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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002478
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】電動作業機及び電動作業機の起動方法
(51)【国際特許分類】
   H02H 7/00 20060101AFI20241226BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20241226BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241226BHJP
   B60L 58/21 20190101ALI20241226BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20241226BHJP
【FI】
H02H7/00 L
H02H7/18
H02H7/00 K
H02J7/00 P
H02J7/00 S
H02J7/00 302C
B60L58/21
B60L3/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102681
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】丹波 大樹
(72)【発明者】
【氏名】伊井 常泰
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 竣也
【テーマコード(参考)】
5G053
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G053AA05
5G053AA08
5G053BA04
5G053CA01
5G053DA01
5G053DA03
5G053EB01
5G053EB02
5G053EB05
5G053EC01
5G053FA05
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503CA11
5G503DA17
5G503FA06
5G503FA16
5G503GB01
5G503GB03
5G503GB06
5H125AA12
5H125AC12
5H125AC23
5H125BC28
5H125DD05
5H125EE13
5H125EE51
(57)【要約】
【課題】本発明は、起動時の突入電流の影響で、バッテリパックの内部回路が破損することを未然に防止できる電動作業機を提供する。
【解決手段】本発明は、電気回路21と、複数のバッテリパック22…と、制御部23とを備え、電気回路21は、バッテリパック22と対応する複数の外部リレー211…を含み、制御部23は、二番目以降のバッテリパック22に対応する外部リレー211の接点の固着の有無を診断する外部リレー診断処理を行い、外部リレー診断処理において、バッテリパック22の正負極の外部端子223a,223bの電圧が、閾値以上である場合、外部リレー211の接点が固着していると判断し、該バッテリパック22の正負極の外部端子223a,223b間の電圧が、閾値よりも低い場合、外部リレー221の接点が正常である判断する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器と、
前記電気機器に電気的に接続された電気回路と、
正負極の外部端子を有する複数のバッテリパックであって、前記電気回路を介して前記電気機器に対して順次接続されて並列接続される複数のバッテリパックと、
制御部と、を備え、
前記電気回路は、
前記複数のバッテリパックのそれぞれに対応する複数の外部リレーであって、対応する前記バッテリパックと前記電気機器とを接続する回路を開閉する複数の外部リレーを含み、
前記制御部は、
前記バッテリパックが前記電気機器に接続される前に、当該バッテリパックの内部回路を開状態にした状態で、当該バッテリパックに対応する前記外部リレーの接点の固着の有無を診断する外部リレー診断処理を行い、
前記外部リレー診断処理において、
診断対象の前記バッテリパックの前記内部回路を開状態に操作し、当該バッテリパックに対応する前記外部リレーを開状態に操作した状態で、該バッテリパックの前記正負極の外部端子間の電圧が閾値以上である場合、前記外部リレーの接点が固着していると判断し、該バッテリパックの前記正負極の外部端子間の電圧が閾値よりも低い場合、前記外部リレーの接点が正常であると判断する電動作業機。
【請求項2】
前記制御部は、
前記複数のバッテリパックのうち、前記電気機器に接続される順番が一番目のバッテリパックである第一バッテリパックについては、当該第一バッテリパックに対応する前記外部リレーの前記外部リレー診断処理を行わずに前記電気機器に接続し、
前記複数のバッテリパックのうち、前記順番が二番目以降のバッテリパックである第二バッテリパックについて、前記電気機器に接続される前に当該第二バッテリパックに対応する前記外部リレーの前記外部リレー診断処理を行う請求項1に記載の電動作業機。
【請求項3】
前記制御部は、
前記外部リレー診断処理において、前記外部リレーの接点が固着していると判断した場合、当該外部リレーに対応する前記バッテリパックの前記電気機器への電気的な接続を中止する請求項1に記載の電動作業機。
【請求項4】
前記バッテリパックは、
前記内部回路の正極の外部端子側と負極の外部端子側とを繋ぐディスチャージ回路であって、直列に繋がるディスチャージ用抵抗器とディスチャージ用リレーとを含むディスチャージ回路を有し、
前記制御部は、
前記外部リレー診断処理で前記外部リレーの接点が正常である判断した場合、該バッテリパックの前記ディスチャージ用リレーの接点の固着の有無を診断するディスチャージ用リレー診断処理を行い、
前記ディスチャージ用リレー診断処理において、
前記外部リレー診断処理で正常と判断された前記外部リレーを閉状態に操作し、且つ当該バッテリパックの前記ディスチャージ用リレーを開状態に操作し、
該バッテリパックの前記正負極の外部端子間の電圧が前記閾値以上で、且つ、前記ディスチャージ回路の両端の電圧が前記閾値以下である場合、前記ディスチャージ回路の前記ディスチャージ用リレーの接点が固着していると判断し、該バッテリパックの前記正負極の外部端子間の電圧が前記閾値以上で、且つ、前記ディスチャージ回路の両端の電圧が前
記閾値よりも高い場合、前記ディスチャージ回路の前記ディスチャージ用リレーの接点が正常であると判断する請求項1に記載の電動作業機。
【請求項5】
電気機器と、
前記電気機器に電気的に接続された電気回路と、
正負極の外部端子を有する複数のバッテリパックであって、前記電気回路を介して前記電気機器に対して順次接続されて並列接続される複数のバッテリパックと、
制御部と、を備え、
前記電気回路は、
前記複数のバッテリパックのそれぞれに対応する複数の外部リレーであって、対応する前記バッテリパックと前記電気機器とを接続する回路を開閉する複数の外部リレーを含み、
前記バッテリパックは、
当該バッテリパックの内部回路における負極の外部端子側と正極の外部端子側とを繋ぐディスチャージ回路であって、直列に繋がるディスチャージ用抵抗器とディスチャージ用リレーとを含むディスチャージ回路を有し、
前記制御部は、
前記バッテリパックを前記電気機器に接続する際に、当該バッテリパックの前記ディスチャージ用リレーの接点の固着の有無を診断するディスチャージ用リレー診断処理を行い、
前記ディスチャージ用リレー診断処理において、
診断対象の前記バッテリパックに対応する前記外部リレーを閉状態に操作し、且つ当該バッテリパックの前記ディスチャージ用リレーを開状態に操作し、
当該バッテリパックの前記正負極の外部端子間の電圧が前記閾値以上で、且つ、前記ディスチャージ回路の両端の電圧が前記閾値以下である場合、前記ディスチャージ回路の前記ディスチャージ用リレーの接点が固着していると判断し、当該バッテリパックの前記正負極の外部端子間の電圧が前記閾値以上で、且つ、前記ディスチャージ回路の両端の電圧が前記閾値よりも高い場合、前記ディスチャージ回路の前記ディスチャージ用リレーの接点が正常であると判断する電動作業機。
【請求項6】
前記制御部は、
ディスチャージ用リレー診断処理において、前記ディスチャージ用リレーの接点が固着していると判断した場合、固着していると判断した前記ディスチャージ用リレーを備えた前記バッテリパックの前記電気機器への電気的な接続を中止する請求項4または5に記載の電動作業機。
【請求項7】
前記制御部は、
前記複数の外部リレーのうち、累積的な開閉回数の最も多い前記外部リレーに対応する前記バッテリパックを前記第一バッテリパックに設定する請求項2に記載の電動作業機。
【請求項8】
前記制御部は、
前記複数のバッテリパックと前記電気機器とを接続する処理を行う毎に前記複数のバッテリパックの中から前記第一バッテリパックを順次変更する順次変更する請求項2に記載の電動作業機。
【請求項9】
所定の作業を行う作業装置をさらに備え、
前記電気機器は、前記作業装置を直接的又は間接的に駆動する請求項1または5に記載の電動作業機。
【請求項10】
電気機器と、
前記電気機器に電気的に接続された電気回路と、
正負極の外部端子を有する複数のバッテリパックであって、前記電気回路を介して前記電気機器に対して順次接続されて並列接続される複数のバッテリパックと、を備え、
前記電気回路が、
前記複数のバッテリパックのそれぞれに対応する複数の外部リレーであって、対応する前記バッテリパックと前記電気機器とを接続する回路を開閉する複数の外部リレーを含む電動作業機の起動方法において、
前記バッテリパックが前記電気機器に接続される前に、当該バッテリパックの内部回路を開状態にした状態で、当該バッテリパックに対応する前記外部リレーの接点の固着の有無を診断する外部リレー診断処理を行い、
前記外部リレー診断処理において、
診断対象の前記バッテリパックの前記内部回路を開状態に操作し、当該バッテリパックに対応する前記外部リレーを開状態に操作した状態で、該バッテリパックの前記正負極の外部端子間の電圧が閾値以上である場合、前記外部リレーの接点が固着していると判断し、該バッテリパックの前記正負極の外部端子間の電圧が閾値よりも低い場合、前記外部リレーの接点が正常であると判断する電動作業機の起動方法。
【請求項11】
電気機器と、
前記電気機器に電気的に接続された電気回路と、
正負極の外部端子を有する複数のバッテリパックであって、前記電気回路を介して前記電気機器に対して順次接続されて並列接続される複数のバッテリパックと、を備え、
前記電気回路は、
前記複数のバッテリパックのそれぞれに対応する複数の外部リレーであって、対応する前記バッテリパックと前記電気機器とを接続する回路を開閉する複数の外部リレーを含み、
前記バッテリパックは、
当該バッテリパックの内部回路における負極の外部端子側と正極の外部端子側とを繋ぐディスチャージ回路であって、直列に繋がるディスチャージ用抵抗器とディスチャージ用リレーとを含むディスチャージ回路を有する電動作業機の起動方法において、
前記バッテリパックを前記電気機器に接続する際に、当該バッテリパックの前記ディスチャージ用リレーの接点の固着の有無を診断するディスチャージ用リレー診断処理を行い、
前記ディスチャージ用リレー診断処理において、
診断対象の前記バッテリパックに対応する前記外部リレーを閉状態に操作し、且つ当該バッテリパックの前記ディスチャージ用リレーを開状態に操作し、
当該バッテリパックの前記正負極の外部端子間の電圧が前記閾値以上で、且つ、前記ディスチャージ回路の両端の電圧が前記閾値以下である場合、前記ディスチャージ回路の前記ディスチャージ用リレーの接点が固着していると判断し、当該バッテリパックの前記正負極の外部端子間の電圧が前記閾値以上で、且つ、前記ディスチャージ回路の両端の電圧が前記閾値よりも高い場合、前記ディスチャージ回路の前記ディスチャージ用リレーの接点が正常であると判断する電動作業機の起動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のバッテリパックからの電力供給で作動する電動作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のバッテリパック(組電池)からの電力供給で作動する電動作業機が提供されている。この種の電動作業機は、電気機器と、電気機器に電気的に接続される電気回路と、電気回路を介して電気機器に並列接続される複数のバッテリパックと、を備える(例えば、特許文献1及び2参照)。一般的に、バッテリパック(組電池)は、内部回路を開閉する内部リレーを有し、内部リレーの開閉によって自身のON/OFFを切り換えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2015/167024号公報
【特許文献2】特開2011-188789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電気回路が通電可能な状態(導通状態)でバッテリパックの内部リレーが閉状態にされると、内部リレーに突入電流が作用し、内部回路(内部リレー)が破損する虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、起動時の突入電流の影響で、バッテリパックの内部回路が破損することを未然に防止できる電動作業機及び電動作業機の起動方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電動作業機は、電気機器と、前記電気機器に電気的に接続された電気回路と、正負極の外部端子を有する複数のバッテリパックであって、前記電気回路を介して前記電気機器に対して順次接続されて並列接続される複数のバッテリパックと、制御部と、を備え、前記電気回路は、前記複数のバッテリパックのそれぞれに対応する複数の外部リレーであって、対応する前記バッテリパックと前記電気機器とを接続する回路を開閉する複数の外部リレーを含み、前記制御部は、前記バッテリパックが前記電気機器に接続される前に、当該バッテリパックの内部回路を開状態にした状態で、当該バッテリパックに対応する前記外部リレーの接点の固着の有無を診断する外部リレー診断処理を行い、前記外部リレー診断処理において、診断対象の前記バッテリパックの前記内部回路を開状態に操作し、当該バッテリパックに対応する前記外部リレーを開状態に操作した状態で、該バッテリパックの前記正負極の外部端子間の電圧が閾値以上である場合、前記外部リレーの接点が固着していると判断し、該バッテリパックの前記正負極の外部端子間の電圧が閾値よりも低い場合、前記外部リレーの接点が正常であると判断する。
【0007】
本発明に係る電動作業機は、電気機器と、前記電気機器に電気的に接続された電気回路と、正負極の外部端子を有する複数のバッテリパックであって、前記電気回路を介して前記電気機器に対して順次接続されて並列接続される複数のバッテリパックと、制御部と、を備え、前記電気回路は、前記複数のバッテリパックのそれぞれに対応する複数の外部リレーであって、対応する前記バッテリパックと前記電気機器とを接続する回路を開閉する複数の外部リレーを含み、前記バッテリパックは、当該バッテリパックの内部回路におけ
る負極の外部端子側と正極の外部端子側とを繋ぐディスチャージ回路であって、直列に繋がるディスチャージ用抵抗器とディスチャージ用リレーとを含むディスチャージ回路を有し、前記制御部は、前記バッテリパックを前記電気機器に接続する際に、当該バッテリパックの前記ディスチャージ用リレーの接点の固着の有無を診断するディスチャージ用リレー診断処理を行い、前記ディスチャージ用リレー診断処理において、診断対象の前記バッテリパックに対応する前記外部リレーを閉状態に操作し、且つ当該バッテリパックの前記ディスチャージ用リレーを開状態に操作し、当該バッテリパックの前記正負極の外部端子間の電圧が前記閾値以上で、且つ、前記ディスチャージ回路の両端の電圧が前記閾値以下である場合、前記ディスチャージ回路の前記ディスチャージ用リレーの接点が固着していると判断し、当該バッテリパックの前記正負極の外部端子間の電圧が前記閾値以上で、且つ、前記ディスチャージ回路の両端の電圧が前記閾値よりも高い場合、前記ディスチャージ回路の前記ディスチャージ用リレーの接点が正常であると判断する。
【0008】
本発明に係る電動作業機の起動方法は、電気機器と、前記電気機器に電気的に接続された電気回路と、正負極の外部端子を有する複数のバッテリパックであって、前記電気回路を介して前記電気機器に対して順次接続されて並列接続される複数のバッテリパックと、を備え、前記電気回路が、前記複数のバッテリパックのそれぞれに対応する複数の外部リレーであって、対応する前記バッテリパックと前記電気機器とを接続する回路を開閉する複数の外部リレーを含む電動作業機の起動方法において、前記バッテリパックが前記電気機器に接続される前に、当該バッテリパックの内部回路を開状態にした状態で、当該バッテリパックに対応する前記外部リレーの接点の固着の有無を診断する外部リレー診断処理を行い、前記外部リレー診断処理において、診断対象の前記バッテリパックの前記内部回路を開状態に操作し、当該バッテリパックに対応する前記外部リレーを開状態に操作した状態で、該バッテリパックの前記正負極の外部端子間の電圧が閾値以上である場合、前記外部リレーの接点が固着していると判断し、該バッテリパックの前記正負極の外部端子間の電圧が閾値よりも低い場合、前記外部リレーの接点が正常であると判断する。
【0009】
本発明に係る電動作業機の起動方法は、電気機器と、前記電気機器に電気的に接続された電気回路と、正負極の外部端子を有する複数のバッテリパックであって、前記電気回路を介して前記電気機器に対して順次接続されて並列接続される複数のバッテリパックと、を備え、前記電気回路は、前記複数のバッテリパックのそれぞれに対応する複数の外部リレーであって、対応する前記バッテリパックと前記電気機器とを接続する回路を開閉する複数の外部リレーを含み、前記バッテリパックは、当該バッテリパックの内部回路における負極の外部端子側と正極の外部端子側とを繋ぐディスチャージ回路であって、直列に繋がるディスチャージ用抵抗器とディスチャージ用リレーとを含むディスチャージ回路を有する電動作業機の起動方法において、前記バッテリパックを前記電気機器に接続する際に、当該バッテリパックの前記ディスチャージ用リレーの接点の固着の有無を診断するディスチャージ用リレー診断処理を行い、前記ディスチャージ用リレー診断処理において、
診断対象の前記バッテリパックに対応する前記外部リレーを閉状態に操作し、且つ当該バッテリパックの前記ディスチャージ用リレーを開状態に操作し、当該バッテリパックの前記正負極の外部端子間の電圧が前記閾値以上で、且つ、前記ディスチャージ回路の両端の電圧が前記閾値以下である場合、前記ディスチャージ回路の前記ディスチャージ用リレーの接点が固着していると判断し、当該バッテリパックの前記正負極の外部端子間の電圧が前記閾値以上で、且つ、前記ディスチャージ回路の両端の電圧が前記閾値よりも高い場合、前記ディスチャージ回路の前記ディスチャージ用リレーの接点が正常であると判断する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、起動時の突入電流の影響で、バッテリパックの内部回路が破損することを未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る電動作業機の側面図である。
