(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024889
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】非常用照明装置
(51)【国際特許分類】
H05B 47/115 20200101AFI20250214BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20250214BHJP
H05B 47/165 20200101ALI20250214BHJP
H05B 47/175 20200101ALI20250214BHJP
F21S 9/02 20060101ALI20250214BHJP
F21S 8/02 20060101ALI20250214BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20250214BHJP
【FI】
H05B47/115
H05B47/16
H05B47/165
H05B47/175
F21S9/02 200
F21S8/02 400
F21V23/00 115
F21V23/00 140
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129253
(22)【出願日】2023-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鶴留 和幸
【テーマコード(参考)】
3K014
3K273
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K273PA08
3K273QA11
3K273QA37
3K273QA38
3K273RA12
3K273SA02
3K273SA08
3K273SA11
3K273SA19
3K273SA21
3K273SA32
3K273SA37
3K273SA46
3K273SA48
3K273SA57
3K273TA13
3K273TA15
3K273TA17
3K273TA27
3K273TA28
3K273TA41
3K273TA49
3K273UA16
3K273UA27
3K273UA29
(57)【要約】 (修正有)
【課題】異常事態が発生したと誤認されることなく、点検動作の中断及び再開を制御できる非常用照明装置を提供する。
【解決手段】非常用照明装置は、光源ユニット、電源装置及び蓄電池を備え、センサに接続されている。光源ユニットは、電力供給に応じて点灯するよう構成され、センサは、人を検出すると人の在信号を電源装置に送信するよう構成される。電源装置は、蓄電池を充電する充電処理と、蓄電池から光源ユニットへの電力供給を開始する開始処理と、人の在信号の受信に応じて、電力供給を停止する中断処理と、中断処理中に、人の在信号を一定時間受信しなくなったことに応じて、電力供給を再開する再開処理と、蓄電池の電圧が特定の閾値になるまで放電されたときに、電力供給を完了する完了処理と、電力供給によって光源ユニットが点灯した時間の合計である合計点灯時間を算出し、既定の点灯時間以上であるかを判断する判断処理と、を実施する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源ユニット、電源装置及び蓄電池を備え、センサに接続されている非常用照明装置であり、
前記光源ユニットが、電力供給に応じて点灯するよう構成され、
前記センサが、人を検出すると人の在信号を電源装置に送信するよう構成され、
前記電源装置が、
商用電源から供給される電力によって前記蓄電池を充電する充電処理と、
前記蓄電池から前記光源ユニットへの電力供給を開始する開始処理と、
前記人の在信号の受信に応じて、前記電力供給を停止する中断処理と、
前記中断処理中に、前記人の在信号を一定時間受信しなくなったことに応じて、前記電力供給を再開する再開処理と、
前記蓄電池の電圧が特定の閾値になるまで放電されたときに、前記電力供給を完了する完了処理と、
前記電力供給によって前記光源ユニットが点灯した時間の合計である合計点灯時間を算出し、該合計点灯時間が既定の点灯時間以上であるかを判断する判断処理と
を実施するよう構成されている
非常用照明装置。
【請求項2】
前記電源装置が
