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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024673
(43)【公開日】2025-02-20
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/29 20060101AFI20250213BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20250213BHJP
【FI】
H01F27/29 123
H01F17/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024103397
(22)【出願日】2024-06-26
(31)【優先権主張番号】10-2023-0102793
(32)【優先日】2023-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、タエ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ドン フワン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ドン ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ボウム セオック
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジュ ヒョウン
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070BB03
5E070CB13
5E070EA01
5E070EB04
(57)【要約】
【課題】外部電極の接合性を強化してコイル部品の製品信頼性を改善する。
【解決手段】本発明の一側面によるコイル部品は、磁性物質を含む本体、上記本体内に配置されるコイル、上記コイルと連結され、Pd及びCrのうち少なくとも一つを含む第1層、上記第1層上に配置され、Niを含む第2層、及び上記第2層上に配置され、伝導性物質と樹脂を含む第3層を含む外部電極を含む。本発明の他の例によるコイル部品は、磁性物質を含む本体、上記本体内に配置されるコイル、上記本体の側面に配置され、開口部を含む絶縁層、上記開口部に配置され、上記コイルの両端部と連結される金属層、上記金属層上に配置される伝導性樹脂層を含む外部電極を含み、上記金属層はNiを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性物質を含む本体と、
前記本体内に配置されるコイルと、
前記コイルと連結され、Pd及びCrのうち少なくとも一つを含む第1層と、前記第1層上に配置され、Niを含む第2層、及び前記第2層上に配置され、伝導性物質と樹脂を含む第3層を含む外部電極と、を含む、コイル部品。
【請求項2】
前記第3層は、Ag、Ni、Cu、Co、Pd、Ptからなる群から選択される一つ以上を含む樹脂層である、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記外部電極は、前記第3層上に配置される第4層をさらに含み、
前記第4層はNiを含む、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記第2層の厚さをT、前記第4層の厚さをTとするとき、0.5T≦Tを満たす、請求項3に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記外部電極は、前記第4層上に配置される第5層をさらに含み、
前記第5層はSnを含む、請求項3に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記第1層は、前記本体の第1方向に対向する第1面及び第2面を覆う、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記本体の第3方向に対向する第5面及び第6面上に配置される絶縁層をさらに含む、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記外部電極の第3層は、前記本体の第5面及び第6面上に延長し、前記絶縁層上にも配置される、請求項7に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記本体内に配置される支持部材をさらに含み、
前記コイルは、前記支持部材の少なくとも一面に配置される、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項10】
磁性物質を含む本体と、
前記本体内に配置されるコイルと、
前記本体の側面に配置され、開口部を含む絶縁層と、
前記開口部に配置され、前記コイルの両端部と連結される金属層、前記金属層上に配置される伝導性樹脂層を含む外部電極と、を含み、
