(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025017
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】加飾積層体、転写シート、加飾部材、及び移動体
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20250214BHJP
B60R 19/52 20060101ALI20250214BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20250214BHJP
G02B 3/08 20060101ALI20250214BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20250214BHJP
G02B 3/00 20060101ALN20250214BHJP
【FI】
B32B27/00 E
B60R19/52 C
B32B27/20
G02B3/08
G02B5/00 Z
G02B3/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】48
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129449
(22)【出願日】2023-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】與田 晋也
(72)【発明者】
【氏名】小山 慶祐
(72)【発明者】
【氏名】千葉 豪
【テーマコード(参考)】
2H042
4F100
【Fターム(参考)】
2H042AA02
2H042AA03
2H042AA05
2H042AA07
2H042AA21
4F100AK12
4F100AK12A
4F100AK25
4F100AK25A
4F100AK25B
4F100AK45
4F100AK45A
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4F100JN18B
(57)【要約】 (修正有)
【課題】立体感を有する優れた意匠性を持つ加飾積層体を提供する。
【解決手段】加飾積層体10は、凹凸構造25が形成された賦形面20aを有する賦形層20と、賦形面20aを覆う輝度調整層30とを備えている。加飾積層体10は、単位光学要素13を有する。単位光学要素13は、加飾積層体10の表側面11に入射した光を、凹凸構造25に応じて反射、屈折および/又は回折させる。単位光学要素13において、賦形面20aは、複数の傾倒面26Aを含む。複数の傾倒面26Aは、基準線L1に向かう方向に並び、且つ、基準線L1に向けて傾倒する。基準線近接傾倒面26AのピッチWA1の標準偏差が5μm以下であり、基準線近接傾倒面26Aの高さH26の標準偏差は1μm以下であり、基準線近接傾倒面26Aは、基準線L1に近接して位置し基準線L1に向けて連続して並ぶ複数の傾倒面26Aである。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹凸構造が形成された賦形面を有する賦形層と、
前記賦形面を覆う輝度調整層と、
を備えた加飾積層体であって、
前記加飾積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折および/又は回折させる、少なくとも1つの単位光学要素を有し、
前記単位光学要素において前記賦形面は、前記加飾積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
前記複数の傾倒面が並ぶ方向に沿った前記単位光学要素の断面において、基準線近接傾倒面の、前記基準線の一側におけるピッチの標準偏差が5μm以下であり且つ高さの標準偏差が1μm以下であり、
前記基準線近接傾倒面は、前記基準線に近接した位置で連続して並ぶ複数の傾倒面である、加飾積層体。
【請求項2】
前記複数の傾倒面は、レンズ面であり、
前記複数の接続面は、ライズ面である、請求項1に記載の加飾積層体。
【請求項3】
前記基準線近接傾倒面は、共通の第1の錐体若しくは錐台の互いに異なる高さ位置における側面又は当該側面の一部の形状をなす、請求項1に記載の加飾積層体。
【請求項4】
前記基準線近接傾倒面は、前記基準線を取り囲むように延び、
前記単位光学要素の前記断面は、前記基準線の両側に前記基準線近接傾倒面を含み、
前記単位光学要素の前記断面において、前記基準線近接傾倒面の、前記基準線の他側におけるピッチの標準偏差が5μm以下であり且つ高さの標準偏差が1μm以下である、請求項1に記載の加飾積層体。
【請求項5】
前記単位光学要素の前記断面において、前記基準線近接傾倒面の、前記基準線の一側におけるピッチの平均値と前記基準線の他側におけるピッチの平均値とが異なる、請求項4に記載の加飾積層体。
【請求項6】
前記複数の傾倒面は、前記基準線近接傾倒面よりも前記基準線から離れた位置で連続して並ぶ基準線離隔傾倒面を有し、
前記基準線近接傾倒面は、共通の第1の錐体若しくは錐台の互いに異なる高さ位置における側面又は当該側面の一部の形状をなし、
前記基準線離隔傾倒面は、共通の第2の錐体若しくは錐台の互いに異なる高さ位置における側面又は当該側面の一部の形状をなし、
前記第1の錐体若しくは錐台の底面の形状と、前記第2の錐体若しくは錐台の底面の形状とが、互いに異なる、請求項1に記載の加飾積層体。
【請求項7】
前記単位光学要素の前記断面において、基準線離隔傾倒面の、前記基準線の一側におけるピッチの標準偏差が5μm以下であり且つ高さの標準偏差が1μm以下であり、
前記基準線離隔傾倒面は、前記基準線近接傾倒面よりも前記基準線から離れた位置で連続して並ぶ複数の傾倒面である、請求項1に記載の加飾積層体。
【請求項8】
前記単位光学要素の前記断面において、基準線離隔傾倒面の、前記基準線の一側におけるピッチの標準偏差が5μmより大きく且つ高さの標準偏差が1μm以下であり、
前記基準線離隔傾倒面は、前記基準線近接傾倒面よりも前記基準線から離れた位置で連続して並ぶ複数の傾倒面である、請求項1に記載の加飾積層体。
【請求項9】
前記基準線離隔傾倒面のピッチが、前記基準線から離れるにつれて小さくなる、請求項8に記載の加飾積層体。
【請求項10】
前記単位光学要素の前記断面において、基準線離隔傾倒面の、前記基準線の一側におけるピッチの標準偏差が5μm以下であり且つ高さの標準偏差が1μmより大きく、
前記基準線離隔傾倒面は、前記基準線近接傾倒面よりも前記基準線から離れた位置で連続して並ぶ複数の傾倒面である、請求項1に記載の加飾積層体。
【請求項11】
前記基準線離隔傾倒面の高さが、前記基準線から離れるにつれて高くなる、請求項10に記載の加飾積層体。
【請求項12】
凹凸構造が形成された賦形面を有する賦形層と、
前記賦形面を覆う輝度調整層と、
を備えた加飾積層体であって、
前記加飾積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折および/又は回折させる、少なくとも1つの単位光学要素を有し、
前記単位光学要素において前記賦形面は、前記加飾積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
前記複数の傾倒面が並ぶ方向に沿った前記単位光学要素の断面において、基準線近接傾倒面の、前記基準線の一側におけるピッチの標準偏差が5μmより大きく且つ高さの標準偏差が1μm以下であり、又は、前記基準線近接傾倒面の、前記基準線の一側におけるピッチの標準偏差が5μm以下であり且つ高さの標準偏差が1μmより大きく、
前記単位光学要素の前記断面において、基準線離隔傾倒面の、前記基準線の一側におけるピッチの標準偏差が5μm以下であり且つ高さの標準偏差が1μm以下であり、
前記基準線近接傾倒面は、前記基準線に近接した位置で連続して並ぶ複数の傾倒面であり、
前記基準線離隔傾倒面は、前記基準線近接傾倒面よりも前記基準線から離れた位置で連続して並ぶ複数の傾倒面である、加飾積層体。
【請求項13】
前記複数の傾倒面は、レンズ面であり、
前記複数の接続面は、ライズ面である、請求項12に記載の加飾積層体。
【請求項14】
前記基準線離隔傾倒面は、共通の錐体若しくは錐台の互いに異なる高さ位置における側面又は当該側面の一部の形状をなす、請求項12に記載の加飾積層体。
【請求項15】
前記基準線離隔傾倒面は、前記基準線を取り囲むように延び、
前記単位光学要素の前記断面は、前記基準線の両側に前記基準線離隔傾倒面を含み、
前記単位光学要素の前記断面において、前記基準線離隔傾倒面の、前記基準線の他側におけるピッチの標準偏差が5μm以下であり且つ高さの標準偏差が1μm以下である、請求項12に記載の加飾積層体。
【請求項16】
前記単位光学要素の前記断面において、前記基準線離隔傾倒面の、前記基準線の一側におけるピッチの平均値と前記基準線の他側におけるピッチの平均値とが異なる、請求項15に記載の加飾積層体。
【請求項17】
前記基準線近接傾倒面のピッチが、前記基準線から離れるにつれて小さくなる、請求項12に記載の加飾積層体。
【請求項18】
前記基準線近接傾倒面の高さが、前記基準線から離れるにつれて高くなる、請求項12に記載の加飾積層体。
【請求項19】
凹凸構造が形成された賦形面を有する賦形層と、
前記賦形面を覆う輝度調整層と、
を備えた加飾積層体であって、
前記加飾積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折および/又は回折させる、少なくとも1つの単位光学要素を有し、
前記単位光学要素において前記賦形面は、前記加飾積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
前記複数の傾倒面が並ぶ方向に沿った前記単位光学要素の断面において、基準線近接傾倒面の、前記基準線の一側における前記法線方向に対する角度の最大値と最小値との差が、1°以下であり、
前記基準線近接傾倒面は、前記基準線に近接した位置で連続して並ぶ複数の傾倒面である、加飾積層体。
【請求項20】
前記複数の傾倒面は、レンズ面であり、
前記複数の接続面は、ライズ面である、請求項19に記載の加飾積層体。
【請求項21】
前記単位光学要素の前記断面において、基準線離隔傾倒面の、前記基準線の一側における前記法線方向に対する角度の最大値と最小値との差が、1°より大きく、
前記基準線離隔傾倒面は、前記基準線近接傾倒面よりも前記基準線から離れた位置で連続して並ぶ複数の傾倒面である、請求項19に記載の加飾積層体。
【請求項22】
凹凸構造が形成された賦形面を有する賦形層と、
前記賦形面を覆う輝度調整層と、
を備えた加飾積層体であって、
前記加飾積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折および/又は回折させる、少なくとも1つの単位光学要素を有し、
前記単位光学要素において前記賦形面は、前記加飾積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
前記複数の傾倒面が並ぶ方向に沿った前記単位光学要素の断面において、基準線近接傾倒面の、前記基準線の一側における前記法線方向に対する角度の最大値と最小値との差が1°より大きく、
前記単位光学要素の前記断面において、基準線離隔傾倒面の、前記基準線の一側における前記法線方向に対する角度の最大値と最小値との差が1°以下であり、
前記基準線近接傾倒面は、前記基準線に近接した位置で連続して並ぶ複数の傾倒面であり、
前記基準線離隔傾倒面は、前記基準線近接傾倒面よりも前記基準線から離れた位置で連続して並ぶ複数の傾倒面である、加飾積層体。
【請求項23】
前記複数の傾倒面は、レンズ面であり、
前記複数の接続面は、ライズ面である、請求項22に記載の加飾積層体。
【請求項24】
前記賦形面は、前記基準線と前記基準線近接傾倒面との間に平坦面又は曲面を含む、請求項1、12、19及び22のいずれか一項に記載の加飾積層体。
【請求項25】
前記接続面の前記法線方向に対する角度が、15°以上55°以下である、請求項1、12、19及び22のいずれか一項に記載の加飾積層体。
【請求項26】
前記傾倒面の高さが、1μm以上10μm以下である、請求項1、12、19及び22のいずれか一項に記載の加飾積層体。
【請求項27】
前記賦形層の厚みを前記傾倒面の高さで除した値が、1.5以上8.0以下である、請求項1、12、19及び22のいずれか一項に記載の加飾積層体。
【請求項28】
前記輝度調整層は、顔料又は染料を含む、請求項1、12、19及び22のいずれか一項に記載の加飾積層体。
【請求項29】
前記輝度調整層は、顔料又は染料で着色され、
前記加飾積層体の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦35%、
