(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024973
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】高圧ガス貯留装置
(51)【国際特許分類】
F17C 7/00 20060101AFI20250214BHJP
F17C 13/00 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
F17C7/00 Z
F17C13/00 301C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129387
(22)【出願日】2023-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 孝典
(72)【発明者】
【氏名】大須賀 伸浩
(72)【発明者】
【氏名】小原 悠
(72)【発明者】
【氏名】多田 智記
(72)【発明者】
【氏名】大前 和広
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 彰倫
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB20
3E172BA01
3E172BB05
3E172BB12
3E172BB17
3E172BC04
3E172BC05
3E172BD03
3E172CA13
3E172CA14
3E172DA41
(57)【要約】
【課題】タンク内から漏出した高圧ガスを内燃機関へ供給できる。
【解決手段】高圧ガス貯留装置10は、タンク20の外面との間に保留空間Sを空けるように配置され、タンク20を包囲する外殻体30と、吸気部120から導入される燃焼用エアを内燃機関110へ供給する給気路60と、を備えている。給気路60は、保留空間Sを経由する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気化ガスを含む高圧ガスを貯留するタンクと、
前記タンクの外面との間に保留空間を空けるように配置され、前記タンクを包囲する外殻体と、
吸気部から導入される燃焼用エアを内燃機関へ供給する給気路と、
を備え、
前記給気路は、前記保留空間を経由する高圧ガス貯留装置。
【請求項2】
前記給気路において前記吸気部と前記保留空間との間に設けられ、前記保留空間から前記吸気部への前記燃焼用エアの流れを規制する逆止弁を備える請求項1に記載の高圧ガス貯留装置。
【請求項3】
前記タンク内の圧力を検出する圧力センサと、
前記圧力センサの検出結果に基づいて、前記タンクから前記保留空間へ前記気化ガスを送り出す制御弁と、
を備える請求項1又は請求項2に記載の高圧ガス貯留装置。
【請求項4】
外部制御部によって前記タンクから前記内燃機関への前記高圧ガスの供給量が制御される車載システムに用いられる高圧ガス貯留装置であって、
前記保留空間における前記気化ガスの濃度を検出する濃度センサと、
前記濃度センサの検出結果に基づく前記外部制御部の制御によって、前記タンクから前記内燃機関への前記高圧ガスの供給量を調整する調整部と、
を備える請求項1又は請求項2に記載の高圧ガス貯留装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧ガス貯留装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、二重殻タンクが開示されている。二重殻タンクは、内槽と、外槽と、を備えている。内槽の内部には、液化ガスが貯留される。外槽は、内部空間を隔てて内槽を取り囲んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような二重殻タンクでは、内槽から漏出したガスによって、内部空間内のガス圧が上昇する等の懸念が生じる。そこで、内槽から漏出したガスに対する対策が求められている。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、タンク内から漏出した高圧ガスを内燃機関へ供給し得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の高圧ガス貯留装置は、
気化ガスを含む高圧ガスを貯留するタンクと、
前記タンクの外面との間に保留空間を空けるように配置され、前記タンクを包囲する外殻体と、
吸気部から導入される燃焼用エアを内燃機関へ供給する給気路と、