前記金属層はNiを含む、コイル部品。
【請求項11】
前記絶縁層は前記コイルの両端部を露出する、請求項10に記載のコイル部品。
【請求項12】
前記外部電極の金属層は、前記開口部を介して前記コイルの両端部と連結される、請求項10に記載のコイル部品。
【請求項13】
前記外部電極の金属層は前記絶縁層を覆う、請求項10に記載のコイル部品。
【請求項14】
前記外部電極は、前記伝導性樹脂層上に配置されるNi層及び前記Ni層上に配置されるSn層をさらに含む、請求項10に記載のコイル部品。
【請求項15】
磁性物質を含む本体と、
前記本体内に配置されるコイルと、
前記本体の第1方向に対向する第1面及び第2面のうち少なくとも一つに配置され、前記コイルの両端部と連結される金属層、前記金属層上に配置される伝導性樹脂層を含む外部電極と、を含み、
前記金属層はNiを含み、
前記金属層は、前記本体の第3方向に対向する第5面及び第6面のうち少なくとも一つに延長する、コイル部品。
【請求項16】
前記伝導性樹脂層は、前記金属層に沿って前記本体の第3方向に対向する第5面及び第6面のうち少なくとも一つに延長する、請求項15に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コイル電子部品の一つであるインダクタは、抵抗、キャパシタとともに電子回路をなしてノイズを除去する代表的な受動素子であって、電磁気的特性を利用してキャパシタと組み合わせて、特定の周波数帯域の信号を増幅させる共振回路、フィルタ回路などの構成に用いられる。
【0003】
近年、自動車市場における電気自動車の世界的かつ急速な普及に伴い、電装用高効率インダクタに対する需要が急速に増加している。電子部品の最も基本的な要求事項は信頼性である。電装用部品は、実際の使用時に既存のIT製品よりも高い応力と振動に余儀なく露出される。すなわち、電装用部品は、一般家庭用部品の信頼性よりもさらに高い温度と長時間下において信頼性を満足しなければならない。従って、電装用部品の高い信頼性確保が重要事項として浮上しており、特にコイルと電極を連結させる結合部位の信頼性は何よりも重要であるといえる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題の一つは、外部電極の接合性を強化してコイル部品の製品信頼性を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一例によるコイル部品は、磁性物質を含む本体、上記本体内に配置されるコイル、上記コイルと連結され、Pd及びCrのうち少なくとも一つを含む第1層、上記第1層上に配置され、Niを含む第2層、及び第2層上に配置され、伝導性物質と樹脂を含む第3層を含む外部電極を含む。
【0006】
本発明の他の例によるコイル部品は、磁性物質を含む本体、上記本体内に配置されるコイル、上記本体の側面に配置され、開口部を含む絶縁層、上記開口部に配置され、上記コイルの両端部と連結される金属層、上記金属層上に配置される伝導性樹脂層を含む外部電極を含み、上記金属層はNiを含む。
【0007】
本発明の他の例によるコイル部品は、磁性物質を含む本体、上記本体内に配置されるコイル、上記本体の第1方向に対向する第1面及び第2面のうち少なくとも一つに配置され、上記コイルの両端部と連結される金属層、上記金属層上に配置される伝導性樹脂層を含む外部電極を含み、上記金属層はNiを含み、上記金属層は、上記本体の第3方向に対向する第5面及び第6面のうち少なくとも一つに延長する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の様々な効果の一つは、外部電極のSn成分が外部電極と内部コイルとの接合性を劣化させる問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態によるコイル部品の概略的な斜視図である。
図2図1のI-I'線に沿って切断した断面図である。
図3】本発明の第2実施形態によるコイル部品であって、図2に対応する断面図である。
図4】本発明の第3実施形態によるコイル部品であって、図2に対応する断面図である。
図5】比較例として従来のコイル部品の外部電極の構造を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本出願で使用する用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されているものであり、本発明を限定する意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味でない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらの組み合わせが存在することを指定するものであり、一つ又はそれ以上の他の特徴や、数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらの組み合わせの存在又は付加可能性を予め排除しないことと理解されなければならない。そして、明細書全体において、「上に」とは、対象部分の上又は下に位置することを意味するものであり、必ずしも重力方向を基準に上側に位置することを意味するものではない。
