特開 2025-24939 スティック製品絞り出し具

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2025024939

(43)【公開日】2025-02-21

(54)【発明の名称】スティック製品絞り出し具

(51)【国際特許分類】

   A01K 5/00 20060101AFI20250214BHJP

【ＦＩ】

A01K5/00 Z

【審査請求】未請求

【請求項の数】8

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023129332

(22)【出願日】2023-08-08

(71)【出願人】

【識別番号】000157887

【氏名又は名称】ＫＩＳＣＯ株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100081558

【弁理士】

【氏名又は名称】齋藤 晴男

(74)【代理人】

【識別番号】100154287

【弁理士】

【氏名又は名称】齋藤 貴広

(72)【発明者】

【氏名】田中 和人

(72)【発明者】

【氏名】内山 果歩

(72)【発明者】

【氏名】大石 哲史

【テーマコード（参考）】

2B102

【Ｆターム（参考）】

2B102AA04

2B102AA15

2B102AB14

2B102AB24

2B102AC04

2B102AE10

(57)【要約】

【課題】ペットフード等のスティック製品の絞り出し操作を、片手で簡単に行うことでき、しかも、中身を最後までキレイに絞り出すことができるスティック製品絞り出し具を提供することを課題とする。
【解決手段】基盤１と、基盤１上に適宜間隔を保持して設置されるフリーローラー２とから成り、基盤１にはその上面を横切るように横桟６が設けられ、フリーローラー２は横桟６上に、スティック製品２１の端部を噛み込む間隔を保持して設置される。基盤１の前端部の一半部が曲線状に切り欠かれ、基盤１の裏面に指掛け部１４が突設される。
【選択図】図２

【特許請求の範囲】

【請求項1】

基盤と、前記基盤上に適宜間隔を保持して設置されるフリーローラーとから成り、
前記基盤にはその上面を横切るように横桟が配設され、前記フリーローラーは前記横桟上に、スティック製品の端部を噛み込む間隔を保持して設置されることを特徴とするスティック製品絞り出し具。

【請求項2】

前記基盤の前端部一半部が曲線状に切り欠かれている、請求項１に記載のスティック製品絞り出し具。

【請求項3】

前記基盤の裏面に指掛け部が突設されている、請求項１に記載のスティック製品絞り出し具。

【請求項4】

前記横桟に、前記フリーローラーとの間隔が徐々に狭まるガイド桟が連設されている、請求項１に記載のスティック製品絞り出し具。

【請求項5】

前記基盤の両側にガイド壁が形成されている、請求項１に記載のスティック製品絞り出し具。

【請求項6】

前記ガイド桟から前記横桟を越えて前記基盤の後端まで延びる縦桟が形成されている、請求項４又は５に記載のスティック製品絞り出し具。

【請求項7】

前記フリーローラーの回転に伴って鳴動する機構を含む、請求項１に記載のスティック製品絞り出し具。

【請求項8】

前記フリーローラーの周面は難滑性素材で被覆されている、請求項１に記載のスティック製品絞り出し具。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、スティック製品絞り出し具に関するものであり、より詳細には、ペットフードやベビーフード等のゲル状物を充填したスティック製品に対し、中身を簡単な操作で残らず無駄なく絞り出すことができるスティック製品絞り出し具に関するものである。

【背景技術】

【0002】

近時ペットフード、特におやつ用のペットフードとして、長方形状の比較的平坦なスティック容器に充填したタイプのペットフードが普及している。これは、ゲル状のペットフードをスティック容器に封入したもので、前端部に細径化された絞り出し口が形成され、その絞り出し口を開口してペットに咥えさせた状態で、一方の手で容器の後端部を押さえ、他方の手の指先で容器をしごいて、食べる速度に合わせて少しずつ中身を絞り出して食べさせるものである。また、最近ではペットの写真をＳＮＳにアップする人が増え、スティックタイプのペットフードを与えながらペットの顔写真を撮ることも増えている。

【0003】

ところで、上記構成のスティック製品の場合、一方の手でスティック容器を押え、他方の手で絞り出し操作をするため、片手での操作ができないだけでなく、最後までキレイに絞り出すには反復操作が必要となり、絞り出し口をペットの口元に向けた状態で迅速に操作し、安定した状態で最後まで絞り出すことは容易なことではない。また、絞り出しの最終段階において、指が中身に触れて汚れるおそれがある。

