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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024786
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】物体検知装置及び物体検知方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 15/931 20200101AFI20250214BHJP
   G01S 15/86 20200101ALI20250214BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
G01S15/931
G01S15/86
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129048
(22)【出願日】2023-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野尻 篤史
【テーマコード(参考)】
5H181
5J083
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5J083AA02
5J083AB13
5J083AD01
5J083AD04
5J083AE08
5J083AF08
5J083AG05
(57)【要約】
【課題】本開示は、検知対象物の精度の高い位置を求めることができる物体検知装置を提供する。
【解決手段】本開示に係る物体検知装置は、推定回路と累積部と抽出部とを有する。推定回路は、1つ以上の測距センサで測定した物体までの第1距離と、撮像センサで取得された物体の画像から推定した物体の方位と用いて、物体の第1位置を複数回推定する。累積部は、複数回推定した物体の第1位置を撮像センサからの所定の距離毎に累積させる。抽出部は、累積結果から物体の第2位置を抽出する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の測距センサで測定した物体までの第1距離と、撮像センサで取得された前記物体の画像から推定した前記物体の方位と用いて、前記物体の第1位置を複数回推定する推定回路と、
前記複数回推定した前記物体の第1位置を前記撮像センサからの所定の距離毎に累積させる累積部と、
前記累積結果から前記物体の第2位置を抽出する抽出部と、
を備えた物体検知装置。
【請求項2】
前記画像を用いて前記物体の種類を検出する物体検出回路をさらに備え、
前記1つ以上の測距センサが複数であり、
前記推定回路は、前記物体の種類が所定の物体でない場合、
前記複数の測距センサで測定した複数の第2距離を用いて、前記物体の第2位置を抽出する、請求項1に記載の物体検知装置。
【請求項3】
前記画像を用いて前記物体の種類を検出する物体検出回路をさらに備え、
前記撮像センサからの前記所定の距離は、前記物体の種類に応じた間隔によって設定される
請求項1に記載の物体検知装置。
【請求項4】
前記抽出部は、前記物体の第1位置の累積値が閾値を超える場合、前記物体の第2位置として抽出する、
請求項1に記載の物体検知装置。
【請求項5】
前記推定回路は、前記画像を用いて前記物体の第4位置をさらに推定し、
前記抽出部は、前記累積結果のうち前記第4位置を含む所定の範囲に収まる位置を、前記物体の前記第2位置として抽出する、
請求項1に記載の物体検知装置。
【請求項6】
1つ以上測距センサで測定した物体までの第1距離と、撮像センサで取得された前記物体の画像から推定した前記物体の方位と用いて、前記物体の第1位置を複数回推定し、
前記複数回推定した前記物体の第1位置を前記撮像センサからの所定の距離毎に累積させ、
前記累積結果から前記物体の第2位置を抽出する、
物体検知方法。
【請求項7】
さらに、前記画像を用いて前記物体の種類を検出し、
前記物体の種類が所定の物体でない場合、
前記複数の測距センサで測定した複数の第2距離を用いて、前記物体の第2位置を抽出する、
請求項6に記載の物体検知方法。
【請求項8】
さらに、前記画像を用いて前記物体の種類を検出し、
前記撮像センサからの前記所定の距離は、前記物体の種類に応じた間隔によって設定される、
請求項6に記載の物体検知方法。
【請求項9】
前記物体の第1位置の累積値が閾値を超える場合、前記物体の第2位置として抽出する、
請求項6に記載の物体検知方法。
【請求項10】
さらに、前記画像を用いて前記物体の第4位置をさらに推定し、
前記累積結果のうち前記第4位置を含む所定の範囲に収まる位置を、前記物体の前記第2位置として抽出する、
請求項6に記載の物体検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物体検知装置及び物体検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される物体検知装置は、車両の周辺における物体を検知し、検知結果が車両における物体との衝突回避などの運転支援処理に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/079252号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物体検知装置では、物体の画像を取得する撮像センサと物体までの距離を測定する測距センサとが併用されて、物体が検知されることがある。測距センサでは反射波による検知が困難になる場合があり、例えば特許文献1のような感度調整が図られている。しかしながら、特許文献1に開示された感度調整の検討では、検知距離の精度が不十分となる場合がある。
