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特開2025-24840電子部品内蔵プリント配線板およびその製造方法
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  • 特開-電子部品内蔵プリント配線板およびその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024840
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】電子部品内蔵プリント配線板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
H05K3/46 Q
H05K3/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129170
(22)【出願日】2023-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒田 展久
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA12
5E316AA38
5E316CC02
5E316CC09
5E316CC32
5E316DD02
5E316DD24
5E316GG15
5E316GG28
5E316HH40
5E316JJ12
5E316JJ26
(57)【要約】
【課題】電子部品を内蔵するコア基板の開口を覆う絶縁層の表面が平坦に形成されるプリント配線板を提供すること。
【解決手段】コア基板中に電子部品を内蔵するプリント配線板であって、前記コア基板が、一方の面および他方の面上に導体層を有するとともに、前記一方の面と前記他方の面との間でそのコア基板を貫通する開口を有し、前記電子部品が前記開口内に内蔵され、前記コア基板の前記一方の面上の導体層と前記開口の上に第1絶縁層が形成され、前記コア基板の前記他方の面上の導体層と前記開口の上に第2絶縁層が形成され、前記第1絶縁層と前記第2絶縁層とがそれぞれ樹脂フィルムで形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア基板中に電子部品を内蔵するプリント配線板であって、
前記コア基板が、一方の面および他方の面上に導体層を有するとともに、前記一方の面と前記他方の面との間でそのコア基板を貫通する開口を有し、
前記電子部品が前記開口内に内蔵され、
前記コア基板の前記一方の面上の導体層と前記開口の上に第1絶縁層が形成され、
前記コア基板の前記他方の面上の導体層と前記開口の上に第2絶縁層が形成され、
前記第1絶縁層と前記第2絶縁層とがそれぞれ樹脂フィルムで形成されていること、
を特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
前記コア基板の厚み(X)から前記電子部品の厚み(Y)を引いた段差が前記第1絶縁層の樹脂フィルムの厚み(Z)と等しいかまたはそれより小さくされている、請求項1記載のプリント配線板。
【請求項3】
前記電子部品の厚み(Y)と前記コア基板の厚み(X)との関係が、1/2≧Y/X≧1/5(即ち、X/2≧Y≧X/5)である、請求項1または2記載のプリント配線板。
【請求項4】
コア基板中に電子部品を内蔵するプリント配線板を製造する方法であって、
前記コア基板を、一方の面および他方の面上に導体層を有するとともに、前記一方の面と前記他方の面との間でそのコア基板を貫通する開口を有するように形成することと、
前記コア基板の前記他方の面に前記開口を覆うテープを設けることと、
前記電子部品を前記開口内の前記テープ上に配置することと、
前記コア基板の前記一方の面上の導体層と前記開口の上に樹脂フィルムを積層して第1絶縁層を形成することと、
前記コア基板の前記他方の面の前記開口を覆うテープを除去することと、
前記コア基板の他方の面上に樹脂フィルムを積層して第2絶縁層を形成することと、
を含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コア基板中に電子部品を内蔵するプリント配線板および、そのプリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コア基板中に電子部品を内蔵するプリント配線板が特許文献1で知られている。図3(a)~(d)は、この従来のプリント配線板の製造方法の概略を順次に示す断面図である。
【0003】
