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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002469
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/69 20230101AFI20241226BHJP
   H04N 23/611 20230101ALI20241226BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20241226BHJP
【FI】
H04N23/69
H04N23/611
G06T7/00 660A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102668
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】和田 祐司
(72)【発明者】
【氏名】西尾 匡史
【テーマコード(参考)】
5C122
5L096
【Fターム(参考)】
5C122DA01
5C122EA52
5C122EA59
5C122FE01
5C122FH10
5C122FH14
5C122GA01
5C122GA24
5C122GF05
5C122HA29
5C122HA35
5C122HA46
5C122HA86
5C122HB01
5L096FA02
(57)【要約】
【課題】使用者が近づいたときに適切にシステムを起動させる情報処理装置を提供すること。
【解決手段】情報処理装置は、特定の人物の顔情報に基づいてユーザ登録するユーザ登録処理と、撮像部により撮像された撮像画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出することにより人物の存在を検出する人物検出処理と、人物検出処理により検出された人物がユーザ登録された特定の人物であるか否かを判定するユーザ判定処理とを実行し、ユーザ登録処理と人物検出処理とユーザ判定処理とに基づいてシステムを起動させる。また、情報処理装置は、人物検出処理における検出範囲を、ユーザ登録された特定の人物に対しては第1検出範囲とし、ユーザ登録されていない人物に対しては第1検出範囲とは異なる第2検出範囲とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の検出範囲を撮像する撮像部により撮像された撮像画像のデータを一時的に記憶するメモリと、
特定の人物の顔情報に基づいてユーザ登録を行うユーザ登録処理と、前記メモリに記憶された前記撮像画像のデータを処理して前記撮像画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出することにより人物の存在を検出する人物検出処理と、前記人物検出処理により検出された人物が前記ユーザ登録処理により前記ユーザ登録された前記特定の人物であるか否かを判定するユーザ判定処理とを実行する第1プロセッサと、
前記ユーザ登録処理と前記人物検出処理と前記ユーザ判定処理とに基づいてシステムを起動させる第2プロセッサと、
を備え、
前記第1プロセッサは、
前記人物検出処理における検出範囲を、前記ユーザ登録された前記特定の人物に対しては前記所定の検出範囲のうちの第1検出範囲とし、前記ユーザ登録されていない人物に対しては前記第1検出範囲とは異なる第2検出範囲とする、
情報処理装置。
【請求項2】
前記第1プロセッサは、
前記第1検出範囲内の前記撮像画像の中から前記特定の人物の前記顔領域が検出された場合に前記人物検出処理の検出結果を真と判定し、前記第2検出範囲内の前記撮像画像の中から前記特定の人物か否かにかかわらず前記顔領域が検出された場合に前記人物検出処理の検出結果を真と判定し、
前記第2プロセッサは、
前記人物検出処理の検出結果が真と判定されたことに基づいてシステムを起動させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記検出範囲は、前記撮像部の視野角と前記撮像部からの距離とで定まる範囲であり、
前記第2検出範囲は、少なくとも前記視野角と前記距離とのいずれか一方が前記第1検出範囲とは異なる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記検出範囲は、前記撮像部の視野角と前記撮像部からの距離とで定まる範囲であり、
前記第2検出範囲は、少なくとも前記第1検出範囲より前記視野角が狭い範囲である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記検出範囲は、前記撮像部の視野角と前記撮像部からの距離とで定まる範囲であり、
前記第2検出範囲は、少なくとも前記第1検出範囲より前記距離が短い範囲である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1プロセッサは、
前記ユーザ判定処理において、前記人物検出処理により前記撮像画像の中から検出された前記顔領域の顔情報と前記ユーザ登録処理により前記ユーザ登録された前記特定の人物の顔情報とに基づいて、前記人物検出処理により検出された人物が前記特定の人物であるか否かを判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1プロセッサは、
前記撮像画像の中から検出した前記顔領域における顔の角度をさらに検出し、
前記人物検出処理において、前記特定の人物に対しては前記顔領域における顔の角度が第1角度範囲内であることを検出条件の一つとし、前記ユーザ登録されていない人物に対しては前記顔領域における顔の角度が前記第1角度範囲よりも狭い第2角度範囲内であることを検出条件の一つとする、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
所定の検出範囲を撮像する撮像部により撮像された撮像画像のデータを一時的に記憶するメモリと、
特定の人物の顔情報に基づいてユーザ登録するユーザ登録処理と、前記メモリに記憶された前記撮像画像のデータを処理して前記撮像画像の中から顔が撮像されている顔領域および顔の角度を検出することにより人物の存在を検出する人物検出処理と、前記人物検出処理により検出された人物が前記ユーザ登録処理により前記ユーザ登録された前記特定の人物であるか否かを判定するユーザ判定処理とを実行する第1プロセッサと、
前記ユーザ登録処理と前記人物検出処理と前記ユーザ判定処理とに基づいてシステムを起動させる第2プロセッサと、
を備え、
前記第1プロセッサは、
前記人物検出処理において、前記ユーザ登録された前記特定の人物に対しては前記顔領域における顔の角度が第1角度範囲内であることを検出条件の一つとし、前記ユーザ登録されていない人物に対しては前記顔領域における顔の角度が前記第1角度範囲よりも狭い第2角度範囲内であることを検出条件の一つとする、
情報処理装置。
【請求項9】
所定の検出範囲を撮像する撮像部により撮像された撮像画像のデータを一時的に記憶するメモリと、第1プロセッサと、第2プロセッサとを備える情報処理装置における制御方法であって、
前記第1プロセッサが、
特定の人物の顔情報に基づいてユーザ登録するユーザ登録処理を行うステップと、
前記メモリに記憶された前記撮像画像のデータを処理して前記撮像画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出することにより人物の存在を検出する人物検出処理を行うステップと、
前記人物検出処理により検出された人物が前記ユーザ登録処理により前記ユーザ登録された前記特定の人物であるか否かを判定するユーザ判定処理を行うステップと、
前記第2プロセッサが、
前記ユーザ登録処理と前記人物検出処理と前記ユーザ判定処理とに基づいてシステムを起動させるステップと、
を含み、
前記第1プロセッサは、
前記人物検出処理における検出範囲を、前記ユーザ登録された前記特定の人物に対しては前記所定の検出範囲のうちの第1検出範囲とし、前記ユーザ登録されていない人物に対しては前記第1検出範囲とは異なる第2検出範囲とする、
制御方法。
【請求項10】
所定の検出範囲を撮像する撮像部により撮像された撮像画像のデータを一時的に記憶するメモリと、第1プロセッサと、第2プロセッサとを備える情報処理装置における制御方法であって、
前記第1プロセッサが、
特定の人物の顔情報に基づいてユーザ登録するユーザ登録処理を行うステップと、
前記メモリに記憶された前記撮像画像のデータを処理して前記撮像画像の中から顔が撮像されている顔領域および顔の角度を検出することにより人物の存在を検出する人物検出処理を行うステップと、
前記人物検出処理により検出された人物が前記ユーザ登録処理により前記ユーザ登録された前記特定の人物であるか否かを判定するユーザ判定処理を行うステップと、
前記第2プロセッサが、
前記ユーザ登録処理と前記人物検出処理と前記ユーザ判定処理とに基づいてシステムを起動させるステップと、
を含み、
前記第1プロセッサは、