【0011】
また、結合とは、各構成要素間の接触関係において、各構成要素間に物理的に直接接触する場合のみを意味するものではなく、別の構成が各構成要素の間に介在し、その別の構成に構成要素がそれぞれ接触している場合まで包括する概念として使用する。
【0012】
図面に示された各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意に示しているため、本発明は必ずしも図示によって限定されるものではない。
【0013】
図面において、X方向は第1方向又は長さ方向、Y方向は第2方向又は幅方向、Z方向は第3方向又は厚さ方向と定義することができる。
【0014】
以下、本発明の実施形態によるコイル部品を添付図面を参照して詳細に説明するが、添付図面を参照して説明するにあたり、同一又は対応する構成要素は同一の図面番号を付し、これに対する重複説明は省略する。
【0015】
電子機器には様々な種類の電子部品が用いられるが、このような電子部品の間には、ノイズ除去などを目的として様々な種類のコイル部品を適宜用いることができる。
【0016】
すなわち、電子機器において、コイル部品は、パワーインダクタ(Power Inductor)、高周波インダクタ(HF Inductor)、通常のビーズ(General Bead)、高周波用ビーズ(GHz Bead)、共通モードフィルタ(Common Mode Filter)などに用いることができる。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態によるコイル部品の概略的な斜視図であり、図2は、図1のI-I'線に沿って切断した断面図である。
【0018】
図1及び図2を参照すると、本発明の第1実施形態によるコイル部品1000は、本体100、コイル300及び外部電極410、420を含み、支持部材200をさらに含むことができる。
【0019】
本体100は、本実施形態によるコイル部品1000の外観をなし、内部に支持部材200及びコイル300を埋設する。
【0020】
本体100は、全体として六面体の形状に形成されることができる。
【0021】
図1図2を基準に、本体100は、第1方向(X方向)に対向する第1面101と第2面102、第2方向(Y方向)に対向する第3面103と第4面104、第3方向(Z方向)に対向する第5面105と第6面106を含む。第3~第6面103、104、105、106は、第1面101及び第2面102を連結する複数の側面に該当する。本体100は、磁性物質と絶縁樹脂を含むことができる。具体的に、本体100は、絶縁樹脂及び絶縁樹脂に分散した磁性物質を含む磁性複合シートを一つ以上積層して形成されることができる。但し、本体100は、磁性物質が絶縁樹脂に分散した構造以外に他の構造を有することもできる。例えば、本体100は、フェライトのような磁性物質からなってもよい。
【0022】
磁性物質は磁性体粉末であってもよく、例として、フェライト又は金属磁性粉末であってもよい。
【0023】
フェライト粉末は、例として、Mg-Zn系、Mn-Zn系、Mn-Mg系、Cu-Zn系、Mg-Mn-Sr系、Ni-Zn系などのスピネル型フェライト、Ba-Zn系、Ba-Mg系、Ba-Ni系、Ba-Co系、Ba-Ni-Co系などの六方晶型フェライト類、Y系などのガーネット型フェライト及びLi系フェライトのうち少なくとも一つ以上であることができる。
【0024】
金属磁性粉末は、鉄(Fe)、シリコン(Si)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)及びニッケル(Ni)からなる群から選択されるいずれか一つ以上を含むことができる。例えば、金属磁性粉末は、純鉄粉末、Fe-Si系合金粉末、Fe-Si-Al系合金粉末、Fe-Ni系合金粉末、Fe-Ni-Mo系合金粉末、Fe-Ni-Mo-Cu系合金粉末、Fe-Co系合金粉末、Fe-Ni-Co系合金粉末、Fe-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Si系合金粉末、Fe-Si-Cu-Nb系合金粉末、Fe-Ni-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Al系合金粉末のうち少なくとも一つ以上であることができる。
【0025】
金属磁性粉末は非晶質又は結晶質であることができる。例えば、金属磁性粉末は、Fe-Si-B-Cr系非晶質合金粉末であることができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0026】
フェライト及び金属磁性粉末は、それぞれ平均直径が約0.1μm~30μmであることができるが、これに制限されるものではない。