【0005】
本開示は、検知対象物の精度の高い位置を求めることができる物体検知装置及び物体検知方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る物体検知装置は、推定回路と累積部と抽出部とを有する。推定回路は、1つ以上の測距センサで測定した物体までの第1距離と、撮像センサで取得された物体の画像から推定した物体の方位と用いて、物体の第1位置を複数回推定する。累積部は、複数回推定した物体の第1位置を撮像センサからの所定の距離毎に累積させる。抽出部は、累積結果から物体の第2位置を抽出する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る物体検知装置及び物体検知方法によれば、検知対象物の精度の高い位置を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る物体検知装置が搭載される車両の概略構成を示す側面図。
図2】実施形態に係る物体検知装置が搭載される車両の概略構成を示す平面図。
図3】実施形態に係る物体検知装置が搭載される車両のハードウェア構成を示すブロック図。
図4】実施形態に係る物体検知装置が搭載される車両の機能構成を示すブロック図。
図5】実施形態における推定された方位を示す図。
図6】実施形態における直線上への複数の領域の設定を示す図。
図7】実施形態における直線上の反射強度の分布を示す図。
図8】実施形態における物体及び路面の反射特性の違いを示す図。
図9】実施形態における物体及び路面の反射点を示す図。
図10】実施形態における直線上の累積反射強度の分布を示す図。
図11】実施形態に係る物体検知装置の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る物体検知装置の実施形態について説明する。
【0010】
(実施形態)
実施形態に係る物体検知装置は、車両に搭載され、車両の周辺における物体を検知し、検知結果が車両における物体との衝突回避などの運転支援処理に用いられるが、検知対象物の精度の高い位置を求めるための工夫が施される。
【0011】
例えば、既存技術の物体検知装置は、測距センサによって、反射面の大きい物体ほど反射強度が大きく(強く)、遠方まで物体の検出が可能な一方、反射面の小さな物体は反射強度が小さく(弱く)なるため、物体から測距センサまでの距離によっては、精度よく検出することが困難となる場合がある。このため、物体検知装置は、測距センサの反射閾値を下げることにより感度調整を行い、反射強度の小さい物体を検出可能とし、検知範囲の確保を行う。しかしながら、測距センサは、閾値の下げに伴って路面などの非検知対象物も検知してしまう。
【0012】
そこで、特許文献1では、撮像センサが検知した物体の距離付近に限定して閾値を下げる方法を採用するが、撮像センサの種類や検知対象の背景などの影響により、検知結果を用いて正しい範囲に感度調整が設定されなかった場合、非検知対象物を誤検知する。このため、既存技術の物体検知装置は、検知対象物を不正確な位置で検知判断してしまう場合がある。そこで本開示では、検知エリア全体の閾値を低く設定し、路面などの非検知対象物と検知対象物を区別することで、反射強度の小さい検知対象物であっても位置検出の精度を向上することができる。
【0013】
物体検知装置2は、図1及び図2に示すような車両1に搭載され得る。以下では、車両1の進行方向をX軸の正方向とし、車幅の右側面から左側面の方向をY軸の正方向とし、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向とし、車両1の屋根方向をZ軸の正方向とする。
【0014】
車両1は、車体8、複数の車輪9f,9r、複数の撮像センサ11_F,11_R、複数の測距センサ12_F1~12_F4,12_R1~12_R4、ECU(Electronic Control Unit)14及びHMI(Human-Machine Interface)7を有する。
【0015】
車輪9f,9rは、X軸方向に沿って車体8に取り付けられる。前輪である車輪9fは、車体8の前方部に取り付けられ、後輪である車輪9rは、車体8の後方部に取り付けられる。なお、X軸方向で、+X方向を前方、-X方向を後方とも表記する。
【0016】
車体8は、XY平面視で略矩形をしており、X軸方向で、前方部の前方バンパー付近の前端部8f、後方部の後方バンパー付近の後端部8rを有する。
【0017】
前端部8fには、撮像センサ11_Fと複数の測距センサ12_F1~12_F4とが取り付けられる。撮像センサ11_Fは、前端部8fにおける車幅中央付近に配される。複数の測距センサ12_F1~12_F4は、前端部8fにおいてY軸方向に配列される。各測距センサ12_F1~12_F4は、互いにY軸方向に離間し、撮像センサ11_Fに対して概ねY軸方向に離間している。なお、撮像センサ11_Fと複数の測距センサ12_F1~12_F4とは、X軸では、同じ位置に配置されなくてもよい。
【0018】
図1図2では、前端部8fに4個の測距センサ12_F1~12_F4が配される構成が例示されるが、前端部8fの測距センサ12の個数は、3個以下でもよいし、5個以上でもよく、車幅中央を通るX軸に対して、線対称に配置されることが望ましい。
【0019】