0.15%≦RSCE≦25%、
1.3≦RSCI/RSCE≦15、
を満たす、請求項28に記載の加飾積層体。
【請求項30】
前記輝度調整層は、黒色の顔料又は染料で着色され、
前記加飾積層体の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦8%、
0.15%≦RSCE≦1.2%、
4≦RSCI/RSCE≦15、
を満たす、請求項29に記載の加飾積層体。
【請求項31】
前記賦形層は、前記加飾積層体の表側面を形成し、又は、前記表側面と前記輝度調整層との間に配置され、
前記賦形層は、透明である、請求項28に記載の加飾積層体。
【請求項32】
前記輝度調整層は、反射層または屈折率変調層である、請求項1、12、19及び22のいずれか一項に記載の加飾積層体。
【請求項33】
前記加飾積層体の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦35%、
0.15%≦RSCE≦25%、
1.3≦RSCI/RSCE≦15、
を満たす、請求項32に記載の加飾積層体。
【請求項34】
前記輝度調整層を覆う着色層を更に備え、
前記着色層は、顔料又は染料で着色されている、請求項33に記載の加飾積層体。
【請求項35】
前記着色層は、黒色の顔料又は染料で着色され、
前記加飾積層体の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦12%、
0.4%≦RSCE≦3%、
2≦RSCI/RSCE≦12、
を満たす、請求項34に記載の加飾積層体。
【請求項36】
前記賦形層は、前記加飾積層体の表側面を形成し、又は、前記表側面と前記輝度調整層との間に配置され、
前記賦形層及び前記輝度調整層は、透明である、請求項32に記載の加飾積層体。
【請求項37】
前記加飾積層体の表側面又は裏側面を形成する接合層を更に備えた、請求項1、12、19及び22のいずれか一項に記載の加飾積層体。
【請求項38】
前記加飾積層体の表側面又は裏側面を形成するバッカー層を更に備えた、請求項1、12、19及び22のいずれか一項に記載の加飾積層体。
【請求項39】
前記加飾積層体の裏側面を形成する隠蔽層を更に備えた、請求項1、12、19及び22のいずれか一項に記載の加飾積層体。
【請求項40】
基材と、
請求項1、12、19及び22のいずれか一項に記載の加飾積層体と、を備えた転写シート。
【請求項41】
前記加飾積層体は、前記加飾積層体の前記基材に接触する面を形成する剥離層を有する、請求項40に記載の転写シート。
【請求項42】
成形部と、
前記成形部の少なくとも一部を覆う請求項1、12、19及び22のいずれか一項に記載の加飾積層体と、
を備えた加飾部材。
【請求項43】
前記輝度調整層は、顔料又は染料で着色され、
前記加飾部材の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦35%、
0.15%≦RSCE≦25%、
1.3≦RSCI/RSCE≦15、
を満たす、請求項42に記載の加飾部材。
【請求項44】
前記輝度調整層は、黒色の顔料又は染料で着色され、
前記加飾部材の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦8%、
0.15%≦RSCE≦1.2%、
4≦RSCI/RSCE≦15、
を満たす、請求項43に記載の加飾部材。
【請求項45】
前記輝度調整層は、反射層または屈折率変調層であり、
前記加飾部材の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦35%、
0.15%≦RSCE≦25%、
1.3≦RSCI/RSCE≦15、
を満たす、請求項42に記載の加飾部材。
【請求項46】
前記加飾積層体は、前記輝度調整層を覆う着色層を更に備え、
前記着色層は、顔料又は染料で着色されている、請求項45に記載の加飾部材。
【請求項47】
前記着色層は、黒色の顔料又は染料で着色され、
前記加飾部材の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦12%、
0.4%≦RSCE≦3%、
2≦RSCI/RSCE≦12、
を満たす、請求項46に記載の加飾部材。
【請求項48】
請求項1、12、19及び22のいずれか一項に記載の加飾積層体を備えた移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加飾積層体、転写シート、加飾部材、及び移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の内外装製品(インストルメントパネル等)、家電製品、住宅等を加飾するための加飾積層体が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、表面に凹凸模様が設けられた加飾積層体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような加飾積層体には、優れた意匠性、とりわけ立体感を有する優れた意匠性が要望される。立体感を有する加飾積層体によれば、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能となる。
【0005】
本開示は、以上の点を考慮してなされたものであって、優れた立体感を有する加飾積層体及び加飾部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施の形態は、以下の[1]~[48]に関連する。
【0007】
[1]
凹凸構造が形成された賦形面を有する賦形層と、
前記賦形面を覆う輝度調整層と、
を備えた加飾積層体であって、
前記加飾積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折および/又は回折させる、少なくとも1つの単位光学要素を有し、
前記単位光学要素において前記賦形面は、前記加飾積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
前記複数の傾倒面が並ぶ方向に沿った前記単位光学要素の断面において、基準線近接傾倒面の、前記基準線の一側におけるピッチの標準偏差が5μm以下であり且つ高さの標準偏差が1μm以下であり、
前記基準線近接傾倒面は、前記基準線に近接した位置で連続して並ぶ複数の傾倒面である、加飾積層体。
【0008】
[2]
前記複数の傾倒面は、レンズ面であり、
前記複数の接続面は、ライズ面である、[1]に記載の加飾積層体。
【0009】
[3]
前記基準線近接傾倒面は、共通の第1の錐体若しくは錐台の互いに異なる高さ位置における側面又は当該側面の一部の形状をなす、[1]又は[2]に記載の加飾積層体。
【0010】
[4]
前記基準線近接傾倒面は、前記基準線を取り囲むように延び、
前記単位光学要素の前記断面は、前記基準線の両側に前記基準線近接傾倒面を含み、
前記単位光学要素の前記断面において、前記基準線近接傾倒面の、前記基準線の他側におけるピッチの標準偏差が5μm以下であり且つ高さの標準偏差が1μm以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の加飾積層体。
【0011】
[5]
前記単位光学要素の前記断面において、前記基準線近接傾倒面の、前記基準線の一側におけるピッチの平均値と前記基準線の他側におけるピッチの平均値とが異なる、[4]に記載の加飾積層体。
【0012】
[6]
前記複数の傾倒面は、前記基準線近接傾倒面よりも前記基準線から離れた位置で連続して並ぶ基準線離隔傾倒面を有し、
前記基準線近接傾倒面は、共通の第1の錐体若しくは錐台の互いに異なる高さ位置における側面又は当該側面の一部の形状をなし、
前記基準線離隔傾倒面は、共通の第2の錐体若しくは錐台の互いに異なる高さ位置における側面又は当該側面の一部の形状をなし、
前記第1の錐体若しくは錐台の底面の形状と、前記第2の錐体若しくは錐台の底面の形状とが、互いに異なる、[1]~[5]のいずれかに記載の加飾積層体。
【0013】
[7]
前記単位光学要素の前記断面において、基準線離隔傾倒面の、前記基準線の一側におけるピッチの標準偏差が5μm以下であり且つ高さの標準偏差が1μm以下であり、
前記基準線離隔傾倒面は、前記基準線近接傾倒面よりも前記基準線から離れた位置で連続して並ぶ複数の傾倒面である、[1]~[6]のいずれかに記載の加飾積層体。
【0014】
[8]
前記単位光学要素の前記断面において、基準線離隔傾倒面の、前記基準線の一側におけるピッチの標準偏差が5μmより大きく且つ高さの標準偏差が1μm以下であり、
前記基準線離隔傾倒面は、前記基準線近接傾倒面よりも前記基準線から離れた位置で連続して並ぶ複数の傾倒面である、[1]~[6]のいずれかに記載の加飾積層体。
【0015】
[9]
前記基準線離隔傾倒面のピッチが、前記基準線から離れるにつれて小さくなる、[8]に記載の加飾積層体。
【0016】
[10]
前記単位光学要素の前記断面において、基準線離隔傾倒面の、前記基準線の一側におけるピッチの標準偏差が5μm以下であり且つ高さの標準偏差が1μmより大きく、
前記基準線離隔傾倒面は、前記基準線近接傾倒面よりも前記基準線から離れた位置で連続して並ぶ複数の傾倒面である、[1]~[6]のいずれかに記載の加飾積層体。
【0017】
[11]
前記基準線離隔傾倒面の高さが、前記基準線から離れるにつれて高くなる、[10]に記載の加飾積層体。
【0018】
[12]
凹凸構造が形成された賦形面を有する賦形層と、
前記賦形面を覆う輝度調整層と、
を備えた加飾積層体であって、
前記加飾積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折および/又は回折させる、少なくとも1つの単位光学要素を有し、
前記単位光学要素において前記賦形面は、前記加飾積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
前記複数の傾倒面が並ぶ方向に沿った前記単位光学要素の断面において、基準線近接傾倒面の、前記基準線の一側におけるピッチの標準偏差が5μmより大きく且つ高さの標準偏差が1μm以下であり、又は、前記基準線近接傾倒面の、前記基準線の一側におけるピッチの標準偏差が5μm以下であり且つ高さの標準偏差が1μmより大きく、
前記単位光学要素の前記断面において、基準線離隔傾倒面の、前記基準線の一側におけるピッチの標準偏差が5μm以下であり且つ高さの標準偏差が1μm以下であり、
前記基準線近接傾倒面は、前記基準線に近接した位置で連続して並ぶ複数の傾倒面であり、
前記基準線離隔傾倒面は、前記基準線近接傾倒面よりも前記基準線から離れた位置で連続して並ぶ複数の傾倒面である、加飾積層体。
【0019】
[13]
前記複数の傾倒面は、レンズ面であり、
前記複数の接続面は、ライズ面である、[12]に記載の加飾積層体。
【0020】
[14]
前記基準線離隔傾倒面は、共通の錐体若しくは錐台の互いに異なる高さ位置における側面又は当該側面の一部の形状をなす、[12]又は[13]に記載の加飾積層体。
【0021】
[15]
前記基準線離隔傾倒面は、前記基準線を取り囲むように延び、
前記単位光学要素の前記断面は、前記基準線の両側に前記基準線離隔傾倒面を含み、
前記単位光学要素の前記断面において、前記基準線離隔傾倒面の、前記基準線の他側におけるピッチの標準偏差が5μm以下であり且つ高さの標準偏差が1μm以下である、[12]~[14]のいずれかに記載の加飾積層体。
【0022】
[16]
前記単位光学要素の前記断面において、前記基準線離隔傾倒面の、前記基準線の一側におけるピッチの平均値と前記基準線の他側におけるピッチの平均値とが異なる、[15]に記載の加飾積層体。
【0023】
[17]
前記基準線近接傾倒面のピッチが、前記基準線から離れるにつれて小さくなる、[12]~[16]のいずれかに記載の加飾積層体。
【0024】
[18]
前記基準線近接傾倒面の高さが、前記基準線から離れるにつれて高くなる、[12]~[16]のいずれかに記載の加飾積層体。
【0025】
[19]
凹凸構造が形成された賦形面を有する賦形層と、
前記賦形面を覆う輝度調整層と、
を備えた加飾積層体であって、
前記加飾積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折および/又は回折させる、少なくとも1つの単位光学要素を有し、
前記単位光学要素において前記賦形面は、前記加飾積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
