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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025007
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/02 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
D06F58/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129436
(22)【出願日】2023-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】井口 望
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA02
3B166AA05
3B166AA24
3B166AB22
3B166AB23
3B166AB30
3B166AB32
3B166AE01
3B166AE02
3B166AE07
3B166BA73
3B166CA01
3B166CA11
3B166CB01
3B166CB11
3B166DC37
3B166EA03
3B166EA14
3B166EA18
3B166EB17
3B166EB18
3B166EE01
3B166EE04
(57)【要約】
【課題】排気ダクト全体を洗浄することができる洗濯機を提供する。
【解決手段】洗濯機は、洗濯物を収容する洗濯槽と、洗濯槽内に空気を供給する循環風路と、循環風路内に流れる空気に含まれる異物を捕集するフィルタ装置と、洗濯槽に形成された排気口とフィルタ装置との間を接続する排気ダクト20とを備え、排気ダクト20の内側に水を吐出する放水部30が設けられている。放水部30は、水を吐出する出水口31aに面して設けられたブレード32aを有する。ブレード32aは、出水口31aから吐出された水を受けて、排気ダクト20の内壁を伝うように拡散させる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物を収容する洗濯槽と、
前記洗濯槽内に空気を供給する循環風路と、
前記循環風路内に流れる空気に含まれる異物を捕集するフィルタ装置と、
前記洗濯槽に形成された排気口と前記フィルタ装置との間を接続する排気ダクトとを備える洗濯機であって、
前記排気ダクトの内側に水を吐出する放水部が設けられ、
前記放水部は、水を吐出する出水口に面して設けられたブレードを有し、
前記ブレードは、前記出水口から吐出された水を受けて、前記排気ダクトの内壁を伝うように拡散させること
を特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯機であって、
前記排気ダクトは、前記排気口から上方へ向かって延びた後、前記フィルタ装置側へ向かうように屈曲した形状とされ、
前記放水部は、前記排気ダクトにおける最上部に取り付けられていること
を特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項2に記載の洗濯機であって、
前記排気ダクトの屈曲部には、断面の一部を直線状または緩やかな弧状とする平坦面が設けられ、
前記ブレードは、前記放水部からの水を前記平坦面に導くこと
を特徴とする洗濯機。
【請求項4】
請求項1に記載の洗濯機であって、
前記放水部は、前記排気ダクトの内壁から外側に膨らんだ取付部に取り付けられ、前記ブレードのみが、前記排気ダクトの内側に露出していること
を特徴とする洗濯機。
【請求項5】
請求項1に記載の洗濯機であって、
前記ブレードは、前記出水口の中心軸に対して、先端が垂直よりも下向きの角度で延びていること
を特徴とする洗濯機。
【請求項6】
請求項1に記載の洗濯機であって、
前記ブレードは、先端部が前記排気ダクトの内壁の一部と対向しており、互いが対向する角度は、0度よりも大きく30度以下とされていること
