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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024884
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】防災用照明装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/20 20200101AFI20250214BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20250214BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20250214BHJP
   F21S 9/02 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
H05B47/20
H05B47/105
F21V23/00 113
F21S9/02 213
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129245
(22)【出願日】2023-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今▲吉▼ ちづる
(72)【発明者】
【氏名】江口 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】篠田 健吾
【テーマコード(参考)】
3K014
3K273
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K273AA03
3K273BA12
3K273BA36
3K273BA37
3K273CA02
3K273CA28
3K273DA08
3K273EA03
3K273EA07
3K273EA25
3K273EA41
3K273EA42
3K273EA43
3K273FA03
3K273FA07
3K273FA14
3K273FA15
3K273FA34
3K273FA38
3K273FA41
3K273GA03
3K273GA06
3K273GA14
3K273GA18
3K273GA25
(57)【要約】
【課題】本開示は防災用照明装置に関し、電池以外の原因による光源の異常の有無を、一般ユーザーが抱く違和感を抑制しつつ検出できる防災用照明装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本開示の防災用照明装置は、電池、点灯回路、制御回路及び光源を備える。点灯回路は、電池の出力電流を用いて光源を点灯させ、制御回路は、出力電流を制御することで、その供給による発光が非常点灯時より暗くなる電力を供給する。また本開示の防災用照明装置は、光源の異常の有無を、電力による発光に基づいて検出する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池、点灯回路、制御回路及び光源を備え、
前記点灯回路が、前記電池の出力電流を用いて前記光源を点灯させ、
前記制御回路が、前記出力電流を制御することで、その供給による発光が非常点灯時より暗くなる電力を供給し、
前記光源の異常の有無を、前記電力による発光に基づいて検出する
防災用照明装置。
【請求項2】
前記電力が、ヒトがその供給による発光を認識できない程度に微弱な電力である
請求項1に記載の防災用照明装置。
【請求項3】
前記電力が、その供給による発光が周囲環境の照度よりも低いために、ヒトが該発光を認識できない程度に微弱な電力である
請求項1に記載の防災用照明装置。
【請求項4】
電池、点灯回路、制御回路及び光源を備え、
前記点灯回路が、前記電池の出力電流を用いて前記光源を点灯させ、
前記制御回路が、前記出力電流を制御することで、ヒトがその供給による発光を認識できない程度にごく短時間の電力を供給し、
前記光源の異常の有無を、前記電力による発光に基づいて検出する
防災用照明装置。
【請求項5】
前記電力が供給される一回あたりの時間が200ミリ秒より短い時間である
請求項4に記載の防災用照明装置。
【請求項6】
電圧検出部をさらに備え、
前記検出は、前記電圧検出部が前記光源の電圧を検出することで実施する
請求項1または4に記載の防災用照明装置。
【請求項7】
電圧検出部及び検出抵抗をさらに備え、
前記検出は、予め設定した正常時における前記検出抵抗の電圧と、前記電圧検出部が検出した前記検出抵抗の電圧とを比較することで実施する
請求項1または4に記載の防災用照明装置。
【請求項8】
光検出素子をさらに備え、