前記人物検出処理において、前記ユーザ登録された前記特定の人物に対しては前記顔領域における顔の角度が第1角度範囲内であることを検出条件の一つとし、前記ユーザ登録されていない人物に対しては前記顔領域における顔の角度が前記第1角度範囲よりも狭い第2角度範囲内であることを検出条件の一つとする、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人物が近づくと使用可能な状態に遷移し、人物が離れると一部の機能を除いて停止した待機状態に遷移する情報処理装置がある。例えば、特許文献1には、赤外線センサを用いて、人物が近づいてきたか否か、或いは人物が遠ざかったか否かを検出している。
【0003】
近年、コンピュータビジョンなどの発展により、画像から顔を検出する際の検出精度が高くなってきている。そのため、赤外線センサによる人物の検出に代えて、顔検出が利用され始めている。例えば、顔検出を用いて人物が近づいたときにシステムを待機状態から起動させる機能を搭載した情報処理装置もある。さらには、個々の人物を識別する機能を持つことで、特定の人物が近づいたときにシステムを待機状態から起動させることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-148895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、個々の人物を識別して特定の人物が近づいたときにシステムを起動させる情報処理装置の場合、複数人で1台の情報処理装置を使用しているときには、他の使用者が近づいてもシステムを起動させることができないという問題が生じる。一方、個々の人物の識別を行わない場合には、通りすがりに画面を見た人物などのように不特定多数の人物に対してシステムが起動しまい、無駄に電力を消費してしまうことになる。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、使用者が近づいたときに適切にシステムを起動させることができる情報処理装置、及び制御方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1態様に係る情報処理装置は、所定の検出範囲を撮像する撮像部により撮像された撮像画像のデータを一時的に記憶するメモリと、特定の人物の顔情報に基づいてユーザ登録を行うユーザ登録処理と、前記メモリに記憶された前記撮像画像のデータを処理して前記撮像画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出することにより人物の存在を検出する人物検出処理と、前記人物検出処理により検出された人物が前記ユーザ登録処理により前記ユーザ登録された前記特定の人物であるか否かを判定するユーザ判定処理とを実行する第1プロセッサと、前記ユーザ登録処理と前記人物検出処理と前記ユーザ判定処理とに基づいてシステムを起動させる第2プロセッサと、を備え、前記第1プロセッサは、前記人物検出処理における検出範囲を、前記ユーザ登録された前記特定の人物に対しては前記所定の検出範囲のうちの第1検出範囲とし、前記ユーザ登録されていない人物に対しては前記第1検出範囲とは異なる第2検出範囲とする。
【0008】
上記情報処理装置において、前記第1プロセッサは、前記第1検出範囲内の前記撮像画像の中から前記特定の人物の前記顔領域が検出された場合に前記人物検出処理の検出結果を真と判定し、前記第2検出範囲内の前記撮像画像の中から前記特定の人物か否かにかかわらず前記顔領域が検出された場合に前記人物検出処理の検出結果を真と判定し、前記第2プロセッサは、前記人物検出処理の検出結果が真と判定されたことに基づいてシステムを起動させてもよい。
【0009】
上記情報処理装置において、前記検出範囲は、前記撮像部の視野角と前記撮像部からの距離とで定まる範囲であり、前記第2検出範囲は、少なくとも前記視野角と前記距離とのいずれか一方が前記第1検出範囲とは異なってもよい。
【0010】
上記情報処理装置において、前記検出範囲は、前記撮像部の視野角と前記撮像部からの距離とで定まる範囲であり、前記第2検出範囲は、少なくとも前記第1検出範囲より前記視野角が狭い範囲であってもよい。
【0011】
上記情報処理装置において、前記検出範囲は、前記撮像部の視野角と前記撮像部からの距離とで定まる範囲であり、前記第2検出範囲は、少なくとも前記第1検出範囲より前記距離が短い範囲であってもよい。
【0012】
上記情報処理装置において、前記第1プロセッサは、前記ユーザ判定処理において、前記人物検出処理により前記撮像画像の中から検出された前記顔領域の顔情報と前記ユーザ登録処理により前記ユーザ登録された前記特定の人物の顔情報とに基づいて、前記人物検出処理により検出された人物が前記特定の人物であるか否かを判定してもよい。
【0013】
上記情報処理装置において、前記第1プロセッサは、前記撮像画像の中から検出した前記顔領域における顔の角度をさらに検出し、前記人物検出処理において、前記特定の人物に対しては前記顔領域における顔の角度が第1角度範囲内であることを検出条件の一つとし、前記ユーザ登録されていない人物に対しては前記顔領域における顔の角度が前記第1角度範囲よりも狭い第2角度範囲内であることを検出条件の一つとしてもよい。
【0014】
また、本発明の第2態様に係る情報処理装置は、所定の検出範囲を撮像する撮像部により撮像された撮像画像のデータを一時的に記憶するメモリと、特定の人物の顔情報に基づいてユーザ登録するユーザ登録処理と、前記メモリに記憶された前記撮像画像のデータを処理して前記撮像画像の中から顔が撮像されている顔領域および顔の角度を検出することにより人物の存在を検出する人物検出処理と、前記人物検出処理により検出された人物が前記ユーザ登録処理により前記ユーザ登録された前記特定の人物であるか否かを判定するユーザ判定処理とを実行する第1プロセッサと、前記ユーザ登録処理と前記人物検出処理と前記ユーザ判定処理とに基づいてシステムを起動させる第2プロセッサと、を備え、前記第1プロセッサは、前記人物検出処理において、前記ユーザ登録された前記特定の人物に対しては前記顔領域における顔の角度が第1角度範囲内であることを検出条件の一つとし、前記ユーザ登録されていない人物に対しては前記顔領域における顔の角度が前記第1角度範囲よりも狭い第2角度範囲内であることを検出条件の一つとする。
【0015】
また、本発明の第3態様に係る、所定の検出範囲を撮像する撮像部により撮像された撮像画像のデータを一時的に記憶するメモリと、第1プロセッサと、第2プロセッサとを備える情報処理装置における制御方法は、前記第1プロセッサが、特定の人物の顔情報に基づいてユーザ登録するユーザ登録処理を行うステップと、前記メモリに記憶された前記撮像画像のデータを処理して前記撮像画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出することにより人物の存在を検出する人物検出処理を行うステップと、前記人物検出処理により検出された人物が前記ユーザ登録処理により前記ユーザ登録された前記特定の人物であるか否かを判定するユーザ判定処理を行うステップと、前記第2プロセッサが、前記ユーザ登録処理と前記人物検出処理と前記ユーザ判定処理とに基づいてシステムを起動させるステップと、を含み、前記第1プロセッサは、前記人物検出処理における検出範囲を、前記ユーザ登録された前記特定の人物に対しては前記所定の検出範囲のうちの第1検出範囲とし、前記ユーザ登録されていない人物に対しては前記第1検出範囲とは異なる第2検出範囲とする。
【0016】
また、本発明の第4態様に係る、所定の検出範囲を撮像する撮像部により撮像された撮像画像のデータを一時的に記憶するメモリと、第1プロセッサと、第2プロセッサとを備える情報処理装置における制御方法は、前記第1プロセッサが、特定の人物の顔情報に基づいてユーザ登録するユーザ登録処理を行うステップと、前記メモリに記憶された前記撮像画像のデータを処理して前記撮像画像の中から顔が撮像されている顔領域および顔の角度を検出することにより人物の存在を検出する人物検出処理を行うステップと、 前記人物検出処理により検出された人物が前記ユーザ登録処理により前記ユーザ登録された前記特定の人物であるか否かを判定するユーザ判定処理を行うステップと、前記第2プロセッサが、前記ユーザ登録処理と前記人物検出処理と前記ユーザ判定処理とに基づいてシステムを起動させるステップと、を含み、前記第1プロセッサは、前記人物検出処理において、前記ユーザ登録された前記特定の人物に対しては前記顔領域における顔の角度が第1角度範囲内であることを検出条件の一つとし、前記ユーザ登録されていない人物に対しては前記顔領域における顔の角度が前記第1角度範囲よりも狭い第2角度範囲内であることを検出条件の一つとする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の上記態様によれば、情報処理装置は、使用者が近づいたときに適切にシステムを起動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施形態に係る情報処理装置の外観の構成例を示す斜視図。
図2】第1の実施形態に係る情報処理装置の人物の検出範囲の一例を示す図。
図3】第1の実施形態に係る情報処理装置のHPD処理の概要を説明する図。