図2図2は、同実施形態に係る電動作業機の油圧系及び電気系の概略系統図である。
図3図3は、同実施形態に係る電動作業機の電気系統図である。
図4図4は、同実施形態に係る電動作業機のバッテリパックの並列接続可否診断の処理フロー図である。
図5図5は、同実施形態に係る電動作業機のバッテリパックの並列接続処理の処理フロー図である。
図6図6は、同実施形態に係る電動作業機のバッテリパックの内部リレーの開閉動作診断における各診断過程における診断条件と結果の一覧表である。
図7図7は、同実施形態に係る電動作業機の故障診断の処理フロー図である。
図8図8は、同実施形態に係る電動作業機のバッテリパックの単一接続処理の処理フロー図である。
図9図9は、同実施形態に係る電動作業機のバッテリパックを充電する充電モードの処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る電動作業機について、図面を参酌しつつ説明する。
【0013】
図1に示すように、電動作業機1は、自走可能な走行式の作業機であり、走行装置10を備える。
【0014】
走行装置10は、走行フレーム100と、走行機構101と、を有する。走行フレーム100は、走行機構101が取り付けられる構造体である。
【0015】
走行機構101は、走行フレーム100の左側と右側にそれぞれ設けられている。すなわち、走行機構101は、前進及び後退する方向に対して直交する左右幅方向において一対配置される。
【0016】
本実施形態において、走行機構101は、クローラ式の走行機構である。具体的には、走行機構101は、アイドラ102と、駆動輪103と、複数の転輪104と、無端環状のクローラベルト105と、走行モータ106と、を備える。
【0017】
アイドラ102は、走行フレーム100の前進する方向の先頭側にある前部に配置されている。駆動輪103は、走行フレーム100の後退する方向の先頭側にある後部に配置されている。複数の転輪104は、アイドラ102と駆動輪103との間に設けられている。クローラベルト105は、アイドラ102、駆動輪103、及び転輪104に亘って巻掛けられている。
【0018】
走行モータ106は、駆動輪103を回転駆動させる。本実施形態において、走行モータ106には、油圧モータが採用されている。左右一対の走行機構101のそれぞれは、駆動輪103の回転駆動により、クローラベルト105を周回させる。
【0019】
本実施形態に係る電動作業機1は、所定の作業を行うための作業装置11を備える。また、電動作業機1は、走行フレーム100に固定された旋回台12と、旋回台12に支持される機体13と、機体13に支持されたキャビン14と、を備える。
【0020】
本実施形態において、電動作業機1は、作業装置11として、ドーザ装置11aと、シ
ョベル装置11bと、を備える。
【0021】
ドーザ装置11aは、走行装置10の前方に装備される。具体的には、ドーザ装置11aは、ドーザプレート110aと、ドーザプレート110aが先端に連結された支持アーム111aであって、横方向に延びる軸を介して走行フレーム100に連結され、軸を中心に上下方向に揺動可能な支持アーム111aと、支持アーム111aを揺動させる油圧シリンダ112aと、を備える。
【0022】
ショベル装置11bは、ブーム110bと、アーム111bと、作業具であるバケット112bと、油圧シリンダ113b,114b,115bと、を備える。
【0023】
ブーム110bは、基端部と先端部とを有する。ブーム110bの基端部は、上下方向と直交する方向に延びる第一軸S1を介し、後述するスイングブラケット130に対して枢結されている。これに伴い、ブーム110bは、第一軸S1を中心に回転(回動)することで、先端部側が上下方向に揺動可能になっている。
【0024】
アーム111bは、基端部と先端部とを有する。アーム111bの基端部は、上下方向と直交する方向に延びる第二軸S2を介してブーム110bの先端部に枢結されている。これに伴い、アーム111bは、第二軸S2を中心に回転(回動)することで、先端部側が前後方向或いは上下方向に揺動可能になっている。バケット112bは、アーム111bの先端部にスクイ動作及びダンプ動作が可能に連結されている。
【0025】
電動作業機1は、作業装置11の油圧シリンダとして、ブーム110bを揺動させるブームシリンダ113b、アーム111bを揺動させるアームシリンダ114b、バケット112bをスクイ動作及びダンプ動作させるバケットシリンダ115bを備える。また、電動作業機1は、油圧シリンダとして、スイングブラケット130を揺動させるスイングシリンダ131を備える。
【0026】
旋回台12は、内輪と、外輪と、を有する旋回ベアリングであり、内輪又は外輪の何れか一方に走行フレーム100が連結され、内輪又は外輪の何れか他方に機体13が連結される。旋回台12は、機体13又は走行フレーム100の何れか一方に固定された旋回モータ120(図2参照。)の出力軸に取り付けられたピニオンと、機体13又は走行フレーム100の何れか他方に連結された内輪の内周又は外輪の外周に設けられた環状ギアと、を噛合させている。これにより、旋回台12は、旋回モータ120の駆動により、上下方向に延びる軸心回りで内輪と外輪とを相対的に回転させ、内輪又は外輪の何れか他方に連結された機体13を上下方向に延びる軸心回りで回転させる。本実施形態において、旋回モータ120には、油圧モータが採用されている。
【0027】
機体13の前進方向の先頭になる前部には、スイングブラケット130が連結されている。具体的には、スイングブラケット130は、上下方向に延びる軸を介して機体13に枢結されている。これにより、スイングブラケット130は、上下方向に延びる軸を中心にして回転(回動)可能になっている。すなわち、スイングブラケット130は、スイングシリンダ131の伸縮によって、左右に揺動するようになっている。機体13は、キャビン14を支持し、キャビン14には、作業員が着席する座席140や、当該電動作業機1を操作する操作手段141、電動作業機1(走行装置10及び作業装置11)を起動する起動スイッチ、作業者に対して運転状態等を報知する報知手段としてのモニター142(図2参照。)等が収容されている。
【0028】
電動作業機1は、図2に示すように、走行装置10(走行機構101)、作業装置11(ドーザ装置11aやショベル装置11b)、及び旋回台12が油圧シリンダ112a,
113b,114b,115b,131や油圧モータ106,120といった複数の油圧アクチュエータを備えるのに伴い、複数の油圧アクチュエータ106,112a,113b,114b,115b,120,131に作動油を供給する油圧ポンプ15を備える。本実施形態において、複数の油圧アクチュエータ106,112a,113b,114b,115b,120,131に作動油を供給するために、油圧ポンプ15には多連油圧ポンプが採用されている。
【0029】
油圧ポンプ(多連油圧ポンプ)15は、電動式である。すなわち、電動作業機1は、油圧ポンプ15を駆動する電動モータ16を備える。
【0030】
本実施形態に係る電動作業機1は、上記構成を前提に、電気機器20と、電気機器20に電気的に接続された電気回路21と、電気回路21を介して電気機器20に対して順次接続されて並列接続される複数のバッテリパック22…と、制御部23と、を備える。さらに、電動作業機1は、電気回路21の全部又は一部を収容するジャンクションボックス24を備える。なお、図2において、電気回路21は、破線で示され、制御用信号を送受信する信号系統は、一点鎖線で示され、油圧系統は、二点鎖線で示されている。
【0031】
本実施形態において、電動作業機1は、電気機器20を複数備える。具体的には、電動作業機1は、出力用の電気機器20として、電動モータ16を駆動するためのインバータ20aを備える。すなわち、電動作業機1は、所定の作業を行うための作業装置11(本実施形態においては、ドーザ装置11a、ショベル装置11b)を駆動する電気機器20を備える。
【0032】
電動作業機1は、その他の出力用の電気機器20として、DC/DCコンバータ20bや、キャビン14内の暖房用のヒータ20cを備える。なお、ここでのその他の出力用の電気機器20は、一例であり、当該電動作業機1の仕様や機能等に応じて追加される。
【0033】
電動作業機1は、入力用の電気機器25として、外部の充電装置(例えば、急速充電器)に接続する充電インレットを備える。なお、本実施形態において、DC/DCコンバータ20bには、バッテリパック22の他に12Vバッテリ26が接続されている。
【0034】
図3に示すように、電気機器20,25は、入力用及び出力用の何れにおいても、正極接続端子PEと、負極接続端子NEと、を有する。
【0035】
電気回路21は、複数のバッテリパック22…のそれぞれに対応する複数の外部リレー211…を含む。具体的には、電気回路21は、複数のバッテリパック22…のそれぞれに対して電気的且つ物理的に接続された複数の一次回路210…であって、それぞれが出力用の電気機器20(インバータ20a、DC/DCコンバータ20b、ヒータ20c)及び入力用の電気機器である充電インレット25に電気的に繋がる複数の一次回路210…と、複数の一次回路210のそれぞれの開閉を行う複数の外部リレー211…と、を含む。
【0036】
本実施形態において、電動作業機1は、上記の通り、複数の出力用の電気機器20(インバータ20a,DC/DCコンバータ20b,ヒータ20c)及び入力用の電気機器である充電インレット25を備える。これに伴い、電気回路21は、複数の出力用の電気機器20(インバータ20a,DC/DCコンバータ20b,ヒータ20c)及び入力用の電気機器(充電インレット)25に対して電気的且つ物理的に接続される複数の二次回路212…を備える。
【0037】
具体的には、電気回路21は、複数のバッテリパック22のそれぞれに接続された複数
の一次回路210…と、複数の一次回路210…が電気的且つ物理的に接続される共通回路213と、共通回路213に対して電気的且つ物理的に接続される複数の二次回路212…であって、それぞれが別個の出力用の電気機器20(インバータ20a,DC/DCコンバータ20b,ヒータ20c)及び入力用の電気機器である充電インレット25に接続される複数の二次回路212…と、を含む。
【0038】
電気回路21は、共通回路213に対して複数の一次回路210…を接続することによって、複数のバッテリパック22…を並列接続する。より具体的には、電気回路21は、複数の一次回路210…として、複数のバッテリパック22…のそれぞれの後述する正極出力端子(正極側の外部端子)223aに接続された複数の正極一次回路210a…と、複数のバッテリパック22…のそれぞれの後述する負極出力端子(負極側の外部端子)223bに接続された複数の負極一次回路210b…と、を含む。
【0039】
また、電気回路21は、共通回路213として、複数の正極一次回路210a…が接続される正極共通回路213aと、複数の負極一次回路210b…が接続される負極共通回路213bと、を含む。さらに、電気回路21は、複数の二次回路212…として、正極共通回路213aに接続される複数の正極二次回路212a…であって、それぞれが別個の出力用の電気機器20(インバータ20a,DC/DCコンバータ20b,ヒータ20c)及び入力用の電気機器(充電インレット)25の正極接続端子PEに接続される複数の正極二次回路212a…と、負極共通回路213bに接続される複数の負極二次回路212b…であって、それぞれが別個の出力用の電気機器20(インバータ20a,DC/DCコンバータ20b,ヒータ20c)及び入力用の電気機器(充電インレット)25の負極接続端子NEに接続される複数の負極二次回路212bと、を含む。
【0040】
外部リレー211は、複数の正極一次回路210a…のそれぞれ又は複数の負極一次回路210b…のそれぞれに配置される。本実施形態において、外部リレー211は、複数の負極一次回路210b…のそれぞれに配置されている。外部リレー211は、a接点のリレースイッチである。すなわち、外部リレー211は、常態において電気回路21を開(切断)状態で維持し、作動時に電気回路21を閉(接続)状態にするリレースイッチである。外部リレー211は、制御部23(ECU23a)からの指示を受けて動作し、電気回路21を開閉する。
【0041】
これにより、複数の外部リレー211…は、複数のバッテリパック22…と出力用の電気機器20(インバータ20a,DC/DCコンバータ20b,ヒータ20c)とを繋ぐ回路(電気系統)を開閉可能である。また、複数の外部リレー211…は、複数のバッテリパック22…と入力用の電気機器である充電インレット25とを繋ぐ回路(電気系統)も開閉可能である。
【0042】
複数のバッテリパック22…のそれぞれは、内部回路222を有し、該内部回路222を開閉する内部リレー220を有する。また、複数のバッテリパック22…のそれぞれは、電池セル(単電池)221を有する。具体的には、複数のバッテリパック22…のそれぞれは、複数の電池セル221…を有する。すなわち、バッテリパック22は、所謂、組電池である。これに伴い、バッテリパック22…のそれぞれは、直列接続された複数の電池セル221…を含む内部回路222を有する。すなわち、内部回路222は、複数の電池セル221…と、内部リレー220とが直列に接続された直列回路である。
【0043】
バッテリパック22は、内部回路222の終端となる正負極の外部端子223a,223bを有する。すなわち、バッテリパック22は、外部端子としての正極出力端子223aと、負極出力端子223bと、を有する。正極出力端子223aは、直列接続された複数の電池セル221…のうちの一方の端にある電池セル221の正極端子と電気的に接続
され、負極出力端子223bは、直列接続された複数の電池セル221…のうちの他方の端にある電池セル221の負極端子と電気的に接続されている。
【0044】
具体的には、内部回路222は、直列接続された複数の電池セル221…と、直列接続された複数の電池セル221…のうちの一方の端にある電池セル221の正極端子と正極出力端子223aと繋ぐ第一回路222aであって、内部リレー220としての正極側の第一内部リレー220aを含む第一回路222aと、直列接続された複数の電池セル221…のうちの他方の端にある電池セル221の負極端子と負極出力端子223bと繋ぐ第二回路222bであって、内部リレー220としての負極側の第二内部リレー220bを含む第二回路222bと、を有する。
【0045】
内部リレー220(第一内部リレー220a及び第二内部リレー220b)は、a接点のリレースイッチである。すなわち、内部リレー220(第一内部リレー220a及び第二内部リレー220b)は、常態において内部回路222を開状態にし、作動時に内部回路222を閉状態にするリレースイッチである。
【0046】
本実施形態において、内部回路222は、第一回路222aの第一内部リレー220aに対して並列接続されたプリチャージ回路224を備える。プリチャージ回路224は、第一内部リレー220aの一次側(上流)及び二次側(下流)にある第一回路222aに繋がる回路であり、プリチャージ用抵抗器224a及びプリチャージ回路224の開閉を行うプリチャージ用リレー224bを含む。プリチャージ用リレー224bは、a接点のリレースイッチである。すなわち、プリチャージ用リレー224bは、常態においてプリチャージ回路224を開状態にし、作動時にプリチャージ回路224を閉状態にするリレースイッチである。プリチャージ回路224において、プリチャージ用抵抗器224aとプリチャージ用リレー224bとは、直列接続されている。すなわち、プリチャージ用抵抗器224a及びプリチャージ用リレー224bは、直列接続回路を構成し、この直列接続回路(プリチャージ用抵抗器224a及びプリチャージ用リレー224b)を含むプリチャージ回路224が第一内部リレー220aに対して並列に接続されている。
【0047】
バッテリパック22(内部回路222)は、ディスチャージ回路225を備える。ディスチャージ回路225は、第一回路222aと第二回路222bとに繋がる。具体的には、ディスチャージ回路225は、所謂、放電回路であり、第一回路222aにおける第一内部リレー220aの下流側と第二回路222bにおける第二内部リレー220bの上流側とに跨る回路である。なお、ここで「上流側」及び「下流側」とは、バッテリパック22の内部回路222を構成する複数の電池セル221…(直列に接続された複数の電池セル221…)を基準にした電流の向き(電気の流れ)を基準にした表現である。
【0048】
ディスチャージ回路225は、ディスチャージ用抵抗器225a及びディスチャージ回路225の開閉を行うディスチャージ用リレー225bを含む。ディスチャージ用リレー225bは、a接点のリレースイッチである。すなわち、ディスチャージ用リレー225bは、常態においてディスチャージ回路225を開(切断)状態にし、作動時にディスチャージ回路225を閉(接続)状態にするリレースイッチである。ディスチャージ回路225において、ディスチャージ用抵抗器225aとディスチャージ用リレー225bとは、直列接続されている。
【0049】
制御部23は、電気回路21及びバッテリパック22の内部回路222の開閉の制御を行う。すなわち、制御部23は、電気回路21にある外部リレー211の他に、バッテリパック22の内部回路222にある内部リレー220(第一内部リレー220a及び第二内部リレー220b)、プリチャージ用リレー224b、ディスチャージ用リレー225bの開閉を操作する。制御部23は、バッテリパック22から供給される電力により電気
機器20を駆動する駆動モードと、バッテリパック22を充電する充電モードと、を有する。より具体的に説明すると、図2に示すように、電動作業機1は、制御部23として、当該電動作業機1全体の制御を行う電子制御ユニット(以下、ECUという。)23aを備える。本実施形態において、電力供給源に組電池であるバッテリパック22が採用されるに伴い、電動作業機1は、制御部23として、バッテリパック22を監視・制御するバッテリーマネージメントシステム(以下、BMSという。)23bを備える。これに伴い、本実施形態において、制御部23を構成するECU23a及びBMS23bが、リレースイッチ(電気回路21にある外部リレー211、バッテリパック22の内部回路222にある内部リレー220(第一内部リレー220a及び第二内部リレー220b)、プリチャージ用リレー224b、ディスチャージ用リレー225b)の開閉を操作する。具体的には、ECU23aが、リレースイッチの開閉について指示し、BMS23bが、ECU23aの指示を受けてリレースイッチの開閉を実行させる。
【0050】
本実施形態において、ECU23aは、複数のバッテリパック22…を電気機器20に対して順次接続する。これに伴い、複数のバッテリパック22…には、電気機器20に接続する順番が一番目に設定されるバッテリパックである第一バッテリパック22と、電気機器20に接続される順番が二番目以降に設定されるバッテリパックである第二バッテリパック22とが含まれる。具体的には、複数のバッテリパック22は、電気機器20に対して順々に接続され、最終的に並列接続されることで、何れもが電気機器20に電力供給する。
【0051】
