(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024821
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 1/56 20060101AFI20250214BHJP
E06B 1/62 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
E06B1/56 B
E06B1/56 A
E06B1/62 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129111
(22)【出願日】2023-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】服部 智弥
(72)【発明者】
【氏名】大東 正樹
(72)【発明者】
【氏名】田代 裕規
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011JA02
2E011KB03
2E011KC03
2E011KD26
2E011KE02
2E011KE07
2E011KF01
(57)【要約】
【課題】下枠の室内側に設けられる下枠カバー部材を備え、下枠の室内側の部分における下枠カバー部材が設けられる高さが異なっても容易に対応できる建具を提供すること。
【解決手段】建具1Aは、建物躯体100の開口部に取り付けられる枠体3と、枠体3の下枠32の室内側X2に取り付けられ、建物躯体100の室内側X2の床面101aに向かって下り傾斜で延びる下り傾斜面を有する下枠カバー部材5と、下枠カバー部材5と床面101aとの間に配置される少なくとも1以上の高さ調整スペーサ部材6と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体の開口部に取り付けられる枠体と、
前記枠体の下枠の室内側に取り付けられ、前記建物躯体の室内側の床面に向かって下り傾斜で延びるカバー部材下り傾斜面を有する下枠カバー部材と、
前記下枠カバー部材と前記床面との間に配置される少なくとも1以上の高さ調整スペーサ部材と、を備える、建具。
【請求項2】
前記高さ調整スペーサ部材は、前記下枠カバー部材の前記カバー部材下り傾斜面の延長線上に沿って下り傾斜で延びるスペーサ下り傾斜面を有する、請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記高さ調整スペーサ部材は、前記下枠カバー部材に対する室内外方向の位置を規制する位置規制部を有する、請求項1又は2に記載の建具。
【請求項4】
複数の前記高さ調整スペーサ部材を備える場合において、複数の前記高さ調整スペーサ部材が高さ方向に重ねて配置され、
複数の前記高さ調整スペーサ部材のうちの下方側に配置される高さ調整スペーサを室内側にずらして配置可能なように、前記高さ調整スペーサ部材の上面の高さが、室内側が室外側よりも低い階段状に形成される、請求項1又は2に記載の建具。
【請求項5】
前記高さ調整スペーサ部材は、高さ調整可能に切断可能な切断用溝を有する脚部を有する、請求項1又は2に記載の建具。
【請求項6】
前記下枠カバー部材の床面側の先端部は、軟質の樹脂製の部材により構成され、
前記高さ調整スペーサ部材の床面側の先端部は、軟質の樹脂製の部材により構成される、請求項1又は2に記載の建具。
【請求項7】
前記枠体は、前記建物躯体の開口部に取り付けられる既設枠と、前記既設枠の内周側に取り付けられる新設枠と、を有し、
前記建具は、改装建具である、請求項1又は2に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下枠の室内側に掃き出し部材(下枠カバー部材)が取り付けられた掃き出し窓タイプの建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。掃き出し部材は、下枠の室内側の部分において床面までをカバーして覆っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
掃き出し窓タイプの建具においては、下枠の室内側に取り付けられる掃き出し部材は、下枠の大きさや納まりなどによって、掃き出し部材が取り付けられる部分の下枠の室内側の部分の高さが異なる。そのため、下枠の室内側の部分の高さに応じて、高さが異なる掃き出し部材を準備する必要があった。
【0005】
本開示は、下枠の室内側に設けられる下枠カバー部材を備え、下枠の室内側の部分における下枠カバー部材が設けられる高さが異なっても容易に対応できる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、建物躯体の開口部に取り付けられる枠体と、前記枠体の下枠の室内側に取り付けられ、前記建物躯体の室内側の床面に向かって下り傾斜で延びるカバー部材下り傾斜面を有する下枠カバー部材と、前記下枠カバー部材と前記床面との間に配置される少なくとも1以上の高さ調整スペーサ部材と、を備える、建具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】従来の実施形態の改装建具を室内側から見た場合の正面図である。
【
図2】従来の実施形態の改装建具であって、掃き出し部材と床面との間に高さ調整スペーサ部材を設けない場合を示す図である。
【
図3】第1実施形態の改装建具であって、掃き出し部材と床面との間に1段の高さ調整スペーサ部材を設けた場合を示す図である。
【
図4】第1実施形態の改装建具であって、1段の高さ調整スペーサ部材をねじ固定により掃き出し部材に取り付けた場合を示す図である。
【
図5】第1実施形態の第1変形例であって、1段の高さ調整スペーサ部材を嵌合により掃き出し部材に取り付けた場合を示す図である。
【
図6】第1実施形態の第2変形例であって、1段の高さ調整スペーサ部材を接着部材により掃き出し部材に取り付けた場合を示す図である。
【
図7】第2実施形態の改装建具であって、掃き出し部材と床面との間に2段の高さ調整スペーサ部材を設けた場合を示す図である。
【
図8】第2実施形態の改装建具であって、2段の高さ調整スペーサ部材をねじ固定により掃き出し部材に取り付けた場合を示す図である。
【
図9】第2実施形態の第1変形例であって、2段の高さ調整スペーサ部材を嵌合により掃き出し部材に取り付けた場合を示す図である。
【
図10】第2実施形態の第2変形例であって、2段の高さ調整スペーサ部材を接着部材により掃き出し部材に取り付けた場合を示す図である。
【
図11】第3実施形態の改装建具であって、2段の高さ調整スペーサ部材をねじ固定により掃き出し部材に取り付けた場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。本実施形態に係る改装建具1(建具)は、既設枠2が建物躯体100の開口部に取り付けられた状態で、既設枠2に新設枠3を取り付けるリフォーム用の改装建具である。本明細書において、見込方向とは、改装建具1における室内外方向に沿う方向である。見付方向とは、改装建具1における面材の面方向に沿う方向であり、見込方向に対して直交する方向である。図面において、改装建具1の室外側を「室外側X1」とし、改装建具1の室内側を「室内側X2」とする。改装建具1を正面視したときの横方向を「左右」とする。改装建具1を正面視したときの改装建具1の中央部に向かう方向を「内方」とし、改装建具1の中央部から離れる方向を「外方」とする。
【0009】
従来の実施形態1,第1実施形態1A及び第2実施形態の改装建具1Bについて説明する。従来の実施形態1,第1実施形態1A及び第2実施形態の改装建具1Bは、室内側X2の下部に掃き出し部材5,5A(下枠カバー部材)が設けられた掃き出し窓タイプの建具である。掃き出し窓タイプの改装建具1は、新設下枠32の室内側X2の部分において、掃き出し部材5,5A及び高さ調整スペーサ部材6A,6B,6X,6Y,6XA,6YAが床面101aまで延びてカバーすることで覆われている。
【0010】
図2に示す従来の実施形態において、掃き出し部材5,5Aと床面101aとの間に高さ調整スペーサ部材6が設けられていない構成について説明し、
図3に示す第1実施形態において、掃き出し部材5と床面101aとの間に1段の高さ調整スペーサ部材6A,6Bが設けられる構成について説明し、
図7に示す第2実施形態において、掃き出し部材5と床面101aとの間に2段の高さ調整スペーサ部材6X,6Y,6XA,6YAが設けられる構成について説明する。
【0011】
図1及び
図2に示すように、従来の実施形態に示す改装建具1は、建物躯体100の開口部に納められた引き違い窓タイプの改装サッシである。改装建具1は、
図1に示すように、既設枠2と、新設枠3と、2枚の障子41,42と、1枚の網戸43(
