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特開2025-24913半導体ワーク用のテープ処理装置および半導体ワーク用のテープ交換方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024913
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】半導体ワーク用のテープ処理装置および半導体ワーク用のテープ交換方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 37/04 20060101AFI20250214BHJP
   B65H 19/12 20060101ALI20250214BHJP
   B65H 19/30 20060101ALI20250214BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
B65H37/04 B
B65H19/12 A
B65H19/30
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129292
(22)【出願日】2023-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】394016601
【氏名又は名称】日東精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】奥野 長平
【テーマコード(参考)】
3F064
3F108
5F131
【Fターム(参考)】
3F064BA03
3F064BA05
3F064CA05
3F108HA07
3F108HA14
5F131AA02
5F131BA53
5F131CA32
5F131CA42
5F131CA46
5F131EA07
5F131EA22
5F131EB01
5F131EC32
5F131EC44
5F131EC62
5F131EC63
5F131EC64
5F131EC68
5F131EC69
5F131EC72
5F131HA02
(57)【要約】
【課題】半導体ワークに対するテープ処理効率をより向上させることができる半導体ワーク用のテープ処理装置および半導体ワーク用のテープ交換方法を提供する。
【解決手段】粘着テープTの原反ロール11を複数備え、貼り付け位置G1にある原反ロール11から粘着テープTを供給するテープ供給部3と、粘着テープTを用いてウエハWに対する所定の処理を行うテープ貼付け部4と、不要テープTnを巻き取る巻き取り芯15を複数備え、回収位置K1にある巻き取り芯15に不要テープTnを巻き取るテープ回収部5と、原反ロール11を保管する原反ロール保管部2と、巻き取り芯15を保管する巻き取り芯保管部6と、準備位置G2と原反ロール保管部2との間で原反ロール11を搬送する原反ロール搬送機構7と、待機位置K2と巻き取り芯保管部6との間で巻き取り芯15を搬送する巻き取り芯搬送機構8と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着テープの原反ロールを保持する原反ロール保持部を複数備え、前記原反ロール保持部のうち繰り出し位置に移動している前記原反ロール保持部に保持されている前記原反ロールから前記粘着テープを繰り出させるテープ供給部と、
前記テープ供給部から繰り出された前記粘着テープを用いて半導体ワークに対する所定の処理を行うテープ処理部と、
前記所定の処理が行われた後の不要な部分の前記粘着テープである不要テープを巻き取り可能な巻き取り芯を保持する巻き取り芯保持部を複数備え、前記巻き取り芯保持部のうち回収位置に移動している前記巻き取り芯保持部に保持されている前記巻き取り芯に前記不要テープをロール状に巻き取って回収させるテープ回収部と、
前記原反ロールを保管する原反ロール保管部と、
前記巻き取り芯を保管する巻き取り芯保管部と、
前記テープ供給部に設けられている準備位置に移動している前記原反ロール保持部と前記原反ロール保管部との間で前記原反ロールを搬送する原反ロール搬送機構と、
前記テープ回収部に設けられている待機位置に移動している前記巻き取り芯保持部と前記巻き取り芯保管部との間で前記巻き取り芯を搬送可能な巻き取り芯搬送機構と、
を備えることを特徴とする半導体ワーク用のテープ処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体ワーク用のテープ処理装置において、
前記テープ供給部は、
前記準備位置に移動している前記原反ロールに対し、前記粘着テープの一部を繰り出させるとともに前記粘着テープの接合に備えるための準備処理を行う準備処理機構と、
前記繰り出し位置に移動している前記原反ロールから繰り出されている前記粘着テープを切断して前記原反ロールから切り離す切断機構と、
前記準備処理が行われた前記原反ロールを保持している前記原反ロール保持部を前記準備位置から前記繰り出し位置へと移動させる配置変更機構と、
前記切断機構によって前記原反ロールから切り離された前記粘着テープと前記準備処理が行われて前記繰り出し位置へ移動した前記原反ロールとを接合させるテープ接合機構と、
を備えることを特徴とする半導体ワーク用のテープ処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体ワーク用のテープ処理装置において、
前記繰り出し位置に移動している前記原反ロールが巻回している前記粘着テープの量を検知する繰り出しテープ量検知部と、
繰り出しテープ量検知部が検知する前記粘着テープの量に応じて前記配置変更機構の動作を制御する配置変更機構制御部と、
繰り出しテープ量検知部が検知する前記粘着テープの量に応じて前記原反ロール搬送機構の動作を制御するロール搬送機構制御部と、
前記繰り出しテープ量検知部が検知する前記粘着テープの量に応じて前記準備処理機構の動作を制御する準備処理機構制御部と、
を備え、
前記配置変更機構制御部は、
前記繰り出し位置に移動している前記原反ロールが巻回している前記粘着テープの量が予め定めた所定量以下であることを前記繰り出しテープ量検知部が検知した場合に、前記準備位置にある前記原反ロール保持部を前記繰り出し位置へ移動させるように前記配置変更機構を制御し、
前記ロール搬送機構制御部は、
前記繰り出し位置に移動している前記原反ロールが巻回している前記粘着テープの量が前記所定量以下であることを前記繰り出しテープ量検知部が検知した場合に、前記切断機構によって前記粘着テープが切り離された前記原反ロールを前記テープ供給部から前記原反ロール保管部へ搬送させるように前記原反ロール搬送機構を制御し、
前記準備処理機構制御部は、
前記繰り出し位置に移動している前記原反ロールが巻回している前記粘着テープの量が前記所定量以下であることを前記繰り出しテープ量検知部が検知した場合に、前記準備位置に移動している前記原反ロールに対して前記準備処理を行うように前記準備処理機構の動作を制御する
ことを特徴とする半導体ワーク用のテープ処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体ワーク用のテープ処理装置において、
前記ロール搬送機構制御部は、
前記繰り出し位置に移動している前記原反ロールが巻回している前記粘着テープの量が予め定められた第1所定量以下であることを前記繰り出しテープ量検知部が検知した場合に、前記原反ロール保管部に保管されている前記原反ロールを前記テープ供給部へ搬送するとともに、前記準備位置に移動している前記原反ロール保持部に前記原反ロールを保持させるように前記原反ロール搬送機構を制御し、
前記準備処理機構制御部は、
前記繰り出し位置に移動している前記原反ロールが巻回している前記粘着テープの量が前記第1所定量以下であることを前記繰り出しテープ量検知部が検知した場合に、前記準備位置に移動している前記原反ロールに対して前記準備処理を行うように前記準備処理機構の動作を制御し、
前記配置変更機構制御部は、
前記繰り出し位置に移動している前記原反ロールが巻回している前記粘着テープの量が予め定めた第2所定量以下であることを前記繰り出しテープ量検知部が検知した場合に、前記準備位置にある前記原反ロール保持部を前記繰り出し位置へ移動させるように前記配置変更機構を制御し、
前記ロール搬送機構制御部は、
前記繰り出し位置に移動している前記原反ロールが巻回している前記粘着テープの量が前記第2所定量以下であることを前記繰り出しテープ量検知部が検知した場合に、前記切断機構によって前記粘着テープが切り離された前記原反ロールを前記テープ供給部から前記原反ロール保管部へ搬送させるように前記原反ロール搬送機構を制御するように構成され、
前記第1所定量は、前記第2所定量よりもテープ量が多い閾値として定められる
ことを特徴とする半導体ワーク用のテープ処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体ワーク用のテープ処理装置において、
前記原反ロール保管部は、前記テープ供給部において前記繰り出し位置に移動している前記原反ロールから前記テープ処理部へ前記粘着テープを繰り出し供給する状態を維持しつつ、前記原反ロールを搬入できるように構成されている
ことを特徴とする半導体ワーク用のテープ処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体ワーク用のテープ処理装置において、
前記テープ回収部は、
前記回収位置に移動している第1の前記巻き取り芯へ繰り出されている前記不要テープを切断して前記巻き取り芯から切り離す不要テープ切断機構と、
前記待機位置にあり第2の前記巻き取り芯を保持している前記巻き取り芯保持部を前記待機位置から前記回収位置へと移動させ、第2の前記巻き取り芯を新たに前記回収位置へと配置させる回収部配置変更機構と、
前記不要テープ切断機構によって第1の前記巻き取り芯から切り離された前記不要テープと第2の前記巻き取り芯とを接合させる不要テープ接合機構と、
を備えることを特徴とする半導体ワーク用のテープ処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体ワーク用のテープ処理装置において、
前記回収位置に移動している前記巻き取り芯に巻き取られている前記不要テープの量を検知する不要テープ検知部と、
前記不要テープ検知部が検知する前記不要テープの量に応じて前記回収部配置変更機構の動作を制御する回収部配置変更制御部と、
前記不要テープ検知部が検知する前記不要テープの量に応じて前記巻き取り芯搬送機構の動作を制御する巻き取り芯搬送制御部と、
を備え、
前記回収部配置変更制御部は、
前記回収位置に移動している前記巻き取り芯に巻き取られている前記不要テープの量が第3所定量以上であることを前記不要テープ検知部が検知した場合に、前記待機位置にあり第2の前記巻き取り芯を保持している前記巻き取り芯保持部を前記回収位置へ移動させるように前記回収部配置変更機構を制御し、
前記巻き取り芯搬送制御部は、
前記回収位置に移動している前記巻き取り芯に巻き取られている前記不要テープの量が前記第3所定量以上であることを前記不要テープ検知部が検知した場合に、前記不要テープ切断機構によって前記不要テープが切り離された第1の前記巻き取り芯を前記テープ回収部から前記巻き取り芯保管部へ搬送させるように前記巻き取り芯搬送機構を制御する
ことを特徴とする半導体ワーク用のテープ処理装置。
【請求項8】
請求項1に記載の半導体ワーク用のテープ処理装置において、
前記巻き取り芯保管部は、前記テープ回収部において前記回収位置に移動している前記巻き取り芯に前記不要テープが巻き取り回収される状態を維持しつつ、前記巻き取り芯を搬入できるように構成されている
ことを特徴とする半導体ワーク用のテープ処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載の半導体ワーク用のテープ処理装置において、
前記繰り出し位置に移動している前記原反ロールが巻回している前記粘着テープの量を検知する繰り出しテープ量検知部、および前記回収位置に移動している前記巻き取り芯に巻き取られている前記不要テープの量を検知する不要テープ検知部のうち少なくとも一方を備え、
前記テープ供給部は、
前記準備位置に移動している前記原反ロールに対し、前記粘着テープの一部を繰り出させるとともに前記粘着テープの接合に備えるための準備処理を行う準備処理機構と、
前記繰り出し位置に移動している前記原反ロールから繰り出されている前記粘着テープを切断して前記原反ロールから切り離す切断機構と、
前記準備処理が行われた前記原反ロールを保持している前記原反ロール保持部を前記準備位置から前記繰り出し位置へと移動させる配置変更機構と、
前記切断機構によって前記原反ロールから切り離された前記粘着テープと前記準備処理が行われて前記繰り出し位置へ移動した前記原反ロールとを接合させるテープ接合機構と、
前記原反ロール搬送機構の動作を制御するロール搬送機構制御部と、
を有する原反ロール交換システムを備え、
前記テープ回収部は、
前記回収位置に移動している第1の前記巻き取り芯へ繰り出されている前記不要テープを切断して前記巻き取り芯から切り離す不要テープ切断機構と、
前記待機位置にあり第2の前記巻き取り芯を保持している前記巻き取り芯保持部を前記待機位置から前記回収位置へと移動させ、第2の前記巻き取り芯を新たに前記回収位置へと配置させる回収部配置変更機構と、
前記不要テープ切断機構によって第1の前記巻き取り芯から切り離された前記不要テープと前記回収部配置変更機構によって前記回収位置へと移動した第2の前記巻き取り芯とを接合させる不要テープ接合機構と、
前記巻き取り芯搬送機構の動作を制御する巻き取り芯搬送制御部と、
を有する巻き取り芯交換システムを備え、
前記原反ロール交換システムおよび前記巻き取り芯交換システムは、
前記繰り出し位置に移動している前記原反ロールが巻回している前記粘着テープの量が第1の閾値以下であることを前記繰り出しテープ量検知部が検知した場合、または前記回収位置に移動している前記巻き取り芯に巻き取られている前記不要テープの量が第2の閾値以上であることを前記不要テープ検知部が検知した場合に動作を開始するように制御される
ことを特徴とする半導体ワーク用のテープ処理装置。
【請求項10】
請求項1に記載の半導体ワーク用のテープ処理装置において、
操作者の指示を入力する入力部を備え、
前記テープ供給部は、
前記準備位置に移動している前記原反ロールに対し、前記粘着テープの一部を繰り出させるとともに前記粘着テープの接合に備えるための準備処理を行う準備処理機構と、
前記繰り出し位置に移動している前記原反ロールから繰り出されている前記粘着テープを切断して前記原反ロールから切り離す切断機構と、
前記準備処理が行われた前記原反ロールを保持している前記原反ロール保持部を前記準備位置から前記繰り出し位置へと移動させる配置変更機構と、
前記切断機構によって前記原反ロールから切り離された前記粘着テープと前記準備処理が行われて前記繰り出し位置へ移動した前記原反ロールとを接合させるテープ接合機構と、
前記原反ロール搬送機構の動作を制御するロール搬送機構制御部と、
を有する原反ロール交換システムを備え、
前記テープ回収部は、
前記回収位置に移動している第1の前記巻き取り芯へ繰り出されている前記不要テープを切断して前記巻き取り芯から切り離す不要テープ切断機構と、
前記待機位置にあり第2の前記巻き取り芯を保持している前記巻き取り芯保持部を前記待機位置から前記回収位置へと移動させ、第2の前記巻き取り芯を新たに前記回収位置へと配置させる回収部配置変更機構と、
前記不要テープ切断機構によって第1の前記巻き取り芯から切り離された前記不要テープと前記回収部配置変更機構によって前記回収位置へと移動した第2の前記巻き取り芯とを接合させる不要テープ接合機構と、
前記巻き取り芯搬送機構の動作を制御する巻き取り芯搬送制御部と、
を有する巻き取り芯交換システムを備え、
前記原反ロール交換システムは、前記原反ロールの交換を開始する指示が前記入力部に入力されることによって動作を開始するように制御され、
前記巻き取り芯交換システムは、前記巻き取り芯の交換を開始する指示が前記入力部に入力されることによって動作を開始するように制御される
ことを特徴とする半導体ワーク用のテープ処理装置。
【請求項11】
請求項1に記載の半導体ワーク用のテープ処理装置において、
前記原反ロール保管部、前記テープ供給部、前記テープ処理部、前記テープ回収部、および前記巻き取り芯保管部が順に並ぶように配設されており、
前記原反ロール搬送機構は、前記原反ロール保管部および前記テープ供給部の各々に隣接する位置に配置されており、
前記巻き取り芯搬送機構は、前記テープ回収部および前記巻き取り芯保管部の各々に隣接する位置に配置されている
ことを特徴とする半導体ワーク用のテープ処理装置。
【請求項12】
粘着テープの原反ロールを保持する原反ロール保持部を複数備え、前記原反ロール保持部のうち繰り出し位置に移動している前記原反ロール保持部に保持されている前記原反ロールから 前記粘着テープを繰り出させるテープ供給部と、前記テープ供給部から繰り出された前記粘着テープを用いて半導体ワークに対する所定の処理を行うテープ処理部と、前記原反ロールを保管する原反ロール保管部と、前記テープ供給部に設けられている準備位置に移動している前記原反ロール保持部と前記原反ロール保管部との間で前記原反ロールを搬送する原反ロール搬送機構と、を備える半導体ワークのテープ処理装置において前記粘着テープの原反ロールを交換させる半導体ワーク用のテープ交換方法であって、
前記原反ロール搬送機構を用いて、前記原反ロール保管部に保管されている前記原反ロールを前記準備位置にある前記原反ロール保持部に搬送させる原反ロール搬送過程と、
前記準備位置にある前記原反ロールに対し、前記粘着テープの一部を繰り出させるとともに前記粘着テープの接合に備えるための準備処理を行う準備処理過程と、
前記繰り出し位置にある前記原反ロールから繰り出されている前記粘着テープを切断して前記繰り出し位置にある前記原反ロールから切り離す切断過程と、
前記準備処理が行われた前記原反ロールを保持している前記原反ロール保持部を前記準備位置から前記繰り出し位置へと移動させる配置変更過程と、
前記切断過程によって前記原反ロールから切り離された前記粘着テープと前記準備処理が行われて前記繰り出し位置へ移動した前記原反ロールとを接合させるテープ接合過程と、
前記切断過程によって前記粘着テープから切り離された前記原反ロールを前記原反ロール搬送機構によって前記原反ロール保管部へ搬送させる使用済ロール搬送過程と、
を備えることを特徴とする半導体ワーク用のテープ交換方法。
【請求項13】
粘着テープを用いて半導体ワークに対する所定の処理を行うテープ処理部と、前記所定の処理が行われた後の不要な部分の前記粘着テープである不要テープを巻き取り可能な巻き取り芯を保持する巻き取り芯保持部を複数備え、前記巻き取り芯保持部のうち回収位置に移動している前記巻き取り芯保持部に保持されている前記巻き取り芯に前記不要テープをロール状に巻き取って回収させるテープ回収部と、前記巻き取り芯を保管する巻き取り芯保管部と、前記テープ回収部に設けられている待機位置に移動している前記巻き取り芯保持部と前記巻き取り芯保管部との間で前記巻き取り芯を搬送可能な巻き取り芯搬送機構と、を備える半導体ワークのテープ処理装置において前記不要テープを巻き取り可能な前記巻き取り芯を交換させる半導体ワーク用のテープ交換方法であって、
前記回収位置にある第1の前記巻き取り芯へ繰り出されている前記不要テープを切断して第1の前記巻き取り芯から切り離す不要テープ切断過程と、
前記巻き取り芯搬送機構を用いて、前記巻き取り芯保管部に保管されている第2の前記巻き取り芯を前記待機位置にある前記巻き取り芯保持部に搬送させる巻き取り芯搬送過程と、
前記待機位置にあり第2の前記巻き取り芯を保持している前記巻き取り芯保持部を前記待機位置から前記回収位置へと移動させ、第2の前記巻き取り芯を新たに前記回収位置へと配置させる回収部配置変更過程と、
前記不要テープ切断過程によって第1の前記巻き取り芯から切り離された前記不要テープと第2の前記巻き取り芯とを接合させる不要テープ接合過程と、
前記不要テープ切断過程によって前記不要テープから切り離された第1の前記巻き取り芯を前記巻き取り芯搬送機構によって前記巻き取り芯保管部へ搬送させる使用済巻き取り芯搬送過程と、
を備えることを特徴とする半導体ワーク用のテープ交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ(以下、適宜「ウエハ」という)または基板を例とする半導体ワークに対して、粘着テープの貼り付け処理または粘着テープの剥離処理を例とする各種テープ処理を行うために用いる半導体ワーク用のテープ処理装置および半導体ワーク用のテープ交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハまたは基板を例とする半導体のワークから様々な製品を製造する工程において、当該ワークに対して粘着テープを用いた各種処理を行うことがある。半導体ワークに対するテープ処理工程の例として、回路保護用の粘着テープ(保護テープ)をワークに貼り付ける工程、ワーク支持用の粘着テープ(ダイシングテープ)を貼り付けてリングフレームにマウントする工程、デバイス封止用の粘着性フィルムを用いて半導体ワークを封止する工程、または半導体ワークに貼り付けられている保護テープに対して剥離用の粘着テープ(剥離テープ)を貼り付けて剥離テープとともに保護テープを剥離する工程などが挙げられる。
【0003】
半導体ワークに対するテープ処理を行うテープ処理装置の従来構成について、半導体ワークに保護用の粘着テープを貼り付ける、テープ貼付け装置を例として説明する。従来のテープ貼付け装置201は図42に示すように、テープ供給部203、セパレータ剥離部205、保持テーブル207、テープ貼付け部209、テープ切断機構211、テープ回収部213、およびセパレータ回収部215などを備えている。
【0004】
テープ供給部203は、回路保護用のセパレータ(剥離ライナー)が添設された粘着テープTSが巻回された原反ロールの装填された供給ボビンから、当該セパレータ付き粘着テープTSを繰り出し案内する。セパレータ剥離部205は、繰り出されたセパレータ付き粘着テープTSからセパレータSを剥離する。保持テーブル207は、回路形成面が上向きの状態となっているウエハWを吸着保持する。テープ貼付け部209は一例として貼り付けローラであり、図42において左方向へ水平移動する。当該水平移動によって、テープ貼付け部209は、セパレータSが剥離された粘着テープTを、保持テーブル207上のウエハWに貼り付ける。
【0005】
テープ切断機構211はカッタ211aを備えており、符号Pで示す鉛直軸周りにテープ切断機構211が回転することによって、粘着テープTはウエハWの外形に沿って切り抜かれる。切り抜かれた後の不要な部分の粘着テープT、すなわち不要テープTnは、テープ回収部213を構成する巻き取り軸においてロール状に巻き取られて回収される。また粘着テープTから剥離されたセパレータSは、セパレータ回収部215を構成する巻き取り軸においてロール状に巻き取られて回収される。
【0006】
このようなテープ貼付け装置において、テープ供給部203における粘着テープTの装填量が一定量を下回った場合、またはテープ回収部113に回収される不要テープTnの量などが一定量を上回った場合はロールを交換する必要がある。従来のテープ貼付け装置101ではロールの交換を行う場合、オペレータは煩雑な作業を手動で行う必要がある。