これに伴い、ここでは、複数のバッテリパック22のうち、電気機器20に対して一番目に接続されるバッテリパック22を第一バッテリパックと称し、電気機器20に対して2番目以降に接続されるバッテリパック22を第二バッテリパックと称している。なお、バッテリパック22が二つである場合には、第一バッテリパック22及び第二バッテリパック22は、それぞれ一つになるが、バッテリパック22が三つ以上ある場合には、第一バッテリパック22が一つあり、第二バッテリパック22が二つ以上になる。
【0052】
これを前提に、ECU23aは、電気機器20に対して接続される第二バッテリパック22の内部リレー220の開閉動作の診断の要否を指定可能に構成される。また、ECU23aは、第二バッテリパック22のプリチャージ回路224でのプリチャージの実施の要否を指定可能に構成される。さらに、ECU23aは、第二バッテリパック22を電気機器20に接続する際(後述の第一後段処理を行う際)、内部リレー220としての第一内部リレー220aと第二内部リレー220bとを同時に閉状態にするか否かを指定可能に構成される。
【0053】
これらの指定については、ECU23aの具備する記憶部に対し、予め設定した内容(変更不能な規定の情報)が記憶されるか、入力装置を介して設定することで、入力した内容(変更可能情報として)が記憶される。なお、入力装置は、入力専用の装置であってもよいが、例えば、報知手段としてのモニター142をタッチパネルで構成し、モニター142を介して入力するようにしてもよい。
【0054】
本実施形態においては、上記の指定については、ECU23aが具備する記憶部に予め設定した内容(変更不能な規定の情報)が記憶されている。具体的には、ECU23aが具備する記憶部には、第二バッテリパック22の内部リレー220の開閉動作の診断の要否に関する指定について、診断不要である旨の指定(指示)が記憶されている。また、ECU23aが具備する記憶部には、第二バッテリパック22のプリチャージ回路224でのプリチャージの実施の要否の指定については、プリチャージ不要である旨の指定(指示)が記憶されている。さらに、ECU23aが具備する記憶部には、第二バッテリパック22を電気機器20に接続する際(後述の第一後段処理を行う際)、内部リレー220としての第一内部リレー220aと第二内部リレー220bとを同時に閉状態にするか否かの指定については、第一内部リレー220aと第二内部リレー220bとを同時に閉状態にする旨の指定(指示)が記憶されている。
【0055】
電動作業機1は、起動スイッチを備えており、起動スイッチに対するON/OFF操作により、起動と停止を行うようになっている。本実施形態において、起動スイッチがON操作されるに伴い、制御部23(ECU23a)は、バッテリパック22から供給される電力により電気機器20を駆動する駆動モードを実行する。すなわち、ECU23aは、起動スイッチのON操作により、起動処理を行う。
【0056】
BMS23bは、バッテリパック22に特化した制御装置であり、ECU23aがBMS23bの上位の制御装置となる。すなわち、BMS23bは、内部リレー220(220a,220b)の開閉等の制御を実行するが、ECU23aの支配下にあり、ECU23aからの指示・命令にも従う。
【0057】
BMS23bは、バッテリパック22毎に設けられており、対応するバッテリパック22に対し、全体の温度、電流、電圧を監視(計測)する。なお、全体の電流及び電圧とは、それぞれのバッテリパック22の外部端子である正極出力端子223aと負極出力端子223bとの間の電流及び電圧である。なお、本実施形態において、BMS23bは、バッテリパック22全体の監視(計測)を対象としているが、全体の監視(計測)の他、内装される複数の電池セル221…の温度、電圧、電流を監視(計測)するものであってもよい。
【0058】
図示は省略するが、ジャンクションボックス24は、開閉可能な扉を有する筐体であり、電気回路21を収容する。本実施形態において、ジャンクションボックス24は、複数の一次回路210(210b,210a)の下流側の部分、共通回路213(213b,213a)、及び複数の二次回路212(212b,212a)の上流側の部分を収容する。すなわち、ジャンクションボックス24には、共通回路213(213b,213a)に対する複数の一次回路210(210b,210a)の接続部分及び共通回路213(213b,213a)に対する複数の二次回路212(212b,212a)の接続部分が内装されている。
【0059】
また、ジャンクションボックス24には、一次回路210(210b,210a)上に設けられた外部リレー211も内装されている。これに伴い、複数の外部リレー211…は、複数の一次回路210(負極一次回路210b)の途中位置に設けられ、ジャンクションボックス24に内装されている。
【0060】
本実施形態において、電気回路21は、一次回路210として、負極一次回路210bと、正極一次回路210aと、を含み、外部リレー211は、負極一次回路210bのみに設けられている。これに伴い、外部リレー211は、ジャンクションボックス24内に収まるように、負極一次回路210bの途中位置に設けられている。
【0061】
外部リレー211は、交換可能である。すなわち、外部リレー211は、ジャンクションボックス24に対して着脱可能に設けられ、故障時に交換可能になっている。
【0062】
なお、ここで電気回路21の説明において、「上流側」とは、バッテリパック22から電気機器20に繋がる電気的な回路上の任意の位置を基準としたバッテリパック22側(基準よりもバッテリパック22側)を意味し、「下流側」とは、バッテリパック22から電気機器20に繋がる電気的な回路上の任意の位置を基準とした電気機器20側(基準よりも電気機器20側)を意味する。
【0063】
本実施形態に係る電動作業機1は、以上の通りであり、駆動モードの実行(起動処理)において、制御部23は以下の手順で電気機器20(インバータ20a、DC/DCコンバータ20b、ヒータ20c)に給電し、電気機器20(インバータ20a、DC/DCコンバータ20b、ヒータ20c)は機能を発揮させる。すなわち、複数ある電気機器20(インバータ20a、DC/DCコンバータ20b、ヒータ20c)のうち、作業装置11(ドーザ装置11a、ショベル装置11b)を作動させる電気機器20であるインバータ20aは、給電されることで、電動モータ16を駆動し、電動モータ16は油圧ポンプ15を作動させる。
【0064】
具体的に説明すると、上記の駆動モードを実行する(起動処理を行う)にあたり、まず、作業者が起動スイッチに対してON操作すると、制御部23(ECU23a)は、複数のバッテリパック22…を並列接続可能か否かの判断を行う(並列接続可否診断)。具体的には、図4に示すように、BMS23bがバッテリパック22の全体の電圧を計測し、その結果をECU23aに送る(S1)。ECU23aは、複数のバッテリパック22…のそれぞれの電圧を相互比較し、比較の対象となる組み合わせのバッテリパック22,22(二つのバッテリパック22,22)間の電圧差を算出する(S2)。本実施形態において、電動作業機1は、二つのバッテリパック22,22のみを備えるため、ECU23aは、比較の対象となる組み合わせが一通りしかなく、二つのバッテリパック22,22の電圧差を算出する。
【0065】
ECU23aは、算出した電圧差が予め設定された基準値と一致するか否かを判断する(S3)。ここでの「基準値」は、複数のバッテリパック22,22を並列接続した場合、バッテリパック22,22間の電圧差によってバッテリパック22,22間に電気の流れが生じても支障のない値である。本実施形態において、「基準値」は、上限の閾値と下限の閾値との間(二つの閾値の間)の範囲に設定されており(ECU23aに記憶されており)、二つの閾値の範囲内であれば一致として取り扱う。なお、基準値は、範囲(二つの閾値の間)をもつ必要はなく、一つの閾値であってもよい。
【0066】
なお、図4に示すフロー図は、バッテリパック22…を三つ以上備える場合も想定したものであり、三つ以上のバッテリパック22…を備える場合には、比較の組み合わせとしては、三通り以上になる。これに伴い、ECU23aは、三通り以上の組み合わせのバッテリパック22,22間の電圧差を算出し、それぞれの電圧差が基準値と一致するか否かを判断する。
【0067】
比較の対象となった二つのバッテリパック22,22の電圧差が基準値と一致すると判断した場合(S3でYES)、ECU23aは、その比較の対象となった組み合わせのバッテリパック22(二つのバッテリパック22,22)を並列接続の対象として決定する(S4)。すなわち、比較の組み合わせとしては、三通り以上になる場合、それぞれの組み合わせにおいて、電圧差が基準値と一致すると判断した場合には、三つ以上のバッテリパック22…の全てを並列接続の対象として決定する(S4)。
【0068】
その一方で、比較の対象となった二つのバッテリパック22,22の電圧差が基準値と一致しないと判断した場合(S3でNO)、ECU23aは、その他の比較の対象となった組み合わせの二つのバッテリパック22,22の電圧差が基準値と一致する組み合わせがあったか否かを判断する(S5)。その他の比較の対象となった組み合わせの二つのバッテリパック22,22の電圧差が基準値と一致する組み合わせがあった場合(S5でYES)、ECU23aは、バッテリパック22,22の電圧差が基準値と一致する組み合わせのバッテリパック22,22を並列接続の対象として決定する(S4)。
【0069】
その他の比較の対象となった組み合わせの二つのバッテリパック22,22の電圧差が基準値と一致する組み合わせが無かった場合(S5でNO)、ECU23aは、比較の対象となった二つのバッテリパック22,22のうち、電圧の高い方のバッテリパック22を電力源として使用する旨を決定する(S6)。すなわち、ECU23aは、比較の対象となるバッテリパック22,22の電圧差が、基準値を超えるとき(基準値に上限の閾値と下限の閾値がある場合には、上限の閾値を超えるとき)は、バッテリパック22,22間の電圧差が大きすぎるとして、複数のバッテリパック22…のうち、電圧の最も高いバッテリパック22を電気機器20に接続する旨を決定する(S6)。
【0070】
なお、三通り以上の組み合わせがある場合、各組み合わせにおいて基準値と一致しない場合、ECU23aは、三つ以上のバッテリパック22…の中で一番電圧の高いバッテリパック22を電力源として使用する旨を決定する(S6)。この決定に併せ、ECU23aは、キャビン14内にあるモニター142に対して「充電が必要」である旨を表示させ、作業者に対して充電を促す報知を行う(S7,END)。
【0071】
上記の通り、本実施形態においては、二つのバッテリパック22,22のみを備えるため、二つのバッテリパック22,22の電圧差が基準値と一致する場合(S3でYES)、ECU23aは、その二つのバッテリパック22,22を並列接続の対象として決定する(S4)。その一方で、二つのバッテリパック22,22の電圧差が基準値と一致しない場合(S3でNO)、ECU23aは、並列接続できる組み合わせが存在しないと判断し(S5でNO)、比較の対象となった二つのバッテリパック22,22のうち、電圧の高い方のバッテリパック22を電力源として使用する旨を決定する(S6)。この決定に併せ、ECU23aは、キャビン14内にあるモニター142に対して「充電が必要」である旨を表示させ、作業者に対して充電を促す報知を行う(S7,END)。
【0072】
以上の処理により、ECU23aは、複数のバッテリパック22…の並列接続可否について診断を行い、その結果、並列接続可能なバッテリパック22,22の組み合わせがある場合には、バッテリパック22…の並列接続処理を行い、並列接続可能なバッテリパック22…の組み合わせがない場合には、単一のバッテリパック22の接続処理(単一接続処理)を行う。
【0073】
バッテリパック22…の並列接続処理を行う場合、図5に示すように、ECU23aは、並列接続の対象となったバッテリパック22に対応する外部リレー211の開閉回数を確認する(S10)。すなわち、ECU23aは、バッテリパック22に対応する外部リレー211の開閉回数を累積的に記憶し、起動時における現状の総開閉回数を確認する(S10)。そして、ECU23aは、外部リレー211の開閉回数に基づき、複数のバッテリパック22…を電気回路21に対して接続する順番を決定する(S11)。本実施形態において、ECU23aは、外部リレー211の開閉回数の多い順に、該外部リレー211に対応するバッテリパック22の順番を設定する。すなわち、複数のバッテリパック22…を電気回路21に対して接続する順番が決定される際(S11)、第二バッテリパック22に対応する外部リレー211としての開閉回数の多い外部リレー211に繋がるバッテリパック22…ほど、若い順番が割り振られる(一番から順番に設定される)。
【0074】
詳細は後述するが、本実施形態において、第一バッテリパック22に対応する外部リレー211は、開閉に伴う突流電流の影響によるダメージを受けない(受け難い)。その一方で、第二バッテリパック22に対応する外部リレー211は、開閉時の突入電流の影響でダメージを受け、開閉回数に応じてダメージが蓄積(累積)される。
【0075】
従って、第二バッテリパック22に対応する外部リレー211として、最もダメージを受けている(最も開閉回数の多い)外部リレー211に繋がるバッテリパック22の接続
の順番を一番目に設定することで、大きなダメージを受けた(ダメージの蓄積した)外部リレー211に対して突入電流の影響(ダメージ)を軽減し、複数の外部リレー211のそれぞれが受けるダメージの均等化を実現する。
【0076】
本実施形態の電動作業機1は、二つのバッテリパック22,22のみを備えるため、初回の起動時においては何れか一方のバッテリパック22を一番目(第一バッテリパック)とし、他方のバッテリパック22を二番目以降(第二バッテリパック)とするが、二回目以降の起動時においては、第一バッテリパックに設定される(一番目に設定される)バッテリパック22は交互に代わることになる。
【0077】
上記のように、第一バッテリパック22が決定されると、ECU23aは、第一バッテリパック(バッテリパック)22を電気機器20に接続する接続工程を実行する。ECU23aは、この接続工程において、内部リレー220の開閉動作の診断処理が必要と指定されているバッテリパック22については診断処理を行い、内部リレー220の開閉動作の診断処理が不要と指定されているバッテリパック22については診断処理を省略する。本実施形態において、第一バッテリパック22が決定されると、ECU23aは、第一バッテリパック22の内部リレー220の開閉動作の診断処理を実行する(S12)。すなわち、制御部23であるECU23aは、複数のバッテリパック22…のうち、電気機器20に対して接続される順番が一番目のバッテリパックである第一バッテリパック22については内部リレー220の開閉動作の診断処理を実施するように設定(指定)され、複数のバッテリパック22…のうち、電気機器20に対して接続される順番が二番目以降のバッテリパックである第二バッテリパック22について内部リレー220の開閉動作の診断処理の要否を指定可能に構成されている。本実施形態において、制御部23であるECU23aは、第二バッテリパック22については、内部リレー220の開閉動作の診断処理は不要とする(省略する)ように設定(指定)されている。
【0078】
これに伴い、上記のとおり、第一バッテリパック22が決定すると、ECU23aは、内部リレー220の開閉動作の診断処理を実行する(S12)。
【0079】
制御部23であるECU23aは、内部リレー220の開閉動作の診断処理において、内部リレー220の開閉状態と、内部リレー220の開閉の切り換えに伴う第一バッテリパック22の出力電圧の状態の変化に基づき、内部リレー220の動作の可否を判断する。
【0080】
本実施形態において、バッテリパック22がリレースイッチとして内部リレー220の他にプリチャージ用リレー224b及びディスチャージ用リレー225bを有するため、ECU23aは、リレースイッチの開閉動作の診断処理において、バッテリパック22内にある内部リレー220(第一内部リレー220a、第二内部リレー220b)、プリチャージ用リレー224b、及びディスチャージ用リレー225bの開閉状態と、リレースイッチの開閉に伴うバッテリパック22の出力電圧の変化(有無)とに基づき、各リレースイッチの動作不良の有無を判断する。
【0081】
すなわち、ECU23aは、内部リレー220の診断処理において、バッテリパック22内のリレースイッチがa接点のスイッチであることを前提に、バッテリパック22内にあるリレースイッチの開閉の組み合わせと、リレースイッチの開閉の状態(開閉の組み合わせ)に応じたバッテリパック22の出力電圧の状態とに基づき、動作不良(固着)のあるリレースイッチ(内部リレー220(第一内部リレー220a、第二内部リレー220b)、プリチャージ用リレー224b)を特定する。
【0082】
具体的に説明すると、外部リレー211、内部リレー220(第一内部リレー220a
、第二内部リレー220b)、プリチャージ用リレー224b、ディスチャージ用リレー225bが、a接点のスイッチであるため、正常時の常態は、開状態であるが、内部リレー220等の開閉動作の診断処理において、ECU23aは、外部リレー211、内部リレー220(第一内部リレー220a、第二内部リレー220b)、プリチャージ用リレー224b、及びディスチャージ用リレー225bに対し、開状態にするか、閉状態にするかを指示する。
【0083】
このECU23aの指示に基づき、BMS23bは、外部リレー211、内部リレー220(第一内部リレー220a、第二内部リレー220b)、プリチャージ用リレー224b、ディスチャージ用リレー225bの開閉を実行させるが、ここでは、ECU23aによる指示及びBMS23bによる実行についての記載を省略し、単に外部リレー211、内部リレー220(第一内部リレー220a、第二内部リレー220b)、プリチャージ用リレー224b、ディスチャージ用リレー225bの開閉の状態を基準に説明する。
【0084】
図6に示すように、まず、外部リレー211が閉状態にされるとともに、第一内部リレー220a、第二内部リレー220b、プリチャージ用リレー224b、ディスチャージ用リレー225bが開状態にされる。この状態で、バッテリパック22の出力電圧がある(電圧上昇がある)と、ECU23aは、第一内部リレー220a、第二内部リレー220b、プリチャージ用リレー224bの何れかが閉状態で固着と判断する(第一診断)。
【0085】
この状態から、第二内部リレー220bが閉状態にされ、この状態でバッテリパック22の出力電圧がある(電圧上昇がある)と、ECU23aは、第一内部リレー220a、プリチャージ用リレー224bの何れかが閉状態で固着と判断する(第二診断)。
【0086】
そして、第二内部リレー220bが開状態にされるとともに、プリチャージ用リレー224bが閉状態にされ、この状態でバッテリパック22の出力電圧がある(電圧上昇がある)と、ECU23aは、第二内部リレー220bが閉状態で固着と判断する(第三診断)。
【0087】
次いで、第二内部リレー220bが閉状態にされてから、第一内部リレー220aが閉状態にされる。第二内部リレー220bが閉状態にされると、バッテリパック22の出力電圧は上昇し、その上昇した出力電圧を基準に、第一内部リレー220aが閉状態にされた時にバッテリパック22の出力電圧の上昇がない(電圧が立たない)と、ECU23aは、第二内部リレー220b又はプリチャージ用リレー224bが開状態で固着、又はディスチャージ用リレー225bが閉状態で固着と判断する(第四診断)。