撮像センサ11_Fは、通信線41fを介してECU14に接続される。撮像センサ11_Fは、画像を取得可能な任意のセンサが用いられ得る。撮像センサ11_Fは、例えば、CMOSイメージセンサであってもよいし、CCDイメージセンサであってもよい。撮像センサ11_Fは、車体8の周辺の画像を取得可能であり、取得された画像に応じた画像データをECU14へ供給可能である。
【0020】
測距センサ12_F1~12_F4は、それぞれ、通信線42fを介してECU14に接続される。測距センサ12_F1~12_F4は、距離を測定可能な任意のセンサが用いられ得る。測距センサ12_F1~12_F4は、ソナー(超音波センサ)であってもよいし、レーダ(Radar)、ライダー(LiDAR)であってもよい。測距センサ12_F1~12_F4は、車体8の周辺の物体までの距離を示す信号を取得可能である。
【0021】
複数の測距センサ12_F1~12_F4は、所定の間隔で送信波を送波し、送波のタイミングとは異なるタイミングで反射波を受波する。測距センサ12_F1~12_F4は、測定媒体(例えば、ソナーの場合における音波、レーダの場合における電波、ライダーの場合におけるレーザー光)の速度vと送波タイミングから受波タイミングまでの時間(Time of Flight)Tとに応じて、物体までの距離Lを示す信号を生成してもよい。
【0022】
なお、各々の測距センサ12_F1~12_F4は、例えば送波タイミングと受波タイミングとが交互に入れ替わるように構成されてもよい。例えば、測距センサ12_F1が送波し、測距センサ12_F4が受波し、測距センサ12_F2が送波し、測距センサ12_F1が受波し、測距センサ12_F3が送波し、測距センサ12_F2が受波し、測距センサ12_F4が送波し、測距センサ12_F3が受波し、測距センサ12_F1が送波し、測距センサ12_F4が受波する、といった動作が周期的に繰り返されてもよい。
【0023】
測距センサ12_F1~12_F4は、取得された信号をECU14へ供給可能である。
【0024】
ECU14は、HMI7に接続される。ECU14は、物体検知装置2を含む。ECU14は、物体検知装置2を用いて、撮像センサ11_Fで取得された画像と測距センサ12_F1~12_F4で測定された距離とに応じて車体8の前方付近の物体を検知可能である。ECU14は、物体検知装置2の検知結果に応じて、車両1を制御し、物体との衝突回避などの運転支援処理を実行可能である。
【0025】
後端部8rには、撮像センサ11_Rと複数の測距センサ12_R1~12_R4とが取り付けられる。撮像センサ11_Rは、後端部8rにおける車幅中央付近に配される。複数の測距センサ12_R1~12_R4は、前端部8rにおいてY軸方向に配列される。各測距センサ12_R1~12_R4は、互いにY軸方向に離間し、撮像センサ11_Rに対して概ねY軸方向に離間している。なお、撮像センサ11_Rと複数の測距センサ12_R1~12_R4とは、X軸では、同じ位置に配置されなくてもよい。
【0026】
図1図2では、後端部8rに4個の測距センサ12_R1~12_R4が配される構成が例示されるが、後端部8rに配される測距センサ12の個数は、3個以下でもよいし、5個以上でもよい。複数個の測距センサ12は、車幅中央を通るX軸に対して、線対称に配置されることが望ましい。
【0027】
撮像センサ11_Rは、通信線41rを介してECU14に接続される。撮像センサ11_Rは、画像を取得可能な任意のセンサが用いられ得る。撮像センサ11_Rは、例えば、CMOSイメージセンサであってもよいし、CCDイメージセンサであってもよい。撮像センサ11_Rは、車体8の周辺の画像を取得可能であり、取得された画像に応じた画像データをECU14へ供給可能である。
【0028】
測距センサ12_R1~12_R4は、それぞれ、通信線42rを介してECU14に接続される。測距センサ12_R1~12_R4は、距離を測定可能な任意のセンサが用いられ得る。測距センサ12_R1~12_R4は、ソナーであってもよいし、レーダ(Radar)、ライダー(LiDAR)であってもよい。測距センサ12_R1~12_R4は、車体8の周辺の物体までの距離を示す信号を取得可能である。
【0029】
測距センサ12_R1~12_R4は、測定媒体(例えば、ソナーの場合における音波、レーダの場合における電波、ライダーの場合におけるレーザー光)の速度vと送波タイミングから受波タイミングまでの時間(Time of Flight)Tとに応じて、物体までの距離Lを示す信号を生成してもよい。
【0030】
なお、各々の測距センサ12_R1~12_R4は、例えば送波タイミングと受波タイミングとが交互に入れ替わるように構成されてもよい。例えば、測距センサ12_R1が送波し、測距センサ12_R4が受波し、測距センサ12_R2が送波し、測距センサ12_R1が受波し、測距センサ12_R3が送波し、測距センサ12_R2が受波し、測距センサ12_R4が送波し、測距センサ12_R3が受波し、測距センサ12_R1が送波し、測距センサ12_R4が受波する、といった動作が周期的に繰り返されてもよい。
【0031】
測距センサ12_R1~12_R4は、取得された信号をECU14へ供給可能である。
【0032】
ECU14は、物体検知装置2を含む。ECU14は、物体検知装置2を用いて、撮像センサ11_Rで取得された画像と測距センサ12_R1~12_R4で測定された距離とに応じて車体8の後方付近の物体を検知可能である。ECU14は、物体検知装置2の検知結果に応じて、車両1を制御し、所定の運転支援処理を実行可能である。