【0007】
すなわちテープ供給部203において、原反ロールから繰り出される粘着テープTおよびセパレータSを切断して原反ロールから切り離す作業、原反ロールを新たな原反ロールに交換する作業、切断された先行の粘着テープTと新たな原反ロールに係る後続の粘着テープTとを接合させる作業、および粘着テープTの繰り出しを再開させる作業を例とする一連の作業を要する。そしてテープ回収部213などにおいては、不要なテープTnを切断して巻き取り軸のロールから分離する作業、ロール状に回収された不要テープTnを巻き取り軸から除去する作業、巻き取り軸に対して不要テープTnを接合させる作業、および不要テープTnの巻き取りを再開させる作業を例とする一連の作業を要する。
【0008】
近年では、切断された粘着テープTの末端同士を接合させる作業を自動で行うための試みが行われている。その一例として、以下のようなテープ接合方法が提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2を参照)。すなわち、先行しているセパレータ付き粘着テープの後端に、接合用の粘着テープである接合テープを貼り付ける。
【0009】
接合テープが貼り付けられた後、後続のセパレータ付き粘着テープの先端に対して、接合テープが貼り付けられたセパレータ付き粘着テープの後端を押圧して接合させる。このような方法により、先行の粘着テープと後続の粘着テープとの末端同士を、接合テープを介して接合させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2014-133616号公報
【特許文献2】特開2019-172393号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来装置では次のような問題がある。すなわち、従来のテープ処理装置ではロールを交換する工程における自動化が不十分である。すなわち従来装置ではロールを交換する工程において、作業者による作業を要する頻度が高く、各々の作業に要する時間も長い。その結果、作業者の負担を低減させることが困難であるという問題が懸念される。また、ロールを交換する工程において装置の稼働を停止させる時間が長いので、テープ処理装置の処理効率を向上させることが困難であるという問題も懸念される。
【0012】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、半導体ワークに対するテープ処理効率をより向上させることができる半導体ワーク用のテープ処理装置および半導体ワーク用のテープ交換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、本発明に係る半導体ワーク用のテープ処理装置は、粘着テープの原反ロールを保持する原反ロール保持部を複数備え、前記原反ロール保持部のうち繰り出し位置に移動している前記原反ロール保持部に保持されている前記原反ロールから前記粘着テープを繰り出させるテープ供給部と、
前記テープ供給部から繰り出された前記粘着テープを用いて半導体ワークに対する所定の処理を行うテープ処理部と、
前記所定の処理が行われた後の不要な部分の前記粘着テープである不要テープを巻き取り可能な巻き取り芯を保持する巻き取り芯保持部を複数備え、前記巻き取り芯保持部のうち回収位置に移動している前記巻き取り芯保持部に保持されている前記巻き取り芯に前記不要テープをロール状に巻き取って回収させるテープ回収部と、
前記 原反ロールを保管する原反ロール保管部と、
前記 巻き取り芯を保管する巻き取り芯保管部と、
前記テープ供給部に設けられている準備位置に移動している前記原反ロール保持部と前記原反ロール保管部との間で前記原反ロールを搬送する原反ロール搬送機構と、
前記テープ回収部に設けられている待機位置に移動している前記巻き取り芯保持部と前記巻き取り芯保管部との間で前記巻き取り芯を搬送可能な巻き取り芯搬送機構と、
を備えることを特徴とするものである。
【0014】
(作用・効果)この構成によれば、テープ供給部とテープ処理部とテープ回収部に加えて、原反ロール保管部と巻き取り芯保管部と原反ロール搬送機構と巻き取り芯搬送機構とを備えている。テープ供給部には、粘着テープの原反ロールを保持する原反ロール保持部が複数備えられている。また、テープ供給部に備えられている原反ロール保持部のうち、繰り出し位置に移動している原反ロール保持部に保持されている原反ロールから、粘着テープをテープ処理部へ繰り出し供給するように構成されている。そのため、テープ供給部からテープ処理部へと粘着テープを供給する機構は、原反ロール保持部の各々に対して配設される必要がなく、繰り出し位置に移動している原反ロール保持部に対して配設すればよい。よって、テープ供給部からテープ処理部へと粘着テープを供給するために必要な部品の数を低減できるので、半導体ワークのテープ処理装置の構成をより単純化できる。
【0015】
そしてテープ供給部に備えられている原反ロール保持部のうち、準備位置に移動している原反ロール保持部に対して、原反ロール搬送機構は原反ロール保管部から原反ロールを搬送するように構成されている。そのため、繰り出し位置に移動している原反ロールから粘着テープをテープ処理部へ供給して半導体ワークに対して所定の処理を行う動作を継続させつつ、原反ロール保管部からテープ供給部へと未使用の原反ロールを補充できる。すなわち原反ロール保管部からテープ供給部へと未使用の原反ロールを補充する際に半導体ワークに対する処理操作を停止させる必要がないので、ワークに対する処理効率を向上できる。また、原反ロール保管部からテープ供給部へと未使用の原反ロールを補充する操作は原反ロール搬送機構によって自動的に行うことができるので、作業者による労力を低減できる。
【0016】
また、テープ回収部に備えられている巻き取り芯保持部のうち、回収位置に移動している巻き取り芯保持部に保持されている巻き取り芯に対して、テープ処理部から送り出されている不要テープを巻き取り回収するように構成されている。そのため、テープ処理部からテープ回収部へと粘着テープを送り出す機構は、巻き取り芯保持部の各々に対して配設される必要がなく、回収位置に移動している巻き取り芯保持部に対して配設すればよい。よって、テープ処理部からテープ回収部へと不要テープを送り出すために必要な部品の数を低減できるので、半導体ワークのテープ処理装置の構成をより単純化できる。
【0017】
そしてテープ回収部に備えられている巻き取り芯保持部のうち、待機位置に移動している巻き取り芯保持部に対して、巻き取り芯搬送機構は巻き取り芯保管部から未使用の巻き取り芯を搬送するように構成されている。そのため、回収位置に移動している巻き取り芯に対して、半導体ワークに対する所定処理が行われた後の不要テープを巻き付けて回収する動作を継続させつつ、巻き取り芯保管部からテープ回収部へと未使用の巻き取り芯を補充できる。すなわち巻き取り芯保管部からテープ回収部へと未使用の巻き取り芯を補充する際に半導体ワークに対する処理操作を停止させる必要がないので、ワークに対する処理効率を向上できる。また、巻き取り芯保管部からテープ回収部へと未使用の巻き取り芯を補充する操作は巻き取り芯搬送機構によって自動的に行うことができるので、作業者による労力をさらに低減できる。
【0018】
また、上述した発明において、前記テープ供給部は、前記準備位置に移動している前記原反ロールに対し、前記粘着テープの一部を繰り出させるとともに前記粘着テープの接合に備えるための準備処理を行う準備処理機構と、前記繰り出し位置に移動している前記原反ロールから繰り出されている前記粘着テープを切断して前記原反ロールから切り離す切断機構と、前記準備処理が行われた前記原反ロールを保持している前記原反ロール保持部を前記準備位置から前記繰り出し位置へと移動させる配置変更機構と、前記切断機構によって前記原反ロールから切り離された前記粘着テープと前記準備処理が行われて前記繰り出し位置へ移動した前記原反ロールとを接合させるテープ接合機構と、を備えることが好ましい。
【0019】
(作用・効果)この構成によれば、テープ供給部は準備処理機構と切断機構とテープ接合機構とを備えている。準備処理機構は、準備位置に移動している未使用の原反ロールに対し、粘着テープの一部を繰り出させるとともに粘着テープの接合に備えるための準備処理を行う。切断機構は繰り出し位置にある原反ロールから繰り出される粘着テープを切断して当該原反ロールから切り離す。テープ接合機構は、切り離された粘着テープと、準備処理が行われた未使用の原反ロールとを接合する。
【0020】
未使用の原反ロールは、準備位置に移動している時点で予め準備処理を受けることにより、繰り出し位置に移動している原反ロールが使用済みとなって新たに未使用の原反ロールに交換する場合、繰り出し位置にある使用済みの原反ロールから切り離された粘着テープと準備処理が完了した未使用の原反ロールとを新たに接合させる動作を迅速に完了できる。そのため、未使用の原反ロールから新たに粘着テープを繰り出し供給して半導体ワークに所定の処理を行う操作を迅速に再開できるので、半導体ワークに対する処理効率を向上できる。また、準備処理機構を備えることで、原反ロールに対する準備処理を自動で行うことができる。よって、原反ロールを交換する際に原反ロールに対する準備処理を作業者が手動で行う必要がないので、作業者の負担を低減できる。
【0021】
また、上述した発明において、前記繰り出し位置に移動している前記原反ロールが巻回している前記粘着テープの量を検知する繰り出しテープ量検知部と、繰り出しテープ量検知部が検知する前記粘着テープの量に応じて前記配置変更機構の動作を制御する配置変更機構制御部と、繰り出しテープ量検知部が検知する前記粘着テープの量に応じて前記原反ロール搬送機構の動作を制御するロール搬送機構制御部と、前記繰り出しテープ量検知部が検知する前記粘着テープの量に応じて前記準備処理機構の動作を制御する準備処理機構制御部と、を備え、前記配置変更機構制御部は、前記繰り出し位置に移動している前記原反ロールが巻回している前記粘着テープの量が予め定めた所定量以下であることを前記繰り出しテープ量検知部が検知した場合に、前記準備位置にある前記原反ロール保持部を前記繰り出し位置へ移動させるように前記配置変更機構を制御し、前記ロール搬送機構制御部は、前記繰り出し位置に移動している前記原反ロールが巻回している前記粘着テープの量が前記所定量以下であることを前記繰り出しテープ量検知部が検知した場合に、前記切断機構によって前記粘着テープが切り離された前記原反ロールを前記テープ供給部から前記原反ロール保管部へ搬送させるように前記原反ロール搬送機構を制御し、前記準備処理機構制御部は、前記繰り出し位置に移動している前記原反ロールが巻回している前記粘着テープの量が前記所定量以下であることを前記繰り出しテープ量検知部が検知した場合に、前記準備位置に移動している前記原反ロールに対して前記準備処理を行うように前記準備処理機構の動作を制御することが好ましい。
【0022】
(作用・効果)この構成によれば、繰り出し位置に移動している原反ロールが巻回している粘着テープの量を検知する繰り出しテープ量検知部を備えており、繰り出し位置に移動している原反ロールが巻回している粘着テープの量に応じて配置変更機構および原反ロール搬送機構を制御する。すなわち、繰り出し位置に移動している原反ロールが巻回している粘着テープの量が予め定めた所定量以下となった場合に、準備位置にある原反ロール保持部を繰り出し位置へ移動させるとともに、切断機構によって粘着テープが切り離された原反ロールをテープ供給部から原反ロール保管部へ搬送させる。このような構成では原反ロールの交換に必要な予備動作を行うタイミングが、原反ロールが巻回している粘着テープの量に応じて適切に決定される。従って、予備動作が速すぎることによって原反ロールの粘着テープが劣化するという事態、または予備動作が遅すぎることによって原反ロールの交換に要する時間が長期化するという事態を回避できる。
【0023】
また、上述した発明において、前記ロール搬送機構制御部は、前記繰り出し位置に移動している前記原反ロールが巻回している前記粘着テープの量が予め定められた第1所定量以下であることを前記繰り出しテープ量検知部が検知した場合に、前記原反ロール保管部に保管されている前記原反ロールを前記テープ供給部へ搬送するとともに、前記準備位置に移動している前記原反ロール保持部に前記原反ロールを保持させるように前記原反ロール搬送機構を制御し、前記準備処理機構制御部は、前記繰り出し位置に移動している前記原反ロールが巻回している前記粘着テープの量が前記第1所定量以下であることを前記繰り出しテープ量検知部が検知した場合に、前記準備位置に移動している前記原反ロールに対して前記準備処理を行うように前記準備処理機構の動作を制御し、前記配置変更機構制御部は、前記繰り出し位置に移動している前記原反ロールが巻回している前記粘着テープの量が予め定めた第2所定量以下であることを前記繰り出しテープ量検知部が検知した場合に、前記準備位置にある前記原反ロール保持部を前記繰り出し位置へ移動させるように前記配置変更機構を制御し、前記ロール搬送機構制御部は、前記繰り出し位置に移動している前記原反ロールが巻回している前記粘着テープの量が前記第2所定量以下であることを前記繰り出しテープ量検知部が検知した場合に、前記切断機構によって前記粘着テープが切り離された前記原反ロールを前記テープ供給部から前記原反ロール保管部へ搬送させるように前記原反ロール搬送機構を制御するように構成され、 前記第1所定量は、前記第2所定量よりもテープ量が多い閾値として定められることが好ましい。
【0024】
(作用・効果)この構成によれば、繰り出し位置に移動している原反ロールが巻回している粘着テープの量に応じて原反ロール搬送機構、配置変更機構制御部、および準備処理機構を制御する。すなわち、繰り出し位置に移動しておりテープ処理部へ粘着テープを供給している原反ロールに巻回されている粘着テープの量が第1所定量以下になると、原反ロール保管部に保管されている原反ロールがテープ供給部における準備位置へと搬送されて準備処理が行われる。そして粘着テープを供給している原反ロールに巻回されている粘着テープの量が第2所定量以下になると、準備位置にある原反ロール保持部は繰り出し位置へ移動され、さらに切断機構によって粘着テープが切り離された原反ロールをテープ供給部から原反ロール保管部へ搬送させる。そして第1所定量は第2所定量よりもテープ量が多い閾値として定められる。そのため、原反ロールを繰り出し位置へ移動させて原反ロールの交換を行う前に、の原反ロールを準備位置に移動させて準備処理を行う動作が実行される。すなわち、使用済みの原反ロールから粘着テープを切り離して当該粘着テープを未使用の原反ロールに接合させるという原反ロールの交換操作に必要な時間をさらに短縮できる。そのため、半導体ワークに対する処理効率をさらに向上できる。
【0025】
また、上述した発明において、前記原反ロール保管部は、前記テープ供給部において前記繰り出し位置に移動している前記原反ロールから前記テープ処理部へ前記粘着テープを繰り出し供給する状態を維持しつつ、前記原反ロールを搬入できるように構成されていることが好ましい。
【0026】
(作用・効果)この構成によれば、テープ供給部において繰り出し位置に移動している原反ロールからテープ処理部へ粘着テープを繰り出し供給する状態を維持しつつ、原反ロールを原反ロール保管部へ搬入できるように構成される。この場合、原反ロールを新たに原反ロール保管部へ搬入させるたびにテープ処理部へ粘着テープを繰り出し供給する動作を停止させる必要がない。従って、半導体ワークに対する処理効率をさらに向上できる。
【0027】
また、上述した発明において、前記テープ回収部は、前記回収位置に移動している第1の前記巻き取り芯へ繰り出されている前記不要テープを切断して前記巻き取り芯から切り離す不要テープ切断機構と、前記待機位置にあり第2の前記巻き取り芯を保持している前記巻き取り芯保持部を前記待機位置から前記回収位置へと移動させ、第2の前記巻き取り芯を新たに前記回収位置へと配置させる回収部配置変更機構と、前記不要テープ切断機構によって第1の前記巻き取り芯から切り離された前記不要テープと第2の前記巻き取り芯とを接合させる不要テープ接合機構と、を備えることが好ましい。
【0028】
(作用・効果)この構成によれば、テープ回収部は不要テープ切断機構と回収部配置変更機構と、不要テープ切断機構とを備えている。これらの構成を備えることにより、テープ処理部から搬送されている不要テープを回収位置にある第1の巻き取り芯から切り離し、待機位置から回収位置へと配置された第2の巻き取り芯と接合させるという動作を迅速かつ自動的に実行できる。そのため、不要テープが蓄積して使用済みとなった第1の巻き取り芯から新たな第2の巻き取り芯へと交換させる工程をより高度に自動化できるので、作業者の負担を大きく低減できる。
【0029】
また、上述した発明において、前記回収位置に移動している前記巻き取り芯に巻き取られている前記不要テープの量を検知する不要テープ検知部と、前記不要テープ検知部が検知する前記不要テープの量に応じて前記回収部配置変更機構の動作を制御する回収部配置変更制御部と、前記不要テープ検知部が検知する前記不要テープの量に応じて前記巻き取り芯搬送機構の動作を制御する巻き取り芯搬送制御部と、を備え、前記回収部配置変更制御部は、前記回収位置に移動している前記巻き取り芯に巻き取られている前記不要テープの量が第3所定量以上であることを前記不要テープ検知部が検知した場合に、前記待機位置にあり第2の前記巻き取り芯を保持している前記巻き取り芯保持部を前記回収位置へ移動させるように前記回収部配置変更機構を制御し、前記巻き取り芯搬送制御部は、前記回収位置に移動している前記巻き取り芯に巻き取られている前記不要テープの量が前記第3所定量以上であることを前記不要テープ検知部が検知した場合に、前記不要テープ切断機構によって前記不要テープが切り離された第1の前記巻き取り芯を前記テープ回収部から前記巻き取り芯保管部へ搬送させるように前記巻き取り芯搬送機構を制御することが好ましい。
【0030】
(作用・効果)この構成によれば、回収位置に移動している巻き取り芯に巻き取られている不要テープの量を検知する不要テープ検知部を備えており、回収位置に移動している巻き取り芯に巻き取られている不要テープの量に応じて回収部配置変更機構および巻き取り芯搬送機構が制御される。すなわち、回収位置に移動している巻き取り芯に巻き取られている不要テープの量が第3所定量以上となった場合に、待機位置にある巻き取り芯保持部を回収位置へ移動させるとともに、不要テープ切断機構によって不要テープが切り離された巻き取り芯をテープ回収部から巻き取り芯保管部へ搬送させる。このような構成では巻き取り芯の交換を行うタイミングが、回収位置の巻き取り芯に巻き取られている不要テープの量に応じて適切に決定される。従って、巻き取り芯の交換に要する時間が長期化するという事態を回避できる。
【0031】
また、上述した発明において、前記巻き取り芯保管部は、前記テープ回収部において前記回収位置に移動している前記巻き取り芯に前記不要テープが巻き取り回収される状態を維持しつつ、前記巻き取り芯を搬入できるように構成されていることが好ましい。
【0032】
(作用・効果)この構成によれば、テープ回収部において回収位置に移動している巻き取り芯が不要テープを巻き取り回収する状態を維持しつつ、巻き取り芯を巻き取り芯保管部へ新たに搬入できるように構成される。この場合、新たな巻き取り芯を巻き取り芯保管部へ搬入させるたびにテープ処理部からテープ回収部へと不要テープを搬送する動作を停止させる必要がない。従って、半導体ワークに対する処理効率をさらに向上できる。
【0033】
また、上述した発明において、前記繰り出し位置に移動している前記原反ロールが巻回している前記粘着テープの量を検知する繰り出しテープ量検知部、および前記回収位置に移動している前記巻き取り芯に巻き取られている前記不要テープの量を検知する不要テープ検知部のうち少なくとも一方を備え、前記テープ供給部は、前記準備位置に移動している前記原反ロールに対し、前記粘着テープの一部を繰り出させるとともに前記粘着テープの接合に備えるための準備処理を行う準備処理機構と、前記繰り出し位置に移動している前記原反ロールから繰り出されている前記粘着テープを切断して前記原反ロールから切り離す切断機構と、前記準備処理が行われた前記原反ロールを保持している前記原反ロール保持部を前記準備位置から前記繰り出し位置へと移動させる配置変更機構と、前記切断機構によって前記原反ロールから切り離された前記粘着テープと前記準備処理が行われて前記繰り出し位置へ移動した前記原反ロールとを接合させるテープ接合機構と、前記原反ロール搬送機構の動作を制御するロール搬送機構制御部と、を有する原反ロール交換システムを備え、前記テープ回収部は、前記回収位置に移動している第1の前記巻き取り芯へ繰り出されている前記不要テープを切断して前記巻き取り芯から切り離す不要テープ切断機構と、前記待機位置にあり第2の前記巻き取り芯を保持している前記巻き取り芯保持部を前記待機位置から前記回収位置へと移動させ、第2の前記巻き取り芯を新たに前記回収位置へと配置させる回収部配置変更機構と、前記不要テープ切断機構によって第1の前記巻き取り芯から切り離された前記不要テープと前記回収部配置変更機構によって前記回収位置へと移動した第2の前記巻き取り芯とを接合させる不要テープ接合機構と、前記巻き取り芯搬送機構の動作を制御する巻き取り芯搬送制御部と、を有する巻き取り芯交換システムを備え、前記原反ロール交換システムおよび前記巻き取り芯交換システムは、前記繰り出し位置に移動している前記原反ロールが巻回している前記粘着テープの量が第1の閾値以下であることを前記繰り出しテープ量検知部が検知した場合、または前記回収位置に移動している前記巻き取り芯に巻き取られている前記不要テープの量が第2の閾値以上であることを前記不要テープ検知部が検知した場合に動作を開始するように制御されることが好ましい。
【0034】
(作用・効果)この構成によれば、繰り出し位置に移動している原反ロールが巻回している粘着テープの量を検知する繰り出しテープ量検知部、および回収位置に移動している前記巻き取り芯に巻き取られている不要テープの量を検知する不要テープ検知部のうち少なくとも一方を備えている。そして、テープ供給部が有している原反ロール交換システムおよびテープ回収部が有している巻き取り芯交換システムは、繰り出しテープ量検知部が検知する粘着テープの量または不要テープ検知部が検知する不要テープの量に応じて、動作を開始するように制御されている。
【0035】
すなわち繰り出し位置に移動している原反ロールが巻回している粘着テープの量が第1の閾値以下になった場合、または不要テープ検知部が検知する不要テープの量が第2の閾値以上になった場合、テープ供給部において原反ロール交換システムによる原反ロールの交換工程が開始されるとともにテープ回収部において巻き取り芯交換システムによる巻き取り芯の交換工程が開始される。
【0036】
このような構成では原反ロールを交換するタイミングと巻き取り芯を交換するタイミングとの両方を、繰り出し位置にある原反ロールに巻回されている粘着テープの量または回収位置にある巻き取り芯に巻き取り回収されている不要テープの量に応じて適切に決定できる。従って、交換のタイミングが早すぎて原反ロールおよび巻き取り芯の交換頻度が増大する事態を回避できる。また、交換のタイミングが遅すぎることによって、原反ロールの粘着テープが枯渇してテープ処理工程に支障をきたす事態または巻き取り芯が不要テープを回収しきれなくなってテープ処理工程に支障をきたすという事態が発生することを回避できる。