前記複数の傾倒面が並ぶ方向に沿った前記単位光学要素の断面において、基準線近接傾倒面の、前記基準線の一側における前記法線方向に対する角度の最大値と最小値との差が、1°以下であり、
前記基準線近接傾倒面は、前記基準線に近接した位置で連続して並ぶ複数の傾倒面である、加飾積層体。
【0026】
[20]
前記複数の傾倒面は、レンズ面であり、
前記複数の接続面は、ライズ面である、[19]に記載の加飾積層体。
【0027】
[21]
前記単位光学要素の前記断面において、基準線離隔傾倒面の、前記基準線の一側における前記法線方向に対する角度の最大値と最小値との差が、1°より大きく、
前記基準線離隔傾倒面は、前記基準線近接傾倒面よりも前記基準線から離れた位置で連続して並ぶ複数の傾倒面である、[19]又は[20]に記載の加飾積層体。
【0028】
[22]
凹凸構造が形成された賦形面を有する賦形層と、
前記賦形面を覆う輝度調整層と、
を備えた加飾積層体であって、
前記加飾積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折および/又は回折させる、少なくとも1つの単位光学要素を有し、
前記単位光学要素において前記賦形面は、前記加飾積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
前記複数の傾倒面が並ぶ方向に沿った前記単位光学要素の断面において、基準線近接傾倒面の、前記基準線の一側における前記法線方向に対する角度の最大値と最小値との差が1°より大きく、
前記単位光学要素の前記断面において、基準線離隔傾倒面の、前記基準線の一側における前記法線方向に対する角度の最大値と最小値との差が1°以下であり、
前記基準線近接傾倒面は、前記基準線に近接した位置で連続して並ぶ複数の傾倒面であり、
前記基準線離隔傾倒面は、前記基準線近接傾倒面よりも前記基準線から離れた位置で連続して並ぶ複数の傾倒面である、加飾積層体。
【0029】
[23]
前記複数の傾倒面は、レンズ面であり、
前記複数の接続面は、ライズ面である、[22]に記載の加飾積層体。
【0030】
[24]
前記賦形面は、前記基準線と前記基準線近接傾倒面との間に平坦面又は曲面を含む、[1]~[23]のいずれかに記載の加飾積層体。
【0031】
[25]
前記接続面の前記法線方向に対する角度が、15°以上55°以下である、[1]~[24]のいずれかに記載の加飾積層体。
【0032】
[26]
前記傾倒面の高さが、1μm以上10μm以下である、[1]~[25]のいずれかに記載の加飾積層体。
【0033】
[27]
前記賦形層の厚みを前記傾倒面の高さで除した値が、1.5以上8.0以下である、[1]~[26]のいずれかに記載の加飾積層体。
【0034】
[28]
前記輝度調整層は、顔料又は染料を含む、[1]~[27]のいずれかに記載の加飾積層体。
【0035】
[29]
前記輝度調整層は、顔料又は染料で着色され、
前記加飾積層体の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦35%、
0.15%≦RSCE≦25%、
1.3≦RSCI/RSCE≦15、
を満たす、[28]に記載の加飾積層体。
【0036】
[30]
前記輝度調整層は、黒色の顔料又は染料で着色され、
前記加飾積層体の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦8%、
0.15%≦RSCE≦1.2%、
4≦RSCI/RSCE≦15、
を満たす、[29]に記載の加飾積層体。
【0037】
[31]
前記賦形層は、前記加飾積層体の表側面を形成し、又は、前記表側面と前記輝度調整層との間に配置され、
前記賦形層は、透明である、[28]~[30]のいずれかに記載の加飾積層体。
【0038】
[32]
前記輝度調整層は、反射層または屈折率変調層である、[1]~[27]のいずれかに記載の加飾積層体。
【0039】
[33]
前記賦形層は、前記加飾積層体の表側面を形成し、又は、前記表側面と前記輝度調整層との間に配置され、
前記賦形層は、透明であり、
前記加飾積層体の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦35%、
0.15%≦RSCE≦25%、
1.3≦RSCI/RSCE≦15、
を満たす、[31]に記載の加飾積層体。
【0040】
[34]
前記輝度調整層を覆う着色層を更に備え、
前記着色層は、顔料又は染料で着色されている、[33]に記載の加飾積層体。
【0041】
[35]
前記着色層は、黒色の顔料又は染料で着色され、
前記加飾積層体の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦12%、
0.4%≦RSCE≦3%、
2≦RSCI/RSCE≦12、
を満たす、[34]に記載の加飾積層体。
【0042】
[36]
前記賦形層は、前記加飾積層体の表側面を形成し、又は、前記表側面と前記輝度調整層との間に配置され、
前記賦形層及び前記輝度調整層は、透明である、[32]~[35]のいずれかに記載の加飾積層体。
【0043】
[37]
前記加飾積層体の表側面又は裏側面を形成する接合層を更に備えた、[1]~[36]のいずれかに記載の加飾積層体。
【0044】
[38]
前記加飾積層体の表側面又は裏側面を形成するバッカー層を更に備えた、[1]~[37]のいずれかに記載の加飾積層体。
【0045】
[39]
前記加飾積層体の裏側面を形成する隠蔽層を更に備えた、[1]~[38]のいずれかに記載の加飾積層体。
【0046】
[40]
基材と、
[1]~[39]のいずれかに記載の加飾積層体と、を備えた転写シート。
【0047】
[41]
前記加飾積層体は、前記加飾積層体の前記基材に接触する面を形成する剥離層を有する、[40]に記載の転写シート。
【0048】
[42]
成形部と、
前記成形部の少なくとも一部を覆う[1]~[39]のいずれかに記載の加飾積層体と、
を備えた加飾部材。
【0049】
[43]
前記輝度調整層は、顔料又は染料で着色され、
前記加飾部材の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦35%、
0.15%≦RSCE≦25%、
1.3≦RSCI/RSCE≦15、
を満たす、[42]に記載の加飾部材。
【0050】
[44]
前記輝度調整層は、黒色の顔料又は染料で着色され、
前記加飾部材の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦8%、
0.15%≦RSCE≦1.2%、
4≦RSCI/RSCE≦15、
を満たす、[43]に記載の加飾部材。
【0051】
[45]
前記輝度調整層は、反射層または屈折率変調層であり、
前記加飾部材の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦35%、
0.15%≦RSCE≦25%、
1.3≦RSCI/RSCE≦15、
を満たす、[42]に記載の加飾部材。
【0052】
[46]
前記加飾積層体は、前記輝度調整層を覆う着色層を更に備え、
前記着色層は、顔料又は染料で着色されている、[45]に記載の加飾部材。
【0053】
[47]
前記着色層は、黒色の顔料又は染料で着色され、
前記加飾部材の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦12%、
0.4%≦RSCE≦3%、
2≦RSCI/RSCE≦12、
を満たす、[46]に記載の加飾部材。
【0054】
[48]
[1]~[39]のいずれかに記載の加飾積層体を備えた移動体。
【発明の効果】
【0055】
本開示の実施の形態によれば、優れた立体感を有する加飾積層体及び加飾部材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1A】
図1Aは、一実施の形態を説明する図であって、加飾部材を含む移動体を示す斜視図である。
【
図2A】
図2Aは、一実施の形態による加飾部材の構成を示す断面図である。
【
図2D】
図2Dは、
図2Aに対応する図であって、加飾部材のさらに他の変形例を示す図である。
【
図2E】
図2Eは、
図2Aに対応する図であって、加飾部材のさらに他の変形例を示す図である。
【
図2F】
図2Fは、
図2Aに対応する図であって、加飾部材のさらに他の変形例を示す図である。
【
図2G】
図2Gは、
図2Aに対応する図であって、加飾部材のさらに他の変形例を示す図である。
【
図2H】
図2Hは、
図2Aに対応する図であって、加飾部材のさらに他の変形例を示す図である。
【
図2I】
図2Iは、
図2Aに対応する図であって、加飾部材のさらに他の変形例を示す図である。
【
図2J】
図2Jは、
図2Aに対応する図であって、加飾部材のさらに他の変形例を示す図である。
【
図2K】
図2Kは、
図2Aに対応する図であって、加飾部材のさらに他の変形例を示す図である。
【
図2L】
図2Lは、
図2Aに対応する図であって、加飾部材のさらに他の変形例を示す図である。
【
図2M】
図2Mは、
図2Aに対応する図であって、加飾部材のさらに他の変形例を示す図である。
【
図2N】
図2Nは、
図2Aに対応する図であって、加飾部材のさらに他の変形例を示す図である。
【
図3】
図3は、一実施の形態による加飾積層体を示す部分拡大平面図である。
【
図5】
図5は、
図4に示す断面のうち二点鎖線で囲まれた部分を拡大して示す図である。
【
図9】
図9は、全光線反射率及び拡散光線反射率の測定方法を説明するための図である。
【
図10】
図10は、一実施の形態による加飾部材の製造方法の一例を説明する図である。
【
図11】
図11は、一実施の形態による加飾部材の製造方法の一例を説明する図である。
【
図12】
図12は、一実施の形態による加飾部材の製造方法の一例を説明する図である。
【
図13】
図13は、一実施の形態による加飾部材の製造方法の一例を説明する図である。
【
図14】
図14は、一実施の形態による加飾部材の製造方法の一例を説明する図である。
【
図15A】
図15Aは、一実施の形態による賦形型を製造するための母型の製造方法の一例を説明する図である。
【
図15B】
図15Bは、一実施の形態による賦形型を製造するための母型の製造方法の一例を説明する図である。
【
図15C】
図15Cは、一実施の形態による賦形型を製造するための母型の製造方法の一例を説明する図である。
【
図16A】
図16Aは、一実施の形態による賦形型の製造方法の一例を説明する図である。
【
図16B】
図16Bは、一実施の形態による賦形型の製造方法の一例を説明する図である。
【
図17】
図17は、一実施の形態による賦形型と、賦形型により賦形された賦形層とを示す断面図である。
【
図19】
図19は、
図3に対応する図であって、加飾積層体の変形例を示す図である。
【
図21】
図21は、一部が切り欠かれた錐体の例を示す図である。
【
図22】
図22は、
図3に対応する図であって、加飾積層体のさらに他の変形例を示す図である。
【
図24】
図24は、
図22の部分拡大図に対応する図であって、加飾積層体のさらに他の変形例を示す図である。
【
図28】
図28は、
図4に対応する図であって、加飾積層体のさらに他の変形例を示す図である。
【
図29】
図29は、
図4に対応する図であって、加飾積層体のさらに他の変形例を示す図である。
【
図30】
図30は、
図4に対応する図であって、加飾積層体のさらに他の変形例を示す図である。
【
図32】
図31は、
図4に対応する図であって、加飾積層体のさらに他の変形例を示す図である。
【
図35】
図35は、一実施の形態による加飾部材の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、図面を参照して本開示の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0058】
方向の関係を図面間で明確にするため、いくつかの図面には、共通する方向が、共通する符号を付した矢印により示されている。図面の紙面に垂直な方向に沿って紙面の奥に向かう矢印は、例えば
図1Bに示すように、円の中に×を設けた記号により示されている。さらに、図面の紙面に垂直な方向に沿って手前に向かう矢印は、例えば
図3に示すように、円の中に点を設けた記号により示されている。
【0059】
本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「垂直」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られず、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈する。
【0060】