【0088】
そして、プリチャージ用リレー224bが開状態にされ、この状態で、バッテリパック22の出力電圧が第四診断で基準とした出力電力から上昇がない(変化がない)と、ECU23aは、第一内部リレー220aが開状態で固着と判断する(第五診断)。
【0089】
さらに、第一内部リレー220aが開状態にされた後、ディスチャージ用リレー225bが閉状態にされ、この状態で、バッテリパック22の出力電圧が第四診断で基準とした出力電力から下がらなければ、ECU23aは、第一内部リレー220a又は第二内部リレー220bが閉状態で固着、又はディスチャージ用リレー225bが開状態で固着と判断する(第六診断)。
【0090】
続いて、第二内部リレー220b及びディスチャージ用リレー225bが開状態にされ、この時、バッテリパック22の出力電圧が下がらなければ、ECU23aは、ディスチャージ用リレー225bが開状態で固着又はディスチャージ用抵抗器225aが溶断、或いは、第一内部リレー220a又は第二内部リレー220bが閉状態で固着と判断する(第七診断)。
【0091】
このように、リレースイッチ(内部リレー220)の開閉動作の診断処理は、バッテリパック22内にある複数のリレースイッチ(内部リレー220(第一内部リレー220a、第二内部リレー220b)、プリチャージ用リレー224b、ディスチャージ用リレー225b)の異常時に生じるバッテリパック22の電圧の状態(変化)により、リレースイッチ220、224b、225b(内部回路222)の異常の有無を診断(判断)できる。
【0092】
また、本実施形態に係る開閉動作の診断処理は、バッテリパック22内にある複数のリレースイッチ(内部リレー220(第一内部リレー220a、第二内部リレー220b)、プリチャージ用リレー224b、ディスチャージ用リレー225b)の開閉の状態の組み合わせと、その組み合わせ時のバッテリパック22の出力電圧の状態とに基づき、リレースイッチの異常を発見するようにしているため、複数のリレースイッチから異常のあるリレースイッチを特定することができる。
【0093】
そして、上記のとおり、第一バッテリパック22のリレースイッチ(内部リレー220(第一内部リレー220a、第二内部リレー220b)、プリチャージ用リレー224b、ディスチャージ用リレー225b)の開閉動作の診断処理を行い、リレースイッチ(内部リレー220(第一内部リレー220a、第二内部リレー220b)、プリチャージ用リレー224b、ディスチャージ用リレー225b)に異常があったと判断された場合、駆動モード(起動処理)を中止するか、第二バッテリパック22としてのバッテリパック22に対し、単一のバッテリパック22の接続処理(単一接続処理:図8参照)を行う。ここでは、駆動モード(起動処理)を中止し、これに伴って、バッテリパック22に異常がある旨を報知手段(モニター)142に表示させ、オペレータに報知する。
【0094】
図5に戻り、ECU23aは、上記のとおり、第一バッテリパック22のリレースイッチ(内部リレー220(第一内部リレー220a、第二内部リレー220b)、プリチャージ用リレー224b、ディスチャージ用リレー225b)の開閉動作の診断処理を行い、リレースイッチ(内部リレー220(第一内部リレー220a、第二内部リレー220b)、プリチャージ用リレー224b、ディスチャージ用リレー225b)に異常がないと判断すると、第一バッテリパック22に対応する外部リレー211を開状態から閉状態にする(S13:第一前段処理(第二接続処理))。すなわち、ECU23aは、第一バッテリパック22に接続された一次回路210上の外部リレー211を開状態から閉状態にする(S13:第一前段処理(第二接続処理))。本実施形態において、ECU23aは、第一バッテリパック22に接続された負極一次回路210b上の外部リレー211を開状態から閉状態にする(S13:第一前段処理(第二接続処理))。
【0095】
ECU23aは、第一バッテリパック22に繋がる一次回路210(負極一次回路210b)の外部リレー211が閉状態になるまで待つ(S14)。ECU23aは、一次回路210(負極一次回路210b)上の外部リレー211が閉状態なると(S14でYES)、第一バッテリパック22のプリチャージ用リレー224bを開状態から閉状態に切り替えるように指示する(S15:第二前段処理)。また、ECU23aは、プリチャージ用リレー224bを閉状態にするのに併せ、第一バッテリパック22の内部リレー220を閉状態にするよう指示する(S15:第三前段処理(第一接続処理))。これに伴い、一番目に設定されたバッテリパック22に対応するBMS23bが内部リレー220及びプリチャージ用リレー224bを閉状態にする(S15:第二前段処理、第三前段処理)。
【0096】
本実施形態において、バッテリパック22は、内部リレー220として、第一内部リレ
ー220a及び第二内部リレー220bを備え、プリチャージ回路224が第一内部リレー220aと並列接続されているため、BMS23bは、第一バッテリパック22の内部リレー220を開状態から閉状態にする際、第二内部リレー220b及びプリチャージ用リレー224bを開状態から閉状態にした後(プリチャージ回路224でのプリチャージが完了した後)に、プリチャージ用リレー224bと並列状態にある第一内部リレー220aを開状態から閉状態にする(S15:第三前段処理)。すなわち、プリチャージ回路224と並列接続された第一内部リレー220aが最後に閉状態になることで、内部回路222全体が閉状態(導通状態)になり、第一バッテリパック22が電気回路21(電気機器20)に対して電気的に接続される(S15:第三前段処理)。
【0097】
本来であれば、第一内部リレー220aが閉状態になることで第一内部リレー220aに作用するはずの突入電流(起動電流)は、第一内部リレー220aに対して並列接続されたプリチャージ回路224を通ることになり、プリチャージ回路224上のプリチャージ用抵抗器224aによって吸収される。従って、第一バッテリパック22の内部リレー220(220a,220b)が突入電流の影響で損傷することが抑制される。
【0098】
ECU23aは、第一バッテリパック22の内部リレー220(第一内部リレー220a及び第二内部リレー220b)が閉状態になるまで待つ(S16)。なお、図5のフロー図には示していないが、プリチャージ回路224でのプリチャージを行う場合、プリチャージ完了後で且つ内部回路222が閉状態になると、プリチャージ用リレー224bと並列関係にある第一内部リレー220aが内部回路222の導通を確保するため、第一内部リレー220aが閉状態になった状態で、プリチャージ用リレー224bは開状態にされる。
【0099】
そして、ECU23aは、第一バッテリパック22の内部回路222全体が導通状態(内部リレー220(第一内部リレー220a及び第二内部リレー220b)が閉状態)になると(S16でYES)、ECU23aは、二番目以降に設定されたバッテリパック22の中から、次の接続の順番となるバッテリパック(接続対象のバッテリパック)22を抽出する(S17)。本実施形態においては、ECU23aは、他方のバッテリパック22を次の接続対象として抽出する(S17)。
【0100】
ECU23aは、第二バッテリパック22を抽出すると(S17)、第二バッテリパック22(二番目以降の接続対象となるバッテリパック22)のディスチャージ用リレー225b及び電気回路21の外部リレー211の故障診断(外部リレー診断処理、開閉リレー診断処理)の有無を指示する。すなわち、ECU23aは、故障診断有りとして設定されている場合(S18でYES)、故障診断を行い(S24)、故障診断無しとして設定されている場合(S18でNO)、故障診断を行わず、次のステップ(S19)に移行する。
【0101】
本実施形態において、バッテリパック22の内部リレー220の開閉動作の診断処理に関し、上記の通り、第一バッテリパック22に対しては実施し、第二バッテリパック22に対しては省略する(実行しない)ように設定されているため、第二バッテリパック22に対する内部リレー220の開閉動作の診断処理の要否(有無)の判断は省略される。なお、バッテリパック22の内部リレー220の開閉動作の診断処理において、内部リレー220(第一内部リレー220a、第二内部リレー220b)の診断に加え、ディスチャージ用リレー225bの開閉動作の診断が含まれていたが、ここでの故障診断(開閉リレー診断処理)は、ディスチャージ用リレー225bに特化している。
【0102】
ディスチャージ用リレー225b及び外部リレー211の故障診断の有無(要否)の指定ついては、予め設定された内容がECU23aの記憶部に記録されており、ECU23
aは、記憶部に記憶された内容に従う。
【0103】
本実施形態において、故障診断(外部リレー診断処理、開閉リレー診断処理)については実行する旨の指定が設定されている。これに伴い、ECU23aは、故障診断(外部リレー診断処理、開閉リレー診断処理)を行う(S18でYES、S24)。図7に示すように、ECU23aは、故障診断(外部リレー診断処理、開閉リレー診断処理)を実行する際、最初に、第二バッテリパック22の外部端子(正極出力端子223a、負極出力端子223b)、ディスチャージ回路225の電圧(ディスチャージ回路225の両端の電圧)を監視(測定)する(S30)。なお、ディスチャージ回路225は、バッテリパック22の内部にあるため、BMS23bがディスチャージ回路225の電圧(ディスチャージ回路225の両端の電圧)を監視(測定)し、その監視(測定)結果をECU23aに送信する。
【0104】
これに基づき、ECU23aは、バッテリパック22の外部端子(正極出力端子223a、負極出力端子223b)の電圧の有無を判断し(S31)、外部端子(正極出力端子223a、負極出力端子223b)の電圧が閾値以上である場合(S31でYES)、一次回路210上の外部リレー211が接続している(溶着による固着接続している)として、接続対象としているバッテリパック22の電気系統にある外部リレー211に異常ありと判断する(S37)。その一方で、ECU23aは、外部端子(正極出力端子223a、負極出力端子223b)の電圧が閾値よりも低い場合(S31でNO)、一次回路210上の外部リレー211を開状態から閉状態にする(S32)。なお、ここでの判断の基準となる閾値は、バッテリパック22の諸元にある電源電圧値に設定される。
【0105】
この状態で、ECU23aは、外部端子(正極出力端子223a、負極出力端子223b)及びディスチャージ回路225の両端の電圧の有無を判断する(S33、S34)。その結果、ECU23aは、外部端子(正極出力端子223a、負極出力端子223b)の電圧が閾値以上でない場合(S33でNO)、一次回路210上の外部リレー211が故障している(開状態から閉状態になっていない)と判断する(S37)。
【0106】
その一方、外部端子(正極出力端子223a、負極出力端子223b)の電圧が閾値以上である場合(S33でYES)、一次回路210上の外部リレー211が適正に開状態から閉状態になったと推定できるため、ECU23aは、ディスチャージ回路225の両端の電圧の有無を判断する(S34)。ここで、ディスチャージ回路225の両端の電圧とは、ディスチャージ用リレー225bの両側(ディスチャージ用リレー225bを挟んだ一方側と他方側)の電圧である。
【0107】
ECU23aは、ディスチャージ回路225の両端の電圧があり、その電圧が閾値以下である場合(S34でNO)、ディスチャージ用リレー225bが故障している(開状態になっていない)と判断する(S38)。その一方、ディスチャージ回路225の電圧が閾値よりも高い場合(S34でYES)、ディスチャージ回路225上のディスチャージ用リレー225bは開状態であり、接続対象であるバッテリパック22及びその電気系統(ディスチャージ用リレー225b及び外部リレー211)は異常なし(正常)と判断する(S35)。
【0108】
ここで、ディスチャージ用リレー225bが開状態であるときのディスチャージ回路225の両端の電圧が、ディスチャージ用リレー225bが閉状態のときのディスチャージ回路225の両端の電圧よりも大きく(高く)なるのは、ディスチャージ用リレー225bの開閉状態に応じ、ディスチャージ用リレー225bの両側の電位の状態が変わるためである。具体的には、ディスチャージ用リレー225bが閉状態において、正極側から負極側に電流が流れて正極側の電位と負極側の電位との差(電位差)がない(ゼロになる)。その一方、ディスチャージ用リレー225bが開状態において、正極側に電位があるのに対して、負極側がグランドであるため、負極側の電位がゼロである。
【0109】
これにより、ディスチャージ用リレー225bの両側における正極側の電位と負極側の電位の差(電位差)が生じる。従って、ディスチャージ用リレー225bが開状態であるときのディスチャージ回路225の両端の電圧(電位差)は、ディスチャージ用リレー225bが閉状態のときのディスチャージ回路225の両端の電圧(電位差)よりも大きく(高く)なる。
【0110】
そして、ECU23aは、ディスチャージ用リレー225bが正常であると判断した場合(S35)、外部リレー211を開状態に戻し(S36)、診断を終了する(END)。
【0111】
図5に戻り、ECU23aは、故障診断の結果、第二バッテリパック22及び外部リレー211に異常ありと判断した場合(S25でYES)、他の第二バッテリパック22の有無を判断し(S23)、他の第二バッテリパック22がない場合(S23でYES)、異常ありと判断された第二バッテリパック22の接続を行わず(順番として後続のバッテリパック22の接続を行わず)、バッテリ並列接続処理を終了する(END)。すなわち、ECU23aは、第一バッテリパック22のみで電力供給を行う旨を指示する。これに対し、他の第二バッテリパック22がある場合(S23でYES)、ECU23aは、他の第二バッテリパック22から次に電気機器20に接続するバッテリパック22を抽出(決定)し(S17)、先の第二バッテリパック22と同様に故障診断の要否の判断等を行う(S18~S25)。
【0112】
第二バッテリパック22及び外部リレー211に異常はない(正常)と判断した場合(S25でNO)、ECU23aは、第二バッテリパック(バッテリパック)を電気機器20に接続する接続工程を実行する。ECU23aは、この接続工程において、第一バッテリパック22のときと同様に、内部リレー220の開閉動作の診断処理が必要と指定されているバッテリパック22については診断処理を行い、内部リレー220の開閉動作の診断処理が不要と指定されているバッテリパック22については診断処理を省略する。本実施形態において、第二バッテリパック(バッテリパック)については、内部リレー220の開閉動作の診断処理が不要と指定されており、これに伴い、第二バッテリパック22については診断処理が省略される。
【0113】
具体的には、本実施形態において、ECU23aは、記憶部に記憶された指示に基づき、該第二バッテリパック22の内部リレー220の開閉動作の診断を不要とするとともに、プリチャージ回路224によるプリチャージの実施を不要とし、接続の対象となるバッテリパック22の内部リレー220を開状態から閉状態にする旨を指示する(S19:第一後段処理(第一接続処理))。すなわち、ECU23aは、第一バッテリパック22の接続順序とは異なり、第二バッテリパック22については、プリチャージ回路224を使用することなく、内部リレー220を開状態から閉状態にする旨を指示する(S19:第一後段処理(第一接続処理))。これに伴い、BMS23bは、内部リレー220を開状態から閉状態にする(S19:第一後段処理(第一接続処理))。
【0114】
本実施形態において、ECU23aは、記憶部に記憶された指示に基づき、第一内部リレー220aと第二内部リレー220bとを同時に閉状態にする(S19:第一後段処理)。具体的には、バッテリパック22は、内部リレー220として、第一内部リレー220aと第二内部リレー220bとを備えるが、ECU23aは、第二バッテリパック22に関し、記憶部に記憶された指示に基づき、第一内部リレー220aと第二内部リレー220bとに優先順位を持たさず、第一内部リレー220aと第二内部リレー220bとを同時に開状態から閉状態にする旨を指示する(S19:第一後段処理(第一接続処理))。これに伴い、BMS23bは、第一内部リレー220aと第二内部リレー220bとを同時に開状態から閉状態にする(S19:第一後段処理(第一接続処理))。
【0115】
ECU23aは、内部リレー220(第一内部リレー220a、第二内部リレー220b)が開状態から閉状態になるのを待ち(S20)、内部リレー220(第一内部リレー220a、第二内部リレー220b)が開状態から閉状態になると(S20でYES)、第二バッテリパック22に対応する外部リレー211(バッテリパック22に接続される一次回路210上の外部リレー211)を開状態から閉状態にする(S21:第二後段処理(第二後段処理))。
【0116】
そして、ECU23aは、第二バッテリパック22に対応する外部リレー211が閉状態になると(S22でYES)、後続のバッテリパック22(残りの接続対象となる第二バッテリパック22)の存在の有無を確認し(S23)、後続のバッテリパック22があると判断した場合(S23でNO)、次の順番のバッテリパック22を抽出し、上記の手順を繰り返す(S17~S23)。
【0117】
これに対し、後続のバッテリパック22がないと判断した場合(S23でYES)、並列接続の対象となった複数のバッテリパック22,22の全てが電気回路21に繋がり、電気機器20に対して電力供給する。
【0118】
ここで第二バッテリパック22に関し、内部リレー220を開状態から閉状態にした上で、一次回路210上の外部リレー211を開状態から閉状態にするため、起動電流や先に接続されているバッテリパック22との電圧差による電流の流れ込みにより、外部リレー211に対して突入電流として作用するが、バッテリパック22の内部リレー220の破損を避けることができる。また、バッテリパック22の内部リレー220とは異なり、ジャンクションボックス24に対して交換可能に内装した外部リレー211が突入電流によるダメージを受けることになるため、仮に外部リレー211が破損しても交換によって復帰させることが容易となる。
【0119】
複数のバッテリパック22…の並列接続処理は以上の通りであり、並列接続可否診断において、ECU23aが複数のバッテリパック22…を並列接続しないと決定した場合(残量の多いバッテリパック22を電力源として決定した場合)、ECU23aは、バッテリパック22の単一接続処理を行う。具体的には、図8に示すように、ECU23aは、第一バッテリパック22に接続された一次回路210(210b)上の外部リレー211を開状態から閉状態にする(S40)。ECU23aは、第一バッテリパック22に接続された負極一次回路210b上の外部リレー211を開状態から閉状態にする。
【0120】
ECU23aは、第一バッテリパック22に繋がる一次回路210(負極一次回路210b)の外部リレー211が閉状態になるまで待ち(S41)、一次回路210(負極一次回路210b)上の外部リレー211が閉状態なると(S41でYES)、ECU23aは、第一バッテリパック22のプリチャージ用リレー224b及び内部リレー220を閉状態にするよう指示する(S42)。これに伴い、一番目に設定されたバッテリパック22に対応するBMS23bがプリチャージ用リレー224b及び内部リレー220を閉状態にする(S42)。