図2参照)と、を有する。既設枠2は、建物躯体100の開口部における上下左右の四周に亘って取り付けられる。新設枠3は、既設枠2の内周側における上下左右の四周に亘って取り付けられる。障子41,42及び網戸43は、新設枠3の内側に左右方向にスライド移動可能に納められる。
図1に示すように、室内側X2に配置される障子41には、クレセント錠44が取り付けられている。
図1において、網戸43は図示を省略している。
【0012】
既設枠2は、
図1に示すように、既設上枠21、既設下枠22及び左右一対の既設縦枠23の4つの枠部材を矩形に四方組みすることによって形成され、改装前の建物躯体100の開口部の内側に取り付けられている。既設上枠21、既設下枠22及び左右一対の既設縦枠23は、それぞれアルミニウム等の金属製または塩化ビニル等の樹脂製の押出形材からなる。
【0013】
既設上枠21は、建物躯体100の開口部の上方で左右方向に沿って延びる長尺の材である。既設下枠22は、建物躯体100の開口部の下方で左右方向に沿って延びる長尺の部材である。一対の既設縦枠23は、建物躯体100の開口部の左右方向の両端部で上下方向に延びる長尺の部材である。
【0014】
新設枠3(枠体)は、既設枠2の内周側に配置される。新設枠3は、矩形の枠状に形成される。新設枠3は、アルミニウム製の形材により構成される。新設枠3は、新設上枠31と、新設下枠32と、左右一対の新設縦枠33と、を有する。
【0015】
新設上枠31は、建物躯体100の開口部の上方で左右方向に沿って延びる長尺の部材である。新設下枠32は、建物躯体100の開口部の下方で左右方向に沿って延びる長尺の部材である。一対の新設縦枠33は、建物躯体100の開口部の左右方向の両端部で上下方向に延びる長尺の部材である。
【0016】
図2及び
図3により、既設下枠22,22A及び新設下枠32,32Aの固定構造について説明する。既設下枠22,22A及び新設下枠32,32Aの固定構造において、新設下枠32,32Aの室内側X2には、掃き出し部材5(下枠カバー部材)が取り付けられている。既設下枠22,22A及び新設下枠32,32Aの固定構造において、新設下枠32,32Aの納まりにより、新設下枠32,32Aの室内側X2の部分において、掃き出し部材5を設ける部分の高さが異なる場合がある。
【0017】
新設下枠32の室内側X2の部分における掃き出し部材5を設ける部分の高さZ1が、掃き出し部材5の高さH1と同じ高さである場合には、
図2に示す従来の実施形態のように、掃き出し部材5をそのまま使用する。また、掃き出し部材5の高さH1よりも高さが高い場合には、
図3に示す第1実施形態のように、掃き出し部材5と床部材101の床面101aとの間に高さ調整スペーサ部材6を設ける。これにより、新設下枠32,32Aの室内側X2の部分における掃き出し部材5を設ける部分の高さが異なる場合においても、掃き出し部材5を共通で使用することができる。
【0018】
まず、
図2により、従来の実施形態において、掃き出し部材5と床部材101の床面101aとの間に高さ調整スペーサ部材6を配置しない場合について説明する。従来の実施形態においては、新設下枠32の室内側X2には、掃き出し部材5(下枠カバー部材)が取り付けられている。従来の実施形態においては、掃き出し部材5は、新設下枠32の室内側X2の部分における掃き出し部材5を設ける部分に対応する高さで形成されている。
【0019】
既設下枠22は、
図2に示すように、建物躯体100の開口部の下部に配置され、開口部における室外側X1に片寄った位置に固定されている。既設下枠22は、それぞれ上方に向けて突出する既設障子用の一対のガイドレール221a、221bと、既設網戸用のガイドレール221cと、を有する。既設下枠22の高さは、最も室内側X2のガイドレール221aから最も室外側X1のガイドレール221cにかけて、次第に低くなるように形成されている。
【0020】
新設下枠32は、既設下枠22から床部材101に亘る部位の内周側に配置される。新設下枠32は、既設下枠22の長さ方向に沿って左右方向に延びている。新設下枠32は、既設下枠22のガイドレール211cから床部材101の見込方向の中央部付近に亘る見込方向の長さを有する。
【0021】
新設下枠32は、金属枠部材であり、それぞれアルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる。新設下枠32は、室外側X1に配置され既設下枠22の形状に沿うように下方に向けて膨出する形状の中空部3201と、中空部3201の室内側X2に配置され見込方向に延びる断面略矩形状の中空部3202と、を有する。
【0022】
新設下枠32は、上方に突出するガイドレール324a,324b,324cを有する。ガイドレール324a,324b,324cは、新設下枠32の見込方向において所定間隔をあけて上方に突出して形成される。ガイドレール324a,324b,324cは、室内側X2から室外側X1に向けてこの順に配置される。
【0023】
新設下枠32の室外側X1の部位には、高さ調整部材325が取り付けられる。高さ調整部材325は、新設下枠32から下方に延び、既設下枠22のガイドレール221b,221c間の上面22aに載置される。高さ調整部材325が調整されることによって、新設下枠32の室外側X1の高さが調整される。新設下枠32の室外側X1の側面には、アルミニウム等の金属材からなる化粧材326が室外側X1から着脱可能に取り付けられている。
【0024】
新設下枠32の最も室内側X2の部位には、新設下枠32を建物躯体100に固定するための取付部327が一体に設けられる。取付部327は、新設下枠32における室内側X2の端面320aの下部から室内側X2に向けて板状に延出している。
【0025】
取付部327の下面には、新設下枠32の長さ方向に延びる少なくとも一対の突条部3271が設けられる。一対の突条部3271は、取付部327の下面から僅かに下方に突出し、見込方向に所定の間隔をあけて平行に配置される。
【0026】
新設下枠32の室内側X2の部分は、床部材101の上方に配置される。取付部327は、スペーサ部材3272を介して、床部材101の上方に配置されている。新設下枠32は、室内側X2から取付部327を貫通するねじSC2によって、既設下枠22よりも室内側X2の建物躯体100に固定される。ねじSC2は、取付部327の一対の突条部3271の間を貫通する。一対の突条部3271は、床部材101に当接し、ねじSC2の締結トルクが作用した際の取付部327の変形を抑制する。
【0027】
新設枠3が既設枠2の内周側に取り付けられた状態において、既設下枠22と新設下枠32との間には、新設下枠32を既設下枠22に取り付けるための他の部材が介在していない。新設下枠32は、既設下枠22の内周側に直接的に上下に対面するように配置される。そのため、新設下枠32は、既設下枠22に可及的に近接して配置可能である。新設下枠32は、既設下枠22に固定されないため、既設下枠22に歪み等が生じていても、その歪みの状態に影響されずに取り付け可能である。ねじSC2は、既設下枠22と接触しないため、ねじSC2を介して既設下枠22と新設下枠32の室内側枠部材322との間で熱が伝達されることもない。
【0028】
新設下枠32の一対のガイドレール324a,324bの間には、樹脂製または木質由来材料製のカバー材3203が取り付けられる。
【0029】
新設下枠32の室内側X2には、樹脂製または木質由来材料製のアングル部材328が取り付けられている。アングル部材328は、新設下枠32の室内側X2の端面320aよりも室内側X2に向けて延びるアングル部3281を有し、取付部327を上方から覆っている。
【0030】
アングル部3281は、ガイドレール324a,324bの上端の位置と略等しい位置に配置されている。アングル部材328の室外側X1には、樹脂製または木質由来材料製のカバー材3282が一体に設けられている。カバー材3282は、新設下枠32のガイドレール324aよりも室内側X2の上面に沿って設けられている。
【0031】
建物躯体100に固定された後の新設下枠32の室内側X2には、掃き出し部材5(下枠カバー部材)が取り付けられている。掃き出し部材5は、ねじ5aによってアングル部材328に取り付けられている。新設下枠32の掃き出し部材5は、アングル部材328のアングル部3281に連続して室内側X2に向けて延びるとともに、床部材101に亘って配置される。アングル部材328に固定された掃き出し部材5は、アングル部材328と床部材101との間の新設下枠32を室内側X2から覆っている。ねじSC2の頭部は、掃き出し部材5の内側に配置される。
【0032】
掃き出し部材5は、掃き出し部材本体51と、先端突出部材55と、を有する。掃き出し部材本体51は、アングル部材328に取り付けられる。掃き出し部材本体51は、硬質の樹脂製の部材により構成される。先端突出部材55は、軟質の樹脂製の部材により構成される。
【0033】
