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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024979
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】壁
(51)【国際特許分類】
   E04C 5/07 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
E04C5/07
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129393
(22)【出願日】2023-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 達彦
(72)【発明者】
【氏名】萩尾 浩也
(72)【発明者】
【氏名】岸 浩行
(72)【発明者】
【氏名】巻島 一穂
(72)【発明者】
【氏名】山室 涼平
(72)【発明者】
【氏名】石田 昌也
【テーマコード(参考)】
2E164
【Fターム(参考)】
2E164AA05
(57)【要約】
【課題】壁躯体の防水性を損なわずに、工期を短くしつつ、地震時の壁の開口部周りのひび割れを抑制する技術を提供する。
【解決手段】壁は、壁体部と、前記壁体部を貫通する開口部と、前記壁体部に貼付された補強材と、を備え、前記補強材は、前記壁体部の周縁の側部との間に幅方向での隙間を形成するように、前記開口部の周りに配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁体部と、
前記壁体部を貫通する開口部と、
前記壁体部に貼付された補強材と、を備え、
前記補強材は、前記壁体部の周縁の側部との間に幅方向での隙間を形成するように、前記開口部の周りに配置される、ことを特徴とする壁。
【請求項2】
前記補強材は、帯状に形成される、
請求項1に記載の壁。
【請求項3】
前記開口部は、少なくとも1つの角を有し、
前記補強材は、前記開口部に隣接して配置され、
前記補強材の一部分は、前記角に対向する、
請求項2に記載の壁。
【請求項4】
前記補強材は、前記角を形成する前記開口部の縁部に対して斜めに配置される、
請求項3に記載の壁。
【請求項5】
前記補強材は、前記開口部の側方において上下方向に延在する、
請求項3に記載の壁。
【請求項6】
前記開口部は、円形に形成され、
前記補強材は、前記開口部に隣接して配置され、前記開口部を包囲する、
請求項2に記載の壁。
【請求項7】
前記開口部は、前記壁体部の周縁の一部に隣接して配置され、
前記補強材は、前記周縁の一部との間に前記開口部を置いて配置される、
請求項2に記載の壁。
【請求項8】
前記補強材は、複数設けられ、
前記補強材は、複数が少なくとも一つの交差部を形成する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の壁。
【請求項9】
前記補強材は、少なくとも炭素繊維強化樹脂を含む、
請求項1に記載の壁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、貫通孔の開口端周囲に開口補強筋を設けた有開口壁が知られている(例えば特許文献1)。開口補強筋は、開口から発生し得るひび割れを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-320687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の技術では、既存壁に新たな開口を設ける場合、開口端周囲のコンクリートを一度除去し、開口補強筋を配置した後、開口端周囲をコンクリート打設または接着性モルタルで塗り込めるため、壁の防水性を損なうと共に、ひび割れを生じることや、工期が長くなるおそれがある。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、壁躯体の防水性を損なわずに、工期を短くしつつ、地震時の壁の開口部周りのひび割れを抑制する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る壁は、壁体部と、前記壁体部を貫通する開口部と、前記壁体部に貼付された補強材と、を備え、前記補強材は、前記壁体部の周縁の側部との間に幅方向での隙間を形成するように、前記開口部の周りに配置される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、壁躯体の防水性を損なわずに、工期を短くしつつ、地震時の壁の開口部周りのひび割れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係る壁の一例を示す正面図である。
図2図1に示す壁の内部鉄筋構造を示す縦断面図である。
図3】第1実施形態の変形例1に係る壁の一例を示す正面図である。
図4】第1実施形態の変形例2に係る壁の一例を示す正面図である。
図5】第1実施形態の変形例3に係る壁の一例を示す正面図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る壁の一例を示す正面図である。
図7】第2実施形態の変形例1に係る壁の一例を示す正面図である。
図8】第2実施形態の変形例2に係る壁の一例を示す正面図である。
図9】第2実施形態の変形例3に係る壁の一例を示す正面図である。
図10】本発明の第3実施形態に係る壁の一例を示す正面図である。
図11】本発明の第4実施形態に係る壁の一例を示す正面図である。
図12】第4実施形態の変形例1に係る壁の一例を示す正面図である。
図13】第4実施形態の変形例2に係る壁の一例を示す正面図である。
図14】第4実施形態の変形例3に係る壁の一例を示す正面図である。
図15】第4実施形態の変形例4に係る壁の一例を示す正面図である。
図16】第4実施形態の変形例5に係る壁の一例を示す正面図である。
図17】第4実施形態の変形例6に係る壁の一例を示す正面図である。
図18】本発明の第5実施形態に係る壁の一例を示す正面図である。
図19】第5実施形態の変形例1に係る壁の一例を示す正面図である。
図20】本発明の第6実施形態に係る壁の一例を示す正面図である。
図21】本発明の第7実施形態に係る壁の一例を示す正面図である。
図22】第7実施形態の変形例1に係る壁の一例を示す正面図である。
図23】第7実施形態の変形例2に係る壁の一例を示す正面図である。
図24】第7実施形態の変形例3に係る壁の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る壁2の一例を示す正面図である。図2は、図1に示す壁2の内部鉄筋構造を示す縦断面図である。
【0010】
なお、説明の便宜上、壁2を正面から見た状態を基準に、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」をそれぞれ定義する。即ち、各図に示される矢印「上」及び「下」は、壁2の上下方向を示し、矢印「左」及び「右」は壁2の左右方向(幅方向)を示している。前後方向は、上下方向及び左右方向に垂直な方向、即ち紙面に垂直な方向である。
【0011】
<壁>
図1に示すように、壁2は、柱部4と梁部6とからなる架構面内に配置される。柱部4は、上下方向に延び、左右方向に隔離して構築される一対の構造体である。梁部6は、左右方向に延び、上下方向に隔離して構築される一対の構造体である。本実施形態において、柱部4及び梁部6はコンクリート製である。
【0012】
壁2は、壁体部200、開口部14、第1補強材20、第2補強材22、第3補強材24、及び第4補強材26を備える。第1補強材20、第2補強材22、第3補強材24、及び第4補強材26は、本発明に係る補強材の一例である。以下、第1補強材20、第2補強材22、第3補強材24、及び第4補強材26をまとめて、単に、補強材20~26とも記載する。
【0013】
<壁体部>
壁体部200は、鉄筋コンクリート構造である。なお、壁体部200はモルタル製であってもよく、この場合、壁体部200の内部には配筋されない。壁体部200は、上下方向よりも左右方向に長い矩形である。なお、壁体部200の形状はこれに限定されない。壁体部200は、壁体部200の外周を縁取る周縁30を有する。周縁30は、上周縁部32、下周縁部34、左周縁部36(側部の一例)、及び右周縁部38(側部の一例)を有する。上周縁部32及び下周縁部34は、周縁30のうち上下の部分であり、互いに平行に延在する。左周縁部36及び右周縁部38は、周縁30のうち左右の部分であり、互いに平行に延在する。
【0014】