図4】第1の実施形態に係る第1検出範囲と第2検出範囲の一例を示す模式図。
図5】第1の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す概略ブロック図。
図6】第1の実施形態に係る情報処理装置の機能構成の一例を示す概略ブロック図。
図7】第1の実施形態に係る検出範囲設定処理の一例を示すフローチャート。
図8】第2の実施形態に係る起動処理の一例を示すフローチャート。
図9】第2の実施形態に係る第1角度範囲と第2角度範囲の一例を示す模式図。
図10】第2の実施形態に係る顔角度範囲変更処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
<第1の実施形態>
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る情報処理装置1の外観の構成例を示す斜視図である。
【0020】
情報処理装置1は、例えば、ノート型(クラムシェル型)のPC(Personal Computer)である。情報処理装置1は、第1筐体10、第2筐体20、及びヒンジ機構15を備える。第1筐体10と第2筐体20は、ヒンジ機構15を用いて結合されている。第1筐体10は、第2筐体20に対して、ヒンジ機構15がなす回転軸の周りに相対的に回動可能である。第1筐体10と第2筐体20との回動による開き角を「θ」として図示している。
【0021】
第1筐体10は、Aカバー、ディスプレイ筐体とも呼ばれる。第2筐体20は、Cカバー、システム筐体とも呼ばれる。以下の説明では、第1筐体10と第2筐体20の側面のうち、ヒンジ機構15が備わる面を、それぞれ側面10c、20cと呼ぶ。第1筐体10と第2筐体20の側面のうち、側面10c、20cとは反対側の面を、それぞれ側面10a、20aと呼ぶ。図示において、側面20aから側面20cに向かう方向を「後」と呼び、側面20cから側面20aに向かう方向を「前」と呼ぶ。後方に対して右方、左方を、それぞれ「右」、「左」と呼ぶ。第1筐体10、第2筐体20の左側面をそれぞれ側面10b、20bと呼び、右側面をそれぞれ側面10d、20dと呼ぶ。また、第1筐体10と第2筐体20とが重なり合って完全に閉じた状態(開き角θ=0°の状態)を「閉状態」と呼ぶ。閉状態において第1筐体10と第2筐体20との互いに対面する側の面を、それぞれの「内面」と呼び、内面に対して反対側の面を「外面」と呼ぶ。また、閉状態に対して第1筐体10と第2筐体20とが開いた状態のことを「開状態」と呼ぶ。
【0022】
図1に示す情報処理装置1の外観は開状態の例を示している。開状態は、第1筐体10の側面10aと第2筐体20の側面20aとが離れた状態である。開状態では、第1筐体10と第2筐体20とのそれぞれの内面が表れる。開状態はユーザが情報処理装置1を使用する際の状態の一つであり、典型的には開き角θ=100~130°程度の状態で使用されることが多い。なお、開状態となる開き角θの範囲は、ヒンジ機構15よって回動可能な角度の範囲等に応じて任意に定めることができる。
【0023】
第1筐体10の内面には、表示部110が設けられている。表示部110は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどを含んで構成されている。また、第1筐体10の内面のうち表示部110の周縁の領域に、撮像部120が設けられている。例えば、撮像部120は、表示部110の周縁の領域のうち側面10a側に配置されている。なお、撮像部120が配置される位置は一例であって、表示部110の表示画面に対面する方向を向くことが可能であれば他の場所であってもよい。
【0024】
撮像部120は、開状態において、表示部110の表示画面に対面する方向(即ち、情報処理装置1の前方)の所定の撮像範囲を撮像する。所定の撮像範囲とは、撮像部120が有する撮像素子と撮像素子の撮像面の前方に設けられた光学レンズとによって定まる画角の範囲である。例えば、撮像部120は、情報処理装置1の前方(正面側)に存在する人物(ユーザ)を含む画像を撮像することができる。
【0025】
また、第2筐体20の側面20bには、電源ボタン140が設けられている。電源ボタン140は、電源のオンまたはオフ、待機状態から通常動作状態への遷移、通常動作状態から待機状態への遷移などをユーザが指示するための操作子である。通常動作状態とは、特に制限なく処理の実行が可能なシステムの動作状態であり、例えば、ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)で規定されているS0状態に相当する。
【0026】
待機状態とは、システム処理の少なくとも一部が制限されている状態であって、例えば通常動作状態よりも消費電力が低い状態である。例えば、待機状態は、表示部110の表示をオフにした状態、スタンバイ状態、スリープ状態等であってもよく、Windows(登録商標)におけるモダンスタンバイや、ACPIで規定されているS3状態(スリープ状態)等に相当する状態であってもよい。
【0027】
また、第2筐体20の内面には、ユーザの操作入力を受け付ける入力デバイスとして、キーボード151及びタッチパッド153が設けられている。なお、入力デバイスとして、キーボード151及びタッチパッド153に代えて、または加えて、タッチセンサが設けられてもよいし、マウスや外付けのキーボードが接続されてもよい。タッチセンサが設けられた構成の場合、表示部110の表示画面に対応する領域が操作を受け付けるタッチパネルとして構成されてもよい。また、入力デバイスには、音声が入力されるマイクが含まれてもよい。
【0028】
なお、第1筐体10と第2筐体20とが閉じた閉状態では、第1筐体10の内面に設けられている表示部110、及び撮像部120と、第2筐体20の内面に設けられているキーボード151及びタッチパッド153は、互いに他方の筐体面で覆われ、機能を発揮できない状態となる。
【0029】
情報処理装置1は、撮像部120により撮像された撮像画像に基づいて、情報処理装置1の前方に存在する人物を検出するHPD(Human Presence Detection)処理を実行する。
【0030】
図2は、本実施形態に係る情報処理装置1の人物の検出範囲の一例を示す図である。図示する例において、情報処理装置1の前方の視野角(FoV:Field of View)と距離(Distance)とで定まる範囲が、人物の検出可能な検出範囲である。
【0031】
例えば、情報処理装置1は、撮像部120により撮像された撮像画像から顔が撮像されている顔領域を検出することにより、情報処理装置1の前方に人物(ユーザ)が存在するか否かを判定する。検出範囲における視野角の最大値は、撮像部120の撮像画角に相当する。検出範囲における距離の最大値は、撮像画像から顔領域の検出が可能な最大距離(それ以上離れると顔が小さすぎて検出できなくなる距離)であるが、撮像部120の解像度によっても異なる。情報処理装置1は、撮像画像から顔領域が検出された場合、人物が存在すると判定する。一方、情報処理装置1は、撮像画像から顔領域が検出されなかった場合、人物が存在しないと判定する。
【0032】
情報処理装置1は、HPD処理により人物の存在の有無に応じて情報処理装置1のシステムの動作状態を制御する。例えば、情報処理装置1は、情報処理装置1の前方に人物が存在する場合には通常動作状態に制御し、情報処理装置1の前方に人物が存在しない場合には待機状態に制御する。
【0033】
図3は、本実施形態に係る情報処理装置1のHPD処理の概要を説明する図である。情報処理装置1は、HPD処理により情報処理装置1の前方に存在する人物を検出し、人物の存在の有無に基づいて情報処理装置1のシステムの動作状態を制御する。例えば図3の(A)に示すように、情報処理装置1は、待機状態において、情報処理装置1の前方に人物が存在しない状態(Absence)から存在する状態(Presence)への変化、即ち情報処理装置1へ人物が接近したこと(Approach)を検出した場合、自動でシステムを起動して通常動作状態へ遷移させる。また図3の(B)に示すように、情報処理装置1は、通常動作状態において、情報処理装置1の前に人物が存在している状態(Presence)では、通常動作状態を継続させる。また図3の(C)に示すように、情報処理装置1は、情報処理装置1の前方に人物が存在している状態(Presence)から存在しない状態(Absence)への変化、即ち情報処理装置1から人物が離脱したこと(Leave)を検出した場合には、システムを待機状態へ遷移させる。
【0034】
また、情報処理装置1は、特定の人物をユーザ登録しておくことで、HPD処理において検出された人物を識別してユーザ登録された人物であるか否かを判定する。ユーザ登録では、顔画像などの顔情報の登録が行われる。情報処理装置1は、HPD処理において検出された人物の顔情報(例えば、顔の特徴情報)と、登録された人物の顔情報(例えば、顔の特徴情報)とに基づいて両者を照合することにより、HPD処理において検出された人物が登録された人物であるか否かを判定する。
【0035】
ここで、情報処理装置1は、HPD処理において人物を検出する検出範囲として、第1検出範囲と第2検出範囲を有する。第1検出範囲と第2検出範囲について図4を参照して説明する。
