(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024960
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】サクション基礎
(51)【国際特許分類】
E02D 27/18 20060101AFI20250214BHJP
E02D 27/52 20060101ALI20250214BHJP
E02D 23/00 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
E02D27/18
E02D27/52 Z
E02D23/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129369
(22)【出願日】2023-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】カナデビア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】木村 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】東谷 修
(72)【発明者】
【氏名】小野 泰明
(72)【発明者】
【氏名】タウ ター
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046CA13
2D046DA63
(57)【要約】
【課題】縦桁が取り付けられている場合でも貫入抵抗を低減する。
【解決手段】サクション基礎100は、天井壁11と、天井壁11から下方に延びて水中の地盤Gに貫入される側周壁12とを有する基礎本体10と、側周壁12の内面17から側周壁12の内側へ且つ上方から下方へ延びる板状の縦桁2とを備え、縦桁2の、側周壁12の内面17から側周壁12の内側へ延びる方向の寸法である幅Wは、上方から下方に向かうに従って小さくなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井壁と、前記天井壁から下方に延びて水中の地盤に貫入される側周壁とを有する基礎本体と、
前記側周壁の内面から前記側周壁の内側へ且つ上方から下方へ延びる板状の縦桁とを備え、
前記縦桁の、前記側周壁の内面から前記側周壁の内側へ延びる方向の寸法である幅は、上方から下方に向かうに従って小さくなるサクション基礎。
【請求項2】
請求項1に記載のサクション基礎において、
上方から下方に向かう方向における前記幅の変化率の1階微分は、正であるサクション基礎。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のサクション基礎において、
前記縦桁の内側端縁の形状は、2次以上の曲線であるサクション基礎。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のサクション基礎において、
前記側周壁の内面には、3つ以上の前記縦桁が取り付けられているサクション基礎。
【請求項5】
請求項4に記載のサクション基礎において、
前記3つ以上の前記縦桁は、前記側周壁の周方向に等間隔に配置されているサクション基礎。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、サクション基礎に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水中の地盤に設置されるサクション基礎が開示されている。サクション基礎は、頂版部と頂版部の外周縁から下方に延びるスカート部とを備えている。サクション基礎のスカート部は、地盤に貫入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、サクション基礎の貫入時におけるスカート部の座屈の発生等を抑制するため、スカート部の内面において、上方から下方に延びる縦桁が取り付けられている場合がある。縦桁はスカート部の強度を向上させる。しかし、縦桁が取り付けられたサクション基礎では、縦桁が取り付けられていないサクション基礎と比較して、地盤との接触面積が増大し、地盤からの貫入抵抗が大きくなる虞がある。
【0005】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、縦桁が取り付けられている場合でも貫入抵抗を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示されたサクション基礎は、天井壁と、前記天井壁から下方に延びて水中の地盤に貫入される側周壁とを有する基礎本体と、前記側周壁の内面から前記側周壁の内側へ且つ上方から下方へ延びる板状の縦桁とを備え、前記縦桁の、前記側周壁の内面から前記側周壁の内側へ延びる方向の寸法である幅は、上方から下方に向かうに従って小さくなる。
【発明の効果】