掃き出し部材本体51は、アングル部3281と面一状にアングル部3281の室内側X2に配置される中空部を有する中空枠52と、中空枠52の下面部513における室外側X1の部分から下方に突出する掃き出し部材室外側脚部531と、中空枠52の下面部513における室内側X2の部分から下方に突出する掃き出し部材室内側脚部532と、アングル部材328に固定される固定部54と、を有する。
【0034】
中空枠52は、見込方向に水平に延びる上面部521と、上面部521の室内側X2の端部から室内側X2に向かうに従って下り傾斜で傾斜する下り傾斜面部522と、下り傾斜面部522の下端から室外側X1に水平に延びる下面板523と、室外側X1に配置される段差状の段差壁部524と、を有する。下り傾斜面部522の室内側X2の表面は、下り傾斜面522aを構成する。
【0035】
掃き出し部材室外側脚部531の下端部及び掃き出し部材室内側脚部532の下端部は、床部材101の床面101aに当接して配置される。掃き出し部材室外側脚部531及び掃き出し部材室内側脚部532の突出方向の途中には、切断用溝5311,5321が形成されている。掃き出し部材室外側脚部531及び掃き出し部材室内側脚部532を切断用溝5311,5321により切断することで、掃き出し部材5の高さの微調整を行うことができる。
【0036】
掃き出し部材5の固定部54は、中空枠52から室外側X1に向けて延びる固定部本体541と、固定部本体541からアングル部3281の裏面に向けて突出する一対のねじ挿入板部542と、によって構成される。ねじ5aは、アングル部3281を貫通し、一対のねじ挿入板部542の間を通って固定部本体541に螺入される。
【0037】
先端突出部材55は、掃き出し部材本体51の室内側X2の下部の先端に取り付けられる。先端突出部材55は、掃き出し部材5の床面101a側の先端部を構成する。先端突出部材55は、掃き出し部材本体51の室内側X2の下部の先端から室内側X2に向けて下り傾斜で傾斜して突出する。先端突出部材55の室内側X2の表面は、下り傾斜面551を構成する。
【0038】
先端突出部材55の下り傾斜面551は、中空枠52の下り傾斜面522aと同一傾斜面上に連続して下り傾斜で延びる。中空枠52の下り傾斜面522aと先端突出部材55の下り傾斜面551とは、掃き出し部材5の下り傾斜面520(カバー部材下り傾斜面)を構成する。掃き出し部材5の下り傾斜面520は、新設下枠32の室内側X2において、建物躯体100の室内側X2の床部材101の床面101aに向かって下り傾斜で延びる。先端突出部材55は、軟質の樹脂製であるため、床部材101の床面101aに追従するように変形して、床部材101の床面101aに沿って配置される。
【0039】
従来の実施形態においては、掃き出し部材5は、掃き出し部材室外側脚部531の下端部及び掃き出し部材室内側脚部532の下端部から中空枠52の上面部521までの上下方向の高さH1が、室内側X2の床部材101の床面101aから新設下枠32のアングル部材328の上面までの高さZ1と同じ高さで形成されている。これにより、室内側X2の下端部において、新設下枠32から床部材101の床面101aに亘って掃き出し部材5が配置されることで、新設下枠32から床部材101の床面101aに亘って覆い隠すことができる。
【0040】
次に、
図3により、第1実施形態について説明する。第1実施形態は、
図3に示すように、
図2に示す従来の実施形態と比べて、既設下枠22A及び新設下枠32Aの構成と、従来の実施形態では掃き出し部材5と床部材101の床面101aとの間に高さ調整スペーサ部材6を配置していないのに対して、掃き出し部材5(下枠カバー部材)と床部材101の床面101aとの間に1段の高さ調整スペーサ部材6を配置している構成とが、主に異なる。第1実施形態の説明において、従来の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0041】
図3に示すように、第1実施形態においては、新設下枠32Aは、室外側枠部材321と室内側枠部材322とに見込方向に2分割されている。室外側枠部材321及び室内側枠部材322は、いずれも金属枠部材であり、それぞれアルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる。室外側枠部材321と室内側枠部材322とは、連結部材323によって一体的に連結されている。連結部材323は、樹脂等の断熱性を有する部材からなり、新設下枠32Aにおける室外側枠部材321から室内側枠部材322への熱の伝達を遮断する。
【0042】
新設下枠32Aの室外側枠部材321は、既設下枠22Aの上方に配置される。室外側枠部材321は、既設下枠22Aの形状に沿うように下方に向けて膨出する形状の中空部3211を有する。室内側枠部材322は、連結部材323から室内側X2に向けて延びる断面略矩形状の中空部3221を有する。室内側枠部材322の下面板322aは、取付部327よりも上方の位置に配置され、見込方向に延びる。室内側枠部材322の室内側X2の端部の下端部には、段差壁部3222を介して、取付部327の室外側X1の端部に接続されている。
【0043】
新設下枠32Aの室内側枠部材322の下面板322aには、下方からスペーサ部材302と支持板3021とがねじ302aによって取り付けられ、床部材101に配置される既設下枠22Aの室内側X2の上面板223との間を埋めている。スペーサ部材302は、1枚以上のシートによって構成される。スペーサ部材302を構成するシートの厚み及びシートの積層数は、段差壁部3222の上下方向の深さ及び新設下枠32Aの室内側枠部材322と床部材101との間の隙間の大きさ等に応じて適宜設定される。
【0044】
支持板3021は、金属製の板材からなり、室内側枠部材322から連結部材323の下方を通って室外側枠部材321まで延びている。支持板3021の室外側X1の端部は、室外側枠部材321における連結部材323に隣接する部位の下面321bに当接し、ねじ302bによって取り付けられる。支持板3021は、室内側枠部材322と室外側枠部材321とを接続し、下方から室内側枠部材322及び室外側枠部材321を支持している。
【0045】
ここで、
図3に示すように、第1実施形態の改装建具1Aは、
図2に示す従来の実施形態の改装建具1よりも、新設下枠32Aにおいて、室内側枠部材322の室内側X2の端部の下端部と取付部327の室外側X1の端部との間に段差壁部3222が形成されており、従来の実施形態の新設下枠32Aの室内側X2の部分の高さZ1(
図2参照)よりも高く形成され、
図3に示すように、新設下枠32Aの室内側X2の部分の高さが高さZ2に形成される(Z2>Z1)。
【0046】
そのため、第1実施形態の改装建具1Aにおいては、掃き出し部材5と床部材101の床面101aとの間に、1段の高さ調整スペーサ部材6を配置する。1段の高さ調整スペーサ部材6は、掃き出し部材5の下面に取り付けられて、ねじ6113により固定される。
【0047】
図4に示すように、高さ調整スペーサ部材6は、スペーサ本体61と、先端突出部材65と、を有する。スペーサ本体61は、硬質の樹脂製の部材により構成される。先端突出部材65は、軟質の樹脂製の部材により構成される。
【0048】
スペーサ本体61は、上段部611と、中段部612と、下段部613と、上段部611と中段部612との間の段差6111と、中段部612と下段部613との間の段差6121と、上段部611の上面から突出する2つの凸部6112と、スペーサ部材室外側脚部614(脚部)と、スペーサ部材室内側脚部615(脚部)と、上段部611の室外側X1の端部から室外側X1に向けて突出する位置規制突出部616と、位置規制突出部616よりも下方側においてスペーサ部材室外側脚部614の途中から室外側X1に向けて位置規制突出部616よりも長い長さで突出する室外側支持突出部617と、を有する。
【0049】
上段部611、中段部612及び下段部613は、所定長さで見込方向に延びて形成され、室外側X1から室内側X2に向けて下る階段状にこの順に配置される。上段部611及び中段部612は、段差6111により接続される。中段部612及び下段部613は、段差6121により接続される。
【0050】
上段部611は、掃き出し部材5の掃き出し部材本体51の下面板523の室外側X1の部分の下方に配置される。上段部611の上面から、2つの凸部6112が上方に突出して形成される。2つの凸部6112は、掃き出し部材5の掃き出し部材本体51の下面板523の下面に当接する。これにより、上段部611は、2つの凸部6112が掃き出し部材5の掃き出し部材本体51の下面板523の下面に当接して、掃き出し部材5の掃き出し部材本体51を下方から支持する。上段部611は、下方から上方に向けて移動されるねじ6113により、掃き出し部材5の掃き出し部材本体51の下面板523に固定される。
【0051】
中段部612は、段差6111を介して、上段部611よりも低い位置において、見込方向に所定長さ延びる。下段部613は、段差6121を介して、中段部612よりも低い位置において、見込方向に所定長さ延びる。