【0037】
さらにこのような構成では、所定の条件を満たすことによって、テープ供給部における原反ロールの交換工程とテープ回収部における巻き取り芯の交換工程とを同期的に行われる。そのため、粘着テープ処理装置における制御を単純化できる。また、2つの交換工程を同期的に行うため、交換工程を行う頻度を低減できる。その結果、交換工程を行う際にテープ処理工程を停止させる頻度が低減されるので、粘着テープ処理装置の処理効率をさらに向上できる。
【0038】
また、上述した発明において、操作者の指示を入力する入力部を備え、前記テープ供給部は、前記準備位置に移動している前記原反ロールに対し、前記粘着テープの一部を繰り出させるとともに前記粘着テープの接合に備えるための準備処理を行う準備処理機構と、前記繰り出し位置に移動している前記原反ロールから繰り出されている前記粘着テープを切断して前記原反ロールから切り離す切断機構と、前記準備処理が行われた前記原反ロールを保持している前記原反ロール保持部を前記準備位置から前記繰り出し位置へと移動させる配置変更機構と、前記切断機構によって前記原反ロールから切り離された前記粘着テープと前記準備処理が行われて前記繰り出し位置へ移動した前記原反ロールとを接合させるテープ接合機構と、 前記原反ロール搬送機構の動作を制御するロール搬送機構制御部と、を有する原反ロール交換システムを備え、前記テープ回収部は、前記回収位置に移動している第1の前記巻き取り芯へ繰り出されている前記不要テープを切断して前記巻き取り芯から切り離す不要テープ切断機構と、前記待機位置にあり第2の前記巻き取り芯を保持している前記巻き取り芯保持部を前記待機位置から前記回収位置へと移動させ、第2の前記巻き取り芯を新たに前記回収位置へと配置させる回収部配置変更機構と、前記不要テープ切断機構によって第1の前記巻き取り芯から切り離された前記不要テープと前記回収部配置変更機構によって前記回収位置へと移動した第2の前記巻き取り芯とを接合させる不要テープ接合機構と、前記巻き取り芯搬送機構の動作を制御する巻き取り芯搬送制御部と、を有する巻き取り芯交換システムを備え、前記原反ロール交換システムは、前記原反ロールの交換を開始する指示が前記入力部に入力されることによって動作を開始するように制御され、前記巻き取り芯交換システムは、前記巻き取り芯の交換を開始する指示が前記入力部に入力されることによって動作を開始するように制御されることが好ましい。
【0039】
(作用・効果)この構成によれば、操作者の指示を入力する入力部を備えている。そして、テープ供給部が有している原反ロール交換システムは、原反ロールの交換を開始する指示が前記入力部に入力されることによって動作を開始するように制御される。またテープ回収部が有している巻き取り芯交換システムは、巻き取り芯の交換を開始する指示が前記入力部に入力されることによって動作を開始するように制御される。
【0040】
このような構成では、原反ロールを交換するタイミングと巻き取り芯を交換するタイミングとの各々は、入力部を手動で操作することによって適切に決定できる。従って、交換のタイミングが早すぎて原反ロールおよび巻き取り芯の交換頻度が増大する事態を回避できる。また、交換のタイミングが遅すぎることによって、原反ロールの粘着テープが枯渇してテープ処理工程に支障をきたす事態または巻き取り芯が不要テープを回収しきれなくなってテープ処理工程に支障をきたすという事態が発生することを回避できる。
【0041】
また、上述した発明において、前記原反ロール保管部、前記テープ供給部、前記テープ処理部、前記テープ回収部、および前記巻き取り芯保管部が順に並ぶように配設されており、前記原反ロール搬送機構は、前記原反ロール保管部および前記テープ供給部の各々に隣接する位置に配置されており、前記巻き取り芯搬送機構は、前記テープ回収部および前記巻き取り芯保管部の各々に隣接する位置に配置されていることが好ましい。
【0042】
(作用・効果)この構成によれば、原反ロール保管部、テープ供給部、テープ処理部、テープ回収部、および巻き取り芯保管部の順に並列配置されている。これらの構成は、半導体ワークに対して粘着テープで所定の処理を行う工程の順に沿って配設されているので、テープ処理装置の構成が複雑化することを回避できる。また、原反ロール搬送機構は原反ロール保管部およびテープ供給部の各々に隣接する位置に配置されているので、原反ロール保管部およびテープ供給部の間で原反ロールを搬送する動作をより迅速に実行できる。さらに、巻き取り芯搬送機構はテープ回収部および巻き取り芯保管部の各々に隣接する位置に配置されているので、テープ回収部および巻き取り芯保管部の間で巻き取り芯を搬送する動作をより迅速に実行できる。従って、半導体ワークに対する処理効率をさらに向上できる。
【0043】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとってもよい。
すなわち、粘着テープの原反ロールを保持する原反ロール保持部を複数備え、前記原反ロール保持部のうち繰り出し位置に移動している前記原反ロール保持部に保持されている前記原反ロールから 前記粘着テープを繰り出させるテープ供給部と、前記テープ供給部から繰り出された前記粘着テープを用いて半導体ワークに対する所定の処理を行うテープ処理部と、前記原反ロールを保管する原反ロール保管部と、前記テープ供給部に設けられている準備位置に移動している前記原反ロール保持部と前記原反ロール保管部との間で前記原反ロールを搬送する原反ロール搬送機構と、を備える半導体ワークのテープ処理装置において前記粘着テープの原反ロールを交換させる半導体ワーク用のテープ交換方法であって、
前記原反ロール搬送機構を用いて、前記原反ロール保管部に保管されている前記原反ロールを前記準備位置にある前記原反ロール保持部に搬送させる未使用ロール搬送過程と、
前記準備位置にある前記原反ロールに対し、前記粘着テープの一部を繰り出させるとともに前記粘着テープの接合に備えるための準備処理を行う準備処理過程と、
前記繰り出し位置にある前記原反ロールから繰り出されている前記粘着テープを切断して前記繰り出し位置にある前記原反ロールから切り離す切断過程と、
前記準備処理が行われた前記原反ロールを保持している前記原反ロール保持部を前記準備位置から前記繰り出し位置へと移動させる配置変更過程と、
前記切断過程によって前記原反ロールから切り離された前記粘着テープと前記準備処理が行われて前記繰り出し位置へ移動した前記原反ロールとを接合させるテープ接合過程と、
前記切断過程によって前記粘着テープから切り離された前記原反ロールを前記原反ロール搬送機構によって前記原反ロール保管部へ搬送させる使用済ロール搬送過程と、
を備えることを特徴とするものである。
【0044】
(作用・効果)この構成によれば、テープ供給部の繰り出し位置にある原反ロールからテープ処理部へ粘着テープを繰り出し供給し、テープ処理部において半導体ワークに対して所定の処理を行う構成において、使用済みとなった粘着テープの原反ロールを新たな原反ロールへ交換する工程を好適に実行できる。すなわち原反ロールの交換工程は、原反ロール搬送過程と準備処理過程と切断過程と配置変更過程とテープ接合過程と使用済ロール搬送過程とを備えている。原反ロール搬送過程では、原反ロール保管部に保管されている原反ロールを、テープ供給部の準備位置にある原反ロール保持部に搬送させる。当該搬送は原反ロール搬送機構を用いて自動で行われるので、作業者の負担を低減できる。
【0045】
準備処理過程では、準備位置にある原反ロールに対し、粘着テープの一部を繰り出させるとともに前記粘着テープの接合に備えるための準備処理を行う。未使用の原反ロールは、準備位置に移動している時点で予め準備処理を受けることにより、繰り出し位置に移動している原反ロールが使用済みとなって新たに未使用の原反ロールに交換する場合、繰り出し位置にある使用済みの原反ロールから切り離された粘着テープと準備処理が完了した未使用の原反ロールとを新たに接合させる接合過程を迅速に完了できる。そのため、未使用の原反ロールから新たに粘着テープを繰り出し供給して半導体ワークに所定の処理を行う操作を迅速に再開できるので、半導体ワークに対する処理効率を向上できる。
【0046】
使用済ロール搬送過程では、切断過程によって粘着テープから切り離された原反ロールを原反ロール搬送機構によって原反ロール保管部へ搬送させる。使用済みの原反ロールを原反ロール保管部へ搬送させる動作は原反ロール搬送機構を用いて自動で行われるので、作業者の負担を低減できる。
【0047】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとってもよい。
すなわち、粘着テープを用いて半導体ワークに対する所定の処理を行うテープ処理部と、前記所定の処理が行われた後の不要な部分の前記粘着テープである不要テープを巻き取り可能な巻き取り芯を保持する巻き取り芯保持部を複数備え、前記巻き取り芯保持部のうち回収位置に移動している前記巻き取り芯保持部に保持されている前記巻き取り芯に前記不要テープをロール状に巻き取って回収させるテープ回収部と、前記巻き取り芯を保管する巻き取り芯保管部と、前記テープ回収部に設けられている待機位置に移動している前記巻き取り芯保持部と前記巻き取り芯保管部との間で前記巻き取り芯を搬送可能な巻き取り芯搬送機構と、を備える半導体ワークのテープ処理装置において前記不要テープを巻き取り可能な前記巻き取り芯を交換させる半導体ワーク用のテープ交換方法であって、
前記回収位置にある第1の前記巻き取り芯へ繰り出されている前記不要テープを切断して第1の前記巻き取り芯から切り離す不要テープ切断過程と、
前記巻き取り芯搬送機構を用いて、前記巻き取り芯保管部に保管されている第2の前記巻き取り芯を前記待機位置にある前記巻き取り芯保持部に搬送させる巻き取り芯搬送過程と、
前記待機位置にあり第2の前記巻き取り芯を保持している前記巻き取り芯保持部を前記待機位置から前記回収位置へと移動させ、第2の前記巻き取り芯を新たに前記回収位置へと配置させる回収部配置変更過程と、
前記不要テープ切断過程によって第1の前記巻き取り芯から切り離された前記不要テープと第2の前記巻き取り芯とを接合させる不要テープ接合過程と、
前記不要テープ切断過程によって前記不要テープから切り離された第1の前記巻き取り芯を前記巻き取り芯搬送機構によって前記巻き取り芯保管部へ搬送させる使用済巻き取り芯搬送過程と、
を備えることを特徴とするものである。
【0048】
(作用・効果)この構成によれば、テープ処理部において半導体ワークに対して所定の処理を行い、当該所定の処理が行われた後の不要な部分の粘着テープである不要テープを巻き取り芯に巻き取り回収する構成において、不要テープが十分に巻き取られて使用済みとなった巻き取り芯を新たな巻き取り芯へ交換する工程を好適に実行できる。すなわち巻き取り芯の交換工程は、不要テープ切断過程と巻き取り芯搬送過程と回収部配置変更過程と不要テープ接合過程と使用済巻き取り芯搬送過程とを備えている。巻き取り芯搬送過程では、巻き取り芯保管部に保管されている新たな巻き取り芯を、テープ回収部の待機位置にある巻き取り芯保持部に搬送させる。当該搬送は巻き取り芯搬送機構を用いて自動で行われるので、作業者の負担を低減できる。
【0049】
不要テープ切断過程では、回収位置にある第1の前記巻き取り芯へ繰り出されている不要テープを切断して第1の前記巻き取り芯から切り離す。回収部配置変更過程では、不要テープ接合過程では、新たな巻き取り芯すなわち第2の巻き取り芯を待機位置から回収位置へと移動させる。そして不要テープ接合過程では、第1の巻き取り芯から切り離された不要テープと第2の巻き取り芯とを接合させる。これらの工程は自動で行われるので、使用済みの巻き取り芯から不要テープを切り離して新たな巻き取り芯に接合させるという複雑な動作を作業者が手動で行う必要がない。よって粘着テープ処理装置の作業効率を向上させると共に作業者の負担をさらに低減できる。
【0050】
使用済巻き取り芯搬送過程では、不要テープ切断過程によって不要テープから切り離された第1の巻き取り芯を巻き取り芯搬送機構によって巻き取り芯保管部へ搬送させる。当該搬送は巻き取り芯搬送機構を用いて自動で行われるので、作業者の負担をさらに低減できる。
【発明の効果】
【0051】
本発明に係る半導体ワーク用のテープ処理装置および半導体ワーク用のテープ交換方法によれば、テープ供給部とテープ処理部とテープ回収部に加えて、原反ロール保管部と巻き取り芯保管部と原反ロール搬送機構と巻き取り芯搬送機構とを備えている。テープ供給部には、粘着テープの原反ロールを保持する原反ロール保持部が複数備えられている。また、テープ供給部には繰り出し位置と準備位置とが存在している。そしてテープ供給部に備えられている原反ロール保持部のうち、繰り出し位置に移動している原反ロール保持部に保持されている原反ロールから、粘着テープをテープ処理部へ繰り出し供給するように構成されている。そのため、テープ供給部からテープ処理部へと粘着テープを供給する機構は、原反ロール保持部の各々に対して配設される必要がなく、繰り出し位置に移動している原反ロール保持部に対して配設すればよい。よって、テープ供給部からテープ処理部へと粘着テープを供給するために必要な部品の数を低減できるので、半導体ワークのテープ処理装置の構成をより単純化できる。
【0052】
そしてテープ供給部に備えられている原反ロール保持部のうち、準備位置に移動している原反ロール保持部に対して、原反ロール搬送機構は原反ロール保管部から原反ロールを搬送するように構成されている。そのため、繰り出し位置に移動している原反ロールから粘着テープをテープ処理部へ供給して半導体ワークに対して所定の処理を行う動作を継続させつつ、原反ロール保管部からテープ供給部へと未使用の原反ロールを補充できる。すなわち原反ロール保管部からテープ供給部へと未使用の原反ロールを補充する際に半導体ワークに対する処理操作を停止させる必要がないので、ワークに対する処理効率を向上できる。また、原反ロール保管部からテープ供給部へと未使用の原反ロールを補充する操作は原反ロール搬送機構によって自動的に行うことができるので、作業者による労力を低減できる。
【0053】
また、テープ回収部には回収位置と待機位置とが存在している。そしてテープ回収部に備えられている巻き取り芯保持部のうち、回収位置に移動している巻き取り芯保持部に保持されている巻き取り芯に対して、テープ処理部から送り出されている不要テープを巻き取り回収するように構成されている。そのため、テープ処理部からテープ回収部へと粘着テープを送り出す機構は、巻き取り芯保持部の各々に対して配設される必要がなく、回収位置に移動している巻き取り芯保持部に対して配設すればよい。よって、テープ処理部からテープ回収部へと不要テープを送り出すために必要な部品の数を低減できるので、半導体ワークのテープ処理装置の構成をより単純化できる。
【0054】
そしてテープ回収部に備えられている巻き取り芯保持部のうち、待機位置に移動している巻き取り芯保持部に対して、巻き取り芯搬送機構は巻き取り芯保管部から未使用の巻き取り芯を搬送するように構成されている。そのため、回収位置に移動している巻き取り芯に対して、半導体ワークに対する所定処理が行われた後の不要テープを巻き付けて回収する動作を継続させつつ、巻き取り芯保管部からテープ回収部へと未使用の巻き取り芯を補充できる。すなわち巻き取り芯保管部からテープ回収部へと未使用の巻き取り芯を補充する際に半導体ワークに対する処理操作を停止させる必要がないので、ワークに対する処理効率を向上できる。また、巻き取り芯保管部からテープ回収部へと未使用の巻き取り芯を補充する操作は巻き取り芯搬送機構によって自動的に行うことができるので、作業者による労力をさらに低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】実施例に係る半導体ウエハのテープ処理装置の基本構成を示す正面図である。
図2】実施例に係る半導体ウエハのテープ処理装置の一部構成を示す斜視図である。
図3】実施例に係る半導体ウエハのテープ処理装置の一部構成を示す斜視図である。
図4】実施例に係る原反ロール保管部の構成を示す正面図である。
図5】実施例に係る待機状態の原反ロールの構成を示す図である。(a)は待機状態となっている原反ロールの斜視図であり、(b)は待機状態となっている原反ロールの正面図である。
図6】実施例に係るテープ供給部の全体構成を示す正面図である。
図7】実施例に係るテープ保持ユニットおよびテープ切断機構の構成を示す正面図である。
図8】実施例に係るテープ接合機構の動作を説明する正面図である。
図9】実施例に係るテープ貼付け部の構成を説明する正面図である。
図10】実施例に係るテープ回収部の全体構成を説明する正面図である。
図11】実施例に係るテープ回収部の要部を説明する正面図である。
図12】実施例に係る巻き取り芯保管部の構成を説明する正面図である。
図13】実施例に係る粘着テープ貼付け装置の動作を示すフローチャートである。(a)は粘着テープ貼付け装置の基本的な工程であるステップS1~S5を示すフローチャートであり、(b)は原反ロールまたは巻き取り芯の装填量に応じてステップS6~S8を適宜行う工程を示すフローチャートである。
図14】実施例に係る粘着テープ貼付け装置の動作を示すフローチャートである。(a)はステップS6に係る動作を示すフローチャートであり、(b)はステップS7に係る動作を示すフローチャートであり、(c)はステップS8に係る動作を示すフローチャートである。
図15】実施例に係るステップS2を説明する図である。
図16】実施例に係るステップS3を説明する図である。
図17】実施例に係るステップS4を説明する図である。
図18】実施例に係る準備状態の原反ロールの構成を示す図である。(a)は準備状態となっている原反ロールの斜視図であり、(b)は準備状態となっている原反ロールの正面図である。
図19】実施例に係るステップS6-1を説明する正面図である。
図20】実施例に係るステップS6-2を説明する正面図である。
図21】実施例に係るステップS6-3を説明する正面図である。
図22】実施例に係るステップS6-4を説明する正面図である。
図23】実施例に係るステップS6-5を説明する正面図である。
図24】実施例に係るステップS7-2を説明する正面図である。(a)は粘着テープを切断する前の状態を示す図であり、(b)は粘着テープを切断した後の状態を示す図である。
図25】実施例に係るステップS7-3を説明する正面図である。
図26】実施例に係るステップS7-3が完了した時点における、テープ供給部の構成を説明する正面図である。
図27】実施例に係るステップS7-4が完了した時点における、テープ供給部の構成を説明する正面図である。
図28】実施例に係るステップS7-5を説明する正面図である。(a)は粘着テープを接合する前の状態を示す図であり、(b)は粘着テープを接合した後の状態を示す図である。
図29】実施例に係るステップS7-7を説明する斜視図である。
図30】実施例に係るステップS7-7を説明する斜視図である。
図31】実施例に係るステップS7-7を説明する斜視図である。
図32】実施例に係るステップS7-8を説明する斜視図である。
図33】実施例に係るステップS7-8を説明する斜視図である。
図34】実施例に係るステップS8を説明する正面図である。(a)は、回収位置に配置される巻き取り芯が未使用状態である構成を示す図であり、(b)は回収位置に配置される巻き取り芯が使用済みになった状態を示す図である。
図35】実施例に係るステップS8-2を説明する正面図である。(a)は回転プレートを90°回転させた状態を示す図であり、(b)は回転プレートを180°回転させた状態を示す図である。
図36】実施例に係るステップS8-3を説明する正面図である。(a)は不要テープを切断する前の状態を示す図であり、(b)は不要テープを切断した後の状態を示す図である。
図37】実施例に係るステップS8-4を説明する正面図である。
図38】実施例に係るステップS8-4が完了した状態のテープ回収部を説明する正面図である。
図39】実施例に係るステップS8-6を説明する斜視図である。
図40】実施例に係るステップS8-6を説明する斜視図である。
図41】実施例に係るステップS8-7を説明する斜視図である。
図42】従来例に係る粘着テープ貼付け装置の構成を説明する図である。
図43】実施例に係る構成を説明する図である。(a)は剥離バーの構成を説明する斜視図であり、(b)は剥離バーを用いる粘着テープから剥離ライナーを剥離させる状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。実施例に係る半導体ワーク用のテープ処理装置として、ウエハWに対して回路保護用の粘着テープTを貼り付ける処理を行う、粘着テープ貼付け装置1を例にとって説明する。ウエハWは本発明における半導体ワークに相当する。なお粘着テープ貼付け装置1を示す図において、各種構成を支持する支持手段、および各種構成を駆動させる駆動手段などについては適宜、図示を省略している。
【0057】
<全体構成の概要>
図1は粘着テープ貼付け装置1の正面図である。なお、以後の説明において、平面視で矩形状となっている粘着テープ貼付け装置1の長手方向を左右方向(x方向)、これと直交する水平方向を前後方向(y方向)と呼称する。また鉛直方向をz方向とする。図1に示すように、粘着テープ貼付け装置1は原反ロール保管部2と、テープ供給部3と、テープ貼付け部4と、テープ回収部5と、巻き取り芯保管部6とを備えている。本実施例において、原反ロール保管部2、テープ供給部3、テープ貼付け部4、テープ回収部5、および巻き取り芯保管部6は、この順に右側から左側へ向かってx方向に並列配置されている。
【0058】
原反ロール保管部2は、剥離ライナーS(セパレータS)が添設されている帯状の粘着テープTが巻回されている原反ロール11と、粘着テープTから剥離された帯状の剥離ライナーSを巻き取るライナーボビン13とを保管する。なお以降において、剥離ライナーSが添接された状態となっている粘着テープTを、テープTSとする。すなわち原反ロール11は、供給用ボビンにテープTSがロール状に巻回された構成となっている。テープ供給部3は、原反ロール11から粘着テープTを繰り出させ、当該粘着テープTをテープ貼付け部4へ供給する。テープ貼付け部4は、ウエハWの回路面に粘着テープTを貼り付ける処理を行った後、粘着テープTをウエハWの形状に沿って切り抜く処理を行う。テープ貼付け部4は、本発明におけるテープ処理部に相当する。
【0059】
なお、本実施例において「上流」および「下流」とはテープTSの繰り出し方向に沿うものとして定義される。すなわち「上流」とはテープTSの繰り出し方向において、後述するテープ供給部3に近い側を意味するものとする。また粘着テープTは、非粘着性の基材と、粘着性を有する粘着層とが積層された構成を備えている。剥離ライナーSを構成する材料としては、熱接着による接合を可能とする材料であることがより好ましい。
【0060】
テープ回収部5は図1および図3に示すように、テープ貼付け部4から搬送される不要テープTnを巻き取り芯15に巻き取って回収する。なお本実施例において不要テープTnとは、粘着テープTを貼り付ける処理が行われた後の不要な部分の粘着テープTを意味する。巻き取り芯保管部6は、不要テープTnの巻き取り回収に用いられる巻き取り芯15を保管する。
【0061】