【0033】
以下では、簡略化のため、主として、後端部8rに取り付けられる撮像センサ11_R及び測距センサ12_R1~12_R4を用いて説明する。撮像センサ11_R、測距センサ12_R1~12_R4、通信線41r,42rを、単に、撮像センサ11、測距センサ12_1~12_4、通信線41,42と表記する。以下の説明は、前端部8fに取り付けられる撮像センサ11_F及び12_F1~12_F4についても同様に適用可能である。
【0034】
次に、車両1のハードウェア構成について図3を用いて説明する。
【0035】
車両1は、図1に示す構成に加えて、インタフェース(I/F)13、車両制御装置6及びバス13を有する。インタフェース13、ECU14、HMI7、車両制御装置6は、バス13を介して互いに通信可能に接続される。ECU14は、物体検知装置2に加えて、揮発性記憶部15、不揮発性記憶部16を含む。
【0036】
インタフェース13は、通信線41を介して撮像センサ11に接続され、通信線42を介して複数の測距センサ12_1~12_4に接続される。
【0037】
揮発性記憶部15は、一時的に情報を記憶可能な任意のデバイスが用いられ、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)であってもよい。不揮発性記憶部16は、不揮発に情報を記憶可能なデバイス又は装置が用いられ、例えば、フラッシュメモリであってもよいし、ハードディスクであってもよい。不揮発性記憶部16は、運転支援処理のためのプログラムPGを格納してもよい。
【0038】
ECU14は、車体8の後方(X軸の負方向)付近の物体が物体検知装置2で検知されることに応じて、車両制御装置6を制御して車両1を停止させたり、物体の存在に応じた警告情報をHMI7で報知させたりする。
【0039】
車両制御装置6は、車輪9f,9rを駆動制御する。車両制御装置6は、車輪9f,9rを回転させたり、車輪9f,9rの回転を停止させたり、車輪9f,9rを操舵させたりすることが可能である。車両制御装置6は、図示しないが、例えば車速センサ、アクセルセンサ、ブレーキセンサ、ブレーキアクチュエータ、及びエンジンコントローラ(又はモータコントローラ)などを含んでもよい。
【0040】
車両制御装置6は、ECU14の制御信号に応じて、ブレーキアクチュエータ及び/又はエンジンコントローラ(又はモータコントローラ)を制御することで、物体検知装置2が検知した物体を回避するよう車両1を制御してもよい。
【0041】
HMI7は、ECU14の制御信号に応じて、視覚的及び/又は聴覚的な手段で警告を示す情報を報知してもよい。HMI7は、警告を示す表示オブジェクトを生成して車室内の画面に表示させたり、警告音、警告メッセージの音声信号を生成して車室内のスピーカから出力させたりしてもよい。
【0042】
次に、車両1の機能構成について図4を用いて説明する。
【0043】
車両1は、撮像センサ11、複数の測距センサ12_1~12_4、物体検知装置2、駆動制御部16及び報知部17を有する。
【0044】
駆動制御部16は、車両制御装置6(図3参照)で実現され得る。報知部17は、HMI7で実現され得る。
【0045】
物体検知装置2は、複数の機能を含む。物体検知装置2に含まれる複数の機能は、その全てがECU14内でハードウェア的に(例えば、回路として)実現されていてもよい。物体検知装置2に含まれる複数の機能は、その全てがECU14内でソフトウェア的に実現されてもよい。物体検知装置2に含まれる複数の機能は、その一部がハードウェア的に実現され、残りの一部がソフトウェア的に実現されてもよい。ソフトウェア的に実現される機能は、ECU14がプログラムPGを実行することによりコンパイル時に一括して又は処理の進行に応じて逐次的に揮発性記憶部15に機能モジュールとして展開されてもよい。これにより、等価的に、当該機能がECU14内にソフトウェア的に実現されるとみなすことができる。
【0046】
物体検知装置2は、図4に示すように、検知処理部3、判断部4及び制御部5を含んでもよい。
【0047】
検知処理部3は、撮像センサ11、複数の測距センサ12_1~12_4と判断部4との間に配される。判断部4は、検知処理部3と制御部5との間に配される。制御部5は、判断部4と駆動制御部16、報知部17との間に配される。
【0048】
検知処理部3は、車体8の周辺の路面RD上に仮想的に座標空間を設定する。検知処理部3は、撮像センサ11の位置を原点として座標空間を設定してもよい。撮像センサ11で取得された画像から得られる情報として、被写体の方位の精度は比較的高いが、被写体までの距離の精度が比較的低い。測距センサ12_1~12_4の信号から得られる情報として、測定対象の方位の精度は比較的低いが、測定対象までの距離の精度が比較的高い。検知処理部3は、撮像センサ11で取得された画像と測距センサ12_1~12_4の信号とを組み合わせて用いる。検知処理部3は、撮像センサ11で取得された画像と測距センサ12_1~12_4で測定された距離とに応じて、路面RD上の座標空間における物体の有無及びその座標位置を検出する。
【0049】
例えば、検知処理部3は、距離算出部31、物体検出部32、推定部33、累積部34及び抽出部35を有してもよい。距離算出部31は、複数の測距センサ12_1~12_4と推定部33との間に配される。物体検出部32は、撮像センサ11と推定部33との間に配される。推定部33は、距離算出部31、物体検出部32と累積部34との間に配される。累積部34は、推定部33と抽出部35との間に配される。
