(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024728
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】表示機能付き包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/52 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
B65D5/52 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128946
(22)【出願日】2023-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】古澤 和夫
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA03
3E060BC04
3E060CB16
3E060CB19
3E060CE03
3E060CE07
3E060CE14
3E060CE18
3E060DA04
(57)【要約】
【課題】箱体の内部に折り返されている表示部を一動作で箱体の外部に露出させることが可能な表示機能付き収容箱を提供する。
【解決手段】箱体1の側方四周を覆う側板部2aの上縁に表示部5を延設し、それを予め箱体1内に折り返しておく。表示部5の幅方向両端寄りに弱め線9を形成すると共に、側板部2aの幅方向両端寄りには上縁から下向きに切り取り線7を形成し、表示部5の幅よりも切り取り線7間の幅方向寸法を小さくする。側板部2aと表示部5を摘まんで引っ張ると、切断された切り取り線7間に表示部5が押し込まれ、これによって箱体1が下方に押し付けられるので、一動作で切り取り線7を切断しながら表示部5を箱体1の外部に引き出して露出させることができる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙製又は紙を主体とする材料製の箱体からなる表示機能付き収容箱において、
前記箱体内に内容物を収容した状態で前記内容物の側方四周を覆う側板部と、
前記箱体の下部を覆う底板部と、
前記側板部の上縁に延設され、前記箱体内に折り返される表示部と、
前記表示部が延設された側板部とその側板部に隣接する2つの側板部との稜角の夫々から所定寸法だけ離隔した位置で、前記表示部が延設された側板部の上縁から下向きに所定の高さ位置まで前記表示部が延設された側板部に形成され、前記表示部が延設された側板部と前記箱体内に折り返された表示部とを手指で摘んで前記表示部が延設された側板部を切断することが可能な切り取り線と、
前記表示部の前記隣接する2つの側板部寄りの部位に設けられ、前記表示部の前記隣接する2つの側板部寄りの部位が上向きに湾曲する起点となる弱め線と、を備え、
前記表示部の前記隣接する2つの側板部の対向方向の寸法が2つの前記切り取り線間の前記対向方向の寸法よりも大きく設定された、表示機能付き収容箱。
【請求項2】
前記箱体の上部を覆う天板部が設けられ、前記表示部は、前記箱体の上部が前記天板部で覆われた状態で、前記箱体内に折り返されている、請求項1に記載の表示機能付き収容箱。
【請求項3】
前記表示部が延設された側板部において前記切り取り線の伸長方向途中の底板部寄りの位置に設けられ、前記切り取り線の位置よりも前記対向方向内側に突出するストッパと、
前記表示部の延設方向先方部における前記対向方向両端に設けられ、前記対向方向両端を前記対向方向内側に窪ませた切り欠き部と、を備え、
前記ストッパ同士の突出方向先端位置間の寸法は前記切り欠き部同士の窪み方向先端位置間の寸法よりも小さく設定された、請求項1に記載の表示機能付き収容箱。
【請求項4】
前記切り取り線間の前記対向方向の寸法は、前記表示部側が大きく且つ前記底板部側が小さく設定されている、請求項3に記載の表示機能付き収容箱。
【請求項5】
前記弱め線間の前記対向方向の寸法は、前記表示部が延設されている側板部側が大きく且つ表示部の延設方向先方側が小さく設定されている、請求項1に記載の表示機能付き収容箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示機能付き収容箱、紙製又は紙を主体とする材料製の箱体からなる表示機能付き収容箱に関する。
【背景技術】
【0002】