また図2および図3に示すように、粘着テープ貼付け装置1は原反ロール搬送機構7と巻き取り芯搬送機構8とを備えている。原反ロール搬送機構7は、原反ロール保管部2とテープ供給部3との間で原反ロール11を搬送する。原反ロール搬送機構7は図2に示すように、原反ロール保管部2およびテープ供給部3にわたって隣接する位置に配置されている。実施例において原反ロール搬送機構7は、原反ロール保管部2の前方の領域とテープ供給部3の前方の領域とにわたって、x方向へスライド移動できるように構成されている。なお本実施例では粘着テープTの粘着面に剥離ライナーSが添設されているテープTSが原反ロール11に巻回されている。そのため本実施例において、原反ロール搬送機構7は原反ロール保管部2とテープ供給部3との間で、原反ロール11に加えてライナーボビン13を搬送する。
【0062】
巻き取り芯搬送機構8は、テープ回収部5と巻き取り芯保管部6との間で巻き取り芯15を搬送する。巻き取り芯搬送機構8は図3に示すように、テープ回収部5および巻き取り芯保管部6にわたって隣接する位置に配置されている。実施例において巻き取り芯搬送機構8は、テープ回収部5の前方の領域と巻き取り芯保管部6の前方の領域とにわたって、x方向へスライド移動できるように構成されている。
【0063】
粘着テープ貼付け装置1は図1ないし図3に示すように、さらに制御部9と入力部10とを備えている。制御部9はCPU(中央演算処理装置)などを備えており、粘着テープ貼付け装置1に設けられている構成の各々について、各種動作などを統括制御する。入力部10の例としてはコンソールパネルやキーボードなどが挙げられ、オペレータは入力部10を用いて各種指示を入力する。入力部10に入力された指示内容は制御部9に送信され、制御部9は当該指示に沿って各種制御を行うことができる。
【0064】
<原反ロール保管部の構成>
ここで、原反ロール保管部2の詳細について説明する。原反ロール保管部2は図2および図4に示すように、縦壁17と、原反ロール支持軸19と、ボビン支持軸21とを備えている。原反ロール支持軸19は、未使用の原反ロール11または使用済みの原反ロール11を支持して保管する。
【0065】
本実施例において未使用の原反ロール11とは、テープ貼付け部4に対する粘着テープTの供給動作に使用される前の原反ロール11を意味する。言い換えると、巻回されている粘着テープTがテープ貼付け部4に対して未だ繰り出されていない状態の原反ロール11を意味する。一例として、装填されているテープTSが未だ繰り出されていない状態の原反ロール11が、未使用の原反ロール11に相当する。なお、未使用の原反ロール11は、新品状態の原反ロール11に限ることはなく、粘着テープ貼付け装置1以外の粘着テープ処理装置などにおいて一定量の粘着テープTが使用された状態の原反ロール11を含むものとする。
【0066】
そして、本実施例において使用済みの原反ロール11とは、テープ貼付け部4に対する粘着テープTの供給動作に使用された後の原反ロール11を意味する。使用済みの原反ロール11の一例として、装填されている粘着テープTの量が所定の許容値以下となり、これ以上は粘着テープTの供給に用いることが困難な状態となっている原反ロール11が挙げられる。すなわち原反ロール保管部2は、粘着テープTをウエハWに貼り付ける操作に使用される前の原反ロール11(未使用の原反ロール11)を保管するとともに、粘着テープTをウエハWに貼り付ける操作に使用された後の原反ロール11(使用済みの原反ロール11)を保管するように構成されている。
【0067】
原反ロール支持軸19は、縦壁17の前面から前方へ突出するように配設されている。実施例では5つの原反ロール支持軸19がz方向に並列配置されている。原反ロール支持軸19の外径は、原反ロール11における供給ボビンの中心部に形成されている孔部14の内径より僅かに小さくなるように構成されている。すなわち図5などに示されている供給ボビンの中心軸に沿って形成されている孔部14を原反ロール支持軸19に嵌合させることにより、原反ロール11は原反ロール支持軸19によって安定に支持される。
【0068】
図5(a)は、原反ロール保管部2に保管されている、テープ供給部3において使用される前の状態の原反ロール11を示す斜視図である。図5(b)は、当該原反ロール11の正面図である。実施例において、原反ロール11には2本のガイド軸23が付設されている。原反ロール保管部2に未使用の原反ロール11を保管する場合、当該原反ロール11からは図4に示すように所定量のテープTSが引き出され、引き出されたテープTSはガイド軸23に案内されて下向きに延びる姿勢で保持される。そしてテープTSの先端部における所定長さLの範囲において、粘着テープTは予め幅方向にわたって除去されており剥離ライナーSが露出された状態となっている。先端部において剥離ライナーSが露出されている領域は、後述するステップS6に係る工程において未使用状態のライナーボビン13と接合される。
【0069】
図5の各図に示される状態において、未使用の原反ロール11に装填されている粘着テープTは、粘着面の全長にわたって剥離ライナーSが添設されている。そのため原反ロール保管部2に原反ロール11を長時間にわたって保管させる場合であっても、粘着テープTの粘着面は剥離ライナーSによって保護されているので粘着テープTの粘着性などが劣化することを回避できる。図5(a)および図5(b)に示されるような原反ロール11の状態、すなわち粘着テープTの全長にわたって剥離ライナーSに保護されている原反ロール11の状態を「待機状態」とし、後述する「準備状態」と区別する。なお、待機状態となっている原反ロール11の先端部において剥離ライナーSが露出されている領域を、ライナー先端部Saとする。
【0070】
ボビン支持軸21は、未使用のライナーボビン13または使用済みのライナーボビン13を支持して保管する。本実施例において未使用のライナーボビン13は、テープ貼付け部4に対する粘着テープTの供給動作に使用される前のライナーボビン13を意味する。一例として、剥離ライナーSが巻回されていない状態のライナーボビン13が、未使用のライナーボビン13に相当する。また本実施例において、使用済みのライナーボビン13は、テープ貼付け部4に対する粘着テープTの供給動作に使用され、剥離ライナーSが巻回された状態のライナーボビン13を意味する。ボビン支持軸21は、縦壁17の前面から前方へ突出するように配設されている。実施例では、ライナーボビン13の中心軸に沿って形成されている孔部16をボビン支持軸21に嵌合させることにより、ライナーボビン13はボビン支持軸21によって安定に支持される。
【0071】
実施例では5つのボビン支持軸21がz方向に並列配置されており、各々のボビン支持軸21は原反ロール支持軸19とx方向に並ぶように配置されている。一例として同時に使用される原反ロール11およびライナーボビン13は、それぞれ同じ高さに配設されている原反ロール支持軸19とボビン支持軸21とに支持させて保管する。図1および図2において、5つの原反ロール支持軸19のうち最上段に配置されている原反ロール支持軸19には、使用済みの原反ロール11が支持されている。そして5つの原反ロール支持軸19のうち上から3段目、4段目、および5段目に配置されている原反ロール支持軸19には、未使用の原反ロール11が支持されている。なお、上から2段目に配置されている原反ロール支持軸19には原反ロール11が支持されていない状態となっている。
【0072】
一方、5つのボビン支持軸21のうち最上段に配置されているボビン支持軸21には、使用済みのライナーボビン13が支持されている。そして5つのボビン支持軸21のうち上から3段目、4段目、および5段目に配置されているボビン支持軸21には、未使用のライナーボビン13が支持されている。上から2段目に配置されているボビン支持軸21は、ライナーボビン13が支持されていない状態となっている。
【0073】
<テープ供給部の構成>
テープ供給部3は図6などに示すように、複数のテープ保持ユニット25と、テープ切断機構27と、案内ローラ29と、接合テープ作成機構31と、テープ量検知センサ32と、ライナー切断機構54とを備えている。テープ保持ユニット25は、原反ロール11およびライナーボビン13を保持するとともに、原反ロール11に巻回されているテープTSから剥離ライナーSを剥離させる構成を備えている。
【0074】
テープ保持ユニット25の各々は、原反ロール11を保持する。本実施例において、テープ供給部3は全体として2つのテープ保持ユニット25、すなわち第1のテープ保持ユニット25Aと第2のテープ保持ユニット25Bとを備えているものとする。なおテープ保持ユニット25に配設されている各構成について、テープ保持ユニット25Aに配設されている構成は符号Aを付すとともに、テープ保持ユニット25Bに配設されている各構成については符号Bを付して両者を区別する。一例として図6に示すように、テープ供給部3が備える2つのテープ接合機構37のうち、第1のテープ保持ユニット25Aに設けられている一方については、テープ接合機構37Aと表記することによって特定される。そして第2のテープ保持ユニット25Bに配設される他方についてはテープ接合機構37Bと表記する。テープ保持ユニット25は本発明における原反ロール保持部に相当する。
【0075】
テープ供給部3には、繰り出し位置G1と準備位置G2とが設けられており、テープ保持ユニット25の各々は繰り出し位置G1と準備位置G2との間で相互に移動可能となるように構成されている。テープ供給部3は、複数のテープ保持ユニット25のうち繰り出し位置G1に移動しているテープ保持ユニット25に保持されている原反ロール11から、粘着テープTをテープ貼付け部4へと供給可能に構成されている。図6ではテープ供給ユニット25Aが繰り出し位置G1に移動しており、テープ供給ユニット25Bが準備位置G2に移動している状態を示している。この状態では、テープ保持ユニット25Aに保持されている原反ロール11から粘着テープTをテープ貼付け部4へ繰り出し供給可能となる。
【0076】
なお、テープ供給ユニット25Bが繰り出し位置G1に移動する場合はテープ供給ユニット25Aが準備位置G2へ同期的に移動する。この場合、テープ保持ユニット25Bに保持されている原反ロール11から粘着テープTをテープ貼付け部4へ繰り出し供給可能となる。以下、繰り出し位置G1に移動しているテープ供給ユニット25に保持されており、粘着テープTをテープ貼付け部4へ供給可能な状態となっている原反ロール11を「稼働中の原反ロール11」とする。
【0077】
図7は、テープ供給ユニット25およびテープ切断ユニット27の構成を示している。テープ供給ユニット25は、可動壁33と、原反ロール支持軸34と、ボビン支持軸35と、ライナー案内ローラ36と、テープ接合機構37と、ライナー剥離ローラ40とを備えている。可動壁33はxz面に拡がる縦壁であり、実施例ではy方向およびz方向に移動可能となるように構成されている。
【0078】
可動壁33が適宜移動することによりテープ供給ユニット25が全体として移動する。一例としてテープ供給ユニット25Aが備える可動壁33Aが繰り出し位置G1からy方向に後退することで、テープ供給ユニット25Bが備える可動壁33Bはz方向に上昇して準備位置G2から繰り出し位置G1へと移動可能となる。一方、後方へ移動していた可動壁33Aがz方向に下降するとともにy方向に前進することで、テープ供給ユニット25Aは繰り出し位置G1から準備位置G2へと移動できる。
【0079】
原反ロール支持軸34は一例として円柱状の軸であり、原反ロール11を支持する。原反ロール支持軸34は、可動壁33の前面から前方へ突出するように立設されている。原反ロール11の孔部14を原反ロール支持軸34に嵌合させることにより、テープ供給ユニット25は原反ロール11を安定に保持する。ボビン支持軸35は、ライナーボビン13を支持するものであり、原反ロール支持軸34の下方に配置されている。ボビン支持軸35は、可動壁33の前面から前方へ突出するように立設されている。ライナーボビン13の孔部16をボビン支持軸35に嵌合させることにより、テープ供給ユニット25はライナーボビン13を安定に保持する。
【0080】
なお図7は原反ロール11およびライナーボビン13がテープ供給ユニット25に保持されていない状態を示している。すなわち図7に示されるテープ供給ユニット25では、原反ロール支持軸34およびボビン支持軸35が前方から視認できる状態となっている。一方、図1および図2では、原反ロール11およびライナーボビン13がテープ供給ユニット25に保持されている状態を示している。図2に示す斜視図では説明の便宜上、テープ接合機構37およびライナー切断機構54などの記載を適宜省略している。
【0081】
ライナー案内ローラ36は、可動壁33において原反ロール支持軸34の左下方に配設されている。ライナー案内ローラ36は、原反ロール支持軸34に支持されている原反ロール11のテープTSから剥離された剥離ライナーSを巻回し、ボビン支持軸35に支持されているライナーボビン13へと案内する。ライナー案内ローラ36は図7に示すように、z方向に延伸する昇降レール38に沿って上下方向(z方向)に往復移動可能となるよう構成されている。
【0082】
ライナー案内ローラ36は、昇降レール38に沿って上昇することで案内位置H1へ移動し、昇降レール38に沿って下降することで退避位置H2へ移動できる。ライナー案内ローラ36は案内位置H1へ移動することにより、剥離ライナーSをライナーボビン13へと案内できる。ライナー案内ローラ36が退避位置H2へ移動することにより、後述するようにテープ接合機構37は剥離ライナーSをライナーボビン13に接合させることができる。
【0083】
テープ接合機構37は、上下昇降台39と、粘着テープ保持部材41と、接合テープ保持部材43とを備えている。上下昇降台39は、z方向に延伸する昇降レール44に沿ってz方向に昇降移動可能に構成される。粘着テープ保持部材41は一例として板状の部材であり、伸縮アーム45を介して上下昇降台39に接続されている。すなわち上下昇降台39の昇降移動によって、粘着テープ保持部材41はz方向に移動可能となるように構成されている。
【0084】
伸縮アーム45はx方向に伸縮可能に構成されており、当該伸縮によって粘着テープ保持部材41をx方向へ往復移動させる。図8に示すように、伸縮アーム45が伸長することによって粘着テープ保持部材41は点線で示す初期位置B1から実線で示す保持位置B2へとx方向に移動する。粘着テープ保持部材41は保持位置B2へ移動することにより、原反ロール11から繰り出されている粘着テープTまたは剥離ライナーSを保持する。好ましい構成の例として、粘着テープ保持部材41は図示しない吸引装置を用いて粘着テープTまたは剥離ライナーSを吸着保持する。
【0085】
接合テープ保持部材43は、粘着テープ保持部材41と同様に一例として板状の部材であり、伸縮アーム47を介して上下昇降台39に接続されている。すなわち上下昇降台39の昇降移動によって、接合テープ保持部材43はz方向に移動できる。接合テープ保持部材43は、接合テープ作成部31によって作成された接合テープNsを保持する。接合テープNsは、先行する粘着テープTの後端と後続の粘着テープTの先端とを接合するために用いるテープ片である。本実施例では、使用済みの原反ロール11から切り離された粘着テープの後端と、新たに繰り出し位置G1へと移動した未使用の原反ロール11から繰り出される粘着テープTの先端とを接合テープNsで接合する。当該接合により、未使用の原反ロール11に装填されている粘着テープTはテープ貼付け部4へ供給可能となる。
【0086】
接合テープ作成部31は図6に示すように、カッタホルダ48とカッタ刃49とを備えるカッタユニットを有している。カッタホルダ48は図示しない駆動機構により、粘着テープTの幅方向(y方向)に往復移動可能に構成される。またカッタホルダ48は粘着テープTを切断できる切断位置と、粘着テープTから離れている初期位置との間でx方向に往復移動可能に構成されている。
【0087】
カッタ刃49は、カッタホルダ48の先端部に配設されている。カッタ刃49は、準備位置G2に移動している原反ロール11から繰り出される粘着テープTを切断する。本実施例では、原反ロール11から繰り出されている粘着テープTの先端部を接合テープ作成部31が幅方向に切断することによって、接合テープNsが作成される。接合テープ作成部31が接合テープNsを作成する過程の詳細については後述する。
【0088】
ライナー剥離ローラ40は、原反ロール11から繰り出される粘着テープTから剥離ライナーSを剥離する。ライナー剥離ローラ40は、原反ロール支持軸34に原反ロール11が装着された場合において、原反ロール11に付設されているガイド軸23の下流に位置するように設置されている。剥離ライナーSが巻回されている状態でライナーボビン13が回転することにより、原反ロール11から繰り出されるテープTSのうち剥離ライナーSの部分はライナー剥離ローラ40によって折り返される。そして剥離ライナーSがライナー剥離ローラ40によって折り返されつつ引っ張られることにより、図18(a)などに示されるように、ガイド軸23の下流において剥離ライナーSは粘着テープTから剥離される。
【0089】
ライナー剥離ローラ40によって剥離ライナーSが折り返される角度θ1は、90度以上180度以下であることが好ましい。剥離ライナーSが折り返される角度θ1は、図18(b)において符号L1で示されている粘着テープTの搬送方向と、符号L2で示されている剥離ライナーSの折り返し方向とがなす角度である。言い換えると、搬送方向L1は原反ロール11から繰り出された粘着テープTがライナー剥離ローラ40を越えて搬送される方向に相当し、剥離ライナーSの折り返し方向L2はライナー剥離ローラ40によって剥離ライナーSが折り返される方向に相当する。剥離ライナーSが折り返される角度θ1を大きくすることにより、粘着テープTに含まれる粘着材の層に断裂が発生して一部の粘着材が粘着テープTから剥がれて剥離ライナーSに付着した状態で剥離ライナーSが粘着テープTから剥離される現象(糊残り)が発生することをより確実に回避できる。
【0090】
テープ切断機構27は、カッタユニット50と、先行テープ保持部材51とを備えている。カッタユニット50は、カッタホルダ52とカッタ刃53とを備えている。カッタホルダ52は図示しない駆動機構によって、x方向およびy方向に移動可能に構成される。すなわちカッタホルダ52は、テープ供給部3において繰り出し供給されている粘着テープTに対してx方向に近接または離間するように移動するとともに、当該粘着テープTの幅方向であるy方向に移動する。
【0091】
カッタ刃53はカッタホルダ52の先端部に配設されており、カッタホルダ52とともにx方向またはy方向へ移動して粘着テープTを幅方向に切断する。繰り出し位置G1に配置されており粘着テープTを繰り出している原反ロール11は、テープ切断機構27によって粘着テープTが切断されることにより、テープ貼付け部4に供給されている粘着テープTと原反ロール11とが分離される。
【0092】
先行テープ保持部材51は、カッタユニット50の下流側に配設されている。先行テープ保持部材51は図示しない可動台によってx方向へ移動可能に構成されており、粘着テープTに当接して粘着テープTを保持できる保持位置と、粘着テープTから離間している初期位置との間を往復移動する。先行テープ保持部材51は保持位置へ移動することにより、原反ロール11からテープ貼付け部4に向けて繰り出されている粘着テープTを保持する。好ましい構成の例として、粘着テープ保持部材41は図示しない吸引装置を用いて粘着テープTまたは剥離ライナーSを吸着保持する。先行テープ保持部材51が粘着テープTを保持している状態でカッタユニット50が先行テープ保持部材51の上流側における粘着テープTを切断することにより、原反ロール11から切り離された粘着テープT(先行テープTm)の後端部分は先行テープ保持部材51によって安定に保持される。
【0093】
案内ロール29は、テープ切断機構27の下流側に設けられており、繰り出し位置G1に配置されている原反ロール11から繰り出されている粘着テープTを巻回してテープ貼付け部4へと案内する。
【0094】
テープ量検知センサ32は、テープ供給部3において繰り出し位置G1に配設されている。テープ量検知センサ32は、繰り出し位置G1に移動されており粘着テープTをテープ貼付け部4へ供給可能となっている原反ロール11(稼働中の原反ロール11)に巻回されている粘着テープTの量を随時検知する。テープ量検知センサ32が検知した粘着テープTの量の情報は、制御部9へ逐次送信される。
【0095】
粘着テープ貼付け装置1では、稼働中の原反ロール11に巻回されている粘着テープTの量が所定値T1以下に減少していることをテープ量検知センサ32が検知した場合、後述するテープ交換工程が開始され、テープ供給部3に装填されている原反ロール11を自動的に交換する動作が実行される。テープ量検知センサ32として、光学センサを例とする各種センサなどが用いられる。テープ量検知センサ32は、本発明における繰り出しテープ量検知部に相当する。
【0096】
ライナー切断機構54は図6に示すように繰り出し位置G1に配置されており、繰り出し位置G1に配置されている原反ロール11から繰り出されて粘着テープTから剥離された部分の剥離ライナーSを切断する。ライナー切断機構54は可動台とカッタ刃とを備えており、剥離ライナーSに近接または離間する方向と、剥離ライナーSの幅方向とに移動できる。そして可動台に接続されているカッタ刃によって、剥離ライナーSを幅方向に切断して原反ロール11から分離させる。
【0097】
<テープ貼付け部の構成>
テープ貼付け部4は図9に示すように、保持テーブル55と、テープ貼付けユニット57と、テープ切断ユニット59と、テープ剥離ユニット60を備えている。保持テーブル55は、回路形成面が上向きとなっているウエハWを載置して保持する。本実施例では保持テーブル55として、ウエハWを吸着保持するチャックテーブルを用いるが、保持テーブル55の構成としてはこれに限られない。また、この保持テーブル55の上面には、後述するテープ切断ユニット59に備えたカッタ刃59cをウエハWの外形に沿って旋回移動させて粘着テープTを切断するために、カッタ走行溝55aが形成されている。保持テーブル55は、昇降台55bなどによって適宜昇降移動を可能とする構成であってもよい。
【0098】
テープ貼付けユニット57は、保持テーブル55に載置されて吸着保持されたウエハWの回路面に粘着テープTを貼付ける。テープ貼付けユニット57は、図示しないレールに沿って左右水平に往復移動する可動台57aと、可動台57aに接続されたブラケットに軸支された貼付けローラ57bとを備えている。また可動台57は図示しない昇降台に沿ってz方向に昇降移動可能に構成される。
【0099】
テープ切断ユニット59は、駆動昇降可能な可動台59aの下部に、保持テーブル55の中心上に位置する縦軸心P周りに駆動旋回可能に支持アーム59bが装備される。また、この支持アーム59bの遊端側に、刃先を下向きにしたカッタ59cが装着されている。つまり、支持アーム59bが縦軸心Pを旋回中心として旋回することにより、カッタ59cがウエハWの外周に沿って移動して粘着テープTを切り抜くよう構成されている。
【0100】
