IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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<図1>
  • -バッカン、及び、ロープ巻取具 図1
  • -バッカン、及び、ロープ巻取具 図2
  • -バッカン、及び、ロープ巻取具 図3
  • -バッカン、及び、ロープ巻取具 図4
  • -バッカン、及び、ロープ巻取具 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024942
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】バッカン、及び、ロープ巻取具
(51)【国際特許分類】
   A01K 97/20 20060101AFI20250214BHJP
   A01K 97/00 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
A01K97/20
A01K97/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129338
(22)【出願日】2023-08-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.刊行物 (1)出願人が下記のカタログを外部へ発送(配布)した日 令和5年7月26日 (2)刊行物名 磯 DAIWA FISHING TACKLE 2023(第23頁) 2.電気通信回線を通じての公開 (1)ホームページ(電子版製品カタログ)の公開日 令和5年7月24日 (2)URL https://www.daiwa.com/jp/product/w3jvyn5
(71)【出願人】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100196829
【弁理士】
【氏名又は名称】中澤 言一
(72)【発明者】
【氏名】工藤 友海
【テーマコード(参考)】
2B109
【Fターム(参考)】
2B109FA10
(57)【要約】
【課題】ロープの放出/巻き取りを行なう際の操作性及び握持性が良いロープ巻取具を提供する。
【解決手段】本発明のロープ巻取具1は、バッカン本体と繋がるロープを巻回する巻回部2a,2bと、巻回部2a,2bの両側に設けられた一対の取手3a,3bとを有することを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッカン本体と繋がるロープを巻回する巻回部と、
前記巻回部の両側に設けられた一対の取手と、
を有することを特徴とするロープ巻取具
【請求項2】
前記一対の取手は、前記巻回部の両側でシンメトリー形状となっていることを特徴とする請求項1に記載のロープ巻取具。
【請求項3】
前記一対の取手は、それぞれ棒状に形成されており、中央領域が太径で両端に移行するに従って細径化することを特徴とする請求項1に記載のロープ巻取具。
【請求項4】
前記巻回部は略直線状に形成されており、その表面には、巻回されるロープの横滑りを阻止するリブが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のロープ巻取具。
【請求項5】
前記巻回部と前記取手の境界部分には、ロープ留めが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のロープ巻取具。
【請求項6】
前記ロープ留めの内部には、ロープの抜け止め機能を有する抜け止め部が形成されていることを特徴とする請求項5に記載のロープ巻取具。
【請求項7】
前記巻回部の内側には、巻回されるロープの端部を接続する接続部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のロープ巻取具。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のロープ巻取具を有することを特徴とするバッカン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣りに際して携行され、海水や水を汲むことが可能なバッカン、及び、そのようなバッカンに用いられるロープ巻取具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、魚釣りに際しては、バッカンと称される釣用バケツを携行することがある。バッカンは、海水や水を汲むバケツとしての機能を備えており、それ以外にも、各種の小物(仕掛け、釣具、餌、釣った魚など)を収容する収容体としての機能を備えている。前記バッカンには、長いロープが連結されており、防波堤や磯等で釣りをする際、ロープの一端側を握持してバッカンを海水に投げ込み、海水を汲んだ状態でロープを引き上げる操作が行なわれる。
【0003】
前記ロープは、例えば、特許文献1及び特許文献2に開示されているようなロープ巻取具に巻回されている。特許文献1に開示されたロープ巻取具は、板状に形成されており、両サイドを摘まんで中央領域にロープを巻き取る構造となっている。また、特許文献2に開示されたロープ巻取具は、中央に開口を備えた板状に形成されており、開口の一側部に形成された握持部を握ってロープを巻き取る構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-99334号