内容物を包装した包装箱の内側に予め広告などの表示を設けておき、箱体の開放時に表示を見やすい位置に提示する表示機能付き収容箱としては、例えば下記特許文献1に記載されるものがある。この表示機能付き収容箱は、箱体の側板部のうち、内容物(商品)を見せたい方向に位置する前壁の上縁に広告などが表示された表示部を延設し、この表示部は、上蓋(天板部)が閉じられて箱体が密閉されている状態では箱体の内部に折り返されている。この前壁の隣接する2つの側板部(側壁)との稜角には、上端から途中までミシン目などの切り取り線が設けられており、上蓋が外されて箱体が開けられている状態で前壁と折り返されている表示部を手指で摘んで引っ張り、切り取り線で前壁(の側壁との稜線)を切断する。切り取り線の下端は前壁の幅方向内側に向けて下向きに傾斜されており、その下端部に幅狭溝形状の係合部が形成されている。一方、表示部の延設方向先方には裏板部が更に延設されており、この裏板部と表示部の境界位置の幅方向両側に、係合部と係合する切り欠き部が設けられている。したがって、裏板部を前壁の裏側に当接させたまま、切り取り線を切断し、更に表示部を下方に移動させると切り欠き部が係合部に係合して、表示部を箱体の外部に露出した状態に維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載される表示機能付き収容箱では、前壁(側壁部)と折り返されている表示部を手指で摘んで引っ張るようにして切り取り線を切断するので、その際、箱体が手前に移動されようとする。そのため、箱体を別の手で押さえておく必要が生じ、一動作で表示部を箱体の外部に露出させることができない。仮に、前壁を手指で引っ張るだけで切り取り線が切断されるようにすると、包装箱としての強度を確保することが困難になる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、箱体の内部に折り返されている表示部を一動作で箱体の外部に露出させることが可能な表示機能付き収容箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る表示機能付き収容箱は、紙製又は紙を主体とする材料製の箱体からなる表示機能付き収容箱において、前記箱体内に内容物を収容した状態で前記内容物の側方四周を覆う側板部と、前記箱体の下部を覆う底板部と、前記側板部の上縁に延設され、前記箱体内に折り返される表示部と、前記表示部が延設された側板部とその側板部に隣接する2つの側板部との稜角の夫々から所定寸法だけ離隔した位置で、前記表示部が延設された側板部の上縁から下向きに所定の高さ位置まで前記表示部が延設された側板部に形成され、前記表示部が延設された側板部と前記箱体内に折り返された表示部とを手指で摘んで前記表示部が延設された側板部を切断することが可能な切り取り線と、前記表示部の前記隣接する2つの側板部寄りの部位に設けられ、前記表示部の前記隣接する2つの側板部寄りの部位が上向きに湾曲する起点となる弱め線と、を備え、前記表示部の前記隣接する2つの側板部の対向方向の寸法が2つの前記切り取り線間の前記対向方向の寸法よりも大きく設定されたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の表示機能付き収容箱によれば、箱体を手で押さえておかなくても、表示機能側板部を切り取り線に沿って切断することができ、箱体の内部に折り返されている表示部を一動作で箱体の外部に露出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の表示機能付き収容箱の一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図1の表示機能付き収容箱の展開図(ブランク)である。
【
図3】
図2のブランクを組み立てた状態の斜視図である。
【
図4】
図2の表示部を箱体の内部に折り返した状態の斜視図である。
【
図5】
図1の切り取り線を切断している状態の斜視図である。
【
図6】
図1の切り取り線の切断が終了した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の表示機能付き収容箱の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。また、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0010】
図1は、表示機能付き収容箱の一実施形態を示す斜視図であり、
図2は、
図1の表示機能付き収容箱の展開図(ブランク)である。図中の一点鎖線は山折り線、二点鎖線は谷折り線を示しており、
図3は、