前記検出は、予め設定した正常時における前記光源の発光と、前記光検出素子が検出した前記光源の発光とを比較することで実施される
請求項1または4に記載の防災用照明装置。
【請求項9】
前記制御回路が前記点灯回路を内蔵する
請求項1または4に記載の防災用照明装置。
【請求項10】
前記検出の結果に基づいて前記光源の点灯状態を変化させる
請求項1または4に記載の防災用照明装置。
【請求項11】
モニタをさらに備え、
前記検出の結果に基づいて前記モニタの表示を変化させる
請求項1または4に記載の防災用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、防災用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非常灯及び誘導灯等を有する防災用照明装置は、電池を内蔵している。この電池は、非常時に、光源を有効時間にわたって点灯させる機能を求められる。このため防災用照明装置は、非常点灯時の性能を確認するために点検を行う必要がある。
【0003】
特許文献1には、光源を非常点灯させることなく点検を行うことができる非常用照明システムが開示されている。この非常用照明システムは、電池を放電させる放電経路を形成する擬似負荷を有する。そして、擬似負荷を通して電池を放電させ、所定の点検時間が経過した後の電池の電圧を検出することで、電池が正常かを判断している。
【0004】
また、防災用照明装置が有する光源の主流は、LEDあるいは複数のLEDパッケージを集約したLEDモジュールである。防災用照明装置の点検では、非常時に光源が点灯できること、及び点灯した光源の明るさが不足しないことを確かめる必要がある。LEDの故障の原因としては、回路の短絡及び開放の他、回路に接続するコネクタの異常あるいは基板のマイグレーションによる部分短絡等が挙げられる。そのため、例えば光源の有無を検出するだけでは、光源が異常であるかの判断はできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006―040732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし上述の非常用照明システムでは、電池が正常であるかの判断しかしていないため、非常点灯時の光源の点検としては不十分である。すなわち、点検時に光源を非常点灯させないため、電池以外の原因による非常点灯時の光源の不具合を検出することができない課題があった。
【0007】
また近年の防災用照明装置には、自動点検機能を有するものもある。しかし、この自動点検においても、防災用照明装置の非常点灯の状態は目視で確認する必要がある。すなわち、自動点検時には、点検者が防災用照明装置の設置場所にいる必要があるため、点検者の負担を十分に減らすことができない課題があった。
【0008】
さらに防災用照明装置の点検時に行う非常点灯は、それが点検のための操作であっても、その場にいる一般ユーザーに不安及び不快な思いといった違和感を抱かせる可能性がある。この回避のため点検を夜間に行うと、点検者の負担が大きくなる課題があった。
【0009】
本開示は上述の問題を解決するため、電池以外の原因による光源の異常の有無を、一般ユーザーが抱く違和感を抑制しつつ検出できる防災用照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の第一の態様は、電池、点灯回路、制御回路及び光源を備え、点灯回路が、電池の出力電流を用いて光源を点灯させ、制御回路が、出力電流を制御することで、その供給による発光が非常点灯時より暗くなる電力を供給し、光源の異常の有無を、電力による発光に基づいて検出する防災用照明装置であることが好ましい。
【0011】
本開示の第二の態様は、電池、点灯回路、制御回路及び光源を備え、点灯回路が、電池の出力電流を用いて光源を点灯させ、制御回路が、出力電流を制御することで、ヒトがその供給による発光を認識できない程度にごく短時間の電力を供給し、光源の異常の有無を、電力による発光に基づいて検出する防災用照明装置であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本開示の態様によれば、電池以外の原因による光源の異常の有無を、一般ユーザーが抱く違和感を抑制しつつ検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の実施の形態1に係る防災用照明装置を示す斜視図である。
図2】本開示の実施の形態1に係る防災用照明装置の内部構造を示す斜視図である。
図3】本開示の実施の形態1に係る光源の内部構造を示す斜視図である。
図4】本開示の実施の形態1に係る点灯ユニットの回路構成を示すブロック図である。
図5】本開示の実施の形態2に係る点灯ユニットの回路構成を示すブロック図である。