図2に示すように、壁体部200の内部には、複数本の縦筋8及び横筋10が格子状に配設される。各横筋10は、それぞれの端部が左右の柱部4へと延出されている。横筋10の端部はそれぞれ、柱部4の内部に配筋された柱主筋12へと導出されて、柱部4の内部に埋め込まれている。各縦筋8は、それぞれの端部が上下の梁部6へと延出されている。縦筋8の端部はそれぞれ、梁部6の内部に埋め込まれている。このように、壁2は、柱部4及び梁部6に対して一体的に構築されている。
【0015】
<開口部>
開口部14は、壁体部200の中央において、壁体部200を前後方向に貫通して形成されている。開口部14は、リニューアル工事等において、既存の建物の窓部やドア設置部等として利用すべく形成されてもよいし、建設当初から形成されてもよい。
【0016】
開口部14は、上下方向よりも左右方向に長い矩形である。なお、開口部14は、少なくとも1つの角を有していればよく、その形状は、上下方向よりも左右方向に長い矩形に限定されない。開口部14は、壁体部200を貫通する空間を縁取る縁部140を有する。縁部140は、上縁部142、下縁部144、左縁部146、右縁部148、及び4つの角150を有する。上縁部142及び下縁部144は、上下方向に隔離して、互いに平行に延在する。左縁部146及び右縁部148は、左右方向に隔離して、互いに平行に延在する。
【0017】
<補強材>
補強材20~26は、所定の厚みを有し、帯状に形成される。補強材20~26は、壁体部200の表面200aに接着剤により貼付される。なお、補強材20~26は、壁体部200の裏面、又は表面200aと裏面の両面に接着剤により貼付されてもよい。補強材20~26は、壁2に加えられた外力(例えば地震力)により応力を発生して、当該外力に対して抵抗する。
【0018】
第1補強材20及び第2補強材22は、それぞれ、開口部14の周り、具体的には左縁部146の左側及び右縁部148の右側において、左縁部146及び右縁部148に隣接して配置され、上下方向に延在する。第1補強材20及び第2補強材22の上下端は、開口部14の上縁部142及び下縁部144を超えた位置、具体的には第3補強材24の上側及び第4補強材26の下側に配置される。このため、第1補強材20及び第2補強材22は、それぞれ、その一部分において、開口部14の角150に対向する。第1補強材20及び第2補強材22は、それぞれ、壁体部200の左周縁部36及び右周縁部38との間に幅方向での隙間を形成する。また、第1補強材20及び第2補強材22は、それぞれ、壁体部200の上周縁部32及び下周縁部34との間に上下方向での隙間を形成する。
【0019】
第3補強材24及び第4補強材26は、それぞれ、開口部14の周り、具体的には上縁部142の上側及び下縁部144の下側において、上縁部142及び下縁部144に隣接して配置され、左右方向(幅方向)に延在する。第3補強材24及び第4補強材26の左右端は、開口部14の左縁部146及び右縁部148を超えた位置、具体的には第1補強材20の左側及び第2補強材22の右側に配置される。このため、第3補強材24及び第4補強材26は、それぞれ、その一部分において、開口部14の角150に対向する。第3補強材24及び第4補強材26は、それぞれ、壁体部200の左周縁部36及び右周縁部38との間に左右方向(幅方向)での隙間を形成する。また、第3補強材24及び第4補強材26は、それぞれ、壁体部200の上周縁部32及び下周縁部34との間に上下方向での隙間を形成する。
【0020】
図1に示すように、第1補強材20及び第3補強材24は、開口部14の左側且つ上側に、交差部204を形成する。交差部204において、第1補強材20及び第3補強材24のいずれが上であってもよい。また、第1補強材20及び第4補強材26は、開口部14の左側且つ下側に、交差部206を形成する。交差部206において、第1補強材20及び第4補強材26のいずれが上であってもよい。第2補強材22及び第3補強材24は、開口部14の右側且つ上側に、交差部224を形成する。交差部224において、第2補強材22及び第3補強材24のいずれが上であってもよい。第2補強材22及び第4補強材26は、開口部14の右側且つ下側に、交差部226を形成する。交差部226において、第2補強材22及び第4補強材26のいずれが上であってもよい。
【0021】
補強材20~26は、少なくとも炭素繊維強化樹脂(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)を含む。本実施形態では、補強材20~26が、炭素繊維強化樹脂である場合を説明する。炭素繊維強化樹脂は、炭素繊維を内部に備えた樹脂であり、この炭素繊維が、補強材20~26の長手方向に沿って延びるように埋め込まれている。この炭素繊維強化樹脂は、引張強度が非常に高く、非常に軽量であり、補強材20~26の材料として優れる。なお、本発明に係る補強材の例としては、炭素繊維強化樹脂に限らず、アラミド樹脂やガラス繊維等の各種高強度繊維を備えた樹脂であってもよいし、金属製の板であってもよい。補強材20~26の幅寸法や長さ、開口部14の縁部140からの距離、壁体部200の周縁30からの距離は、開口部14から発生するひび割れの進展を抑制する観点から、必要に応じて適時設定されるのが好ましい。
【0022】
本実施形態に係る壁2では、補強材20~26は、交差部204,206,224,226を形成しつつ、壁体部200に貼付されている。このため、地震等により壁2に外力が加わった場合であっても、その外力によって補強材20~26にも応力が発生し、補強材20~26が抵抗する。このとき、交差部204,206,224,226が形成されることから、補強材20~26は、外力に対してより強く抵抗できる。このため、開口部14を起点とするひび割れが、壁体部200に発生することを抑制できる。補強材20~26は、接着剤を用いて、壁体部200に貼付されているので、工期を短くすることができる。
【0023】
ここで、外力に起因するひび割れは、開口部14の角150を起点として生じやすい。この点、本実施形態に係る壁2では、補強材20~26は、開口部14の角150に対向しつつ、開口部14に隣接して配置される。このため、仮に角150を起点としたひび割れが生じた場合であっても、角150に対向する補強材20~26によって、ひび割れの進展を抑制できる。この結果、壁体部200の内部に水等の異物が進入することを抑制できる。
【0024】
また、本実施形態に係る壁2では、補強材20~26と、壁体部200の周縁30との間に隙間が形成されるので、補強材20~26を周縁30まで延ばす場合と比較して、補強材20~26の使用量を減らすことができ、これによりコスト削減を達成することができる。
【0025】
[第1実施形態の変形例1]
次いで、第1実施形態の変形例1について説明する。図3は、第1実施形態の変形例1に係る壁2aの一例を示す正面図である。壁2aは、第1実施形態の壁2に対して、第3補強材24及び第4補強材26が設けられない点で異なる。以下、上述の壁2と同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略し、異なる部分について説明する。
【0026】
図3に示すように、壁2aにおいては、第3補強材24及び第4補強材26が設けられていない。このため、本変形例に係る壁2aでは、第1実施形態で形成された交差部204,206,224,226も設けられない。本変形例に係る壁2aは、上記以外の点では、第1実施形態の壁2と同一である。
【0027】
本変形例に係る壁2aでは、第3補強材24及び第4補強材26が設けられていないため、使用量を減らすことができ、これによりコスト削減を達成することができる。また、工期を短くできる。
【0028】
[第1実施形態の変形例2]
次いで、第1実施形態の変形例2について説明する。図4は、第1実施形態の変形例2に係る壁2bの一例を示す正面図である。壁2bは、第1実施形態の変形例1の壁2aに対して、第1補強材20及び第2補強材22の長さ、及び、追加補強材20L1,20L2,22R1,22R2が設けられる点で異なる。以下、上述の壁2aと同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略し、異なる部分について説明する。
【0029】
図4に示すように、第1補強材20及び第2補強材22は、それぞれ、開口部14の周り、具体的には左縁部146の左側及び右縁部148の右側において、左縁部146及び右縁部148に隣接して配置され、上下方向に延在する。第1補強材20及び第2補強材22の上下端は、それぞれ、壁体部200の上周縁部32及び下周縁部34に接している。本変形例では、第1補強材20及び第2補強材22は、それぞれ、壁体部200の左周縁部36及び右周縁部38との間に幅方向での隙間を形成する。一方、第1補強材20及び第2補強材22は、それぞれ、壁体部200の上周縁部32及び下周縁部34との間に上下方向での隙間を形成しない。
