(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024696
(43)【公開日】2025-02-20
(54)【発明の名称】水素貯蔵および圧縮システム
(51)【国際特許分類】
F17C 11/00 20060101AFI20250213BHJP
【FI】
F17C11/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024130029
(22)【出願日】2024-08-06
(31)【優先権主張番号】23189911
(32)【優先日】2023-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】524295962
【氏名又は名称】ジーアールゼット、テクノロジーズ、ソシエテ、アノニム
【氏名又は名称原語表記】GRZ Technologies SA
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジヒョ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ピョンスン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ハンジン
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ジヒ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ジェヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ジ-フン
(72)【発明者】
【氏名】エルンスト、アドラー
(72)【発明者】
【氏名】アキル、ペンマトサ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ルイ
(72)【発明者】
【氏名】スン、タイ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル、ブレム
(72)【発明者】
【氏名】バルガフ、パテル
(72)【発明者】
【氏名】ノリス、ガランダート
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンティノス、バーディス
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA09
3E172AB01
3E172BB05
3E172BB12
3E172BB17
3E172FA01
3E172FA18
3E172FA24
3E172FA26
3E172JA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明の目的は、高い圧力比を提供するとともに、エネルギー効率が高く、費用効率が高い、かつ安全な水素貯蔵-圧縮システムを提供する。
【解決手段】水素貯蔵-圧縮装置は、ケーシングと、前記ケーシングの内部チャンバー内に取り付けられた複数の貯蔵-圧縮ユニットと、を含む。それぞれの貯蔵-圧縮ユニットは、コンテナとコンテナ内に収容された水素貯蔵圧縮のために構成された金属水素化物を含む。貯蔵-圧縮コンテナは、水素消費装置および水素供給源に連結するための水素入口および水素出口に水素ガス回路流動システムによって相互連結される。熱管理システムは、熱流体回路システムと熱交換機システムとを含む。熱流体回路システムは、閉ループの熱流体流動回路と、熱流体流動回路内に含まれて流れる熱流体と、熱流体流動回路で熱流体をポンピングするための熱流体ポンプと、を有している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素貯蔵-圧縮システムにおいて、
水素貯蔵-圧縮装置;
熱管理システム;および
制御システム;
を含み、
前記水素貯蔵-圧縮装置は、ケーシングと、前記ケーシングの内部チャンバー内に取り付けられた複数の貯蔵-圧縮ユニットと、を含み、各貯蔵-圧縮ユニットは、コンテナと前記コンテナ内に収容された水素貯蔵圧縮のために構成された金属水素化物を含み、複数の貯蔵-圧縮コンテナは、水素消費装置および水素供給源に連結するための水素入口および水素出口に水素ガス回路流動システムによって相互連結され、
熱管理システムは、熱流体回路システムと熱交換機システムとを含み、
熱流体回路システムは、
閉ループの熱流体流動回路と、
熱流体流動回路内に含まれて流れる熱流体と、
熱流体流動回路で熱流体をポンピングするための熱流体ポンプと、
を含み、
熱流体流動回路は、
冷却または加熱のために貯蔵-圧縮ユニットのコンテナの周囲のケーシング内部チャンバーを通じて熱流体を流れるようにするために、ケーシングの熱流体入口および熱流体出口に連結され、