【0036】
図4は、本実施形態に係る第1検出範囲と第2検出範囲の一例を示す模式図である。図示する例において、第1検出範囲は、撮像部120からの視野角FoV1と距離D1とで定まる範囲である。第2検出範囲は、撮像部120からの視野角FoV2と距離D2とで定まる範囲である。なお、実際には撮像部120の水平方向(ヨー方向)と垂直方向(ピッチ方向)の両方の視野角があるが、この図では、代表して水平方向(ヨー方向)の視野角のみを示している。
【0037】
第2検出範囲は、第1検出範囲とは異なる検出範囲であり、例えば第1検出範囲よりも狭い範囲として設定されている。第2検出範囲の視野角FoV2は、第1検出範囲の視野角FoV1より狭い範囲である(FoV1>FoV2)。また、第2検出範囲の距離D2は、第1検出範囲の距離D1より短い距離である(D1>D2)。なお、ここでは、第2検出範囲は、第1検出範囲よりも視野角が狭く且つ距離も短い範囲として設定されているが、視野角のみが狭い範囲として設定されてもよいし、距離のみが短い範囲として設定されてもよい。
【0038】
例えば、情報処理装置1は、ユーザ登録された特定の人物に対しては第1検出範囲、ユーザ登録されていない人物に対しては第2検出範囲をそれぞれ用いてHPD処理を行う。つまり、情報処理装置1は、ユーザ登録された特定の人物に対しては第1検出範囲をHPD処理の検出範囲とし、ユーザ登録されていない人物に対しては第2検出範囲をHPD処理の検出範囲とする。ここで、いずれの人物も特定の人物としてユーザ登録がされていない状態では、HPD処理で検出される人物は、すべてユーザ登録されていない人物となる。
【0039】
なお、第1検出範囲は、例えば視野角の最大値(撮像部120の撮像画角に相当)と距離の最大値(顔領域の検出が可能な最大距離)とで定まる検出範囲の全範囲としてもよいし、全範囲よりは狭い範囲としてもよい。
【0040】
以下、本実施形態に係る情報処理装置1の構成について詳しく説明する。
[情報処理装置のハードウェア構成]
図5は、本実施形態に係る情報処理装置1のハードウェア構成の一例を示す概略ブロック図である。この図4において、図1の各部に対応する構成には同一の符号を付している。情報処理装置1は、表示部110、撮像部120、電源ボタン140、入力デバイス150、通信部160、記憶部170、EC(Embedded Controller)200、顔検出部210、メイン処理部300、及び電源部400を含んで構成される。
【0041】
表示部110は、メイン処理部300により実行されるシステム処理及びシステム処理上で動作するアプリケーションプログラムの処理等に基づいて生成された表示データ(画像)を表示する。
【0042】
撮像部120は、例えば、可視光を用いて撮像する可視光カメラ(RGBカメラ)と赤外線を用いて撮像する赤外線カメラ(IRカメラ)とを備えている。なお、撮像部120は、可視光カメラと赤外線カメラとのいずれか一方を含んで構成されてもよいし、両方を含んで構成されてもよい。
【0043】
撮像部120は、第1筐体10の内面に対面する方向(前方)の所定の撮像範囲(画角)内の物体の像を撮像し、撮像した撮像画像の画像データをメイン処理部300及び顔検出部210が処理することができるようにシステムメモリ304へ一時的に記憶させる。例えば、撮像部120は、顔検出部210がHPD処理を行う際には、HPD処理において人物の存在を検出するための所定の検出範囲(図2参照)を撮像する。所定の検出範囲とは、図4に示す第1検出範囲及び第2検出範囲を含む範囲である。
【0044】
電源ボタン140は、ユーザの操作に応じて操作信号をEC200へ出力する。入力デバイス150は、ユーザの入力を受け付ける入力部であり、例えばキーボード151及びタッチパッド153を含んで構成されている。入力デバイス150は、キーボード151及びタッチパッド153に対する操作を受け付けることに応じて、操作内容を示す操作信号をEC200へ出力する。
【0045】
通信部160は、無線または有線による通信ネットワークを介して他の機器と通信可能に接続し、各種のデータの送信および受信を行う。例えば、通信部160は、イーサネット(登録商標)等の有線LANインターフェースやWi-Fi(登録商標)等の無線LANインターフェース等を含んで構成されている。
【0046】
記憶部170は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュROMなどの記憶媒体を含んで構成される。記憶部170は、OS、デバイスドライバ、アプリケーションなどの各種のプログラム、その他、プログラムの動作により取得した各種のデータを記憶する。
【0047】
電源部400は、情報処理装置1の各部の動作状態に応じて各部へ電力を供給する。電源部400は、DC(Direct Current)/DCコンバータを備える。DC/DCコンバータは、AC(Alternate Current)/DCアダプタもしくはバッテリー(電池パック)から供給される直流電力の電圧を、各部で要求される電圧に変換する。DC/DCコンバータで電圧が変換された電力が各電源系統を介して各部へ供給される。例えば、電源部400は、EC200から入力される制御信号に基づいて各電源系統を介して各部に電力を供給する。
【0048】
EC200は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)およびI/O(Input/Output)ロジック回路などを含んで構成されたマイクロコンピュータである。EC200のCPUは、自部のROMに予め記憶した制御プログラム(ファームウェア)を読み出し、読み出した制御プログラムを実行して、その機能を発揮する。EC200は、メイン処理部300とは独立に動作し、メイン処理部300の動作を制御し、その動作状態を管理する。また、EC200は、電源ボタン140、入力デバイス150、及び電源部400等と接続されている。
【0049】
例えば、EC200は、電源部400と通信を行うことにより、バッテリーの状態(残容量など)の情報を電源部400から取得するとともに、情報処理装置1の各部の動作状態に応じた電力の供給を制御するための制御信号などを電源部400へ出力する。また、EC200は、電源ボタン140や入力デバイス150から操作信号を取得し、取得した操作信号のうちメイン処理部300の処理に関連する操作信号についてはメイン処理部300へ出力する。
【0050】
顔検出部210は、撮像部120により撮像された撮像画像の画像データに基づいて顔検出によるHPD処理を実行するプロセッサを含んで構成されている。顔検出部210は、撮像部120により撮像された撮像画像の画像データを取得し、取得した画像データをメモリに一時的に保存する。画像データを保存するメモリは、システムメモリ304であってもよいし、顔検出部210内の不図示のメモリであってもよい。
【0051】
例えば、顔検出部210は、撮像部120から取得した撮像画像の画像データを処理することにより、撮像画像の中から顔が撮像されている顔領域及び顔の向き(顔角度)の検出などを行う顔検出処理を行う。また、顔検出部210は、顔検出処理の検出結果などに基づいて人物の存在を検出するHPD処理を行う。顔の検出方法としては、顔の特徴情報を基に顔を検出する顔検出アルゴリズムや、顔の特徴情報を基に機械学習された学習データ(学習済みモデル)や顔検出ライブラリなどを用いた顔検出など、任意の検出方法を適用することができる。また、顔検出部210は、特定の人物の顔情報に基づいてユーザ登録を行い、HPD処理により検出された人物がユーザ登録された特定の人物であるか否かを判定する。なお、顔検出部210が、図4を参照して説明した第1検出範囲と第2検出範囲とを切り替えてHPD処理を行う構成については、後述する。
【0052】
メイン処理部300は、CPU(Central Processing Unit)301、GPU(Graphic Processing Unit)302、チップセット303、及びシステムメモリ304を含んで構成され、OS(Operating System)に基づくシステム処理によって、OS上で各種のアプリケーションプログラムの処理が実行可能である。
【0053】
CPU301は、BIOSのプログラムに基づく処理、OSのプログラムに基づく処理、OS上で動作するアプリケーションプログラムに基づく処理などを実行するプロセッサである。例えば、CPU301は、システムを待機状態から起動させて通常動作状態に遷移させる起動処理、通常動作状態から待機状態へ遷移させるスリープ処理などを実行する。なお、待機状態からの起動とは、換言すると待機状態から通常動作状態への復帰ともいうことができる。
【0054】
GPU302は、表示部110に接続されている。GPU302は、CPU301の制御に基づいて画像処理を実行して表示データを生成する。GPU302は、生成した表示データを表示部110に出力する。
【0055】
チップセット303は、メモリコントローラとしての機能及びI/Oコントローラとしての機能などを有する。例えば、チップセット303は、CPU301及びGPU302によるシステムメモリ304、記憶部170などからのデータの読出し、書込みを制御する。また、チップセット303は、通信部160、表示部110およびEC200からのデータの入出力を制御する。また、チップセット303は、センサハブとしての機能を有する。例えば、チップセット303は、顔検出部210からHPD処理の検出結果などを取得してCPU301へ出力する。
