真空技術株式会社製)を用い、60Paの圧力で真空凍結乾燥を行った。これにより、調味層とかつお層との2層構造の乾燥ブロックである凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0249】
<試験例16-2>
接触処理を行なわなかった以外は、試験例16-1と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0250】
<評価>
試験例1と同様にして、得られた凍結乾燥食品について評価を行った。結果を表17に示す。
【0251】
【表17】
【0252】
(試験例17)
固形食材を含有する食品の一例として、えびを用い、以下のようにして、凍結乾燥食品を製造した。
【0253】
<試験例17-1>
-えびの調製-
えびを剥き身にした後、ミートテンダライザーを用いて物理的に穴を開けた。次いで、ボイル(90℃達温3分間)を行い、殺菌した。
【0254】
-接触-
殺菌したえび(30.0g)を個食容器に手詰めした。次いで、処理液(糖アルコール含有水(還元水飴濃度 2質量%))40.0g(えびが浸る程度)を前記容器に充填し、30分間静置した。
【0255】
-凍結-
上記接触処理後のえびを容器ごと-25℃の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させた。
【0256】
-調味液充填-
凍結した後のえびの上から調味液(デミグラスソース)80.0gを充填した。
【0257】
-凍結-
再度容器ごと-5℃以下の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させ、凍結したえび(処理液の凍結物を含む)の上に、調味液の凍結物が位置する2層構造の積層構造物とした。
【0258】
-凍結乾燥-
前記積層構造物を、容器ごと凍結乾燥機(共和真空技術株式会社製)を用い、60Paの圧力で真空凍結乾燥を行った。これにより、調味層とえび層との2層構造の乾燥ブロックである凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0259】
<試験例17-2>
接触処理を行なわなかった以外は、試験例17-1と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0260】
<評価>
試験例1と同様にして、得られた凍結乾燥食品について評価を行った。結果を表18に示す。
【0261】
【表18】
【0262】
(試験例18)
固形食材を含有する食品の一例として、ほたてを用い、以下のようにして、凍結乾燥食品を製造した。
【0263】
<試験例18-1>
-ほたての調製-
むき身のほたてを、ミートテンダライザーを用いて物理的に穴を開けた。次いで、ボイル(90℃達温3分間)を行い、殺菌した。
【0264】
-接触-
殺菌したほたて(40.0g)を個食容器に手詰めした。次いで、処理液(糖アルコール含有水(還元水飴濃度 2質量%))40.0g(ほたてが浸る程度)を前記容器に充填し、30分間静置した。
【0265】
-凍結-
上記接触処理後のほたてを容器ごと-25℃の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させた。
【0266】
-調味液充填-
凍結した後のほたての上から調味液(デミグラスソース)80.0gを充填した。
【0267】
-凍結-
再度容器ごと-5℃以下の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させ、凍結したほたて(処理液の凍結物を含む)の上に、調味液の凍結物が位置する2層構造の積層構造物とした。
【0268】
-凍結乾燥-
前記積層構造物を、容器ごと凍結乾燥機(共和真空技術株式会社製)を用い、60Paの圧力で真空凍結乾燥を行った。これにより、調味層とほたて層との2層構造の乾燥ブロックである凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0269】
<試験例18-2>
接触処理を行なわなかった以外は、試験例18-1と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0270】
<評価>
試験例1と同様にして、得られた凍結乾燥食品について評価を行った。結果を表19に示す。
【0271】
【表19】
【0272】
(試験例19)
固形食材を含有する食品の一例として、いたやがいを用い、以下のようにして、凍結乾燥食品を製造した。
【0273】
<試験例19-1>
-いたやがいの調製-
冷凍いたやがいを解凍した後、ボイル(90℃達温3分間)を行い、殺菌した。
【0274】
-接触-
殺菌したいたやがい(20.0g)を個食容器に手詰めした。次いで、処理液(糖アルコール含有水(還元水飴濃度 2質量%))40.0g(いたやがいが浸る程度)を前記容器に充填し、30分間静置した。
【0275】
-凍結-
上記接触処理後のいたやがいを容器ごと-25℃の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させた。
【0276】
-調味液充填-
凍結した後のいたやがいの上から調味液(デミグラスソース)80.0gを充填した。
【0277】
-凍結-
再度容器ごと-5℃以下の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させ、凍結したいたやがい(処理液の凍結物を含む)の上に、調味液の凍結物が位置する2層構造の積層構造物とした。
【0278】
-凍結乾燥-
前記積層構造物を、容器ごと凍結乾燥機(共和真空技術株式会社製)を用い、60Paの圧力で真空凍結乾燥を行った。これにより、調味層といたやがい層との2層構造の乾燥ブロックである凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0279】
<試験例19-2>
接触処理を行なわなかった以外は、試験例19-1と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0280】
<評価>
試験例1と同様にして、得られた凍結乾燥食品について評価を行った。結果を表20に示す。
【0281】
【表20】
【0282】
(試験例20)
固形食材を含有する食品の一例として、かんぱちを用い、以下のようにして、凍結乾燥食品を製造した。
【0283】
<試験例20-1>
-かんぱちの調製-
かんぱちを20mm四方のサイコロ状にカットした後、ミートテンダライザーを用いて物理的に穴を開けた。次いで、ボイル(90℃達温3分間)を行い、殺菌した。
【0284】
-接触-
殺菌したかんぱち(30.0g)を個食容器に手詰めした。次いで、処理液(糖アルコール含有水(還元水飴濃度 2質量%))40.0g(かんぱちが浸る程度)を前記容器に充填し、30分間静置した。
【0285】
-凍結-
上記接触処理後のかんぱちを容器ごと-25℃の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させた。
【0286】
-調味液充填-
凍結した後のかんぱちの上から調味液(デミグラスソース)80.0gを充填した。
【0287】
-凍結-
再度容器ごと-5℃以下の凍結庫で8時間以上静置し、凍結させ、凍結したかんぱち(処理液の凍結物を含む)の上に、調味液の凍結物が位置する2層構造の積層構造物とした。
【0288】
-凍結乾燥-
前記積層構造物を、容器ごと凍結乾燥機(共和真空技術株式会社製)を用い、60Paの圧力で真空凍結乾燥を行った。これにより、調味層とかんぱち層との2層構造の乾燥ブロックである凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0289】
<試験例20-2>
接触処理を行なわなかった以外は、試験例20-1と同様にして、凍結乾燥食品(水分量は、5質量%以下)を得た。
【0290】
<評価>
試験例1と同様にして、得られた凍結乾燥食品について評価を行った。結果を表21に示す。
【0291】
【表21】
【0292】
以上のように、固形食材の種類を変えた場合でも、本発明の方法によれば、復元性が良好な凍結乾燥食品を製造できることが確認された。