【0030】
本変形例の壁2bは、第1補強材20の左側に、2本の左追加補強材20L1,20L2を有する。左追加補強材20L1,20L2は、帯状に形成され、上下方向に延在する。左追加補強材20L1,20L2の上下端は、それぞれ、壁体部200の上周縁部32及び下周縁部34に接している。左追加補強材20L1,20L2は、第1補強材20と同一幅に形成される。
【0031】
また、壁2bは、第2補強材22の右側に、2本の右追加補強材22R1,22R2を有する。右追加補強材22R1,22R2は、帯状に形成され、上下方向に延在する。右追加補強材22R1,22R2の上下端は、それぞれ、壁体部200の上周縁部32及び下周縁部34に接している。右追加補強材22R1,22R2は、第2補強材22と同一幅に形成される。
【0032】
左追加補強材20L1,20L2及び右追加補強材22R1,22R2は、それぞれ、その数、幅寸法、及び長さ、第1補強材20及び第2補強材22からの距離、壁体部200の左周縁部36及び右周縁部38からの距離が、開口部14から発生するひび割れの進展を抑制する観点から、必要に応じて適時設定されるのが好ましい。
【0033】
本変形例に係る壁2bでは、第1補強材20及び第2補強材22の上下端がそれぞれ、壁体部200の上周縁部32及び下周縁部34に接している。このため、開口部14を起点とするひび割れの幅方向への進展を抑制することができる。
【0034】
また、壁2bでは、第1補強材20の左側に、2本の左追加補強材20L1,20L2が設けられ、第2補強材22の右側に、2本の右追加補強材22R1,22R2が設けられる。このため、開口部14を起点とするひび割れが、第1補強材20及び第2補強材22を越えて幅方向に進展した場合であっても、当該ひび割れが、更に幅方向へ進展することを抑制できる。この結果、壁体部200の内部に水等の異物が進入することを抑制できる。
【0035】
[第1実施形態の変形例3]
次いで、第1実施形態の変形例3について説明する。図5は、第1実施形態の変形例3に係る壁2cの一例を示す正面図である。壁2cは、第1実施形態の壁2に対して、第1補強材20及び第2補強材22の長さが異なる。以下、上述の壁2と同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略し、異なる部分について説明する。
【0036】
図5に示すように、第1補強材20及び第2補強材22の上下端は、開口部14の上縁部142及び下縁部144を僅かに超えた位置、具体的には上縁部142と第3補強材24との間及び下縁部144と第4補強材26との間に配置される。このため、第1補強材20及び第2補強材22は、それぞれ、第3補強材24及び第4補強材26との間に交差部204,206,224,226を形成しない。
【0037】
本変形例に係る壁2cでは、第1補強材20及び第2補強材22の上下端が、第3補強材24及び第4補強材26の間に配置されるので、第1実施形態の壁2と比較して、第1補強材20及び第2補強材22の使用量を減らすことができ、これによりコスト削減を達成することができる。
【0038】
[第2実施形態]
次いで、本発明の第2実施形態について説明する。図6は、本発明の第2実施形態に係る壁2dの一例を示す正面図である。壁2dは、第1実施形態の壁2に対して、後述する補強材40~46の向きが異なる。以下、上述の壁2と同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略し、異なる部分について説明する。
【0039】
図6に示すように、壁2dは、第5補強材40、第6補強材42、第7補強材44、及び第8補強材46を備える。第5補強材40、第6補強材42、第7補強材44、及び第8補強材46は、本発明に係る補強材の一例である。以下、第5補強材40、第6補強材42、第7補強材44、及び第8補強材46をまとめて、単に、補強材40~46とも記載する。
【0040】
補強材40~46は、所定の厚みを有し、帯状に形成される。補強材40~46は、壁体部200の表面200aに接着剤により貼付される。なお、補強材40~46は、壁体部200の裏面、又は表面200aと裏面の両面に接着剤により貼付されてもよい。補強材40~46は、壁2に加えられた外力(例えば地震力)により応力を発生して、当該外力に対して抵抗する。
【0041】
第5補強材40は、開口部14の周り、具体的には開口部14の左上側に配置される。第5補強材40は、開口部14の左上の角150を形成する上縁部142及び左縁部146に対して斜め、具体的には当該角150の右上から左下に向かって斜めに配置される。第5補強材40の上端は、上縁部142の上側に配置され、第5補強材40の下端は、左縁部146の左側に配置される。このため、第5補強材40は、その一部分において、開口部14の左上の角150に対向する。
【0042】
第6補強材42は、開口部14の周り、具体的には開口部14の右上側に配置される。第6補強材42は、開口部14の右上の角150を形成する上縁部142及び右縁部148に対して斜め、具体的には当該角150の左上から右下に向かって斜めに配置される。第6補強材42の上端は、上縁部142の上側に配置され、第6補強材42の下端は、右縁部148の右側に配置される。このため、第6補強材42は、その一部分において、開口部14の右上の角150に対向する。
【0043】
第7補強材44は、開口部14の周り、具体的には開口部14の左下側に配置される。第7補強材44は、開口部14の左下の角150を形成する下縁部144及び左縁部146に対して斜め、具体的には当該角150の右下から左上に向かって斜めに配置される。第7補強材44の上端は、左縁部146の左側に配置され、第7補強材44の下端は、下縁部144の下側に配置される。このため、第7補強材44は、その一部分において、開口部14の左下の角150に対向する。
【0044】
第8補強材46は、開口部14の周り、具体的には開口部14の右下側に配置される。第8補強材46は、開口部14の右下の角150を形成する下縁部144及び右縁部148に対して斜め、具体的には当該角150の左下から右上に向かって斜めに配置される。第8補強材46の上端は、右縁部148の右側に配置され、第8補強材46の下端は、下縁部144の下側に配置される。このため、第8補強材46は、その一部分において、開口部14の右下の角150に対向する。
【0045】
補強材40~46は、それぞれ、壁体部200の左周縁部36及び右周縁部38との間に幅方向での隙間を形成する。また、補強材40~46は、それぞれ、壁体部200の上周縁部32及び下周縁部34との間に上下方向での隙間を形成する。補強材40~46の長さは、補強材40~46により交差部が形成されないよう設定されている。補強材40~46の幅寸法、開口部14の角150からの距離、壁体部200の周縁30からの距離は、開口部14から発生するひび割れの進展を抑制する観点から、必要に応じて適時設定されるのが好ましい。
【0046】
本実施形態に係る壁2dでは、補強材40~46は、開口部14の角150に対向しつつ、角150を形成する縁部140、具体的には上縁部142、下縁部144、左縁部146、及び右縁部148に対し斜めに配置される。このため、地震等により壁2dに外力、具体的には上下方向及び左右方向の2方向の外力が加わった場合であっても、これら外力によって補強材40~46にも応力が発生し、補強材40~46が抵抗する。よって、開口部14を起点とするひび割れが、壁体部200に発生することを抑制できる。仮に、角150を起点としたひび割れが生じた場合であっても、角150に対向する補強材40~46によって、ひび割れの進展を抑制できる。この結果、壁体部200の内部に水等の異物が進入することを抑制できる。
【0047】
[第2実施形態の変形例1]
次いで、第2実施形態の変形例1について説明する。図7は、第2実施形態の変形例1に係る壁2eの一例を示す正面図である。壁2eは、第2実施形態の壁2dに対して、補強材40~46の長さ、及び、交差部402,404,426,446が形成される点で異なる。以下、上述の壁2dと同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略し、異なる部分について説明する。
【0048】
図7に示すように、補強材40~46の長さは、補強材40~46により交差部402,404,426,446が形成されるよう設定されている。
【0049】