【0027】
本体100は、絶縁樹脂に分散した2種類以上の磁性体粉末を含むことができる。ここで、磁性体粉末の種類が異なるとは、絶縁樹脂に分散した磁性体粉末が、平均直径、組成、結晶性、及び形状のうちいずれかによって互いに区別されることを意味する。例として、本体100は、平均直径が互いに異なる2以上の磁性体粉末を含むことができる。
【0028】
絶縁樹脂は、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)、液晶結晶性ポリマー(Liquid Crystal Polymer)などを単独又は混合して含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0029】
本体100は、後述するコイル300を貫通するコア110を含む。コア110は、磁性複合シートがコイル300の貫通孔を充填することによって形成されることができるが、これに制限されるものではない。
【0030】
本発明の第1実施形態によるコイル部品1000は、支持部材200をさらに含むことができる。
【0031】
支持部材200は本体100に埋設される。支持部材200は、後述するコイル300を支持する構成である。支持部材200は、エポキシ樹脂のような熱硬化性絶縁樹脂、ポリイミドのような熱可塑性絶縁樹脂又は感光性絶縁樹脂を含む絶縁資材で形成されるか、このような絶縁樹脂にガラス繊維又は無機フィラーのような補強材が含侵された絶縁資材で形成されることができる。例として、支持部材200は、プリプレグ(prepreg)、ABF(Ajinomoto Build-up Film)、FR-4、BT(Bismaleimide Triazine)フィルム、PID(Photo Imagable Dielectric)フィルムなどの絶縁資材で形成されることができるが、これに制限されるものではない。
【0032】
無機フィラーとしては、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、炭化珪素(SiC)、硫酸バリウム(BaSO)、タルク、泥、雲母粉、水酸化アルミニウム(AlOH)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、酸化マグネシウム(MgO)、窒化ホウ素(BN)、ホウ酸アルミニウム(AlBO)、チタン酸バリウム(BaTiO)及びジルコン酸カルシウム(CaZrO)から構成される群から選択される少なくとも一つ以上を使用することができる。
【0033】
支持部材200が補強材を含む絶縁資材で形成される場合、支持部材200はより優れた剛性を提供することができる。支持部材200がガラス繊維を含まない絶縁資材で形成される場合、支持部材200はコイル300全体の厚さを薄型化するのに有利である。支持部材200が感光性絶縁樹脂を含む絶縁資材で形成される場合、コイル300を形成するための工程数が減り、生産コストの節減に有利であり、微細なビアを形成することができる。
【0034】
コイル300は本体100に埋設され、コイル300は支持部材200の少なくとも一面に配置されることができる。コイル300はコイル部品の特性を発現する。例えば、本実施形態のコイル部品1000がパワーインダクタに活用される場合、コイル300は電場を磁場に貯蔵して出力電圧を維持することで、電子機器の電源を安定させる役割を果たすことができる。
【0035】
コイル300は、コイルパターン310、320及びビアを含む。具体的に、図1の方向を基準に、支持部材200の一面(下面)に第1コイルパターン310及び第1コイルパターンの端部311が配置され、支持部材200の他面(上面)に第2コイルパターン320及び第2コイルパターンの端部321が配置される。ビアは、支持部材200を貫通して第1コイルパターン310と第2コイルパターン320にそれぞれ接触する。こうすることで、コイル300は、全体的にコア110を中心に一つ以上のターンを形成した一つのコイルとして機能することができる。
【0036】
第1コイルパターン310と第2コイルパターン320のそれぞれは、コア110を軸として少なくとも一つのターン(turn)を形成した平面螺旋形状であってもよい。例として、第1コイルパターン310は、支持部材200の下面でコア110を軸として少なくとも一つのターン(turn)を形成することができる。
【0037】