上記従来のプリント配線板では、図3(a)に示されるように、コア基板CB100の両面である第1面S100および第2面S200上に導体層C100およびC200が形成され、また、コア基板CB100の第1面S100に、底のある凹部H100が形成される。その一方、内蔵される電子部品P100の裏面の図示しない接続端子にスタッドバンプSB100がボンディングで形成される。
【0004】
次いで、図3(b)に示されるように、電子部品P100がスタッドバンプSB100を第1面S100側に向けて凹部H100内に固定される。さらに、図3(c)に示されるように、コア基板CB100の第1面S100および第2面S200上に樹脂がコーティングされて第1絶縁層110および第2絶縁層210がそれぞれ形成される。第1絶縁層110の樹脂は、電子部品P100を凹部H100内に封止する役割も兼ねる。
【0005】
その後、図3(d)に示されるように、コア基板CB100の第1面S100上の第1絶縁層110および第2面S200上の第2絶縁層210に、その下の導体層C100およびC200の接続部とスタッドバンプSB100とを露出させるビア孔130,230がレーザで形成される。
【0006】
次いで、第1絶縁層110および第2絶縁層210上に導体層がそれぞれ形成されるとともに、それらの導体層を導体層C100,C200の接続部とスタッドバンプSB100とに接続する図示しないビア導体が第1,第2絶縁層110,210の上記ビア孔130,230内に形成されて、コア基板CB100の第1面S100および第2面S200上に図示しないビルドアップ層がそれぞれ積層形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平09-321408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながらこの従来のプリント配線板では、第1絶縁層110が樹脂のコーティングで形成されているので、コア基板CB100の厚みよりも薄い厚みを有する電子部品P100を、コア基板CB100を貫通して底のない凹部H100を形成する開口内に内蔵する場合に、電子部品P100上およびその近傍の第1絶縁層110の表面がへこみ、上層のビルドアップ層の導体層等の形成の際の妨げとなる。
【0009】
そして、第1絶縁層110の表面のへこみをなくして平坦にしようとすると、電子部品P100上およびその近傍で第1絶縁層110が特に厚くなり、第1絶縁層110の厚みのばらつきが大きくなるという問題が生じる可能性がある。
【0010】
本発明の目的は、コア基板の厚みよりも薄い厚みを有する電子部品を、コア基板を貫通する開口内に内蔵するプリント配線板であって、コア基板の導体層およびコア基板中の電子部品の上に形成される絶縁層の表面のへこみが実質的になく平坦であり、その絶縁層の厚みのばらつきも小さいプリント配線板および、そのプリント配線板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のプリント配線板は、
コア基板中に電子部品を内蔵するプリント配線板であって、
前記コア基板が、一方の面および他方の面上に導体層を有するとともに、前記一方の面と前記他方の面との間でそのコア基板を貫通する開口を有し、
前記電子部品が前記開口内に内蔵され、
前記コア基板の前記一方の面上の導体層と前記開口の上に第1絶縁層が形成され、
前記コア基板の前記他方の面上の導体層と前記開口の上に第2絶縁層が形成され、
前記第1絶縁層と前記第2絶縁層とがそれぞれ樹脂フィルムで形成されていること、
を特徴としている。
【0012】
また、本発明のプリント配線板の製造方法は、
コア基板中に電子部品を内蔵するプリント配線板を製造する方法であって、
前記コア基板を、一方の面および他方の面上に導体層を有するとともに、前記一方の面と前記他方の面との間でそのコア基板を貫通する開口を有するように形成することと、
前記コア基板の前記他方の面に前記開口を覆うテープを設けることと、
前記電子部品を前記開口内の前記テープ上に配置することと、
前記コア基板の前記一方の面上の導体層と前記開口の上に樹脂フィルムを積層して第1絶縁層を形成することと、
前記コア基板の前記他方の面の前記開口を覆うテープを除去することと、
前記コア基板の他方の面上に樹脂フィルムを積層して第2絶縁層を形成することと、
を含むことを特徴としている。
【0013】