を特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗濯物を洗濯する洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、洗濯機においては、洗濯機能だけでなく、洗濯後の衣類を乾燥させる乾燥機能を併せ持った洗濯乾燥機が広く利用されている。乾燥過程では、衣類からリント(糸屑)が発生することがあるので、空気を循環させている経路には、フィルタを設けてリントを捕集している。この際、洗濯槽とフィルタとの間を繋ぐダクト内には、リントを多く含む空気が通るため、ダクト内にリントが付着することがあり、リントが付着したまま放置すると、乾燥性能の低下を招くことがあった。そこで、ダクト内に付着したリント等の異物を清掃する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6738196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の洗濯乾燥機は、水槽と、ドラムと、循環風路と、加熱装置と、フィルタ装置とを備え、循環風路は水槽とフィルタ装置との間に略L字状に屈曲した屈曲部を有する排気ダクトを含み、屈曲部には排気ダクト用ノズルが埋設されている。排気ダクト用ノズルは排気ダクトの縦延在部の前側上部に向けて水などをシャワー状に吐出する。
【0005】
上述した洗濯乾燥機では、シャワー状に放水された水が直接当たった部分は洗浄されるが、水の勢いが強いと、その勢いによって水が跳ねて排気ダクトから離間し、他の部分を洗浄しきれない虞がある。
【0006】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、排気ダクト全体を洗浄することができる洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る洗濯機は、洗濯物を収容する洗濯槽と、前記洗濯槽内に空気を供給する循環風路と、前記循環風路内に流れる空気に含まれる異物を捕集するフィルタ装置と、前記洗濯槽に形成された排気口と前記フィルタ装置との間を接続する排気ダクトとを備える洗濯機であって、前記排気ダクトの内側に水を吐出する放水部が設けられ、前記放水部は、水を吐出する出水口に面して設けられたブレードを有し、前記ブレードは、前記出水口から吐出された水を受けて、前記排気ダクトの内壁を伝うように拡散させることを特徴とする。
【0008】
本開示に係る洗濯機では、前記排気ダクトは、前記排気口から上方へ向かって延びた後、前記フィルタ装置側へ向かうように屈曲した形状とされ、前記放水部は、前記排気ダクトにおける最上部に取り付けられている構成としてもよい。
【0009】
本開示に係る洗濯機では、前記排気ダクトの屈曲部には、断面の一部を直線状または緩やかな弧状とする平坦面が設けられ、前記ブレードは、前記放水部からの水を前記平坦面に導く構成としてもよい。
【0010】
本開示に係る洗濯機では、前記放水部は、前記排気ダクトの内壁から外側に膨らんだ取付部に取り付けられ、前記ブレードのみが、前記排気ダクトの内側に露出している構成としてもよい。
【0011】
本開示に係る洗濯機では、前記ブレードは、前記出水口の中心軸に対して、先端が垂直よりも下向きの角度で延びている構成としてもよい。
【0012】
本開示に係る洗濯機では、前記ブレードは、先端部が前記排気ダクトの内壁の一部と対向しており、互いが対向する角度は、0度よりも大きく30度以下とされている構成としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本開示によると、吐出した水をブレードに当てることで、広範囲に拡散させ、排気ダクト全体を洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の実施の形態に係る洗濯機の構成を示す模式図である。
図2】斜め上方から見た排気ダクトを示す斜視図である。
図3】平坦面側から見た排気ダクトを示す側面図である。
図4】上方から見た排気ダクトを示す上面図である。
図5】斜め下方から見た放水部を示す斜視図である。
図6図5に示す放水部の側面図である。
図7】放水部の出水口近傍での断面を示す断面図である。
図8図4での矢符A-Aでの断面を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施の形態に係る洗濯機について、図面を参照して説明する。以下では、洗濯機能および乾燥機能の両方を備えた洗濯機を例示しているが、本発明はこれに限定されず、乾燥機能のみを備えた乾燥機に本発明を適用することもできる。
【0016】
図1は、本開示の実施の形態に係る洗濯機の構成を示す模式図である。なお、図1では、洗濯機10の乾燥機能に関する構成のみを図示しており、洗濯機能に関する構成を省略している。
【0017】