本明細書において、「フィルム」、「シート」および「板」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて互いから区別されるものではない。例えば「転写シート」は、転写フィルムと呼ばれる部材等と呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
【0061】
図1A、
図1B、
図2A、
図3乃至
図14は一実施の形態を説明する図である。このうち
図1Aおよび
図1Bは、加飾積層体10を備えた加飾部材3の適用例を示す図である。加飾積層体10は、シート状に形成され、加飾シートとも呼ばれる。加飾積層体10は、意匠を表示し、加飾積層体10が適用された物品(
図1Aに示す例では加飾部材3)等に意匠性を付与する。
【0062】
なお、
図1A、
図1Bおよび
図2Aに示された例において、加飾部材3は、移動体1に用いられている。図示された例において、加飾部材3は、移動体1のフロントパネル2に設置されている。フロントパネル2は、エンジン車においてフロントグリルとして形成されている。一方、電気自動車においては、ラジエータ等の空冷されるべき熱交換器が設置されないこともある。したがって、フロントパネル2は、多数の孔が形成されたグリルとして、形成されなくてもよい。
【0063】
以下、図面に示された具体的な適用例を参照しながら、一実施の形態を説明していく。
図1Aに示された移動体1は自動車である。ただし、加飾部材3が適用される移動体1は自動車に限られない。加飾部材3は、移動可能な装置としてのその他の移動体1にも適用可能である。自動車以外の移動体1として、鉄道車両、台車、船、飛行機、ヘリコプター、ドローン、ロボットが例示される。また、加飾部材3及び加飾積層体10は、移動体の内装体に用いられてもよい。また、加飾部材3及び加飾積層体10は、例えば、内装材、外装材、天井材、床材等の建材や、家電のケース、通信機器筐体、化粧品容器等にも適用可能である。
【0064】
<<加飾部材>>
まず、
図1Bを参照して加飾部材3の全体構成について説明する。
図1Bに示すように、加飾部材3は、表側面3aと、表側面3aに対向する裏側面3bと、を有している。表側面3aおよび裏側面3bは、それぞれ、後述する成形部65の表側面66および裏側面67に沿って拡がっている。図示された例では、表側面3aおよび裏側面3bは、それぞれ、X方向DxおよびX方向Dxに直交するY方向Dyに平面状に広がっている。そして、表側面3aおよび裏側面3bは、X方向DxおよびY方向Dyの両方向に直交するZ方向Dzにおいて対向している。ただし、この例に限られず、表側面3aおよび裏側面3bは、曲面状でもよい。
【0065】
図1Bに示す例では、加飾部材3は、加飾積層体10と成形部65とを有している。
図1Bに示す例では、成形部65と加飾積層体10とは、加飾部材3の裏側面3bから表側面3aに向かう方向(Z方向Dz)に、この順で積層されている。
図1Bに示す例では、加飾部材3は、センサ5に対面して配置されている。
図1Bに示す例では、成形部65がセンサ5に対面し、加飾積層体10が観察者6に対面する。
【0066】
加飾積層体10は、表側面11と裏側面12とを有している。
図1Bに示す例では、表側面11は、加飾部材3の表側面3aを形成する。裏側面12は、加飾部材3の裏側面3b側(成形部65側)を向く。表側面11および裏側面12は、後述する成形部65の表側面66に沿って拡がっている。図示された例では、表側面11および裏側面12は、それぞれ、X方向DxおよびY方向Dyに平面状に広がっている。そして、表側面11および裏側面12は、Z方向Dzにおいて対向している。ただし、この例に限られず、表側面11および裏側面12は、曲面状でもよい。
【0067】
成形部65は、表側面66と裏側面67とを有している。裏側面67は、加飾部材3の裏側面3bを形成する。表側面66は、加飾部材3の表側面3a側(加飾積層体10側)を向く。図示された例では、表側面66および裏側面67は、それぞれ、X方向DxおよびY方向Dyに平面状に広がっている。そして、表側面66および裏側面67は、Z方向Dzにおいて対向している。ただし、この例に限られず、表側面66および裏側面67は、曲面状でもよい。
【0068】
成形部65は、樹脂材料やガラス等、種々の材料により形成されてよい。成形部65をなす樹脂材料は特に限定されない。成形部65をなす樹脂材料として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトル・ブタジエン・スチレン(ABS)、アクリロニトリル・エチレン-プロピレン-ジエン・スチレン(AES)、アクリロニトリル・スチレン・アクリレート(ASA)が例示される。
【0069】
成形部65は、着色されていてもよい。この場合、加飾部材3に所望の色を付与することができる。成形部65は、透明でもよく、不透明でもよい。成形部65が不透明である場合、成形部65によって、加飾部材3が適用される物品の少なくとも一部を隠蔽することができる。例えば
図1Bに示す例では、成形部65が不透明であることにより、加飾部材3はセンサ5を隠蔽することができる。着色された成形部65は、後述する着色層3aと同様の材料で作製可能である。
【0070】
なお、本明細書で用いる「透明」とは、分光光度計((株)島津製作所製「UV-3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm~780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される可視光透過率が、50%以上であることを意味し、好ましくは80%以上である。
【0071】
ところで、
図1Bに示すように、加飾部材3は、可視光よりも長波長の電磁波を用いたセンサ5に対面して配置され得る。センサ5は、一例として、移動体1の周囲の状況を監視してもよい。センサ5の検出結果は、移動体1の制御装置4に送信され得る。制御装置4は、センサ5の検出結果に基づき、警報を発してもよく、または移動体1の移動を制御してもよい。例えば、センサ5は、移動体1の前方の障害物等を検出してもよい。このセンサ5は、電磁波を発信可能かつ電磁波を受信可能であってもよい。センサ5が、障害物等で反射した反射波を受信することによって、障害物の有無や障害物までの距離を検出できる。センサ5は、ミリ波レーダ装置としてもよい。ミリ波レーダ装置は、波長が1mm以上10mm以下のミリ波を電磁波として用いてもよい。あるいは、センサ5は、ライダー装置としてもよい。ライダー装置は、赤外線を電磁波として用いてもよい。
【0072】
センサ5は、加飾部材3の裏側面3bに対面している。
図1Bに示す例では、センサ5で用いられる電磁波は、Z方向Dzに沿って、加飾部材3を透過する。
図1Bに示す例において、表側面3aおよび裏側面3bは、電磁波の出射面および入射面となる。表側面3aおよび裏側面3bは、少なくともZ方向Dzにセンサ5と対面する領域において、平坦面となっていることが好ましい。表側面3aおよび裏側面3bを平坦面とすることによって、電磁波の拡散によるセンサ5の感度低下を抑制できる。
【0073】
<<加飾積層体>>
次に、加飾積層体10について、より詳細に説明する。
図2A及び
図4に示すように、加飾積層体10は、賦形層20および輝度調整層30を備えている。
図4に示すように、賦形層20は、凹凸構造25が形成された賦形面20aと、賦形面20aとは反対側の非賦形面20bと、を有する。輝度調整層30は、賦形面20aを覆っている。
図3に示すように、加飾積層体10は、少なくとも1つの単位光学要素13を有する。各単位光学要素13は、表側面3aに入射した光を、賦形面20aの凹凸構造25に応じて反射、屈折および/又は回折させる。これにより、加飾積層体10の厚み以上の立体感を表現できる。この結果、加飾積層体10の意匠性が向上する。図示された例では、加飾積層体10は、複数の単位光学要素13を有する。これにより、複数の単位光学要素13の組み合わせによる複雑な意匠を、加飾積層体10に付与できる。
【0074】
加飾積層体10は他の層を備えていてもよい。例えば、
図2A及び
図4に示す例では、加飾積層体10は接合層35及び機能層37を備えている。この例では、接合層35、輝度調整層30、賦形層20及び機能層37が、加飾積層体10の裏側面12から表側面11に向かう方向に、この順で積層されている。この例では、機能層37が加飾積層体10の表側面11を形成し、接合層35が加飾積層体10の裏側面12を形成している。賦形層20は、加飾積層体10の表側面11と輝度調整層30との間に配置されている。輝度調整層30は、加飾積層体10の裏側面12と賦形層20との間に配置されている。もちろん、賦形層20が加飾積層体10の表側面11を形成してもよい。また、輝度調整層30が加飾積層体10の裏側面12を形成してもよい。
【0075】
<賦形層>
まず、賦形層20について説明する。
図3に示す例では、賦形層20は、少なくとも1つの単位賦形要素23を有している。図示された例では、賦形層20は、複数の単位賦形要素23を有する。1つの単位賦形要素23が1つの単位光学要素13に対応する。賦形面20aにおいて、各単位賦形要素23には、凹凸構造25が形成されている。凹凸構造25は、賦形層20を後述する賦形型100を用いて賦形することで、形成され得る。
【0076】
賦形面20aが凹凸構造25を有することにより、単位光学要素13に入射した光に、凹凸構造25に応じた光学作用(反射、屈折及び/又は回折)がもたらされる。図示された例では、凹凸構造25は、加飾積層体10の表側面11に入射した平行光を集束および/又は発散させるように、決定される。賦形層20が凹凸構造25を有する単位賦形要素23を含むことにより、加飾積層体10は、その厚み以上の豊かな立体感を表現できる。また、賦形層20が複数の単位賦形要素23を含むことにより、加飾積層体10に複数の単位光学要素13を形成できる。本実施の形態では、各凹凸構造25は、各単位光学要素13が、単位光学要素13に入射した光に凸レンズと同様の光学作用又は当該光学作用に対応する光学作用をもたらすように、構成されている。凸レンズと同様の光学作用に対応する光学作用とは、例えば凸面鏡と同様の光学作用を意味する。これにより、単位光学要素13は、凸レンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮する。この結果、加飾積層体10は、加飾積層体10の実際の厚みよりも奥行き感のある意匠を表現することができ、立体感を表現することができる。そして、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能となる。もちろん、各凹凸構造25は、各単位光学要素13が、加飾積層体10の表側面11に入射した光に凹レンズと同様の光学作用又は当該光学作用に対応する光学作用をもたらすように、構成されていてもよい。この場合も、加飾積層体10は、加飾積層体10の実際の厚みよりも奥行き感のある意匠を表現することができ、立体感を表現することができる。この結果、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能となる。
【0077】
加飾積層体10の平面視における各単位賦形要素23の寸法(したがって、各単位光学要素13の寸法)は、特に限定されず、加飾積層体10が表現する意匠に応じて適宜設定可能である。ただし、単位光学要素13による視覚効果を有効にする観点から、各単位賦形要素23は、各々を肉眼で識別可能な程度の大きさを有していることが好ましい。具体的には、単位賦形要素23の最も短い長さを、1.0mm以上としてもよく、10mm以上としてもよく、20mm以上としてもよい。また、単位賦形要素23の最も長い長さを、200mm以下としてもよく、100mm以下としてもよい。加飾積層体10の平面視における各単位賦形要素23の寸法は、1.0mm以上200mm以下であってよい。
【0078】
図3に示された例において、複数の単位賦形要素23(複数の単位光学要素13)は、平面視において同一形状を有している。複数の単位賦形要素23は、平面視において円形状である。また、複数の単位賦形要素23は、規則的に配列されている。また、複数の単位賦形要素23は正方配列されている。ただし、この例に限られない。複数の単位賦形要素23は、互いに異なる形状を有していてもよい。各単位賦形要素23は、円形状以外の形状を有していてもよい。例えば、各単位賦形要素23は、三角形状、四角形状、五角形状、六角形状または八角形状等の多角形状であってもよい。また、複数の単位賦形要素23は、多角形状以外の形状を有していてもよい。すなわち、単位賦形要素23は、曲線部や円弧状に延びる部分を含んでいてもよい。単位賦形要素23は、例えば、半円形状、楕円形状、扇形、三日月形、ハート形、文字の形状等、任意の形状であってよい。複数の単位賦形要素23は、不規則的な配列で配置されていてもよい。さらに、図示はしないが、各単位賦形要素23は、上述した形状が互いに重なり合った形状であってもよい。