【0056】
システムメモリ304は、CPU301で実行されるプログラムの読み込み領域ならびに処理データを書き込む作業領域などとして用いられる。また、システムメモリ304は、撮像部120で撮像された撮像画像の画像データを一時的に記憶する。
【0057】
なお、CPU301、GPU302、及びチップセット303は、一体化された一つのプロセッサとして構成されてもよいし、一部またはそれぞれが個々のプロセッサとして構成されてもよい。例えば、通常動作状態では、CPU301、GPU302、及びチップセット303のいずれも動作している状態となるが、待機状態では、チップセット303の少なくとも一部のみが動作している状態となる。
【0058】
[情報処理装置の機能構成]
次に、図4を参照して説明した第1検出範囲と第2検出範囲とを切り替えてHPD処理を行う情報処理装置1の機能構成について詳しく説明する。
【0059】
図6は、本実施形態に係る情報処理装置1の機能構成の一例を示す概略ブロック図である。情報処理装置1は、顔検出部210と、システム処理部310とを備えている。顔検出部210は、図4の顔検出部210に対応し、顔検出によるHPD処理を実行する。
【0060】
顔検出部210は、顔検出処理部211と、ユーザ登録部212と、ユーザ判定部213と、HPD処理部215とを備えている。
【0061】
顔検出処理部211は、撮像部120により撮像されてシステムメモリ304に記憶された撮像画像の画像データを処理して撮像画像の中から顔が撮像されている顔領域および顔の向き(顔角度)などを検出する。
【0062】
HPD処理部215は、顔検出処理部211による検出結果に基づいて人物の存在を検出するHPD処理を行う。例えば、HPD処理部215は、顔検出処理部211が撮像画像の中から顔領域を検出することにより人物の存在を検出する。
【0063】
ユーザ登録部212は、特定の人物の顔情報に基づいてユーザ登録するユーザ登録処理を行う。ユーザ登録された特定のユーザとは、正規に情報処理装置1を使用する使用者として登録されたユーザである。例えば、ユーザ登録は、OS上で動作する所定のアプリケーションによるユーザ登録機能を用いて行うことができる。ユーザ登録したい人物は、当該ユーザ登録機能を用いて自身の顔を撮像した撮像画像を入力することによって、或いは、当該ユーザ登録機能を用いて自身の顔を撮像部120で撮像して入力することによって、ユーザ登録部212は、入力された当該人物の顔画像(顔情報)に基づいてユーザ登録を行う。例えば、ユーザ登録部212は、ユーザ登録を行った人物のユーザIDと、顔情報とを関連付けて記憶する。
【0064】
なお、ユーザ登録部212は、特定の人物のユーザ登録を行う際に、顔検出処理部211により検出された顔領域の顔画像を用いて自動的に学習して行ってもよい。例えば、ユーザ登録部212は、システムの起動の度に、起動のトリガとなった顔画像をユーザ登録すべき特定の人物として自動的に学習してユーザ登録してもよい。
【0065】
ユーザ判定部213は、HPD処理により検出された人物がユーザ登録処理によりユーザ登録された特定の人物であるか否かを判定するユーザ判定処理を行う。例えば、ユーザ判定部213は、HPD処理により撮像画像の中から検出された顔領域の顔画像に基づく顔情報とユーザ登録処理によりユーザ登録された特定の人物の顔画像に基づく顔情報とに基づいて、HPD処理により検出された人物がユーザ登録処理によりユーザ登録された特定の人物であるか否かを判定する。
【0066】
また、HPD処理部215は、第1検出範囲内の撮像画像の中からユーザ登録された特定の人物の顔領域が検出された場合にHPD処理の検出結果を「True」と判定する。また、HPD処理部215は、第2検出範囲内の撮像画像の中から特定の人物か否かにかかわらず顔領域が検出された場合にHPD処理の検出結果を「True」と判定する。
【0067】
一方、HPD処理部215は、第1検出範囲内の撮像画像の中からユーザ登録された特定の人物の顔領域が検出されず、且つ第2検出範囲内の撮像画像の中から特定の人物か否かにかかわらず顔領域が検出されない場合、HPD処理の検出結果を「False」と判定する。
【0068】
そして、HPD処理部215は、HPD処理の検出結果を示す情報(「True」または「False」)を、システム処理部310へ出力する。
【0069】
システム処理部310は、CPU11がBIOS及びOSのプログラムまたはOS上で実行されるプログラムを実行することにより実現される機能構成である。例えば、システム処理部310は、OSのプログラムを実行することにより実現される機能構成として、動作制御部311を備えている。
【0070】
動作制御部311は、システムの動作状態を制御する。例えば、動作制御部311は、待機状態において電源ボタン140に対して操作がされると、電源ボタン140からEC200を介して取得した操作信号に基づいて、システムを待機状態から起動させる。また、動作制御部311は、通常動作状態において表示部110に表示されるOSの電源メニュー(シャットダウン、スリープ、再起動など)に対する操作に基づいて、システムのシャットダウン、待機状態への遷移、再起動などの処理を行う。
【0071】
また、動作制御部311は、顔検出部210から出力されるHPD処理の検出結果(「True」または「False」)に基づいて、システムの動作状態を制御する。例えば、動作制御部311は、待機状態において顔検出部210からHPD処理の検出結果として「True」を示す情報を取得した場合、システムを待機状態から起動させる。つまり、動作制御部311は、顔検出部210におけるユーザ登録処理とHPD処理とユーザ判定処理とに基づいてシステムを起動させる。
【0072】
[検出範囲設定処理の動作]
次に図7を参照して、情報処理装置1がユーザ登録された人物か否かによってHPD処理に用いる検出範囲を第1検出範囲または第2検出範囲に設定する検出範囲設定処理の動作について説明する。図7は、本実施形態に係る検出範囲設定処理の一例を示すフローチャートである。
【0073】
(ステップS101)顔検出部210は、HPD処理により検出された人物がユーザ登録処理によりユーザ登録された特定の人物であるか否かを判定する。例えば、ユーザ判定部213は、HPD処理により撮像画像の中から検出された顔領域の顔画像に基づく顔情報とユーザ登録処理によりユーザ登録された特定の人物の顔画像に基づく顔情報とに基づいて、HPD処理により検出された人物がユーザ登録された特定の人物であるか否かを判定する。顔検出部210は、特定の人物であると判定した場合(YES)、ステップS103の処理に進む。一方、顔検出部210は、特定の人物ではないと判定した場合(NO)、ステップS111の処理に進む。
【0074】
(ステップS103)顔検出部210は、HPD処理における検出範囲を第1検出範囲に設定する。つまり、顔検出部210は、ユーザ登録された特定の人物に対しては、第1検出範囲を用いてHPD処理を行う。
【0075】
(ステップS105)顔検出部210は、HPD処理における検出範囲を第2検出範囲に設定する。つまり、顔検出部210は、ユーザ登録されていない人物に対しては、第2検出範囲を用いてHPD処理を行う。
【0076】
[起動処理の動作]
次に図8を参照して、情報処理装置1がHPD処理の検出結果に基づいてシステムを起動させる起動処理の動作について説明する。図8は、本実施形態に係る起動処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、システムが待機状態であるとする。
【0077】
(ステップS201)システム処理部310は、顔検出部210からHPD処理の検出結果を取得する。そして、ステップS203の処理へ進む。
【0078】
(ステップS203)システム処理部310は、HPD処理の検出結果が「True」であるか否か(HPD=True?)を判定する。システム処理部310は、HPD処理の検出結果が「False」である場合にはHPD処理の検出結果が「True」ではないと判定し(NO)、ステップS201の処理へ戻る。一方、システム処理部310は、HPD処理の検出結果が「True」であると判定した場合(YES)、ステップS205の処理へ進む。
【0079】
(ステップS205)システム処理部310は、システムを起動させる起動処理を実行する。
【0080】
[第1の実施形態のまとめ]