【0007】
縦桁が取り付けられている場合でも貫入抵抗を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、サクション基礎が設置された状態を模式的に示した説明図である。
【
図4】
図4は、貫入工程前のサクション基礎を示した説明図である。
【
図5】
図5は、貫入工程において、基礎本体が地盤に到達した状態を示した説明図である。
【
図6】
図6は、基礎本体がサクション荷重によって地盤に貫入された状態を示した説明図である。
【
図7】
図7は、サクション基礎の側周壁に作用する圧力分布を示した説明図である。
【
図8】
図8は、片持ち梁のせん断力図を示した説明図である。
【
図9】
図9は、変形例に係る縦桁の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1は、サクション基礎100が設置された状態を模式的に示した説明図である。サクション基礎100は、水上又は水中に構造体を設置するための基礎であり、水中の地盤Gに沈設される。
図1の例では、サクション基礎100は、風車9を水上に設置するための基礎である。サクション基礎100は、基礎本体10と、基礎本体10の内側に配置され、基礎本体10に取り付けられた縦桁(すなわち、縦リブ)2とを備えている。
【0011】
基礎本体10は、上端が閉塞され且つ下端が開放された容器状に形成されている。基礎本体10は、天井壁11と、天井壁11から下方に延び、地盤Gに貫入される側周壁12とを有している。天井壁11及び側周壁12は、例えば、鋼板で形成される。
【0012】
天井壁11は、水平方向に拡がる略円盤状に形成されている。天井壁11には、支柱13が配置されている。支柱13は、天井壁11の中心に配置され、天井壁11から上方に延びている。支柱13には、風車9が設置される。
【0013】
側周壁12は、上下方向に延びる略円筒状に形成されている。側周壁12の上端は、天井壁11の周縁に接続されている。天井壁11と側周壁12とは、基礎本体10の内部空間15を区画する。
【0014】
この例では、基礎本体10は、側周壁12が地盤Gに貫入された状態において、充填材5が充填される充填空間16をさらに区画する。すなわち、充填空間16は、天井壁11、側周壁12及び地盤Gによって区画された空間である。充填空間16は、内部空間15の一部である。充填空間16に充填された充填材5が硬化することによって、基礎本体10の荷重が充填材5を介して地盤Gへ適切に作用してもよい。
【0015】
地盤Gに貫入された側周壁12には、摩擦力が作用する。これにより、サクション基礎100は、地盤Gに強固に固定される。それに加えて、サクション基礎100に外力が作用した場合には、基礎本体10の内部に負圧が発生し、引き抜き抵抗が増加する。これにより、サクション基礎100の安定性が確保される。
【0016】
基礎本体10には、排水管31が設けられている。排水管31は、基礎本体10の内部の水を強制的に排出するための管である。排水管31は、天井壁11において内部空間15に接続されている。天井壁11には、排水孔41が貫通形成されている。排水孔41には、排水管31が接続されている。すなわち、排水管31は、排水孔41を介して内部空間15に連通している。排水管31の上部(具体的には、水面よりも上方の部分)には、バルブ32が設けられている。バルブ32は、排水管31の開通及び遮断を切り替える。
【0017】
排水管31には、排水ポンプ33が接続される。排水ポンプ33の作動により、基礎本体10の内部の水が排水管31を介して基礎本体10の外部に排出される。排水管31は、地盤Gへの基礎本体10の貫入時に使用される。排水管31を介して排水を行うことによって、基礎本体10の地盤Gへの貫入が促進される。
【0018】
基礎本体10には、給水管34が設けられている。給水管34は、サクション基礎100を撤去する際に基礎本体10の内部へ給水するための管である。天井壁11には、給水孔42が貫通形成されている。給水孔42には、給水管34が接続されている。すなわち、給水管34は、給水孔42を介して内部空間15に連通している。給水管34の上部(具体的には、水面よりも上方の部分)には、バルブ35が設けられている。バルブ35は、給水管34の開通及び遮断を切り替える。
【0019】
給水管34には、給水ポンプ36が接続されている。給水ポンプ36の作動により、基礎本体10の内部に給水管34を介して水が供給される。給水管34は、サクション基礎100の撤去時に使用される。給水管34を介して給水を行うことによって、基礎本体10の地盤Gからの浮上が促進される。
【0020】
縦桁2は、側周壁12を補強する。具体的には、縦桁2は、サクション基礎100の貫入時及び貫入後において発生し得る側周壁12の座屈などの変形を防止する。縦桁2は、幅方向、厚み方向及び長さ方向を有する板状である。縦桁2は、例えば鋼板で形成される。縦桁2は、例えば溶接により基礎本体10に取り付けられる。