前記中断処理から前記再開処理までの時間の合計が閾値を超えた場合、前記電力供給を中止する処理と、
前記充電処理を再度実施する再充電処理と、
前記再充電処理の後に、前記開始処理、前記中断処理、前記再開処理、前記完了処理及び前記判断処理を改めて実施する再実施処理と、
をさらに実施するよう構成され、
前記再実施処理が、前記再充電処理より前に前記光源ユニットが点灯した時間を、前記合計点灯時間から除外する処理である
請求項1に記載の非常用照明装置。
【請求項3】
前記合計点灯時間が、点灯時間に影響する要素に基づいて補正される
請求項1に記載の非常用照明装置。
【請求項4】
前記中断処理あるいは前記再開処理の開始がディレイ制御される
請求項1に記載の非常用照明装置。
【請求項5】
前記センサが内蔵されている、請求項1に記載の非常用照明装置。
【請求項6】
前記センサが前記電源装置に内蔵されている
請求項1に記載の非常用照明装置。
【請求項7】
タイマーをさらに備え、
前記開始処理が、前記タイマーに予め設定された開始時刻に自動で開始される
請求項1に記載の非常用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非常用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非常用照明装置の一種である誘導灯及び非常灯は、日本の消防庁告示あるいは建築基準法等によって点検が義務付けられている。この点検作業は非常点灯を伴うため、通常時に使用する光源を停止することがある。そのため、非常用照明装置の設置場所及び環境次第では、点検中に操業を止めるあるいは休業日に点検を行う必要がある。これにより、点検者の負担が増大する課題があった。
【0003】
上述の課題は、特許文献1に開示されている、非常電源の使用期間に基づいて点検作業を自動的に開始する点灯装置によって解決できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし上述の点検作業は非常点灯を伴うため、非常用照明装置が一般ユーザーの視界に入る場所に設置されている場合、異常事態が発生したと誤認される課題があった。
【0006】
また、非常用照明装置の点検作業には、規定時間の非常点灯が可能であるかを確認する点検項目がある。そのため、点検動作が中断された場合は、蓄電池の充電及び点検動作を始めから再開する必要があり、点検者の負担が増大する課題があった。
【0007】
本開示は上述の問題を解決するため、一般ユーザーから異常事態が発生したと誤認されることなく、点検動作の中断及び再開を制御できる非常用照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の態様は、光源ユニット、電源装置及び蓄電池を備え、センサに接続されている非常用照明装置であり、光源ユニットが、電力供給に応じて点灯するよう構成され、センサが、人を検出すると人の在信号を電源装置に送信するよう構成され、電源装置が、商用電源から供給される電力によって蓄電池を充電する充電処理と、蓄電池から光源ユニットへの電力供給を開始する開始処理と、人の在信号の受信に応じて、電力供給を停止する中断処理と、中断処理中に、人の在信号を一定時間受信しなくなったことに応じて、電力供給を再開する再開処理と、蓄電池の電圧が特定の閾値になるまで放電されたときに、電力供給を完了する完了処理と、電力供給によって光源ユニットが点灯した時間の合計である合計点灯時間を算出し、該合計点灯時間が既定の点灯時間以上であるかを判断する判断処理と、を実施するよう構成されている非常用照明装置であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本開示の態様によれば、一般ユーザーから異常事態が発生したと誤認されることなく、点検動作の中断及び再開を制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施の形態1に係る非常用照明システムを示すイメージ図である。
【
図2】本開示の実施の形態1に係る非常用照明装置を示す斜視図である。
【
図3】本開示の実施の形態1に係る非常用照明装置を示す構造分解図である。
【
図4】本開示の実施の形態1に係る非常用照明装置の下面図である。
【
