(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024938
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】不正開蓋防止蓋
(51)【国際特許分類】
B65D 55/02 20060101AFI20250214BHJP
B65D 43/06 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
B65D55/02
B65D43/06 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129331
(22)【出願日】2023-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000157887
【氏名又は名称】KISCO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(74)【代理人】
【識別番号】100154287
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 貴広
(72)【発明者】
【氏名】平塚 正樹
(72)【発明者】
【氏名】溝渕 可子
(72)【発明者】
【氏名】大石 哲史
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AB10
3E084BA01
3E084CA01
3E084DA01
3E084DB09
3E084DB13
3E084EA03
3E084FC01
3E084GA08
3E084GB12
3E084GB17
3E084KA15
3E084LD30
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で開蓋操作しやすく、しかも、不正開蓋を確実に防止できて安全性を確保し得る不正開蓋防止蓋を提供することを課題とする。
【解決手段】容体21の上部に密嵌される皿状の蓋本体1と、蓋本体1の上縁部2に突設される摘持片3とから成り、摘持片3はヒンジ部4と、立上り部5と、凸部7及び膨出部8を有する作用部6とから成っていて、ヒンジ部4を介して蓋本体1の上縁部2にヒンジ連結状態に一体成形され、蓋本体1の内底面9には、凸部7に対応する凹部10が形成され、摘持片3の内底面9上への折り返し時に凸部7と凹部10が嵌合し合い、その状態において膨出部8が押圧されることで膨出部8が反転し、以て、摘持片3の先端が反り上がるようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容体に嵌着される蓋であって、
前記蓋は前記容体の上部に密嵌される皿状の蓋本体と、前記蓋本体の上縁部に突設される摘持片とから成り、
前記摘持片はヒンジ部と、立上り部と、凸部及び膨出部を有する作用部とから成っていて、前記ヒンジ部を介して前記蓋本体の上縁部にヒンジ連結状態に一体成形され、
前記蓋本体の内底面には、前記凸部に対応する凹部が形成され、前記摘持片の前記内底面上への折り返し時に前記凸部と前記凹部が嵌合し合い、その状態において前記膨出部が押圧されることで前記膨出部が反転し、以て、前記摘持片の先端が反り上がるようにしたことを特徴とする不正開蓋防止蓋。
【請求項2】
前記摘持片の裏面に低い周壁が形成され、前記蓋本体の内底面の前記周壁対応部分に、前記周壁が収まる浅い溝が形成される、請求項1に記載の不正開蓋防止蓋。
【請求項3】
前記凹部が形成される前記内底面の前記溝の内側部分は、前記内底面の他の部分よりも低く形成される、請求項2に記載の不正開蓋防止蓋。
【請求項4】
前記周壁が前記溝に収まった状態において、前記摘持片の周縁部は前記内底面と同じかそれ以下になる、請求項2に記載の不正開蓋防止蓋。
【請求項5】
前記蓋本体を前記容体に嵌着した際に、前記蓋本体の上縁部端縁が、前記容体の周縁部に形成されるフランジ部より外に出ないようにされる、請求項1に記載の不正開蓋防止蓋。
【請求項6】
前記凸部の付け根に切り取り線が入れられ、前記摘持片の引き上げに伴って前記凸部が前記切り取り線から分離されて前記凹部内に残る、請求項1に記載の不正開蓋防止蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不正開蓋防止蓋に関するものであり、より詳細には、取り扱いやすく、確実に不正開蓋を防止することができる不正開蓋防止蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アイスクリームやヨーグルト等の蓋付き容器に対しては、主に衛生的観点から、不正開蓋を防止するための措置が講じられる。例えば、特許第5255662号公報には、開封検出可能で、開封後の再閉鎖が可能な包装用容器が開示されている。この容器は、蓋体に蓋側嵌合リブ(環状凸部)を設け、容器本体に、本体側嵌合リブ(環状凹部)を設け、両者を嵌合可能にしたもので、蓋体の開封操作に伴い、蓋側嵌合リブの少なくとも一部に、タブの両側の切れ込みから延びる径方向の切れ込みが生じるので、これによって開封の痕跡が残り、開封を検出することができるというものである。