第5補強材40及び第6補強材42は、開口部14の上側に、交差部402を形成する。交差部402において、第5補強材40及び第6補強材42のいずれが上であってもよい。また、第5補強材40及び第7補強材44は、開口部14の左側に、交差部404を形成する。交差部404において、第5補強材40及び第7補強材44のいずれが上であってもよい。第6補強材42及び第8補強材46は、開口部14の右側に、交差部426を形成する。交差部426において、第6補強材42及び第8補強材46のいずれが上であってもよい。第7補強材44及び第8補強材46は、開口部14の下側に、交差部446を形成する。交差部446において、第7補強材44及び第8補強材46のいずれが上であってもよい。
【0050】
本変形例に係る壁2eでは、補強材40~46により交差部402,404,426,446が形成される。このため、地震等により壁2eに外力が加わった場合であっても、その外力によって補強材40~46にも応力が発生し、補強材40~46が抵抗する。このとき、交差部402,404,426,446が形成されることから、補強材40~46は、外力に対してより強く抵抗できる。このため、開口部14を起点とするひび割れが、壁体部200に発生することを抑制できる。仮に開口部14を起点としたひび割れが生じた場合であっても、開口部14を包囲する補強材20~26によって、ひび割れの進展を抑制できる。
【0051】
[第2実施形態の変形例2]
次いで、第2実施形態の変形例2について説明する。図8は、第2実施形態の変形例2に係る壁2fの一例を示す正面図である。壁2fは、第2実施形態の変形例1の壁2eに対して、追加補強材40L1,40L2,42R1,42R2,44L1,44L2,46R1,46R2が設けられる点で異なる。以下、上述の壁2eと同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略し、異なる部分について説明する。
【0052】
図8に示すように、本変形例の壁2fは、第5補強材40の左側に、2本の左上追加補強材40L1,40L2を有する。左上追加補強材40L1,40L2は、帯状に形成され、第5補強材40と平行に延在する。左上追加補強材40L1,40L2は、第5補強材40と同一幅に形成される。
【0053】
また、壁2fは、第6補強材42の右側に、2本の右上追加補強材42R1,42R2を有する。右上追加補強材42R1,42R2は、帯状に形成され、第6補強材42と平行に延在する。右上追加補強材42R1,42R2は、第6補強材42と同一幅に形成される。
【0054】
また、壁2fは、第7補強材44の左側に、2本の左下追加補強材44L1,44L2を有する。左下追加補強材44L1,44L2は、帯状に形成され、第7補強材44と平行に延在する。左下追加補強材44L1,44L2は、第7補強材44と同一幅に形成される。
【0055】
また、壁2fは、第8補強材46の右側に、2本の右下追加補強材46R1,46R2を有する。右下追加補強材46R1,46R2は、帯状に形成され、第8補強材46と平行に延在する。右下追加補強材46R1,46R2は、第8補強材46と同一幅に形成される。
【0056】
左上追加補強材40L1,40L2及び左下追加補強材44L1,44L2は、それぞれ、交差部404の左側において、交差部404L1,404L2を形成する。右上追加補強材42R1,42R2及び右下追加補強材46R1,46R2は、それぞれ、交差部426の右側において、交差部426R1,426R2を形成する。
【0057】
追加補強材40L1,40L2,42R1,42R2,44L1,44L2,46R1,46R2は、それぞれ、その数、幅寸法、及び長さ、補強材40~46からの距離、壁体部200の周縁30からの距離が、開口部14から発生するひび割れの進展を抑制する観点から、必要に応じて適時設定されるのが好ましい。
【0058】
本変形例に係る壁2fでは、第5補強材40及び第7補強材44の左側に、2本の左上追加補強材40L1,40L2、及び2本の左下追加補強材44L1,44L2が設けられる。また、第6補強材42及び第8補強材46の右側に、2本の右上追加補強材42R1,42R2、及び2本の右下追加補強材46R1,46R2が設けられる。このため、開口部14を起点とするひび割れが、補強材40~46を越えて幅方向に進展した場合であっても、当該ひび割れが、更に幅方向へ進展することを抑制できる。この結果、壁体部200の内部に水等の異物が進入することを抑制できる。
【0059】
また、壁2fでは、追加補強材40L1,40L2,42R1,42R2,44L1,44L2,46R1,46R2により交差部404L1,404L2,426R1,426R2が形成される。このため、地震等により壁2fに外力が加わった場合であっても、その外力によって追加補強材40L1,40L2,42R1,42R2,44L1,44L2,46R1,46R2にも応力が発生し、追加補強材40L1,40L2,42R1,42R2,44L1,44L2,46R1,46R2も抵抗する。このとき、交差部404L1,404L2,426R1,426R2が形成されることから、追加補強材40L1,40L2,42R1,42R2,44L1,44L2,46R1,46R2は、外力に対してより強く抵抗できる。このため、開口部14を起点とするひび割れが、壁体部200に発生することを抑制できる。
【0060】
[第2実施形態の変形例3]
次いで、第2実施形態の変形例3について説明する。図9は、第2実施形態の変形例3に係る壁2gの一例を示す正面図である。壁2gは、第2実施形態の変形例1の壁2eに対して、補強材20,22,40,42,44,46の配置パターンの点で異なる。以下、上述の壁2eと同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略し、異なる部分について説明する。
【0061】
図9に示すように、壁2gは、第1補強材20、第2補強材22、第5補強材40、第6補強材42、第7補強材44、及び第8補強材46を備える。以下、第1補強材20、第2補強材22、第5補強材40、第6補強材42、第7補強材44、及び第8補強材46をまとめて、単に、補強材20,22,40~46とも記載する。
【0062】
第1補強材20及び第5補強材40は、開口部14の左上側に、交差部506を形成する。交差部506において、第1補強材20及び第5補強材40のいずれが上であってもよい。また、第1補強材20及び第7補強材44は、開口部14の左下側に、交差部505を形成する。交差部505において、第1補強材20及び第7補強材44のいずれが上であってもよい。第6補強材42及び第2補強材22は、開口部14の右上側に、交差部502を形成する。交差部502において、第6補強材42及び第2補強材22のいずれが上であってもよい。第8補強材46及び第2補強材22は、開口部14の右下側に、交差部503を形成する。交差部503において、第8補強材46及び第2補強材22のいずれが上であってもよい。本変形例では、交差部の数が6個の場合を説明するが、交差部の数はこれに限定されるものではなく、例えば、8個であってもよい。
【0063】
本変形例に係る壁2gでは、補強材20,22,40~46により、6個の交差部402,446,502,503,505,506が形成される。このため、地震等により壁2gに外力が加わった場合であっても、その外力によって補強材20,22,40~46にも応力が発生し、補強材20,22,40~46が抵抗する。このとき、交差部402,446,502,503,505,506が形成されることから、補強材20,22,40~46は、外力に対してより強く抵抗できる。このため、開口部14を起点とするひび割れが、壁体部200に発生することを抑制できる。
【0064】
[第3実施形態]
次いで、第3実施形態について説明する。図10は、本発明の第3実施形態に係る壁2hの一例を示す正面図である。壁2hは、第1実施形態の壁2に対して、開口部14aの形状が異なる。以下、上述の壁2と同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略し、異なる部分について説明する。
【0065】
図10に示すように、開口部14aは、円形に形成される。
【0066】
補強材20~26は、開口部14aに隣接して配置され、開口部14aを包囲する。第1補強材20及び第2補強材22は、それぞれ、開口部14aの周り、具体的には開口部14aの左側及び右側において、上下方向に延在する。第3補強材24及び第4補強材26は、それぞれ、開口部14aの周り、具体的には開口部14aの上側及び下側において、左右方向(幅方向)に延在する。
【0067】
開口部14aが円形の場合、開口部14aにおいて、ひび割れの起点を予測するのが難しい。この点、本変形例に係る壁2hでは、補強材20~26は、開口部14aに隣接して配置され、開口部14aを包囲する。このため、開口部14aにおけるひび割れの位置に関わらず、当該ひび割れの進展を抑制できる。この結果、壁体部200の内部に水等の異物が進入することを抑制できる。