加熱源に熱的に結合された少なくとも第1熱交換機と、冷却源に熱的に結合された第2熱交換機に結合し、
制御システムは、熱交換機を通じて熱流体流動回路内の熱流体の流れを制御するために、熱流体回路システムに連結される、水素貯蔵-圧縮システム。
【請求項2】
熱管理システムは、熱流体流動回路に熱的に結合された乾式冷却器を含む、請求項1に記載の水素貯蔵-圧縮システム。
【請求項3】
熱管理システムは、熱流体流動回路に熱的に結合された一つ以上の追加の熱交換機を含む、請求項1に記載の水素貯蔵-圧縮システム。
【請求項4】
一つ以上の追加の熱交換機は、
産業工程出力に熱的に結合された廃熱回収用熱交換機;および/または
外気冷却用熱交換機;
を含む、請求項3に記載の水素貯蔵-圧縮システム。
【請求項5】
熱流体は、水-エチレングリコール混合物、シリコンオイル、または合成炭化水素オイルのうちのいずれか一つ以上から選択される、請求項1に記載の水素貯蔵-圧縮システム。
【請求項6】
熱流体は、45%ないし55%:55%ないし45%の範囲、または、50%:50%の範囲の水:エチレングリコールの比率を有する水-エチレングリコール混合物を含む、請求項1に記載の水素貯蔵-圧縮システム。
【請求項7】
貯蔵-圧縮ユニットに含有された金属水素化物は、TixZryCraMnbFecNidCueVfRegの組成を有する材料クラスAB2であり、ここで、x、y、a、b、cおよびdは、モル比であり、Reは、LaおよびCeの中から選択され、0.2≦x≦0.95、0.05≦y≦0.45、0.001≦a≦1、0.3≦b≦2、0.01≦c≦0.6、0.005≦d≦1.5、0≦e≦0.1、0≦f≦0.5、0.01≦g≦0.05、およびa+b+c+d+e+f+g=1.9ないし2.3である、請求項1に記載の水素貯蔵-圧縮システム。
【請求項8】
貯蔵-圧縮ユニットに含有された金属水素化物は、LaxCeyMI(1-x-y)Nia CobFecMdの組成を有する材料クラスAB5であり、ここで、x、y、a、b、cおよびdは、モル比であり、M1は、Y、Ti、Zr中から選択された一つ以上の元素であり、Mは、CuおよびMnの中から選択され、0.15≦x≦0.95、0.05≦y≦0.85、0≦(1-x-y)≦0.1、3.8≦a≦4.2、0.1≦b≦1.2、0.01≦c≦0.3、0≦d≦0.1、4.8≦(a+b+c+d)≦5.15である、請求項1に記載の水素貯蔵-圧縮システム。
【請求項9】
ケーシングと熱流体流動回路とは、少なくとも2barの内部圧力に耐えるように構成される、請求項1に記載の水素貯蔵-圧縮システム。
【請求項10】
制御システムは、水素ガス回路流動システムのバルブに連結され、水素ガス回路流動システムに連結された圧力センサーおよび温度センサーに連結され、水素供給源から水素貯蔵-圧縮システムへの水素の流入および水素貯蔵-圧縮システムから水素消費装置への水素の流出を制御する、請求項1に記載の水素貯蔵-圧縮システム。
【請求項11】
それぞれの貯蔵-圧縮コンテナは1.5cmないし10cm範囲の直径Dを有する管型コンテナ壁を含み、少なくとも一つの多重コンテナユニットの前記複数の貯蔵-圧縮コンテナのうち、隣接する貯蔵-圧縮コンテナは、0.02xDないし1xD範囲の長さを有する間隔Gによって分離される、請求項1に記載の水素貯蔵-圧縮システム。
【請求項12】
それぞれの貯蔵-圧縮コンテナの管型コンテナ壁の直径Dは、2cmないし8cm範囲または3cmないし6cm範囲である、請求項11に記載の水素貯蔵-圧縮システム。
【請求項13】
前記貯蔵-圧縮コンテナ間の間隔Gは、0.1xDないし0.5xD範囲である、請求項11に記載の水素貯蔵-圧縮システム。
【請求項14】
前記貯蔵-圧縮コンテナは、60cmないし200cm範囲または80cmないし150cm範囲の長さを有する、請求項11に記載の水素貯蔵-圧縮システム。
【請求項15】
50bar以上または200bar以上の高い圧力で水素を吸収および脱着し、40℃未満の温度変化または20℃~30℃範囲の温度変化で、実質的に一定の圧力で水素を脱着させる準等圧水素供給システムに用いられる、請求項1に記載の水素貯蔵-圧縮システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属水素化物を用いた水素貯蔵および圧縮システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
水素貯蔵は、再生エネルギーによる化石燃料技術の脱炭素化における核心的な段階である。
【0003】