図5】本開示の実施の形態1に係る人感センサを示す図である。
【
図6】本開示の実施の形態1に係る点検用リモコンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1
[本開示の実施の形態1に係る非常用照明装置の構成]
【0012】
図1は、本開示の実施の形態1に係る非常用照明システムを示すイメージ図である。
図1は、非常用照明装置1と人感センサ8の接続、点検用リモコン9を用いた点検操作及び人感センサ8による人検知をイメージしている。
【0013】
非常用照明システム100は、商用電源10に接続されている。商用電源10は、通常時に非常用照明装置1への電力供給を行っている。
【0014】
非常用照明装置1は人感センサ8に接続されている。人感センサ8は、人12の有無を検出し、人の在/不在信号を送信する。非常用照明装置1は、人感センサ8から人の在/不在信号を受信する。
【0015】
また非常用照明装置1は、点検用リモコン9から遠隔操作されることにより、点検動作を開始することがある。
【0016】
図2は、本開示の実施の形態1に係る非常用照明装置を示す斜視図である。また
図3は、本開示の実施の形態1に係る非常用照明装置を示す構造分解図である。
【0017】
非常用照明装置1は、光源ユニット2を備える。光源ユニット2は、通常時に商用電源10から供給される電力を用いて点灯する。また光源ユニット2は、非常時に商用電源10が遮断された場合、蓄電池3から供給される放電電力を用いて点灯する。蓄電池3は、通常時は商用電源10から供給される電力によって充電され、非常時は光源ユニット2に放電電力を供給する。
【0018】
また非常用照明装置1は、電源装置4を備える。電源装置4は、通常時は商用電源10から供給される電力を用いて蓄電池3を充電させ、非常時は蓄電池3から供給される放電電力を用いて光源ユニット2を点灯させる。
【0019】
図4は、本開示の実施の形態1に係る非常用照明装置の下面図である。非常用照明装置1は、下面に充電モニタランプ5を備える。充電モニタランプ5は、充電状態を表示するランプである。充電モニタランプ5は、商用電源10が通電されている場合は点灯し、商用電源10が遮断された場合、あるいは点検動作等で光源ユニット2が非常点灯状態となっている場合は消灯する。
【0020】
なお、商用電源10が通電されているかは、電源装置4によって検知される。これを検知することで、電源装置4は、蓄電池3への充電電力及び充電モニタランプ5への点灯電力の供給を制御する。
【0021】
また非常用照明装置1は、下面に手動点検開始ボタン6及び自己点検用点検開始ボタン7を備える。手動点検開始ボタン6及び自己点検用点検開始ボタン7の機能については後述する。
【0022】
図5は、本開示の実施の形態1に係る人感センサを示す図である。人感センサ8は、人の有無を検出するセンサである。人感センサ8が実施する検出は、例えば赤外線、電波あるいは画像情報を用いた方法で行っても良い。電波を用いた方法としては、電波を発信した際に物体が反射した電波を受信し、ドップラー効果に起因した送信波と受信波の周波数に基づいて移動体を検出する方法が例示できる。
【0023】
人感センサ8は、電源装置4に接続されている。人感センサ8は、検出した人の有無に応じた人の在/不在信号を、電源装置4に送信する。
【0024】
なお人感センサ8は、非常用照明装置1に搭載されていても良いし、非常用照明装置1の外に個別設置されていても良い。あるいは、人感センサ8は、電源装置4に内蔵されていても良い。
【0025】
また人感センサ8は、人の有無を検出する手段として用いるセンサの一例である。人の有無を検出する他の手段としては、社員証のようなカードキーを用いた入退室検出が挙げられる。例えば、人がオフィス空間あるいは照明空間に入退室する際に、カードキーを用いた認証を実施する。この認証を用いて、人が入室した際は出勤、人が退室した際は退勤といった出退勤情報を作成する。そして、出勤時は人の在信号を電源装置4に送信し、退勤時は人の不在信号を電源装置4に送信する。このように、入退室検出を用いた出退勤情報に基づき、人の在/不在信号を電源装置4に送信することで、人感センサ8と同様の制御を実施することができる。
【0026】