【0052】
下段部613は、室外側X1に配置される下段部本体6131と、室内側X2に配置される室内側上段先端部6132と、を有する。室内側上段先端部6132は、下段部本体6131よりも僅かに高さが高く、かつ、中段部612よりも高さが低く形成されている。室内側上段先端部6132の室内側X2の先端の端面には、下り傾斜面6132aが形成される。
【0053】
下段部本体6131の上面には、掃き出し部材5の室内側X2に配置される掃き出し部材室内側脚部532の下端部が当接する。下段部本体6131は、掃き出し部材5の室内側X2に配置される掃き出し部材室内側脚部532を下方から支持する。
【0054】
中段部612(位置規制部、スペーサ側位置規制部)の室内側X2の端部は、掃き出し部材5の室内側X2に配置される掃き出し部材室内側脚部532の室外側X1の側面(下枠カバー部材側位置規制部)に当接又は近接して配置される。中段部612の室内側X2の端部は、掃き出し部材5の室内側X2に配置される掃き出し部材室内側脚部532により、室内側X2への移動が規制される。
【0055】
スペーサ部材室外側脚部614は、上段部611の室外側X1の端部から下方に突出する。スペーサ部材室内側脚部615は、下段部613の見込方向の途中において下方に突出する。スペーサ部材室外側脚部614の下端部及びスペーサ部材室内側脚部615の下端部は、いずれも、上下方向の位置が同じ位置に配置され、床部材101の床面101aに当接する。
【0056】
スペーサ部材室外側脚部614の上下方向の途中及びスペーサ部材室内側脚部615の付け根には、切断用溝6141,6151が形成されている。これにより、高さ調整スペーサ部材6は、高さ調整可能に切断可能な切断用溝6141,6151を有するスペーサ部材室外側脚部614スペーサ部材室内側脚部615を備える。スペーサ部材室外側脚部614及びスペーサ部材室内側脚部615を切断用溝6141,6151により切断することで、高さ調整スペーサ部材6の高さの微調整を行うことができる。
【0057】
位置規制突出部616(位置規制部、スペーサ側位置規制部)は、上段部611の室外側X1の端部から室外側X1に向けて突出する。これにより、位置規制突出部616の室外側X1の先端部は、掃き出し部材5の室外側X1に配置される掃き出し部材室外側脚部531の室内側X2の側面(下枠カバー部材側位置規制部)に当接又は近接して配置される。位置規制突出部616の室外側X1の先端部は、掃き出し部材5の室外側X1に配置される掃き出し部材室外側脚部531により、室外側X1への移動が規制される。
【0058】
室外側支持突出部617は、位置規制突出部616よりも下方側においてスペーサ部材室外側脚部614の途中から室外側X1に向けて位置規制突出部616よりも長い長さで突出する。これにより、室外側支持突出部617の上面には、掃き出し部材5の室外側X1に配置される掃き出し部材室外側脚部531の下端部が当接する。室外側支持突出部617は、掃き出し部材5の室外側X1に配置される掃き出し部材室外側脚部531の下端部を下方から支持する。
【0059】
先端突出部材65は、スペーサ本体61の下段部613の室内側X2の下部の先端に取り付けられる。先端突出部材65は、高さ調整スペーサ部材6の床面101a側の先端部を構成する。先端突出部材65は、スペーサ本体61の室内側X2の下部の先端から室内側X2に向けて下り傾斜で傾斜して突出する。先端突出部材65は、軟質の樹脂製であるため、床部材101の床面101aに追従するように変形して、床部材101の床面101aに沿って配置される。
【0060】
先端突出部材65は、掃き出し部材5の下面に高さ調整スペーサ部材6が取り付けられた場合に、掃き出し部材5の先端突出部材55が延びる傾斜方向の延長線上に沿って下り傾斜で傾斜して延びる。先端突出部材65の室内側X2の表面は、下り傾斜面651を構成する。先端突出部材65の下り傾斜面651は、スペーサ本体61の下段部613の下り傾斜面6132aと同一傾斜面上に連続して下り傾斜で延びる。
【0061】
スペーサ本体61の下段部613の下り傾斜面6132aと先端突出部材65の下り傾斜面651とは、高さ調整スペーサ部材6の下り傾斜面620(スペーサ下り傾斜面)を構成する。高さ調整スペーサ部材6の下り傾斜面620は、新設下枠32Aの室内側X2において、建物躯体100の室内側X2の床部材101の床面101aに向かって下り傾斜で延びる。
【0062】
このように、高さ調整スペーサ部材6は、掃き出し部材5の下面に高さ調整スペーサ部材6が取り付けられた場合に、掃き出し部材5の下り傾斜面520(下り傾斜面522a,551)の延長線上に沿って延びる下り傾斜面620(下り傾斜面6132a,651)を有する。これにより、掃き出し部材5の下り傾斜面520(下り傾斜面522a,551)と、高さ調整スペーサ部材6の下り傾斜面620(下り傾斜面6132a,651)とは、傾斜方向がほぼ一致した状態で、連続して、傾斜して延びる。
【0063】
第1実施形態においては、高さ調整スペーサ部材6のスペーサ部材室外側脚部614の下端部及びスペーサ部材室内側脚部615の下端部は、掃き出し部材室外側脚部531の下端部及び掃き出し部材室内側脚部532の下端部よりも、高さHaだけ、下方に位置する。そのため、高さ調整スペーサ部材6は、掃き出し部材5の下部に高さ調整スペーサ部材6を取り付けることで、掃き出し部材5と室内側X2の床面101aとの間の高さHaの分の高さを埋めることができる。
【0064】
以上のように構成される高さ調整スペーサ部材6を掃き出し部材5に取り付ける場合には、掃き出し部材5の下面の下方において、掃き出し部材5の下面に形成される掃き出し部材室外側脚部531及び掃き出し部材室内側脚部532との間に、高さ調整スペーサ部材6における位置規制突出部616から段差6121までの部分を挿入して、見込方向(室内外方向)の位置を規制した状態で、掃き出し部材5の下面に取り付ける。
【0065】
これにより、高さ調整スペーサ部材6は、見込方向(室内外方向)の移動が規制された状態で、掃き出し部材5の下面板523の下面に高さ調整スペーサ部材6の上段部611の上面から突出する2つの凸部6112が当接される。また、高さ調整スペーサ部材6は、室内側X2において、下段部本体6131の上面に掃き出し部材5の室内側X2に配置される掃き出し部材室内側脚部532の下端部が当接されて、室外側X1において、室外側支持突出部617の上面に掃き出し部材5の室外側X1に配置される掃き出し部材室外側脚部531の下端部が当接される。
【0066】
この状態で、高さ調整スペーサ部材6の上段部611を、高さ調整スペーサ部材6の上段部611の下方から上方に向けて移動されるねじ6113により、高さ調整スペーサ部材6の上段部611及び掃き出し部材5の下面板523を共締めすることで、掃き出し部材5の下面板523に固定する。そして、
図3に示すように、高さ調整スペーサ部材6を取り付けた掃き出し部材5を、ねじ5aにより、アングル部材328に固定する。
【0067】
以上のように、第1実施形態においては、
図4に示すように、新設下枠32Aの室内側X2の部分における掃き出し部材5を設ける部分の高さZ2が、
図2に示す従来の実施形態で使用した掃き出し部材5の高さH1よりも高さHaだけ大きい納まりである。このように、新設下枠32Aの室内側X2の部分の高さZ2が、従来の実施形態で使用した掃き出し部材5の高さH1よりも高さHaだけ大きい納まりの場合において、掃き出し部材5と床部材101の床面101aとの間に、掃き出し部材5に対する見込方向(室内外方向)の位置が規制された状態で、高さ調整スペーサ部材6を取り付けることができる。高さ調整スペーサ部材6は、位置規制突出部616(位置規制部、スペーサ側位置規制部)により、室外側X1への移動が規制されると共に、中段部612(位置規制部、スペーサ側位置規制部)の室内側X2の端部により、室内側X2への移動が規制されることで、掃き出し部材5に対する見込方向(室内外方向)の位置が規制されている。
【0068】
このようにして、新設下枠32Aの室内側X2の部分における掃き出し部材5を設ける部分の高さZ2が、従来の実施形態で使用した掃き出し部材5の高さH1よりも高さHaだけ大きい納まりの場合においても、高さ調整スペーサ部材6を配置することにより、掃き出し部材5を共通化できると共に、室内側X2の床部材101の床面101aから新設下枠32Aのアングル部材328の上面までの高さが異なる納まりの場合においても対応できる。よって、新設下枠32Aの室内側X2の部分における掃き出し部材5を設ける部分の高さに応じて、高さ調整スペーサ部材6を配置することで容易に対応できる。
【0069】
図5により、第1実施形態の第1変形例について説明する。
図4に示す第1実施形態において高さ調整スペーサ部材6が掃き出し部材5にねじ6113により固定されるのに対して、
図5に示す第1実施形態の変形例1においては、高さ調整スペーサ部材6Aは、嵌合により、掃き出し部材5Aに固定される。