図6】本開示の実施の形態4に係る点灯ユニットの回路構成を示すブロック図である。
図7】本開示の実施の形態5に係る点灯ユニットの回路構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1
図1は、本開示の実施の形態1に係る防災用照明装置を示す斜視図である。以下、添付の図を参照して、本開示を実施するための形態について説明する。各図における同一の符号は、同一の部分または相当する部分を示す。重複する説明については、適宜簡略化または省略する。
【0015】
防災用照明装置1は、本体4を備える。本体4は、その表面にバネ7を有する。バネ7は、防災用照明装置1を天井に取り付けるために用いられる。
【0016】
また本体4は、下面に枠5を有する。枠5は、非常時に点灯する光源6を、本体4に取り付けるために用いられる。さらに枠5は、点検スイッチ10及びモニタ11を有する。点検スイッチ10は、防災用照明装置1の動作を確認する際に用いられる。モニタ11は、防災用照明装置1の動作状態を表示する。
【0017】
図2は、本開示の実施の形態1に係る防災用照明装置の内部構造を示す斜視図である。本体4は、点灯ユニット2及び電池3を内蔵している。
【0018】
図3は、本開示の実施の形態1に係る光源の内部構造を示す斜視図である。光源6は、基板43を備える。基板43には、コネクタ42が接続されている。また基板43の上には、発光素子であるLEDチップ41が設置されている。なお、コネクタ42とLEDチップ41は接続されている。
【0019】
図4は、本開示の実施の形態1に係る点灯ユニットの回路構成を示すブロック図である。まず通常時の点灯ユニット2の動作を説明する。点灯ユニット2は、商用電源21から供給された電力を、整流回路22で整流する。フライバック電源23は、整流された電圧を電池3の充電に適した電圧に降圧し、電池3を充電する。
【0020】
また点灯ユニット2は、制御電源生成回路26で、制御回路27の電源となるVcc25を生成する。制御回路27は、例えばマイコンである。制御回路27は、フライバック電源23の出力を制御することで、電池3の充電電流を制御する。
【0021】
なお、制御回路27は、点検スイッチ10からの入力を受信して動作したり、点灯ユニット2の状態をモニタ11に出力したりする機能も有する。
【0022】
次に非常時の点灯ユニット2の動作を説明する。商用電源21が停電すると、制御回路27が、昇圧回路28を用いて電池3の出力電圧を昇圧する。なお昇圧回路は、電池3の出力電圧を用いて光源6を点灯させる点灯回路の一例である。
【0023】
また制御回路27は、電源ON/OFF信号32を出力し、電源ON/OFFスイッチ33をON状態にする。これにより、電池3からの電力を光源6に供給できる。さらに制御回路27は、光源ON/OFF信号37を出力することで、光源ON/OFFスイッチ34を動作させる。これにより、光源6のオンオフ制御を実施できる。
【0024】
光源6を点灯させる場合、まず制御回路27が、光源ON/OFF信号37を出力することで、光源ON/OFFスイッチ34をON状態にする。次に、昇圧回路28が、電圧検出部29を用いて出力電圧を検出する。さらに昇圧回路28が、電流検出抵抗30を用いて光源6の電流を検出することで、電流検出信号31を取得する。そして制御回路27が、昇圧回路28から取得した出力電圧及び電流検出信号31に基づき、電流検出信号31が一定となるよう、昇圧回路28の動作を制御する。これにより、光源6に供給される電力が適切な大きさに保たれるため、光源6の非常点灯が安定する。
【0025】
次に点検時の点灯ユニット2の動作を二通り説明する。第一に、光源6の電圧を検出することで点検を実施する動作を説明する。まず制御回路27が、電源ON/OFFスイッチ33及び光源ON/OFFスイッチ34をOFF状態にする。また制御回路27が、昇圧回路28を定電流動作とする。
【0026】
次に制御回路27が、電源ON/OFF信号32を出力することで、電源ON/OFFスイッチ33をON状態にする。この電源ON/OFF信号で、ヒトが光源の発光を認識できない程度にごく微弱な電力を供給する。ヒトとは、例えば回路の設計者あるいは器具の設計者等である。
【0027】
そして電圧検出部36が、光源6の接続状態を検出する。ここでは、光源6の接続に異常がない場合は「H」、異常がある場合は「L」が検出される。
【0028】
なお、ここで言う「異常がある場合」とは、光源6が非接続状態であることだけでなく、光源6が有するLEDチップ41がオープン故障していること、コネクタ42の不具合、基板43のパターン断線等、光源6を正常に動作させるために必要な経路の全てにおける異常を示す。
【0029】