図6は、本開示の実施の形態1に係る点検用リモコンを示す図である。点検用リモコン9は、非常用照明装置1の点検動作を遠隔操作によって開始する際に使用される。
【0027】
[本開示の実施の形態1に係る点検方法]
本開示の実施の形態1に係る点検方法について説明する。非常用照明装置1が実施する点検では、電源供給源の切り替え動作の確認と、非常点灯の継続時間の計測を実施する。電源供給源の切り替え動作の確認は、商用電源10の遮断を想定した確認であり、商用電源10による通常点灯から蓄電池3による非常点灯へ切り替える動作の確認である。非常点灯の継続時間の計測は、蓄電池3による光源ユニット2の非常点灯が継続できる時間を計測するものである。
【0028】
まず、点検動作の開始について述べる。点検動作は、点検開始信号を受信した電源装置4が開始する。点検開始信号は、非常用照明装置1が有する自己点検用点検開始ボタン7の押し下げあるいは引き下げによって送信されても良いし、点検用リモコン9を用いた遠隔操作によって送信されても良い。あるいは、非常用照明装置1がタイマーを有する場合、予め設定された点検動作の開始時刻に自動で送信されても良い。
【0029】
なお、点検動作は、蓄電池3が完全に充電されている状態で開始されるものとする。完全に充電された状態とは、例えば蓄電池3の電圧が特定の閾値以上になるまで充電されたときである。
【0030】
また非常用照明装置1は、蓄電池3が閾値以上に充電されていない状態で点検開始信号を受信した場合、充電不足の状態を報知する機能を有する。報知する機能とは、例えば充電不足あるいは点検開始不可を報知するモニタランプを点灯させる機能である。あるいは非常用光源を点滅させるなど、通常動作とは違った動作をさせる機能である。以上のように非常用照明装置1は、蓄電池3の充電状態が閾値以上ではないことを報知し、点検動作へは移行しない。
【0031】
次に、点検動作の中断について述べる。点検動作は、人の存在が検出されたことに応じて中断される。例えば、人感センサ8から人の在信号が送信された場合に中断される。
【0032】
点検動作の中断について、より詳細に述べる。点検動作中は、光源ユニット2が非常点灯状態となっている。人感センサ8は、人の存在を検出すると、電源装置4に人の在信号を送信する。電源装置4は、人の在信号を受信すると、蓄電池3から光源ユニット2への電力供給を停止させる。
【0033】
次に、点検動作の再開について述べる。点検動作は、上述した点検動作の中断中に、人の存在が検出されなくなったことに応じて再開される。例えば、人感センサ8から人の在信号が一定時間発信されなくなった場合に再開される。
【0034】
再開された点検動作は、蓄電池3に充電された電力が十分に放電されたときに完了する。十分に放電されたときとは、例えば蓄電池3の電圧が特定の閾値になるまで放電されたときである。特定の閾値とは、例えば蓄電池3の放電基準電圧であり、非常用照明装置1を必要照度で点灯させるために必要な電池電圧である。
【0035】
点検動作が完了すると、電源装置4は、点検動作の開始から中断までの点灯時間と、点検動作の再開から完了までの点灯時間を計測し、それらの合計点灯時間を算出する。さらに電源装置4は、この合計点灯時間が、規定の点灯時間以上であるかを判断する。これにより、電源装置4は、蓄電池3による非常点灯が規定の点灯時間を満足させるかを判断することができる。
【0036】
上述の通り本実施形態では、人感センサ8からの人の在/不在信号に応じた点検動作の中断及び再開を行うことで、一般ユーザーから異常事態が発生したと誤認されることなく、点検動作の中断及び再開を制御できる。
【0037】
なお、上述した点検動作の中断及び再開は複数回実施されても良い。この場合、電源装置4は、点検動作の開始から完了までの間に実施された、複数回にわたる点灯時間の合計点灯時間を算出する。
【0038】
また、上述した点検動作は通常時に非常点灯を実施するものである。すなわち、停電等の非常時には、人の在/不在信号の有無に関わらず、非常用照明装置は非常点灯を実施する。あるいは、非常用照明装置1が誘導灯用信号装置あるいは煙感知器のような、非常事態を検知する装置にさらに接続されている場合は、それらからの動作指示が人感センサ8からの信号よりも優先される。
【0039】