【0068】
[第4実施形態]
次いで、第4実施形態について説明する。図11は、本発明の第4実施形態に係る壁2iの一例を示す正面図である。壁2iは、第1実施形態の壁2に対して、開口部14bの位置が異なる。以下、上述の壁2と同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略し、異なる部分について説明する。
【0069】
図11に示すように、開口部14bは、壁体部200の周縁30の一部に隣接して、具体的には下周縁部34に接して配置される。本実施形態では、開口部14bは、上下方向よりも左右方向に短い矩形であるが、その形状は、これに限定されない。
【0070】
第3補強材24は、下周縁部34との間に開口部14bを置いて配置される。補強材20~24は、下周縁部34とともに、開口部14bを包囲する。本実施形態では、開口部14bが、下周縁部34に接しているので、下周縁部34の下側に第4補強材26を配置する余地がない。
【0071】
本実施形態に係る壁2iでは、補強材20~24及び下周縁部34によって、開口部14bが包囲されるので、第4補強材26を設ける必要がなく、補強材の使用量を減らすことができ、これによりコスト削減を達成することができる。また、開口部14bが下周縁部34に接して配置されるので、第4補強材26を設けなくとも、開口部14bの角150を起点とするひび割れが、壁体部200の下側へ進展することがない。
【0072】
[第4実施形態の変形例1]
次いで、第4実施形態の変形例1について説明する。図12は、第4実施形態の変形例1に係る壁2jの一例を示す正面図である。壁2jは、第4実施形態の壁2iに対して、補強材20~24が設けられず、補強材40,42及び追加補強材40L,40Rが設けられる点で異なる。以下、上述の壁2iと同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略し、異なる部分について説明する。
【0073】
図12に示すように、第5補強材40は、開口部14bの周り、具体的には開口部14bの左上側に配置される。第5補強材40は、開口部14bの左上の角150を形成する上縁部142及び左縁部146に対して斜め、具体的には当該角150の右上から左下に向かって斜めに配置される。第5補強材40の上端は、上縁部142の上側に配置され、第5補強材40の下端は、左縁部146の左側に配置される。このため、第5補強材40は、その一部分において、開口部14bの左上の角150に対向する。
【0074】
第6補強材42は、開口部14bの周り、具体的には開口部14bの右上側に配置される。第6補強材42は、開口部14bの右上の角150を形成する上縁部142及び右縁部148に対して斜め、具体的には当該角150の左上から右下に向かって斜めに配置される。第6補強材42の上端は、上縁部142の上側に配置され、第6補強材42の下端は、右縁部148の右側に配置される。このため、第6補強材42は、その一部分において、開口部14bの右上の角150に対向する。
【0075】
本変形例の壁2fは、第5補強材40の左側に、1本の左上追加補強材40Lを有する。左上追加補強材40Lは、帯状に形成され、第5補強材40と平行に延在する。左上追加補強材40Lは、第5補強材40と同一幅に形成される。また、壁2fは、第6補強材42の右側に、1本の右上追加補強材42Rを有する。右上追加補強材42Rは、帯状に形成され、第6補強材42と平行に延在する。右上追加補強材42Rは、第6補強材42と同一幅に形成される。
【0076】
本変形例に係る壁2jでは、補強材40,42は、開口部14bの角150に対向しつつ、角150を形成する縁部140、具体的には上縁部142、左縁部146、及び右縁部148に対し斜めに配置される。このため、地震等により壁2dに外力、具体的には上下方向及び左右方向の2方向の外力が加わった場合であっても、これら外力によって補強材40,42にも応力が発生し、補強材40,42が抵抗する。よって、開口部14bを起点とするひび割れが、壁体部200に発生することを抑制できる。この結果、壁体部200の内部に水等の異物が進入することを抑制できる。
【0077】
本変形例に係る壁2jでは、第5補強材40の左側に、左上追加補強材40Lが設けられる。また、第6補強材42の右側に、右上追加補強材42Rが設けられる。このため、開口部14bを起点とするひび割れが、補強材40,42を越えて幅方向に進展した場合であっても、当該ひび割れが、更に幅方向へ進展することを抑制できる。この結果、壁体部200の内部に水等の異物が進入することを抑制できる。
【0078】
[第4実施形態の変形例2]
次いで、第4実施形態の変形例2について説明する。図13は、第4実施形態の変形例2に係る壁2kの一例を示す正面図である。壁2kは、第4実施形態の変形例1の壁2jに対して、補強材40,42の長さ、追加補強材40a,40b,42a,42b、交差補強材40c~40f,42c~42fが設けられる点で異なる。以下、上述の壁2jと同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略し、異なる部分について説明する。
【0079】
図13に示すように、第5補強材40は、開口部14の周り、具体的には開口部14の左上側に配置される。第5補強材40は、開口部14の左上の角150を形成する上縁部142及び左縁部146に対して斜め、具体的には当該角150の右上から左下に向かって斜めに配置される。第5補強材40の上端は、上周縁部32に隣接し、第5補強材40の下端は、左周縁部36に隣接する。
【0080】
第6補強材42は、開口部14の周り、具体的には開口部14の右上側に配置される。第6補強材42は、開口部14の右上の角150を形成する上縁部142及び右縁部148に対して斜め、具体的には当該角150の左上から右下に向かって斜めに配置される。第6補強材42の上端は、上周縁部32に隣接し、第6補強材42の下端は、右周縁部38に隣接する。
【0081】
本変形例の壁2kは、第5補強材40の右下側に、2本の右下追加補強材40a,40bを有する。右下追加補強材40a,40bは、帯状に形成され、第5補強材40と平行に延在する。右下追加補強材40a,40bは、第5補強材40と同一幅に形成される。また、壁2kは、交差補強材40c~40fを有する。交差補強材40cは、第5補強材40及び右下追加補強材40aと直角に交差するよう延在し、第5補強材40及び右下追加補強材40aと、交差部400c,40acを形成する。交差補強材40dは、交差補強材40cの左下に配置される。交差補強材40dは、第5補強材40及び右下追加補強材40a,40bと直角に交差するよう延在し、第5補強材40及び右下追加補強材40a,40bと、交差部400d,40ad,40bdを形成する。交差補強材40eは、交差補強材40dの左下に配置される。交差補強材40eは、第5補強材40及び右下追加補強材40a,40bと直角に交差するよう延在し、第5補強材40及び右下追加補強材40a,40bと、交差部400e,40de,40beを形成する。交差補強材40fは、交差補強材40eの左下に配置される。交差補強材40fは、右下追加補強材40a,40bと直角に交差するよう延在し、右下追加補強材40a,40bと、交差部40af,40bfを形成する。
【0082】
さらに、本変形例の壁2fは、第6補強材42の左下側に、2本の左下追加補強材42a,42bを有する。左下追加補強材42a,42bは、帯状に形成され、第6補強材42と平行に延在する。左下追加補強材42a,42bは、第6補強材42と同一幅に形成される。また、壁2fは、交差補強材42c~42fを有する。交差補強材42cは、第6補強材42及び左下追加補強材42aと直角に交差するよう延在し、第6補強材42及び左下追加補強材42aと、交差部422c,42acを形成する。交差補強材42dは、交差補強材42cの右下に配置される。交差補強材42dは、第6補強材42及び左下追加補強材42a,42bと直角に交差するよう延在し、第6補強材42及び左下追加補強材42a,42bと、交差部422d,42ad,42bdを形成する。交差補強材42eは、交差補強材42dの右下に配置される。交差補強材42eは、第6補強材42及び左下追加補強材42a,42bと直角に交差するよう延在し、第6補強材42及び左下追加補強材42a,42bと、交差部422e,42de,42beを形成する。交差補強材42fは、交差補強材42eの右下に配置される。交差補強材42fは、左下追加補強材42a,42bと直角に交差するよう延在し、左下追加補強材42a,42bと、交差部42af,42bfを形成する。
【0083】