【0079】
図3及び
図4に示すように、各単位光学要素13は、第1領域131を有している。本実施の形態では、賦形面20aは、第1領域131において、加飾積層体10の法線方向Dnに対して傾倒する複数の第1傾倒面26Aと、隣り合う第1傾倒面26Aを接続する複数の第1接続面26Bと、を含んでいる。第1領域131は、少なくとも10の第1傾倒面26Aを含む。第1領域131に含まれる第1傾倒面26Aの数は、10以上でもよく、50以上でもよく、100以上でもよく、200以上でもよい。
図3及び
図4に示す例では、第1傾倒面26Aは、基準線に近接して位置している。したがって、
図3及び
図4に示す例では、第1傾倒面26Aを「基準線近接傾倒面」とも称する。また、後述するように、
図19乃至
図21並びに
図25E乃至
図25Gに示す例でも、第1傾倒面26Aを「基準線近接傾倒面」とも称する。
【0080】
図3及び
図4に示す例では、複数の第1傾倒面26Aは、連続した凸レンズ面をその厚み方向に垂直な面に沿って分割した複数のレンズ面に対応する。第1接続面26Bは、隣り合うレンズ面を接続するライズ面に対応する。このような凹凸構造25によれば、単位光学要素13を凸レンズとして機能させることによる加飾積層体10の厚みの増大を、効果的に抑制できる。例えば、図示された例のように、加飾部材3が車両のフロントグリルに用いられる場合、加飾部材3は軽量化の観点から薄肉化が要望されることがある。また、加飾部材3がセンサ5に対面して配置される場合、加飾積層体10はセンサ5から発せられる電磁波が加飾部材3を高透過率で透過することが求められる。この場合、加飾積層体10の厚みを小さくすることが好ましい。
【0081】
図示された例では、第1傾倒面26Aは、単位賦形要素23(単位光学要素13)の輪郭に沿って延びている。これにより、各単位光学要素13の輪郭を効果的に際立たせることができる。また、図示された例では、互いに隣り合う単位賦形要素23の間に間隙領域24が形成されている。このことによっても、各単位光学要素13の輪郭を効果的に際立たせることができる。
【0082】
図3乃至
図5に示す例において、第1領域131は、
図6に示す円錐形状のレンズ(アキシコンレンズ)と同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮する。複数の第1傾倒面26Aは、円錐の側面をその高さ方向に垂直な断面に沿って分割した面に対応する。第1領域131は、加飾積層体10の法線方向Dnに見て、複数の第1傾倒面26Aのうち最も外側に位置する傾倒面26Aoから、複数の第1傾倒面26Aのうち最も内側に位置する傾倒面26Acに亘る領域である。複数の第1傾倒面26Aは、加飾積層体10の法線方向Dnに沿って延びる第1基準線L1に向かう方向に並んでいる。ここでは、法線方向Dnは、Z方向Dzに一致する。また、第1基準線L1は、上記円錐の垂線(円錐の頂点から底面に垂直に下した線)に一致する。
【0083】
複数の第1傾倒面26Aは、
図6に示す円錐の互いに異なる高さ位置における側面の形状をなす。例えば、複数の第1傾倒面26Aのうち、最も中央に位置する第1傾倒面26Acの形状は、
図6に示す円錐の頂点を含む高さ位置における側面の形状である。また、複数の第1傾倒面26Aのうち、最も外側に位置する第1傾倒面26Aoの形状は、
図6に示す円錐の底面に接続する高さ位置における側面の形状である。傾倒面26Acは、複数の第1傾倒面26Aの中で最も第1基準線L1に近い傾倒面である。
【0084】
図4に示す例では、複数の第1傾倒面26Aは、円錐の側面を、第1基準線L1を中心として同心円状に分割してなる。
図3に示す例では、複数の第1傾倒面26Aは、互いに相似形である。
図5に示すように、第1傾倒面26Aは、複数の第1傾倒面26Aが並ぶ方向に沿った単位光学要素13の断面において、直線で表される。
【0085】
図4及び
図5に示す例では、第1領域131は、
図6に示す直錐体形状のレンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮するが、これに限られない。第1領域131は、
図7に示すような斜錐体形状のレンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮してもよい。この場合、第1領域131の凹凸構造25は、
図3に一点鎖線で示すように形成される。
図8A及び
図8Bは、
図3のVIII-VIII線に沿った加飾積層体10の断面を示す図である。また、第1領域131は、底面の形状が楕円である円錐の形状のレンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮してもよい。
【0086】
本明細書では、加飾積層体10の法線方向Dnに対する第1傾倒面26Aの角度(以下、「第1傾倒面角」とも称する)θAは、
図5及び
図8Bに示すように、複数の第1傾倒面26Aが並ぶ方向に沿った賦形層20の断面において、各第1傾倒面26Aの頂部と底部を結ぶ直線LAの、法線方向Dnに対する角度として、測定される。同様に、本明細書では、加飾積層体10の法線方向Dnに対する第1接続面26Bの角度(以下、「第1接続面角」とも称する)θBは、
図5及び
図8Bに示すように、複数の第1接続面26Bが並ぶ方向に沿った賦形層20の断面において、各第1接続面26Bの頂部と底部を結ぶ直線LBの、法線方向Dnに対する角度として、測定される。各第1傾倒面26Aの第1傾倒面角θAは、当該第1傾倒面26Aに接続する第1接続面26Bの第1接続面角θBよりも大きい。
【0087】
図3に示す例では、複数の第1傾倒面26Aは、第1基準線L1を取り囲むように延びる。このため、
図4及び
図8Aに示すように、複数の第1傾倒面26Aが並ぶ方向に沿った単位光学要素13の断面において、第1基準線L1の両側に複数の第1傾倒面26Aが存在する。
【0088】
第1領域131が円錐形状のレンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮するよう、単位賦形要素23は、次のような特徴を有している。すなわち、上述したように、複数の第1傾倒面26Aは、加飾積層体10の法線方向Dnに沿って延びる第1基準線L1に向かう方向に並んでいる。また、複数の第1傾倒面26Aは、第1基準線L1に向けて傾倒している。
図4及び
図8Aに示す例では、上記断面において、第1傾倒面26Aは、第1基準線L1の一側(例えば
図4及び
図8Aの左側)で上記法線方向Dnに対して第1方向D1に傾倒し、第1基準線L1の他側(例えば
図4及び
図8Aの右側)で上記法線方向Dnに対して第1方向D1とは反対の第2方向D2に傾倒している。
【0089】
また、付加的特徴として、単位賦形要素23は、次のような特徴を有している。すなわち、
図5及び
図8Bに示すように、複数の第1傾倒面26Aが並ぶ方向に沿った単位光学要素13の断面において、複数の第1傾倒面26Aのうち第1基準線L1の一側(例えば
図4及び
図8Aの左側)における第1傾倒面26AのピッチWA1の標準偏差が、5μm以下である。ピッチWA1は互いに等しくてもよい。また、第1基準線L1の一側において、複数の第1傾倒面26Aの高さ(Z方向Dzの寸法)H26の標準偏差が、1μm以下である。当該高さH26は互いに等しくてもよい。さらに、
図4及び
図8Aに示すように、上記断面において、第1基準線L1の他側(例えば
図4及び
図8Aの右側)にも複数の第1傾倒面26Aが存在する場合、第1基準線L1の他側における第1傾倒面26AのピッチWA2の標準偏差が、5μm以下である。ピッチWA2は互いに等しくてもよい。また、第1基準線L1の他側において、複数の第1傾倒面26Aの高さH26の標準偏差が、1μm以下である。当該高さH26は互いに等しくてもよい。ここで、ピッチWA1の平均値とピッチWA2の平均値とは、互いに等しくてもよいし(
図4参照)、互いに異なっていてもよい(
図8A参照)。
【0090】
あるいは、上記付加的特徴に替えて又は追加して、単位賦形要素23は、次のような付加的特徴を有している。すなわち、上記断面において、第1傾倒面26Aの、第1基準線L1の一側における第1傾倒面角θAの最大値と最小値との差が、1°以下である。さらに、
図4及び
図8Aに示すように、上記断面において、第1基準線L1の他側にも複数の第1傾倒面26Aが存在する場合、第1傾倒面26Aの、第1基準線L1の他側における第1傾倒面角θAの最大値と最小値との差が、1°以下である。第1基準線L1の一側の第1傾倒面角θAの平均値と第1基準線L1の他側の第1傾倒面角θAの平均値とは、互いに等しくてもよいし(
図4参照)、互いに異なっていてもよい(
図8A参照)。
【0091】
第1接続面角θBは、適宜設定可能である。図示された例では、凹凸構造25を精度良く形成することや賦形面20aと輝度調整層30との密着性を考慮すると、第1接続面角θBは、好ましくは15°以上であり、さらに好ましくは25°以上である。また、第1傾倒面26Aの面積を十分に確保する観点から、第1接続面角θBは、好ましくは55°以下であり、さらに好ましくは45°以下である。したがって、第1接続面角θBは、15°以上55°以下であることが好ましい。
【0092】
加飾積層体10の厚み以上の立体感を表現しつつ、加飾積層体10の厚みを小さくする場合、凹凸構造25の高さH25は、0.2μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましく、1μm以上であることが更に好ましい。また、凹凸構造25の高さH25は、50μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることが更に好ましい。したがって、凹凸構造25の高さH25は、1μm以上50μm以下であってよい。凹凸構造25の高さH25が1μm以上であることにより、光学作用によって表示される意匠の視認性を更に向上できる。なお、本明細書中、「凹凸構造の高さH25」とは、当該凹凸構造を形成する傾倒面26A又は接続面26Bの高さ(Z方向Dzの寸法)H26(
図5参照)の最大値を意味する。図示された例では、凹凸構造25の複数の第1傾倒面26A又は複数の第1接続面26Bの高さH26は互いに等しい。このため、高さH25は高さH26に等しい。
【0093】
加飾積層体10の表側面11に虹光が発生するのを抑制する場合、凹凸構造25の高さH25は1.0μmより大きいことが好ましい。
【0094】
加飾積層体10の表側面11に虹光が発生するのを抑制する場合、第1傾倒面26AのピッチWA1,WA2は、7.5μm以上であることが好ましく、12μm以上であることがより好ましく、15μm以上であることが更に好ましい。また、単位光学要素13の小サイズ化を実現する観点から、第1傾倒面26AのピッチWA1,WA2は、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることが更に好ましい。したがって、第1傾倒面26AのピッチWA1,WA2は、7.5μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0095】
一方、加飾積層体10の表側面11に虹光を発生させることが望まれる場合、凹凸構造25の高さH25は、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。また、この場合、凹凸構造25の高さH25は1.0μm以下であることが好ましい。したがって、凹凸構造25の高さH25は、0.1μm以上1.0μm以下であることが好ましい。
【0096】
加飾積層体10の表側面11に虹光を発生させることが望まれる場合、第1傾倒面26AのピッチWA1,WA2は7.5μm未満であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、2μm以下であることが更に好ましい。
【0097】
凹凸構造25を精度良く形成する観点から、凹凸構造25の高さH25は、0.2μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましく、1.5μm以上であることが更に好ましい。また、同様の観点から、凹凸構造25のピッチWA1,WA2は、2μm以上であることが好ましく、4μm以上であることがより好ましく、8μm以上であることが更に好ましい。
【0098】