【0050】
距離算出部31は、測距センサ12_1~12_4の信号を受ける。距離算出部31は、受けた信号から反射強度と距離とを抽出する。反射強度と距離(Ds)とが対応づけられた測距情報を生成する。距離算出部31は、測距情報を推定部33へ供給する。
【0051】
物体検出部32は、撮像センサ11で取得された画像を受ける。物体検出部32は、画像に対して特徴抽出を行い、特徴抽出結果に対して予め学習した特徴との比較処理を行うことなどにより、画像に含まれる物体を検出する。物体検出部32は、画像における物体の画素位置を特定してもよい。物体検出部32による検出結果は、画像における物体の画素位置と物体の種類とを含む。物体の種類は、例えば、歩行者、自転車等を含む。物体検出部32は、検出結果を推定部33へ供給する。
【0052】
なお、物体検出部32は、検出結果を距離算出部31に供給してもよく、検出結果を供給された距離算出部31は、歩行者、自転車等が存在する検出結果の場合、反射強度の閾値を下げて、受けた信号から反射強度と距離とを抽出してもよく、歩行者、自転車等が存在しない検出結果の場合、反射強度の閾値を下げずに、受けた信号から反射強度と距離とを抽出してもよい。これにより、検出結果に応じて、距離算出部31での抽出処理の負荷を軽減することができる。
【0053】
推定部33は、測距情報を距離算出部31から受け、検出結果を物体検出部32から受ける。推定部33は、撮像センサ11で取得される画像を用いて物体の方位θcを推定する。推定部33は、物体検出部32の検出結果から、画像における物体の画素位置の情報を抽出する。推定部33は、画像における物体の画素位置に応じて、カメラ検出距離Dcを省略して、物体の方位θcを推定してもよい。推定部33は、画像を用いて物体の位置(方位θc、カメラ検出距離Dc)をさらに推定してもよい。
【0054】
例えば、推定部33は、撮像センサ11(カメラ)の搭載高さ及び搭載角、レンズ特性などから推定する路面と物体検出部32により検出した物体が路面と接する位置から物体の位置を算出する。
【0055】
推定部33は、図5に示す画像から検出した物体OBの位置Pcから撮像センサ11を基準とした物体方位θcとカメラ検出距離Dcとを算出する。なお、推定部33は、画像から検出した物体OBとのカメラ検出距離Dcは算出しなくてもよい。また、距離算出部31が測定したソナー検出距離Dsを物体OBからの反射距離とみなして、画像から求めた物体OBの方位θc上にフュージョン距離Dfを算出し、推定結果を累積部34へ供給する。推定結果は、物体OBの方位に関する情報と物体OBの距離に関する情報とを含む。なお、撮像センサ11と測距センサ12とによる測定は、周期的に繰り返し行ってもよい。また、測距センサ12は、1回の測定によって、複数のソナー検出距離Dsを測定する場合もある。例えば、k回(kは1以上の整数)の測定を繰り返し、それぞれ、n個の距離を検出する場合、推定結果である累積部34へ供給される物体OBの方位に関する情報(θc(k))、フュージョン距離Df(k)、物体OBのソナー検出距離(Ds(k、n))に関する情報とはそれぞれk個、k×n個となる。なお、ソナー検出距離Ds(k、n)は、測定ごとに、nの値は異なる場合があり、k、nのそれぞれにおいて異なる距離となる場合がある。なお、図5では、測距センサ12_4が、1回の測定で、1つのソナー検出距離Ds(1、1)を検出していることを示す。
【0056】
累積部34は、推定結果を推定部33から受ける。累積部34は、撮像センサ11で取得された画像と測距センサ12_1~12_4で測定された距離との組み合わせに応じて路面RDに複数の座標領域を設定する。累積部34は、推定部33で推定された方位に対応する直線OR上に複数の座標領域を設定してもよい。累積部34は、複数の座標領域のそれぞれを、物体に応じた幅で直線上に設定してもよい。
【0057】
累積部34は、物体検出部32による検出結果に含まれた物体の種類の情報を参照し、物体の種類に応じた幅を特定(判定)する。物体が歩行者であれば、歩行者として予想される幅Wを特定する。なお、累積部34は、方位に対応する直線OR(図5参照)上で、図6に示すように、撮像センサ11からの距離Dcに対応する位置を含む幅Wの座標領域CR3を設定してもよい。累積部34は、座標領域CR3に対して、撮像センサ11に向かって幅Wの単位で座標領域CR2,CR1を順に設定し、撮像センサ11から遠方に幅Wの単位で座標領域CR4,CR5,CR6を順に設定してもよい。また、累積部34は、フュージョン距離Dfの分布状況に合わせて幅Wの座標領域を設定してもよい。
【0058】
例えば、反射強度を縦軸に取り、直線OR上における撮像センサ11からの距離を横軸にとって、フュージョン距離Dfの算出に使用した測距センサ12の信号で示される反射強度をプロットすると、図7のような反射強度の分布が得られる。図7では、撮像センサ11の画像から特定された物体OBまでの距離Dcに対応する位置が白三角で示される。図7に示す反射強度の分布では、物体OBからの反射強度と路面RDからの反射強度とが、混在しており且つその強度の大きさが類似している。このため、図7の状態では、物体検知装置は、反射強度を基準に物体OBを判断することは困難である。
【0059】
累積部34は、路面RDからの反射強度の平均的な大きさより若干大きいレベルで閾値Sth1を設定することができる。これにより、壁など反射強度が比較的大きな物体に対して、累積部34は、複数の反射強度のうち、閾値Sth1を超える反射強度(図示なし)を物体の反射強度として路面RDの反射強度と区別することができる。