本変形例に係る壁2kでは、第5補強材40、右下追加補強材40a,40b、交差補強材40c~40fにより、開口部14bの左側に、10個の交差部400c,40ac,400d,40ad,40bd,400e,40de,40be,40af,40bfが形成される。また、第6補強材42、左下追加補強材42a,42b、交差補強材42c~42fにより、開口部14bの右側に、10個の交差部422c,42ac,422d,42ad,42bd,422e,42de,42be,42af,42bfが形成される。このため、地震等により壁2kに外力が加わった場合であっても、その外力によって第5補強材40、右下追加補強材40a,40b、交差補強材40c~40f、第6補強材42、左下追加補強材42a,42b、交差補強材42c~42fにも応力が発生し、第5補強材40、右下追加補強材40a,40b、交差補強材40c~40f、第6補強材42、左下追加補強材42a,42b、交差補強材42c~42fが抵抗する。このとき、開口部14bの左側に、交差部400c,40ac,400d,40ad,40bd,400e,40de,40be,40af,40bf、開口部14bの右側に、交差部422c,42ac,422d,42ad,42bd,422e,42de,42be,42af,42bfが形成されることから、第5補強材40、右下追加補強材40a,40b、交差補強材40c~40f、第6補強材42、左下追加補強材42a,42b、交差補強材42c~42fは、外力に対してより強く抵抗できる。このため、開口部14bを起点とするひび割れが、壁体部200に発生することを抑制できる。
【0084】
[第4実施形態の変形例3]
次いで、第4実施形態の変形例3について説明する。図14は、第4実施形態の変形例3に係る壁2lの一例を示す正面図である。壁2lは、第4実施形態の壁2iに対して、第5補強材40及び第6補強材42が設けられる点、及び、開口部14の形状の点で異なる。以下、上述の壁2iと同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略し、異なる部分について説明する。
【0085】
図14に示すように、開口部14は、上下方向よりも左右方向に長い矩形である。なお、開口部14の形状は、これに限定されない。本変形例において、開口部14は、壁体部200の周縁30の一部に隣接して、具体的には下周縁部34から上側に僅かに隔離して配置される。なお、開口部14は、下周縁部34に接して配置されてもよい。
【0086】
第1補強材20及び第2補強材22は、それぞれ、開口部14の周り、具体的には左縁部146の左側及び右縁部148の右側において、左縁部146及び右縁部148に隣接して配置され、上下方向に延在する。第1補強材20及び第2補強材22の下端は、開口部14の下縁部144を超え、壁体部200の下周縁部34に接する。
【0087】
第1補強材20及び第5補強材40は、開口部14の左上側に、交差部240を形成する。交差部240において、第1補強材20及び第5補強材40のいずれが上であってもよい。第2補強材22及び第6補強材42は、開口部14の右上側に、交差部242を形成する。交差部242において、第2補強材22及び第6補強材42のいずれが上であってもよい。第5補強材40及び第6補強材42は、開口部14の上側に、交差部402を形成する。交差部402において、第5補強材40及び第6補強材42のいずれが上であってもよい。
【0088】
本変形例に係る壁2lでは、補強材20,22,40,42により、3個の交差部240,242,402が形成される。このため、地震等により壁2lに外力が加わった場合であっても、その外力によって補強材20,22,40,42にも応力が発生し、補強材20,22,40,42が抵抗する。このとき、交差部240,242,402が形成されることから、補強材20,22,40,42は、外力に対してより強く抵抗できる。このため、開口部14を起点とするひび割れが、壁体部200に発生することを抑制できる。
【0089】
[第4実施形態の変形例4]
次いで、第4実施形態の変形例4について説明する。図15は、第4実施形態の変形例4に係る壁2mの一例を示す正面図である。壁2mは、第4実施形態の壁2iに対して、開口部14aの位置、第8補強材46が設けられている点で異なる。以下、上述の壁2iと同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略し、異なる部分について説明する。
【0090】
図15に示すように、開口部14aは、壁体部200の左上隅に配置される。開口部14aは、壁体部200の周縁30の一部に隣接して、具体的には上周縁部32及び左周縁部36に隣接している。本変形例では、開口部14aは丸形であるが、その形状はこれに限定されない。
【0091】
第8補強材46は、上周縁部32及び左周縁部36との間に開口部14aを置いて配置される。換言すると、第8補強材46は、上周縁部32及び左周縁部36とともに、開口部14aを包囲する。
【0092】
本変形例に係る壁2mでは、第8補強材46、上周縁部32、及び左周縁部36によって、開口部14aが包囲されるので、補強材の使用量を減らすことができ、これによりコスト削減を達成することができる。また、第8補強材46を配置するだけで、他の補強材即ち第5補強材40、第6補強材42、第7補強材44を設けなくとも、開口部14aを起点とするひび割れの進展を抑制できる。
【0093】
[第4実施形態の変形例5]
次いで、第4実施形態の変形例5について説明する。図16は、第4実施形態の変形例5に係る壁2nの一例を示す正面図である。壁2nは、第4実施形態の変形例4の壁2mに対して、開口部14aの位置、並びに、第7補強材44及び第8補強材46が設けられる点で異なる。以下、上述の壁2mと同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略し、異なる部分について説明する。
【0094】
図16に示すように、開口部14aは、壁体部200の周縁30の一部に隣接して、具体的には上周縁部32に隣接して配置される。本変形例では、開口部14aは丸形であるが、その形状はこれに限定されない。
【0095】
第7補強材44及び第8補強材46は、上周縁部32との間に開口部14aを置いて配置される。換言すると、第7補強材44及び第8補強材46は、上周縁部32とともに、開口部14aを包囲する。
【0096】
本変形例に係る壁2nでは、第7補強材44、第8補強材46、及び上周縁部32によって、開口部14aが包囲されるので、補強材の使用量を減らすことができ、これによりコスト削減を達成することができる。また、第7補強材44及び第8補強材46を配置するだけで、他の補強材即ち第5補強材40、第6補強材42を設けなくとも、開口部14aを起点とするひび割れの進展を抑制できる。
【0097】
本実施形態に係る壁2nでは、第7補強材44及び第8補強材46は、交差部446を形成しつつ、壁体部200に貼付されている。このため、地震等により壁2nに外力が加わった場合であっても、その外力によって第7補強材44及び第8補強材46にも応力が発生し、第7補強材44及び第8補強材46が抵抗する。このとき、交差部446が形成されることから第7補強材44及び第8補強材46は、外力に対してより強く抵抗できる。このため、開口部14aを起点とするひび割れが、壁体部200に発生することを抑制できる。
【0098】
[第4実施形態の変形例6]
次いで、第4実施形態の変形例6について説明する。図17は、第4実施形態の変形例6に係る壁2pの一例を示す正面図である。壁2pは、第4実施形態の変形例5の壁2nに対して、第1補強材20、第2補強材22、及び第4補強材26が設けられる点で異なる。以下、上述の壁2nと同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略し、異なる部分について説明する。
【0099】
第4補強材26は、上周縁部32との間に開口部14aを置いて配置される。第1補強材20、第2補強材22、及び第4補強材26は、上周縁部32とともに、開口部14aを包囲する。
【0100】
本変形例に係る壁2pでは、第1補強材20、第2補強材22、第4補強材26、及び上周縁部32によって、開口部14aが包囲されるので、補強材の使用量を減らすことができ、これによりコスト削減を達成することができる。また、第1補強材20、第2補強材22、及び第4補強材26を配置するだけで、他の補強材即ち第3補強材24を設けなくとも、開口部14aを起点とするひび割れの進展を抑制できる。
【0101】