光源6の電圧の検出方法についてより詳細に説明する。光源6のカソード側には、検出抵抗35a及び35bが接続されている。検出抵抗35a及び35bにより、昇圧回路28から出力される電圧と電圧検出部36の電圧の差から、光源6の電圧を検出することができる。
【0030】
なお電圧検出部36は、制御回路27のマイコンが有するA/Dポートを用いることで、より正確な電圧を検出できる。
【0031】
第二に、検出抵抗35a及び35bの電圧を検出することで点検を実施する動作を説明する。まず、第一の動作と同様に、制御回路27が、電源ON/OFFスイッチ33及び光源ON/OFFスイッチ34をOFF状態にする。また制御回路27が、昇圧回路28を定電流動作とする。
【0032】
次に制御回路27が、電源ON/OFF信号32を出力することで、電源ON/OFFスイッチ33をON状態にする。この電源ON/OFF信号で、ヒトが光源の発光を認識できない程度にごく微弱な電力を供給する。ヒトとは、例えば回路の設計者あるいは器具の設計者等である。
【0033】
そして電圧検出部36が、検出抵抗35a及び35bの電圧を検出し、予め設定しておいた正常時の電圧と比較する。正常時の電圧は、実測値でも良いし、シミュレーション等で算出した値でも良い。これにより、光源6が有するLEDチップ41が少なくとも1個短絡していたり、コネクタ42が基板上でトラッキング等により短絡していたりしないかを確認することができる。
【0034】
上述の通り、微弱な電力の供給による非常点灯を実施することで、光源6の発光が非常点灯時よりも暗くなり、一般ユーザーが非常点灯を認識しにくくなる。すなわち、電池以外の原因による光源の異常の有無を、一般ユーザーが抱く違和感を抑制しつつ検出できる。
【0035】
実施の形態2
図5は、本開示の実施の形態2に係る点灯ユニットの回路構成を示すブロック図である。本実施形態に係る点灯ユニット2aは、電源ON/OFF信号32aがパルス信号である点が、実施の形態1と異なる。
【0036】
点検時の点灯ユニット2aの動作を説明する。ここでは、検出抵抗35a及び35bの電圧を検出することで点検を実施する動作を説明する。まず制御回路27が、電源ON/OFFスイッチ33及び光源ON/OFFスイッチ34をOFF状態にする。また制御回路27が、昇圧回路28を定電流動作とする。
【0037】
次に制御回路27が、電源ON/OFF信号32aを出力することで、電源ON/OFFスイッチ33をON状態にする。この電源ON/OFF信号は、ヒトが光源の発光を認識できない程度にごく短時間のパルス信号である。ヒトとは、例えば回路の設計者あるいは器具の設計者等である。
【0038】
そして検出抵抗35a及び35bの電圧を電圧検出部36で検出し、予め設定しておいた正常時の電圧と比較する。正常時の電圧は、実測値でも良いし、シミュレーション等で算出した値でも良い。これにより、光源6が有するLEDチップ41が少なくとも1個短絡していたり、コネクタ42が基板上でトラッキング等により短絡していたりしないかを確認することができる。
【0039】
なお、ここで言う「ごく短時間」とは、例えば200ミリ秒より短い時間が好ましい。ヒトの目が光に反応できる時間は200ミリ秒以上と言われているためである。しかし、LEDの発光原理上、素子自体の発光期間及び蛍光体による残光を考慮すると、通電が必要な時間は非常に短くなると考えられる。そのため、通電時間は、LEDの電気特性、発光特性、レンズ形状及びモジュールの構成などに基づいて設定する。最終的な通電時間は、例えば回路の設計者あるいは器具の設計者等が実際に目視して確認する。
【0040】
なお、本実施形態において、光源6の電圧を検出することで点検を実施しても良い。この場合、電圧検出部36は、処理の早いA/Dポートを用いて電圧を検出する。
【0041】
上述の通り、ごく短時間の電力の供給による非常点灯を実施することで、一般ユーザーが非常点灯を認識しにくくなる。すなわち、電池以外の原因による光源の異常の有無を、一般ユーザーが抱く違和感を抑制しつつ検出できる。
【0042】
実施の形態3
本実施形態は、実施の形態1と実施の形態2の組み合わせである。すなわち、点灯ユニット2aにおいて、微弱かつごく短時間の電力供給である電源ON/OFF信号32bを用いたうえで、検出抵抗35a及び35bの電圧を検出する。
【0043】
表1は、あるLED素子を4つ直列に接続したモジュールに対して単発のパルス電流を供給した際に、ヒトが目視で光を観測できた各値を示した表である。微弱かつごく短時間の電力である電源ON/OFF信号32は、例えば1.2mAかつ50μs以下の時間の電力、あるいは0.6mAかつ100μs以下の時間の電流でも良いことが分かる。パルス電流値及び時間は、LED素子の電気特性、発光特性、レンズ形状及びモジュールの構成などによって異なる。
【0044】
【表1】
【0045】