多くの金属および合金が相当の量の水素を可逆的に吸収し、熱を追加してこれを圧縮できるので、金属水素化物は、水素圧縮分野において大きな関心を集めている。分子水素は、吸収される前に金属水素化物の表面から解離する。二つの水素原子は、脱着時に再結合して水素分子を形成する。物質の水素吸収反応は、一般に発熱反応(熱生成)であるのに対し、水素脱着反応は、逆に吸熱反応(熱吸収)である。脱着に必要な熱を追加して必要な高い圧力水準で水素を等圧でおよび脈動なしに脱着供給する装置として金属水素化物圧縮システムが用いられる。
【0004】
水素圧縮の課題は、高い水準の安全性を保障しながら、単一システムで高い熱伝達速度を保障し、高い圧力比に到達することが含まれる。金属水素化物材料の熱力学的挙動が与えられる時に高い圧力比を得るためには、システムの高い温度範囲が必要である。つまり、吸収温度TColdと脱着温度THotの間の差が十分大きい。
【0005】
また他の課題は、全体効率を最大化することに関連する。過渡プロセス(加熱および冷却プロセス)および補助電力消費(ポンピング電力)に関連するエネルギー損失を最少化しなければならない。
【0006】
この背景技術の部分に記載された事項は、発明の背景に関する理解を増進させるために作成されたものであって、この技術の属する分野における通常の知識を有する者に既に知られている従来技術でない事項を含んでもよい。
【0007】
前述の内容を考慮して、本発明の目的は、高い圧力比を提供するとともに、エネルギー効率が高く、費用効率が高い、かつ安全な水素貯蔵-圧縮システムを提供することにある。
【0008】
作動および維持に経済的な水素貯蔵-圧縮システムを提供することに有利である。
【0009】
信頼性があってコンパクトな水素貯蔵-圧縮システムを提供することに有利である。
【0010】
本発明の目的は、本発明の実施例の多様な有利な特徴に係るシステムを提供することによって達成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の開示】
【0012】
本明細書には、水素貯蔵-圧縮装置および熱管理システムを有する水素貯蔵-圧縮システムが開示される。水素貯蔵-圧縮装置は、ケーシングと、前記ケーシングの内部チャンバー内に取り付けられた複数の貯蔵-圧縮ユニットと、を含む。それぞれの貯蔵-圧縮ユニットは、コンテナとコンテナ内に収容された水素貯蔵圧縮のために構成された金属水素化物を有している。複数の貯蔵-圧縮コンテナは、水素消費装置および水素供給源に連結するための水素入口および水素出口に水素ガス回路流動システムによって相互連結される。
【0013】
熱管理システムは、熱流体回路システムと熱交換機システムとを含む。熱流体回路システムは、閉ループの熱流体流動回路、熱流体流動回路内に含まれて流れる熱流体と、熱流体流動回路で熱流体をポンピングするための熱流体ポンプと、を有している。熱流体流動回路は、冷却または加熱のために貯蔵-圧縮ユニットのコンテナの周囲のケーシング内部チャンバーを通じて熱流体を流れるようにするために、ケーシングの熱流体入口および熱流体出口に連結される。熱流体流動回路は、加熱源に熱的に結合された少なくとも第1熱交換機と、冷却源に熱的に結合された第2熱交換機に結合される。
【0014】
一実施例で、水素貯蔵-圧縮システムは、熱交換機を通じて熱流体流動回路内の熱流体の流れを制御するために、熱流体回路システムに連結された制御システムをさらに含む。
熱管理システム内で相変化を防止することは重要な利点である。
【0015】
一実施例で、熱管理システムは、熱流体流動回路に熱的に結合された乾式冷却器を含む。
【0016】
一実施例で、熱管理システムは、熱流体流動回路に熱的に結合された一つ以上の追加の熱交換機を含む。例えば、追加的な熱交換機は、産業工程出力に熱的に結合された廃熱回収用熱交換機および/または外気冷却用熱交換機を含んでもよい。
【0017】
一実施例で、熱流体は、水-エチレングリコール混合物、シリコンオイル、または合成炭化水素オイルのうちのいずれか一つ以上から選択される。
【0018】
一実施例で、熱流体は、主に約45%の水:55%のエチレングリコールないし約55%の水:45%のエチレングリコールの範囲の比率で水-エチレングリコール混合物を含むか構成される。他の実施形態で、前記比率は、約50%の水-50%のエチレングリコールの範囲である。
【0019】
一実施例で、貯蔵-圧縮ユニットに含有された金属水素化物は、TixZryCraMnbFecNidCueVfRegの組成を有する材料クラスAB2であり、ここで、x、y、a、b、cおよびdは、モル比であり、Reは、LaおよびCeの中から選択され、0.2≦x≦0.95、0.05≦y≦0.45、0.001≦a≦1、0.3≦b≦2、0.01≦c≦0.6、0.005≦d≦1.5、0≦e≦0.1、0≦f≦0.5、0.01≦g≦0.05、およびa+b+c+d+e+f+g=1.9ないし2.3である。
【0020】