本開示の実施の形態に係る洗濯機10は、ドラム式洗濯乾燥機であって、本体100には、前面の開口を覆うドア120が設けられ、ドア120を開くことで、内部に設けられた回転ドラム111を有する洗濯槽110が露出する。ドア120を閉じた際には、内部が液密に封止されるので、洗濯槽110内の水が漏れない。
【0018】
洗濯機10は、洗濯槽110(回転ドラム111)に投入した衣類を洗濯および脱水した後、洗濯槽110に乾燥空気を送り込むことで、乾燥運転を実行する。つまり、洗濯機10は、乾燥機として機能する際、洗濯槽110が衣類を入れる収容槽となる。
【0019】
洗濯機10は、乾燥運転のための構成要素として、乾燥空気生成部130、送風ファン140、およびフィルタ装置150を有している。また、洗濯機10では、洗濯槽110、フィルタ装置150、乾燥空気生成部130、および送風ファン140の順で接続する循環風路160が設けられており、循環風路160を通じて、各部を空気が流れる。洗濯槽110に形成された排気口とフィルタ装置150との間には、排気ダクト20が接続されている。なお、循環風路160において、送風ファン140の後に洗濯槽110が接続されており、循環風路160に沿って空気が循環する構成とされている。
【0020】
フィルタ装置150は、リントフィルタを備えており、乾燥運転中に衣類から発生するリント(糸屑)を捕集する。乾燥空気生成部130は、フィルタ装置150を通じて洗濯槽110から送られてくる湿った空気を、乾燥空気に変える。具体的に、乾燥空気生成部130では、ヒートポンプ(冷凍サイクル)における蒸発器131と凝縮器132とが、空気の流れ方向の上流側から順に配置されている。蒸発器131は、湿った空気を除湿(空気中の水分の結露)し、凝縮器132は、除湿後の空気を温めて乾燥空気にする。なお、洗濯機10では、ヒートポンプにおける他の構成要素(圧縮機や膨張弁など)を備えているが、図1では、それらを省略している。送風ファン140は、循環風路160における空気の流れを生じさせる。なお、乾燥空気生成部130はヒートポンプに限らず、例えば、除湿器とヒータとによる構成であってもよい。
【0021】
図2は、斜め上方から見た排気ダクトを示す斜視図であって、図3は、平坦面側から見た排気ダクトを示す側面図であって、図4は、上方から見た排気ダクトを示す上面図である。なお、図2ないし図4では、洗濯機10から排気ダクト20を含む一部の部材を抽出して示している。
【0022】
図1に示すように、フィルタ装置150は、洗濯槽110より上方であって、洗濯機10の背面寄りに配置されている。そのため、排気ダクト20は、排気口(洗濯槽110)から上方へ向かって延びた後、フィルタ装置150側へ向かうように屈曲した形状とされている。排気ダクト20において、フィルタ装置150との接続部(フィルタ側接続部22)といった一部は、略円筒状とされているが、外周側の屈曲部には、断面の一部を直線状または屈曲部の屈曲半径よりも大きな屈曲半径となる弧状とされた平坦面23が設けられている。換言すると、排気ダクト20では、平坦面23を設けたことで、屈曲部における外周側の角の膨らみが抑えられており、角を斜めに切り取ったようになっている。そして、屈曲部の断面は、外周の一部を切り欠いた円形となっており、円弧の弦に対応する部分が平坦面23となっている。また、排気ダクト20において、洗濯槽110との接続部(洗濯槽側接続部21)は、蛇腹状となっており、洗濯槽110が揺動した際、伸縮するようになっている。
【0023】
排気ダクト20における最上部には、排気ダクト20の内側に水を吐出する放水部30が設けられている。具体的に、排気ダクト20には、内壁から外側に膨らんだ取付部24が設けられており、この取付部24の中に、放水部30が差し込まれている。なお、放水部30には、図示しない給水源が接続されており、吐出するための水が適宜供給される。取付部24は、フィルタ側接続部22の近くであって、平坦面23の上端近傍に設けられている。
【0024】
図5は、斜め下方から見た放水部を示す斜視図であって、図6は、図5に示す放水部の側面図であって、図7は、放水部の出水口近傍での断面を示す断面図である。なお、図5ないし図7では、放水部30のうち、排気ダクト20に取り付けられた一部を抽出して示しており、給水源との接続部などは省略している。
【0025】
放水部30は、円筒状のノズル部材31と、ノズル部材31の先端に取り付けられたブレード部材32とを有している。なお、本実施の形態では、ノズル部材31とブレード部材32とが、別々の部材とされているが、これに限定されず、両者が一体に形成されていてもよい。