【0021】
図2は、側周壁12の横断面図である。詳しくは、
図2は、側周壁12の軸心Cに直交する平面で切断したときの断面図である。
図3は、縦桁2の縦断面図である。詳しくは、
図3は、縦桁2を厚み方向に直交する平面で切断したときの断面図である。縦桁2は、側周壁12の内面17から側周壁12の内側に且つ上方から下方に延びている。この例では、縦桁2は、側周壁12の内面17から側周壁12の軸心Cに向かって延びている。縦桁2の幅方向の一側の端面21は、側周壁12の内面17に連結している。縦桁2は、天井壁11の下面18から側周壁12の下端19まで延びている。この例では、縦桁2の下端25の位置は、側周壁12の下端19の位置と略一致している。縦桁2の長さ方向は、軸心Cと略平行である。縦桁2の上端22は、天井壁11の下面18に連結している。尚、これに限定されず、縦桁2は、天井壁11の下面18から、側周壁12の下端19よりも上方の位置まで延びていてもよい。すなわち、縦桁2の下端25は、側周壁12の下端19よりも上方に位置していてもよい。
【0022】
図2に示すように、側周壁12の内面17には、複数の、具体的には3つ以上の縦桁2が取り付けられている。好ましくは、側周壁12の内面17には、5つ以上の縦桁2が取り付けられている。この例では、側周壁12の内面17には、9つの縦桁2が取り付けられている。複数の縦桁2は、側周壁12の周方向に等間隔に配置されている。
【0023】
図3に示すように、縦桁2の、側周壁12の内面17から側周壁12の内側へ延びる方向の寸法である幅Wは、上方から下方に向かうに従って小さくなっている。要するに、縦桁2は、上方から下方に向かう方向において先細りの形状を有する。詳しくは、縦桁2のうち少なくとも地盤Gに貫入する部分において、幅Wは上方から下方に向かうに従って小さくなっている。この例では、幅Wは、縦桁2の上下方向の全体に渡って上方から下方に向かうに従って小さくなっている。すなわち、上方から下方に向かう方向における幅Wの変化率は、負である。
【0024】
より詳しくは、上方から下方に向かう方向における幅Wの変化率の1階微分は、正である。「幅Wの変化率の1階微分」は、言い換えると、天井壁11の下面18からの距離をLとしたときのW=f(L)関数の2階微分である。すなわち、幅Wの変化率の1階微分が正であるとは、
図3において側周壁12を横軸にしたときに、縦桁2の内側端縁23の形状が下に凸の曲線であることを意味している。内側端縁23とは、縦桁2の幅方向の両端縁のうち側周壁12の軸心Cに近い方の端縁を指す。幅Wの変化率の1階微分は、正であり且つ一定であることが好ましい。より詳しくは、縦桁2の内側端縁23の形状は、2次以上の曲線である。より好ましくは、縦桁2の内側端縁23の形状は、3次以上の曲線である。
【0025】
続いて、サクション基礎100の設置方法について説明する。
図4は、貫入工程前のサクション基礎100を示した説明図である。
図5は、貫入工程において、基礎本体10が地盤Gに到達した状態を示した説明図である。
図6は、基礎本体10がサクション荷重によって地盤Gに貫入された状態を示した説明図である。
【0026】
まず、
図4に示すように、風車9が設置されていない状態の基礎本体10が設置現場まで曳航される。その後、基礎本体10の地盤Gへの貫入が開始される。詳しくは、基礎本体10は、自重又はバラスト荷重によって海底に沈んでいく。
図5に示すように、側周壁12の下端19は、基礎本体10の自重又はバラスト荷重によって地盤Gに或る程度貫入される。
【0027】
続いて、排水ポンプ33を作動させることによって、基礎本体10の内部空間15の水が排水孔41及び排水管31を介して基礎本体10の外部へ強制排水される。このとき、バルブ35は閉じ、バルブ32は開いている。強制排水により基礎本体10の内外に圧力差が発生する。基礎本体10には圧力差に伴うサクション荷重が作用し、側周壁12は、地盤Gにさらに貫入されていく。このようにして、
図6に示すように、基礎本体10は、地盤Gに貫入される。この後、図示しない充填ポンプによって、充填空間16に充填材5(
図1参照)が充填される。充填材5は、グラウト又はモルタル等である。サクション基礎100の設置完了後に、基礎本体10に風車9が設置される。詳しくは、支柱13に風車9が設置される。
【0028】
続いて、サクション基礎100の撤去方法について説明する。サクション基礎100には、供用期間が設定されている。供用期間の経過後には、サクション基礎100は撤去される。サクション基礎100は、例えば、風車9が基礎本体10から取り外された状態において撤去される。
【0029】
サクション基礎100において、給水ポンプ36を作動させることによって、給水管34及び給水孔42を介して基礎本体10の内部空間15へ水が供給される。このとき、バルブ32は閉じ、バルブ35は開いている。天井壁11と充填材5との間に給水の圧力が作用し、基礎本体10に浮上する方向への力が作用する。これにより、地盤Gからの基礎本体10の浮上が促進される。サクション基礎100が無振動・無騒音で撤去され得る。