【0003】
上記構成の場合、蓋体の開封操作に伴って開封の痕跡を残すための切れ込みの形成が必要なため、複雑な構成となってその分コストが嵩むきらいがあり、また、蓋の上縁部がフリーの状態となっているため、そこに指を掛けての不正開蓋を行いやすい状態となっている。
【0004】
また、特許第6230185号公報には、密封シール性に優れ、不正改ざんを効果的に防止することができ、しかも、製造や取り扱いが容易な不正改ざん防止構造付きの内嵌合包装用容器及びその蓋体についての開示がある。この発明の場合、別体の蓋体が容器本体に内嵌合されて、容器本体の本体嵌合壁部の内面に蓋体の蓋嵌合壁部の内面が密着し、容器本体の本体フランジ部に、蓋フランジ部を摘み上げることができないように、蓋フランジ部の外縁を外側からガードすべく上方に立ち上がったガード壁部が、全周に亘って形成される。また、蓋フランジ部に開封用摘み片が延設され、該開封用摘み片が上面谷折りで内側に折り返され、蓋体の所定箇所に再固定不可の固定手段(テープ)により固定されて成る。
【0005】
この構成の場合、不正改ざん防止効果を期待できるが、開封のために密着しているテープを剥がす必要があり、その剥離は必ずしも容易とは言えない面があり、また、何らかの理由でテープによる粘着が不十分な場合は、摘み片が反り上がってしまい、不正に剥がされたのか否かの判定が困難になるおそれがある。また更に、再固定不可のテープによる固定に手間と費用がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5255662号公報
【特許文献2】特許第6230185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来技術における上記諸問題に鑑みてなされたもので、簡易な構成で開蓋操作しやすく、しかも、不正開蓋を確実に防止できて安全性を確保し得る不正開蓋防止蓋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、容体に嵌着される蓋であって、
前記蓋は前記容体の上部に密嵌される皿状の蓋本体と、前記蓋本体の上縁部に突設される摘持片とから成り、
前記摘持片はヒンジ部と、立上り部と、凸部及び膨出部を有する作用部とから成っていて、前記ヒンジ部を介して前記蓋本体の上縁部にヒンジ連結状態に一体成形され、
前記蓋本体の内底面には、前記凸部に対応する凹部が形成され、前記摘持片の前記内底面上への折り返し時に前記凸部と凹部が嵌合し合い、その状態において前記膨出部が押圧されることで前記膨出部が反転し、以て、前記摘持片の先端が反り上がるようにしたことを特徴とする不正開蓋防止蓋である。
【0009】
一実施形態においては、前記摘持片の裏面に低い周壁が形成され、前記蓋本体の内底面の前記周壁対応部分に、前記周壁が収まる浅い溝が形成される。一実施形態においては、前記凹部が形成される前記内底面の前記溝の内側部分は、前記内底面の他の部分よりも低く形成され、また、一実施形態においては、前記周壁が前記溝に収まった状態において、前記摘持片の周縁部は前記内底面と同じかそれ以下になるようにされる。
【0010】
一実施形態においては、前記蓋本体を前記容体に嵌着した際に、前記蓋本体の上縁部端縁が、前記容体の周縁部に形成されるフランジ部より外に出ないようにされる。
【0011】
一実施形態においては、前記凸部の付け根に切り取り線が入れられ、前記摘持片の引き上げに伴って前記凸部が前記切り取り線から分離されて前記凹部内に残るようにされる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る不正開蓋防止蓋は上記のとおりであって、簡易な構成で、膨出部を押すことで摘持片の先端部を反り上がらせることができるので、摘持片が摘みやすくなって開蓋操作が容易となり、また、膨出部の状態を見ることにより、不正開蓋されたか否かを簡単確実に判別でき、更に、蓋本体を容体に嵌着した際に、その上縁部の端縁が、容体周縁部のフランジ部より外に出ないため、蓋本体の上縁部の端縁に指が掛かりにくく、不正開蓋されにくい状態になっているため、不正開蓋をより確実に防止できて食の安全性を確保し得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る不正開蓋防止蓋の一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す不正開蓋防止蓋において、摘持片を外した状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す不正開蓋防止蓋において、摘持片を外した状態を示す縦断面図である。
【
図4】
図1に示す不正開蓋防止蓋を容体に嵌着した状態を示す縦断面である。
【
図5】