なお、表1における時間はパルス電流の時間幅である。LED素子には残光特性があるため、実際の光出力の時間はこの時間よりも長くなる。また、この残光特性もLED素子の品種によって異なるため、ヒトが目視で光を観測できないパルス電流の時間幅も、品種に合わせて調整する必要がある。
【0046】
LED素子の発光強度は、電流値及び発光時間によって決定される。そのため、上述の通り、微弱かつごく短時間の電力の供給による非常点灯を実施することで、一般ユーザーが非常点灯を認識しにくくなる。すなわち、電池以外の原因による光源の異常の有無を、一般ユーザーが抱く違和感を抑制しつつ検出できる。
【0047】
実施の形態4
図6は、本開示の実施の形態4に係る点灯ユニットの回路構成を示すブロック図である。本実施形態に係る点灯ユニット2bは、光源6の発光を、光検出素子51を用いて検出する点が、実施の形態1と異なる。
【0048】
点検時の点灯ユニット2bの動作を説明する。まず制御回路27が、電源ON/OFFスイッチ33及び光源ON/OFFスイッチ34をOFF状態にする。また制御回路27が、昇圧回路28を定電流動作とする。
【0049】
次に制御回路27が、電源ON/OFF信号32bを出力することで、電源ON/OFFスイッチ33をON状態にする。この電源ON/OFF信号は、ヒトが光源の発光を認識できない程度にごく短時間のパルス信号である。ヒトとは、例えば回路の設計者あるいは器具の設計者等である。
【0050】
そして光検出素子51が、光源6の発光の出力状態を定量的に検出し、光検出信号52として制御回路27に出力する。光検出素子51は、光源6の近傍に設置された素子であり、例えばフォトダイオードあるいはフォトトランジスタのような、いわゆる明るさセンサである。図6における光検出素子51は、フォトダイオードに電流アンプを組み合わせたものである。なお光検出素子51は、高速応答が可能な素子であることが好ましい。
【0051】
さらに光検出信号52を、予め設定しておいた正常時の発光の出力状態と比較する。正常時の出力状態は、実測値でも良いし、シミュレーション等で算出した値でも良い。これにより、光源6が有するLEDチップ41が少なくとも1個短絡していたり、コネクタ42が基板上でトラッキング等により短絡していたりしないかを確認することができる。
【0052】
本実施形態では、光源6の発光の出力状態を光検出素子51で検出する。光検出素子51は、ごく微小な光でも検出可能であるため、検出用の電流の大きさ及び時間の設定を目視で設定する必要がない利点がある。
【0053】
上述の通り、ごく短時間の電力の供給による非常点灯を光検出素子で検出することで、一般ユーザーが非常点灯を認識しにくくなる。すなわち、電池以外の原因による光源の異常の有無を、一般ユーザーが抱く違和感を抑制しつつ検出できる。
【0054】
なお、本実施形態ではごく短時間の電力供給に伴う発光に基づいて光源の異常の有無を検出する方法を示したが、その供給による発光が非常点灯時より暗くなる電力による発光に基づいて光源の異常の有無を検出しても良い。あるいは、微弱かつごく短時間の電力供給に伴う発光に基づいて光源の異常の有無を検出しても良い。
【0055】
実施の形態5
図7は、本開示の実施の形態5に係る点灯ユニットの回路構成を示すブロック図である。本実施形態に係る点灯ユニット2cは、制御回路が昇圧回路の昇圧機能を内蔵する点が、実施の形態1と異なる。
【0056】
点灯ユニット2cは、制御回路27aを備える。制御回路27aは、制御回路27の機能に、昇圧回路28のドライブ機能を内蔵した回路である。これにより、電流検出抵抗30とLED電圧の検出端子を兼用することができるため、回路を簡略化できる。
【0057】
実施の形態6
本実施形態は、点灯ユニット等の構成は実施の形態1と同様である。しかし本実施形態は、点検時に供給する電力を、明るい環境において光源6の発光が認識されない電流値及び発光時間にする点が、実施の形態1と異なる。
【0058】
実施の形態1から5においては、照度がゼロであるような暗黒環境において、ヒトが発光を認識しないことを目的としていた。しかし実際には、一般ユーザーが立ち入る環境において、ヒトが発光を認識しなければ、ヒトが違和感を抱くことはない。ここで、一般ユーザーが立ち入る環境の照度がゼロであることはない。そのため、実際にヒトが発光を認識しない電力は、より大きい電流値あるいは長い発光時間でも達成される。
【0059】
以上により、ヒトが光源6の発光を認識できない電力は、その供給による発光が周囲環境の照度よりも低い電力であれば良い。そこで、本実施形態において供給する電力の電流値及び発光時間は、防災用照明装置を設置する環境、照明器具の種類及びLED素子の特性に基づいて決定される。
【0060】