を備え、
前記給気路は、前記保留空間を経由する。
【発明の効果】
【0007】
この構成によれば、タンクから空間に漏出した気化ガスは、保留空間に保留される。そして、保留空間内の気化ガスを、内燃機関へ供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1の高圧ガス貯留装置を含む車載システムを概略的に示す説明図
【
図3】高圧ガス貯留装置を含む車載システムの電気的構成を概略的に例示するブロック図
【発明を実施するための形態】
【0009】
前記給気路において前記吸気部と前記保留空間との間に設けられ、前記保留空間から前記吸気部への前記燃焼用エアの流れを規制する逆止弁を備えることが好ましい。この構成によれば、気化ガスが保留空間側から吸気部側へ逆流することを防げる。
【0010】
前記タンク内の圧力を検出する圧力センサと、前記圧力センサの検出結果に基づいて、前記タンクから前記保留空間へ前記気化ガスを送り出す制御弁と、を備えることが好ましい。このような構成によれば、圧力センサの検出結果に基づいて制御弁を制御することによって、タンクの内圧が過剰に上昇することを防ぐことができる。
【0011】
外部制御部によって前記タンクから前記内燃機関への前記高圧ガスの供給量が制御される車載システムに用いられる高圧ガス貯留装置であって、前記保留空間における前記気化ガスの濃度を検出する濃度センサと、前記濃度センサの検出結果に基づく前記外部制御部の制御によって、前記タンクから前記内燃機関への前記高圧ガスの供給量を調整する調整部と、を備える。このような構成によれば、外部制御部が、濃度センサの検出結果(保留空間における気化ガスの濃度)に基づいて、タンクから内燃機関への高圧ガスの供給量を調整部に調整させる。そのため、給気路を介した気化ガスの内燃機関への供給量を考慮しつつ、所望の供給量となるような高圧ガスを内燃機関に供給できる。
【0012】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を
図1~
図3を参照して説明する。尚、以下の説明において、前後の方向については、
図2におけるF方向を前方と定義する。上下の方向については、
図2におけるH方向を上方と定義する。
【0013】
(車載システムの構成)
本実施例1の高圧ガス貯留装置10は、
図1に示すように、車載システム100に用いられる。車載システム100は、車両に搭載される。車載システム100は、高圧ガス貯留装置10によって内燃機関110に高圧ガス及び燃焼用エアを供給するシステムである。
【0014】
車載システム100は、高圧ガス貯留装置10と、内燃機関110と、吸気部120と、を備えている。内燃機関110は、例えば高圧ガスを用いて駆動力を発生させるエンジンである。吸気部120は、例えば車両に設けられる自然吸気口であり、燃焼用エア(空気)が導入される。
【0015】
(高圧ガス貯留装置の構成)
高圧ガス貯留装置10は、例えば車両(図示省略)に搭載して使用される。高圧ガス貯留装置10は、タンク20と、タンク20を包囲する外殻体30と、を備えて構成されている。タンク20及び外殻体30は、車内(例えば、荷物室)又は車外(ボディの床下)に配置される。タンク20は、高圧ガス(高圧の液化ガスと気化ガス)を貯留するための気密性を有する貯留槽である。液化ガスは、常温・大気圧下において気相であるガスを、加圧と冷却によって液相へ相転移したものである。高圧の気化ガスは、液化ガスの蒸発によって生成された気体である。
【0016】
高圧ガス貯留装置10に貯留する液化ガスと気化ガスは、車両のエンジン用のガス燃料として使用されるものであり、具体的にはアンモニアである。アンモニアは有害性を有する物質であるため、万一、タンク20内の高圧ガス(アンモニアガス)がタンク20外へ漏出した場合の対策として、外殻体30を設けている。外殻体30は、高圧ガスを一時的に保留するための保留空間Sを空けた状態で、タンク20を包囲する。
【0017】
図2に示すように、タンク20は、例えば1つの筒部21と一対のドーム部22とを有し、全体としてカプセル状をなす。筒部21は、軸線を水平方向(前後方向)に向けた円筒形の部位である。一対のドーム部22は、略半球状をなす部位であり、筒部21の両端の開口を閉塞するように配置されている。例えば、筒部21と一対のドーム部22は、互いに別体部品として製造された金属製の部材からなり、溶接によって気密状に接合されて一体化されている。
【0018】