図1に示す不正開蓋防止蓋における膨出部の作用を示す縦断面である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本発明に係る不正開蓋防止蓋は、容体21に密嵌される蓋であって、容体21の上部に嵌め付けられる皿状の蓋本体1と、蓋本体1の上縁部2に突設される摘持片3とから成る。摘持片3は、ヒンジ部4と立上り部5と作用部6とから成り、ヒンジ部4を介して蓋本体1の上縁部2にヒンジ連結状態に一体成形される。
【0015】
作用部6には、蓋本体1の内底面9に形成される凹部10に対応する凸部7が形成され、その先に膨出部8が形成される。凸部7は、摘持片3を蓋本体1の内底面9上に折り返した状態(
図1に示す状態)において下向きとなって、凹部10に嵌合する。
【0016】
作用部6の端部に形成される膨出部8は浅いドーム状の反転ばねで、摘持片3を蓋本体1の内底面9上に折り返した状態(
図1に示す状態)において、上方に膨出する。この膨出部8は、
図1に示す凸部7を凹部10に嵌合した状態において指先で押圧することにより反転する。その反転に伴って膨出部8の表面に小さな白色の傷のような模様が生ずるので(いわゆる白化現象)、その傷の痕跡の有無から、不正に取り扱われたか否かを容易に判別することができる。また、この膨出部8の反転に伴って作用部6の先端部が反り上がって、内底面9よりも上に出るので(
図5(A))、指を掛けやすくなり、摘持片3の摘持が容易となる。
【0017】
好ましい実施形態においては、摘持片3の裏面周縁部に、剛性を付与するための低い周壁11が形成され、蓋本体1の内底面9の周壁11対応部分に、周壁11が収まる浅い溝12が形成される。また、内底面9の溝12に囲まれるU字形状部13が、内底面9よりも一段(摘持片3の厚さ分)低く形成される(
図3参照)。かくして作用部6の上面は、摘持片3を蓋本体1の内底面9上に折り返して周壁11を溝12内に収めた際に、内底面9と面一になり(
図4)、あるいは、それより低くなり、以て、作用部6の端部に指先が引っ掛からない状態となる。
【0018】
蓋本体1は、摘持片3をヒンジ部4の部分から折曲して内底面9上に折り返し、凸部7を凹部10に嵌合した状態で、容体21上部の拡径部22に密嵌状態に嵌め付けられ、気密性が確保される(
図4)。好ましくは、蓋本体1は下膨らみ状態に形成され、拡径部22は上窄み状態に形成される。そのようにした場合、蓋本体1は、拡径部22内に押し込むようにして嵌合されるため、その外側面と拡径部22の内側面との密着性が増し、より気密性が高められる。
【0019】
また、蓋本体1を容体21に嵌着した際に、その上縁部2の端縁2aが、容体21の周縁部23に形成されるフランジ部23aより外に出ないようにされる(
図4参照)。そのようにすることにより、蓋本体1の上縁部2の端縁2aに指が掛かりにくくなり、以て、不正開蓋されにくい状態になる。なお、膨出部8にシールが貼着されることがある。
【0020】
開封する場合は膨出部8を指先で押すと、膨出部8が反転して作用部6の先端部が反り上がって、内底面9よりも上に出るので(
図5(A))、その先端部に指を掛けて更に起こすと、適持片3の摘持が容易な状態となる(
図5(B))。そこで、先端部を摘持して引き上げて凸部7を凹部10から引き抜き、更に、容体21を押さえて適持片3を引き上げることで、簡単に蓋本体1を容体21から取り外すことができる。
【0021】
このように、蓋本体1を容体21から取り外すには、膨出部8を指先で押して膨出部8を反転させる必要があり、膨出部8は、反転させた際に白化現象が起きるので、その痕跡の有無から、不正開蓋されたか否かを簡単確実に判別することができる。
【0022】
本発明に係る不正開蓋防止蓋につき、最も好ましい実施形態について説明してきたが、本発明は、上記実施形態に限定される訳ではない。例えば、他の実施形態としては、凸部7の付け根に切り取り線を入れ、摘持片3の引き上げに伴って凸部7がその切り取り線から分離されて、凹部10内に残る構成にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明に係る不正開蓋防止蓋は上記のとおりであって、簡易な構成で、膨出部を押すことで摘持片の先端部を反り上がらせることができるので、摘持片が摘みやすくなって開蓋操作が容易となり、また、膨出部の状態を見ることにより、不正開蓋されたか否かを簡単確実に確認でき、更に、蓋本体を容体に嵌着した際に、その上縁部の端縁が、容体周縁部のフランジ部より外に出ないため、蓋本体の上縁部の端縁に指が掛かりにくく、不正開蓋されにくい状態になっているので、不正開蓋をより確実に防止できて食の安全性を確保し得る効果があり、その産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0024】
1 蓋本体
2 上縁部
3 摘持片
4 ヒンジ部
5 立上り部
6 作用部
7 凸部
8 膨出部
9 内底面
10 凹部
11 周壁
12 溝
13 U字形状部
21 容体
22 拡径部
23 周縁部