傾倒面角θAや、接続面角θB、高さH25、ピッチWA1,WA2は、走査型電子顕微鏡を用いて加飾積層体10の断面の画像を観察することによって測定できる。なお、単位光学要素13の基準線近接傾倒面とは、当該単位光学要素13内において、或る基準線に向かう方向に並び且つ当該基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面のうち、当該基準線に最も近い10の傾倒面のことである。そして、基準線近接傾倒面の上記基準線の一側におけるピッチの標準偏差は、上記複数の傾倒面が並ぶ方向に沿った単位光学要素13の或る断面において、当該基準線に最も近い10の傾倒面の、当該基準線の一側におけるピッチの標準偏差である。また、基準線近接傾倒面の上記基準線の一側における高さの標準偏差は、上記複数の傾倒面が並ぶ方向に沿った単位光学要素13の或る断面において、当該基準線に最も近い10の傾倒面の、当該基準線の一側における高さの標準偏差である。また、基準線近接傾倒面の上記基準線の一側における傾倒面角の標準偏差は、上記複数の傾倒面が並ぶ方向に沿った単位光学要素13の或る断面において、当該基準線に最も近い10の傾倒面の、当該基準線の一側における傾倒面角の標準偏差である。
【0099】
図4及び
図8Aに示すように賦形層20の非賦形面20bが加飾部材3の表側面3aの側を向く場合、加飾部材3の表側面3aに加わる外力によって凹凸構造25が損傷する虞を効果的に抑制するため、凹凸構造25の高さH25に対する賦形層20の厚みT20の比(T20/H25)は、1.5以上であることが好ましく、1.8以上であることがより好ましく、2.5以上であることが更に好ましい。また、T20/H25が1.5以上である場合、賦形層20は十分な厚みを有するため、特に賦形型100を用いた凹凸構造25をより精度良く形成することができる。また、賦形層20の厚みの増大による加飾積層体10の厚みの増大を抑制する観点から、T20/H25は、8.0以下であることが好ましく、6.0以下であることがより好ましく、4.0以下であることが更に好ましい。したがって、T20/H25は、1.5以上8.0以下であることが好ましい。なお、本明細書中、「賦形層の厚みT20」とは、非賦形面20bと傾倒面26A又は接続面26Bの頂部との距離(Z方向Dzの寸法)T26(
図5参照)の最大値を意味する。図示された例では、非賦形面20bと複数の傾倒面26A又は複数の接続面26Bの頂部との距離T26は均一であり、厚みT20は距離T26に等しい。
【0100】
図示された例では、賦形層20を構成する材料として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)にウレタンアクリレートを混合したものが採用される。また、図示された例では、賦形層20を構成する材料は、シリコーンを含んでいる。このような賦形層20は、その液状の前駆材料を後述する基材72等の上に塗布した後、これを賦形型で賦形し紫外線照射して硬化させることにより、形成できる。賦形層20の前駆材料は、例えば、重合性不飽和基を有してもよいアクリル樹脂と、(メタ)アクリル系重合性モノマー又はオリゴマーと、を含む紫外線硬化性樹脂であってよい。本明細書において、(メタ)アクリルという表現は、「アクリル」および「メタクリル」の一方または両方を意味する。紫外線硬化性樹脂における重合性不飽和基を有してもよいアクリル樹脂/(メタ)アクリル系重合性モノマー又はオリゴマーの質量比率は、35/65以上95/5以下であることが好ましく、70/30以上90/10以下であることがさらに好ましい。このようにして形成された賦形層20は、柔軟性があり、延伸性を有する。このため、加飾積層体10を成形部65の面に沿って湾曲または延伸させる際に、賦形層20を所望のように湾曲または延伸させることができる。言い換えると、賦形層20によって、加飾積層体10の湾曲または延伸が妨げられる虞が少ない。
【0101】
図示された例では、輝度調整層30を表側面11から視認できるよう、賦形層20は透明である。また、図示された例では、賦形層20に含まれる複数の単位賦形要素23の複数の凹凸構造25は、継ぎ目無しで一体的に成形される(
図4及び
図8A参照)。
【0102】
<輝度調整層>
次に、輝度調整層30について説明する。輝度調整層30は、加飾積層体10で反射される光の輝度を調整する層である。加飾積層体10で反射される光の輝度が調整されることで、高級感をともなった豊かな意匠を、さらに効果的に加飾積層体10に付与できる。
【0103】
図示された例では、輝度調整層30は、加飾積層体10の表側面11の側で測定される可視光の反射率を調整するために設けられている。輝度調整層30は、賦形層20の賦形面20aを被覆している。これにより、賦形面20aと輝度調整層30との間の反射界面における可視光の反射率が調整され、加飾積層体10の表側面11の側で測定される可視光の反射率が調整される。輝度調整層30の賦形層20に対面する面は、賦形面20aに対応する凹凸が形成されている。言い換えると、輝度調整層30には、賦形層20の凹凸構造25に対応する凹凸構造が形成されている。
図4及び
図8Aに示す例では、輝度調整層30は、賦形面20aの凹凸を埋める平坦化層としても機能する。
【0104】
図示された例では、輝度調整層30は顔料や染料で着色された着色層30aである。着色層30aは加飾積層体10に入射した光の一部を吸収し、これにより、賦形面20aと輝度調整層30との間の反射界面における可視光の反射率が調整される。また、着色層30aにより、加飾積層体10に所望の色彩を付与できる。着色層30aを構成する材料としては、樹脂に顔料や染料を混合したものを採用可能である。着色層30aは、さらに、紫外線吸収剤や光安定剤等の添加剤を含んでいてもよい。
【0105】
着色層30aに含まれる樹脂は、例えば、非紫外線硬化系のアクリル樹脂でもよい。
アクリル樹脂は、例えば、(メタ)アクリレート化合物の重合体である。重合体は、(メタ)アクリレート化合物の単独重合体でもよく、共重合体でもよい。(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレートおよびエチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート、ならびにヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよびヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。アクリル樹脂としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が好ましい。
本明細書において、(メタ)アクリレート化合物という表現は、「アクリレート化合物」および「メタクリレート化合物」の一方または両方を意味する。
【0106】
アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、耐熱性および耐摩耗性などの耐久性の観点から、例えば、25000以上でもよく、50000以上でもよい。アクリル樹脂のMwは、層間密着性の観点から、例えば、100000以下でもよく、80000以下でもよい。本明細書において、Mwは、ポリスチレンを標準物質としてゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した値を意味し、JIS K 7252-3:2016に準拠した方法で測定する。
【0107】
アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、耐熱性および耐摩耗性などの耐久性の観点から、例えば、70℃以上でもよく、85℃以上でもよい。アクリル樹脂のTgは、層間密着性の観点から、例えば、110℃以下でもよく、100℃以下でもよい。したがって、アクリル樹脂のTgは、70℃以上110℃以下であってよい。本明細書において、Tgは、JIS K 7121:2012に準拠して、示差走査熱量測定(DSC)により得られるガラス転移温度である。
【0108】
着色層30aに含まれる樹脂は、アクリル系熱硬化性樹脂の硬化物でもよい。該硬化物は、例えば、アクリル系熱硬化性樹脂と硬化剤とから形成される。アクリル系熱硬化性樹脂としては、例えば、一分子中に水酸基を2つ以上有するアクリルポリオールが挙げられる。アクリルポリオールとしては、例えば、原料モノマーとしてヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有モノマーを少なくとも用いた、(メタ)アクリレート化合物の重合体が挙げられる。硬化剤としては、例えば、イソシアネート化合物が挙げられる。
【0109】
着色層30aが黒色に着色されている場合、着色層30aは典型的には黒色顔料を含んでいる。着色層30aは、黒色顔料に代えて黒色染料を含んでいてもよいし、顔料及び染料の両方を含んでもよい。着色層30aが含む黒色顔料としては、例えば、カーボンブラックやチタンブラック、複合金属酸化物、ペリレンブラックを採用可能である。また、着色層30aが含む黒色染料としては、例えば、アゾ系ブラック染料、ニグロシンブラック染料を採用可能である。
【0110】
着色層30aが青色に着色されている場合、着色層30aは典型的には青色顔料を含んでいる。着色層30aは、青色顔料に代えて青色染料を含んでいてもよいし、顔料及び染料の両方を含んでもよい。着色層30aが含む青色顔料としては、例えば、銅フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、コバルトブルー、複合金属酸化物を採用可能である。また、着色層30aが含む青色染料としては、例えば、メチン系染料、アントラキノン系染料、アゾ系染料、トリアリールメタン系染料、フタロシアニン系染料を採用可能である。
【0111】
着色層30aが赤色に着色されている場合、着色層30aは典型的には赤色顔料を含んでいる。着色層30aは、赤色顔料に代えて赤色染料を含んでいてもよいし、顔料及び染料の両方を含んでもよい。着色層30aが含む赤色顔料としては、例えば、ジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、複合金属酸化物、酸化鉄を採用可能である。また、着色層30aが含む赤色染料としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、ペリノン系染料を採用可能である。
【0112】
着色層30aが黄色に着色されている場合、着色層30aは典型的には黄色顔料を含んでいる。着色層30aは、黄色顔料に代えて黄色染料を含んでいてもよいし、顔料及び染料の両方を含んでもよい。着色層30aが含む黄色顔料としては、例えば、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、アントラキノン系顔料、縮合アゾ系顔料、複合金属酸化物、酸化鉄を採用可能である。また、着色層30aが含む黄色染料としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、メチン系染料、キノフタロン系染料、ピラゾロン系染料を採用可能である。
【0113】
着色層30aが緑色に着色されている場合、着色層30aは典型的には緑色顔料を含んでいる。着色層30aは、緑色顔料に代えて緑色染料を含んでいてもよいし、顔料及び染料の両方を含んでもよい。着色層30aが含む緑色顔料としては、例えば、フタロシアニン系顔料、イソインドリン系顔料を採用可能である。また、着色層30aが含む緑色染料としては、例えば、トリフェニルメタン系塩基性染料、フタロシアニン系染料を採用可能である。
【0114】
着色層30aが紫色に着色されている場合、着色層30aは典型的には紫色顔料を含んでいる。着色層30aは、紫色顔料に代えて紫色染料を含んでいてもよいし、顔料及び染料の両方を含んでもよい。着色層30aが含む紫色顔料としては、例えば、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料を採用可能である。また、着色層30aが含む紫色染料としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、アジン系染料、キノリン系染料を採用可能である。
【0115】
着色層30aが紅紫色に着色されている場合、着色層30aは典型的にはマゼンタ顔料を含んでいる。着色層30aは、マゼンタ顔料に代えてマゼンタ染料を含んでいてもよいし、顔料及び染料の両方を含んでもよい。着色層30aが含むマゼンタ顔料としては、例えば、キナクリドン系顔料を採用可能である。また、着色層30aが含むマゼンタ染料としては、例えば、唐紅、アントラキノン系染料を採用可能である。
【0116】