【0004】

そこで、手を汚すことなく中身を容易に絞り出すことができ、中身がペットフードの場合、餌皿を必要としない絞り出し器が提案されている（実用新案登録第３２１８５１８号公報）。この絞り出し器は、先端側に受け皿部を設けた本体の後端部に、スライダーを装着したもので、スティック製品を本体に載せ、その後端をスライダーの内側に差し込み、スライダーを容器をしごくように摺動させることで、中身を受け皿部に絞り出すことができるようにしたものである。

【0005】

しかし、このスライダー構造の場合、スライダーのスライド操作に伴って容器がスライダーのスライド方向に動きやすいので、片方の手で容器を押さえ、もう片方の手でスライダーを動かすことを余儀なくされ、どうしても両手が必要となる。また、スライダーの場合、摩擦抵抗を考慮すると、スライダーと本体との間にある程度の隙間を設ける必要があるが、スライダーの力の入れ具合でその隙間が変化するために、中味が残りやすく、また、力を入れ過ぎるとスライダーが動かしにくくなるといった問題がある。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0006】

【特許文献1】実用新案登録第３２１８５１８号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0007】

上述したように、従来提案されているスティック製品絞り出し器の場合、一方の手で容器を押え、他方の手で絞り出し操作をするため、片手での操作ができず、ペットにフードを与えながらの写真撮影は困難であり、また、中身を最後までキレイに絞り出すことが難しいといった問題があった。そこで本発明は、ペットフード等のスティック製品の絞り出し操作を、片手で簡単に行うことでき、しかも、中身を最後までキレイに絞り出すことができるスティック製品絞り出し具を提供することを課題とする。

【課題を解決するための手段】

【0008】

上記課題を解決するための請求項１に記載の発明は、基盤と、前記基盤上に適宜間隔を保持して設置されるフリーローラーとから成り、
前記基盤にはその上面を横切るように横桟が配設され、前記フリーローラーは前記横桟上に、スティック製品の端部を噛み込む間隔を保持して設置されることを特徴とするスティック製品絞り出し具である。

【0009】

一実施形態においては、前記基盤の前端部一半部が曲線状に切り欠かれ、また、前記基盤の裏面に指掛け部が突設されている。

【0010】

一実施形態においては、前記横桟に、前記フリーローラーとの間隔が徐々に狭まるガイド桟が連設され、また、前記基盤の両側にガイド壁が形成され、また、前記ガイド桟から前記横桟を越えて前記基盤の後端まで延びる縦桟が形成されている。

【0011】

一実施形態においては、前記フリーローラーの回転に伴って鳴動する機構を含む。また、前記フリーローラーの周面は難滑性素材で被覆される。

【発明の効果】

【0012】

本発明に係るスティック製品絞り出し具は上記のとおりであって、コンパクト且つ携帯可能で容易に片手操作でき、ペットに給餌しながら写真を撮ることができ、また、スティック製品が全幅に亘りフリーローラーにより一定間隔で押圧されるため、中身を手を汚すことなくすべて無駄なく絞り出すことができ、切欠き部があるためにペットにとって最後まで食べやすい状況となり、指掛け部があるために、フリーローラーを軽い力で回転操作することが可能という効果がある。

【図面の簡単な説明】

【0013】

【図1】本発明に係るスティック製品絞り出し具の一実施形態を示す斜視図である。

【図2】図１に示すスティック製品絞り出し具の分解斜視図である。

【図3】図１に示すスティック製品絞り出し具の裏面側斜視図である。

【図4】図１に示すスティック製品絞り出し具における鳴動機構の例を示す斜視図である。

【図5】図１に示すスティック製品絞り出し具の使用方法を示す斜視図である（絞り出し前）。

【図6】図１に示すスティック製品絞り出し具の使用方法を示す斜視図である（絞り出し後）。

【発明を実施するための形態】

【0014】

本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本発明に係るスティック製品絞り出し具は、手掌内に保持し得るサイズの基盤１と、基盤１上に適宜間隔を保持して設置されるフリーローラー２とから成る。スティック製品２１は長方形状で、前端部に細径化された絞り出し路２２が形成され、その絞り出し路２２を開口し、その開口２３から中身を絞り出すタイプのものである（図５，６参照）。

【0015】

例えば、基盤１の一端部３は半円形状にされるが、他端部は、その一半部が円弧状に切除された切欠き部４とされ、残部はスティック支持板５とされる。後述するように切欠き部４は、中身の絞り出しの最終段階においてそこに開口２３が位置するため、ペットが食べやすい状態となる。

【0016】

基盤１の切欠き部４近くに、基盤１の上面を横切るように横桟６が設置され、横桟６の両側に、フリーローラー２を軸支する軸支板７，７ａが立設される。軸受板７，７ａには軸孔７ｂが穿設されていて、フリーローラー２はその軸２ａを、軸支板７，７ａ間を押し広げるようにして強制的に押し込み、軸端を軸孔７ｂ内に嵌め入れる。フリーローラー２は、横桟６との間に、スティック製品２１の端部を噛み込む間隔を保持して設置される。フリーローラー２の周面には、シリコーン等の難滑性素材が用いられる。