一実施例で、貯蔵-圧縮ユニットに含有された金属水素化物は、LaxCeyMI(1-x-y)Nia CobFecMdの組成を有する材料クラスAB5であり、ここで、x、y、a、b、cおよびdは、モル比であり、M1は、Y、Ti、Zr中から選択された一つ以上の元素であり、Mは、CuおよびMnの中から選択され、0.15≦x≦0.95、0.05≦y≦0.85、0≦(1-x-y)≦0.1、3.8≦a≦4.2、0.1≦b≦1.2、0.01≦c≦0.3、0≦d≦0.1、4.8≦(a+b+c+d)≦5.15である。
【0021】
一実施例で、ケーシングと熱流体流動回路とは、少なくとも2barの内部圧力に耐えるように構成される。
【0022】
一実施例で、制御システムは、水素ガス回路流動システムのバルブに連結され、水素ガス回路流動システムに連結された圧力センサーおよび温度センサーに連結され、水素供給源から水素貯蔵-圧縮システムへの水素の流入および水素貯蔵-圧縮システムから水素消費装置への水素の流出を制御する。
【0023】
一実施例で、それぞれの貯蔵-圧縮コンテナは、約1.5cmないし10cm範囲の直径Dを有する管型コンテナ壁を含む。少なくとも一つの多重コンテナユニットの複数の貯蔵-圧縮コンテナのうち、隣接するコンテナは、0.02×Dないし1×D範囲の長さを有する間隔Gによって分離される。
【0024】
一実施例で、それぞれの貯蔵-圧縮コンテナの管型コンテナ壁の直径Dは、約2cmないし8cm範囲である。一つの例で、直径は、約3cmないし6cm範囲である。
【0025】
一実施例で、貯蔵-圧縮コンテナの間の間隔Gは、約0.1×Dないし0.5×D範囲である。
【0026】
一実施例で、貯蔵-圧縮コンテナは、約60cmないし200cm範囲の長さを有する。一実施例で、長さは、約80cmないし150cm範囲である。
【0027】
一実施例で、水素貯蔵-圧縮システムは、上昇した圧力で水素を吸収および脱着するための準等圧水素供給システムに用いられる。一実施例で、上昇した圧力は、50barより大きい。一実施例で、上昇した圧力は、200barより大きい。一実施例で、システムは最小の温度変化で、実質的に一定の圧力で水素を脱着することができる。一実施例で、温度変化は、40℃未満であってもよい。一実施例で、温度変化は、約20℃ないし30℃範囲であってもよい。
【0028】
本発明によると、高い圧力比を提供するとともに、エネルギー効率が高く、費用効率が高い、かつ安全である。
【0029】
また、作動および維持に経済的であり、信頼性があってコンパクトである。
【0030】
その他に、本発明の実施例によって得られるか予測される効果については、開示の実施例に対する詳細な説明で直接または暗示的に開示することにする。つまり、本発明の実施例により予測される多様な効果については、後述する詳細な説明内で開示される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明の追加的な目的および有利な特徴は、請求の範囲、詳細な説明および添付の図面から明白になるはずである。
【
図1】
図1は、本発明の実施例に係る水素貯蔵-圧縮システムの単純化したブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例に係る水素貯蔵-圧縮システムの金属水素化物材料の貯蔵容量(重量%)に対する圧力(bar)のグラフである。
【
図3】
図3は、本発明の実施例に係る水素貯蔵-圧縮システムの制御システムを概略的に示すブロック図である。
【
図4a】
図4aは、本発明の実施例に係る水素貯蔵-圧縮システムのケーシングおよび貯蔵-圧縮ユニットの縦断面図である。
【
図4b】
図4bは、本発明の実施例に係る水素貯蔵-圧縮システムのケーシングおよび貯蔵-圧縮ユニットの横断面図面である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明に係る構成要素、装置、要素などが目的を有するか、動作、機能などを行うものと説明される場合、本明細書では、当該構成要素、装置、または要素は、当該目的を達成するか、当該動作や機能を行うように「なっている」と見なされなければならない。図面を参照すると、水素貯蔵-圧縮システム1は、水素貯蔵-圧縮装置2と熱管理システム5を含む。
【0033】
水素貯蔵-圧縮システム1は、水素供給源101および水素消費装置102に連結される。水素供給源は、例えば、電解槽、パイプラインを通じて連結された水素ネットワーク、水素トレーラ、または低圧または高圧水素シリンダーであってもよい。他の可能性は、蒸気メタン改質やバイオマスガス化プラントから出る水素を含む。水素消費装置102は、例えば、一般に高圧シリンダーに貯蔵され、燃料電池または燃焼エンジンで活用される圧縮水素を用いる乗用車、トラック、バス、または線舶のような車両であってもよい。水素は、熱併合発電サイクルやその他産業工程で工程構成要素(例えば、アンモニア)または高温熱の生成(金属加工)に用いることもできる。