例えば、タンク20は、複数の脚部(図示略)を介すことによって、外殻体30に支持されている。複数の脚部(図示略)は、例えば、筒部21から下方へ延出している。
【0019】
外殻体30は、タンク20の全体を間隔を空けて気密状に包囲するカプセル状の部材である。タンク20の外面と外殻体30の内面との間の空間は、タンク20から漏出した高圧ガス(気化ガス)を一時的に貯留しておくための保留空間Sとして機能する。タンク20の外面の全領域と外殻体30の内面の全領域は、保留空間Sに臨んでいる。
【0020】
外殻体30は、例えば、1つの筒状部材31と、一対のドーム状部材32とを有し、全体としてカプセル状をなす。筒状部材31は、軸線を水平方向(前後方向)に向けた円筒形の部材であり、タンク20の筒部21と同軸状に配置されている。一対のドーム状部材32は、略半球状をなす部位であり、筒状部材31の両端の開口を閉塞するように配置されている。
【0021】
外殻体30(筒状部材31及びドーム状部材32)は、例えば、金属製のベース部材(図示略)と、ベース部材の外面に密着した補強層とを備えて構成されている。補強層は、例えば炭素繊維強化プラスチック(CFRP)からなる複数枚の細長い補強シートを、ベース部材の外面に積層するように貼り付けることによって構成されたものである。
【0022】
例えば、筒状部材31の開口縁部に設けられた筒側フランジ(図示略)と、ドーム状部材32の開口縁部に設けられたドーム側フランジ(図示略)とが締結されることで、筒状部材31とドーム状部材32とが一体化されている。
【0023】
高圧ガス貯留装置10は、
図1に示すように、更に、燃料ポンプ23と、供給路50と、を備えている。燃料ポンプ23は、タンク20に取り付けられている。燃料ポンプ23は、本発明の「調整部」の一例に相当する。燃料ポンプ23は、タンク20内の高圧ガス(例えば液化ガス)を、供給路50を介して内燃機関110に圧送(供給)する。燃料ポンプ23は、例えばタンク20の筒部21の底部に設けられている。なお、燃料ポンプ23は、タンク20の筒部21の天上部に設けられていてもよい。供給路50は、高圧ガスの供給経路であり、タンク20と内燃機関110との間に設けられている。
【0024】
高圧ガス貯留装置10は、
図1に示すように、更に、給気路60を備えている。給気路60は、吸気部120から導入される燃焼用エアを内燃機関110へ供給する経路である。給気路60は、吸気部120と内燃機関110との間に設けられている。給気路60は、保留空間Sを経由している。すなわち、給気路60は、給気路60と保留空間Sと内燃機関110とに連なっている。
【0025】
給気路60は、第1経路61と、第2経路62と、を有している。第1経路61は、吸気部120と保留空間Sとの間に設けられている。第1経路61は、吸気部120によって導入される燃焼用エアを、保留空間Sに送る通路である。第2経路62は、保留空間Sと内燃機関110の間に設けられている。第2経路62は、保留空間S内の気体(燃焼用エアや気化ガス)を、内燃機関110に送る通路である。
【0026】
第1経路61には、逆止弁63が設けられている。逆止弁63は、第1経路61において吸気部120と保留空間Sとの間に設けられている。逆止弁63は、保留空間Sから吸気部120への燃焼用エアの流れを規制する。
【0027】
第2経路62には、逆止弁64が設けられている。逆止弁64は、第2経路62において保留空間Sと内燃機関110との間に設けられている。逆止弁64は、内燃機関110から保留空間Sへの燃焼用エアの流れを規制する。
【0028】
高圧ガス貯留装置10は、
図1に示すように、更に、圧力センサ24と、制御弁25と、安全弁26と、を備えている。圧力センサ24、制御弁25、及び安全弁26は、タンク20に設けられている。
【0029】
圧力センサ24は、タンク20内の圧力を検出する。圧力センサ24の検出結果(保留空間S内の圧力値)は、後述する制御部71に入力される。
【0030】
制御弁25は、例えば電磁弁として構成されている。制御弁25は、後述する制御部71の制御によって、閉弁状態と開弁状態とに切り替わる。制御弁25は、タンク20の内部と保留空間Sの内部とに臨むように配置されている。制御弁25の一次側の開口は、タンク20内に臨んでいる。制御弁25の二次側の開口は、保留空間S内に臨んでいる。制御弁25は、圧力センサ24の検出結果に基づく制御部71の制御によって、タンク20から保留空間Sへ気化ガスを送り出す。
【0031】