【0060】
しかし、図7のように、歩行者など反射強度が壁などより比較的小さな物体は、閾値Sth1以下に埋もれてしまい、さらに路面RDの反射強度も混在するため、累積部34は、物体の反射強度を路面RDの反射強度と区別することが困難である。
【0061】
ここで、図8の(a)、(b)では、歩行者に対して、撮像センサ11で取得された画像から得られる情報として、特定された方位θcが実線の直線ORで示される。
【0062】
測距センサ12_1~12_4の信号から得られる情報として、図8の(a)、(b)では、歩行者に対して、測距センサ12_3で測定される距離が一点鎖線の円で示され、測距センサ12_4で測定される距離が点線の円で示される。なお、図8の(a)、(b)では、測距センサ12で得られる距離は、おおよそ歩行者の位置と一致する。
【0063】
測距センサ12の送信波に対して、物体(例えば、歩行者)の反射箇所は、図9(a)、(b)に示すように、Z軸方向のばらつきがあるもののXY平面上の位置がある程度密集している。なお、図8の(a)、(b)に示すように、密集しているXY平面上の位置は、物体に対応し、直線ORの付近に存在する。このため、物体(例えば、歩行者)が複数の測距センサ12で測定される距離は、図8の(a)の直線ORと一点鎖線の円及び点線の円とのそれぞれの交点で示されるように、直線OR上における特定の領域に密集しやすい。
【0064】
一方、路面RDの反射箇所は、図8の(b)の白三角、図9の(c)の黒丸に示すように、XY平面上の位置がばらついている。ばらついているXY平面上の位置は、物体(例えば、歩行者)と異なり、直線ORの付近に存在していない。このため、路面RDが複数の測距センサ12で測定される距離は、図8の(b)に直線ORと一点鎖線の円及び点線の円とのそれぞれの交点で示されるように、直線OR上でばらつく傾向にある。
【0065】
図8の(a)と図8(b)とを比較すると、物体及び路面RD間のばらつき具合いの違い、例えば、算出したフュージョン距離のばらつきに着目することで、複数の反射強度から物体の反射強度と路面RDの反射強度とを区別できることが期待される。
【0066】
そのため、累積部34は、反射強度用の閾値を下げて、物体及び路面RDの反射強度をそれぞれ拾うようにする。累積部34は、直線OR上に設定された複数の座標領域のそれぞれで、測距センサ12の信号で示す反射強度を累積させる。
【0067】
例えば、図7に示すように、累積部34は、閾値のレベルをSth1からSth2へ下げる。閾値Sth2のレベルは、路面RDからの反射強度の平均的な大きさより若干小さいレベルである。図7の場合、閾値Sth2を超える反射強度として、座標領域CR2に1個の反射強度が分布し、座標領域CR4に4個の反射強度が分布し、座標領域CR6に2個の反射強度が分布する例が示される。
【0068】
累積部34は、複数の反射強度のうち閾値Sth2を超える反射強度を、直線OR上の複数の座標領域CR1~CR6のそれぞれで累積させる。図7の場合、累積部34は、座標領域CR2で1個の反射強度を累積させ、座標領域CR4で4個の反射強度を累積させ、座標領域CR6で2個の反射強度を累積させる。これにより、累積部34は、図10に示すような累積結果を得ることができる。図10では、座標領域CR1~CR6ごとの累積反射強度の分布がヒストグラムで示される。以上の説明では座標領域CR1~CR6を撮像センサ11から求めた距離Dcを基準に設定したが、座標領域CRの設定においては直線OR上の反射強度の一番高いフュージョン距離Dfを基準に幅Wの単位で設定してもよい。
【0069】
累積部34は、累積結果を抽出部35へ供給する。
【0070】
抽出部35は、累積結果を累積部34から受ける。抽出部35は、累積部34の累積結果から物体の座標位置を抽出する。抽出部35は、直線OR上に設定される複数の座標領域のうち測距センサ12の信号で示す反射強度の累積値が閾値を超える座標領域に対応する座標位置を物体の座標位置として抽出する。このとき、抽出部35は、累積反射強度用の閾値を物体に応じたレベルで設定してもよい。あるいは非検知対象とする路面などの物体の累積反射強度を上回る閾値に設定してもよい。これにより、抽出部35は、検知対象の物体に応じた適正なレベルの閾値を用いて、物体の座標位置として抽出できる。
【0071】
例えば、抽出部35は、物体検出部32による検出結果に含まれた物体の種類の情報を参照し、物体の種類に応じたレベルを特定する。物体が歩行者であれば、歩行者として予想される累積反射強度を特定し、図10に示すように、特定されたレベルより低いレベルでかつ路面などの非検知対象物の想定される累積反射強度より高いレベルで、累積反射強度用の閾値CSthのレベルを設定する。抽出部35は、各座標領域CR1~CR6の累積反射強度と閾値CSthとを比較する。抽出部35は、複数の座標領域CR1~CR6のうち、累積反射強度が閾値CSthを超えている座標領域CR4の距離Dtに対応する座標位置を物体OBの座標位置とすることができる。
【0072】
抽出部35は、抽出された座標位置が撮像センサ11の画像から推定される位置を含む所定の位置範囲に収まるかどうかで、抽出された座標位置の確からしさを確認してもよい。抽出部35は、抽出された座標位置が所定の位置範囲に収まれば、抽出された座標位置が物体の座標位置として「確からしい」として判断部4へ出力し、抽出された座標位置が所定の位置範囲に収まらなければ、抽出された座標位置が物体の座標位置として「確からしくない」として破棄してもよい。