ビア及びコイルパターン310、320のうち少なくとも一つは、一つ以上の導電層を含むことができる。例として、第2コイルパターン320、第2コイルパターン320の端部321及びビアを支持部材200の他面側にめっきで形成する場合、第2コイルパターン320、第2コイルパターンの端部321及びビアは、それぞれ無電解めっき層などのシード層と電解めっき層を含むことができる。ここで、電解めっき層は単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。多層構造の電解めっき層は、ある一つの電解めっき層を他の一つの電解めっき層が覆うコンフォーマル(conformal)な膜構造に形成されてもよく、ある一つの電解めっき層の一面にのみ他の一つの電解めっき層が積層された形状に形成されてもよい。第2コイルパターン320のシード層、第2コイルパターンの端部321のシード層、及びビアのシード層は一体に形成され、相互間に境界が形成されなくてもよいが、これに制限されるものではない。第2コイルパターン320の電解めっき層、第2コイルパターンの端部321の電解めっき層及びビアの電解めっき層は一体に形成され、相互間に境界が形成されなくてもよいが、これに制限されるものではない。
【0038】
他の例として、図1の方向を基準に、支持部材200の下面に配置される第1コイルパターン310及びその端部311と、支持部材200の上面側に配置される第2コイルパターン320及びその端部321を互いに別個に形成した後、支持部材200に一括に積層してコイル300を形成する場合、ビアは、高融点金属層と、高融点金属層の溶融点よりも低い溶融点を有する低融点金属層とを含むことができる。ここで、低融点金属層は、鉛(Pb)及び/又はスズ(Sn)を含むソルダーで形成されることができる。低融点金属層は、一括積層時の圧力及び温度により少なくとも一部が溶融し、例として、低融点金属層と第2コイルパターン320との境界には金属間化合物層(Inter Metallic Compound Layer、IMC Layer)が形成されることができる。
【0039】
図1を基準に、コイルパターン310、320及びその端部311、321は、支持部材200の下面及び上面からそれぞれ突出して形成されることができる。他の例として、第1コイルパターン310とその端部311は、支持部材200の下面に突出して形成され、第2コイルパターン320とその端部321は、支持部材200の上面に埋め込まれて第2コイルパターン320とその端部321のそれぞれの上面が支持部材200の上面に露出することができる。この場合、第2コイルパターン320及び/又は第2コイルパターン320の端部321の上面には凹部が形成され、第2コイルパターン320及び/又は第2コイルパターンの端部321の上面と支持部材200の上面とは、同一の平面上に位置しなくてもよい。他の例として、第2コイルパターン320とその端部321は、支持部材200の上面に突出して形成され、第1コイルパターン310とその端部311は、支持部材200の下面に埋め込まれて第1コイルパターン310とその端部311のそれぞれの下面が支持部材200の下面に露出することができる。この場合、第1コイルパターン310及び/又は第1コイルパターンの端部311の下面には凹部が形成され、第1コイルパターン310及び/又は第1コイルパターンの端部311の下面と支持部材200の下面は同一の平面上に位置しなくてもよい。
【0040】
ビア及びコイルパターン310、320のそれぞれは、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、又はこれらの合金などの導電性物質から形成されることができるが、これに限定されるものではない。
【0041】
本発明の第1実施形態によるコイル部品は、コイル300と連結される外部電極410、420を含む。外部電極410、420は本体100の表面に配置され、コイル300の両端部と連結される。本実施形態の場合、コイル300の両端部311、321は、それぞれ本体100の第1面101及び第2面102に延長する。従って、第1外部電極410は、本体の第1面101に配置され、本体100の第1面101に延長した第1コイルパターンの端部311と接触して連結されることができ、第2外部電極420は、第2面102に配置され、本体の第2面102に延長した第2コイルパターンの端部321と接触して連結されることができる。
【0042】
外部電極410、420は複数層の構造で形成される。具体的に、コイル300と連結され、Pd(パラジウム)及びCr(クロム)のうち少なくとも一つを含む第1層411、421、第1層上に配置される第2層412、422、及び第2層上に配置され、伝導性物質と樹脂とを含む第3層413、423を含むことができる。
【0043】
第1外部電極410についての説明は、第2外部電極420にもそのまま適用することができるため、以下、第1外部電極についての説明で第2外部電極の説明を代替する。
【0044】
図2を参照すると、第1外部電極410は、第1コイルパターンの端部311と連結される第1層411を含む。第1層411は、Pd(パラジウム)及びCr(クロム)のうち少なくとも一つを含む。
【0045】
第1層411は、本体100の第1面101を覆うことができる。前述のように、第1コイルパターンの端部311は本体の第1面101に延長するため、第1層411は本体100の第1面101に配置され、第1コイルパターンの端部311と連結されることができる。
【0046】