また、着色層30aは、上述した顔料や染料だけでなく調色顔料や調色染料を含んでもよい。例えば着色層30aを黒色に着色する場合であって、黒色顔料や黒色染料が赤みがかっている場合、着色層30aは調色顔料または調色染料として上述した青色顔料や青色染料をさらに含んでもよい。この場合の調色顔料としては、例えば、青色顔料の他、上述した赤色顔料、黄色顔料、緑色顔料、マゼンタ顔料、紫色顔料など、種々の着色顔料を採用可能である。また、この場合の調色染料としては、青色染料の他、上述した赤色染料、緑色染料、マゼンタ染料、黄色染料、紫色染料など、種々の染料を採用可能である。
【0117】
あるいは、着色層30aは、黒色顔料および黒色染料以外の上述した各色の顔料、染料を含んで黒色となっていてもよい。
【0118】
このような着色層30aは、その液状の前駆材料を賦形層20の賦形面20aに塗布し、これを硬化させることにより、作製される。着色層30aの前駆材料は、上述した着色層30aに含まれる樹脂と顔料または染料とを含む。
【0119】
<接合層>
接合層35は、加飾積層体10の他の層と成形部65とを接合(接着、粘着または熱融着)させる。接合層35を形成する材料としては、熱可塑性樹脂や(メタ)アクリル酸エステル系共重合体などを採用可能である。熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えばアクリル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ゴム、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂等を採用可能である。これらの樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0120】
<機能層>
機能層37は、種々の機能を期待されて設けられる層である。種々の機能としては、ハードコート機能、反射防止機能、防眩機能、帯電防止機能、防汚機能等が例示される。図示された例では、機能層37は剥離層37aである。剥離層37aは、後述する基材72からの加飾積層体10の剥離を容易にする剥離性を有する。剥離層37aを形成する材料としては、例えば、アクリル樹脂、塩酢ビ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や、これらの熱可塑性樹脂と硬化剤とを組み合わせた熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂を採用可能である。図示された例では、機能層37は加飾積層体10の表側面11を形成する。加飾積層体10の他の層は、機能層37を透過して観察される。したがって、機能層37は、透明となっている。
【0121】
以上の構成を有する加飾積層体10の厚みは、0.005mm以上としてもよく、0.025mm以上としてもよく、0.05mm以上としてもよく、0.1mm以上としてもよく、0.15mm以上としてもよい。また、加飾積層体10の厚みは、2mm以下としてもよく、1.0mm以下としてもよく、1mm以下としてもよく、0.75mm以下としてもよく、0.5mm以下としてもよい。したがって、加飾積層体10の厚みは、0.005mm以上2mm以下であってよい。
【0122】
<加飾積層体の反射率>
次に、本実施の形態の加飾積層体10の反射率について説明する。本発明者らが得た知見によれば、着色層30aを有する加飾積層体10において、加飾積層体10の表側面11の全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)を調節することにより、加飾積層体10の厚みを、実際の厚みよりも効果的に厚く見せることができる。具体的には、賦形面20a又は輝度調整層30が実際の賦形面20a又は輝度調整層30の位置よりも奥深くに位置しているように感じることができる。これにより、高級感をともなった豊かな意匠を、さらに効果的に加飾積層体10に付与できる。
【0123】
ここで、本実施の形態における加飾積層体10の表側面11の全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)は、JIS Z 8722:2009に準拠して幾何条件cで測定される。本明細書における全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)は、JIS Z 8722:2009に準拠して、分光測色計を用いて、SCI方式及びSCE方式で測定した反射率Y値(三刺激値XYZのY)である。全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)の測定は、コニカミノルタ株式会社製の分光測色計(型番CM-700d)を用いて行う。測定する際、測定条件、観察条件、及び、測定径/照明径を以下のように設定する。また、全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)の測定は、平らな台の上に置いた加飾積層体10の表側面11に分光測色計を垂直に押し当てて行う。この分光測色計の測定波長範囲は400nm~700nmであり、測定波長間隔は10nmである。
<測定条件>
・モード(正反射光処理モード):I+E(SCI+SCE)
<観察条件>
・表色系:L*a*b*
・色差式:ΔE*ab
・視野角:10°視野
・主光源:D65
<測定径/照明径>
ターゲットマスクの交換及びレンズ位置切替えにより、Φ3mm/Φ6mm及びΦ8mm/Φ11mmのいずれかに設定。
【0124】
測定径/照明径は、単位光学要素13の寸法に応じて選択する。ここで、照明径は、分光測色計の照射領域の直径であり、測定径は、分光測色計の測定領域Cの直径である(
図9参照)。
【0125】
図示された例では、単位光学要素13の幾何中心に測定領域Cの中心を合わせた場合に、当該測定領域Cに当該単位光学要素13の少なくとも40%が収まるように測定径/照明径を選択し、全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)を設定する。測定径は、選択可能な測定径の中から最も小さい測定径を選択する。例えば、単位光学要素13の少なくとも40%が直径3mmの仮想円内に収まる場合には、測定径/照明径がΦ3mm/Φ6mm及びΦ8mm/Φ11mmのいずれの場合であっても単位光学要素13の少なくとも40%が測定領域C内に収まるが、測定径/照明径をΦ3mm/Φ6mmに設定する。また、単位光学要素13の少なくとも40%が直径8mmの仮想円内に収まるが直径3mmの仮想円内に収まらない場合には、測定径/照明径をΦ8mm/Φ11mmに設定する。
【0126】
次に、
図9に示すように、加飾積層体10の平面視において、分光測色計の測定領域Cの中心が上記単位光学要素13の幾何中心と一致するように、単位光学要素13に対する測定領域Cの位置を決定して、全光線反射率(R
SCI)及び拡散光線反射率(R
SCE)を測定する。
【0127】
本発明者らは、着色層30aが顔料又は染料で着色されている場合、加飾積層体10の表側面11における反射率を次のように調節することにより、すなわち、全光線反射率(RSCI)および拡散光線反射率(RSCE)が以下の式:
全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦35%、
0.15%≦RSCE≦25%、
1.3≦RSCI/RSCE≦15、
を満たすように、加飾積層体10の表側面11における反射率を調節することにより、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも厚く見せることができると共に、加飾積層体10を観察した場合に着色層30aの色が鮮明に知覚されることを見出した。
【0128】
また、本発明者らは、着色層30aが黒色の顔料又は染料で着色されている場合、加飾積層体10の表側面11における反射率を次のように調節することにより、すなわち、全光線反射率(RSCI)および拡散光線反射率(RSCE)が以下の式:
3%≦RSCI≦8%、
0.15%≦RSCE≦1.2%、
4≦RSCI/RSCE≦15、
を満たすように、加飾積層体10の表側面11における反射率を調節することにより、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも厚く見せることができると共に、加飾積層体10の漆黒性を高めることができることを見出した。
【0129】
さらに、本発明者らは、着色層30aが黒色の顔料又は染料で着色されている場合、加飾積層体10の表側面11における反射率を次のように調節することにより、すなわち、全光線反射率(RSCI)および拡散光線反射率(RSCE)が以下の式:
4%≦RSCI≦6%、
0.3%≦RSCE≦0.6%、
8≦RSCI/RSCE≦15、
を満たすように、加飾積層体10の表側面11における反射率を調節することにより、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも遙かに厚く見せることができると共に、加飾積層体10の漆黒性を、さらに効果的に向上できることを見出した。
【0130】
なお、加飾積層体10の表側面11における全光線反射率(RSCI)および拡散光線反射率(RSCE)は、着色層30aに含まれる樹脂(V)に対する顔料(P)の重量比(P/V)を調整することにより、調整可能である。より具体的には、着色層30aが、無色透明な樹脂と顔料とから形成される場合、P/Vは0.2以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.8以上がさらに好ましい。また、着色層30aの耐久性や他の層との密着性の観点から、P/Vは2以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.2以下がさらに好ましい。したがって、P/Vは、0.2以上2以下であってよい。
【0131】
輝度調整層30が着色層30aである場合、加飾積層体10は、後述する隠蔽層60を更に備えていてもよい。隠蔽層60は、加飾積層体10の裏側面12を形成する、または、賦形層20及び輝度調整層30と裏側面12との間に配置される。この場合、輝度調整層30の色と隠蔽層60の色とを組み合わせた色を、加飾積層体10に付与することができる。
【0132】
<<加飾部材の製造方法>>
次に、
図10乃至
図14を参照して、本実施の形態による加飾部材3(すなわち、
図2Aに示す加飾部材3)の製造方法について説明する。
図10乃至
図14は、加飾積層体10を成形部65に転写するための転写シート70の製造方法を示す断面図である。
【0133】
まず、
図10に示すように、平板な基材72を準備する。基材72は、加飾積層体10を成形部65に転写する際に、加飾積層体10から剥離される部材である。基材72としては、例えばポリエステル樹脂フィルムやポリオレフィン樹脂フィルム等、一般的な転写シートの基材として用いられるものを採用可能である。基材72の一方の面には、離型層が形成されていてもよい。離型層は、加飾積層体10からの基材72の剥離を容易にする剥離性を有する。離型層を形成する材料としては、例えば、アクリル樹脂、塩酢ビ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や、これらの熱可塑性樹脂と硬化剤とを組み合わせた熱硬化樹脂を採用可能である。なお、基材72上に離型層を形成する代わりに、基材72の表面に公知の離型処理を施してもよい。この場合も、基材72を加飾積層体10から容易に剥離できる。
【0134】
次に、基材72上に剥離層37aを形成する。基材72に離型層が形成されている場合には、離型層の上に剥離層37aを形成する。基材72上に剥離層37aが形成されることにより、基材72を加飾積層体10から容易に剥離できる。
【0135】
次に、
図11に示すように、剥離層37a上に、上述した賦形層20の前駆材料の層29を形成する。次に、
図12に示すように、層29に賦形型100を押し当てて、これを賦形する。賦形型100は、凹凸構造25に対応した凹凸を有する。次に、層29に紫外線を照射し、これを硬化させる。これにより、賦形面20aに凹凸構造25が形成された賦形層20が、作製される。その後、賦形型100を賦形層20から取り外す。賦形型100は、層29に紫外線を照射する前に層29から取り外されてもよい。
【0136】
賦形型100の凹凸は、凹凸構造25の接続面角θBが0°ではなく、15°以上となるように、決定されている。これにより、賦形型100で層29を賦形する際に、層29に、賦形型100の凹凸を高い精度で反映させた凹凸を形成することが容易である。言い換えると、賦形層20に、賦形型100の凹凸に応じた凹凸構造25を形成することが容易である。また、凹凸構造25の接続面角θBが15°以上であることにより、賦形層20または層29を賦形型100から抜き取ることが容易である。