【0070】
図5に示すように、第1実施形態の第1変形例の掃き出し部材5Aは、掃き出し部材室外側脚部531の下端部には、室内側X2に屈曲して室内側X2に突出する嵌合突出部5312が形成される。掃き出し部材室外側脚部531の嵌合突出部5312は、高さ調整スペーサ部材6Aが掃き出し部材5に取り付けられる場合に、高さ調整スペーサ部材6Aの位置規制突出部616及び室外側支持突出部617の間に配置される。
【0071】
掃き出し部材室内側脚部532の下端部には、室外側X1に突出する掃き出し部材側嵌合突起5322が形成されている。高さ調整スペーサ部材6Aの中段部612の室内側X2の端部には、室内側X2に突出するスペーサ部材側嵌合突起612aが形成されている。掃き出し部材室内側脚部532の掃き出し部材側嵌合突起5322は、高さ調整スペーサ部材6Aが掃き出し部材5に取り付けられる場合に、高さ調整スペーサ部材6Aの中段部612の室内側X2の端部に形成されるスペーサ部材側嵌合突起612aが嵌合する。
【0072】
これにより、第1実施形態の変形例1においては、高さ調整スペーサ部材6Aを掃き出し部材5に取り付ける場合に、室外側X1において、掃き出し部材室外側脚部531の嵌合突出部5312を、高さ調整スペーサ部材6Aの位置規制突出部616及び室外側支持突出部617の間に配置して、室内側X2において、掃き出し部材室内側脚部532の掃き出し部材側嵌合突起5322を、高さ調整スペーサ部材6Aのスペーサ部材側嵌合突起612aに嵌合させることで、高さ調整スペーサ部材6Aを、見付方向の位置が規制された状態で、掃き出し部材5Aに嵌合して容易に取り付けることができる。
【0073】
図6により、第1実施形態の第2変形例について説明する。
図4に示す第1実施形態において高さ調整スペーサ部材6が掃き出し部材5にねじ6113により固定されるのに対して、
図6に示す第1実施形態の変形例2においては、高さ調整スペーサ部材6Bは、接着部材618により、掃き出し部材5に固定される。接着部材618としては、例えば、両面テープや接着剤などを挙げることができる。
【0074】
図6に示すように、第1実施形態の第2変形例の高さ調整スペーサ部材6Bは、上段部611Aの上面には、
図4に示す上段部611の2つの凸部6112が設けられていない。高さ調整スペーサ部材6Bの上段部611Aの上面と掃き出し部材5の下面板523の下面との間には、接着部材618が配置されている。これにより、接着部材618により、高さ調整スペーサ部材6Bを、見付方向の位置が規制された状態で、掃き出し部材5に容易に取り付けることができる。
【0075】
第1実施形態の改装建具1は、以下の効果を有する。
【0076】
第1実施形態の改装建具1Aは、建物躯体100の開口部に取り付けられる新設枠3と、新設枠3の新設下枠32Aの室内側X2に取り付けられ、建物躯体100の室内側X2の床面101aに向かって下り傾斜で延びる下り傾斜面520を有する下枠カバー部材5と、下枠カバー部材5と床面101aとの間に配置される少なくとも1以上の高さ調整スペーサ部材6と、を備える。そのため、新設下枠32Aの室内側X2の部分における掃き出し部材5を設ける部分の高さが異なる納まりの場合においても、掃き出し部材5と床面101aとの間に高さ調整スペーサ部材6を設けることで、高さが異なる複数種類の掃き出し部材を準備せずに、共通の掃き出し部材5を利用して、容易に対応することができる。
【0077】
また、本実施形態においては、高さ調整スペーサ部材6は、掃き出し部材5の下り傾斜面520(下り傾斜面522a,551)の延長線上に沿って延びる下り傾斜面620(下り傾斜面6132a,651)を有する。これにより、高さ調整スペーサ部材6を掃き出し部材5と床面101aとの間に配置した場合において、室内側X2における新設下枠32Aと床面101aとの境界部分において、掃き出し部材5の下り傾斜面520(下り傾斜面522a,551)と高さ調整スペーサ部材6の下り傾斜面620(下り傾斜面6132a,651)とが連続して配置することができるため、意匠性を向上できる。
【0078】
また、本実施形態においては、高さ調整スペーサ部材6は、掃き出し部材5に対する室内外方向の位置を規制する位置規制突出部616(位置規制部)及び中段部612(位置規制部)の室内側X2の端部を有する。これにより、掃き出し部材5に対する見込方向(室内外方向)の位置を規制した状態で、高さ調整スペーサ部材6を掃き出し部材5と床面101aとの間に安定して配置することができる。
【0079】
また、本実施形態においては、高さ調整スペーサ部材6は、高さ調整可能に切断可能な切断用溝6141,6151を有するスペーサ部材室外側脚部614スペーサ部材室内側脚部615を備える。これにより、スペーサ部材室外側脚部614及びスペーサ部材室内側脚部615を切断用溝6141,6151により切断することで、高さ調整スペーサ部材6の高さの微調整を行うことができる。
【0080】
また、本実施形態においては、掃き出し部材5の先端突出部材55は、軟質の樹脂製の部材により構成される。高さ調整スペーサ部材6の先端突出部材65は、軟質の樹脂製の部材により構成される。これにより、高さ調整スペーサ部材6を設けた場合において、高さ調整スペーサ部材6の先端突出部材65は、軟質の樹脂製であるため、高さ調整スペーサ部材6を設けない場合において掃き出し部材5の軟質の樹脂製の先端突出部材55が床部材101の床面101aに追従するように変形して床部材101の床面101aに沿って配置されるのと同様に、高さ調整スペーサ部材6を配置した場合においても、床部材101の床面101aに追従するように変形して、床部材101の床面101aに沿って配置することができる。
【0081】
次に、
図7により、第2実施形態について説明する。
図7に示すように、第2実施形態は、第1実施形態と比べて、新設下枠32Bの構成と、第1実施形態では掃き出し部材5と床部材101の床面101aとの間に1段の高さ調整スペーサ部材6を配置しているのに対して、掃き出し部材5と床部材101の床面101aとの間に2段の高さ調整スペーサ部材6X,6Yを配置している構成とが、主に異なる。第2実施形態の説明において、従来の実施形態及び第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0082】
第2実施形態の改装建具1Bについて詳細に説明する。
図7に示すように、第2実施形態においては、
図3に示す第1実施形態と比べて、新設下枠32Bは、室外側枠部材321Aの室内側X2の端部に設けられる下方突出壁3212の分だけ上下方向の大きさが大きく形成されると共に、室内側枠部材322Aの室外側X1の端部に設けられる下方突出壁3223の分だけ上下方向の大きさが大きく形成されている。そのため、第2実施形態の改装建具1Bは、第1実施形態の新設下枠32Aの室内側X2の部分の高さZ2よりも高く形成され、新設下枠32Bの室内側X2の部分の高さが高さZ3に形成される(Z3>Z2)。
【0083】
そのため、第1実施形態の改装建具1Bにおいては、
図7に示すように、掃き出し部材5と床部材101の床面101aとの間に、2段の高さ調整スペーサ部材6X,6Yを配置する。2段の高さ調整スペーサ部材6X,6Yは、掃き出し部材5の下面に固定される。
【0084】
2段の高さ調整スペーサ部材6X,6Yは、高さ方向に重ねて配置される。2段の高さ調整スペーサ部材6X,6Yは、いずれも同一の形状及び材質であり、第1実施形態の高さ調整スペーサ部材6と同一の形状及び材質である。2段に重ねられて配置された高さ調整スペーサ部材6X,6Yは、掃き出し部材5の下面に取り付けられる1段目の高さ調整スペーサ部材6Xと、1段目の高さ調整スペーサ部材6Xの下面に取り付けられる2段目の高さ調整スペーサ部材6Yと、から構成される。
【0085】
2段の高さ調整スペーサ部材6X,6Yは、2段の高さ調整スペーサ部材6X,6Yのうちの下方側に配置される高さ調整スペーサ部材6Yを室内側X2にずらして配置可能なように、高さ調整スペーサ部材6Yの上面の高さが、室内側X2が室外側X1よりも低い階段状に形成される。
【0086】
高さ調整スペーサ部材6X,6Yの形状及び材質は、
図4に示す第1実施形態の高さ調整スペーサ部材6の形状及び材質と同一であるため、詳細な説明を省略する。また、掃き出し部材5の下面に取り付けられる2段の高さ調整スペーサ部材6X,6Yの取り付け状態については、掃き出し部材5の下面に取り付けられる1段目の高さ調整スペーサ部材6Xについては、
図4に示す第1実施形態の高さ調整スペーサ部材6と同様の取り付け状態であるため説明を省略し、1段目の高さ調整スペーサ部材6Xの下面に取り付けられる2段目の高さ調整スペーサ部材6Yについて主に説明する。
【0087】