安全弁26は、タンク20の内部と保留空間Sの内部とに臨むように配置されている。安全弁26の一次側の開口は、タンク20内に臨んでいる。安全弁26の二次側の開口は、保留空間S内に臨んでいる。安全弁26は、タンク20内の圧力が過剰に上昇した場合に自動的に開弁状態になり、タンク20内の圧力の降下とともに自動的に閉弁状態となる。
【0032】
高圧ガス貯留装置10は、
図1に示すように、更に、濃度センサ33と、安全弁34と、を備えている。濃度センサ33、及び安全弁34は、外殻体30に設けられている。
【0033】
濃度センサ33は、保留空間S内の気化ガスの濃度を検出する。濃度センサ33の検出結果(保留空間S内の気化ガスの濃度値)は、後述する制御部71及び外部制御部131に入力される。濃度センサ33は、例えば保留空間S(外殻体30)の上端部に設けられている。例えば、気化ガス(アンモニアガス等)よりも比重の大きい気体である空気が貯留されていてもよい。この場合、漏出した気化ガスが保留空間S内を上昇するので、気化ガスの漏出を早期のうちに濃度センサ33によって検出できる。
【0034】
安全弁34は、保留空間Sの内部と外殻体30の外部に臨むように配置されている。安全弁34の一次側の開口は、保留空間S内に臨んでいる。安全弁34の二次側の開口は、外殻体30外に臨んでいる。安全弁34は、保留空間S内の圧力が過剰に上昇した場合に自動的に開弁状態になり、保留空間S内の圧力の降下とともに自動的に閉弁状態となる。
【0035】
(車載システムの電気的構成)
図3は、車載システム100の電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
図3に示すように、車載システム100は、外部制御部131と、高圧ガス貯留装置10と、を備えている。
【0036】
外部制御部131は、例えば車載ECU(電子制御装置)として構成されている。外部制御部131は、情報処理機能等を有する情報処理装置である。外部制御部131は、例えばマイクロコンピュータを主体として構成されており、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)等のメモリ等を有している。外部制御部131は、タンク20から内燃機関110への高圧ガスの供給量を制御する。例えば、外部制御部131は、車両のアクセルペダルの操作量に関する信号に基づいて、燃料ポンプ23を制御し、燃料(高圧ガス)の供給量を制御する。より具体的には、外部制御部131は、濃度センサ33の検出結果に基づいて燃料ポンプ23を制御し、タンク20から内燃機関110への高圧ガスの供給量を調整する。
【0037】
高圧ガス貯留装置10は、制御部71と、燃料ポンプ23と、圧力センサ24と、制御弁25と、濃度センサ33と、報知部72と、を備えている。制御部71は、情報処理機能等を有する情報処理装置である。制御部71は、例えばマイクロコンピュータを主体として構成されており、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)等のメモリ等を有している。制御部71は、高圧ガス貯留装置10全体の制御を行う。制御部71は、燃料ポンプ23、制御弁25、及び報知部72を制御する。
【0038】
報知部72は、車両のインストルメントパネルに表示される警告ランプや、車両のキャビン内に警報音を発するスピーカー等である。報知部72は、制御部71からの制御信号(異常検出信号)に基づいて動作する。報知部72は、例えば、圧力センサ24によって検出されるタンク20内の圧力が予め設定された閾値を超えた場合や、濃度センサ33によって検出される保留空間Sにおける気化ガスの濃度が予め設定された閾値を超えた場合等に、報知動作を行う。
【0039】
(高圧ガス貯留装置の作用)
次に、本実施例1の高圧ガス貯留装置10の作用を説明する。高圧ガスを貯留するタンク20は、その全体が気密性を有する外殻体30によって包囲されている。タンク20と外殻体30との間には、タンク20から漏れた気化ガスを一時的に貯留するための保留空間Sが確保されている。これにより、万一、タンク20内の高圧ガスがタンク20外へ漏れたとしても、漏れた気化ガスは、保留空間S内に留まる。
【0040】
高圧ガス貯留装置10において、燃焼用エアを内燃機関110へ供給する給気路60は、保留空間Sを経由する構成である。これにより、タンク20内から漏出した高圧ガスを、給気路60(第2経路62)を介して内燃機関110へ供給できる。例えば、タンク20から保留空間Sに漏れた気化ガスは、給気路60(第2経路62)によって内燃機関110へ送られて消費されるため、大気中に放出されずに有効利用できる。また、タンク20から保留空間Sに漏れた気化ガスが内燃機関110へ送られることで、保留空間Sの内圧の上昇を抑制できる。そのため、外殻体30において、過度な強度確保が不要となり、軽量化や小型化を実現できる。