図2のブランクを折り曲げ且つ必要箇所を糊付けして組み立てた状態の斜視図である。この実施形態では、一般的な直方体形状の箱体1からなる表示機能付き収容箱について説明するが、箱体1の形状は如何様な形状であってもよい。この箱体1は、紙製又は紙を主体とする材料製である。直方体形状の箱体1は、図示しない内容物が収容されている状態で、内容物の側方四周を覆う4つの側板部2a~2dと、箱体1の下部を覆う底板部3と、箱体1の上部を覆う天板部4を有する。
図1に示す天板部4の上縁には箱体1に差し込まれる差し込み部51が延設されている。また、箱体1の側面部を構成する
図2の右端の側板部2bと左から2番目の側板部2dの上縁には、それぞれ、天板部4が箱内に入り込むのを規制する天フラップ部52が延設されている。箱体1の具体的な構成は、上記に限定されない。
【0011】
図2のブランクでは、側板部2a~2d間の山折り線を折り曲げながら、図の左端に設けられているのり代53を図の右端の側板部2bの裏面に貼着することで箱体1の4つの側板部2a~2dが形成される。底板部3は、
図2のブランクの底面部3aと底フラップ部3bを重ね合わせて貼着することで形成される。この例の底板部3は、一般的なものなので、その詳細な説明は省略する。この例では、天板部4が連設されている側板部2cを裏面部として使用し、それと対向する側板部2a、すなわち
図2の右から2番目の側板部2aを正面部として使用する。すなわち、
図1の手前右側の側板部2aが正面部である。なお、天板部4は、発明の主目的としては必ずしも要しないが、箱体1を包装箱として使用する場合には必須である。
【0012】
図3に明示するように、正面部を構成する側板部2aの上縁には、例えば、太線の点線枠内に広告などが表示された(表示内容は上下が逆向きになっている)表示部5が延設されている。この表示部5は、例えば天板部4で箱体1の上部を覆う場合には、山折り線101で箱体1の内部に折り返されており、
図4に示すように外部からは見えない(差し込み部51の差し込みの邪魔にならない)。例えば、この表示部5が延設されている側板部(表示部付き側板部)2aに隣接する2つの側板部2b、2dの対向方向を「幅方向」、この幅方向の寸法を「幅」と規定すると、表示部5の幅は表示部付き側板部2aの幅と同等か、それよりも少し(僅かに)小さい。また、この表示部5の延設方向先方部における幅方向両端部には、表示部5の幅方向両端を幅方向内側に窪ませて切り欠き部6が形成されている。この切り欠き部6は、全体が略三角形で、下縁(底辺)は底板部3と平行に設定されている。この切り欠き部6よりも表示部5の延設方向先方の部分は、後述するストッパ8より下方の切断された切り取り線7に係合して表示部付き側板部2a(の幅方向外側部分)を前方に引っ張る規制部54となる。この例では、規制部54の幅は、表示部5の幅よりも少し小さく設定されている。また、規制部54の突出方向先端縁、すなわち表示部5の延設方向先端縁は、幅方向中央部が少し窪んでおり、これにより表示部5を箱体1の外部に露出させた際に表示部5(規制部54)の先端縁が内容物と干渉しないように構成されている。
【0013】
また、この表示部5には、
図3に太線の実線で示すように、幅方向両外側寄りの部分、換言すれば表示部付き側板部2aに隣接する2つの側板部2b、2d寄りの部分に弱め線9が設けられている。この弱め線9は、例えば表示部5を厚さ方向に圧縮して窪ませた、いわゆる「罫線」で構成される。この弱め線9は、後述するように表示部5を表示部付き側板部2aの切断後の切り取り線7間に押し込んだ際、主として、これよりも表示部5の幅方向両端部、すなわち隣接する側板部2b、2d寄りの部分を上方に湾曲させるための起点として機能する。この2つの弱め線9間の幅方向寸法は、表示部付き側板部2aの上縁で大きく且つ表示部5の延設方向先端で小さく設定されており、各弱め線9は、弱め線9の伸長方向中央部が互いに接近するように湾曲されている。これは、後述するように、表示部5が切り取り線7間に押し込まれた際、撓みにくい表示部付き側板部2a寄りの部分よりも撓みやすい表示部5の延設方向先方の部分を効果的に撓ませて押し込みやすくするためである。すなわち、表示部5の幅方向両端が、それよりも間隔の狭い切断された切り取り線7に擦れながら押し込まれるので、この幅方向両端から弱め線9が離れているほど、それより表示部5の幅方向両外側寄りの部分は大きく撓む。これに対し、表示部5の下縁は表示部付き側板部2aの上縁と接合されて稜角となっているので撓みにくい。
【0014】
表示部付き側板部2aには、