図8に示すように、2段目の高さ調整スペーサ部材6Yにおける中段部612(位置規制部、スペーサ側位置規制部)の室内側X2の端部は、1段目の高さ調整スペーサ部材6Xのスペーサ部材室内側脚部615(位置規制部)の室外側X1の側面に当接又は近接して配置される。2段目の高さ調整スペーサ部材6Yの中段部612の室内側X2の端部は、1段目の高さ調整スペーサ部材6Xのスペーサ部材室内側脚部615により、室内側X2への移動が規制される。
【0088】
2段目の高さ調整スペーサ部材6Yにおける位置規制突出部616(位置規制部、スペーサ側位置規制部)の室外側X1の先端部は、1段目の高さ調整スペーサ部材6Xのスペーサ部材室外側脚部614(位置規制部)の室内側X2の側面に当接又は近接して配置される。2段目の高さ調整スペーサ部材6Yにおける位置規制突出部616の室外側X1の先端部は、1段目の高さ調整スペーサ部材6Xのスペーサ部材室外側脚部614により、室外側X1への移動が規制される。
【0089】
2段目の高さ調整スペーサ部材6Yにおける上段部611(位置規制部、スペーサ側位置規制部)の室内側X2の端部は、1段目の高さ調整スペーサ部材6Xにおける下段部613(位置規制部)の室外側X1の端部に当接又は近接して配置される。2段目の高さ調整スペーサ部材6Yにおける上段部611の室内側X2の端部は、1段目の高さ調整スペーサ部材6Xにおける下段部613の室外側X1の端部により、室内側X2への移動が規制される。
【0090】
2段目の高さ調整スペーサ部材6Yは、見込方向の移動が規制された状態で、1段目の高さ調整スペーサ部材6Xの中段部612の下面に2段目の高さ調整スペーサ部材6Yの上段部611の上面から突出する室内側X2の凸部6112が当接されると共に、室内側X2において、下段部613の上面に1段目の高さ調整スペーサ部材6Xのスペーサ部材室内側脚部615の下端部が当接されて、室外側X1において、2段目の高さ調整スペーサ部材6Yの室外側支持突出部617の上面に1段目の高さ調整スペーサ部材6Xのスペーサ部材室外側脚部614の下端部が当接される。
【0091】
2段目の高さ調整スペーサ部材6Yの上段部611は、2段目の高さ調整スペーサ部材6Yの上段部611の下方から上方に向けて移動されるねじ6114により、2段目の高さ調整スペーサ部材6Yの上段部611、1段目の高さ調整スペーサ部材6Xの上段部611及び掃き出し部材5の掃き出し部材本体51が共締めされることで、1段目の高さ調整スペーサ部材6Xの上段部611及び掃き出し部材5の掃き出し部材本体51の下面板523に固定される。
図7に示すように、2段の高さ調整スペーサ部材6X,6Yを取り付けた掃き出し部材5は、ねじ5aにより、アングル部材328に固定される。
【0092】
本実施形態においては、
図8に示すように、掃き出し部材5の下面に2段の高さ調整スペーサ部材6X,6Yが取り付けられた場合において、掃き出し部材5の下面に取り付けられた1段目の高さ調整スペーサ部材6Xは、掃き出し部材5の下り傾斜面520(下り傾斜面522a,551)の延長線上に沿って延びる下り傾斜面620(下り傾斜面6132a,651)を有する。また、1段目の高さ調整スペーサ部材6Xの下面に取り付けられた2段目の高さ調整スペーサ部材6Yは、1段目の高さ調整スペーサ部材6Xの下り傾斜面620(下り傾斜面6132a,651)の延長線上に沿って延びる下り傾斜面620(下り傾斜面6132a,651)を有する。
【0093】
これにより、掃き出し部材5の下り傾斜面520(下り傾斜面522a,551)と、1段目の高さ調整スペーサ部材6Xの下り傾斜面620(下り傾斜面6132a,651)と、2段目の高さ調整スペーサ部材6Yの下り傾斜面620(下り傾斜面6132a,651)とは、傾斜方向がほぼ一致した状態で、連続して、傾斜して延びる。
【0094】
第2実施形態においては、第1実施形態と比べて、2段目の高さ調整スペーサ部材6Yのスペーサ部材室外側脚部614の下端部及びスペーサ部材室内側脚部615の下端部は、1段目の高さ調整スペーサ部材6Xのスペーサ部材室外側脚部614の下端部及びスペーサ部材室内側脚部615の下端部よりも、高さHbだけ、下方に位置する。そのため、2段目の高さ調整スペーサ部材6は、1段目の高さ調整スペーサ部材6Xの下部に2段目の高さ調整スペーサ部材6Yを取り付けることで、1段目の高さ調整スペーサ部材6Xと室内側X2の床面101aとの間の高さHbの分の高さを埋めることができる。
【0095】
以上のように、第2実施形態においては、
図8に示すように、新設下枠32Bの室内側X2の部分における掃き出し部材5を設ける部分の高さZ3が、
図3に示す第1実施形態で使用した掃き出し部材5及び1段の高さ調整スペーサ部材6の合計の高さH2よりも高さHbだけ大きい納まりである。このように、新設下枠32Bの室内側X2の部分の高さZ3が、第1実施形態で使用した掃き出し部材5及び1段の高さ調整スペーサ部材6の合計の高さH2よりも高さHbだけ大きい納まりの場合において、掃き出し部材5と床部材101の床面101aとの間に、掃き出し部材5に対する見込方向(室内外方向)の位置が規制された状態で、2段の高さ調整スペーサ部材6X,6Yを取り付けることができる。
【0096】
掃き出し部材5の下面に取り付けられた1段目の高さ調整スペーサ部材6Xは、第1実施形態と同様に、位置規制突出部616(位置規制部、スペーサ側位置規制部)により、室外側X1への移動が規制されると共に、中段部612(位置規制部、スペーサ側位置規制部)の室内側X2の端部により、室内側X2への移動が規制されることで、掃き出し部材5に対する見込方向(室内外方向)の位置が規制されている。また、1段目の高さ調整スペーサ部材6Xの下面に取り付けられた2段目の高さ調整スペーサ部材6Yは、位置規制突出部616(位置規制部、スペーサ側位置規制部)により、室外側X1への移動が規制されると共に、中段部612(位置規制部、スペーサ側位置規制部)の室内側X2の端部及び上段部611(位置規制部、スペーサ側位置規制部)の室内側X2の端部により、室内側X2への移動が規制されることで、1段目の高さ調整スペーサ部材6Xに対する見込方向(室内外方向)の位置が規制されている。
【0097】
このようにして、新設下枠32Bの室内側X2の部分における掃き出し部材5を設ける部分の高さZ3が、第1実施形態で使用した掃き出し部材5及び高さ調整スペーサ部材6の合計の高さH2よりも高さHbだけ大きい納まりの場合においても、2段の高さ調整スペーサ部材6X,6Yを配置することにより、掃き出し部材5を共通化できると共に、室内側X2の床部材101の床面101aから新設下枠32Bのアングル部材328の上面までの高さが異なる納まりの場合においても対応できる。よって、新設下枠32Bの室内側X2の部分における掃き出し部材5を設ける部分の高さに応じて、高さ調整スペーサ部材6を配置することで容易に対応できる。
【0098】
図9により、第2実施形態の第1変形例について説明する。第2実施形態の第1変形例においては、
図8に示す第2実施形態において2段の高さ調整スペーサ部材6X,6Yが掃き出し部材5にねじ6113,6114により固定されるのに対して、
図9に示す第2実施形態の変形例1においては、高さ調整スペーサ部材6XA,6YAは、嵌合により、掃き出し部材5Aに固定される。
【0099】
図9に示す第2実施形態の変形例1は、掃き出し部材5Aの形状が、
図5に示す第1実施形態の変形例1の掃き出し部材5Aと同様の形状である。
【0100】
高さ調整スペーサ部材6XA,6YAの形状は、いずれも、同様の形状であり、
図5に示す第1実施形態の変形例1の高さ調整スペーサ部材6の形状に加えて、スペーサ部材室外側脚部614の下端部には、室内側X2に屈曲して室内側X2に突出する嵌合突出部6142が形成される。1段目の高さ調整スペーサ部材6XAの嵌合突出部6142は、2段目の高さ調整スペーサ部材6YBが1段目の高さ調整スペーサ部材6XBに取り付けられる場合に、2段目の高さ調整スペーサ部材6YBの位置規制突出部616及び室外側支持突出部617の間に配置される。
【0101】
スペーサ部材室内側脚部615の下端部には、室外側X1に突出する嵌合突起6152が形成されている。2段目の高さ調整スペーサ部材6YAの中段部612の室内側X2の端部には、室内側X2に突出するスペーサ部材側嵌合突起612aが形成されている。1段目の高さ調整スペーサ部材6XAの嵌合突起6152は、2段目の高さ調整スペーサ部材6YAが1段目の高さ調整スペーサ部材XAに取り付けられる場合に、2段目の高さ調整スペーサ部材6YAの中段部612の室内側X2の端部に形成されるスペーサ部材側嵌合突起612aが嵌合する。
【0102】
これにより、第2実施形態の変形例1においては、2段の高さ調整スペーサ部材6XA,6YAを掃き出し部材5Aに取り付ける場合に、まず、掃き出し部材5Aに1段目の高さ調整スペーサ部材6Xを取り付ける。この場合には、室外側X1において、掃き出し部材室外側脚部531の嵌合突出部5312を、1段目の高さ調整スペーサ部材6XAの位置規制突出部616及び室外側支持突出部617の間に配置する。そして、室内側X2において、1段目の高さ調整スペーサ部材6XAのスペーサ部材側嵌合突起612aを掃き出し部材室内側脚部532の掃き出し部材側嵌合突起5322に嵌合させることで、1段目の高さ調整スペーサ部材6XAを掃き出し部材5に嵌合して容易に取り付けることができる。