【特許文献2】特許第2955471号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1に開示されたロープ巻取具は、板状体を摘まんでロープの放出/巻き取りを行なうため、操作性が悪く、摘まむだけでは十分な握持力が得られないことから落下させてしまう可能性がある。特に、ロープが濡れていると滑り易く、確実な握持がし難いという問題がある。また、特許文献2に開示されたロープ巻取具も同様に板状体として構成されているため、操作性及び握持性が十分ではない。さらに、実際の釣場では、地面や岩場などに載置されたロープ巻取具は様々な方向に向いており、使用者の利き腕によっては咄嗟に握持して、ロープの放出/巻き取り操作をし難いという問題もある。
【0006】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、ロープの放出/巻き取りを行なう際の操作性及び握持性が良いロープ巻取具、及び、そのようなロープ巻取具を備えたバッカンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明に係るロープ巻取具は、バッカン本体と繋がるロープを巻回する巻回部と、前記巻回部の両側に設けられた一対の取手と、を有することを特徴とする。
【0008】
上記した構成のロープ巻取具は、バッカン本体と繋がるロープを巻回する巻回部の両端に一対の取手を設けたことで、使用者の利き腕やロープ巻取具の状態に関係なく、いずれかの取手を握持し易くなり、巻回部に巻回されたロープの放出/巻き取り操作が容易に行えるようになる。また、ロープは、いずれか一方の取手を握り込んだ状態で、前記巻回部からの放出操作、或いは、巻き取り操作が行えるので、ロープ巻取具を落下させることなく、操作性が良い。
【0009】
また、上記したようなロープ巻取具は、ロープが巻回された状態で、バッカンに接続されたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、地面や岩場などの載置状態や使用者の利き腕に関係なく操作性及び握持性が良いロープ巻取具、及び、そのようなロープ巻取具を備えたバッカンが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係るロープ巻取具(実線部分)の一実施形態を示す斜視図。
図2図1のロープ巻取具を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は上面図。
図3】ロープを介してバッカンに図1のロープ巻取具を接続した状態を示す図。
図4】使用者が右利きの場合のロープ巻取具の使用状態を示す図。
図5】使用者が右利きの場合のロープ巻取具の使用状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1から図3を参照して、本発明に係るロープ巻取具の一実施形態について説明する。
これらの図において、図1は斜視図、図2(a)は平面図、図2(b)は側面図、図2(c)は上面図、図3はロープを介してバッカンにロープ巻取具を接続した状態を示す図である。
【0013】
本実施形態に係るロープ巻取具1は、ロープを巻回する巻回部2a,2bと、この巻回部の両側に設けられた一対の取手(握持部)3a,3bと、を備えている。前記巻回部2a,2bは、一定の距離をおいてロープを巻き回すように一対設けられており、前記一対の取手3a,3bの各両端を連結するように配設されている。
【0014】
前記巻回部2a,2bは、同一の形状で構成されることが好ましく、前記一対の取手3a,3bについても、同一の形状で構成されることが好ましい。このため、ロープ巻取具1は、図2(a)に示すように、中央に略矩形の開口5を有する略ロの字形状に構成されており、前記一対の取手3a,3bは、前記巻回部2a,2bの両側でシンメトリー形状となっている。
【0015】
前記巻回部2a,2bには、一定の長さを有するロープ10が巻回される。すなわち、使用者が一方の手で取手3a,3bのいずれかを握持、保持した状態で、他方の手でロープ10を掴んで回転操作することで、巻回部2a,2bに対してロープ10を巻回できるように構成されている。
【0016】
前記一対の取手3a,3bは、それぞれ棒状に形成されていることが好ましい。また、このような棒状に形成された一対の取手3a,3bの表面は、掌に沿うような湾曲形状(断面R形状)にすることが好ましく、これにより取手3a,3bを握り込んだ際の手当たりが良くなり、しっかりと握持、保持することが可能となる。特に、長手方向においても湾曲形状(厚みがあって内側3c,3dは中央が膨出するように湾曲した山形状、外側3e,3fも中央が膨出するように湾曲したなだらかな山形状)にすることで、握持、保持性が向上し、誤って落下することが防止される。また、巻回部2a,2bについても表面を湾曲形状にすることが好ましく、これにより、巻回部にロープ10を巻回し易くなると共に、ロープ10が傷付くことを抑制することができる。
【0017】
前記一対の取手3a,3bを棒状に形成する場合、中央領域3A,3Bを太径にし、両端3C,3Dに移行するに従って細径化することが好ましい。このような外形状にすることで、開口5の角部5a側がくびれて人差し指側及び小指側でしっかりと握り込むことができるようになり、手当たりが良く、安定してロープ10の巻き取り操作を行なうことが可能となる。
【0018】
また、前記巻回部2a,2bは、図2(a)に示すように、略直線状で略平行となるように形成することが好ましく、これによりロープ10を巻き取り易くすることができる。また、その表面には、巻回されるロープ10の横滑りを阻止するリブ4を形成しておくことが好ましい。本実施形態では、それぞれの巻回部2a,2bのロープ10が接触する部分に、延在方向に沿って、一体間隔をおいて断続的にリブ(凸部)4を形成しており、これにより、ロープ10が横滑りし難くなり、安定して巻回できるようにしている。