【0121】
具体的には、ECU23aは、第一バッテリパック22のプリチャージ用リレー224bを開状態から閉状態に切り替えるように指示する(第二前段処理)。これに併せ、ECU23aは、第一バッテリパック22の内部リレー220を閉状態にするよう指示する(第三前段処理)。これに伴い、BMS23bは、第一バッテリパック22に対応するBMS23bが内部リレー220及びプリチャージ用リレー224bを閉状態にする(第二前段処理、第三前段処理)。
【0122】
本実施形態において、バッテリパック22は、内部リレー220として、第一内部リレー220a及び第二内部リレー220bを備え、プリチャージ回路224が第一内部リレー220aと並列接続されているため、BMS23bは、第一バッテリパック22の内部リレー220を開状態から閉状態にする際、第二内部リレー220b及びプリチャージ用リレー224bを開状態から閉状態にした後(プリチャージ回路224でのプリチャージが完了した後)に、プリチャージ用リレー224bと並列状態にある第一内部リレー220aを開状態から閉状態にする(第三前段処理)。
【0123】
このように、プリチャージ回路224と並列接続された第一内部リレー220aが最後に閉状態になることで、内部回路222全体が閉状態(導通状態)になり、第一バッテリパック22が電気回路21(電気機器20)に対して電気的に接続される(第三前段処理)。
【0124】
本来であれば、第一内部リレー220aが最後に閉状態になると、第一内部リレー220aに作用する突入電流(起動電流)が、第一内部リレー220aに対して並列接続されたプリチャージ回路224を通ることになり、プリチャージ回路224上のプリチャージ用抵抗器224aによって吸収される。従って、第一バッテリパック22の内部リレー220(220a,220b)が突入電流の影響で損傷することが抑制される。
【0125】
そして、ECU23aは、第一バッテリパック22の内部リレー220(第一内部リレー220a及び第二内部リレー220b)が閉状態になるまで待つ(S43)。ECU23aは、第一バッテリパック22の内部リレー220(第一内部リレー220a及び第二内部リレー220b)が閉状態になると(S43でYES)、バッテリパック22の単一接続処理を終了し、電圧の最も高いバッテリパック22が電気機器20に接続され、電気機器20を駆動させる。なお、図8のフロー図には記載していないが、バッテリパック22が電気機器20に接続されると、ECU23aは、第一バッテリパック22のプリチャージ回路224のプリチャージ用リレー224bを閉状態から開状態にするように指示する。これに伴い、BMS23bは、第一バッテリパック22のプリチャージ回路224のプリチャージ用リレー224bを閉状態から開状態にする。
【0126】
上記の並列接続可否診断において、充電が必要である旨を報知し、それに従って、オペレータがバッテリパック22を充電する場合、充電装置(例えば、急速充電器)に繋がる充電ケーブルが充電インレット25に接続される。
【0127】
ECU23aは、充電インレット25に充電ケーブルが接続されると、その接続を検知し、バッテリパック22の充電を行う充電モードを実行する。
【0128】
図9に示すように、充電モードにおいて、ECU23aは、最も電圧の低いバッテリパック22を充電の対象として設定する(S50)。本実施形態において、先の並列接続可否診断において、電気回路21への接続の対象となっていないバッテリパック22(電圧の低いバッテリパック22)を充電の対象として設定する(S50)。すなわち、ECU23aは、複数のバッテリパック22…のうち、残量の少ないバッテリパック22を充電の対象として設定する。
【0129】
これに伴い、ECU23aは、充電の対象となったバッテリパック22に接続される一次回路210(210b)上の外部リレー211を開状態から閉状態にするとともに、充電の対象となっていないバッテリパック22(残量の多いバッテリパック22)に接続さ
れる一次回路210(210b)上の外部リレー211を開状態で維持させる。
【0130】
これにより、残量の多いバッテリパック22と充電インレット25との電気的な接続が切断された状態で、充電インレット25と残量の少ないバッテリパック22とが通電可能に接続される。
【0131】
電圧の低いバッテリパック22(残量の少ないバッテリパック22)の充電が開始されると(S51でYES)、ECU23aは、充電の対象となっていないバッテリパック22を含め、複数のバッテリパック(全バッテリパック)22…のそれぞれの電圧を測定する(S52)。これに基づき、ECU23aは、複数のバッテリパック22…のそれぞれの電圧を相互比較する(S53)。すなわち、ECU23aは、比較の対象となる組み合わせのバッテリパック22(二つのバッテリパック22,22)間の電圧差を算出する(S53)。本実施形態において、電動作業機1は、二つのバッテリパック22,22のみを備えるため、比較の対象となる組み合わせは一通りしかなく、ECU23aは、二つのバッテリパック22,22の電圧差を算出する(S53)。
【0132】
ECU23aは、バッテリパック22同士の電圧を比較し、充電中のバッテリパック22の電圧が充電の対象となっていないバッテリパック22(電圧の高いバッテリパック22)の電圧相当(電圧の高いバッテリパック22を基準にして電圧差が概ねゼロ:基準値)になったか否か判断する(S54)。本実施形態において、ECU23aは、電圧の比較となるS53の電圧差の計算に基づき、比較の対象となるバッテリパック22の電圧差ゼロ又は略ゼロになると、充電中のバッテリパック22の電圧が充電の対象となっていないバッテリパック22の電圧相当になったと判断する(S54でYES)。
【0133】
ECU23aは、充電中のバッテリパック22の電圧が充電の対象となっていないバッテリパック22の電圧相当になったと判断すると(S54でYES)、充電の対象となっていなかったバッテリパック22(残量が多いバッテリパック22)に繋がる一次回路210上の外部リレー211を開状態から閉状態にする(S55)。すなわち、比較の対象となったバッテリパック22,22同士の電圧が一致又は略一致した状態で、比較の対象となったバッテリパック22…全てを並列接続した状態で満充電になるまで充電する(S55)。
【0134】
これにより、電圧差が基準値の状態(バッテリパック22…同士の電圧差が無い、或いは、電圧差が小さい状態)で、複数のバッテリパック22のそれぞれが満充電まで充電される(S56)。なお、バッテリパック22…が三つ以上ある場合には、電圧が一致又は略一致することを条件に、充電の対象となっていなかったバッテリパック22が順々に充電される。
【0135】
このようにすることで、起動時において、複数のバッテリパック22…間での電圧差が無い、或いは電圧差が小さい状態になるため、並列接続する際、最後に閉状態にされる外部リレー211に対するダメージを小さくすることができる。また、複数のバッテリパック22…が満充電とされるため、長時間の運転が可能となる。
【0136】
なお、本実施形態において、電動作業機1を停止する場合、起動スイッチをOFF操作することで、ECU23aは、バッテリパック22の内部リレー220及び一次回路210上の外部リレー211を閉状態から開状態にすることで、電気系統を切断し、バッテリパック22から電気機器20への電力供給を遮断する。
【0137】
本実施形態に係る電動作業機1は、以上の通りであり、該電動作業機1は、複数の発明(発明群)を包含し、それぞれ特有の作用及び効果を奏する。
【0138】
具体的には、上記実施形態において、電動作業機1は、電気機器20と、電気機器20に電気的に接続された電気回路21と、それぞれが内部回路222を開閉する内部リレー220を有する複数のバッテリパック22…であって、電気回路21を介して電気機器20に対して順次接続されて並列接続される複数のバッテリパック22…と、制御部23と、を備え、電気回路21は、複数のバッテリパック22…のそれぞれに対応する複数の外部リレー211…であって、対応するバッテリパック22と電気機器20とを接続する回路を開閉する複数の外部リレー211…を含み、制御部23は、複数のバッテリパック22…のうち、電気機器20に対して接続される順番が一番目のバッテリパック22である第一バッテリパック22を電気機器20に電気的に接続した状態で、複数のバッテリパック22…のうち、順番が二番目以降のバッテリパック22である第二バッテリパック22の内部リレー220を閉状態にする第一後段処理(S19)と、内部リレー220が閉状態にされた第二バッテリパック22に対応する外部リレー211を閉状態にする第二後段処理(S21)と、を行う。
【0139】
上記構成によれば、電気回路21は、複数のバッテリパック22…のそれぞれに対応する複数の外部リレー211…であって、対応するバッテリパック22と電気機器20とを接続する回路を開閉する複数の外部リレー211…を含むため、複数の外部リレー211…を順々に閉状態にすると、複数のバッテリパック22…が順々に電気機器20(電気回路21)と繋がり、複数の外部リレー211の全てが閉状態になると、複数のバッテリパック22…が並列接続された状態で電気機器20(電気回路21)と繋がる。
【0140】
複数のバッテリパック22…のそれぞれは、内部リレー220を有するため、内部リレー220が開状態であると内部回路222が開状態となるが、内部リレー220が閉状態であると内部回路222も閉状態になる。従って、上記のように、複数のバッテリパック22…の内部リレー220が閉状態になり、且つ複数の外部リレー211…の全てが閉状態となると、複数のバッテリパック22…が電気機器20に対して電気的に並列に接続された状態になる。これにより、バッテリパック22一つ当たりの電気的な負荷が低くなり、当該電動作業機1の電源トラブル(故障)の発生を抑制することができる。
【0141】
上記構成では、複数のバッテリパック22…が電気機器20に対して順々に接続される。ここで、第一バッテリパック22は、内部リレー220が閉状態にされるとともに該バッテリパック22に対応する外部リレー211が閉状態にされることで、電気機器20と電気的に繋がった状態になる。
【0142】
この状態を前提に、制御部23は、第二バッテリパック22の内部リレー220を閉状態にする第一後段処理(S19)と、内部リレー220が閉状態にされた第二バッテリパック22に対応する外部リレー211を閉状態にする第二後段処理(S21)と、を行うことで、バッテリパック22の内部リレー220に突入電流が作用することなく、バッテリパック22が電気機器20に接続される。
【0143】
すなわち、第一後段処理(S19)においてバッテリパック22の内部リレー220を閉状態にした後に、第二後段処理(S21)で外部リレー211を閉状態にすると、最後に閉状態にされた外部リレー211に突入電流が作用する。すなわち、バッテリパック22の外部にある外部リレー211が突入電流を受ける。
【0144】
従って、上記実施形態の電動作業機1によれば、複数のバッテリパック22…が並列接続されても、電気機器20を起動する際の突入電流の影響でバッテリパック22が故障することを抑制できる。
【0145】
また、少なくとも第一バッテリパック22は、内部リレー220としての第一内部リレー220aと、第一内部リレー220aに対してプリチャージ用抵抗器224a及びプリチャージ用リレー224bの直列接続回路を並列に接続したプリチャージ回路224を有し、制御部23は、第一バッテリパック22を電気機器20に接続する際、第一バッテリパック22に対応する外部リレー211を閉状態にする第一前段処理と、第一バッテリパック22のプリチャージ用リレー224bを閉状態にする第二前段処理と、第一前段処理及び第二前段処理の後に、第一バッテリパック22の第一内部リレー220aを閉状態にする第三前段処理と、を行う。
【0146】
このようにすれば、第一前段処理(S13)において、外部リレー211が閉状態にされると、電気回路21が閉状態(導通状態)になるが、この状態において、バッテリパック22の内部回路222が開状態であるため、外部リレー211に対して突入電流が作用しない。また、第二前段処理(S15)において、プリチャージ回路224のプリチャージ用リレー224bが閉状態にされることで、プリチャージ回路224が内部リレー220を跨いだ状態で回路を接続する。
【0147】
これに伴い、第二前段処理(S15)の前又は後に、第一前段処理(S13)が行われ、第一バッテリパック22に対応する外部リレー211が閉状態にされることで、バッテリパック22の内部回路222及び電気回路21が導通状態になる。これに伴い、単一のバッテリパック22による電力供給による突入電流が生じることになるが、プリチャージ回路224が閉状態になってプリチャージを実行している状態(プリチャージ回路224のプリチャージ用抵抗器224aが突入電流を吸収する状態)になっているため、内部回路222及び電気回路21(外部リレー211)に対するダメージが軽減される。
【0148】
そして、第三前段処理(S15)において、第一バッテリパック22のプリチャージ回路224と並列にある内部リレー220(第一内部リレー220a)を閉状態にすることで、プリチャージ回路224のプリチャージ用抵抗器224aに負荷を与えない回路構成(通電時における通常の回路構成)にすることができる。
【0149】
複数のバッテリパック22…のそれぞれは、電池セル221を有するとともに、内部リレー220として、電池セル221の一方の極側の経路222a上に配置され、プリチャージ回路224と並列に配置される第一内部リレー220aと、電池セル221の他方の極側の経路222b上に配置される第二内部リレー220bと、を有し、制御部23は、第二前段処理において、第一内部リレー220aを開状態で維持させ、第二内部リレー220b及びプリチャージ用リレー224bを閉状態にする。
【0150】
このようにすれば、第二前段処理において、第二内部リレー220b及びプリチャージ用リレー224bを閉状態にすると、プリチャージ回路224を介して内部回路222は導通状態になるが、プリチャージ回路224には、プリチャージ用抵抗器224aがあるため、このプリチャージ用抵抗器224aによって電力を消費している状態になる。これにより、第三前段処理(S15)において、第一内部リレー220aが閉状態になっても、第一内部リレー220aに作用する突入電力は小さく、第一内部リレー220aに作用する衝撃等が軽減される。
【0151】
上記実施形態において、電動作業機1は、電気回路21の一部又は全部を内装するジャンクションボックス24をさらに備え、複数の外部リレー211…は、ジャンクションボックス24に対して交換可能に内装される。このようにすれば、外部リレー211が故障しても、故障した外部リレー211を新たな外部リレー211に交換することで容易に復帰させることができる。
【0152】
上記実施形態において、電動作業機1は、所定の作業を行う作業装置11をさらに備え、電気機器20は、作業装置11を直接的又は間接的に駆動する。このようにすれば、電気機器20は、内部回路222(内部リレー220等)にダメージを受けていないバッテリパック22から電力供給を受けて作業装置11を駆動する。すなわち、バッテリパック22は、上記の起動処理を経て電気機器20に接続されることで、起動処理時に内部リレー220が損傷したり、ダメージを受けたりすることが抑制されているため、電気機器20が作業装置11を駆動する際に電力供給の不具合が発生することが抑制される。
【0153】
制御部23は、複数の外部リレー211…のうち、累積的な開閉回数の最も多い外部リレー211に対応するバッテリパック22を第一バッテリパック22に設定する。このようにすれば、複数の外部リレー211…のそれぞれが受けるダメージを均等化することができる。
【0154】
具体的には、外部リレー211が受けるダメージは、開閉回数に応じて異なる。すなわち、外部リレー211は、開閉回数が多くなると、回路の開閉に伴って受けるダメージが大きくなる一方、開閉回数が少なくなると、回路の開閉に伴って受けるダメージが小さくなる。上記実施形態において、電気機器20に対して接続する第一バッテリパック22に対応する外部リレー211は、バッテリパック22を含む電気系統全体で最初に閉状態にされるため、突入電流の影響を受けない(受け難い)。その一方で、電気機器20に対して接続する第二バッテリパック22に対応する外部リレー211は、電気系統全体で最後に閉状態にされるため、突入電流の影響を受け、大きなダメージを受ける。特に、第二バッテリパック22に設定(接続の順番が二番目以降に設定)される回数の多いバッテリパック22に対応する外部リレー211のダメージは、累積されて大きくなる。
【0155】
しかしながら、上記実施形態において累積的な開閉回数の最も多い外部リレー211に対応するバッテリパック22に対して順番を一番目に設定する(第一バッテリパック22として設定する)ため、大きなダメージを受けていた外部リレー211のダメージが軽減される。そして、電気機器20を起動する度に、電気機器20(電気回路21)に接続する第一バッテリパック22が変更されることで、一番目に閉状態される外部リレー211も変更されるため、複数の外部リレー211…のそれぞれが受けるダメージを均等化することができる。これにより、特定の外部リレー211が故障してしまうことを抑制することができる。
【0156】
上記実施形態において、電動作業機1の起動方法は、電気機器20と、電気機器20に電気的に接続された電気回路21と、それぞれが内部回路222を開閉する内部リレー220を有する複数のバッテリパック22…であって、電気回路21を介して電気機器20に対して順次接続されて並列接続される複数のバッテリパック22…と、を備え、電気回路21が、複数のバッテリパック22…のそれぞれに対応する複数の外部リレー211…であって、対応するバッテリパック22と電気機器20とを接続する回路を開閉する複数の外部リレー211…を含む電動作業機1の起動方法において、複数のバッテリパック22…のうち、電気機器20に対して接続される順番が一番目のバッテリパック22としての第一バッテリパック22を電気機器20に電気的に接続した状態で、複数のバッテリパック22…のうち、順番が二番目以降のバッテリパック22である第二バッテリパック22の内部リレー220を閉状態にする第一後段処理と、内部リレー220が閉状態にされた第二バッテリパック22に対応する外部リレー211を閉状態にする第二後段処理と、を行う。
【0157】
上記起動方法では、第二バッテリパック22の内部リレー220を閉状態にする第一後段処理(S19)と、内部リレー220が閉状態にされた第二バッテリパック22に対応する外部リレー211を閉状態にする第二後段処理(S21)と、を行うことで、バッテ
リパック22の内部リレー220に突入電流が作用することなく、バッテリパック22が電気機器20に接続される。
【0158】
すなわち、第一後段処理(S19)においてバッテリパック22の内部リレー220を閉状態にした後に、第二後段処理(S21)で外部リレー211を閉状態にすると、最後に閉状態にされた外部リレー211に突入電流が作用する。すなわち、バッテリパック22の外部にある外部リレー211が突入電流を受ける。
【0159】
従って、上記電動作業機1の起動方法によれば、複数のバッテリパック22…が並列接続されても、電気機器20を起動する際の突入電流の影響でバッテリパック22が故障することを抑制できる。