さらに、人感センサ8からの人の在/不在信号に応じて点検動作の中断及び再開を制御できるのは、自動点検状態のときのみとする。すなわち、手動による点検動作を実施している場合は、人感センサ8からの人の在/不在信号に応じた制御は行われない。これは、人感センサ8以外の手段によって人の有無を検出する場合でも同様である。
【0040】
実施の形態2
本開示の実施の形態2に係る点検方法について述べる。本実施形態に係る点検方法は、点検動作の中断状態が一定時間の閾値を超えた場合、点検動作を最初からやり直す点が、実施の形態1と異なる。
【0041】
上述の通り、点検動作の中断及び再開は複数回実施されても良い。しかし、点検動作の中断状態が長時間継続された場合、蓄電池3の電力が自然放電に伴い低下する可能性がある。電力が低下した状態で点検動作を再開した場合の点灯時間は、本来可能な時間よりも短くなる。すなわち、合計点灯時間が本来の値よりも短くなるため、蓄電池3による非常点灯が規定の点灯時間を満足させるかの判断ができなくなる課題があった。
【0042】
そこで本実施形態では、点検動作の中断期間の合計が閾値を超えた場合、点検動作を再開するのではなく点検を中止する。中断期間とは、点検動作の中断から再開までの期間を示す。この閾値は、例えば電池の自然放電による電力低下、または非常用照明装置1の設置場所あるいは環境の操業が休止され得る時間を想定し、例えば16時間と設定しても良い。
【0043】
この場合の点検動作の再開について、より詳細に述べる。まず電源装置4は、電源供給源を切り替える。すなわち、電源供給源を商用電源10に切り替え、蓄電池3を充電させる処理を再実施する。
【0044】
蓄電池3が完全に充電された後、上述した点検動作の開始処理と同様の処理により、点検動作が再開される。このとき、電源供給源を切り替える前までの点灯時間は、合計点灯時間に含まない。すなわち、点検動作は最初からやり直されたこととなる。
【0045】
上述の通り本実施形態では、点検動作の中断状態が一定時間の閾値を超えた場合、点検動作を最初からやり直すことで、蓄電池3による非常点灯が規定の点灯時間を満足させるかを正確に判断できる。
【0046】
実施の形態3
本開示の実施の形態3に係る点検方法について述べる。本実施形態に係る点検方法は、点検動作の中断状態が一定時間を超えた場合、点灯時間に影響する要素に基づいて合計点灯時間を補正する点が、実施の形態1と異なる。
【0047】
点灯時間に影響する要素としては、蓄電池3の自然放電量及び光源ユニット2の点灯に要する蓄電池3の電圧が例示できる。蓄電池3の自然放電量の傾向が把握できる場合は、中断状態が継続された時間の長さに基づき、本来可能な時間より短くなった点灯時間を算出することで、合計点灯時間を補正しても良い。また、光源ユニット2の点灯に要する蓄電池3の電圧と、自然放電により減少する蓄電池3の電圧との比を算出し、中断状態が継続された時間に乗ずることで、合計点灯時間を補正しても良い。
【0048】
蓄電池3が自然放電する量の傾向を把握する第一の方法としては、蓄電池に用いられている二次電池の種類に応じて一般的に知られる放電率を取得する方法が例示できる。例えばニッケルカドミウム蓄電池及びニッケル水素電池は放電率が高く、リチウムイオン電池あるいは全固体電池は放電率が低いことが知られている。現状、非常用照明装置の一種である誘導灯及び非常灯には、ニッケル水素電池が多く用いられていることから、その放電率を考慮することができる。
【0049】
また、蓄電池3が自然放電する量の傾向を把握する第二の方法としては、使用する蓄電池3を自然放電させた際の電圧を実測する方法が例示できる。
【0050】
上述の通り本実施形態では、点灯時間に影響する要素に基づいて合計点灯時間を補正することで、蓄電池3による非常点灯が規定の点灯時間を満足させるかを正確に判断できる。
【0051】
実施の形態4
本開示の実施の形態4に係る点検方法について述べる。本実施形態に係る点検方法は、人感センサ8からの人の在/不在信号に応じた点検動作の中断及び再開の際にディレイ制御を行う点が、実施の形態1と異なる。上述したディレイの時間は任意に設定して良く、例えば数秒間に設定する。
【0052】
本実施形態では、例えば人の存在が検出されたことに応じて点検動作を中断する際にディレイ制御を行う。ここでは点検者が、点検動作が正常に行われているかを目視で確認することを考える。
【0053】