【0030】
このようなサクション基礎100では、縦桁2の幅Wが上方から下方に向かうに従って小さくなっているため、例えば縦桁2の縦断面形状が単に長方形等(例えば、縦桁2がH形鋼)の場合よりも地盤Gからの貫入抵抗を低減させることができる。詳しくは、幅Wが上方から下方に向かうに従って小さい縦桁2では、幅Wが上方から下方に向かうに従って小さくない縦桁と比較して、貫入時における縦桁2と地盤Gとの接触面積を減少させることができる。その結果、地盤Gからの貫入抵抗を低減させることができる。また、縦桁2の幅Wが上方から下方に向かうに従って小さくなっているため、例えば縦桁2の縦断面形状が単に長方形等の場合よりも部材量を減少させることができる。また、縦桁2が板状であるため、例えば縦桁2がH形鋼等の場合よりも基礎本体10と縦桁2との溶接量を減少させることができる。仮に縦桁2がH形鋼の場合、フランジとウェブとの溶接が必要となるため、溶接量が増大し得る。
【0031】
さらに、サクション基礎100の貫入時において、基礎本体10が鉛直方向に対して傾いた場合でも、傾きを自己修復させることができる。詳しくは、基礎本体10が鉛直方向に対して傾いた場合、縦桁2の幅Wが上方から下方に向かうに従って小さくなっているため、縦桁2のうち地盤Gに深く貫入している部分の横断面積は、縦桁2のうち地盤Gに浅く貫入している部分の横断面積よりも大きい。横断面とは、水平面における断面である。そのため、縦桁2のうち地盤Gに深く貫入している部分の貫入抵抗は、縦桁2のうち地盤Gに浅く貫入している部分の貫入抵抗よりも大きくなる。すなわち、縦桁2のうち地盤Gに深く貫入している部分は地盤Gに貫入しづらくなり、縦桁2のうち地盤Gに浅く貫入している部分は地盤Gに貫入し易くなる。その結果、傾きが自己修復される。
【0032】
また、上方から下方に向かう方向における幅Wの変化率の1階微分が正である、即ち縦桁2の内側端縁23の形状が下に凸の曲線であることにより、貫入抵抗を低減しつつ、縦桁2による側周壁12の変形の抑制効果を効率的に実現できる。
図7は、サクション基礎100の側周壁12に作用する圧力分布を示した説明図である。前述の如く、サクション基礎100の貫入工程において、内部空間15の水の強制排水に伴い基礎本体10の内外に圧力差が発生する。
図7に示すように、側周壁12のうち地盤Gに貫入されていない部分には上下方向に略一様な圧力分布が発生し、側周壁12のうち地盤Gに貫入されている部分には上方から下方に向かうに従って小さくなる圧力分布が発生し得る。このように、側周壁12には、上方に位置する部分ほど大きな圧力が作用し得る。
図8は、片持ち梁Bに対して上方から下方に向かうに従って小さくなる荷重Pが作用したときのせん断力
図SFD(Shear Force Diagram)を示した説明図である。
図8の例では、上方から下方に向かう方向における荷重Pの減少率は一定である。ここでは、片持ち梁Bを側周壁12に見立てている。片持ち梁Bに対して上方から下方に向かうに従って小さくなる荷重Pが作用したとき、片持ち梁Bには、上方から下方に向かうに従って小さくなり且つ上下方向を横軸としたときに下に凸の曲線となるせん断力分布が作用する。
図8の例では、下に凸の曲線は、2次曲線である。このせん断力分布に対応させて縦桁2の内側端縁23の形状を下に凸の曲線とすることにより、貫入抵抗を低減しつつ、縦桁2による側周壁12の変形の抑制効果を効率的に実現できる。特に、縦桁2の内側端縁23の形状を2次以上の曲線とすることにより、前述のせん断力分布により一層対応させることができるため、縦桁2による側周壁12の変形の抑制効果をより一層効率的に実現できる。
【0033】
また、サクション基礎100では、側周壁12の内面17に9つの縦桁2が取り付けられているため、側周壁12の座屈などの変形を効果的に抑制できる。さらに、9つの縦桁2は、側周壁12の周方向に等間隔に配置されている。これにより、側周壁12の周方向に隣り合う2つの縦桁2の間隔が過剰に広がることを抑制し、側周壁12の座屈などの変形をより一層効果的に抑制できる。仮に9つの縦桁2が側周壁12の周方向に不均一に配置されている場合、周方向に隣り合う2つの縦桁2の間隔が、別の周方向に隣り合う2つの縦桁2の間隔よりも大きくなり得る。
【0034】
図9は、変形例に係る縦桁202の縦断面図である。
図9は、
図3に対応する。縦桁202は、内側端縁223の形状が縦桁2と異なる。この例では、幅Wの変化率の1階微分は、ゼロ(即ち、幅Wの変化率が一定)である。すなわち、内側端縁223の形状は、略直線状(即ち、1次曲線)である。縦桁202の縦断面形状は、略三角形である。縦桁202では、内側端縁223の形状が略直線状であるため、内側端縁223の形状が