【0160】
また、上記実施形態において、電動作業機1は、電気機器20と、電気機器20に電気的に接続された電気回路21と、それぞれが内部回路222を開閉する内部リレー220を有する複数のバッテリパック22…であって、電気回路21を介して電気機器20に対して順次接続されて並列接続される複数のバッテリパック22…と、制御部23と、を備え、電気回路21は、複数のバッテリパック22…のそれぞれに対応する複数の外部リレー211…であって、対応するバッテリパック22と電気機器20とを接続する回路を開閉する複数の外部リレー211…を含み、制御部23は、バッテリパック22の内部リレー220の開閉動作の診断処理の要否をバッテリパック22毎に指定可能に構成され、バッテリパック22を電気機器20に接続する際、開閉動作の診断処理が必要と指定されているバッテリパック22については診断処理を行い、開閉動作の診断処理が不要と指定されているバッテリパック22については診断処理を省略する。
【0161】
上記構成によれば、開閉動作の診断処理が必要と指定されているバッテリパック22については、診断処理を行うため、バッテリパック22の内部トラブル(内部リレー220のトラブル等)がない状態で、電気機器20に対して電力供給できる。
【0162】
これに対し、開閉動作の診断処理が不要と指定されているバッテリパック22については診断処理を省略するため、電気機器20に対するバッテリパック22の接続時間を短時間にすることができる。
【0163】
制御部23は、複数のバッテリパック22…のうち、電気機器20に対して接続される順番が一番目のバッテリパック22である第一バッテリパック22については診断処理を実施するように指定し、複数のバッテリパック22…のうち、電気機器20に対して接続される順番が二番目以降のバッテリパック22である第二バッテリパック22について診断処理を省略するように指定する。
【0164】
このようにすれば、制御部23が、複数のバッテリパック22のうち、二番目以降のバッテリパック22に対する診断処理を省略するように指定するため、状況に応じて診断処理を省略することで、バッテリパック22の接続時間を短時間にすることができる。
【0165】
制御部23は、内部リレー220に対する開閉の切り換え指示状態と、内部リレー220の開閉の切り換え指示に伴うバッテリパック22の出力電圧の変化とに基づき、内部リレー220の開閉動作の診断を行う。このようにすれば、内部リレー220のトラブルの有無に限らず、トラブルのある内部リレー220も特定することができる。
【0166】
上記の処理を前提に、複数のバッテリパック22…のそれぞれは、内部リレー220に対してプリチャージ用抵抗器224a及びプリチャージ用リレー224bの直列接続回路を並列に接続するプリチャージ回路224を有し、制御部23は、内部リレー220を閉
状態にする前にプリチャージ用リレー224bを閉状態にするプリチャージの実施の要否をバッテリパック22毎に指定可能に構成され、プリチャージの実施が必要と指定されているバッテリパック22を電気機器20に接続する際、プリチャージを行った後に、バッテリパック22の内部リレー220を閉状態にする第一接続処理(第三前段処理)S15を行い、プリチャージの実施が不要と指定されているバッテリパック22を電気機器20に接続する際、プリチャージを省略して第一接続処理(第一後段処理)S19を行う。
【0167】
このようにすれば、プリチャージの実施が必要と指定されているバッテリパック22を電気機器20に接続する際、プリチャージを行った後に、第一接続処理(第三前段処理)S15を行うため、バッテリパック22の内部トラブル(内部リレー220に対する突入電流の影響によるトラブル等)がない状態で、電気機器20に対して接続できる。
【0168】
これに対し、プリチャージの実施が不要と指定されているバッテリパック22を電気機器20に接続する際、プリチャージを省略するため、電気機器20に対するバッテリパック22の接続時間を短時間にすることができる。
【0169】
上記実施形態において、電動作業機1は、電気機器20と、電気機器20に電気的に接続された電気回路21と、それぞれが内部回路222を開閉する内部リレー220を有する複数のバッテリパック22…であって、電気回路21を介して電気機器20に対して順次接続されて並列接続される複数のバッテリパック22…と、制御部23と、を備え、電気回路21は、複数のバッテリパック22…のそれぞれに対応する複数の外部リレー211…であって、対応するバッテリパック22と電気機器20とを接続する回路を開閉する複数の外部リレー211…を含み、複数のバッテリパック22…のそれぞれは、内部リレー220に対してプリチャージ用抵抗器224a及びプリチャージ用リレー224bの直列接続回路を並列に接続するプリチャージ回路224を有し、制御部23は、内部リレー220を閉状態にする前にプリチャージ用リレー224bを閉状態にするプリチャージの実施の要否をバッテリパック22毎に指定可能に構成され、プリチャージの実施が必要と指定されているバッテリパック22を電気機器20に接続する際、プリチャージを行った後に、バッテリパック22の内部リレー220を閉状態にする第一接続処理(第三前段処理)S15を行い、プリチャージの実施が不要と指定されているバッテリパック22を電気機器20に接続する際、プリチャージを省略して第一接続処理(第一後段処理)S19を行う。
【0170】
上記構成によれば、プリチャージの実施が必要と指定されているバッテリパック22を電気機器20に接続する際、プリチャージを行った後に、第一接続処理(第三前段処理)S15を行うため、バッテリパック22の内部トラブル(内部リレー220に対する突入電流の影響によるトラブル等)がない状態で、電気機器20に対して接続できる。
【0171】
これに対し、プリチャージの実施が不要と指定されているバッテリパック22を電気機器20に接続する際、プリチャージを省略するため、電気機器20に対するバッテリパック22の接続時間を短時間にすることができる。
【0172】
複数のバッテリパック22…のそれぞれは、内部リレー220として、正極側に配置される第一内部リレー220aと、負極側に配置される第二内部リレー220bと、を有し、制御部23は、第一接続処理(第一後段処理)S19において、第一内部リレー220aと第二内部リレー220bとを同時に閉状態にするか否かを指定可能に構成され、第一内部リレー220aと第二内部リレー220bとを同時に閉状態にする旨が指定されている場合、第一接続処理(第一後段処理)S19において、第一内部リレー220aと第二内部リレー220bとを同時に閉状態にする。このようにすれば、バッテリパック22が、内部リレー220として複数のリレースイッチ(第一内部リレー220a、第二内部リレー220b)を有していても、同時に閉状態にする旨を指定しておけば、内部リレー220の動作時間を短縮してバッテリパック22と電気機器20とを接続できる。
【0173】
制御部23は、複数のバッテリパック22…のうち、電気機器20に対して接続される順番が一番目のバッテリパック22である第一バッテリパック22についてはプリチャージを実施するように指定し、複数のバッテリパック22…のうち、電気機器20に対して接続される順番が二番目以降のバッテリパック22である第二バッテリパック22については、プリチャージを省略するように指定する。このようにすれば、複数のバッテリパック22を電気機器20に対して順次接続しても、電気機器20に対して接続される順番が二番目以降のバッテリパック22である第二バッテリパック22のプリチャージが省略されるため、二番目以降のバッテリパック22でのプリチャージに要する処理時間が短縮される結果、短時間の起動が可能となる。
【0174】
制御部23は、プリチャージを実施するバッテリパック22を電気機器20に接続する際、当該バッテリパック22に対応する外部リレー211を閉状態にする第一前段処理S13と、当該バッテリパック22のプリチャージ用リレー224bを閉状態にする第二前段処理S15と、第一前段処理S13及び第二前段処理S15の後に、当該バッテリパック22の内部リレー220を閉状態にする第三前段処理S15とを行う。
【0175】
このようにすれば、プリチャージを実行した状態で内部リレー220が閉状態にされるため、バッテリパック22内にある内部リレー220が最後に閉状態にされても、突入電流の影響が抑えられる。すなわち、内部リレー220が閉状態になったときに作用する突入電流は、プリチャージ用抵抗器224aに吸収されるため、内部リレー220に対するダメージが抑えられ、バッテリパック22の損傷が防止される。
【0176】
電動作業機1は、所定の作業を行う作業装置11をさらに備え、電気機器20は、作業装置11を直接的又は間接的に駆動するようにすれば、バッテリパック22を電気機器20に接続する際に診断処理やプリチャージが省略される分、作業装置11の起動時間が短時間になる。
【0177】
上記実施形態に係る電動作業機1の起動方法において、電気機器20と、電気機器20に電気的に接続された電気回路21と、それぞれが内部回路222を開閉する内部リレー220を有する複数のバッテリパック22…であって、電気回路21を介して電気機器20に対して順次接続されて並列接続される複数のバッテリパック22…と、を備え、電気回路21が、複数のバッテリパック22…のそれぞれに対応する複数の外部リレー211…であって、対応するバッテリパック22と電気機器20とを接続する回路を開閉する複数の外部リレー211…を含む電動作業機1の起動方法において、バッテリパック22の内部リレー220の開閉動作の診断処理の要否をバッテリパック22毎に指定する工程と、バッテリパック22を電気機器20に接続する接続工程とを含み、この接続工程において、診断処理が必要と指定されているバッテリパック22については診断処理を行い、診断処理が不要と指定されているバッテリパック22については診断処理を省略する。
【0178】
上記方法によれば、バッテリパック22の内部リレー220の開閉動作の診断処理の要否を指定する工程において、開閉動作の診断処理が必要と指定されているバッテリパック22については、バッテリパック22を電気機器20に接続する接続工程において、診断処理を行うため、バッテリパック22の内部トラブル(内部リレー220のトラブル等)がない状態で、バッテリパック22を電気機器20に接続できる。
【0179】
これに対し、バッテリパック22の内部リレー220の開閉動作の診断処理の要否を指定する工程において、開閉動作の診断処理が不要と指定されているバッテリパック22に
ついては、バッテリパック22を電気機器20に接続する接続工程において、診断処理を省略するため、電気機器20に対するバッテリパック22の接続時間を短時間にすることができる。
【0180】
上記実施形態に係る電動作業機1の起動方法において、電気機器20と、電気機器20に電気的に接続された電気回路21と、それぞれが内部回路222を開閉する内部リレー220を有する複数のバッテリパック22…であって、電気回路21を介して電気機器20に対して順次接続されて並列接続される複数のバッテリパック22…と、を備え、電気回路21が、複数のバッテリパック22…のそれぞれに対応する複数の外部リレー211…であって、対応するバッテリパック22と電気機器20とを接続する回路を開閉する複数の外部リレー211…を含み、複数のバッテリパック22…のそれぞれは、内部リレー220に対してプリチャージ用抵抗器224a及びプリチャージ用リレー224bの直列接続回路を並列に接続するプリチャージ回路224を有する電動作業機1の起動方法において、内部リレー220を閉状態にする前にプリチャージ用リレー224bを閉状態にするプリチャージの実施の要否をバッテリパック22毎に指定する工程と、バッテリパック22を電気機器20に接続する接続工程とを含み、この接続工程において、プリチャージの実施が必要と指定されているバッテリパック22については、プリチャージを行った後に、バッテリパック22の内部リレー220を閉状態にする第一接続処理(第三前段処理)S15を行い、プリチャージの実施が不要と指定されているバッテリパック22については、プリチャージを省略して第一接続処理(第一後段処理)S19を行う。
【0181】
上記方法によれば、バッテリパック22に対するプリチャージの実施の要否を指定する工程において、プリチャージの実施が必要と指定されているバッテリパック22については、バッテリパック22を電気機器20に接続する接続工程において、プリチャージを行った後に、第一接続処理(第三前段処理)S15を行うため、バッテリパック22の内部トラブル(内部リレー220に対する突入電流の影響によるトラブル等)がない状態で、電気機器20に対して接続できる。
【0182】
これに対し、バッテリパック22に対するプリチャージの実施の要否をバッテリパック22毎に指定する工程において、プリチャージの実施が不要と指定されているバッテリパック22については、バッテリパック22を電気機器20に接続する接続工程において、プリチャージを省略するため、電気機器20に対するバッテリパック22の接続時間を短時間にすることができる。
【0183】
さらに、上記実施形態において、電動作業機1は、電気機器20と、電気機器20に電気的に接続された電気回路21と、正負極の外部端子を有する複数のバッテリパック22…であって、電気回路21を介して電気機器20に対して順次接続されて並列接続される複数のバッテリパック22…と、制御部23と、を備え、電気回路21は、複数のバッテリパック22…のそれぞれに対応する複数の外部リレー211…であって、対応するバッテリパック22と電気機器20とを接続する回路を開閉する複数の外部リレー211…を含み、制御部23は、バッテリパック22が電気機器20に接続される前に、当該バッテリパック22の内部回路222を開状態にした状態で、当該バッテリパック22に対応する外部リレー211の接点の固着の有無を診断する外部リレー診断処理を行い、外部リレー診断処理において、診断対象のバッテリパック22の内部回路222を開状態に操作し、当該バッテリパック22に対応する外部リレー211を開状態に操作した状態で、該バッテリパック22の正負極の外部端子223a,223b間の電圧が閾値以上である場合、外部リレー211の接点が固着していると判断し、該バッテリパック22の正負極の外部端子223a,223b間の電圧が閾値よりも低い場合、外部リレー211の接点が正常であると判断する。
【0184】
上記構成によれば、複数のバッテリパック22…は、順次電気機器20に接続されることで並列接続されるため、バッテリパック22に繋がる回路には別のバッテリパック22からの電気が流れ込む。しかしながら、バッテリパック22と対応する外部リレー211が開状態であると、そのバッテリパック22の正負極の外部端子223a,223bに対して別のバッテリパック22からの電気の影響はなく、正負極の外部端子223a,223b間の電圧は、閾値よりも低くなる。
【0185】
これに対し、外部リレー211の接点が固着(溶着)していると、該外部リレー211が閉状態になっている(導通状態になっている)ことになる。バッテリパック22と対応する外部リレー211が閉状態(導通状態)であると、バッテリパック22の正負極の外部端子223a,223bは、別のバッテリパック22からの電気の影響を受け、正負極の外部端子223a,223b間の電圧は、閾値以上になる。
【0186】
従って、外部リレー211を作動させることなく、バッテリパック22の正負極の外部端子223a,223b間の電圧と閾値を比較するだけで、外部リレー211の接点の固着の有無の診断を適正に判断することができる。これにより、上記構成の電動作業機1によれば、起動時の突入電流の影響で、バッテリパック22の内部回路222が破損することを未然に防止できる。また、複数のバッテリパック22…を順次接続可能か否かの判断も適正に行うことができる。
【0187】
制御部23は、複数のバッテリパック22…のうち、電気機器20に接続される順番が一番目のバッテリパックである第一バッテリパック22については、第一バッテリパック22に対応する外部リレー211の外部リレー診断処理を行わずに電気機器20に接続し、複数のバッテリパック22…のうち、順番が二番目以降のバッテリパックである第二バッテリパック22について、電気機器20に接続される前に当該第二バッテリパック22に対応する外部リレー211の外部リレー診断処理を行う。
【0188】
上記構成によれば、第一バッテリパック22は、対応する外部リレー211の外部リレー診断処理を行わずに電気機器20に電気的に接続される。これにより、第二バッテリパック22に対応する外部リレー211に対する外部リレー診断処理を行う状態において、電気回路21には、第一バッテリパック22からの電気が流れ込む。しかしながら、第二バッテリパック22と対応する外部リレー211が開状態であると、第二バッテリパック22の正負極の外部端子223a,223bに対して第一バッテリパック22からの電気の影響はなく、第二バッテリパック22の正負極の外部端子223a,223b間の電圧は、閾値よりも低くなる。
【0189】
これに対し、外部リレー211の接点が固着(溶着)していると、該外部リレー211が閉状態になっている(導通状態になっている)ことになる。第二バッテリパック22と対応する外部リレー211が閉状態(導通状態)であると、第二バッテリパック22の正負極の外部端子223a,223bは、第一バッテリパック22からの電気の影響を受け、第二バッテリパック22の正負極の外部端子223a,223b間の電圧は、閾値以上になる。
【0190】
従って、外部リレー211を作動させることなく、第二バッテリパック22の正負極の外部端子223a,223b間の電圧と閾値を比較するだけで、外部リレー211の接点の固着の有無の診断を適正に判断することができる。これにより、上記構成の電動作業機1によれば、起動時の突入電流の影響で、バッテリパック22の内部回路222が破損することを未然に防止できる。また、複数のバッテリパック22…を順次接続可能か否かの判断も適正に行うことができる。
【0191】
上記実施形態において、制御部23は、外部リレー診断処理において、外部リレー211の接点が固着していると判断した場合、当該外部リレー211に対応するバッテリパック22の電気機器20への電気的な接続を中止する。このようにすれば、接点の固着している外部リレー211に対応するバッテリパック22から電気機器20に電力供給されることがなく、電気事故が未然に防止される。
【0192】
バッテリパック22は、内部回路222の正極の外部端子側と負極の外部端子側とを繋ぐディスチャージ回路225であって、直列に繋がるディスチャージ用抵抗器225aとディスチャージ用リレー225bとを含むディスチャージ回路225を有し、制御部23は、外部リレー診断処理で外部リレー211の接点が正常である判断した場合、該バッテリパック22のディスチャージ用リレー225bの接点の固着の有無を診断するディスチャージ用リレー診断処理を行い、ディスチャージ用リレー診断処理において、外部リレー診断処理で正常と判断された外部リレー211を閉状態に操作し、且つ当該バッテリパック22のディスチャージ用リレー225bを開状態に操作し、該バッテリパック22の正負極の外部端子223a,223b間の電圧が閾値以上で、且つ、ディスチャージ回路225の両端の電圧が閾値以下である場合、ディスチャージ回路225のディスチャージ用リレー225bの接点が固着していると判断し、該バッテリパック22の正負極の外部端子223a,223b間の電圧が閾値以上で、且つ、ディスチャージ回路225の両端の電圧が閾値よりも高い場合、ディスチャージ回路225のディスチャージ用リレー225bの接点が正常であると判断する。