【0026】
ノズル部材31の先端下部には、水を吐出する出水口31aが設けられている。ブレード部材32は、出水口31aに面して設けられたブレード32aを有している。ブレード32aは、平板状とされており、出水口31aから少し離間して下方を覆っており、出水口31aよりも少し大きく形成されている。出水口31aには、ブレード32aに向かって延びた円筒状の延伸部31bが設けられている。つまり、ノズル部材31では、周面に単に穴を設けたのではなく、穴から少し延ばした延伸部31bを介して出水口31aが形成されている。
【0027】
ブレード32aは、出水口31aの中心軸に対して、先端が垂直よりも下向きの角度で延びている。つまり、図7に示すように、出水口31aから吐出される水は、ブレード32aに対して少し傾斜した向き(図7の矢符SR1)で当たり、一部がブレード32aに沿うように、ブレード32aの先端側へ向き(図7の矢符SR2)を変え、残りはブレード32aの側方側へ向き(図7では、紙面の手前および奥方向)を変える。このように、出水口31aに対してブレード32aを少し傾けることで、傾けた側に向けて広範囲に水を拡散させることができる。また、放水部30内でどのように水の向きを変えても、延伸部31bを設けることで、ブレード32aへ向かう水の流量ばらつきを抑制することができる。
【0028】
図8は、図4での矢符A-Aでの断面を示す要部断面図である。
【0029】
上述したように、ブレード32aは、先端側に向かうにつれて、出水口31aとの間隔が広がるように傾斜している。そして、放水部30を取付部24に取り付けた状態において、ブレード32aは、根元側がフィルタ側接続部22側に向けられ、先端側が洗濯槽側接続部21側に向けられている。つまり、ブレード32aは、先端側が平坦面23側に、より好ましくは平坦面23の上部に向けられている。図8に示すように、ブレード32aは、出水口31aから吐出された水を受けて、排気ダクト20の内壁を伝うように拡散させる(図8の矢符SR3)。ブレード32aに当たった水は、平坦面23に導かれる。
【0030】
このように、吐出した水をブレード32aに当てることで、広範囲に拡散させ、排気ダクト20全体を洗浄することができる。また、水を排気ダクト20の内壁に向かって直接放出させると、勢いによって水の広がり方が変わり、水が当る箇所が離散的になったり、偏りが生じやすくなったりするが、ブレード32aに当てて排気ダクト20の内壁に広角に広がるように、且つ、内壁を伝うように水を吐出しているので、水圧などの影響を抑えつつ、安定した範囲を洗浄することができる。そして、平坦面23に水を導くことで、局所に偏らせず、全体に水が広がるので、内壁を伝って最奥部まで水を流すことができる。また、排気ダクト20の最上部から水を流すことで、排気ダクト20の内壁を効率良く洗浄することができる。ブレード32aの先端部は、平坦面23の一部、好ましくは最上部付近の一部と対向しており、互いが対向する対向角度は、0度よりも大きく30度以下とすることが好ましい。これにより、ブレード32aから吐出される水を確実に平坦面23に当てることができ、且つ、平坦面23での水撥ねを抑制して平坦面23を伝わせることができる。
【0031】
排気ダクト20の内壁を伝う水は、洗い流したリント等と併せて、洗濯槽110の中に排水される。洗濯槽110は、図示しない排水経路に接続されており、排水経路に設けたフィルタによってリント等が回収される。
【0032】
取付部24に取り付けられた放水部30では、ブレード32aのみが、排気ダクト20の内側に露出している。このように構成すると、放水部30を取付部24内に隠しているので、空気の障害となることを避けつつ、吐出した水だけを効率良く排気ダクト20の内壁に当てることができる。また、ブレード32aが出水口31aを覆っているので、出水口31aにリントが付着して目詰まりすることを防止できる。
【0033】
なお、今回開示した実施の形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本開示の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0034】
10 洗濯機
20 排気ダクト
23 平坦面
24 取付部
30 放水部
31 ノズル部材
31a 出水口
31b 延伸部
32 ブレード部材
32a ブレード
110 洗濯槽
150 フィルタ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8