図3に示すような下に凸の曲線である場合よりも横断面積を大きくできる。その結果、側周壁12の座屈などの変形をより一層効果的に抑制できる。
【0035】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0036】
例えば、基礎本体10の形状は、略円筒状に限られるものではない。基礎本体10は、天井壁及び側周壁を有し且つ底が開放された形状であれば、任意の形状に形成することができる。例えば、基礎本体10は、断面が略四角形や略五角形等の角筒状に形成されていてもよい。また、基礎本体10は、天井壁が湾曲したドーム状に形成されていてもよい。
【0037】
基礎本体10の材質は、鋼板に限定されず、任意の材質であってもよく、例えばコンクリートであってもよい。基礎本体10の材質がコンクリートの場合、コンクリートで覆われてた縦桁2が、基礎本体10に取り付けられてもよい。
【0038】
基礎本体10は、側周壁12が地盤Gに貫入された状態において、充填空間16を区画していなくてもよい。すなわち、側周壁12及び縦桁2の全体が地盤Gに貫入されてもよい。
【0039】
さらに、サクション基礎100に設置される構造体は、風車9に限られるものではない。構造体は、風況観測塔又はケーソン等であってもよい。基礎本体10には、支柱13が設けられていなくてもよい。
【0040】
縦桁2は、側周壁12の内面17から側周壁12の内側へ延びている限り、側周壁12の軸心Cに向かって延びていなくてもよい。縦桁2は上方から下方へ延びている限り、縦桁2の長手方向が軸心Cと平行でなくてもよい。縦桁2の幅Wが上方から下方に向かうに従って小さくなる限り、縦桁2の内側端縁23の形状は限定されない。例えば、内側端縁23の形状は、階段状であってよい。さらに、縦桁2の幅Wは、縦桁2の上端22から下方へ所定距離の間一定であってもよい。すなわち、縦桁2は、幅Wが上下方向において一定の部分を含んでいてもよい。具体的には、縦桁2のうち充填空間16に存在する部分(即ち、地盤Gに貫入されない部分)の幅Wは、上下方向において一定であってもよい。これにより、地盤Gに対するサクション基礎100の貫入性を低下させずに側周壁12の座屈などの変形をより一層効果的に抑制できる。
【0041】
縦桁2の個数は、限定されない。側周壁12の内面17に複数の縦桁2が取り付けられている場合、複数の縦桁2は、側周壁12の周方向に等間隔に配置されていなくてもよい。
【0042】
本開示の技術をまとめると、以下のようになる。
【0043】
[1] サクション基礎100は、天井壁11と、前記天井壁11から下方に延びて水中の地盤Gに貫入される側周壁12とを有する基礎本体10と、前記側周壁12の内面17から前記側周壁12の内側へ且つ上方から下方へ延びる板状の縦桁2,202とを備え、前記縦桁2,202の、前記側周壁12の内面17から前記側周壁12の内側へ延びる方向の寸法である幅Wは、上方から下方に向かうに従って小さくなる。
【0044】
この構成によれば、縦桁2,202の幅Wが上方から下方に向かうに従って小さくなっているため、例えば幅Wが一定(即ち、縦桁2,202の縦断面形状が長方形)などの場合よりも地盤Gからの貫入抵抗を低減させることができる。
【0045】
[2] [1]に記載のサクション基礎100において、上方から下方に向かう方向における前記幅Wの変化率の1階微分は、正である。
【0046】
この構成によれば、縦桁2,202の形状を、側周壁12に発生し得るせん断力分布に対応した形状にすることができる。これにより、貫入抵抗を低減しつつ、縦桁2による側周壁12の変形の抑制効果を効率的に実現できる。
【0047】
[3] [1]又は[2]に記載のサクション基礎100において、前記縦桁2,202の内側端縁23,223の形状は、2次以上の曲線である。
【0048】
この構成によれば、縦桁2,202の形状を、側周壁12に発生し得るせん断力分布に対応した形状により一層することができるため、縦桁2による側周壁12の変形の抑制効果をより一層効率的に実現できる。
【0049】
[4] [1]乃至[3]の何れか1つに記載のサクション基礎100において、前記側周壁12の内面17には、3つ以上の前記縦桁2,202が取り付けられている。
【0050】
この構成によれば、側周壁12の座屈などの変形を効果的に抑制できる。
【0051】
[5] [1]乃至[4]の何れか1つに記載のサクション基礎100において、前記3つ以上の前記縦桁2,202は、前記側周壁12の周方向に等間隔に配置されている。
【0052】
この構成によれば、側周壁12の周方向に隣り合う2つの縦桁2,202の間隔が過剰に広がることを抑制し、側周壁12の座屈などの変形をより一層効果的に抑制できる。
【符号の説明】
【0053】
100 サクション基礎
10 基礎本体
11 天井壁
12 側周壁
17 側周壁の内面
2,202 縦桁
23,223 内側端縁
G 地盤
W 幅