テープ剥離ユニット60は、カッタ59cによって切り抜かれてウエハWの表面に貼り付けられた粘着テープTwと、粘着テープTwが切り抜かれて不要となった粘着テープTである、不要テープTnとを分離させる。テープ剥離ユニット60は、不要テープTnのテンションを維持するガイドローラ61と、ニップローラ62とを備えている。ニップローラ62は昇降移動を可能とするピンチローラ63と、モータによって駆動する送りローラ64によって構成される。テープ剥離ユニット60は、図示しないレールに沿って左右水平に往復移動が可能となるように構成されている。テープ剥離ユニット60によって粘着テープTwから分離された不要テープTnは、ガイドローラ61に巻回されてテープ回収部5へと案内される。
【0101】
<テープ回収部の構成>
次に、テープ回収部5の構成について詳述する。テープ回収部5は図10に示すように、回転プレート65に複数の巻き取り芯支持軸67が立設され、巻き取り芯15を各々の巻き取り芯支持軸67に装填できるように構成されている。本実施例では2つの巻き取り芯支持軸67Aおよび67Bが回転プレート65に立設されているものとする。またテープ回収部5は、さらに案内ローラ66と案内ローラ69と接合ユニット70とテープ量検知センサ71とを備えている。
【0102】
巻き取り芯支持軸67は一例として円柱状の軸であり、不要テープTnを巻き取り回収する巻き取り芯15を支持する。一例として巻き取り芯15の孔部を巻き取り芯支持軸67に嵌合させることにより、テープ回収部5は巻き取り芯15を安定に保持する。巻き取り芯支持軸67Aおよび67Bは、回転プレート65の中心軸68を挟んで互いに対向する位置に配置されている。
【0103】
回転プレート65は、図示しない駆動機構によって中心軸68の軸周りに回転するように構成されている。回転プレート65の回転によって、巻き取り芯支持軸67Aと巻き取り芯支持軸67Bとは、図10に示されている回収位置K1と待機位置K2とを相互に移動可能となっている。
【0104】
テープ回収部5は、複数の巻き取り芯支持軸67のうち回収位置K1に移動している巻き取り芯支持軸67に保持されている巻き取り芯15に対して、テープ貼付け部4から不要テープTnが巻き取られるように構成されている。そして複数の巻き取り芯支持軸67のうち待機位置K2に移動している巻き取り芯支持軸67に未使用の巻き取り芯15を装填させておき、回収位置K1に移動している巻き取り芯15が所定量以上の不要テープTnを巻き取った場合に備えておく。以下、回収位置K1に移動している巻き取り芯支持軸67に保持されており、不要テープTnを巻き取り回収可能な状態となっている巻き取り芯15を「稼働中の巻き取り芯15」とする。
【0105】
すなわち回収位置K1に移動している巻き取り芯15に巻き取り回収されている不要テープTnが所定の許容量に達した場合、回転プレート65を回転させることによって、待機位置K2に配置されている未使用の巻き取り芯15を速やかに回収位置K1へと配置させることができる。図3では巻き取り芯支持軸67Aが回収位置G1に移動しており、巻き取り芯支持軸67Bが待機位置K2に移動している状態を示している。この状態では、巻き取り芯支持軸67Aに保持されている巻き取り芯15に対して、テープ貼付け部4から搬送された不要テープTnを巻き取り回収させることが可能となる。巻き取り芯支持軸67は本発明における巻き取り芯保持部に相当する。
【0106】
なお図10は巻き取り芯15が巻き取り芯支持軸67に装填されていない状態を示している。すなわち図10に示されるテープ回収部5では、巻き取り芯支持軸67が前方から視認できる状態となっている。一方、図1および図3では、巻き取り芯15が巻き取り芯支持軸67Aおよび67Bの各々に装填されている状態を示している。
【0107】
案内ローラ66は、回転プレート65の外周近傍において、巻き取り芯支持軸67Aと巻き取り芯支持軸67Bとの中間となる位置に配置されている。回転プレート65が回転する際に、不要テープTnは案内ローラ66に巻回されることで回転プレート65の外周に沿った軌道となるように案内される。案内ローラ69は、テープ貼付け部4から送り出されている不要テープTnを巻回し、回収位置K1にある稼働中の巻き取り芯15へと当該不要テープTnを案内させる。
【0108】
接合ユニット70はテープ回収部5において回収位置K1の近傍に配置されており、回収位置K1へと新たに移動した未使用の巻き取り芯15に対して不要テープTnを接合させる。接合ユニット70は図11に示すように、回動軸73と、枢動アーム74と、貼付けローラ75と、カッタ刃77とを備えている。
【0109】
回動軸73は枢動アーム74の基端部に配設されており、y方向の軸周りに回転可能に構成される。枢動アーム74は、回動軸73を中心として枢動するように構成されており、貼付けローラ75およびカッタ刃77を支持している。回動軸73が回動することによって枢動アーム74が枢動し、接合ユニット70は図11において実線で示される接合位置P1と退避位置P2との間を往復移動する。
【0110】
接合位置P1は回収位置K1に移動している巻き取り芯15に接合ユニット70が近接する位置である。接合ユニット70は接合位置P1へ移動することによって、回収位置K1に移動している巻き取り芯15に対して不要テープTnを接合できるようになる。退避位置P2は回収位置K1に移動している巻き取り芯15から接合ユニット70が離間している位置である。回転プレート65を回転させて回収位置K1にある巻き取り芯15を待機位置K2へ移動させる場合、接合ユニット70を予め退避位置P2へ移動させておくことによって、巻き取り芯15または不要テープTnなどが接合ユニット70に干渉することを回避できる。
【0111】
貼付けローラ75は、可動台76を介して枢動アーム74の先端部と接続されている。貼付けローラ75はy方向の軸周りに回転可能に構成されており、回収位置K1に移動している巻き取り芯15の外周に沿って転動することで不要テープTnを巻き取り芯15に貼り付ける。当該貼付け動作によって、不要テープTnを未使用の巻き取り芯15に接合できる。可動台76は回収位置K1に移動している巻き取り芯15に対して近接または離間する方向へと移動可能に構成される。可動台76が巻き取り芯15に対して近接移動することにより、貼付けローラ75は当該巻き取り芯15に当接できる。
【0112】
カッタ刃77は貼付けローラ75の下流側に配設されており、可動台78を介して枢動アーム74の先端部と接続されている。可動台78は、巻き取り芯15に巻回されている不要テープTnに対して近接または離間する方向へと移動可能に構成されるとともに、不要テープTnの幅方向(y方向)へ移動可能に構成される。可動台78が移動することにより、カッタ刃77は不要テープTnを切断して稼働中の巻き取り芯15から分離させる。接合ユニット70が不要テープTnを未使用の巻き取り芯15に接合させる過程、および接合ユニット70が不要テープTnを切断して稼働中の巻き取り芯15から分離させる過程については後述する。
【0113】
テープ量検知センサ71は、テープ回収部3において回収位置K1に配設されている。テープ量検知センサ71は、回収位置K1に配置されている稼働中の巻き取り芯15に巻き取られている不要テープTnの量を逐次検知する。稼働中の巻き取り芯15に巻き取り回収されている不要テープTnの量が所定値M1以上になっていることをテープ量検知センサ71が検知することによって、後述するステップS8に係る巻き取り芯交換過程が開始され、テープ回収部5に装填されている巻き取り芯15を自動的に交換する動作が実行される。テープ量検知センサ71として、レーザ発光部およびレーザ受光部を備えた光学センサを例とする、各種センサなどが用いられる。テープ量検知センサ71は、本発明における不要テープ検知部に相当する。
【0114】
<巻き取り芯保管部の構成>
次に、巻き取り芯保管部6の構成について詳述する。巻き取り芯保管部6は、図3および図12に示すように、縦壁79と、巻き取り芯支持軸81とを備えている。巻き取り芯支持軸81は縦壁79に立設されており、未使用の巻き取り芯15または使用済みの巻き取り芯15を支持して保管する。
【0115】
本実施例において、未使用の巻き取り芯15とは、テープ回収部5における不要テープTnの回収過程に使用される前の巻き取り芯15を意味する。一例として、不要テープTnが巻回されていない状態の巻き取り芯15が、未使用の巻き取り芯15に相当する。そして使用済みの巻き取り芯15とは、テープ回収部5における不要テープTnの回収過程に使用された後の巻き取り芯15を意味する。使用済みの巻き取り芯15の一例として、十分な量の不要テープTnを巻き取った結果、巻回されている不要テープTnの量が所定の許容量に達した状態となっている巻き取り芯15が挙げられる。
【0116】
巻き取り芯支持軸81の外径は、中空となっている巻き取り芯15の内径より僅かに小さくなるように構成されている。すなわち巻き取り芯15の内周部分を巻き取り芯支持軸81の外周部分に嵌合させることにより、巻き取り芯15は巻き取り芯支持軸81によって安定に支持される。
【0117】
実施例では図1および図12などに示すように、縦壁79において5つの巻き取り芯支持軸81がz方向に並列配置されているものとする。また図1および図12に示される巻き取り芯保管部6において、5つの巻き取り芯支持軸81のうち最上段および上から2段目に配置されている巻き取り芯支持軸81には未使用の巻き取り芯15が支持されている。また5つの原反ロール支持軸19のうち上から3段目および4段目に配置されている巻き取り芯支持軸81には巻き取り芯15が装填されておらず、前面から巻き取り芯支持軸81を視認できる状態となっている。そして5つの巻き取り芯支持軸81のうち最下段に配置されている巻き取り芯支持軸81には、テープ回収部5において所定量以上の不要テープTnを巻き取り回収した巻き取り芯15、すなわち使用済みの巻き取り芯15が装填されている。
【0118】
<原反ロール搬送機構の構成>
次に、原反ロール搬送機構7の構成について詳述する。原反ロール搬送機構7は図2に示すように、左右可動台83と、昇降プレート85と、案内プレート87と、ロール保持アーム89とを備えている。左右可動台83は粘着テープ貼付け装置1の上下にわたって配置されている板状部材であり、上レール90および下レール91に沿って、左右に往復移動できるように構成されている。上レール90および下レール91の各々は、粘着テープ貼付け装置1の前面においてx方向に延びるように配置されている。左右可動台83が往復移動することにより、原反ロール搬送機構7は全体としてx方向へ往復移動する。
【0119】
昇降プレート85は、左右可動台83の前面において上下方向に配設されている昇降レール84に沿って昇降移動できるように構成されている。案内プレート87は昇降プレート85の背面に配設されており、粘着テープ貼付け装置1の後方に向かってy方向に延びている。ロール保持アーム89は案内プレート87に接続されており、原反ロール11またはライナーボビン13を保持する構成を有している。
【0120】
ロール保持アーム89は、案内プレート87に配設されている図示しないレールに沿ってy方向へ往復移動できるように構成されている。ロール保持アーム89は、左右可動台83の左右移動によってx方向へ変位するとともに、昇降プレート85の昇降移動によってz方向に変位する。すなわちロール保持アーム89は、左右可動台83と昇降プレート85と案内プレート87とによって、x方向とy方向とz方向との各々について適宜移動可能となる。ロール保持アーム89が原反ロール11を保持した状態で左右可動台83などが移動することにより、原反ロール搬送機構7はテープ供給部3と原反ロール保管部2との間で原反ロール11を搬送できる。すなわち、原反ロール搬送機構7は未使用の原反ロール11を原反ロール保管部2からテープ供給部3へ搬送するとともに、使用済みの原反ロール11をテープ供給部3から原反ロール保管部2へと搬送するように構成されている。
【0121】
また、ロール保持アーム89がライナーボビン13を保持した状態で左右可動台83などが移動することにより、原反ロール搬送機構7はテープ供給部3と原反ロール保管部2との間でライナーボビン13を搬送できる。すなわち、原反ロール搬送機構7は未使用のライナーボビン13を原反ロール保管部2からテープ供給部3へ搬送するとともに、使用済みのライナーボビン13をテープ供給部3から原反ロール保管部2へと搬送するように構成されている。
【0122】
<巻き取り芯搬送機構の構成>
次に、巻き取り芯搬送機構8の構成について詳述する。巻き取り芯搬送機構8は図3に示すように、左右可動台93と、昇降プレート95と、案内プレート97と、巻き取り芯保持アーム99とを備えている。左右可動台93は粘着テープ貼付け装置1の上下にわたって配置されている板状部材であり、上レール101および下レール103に沿って、左右に往復移動できるように構成されている。上レール101および下レール103の各々は、粘着テープ貼付け装置1の前面においてx方向に延びるように配置されている。左右可動台93が往復移動することにより、巻き取り芯搬送機構8は全体としてx方向へ往復移動する。
【0123】
昇降プレート95は、左右可動台93の前面において上下方向に配設されている昇降レール94に沿って昇降移動できるように構成されている。案内プレート97は昇降プレート95の背面に配設されており、粘着テープ貼付け装置1の後方に向かってy方向に延びている。巻き取り芯保持アーム99は案内プレート97に接続されており、巻き取り芯15を保持する構成を有している。
【0124】
巻き取り芯保持アーム99は、案内プレート97に配設されている図示しないレールに沿ってy方向へ往復移動できるように構成されている。巻き取り芯保持アーム99は、左右可動台93の左右移動によってx方向へ変位するとともに、昇降プレート95の昇降移動によってz方向に変位する。すなわち巻き取り芯保持アーム99は、左右可動台93と昇降プレート95と案内プレート97とによって、x方向とy方向とz方向との各々について適宜移動可能となる。
【0125】
巻き取り芯保持アーム99が巻き取り芯15を保持した状態で移動することにより、巻き取り芯搬送機構8はテープ回収部5と巻き取り芯保管部6との間で巻き取り芯15を搬送できる。すなわち、巻き取り芯搬送機構8は未使用の巻き取り芯15を巻き取り芯保管部6からテープ回収部5へ搬送するとともに、使用済みの巻き取り芯15をテープ回収部5から巻き取り芯保管部6へと搬送するように構成されている。
【0126】
<基本動作の概要>
ここで、実施例に係る粘着テープ貼付け装置1を用いて回路面保護用の粘着テープTをウエハWに貼付けるための一連の基本動作を説明する。図13(a)は、粘着テープ貼付け装置1を用いて、ウエハWの表面に粘着テープTを貼り付ける一連の工程を説明するフローチャートである。
【0127】
なお、テープ供給部3には予め原反ロール11が装填されており、テープ回収部5には予め巻き取り芯15が装填されているものとする。また原反ロール保管部2に保管されている原反ロール11の状態は図1および図2などに示されている状態であるものとする。そして巻き取り芯保管部6に保管されている巻き取り芯15の状態は、図1および図3などに示されている状態であるものとする。
【0128】
具体的には図2などに示すように、テープ供給部3において、テープ保持ユニット25Aが繰り出し位置G1に移動しており、テープ保持ユニット25Bが準備位置G2に移動しているものとする。粘着テープ貼付け装置1に装着されている複数の原反ロール11を区別すべく、テープ保持ユニット25Aが備える原反ロール支持軸34Aに保持されている原反ロール11を原反ロール11Aとする。テープ保持ユニット25Bが備える原反ロール支持軸34Bに保持されている未使用の原反ロール11を原反ロール11Bとする。すなわちステップS1の開始時点において、原反ロール11Aが稼働中の原反ロール11に相当する。
【0129】
また原反ロール保管部2においてz方向に並列配置されている原反ロール支持軸19のうち、上から3段目、4段目、および5段目に配置されている原反ロール支持軸19に支持されている原反ロール11を順に原反ロール11C、原反ロール11D、原反ロール11Eとする。また原反ロール保管部2において最上段に配置されている原反ロール支持軸19に支持されている、原反ロール11を原反ロール11Fとする。原反ロール11A~11Eは未使用の原反ロール11であり、原反ロール11Fは使用済みの原反ロール11であるものとする。
【0130】
同様に複数のライナーボビン13を区別すべく、ステップS1の開始時点においてテープ保持ユニット25Aが備えるボビン支持軸35Aに保持されているライナーボビン13をライナーボビン13Aとする。そしてステップS1の開始時点においてテープ保持ユニット25Bが備えるボビン支持軸35Bに保持されているライナーボビン13をライナーボビン13Bとする。また、原反ロール保管部2においてz方向に並列配置されているボビン支持軸21のうち、上から3段目、4段目、および5段目に配置されているボビン支持軸21に支持されているライナーボビン13を順にライナーボビン13C、ライナーボビン13D、ライナーボビン13Eとする。また原反ロール保管部2において最上段に配置されているボビン支持軸21に支持されているライナーボビン13をライナーボビン13Fとする。ライナーボビン13A~13Eは未使用のライナーボビン13であり、ライナーボビン13Fは使用済みのライナーボビン13であるものとする。
【0131】
また図3などに示すように、テープ回収部5において、巻き取り芯支持軸67Aが回収位置K1に移動しており、巻き取り芯支持軸67Bが待機位置K2に移動しているものとする。粘着テープ貼付け装置1に装着されている複数の原反ロール11を区別すべく、巻き取り芯支持軸67Aに保持されている巻き取り芯15を巻き取り芯15Aとする。巻き取り芯支持軸67Bに保持されている未使用の巻き取り芯15を巻き取り芯15Bとする。すなわちステップS1の開始時点において、巻き取り芯15Aが稼働中の巻き取り芯15に相当する。
【0132】
また巻き取り芯保管部6においてz方向に並列配置されている5つの巻き取り芯支持軸81のうち、上から1段目および2段目に配置されている巻き取り芯支持軸81に支持されている巻き取り芯15を順に巻き取り芯15C、巻き取り芯15Dとする。また原反ロール保管部2において上から5段目に配置されている巻き取り芯支持軸81に支持されている巻き取り芯15を巻き取り芯15Eとする。巻き取り芯15B、15C、15Dは未使用の巻き取り芯15であり、巻き取り芯15Eは使用済みの巻き取り芯15であるものとする。
【0133】
ステップS1(ウエハの載置)
制御部9を介して貼付け指令が出されると、テープ貼付け部4においてウエハWを保持テーブル55に載置させる。すなわち所定の収納部に収納されているウエハWは、アライメントステージで位置合わせされた後、図示しないウエハ搬送機構によって保持テーブル55に載置される。保持テーブル55に載置されたウエハWは旋回され、ウエハWの中心が保持テーブル55の中心の上にあるように位置合わせされた状態で吸着保持される。
【0134】
このとき、テープ貼付けユニット57、テープ切断ユニット59、およびテープ剥離ユニット60の各々は図9に示す初期位置に移動している。すなわち、テープ貼付けユニット59は保持テーブル55の右側に移動しており、テープ剥離ユニット60は保持テーブル55の左側に移動している。また、テープ切断ユニット59は保持テーブル55の上方で待機している。
【0135】
ステップS2(粘着テープの貼付け)
ウエハWを保持テーブル55に載置させた後、粘着テープTをウエハWの表面に貼り付ける過程を開始する。すなわち図6に示すように、テープ供給部3において繰り出し位置G1に移動している原反ロール保持軸34Aに装填されている原反ロール11AからテープTSが下流へと繰り出し供給される。原反ロール11Aから繰り出されたテープTSはガイド軸23の下流において、ライナー剥離ローラ40によって粘着テープTおよび剥離ライナーSに剥離される。そして粘着テープTは案内ローラ29に巻回されてテープ貼付け部4に案内される。粘着テープTから剥離された剥離ライナーSは、ライナー案内ローラ36Aに案内されてライナーボビン13Aに巻き取られる。
【0136】
一方、テープ貼付け部4では図15に示すように、テープ貼付けユニット57の貼付けローラ57bは粘着テープTを下方に押圧しながら図の左側へ向かってウエハW上を転動し、点線で示す初期位置から実線で示す終端位置へとx方向に移動する。これによって、粘着テープTがウエハWの表面全体に貼付けられる。
【0137】
ステップS3(粘着テープの切断)
粘着テープTがウエハWに貼り付けられた後、粘着テープTをウエハWの形状に応じて切断する。すなわち図16に示すように、上方に待機していたテープ切断ユニット59が下降され、点線で示す初期位置から実線で示す切断位置へと移動する。そしてテープ切断ユニット59が切断位置へ下降することによって、保持テーブル55のカッタ走行溝55aにおいてカッタ59cが粘着テープTに突き刺される。
【0138】
カッタ59cが粘着テープTに突き刺されると、支持アーム59bが縦軸心Pを旋回中心として旋回する。これに伴ってカッタ59cがウエハWの外周縁に摺接しながら旋回移動し、粘着テープTがウエハの外形に沿って切断される。
【0139】
ステップS4(粘着テープの剥離)
粘着テープTの切断が終了すると、不要な部分の粘着テープTを剥離する動作を開始する。すなわち図17に示すように、テープ切断ユニット59は元の待機位置まで上昇される。そして、テープ貼付けユニット57は終端位置から初期位置へと復帰する。テープ貼付けユニット57が初期位置へ復帰するとともに、テープ剥離ユニット60が図の右側へ向かってx方向へ移動する。すなわちテープ剥離ユニット60は、図17において点線で示す初期位置から実線で示す終端位置へ右方向に水平移動する。
【0140】
テープ剥離ユニット60は終端位置へ移動しつつ、帯状の粘着テープTのうち、ウエハW上で円形に切り抜き切断されて残った不要テープTnを巻き上げて剥離する。なお、粘着テープTのうち、ウエハWの表面に貼り付けられている部分については符号Twを付して不要テープTnと区別する。
【0141】
テープ剥離ユニット11が終端位置に達して剥離作業が終了すると、テープ剥離ユニット60は終端位置から初期位置に復帰する。このとき、不要テープTnは下流に繰り出されてテープ貼付け部4からテープ回収部5へ搬送される。テープ回収部5へ搬送された不要テープTnは、案内ロール69によってテープ回収部5の回収位置K1へと案内される。そして回収位置K1に配置されている巻き取り芯15Aによって、不要テープTnはロール状に巻き取られて回収される。テープ回収部5において不要テープTnが回収される動作と同期して、テープ供給部3では繰り出し位置G1に配置されている原反ロール11Aから一定量のテープTSが繰り出される。
【0142】
ステップS5(ウエハの回収)
ステップS4までの各処理が終了すると、保持テーブル55におけるウエハWの吸着が解除される。吸着解除の後、粘着テープTwが貼り付けられたウエハWはウエハ搬送機構によって搬送されて図示しないウエハ回収部に回収される。以上で1回の粘着テープ貼付け処理の基本動作が完了する。ステップS1からステップS5までの一連の基本動作を適宜繰り返すことにより、規定枚数のウエハWに対して粘着テープTが貼り付けられる。
【0143】
<工程の分岐>
本実施例に係る粘着テープ貼付け装置1では、ステップS1からS5までの粘着テープ貼付け処理を行う間において、繰り出し位置G1に配置されている稼働中の原反ロール11に装填されている粘着テープTの量に応じて、準備位置G2に配置されている原反ロール11に対して所定の準備処理を行う動作と、繰り出し位置G1に配置されている原反ロール11を自動的に交換する動作とを行うように構成される。