本実施形態に係る壁2pでは、第1補強材20、第2補強材22、及び第4補強材26は、交差部206,226を形成しつつ、壁体部200に貼付されている。このため、地震等により壁2pに外力が加わった場合であっても、その外力によって第1補強材20、第2補強材22、及び第4補強材26にも応力が発生し、第1補強材20、第2補強材22、及び第4補強材26が抵抗する。このとき、交差部206,226が形成されることから第1補強材20、第2補強材22、及び第4補強材26は、外力に対してより強く抵抗できる。このため、開口部14aを起点とするひび割れが、壁体部200に発生することを抑制できる。
【0102】
[第5実施形態]
次いで、第5実施形態について説明する。図18は、本発明の第5実施形態に係る壁2qの一例を示す正面図である。壁2qは、第2実施形態の壁2dに対して、補強材40~46の長さ、交差部404b,426bが設けられる点で異なる。以下、上述の壁2dと同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略し、異なる部分について説明する。
【0103】
本実施形態では、補強材は、複数設けられ、補強材のうち一の補強材は、一端が壁体部の周縁の上部に接し、他端が周縁の側部に接しており、補強材のうち別の補強材は、一端が周縁の下部に接し、他端が周縁の側部に接しており、一の補強材及び別の補強材は、他端の側において、交差部を形成する。
【0104】
具体的には、図18に示すように、第5補強材40(一の補強材の一例)の一端400aは、壁体部200の周縁30の上周縁部32(周縁の上部の一例)に接し、第5補強材40の他端400bは、周縁30の左周縁部36(周縁の側部の一例)に接する。第7補強材44(別の補強材の一例)の一端440aは、周縁30の下周縁部34(周縁の下部の一例)に接し、第7補強材44の他端440bは、左周縁部36に接する。第7補強材44の他端440bは、第5補強材40の他端400bより上に位置する。第5補強材40及び第7補強材44は、互いの他端400b,44bの側において、開口部14の左側に、交差部404bを形成する。交差部404bにおいて、第5補強材40及び第7補強材44のいずれが上であってもよい。第5補強材40の一端400aから第7補強材44の他端440bまでの上下方向での距離H1、第5補強材40の他端400bから第7補強材44の一端440aまでの上下方向での距離H2、及び、第5補強材40の他端400bから第7補強材44の他端440bまでの上下方向での距離H3は等しい。
【0105】
図18に示すように、第6補強材42(一の補強材の一例)の一端420aは、上周縁部32に接し、第6補強材42の他端420bは、周縁30の右周縁部38(周縁の側部の一例)に接する。第8補強材46(別の補強材の一例)の一端460aは、下周縁部34に接し、第8補強材46の他端460bは、右周縁部38に接する。第8補強材46の他端460bは、第6補強材42の他端420bより上に位置する。第6補強材42及び第8補強材46は、互いの他端420b,46bの側において、開口部14の右側に、交差部426bを形成する。交差部426bにおいて、第6補強材42及び第8補強材46のいずれが上であってもよい。第6補強材42の一端420aから第8補強材46の他端460bまでの上下方向での距離H1、第6補強材42の他端420bから第8補強材46の一端460aまでの上下方向での距離H2、及び、第6補強材42の他端420bから第8補強材46の他端460bまでの上下方向での距離H3は等しい。
【0106】
第5補強材40及び第7補強材44は、それぞれ、壁体部200の右周縁部38との間に幅方向での隙間を形成する。第6補強材42及び第8補強材46は、それぞれ、壁体部200の左周縁部36との間に幅方向での隙間を形成する。
【0107】
本実施形態に係る壁2qでは、第5補強材40は、一端400aで上周縁部32に接し、他端400bで左周縁部36に接する。第7補強材44は、一端440aで下周縁部34に接し、他端440bで左周縁部36に接する。また、第6補強材42は、一端420aで上周縁部32に接し、他端420bで右周縁部38に接する。第8補強材46は、一端460aで下周縁部34に接し、他端460bで右周縁部38に接する。このため、第5補強材40及び第7補強材44は、壁体部200における開口部14の左側の領域に配置され、第6補強材42及び第8補強材46は、壁体部200における開口部14の右側の領域に配置される。よって、壁体部200における開口部14の左側及び右側の領域を補強することができる。
【0108】
また、壁2qでは、第5補強材40の一端400aから第7補強材44の他端440bまでの上下方向での距離H1、第5補強材40の他端400bから第7補強材44の一端440aまでの上下方向での距離H2、及び、第5補強材40の他端400bから第7補強材44の他端440bまでの上下方向での距離H3は等しい。
【0109】
[第5実施形態の変形例1]
次いで、第5実施形態の変形例1について説明する。図19は、第5実施形態の変形例1に係る壁2rの一例を示す正面図である。壁2rは、第5実施形態の壁2qに対して、交差部404b,426bの位置が異なる。以下、上述の壁2aと同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略し、異なる部分について説明する。
【0110】
図19に示すように、第7補強材44の他端440bは、第5補強材40の他端400bに重なる。つまり、第5補強材40及び第7補強材44は、互いの他端400b,44bにおいて、開口部14の左側に、交差部404bを形成する。交差部404bにおいて、第5補強材40及び第7補強材44のいずれが上であってもよい。第5補強材40の一端400aから交差部404bまでの上下方向での距離H4、第7補強材44の一端440aから交差部404bまでの上下方向での距離H5は等しい。
【0111】
第6補強材42の他端420bは、第8補強材46の他端460bに重なる。つまり、第6補強材42及び第8補強材46は、互いの他端420b,46bにおいて、開口部14の右側に、交差部426bを形成する。交差部426bにおいて、第6補強材42及び第8補強材46のいずれが上であってもよい。第6補強材42の一端420aから交差部426bまでの上下方向での距離H4、第8補強材46の一端460aから交差部426bまでの上下方向での距離H5は等しい。
【0112】
本変形例に係る壁2rでは、第5補強材40の一端400aから交差部404bまでの上下方向での距離H4、第7補強材44の一端440aから交差部404bまでの上下方向での距離H5は等しい。第6補強材42の一端420aから交差部426bまでの上下方向での距離H4、第8補強材46の一端460aから交差部426bまでの上下方向での距離H5は等しい。交差部404b及び交差部426bは、開口部14の左縁部146及び右縁部148における上下方向での中間地点と、同じ高さに設定されるとよい。
【0113】
[第6実施形態]
次いで、第6実施形態について説明する。図20は、本発明の第6実施形態に係る壁2sの一例を示す正面図である。壁2sは、第1実施形態の壁2に対して、クロス型補強材(組の一例)60が設けられる点で異なる。以下、上述の壁2と同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略し、異なる部分について説明する。
【0114】
本実施形態では、補強材は、複数設けられ、補強材は、複数が少なくとも一つの交差部を形成するよう配置されて1つの組を形成し、組は、複数点在する。
【0115】
具体的には、図20に示すように、壁2sは、複数のクロス型補強材60を有する。クロス型補強材60は、第9補強材62と第10補強材64との1つの組により構成される。本実施形態において、第9補強材62は、左上から右下に向かう斜め方向に配置され、壁体部200の表面200aに貼付される。第10補強材64は、第9補強材62と重なり、交差部624を形成する。第9補強材62と第10補強材64は、一例として、直角に交差する。本実施形態において、クロス型補強材60は、複数点在する。具体的には、クロス型補強材60は、開口部14の左側に4個、開口部14の右側に4個、開口部14の上側に1個、開口部14の下側に1個、配置される。クロス型補強材60の配置パターンは、これに限定されるものではなく、開口部14から発生するひび割れの進展を抑制する観点から、必要に応じて適時設定されるのが好ましい。
【0116】
本実施形態に係る壁2sでは、複数のクロス型補強材60が、開口部14の周りに点在する。このため、地震等により壁2sに外力が加わった場合であっても、その外力によってクロス型補強材60にも応力が発生し、クロス型補強材60が抵抗する。このとき、各クロス型補強材60に交差部624が形成されることから、クロス型補強材60は、外力に対してより強く抵抗できる。このため、開口部14を起点とするひび割れが、壁体部200に発生することを抑制できる。