【0193】
ディスチャージ回路225は、内部回路222の正極の外部端子223a側と負極の外部端子223b側とを繋ぐため、ディスチャージ回路225のディスチャージ用リレー225bが閉状態になると、内部回路222を閉回路にしてしまい、この状態で通電するとディスチャージ用抵抗器225aが破損したり、内部回路222がダメージを受けたりする虞がある。
【0194】
しかしながら、上記実施形態では、開閉リレー診断処理において、ディスチャージ回路225のディスチャージ用リレー225bの接点の固着に有無を判断するため、ディスチャージ用抵抗器225aの破損や、内部回路222がダメージを受けることを未然に防止することができる。
【0195】
より具体的には、上記の通り、バッテリパック22と対応する外部リレー211が閉状態(導通状態)であると、該バッテリパック22の正負極の外部端子223a,223bが別のバッテリパック22からの電気の影響を受け、正負極の外部端子223a,223bの電圧は、閾値以上になる。
【0196】
ディスチャージ回路225は、内部回路222の正極の外部端子223a側と負極の外部端子223b側とを繋ぐため、ディスチャージ用リレー225bが閉状態になると、ディスチャージ回路225のディスチャージ回路225の両端の電圧が低くなる。すなわち、ディスチャージ用リレー225bを閉状態にすると、電流が流れてディスチャージ回路225の両端の電位差が小さくなる(或いは無くなる)結果、ディスチャージ回路225の両端の電圧が閾値以下になる。
【0197】
これに対し、ディスチャージ回路225は、ディスチャージ回路225のディスチャージ用リレー225bを開状態にすると、ディスチャージ回路225の両端の電圧は、高くなる(電圧上昇する)。すなわち、ディスチャージ回路225のディスチャージ用リレー225bを開状態にすると、ディスチャージ回路225が切断状態になる結果、ディスチャージ用リレー225bの両側(正極側及び負極側)に電圧(電位差)が生じる。すなわち、ディスチャージ用リレー225bが開状態になると、ディスチャージ回路225の両端の電圧(電位差)が上昇し、閾値よりも大きく(高く)なる。
【0198】
このように、外部端子223a,223bやディスチャージ回路225の両端の電圧を基にディスチャージ回路225のディスチャージ用リレー225bの接点の固着の有無の診断を適正に行うことができ、内部回路222やディスチャージ回路225(ディスチャージ用抵抗器225a)が破損することを未然に防止することができる。
【0199】
上記実施形態において、電動作業機1は、電気機器20と、電気機器20に電気的に接続された電気回路21と、正負極の外部端子を有する複数のバッテリパック22…であって、電気回路21を介して電気機器20に対して順次接続されて並列接続される複数のバッテリパック22…と、制御部23と、を備え、電気回路21は、複数のバッテリパック22…のそれぞれに対応する複数の外部リレー211…であって、対応するバッテリパック22と電気機器20とを接続する回路を開閉する複数の外部リレー211…を含み、バッテリパック22は、内部回路222の負極の外部端子側と正極の外部端子側とを繋ぐディスチャージ回路225であって、直列に繋がるディスチャージ用抵抗器225aとディスチャージ用リレー225bとを含むディスチャージ回路225を有し、制御部23は、バッテリパック22を電気機器20に接続する際に、当該バッテリパック22のディスチャージ用リレー225bの接点の固着の有無を診断するディスチャージ用リレー診断処理を行い、ディスチャージ用リレー診断処理において、診断対象のバッテリパック22に対応する外部リレー211を閉状態に操作し、且つ当該バッテリパック22のディスチャージ用リレー225bを開状態に操作し、当該バッテリパック22の正負極の外部端子223a,223b間の電圧が閾値以上で、且つ、ディスチャージ回路225の両端の電圧が閾値以下である場合、ディスチャージ回路225のディスチャージ用リレー225bの接点が固着していると判断し、当該バッテリパック22の正負極の外部端子223a,223b間の電圧が閾値以上で、且つ、ディスチャージ回路225の両端の電圧が閾値よりも高い場合、ディスチャージ回路225のディスチャージ用リレー225bの接点が正常であると判断する。
【0200】
上記構成において、バッテリパック22と対応する外部リレー211が閉状態(導通状態)であると、該バッテリパック22の正負極の外部端子223a,223bが別のバッテリパック22からの電気の影響を受け、正負極の外部端子223a,223bの電圧は、閾値以上になる。
【0201】
ディスチャージ回路225は、内部回路222の正極の外部端子223a側と負極の外部端子223b側とを繋ぐため、ディスチャージ用リレー225bが閉状態になると、ディスチャージ回路225のディスチャージ回路225の両端の電圧が低くなる。すなわち、ディスチャージ用リレー225bを閉状態にすると、電流が流れてディスチャージ回路225の両端の電位差が小さくなる(或いは無くなる)結果、ディスチャージ回路225の両端の電圧が閾値以下になる。
【0202】
これに対し、ディスチャージ回路225は、ディスチャージ回路225のディスチャージ用リレー225bを開状態にすると、ディスチャージ回路225の両端の電圧は、高くなる(電圧上昇する)。すなわち、ディスチャージ回路225のディスチャージ用リレー225bを開状態にすると、ディスチャージ回路225が切断状態になる結果、ディスチャージ用リレー225bの両側(正極側及び負極側)に電圧(電位差)が生じる。すなわち、ディスチャージ用リレー225bが開状態になると、ディスチャージ回路225の両端の電圧(電位差)が上昇し、閾値よりも大きく(高く)なる。
【0203】
このように、外部端子223a,223bやディスチャージ回路225の両端の電圧を基にディスチャージ回路225のディスチャージ用リレー225bの接点の固着の有無の
診断を適正に行うことができ、内部回路222やディスチャージ回路225(ディスチャージ用抵抗器225a)が破損することを未然に防止することができる。
【0204】
上記実施形態において、制御部23は、ディスチャージ用リレー診断処理において、ディスチャージ用リレー225bの接点が固着していると判断した場合、固着していると判断したディスチャージ用リレー225bを備えたバッテリパック22の電気機器20への電気的な接続を中止する。このようにすれば、接点の固着しているディスチャージ用リレー225bを有するバッテリパック22から電気機器20に電力供給されることがなく、電気事故が未然に防止される。
【0205】
上記実施形態において、電動作業機1の起動方法は、電気機器20と、電気機器20に電気的に接続された電気回路21と、正負極の外部端子を有する複数のバッテリパック22…であって、電気回路21を介して電気機器20に対して順次接続されて並列接続される複数のバッテリパック22…と、を備え、電気回路21が、複数のバッテリパック22…のそれぞれに対応する複数の外部リレー211…であって、対応するバッテリパック22と電気機器20とを接続する回路を開閉する複数の外部リレー211…を含む電動作業機1の起動方法において、バッテリパック22が電気機器20に接続される前に、当該バッテリパック22の内部回路222を開状態にした状態で、当該バッテリパック22に対応する外部リレー211の接点の固着の有無を診断する外部リレー診断処理を行い、外部リレー診断処理において、診断対象のバッテリパック22の内部回路222を開状態に操作し、当該バッテリパック22に対応する外部リレー211を開状態に操作した状態で、該バッテリパック22の正負極の外部端子223a,223b間の電圧が閾値以上である場合、外部リレー211の接点が固着していると判断し、該バッテリパック22の正負極の外部端子223a,223b間の電圧が閾値よりも低い場合、外部リレー211の接点が正常であると判断する。
【0206】
上記方法の前提によれば、複数のバッテリパック22…は、順次電気機器20に接続されることで並列接続されるため、バッテリパック22に繋がる回路には別のバッテリパック22からの電気が流れ込む。しかしながら、バッテリパック22と対応する外部リレー211が開状態であると、そのバッテリパック22の正負極の外部端子223a,223bに対して別のバッテリパック22からの電気の影響はなく、正負極の外部端子223a,223b間の電圧は、閾値よりも低くなる。
【0207】
これに対し、外部リレー211の接点が固着(溶着)していると、該外部リレー211が閉状態になっている(導通状態になっている)ことになる。バッテリパック22と対応する外部リレー211が閉状態(導通状態)であると、バッテリパック22の正負極の外部端子223a,223bは、別のバッテリパック22からの電気の影響を受け、正負極の外部端子223a,223b間の電圧は、閾値以上になる。
【0208】
従って、上記方法によれば、外部リレー211を作動させることなく、バッテリパック22の正負極の外部端子223a,223b間の電圧と閾値を比較するだけで、外部リレー211の接点の固着の有無の診断を適正に判断することができる。これにより、上記構成の電動作業機1によれば、起動時の突入電流の影響で、バッテリパック22の内部回路222が破損することを未然に防止できる。また、複数のバッテリパック22…を順次接続可能か否かの判断も適正に行うことができる。
【0209】
上記実施形態において、電動作業機1の起動方法は、電気機器20と、電気機器20に電気的に接続された電気回路21と、正負極の外部端子を有する複数のバッテリパック22…であって、電気回路21を介して電気機器20に対して順次接続されて並列接続される複数のバッテリパック22…と、を備え、電気回路21は、複数のバッテリパック22…のそれぞれに対応する複数の外部リレー211…であって、対応するバッテリパック22と電気機器20とを接続する回路を開閉する複数の外部リレー211…を含み、バッテリパック22は、内部回路222の負極の外部端子側と正極の外部端子側とを繋ぐディスチャージ回路225であって、直列に繋がるディスチャージ用抵抗器225aとディスチャージ用リレー225bとを含むディスチャージ回路225を有する電動作業機1の起動方法において、バッテリパック22を電気機器20に接続する際に、当該バッテリパック22のディスチャージ用リレー225bの接点の固着の有無を診断するディスチャージ用リレー診断処理を行い、ディスチャージ用リレー診断処理において、診断対象のバッテリパック22に対応する外部リレー211を閉状態に操作し、且つ当該バッテリパック22のディスチャージ用リレー225bを開状態に操作し、当該バッテリパック22の正負極の外部端子223a,223b間の電圧が閾値以上で、且つ、ディスチャージ回路225の両端の電圧が閾値以下である場合、ディスチャージ回路225のディスチャージ用リレー225bの接点が固着していると判断し、当該バッテリパック22の正負極の外部端子223a,223b間の電圧が閾値以上で、且つ、ディスチャージ回路225の両端の電圧が閾値よりも高い場合、ディスチャージ回路225のディスチャージ用リレー225bの接点が正常であると判断する。
【0210】
上記方法の前提とする構成において、バッテリパック22と対応する外部リレー211が閉状態(導通状態)であると、該バッテリパック22の正負極の外部端子223a,223bが別のバッテリパック22からの電気の影響を受け、正負極の外部端子223a,223bの電圧は、閾値以上になる。
【0211】
ディスチャージ回路225は、内部回路222の正極の外部端子223a側と負極の外部端子223b側とを繋ぐため、ディスチャージ用リレー225bが閉状態になると、ディスチャージ回路225のディスチャージ回路225の両端の電圧が低くなる。すなわち、ディスチャージ用リレー225bを閉状態にすると、電流が流れてディスチャージ回路225の両端の電位差が小さくなる(或いは無くなる)結果、ディスチャージ回路225の両端の電圧が閾値以下になる。
【0212】
これに対し、ディスチャージ回路225は、ディスチャージ回路225のディスチャージ用リレー225bを開状態にすると、ディスチャージ回路225の両端の電圧は、高くなる(電圧上昇する)。すなわち、ディスチャージ回路225のディスチャージ用リレー225bを開状態にすると、ディスチャージ回路225が切断状態になる結果、ディスチャージ用リレー225bの両側(正極側及び負極側)に電圧(電位差)が生じる。すなわち、ディスチャージ用リレー225bが開状態になると、ディスチャージ回路225の両端の電圧(電位差)が上昇し、閾値よりも大きく(高く)なる。
【0213】
このように、上記構成の方法は、外部端子223a,223bやディスチャージ回路225の両端の電圧を基にディスチャージ回路225のディスチャージ用リレー225bの接点の固着の有無の診断を適正に行うことができ、内部回路222やディスチャージ回路225(ディスチャージ用抵抗器225a)が破損することを未然に防止することができる。
【0214】
上記実施形態において、電動作業機1は、電気機器20と、電気機器20に対して電気的に接続された電気回路21と、電気回路21を介して電気機器20に接続される複数のバッテリパック22…と、制御部23と、を備え、制御部23は、バッテリパック22から供給される電力により電気機器20を駆動する駆動モードと、バッテリパック22を充電する充電モードと、を有し、駆動モードの場合であって、複数のバッテリパック22…の電圧差が、予め設定される基準値を超える場合、複数のバッテリパック22…のうち、電圧が最も高いバッテリパック22のみを電気機器20に接続して電気機器20を駆動さ
せる。
【0215】
上記構成によれば、駆動モードにおいて、複数のバッテリパック22の電圧差が基準値を超える場合、すなわち、複数のバッテリパック22…を並列接続した場合、バッテリパック22,22間で電気の流れが生じ、その流れが許容値を超えることが想定できる場合、電圧が最も高いバッテリパック22を電気機器20に接続して電気機器20を駆動させる。これにより、電圧差の大きなバッテリパック22…を並列接続することが未然に防止され、バッテリパック22にダメージが加わることも未然に防止される上に、電気機器20への電力供給を確保することができる。すなわち、上記構成の電動作業機1は、複数のバッテリパック22…が並列接続されることによってバッテリパック22が故障することを未然に防止できる。
【0216】
制御部23は、電圧が最も高いバッテリパック22のみを電気機器20に接続して電気機器20を駆動開始した後、当該バッテリパック22と他のバッテリパック22との電圧差が基準値未満になった場合に、当該バッテリパック22と他のバッテリパック22とを電気機器20に接続して電気機器20を駆動させる。このようにすれば、複数のバッテリパック22…の間の電圧差が小さくなった状態(或いは、無くなった状態)で、複数のバッテリパック22が電気機器20に電力供給する。これにより、バッテリパック22,22の電圧差によって、バッテリパック22,22間で電気が流れることなく、電気機器20に効率的に電力供給できる。
【0217】
電動作業機1は、作業者に対して報知を行う報知手段142をさらに備え、制御部23は、複数のバッテリパック22…間の電圧差が、基準値を超える場合、バッテリパック22に対する充電が必要である旨を報知手段142に報知させる。
【0218】
上記構成によれば、報知手段142によって、バッテリパック22に対する充電を促すことができるため、早期にバッテリパック22の充電が可能となる。特に、報知手段142によって充電を促す報知を行うことで、充電を行うタイミングが早まることになり、電圧の低いバッテリパック22を早期に回復させることができる。
【0219】
制御部23は、充電モードの場合であって、複数のバッテリパック22…の電圧差が、予め設定される基準値を超える場合、複数のバッテリパック22…のうち、電圧が最も低いバッテリパック22のみを充電の対象として充電処理を行う。このようにすれば、電圧の低いバッテリパック22のみが充電処理されるため、電圧の低いバッテリパック22のみの電圧が高くなる。これにより、充電の対象とされたバッテリパック22と、充電の対象となっていない他のバッテリパック22の電圧との差が小さくなる(或いは無くなる)。これにより、複数のバッテリパック22…を並列接続して電気機器20に電力供給する際に、バッテリパック22,22間での電気の流れ込みが抑制され、電気機器20に対して効率的に電力供給される。
【0220】
上記実施形態において、電動作業機1は、電気機器20と、電気機器20に対して電気的に接続された電気回路21と、電気回路21を介して電気機器20に接続される複数のバッテリパック22…と、制御部23と、を備え、制御部23は、バッテリパック22から供給される電力により電気機器20を駆動する駆動モードと、バッテリパック22を充電する充電モードと、を有し、充電モードの場合であって、複数のバッテリパック22…の電圧差が、予め設定される基準値を超える場合、複数のバッテリパック22…のうち、電圧が最も低いバッテリパック22のみを充電の対象として充電処理を行う。
【0221】
上記構成によれば、充電モードにおいて、電圧の最も低いバッテリパック22のみが充電処理されるため、そのバッテリパック22のみの電圧が高くなる。これにより、充電の
対象とされたバッテリパック22と、充電の対象となっていない他のバッテリパック22の電圧との差が小さくなる(或いは無くなる)。これにより、複数のバッテリパック22…を並列接続して電気機器20に電力供給する際に、バッテリパック22,22間での電気の流れ込みが抑制され、電気機器20に対して効率的に電力供給される。
【0222】
制御部23は、電圧が最も低いバッテリパック22のみを充電の対象として充電処理を開始した後、当該バッテリパック22と他のバッテリパック22との電圧差が基準値未満になった場合に、当該バッテリパック22と他のバッテリパック22とを充電の対象として充電処理を行う。このようにすれば、充電処理によって、電圧が最も低かったバッテリパック22の電圧が上昇し、他のバッテリパック22との電圧に近づく。
【0223】
その結果、バッテリパック22同士の電圧差が基準値未満になると、電圧差が小さく又は無くなった状態になる。この状態で、他のバッテリパック22も充電処理されることで、電圧差のない(小さい)状態で、複数のバッテリパック22…が充電される。従って、複数のバッテリパック22…を電気機器20に接続したときに、バッテリパック22,22間での電気の流れ込みが抑制された状態で、複数のバッテリパック22…から電気機器20に対して効率的に電力供給される。
【0224】
電動作業機1は、充電装置に対して接続可能な充電インレット25であって、電気回路21を介して複数のバッテリパック22…に電気的に接続された充電インレット25をさらに備え、制御部23は、充電インレット25に充電装置が接続された場合、充電モードを実行する。このようにすれば、オペレータがモード切替をすることなく、自動的に充電モードに切り替わる。
【0225】