【0103】
また、掃き出し部材5Aに取り付けた1段目の高さ調整スペーサ部材6XAに、2段目の高さ調整スペーサ部材6YAを取り付ける。この場合には、室外側X1において、1段目の高さ調整スペーサ部材6XAの嵌合突出部6142を、2段目の高さ調整スペーサ部材6YAの位置規制突出部616及び室外側支持突出部617の間に配置して、室内側X2において、2段目の高さ調整スペーサ部材6YAのスペーサ部材側嵌合突起612aを1段目の高さ調整スペーサ部材6XAの嵌合突起6152に嵌合させることで、2段目の高さ調整スペーサ部材6YAを1段目の高さ調整スペーサ部材6XAに嵌合して容易に取り付けることができる。以上により、2段の高さ調整スペーサ部材6XA,6YAを掃き出し部材5に嵌合して容易に取り付けることができる。
【0104】
図10により、第2実施形態の第2変形例について説明する。
図8に示す第2実施形態において高さ調整スペーサ部材6X,6Yが掃き出し部材5にねじ6113,6114により固定されるのに対して、
図10に示す第2実施形態の変形例2においては、高さ調整スペーサ部材6XB,6YBは、接着部材618,619により、掃き出し部材5に固定される。接着部材618,619としては、例えば、両面テープや接着剤などを挙げることができる。
【0105】
図10に示すように、第2実施形態の第3変形例の高さ調整スペーサ部材6XB,6YBは、上段部611Aの上面には、
図8に示す上段部611の2つの凸部6112が設けられていない。1段目の高さ調整スペーサ部材6XBの上段部611Aの上面と掃き出し部材5の下面板523の下面との間に、接着部材618が配置されると共に、2段目の高さ調整スペーサ部材6YBの上段部611Aの上面と1段目の高さ調整スペーサ部材6XBの中段部612の下面との間には、接着部材619が配置されている。これにより、接着部材618,619により、2段の高さ調整スペーサ部材6XB,6YBを、見付方向の位置が規制された状態で、掃き出し部材5に容易に取り付けることができる。
【0106】
以上のように、第2実施形態の改装建具1Bにおいては、2段の高さ調整スペーサ部材6X,6Yが高さ方向に重ねて配置され、2段の高さ調整スペーサ部材6X,6Yのうちの下方側に配置される2段目の高さ調整スペーサ部材6Yを室内側X2にずらして配置可能なように、2段目の高さ調整スペーサ部材6Yの上面の高さが、室内側X2が室外側X1よりも低い階段状に形成される。
【0107】
これにより、複数の高さ調整スペーサ部材6X,6Yを高さ方向に容易に重ねて配置できる。また、2段の高さ調整スペーサ部材6X,6Yのうちの下方側に配置される2段目の高さ調整スペーサ部材6Yを室内側X2にずらして配置させることができるため、高さ調整スペーサ部材6X,6Yの互いの下り傾斜面620(下り傾斜面6132a,651)を連続して配置させることができる。これにより、意匠性を向上できる。
【0108】
次に、
図11により、第3実施形態について説明する。
図11に示すように、第3実施形態は、第2実施形態の2段の高さ調整スペーサ部材6X,6Yと比べて、2段の高さ調整スペーサ部材7X,7Yの形状が異なる。掃き出し部材5の構成は、第1実施形態及び第2実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0109】
第3実施形態について詳細に説明する。
図11に示すように、掃き出し部材5の下部には、2段の高さ調整スペーサ部材7X,7Yが取り付けられている。掃き出し部材5の下部に、1段目の高さ調整スペーサ部材7Xが固定され、1段目の高さ調整スペーサ部材7Xの下部に、2段目の高さ調整スペーサ部材7Yが固定されている。高さ調整スペーサ部材7X,7Yは、いずれも、同様の形状である。本実施形態においては、2段の高さ調整スペーサ部材7X,7Yの両方を掃き出し部材5に取り付ける構成について説明しているが、掃き出し部材5を設ける部分の納まりの高さに応じて、掃き出し部材5の下部に1段目の高さ調整スペーサ部材7Xのみを取り付けて使用してもよいし、掃き出し部材5の下部に2段の高さ調整スペーサ部材7X,7Yを取り付けて使用してもよい。
【0110】
2段の高さ調整スペーサ部材7X,7Yは、それぞれ、スペーサ本体71と、先端突出部材75と、を有する。スペーサ本体71は、硬質の樹脂製の部材により構成される。先端突出部材75は、軟質の樹脂製の部材により構成される。
【0111】
スペーサ本体71は、見込方向に所定長さ延びる上段部711と、上段部711の室外側X1に段差7111を介して接続され上段部711よりも低い位置で見込方向に所定長さ延びる室外側下段部712と、上段部711の室内側X2に段差7112を介して接続され上段部711よりも低い位置で且つ室外側下段部712と上下方向の位置が同じ位置で見込方向に所定長さ延びる室内側下段部713と、室内側下段部713の室内側X2の端部から上り傾斜で室内側X2の上方に所定長さ延びる上り傾斜部714と、スペーサ部材室外側脚部715(脚部)と、スペーサ部材室内側脚部716(脚部)と、室内側下段部713の見込方向の途中から上方に突出する位置規制突出壁717と、を有する。
【0112】
まず、掃き出し部材5の下部に取り付けられる1段目の高さ調整スペーサ部材7Xについて、掃き出し部材5との取り付け状態を主に説明する。1段目の高さ調整スペーサ部材7Xの上段部711は、掃き出し部材5の掃き出し部材本体51の下面板523の下方に配置される。
【0113】
掃き出し部材5の下部に高さ調整スペーサ部材7Xを取り付ける場合には、1段目の高さ調整スペーサ部材7Xの上段部711の室内側X2の端部と位置規制突出壁717との間に、掃き出し部材5の掃き出し部材室内側脚部532を挿入して、掃き出し部材5の掃き出し部材室内側脚部532の下端部を1段目の高さ調整スペーサ部材7Xの室内側下段部713の上面に当接させて支持させると共に、掃き出し部材5の掃き出し部材室外側脚部531の下端部を1段目の高さ調整スペーサ部材7Xの室外側下段部712の上面に当接させて支持させることで、1段目の高さ調整スペーサ部材7Xの上段部711を、掃き出し部材5の掃き出し部材本体51の下面板523の下方に対向させて配置する。この状態で、1段目の高さ調整スペーサ部材7Xの上段部711は、ねじ7113により、掃き出し部材5の掃き出し部材本体51の下面板523に固定される。
【0114】
上段部711(位置規制部、スペーサ側位置規制部)の室内側X2の端部は、掃き出し部材5の室内側X2に配置される掃き出し部材室内側脚部532の室外側X1の側面(下枠カバー部材側位置規制部)の室外側X1の側方の近傍に配置される。上段部711の室内側X2の端部は、掃き出し部材5の室内側X2に配置される掃き出し部材室内側脚部532により、高さ調整スペーサ部材7Xの室内側X2への移動が規制される。
【0115】
位置規制突出壁717(位置規制部、スペーサ側位置規制部)は、室内側下段部713の見込方向の途中から上方に向けて突出する。掃き出し部材5に1段目の高さ調整スペーサ部材7Xが取り付けられた場合に、位置規制突出壁717の室外側X1の側面には、掃き出し部材5の掃き出し部材室内側脚部532が当接又は近接して配置される。位置規制突出壁717の室外側X1の側面は、掃き出し部材5の室内側X2に配置される掃き出し部材室内側脚部532により、室外側X1への移動が規制される。
【0116】
スペーサ部材室外側脚部715は、室外側下段部712の見込方向の途中の中央付近から下方に突出する。スペーサ部材室内側脚部716は、室内側下段部713の見込方向の途中から下方に突出する。スペーサ部材室外側脚部715の下端部及びスペーサ部材室内側脚部716の下端部は、いずれも、上下方向の位置が同じ位置に配置され、床部材101の床面101aに当接する。スペーサ部材室外側脚部715の上下方向の途中及びスペーサ部材室内側脚部716の付け根には、切断用溝7151,7161が形成されている。
【0117】
先端突出部材75は、スペーサ本体71の上り傾斜部714の先端に取り付けられる。先端突出部材75は、1段目の高さ調整スペーサ部材7Xの床面101a側の先端部を構成する。先端突出部材75は、スペーサ本体71の上り傾斜部714の先端の下部から室内側X2に向けて下り傾斜で傾斜して突出する。先端突出部材75は、軟質の樹脂製であるため、床部材101の床面101aに追従するように変形して、床部材101の床面101aに沿って配置される。
【0118】
先端突出部材75は、掃き出し部材5の下面に1段目の高さ調整スペーサ部材7Xが取り付けられた場合に、掃き出し部材5の先端突出部材55が延びる傾斜方向の延長線上に沿って下り傾斜で傾斜して延びる。先端突出部材75の室内側X2の表面は、下り傾斜面751を構成する。先端突出部材75の下り傾斜面751は、スペーサ本体71の上り傾斜部714の端面に形成される下り傾斜面7141と同一傾斜面上に連続して下り傾斜で延びる。