【0017】

半円形状の基盤１の一端部３には周壁８が形成され、周壁８の端部から軸支板７，７ａにかけて、高いガイド壁９，９が形成される。また、軸支板７，７ａから、切欠き部４及びスティック支持板５の端部にかけて、低いガイド壁１０，１１が形成される。

【0018】

横桟６の前側には、フリーローラー２に対して徐々に狭まる斜面又は曲面を有するガイド桟１２が連設される。通例、ガイド桟１２は、適宜間隔置きに複数（図示した例では３つ）形成されるが、横に一連のものであってもよい。また、ガイド桟１２から、横桟６を越えて周壁８まで延びる、周壁８及び横桟６と同じ高さの縦桟１３が形成される。なお、この基盤１の縦桟１３配設部分は、周壁８から横桟６に至る平坦面にしてもよい。また、基盤１の裏面中央部に指掛け部１４が突設される。この指掛け部１４は、親指によるフリーローラー２の回転操作の際に人差し指を掛けることで、回転操作を容易にすると共に、基盤１が滑り動くことを防止するためのものである。

【0019】

好ましい実施形態においては、フリーローラー２を回転させるに伴って鳴動する機構が組み込まれる。そのためには、例えば、フリーローラー２の軸端にピニオンギア１５を取り付け、当該軸端を支持する一方の軸支板７を平面視コ字型に形成し、その内側面に、上端部がピニオンギアに当たる樹脂片１６を設置する（図２，４参照）。かくして、フリーローラー２を回転するに伴い、樹脂片１６の上端部がピニオンギア１５に弾かれ、「カチカチ」といった音が発生する。この仕様により、フリーローラー２を回転させるタイミング調整が可能となる。

【0020】

本発明に係るスティック製品絞り出し具を使用するに当たっては、親指をフリーローラー２上に載せると共に、人差し指を曲げて指掛け部１０に引っ掛け（図６参照）、先ず、スティック製品２１後端のシール部をフリーローラー２と横桟６の間に差し込み、フリーローラー２を軽く前方に回転させてスティック製品２１後端のシール部をフリーローラー２と横桟６の隙間に引き込ませる（図５（Ａ））。スティック製品２１のフリーローラー２と横桟６の隙間への導入は、その後端部をスティック支持板５に載せ、ガイド壁１０，１１に沿わせて挿入し、ガイド桟１２の曲面又は斜面に沿って差し込むことで、スムーズに行うことができる。なお、用いる手は右手であっても左手であっても差し支えない。

【0021】

その状態でスティック製品２１前端の絞り出し路２２を開口し、開口２３をペットの口元にあてがい、親指でフリーローラー２を前方に回転させていくと、スティック製品２１は次第に後方に引き出され、それに伴って中身１２が徐々に絞り出されていく（図６参照）。その際スティック製品２１は、両側がガイド壁９，９に押さえ止められつつ、縦桟１３上を横ぶれすることなく移動するので、開口２３をペットの口元に安定した状態で保持できる。

【0022】

上記のように操作することで、中味を残量が少なくなっても最後まで残らず絞り出すことができる。そして、その最終段階においては、開口２３が切欠き部４に位置するため、スティック支持板５が邪魔にならず、ペットは、最後まで余すことなく中身を食することができる（図６参照）。

【産業上の利用可能性】

【0023】

本発明に係るスティック製品絞り出し具は上記のとおりであって、コンパクト且つ携帯可能で容易に片手操作でき、ペットに給餌しながら写真を撮ることができ、また、スティック製品が全幅に亘りフリーローラーにより一定間隔で押圧されるため、中身を手を汚すことなくすべて無駄なく絞り出すことができ、切欠き部があるためにペットにとって最後まで食べやすい状況となり、指掛け部があるために、フリーローラーを軽い力で回転操作することが可能といった特徴があり、その産業上の利用可能性は大である。

【符号の説明】

【0024】

１ 基盤
２ フリーローラー
３ 横桟
４ 切欠き部
５ スティック支持板
６ 横桟
７，７ａ 軸支板
７ｂ 軸孔
８ 周壁
９，１０，１１ ガイド壁
１２ ガイド桟
１３ 縦桟
１４ 指掛け部
１５ ピニオンギア
１６ 樹脂片
２１ スティック製品
２２ 絞り出し路
２３ 開口

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】