図3に破線で示すように、隣接する2つの側板部2b、2dとの稜角、すなわち幅方向両外側縁から所定寸法だけ幅方向内側に離隔した位置に、表示部付き側板部2aを切断するための切り取り線7が設けられている。この切り取り線7は、表示部付き側板部2aの上縁から下向きに底板部3寄りの所定の高さ位置まで形成されており、2つの切り取り線7の下端間には谷折り線102が形成されている。2つの切り取り線7間の寸法は、表示部付き側板部2aの上縁で大きく且つ切り取り線7の下端で小さく設定されており、各切り取り線7は、切り取り線7の伸長方向上半部が互いに平行で、下半部は伸長方向中央部が互いに離隔するように湾曲されている。従って、後述するように、切断された切り取り線7間に表示部5を押し込む際、表示部5が押し込まれるにつれて表示部5の幅が狭くなり、表示部5の切り欠き部6を後述のストッパ8間に通過させやすくなる。なお、切り取り線7の上端部には、幅方向外側に向けて傾斜して切り取り線7間の寸法を幅方向に広げるガイド部55が延設されており、このガイド部55が表示部5の幅方向両端を切断された切り取り線7間に導く案内となる。なお、ガイド部55とこのガイド部55までの表示部付き側板部2aの上縁の幅方向外側部分は全切れ線によって予め切断されている。
【0015】
この切り取り線7の底板部3寄りの位置、すなわち切り取り線7の下端寄りの位置には、切り取り線7の位置よりも幅方向内側に突出するストッパ8が設けられている。このストッパ8は、全体が略三角形で、下縁(底辺)は底板部3と平行か突出方向先方がやや上向きになるように設定されている。この2つのストッパ8の突出方向先端位置間の寸法は表示部5の2つの切り欠き部6の窪み方向先端位置間の寸法よりも小さく設定されている。切断された切り取り線7間に押し込まれる表示部5は、表示部5と表示部付き側板部2aの弾性による復元力で上方に戻ろうとする。しかし、表示部5の切り欠き部6がストッパ8間を通過した後は、切り欠き部6がストッパ8の下縁に引っ掛かるように当接するので、表示部5の上方への復元移動が規制される。なお、このストッパ8も全切れ線によって予め切断されている。
【0016】
例えば、
図1の状態から、図の×印の部分で表示部付き側板部2aと内側に折り返されている表示部5を手指で摘んで図の右斜め下方に引っ張ると、切り取り線7の部分で表示部付き側板部2aが切断され、ガイド部55に案内されながら表示部5が切断された切り取り線7間(正確には、表示部付き側板部2aの切り取り線7よりも幅方向外側に残存する部分間の隙間)に入り込むようにして移動される。また、切断された切り取り線7間の表示部付き側板部2aは谷折り線102で箱体1の外側に向けて折り曲げられる。このとき、表示部5の幅は切断された切り取り線7間の幅方向寸法よりも大きいので、
図5に示すように、表示部5は切断された切り取り線7間に押し込まれる。その結果、箱体1、特に表示部付き側板部2aには下向きの力が作用し、箱体1の引っ張り方向への移動が防止される。なお、前述したように、切り取り線7間の寸法は、下方ほど小さく設定されているので、切断された切り取り線7間に表示部5を押し込む力は切り取り線7の切断が進むにつれて大きくなり、箱体1の移動が効果的に防止される。
【0017】
切り取り線7の切断が切り取り線7の下端まで又はほぼ下端まで進むと、
図6に示すように、表示部5に設けられている切り欠き部6が切り取り線7に設けられているストッパ8間を通過する。表示部5には、表示部5及び表示部付き側板部2aを構成する紙又は紙を主体とする材料の弾性によって、押し込み方向と反対方向、すなわち上方に戻ろうとする復元力が作用する。しかし、表示部5の切り欠き部6が切り取り線7のストッパ8間を通過してしまうと、
図7に明示するように、切り欠き部6(正確には切り欠き部6の表示部延設方向先方縁)がストッパ8の下縁に引っ掛かるように当接するので、表示部5の上方への復元移動が規制される。このように、表示部5の上方への復元移動が規制された状態では、
図6に示すように、表示部5が箱体1の外部に露出されており、表示部5の表示を箱体1の外部に提示することができる。そして、この一連の表示部5の移動操作時に、箱体1の移動が効果的に防止されることから、一動作で表示部5を箱体1の外部に露出させることができる。
【0018】
また、この実施形態では、略三角形の切り欠き部6の底辺(下縁)から表示部付き側板部2aの上縁までの寸法が切り取り線7の下端の谷折り線102から表示部付き側板部2aの上縁までの寸法よりも小さく設定されている。このため、前述のように、切り欠き部6がストッパ8の下縁に当接して表示部5の上方への移動が規制されている状態で、