【0034】
脱着工程の間、金属水素化物の圧縮を通じて出る水素は、最大130℃の高温である。高圧貯蔵タンク内部の可能な最大温度は、再充填工程の間、特定の要求事項および安全標準に従わなければならない。本発明の実施例に係る水素貯蔵-圧縮システム1は、水素消費装置102の水素貯蔵タンクを満たすために高圧で水素を圧縮するように構成される。圧力は一般に350barより高く、意図された消費装置の応用分野によって最大900barを超えることもある。
【0035】
水素貯蔵-圧縮装置2は、ケーシング3と、ケーシング3に取り付けられた複数の貯蔵-圧縮ユニット4を含む。それぞれの貯蔵-圧縮ユニット4は、コンテナ20と、一般に粉末または顆粒状にコンテナ内に提供される金属水素化物22を有する。複数の貯蔵-圧縮ユニット4の複数のコンテナ20は、ケーシング3のウォールを介した水素の流入/流出システムを通じて、水素供給源101および水素消費装置102に相互連結されたガスの流れチューブおよびバルブから構成されたガス回路流動システム24によって相互連結される。ケーシング3は、貯蔵-圧縮ユニット4と水素の入口/出口を密封式で囲んで、ケーシング3の内部チャンバー12を通じて流れる液体がケーシング3を囲む外部環境から分離され、ケーシング3内に密封式で受容されるようにする。
【0036】
ケーシング3および貯蔵-圧縮ユニット4は、特に熱管理システム5、熱流体28、ケーシング3内に取り付けられた貯蔵-圧縮ユニット4の冷却および加熱のための熱流体回路に関連して、ここに説明された差異点を除いては、PCT公開公報WO2023-025657に記述されたケーシングおよび貯蔵-圧縮ユニットと類似の構成を含んでもよい。
【0037】
ケーシング3は、その内部に貯蔵-圧縮ユニット4が取り付けられるケーシング3の内部チャンバー12を囲む。ケーシング3は、ケーシング3の一端および一側に熱流体入口16を含み、ケーシング3の他端および他側に熱流体出口18を含む。したがって、熱流体28が熱流体入口16から熱流体出口18に流れるとき、熱流体28は、貯蔵-圧縮ユニット4のコンテナ20の外部の周囲に流れる。コンテナ20の外部の周囲およびコンテナ20を横切って流れる熱流体28は、水素圧縮工程段階と水素吸収または脱着工程の当該要求事項に従って貯蔵コンテナ4を冷却させるか加熱する役割を果たす。
【0038】
それぞれの貯蔵-圧縮コンテナ20は、約1.5cmないし10cmの範囲の直径Dを有する管型コンテナ壁を含んでもよい。少なくとも一つの多重コンテナユニットの複数の貯蔵-圧縮コンテナのうち、隣接するコンテナは、約0.02×Dないし1×Dの範囲の長さを有する間隔Gによって分離されてもよい。
【0039】
一部の実施例で、それぞれの貯蔵-圧縮コンテナ24の管型コンテナ壁の直径Dは、約2cmないし8cmの範囲である。一実施例で、直径Dは、約3cmないし6cmの範囲である。
【0040】
一部の実施例で、貯蔵-圧縮コンテナ24間の間隔Gは、0.1×Dないし0.5×Dの範囲である。
【0041】
一部の実施例で、貯蔵-圧縮コンテナは、約60cmないし200cmの範囲の長さを有する。一実施例で、長さは、約80cmないし150cmの範囲である。
【0042】
上記の媒介変数は、貯蔵-圧縮ユニット4の金属水素化物とケーシング3の内部チャンバー12を通じて流れる熱流体間の優れた熱伝達特性を有する水素貯蔵-圧縮装置2を提供できるようにする。上記の媒介変数は、トラック、ボート、線舶などの車両で簡単に運搬することができ、設置およびメンテナンスが容易な大きさと形状を有する水素貯蔵-圧縮装置2を提供するとともに、このような結果を達成できるようにする。
【0043】
熱管理システム5は、熱交換機システム7と、ケーシング3の熱流体入口16および出口18を熱交換機システム7に相互連結する熱流体回路システム6を含む。熱流体回路システム6は、内部チャンバー12と熱交換機システム7を通じて熱流体28をポンピングするための熱流体ポンプ26を有し、熱交換機システム7を通じた熱流体28の流れを制御するための複数のバルブVを有する。
【0044】
熱交換機システム7は、加熱源8に結合された少なくとも第1熱交換機30aを含み、冷却源9に結合された少なくとも第2熱交換機30bを含む。熱交換機システム7は、例えば、廃熱回収用熱交換機30dおよび外気冷却用熱交換機30eのような追加の熱交換機を含んでもよい。熱交換機システム7は、選択的に乾式冷却器30cをさらに含んでもよい。空冷式凝縮機または空冷式熱交換機としても知られている乾式冷却器30cは、水の蒸発を用いずに周辺の空気に熱を放出するか、周辺の空気から熱を吸収するために熱交換機システムに用いられる装置である。乾式冷却器30cには、ラジエータと類似のピン-チューブ熱交換機が含まれており、熱流体と周辺の空気の間で熱が交換される。