【0144】
図13(b)は、粘着テープTの装填量などに応じた工程の分岐を示すフローチャートである。繰り出し位置G1に配置されている原反ロール11Aに装填されている粘着テープTの量が、予め定められた所定値T1以下に減少しており(分岐Q1)、かつ準備位置G2に配置されている原反ロール11に対して所定の準備処理が行われていない場合(分岐Q2)、準備位置G2に配置されている原反ロール11Bに対して準備処理を行う(ステップS6)。ステップS6の工程は、ステップS1~S5に係る粘着テープ貼付け工程を続行した状態で実行される。
【0145】
また準備位置G2に配置されている原反ロール11に対して準備処理が完了すると、さらにステップS1~S5に係る粘着テープ貼付け工程を続行する。そして粘着テープ貼付け工程を続行することにより原反ロール11Aに装填されている粘着テープTの量が所定値T1からさらに減少し、予め定められた所定値T2以下となった場合(分岐Q3)、繰り出し位置G1に配置されている原反ロール11Aを未使用の原反ロール11Bへと自動的に交換させる工程を開始する(ステップS7)。
【0146】
なお、所定値T1および所定値T2は、粘着テープ貼付け工程の所要時間または粘着テープTを構成する粘着材の特性などに応じて適宜設定できる。所定値T1の一例として、未使用の原反ロール11が装填する粘着テープTの量の10%~20%が挙げられる。所定値T1は、所定値T2よりもテープ量が多い閾値として設定される。所定値T2の一例として、未使用の原反ロール11が装填する粘着テープTの量の0%~5%が挙げられる。所定値T1は本発明における第1所定量に相当する。所定値T2は、本発明における第2所定量に相当する。すなわち原反ロール11から粘着テープTを繰り出し供給し続けると、原反ロール11に装填されている粘着テープTの量が所定値T1以下に減少するタイミングは、必ず原反ロール11に装填されている粘着テープTの量が所定値T2以下に減少するタイミングより早いタイミングとなる。
【0147】
また本実施例に係る粘着テープ貼付け装置1では、ステップS1からS5までの粘着テープ貼付け処理を行う間において、回収位置K1に配置されている稼働中の巻き取り芯15に巻き取られている不要テープTnの量に応じて、回収位置K1に配置されている巻き取り芯15を自動的に交換する動作を行うように構成される。すなわち図13(b)に示すように、回収位置G1に配置されている巻き取り芯15Aに巻き取り回収されている不要テープTnの量が、予め定められた所定値M1以上である場合(分岐Q4)、回収位置K1に配置されている巻き取り芯15Aを未使用の巻き取り芯15Bへと自動的に交換させる工程を開始する(ステップS8)。所定値M1は、本発明における第3所定量に相当する。
【0148】
以下、ステップS6に係る原反ロールの準備処理、ステップS7に係る原反ロールの自動交換、およびステップS8に係る巻き取り芯の自動交換の各工程について、詳細に説明する。
【0149】
<原反ロールの準備処理工程>
まずはステップS6に係る原反ロールの準備処理工程、すなわち待機状態にある原反ロール11を準備状態にさせる処理について一連の工程を説明する。図14(a)は、原反ロール11に対して準備処理を行う一連の工程を説明するフローチャートである。
【0150】
待機状態となっている原反ロール11は図5(a)および図5(b)に示される通りであり、待機状態とは粘着テープTの粘着面が全面にわたって剥離ライナーSによって保護されている状態である。一方、準備状態となっている原反ロール11は図18(a)および図18(b)に示されている。
【0151】
準備処理とは、使用済みの原反ロール11から切り離された粘着テープTと、新たな未使用の原反ロール11とを接合する操作を行うために必要な前処理を意味する。そして準備状態とは、準備処理が行われた原反ロール11の状態を意味する。本実施例における準備状態とは、剥離ライナーSの先端部が粘着テープTから剥離され、ライナーボビン13に接合された状態である。このとき、テープTSの先端部において粘着テープTの一部が剥離ライナーSから剥離され、粘着テープTの粘着面が一部露出している。当該露出している粘着テープTの先端部V1は、後述する先行テープTmの後端部V2と接合される領域となる。
【0152】
ステップS6-1(ライナー先端部の保持)
繰り出し位置G1において粘着テープTを繰り出し供給している原反ロール11Aにおいて粘着テープTの装填量が所定値T1以下となった場合、原反ロール11Aに巻回されている粘着テープTが枯渇して原反ロール11Aから粘着テープTをテープ貼付け部4へ供給できなくなる事態が近い将来に発生することが予測される。言い換えると、稼働中の原反ロール11Aを新たに未使用の原反ロール11Bへ交換するステップS7の動作が近い将来において必要になることが予測される。そのためステップS7に係る原反ロールの交換工程が実際に必要になる前に、予めステップS6に係る原反ロールの準備処理を行う。
【0153】
稼働中の原反ロール11Aにおいて粘着テープTの装填量がT1以下となったことをテープ量検知センサ32が検知した場合、図19に示すように、装填量がT1以下となった内容の情報はテープ量検知センサ32から制御部9へと送信される。そして制御部9は当該情報を受信することによって、準備位置G2に移動しているテープ保持ユニット25Bを制御し、準備位置G2に配置されている原反ロール11(ここでは原反ロール11B)に対して準備処理を開始させる。なお準備処理を開始する前に、予めライナー案内ローラ36Bを下降させて案内位置H1から退避位置H2へと移動させる。
【0154】
制御部9を介して原反ロール11の準備処理を開始する旨の指令が出されると、まずは待機状態となっている原反ロール11におけるライナー先端部を保持させる。すなわち図19に示すように、上下昇降台39Bを適宜昇降させるとともに伸縮アーム47Bを伸長させ、接合テープ保持部材43Bをx方向およびz方向に変位させる。当該変位により、接合テープ保持部材43Bは待機状態となっている原反ロール11Bのライナー先端部Saに当接する。ライナー先端部Saは、図5(a)などに示されている待機状態の原反ロール11において、粘着テープTが除去されて剥離ライナーSが露出している先端部分を意味する。接合テープ保持部材43Bがライナー先端部Saに当接すると、図示しない吸引機構が作動して接合テープ保持部材43Bはライナー先端部Saを吸着保持する。
【0155】
ステップS6-2(ライナー先端部の接合)
ライナー先端部Saが接合テープ保持部材43Bによって保持されると、ライナー先端部Saをライナーボビン13に接合させる工程を開始する。本実施例では準備位置G2に配置されているライナーボビン13はライナーボビン13Bであるので、接合テープ保持部材43Bはライナー先端部Saをイナーボビン13Bに接合させる。すなわち図20に示すように、接合テープ保持部材43Bはライナー先端部Saを吸着保持した状態でライナーボビン13Bが配設されている高さまで下降する。
【0156】
そして伸縮アーム47をさらに伸長させることで接合テープ保持部材43Bはライナーボビン13Bへ近づいていき、ライナー先端部Saがライナーボビン13Bの外周部に押し付けられる。ライナー先端部Saをライナーボビン13Bに当接させた後、ライナー先端部Saをライナーボビン13Bに接合させる。なおこのとき、ライナー剥離ローラ40は接合テープ保持部材43Bなどとの干渉を回避できる位置(図示しない)へ適宜退避されている。
【0157】
本実施例では、ライナー先端部Saをライナーボビン13Bに当接させた後、制御部9は接合テープ保持部材43に内蔵されているヒータを作動させ、ライナー先端部Saを加熱する。剥離ライナーSは熱接着をする材料で構成されているので、ライナー先端部Saを加熱することによりライナー先端部Saはライナーボビン13Bの外周部に接合される。ライナー先端部Saをライナーボビン13Bに接合させることにより、ライナーボビン13を回転させることで原反ロール11BのテープTSから剥離ライナーSを順次剥離して巻き取り回収する動作が可能となる。
【0158】
ステップS6-3(粘着テープの保持)
剥離ライナーSをライナーボビン13Bに接合させる工程が完了すると、原反ロール11Bにおける粘着テープTの先端部を保持させる工程を開始する。粘着テープの保持工程が開始されると、接合テープ保持部材43Bはライナー先端部Saの吸着保持を解消させる。そして伸縮アーム47を短縮させて接合テープ保持部材43Bをライナー先端部Saから離間させる。その後、図21に示すように、接合テープ保持部材43Bを粘着テープTの先端部の高さまで上昇させ、再び伸縮アーム47を伸長させることによって接合テープ保持部材43Bを粘着テープTの先端部に当接させる。そして吸引装置を作動させることにより、接合テープ保持部材43Bは粘着テープTの先端部を吸着保持する。
【0159】
ステップS6-4(粘着テープの露出)
接合テープ保持部材43Bが粘着テープTを保持すると、粘着テープTの先端部を露出させる工程を開始する。すなわち図22に示すように、ライナー案内ローラ36Bを退避位置H2から案内位置H1へと移動させる。ライナー案内ローラ36Bを案内位置H1へ復帰させるとともに、ライナー剥離ローラ40Bも図1または図22などに示される初期位置へと復帰させる。ライナー案内ローラ36Bが案内位置H1へ移動することにより、剥離ライナーSはライナー案内ローラ36Bに巻回されて適度なテンションが発生する。ライナー先端部Saがライナーボビン13Bに接合され、剥離ライナーSにテンションが発生することによってライナーボビン13Bは剥離ライナーSを巻き取り回収できるようになる。
【0160】
ライナー案内ローラ36Bを案内位置H1へと移動させた後、ライナーボビン13Bをy方向の軸周りに回転させて剥離ライナーSを巻き取りつつ、粘着テープTを保持している接合テープ保持部材43Bを下降させる。ライナーボビン13Bが剥離ライナーSをライナー先端部Saから巻き取り回収することで、原反ロール11Bから繰り出されている粘着テープTは先端部分から徐々に剥離ライナーSが剥離されていき、粘着テープTの先端部において粘着面が露出される。粘着面が露出した粘着テープTの先端部は、接合テープ保持部材43Bに吸着保持された状態で下方へと引き出されていく。制御部9は、接合テープ保持部材43Bが接合テープ作成機構31より低い位置に下降するように上下昇降台39を制御する。
【0161】
粘着テープTの先端部を露出させた後、粘着テープ保持部材41Bによって粘着テープTをさらに保持させる。すなわちテープ接合機構37Bにおいて伸縮アーム45Bを伸長させ、粘着テープ保持部材41Bを粘着テープTの非粘着面に当接させる。そして吸引機構を作動させ、粘着テープTの先端部から上流側の領域を粘着テープ保持部材41Bに吸着保持させる。なお図22に示すように、粘着テープ保持部材43Bは接合テープ作成機構31に設けられているカッタ刃49より低い位置に移動する一方、粘着テープ保持部材41Bはカッタ刃49より高い位置に移動するように、制御部9はテープ接合機構37Bを制御する。
【0162】
ステップS6-5(接合テープの作成)
粘着テープTの先端部から剥離ライナーSを剥離させ、さらに粘着テープ保持部材43Bおよび粘着テープ保持部材41Bによって粘着テープTを保持させた後、接合テープ作成機構31を用いて接合テープNsを作成する工程を開始する。本実施例では、準備処理の対象となる原反ロール11Bにおける粘着テープTの先端を接合テープ作成機構31によって一部切り取り、切り取られて断片化した当該先端部分を接合テープNsとして用いる。
【0163】
接合テープNsを作成する工程が開始されると、制御部9は接合テープ作成機構31のカッタホルダ48を駆動させ、カッタ刃49を図22に示される初期位置から図23に示される切断位置へと移動させる。すなわちカッタ刃49を粘着テープTに近づく方向および粘着テープTの幅方向へと移動させる。その結果、図23に示すように、粘着テープ保持部材41Bと接合テープ保持部材43Bとの間の所定位置において、原反ロール11Bから繰り出されている粘着テープTの先端部は幅方向にわたって切断される。
【0164】
接合テープ作成機構31が粘着テープTを切断することにより、粘着テープTの先端部は原反ロール11Bから切り離される。そして原反ロール11Bから切り離された当該先端部は、接合テープNsとして接合テープ保持部材43Bに吸着保持される。そして当該切断によって新たに形成された粘着テープTの先端部V1は、粘着テープ保持部材41Bによって吸着保持される。
【0165】
切断が完了した後、接合テープ作成機構31は切断位置から初期位置へと復帰する。また、接合テープNsを保持している接合テープ保持部材43はx方向における左側へと退避する。接合テープ作成機構31によって接合テープNsが作成されることで、ステップS6に係る原反ロールの準備処理工程は完了する。
【0166】
ステップS6に係る一連の工程が完了すると、原反ロール11Bは図5(a)に示される待機状態から、図18(a)に示される準備状態となる。準備状態となっている原反ロール11Bでは、原反ロール11Bに装填されているテープTSのうち、粘着テープTの先端部V1は粘着テープ保持部材41Bによって吸着保持された状態となっている。またテープTSのうち、剥離ライナーSの先端部Saは粘着テープTから剥離されてライナーボビン13Bに巻き取られた状態となっている。
【0167】
本実施例では繰り出し位置G1に配置されている原反ロール11Aの粘着テープ装填量がT1以下となることをトリガとして、ステップS1~S5に係る粘着テープ貼付け工程を実行している状態でステップS6に係る原反ロールの準備処理工程を行う。準備位置G2に配置されている原反ロール11Bが準備状態になると、ステップS7の工程が必要になるまでステップS1~S5に係る粘着テープ貼付け工程を継続させる。すなわち原反ロール11Aの粘着テープ装填量がさらに減少して所定量T2以下となるまで、原反ロール11Aから粘着テープTを繰り出し供給させ続ける。
【0168】
<原反ロールの自動交換工程>
次に、ステップS7に係る原反ロールの自動交換工程、すなわち繰り出し位置G1に配置されている使用済みの原反ロール11を、準備位置G2に配置されている未使用の原反ロール11へと自動的に交換させる工程について説明する。図14(b)は、繰り出し位置G1に配置される原反ロール11を、使用済みの原反ロール11Aから未使用の原反ロール11Bへと交換させる一連の工程を説明するフローチャートである。
【0169】
ステップS7-1(テープ搬送の停止)
原反ロール11Aにおける粘着テープTの装填量が所定値T1である状態からさらに粘着テープTを繰り出し続けると、原反ロール11Aにおける粘着テープTの装填量は所定値T1よりも低い所定値T2となる。繰り出し位置G1に配置されている稼働中の原反ロール11Aにおいて粘着テープTの装填量が所定値T2以下となった場合、原反ロール11Aにおいて粘着テープTが枯渇しており、原反ロール11Aから粘着テープTをテープ貼付け部4へ供給することが困難であると判定される。
【0170】
そのため稼働中の原反ロール11Aにおいて粘着テープTの装填量がT2以下となったことをテープ量検知センサ32が検知した場合、装填量がT2以下となった内容の情報はテープ量検知センサ32から制御部9へと送信される。そして制御部9は当該情報を受信することによって、テープ供給部3および原反ロール搬送機構7を制御し、繰り出し位置G1に配置される原反ロールを、粘着テープTの装填量が少なくなった原反ロール11Aから、未使用状態であり粘着テープTの装填量が十分に多い原反ロール11Bへと交換させる処理を開始させる。
【0171】
制御部9を介して原反ロール11の自動交換処理を開始する旨の指令が出されると、まずは粘着テープTを搬送する動作を一時的に停止する。すなわち制御部9は繰り出し位置G1に配置されている原反ロール11および回収位置K1に配置されている巻き取り芯15を回転させる機構を例とする、粘着テープ貼付け装置1の各構成を停止させる制御を行う。当該制御により、稼働中である原反ロール11の回転および稼働中である巻き取り芯15の回転が停止されるので、稼働中の原反ロール11から粘着テープTが繰り出し供給される動作と稼働中の巻き取り芯15によって不要テープTnが巻き取り回収される動作が中断される。そのため、ステップS1~S5に係る粘着テープの貼付け工程が一時的に中断される。
【0172】
ステップS7-2(粘着テープの切断)
粘着テープTの搬送を中断した後、テープ貼付け部4へ搬送されている粘着テープTを稼働中の原反ロール11Aから切り離す処理を行う。まず、制御部9はテープ切断機構27を制御することにより、粘着テープTを先行テープ保持部材51に保持させる。先行テープ保持部材51は図24(a)に示されるように、点線で示される初期位置から実線で示される保持位置へと移動する。保持位置へと移動することにより、先行テープ保持部材51は粘着テープTの非粘着面に当接する。そして図示しない吸引機構を作動させることにより、先行テープ保持部材51は粘着テープTを吸着保持する。
【0173】
次に、制御部9はカッタユニット50を制御し、先行テープ保持部材51の上流側において粘着テープTを切断させる。すなわち制御部9はカッタユニット50のカッタホルダ52を駆動させ、カッタ刃53を図24(a)に示される初期位置から図24(b)に示される切断位置へと移動させる。すなわちカッタ刃53を粘着テープTに近づく方向および粘着テープTの幅方向へと移動させる。その結果、図24(b)に示すように、先行テープ保持部材51が保持している部分の上流側において、原反ロール11Aから繰り出されている粘着テープTは幅方向にわたって切断される。ステップS7-2の工程を開始する前に予め粘着テープTの搬送を停止しているので、カッタユニット50は粘着テープTを正確に切断することができる。
【0174】
粘着テープTを幅方向にわたって切断することにより、テープ貼付け部4へ搬送されている粘着テープTは、原反ロール11Aから切り離される。なお、原反ロール11Aから切り離された部分の粘着テープTを「先行テープTm」として、原反ロール11Aと繋がっている部分の粘着テープTと区別する。粘着テープTをカッタユニット50で切断することにより、先行テープTmの後端部V2が先行テープ保持部材51によって保持される状態となる。粘着テープTが切断されると、カッタユニット50は初期位置へと復帰する。なお、後述するテープ保持ユニット25Aおよび25Bの位置を入れ換える工程において干渉を回避すべく、先行テープTmを保持している先行テープ保持部材51、および先行テープTmを案内している案内ローラ29をさらに退避させる構成であってもよい。
【0175】
ステップS7-3(剥離ライナーの切断)
粘着テープTを切断して先行テープTmを使用済みの原反ロール11Aから切り離した後、剥離ライナーSを切断して原反ロール11Aから切り離す操作を開始する。すなわち図25に示すように、繰り出し位置G1に配設されているライナー切断機構54を作動させ、原反ロール11Aから繰り出されて粘着テープTから剥離された剥離ライナーSを切断する。原反ロール11Aから切り離された剥離ライナーSは、ライナーボビン13Aに巻き取られる。なお、ステップS7-3の工程が完了して粘着テープTおよび剥離ライナーSが原反ロール11Aから切り離された状態のテープ供給部3は、図26に示される通りである。
【0176】
ステップS7-4(保持ユニットの入れ換え)
粘着テープTを切断させた後、テープ保持ユニット25の位置を入れ換える動作を実行する。ステップS7-2の工程が開始されると、制御部9はテープ保持ユニット25Aの可動壁33Aおよびテープ保持ユニット25Bの可動壁33Bの駆動部を適宜制御することにより、テープ保持ユニット25Aおよび25Bの位置を互いに入れ換える。
【0177】
本実施例では具体的に、繰り出し位置G1にある可動壁33Aをy方向に後退させるとともに、準備位置G2にある可動壁33Bを上昇させる。可動壁33Bが上昇することにより、準備位置G2にあったテープ保持ユニット25Bは繰り出し位置G1へと移動する。そして、繰り出し位置G1から後退させた可動壁33Aをz方向に下降させ、さらにy方向へ前進させることによって可動壁33Aを準備位置G2へと移動させる。その結果、繰り出し位置G1にあったテープ保持ユニット25Aは準備位置G2へと移動することとなる。
【0178】
このような駆動制御により、使用済みとなった原反ロール11Aを保持するテープ保持ユニット25Aを準備位置G2へ移動させつつ、準備状態となっている未使用の原反ロール11Bを保持するテープ保持ユニット25Bを繰り出し位置G1へと移動させる。テープ保持ユニット25Aおよび25Bの位置が入れ換えられてステップS7-4の工程が完了した状態のテープ供給部3は、図27に示される通りである。すなわちテープ接合機構37を例とする、テープ保持ユニット25に配設されている構成はステップS7-4においてテープ保持ユニット25とともに移動する。一方、テープ量検知センサ32を例とする、テープ保持ユニット25に接続されていない構成についてはステップS7-4において移動しない。
【0179】
テープ保持ユニット25Bに配置されている原反ロール11BはステップS6に係る準備処理工程が完了している。そのため、テープ保持ユニット25Bを繰り出し位置G1へ移動させることにより、図27に示すように、原反ロール11Bが装填している粘着テープTの先端部V1を保持している粘着テープ保持部材41Bが、先行テープTmの後端部V2を保持している先行テープ保持部材51の上流に相当する位置へと移動する。そして接合テープNsを保持している状態となっている接合テープ保持部材43Bが、粘着テープ保持部材41Bの下流であって先行テープ保持部材51の上流となる位置へと移動する。
【0180】
ステップS7-5(粘着テープの接合)
テープ保持ユニット25の位置を入れ換えて未使用の原反ロール11Bを繰り出し位置G1へ移動させた後、粘着テープを接合させる工程を開始する。すなわちステップS7-5では、使用済みの原反ロール11Aから切り離されていた先行テープTmを、新たに繰り出し位置G1へ配置された未使用の原反ロール11Bの粘着テープTと接合させる動作を行う。図28(a)は、ステップS7-5の工程を開始する直前におけるテープ保持ユニット25Bの状態を示している。
【0181】
ステップS7-5の工程が開始されると、制御部9は伸縮アーム47Bを制御して接合テープ保持部材43Bを移動させる。当該制御により、x方向において左側へ退避していた接合テープ保持部材43Bはx方向において右側へ移動して粘着テープTに近づいていく。その結果、図28(b)に示すように、接合テープ保持部材43Bが保持している接合テープNsは、先行テープTmの後端部V2と、原反ロール11Bに装填されている粘着テープTの先端部V1との各々に粘着する。接合テープNsが先行テープTmの後端部V2と粘着テープTの先端部V1との各々に粘着することにより、先行テープTmは原反ロール11Bの粘着テープTと接合される。なお図28(b)では後端部V2の非粘着面と先端部V1の非粘着面とにわたって接合テープNsが貼り付けられているが、後端部V2の粘着面と先端部V1の粘着面とにわたって接合テープNsを貼り付けてもよい。
【0182】
ステップS7-6(テープ搬送の再開)