図6の表示部5を矢印B方向から見ると、
図8に示すように、表示部付き側板部2aの切り取り線7より幅方向外側の部分と、その幅方向内側の部分と、表示部5とで三角形が構成され、その結果、表示部付き側板部2aの幅方向外側部分が箱体1の外側に引っ張られる。これにより、表示部5の延設方向先端部の規制部54が箱体1の外側にやや移動され、規制部54が箱体内部の内容物と干渉するのを抑制することができている。
【0019】
このように、この実施形態の表示機能付き収容箱では、表示部付き側板部2a(表示部5が延設された側板部2a)と箱体1内に折り返された表示部5を手指で摘み、切り取り線7に沿って表示部付き側板部2aを切断すると、その切断に伴って表示部5が切断後の切り取り線7間に入り込む。このとき、表示部5の幅(隣接する2つの側板部2b、2dの対向方向の寸法)が切り取り線7間の幅よりも大きいので、表示部5は切断後の切り取り線7間に押し込まれ、その結果、表示部5の幅方向両外側(隣接する2つの側板部2b、2d寄り)の部位が弱め線9に沿って上向きに湾曲する。その際、表示部5を切断後の切り取り線7間に押し込む力によって箱体1が下方に押し付けられる。その結果、箱体1を手で押さえておかなくても、表示機能付き側板部2aを切り取り線7に沿って切断することができ、一動作で表示部5を箱体1の外部に露出させることができる。
【0020】
また、箱体1の上部を覆う天板部4が設けられ、表示部5は、箱体1の上部が天板部4で覆われた状態で、箱体1内に折り返されている。従って、表示部5の箱体外部への露出は、天板部4が箱体1の上部から外れて(箱体1が開けられて)いる状態で行えばよく、箱体1の上部が天板部4で覆われて箱体内部が密閉されている状態では箱体1の強度も大きく、箱体内部の内容物を安定して搬送することができる。
【0021】
また、切り取り線7の伸長方向途中の底板部3寄りの位置に、切り取り線7の位置よりも幅方向内側に突出するストッパ8を設けると共に、表示部5の延設方向先方部における幅方向両端に切り欠き部6を設け、ストッパ8同士の突出方向先端位置間の寸法を切り欠き部6同士の窪み方向先端位置間の寸法よりも小さく設定した。従って、切り取り線7の切断に伴って表示部5を切断後の切り取り線7間に押し込む際、紙製又は紙を主体とする材料製の表示部5及び表示部付き側板部2aの復元力によって表示部5を上方に戻そうとする力が作用するが、切り欠き部6がストッパ8間を通過すると、表示部5から手指を離しても、ストッパ8に切り欠き部6が当接して表示部5の上方への移動が規制されるので、表示部5を箱体1の外部に露出した状態に維持できる。
【0022】
また、切り取り線7間の幅方向寸法は、表示部5側を大きく且つ底板部3側を小さく設定した。これにより、切り取り線7の切断に伴って表示部5を切断後の切り取り線7間に押し込む際、表示部5を切り取り線7間に押し込むほど表示部5の幅が狭くなるので、切り欠き部6を底板部3寄りのストッパ8間に通過させ易くなるが、切り欠き部6をストッパ8間に通過させた後は、表示部5の幅を大幅に狭くしないとストッパ8間を切り欠き部6が通過できないので、表示部5の上方への復元移動を効果的に規制することが可能となる。
【0023】
また、弱め線9間の幅方向寸法は、表示部付き側板部2a側を大きく且つ表示部5の延設方向先方側を小さく設定した。これにより、撓みにくい表示部5の側板部2a側に対して撓みやすい表示部5の延設方向先方側を効果的に撓ませることで、表示部5を切断後の切り取り線7間に押し込み易く且つ抜けにくくすることが可能となる。
以上、実施形態に係る表示機能付き収容箱について説明したが、本件発明は、上記実施の形態で述べた構成に限定されるものではなく、本件発明の要旨の範囲内で種々変更が可能である。例えば、上記実施形態では、4つの側板部2a~2dのうち、正面部を構成する側板部2aにのみ表示部5を延設したが、表示部5の延設箇所は、これに限定されるものではなく、何れの側板部2a~2dに設けてもよい。例えば、天板部4のない直方体形状の箱体1の場合、4つの全ての側板部2a~2dに表示部5を延設することも可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 箱体
2a~2d 側板部
3 底板部
4 天板部
5 表示部
6 切り欠き部
7 切り取り線
8 ストッパ
9 弱め線
10
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