【0073】
例えば、抽出部35は、図10に点線の三角で示される距離Dcに対応する座標位置を中心としその前後所定長さ(例えば、前後に1.5×Wの長さ)の位置範囲ΔPを所定の位置範囲として設定する。図10の場合、抽出された距離Dtに対応する座標位置は、所定の位置範囲ΔPに収まっている。このため、抽出部35は、抽出された座標位置が物体OBの座標位置として確からしいとして判断部4へ出力することができる。
【0074】
以上の説明では座標領域CRの距離Dcを用いて説明したが、距離分解能を上げるために座標領域CRの累積反射強度を構成するフュージョン距離Dfの一つを選んで処理してもよい。
【0075】
図4に示す検知処理部3は、検知結果を判断部4へ供給する。検知結果は、物体の有無及びその座標位置の情報を含む。
【0076】
判断部4には、路面上の座標空間における衝突の可能性が高い位置範囲が衝突判断範囲として予め設定されている。判断部4は、検知処理部3から検知結果を受けると、検知結果に応じて、物体の座標位置が衝突判断範囲内か否かを判断する。判断部4は、判断結果を制御部5へ供給する。
【0077】
制御部5は、判断結果に応じて、運転支援処理を実行可能である。制御部5は、物体の座標位置が衝突判断範囲外であれば、注意喚起の情報を生成して報知部17へ供給する。これにより、報知部17は、注意喚起の情報をユーザに向けて報知する。
【0078】
制御部5は、物体の座標位置が衝突判断範囲内であれば、ブレーキの作動の要求を含む制御情報を生成して駆動制御部16へ供給する。これにより、駆動制御部16は、ブレーキを作動させて車両1を停止させる。それとともに、制御部5は、警告の情報を生成して報知部17へ供給する。これにより、報知部17は、警告の情報をユーザに向けて報知する。
【0079】
次に、物体検知装置2の動作について図11を用いて説明する。
【0080】
物体検知装置2の検知処理部3において、距離算出部31は、測距センサ12_1~12_4から測距情報を取得する(S1)。距離算出部31は、受けた信号から反射強度と距離とを抽出する。距離算出部31は、反射強度と距離とが対応づけられた測距情報を生成する。距離算出部31は、測距情報を推定部33へ供給する。
【0081】
物体検出部32は、撮像センサ11より画像データを取得し、取得画像より検出処理を実行する(S2)。物体検出部32は、画像に対して特徴抽出を行い、特徴抽出結果に対して予め学習した特徴との比較処理を行うことなどにより、画像に含まれる物体を検出する。物体検出部32は、画像における物体の画素位置を特定してもよい。物体検出部32による検出結果は、画像における物体の画素位置と物体の種類とを含む。物体の種類は、例えば、歩行者、自転車等を含む。物体検出部32は、検出結果を推定部33へ供給する。
【0082】
推定部33は、物体検出部32の検出結果が人など検知処理対象物であるか否か判断する(S3)。推定部33は、検出結果に含まれた物体の種類の情報を参照し、物体の種類の情報に応じて、検出結果が検知処理対象物であるか否か判断してもよい。
【0083】
検出結果が検知処理対象物でなければ(S3でNo)、推定部33は、処理をS1に戻す。なお、この場合、反射強度は十分大きいので、撮像センサ11による位置推定は省略して、複数の測距センサ12による位置推定を行ってもよい。
【0084】
検出結果が検知処理対象物であれば(S3でYes)、累積部34は、反射強度用の閾値を下げて、物体及び路面RDの反射強度をそれぞれ拾うようにする(S4)。累積部34は、図7のように、閾値のレベルをSth1からSth2へ下げる。閾値Sth2のレベルは、路面RDからの反射を含む検知対象物の反射強度が閾値を超えるレベルに設定する。なお、推定部33で検出結果が検知処理対象物である場合、測距センサ12の閾値を下げた後に、再度、測距してもよい。
【0085】
推定部33は、撮像センサ11で取得される画像を用いて物体の方位θcを推定する。推定部33は、物体検出部32の検出結果から、画像における物体の画素位置の情報を抽出する。また、推定部33は、距離算出部31が測定した物体距離Dsを物体OBからの反射距離とみなして、画像から求めた物体OBの方位θc上にフュージョン距離Dfを算出する。
【0086】
累積部34は、算出した推定結果を推定部33から受ける。累積部34は、撮像センサ11で取得された画像と測距センサ12_1~12_4で測定された距離Dsとの組み合わせに応じて路面RDに複数の座標領域を設定する(S5)。累積部34は、推定部33で推定された方位に対応する直線OR上に複数の座標領域を設定してもよい。累積部34は、複数の座標領域のそれぞれを、物体に応じた幅で直線上に設定してもよい。
【0087】
累積部34は、複数の座標領域のそれぞれで反射強度を積算し、距離vs累積反射強度分布を求める(S6)。累積部34は、複数の反射強度のうち閾値Sth2を超える反射強度を、直線OR上の複数の座標領域CR1~CR6のそれぞれで累積させる。累積部34は、累積結果を抽出部35へ供給する。
【0088】
抽出部35は、閾値を上回る累積反射強度の距離に対応する座標位置を検知対象の座標位置として抽出する(S7)。抽出部35は、累積結果を累積部34から受ける。抽出部35は、累積反射強度用の閾値を物体に応じたレベルで設定する。抽出部35は、直線OR上に設定される複数の座標領域のうち測距センサ12の信号で示す反射強度の累積値が閾値を超える座標領域に対応する座標位置を物体の座標位置として抽出する。