【0045】
本発明で、乾式冷却器30cは、加熱または冷却の過渡段階の間、冷却または加熱の動力を提供する。特に、乾式冷却器30cは、冷却装置または加熱装置なしに吸収温度から周辺温度まで加熱し、脱着温度から周辺温度まで冷却することが可能である。したがって、全体システムのエネルギー消費を減らすことができる。
【0046】
複数のバルブVは、工程段階および要求事項に従って必要な熱交換機を通過する熱流体28の流れを制御するために、熱流体回路(チャンネル、パイプ)6を各熱交換機に相互連結する。加熱源8に結合された第1熱交換機30aは、熱流体回路システム6の熱流体28の流れを105℃以上の温度、一実施例では、最大130℃またはその以上の温度に加熱するように構成される。冷却源9に連結された第2熱交換機30bは、熱流体回路システム6に流れる熱流体28を少なくとも-20℃未満、一実施例では、-30℃未満の温度に冷却するように構成される。
【0047】
熱流体回路システム6は、一実施例で最大2barの圧力に耐えるように構成される。
したがって、熱流体回路システム6内に含まれた熱流体28は、最大2barで循環することができ、-35℃~+160℃の温度で液状に維持することができる。例示的な熱流体組成は、以下でより詳しく説明される。
【0048】
熱管理システム5は、熱流体ポンプ26およびバルブVに連結され、水素吸収および脱着工程の間、ポンプおよび多様なバルブの作動を制御する制御ユニットを含む制御システム10を含む。制御ユニットは、熱交換機システム7および温度センサーTにさらに連結され、制御ユニットは、選択的に熱流体回路6およびケーシング内部チャンバー12を流れる熱流体の加熱および冷却工程を制御するために圧力センサーPに連結される。
【0049】
圧力センサーPおよび/または温度センサーTは、内部チャンバー12内の熱流体28に連結されてもよく、追加的な温度センサーTおよび/または圧力センサーPは、熱流体回路システム6に従って互いに異なる地点に配置されてもよい。制御システム10の制御ユニットは、水素供給源101および水素消費装置102、水素供給源101と水素消費装置102との間の水素の入力(流入)および出力(流出)並びに水素貯蔵-圧縮装置2の貯蔵-圧縮ユニット4を制御するために、水素貯蔵-圧縮装置2を水素供給源101および水素消費装置102に相互連結するバルブにさらに連結される。
【0050】
熱管理ソフトウェアモジュールが制御ユニットに設けられ、水素吸収または脱着工程と、水素貯蔵-圧縮装置4と水素供給源101と水素消費装置102との間の入口および出口の圧力によって、加熱または冷却要求事項の関数として、ポンプ、バルブ、および熱交換機システムの制御を管理する。
【0051】
-30℃~+130℃の間、一般に約-20℃~約120℃範囲の温度で液体単一相として残り、冷却および加熱のために別途の熱交換機に結合できる閉回路を循環する熱流体の使用は、350barを超え、かつ最大約900barまでの高圧のための水素貯蔵および圧縮システムの効率的で安全でかつコンパクトで費用効率が高い作動を許容する。閉鎖された熱流体回路に結合された熱交換機の使用は、水素圧縮がエネルギー効率的な方式で行われるようにする産業工程の外部廃熱または外気冷却装置の結合に有利になり得る。
【0052】
熱流体媒質
熱媒体(熱流体)の基本要求事項は、使用された温度範囲内で十分に高い熱伝達速度を提供することであり、適した材料の場合、温度範囲は、-30.0℃と120℃の間である。より高い熱容量(密度、熱容量)と増加された熱伝導率によって熱伝達応用分野では液体がガスより適していることが良く知られている。単純化のために、相変化も防止される。また、熱媒体は、システムポンプの使用に適するほど十分に低い粘度、低い毒性、低い腐蝕および低い酸化潜在力を有しなければならない。非圧容器を用いると、特に引火点が圧縮器の作動温度範囲内にある場合、引火点も重要になる。この場合、形成された蒸気が大気中に安全に排出されるように適切な安全装置を設けなければならない。
【0053】
前述の要件に基づいて、異なる熱媒体が用いられてもよい。一実施例で、例えば、1bar(g)の圧力(または、その以上)下で同一の比率(50%:50%)の水-エチレングリコール混合物は与えられた温度および圧力範囲下で液体であるまま用いることができる。
【0054】
他の実施例で、熱流体28は、開放型エンクロージャー(圧力容器ではない)で大気条件下に有り得る熱オイルを含むか構成することができる。このような熱媒体の例としては、Therminol D-12、シリコンオイルまたはFRAGOLTHERM 620等がある。要求される粘度および熱伝達特性に基づいて異なる等級が可能である。以下の表には、熱媒体特性が要約されている。
【0055】
【0056】