【0117】
[第7実施形態]
次いで、第7実施形態について説明する。図21は、本発明の第7実施形態に係る壁2tの一例を示す正面図である。壁2tは、第1実施形態の壁2に対して、右側補強材70R及び左側補強材70Lが設けられる点で異なる。以下、上述の壁2と同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略し、異なる部分について説明する。
【0118】
本実施形態では、補強材は、シート状に形成される。具体的には、右側補強材70R及び左側補強材70Lは、所定の厚みを有し、シート状に形成される。右側補強材70R及び左側補強材70Lは、壁体部200の表面200aに接着剤により貼付される。なお、右側補強材70R及び左側補強材70Lは、壁体部200の裏面、又は表面200aと裏面の両面に接着剤により貼付されてもよい。右側補強材70R及び左側補強材70Lは、壁2に加えられた外力(例えば地震力)により応力を発生して、当該外力に対して抵抗する。
【0119】
本実施形態では、開口部は、壁体部の周縁の側部との間に、少なくとも一つの隙間を有して形成され、補強材は、少なくとも一つの前記隙間に配置される。より詳細には、開口部は、開口部と側部との間に、二つの隙間を有して形成され、補強材は、複数設けられ、隙間のそれぞれに配置される。具体的には、図21に示すように、開口部14は、周縁30の左周縁部36及び右周縁部38との間に、二つの隙間を有して形成される。具体的には、開口部14は、壁体部200の中央に形成され、開口部14の左右両側には、所定の隙間が形成される。
【0120】
本実施形態において、右側補強材70Rは、上記隙間の一つ、即ち開口部14と右周縁部38との間に配置される。左側補強材70Lは、上記隙間の一つ、即ち開口部14と左周縁部36との間に配置される。右側補強材70R及び左側補強材70Lの上下端は、開口部14の上縁部142及び下縁部144を超えた位置に配置される。このため、右側補強材70R及び左側補強材70Lは、それぞれ、その一部分において、開口部14の角150に対向する。右側補強材70R及び左側補強材70Lは、それぞれ、壁体部200の左周縁部36及び右周縁部38との間に幅方向での隙間を形成する。また、右側補強材70R及び左側補強材70Lは、それぞれ、壁体部200の上周縁部32及び下周縁部34との間に上下方向での隙間を形成する。
【0121】
本実施形態に係る壁2tでは、地震等により壁2に外力が加わった場合であっても、その外力によって右側補強材70R及び左側補強材70Lにも応力が発生し、右側補強材70R及び左側補強材70Lが抵抗する。このため、開口部14を起点とするひび割れが、壁体部200に発生することを抑制できる。
【0122】
ここで、外力に起因するひび割れは、開口部14の角150を起点として生じやすい。この点、本実施形態に係る壁2tでは、右側補強材70R及び左側補強材70Lは、開口部14の角150に対向して配置される。このため、仮に角150を起点としたひび割れが生じた場合であっても、角150に対向する右側補強材70R及び左側補強材70Lによって、ひび割れの進展を抑制できる。この結果、壁体部200の内部に水等の異物が進入することを抑制できる。
【0123】
[第7実施形態の変形例1]
次いで、第7実施形態の変形例1について説明する。図22は、第7実施形態の変形例1に係る壁2uの一例を示す正面図である。壁2uは、第7実施形態の壁2tに対して、左側補強材70Lが設けられない点で異なる。以下、上述の壁2tと同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略し、異なる部分について説明する。
【0124】
本変形例では、開口部は、壁体部の周縁の一の側部の側に形成され、補強材は、開口部に対して、一の側部に対向する、壁体部の周縁の他方の側部の側に配置される。具体的には、図22に示すように、開口部14は、壁体部200の左周縁部36の側に形成される。つまり、開口部14は、右周縁部38までの距離よりも、左周縁部36までの距離が短くなる位置に形成される。
【0125】
右側補強材70Rは、開口部14に対して、左周縁部36に対向する、右周縁部38(他方の側部の一例)の側に配置される。つまり、右側補強材70Rは、開口部14の右側に配置される。
【0126】
本変形例に係る壁2uでは、地震等により壁2uに外力が加わった場合であっても、その外力によって右側補強材70Rにも応力が発生し、右側補強材70Rが抵抗する。右側補強材70Rは、右周縁部38の側に配置されるため、左周縁部36の側に配置される場合と比較して、開口部14を起点とするひび割れが、広範囲に亘って進展することを抑制できる。
【0127】
[第7実施形態の変形例2]
次いで、第7実施形態の変形例2について説明する。図23は、第7実施形態の変形例2に係る壁2vの一例を示す正面図である。壁2vは、第7実施形態の変形例1の壁2uに対して、開口部14bの位置が異なる。以下、上述の壁2uと同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略し、異なる部分について説明する。
【0128】
本変形例では、開口部は、壁体部の周縁の一の側部に接して形成され、補強材は、開口部に対して、一の側部に対向する、壁体部の周縁の他方の側部の側に配置される。具体的には、図23に示すように、開口部14bは、壁体部200の周縁30の左周縁部36に接して形成される。右側補強材70Rは、開口部14bに対して、左周縁部36に対向する、右周縁部38の側に配置される。つまり、右側補強材70Rは、開口部14bの右側に配置される。
【0129】
本変形例に係る壁2vでは、地震等により壁2vに外力が加わった場合であっても、その外力によって右側補強材70Rにも応力が発生し、右側補強材70Rが抵抗する。右側補強材70Rは、右周縁部38の側に配置されるため、開口部14を起点とするひび割れが、広範囲に亘って進展することを抑制できる。
【0130】
[第7実施形態の変形例3]
次いで、第7実施形態の変形例3について説明する。図24は、第7実施形態の変形例3に係る壁2wの一例を示す正面図である。壁2wは、第7実施形態の壁2tに対して、右側補強材70R1~70R5及び左側補強部材70L1~70L5の配置パターンが異なる。以下、上述の壁2tと同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略し、異なる部分について説明する。
【0131】
本変形例では、開口部は、開口部と側部との間に、二つの隙間を有して形成され、補強材は、隙間のそれぞれに市松模様を形成するように複数配置される。開口部は、少なくとも一つの角を有し、補強材の少なくとも一つは、角に接するように配置される。具体的には、図24に示すように、右側補強材70R1~70R5及び左側補強部材70L1~70L5は、それぞれ、開口部14の右側及び左側において、市松模様を形成するように配置される。本変形例において、右側補強材70R1~70R5及び左側補強部材70L1~70L5は、それぞれ、その一部が開口部14の角150に接するように配置される。
【0132】
本変形例に係る壁2wでは、右側補強材70R1~70R5及び左側補強部材70L1~70L5が、それぞれ、開口部14の右側及び左側において、市松模様を形成するように配置される。このため、地震等により壁2wに外力が加わった場合であっても、その外力によって右側補強材70R1~70R5及び左側補強部材70L1~70L5にも応力が発生し、右側補強材70R1~70R5及び左側補強部材70L1~70L5が抵抗する。右側補強材70R1~70R5及び左側補強部材70L1~70L5は、開口部14の右側及び左側に市松模様で配置されるため、開口部14を起点とするひび割れが、広範囲に亘って進展することを抑制できる。
【0133】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に係る壁2a~2wに限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせても良い。例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的態様によって適宜変更され得る。
【符号の説明】
【0134】
2 壁、14 開口部、20~26 第1~第4補強材(補強材)、30 周縁、36 左周縁部(側部)、38 右周縁部(側部)、200 壁体部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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