以上説明してきたように、本実施形態に係る情報処理装置1は、所定の検出範囲(例えば、図2に示す視野角(FoV)と距離(Distance)とで定まる範囲)を撮像する撮像部120で撮像された撮像画像の画像データを一時的に記憶するメモリ(例えば、システムメモリ304)と、顔検出部210(第1プロセッサの一例)と、CPU301(第2プロセッサの一例)とを備えている。顔検出部210は、特定の人物の顔情報に基づいてユーザ登録するユーザ登録処理と、システムメモリ304に記憶された撮像画像の画像データを処理して撮像画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出することにより人物の存在を検出するHPD処理(人物検出処理)と、HPD処理により検出された人物がユーザ登録処理によりユーザ登録された特定の人物であるか否かを判定するユーザ判定処理とを実行する。CPU301は、顔検出部210が実行するユーザ登録処理とHPD処理とユーザ判定処理とに基づいてシステムを起動させる。そして、顔検出部210は、HPD処理における検出範囲を、ユーザ登録された特定の人物に対しては第1検出範囲とし、ユーザ登録されていない人物に対しては第1検出範囲とは異なる第2検出範囲とする。第2検出範囲は、少なくとも撮像部120の視野角と撮像部120からの距離とのいずれか一方が第1検出範囲とは異なり、例えば視野角と距離とのいずれか一方または両方が第1検出範囲よりも狭い(短い)範囲である。
【0081】
これにより、情報処理装置1は、HPD処理によりシステムを起動させる際に、ユーザ登録されている特定の人物に対しては広い検出範囲でHPD処理を行うが、ユーザ登録されていない人物に対しては狭い検出範囲でHPD処理を行うため、使用者である可能性が高い人物の接近に応じてシステムを起動させることができ、通りすがりに画面を見た人物などのように不特定多数の人物に対してシステムが起動してしまうことを抑制できる。よって、情報処理装置1は、使用者が近づいたときに適切にシステムを起動させることができる。
【0082】
例えば、顔検出部210は、第1検出範囲内の撮像画像の中からユーザ登録された特定の人物の顔領域が検出された場合にHPD処理の検出結果を「True」(真)と判定し、第2検出範囲内の撮像画像の中から特定の人物か否かにかかわらず顔領域が検出された場合にHPD処理の検出結果を「True」(真)と判定する。そして、CPU301は、HPD処理の検出結果を「True」(真)と判定されたことに基づいてシステムを起動させる。
【0083】
これにより、情報処理装置1は、使用者である可能性が高い人物の接近に応じてシステムを起動させることができ、通りすがりに画面を見た人物などのように不特定多数の人物に対してシステムが起動してしまうことを抑制できる。よって、情報処理装置1は、使用者が近づいたときに適切にシステムを起動させることができる。
【0084】
撮像部120が撮像する検出範囲は、撮像部120の視野角と撮像部120からの距離とで定まる範囲である。そして、第2検出範囲は、少なくとも第1検出範囲より視野角が狭い範囲である。
【0085】
これにより、情報処理装置1は、ユーザ登録されていない人物に対してはユーザ登録されている人物よりも更に正面の位置まで来ないとシステムを起動させないため、端の方を通っただけの通りすがりの人物に対してシステムが起動してしまうことを抑制できる。よって、情報処理装置1は、使用者が近づいたときに適切にシステムを起動させることができる。
【0086】
撮像部120が撮像する検出範囲は、撮像部120の視野角と撮像部120からの距離とで定まる範囲である。そして、第2検出範囲は、少なくとも第1検出範囲より距離が短い範囲である。
【0087】
これにより、情報処理装置1は、ユーザ登録されていない人物に対してはユーザ登録された人物よりも更に近づかないとシステムを起動させないため、近くを通っただけの通りすがりの人物に対してシステムが起動してしまうことを抑制できる。よって、情報処理装置1は、使用者が近づいたときに適切にシステムを起動させることができる。
【0088】
また、顔検出部210は、ユーザ判定処理において、HPD処理により撮像画像の中から検出された顔領域の顔情報とユーザ登録処理によりユーザ登録された特定の人物の顔情報とに基づいて、HPD処理により検出された人物が特定の人物であるか否かを判定する。
【0089】
これにより、情報処理装置1は、HPD処理により検出された人物がユーザ登録された特定の人物であるかを顔で判定することができ、ユーザ登録されていない人物に対するHPD処理の検出範囲とユーザ登録された人物に対するHPD処理の検出範囲とのそれぞれ検出範囲を適切に変更することができる。
【0090】
また、本実施形態に係る、撮像部120で撮像された撮像画像の画像データを一時的に記憶するメモリ(例えば、システムメモリ304)と、顔検出部210(第1プロセッサの一例)と、CPU301(第2プロセッサの一例)とを備える情報処理装置1における制御方法は、顔検出部210が、特定の人物の顔情報に基づいてユーザ登録するユーザ登録処理を行うステップと、 システムメモリ304に記憶された撮像画像の画像データを処理して撮像画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出することにより人物の存在を検出するHPD処理(人物検出処理)を行うステップと、HPD処理により検出された人物がユーザ登録処理によりユーザ登録された特定の人物であるか否かを判定するユーザ判定処理を行うステップと、CPU301が、顔検出部210が実行するユーザ登録処理とHPD処理とユーザ判定処理とに基づいてシステムを起動させるステップと、を含む。そして、顔検出部210は、HPD処理における検出範囲を、ユーザ登録された特定の人物に対しては第1検出範囲とし、ユーザ登録されていない人物に対しては第1検出範囲とは異なる第2検出範囲とする。
【0091】
これにより、情報処理装置1は、HPD処理によりシステムを起動させる際に、ユーザ登録されている特定の人物に対しては広い検出範囲でHPD処理を行うが、ユーザ登録されていない人物に対しては狭い検出範囲でHPD処理を行うため、使用者である可能性が高い人物の接近に応じてシステムを起動させることができ、通りすがりに画面を見た人物などのように不特定多数の人物に対してシステムが起動してしまうことを抑制できる。よって、情報処理装置1は、使用者が近づいたときに適切にシステムを起動させることができる。
【0092】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態において、ユーザ登録された特定の人物とユーザ登録されていない人物とでHPD処理の検出範囲が異なる構成を説明したが、さらにHPD処理で人物が存在すると判定する顔の角度の検出条件を異ならせてもよい。例えば、本実施形態に係る情報処理装置1は、ユーザ登録されていない人物に対してはユーザ登録された特定の人物よりもより正面を向いているときのみ、人物が存在すると判定(HPD=True)する。これにより、ユーザ登録されていない人物が近づいてきた場合には、より使用者である可能性が高いと判断できるときにのみ、システムを起動させることができる。
【0093】
なお、本実施形態に係る情報処理装置1の基本的な構成は、図1から図6に示す第1の実施形態に係る構成と同様であり、その説明を省略する。ここでは、HPD処理において、第1検出範囲または第2検出範囲を用いるのに加えて、さらに顔の角度を検出条件の1つとする構成について説明する。
【0094】
顔検出部210の顔検出処理部211は、撮像画像の中から検出した顔領域における顔の角度を検出する。ここでの顔の角度とは、例えば顔のヨー方向(左右方向)またはピッチ方向(上下方向)への回転角度である。例えば、顔検出処理部211は、顔検出処理において、単なる顔画像とのパターンマッチングのみではなく、顔の左目、右目、鼻、口、あごなどのランドマークの位置を抽出し、これらのランドマークの位置関係から顔の角度を検出する。
【0095】
そして、HPD処理部215は、HPD処理(人物検出処理)において、ユーザ登録された特定の人物に対しては顔領域における顔の角度が第1角度範囲内であることを検出条件の一つとし、ユーザ登録されていない人物に対しては顔領域における顔の角度が第1角度範囲よりも狭い第2角度範囲内であることを検出条件の一つとする。
【0096】
図9は、本実施形態に係る第1角度範囲と第2角度範囲の一例を示す模式図である。図9の(A)は、顔を上から見たときのヨー方向の顔の角度を示しており、図9の(B)は、顔を横から見たときのピッチ方向の顔の角度を示している。ここでは、ヨー方向の顔の角度は、表示部110に対して顔の向きが正面となるときを「0°」とし、顔に向かって左方向を正(+)の角度、右方向を負(-)の角度とする。また、ピッチ方向の顔の角度は、表示部110に対して顔の向きが正面となるときを「0°」とし、顔に向かって上方向を正(+)の角度、下方向を負(-)の角度とする。
【0097】
図示する例では、第1角度範囲は、ヨー方向に±40°、ピッチ方向に±40°に設定されている。第1角度範囲よりも狭い第2角度範囲は、ヨー方向に±20°、ピッチ方向に±20°に設定されている。つまり、HPD処理部215は、ユーザ登録された特定の人物に対しては、顔の角度がヨー方向に±40°およびピッチ方向に±40°の範囲内であることを検出条件としてHPD処理の検出結果を「True」と判定する。一方、HPD処理部215は、ユーザ登録されていない人物に対しては、顔の角度がヨー方向に±20°およびピッチ方向に±20°の範囲内であることを検出条件としてHPD処理の検出結果を「True」と判定する。即ち、HPD処理部215は、ユーザ登録されていない人物に対してはユーザ登録された特定の人物よりもより正面を向いているときのみHPD処理の検出結果を「True」と判定する。