新たに繰り出し位置G1へ配置された原反ロール11Bと先行テープTmとが接合されることにより、未使用の原反ロール11Bに装填されている多量の粘着テープTを、テープ貼付け部4へと繰り出し供給することが可能となる。そこでステップS7-5に係る粘着テープを接合させる工程が完了すると、粘着テープTを搬送する動作を再開させる。すなわち制御部9は繰り出し位置G1に配置されている原反ロール11および回収位置K1に配置されている巻き取り芯15を回転させる機構を例とする、粘着テープ貼付け装置1の各構成の動作を再開させる制御を行う。
【0183】
当該制御により、稼働中である原反ロール11Bの回転および稼働中である巻き取り芯15Aの回転が再開されるので、原反ロール11Bから粘着テープTが繰り出し供給される動作と巻き取り芯15Aによって不要テープTnが巻き取り回収される動作が再開される。そのため、ステップS1~S5に係る粘着テープの貼付け工程が再開される。すなわちステップS7のうち、ステップS7-7およびステップS7-8の工程は粘着テープ貼付け工程が実行されている状態で行うことができる。
【0184】
ステップS7-7(原反ロールの搬出)
ステップS7-6の工程によって粘着テープTをウエハWに貼り付ける一連の動作が再開されると、使用済みの原反ロール11をテープ供給部3から搬出する動作を開始する。すなわち制御部9はステップS1~S5に係る粘着テープ貼付け工程を再開させつつ、原反ロール搬送機構7を作動させる。制御部9は原反ロール搬送機構7の左右可動台83および昇降プレート85を適宜移動させ、x方向およびz方向におけるロール保持アーム89の位置を使用済みの原反ロール11Aの位置に合わせる。そしてロール保持アーム89を案内プレート87に沿ってy方向について後方へ移動させ、原反ロール11Aをロール保持アーム89で保持させる。原反ロール11Aを保持した状態でロール保持アーム89をy方向について前方に移動させることにより、図29に示すように、原反ロール11Aは原反ロール支持軸34Aから抜き取られる。
【0185】
原反ロール支持軸34Aから原反ロール11Aを抜き取った後、原反ロール搬送機構7は使用済みの原反ロール11Aをテープ供給部3から原反ロール保管部2へと搬出させる。すなわちロール保持アーム89が原反ロール11Aを保持している状態を維持しつつ、左右可動台83をx方向に駆動させ、テープ供給部3の前方に相当する位置から原反ロール保管部2の前方に相当する位置へと移動させる。
【0186】
さらに制御部9は、x方向およびz方向におけるロール保持アーム89の位置を、原反ロール11が支持されていない原反ロール支持軸19の位置に合わせる。本実施例では上から2段目の原反ロール支持軸19の位置にロール保持アーム89の位置を合わせる。そして図30に示すように、ロール保持アーム89を案内プレート87に沿ってy方向について後方へ移動させ、使用済みの原反ロール11Aを原反ロール支持軸19に装着させる。
【0187】
原反ロール搬送機構7によって原反ロール11Aをテープ供給部3から搬出させた後、使用済みとなったライナーボビン13Aも同様にテープ供給部3から搬出させる。すなわち、ロール保持アーム89を適宜変位させ、使用済みのライナーボビン13Aをロール保持アーム89で保持させる。そしてロール保持アーム89がライナーボビン13Aを保持している状態を維持しつつ、原反ロール搬送機構7をテープ供給部3の前方に相当する位置から原反ロール保管部2の前方に相当する位置へと移動させ、ライナーボビン13Aをテープ供給部3から原反ロール保管部2へと搬出させる。さらにロール保持アーム89はライナーボビン13が支持されていないボビン支持軸21に使用済みのライナーボビン13Aを装着させる。以上でステップS7-7の工程は完了する。図31は、使用済みの状態となった原反ロール11Aおよびライナーボビン13Aがテープ供給部3から原反ロール保管部2へと搬出された状態を示している。
【0188】
ステップS7-8(原反ロールの搬入)
使用済みの状態となった原反ロール11Aおよびライナーボビン13Aをテープ供給部3から搬出させることにより、テープ供給部3の準備位置G2には原反ロール11およびライナーボビン13が配置されていない状態となる。
【0189】
そこで使用済みの原反ロール11Aおよびライナーボビン13Aをテープ供給部3の準備位置G2から搬出させた後、未使用の原反ロール11およびライナーボビン13をテープ供給部3の準備位置G2へ搬入する動作を開始する。本実施例では、原反ロール保管部2に保管されている未使用状態の原反ロール11のうち、原反ロール11Cをテープ供給部3へ搬入させるものとする。また原反ロール保管部2に保管されている未使用状態のライナーボビン13のうち、ライナーボビン13Cをテープ供給部3へ搬入させるものとする。
【0190】
ステップS7-8の工程が開始されると、制御部9は原反ロール搬送機構7を制御して原反ロール11Cを原反ロール保管部2からテープ供給部3へと搬入させる。すなわち原反ロール搬送機構7はロール保持アーム89の位置を適宜調整して原反ロール11Cを保持し、原反ロール11Cを原反ロール支持軸19から抜き取らせる。そして原反ロール11Cを保持しているロール保持アーム89をテープ供給部3の準備位置G2へと移動させ、図32に示すように、準備位置G2に移動しているテープ保持ユニット25が備えている原反ロール支持軸34(ここではテープ保持ユニット25Aが備えている原反ロール支持軸34A)に原反ロール11Cを装着させる。
【0191】
未使用の原反ロール11Cをテープ供給部3に搬入させた後、未使用のライナーボビン13Cをテープ供給部3に搬入させる。すなわち原反ロール搬送機構7はロール保持アーム89の位置を適宜調整してライナーボビン13Cを保持し、ライナーボビン13Cをボビン支持軸21から抜き取らせる。そしてライナーボビン13Cを保持しているロール保持アーム89をテープ供給部3の準備位置G2へと移動させ、準備位置G2に移動しているテープ保持ユニット25が備えているボビン支持軸35(ここではボビン支持軸35A)にライナーボビン13Cを装着させる。以上でステップS7-8の工程は完了する。図33は、未使用状態の原反ロール11Cおよびライナーボビン13Cが原反ロール保管部2からテープ供給部3へと搬入された状態を示している。
【0192】
ステップS7-1からステップS7-8までの工程を実行することにより、ステップS7に係る原反ロールの自動交換工程は完了する。以降、粘着テープ貼付け装置1ではステップS1~S5に係る粘着テープ貼付け工程を実行させつつ、繰り出し位置G1に配置されている原反ロール11における粘着テープTの装填量に応じてステップS6およびステップS7の工程を実行する。
【0193】
すなわち繰り出し位置G1に配置されている原反ロール11Bから粘着テープTが繰り出されて粘着テープ貼付け工程が行われると、原反ロール11Bにおける粘着テープTの装填量は減少していく。そして粘着テープTの装填量が所定値T1以下となった場合、準備位置G2に配置されている待機状態の原反ロール11Cに対して、ステップS6に係る準備処理工程を行って原反ロール11Cを準備状態にさせる。その後、原反ロール11Bにおける粘着テープTの装填量が所定値T2以下に減少して原反ロール11Bが使用済み状態となった場合、粘着テープ貼付け工程を一時的に中断させ、準備状態となっている原反ロール11Cを準備位置G2から繰り出し位置G1へと移動させる。繰り出し位置G1へ移動した原反ロール11Cは先行テープTmと接合され、粘着テープ貼付け工程が再開される。一方で、使用済み状態となった原反ロール11Bは繰り出し位置G1から準備位置G2へと移動し、さらに準備位置G2から原反ロール保管部2へと搬出される。
【0194】
以降、原反ロール保管部2に保管されている未使用の原反ロール11が全てテープ供給部3へ搬入されるまで、ステップS7に係る原反ロールの自動交換を行うことができる。原反ロール保管部2に保管される未使用の原反ロール11およびライナーボビン13の数が少なくなった場合、作業者または作業ロボットなどが未使用の原反ロール11およびライナーボビン13を原反ロール保管部2に補充しつつ、原反ロール保管部2に搬出された使用済みの原反ロール11およびライナーボビン13を回収する。
【0195】
未使用の原反ロール11およびライナーボビン13を原反ロール保管部2に補充する工程、および使用済みの原反ロール11およびライナーボビン13を原反ロール保管部2から回収する工程は、ステップS1~S5に係る粘着テープ貼付け工程を継続させた状態で実行できる。そのため、ウエハWに粘着テープを貼り付ける処理の効率を低減させることなく、原反ロール保管部2に未使用の原反ロール11およびライナーボビン13を補充して使用済みの原反ロール11およびライナーボビン13を原反ロール保管部2から回収する作業を行うことができる。
【0196】
また本実施例ではステップS7に係る原反ロール交換工程を開始する時点において、ステップS6に係る原反ロールの準備処理工程を完了させている。そのため、ステップS7によって新たに繰り出し位置G1へ配置される原反ロール11は準備状態となっており、ステップS7によって原反ロール11から切り離された粘着テープTと接合するために必要な前処理は完了している。
【0197】
すなわち剥離ライナーSはライナーボビン13に接合されており、剥離ライナーSを粘着テープTから剥離して巻き取ることが既に可能となっている。また接合テープNsが接合テープ保持部材43に保持されており速やかに粘着テープTへ接合テープNsを貼り付けることが可能な状態となっている。そのため、ステップS7-5の工程に要する時間を短縮できるので、粘着テープTをウエハWに貼り付ける操作を速やかに再開できる。従って、粘着テープ貼付け装置1の処理効率を向上させることが可能となる。
【0198】
また準備位置G2へ搬入された原反ロール11は搬入された時点では待機状態となっており、粘着テープTの粘着面は剥離ライナーSによって保護されている。一例として原反ロール11に装填される粘着テープTの全てが繰り出されるには数時間から十数時間かかるので、未使用状態の原反ロール11から粘着テープTの供給を開始してから当該原反ロールにおける粘着テープTの装填量が所定量T1以下に減少するまでには長い時間がかかる。そのため、貼り付け位置G1に配置される原反ロール11において粘着テープTの装填量が所定量T1以下になるまでの期間、準備位置G2に配置される原反ロール11は待機状態を維持させることで、準備位置G2に配置されている原反ロール11において粘着テープTの粘着面が露出する時間を短縮できる。よって、準備位置G2に配置されている未使用状態の原反ロール11において、粘着テープTの粘着力が劣化することを防止できる。
【0199】
<巻き取り芯の自動交換工程>
次に、ステップS8に係る巻き取り芯の自動交換工程、すなわち回収位置K1に配置されている使用済みの巻き取り芯15を、待機位置K2に配置されている未使用の巻き取り芯15へと自動的に交換させる工程について説明する。図14(c)は、回収位置K1に配置される巻き取り芯を、使用済みの巻き取り芯15Aから未使用の巻き取り芯15Bへと交換させる一連の工程を説明するフローチャートである。
【0200】
ステップS8-1(テープ搬送の停止)
回収位置K1に配置されている巻き取り芯15Aは、当初は図34(a)に示すように不要テープTnが巻き取られていない未使用状態である。しかし、ステップS1~S5に係る粘着テープ貼付け工程を実行させると、図34(b)に示すように、回収位置K1に配置されている巻き取り芯15Aに巻き取られる不要テープTnの量は徐々に増大する。巻き取り芯15で巻き取り回収できる不要テープTnの量には上限がある。そのため、巻き取り芯15Aに巻き取り回収されている不要テープTnの量が所定値M1以上になった場合、テープ貼付け部4から搬送される不要テープTnを巻き取り芯15Aで回収することが困難であると判定される。
【0201】
そのため稼働中の巻き取り芯15Aに巻き取り回収された不要テープTnの量が所定値M1以上であることをテープ量検知センサ71が検知した場合、不要テープTnの回収量がM1以上である内容の情報はテープ量検知センサ71から制御部9へと送信される。そして制御部9は当該情報を受信することによって、テープ回収部5および巻き取り芯搬送機構8を制御し、回収位置G1に配置される巻き取り芯15を、不要テープTnの回収量が許容量に達しており不要テープTnの回収が困難となっている巻き取り芯15Aから、未使用状態であり不要テープTnが巻き取られていない巻き取り芯15Bへと交換させる処理を開始させる。
【0202】
制御部9を介して巻き取り芯15の自動交換処理を開始する旨の指令が出されると、まずは粘着テープTを搬送する動作を一時的に停止する。すなわち制御部9は繰り出し位置G1に配置されている原反ロール11および回収位置K1に配置されている巻き取り芯15を回転させる機構を例とする、粘着テープ貼付け装置1の各構成を停止させる制御を行う。当該制御により、稼働中である原反ロール11の回転および稼働中である巻き取り芯15の回転が停止されるので、原反ロール11から粘着テープTが繰り出し供給される動作と巻き取り芯15によって不要テープTnが巻き取り回収される動作が中断される。そのため、ステップS1~S5に係る粘着テープの貼付け工程が一時的に中断される。
【0203】
ステップS8-2(巻き取り芯の入れ換え)
粘着テープTの搬送を中断した後、巻き取り芯15を保持する巻き取り芯支持軸67の位置を入れ換える動作を実行する。本実施例では具体的に、回転プレート65を180°回転させることによって巻き取り芯支持軸67の位置を回収位置K1と待機位置K2との間で入れ換える。回転プレート65が回転することにより、回転プレート65に接続されている案内ローラ66、巻き取り芯支持軸67、および巻き取り芯支持軸67に装填されている巻き取り芯15も回転する。
【0204】
図35(a)は回転プレート65が左周りに90°回転している状態を示している。巻き取り芯15Aに巻き取られている不要テープTnは、新たに回収位置K1へ移動した案内ローラ66に巻回される。そのため、不要テープTnが搬送される軌道は、回転プレート65の外周に沿った軌道となる。図35(b)は回転プレート65が左周りに180°回転している状態を示している。回収位置K1と待機位置K2は回転軸68を挟んで互いに対向する位置である。そのため回転プレート65が180°回転することにより、回収位置K1に配置されていた使用済みの巻き取り芯15Aは、待機位置K2へ移動する。一方、待機位置K2に配置されていた未使用の巻き取り芯15Bは、回収位置K1へ移動する。回収位置K1と待機位置K2との間で2つの巻き取り芯15の位置を入れ換えることにより、ステップS8-2の工程は完了する。
【0205】
ステップS8-3(不要テープの切断)
ステップS8-2の工程が完了した時点において、不要テープTnは案内ローラ69、巻き取り芯15B、案内ローラ66の各々に案内され、巻き取り芯15Aに接続されている。すなわち不要テープTnは使用済みの巻き取り芯15Aに接続されている一方、新たに回収位置K1に配置された未使用状態の巻き取り芯15Bには不要テープTnが接続されていない。巻き取り芯15Bで不要テープTnを巻き取り回収するには、不要テープTnの端部が巻き取り芯15Bに接合されている必要がある。そのため、不要テープTnを未使用の巻き取り芯15Bに接合させる前段階として、回収位置K1において不要テープTnを切断して新たに不要テープTnの端部を形成させる動作を行う。
【0206】
ステップS8-3の工程が開始されると、制御部9は接合ユニット70を作動させて回収位置G1において不要テープTnを切断させる。すなわち図36(a)に示すように、回動軸73を回転させて接合ユニット70を退避位置P2から接合位置P1へと移動させる。接合ユニット70が接合位置P1へ移動することにより、不要テープTnは貼付けローラ75と巻き取り芯15Bとによって挟み込まれて固定される。
【0207】
不要テープTnを固定した後、カッタ刃77を用いて不要テープTnを切断する。すなわちカッタ刃77を保持する可動台78を不要テープTnに近接する方向へ移動させ、さらに可動台78を不要テープTnの幅方向に移動させる。可動台78の移動により、図36(b)に示すように、貼付けローラ75と巻き取り芯15Bとによって挟み込まれている位置の下流側において、カッタ刃77は不要テープTnを幅方向に切断する。ステップS8-3の工程を開始する時点では粘着テープTの搬送を停止しているので、カッタ刃77は不要テープTnを正確に切断できる。
【0208】
不要テープTnが切断されることにより、テープ貼付け部4からテープ回収部5へ搬送されている不要テープTnは、待機位置K2に移動している使用済みの巻き取り軸15Aから切り離される。不要テープTnが使用済みの巻き取り軸15Aから切り離されることにより、切り離された部分の上流側の不要テープTnにおいて新たに先端部V3が形成される。切り離された部分の下流側の不要テープTnは、巻き取り芯15Aの回転によって巻き取り芯15Aに巻き取られる。
【0209】
ステップS8-4(不要テープの接合)
不要テープTnを使用済みの巻き取り芯15Aから切り離した後、新たに回収位置K1へ配置された未使用の巻き取り芯15に不要テープTnを接合させる。本実施例では、巻き取り芯15Bに不要テープTnを接合させる。すなわち図37に示すように、可動台76を枢動アーム74との接続部を中心に揺動させるなどの動作により、巻き取り芯15Bの外周部上で貼付けローラ75を転動させ、不要テープTnの先端部V3を巻き取り芯15Bに押圧させる。
【0210】
不要テープTnの先端部V3が押圧されることにより、先端部V3における不要テープTnの粘着面が巻き取り芯15Bの外周面に密着し、不要テープTnが巻き取り芯15Bに接合される。不要テープTnが巻き取り芯15Aから分離され、巻き取り芯15Bに不要テープTnの先端部V3が接合された状態のテープ回収部5を図38に示している。その後、接合ユニット70を接合位置P1から退避位置P2へと退避させる。回収位置K1へ新たに移動した未使用の巻き取り芯15Bに不要テープTnが接合されることにより、ステップS8-4の工程は完了する。
【0211】
ステップS8-5(テープ搬送の再開)
新たに回収位置K1へ配置された巻き取り芯15Bと不要テープTnとが接合されることにより、テープ貼付け部4から搬送された不要テープTnを未使用の巻き取り芯15Bで巻き取り回収することが可能となる。そこでステップS8-4に係る不要テープを接合させる工程が完了すると、粘着テープTを搬送する動作を再開させる。すなわち制御部9は繰り出し位置G1に配置されている原反ロール11および回収位置K1に配置されている巻き取り芯15を回転させる機構を例とする、粘着テープ貼付け装置1の各構成の動作を再開させる制御を行う。
【0212】
当該制御により、繰り出し位置G1に配置されている原反ロール11Bの回転が開始されるとともに、回収位置K1に配置されている巻き取り芯15Bの回転が開始されるので、原反ロール11Bから粘着テープTが繰り出し供給される動作と巻き取り芯15Bによって不要テープTnが巻き取り回収される動作が開始される。そのため、ステップS1~S5に係る粘着テープの貼付け工程が再開される。すなわちステップS8のうち、ステップS8-6およびステップS8-7の工程は粘着テープ貼付け工程が実行されている状態で行うことができる。
【0213】
ステップS8-6(巻き取り芯の搬出)
粘着テープTをウエハWに貼り付ける一連の動作が再開されると、使用済みの巻き取り芯15をテープ回収部5から搬出する動作を開始する。すなわち制御部9はステップS1~S5に係る粘着テープ貼付け工程を再開させつつ、巻き取り芯搬送機構8を作動させる。制御部9は巻き取り芯搬送機構8の左右可動台93および昇降プレート95を適宜移動させ、x方向およびz方向における巻き取り芯保持アーム99の位置を使用済みの巻き取り芯15Aの位置に合わせる。そして巻き取り芯保持アーム99を案内プレート97に沿ってy方向について後方へ移動させ、巻き取り芯15Aを巻き取り芯保持アーム99で保持させる。巻き取り芯15Aを保持した状態で巻き取り芯保持アーム99をy方向について前方に移動させることにより、図39に示すように、巻き取り芯15Aは巻き取り芯支持軸67Aから抜き取られる。
【0214】
巻き取り芯支持軸67Aから巻き取り芯15Aを抜き取った後、巻き取り芯搬送機構8は使用済みの巻き取り芯15Aをテープ回収部5から巻き取り芯保管部6へと搬出させる。すなわち巻き取り芯保持アーム99が巻き取り芯15Aを保持している状態を維持しつつ、左右可動台93をx方向に駆動させ、テープ回収部5の前方に相当する位置から巻き取り芯保管部6の前方に相当する位置へと移動させる。
【0215】
さらに制御部9は、x方向およびz方向における巻き取り芯保持アーム99の位置を、巻き取り芯15が支持されていない巻き取り芯支持軸81の位置に合わせる。本実施例では上から4段目の巻き取り芯支持軸81の位置に巻き取り芯保持アーム99の位置を合わせる。そして巻き取り芯保持アーム99を案内プレート97に沿ってy方向について後方へ移動させ、使用済みの巻き取り芯15Aを巻き取り芯支持軸81に装着させることによって巻き取り芯15Aを搬出する工程が完了する。図40は、使用済みの状態となった巻き取り芯15Aがテープ回収部3から搬出されて巻き取り軸保管部6に保管された状態を示している。
【0216】
ステップS8-7(巻き取り芯の搬入)
使用済みの状態となった巻き取り芯15Aをテープ回収部5の待機位置K2から搬出させることにより、テープ回収部5の待機位置K2には巻き取り芯15が配置されていない状態となる。
【0217】
そこで使用済みの巻き取り芯15Aをテープ回収部5の待機位置K2から搬出させた後、未使用の巻き取り芯15をテープ回収部5の待機位置K2へ搬入する動作を開始する。本実施例では、巻き取り芯保管部6に保管されている未使用状態の巻き取り芯15Cおよび15Dのうち、巻き取り芯15Cをテープ回収部5へ搬入させるものとする。
【0218】
ステップS8-7の工程が開始されると、制御部9は巻き取り芯搬送機構8を制御して巻き取り芯15Cを巻き取り芯保管部6からテープ回収部5へと搬入させる。すなわち巻き取り芯搬送機構8は巻き取り芯保持アーム99の位置を適宜調整して巻き取り芯15Cを保持し、巻き取り芯15Cを巻き取り芯支持軸81から抜き取らせる。そして巻き取り芯15Cを保持している巻き取り芯保持アーム99を移動させ、待機位置K2に移動している巻き取り芯支持軸67(ここでは巻き取り芯支持軸67A)に巻き取り芯15Cを装着させる。以上でステップS8-7の工程は完了する。図41は、未使用状態の巻き取り芯15Cが巻き取り芯保管部6からテープ回収部5へと搬入された状態を示している。
【0219】
ステップS8-1からステップS8-7までの工程を実行することにより、ステップS8に係る巻き取り芯の自動交換工程は完了する。以降、粘着テープ貼付け装置1ではステップS1~S5に係る粘着テープ貼付け工程を実行させつつ、回収位置K1に配置されている巻き取り芯15における不要テープTの回収量に応じてステップS8の工程を実行する。
【0220】
すなわち回収位置K1に巻き取り芯15Bを移動させた状態で粘着テープ貼付け工程をさらに進行されると、稼働中の巻き取り芯15Bに不要テープTnが巻き取り回収され、巻き取り芯15Bに巻回される不要テープTnの量は増加していく。そして巻き取り芯15Bに巻回される不要テープTnの量が所定値M1以上に増加して巻き取り芯15Bが使用済み状態となった場合、粘着テープ貼付け工程を一時的に中断させ、予め待機位置K2へ配置されている未使用状態の巻き取り芯15Cを待機位置K2から回収位置K1へと移動させる。回収位置K1へ移動した巻き取り芯15Cは不要テープTnと接合され、粘着テープ貼付け工程が再開される。一方で、使用済み状態となった巻き取り芯15Bは回収位置K1から待機位置K2へと移動し、さらに待機位置K2から原反ロール保管部2へと搬出される。