【0089】
なお、抽出部35は、抽出された検知対象が撮像センサ11の検知座標と比較して、妥当性のある範囲内であるか判断してもよい。
【0090】
抽出部35は、抽出された座標位置が撮像センサ11の画像から推定される位置を含む所定の位置範囲に収まるかどうかで、抽出された座標位置の確からしさを確認する。抽出部35は、抽出された座標位置が所定の位置範囲に収まれば、抽出された座標位置が物体の座標位置として「確からしい」として判断部4へ出力し、抽出された座標位置が所定の位置範囲に収まらなければ、抽出された座標位置が物体の座標位置として「確からしくない」として破棄してもよい。なお、抽出部35は、撮像センサ11の検知座標の代わりに、測距センサ12の検知距離を用いてもよい。
【0091】
以上のように、実施形態では、物体検知装置2において、撮像センサ11で取得された画像と測距センサ12で測定された距離との組み合わせに応じて路面RDに設定される複数の座標領域のそれぞれで測距センサ12の信号を累積させ、その累積結果から物体の座標位置を抽出する。これにより、測距センサ12の閾値を下げて感度を上げながら反射強度が比較的小さい物体と路面とを区別して検知できるので、撮像センサ11及び測距センサ12の組み合わせによる検知可能な反射強度の範囲を拡大でき、反射強度の小さい検知対象物であっても位置検出の精度を向上することができる。
【0092】
なお、上述の実施形態の物体検出装置において、各構成要素に用いた「・・・部」という表記は、上述のとおり、「・・・回路(circuitry)」、「・・・アッセンブリ」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されうる。
【0093】
また、上述の実施形態の物体検出装置は、例えば不揮発性記憶部16にインストールされているプログラムPGをECU14が実行することにより、物体検出処理を行うこととした。
【0094】
しかし、物体検出装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disc)等のECU14で読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。あるいは、ネットワークを介してプログラムをダウンロードし、ECU14で実行させてもよい。
【0095】
また、物体検出装置の機能の少なくとも一部が、CPUを有さない専用のハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0096】
このように、上述の実施形態の物体検出装置は、ソフトウェア、ハードウェア、またはハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。また、上述の実施形態の物体検出装置は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータープログラム、または記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータープログラム、及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。なお、プログラム製品は、コンピュータープログラムが記録されたコンピュータが読み取り可能な媒体である。
【0097】
また、上述の実施形態の物体検出装置の各機能ブロックは、部分的に、または全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上述の実施形態の物体検出装置の各処理は、部分的に、または全体的に、1つのLSIまたはLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように1つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力とを備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0098】
ただし、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはLSI内部の回路セルの接続および設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。上述の実施形態の物体検出装置の各処理が、デジタル処理またはアナログ処理として実現されてもよい。
【0099】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてあり得る。
【0100】
本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、本開示の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、本開示の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された本開示とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0101】
1 車両
2 物体検知装置
3 検知処理部
4 判断部
5 制御部
31 距離算出部
32 物体検出部
33 推定部
34 累積部
35 抽出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11