なお、本発明のプリント配線板およびその製造方法においては、好ましくは、前記コア基板の厚み(X)から前記電子部品の厚み(Y)を引いた段差が前記第1絶縁層の樹脂フィルムの厚み(Z)と等しいかまたはそれより小さくされている(即ち、Z≧X-Y)。これにより、コア基板と電子部品との段差が大きくても、その段差より厚いかそれに等しい厚みの第1絶縁層の樹脂フィルムの樹脂でその段差を補填できるので、第1絶縁層の表面を実質的に平坦に形成することができる。より好ましくは、前記電子部品の厚み(Y)と前記コア基板の厚み(X)との関係が、1/2≧Y/X≧1/5(即ち、X/2≧Y≧X/5)であると、段差が大きいので、特に効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のプリント配線板の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図2】(a)~(g)は、上記実施形態のプリント配線板を製造するための、本発明のプリント配線板の製造方法の一実施形態における製造プロセスを示す説明図である。
図3】(a)~(d)は、従来のプリント配線板の製造方法における製造プロセスを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のプリント配線板の一実施形態が図面に基づいて説明される。図1は、本発明のプリント配線板の一実施形態を模式的に示す断面図、図2(a)~図2(g)は、上記実施形態のプリント配線板を製造するための、本発明のプリント配線板の製造方法の一実施形態における製造プロセスを示す説明図である。なお、図1および図2に示す実施形態において、各部材の寸法、特に高さ方向の寸法については、本発明の特徴をより良く理解できるようにするために、実際の寸法とは異なる寸法で記載している。
【0016】
この実施形態のプリント配線板は、図1に示されるように、コア基板CB1と、そのコア基板CB1の一方の面である第1面S1および他方の面である第2面S2上にそれぞれ形成された導体層C1,C2と、それら第1面S1および第2面S2上と導体層C1,C2上とに積層形成されたビルドアップ層(第1絶縁層11および第2絶縁層21のみ図示する)とを備えている。この実施形態のプリント配線板はまた、コア基板CB1中に例えばIC等の電子部品P1を内蔵している。
【0017】
コア基板CB1の第1面S1および第2面S2上に形成された導体層C1,C2はそれぞれ所定の回路パターンを持っており、導体層C1,C2は、コア基板CB1を貫通する図示しないスルーホール導体を介して接続されていてもよい。コア基板CB1はまた、第1面S1と第2面S2との間でそのコア基板CB1を貫通して底のない凹部を形成する開口H1を有し、電子部品P1はその開口H1内に内蔵されている。コア基板CB1は、電気絶縁性の樹脂材料で形成されている。この樹脂材料は、例えば補強繊維とエポキシ系樹脂とを含む樹脂組成物等で構成されていてもよい
【0018】
コア基板CB1の第1面S1の導体層C1上と開口H1上には上記ビルドアップ層の最下層の絶縁層である第1絶縁層11が形成され、コア基板CB1の第2面S2の導体層C2上と開口H1上には上記ビルドアップ層の最下層の絶縁層である第2絶縁層21が形成され、それら第1絶縁層11と第2絶縁層21とはそれぞれ、電気絶縁性の樹脂フィルムで形成されている。これらの樹脂フィルムは、例えばシリカやアルミナ等の無機フィラーとエポキシ系樹脂とを含む樹脂組成物等で構成されていてもよい。
【0019】
第1絶縁層11および第2絶縁層21上には、絶縁層と導体層とを交互に積層するとともに絶縁層を挟む上下の導体層を接続するビア導体を形成してなる上述の一または複数層のビルドアップ層がそれぞれ積層形成されている。そしてそれらビルドアップ層の最下層の導体層は、それらビルドアップ層の最下層の絶縁層を形成する第1絶縁層11および第2絶縁層21をそれぞれ貫通する図示しないビア導体を介してコア基板CB1の第1面S1上の導体層C1と第2面S2上の導体層C2とにそれぞれ接続される。また、第1絶縁層11上のビルドアップ層の最下層の導体層は、最下層の絶縁層を形成する第1絶縁層11を貫通する図示しないビア導体を介して開口H1内の電子部品P1のバンプB1に接続されている。
【0020】
上記実施形態のプリント配線板を製造するための、本発明のプリント配線板の製造方法の一実施形態における製造プロセスでは、先ず、図2(a)に示されるように、コア基板CB1と、電子部品P1とを準備する。コア基板CB1の一方の面である第1面S1および他方の面である第2面S2上には、例えば各々電解銅めっきにより導体層C1と導体層C2とがそれぞれ形成されている。
【0021】