【0221】
以降、巻き取り芯保管部6に保管されている未使用の巻き取り芯15が全てテープ回収部5へ搬入されるまで、ステップS8に係る巻き取り芯の自動交換を行うことができる。巻き取り芯保管部6に保管される未使用の巻き取り芯15の数が少なくなった場合、作業者または作業ロボットなどが未使用の巻き取り芯15を巻き取り芯保管部6に補充しつつ、巻き取り芯保管部6に搬出された使用済みの巻き取り芯15を回収する。
【0222】
未使用の巻き取り芯15を巻き取り芯保管部6に補充する工程、および使用済みの巻き取り芯15を巻き取り芯保管部6から回収する工程は、ステップS1~S5に係る粘着テープ貼付け工程を継続させた状態で実行できる。そのため、ウエハWに粘着テープを貼り付ける処理の効率を低減させることなく、巻き取り芯保管部6に未使用の巻き取り芯15を補充して使用済みの巻き取り芯15を巻き取り芯保管部6から回収する作業を行うことができる。
【0223】
<実施例の構成による効果>
上記実施例に係る粘着テープ貼付け装置1は、テープ供給部3とテープ貼付け部4とテープ回収部5に加えて、原反ロール保管部2と巻き取り芯保管部6と原反ロール搬送機構7と巻き取り芯搬送機構8とを備えている。テープ供給部3は、原反ロール11を保持するテープ保持ユニット25を複数備えている。また、テープ供給部3には繰り出し位置G1と準備位置G2とが存在している。そしてテープ供給部に備えられている原反ロール保持部のうち、繰り出し位置G1に移動しているテープ保持ユニット25に保持されている原反ロール11から、粘着テープTをテープ処理部3へ繰り出し供給するように構成されている。一方、現時点において粘着テープTをテープ処理部3へ供給しない原反ロール11については準備位置G2に配置される。
【0224】
そのため実施例の構成では案内ローラ29を例とする、テープ供給部3からテープ貼付け部4へと粘着テープを供給する機構は、テープ保持ユニット25の各々に対して配設される必要がなく、繰り出し位置G1に移動しているテープ保持ユニット25に対してのみ配設すれば粘着テープ貼付け処理を好適に実行できる。よってテープ保持ユニット25を複数備える構成であっても、案内ローラ29を例とする、テープ貼付け部4へと粘着テープを供給する機構を1つ備えていればよいので、粘着テープ貼付け装置1の構成をより単純化できる。
【0225】
そしてテープ供給部3に備えられている複数のテープ保持ユニット25のうち、準備位置G2に移動しているテープ保持ユニット25に対して、原反ロール搬送機構7は原反ロール保管部2から原反ロール11を搬入できるように構成されている。そのため、繰り出し位置G1に移動している原反ロール11から粘着テープTをテープ貼付け部4へ供給してウエハWに粘着テープTを貼り付ける動作を継続させつつ、原反ロール保管部2からテープ供給部3の準備位置G2へと未使用の原反ロール11を補充できる。すなわち原反ロール保管部2からテープ供給部3へと未使用の原反ロール11を補充する際にウエハWに粘着テープTを貼り付ける操作を停止させる必要がないので、粘着テープ貼付け処理の効率を向上できる。また、原反ロール保管部2からテープ供給部3へと未使用の原反ロールを補充する操作は原反ロール搬送機構7によって自動的に行うことができるので、作業者による労力を低減できる。
【0226】
また実施例に係る粘着テープ貼付け装置1では、貼り付け位置G1に配置されており粘着テープTを供給する原反ロール11を交換する工程(ステップS7)を実行する前に、準備位置G2に配置されている原反ロール11を待機状態から準備状態にさせる準備処理工程(ステップS6)を予め実行する。言い換えると、準備位置G2に配置されている原反ロール11は当初、待機状態となっている。
【0227】
貼り付け位置G1に配置されている稼働中の原反ロール11における粘着テープTの装填量が所定値T1以下になると、貼り付け位置G1の原反ロール11における粘着テープTの供給を継続しつつ、準備位置G2に配置されている未使用の原反ロール11に対して準備処理を実行する。そして貼り付け位置G1に配置されている原反ロール11における粘着テープTの装填量がさらに減少して所定値T2以下になると、貼り付け位置G1の原反ロール11における粘着テープTの供給を停止させ、原反ロール11を交換する工程を実行する。
【0228】
ステップS6に係る準備処理では、原反ロール11に巻回されている粘着テープTの先端部から剥離ライナーを剥離して粘着テープTの粘着面を一部露出させる。そして粘着テープTから剥離された剥離ライナーSをライナーボビン13に接合させ、剥離ライナーSをライナーボビン13で巻き取り回収可能な状態にさせる。
【0229】
このような準備処理は、使用済みの原反ロール11から切り離された粘着テープTと、新たな未使用の原反ロール11とを接合させた後に当該未使用の原反ロール11から粘着テープTの繰り出し供給操作を開始させるために必要な前処理である。ステップS7を開始する場合、ステップS1~S5に係る粘着テープ貼付け工程を一時停止させる必要がある。一方、ステップS6に係る準備処理工程は、粘着テープ貼付け工程を一時停止させることなく実行できる。
【0230】
そのため、粘着テープ貼付け工程を実行中にステップS6に係る準備処理工程を行って準備位置G2に配置されている原反ロール11を準備状態にさせておくことで、当該原反ロール11を貼り付け位置G1に移動させた後に粘着テープTを繰り出し供給が可能となるまでに必要な時間と工程とを減らすことができる。その結果、原反ロールに装填される粘着テープが尽きてから準備処理を含めた原反ロール交換操作を行う従来構成と比べ、実施例に係る構成では使用済みの原反ロール11を新たな未使用の原反ロール11に交換させる際に粘着テープ貼付け工程を停止させる時間を短縮できるので、粘着テープ貼付け工程の効率を向上できる。
【0231】
実施例に係るステップS6では、原反ロール11の準備処理は制御部9を介した制御によって自動的に行われる。すなわち、一例として未使用の原反ロール11からテープTSを引き出して剥離ライナーSを粘着テープTから剥離し、当該剥離ライナーSをライナーボビン13に接合させる操作を作業者が手動で行う必要がない。そのため、手動で剥離ライナーSをライナーボビン13に接合させ、さらに原反ロール11を手動で貼り付け位置G1の原反ロール支持軸34に装填させるような従来の交換工程と比べて実施例に係る原反ロール交換工程では作業者の負担を軽減できる。
【0232】
また、テープ回収部5は回収位置K1と待機位置K2とを有しており、複数の巻き取り芯15を配置可能な構成を備えている。すなわちテープ貼付け部4から搬送される不要テープTnを回収する操作の対象となる巻き取り芯15は回収位置K1へ配置され、不要テープTnは当該巻き取り芯15に巻き取り回収される。一方、現時点では不要テープTnを回収する操作を行わない巻き取り芯15については待機位置K2に配置させる。このような構成を有することにより、稼働状態にある巻き取り芯15については回収位置K1へ配置させて不要テープTnを巻き取り回収する操作を実行させつつ、回収位置K1における当該回収操作と平行して、回収操作とは異なる操作を待機位置K2において行うことができる。
【0233】
一例として、使用済みの巻き取り芯15をテープ回収部5から搬出する操作を行う場合、使用済みの巻き取り芯15を回収位置K1から待機位置K2へ配置させることで、回収位置K1にある別の巻き取り芯15を用いて不要テープTnを巻き取る操作を実行しつつ、使用済みの巻き取り芯15を待機位置K2から搬出させる操作を実行できる。すなわち、使用済みの巻き取り芯15を搬出する際に不要テープTnを回収する操作を停止させる必要がないので、使用済みの巻き取り芯15を待機位置K2から搬出させる操作を行うことに起因して粘着テープTをウエハWに貼り付ける処理の効率が低下することを回避できる。
【0234】
そして巻き取り芯15をテープ回収部5へ搬入する工程および巻き取り芯15をテープ回収部5から搬出する工程は、巻き取り芯搬送機構8を用いた自動操作によって実行できる。すなわち搬送過程をより高度に自動化できるので、作業者の負担をさらに低減できるとともに、ウエハWに対する粘着テープ処理工程の効率をさらに向上できる。
【0235】
また実施例では粘着テープTの一部を切断して当該切断片を接合テープNsとして用いる。そのため、新たに繰り出し位置G1へ配置された未使用の原反ロール11を先行テープTmと接合させる際に、接合対象である粘着テープTの各々とは別のテープを、接合テープNsとして予め準備する必要がない。また、当該別のテープを供給する構成や、当該別のテープを接合対象の粘着テープTに貼り付ける構成を配設する必要もない。そのため、粘着テープの接合の準備が煩雑化する事態や、粘着テープ貼付け装置1の大型化およびコスト上昇が発生する事態を回避できる。
【0236】
さらに、粘着テープTの一部を接合テープNsとして用いるので、接合テープNsの特性は接合対象である粘着テープTの特性と同一となる。そのため、接合テープNsと接合対象である粘着テープTとの間の粘着力が低いという事態は確実に回避される。そのため、接合部分において再剥離に起因する接合エラーが発生することをより確実に防止できる。
【0237】
<変形例の構成>
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。例として、本発明は下記のように変形実施することができる。
【0238】
(1)実施例では、テープ供給部3に配置される2つの原反ロール11Aおよび11Bは、それぞれ別の部材であるテープ保持ユニット25Aおよびテープ保持ユニット25Bに保持されている構成を例として説明したが、これに限られない。すなわち2つの巻き取り芯15Aおよび15Bを保持する回転プレート65のように、1つの回転部材に2つの原反ロール11Aおよび原反ロール11Bを保持させてもよい。この場合、回転プレート65を回転させることで回収位置K1と待機位置K2との間で巻き取り芯15を移動させるテープ回収部5の構成と同様に、当該回転部材を回転させることによって繰り出し位置G1と準備位置G2との間で原反ロール11を移動させる構成とすることができる。
【0239】
またテープ回収部5についても、1つの部材である回転プレート65が2つの巻き取り芯15Aおよび15Bを保持する構成に限ることはなく、それぞれ別体である2つの保持ユニットの一方が巻き取り芯15Aを保持し、他方の保持ユニットが巻き取り芯15Bを保持してもよい。この場合、巻き取り芯15Aを保持する一方の保持ユニットを回収位置K1から待機位置K2へ移動させる動作と同期的に、巻き取り芯15Bを保持する他方の保持ユニットを待機位置K2から回収位置K1へ移動させる動作を行うことで、巻き取り芯15Aを待機位置K2へ移動させつつ巻き取り芯15Bを回収位置K1へと移動させることができる。
【0240】
(2)実施例では原反ロール11から供給される粘着テープTの一部を切断し、当該切断片を接合テープNsとして用いたがこれに限られない。すなわち、予め断片化された接合テープNsを多数装填させたテープ片供給装置をテープ供給部3に設け、当該テープ片供給装置が接合テープ保持部材43に粘着テープNsの断片を供給する構成であってもよい。この場合、接合テープ作成機構31におけるカッタ刃49などの構成を省略できる。
【0241】
(3)実施例では半導体ワークに対する粘着テープ処理工程として、ウエハWの表面に回路保護用の粘着テープTを貼り付ける処理を例示したが、半導体ワークに対する粘着テープ処理工程はこれに限られない。粘着テープ処理工程の他の例として、ウエハWとリングフレームとにわたってダイシングテープを貼り付けて一体化させるマウントフレーム作成処理が挙げられる。また粘着テープ処理工程の他の例として、ウエハWの表面に貼り付けられた保護テープに対して、帯状となっている剥離用の粘着テープ(剥離テープ)を貼り付け、保護テープを剥離テープとともにウエハWから剥離させる粘着テープ剥離処理が挙げられる。
【0242】
(4)実施例では半導体ワークとしてウエハWを例示しているが、これに限られない。半導体ワークの他の例として、半導体基板などが挙げられる。また半導体ワークの形状は円形に限ることはなく、矩形状、多角形状、楕円状を例とする任意の形状であってよい。また半導体ワークが矩形状または多角形状である場合、角部は尖った形状であってもよいし角部が丸みを帯びた形状であってもよい。
【0243】
(5)実施例では、原反ロール11の搬送に用いる原反ロール搬送機構7と、巻き取り芯15の搬送に用いる巻き取り芯搬送機構8とを別の機構として配置させているが、粘着テープ貼付け装置1は2つの搬送機構を備える構成に限られない。すなわち、原反ロール11の搬送および巻き取り芯15の搬送を共通の搬送機構によって行ってもよい。当該搬送機構は、原反ロール保管部2の前方から巻き取り芯保管部6の前方までの領域を往復移動可能に構成されており、原反ロール搬送機構7の機能と巻き取り芯搬送機構8の機能とを兼ね備える。この場合、1つの搬送機構によって原反ロール11の搬送および巻き取り芯15の搬送を行うので、粘着テープ貼付け装置1の構造をより単純化できる。このような変形例において、共通で用いられる当該搬送機構は原反ロール搬送機構7および巻き取り芯搬送機構に相当する。
【0244】
(6)実施例ではステップS8に係る巻き取り芯15を交換する工程において、ステップS8-1に係る粘着テープTの搬送を停止させる工程を行っているがステップS8-1を省略してもよい。一例として案内ローラ69などを増設して不要テープTn(粘着テープT)の搬送経路を長くすることにより、粘着テープTの搬送を停止させることなく巻き取り芯15を交換することができる。このような構成では粘着テープTをウエハWに貼り付ける操作を継続させつつ巻き取り芯15の交換工程などを実行できるので、装置の歩留まりを向上できる。
【0245】
(7)実施例では粘着テープTに剥離ライナーSが添設されたテープTSが原反ロール11に装填されている構成を例示しているが、剥離ライナーSを用いない構成であってもよい。すなわち、原反ロール11は剥離ライナーSが添設されていない帯状の粘着テープTが巻回された構成であってもよい。このような変形例の場合、剥離ライナーSを巻き取り回収するライナーボビン13、および剥離ライナーSを粘着テープTから剥離させる補助部材となるライナー剥離ローラ40などの構成を省略できるので粘着テープ貼付け装置1の構成をより単純化できる。また当該変形例において、原反ロール搬送機構7はライナーボビン13を搬送する必要はなく、原反ロール搬送機構7は原反ロール11を搬送する。
【0246】
(8)実施例において、テープ供給部3における原反ロール11の交換工程(ステップS7)は、繰り出し位置G1に移動している稼働中の原反ロール11における粘着テープTの量が所定値T2以下となった場合に実行される。一方、テープ回収部5における巻き取り芯15の交換工程(ステップS8)は、回収位置K1に移動している稼働中の巻き取り芯15における不要テープTnの量が所定値M1以上となった場合に実行される。すなわち実施例では、原反ロール11の交換工程と巻き取り芯15の交換工程とはそれぞれ異なる条件を満たした場合において、別々に実行される構成となっている。ここで、原反ロール11の交換工程と巻き取り芯15の交換工程とはそれぞれ異なる条件を満たした場合において実行される構成に限ることはなく、単一の条件を満たした場合において同期的に実行される構成であってもよい。
【0247】
原反ロール11の交換工程と巻き取り芯15の交換工程とを同期的に実行する変形例の一例として、繰り出し位置G1に移動している稼働中の原反ロール11における粘着テープTの量が所定値T2以下となった場合に、原反ロール11の交換工程と巻き取り芯15の交換工程とを同期的に実行する構成が挙げられる。この場合、稼働中の原反ロール11における粘着テープTの量が所定値T2以下であることをテープ量検知センサ32が検知すると、制御部9はテープ供給部3およびテープ回収部5などの各構成を制御してステップS7の工程とステップS8の工程との両方を実行させる。
【0248】
原反ロール11の交換工程と巻き取り芯15の交換工程とを同期的に実行する変形例の他の例として、回収位置K1に移動している稼働中の巻き取り芯15における不要テープTnの量が所定値M1以上となった場合に、原反ロール11の交換工程と巻き取り芯15の交換工程とを同期的に実行する構成が挙げられる。この場合、稼働中の巻き取り芯15における不要テープTnの量が所定値M1以上であることをテープ量検知センサ71が検知すると、制御部9はテープ供給部3およびテープ回収部5などの各構成を制御してステップS7の工程とステップS8の工程との両方を実行させる。
【0249】
また、テープ量検知センサ32をテープ供給部3に備えるとともにテープ量検知センサ71をテープ回収部5に備える構成において、いずれかのセンサが所定の条件を検知した場合にステップS7の工程とステップS8の工程との両方を実行させる構成であってもよい。すなわち、稼働中の原反ロール11における粘着テープTの量が所定値T2以下であることをテープ量検知センサ32が検知する条件と、稼働中の巻き取り芯15における不要テープTnの量が所定値M1以上であることをテープ量検知センサ71が検知する条件とのいずれかを満たした場合に、ステップS7の工程とステップS8の工程との両方を実行させる構成であってもよい。
【0250】
このようなステップS7およびステップS8を同期的に実行させる変形例の構成では、ステップS7およびステップS8を異なるタイミングで実行させる構成と比べて、ステップS7またはステップS8に係る交換工程を実行するためにステップS1~S5のテープ貼付け工程を停止させる頻度を低減できる。従って、粘着テープ貼付け装置1における処理効率をさらに向上できる。また、ステップS7およびステップS8を同期的に制御するので、制御部9における制御プログラムなどをより単純化できる。
【0251】
(9)実施例に係るステップS8-4において、未使用の巻き取り芯15に不要テープTnを接合させる工程は当該未使用の巻き取り芯15が待機位置K2から回収位置K1に移動させた状態で実行する工程を例として挙げているが、これに限られない。すなわち未使用の巻き取り芯15が待機位置K2に配置されている状態で、不要テープTnを当該未使用の巻き取り芯15に接合させる構成であってもよい。この場合、ステップS8-2に係る巻き取り芯15の位置を入れ換える工程はステップS8-4に係る不要テープTnを未使用の巻き取り芯15に接合させる工程の後に実行される。
【0252】
(10)各実施例において、稼働中の原反ロール11から繰り出されるテープTSに対して、ライナー剥離ローラ40を用いて粘着テープTから剥離ライナーSを剥離させる構成を例示しているが、剥離ライナーSの剥離を補助する構成はローラ状部材であるライナー剥離ローラ40に限ることはない。剥離ライナーSの剥離を補助する構成の他の例として、図43(a)および図43(b)に示すような剥離バー98が挙げられる。剥離バー98は一例として図43(a)に示すように、粘着テープTの幅方向(y方向)に延びる柱状の部材であり、剥離ライナーSを折り返すための先端部98aを備えている。先端部98aの角度θ2は鋭角であることが好ましい。
【0253】
図43(b)は、剥離バー98を補助材として用いて粘着テープTから剥離ライナーSを剥離させる変形例の構成を示している。剥離バー98は、先端部98aが粘着テープTの搬送方向L1(下流側)を向くように配置されている。この場合、剥離ライナーSが巻回されている状態でライナーボビン13が回転することにより、原反ロール11から繰り出されるテープTSのうち剥離ライナーSの部分は剥離バー98の先端部98aによって折り返される。そして剥離ライナーSが剥離バー98によって折り返されつつ引っ張られることにより、ガイド軸23の下流において剥離ライナーSは粘着テープTから剥離される。
【0254】
先端部98aの角度θ2が鋭角である場合、剥離ライナーSが折り返される角度θ1は、90度以上180度以下となる。この場合、折り返される角度θ1が十分に大きいので、粘着テープTから剥離ライナーSを剥離させる際に糊残り現象が発生することをより確実に回避できる。
【0255】
(11)各実施例において、テープ供給部3において原反ロール11を自動的に交換するシステムおよびテープ回収部5において巻き取り芯15を自動的に交換するシステムは、テープ量検知センサ32またはテープ量検知センサ71が検知する情報によって動作を自動的に開始する構成を例として示したがこれに限られない。すなわちテープ供給部3において原反ロール11を自動的に交換するシステムおよびテープ回収部5において巻き取り芯15を自動的に交換するシステムは、操作者が入力部10に指示を入力することによって動作を開始する構成であってもよい。言い換えると、ステップS6、ステップS7、およびステップS8の工程は、操作者が入力部10を手動で操作することをトリガとして開始する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0256】
1 … 粘着テープ貼付け装置(テープ処理装置)
2 … 原反ロール保管部
3 … テープ供給部
4 … テープ貼付け部(テープ処理部)
5 … テープ回収部
6 … 巻き取り芯保管部
7 … 原反ロール搬送機構
8 … 巻き取り芯搬送機構
11 … 原反ロール
13 … ライナーボビン
14 … 孔部
15 … 巻き取り芯
16 … 孔部
17 … 縦壁
19 … 原反ロール支持軸
21 … ボビン支持軸
23 … ガイド軸
25 … テープ保持ユニット
27 … テープ切断機構
29 … 案内ローラ
31 … 接合テープ作成機構
32 … テープ量検知センサ
33 … 可動壁
34 … 原反ロール支持軸
35 … ボビン支持軸
36 … ライナー案内ローラ
37 … テープ接合機構
38 … 昇降レール
39 … 上下昇降台
40 … ライナー剥離ローラ
41 … 粘着テープ保持部材
43 … 接合テープ保持部材
45 … 伸縮アーム
47 … 伸縮アーム
48 … カッタホルダ
49 … カッタ刃
50 … カッタユニット
51 … 先行テープ保持部材
52 … カッタホルダ
53 … カッタ刃
54 … ライナー切断機構
55 … 保持テーブル
57 … テープ貼付けユニット
59 … テープ切断ユニット
60 … テープ剥離ユニット
65 … 回転プレート
67 … 巻き取り芯支持軸
69 … 案内ローラ
70 … 接合ユニット
71 … テープ量検知センサ
79 … 縦壁
81 … 巻き取り芯支持軸
83 … 左右可動台
84 … 昇降レール
85 … 昇降プレート
87 … 案内プレート
89 … ロール保持アーム
90 … 上レール
91 … 下レール
93 … 左右可動台
94 … 昇降レール
95 … 昇降プレート
97 … 案内プレート
99 … 巻き取り芯保持アーム
W … ウエハ(半導体ワーク)
TS … テープ
T … 粘着テープ
S … 剥離ライナー(セパレータ)
Tn … 不要テープ
Ns … 接合テープ
G1 … 繰り出し位置
G2 … 準備位置
K1 … 回収位置
K2 … 待機位置
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