【0041】
高圧ガス貯留装置10は、給気路60において、吸気部120と保留空間Sとの間に、保留空間Sから吸気部120への燃焼用エアの流れを規制する逆止弁63を備えている。これにより、気化ガスが吸気部120へ逆流することを防げる。
【0042】
高圧ガス貯留装置10は、タンク20内の圧力を検出する圧力センサ24と、圧力センサ24の検出結果に基づいて、タンク20から保留空間Sへ気化ガスを送り出す制御弁25と、を備えている。例えば、圧力センサ24によって検出されたタンク20内の圧力が予め設定された閾値を超えた場合に、制御弁25を閉状態から開状態に制御する。これにより、高圧ガス貯留装置10は、タンク20の内圧が過剰に上昇することを防ぐことができる。
【0043】
高圧ガス貯留装置10は、外部制御部131によってタンク20から内燃機関110への高圧ガスの供給量が制御される車載システム100に用いられる。高圧ガス貯留装置10は、保留空間Sにおける気化ガスの濃度を検出する濃度センサ33と、濃度センサ33の検出結果に基づく外部制御部131の制御によって、タンク20から内燃機関110への高圧ガスの供給量を調整する燃料ポンプ23と、を備えている。これにより、外部制御部131が、濃度センサ33の検出結果(保留空間Sにおける気化ガスの濃度)に基づいて、タンク20から内燃機関110への高圧ガスの供給量を燃料ポンプ23に調整させる。そのため、給気路60を介した気化ガスの内燃機関110への供給量を考慮しつつ、所望の供給量となるような高圧ガスを内燃機関110に供給できる。これにより、例えばアクセルワークに対するエンジン出力を安定させることができる。
【0044】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
・本発明は、タンク20に貯留される液化ガスが、エンジン用のガス燃料として使用される液化石油ガス(LPG)や、燃料電池用のガス燃料として使用される液体水素や、ガス燃料となる気体(例えば、水素)の貯蔵手段であるエネルギーキャリアである場合にも適用できる。
・実施例1では、タンク20に液化ガスと気化ガスを貯留したが、タンク20には、高圧の気化ガスのみを貯留してもよい。この高圧の気化ガスは、液化ガスの蒸発によって生成された気体ではなく、加圧する過程で大気圧下と同じく気相を保った気体である。気相を保った高圧の気化ガスの具体例としては、圧縮天然ガス(CNG)等がある。
・実施例1において、保留空間Sに貯留する気体は、気化ガスよりも比重の小さいものでもよい。この場合、濃度センサ33は、保留空間Sの下端部に配置することが好ましい。
・実施例1では、吸気部120は、自然吸気口であったが、内燃機関が過給機内燃機関の場合に、吸入した空気を圧縮し送り込む装置であってもよい。
・実施例1において、逆止弁64は、制御弁であってもよい。この制御弁を閉状態とする場合、例えば給気路60とは別に設けられる給気路(吸気部120と内燃機関110との間に設けられる通路)を介して内燃機関110に燃焼用エアを供給してもよい。
・実施例1では、調整部の一例として、燃料ポンプ23を例示したが、供給路50に設けられる制御弁であってもよい。
・実施例1では、外部制御部131が、濃度センサ33の検出結果に基づいて燃料ポンプ23を制御し、タンク20から内燃機関110への高圧ガスの供給量を調整する構成であったが、濃度センサ33の検出結果を取得した制御部71が調整してもよい。
・実施例1において、制御部71と外部制御部131とが同じ1つの制御部として構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0045】
10: 高圧ガス貯留装置
20: タンク
21: 筒部
22: ドーム部
23: 燃料ポンプ(調整部)
24: 圧力センサ
25: 制御弁
26: 安全弁
30: 外殻体
31: 筒状部材
32: ドーム状部材
33: 濃度センサ
34: 安全弁
40: 内燃機関
50: 供給路
60: 給気路
61: 第1経路
62: 第2経路
63: 逆止弁
64: 逆止弁
71: 制御部
72: 報知部
100: 車載システム
110: 内燃機関
120: 吸気部
131: 外部制御部
S: 保留空間