【0019】
また、前記ロープ巻取具1には、ロープ10を巻き取っている途中、又は、放出している途中で、ロープ10を保持(係止)するロープ留めを形成しておくことが好ましい。本実施形態のロープ留め7は、前記巻回部2a,2bと前記取手3a、3bの境界部分(四隅の角部)に、対角線方向に沿って切り込まれて形成されており、放出又は巻回する操作中において、ロープ10をいずれかのロープ留め7に挿入することで、放出状態にあるロープ10の長さを適宜、調整することが可能となる。
【0020】
本実施形態のロープ留め7は、上記したように、ロの字形状の四隅に形成されているため、前記一対の取手3a,3bをいずれの手で握っても、巻回操作中、或いは、放出操作中に、いずれかのロープ留め7にロープ10を容易に挿入することができ、長さを調整することが容易に行える。この場合、ロープ留め7の開口内部に、ロープの抜け止め機能を有する抜け止め部7aを形成しておくことが好ましい。このような抜け止め部7aは、例えば、開口内部にロープ10を挟持する凸部を配置することで構成することができ、ロープ留め7の開口内部に挿入したロープ10に対し、摩擦力を付与して外れ難くすることが可能となる。
【0021】
また、前記ロープ巻取具1のいずれかの部分には、巻回されるロープ10の端部を接続する接続部9を設けておくことが好ましい。本実施形態の接続部9は、各巻回部2a,2bに一体形成されており、前記開口5内に突出する突出片として構成されている。これらの接続部9には、挿通開口9aが形成されており、この部分にロープ10の端部10aを挿通し、突出した部分に結び目(ノット)を形成することでロープ10をロープ巻取具1に接続することができる。
【0022】
前記接続部9を設ける位置については、特に限定されないが、各巻回部2a,2bの内側に設けておくことが好ましく、これにより、一対の取手3a,3bを握持した際、及び、巻回部2a,2bにロープを巻回する際に干渉することはなく、巻回、放出操作がし易くなる。
【0023】
次に、上記したロープ巻取具1を有するバッカン、及び、その使用態様について、図3から図5を参照して説明する。
上記したロープ巻取具1に一端10aが取り付けられて巻回されているロープ10は、その他端10bがバッカン20の本体20Aに接続されている。なお、実際に販売されるバッカン20は、予め、そのようなロープ10とロープ巻取具1を付属してセット化されていることが好ましい。
【0024】
前記本体20Aの形状については、直方体形状、円筒形状等、限定されることはなく、開口部分には、ファスナによって開閉される蓋や網部が設けられていても良い。また、ロープ10は、その他端10bが結び付けられたカラビナフック23を、前記本体20Aに取り付けられた取手22の中央部に係止することで本体20Aに接続されている。このようなロープの接続位置にすることで、海水や水を満たしたバッカン20を安定して引き上げることが可能となる。
【0025】
上記したロープ巻取具1は、巻回部2a,2bの両側に一対の取手3a,3bが形成されているので、使用者が右利きの場合であっても左利きの場合であっても、違和感なく、いずれかの取手3a,3bを握り込むことができ、放出時及び巻き取り時の操作性が良くなる。なお、図4は、右手で取手3bを握持している状態、図5は、左手で取手3aを握持している状態を示しているが、ロープ巻取具1の設置状態によっては、右手で取手3aを握持し、左手で取手3bを握持することができ、右手、左手に関係なく、同じ感覚でロープ巻取具1を操作することができる。この場合、上記したように、取手3a,3bは、棒状に形成されているため、しっかりと握り込むことができ、ロープ10を放出している際、或いは、巻き取っている際に誤って落下することが防止される。
【0026】
特に、本実施形態では、巻回部2a,2b及び取手3a,3bがシンメトリーな形状に構成されているので、ロープ巻取具1の設置状態(岩場や地面で載置されている状態や向き)に関係なく、更には、ロープ巻取具1を目視しなくても、直ちに取手3a,3bのいずれかを握持、保持して放出操作、巻き取り操作することが可能となる。
【0027】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
【0028】
上記したロープ巻取具1の巻回部2a,2b、及び、取手3a,3bは、別部材で形成しておき、これを一体化して構成しても良いし、一体形成しても良い。この場合、構成素材については、硬質プラスチック、FRP、軽金属など、限定されることはなく、複数の素材(複合材料)で構成しても良い。また、握り込む部分(取手3a,3b)は、発泡材等、柔らかい素材で構成したり、そのような柔らかい素材を被着して握持性を向上するようにしても良い。また、巻回部2a,2b、及び、取手3a,3bについては、中実状に構成しても良いし、空洞状に構成しても良く、板状に構成しても良い。さらに、上記したシンメトリー形状は、正確な対称状態に構成されていなくても良く、前記ロープ留め7及び接続部9を設ける位置については適宜、変形することが可能である。
【0029】
さらに、バッカンに20ついては、一構成例を示したに過ぎず、その大きさ、形状、取手22の構成、ロープ10との接続構造については、種々、変形することが可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 ロープ巻取具
2a,2b 巻回部
3a,3b 取手
5 開口
7 ロープ留め
10 ロープ
20 バッカン
20A 本体
図1
図2
図3
図4
図5