上述の通り、その供給による発光が周囲環境の照度よりも低いために、ヒトが発光を認識できない程度に微弱な電力の供給による非常点灯を実施することで、一般ユーザーが非常点灯を認識しにくくなる。すなわち、電池以外の原因による光源の異常の有無を、一般ユーザーが抱く違和感を抑制しつつ検出できる。
【0061】
また、本実施形態の態様により、検出用の電流の大きさ及び時間を、目視の確認を伴って設定する必要がなくなる。そのため、回路の設計者あるいは器具の設計者等の負担を軽減できる。
【0062】
実施の形態7
本実施形態は、点灯ユニット等の構成は実施の形態1と同様である。しかし本実施形態は、光源の異常を検出した際にそれを周知する点が、実施の形態1と異なる。
【0063】
光源の異常を検出した場合、光源を正常な状態に改修するため、検出結果を一刻も早く点検者あるいは管理者等に周知する必要がある。そこで、光源の点灯が可能な場合は、光源の点灯状態を変化させることで異常を周知させる。例えば、光源を連続的に点灯あるいは点滅させ、発光を認識させることで異常を周知させる。
【0064】
光源の点灯が不可能な場合は、モニタ11の表示を変化させることで異常を周知させる。光源の点灯が不可能な場合としては、例えば回路の開放による異常である場合がある。
【0065】
なお、本開示で示した光源の異常検出は、単発的に実施されるものでも良いし、継続的に監視されるものでも良い。また、本開示で示した光源の異常検出は、特許文献1で開示されているような電池の点検とは無関係に実施しても良いし、電池の点検を実施すべき点検信号を得た際に電池の点検と並行して実施しても良い。並行実施において光源の異常が検出された場合は、例えばモニタ11の表示を変化させることで異常を周知させることで、電池の点検と光源の異常検出の結果を同時に確認できる。
【0066】
さらに、本開示で示した光源の異常検出は、通常時に点灯していない非常灯以外に適用しても良い。例えば、常時消灯している誘導灯光源、点滅型誘導灯の点滅光源に適用しても良い。なお、誘導灯光源あるいは点滅型誘導灯の場合、常用点灯回路を使用して光源を点灯させる等により、光源の異常を周知させても良い。
【0067】
以下、本開示の所態様を付記としてまとめて記載する。
【0068】
(付記1)
電池、点灯回路、制御回路及び光源を備え、
前記点灯回路が、前記電池の出力電流を用いて前記光源を点灯させ、
前記制御回路が、前記出力電流を制御することで、その供給による発光が非常点灯時より暗くなる電力を供給し、
前記光源の異常の有無を、前記電力による発光に基づいて検出する
防災用照明装置。
(付記2)
前記電力が、ヒトがその供給による発光を認識できない程度に微弱な電力である
付記1に記載の防災用照明装置。
(付記3)
前記電力が、その供給による発光が周囲環境の照度よりも低いために、ヒトが該発光を認識できない程度に微弱な電力である
付記1または2に記載の防災用照明装置。
(付記4)
電池、点灯回路、制御回路及び光源を備え、
前記点灯回路が、前記電池の出力電流を用いて前記光源を点灯させ、
前記制御回路が、前記出力電流を制御することで、ヒトがその供給による発光を認識できない程度にごく短時間の電力を供給し、
前記光源の異常の有無を、前記電力による発光に基づいて検出する
防災用照明装置。
(付記5)
前記電力が供給される一回あたりの時間が200ミリ秒より短い時間である
付記4に記載の防災用照明装置。
(付記6)
電圧検出部をさらに備え、
前記検出は、前記電圧検出部が前記光源の電圧を検出することで実施する
付記1から5の何れか一項に記載の防災用照明装置。
(付記7)
電圧検出部及び検出抵抗をさらに備え、
前記検出は、予め設定した正常時における前記検出抵抗の電圧と、前記電圧検出部が検出した前記検出抵抗の電圧とを比較することで実施する
付記1から5の何れか一項に記載の防災用照明装置。
(付記8)
光検出素子をさらに備え、
前記検出は、予め設定した正常時における前記光源の発光と、前記光検出素子が検出した前記光源の発光とを比較することで実施される
付記1から5の何れか一項に記載の防災用照明装置。
(付記9)
前記制御回路が前記点灯回路を内蔵する
付記1から8の何れか一項に記載の防災用照明装置。
(付記10)
前記検出の結果に基づいて前記光源の点灯状態を変化させる
付記1から9の何れか一項に記載の防災用照明装置。
(付記11)
モニタをさらに備え、
前記検出の結果に基づいて前記モニタの表示を変化させる
付記1から9の何れか一項に記載の防災用照明装置。
【符号の説明】
【0069】
1 防災用照明装置
3 電池
6 光源
11 モニタ
27 制御回路
27a 制御回路
35a 検出抵抗
35b 検出抵抗
36 電圧検出部
51 光検出素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7