第1層411は、第1コイルパターンの端部311と連結され、コイルパターン310と以下で後述する第2層412との接触力を向上させる役割を果たすことができる。具体的に、第1層411は、第1コイルパターンの端部311を拡張し、第2層412との接触面積を拡張することができる。言い換えると、コイルパターンの端部が外部電極と接触する接触面積が狭い場合、コイル及び外部電極の間の接触不良を引き起こし、接触抵抗を増加させることがあるが、このような問題点を除去するために、コイルパターンの端部と外部電極との接触面積を増加させる。
【0047】
また、第1層411は、コイル300をなす物質と異なる物質からなることで、以下で後述する第2層412と共にSn(スズ)が拡散することを防止できる。
【0048】
第2層412は第1層411上に配置され、Ni(ニッケル)を含む。第2層412は、第2層よりも外層に存在するSn(スズ)のコイル部品内部への拡散を防止する役割を果たすことができる。具体的に、コイル部品を基板上に実装する際に適用されるソルダー内のSn(スズ)若しくは、以下で後述する、外部電極の第4層414内のSn(スズ)がコイルに向かって拡散することを防止できる。
【0049】
図5は、比較例として従来のコイル部品の外部電極の構造を示した断面図である。図5による従来のコイル部品は、外部電極が多層構造43、44、45からなっている。具体的に、多層構造43、44、45として、以下で後述する本発明の第3層413、第4層414、第5層415を含むことができる。すなわち、本発明による実施形態と異なり、第1層及び第2層を導入していない。
【0050】
比較例のようなコイル部品が高温(約150℃以上)あるいは高温高湿の過酷な環境に曝される場合、コイル部品内あるいは外部物質(例えば、ソルダー)内に含まれるSn(スズ)の拡散が活発になる。Sn(スズ)の拡散が加速化する場合、内部コイルまでSn(スズ)が侵入し、結果としてコイル部品の劣化を促進する。具体的に、Sn(スズ)は、部品内部へ侵入してCu(銅)と金属間化合物(IMC、Inter-Metallic Compond)の成長反応を行うことができ、これにより、外部電極界面の接合力が低下しコイル部品の信頼性が低下する可能性がある。
【0051】
本発明の実施形態による第1層411及び第2層412は、Sn(スズ)が内部コイルまで拡散することを防止する機能を果たすことができる。第1層411及び第2層412は、Sn(スズ)と安定的に反応して金属間化合物(IMC、Inter-Metallic Compound)を形成できる物質である。具体的に、第2層412はNi(ニッケル)を含むことができ、反応性の低い貴金属を含むことができる。一例として、Ni/Sn系の金属間化合物(IMC)は、Cu-Snの反応速度に比べて著しく低く、拡散を防止する役割を果たすことができる。
【0052】
第3層413は第2層412上に配置され、伝導性物質と樹脂を含むことができる。具体的に、第2層412は、樹脂と、樹脂中に分散した金属粒子とを含む層であってもよい。金属粒子は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、コバルト(Co)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)粒子からなる群から選択される一つ以上であってもよく、これらを含む合金粒子であってもよい。樹脂は、エポキシ(Epoxy)、ポリイミド(Polyimide)などであってもよい。第3層413は、樹脂と、樹脂中に分散した金属粒子とを含む層であって、Ag-エポキシ樹脂層であることができる。このような場合、外部から侵入するSn(スズ)成分、第2層412のNi(ニッケル)成分、第3層413内のAg(銀)成分及びコイル300のCu(銅)成分のうち一つ以上が金属間化合物(IMC、Intermetallic Compound)を形成することにより、Sn(スズ)が内部コイルの境界面に侵入してコイル部品を劣化させることを効果的に防止できる。第3層413は、以下で後述するように第3絶縁層630上に延長し、本体の第5面105及び第6面106上にも配置されることができる。
【0053】
外部電極410は、第3層413上に配置される第4層414及び第4層414上に配置される第5層415をさらに含むことができる。第4層414は、第3層413と共に第1外部電極の導電性を向上させる機能を果たすことができる。第5層415は、コイル部品を基板上に実装する際に、ソルダリングとの接合性を改善する機能を果たすことができる。第4層はNi(ニッケル)を含み、第5層はSn(スズ)を含むことができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0054】
上記のように、外部電極410、420が第1層~第5層411、412、413、414、415の多層構造を含むことにより、高温負荷環境においてSn(スズ)の拡散による信頼性劣化を効果的に防止できる。
【0055】