【0098】
[顔角度範囲変更処理の動作]
次に図10を参照して、情報処理装置1がユーザ登録された特定の人物とユーザ登録されていない人物とでHPD処理に用いる顔の角度範囲を変更する顔角度範囲変更処理の動作について説明する。図10は、本実施形態に係る顔角度範囲変更処理の一例を示すフローチャートである。
【0099】
(ステップS301)顔検出部210は、HPD処理により検出された人物がユーザ登録処理によりユーザ登録された特定の人物であるか否かを判定する。例えば、ユーザ判定部213は、HPD処理により撮像画像の中から検出された顔領域の顔画像に基づく顔情報とユーザ登録処理によりユーザ登録された特定の人物の顔画像に基づく顔情報とに基づいて、HPD処理により検出された人物がユーザ登録処理によりユーザ登録された特定の人物であるか否かを判定する。顔検出部210は、特定の人物であると判定した場合(YES)、ステップS303の処理に進む。一方、顔検出部210は、特定の人物ではないと判定した場合(NO)、ステップS305の処理に進む。
【0100】
(ステップS303)顔検出部210は、HPD処理に用いる顔の角度範囲を第1角度範囲に設定する。つまり、顔検出部210は、HPD処理(人物検出処理)において、ユーザ登録された特定の人物に対しては顔領域における顔の角度が第1角度範囲内(例えば、ヨー方向に±40°およびピッチ方向に±40°の範囲内)であることを、HPD処理の検出結果を「True」とする検出条件の一つとする。
【0101】
(ステップS305)顔検出部210は、HPD処理に用いる顔の角度範囲を第1角度範囲よりも狭い第2角度範囲に設定する。つまり、顔検出部210は、HPD処理(人物検出処理)において、ユーザ登録されていない人物に対しては、顔領域における顔の角度が第2角度範囲内(例えば、ヨー方向に±20°およびピッチ方向に±20°の範囲内)であることを検出条件の一つとする。
【0102】
[第2の実施形態のまとめ]
以上説明してきたように、本実施形態に係る情報処理装置1において、顔検出部210(第1プロセッサの一例)は、撮像画像の中から検出した顔領域における顔の角度を検出する。そして、顔検出部210は、HPD処理(人物検出処理)において、ユーザ登録された特定の人物に対しては顔領域における顔の角度が第1角度範囲内であることを検出条件の一つとし、ユーザ登録されていない人物に対しては顔領域における顔の角度が第1角度範囲よりも狭い第2角度範囲内であることを、HPD処理の検出結果を「True」とする検出条件の一つとする。
【0103】
これにより、情報処理装置1は、ユーザ登録されていない人物に対してはユーザ登録された特定の人物よりもより正面を向いているときのみ使用者と判断して、システムを起動させることができる。よって、情報処理装置1は、使用者が近づいたときに適切にシステムを起動させることができる。
【0104】
なお、本実施形態では、HPD処理において、第1検出範囲または第2検出範囲を用いるのに加えて、さらに顔の角度を検出条件の1つとする構成について説明したが、第2検出範囲に切り替える制御は行わずに、顔の角度を検出条件の1つとしてもよい。
【0105】
即ち、顔検出部210は、ユーザ登録された特定の人物とユーザ登録されていない人物とのいずれに対しても第1検出範囲を用いてHPD処理を行うが、ユーザ登録された特定の人物に対しては、顔の角度が第1角度範囲内(例えば、ヨー方向に±40°およびピッチ方向に±40°の範囲内)であることを、HPD処理の検出結果を「True」とする検出条件の一つとし、ユーザ登録されていない人物に対しては、顔の角度が第2角度範囲内(例えば、ヨー方向に±20°およびピッチ方向に±20°の範囲内)であることを検出条件の一つとしてもよい。
【0106】
つまり、本実施形態に係る情報処理装置1は、所定の検出範囲(例えば、図2に示す視野角(FoV)と距離(Distance)とで定まる範囲)を撮像する撮像部120で撮像された撮像画像の画像データを一時的に記憶するメモリ(例えば、システムメモリ304)と、顔検出部210(第1プロセッサの一例)と、CPU301(第2プロセッサの一例)とを備えている。顔検出部210は、特定の人物の顔情報に基づいてユーザ登録するユーザ登録処理と、システムメモリ304に記憶された撮像画像の画像データを処理して撮像画像の中から顔が撮像されている顔領域および顔の角度を検出することにより人物の存在を検出するHPD処理(人物検出処理)と、HPD処理により検出された人物がユーザ登録処理によりユーザ登録された特定の人物であるか否かを判定するユーザ判定処理とを実行する。CPU301は、顔検出部210が実行するユーザ登録処理とHPD処理とユーザ判定処理とに基づいてシステムを起動させる。そして、顔検出部210は、HPD処理(人物検出処理)において、ユーザ登録された特定の人物に対しては顔領域における顔の角度が第1角度範囲内であることを検出条件の一つとし、ユーザ登録されていない人物に対しては顔領域における顔の角度が第1角度範囲よりも狭い第2角度範囲内であることを、HPD処理の検出結果を「True」とする検出条件の一つとする。
【0107】
これにより、情報処理装置1は、ユーザ登録されていない人物に対してはユーザ登録された特定の人物よりもより正面を向いているときのみ使用者と判断して、システムを起動させることができる。よって、情報処理装置1は、使用者が近づいたときに適切にシステムを起動させることができる。
【0108】
また、本実施形態に係る、撮像部120で撮像された撮像画像の画像データを一時的に記憶するメモリ(例えば、システムメモリ304)と、顔検出部210(第1プロセッサの一例)と、CPU301(第2プロセッサの一例)とを備える情報処理装置1における制御方法は、顔検出部210が、特定の人物の顔情報に基づいてユーザ登録するユーザ登録処理を行うステップと、 システムメモリ304に記憶された撮像画像の画像データを処理して撮像画像の中から顔が撮像されている顔領域および顔の角度を検出することにより人物の存在を検出するHPD処理(人物検出処理)を行うステップと、HPD処理により検出された人物がユーザ登録処理によりユーザ登録された特定の人物であるか否かを判定するユーザ判定処理を行うステップと、CPU301が、顔検出部210が実行するユーザ登録処理とHPD処理とユーザ判定処理とに基づいてシステムを起動させるステップと、を含む。そして、顔検出部210は、HPD処理(人物検出処理)において、ユーザ登録された特定の人物に対しては顔領域における顔の角度が第1角度範囲内であることを検出条件の一つとし、ユーザ登録されていない人物に対しては顔領域における顔の角度が第1角度範囲よりも狭い第2角度範囲内であることを、HPD処理の検出結果を「True」とする検出条件の一つとする。
【0109】
これにより、情報処理装置1は、ユーザ登録されていない人物に対してはユーザ登録された特定の人物よりもより正面を向いているときのみ使用者と判断して、システムを起動させることができる。よって、情報処理装置1は、使用者が近づいたときに適切にシステムを起動させることができる。
【0110】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上述の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、上述の各実施形態において説明した各構成は、任意に組み合わせることができる。
【0111】
また、情報処理装置1に撮像部120が内蔵されている構成例を説明したが、これに限られるものではない。例えば、撮像部120は、情報処理装置1に内蔵されていなくてもよく、情報処理装置1の外部アクセサリとして情報処理装置1(例えば、側面10a、10b、10c等のいずれか)に取り付け可能に構成され、無線または有線で情報処理装置1と通信接続されるものであってもよい。
【0112】
また、上記実施形態では、顔検出部210がCPU301およびチップセット303とは別に備えられている例を示したが、顔検出部210の一部または全部は、チップセット303に備えられてもよいし、CPU301またはチップセット303と一体化されたプロセッサに備えられてもよい。例えば、CPU301とチップセット303と顔検出部210とは個別のプロセッサとして構成されてもよいし、1つのプロセッサとして一体化して構成されてもよい。また、顔検出部210の一部または全部は、EC200に備えられてもよい。
【0113】
また、上述した待機状態には、ハイバネーション状態やパワーオフ状態等が含まれてもよい。ハイバネーション状態は、例えば、ACPIで規定されているS4状態に相当する。パワーオフ状態は、例えば、ACPIで規定されているS5状態(シャットダウンした状態)に相当する。なお、待機状態のうちスタンバイ状態、スリープ状態、ハイバネーション状態、パワーオフ状態などは、通常動作状態よりも電力の消費量が低い状態(電力の消費を抑えた状態)である。
【0114】