金属水素化物材料
一実施例で、貯蔵-圧縮ユニット4に含まれた金属水素化物22は、TixZryCraMnbFecNidCueVfRegの典型的な組成を有する材料クラスAB2である。
【0057】
前記組成で、x、y、a、b、cおよびdは、モル比であり、Reは、LaおよびCeの中から選択され、0.2≦x≦0.95、0.05≦y≦0.45、0.001≦a≦1、0.3≦b≦2、0.01≦c≦0.6、0.005≦d≦1.5、0≦e≦0.1、0≦f≦0.5、0.01≦g≦0.05、およびa+b+c+d+e+f+g=1.9~2.3。
【0058】
他の実施例で、貯蔵-圧縮ユニット4に含まれた金属水素化物22は、LaxCeyMI(1-x-y)Nia CobFecMdの典型的な組成を有する材料クラスAB5である。前記組成で、x、y、a、b、cおよびdは、モル比であり、ここで、MIは、Y、Ti、Zrから選択される1種以上の元素であり、Mは、CuおよびMnから選択され、0.15≦x≦0.95、0.05≦y≦0.85、0≦(1-x-y)≦0.1、3.8≦a≦4.2、0.1≦b≦1.2、0.01≦c≦0.3、0≦d≦0.1;および4.8≦(a+b+c+d)≦5.15。
【0059】
本発明の範囲内で、水素貯蔵金属は、AB2またはAB5材料に制限されず、類似の熱化学的挙動を示す他のクラスの材料にも適用することができる。
【0060】
産業的応用の工程の例
全体サイクルで作動する水素貯蔵-圧縮システム1は、提示された順に、次のステップを含んでもよい。このようなステップは、(i)吸収、(ii)加熱、(iii)脱着および(iv)冷却を含んでもよい。このような工程の例は、以下でより詳しく説明される。表示された値は、1bar(g)の圧力下で同一の比率(50%:50%)の水-エチレングリコール混合物で構成された熱流体28を用いた実施例に該当する。
【0061】
吸収
水素は、外部供給源から殆ど等圧過程で、貯蔵-圧縮ユニット4で吸収する。H2供給源の圧力は一般に25bar(g)~40bar(g)の範囲であり、一般的な電解槽の場合、最も一般に35bar(g)である。吸収反応は、高い発熱反応であるので(熱放出を招く)、貯蔵-圧縮ユニット4は、発生した圧力を充填圧力より低く維持するために冷却されなければならない。提供された冷却動力は、周辺環境による不可避な加熱も補償しなければならず、また開発された貯蔵-圧縮ユニット4の水素圧力を増加させる傾向がある。このエネルギー要求事項は、主に金属水素化物材料22の吸収エンタルピーの関数であり、適した材料の場合、18.0kJ/molH2であるので、エネルギー要求事項は、87kWhthまたは約2.7kWhth/kgH2である(二つの値は両方とも加熱補償エネルギーを含む)。
【0062】
吸収工程時間要求事項は、H2供給源の類型によって異なり、1~8時間範囲であってもよく、結果的に、冷却電力は、10.9kWth~87kWthである。適した金属水素化物材料の場合、圧縮器入口の流体温度は一般に-30℃~-0℃であり、一般的な値は-25.0℃~-20℃である。一般的な冷却流量は7.5m3/hである。熱流体28は、冷却熱交換機30aを通じて流れ、乾式冷却器30cと加熱熱交換機30bを迂回する。発熱反応が金属水素化物22内で逆放物線温度プロファイルを生成するため、入口温度は、吸収圧力に該当する材料PCT曲線の温度より低いという点を言及しなければならない。
【0063】
【0064】
脱着
脱着過程で、水素は水素貯蔵-圧縮装置2から、350bar以上で再充填を要求する水素動力車両、つまりトラックやバスのような水素消費装置102に放出する。脱着圧力は、材料および熱媒体の温度の選択を通じて調整することができる。車両の再充填所要時間は、水素脱着速度に影響を与える。再充填時間は、例えば、5~15分のようなほぼ何分から、例えば3~8時間のような最大数時間にもなり得る。貯蔵-圧縮ユニット4の脱着圧力は、伝達される最終質量、脱着質量流量、および水素駆動車両に進入する前の水素温度の関数である。例えば、6kgH2/hで遅い再充填のような応用分野の場合、現代エクシエント(Hyundai XCIENT)トラック(32kgH2)の再充填時間は5時間20分であり、水素冷却器以降の水素温度は-25.0℃であり、脱着圧力は370barである。この場合、金属水素化物圧縮器の熱管理システム5の冷却源9を水素冷却に直接活用できるというメリットがある。脱着圧力の増加および/または水素温度の追加的な減少の代わりに、他の流量も可能である。
【0065】