【0119】
スペーサ本体71の上り傾斜部714の端面に形成される下り傾斜面7141と先端突出部材65の下り傾斜面651とは、1段目の高さ調整スペーサ部材7Xの下り傾斜面720(スペーサ下り傾斜面)を構成する。1段目の高さ調整スペーサ部材7Xの下り傾斜面720は、建物躯体100の室内側X2の床部材101の床面101aに向かって下り傾斜で延びる。
【0120】
このように、掃き出し部材5の下面に1段目の高さ調整スペーサ部材7Xが取り付けられた場合に、掃き出し部材5の下り傾斜面520(下り傾斜面522a,551)の延長線上に沿って延びる下り傾斜面720(下り傾斜面7141,751)を有する。これにより、掃き出し部材5の下り傾斜面520(下り傾斜面522a,551)と、高さ調整スペーサ部材7Xの下り傾斜面720(下り傾斜面7131,751)とは、傾斜方向がほぼ一致した状態で、連続して、傾斜して延びる。
【0121】
以上のように、掃き出し部材5の下部に1段目の高さ調整スペーサ部材7Xを取り付ける場合には、1段目の高さ調整スペーサ部材7Xは、見込方向の移動が規制された状態で、掃き出し部材5の下部に取り付けられる。このように、掃き出し部材5を設ける部分の納まりの高さが、1段目の高さ調整スペーサ部材7Xを取り付けることで対応できる場合には、掃き出し部材5の下部に1段目の高さ調整スペーサ部材7Xのみを取り付けることで対応できる。
【0122】
また、掃き出し部材5の下部に取り付けた1段目の高さ調整スペーサ部材7Xの下部に、2段目の高さ調整スペーサ部材7Yを取り付けて使用してもよい。掃き出し部材5の下部に2段の高さ調整スペーサ部材7X,7Yを取り付ける場合、2段の高さ調整スペーサ部材7X,7Yは、高さ方向に重ねて配置される。2段に重ねられて配置された高さ調整スペーサ部材7X,7Yは、掃き出し部材5の下面に取り付けられる1段目の高さ調整スペーサ部材7Xと、1段目の高さ調整スペーサ部材7Xの下面に取り付けられる2段目の高さ調整スペーサ部材7Yと、から構成される。
【0123】
掃き出し部材5と床部材101の床面101aとの間に2段の高さ調整スペーサ部材7X,7Yを配置する場合には、上述した掃き出し部材5の下部に取り付けられた1段目の高さ調整スペーサ部材7Xの下面に、2段目の高さ調整スペーサ部材7Yを取り付ける。
【0124】
1段目の高さ調整スペーサ部材7Xの下面に2段目の高さ調整スペーサ部材7Yを取り付ける場合には、2段目の高さ調整スペーサ部材7Yの上段部711の室内側X2の端部と位置規制突出壁717との間に、1段目の高さ調整スペーサ部材7Yのスペーサ部材室内側脚部716を挿入して、1段目の高さ調整スペーサ部材7Xのスペーサ部材室内側脚部716の下端部を2段目の高さ調整スペーサ部材7Yの室内側下段部713の上面に当接させて支持させると共に、1段目の高さ調整スペーサ部材7Xのスペーサ部材室外側脚部715の下端部を2段目の高さ調整スペーサ部材7Yの室外側下段部712の上面に当接させて支持させることで、2段目の高さ調整スペーサ部材7Yの上段部711を室内側X2にずらした状態で、1段目の高さ調整スペーサ部材7Xの上段部711の下方に対向させて配置する。この状態で、2段目の高さ調整スペーサ部材7Yの上段部711は、ねじ7114により、1段目の高さ調整スペーサ部材7Xの上段部711に固定される。
【0125】
2段の高さ調整スペーサ部材7X,7Yは、2段の高さ調整スペーサ部材7X,7Yのうちの下方側に配置される2段目の高さ調整スペーサ部材7Yを室内側X2にずらして配置可能なように、2段目の高さ調整スペーサ部材7Yを室内側X2にずらして配置した状態で、1段目の高さ調整スペーサ部材7Yのスペーサ部材室内側脚部716が、2段目の高さ調整スペーサ部材7Yの上段部711の室内側X2の端部と位置規制突出壁717との間に挿入できる位置に形成されている。
【0126】
2段目の高さ調整スペーサ部材7Yの上段部711(位置規制部、スペーサ側位置規制部)の室内側X2の端部は、1段目の高さ調整スペーサ部材7Xのスペーサ部材室内側脚部716の室外側X1の側面(下枠カバー部材側位置規制部)の室外側X1の側方の近傍に配置される。2段目の高さ調整スペーサ部材7Yの上段部711の室内側X2の端部は、1段目の高さ調整スペーサ部材7Xのスペーサ部材室内側脚部716により、室内側X2への移動が規制される。
【0127】
2段目の高さ調整スペーサ部材7Yにおける位置規制突出壁717(位置規制部、スペーサ側位置規制部)の室外側X1の側面は、1段目の高さ調整スペーサ部材7Xのスペーサ部材室内側脚部716(位置規制部)の室内側X2の側面に当接又は近接して配置される。2段目の高さ調整スペーサ部材7Yにおける位置規制突出壁717の室外側X1の側面は、1段目の高さ調整スペーサ部材7Xのスペーサ部材室内側脚部716により、室外側X1への移動が規制される。
【0128】
2段目の高さ調整スペーサ部材7Yにおけるスペーサ部材室外側脚部715の下端部及びスペーサ部材室内側脚部716の下端部は、床部材101の床面101aに当接する。スペーサ部材室外側脚部715の上下方向の途中及びスペーサ部材室内側脚部716の付け根に形成される切断用溝7151,7161で切断することにより、高さを調整してもよい。
【0129】
このように、
図11に示すように、掃き出し部材5の下面に2段の高さ調整スペーサ部材7X,7Yが取り付けられた場合において、掃き出し部材5の下面に取り付けられた1段目の高さ調整スペーサ部材7Xは、掃き出し部材5の下り傾斜面520(下り傾斜面522a,551)の延長線上に沿って延びる下り傾斜面720(下り傾斜面7141,751)を有する。また、1段目の高さ調整スペーサ部材7Xの下面に取り付けられた2段目の高さ調整スペーサ部材7Yは、1段目の高さ調整スペーサ部材7Xの下り傾斜面720(下り傾斜面7141,751)の延長線上に沿って延びる下り傾斜面720(下り傾斜面7141,751)を有する。
【0130】
これにより、掃き出し部材5の下り傾斜面520(下り傾斜面522a,551)と、1段目の高さ調整スペーサ部材7Xの下り傾斜面720(下り傾斜面7141,751)と、2段目の高さ調整スペーサ部材7Yの下り傾斜面720(下り傾斜面7141,751)とは、傾斜方向がほぼ一致した状態で、連続して、傾斜して延びる。
【0131】
以上のように、掃き出し部材5の下部に2段の高さ調整スペーサ部材7X,7Yを取り付ける場合には、1段目の高さ調整スペーサ部材7Xは、見込方向の移動が規制された状態で、掃き出し部材5の下部に取り付けられ、2段目の高さ調整スペーサ部材7Yは、見込方向の移動が規制された状態で、1段目の高さ調整スペーサ部材7Xの下面に取り付けられる。このように、掃き出し部材5を設ける部分の納まりの高さが、2段の高さ調整スペーサ部材7X,7Yを取り付けることで対応できる場合には、掃き出し部材5の下部に2段の高さ調整スペーサ部材7X,7Yを取り付けることで対応できる。
【0132】
以上、本開示の建具の一実施形態について説明したが、本開示の建具は適宜変更可能である。例えば、前記実施形態においては、本開示の建具を改装建具に適用した場合について説明したが、これに限定されない。建具を、新築の建具に適用してもよい。上述した2枚の障子41,42を有する者に制限されず、3枚以上の障子を有するものであってもよいし、1枚だけの障子を有する片引き窓を構成するものであってもよい。さらに、本開示の建具は、下枠の室内側に掃き出し部材(下枠カバー部材)が取り付けられていればよく、辷り出し窓やFIX窓、上げ下げ窓、外倒し窓、内倒し窓、あるいは開き窓を構成するものであってもよい。
【0133】
上述した改装建具では、掃き出し部材(下枠カバー部材)と床面101aとの間に、1段(1つ)の高さ調整スペーサ部材又は2段(2つ)の高さ調整スペーサ部材を設けた場合について説明したが、これに限定されない。掃き出し部材(下枠カバー部材)と床面101aとの間に、3段(3つ)以上の高さ調整スペーサ部材を設けてもよい。
【符号の説明】
【0134】
1A,1B 改装建具(建具)、 3,3A,3B 新設枠(枠体)、 5,5A 掃き出し部材(下枠カバー部材)、 6,6A,6X,6Y,6XA,6YA,7X,7Y 高さ調整スペーサ部材、 32 新設下枠(下枠)、 100 建物躯体、 101a 床面、 520 下り傾斜面(カバー部材下り傾斜面)、 612 中段部(位置規制部)、 614 スペーサ部材室外側脚部(脚部)、 615 スペーサ部材室内側脚部(脚部)、 616 位置規制突出部(位置規制部)、 620 下り傾斜面(スペーサ下り傾斜面)、 711 上段部(位置規制部)、 717 位置規制突出壁(位置規制部)、 715 スペーサ部材室外側脚部(脚部)、 716 スペーサ部材室内側脚部(脚部)、 720 下り傾斜面(スペーサ下り傾斜面)、 6141,6151,7151,7161 切断用溝