第2層412の厚さをT、第4層414の厚さをTとするとき、0.5T≦Tを満たすことができる。具体的に、電装用コイル部品の場合、一般家庭用コイル部品よりも高い信頼性が求められ、一例として、一般家庭用コイル部品の使用時間の2倍程度で作動信頼性が求められる。従って、一般家庭用コイル部品と比較して、本発明によるコイル部品は第2層412を導入することを特徴として、第2層よりも外層に存在するSn(スズ)のコイル部品内部への拡散を防ぐことができる。また、第5層415及び部品外部のSn(スズ)が第4層414のNi(ニッケル)と反応して消滅する量を考慮すると、第4層414の厚さの半分に第2層412の厚さを形成する場合、第4層414のNi(ニッケル)との反応後に残ったSn(スズ)の拡散を防ぐのに十分である。
【0056】
第2層412及び第4層414の厚さは、次のような方法で測定することができる。まず、コイル部品を第2方向(Y方向)に1/2程度の深さまで研磨し、断面を露出した試料を準備する。次に、採取した断面試料を光学顕微鏡などで観察する場合、図2のような第2層412及び第4層414の断面構造を確認することができ、第1方向(X方向)に沿った第2層412及び第4層414の長さを測定して、第2層412及び第4層414の厚さを測定することができる。
【0057】
本発明の第1実施形態によるコイル部品は、絶縁膜IFをさらに含むことができる。絶縁膜IFは、支持部材200とコイル300に形成されることができる。絶縁膜IFは、コイル300を本体100から絶縁させるためのものであって、パリレンなどの公知の絶縁物質を含むことができる。絶縁膜IFに含まれる絶縁物質は如何なるものであっても可能であり、特に制限はない。絶縁膜IFは気相蒸着などの方法で形成されることができるが、これに制限されるものではなく、絶縁フィルムを支持部材200の両面に積層することで形成されてもよい。前者の場合、絶縁膜IFは、支持部材200とコイル300の表面に沿ってコンフォーマル(conformal)な膜の形態に形成されることができる。一方、本発明において絶縁膜IFは選択的な構成であるため、本実施形態によるコイル部品1000の作動電圧及び作動電流で本体100が十分な絶縁抵抗を確保できれば、絶縁膜IFは省略されてもよい。
【0058】
本発明の第1実施形態によるコイル部品は、本体の第3方向(Z方向)に対向する第5面105及び第6面106上に配置される第3絶縁層630をさらに含むことができる。第3絶縁層630は、本体の第5面105及び第6面106に配置され、第1及び第2外部電極410、420の間に配置され、コイル部品を電気的に保護し、リーク電流(Leakage current)を減少させ、外部電極の形成時にめっき滲みを防止する機能を果たすことができる。
【0059】
第3層413は、本体の第5面105及び第6面106上に延長し、第3絶縁層630上にも配置されることができる。すなわち、第3絶縁層630は第3層413と直接接触することができ、このとき、第3絶縁層630と第3層413はエポキシ結合により結合力をさらに確保することができる。
【0060】
第3絶縁層630は、ポリスチレン系、酢酸ビニル系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリアミド系、ゴム系、アクリル系などの熱可塑性樹脂、フェノール系、エポキシ系、ウレタン系、メラミン系、アルキド系などの熱硬化性樹脂、感光性樹脂、パリレン、SiO又はSiNを含むことができる。
【0061】
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態によるコイル部品であって、図2に対応する断面図である。
【0062】
第2実施形態によるコイル部品は、第1実施形態と比較して、外部電極の第1層411、421が省略されてもよい。また、本体の側面に配置され、開口部を含む絶縁層610、620をさらに含むことができる。
【0063】
第1及び第2絶縁層610、620は、それぞれ本体100の側面に配置される。具体的に、第1及び第2絶縁層610、620は、それぞれ本体の第1方向(X方向)に対向する第1面101及び第2面102に配置される。
【0064】
第1及び第2絶縁層610、620は開口部Oを含む。第1及び第2絶縁層610、620の開口部Oは、コイル300の両端部を露出することができる。図3を参照すると、第1及び第2絶縁層610、620は、第1面101及び第2面102に配置され、開口部Oを介してコイルの両端部311、321を露出させている。
【0065】
第1及び第2絶縁層610、620は、ポリスチレン系、酢酸ビニル系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリアミド系、ゴム系、アクリル系などの熱可塑性樹脂、フェノール系、エポキシ系、ウレタン系、メラミン系、アルキド系などの熱硬化性樹脂、感光性樹脂、パリレン、SiO又はSiNを含むことができる。
【0066】