電気回路21は、複数のバッテリパック22…のそれぞれに対応する複数の外部リレー211…であって、対応するバッテリパック22と充電インレット25とを接続する回路を開閉する複数の外部リレー211…を含み、制御部23は、充電モードにおいて、充電の対象とするバッテリパック22に対応する外部リレー211を閉状態にし、充電の対象としないバッテリパック22に対応する外部リレー211を開状態にする。このようにすれば、バッテリパック22から電気機器20に電力供給する経路を充電の経路と使用することができる上に、充電の対象となったバッテリパック22のみを充電できる。
【0226】
上記のとおり、駆動モードと充電モードを有する電動作業機1は、所定の作業を行う作業装置11をさらに備え、電気機器20は、作業装置11を直接的又は間接的に駆動する。このようにすれば、少なくとも電圧の高い(残量の多い)バッテリパックから電気機器に電力供給されるため、長時間の駆動を安定的に行うことができる。
【0227】
上記実施形態において、電動作業機1の起動方法は、電気機器20と、電気機器20に対して電気的に接続された電気回路21と、電気回路21を介して電気機器20に接続される複数のバッテリパック22…と、を備え、バッテリパック22から供給される電力により電気機器20を駆動する駆動モードと、バッテリパック22を充電する充電モードと、を有する電動作業機1の起動方法において、駆動モードの場合であって、複数のバッテリパック22…の電圧差が、予め設定される基準値を超える場合、複数のバッテリパック22…のうち、電圧が最も高いバッテリパック22のみを電気機器20に接続して電気機器20を駆動させる。
【0228】
上記方法によれば、駆動モードにおいて、複数のバッテリパック22の電圧差が基準値を超える場合、すなわち、複数のバッテリパック22…を並列接続した状態で、バッテリパック22,22間で電気の流れが生じ、その流れが許容値を超えることが想定できる場合、電圧が最も高いバッテリパック22を電気機器20に接続して電気機器20を駆動さ
せる。
【0229】
これにより、電圧差の大きなバッテリパック22…を並列接続することが未然に防止され、バッテリパック22にダメージが加わることも未然に防止される上に、電気機器20への電力供給を確保することができる。すなわち、上記構成の電動作業機1は、複数のバッテリパック22…が並列接続されることによってバッテリパック22が故障することを未然に防止できる。
【0230】
上記実施形態において、電動作業機1の起動方法は、電気機器20と、電気機器20に対して電気的に接続された電気回路21と、電気回路21を介して電気機器20に接続される複数のバッテリパック22…と、を備え、バッテリパック22から供給される電力により電気機器20を駆動する駆動モードと、バッテリパック22を充電する充電モードと、を有する電動作業機1の充電方法において、充電モードの場合であって、複数のバッテリパック22…の電圧差が、予め設定される基準値を超える場合、複数のバッテリパック22…のうち、電圧が最も低いバッテリパック22のみを充電の対象として充電処理を行う。
【0231】
上記方法によれば、充電モードにおいて、電圧の最も低いバッテリパック22のみが充電処理されるため、そのバッテリパック22のみの電圧が高くなる。これにより、充電の対象とされたバッテリパック22と、充電の対象となっていない他のバッテリパック22の電圧との差が小さくなる(或いは無くなる)。これにより、複数のバッテリパック22…を並列接続して電気機器20に電力供給する際に、バッテリパック22,22間での電気の流れ込みが抑制され、電気機器20に対して効率的に電力供給される。
【0232】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加え得ることは勿論のことである。
【0233】
上記実施形態において、二つのバッテリパック22…が並列に接続されたが、これに限定されない。例えば、電動作業機1は、三つ以上のバッテリパック22…を備え、その三つ以上のバッテリパック22…が並列に接続され、電気機器20に電力供給するようにしてもよい。すなわち、バッテリパック22の一つあたりの電流値を低くすることを目的に、複数のバッテリパック22…を並列接続できればよく、バッテリパック22の数は、限定されない。
【0234】
この場合においても、接続の第一バッテリパック22に対する制御(処理)と、接続の第二バッテリパック22に対する制御(処理)は、上記実施形態と同様である。
【0235】
上記実施形態において、制御部23は、複数の外部リレー211…のそれぞれの累積的な開閉回数に基づき、第二バッテリパック22に対応する外部リレー211としての開閉回数の最も多い外部リレー211に対応するバッテリパック22を第一バッテリパック22(接続する順番が一番目のバッテリパック22)に設定したが、これに限定されない。例えば、制御部23は、起動する毎(複数のバッテリパック22…と電気機器20とを接続する処理を行う毎)に第一バッテリパック22として設定するバッテリパック22を順次変更するようにしてもよい。このようにすれば、上記実施形態と同様に、複数の外部リレー211…のそれぞれが受けるダメージを均等化することができる。
【0236】
具体的には、外部リレー211が受けるダメージは、開閉回数に応じて異なる。すなわち、外部リレー211は、開閉回数が多くなると、回路の開閉に伴って受けるダメージが大きくなる一方、開閉回数が少なくなると、回路の開閉に伴って受けるダメージが小さくなる。従って、電気機器20を起動する度に、電気機器20(電気回路21)に接続する
第一バッテリパック22を順次変更することで、一番目に閉状態される外部リレー211も変更されるため、複数の外部リレー211…のそれぞれが受けるダメージを均等化することができる。これにより、特定の外部リレー211が故障してしまうことを抑制することができる。
【0237】
上記実施形態において、走行機構101として、クローラ式の走行機構が採用されたが、これに限定されない。例えば、走行機構101は、前後それぞれ一対の車輪を有する車輪(タイヤ)式の走行機構であってもよい。この場合、前後の車輪のそれぞれが駆動されてもよいし、前後の何れか一方の車輪が駆動されてもよい。
【0238】
上記実施形態において、複数のバッテリパック22…のそれぞれが、プリチャージ回路224を備えたが、これに限定されない。例えば、特定のバッテリパック22が電気機器20(電気回路21)に対して一番目に接続される場合、少なくとも順番が一番目に設定されるバッテリパック22のみが、内部リレー220(220a)に対してプリチャージ用抵抗器224a及びプリチャージ用リレー224bを並列に接続したプリチャージ回路224を有するようにしてもよい。但し、上記実施形態のように、一番目に設定されるバッテリパック22が変更される場合、複数のバッテリパック22…のそれぞれがプリチャージ回路224を有する必要があることは言うまでもない。
【0239】
上記実施形態において、電動作業機1は、制御部23として、電動作業機1全体を制御するECU23aと、バッテリパック22の監視・制御を行うBMS23bと、を備え、ECU23aに各種処理を実行させたが、これに限定されない。例えば、並列接続可否診断、バッテリパック22の並列接続処理、バッテリパック22の単一接続処理、故障診断、充電モードを、BMS23bで実行(処理)できるようにしてもよいし、ECU23a及びBMS23bで分担して実行(処理)できるようにしてもよい。また、制御部23として、ECU23a及びBMS23bに加え、並列接続可否診断、バッテリパック22の並列接続処理、バッテリパック22の単一接続処理、故障診断、充電モードを行う専用の制御部(コントローラユニット)を設けてもよい。
【0240】
上記実施形態において、複数のバッテリパック22…のそれぞれが、内部リレー220として、第一内部リレー220a及び第二内部リレー220bを有したが、これに限定されない。例えば、複数のバッテリパック22…のそれぞれは、内部リレー220として、第一内部リレー220a又は第二内部リレー220bの何れか一つを有するものであってもよい。すなわち、複数のバッテリパック22…のそれぞれは、内部回路222を開閉する内部リレー220を少なくとも一つ有するものであればよい。
【0241】
上記実施形態において、複数のバッテリパック22…のそれぞれが、内部リレー220として、正極(P)側の第一内部リレー220aと、負極(N)側の第二内部リレー220bと、を有するとともに、正極(P)側の第一内部リレー220aに対して並列接続されたプリチャージ回路224(プリチャージ用抵抗器224a、プリチャージ用リレー224b)を有することを前提に、電気機器20に対して第一バッテリパック22を接続する際、負極(N)側の第二内部リレー220bとプリチャージ回路224のプリチャージ用リレー224bを併せて(同時に)閉状態にしたが、これに限定されない。例えば、電気機器20に対して第一バッテリパック22を接続する際、負極(N)側の第二内部リレー220bとプリチャージ回路224のプリチャージ用リレー224bとを異なるタイミングで閉状態にしてもよい。但し、この場合、プリチャージ回路224と並列にある内部リレー220(正極(P)側の第一内部リレー220a)が最後に閉状態にされることが前提である。また、バッテリパック22が、内部回路222を開閉する内部リレー220を一つ有するとともに、一つの内部リレー220に対して並列接続されたプリチャージ回路224を有する場合、プリチャージ回路224のプリチャージ用リレー224bを閉状態にした後に、内部リレー220を閉状態にすればよい。
【0242】
上記実施形態において、第一前段処理S13の後に、第二前段処理S15を行ったが、これに限定されない。すなわち、電気機器20に対して第一バッテリパック22に対応する外部リレー211を閉状態にした後に、プリチャージ回路224(プリチャージ用リレー224b)と並列の内部リレー220(第一内部リレー220a)を閉状態にしたが、これに限定されない。例えば、電気機器20に対して第一バッテリパック22のプリチャージ回路224(プリチャージ用リレー224b)を閉状態にした後に、該バッテリパック22に対応する外部リレー211を閉状態にしてもよい。また、電気機器20に対して第一バッテリパック22のプリチャージ回路224(プリチャージ用リレー224b)と、該バッテリパック22に対応する外部リレー211を同時に閉状態にしてもよい。すなわち、第一前段処理S13と第二前段処理S15の順番を入れ替えてもよいし、第一前段処理S13と第二前段処理S15と同じタイミングで行ってもよい。
【0243】
但し、上記の何れの場合も、プリチャージ回路224(プリチャージ用リレー224b)と並列の内部リレー220(第一内部リレー220a)は、プリチャージ回路224(プリチャージ用リレー224b)が閉状態になった後(プリチャージを実行した後)に、閉状態にすることが前提である。すなわち、第三前段処理S15は、第一前段処理S13及び第二前段処理S15の後に行うことが前提である。また、プリチャージの実行を確実に行うには、上記実施形態と同様に、外部リレー211を閉状態にした後に、プリチャージ回路224(プリチャージ用リレー224b)を閉状態にすることが好ましいことは言うまでもない。
【0244】
上記実施形態において、制御部23としてのECU23aの記憶部に、第二バッテリパック22の内部リレー220の開閉動作の診断の要否に関する指定、第二バッテリパック22のプリチャージ回路224でのプリチャージの実施の要否の指定、第一内部リレー220aと第二内部リレー220bとを同時に閉状態にするか否かの指定について記憶させたが、これに限定されない。例えば、ECU23aの記憶部に対して複数のバッテリパック22の接続において処理時間を要する開閉動作の診断の要否に関する指定のみを記憶させてもよい。また、上記の通り、記憶部に記憶される指定は、固定の内容に限定される変更可能であってもよい。
【0245】
上記実施形態において、複数のバッテリパック22…と複数の電気機器20…とが電気回路21を介して電気的に接続されたが、これに限定されない。例えば、複数のバッテリパック22…と単一の電気機器20とが電気回路21を介して接続されてもよい。すなわち、複数のバッテリパック22…が並列接続されれば、複数のバッテリパック22…から電力供給される電気機器20(出力用の電気機器20)の数は問わない。なお、言うまでもないが、電気回路21の二次回路212は、電気機器20の数に対応した系統数で設けられる。従って、上記のように、単一の電気機器20が複数のバッテリパック22…と接続される場合、二次回路212は、一系統(一組の正極二次回路212aと負極二次回路212b)になる。
【0246】
上記実施形態において、第一バッテリパック22を電気機器20に接続するに際し、内部リレー220の開閉動作の診断処理を行い、第一バッテリパック22に対応する外部リレー211を閉状態にする第一前段処理の後、第一バッテリパック22の内部リレー220を閉状態にする第三前段処理を実施したが、これに限定されない。例えば、第一バッテリパック22を電気機器20に接続する際、内部リレー220の開閉動作の診断処理の実施の要否に関する指定を不要(実施しない)としてもよい。
【0247】
また、第一バッテリパック22を電気機器20に接続する際、内部リレー220の開閉
動作の診断処理を行い、第一バッテリパック22の内部リレー220を閉状態にする第三前段処理を実施した後に、第一バッテリパック22に対応する外部リレー211を閉状態にする第一前段処理してもよい。ただし、プリチャージを行う場合には、第一前段処理と第三前段処理との間で、プリチャージを行う第二前段処理を実施すれば、最後に閉状態にされるリレースイッチ(内部リレー220又は外部リレー211)が突入電流の影響を受けることを抑制できる。
【0248】
上記実施形態において、第一バッテリパック22を電気機器20に接続するに際し、プリチャージを行ったが、これに限定されない。例えば、第一バッテリパック22を電気機器20に接続する際、プリチャージの実施の要否に関する指定を不要(実施しない)とし、第一バッテリパック22を電気機器20に接続してもよい。この場合、内部リレー220に突入電流が作用しないように、第二バッテリパック22と同様に、第一バッテリパック22の内部リレー220を閉状態にした後(第一接続処理をした後)、第一バッテリパック22に対応する外部リレー211を閉状態にする(第二接続処理を実施する)ようにしてもよい。
【0249】
上記実施形態において、第二バッテリパック22を電気機器20に接続する際の第二バッテリパック22の内部リレー220の開閉に関し、第一内部リレー220aと第二内部リレー220bとを一緒(同時)に閉状態にしたが、これに限定されない。例えば、第二バッテリパック22を電気機器20に接続する際の第二バッテリパック22の内部リレー220の開閉に関し、第二内部リレー220bを閉状態にした後に、第一内部リレー220aを閉状態にしてもよい。
【0250】
また、第一バッテリパック22については、第一内部リレー220aと第二内部リレー220bとを一緒(同時)に閉状態にしてもよい。すなわち、バッテリパック22の内部リレー220が、第一内部リレー220aと第二内部リレー220bとを含み、内部リレー220を閉状態にする第一接続処理において、第一内部リレー220aと第二内部リレー220bとを同時に閉状態にするか否かを指定可能に構成され場合、その指定に従って、第一内部リレー220a及び第二内部リレー220bを閉状態にすればよい。
【0251】
従って、内部リレー220を閉状態にする第一接続処理において、第一内部リレー220aと第二内部リレー220bとを同時に閉状態にするように指定されている場合には、第一内部リレー220aと第二内部リレー220bとを同時(一緒)に閉状態にすればよい。これとは逆に、内部リレー220を閉状態にする第一接続処理において、第一内部リレー220aと第二内部リレー220bとを同時に閉状態にしないと指定されている場合には、第一内部リレー220aと第二内部リレー220bとを別々のタイミングで閉状態にすればよい。
上記実施形態において、複数のバッテリパック22…間の電圧差を是正する方法として、電圧の最も低いバッテリパック22のみを充電し、そのバッテリパック22の電圧が、電圧の最も高いバッテリパック22の電圧相当になると、電圧の最も高いバッテリパック22の充電も開始するようにしたが、例えば、制御部53は、電圧が最も高いバッテリパック22のみを電気機器20に接続して電気機器20を駆動開始した後、電気機器20に接続されたバッテリパック(電力供給しているバッテリパック)20と他のバッテリパック(電力供給していない電圧の低いバッテリパック22)との電圧差が基準値未満になった場合に、電気機器20に接続されたバッテリパック(電力供給しているバッテリパック)20と他のバッテリパック(電力供給していない電圧の低いバッテリパック22)とを電気機器20に接続して電気機器20を駆動させるようにしてもよい。
【0252】
このようにすれば、複数のバッテリパック22、22間の電圧差がない(小さい)ため
、複数のバッテリパック22…が電気機器20に接続された状態で、バッテリパック22、22間での電気の流れ込みが防止され、バッテリパック22の損傷(ダメージ)を抑制できる。
【0253】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、電気機器20としてのインバータ20aは、油圧ポンプ15を駆動する電動モータ16を駆動するため、作業装置11を間接的に駆動するが、作業装置11を駆動する電気機器20は、作業装置11を間接的に駆動するものに限定されない。例えば、作業装置11を駆動する電気機器20は、作業装置11を直接駆動する電動アクチュエータであって、バッテリパック22…から直接電力供給されるものであってもよい。
【0254】
上記実施形態において、電動作業機1は、作業装置11として、バケット112bがアーム111bの先端部に連結されたショベル装置11bを備えるが、これに限定されない。例えば、ショベル装置11bは、基本構成としてバケット112bを備え、バケット112bを他の作業具と交換可能であってもよい。また、作業装置11は、ショベル装置11bの構成としたアーム111bの先端部に他の作業具を連結した専用の作業装置としてもよい。ここで、他の作業具としては、油圧ブレーカ、油圧圧砕機、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノーブロア等がある。
【0255】
上記実施形態において、作業装置11として、ドーザ装置11a及びショベル装置11bを備えた建設用の電動作業機1について説明したが、これに限定されない。例えば、運搬用の電動作業機1や、農業用の電動作業機1であってもよい。すなわち、電動作業機1は、建設機械に限らず、運搬機械(例えば、フォークリフト)や、農業機械(例えば、トラクタ)等であってもよい。
【符号の説明】
【0256】
1 :電動作業機
20 :電気機器(出力用の電気機器)
21 :電気回路
22 :バッテリパック
23 :制御部
24 :ジャンクションボックス
25 :充電インレット(入力用の電気機器)
142 :モニター(報知手段)
211 :外部リレー
220 :内部リレー
220a :第一内部リレー
220b :第二内部リレー
222 :内部回路
224 :プリチャージ回路
224a :プリチャージ用抵抗器
224b :プリチャージ用リレー
225 :ディスチャージ回路
225a :ディスチャージ用抵抗器
225b :ディスチャージ用リレー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9