吸収の場合のように、7.5m3/hの熱流体流量を維持すると、与えられた物質に対して370barの脱着圧力を達成するために必要な入口温度が110℃となる。脱着による冷却効果を補償し、周辺への熱損失の均衡を合わせるための総エネルギー要求量は、20.0kJ/molH2の脱着エンタルピーを基準に、110.8kWhthまたは約3.5kWhth/kgH2である。このステップの間、熱流体は加熱熱交換機30bを通じて流れ、乾式冷却器30cと冷却熱交換機30aを迂回する。脱着期間およびこのステップのエネルギー要求事項を考慮すると、加熱機械によって伝達される電力は20.8kWthである。
【0066】
【0067】
加熱
吸収工程が完了すると、貯蔵-圧縮ユニット4は、初期に乾式冷却器30cを流れ、最後に加熱熱交換機30bを流れる熱流体28によって吸収温度(-25.0℃)から脱着温度(110℃)に加熱される。加熱は、貯蔵-圧縮ユニット4の内部圧力を370barに増加させることを伴う。加熱の初期段階の間、乾式冷却器30cを通じた流れは、貯蔵-圧縮ユニット4の温度が吸収温度から周辺温度に増加するように許容する。このエネルギーは、本質的に無料で提供される。しかし、乾式冷却器30cを通じた液体の流れのために一定のポンピング動力が必要となる。必要な総加熱エネルギーは、5.4kWhth/kgH2(172.8kWhth)であり、その中で、1.7kWhth/kgH2(55.1kWhth)は、乾式冷却器30cによって提供されるのに対し、残りのエネルギー3.7kWhth/kgH2(117.7kWhth)は、加熱熱交換機30bから提供される。加熱工程中の流量は、7.5m3/hである。
システムを単純化するために、脱着のために同一の加熱熱交換機30bが用いられるものと仮定する。同一の電気エネルギーが加熱熱交換機30bに提供されると、熱電力は変化し、この温度範囲にわたって性能係数に依存する。加熱ステップ時間は、約5時間20分である。
【0068】
【0069】
冷却
脱着の終了に続き、貯蔵-圧縮ユニット4は、脱着温度(110.0℃)から吸収温度(-25.0℃)まで冷却される。加熱と同様に、全てまたは多くの流れは、初期に乾式冷却器30cを通過するように誘導され、自由に利用可能な周辺冷却を活用する。周辺温度に到達すると、流れは、冷却熱交換機30aを通過するように誘導され、吸収温度まで過冷却を達成する。総要求冷却エネルギーは、4.7kWhth/kgH2(149.2kWhth)であり、その中で、3.2kWhth/kgH2(101.5kWhth)は、乾式冷却器30cによって提供されるのに対し、残りのエネルギー1.5kWhth/kgH2(47.7kWhth)は、冷却熱交換機30aから提供される。冷却工程中の流量は、7.5m3/hである。
【0070】
冷却のために、同一の冷却熱交換機が用いられ、2時間11分のステップ期間が生じる。
【0071】
【0072】
産業的応用の例
応用分野で、水素貯蔵-圧縮システム1は、350barの再充填水準を要求するトラックまたはバスのような水素駆動車両を再充填するためのシステムとして有利に用いることができる。このような応用分野で、出口の圧力は一般に加熱電力を選択的に調整して再充填されるタンクの圧力を僅かに超えるように(例えば、10barほど)増加する。このような応用分野で、一般的な脱着時間は5~15分程度と低いことがある。他の場合には、脱着時間が60分または180分以上になることもある。このような応用分野で、一般的な入口圧力範囲は、25bar(g)~35bar(g)である。一般的な冷却温度範囲は、-15℃~-30℃である。一般的な加熱温度範囲は、90℃~130℃である。
【0073】
他の応用分野で、水素貯蔵-圧縮システム1は、700barの再充填水準を要求する大型車両または小型車両のような水素駆動車両を再充填するシステムとして有利に用いることができる。このような応用分野で、出口の圧力は一般に加熱電力を選択的に調整して再充填されるタンクの圧力を僅かに超えるように(例えば、10barほど)増加する。このような応用分野で、一般的な脱着時間は5~15分程度と低いことがある。他の場合には、脱着時間が60分または180分以上になることもある。このような応用分野で一般的な入口圧力範囲は、150bar(g)~350bar(g)である。一般的な冷却温度範囲は、5℃~-30℃である。一般的な加熱温度範囲は、60℃~130℃である。
【0074】
他の応用分野で、水素貯蔵-圧縮システム1は、水素の輸送または貯蔵のために、200barの再充填水準を要求するトレーラを再充填するシステムとして有利に用いることができる。このような応用分野で出口の圧力は一般に加熱電力を選択的に調整して再充填されるタンクの圧力を僅かに超えるように(例えば、10barほど)増加する。このような応用分野で、一般的な脱着時間は60分程度と低いことがある。他の場合には、脱着時間が180分またはさらに300分以上になることもある。このような応用分野で一般的な入口圧力範囲は、25bar(g)~35bar(g)である。一般的な冷却温度範囲は、-15℃~-30℃である。一般的な加熱温度範囲は、90℃~130℃である。