第1及び第2絶縁層610、620は、液状の絶縁樹脂を本体100の表面に塗布するか、絶縁ペーストを本体100の表面に塗布するか、絶縁フィルムを本体100の表面に積層するか、気相蒸着により絶縁樹脂を本体100の表面に形成することで形成されることができる。絶縁フィルムの場合、感光性絶縁樹脂を含むドライフィルム(DF)、感光性絶縁樹脂を含まないABF(Ajinomoto Build-up Film)又はポリイミドフィルムなどを用いることができる。
【0067】
開口部Oには金属層412、422が配置されることができる。金属層412、422は開口部に配置され、コイルの両端部311、321と連結されることができる。すなわち、上記金属層412、422は、開口部を介してコイルの両端部311、321と連結されることができる。
【0068】
金属層412、422は、第1及び第2絶縁層610、620を覆うことができる。具体的に、図3を参照すると、金属層412、422の一部が第1及び第2絶縁層610、620の開口部Oを満たしており、残りは第1及び第2絶縁層610、620上に配置されて、これらを覆っている。
【0069】
第2実施形態によるコイル部品の場合、ソルダー内のSn(スズ)又は外部電極の第4層414内のSn(スズ)がコイル部品の内部へ拡散することを防止するために、第1層411の代わりに第1及び第2絶縁層610、620を本体の側面に配置している。具体的に、第1及び第2絶縁層610、620は、コイルの両端部311、321を除いた本体100の側面を覆うことにより、外部からSn(スズ)が拡散する経路を効率的に遮断することができる。また、開口部Oを介してコイルの両端部311、321と外部電極の第2層412、422を連結することにより、外部電極の接続信頼性を確保することができる。
【0070】
ここで、金属層412、422は、第1実施形態で説明した第2層412、422と同一の構成であってもよい。第2層に関する説明は第1実施形態で詳述したところ、詳しい内容は省略する。
【0071】
上記金属層412、422上に伝導性樹脂層413、423が配置されることができる。ここで、伝導性樹脂層413、423は、第1実施形態で説明した第3層413、423と同一の構成であってもよい。第3層に関する説明は第1実施形態で詳述したところ、詳しい内容は省略する。
【0072】
第2実施形態の残りの構成に関する説明は、第1実施形態と重複するところ、詳しい説明は省略する。
【0073】
(第3実施形態)
図4は、本発明の第3実施形態によるコイル部品であって、図2に対応する断面図である。
【0074】
第3実施形態によるコイル部品は、第1実施形態と比較して、外部電極の第1層411、421が省略されてもよい。また、本体の側面に配置される金属層412、422が本体の第3方向に対向する第5面及び第6面のうち少なくとも一つに延長する。
【0075】
金属層412、422は、本体の第1面101及び第2面102に配置されるだけでなく、本体の第5面105及び第6面106のうち少なくとも一つに延長することができる。
【0076】
一般的に、外部電極は本体の側面だけでなく、上面/下面にも形成される。また、部品の実装時にソルダー(Sn)は本体の側面だけでなく、実装面付近にも配置されることができる。従って、本体の上面/下面側のスズ(Sn)成分によってコイル部品の内部へスズ(Sn)が拡散し、コイル部品の劣化を促進する可能性がある。
【0077】
従って、第3実施形態によるコイル部品は、前述した実施形態と比較して、本体の上面及び下面に延長するように金属層412、422を配置し、Sn(スズ)の侵入を効率的に遮断することができる。
【0078】
ここで、金属層412、422は、第1実施形態で説明した第2層412、422と同一の構成であってもよい。第2層に関する説明は第1実施形態で詳述したところ、詳しい内容は省略する。
【0079】
上記金属層412、422上に伝導性樹脂層413、423が配置されることができる。伝導性樹脂層413、423は、上記金属層412、422に沿って、本体100の第5面105及び第6面106のうち少なくとも一つに延長するように配置されることができる。
【0080】
ここで、伝導性樹脂層413、423は、第1実施形態で説明した第3層413、423と同一の構成であってもよい。第3層に関する説明は第1実施形態で詳述したところ、詳しい内容は省略する。
【0081】
第3実施形態の残りの構成に関する説明は第1実施形態と重複するところ、詳しい説明は省略する。
【0082】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想から外れない範囲内で、構成要素の付加、変更又は削除などにより本発明を様々に修正及び変更することができ、これも本発明の権利範囲に含まれるといえる。
【符号の説明】
【0083】
1000 コイル部品
100 本体
200 支持部材
300 コイル
310、320 第1及び第2コイルパターン
410、420 第1及び第2外部電極
610、620、630 絶縁層
図1
図2
図3
図4
図5