コア基板CB1にはまた、第1面S1と第2面S2との間でそのコア基板CB1を貫通して底のない凹部を形成する開口H1が、例えばレーザ等により形成されている。電子部品P1は、例えばIC等からなり、その上面には接続端子としての複数のバンプB1が形成されている。開口H1の大きさは、電子部品P1をさほど遊びなく内部に収容できる大きさとされている。この実施形態では、導体層C1と導体層C2とを含むコア基板CB1の厚みをXとし、バンプB1を含む電子部品P1の厚みをYとする。
【0022】
次に、図2(b)に示されるように、コア基板CB1の第2面S2およびその第2面S2側の導体層C2上に粘着テープTの粘着面を張り付けて、開口H1の第2面S2側の端部をその粘着テープTで塞ぐ。次いで、図2(c)に示されるように、電子部品P1を、開口H1の第1面S1側の端部から、バンプB1を第1面S1側に向けて開口H1内に挿入し、粘着テープTの粘着面に粘着させて固定する。
【0023】
次に、図2(d)に示されるように、コア基板CB1の第1面S1およびその第1面S1側の導体層C1上に、開口H1の第1面S1側の端部を塞ぐように第1絶縁層用の樹脂フィルムF1を配置する。この実施形態では、樹脂フィルムF1の厚みZは、導体層C1と導体層C2とを含むコア基板CB1の厚みXおよび、バンプB1を含む電子部品P1の厚みYに対し、Z≧X-Yとする。
【0024】
次に、図2(e)に示されるように、樹脂フィルムF1を加熱しつつ平板上でコア基板CB1へ向けて加圧して、樹脂フィルムF1の軟化した樹脂を導体層C1の周囲および、開口H1の内周面と電子部品P1の外周面との隙間に流入させ、樹脂フィルムF1から、表面のへこみが実質的にない平坦な第1絶縁層11を形成する。この加熱および加圧は、例えば加熱雰囲気中に配置したプレス装置の水平な固定テーブルとその上方で水平を保って昇降する可動テーブルとの間に樹脂フィルムF1とコア基板CB1とを配置して、それらを可動テーブルで加圧することで行ってもよい。
【0025】
次に、図2(f)に示されるように、樹脂フィルムF1の樹脂が硬化して電子部品P1が開口H1内で固定されたら、コア基板CB1の第2面S2およびその第2面S2側の導体層C2上の粘着テープTを剥がして、開口H1の第2面S2側の端部内の樹脂の端面および開口H1内の電子部品P1のバンプB1側と反対側の面を露出させる。これらの面は平板上での樹脂フィルムF1の加圧によって平坦なものになる。
【0026】
次に、図2(g)に示されるように、コア基板CB1と第1絶縁層11とを一緒に反転させて、開口H1の第2面S2側の端部内の樹脂の端面および開口H1内の電子部品P1のバンプB1側と反対側の面上に第2絶縁層21用の樹脂フィルムF2を配置する。そして図2(e)に示される工程と同様に、樹脂フィルムF2を加熱しつつ平板上でコア基板CB1へ向けて加圧して、樹脂フィルムF2の軟化した樹脂を導体層C2の周囲に流入させ、樹脂フィルムF2から、表面のへこみが実質的にない平坦な第2絶縁層21を形成する。
【0027】
これにより、図1に示される実施形態のプリント配線板を製造することができる。そして、この実施形態のプリント配線板およびその製造方法では、第1絶縁層11を樹脂フィルムF1で形成しているので、第1絶縁層の厚みのばらつきが小さくなっている。しかも樹脂フィルムF1の厚みZは、導体層C1と導体層C2とを含むコア基板CB1の厚みXおよび、バンプB1を含む電子部品P1の厚みYに対し、Z≧X-Yとしているので、第1絶縁層11の上面が実質的に平坦に形成される。
【0028】
なお、この実施形態のプリント配線板およびその製造方法は、1/2≧Y/X≧1/5(即ち、X/2≧Y≧X/5)の場合に、大きい段差が生じることから、特に効果がある。
【0029】
また、この実施形態のプリント配線板およびその製造方法では、第1絶縁層11および第2絶縁層21上に一または複数層のビルドアップ層がそれぞれ積層形成されているが、この発明のプリント配線板およびその製造方法はこれに限られず、第2絶縁層21上に、例えばマザーボードへの搭載用のバンプが形成され、そのバンプが、第2絶縁層21を貫通するビアホール導体を介して導体層C2に接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0030】
H1,H100 開口(凹部)
P 圧力
T 粘着テープ
B1 バンプ
SB100 スタッドバンプ
C1,C2,C100,C200 導体層
F1,F2 樹脂フィルム
P1,P100 電子部品
CB1,CB100 コア基板
S1,S100 第1面
S2,S200 第2面
11,110 第1絶縁層
21,210 第2絶縁層
130,230 ビア孔
図1
図2
図3