なお、上述した情報処理装置1は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した情報処理装置1が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した情報処理装置1が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0115】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に情報処理装置1が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0116】
また、上述した実施形態における情報処理装置1が備える各機能の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0117】
また、上記実施形態の情報処理装置1は、ノートブック型のPCに限られるものではなく、例えば、デスクトップ型PCなどであってもよい。
【符号の説明】
【0118】
1 情報処理装置、10 第1筐体、20 第2筐体、15 ヒンジ機構、110 表示部、120 撮像部、140 電源ボタン、150 入力デバイス、151 キーボード、153 タッチパッド、160 通信部、170 記憶部、200 EC、210 顔検出部、211 顔検出処理部、212 ユーザ登録部、213 ユーザ判定部、215 HPD処理部、300 メイン処理部、301 CPU、302 GPU、303 チップセット、304 システムメモリ、310 システム処理部、311 動作制御部、400 電源部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の検出範囲を撮像する撮像部により撮像された撮像画像のデータを一時的に記憶するメモリと、
特定の人物の顔情報に基づいてユーザ登録を行うユーザ登録処理と、前記メモリに記憶された前記撮像画像のデータを処理して前記撮像画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出することにより人物の存在を検出する人物検出処理と、前記人物検出処理により検出された人物が前記ユーザ登録処理により前記ユーザ登録された前記特定の人物であるか否かを判定するユーザ判定処理とを実行する第1プロセッサと、
前記ユーザ登録処理と前記人物検出処理と前記ユーザ判定処理とに基づいてシステムを起動させる第2プロセッサと、
を備え、
前記第1プロセッサは、
前記人物検出処理により検出された人物が前記特定の人物である場合には、前記所定の検出範囲のうちの第1検出範囲内に検出された場合に前記人物検出処理の検出結果を真と判定し、
前記人物検出処理により検出された人物が前記特定の人物ではない場合には、前記第1検出範囲とは異なる第2検出範囲内に検出された場合に前記人物検出処理の検出結果を真と判定し、
前記第2プロセッサは、
前記人物検出処理の検出結果が真と判定されたことに基づいてシステムを起動させる、
情報処理装置。
【請求項2】
前記第1プロセッサは、
前記第1検出範囲内の前記撮像画像の中から前記特定の人物の前記顔領域が検出された場合に前記人物検出処理の検出結果を真と判定し、前記第2検出範囲内の前記撮像画像の中から前記特定の人物か否かにかかわらず前記顔領域が検出された場合に前記人物検出処理の検出結果を真と判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記検出範囲は、前記撮像部の視野角と前記撮像部からの距離とで定まる範囲であり、
前記第2検出範囲は、少なくとも前記視野角と前記距離とのいずれか一方が前記第1検出範囲とは異なる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記検出範囲は、前記撮像部の視野角と前記撮像部からの距離とで定まる範囲であり、
前記第2検出範囲は、少なくとも前記第1検出範囲より前記視野角が狭い範囲である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記検出範囲は、前記撮像部の視野角と前記撮像部からの距離とで定まる範囲であり、
前記第2検出範囲は、少なくとも前記第1検出範囲より前記距離が短い範囲である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1プロセッサは、
前記ユーザ判定処理において、前記人物検出処理により前記撮像画像の中から検出された前記顔領域の顔情報と前記ユーザ登録処理により前記ユーザ登録された前記特定の人物の顔情報とに基づいて、前記人物検出処理により検出された人物が前記特定の人物であるか否かを判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1プロセッサは、
前記撮像画像の中から検出した前記顔領域における顔の角度をさらに検出し、
前記人物検出処理において、前記特定の人物に対しては前記顔領域における顔の角度が第1角度範囲内であることを検出条件の一つとし、前記ユーザ登録されていない人物に対しては前記顔領域における顔の角度が前記第1角度範囲よりも狭い第2角度範囲内であることを検出条件の一つとする、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
所定の検出範囲を撮像する撮像部により撮像された撮像画像のデータを一時的に記憶するメモリと、
特定の人物の顔情報に基づいてユーザ登録するユーザ登録処理と、前記メモリに記憶された前記撮像画像のデータを処理して前記撮像画像の中から顔が撮像されている顔領域および顔の角度を検出することにより人物の存在を検出する人物検出処理と、前記人物検出処理により検出された人物が前記ユーザ登録処理により前記ユーザ登録された前記特定の人物であるか否かを判定するユーザ判定処理とを実行する第1プロセッサと、
前記ユーザ登録処理と前記人物検出処理と前記ユーザ判定処理とに基づいてシステムを起動させる第2プロセッサと、
を備え、
前記第1プロセッサは、
前記人物検出処理により検出された人物が前記特定の人物である場合には、検出された顔の角度が第1角度範囲内である場合に前記人物検出処理の検出結果を真と判定し、
前記人物検出処理により検出された人物が前記特定の人物ではない場合には、検出された顔の角度が前記第1角度範囲よりも狭い第2角度範囲内である場合に前記人物検出処理の検出結果を真と判定し、
前記第2プロセッサは、
前記人物検出処理の検出結果が真と判定されたことに基づいてシステムを起動させる、
情報処理装置。
【請求項9】
所定の検出範囲を撮像する撮像部により撮像された撮像画像のデータを一時的に記憶するメモリと、第1プロセッサと、第2プロセッサとを備える情報処理装置における制御方法であって、
前記第1プロセッサが、
特定の人物の顔情報に基づいてユーザ登録するユーザ登録処理を行うステップと、
前記メモリに記憶された前記撮像画像のデータを処理して前記撮像画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出することにより人物の存在を検出する人物検出処理を行うステップと、
前記人物検出処理により検出された人物が前記ユーザ登録処理により前記ユーザ登録された前記特定の人物であるか否かを判定するユーザ判定処理を行うステップと、
前記人物検出処理により検出された人物が前記特定の人物である場合には、前記所定の検出範囲のうちの第1検出範囲内に検出された場合に前記人物検出処理の検出結果を真と判定するステップと、
前記人物検出処理により検出された人物が前記特定の人物ではない場合には、前記第1検出範囲とは異なる第2検出範囲内に検出された場合に前記人物検出処理の検出結果を真と判定するステップと、
前記第2プロセッサが、
前記ユーザ登録処理と前記人物検出処理と前記ユーザ判定処理とに基づいてシステムを起動させる際に、前記人物検出処理の検出結果が真と判定されたことに基づいてシステムを起動させるステップと、
を含制御方法。
【請求項10】
所定の検出範囲を撮像する撮像部により撮像された撮像画像のデータを一時的に記憶するメモリと、第1プロセッサと、第2プロセッサとを備える情報処理装置における制御方法であって、
前記第1プロセッサが、
特定の人物の顔情報に基づいてユーザ登録するユーザ登録処理を行うステップと、
前記メモリに記憶された前記撮像画像のデータを処理して前記撮像画像の中から顔が撮像されている顔領域および顔の角度を検出することにより人物の存在を検出する人物検出処理を行うステップと、
前記人物検出処理により検出された人物が前記ユーザ登録処理により前記ユーザ登録された前記特定の人物であるか否かを判定するユーザ判定処理を行うステップと、
前記人物検出処理により検出された人物が前記特定の人物である場合には、検出された顔の角度が第1角度範囲内である場合に前記人物検出処理の検出結果を真と判定するステップと、
前記人物検出処理により検出された人物が前記特定の人物ではない場合には、検出された顔の角度が前記第1角度範囲よりも狭い第2角度範囲内である場合に前記人物検出処理の検出結果を真と判定するステップと、
前記第2プロセッサが、
前記ユーザ登録処理と前記人物検出処理と前記ユーザ判定処理とに基づいてシステムを起動させる際に、前記人物検出処理の検出結果が真と判定されたことに基づいてシステムを起動させるステップと、
を含制御方法。