ディレイ制御を行わない場合、点検者が非常用照明装置1に接近したタイミングで、非常点灯が中断される。これにより、点検者が非常点灯の目視確認を実施できなくなるため、点検動作が正常に行われていないと誤認する可能性がある。
【0054】
そこで本実施形態では、人が人感センサ8の検出範囲に入った後に、ディレイをかけて非常点灯を中断する。これにより、特に人感センサ8の検出範囲外からは非常点灯が視認できない環境等で、点検動作が正常に行われていないと誤認することを防ぐことができる。
【0055】
また本実施形態では、例えば人の存在が検出されていないことに応じて点検動作を再開する際にディレイ制御を行う。人の存在が検出されていないとは、例えば人感センサ8が人の在信号を送信してから一定時間がたっていること、あるいは人感センサ8が人の不在信号を送信していることを示す。ここでは一般ユーザーが、非常用照明装置1の付近を通り過ぎることを考える。
【0056】
ディレイ制御を行わない場合、一般ユーザーが非常用照明装置1から離れたタイミングで、非常点灯が再開される。すなわちこの一般ユーザーは、非常点灯が再開したことを目視で確認することができる。するとこの一般ユーザーが、電気の消し忘れがあったのではないか、あるいは周囲に人がいたのではないかといった違和感を抱く可能性がある。あるいはこの一般ユーザーが、異常事態が発生したために非常用照明装置1が点灯していると誤認する可能性がある。
【0057】
そこで本実施形態では、人が人感センサ8の検出範囲から離れた後に、ディレイをかけて非常点灯を再開する。これにより、特に一般ユーザーが違和感を抱いたり、異常事態が発生したと誤認したりすることを防ぐことができる。
【0058】
上述の通り本実施形態では、人感センサ8からの人の在/不在信号に応じた点検動作の中断及び再開の際にディレイ制御を行うことで、人が点検動作に対して誤認することを防ぐことができる。
【0059】
以下、本開示の所態様を付記としてまとめて記載する。
【0060】
(付記1)
光源ユニット、電源装置及び蓄電池を備え、センサに接続されている非常用照明装置であり、
前記光源ユニットが、電力供給に応じて点灯するよう構成され、
前記センサが、人を検出すると人の在信号を電源装置に送信するよう構成され、
前記電源装置が、
商用電源から供給される電力によって前記蓄電池を充電する充電処理と、
前記蓄電池から前記光源ユニットへの電力供給を開始する開始処理と、
前記人の在信号の受信に応じて、前記電力供給を停止する中断処理と、
前記中断処理中に、前記人の在信号を一定時間受信しなくなったことに応じて、前記電力供給を再開する再開処理と、
前記蓄電池の電圧が特定の閾値になるまで放電されたときに、前記電力供給を完了する完了処理と、
前記電力供給によって前記光源ユニットが点灯した時間の合計である合計点灯時間を算出し、該合計点灯時間が既定の点灯時間以上であるかを判断する判断処理と
を実施するよう構成されている
非常用照明装置。
(付記2)
前記電源装置が
前記中断処理から前記再開処理までの時間の合計が閾値を超えた場合、前記電力供給を中止する処理と、
前記充電処理を再度実施する再充電処理と、
前記再充電処理の後に、前記開始処理、前記中断処理、前記再開処理、前記完了処理及び前記判断処理を改めて実施する再実施処理と、
をさらに実施するよう構成され、
前記再実施処理が、前記再充電処理より前に前記光源ユニットが点灯した時間を、前記合計点灯時間から除外する処理である
付記1に記載の非常用照明装置。
(付記3)
前記合計点灯時間が、点灯時間に影響する要素に基づいて補正される
付記1または2に記載の非常用照明装置。
(付記4)
前記中断処理あるいは前記再開処理の開始がディレイ制御される
付記1から3の何れか一項に記載の非常用照明装置。
(付記5)
前記センサが内蔵されている、付記1から4の何れか一項に記載の非常用照明装置。
(付記6)
前記センサが前記電源装置に内蔵されている
付記1から4の何れか一項に記載の非常用照明装置。
(付記7)
タイマーをさらに備え、
前記開始処理が、前記タイマーに予め設定された開始時刻に自動で開始される
付記1から6の何れか一項に記載の非常用照明装置。
【符号の説明】
【0061】
1 非常用照明装置
2 光源ユニット
3 蓄電池
4 電源装置
10 商用電源
12 人