【0137】
次に、
図13に示すように、賦形層20の賦形面20aに着色層30aを形成する。着色層30aは、樹脂に顔料や染料を混合してなる前駆材料を賦形面20aに塗布し、形成される。着色層30aの前駆材料に含まれる樹脂が熱可塑性樹脂である場合、前駆材料は、賦形面20aに塗布された後、乾燥されることで形成される。また、着色層30aの前駆材料に含まれる樹脂が熱硬化性樹脂である場合、前駆材料は、賦形面20aに塗布された後、乾燥され加熱されることにより、あるいは乾燥され常温もしくは高温環境に一定時間置かれることにより、硬化してよい。着色層30aを硬化させた後、
図14に示すように、着色層30a上に接合層35を形成する。これにより、
図14に示す転写シート70が作製される。
【0138】
次に、転写シート70を、成形部65を成形するための成形型内に配置する。次に、加飾積層体10上の裏側面12(すなわち、接合層35)と成形型の内面との間に溶融樹脂を導入し、成形型内で樹脂を固化させる。これにより、転写シート70に接合された成形部65が、上記成形型内で成形される。その後、基材72を加飾積層体10から剥離する。これにより、成形部65に加飾積層体10が転写された加飾部材3(
図2A参照)が完成する。このような加飾部材3の成形方法は、インモールド成形として知られる。
【0139】
<<賦形層の賦形型の製造方法>>
次に、賦形層20に凹凸構造25を賦形するための賦形型100の製造方法について説明する。
【0140】
まず、
図15A乃至
図15Cを参照して、賦形型100を形成するための母型110の作製方法について説明する。最初に、
図15Aに示すように、母型形成用部材111を準備する。母型形成用部材111は、ガラス板等の平板な基板112と、基板112の一方の面を被覆する感光材層113とを含む。図示された例では、感光材層113は、ポジ型のレジストを用いて形成される。
【0141】
次に、
図15Bに示すように、感光材層113にレーザー光Rを照射する。このとき、レーザー光Rの母型形成用部材111上における照射位置を移動させながら、感光材層113の全領域にレーザー光を照射する。また、このとき、レーザー光Rの強度は、3階調以上の多階調で制御される。レーザー光Rの強度の制御は、凹凸構造25を表すデータに基づいて制御される。このデータは、賦形層20の賦形面20aに形成すべき凹凸パターンに関する情報を含んでいる。この凹凸パターンは、賦形層20の複数の単位賦形要素23を含む(したがって、これら複数の単位賦形要素23間の間隙領域24も含む)領域の凹凸パターンである。また、この凹凸パターンは、賦形面20aに形成すべき凹凸の、非賦形面20bを基準とした高さ(深さ)を、3段階以上の多段階で表している。このようなデータを用いて、レーザー光Rの強度は、3階調以上の多諧調で制御される。また、レーザー光Rは、上記凹凸パターンを反映した強度で、感光材層113上の各位置に照射される。この結果、感光材層113の各位置におけるレーザー光Rの露光量は、上記凹凸パターンを反映した露光量となる。
【0142】
次に、
図15Cに示すように、感光材層113を現像し、感光材層113の一部を除去する。上述したように、感光材層113の各位置におけるレーザー光Rの露光量が上記凹凸パターンを反映した露光量であるため、現像後の感光材層113には、上記凹凸パターンを反映した凹凸が形成される。このようにして、上記凹凸パターンを反映した凹凸を有する母型110が作製される。
【0143】
このようにして、複数の単位賦形要素23の複数の凹凸構造25に応じた凹凸を有する母型110が、継ぎ目無しで一体的に形成される。このため、母型110に意図しない凹凸が形成される虞が少ない。また、感光材層113のレーザー光Rの露光量が多階調で調整されることで、母型110に、上記凹凸パターンに応じた凹凸を精度良く形成できる。
【0144】
次に、
図16Aおよび
図16Bを参照して、賦形型100の作製方法について説明する。まず、
図16Aに示すように、母型110の凹凸面110aに、金属層115を形成する。金属層115は、例えば電鋳処理によってニッケル等で形成されてよい。金属層115には、母型110の凹凸を反映した(したがって、上記凹凸パターンを反映した)凹凸が形成される。
【0145】
次に、
図16Bに示すように、金属層115を母型110から分離する。金属層115は、例えば母型110の感光材層113を溶剤で溶解して除去することにより、母型110から分離されてよい。母型110から分離された金属層115が、賦形型100として用いられる。また、このようにして作製された賦形型100を複数組み合わせることにより、大型の賦形型を作製してもよい。
【0146】
図17に示すように、このようにして作製された賦形型100を用いることで、賦形層20に複数の単位賦形要素23を、意図された配列パターンで、一度に賦形できる。同時に、複数の単位賦形要素23間の間隙領域24も賦形できる。したがって、賦形層20に、複数の単位賦形要素23を、意図した平面形状および配列パターンで、精度良く形成できる。
【0147】
さらに、このようにして作製される賦形型100は、従来の切削加工により作成された母型を用いて作製される賦形型と比較して、凹凸構造25の設計の自由度が高い。具体的には、傾倒面26A及び接続面26Bの形状を、従来の方法と比較して、自由に設定できる。
【0148】
<<<変形例>>>
次に、
図18乃至
図35を参照して、本実施の形態の各種変形例について説明する。
図18乃至
図35において、
図1乃至
図14に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0149】
<<凹凸構造の変形例>>
<第1領域>
上述した例では、第1領域131が円錐形状のレンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮する例を示したが、これに限られない。第1領域131は、円錐以外の錐体形状と同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮するよう構成されていてもよい。例えば、第1領域131は、
図18に示すような底面が多角形の錐体形状のレンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮するよう構成されてもよい。この場合、第1傾倒面26Aは、
図19に実線で示すように形成される。なお、本明細書において「錐体」とは、直錐体だけでなく、斜錐体も含む概念である。
【0150】
また、第1領域131は、錐台形状のレンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮するよう構成されてもよい。この場合、第1領域131は、
図20A及び
図20Bに示すような直錐体の頂部を取り除いた錐台形状のレンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮してもよい。また、第1領域131は、斜錐体の頂部を取り除いた錐台形状のレンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮するよう構成されてもよい。
図20Bに、第1領域131が錐台形状のレンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮するよう凹凸構造25が構成される場合の、単位光学要素13の断面を示す。
【0151】
また、第1領域131は、略錐体形状又は略錐台形状のレンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮するよう構成されてもよい。また、第1領域131は、
図21に示すような、錐体、錐台、略錐体又は略錐台の一部をその底面に垂直な任意の面に沿って切り欠いた形状のレンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮するよう構成されてもよい。この場合、第1傾倒面26Aは、
図19に一点鎖線で示すように形成される。
【0152】
第1領域131が上述したいずれの形状のレンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮する場合も、第1領域131の凹凸構造25は、複数の第1傾倒面26Aが第1基準線L1に向かう方向に並ぶように、形成される。また、複数の第1傾倒面26Aは、錐体、錐台、略錐体及び略錐台の互いに異なる高さ位置における側面又は当該側面の一部の形状をなす。複数の第1傾倒面26Aが錐体、錐台、略錐体及び略錐台のレンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮する場合も、複数の第1傾倒面26Aは互いに相似形であってよい。また、
図20B等に示すように、第1傾倒面26Aは、複数の第1傾倒面26Aが並ぶ方向に沿った単位光学要素13の断面において直線で表される。
【0153】
第1領域131が上述したいずれの形状のレンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮する場合も、第1領域131がこれらの光学機能を発揮するよう、単位賦形要素23は、次のような特徴を有している。すなわち、上述したように、複数の第1傾倒面26Aが、第1基準線L1に向かう方向に並んでいる。また、複数の第1傾倒面26Aは、第1基準線L1に向けて傾倒している。
【0154】
また、付加的特徴として、単位賦形要素23は、次のような特徴を有している。すなわち、複数の第1傾倒面26Aが並ぶ方向に沿った単位光学要素13の断面において、複数の第1傾倒面26Aのうち第1基準線L1の一側における第1傾倒面26AのピッチWA1の標準偏差が、5μm以下である。ピッチWA1は互いに等しくてもよい。また、第1基準線L1の一側において、複数の第1傾倒面26Aの高さH26の標準偏差が、1μm以下である。当該高さH26は互いに等しくてもよい。さらに、上記断面において、第1基準線L1の他側にも複数の第1傾倒面26Aが存在する場合、第1基準線L1の他側における第1傾倒面26AのピッチWA2の標準偏差が、5μm以下である。ピッチWA2は互いに等しくてもよい。また、第1基準線L1の他側において、複数の第1傾倒面26Aの高さH26の標準偏差が、1μm以下である。当該高さH26は互いに等しくてもよい。ここで、ピッチWA1の平均値とピッチWA2の平均値とは、互いに等しくてもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0155】
あるいは、上記付加的特徴に替えて又は追加して、単位賦形要素23は、次のような付加的特徴を有していてもよい。すなわち、上記断面において、第1傾倒面26Aの、第1基準線L1の一側における第1傾倒面角θAの最大値と最小値との差が、1°以下である。さらに、上記断面において、第1基準線L1の他側にも複数の第1傾倒面26Aが存在する場合、第1傾倒面26Aの、第1基準線L1の他側における第1傾倒面角θAの最大値と最小値との差が、1°以下である。第1基準線L1の一側の第1傾倒面角θAの平均値と第1基準線L1の他側の第1傾倒面角θAの平均値とは、互いに等しくてもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0156】
<第2領域>
単位光学要素13は、第1領域131に加えて第2領域132を有していてもよい。
図20Bに、第1領域131が錐台形状又は略錐台形状のレンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮する場合の、単位光学要素13の断面を示す。
図20Bに示すように、単位光学要素13は、第1傾倒面26Aが並ぶ方向に第1領域131と隣り合う第2領域132を含む。
図20Bに示す例では、第2領域132における賦形面20aは平坦な面である。言い換えると、賦形面20aは、第1基準線L1と第1基準線L1に最も近い傾倒面26Aとの間に平坦面を含んでいる。第2領域132における賦形面20aは、曲面であってもよい。言い換えると、賦形面20aは、第1基準線L1と第1基準線L1に最も近い傾倒面26Aとの間に曲面を含んでいてもよい。第2領域132における賦形面20aは、球面の一部の形状を有していてもよい。第2領域132における賦形面20aは、球面レンズやシリンドリカルレンズのようなレンズ面が曲面であるレンズ(以下、「曲面レンズ」とも呼ぶ。)と同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮してもよい。
【0157】
また、
図22乃至
図25Gに示すように、第2領域132における賦形面20aは、加飾積層体10の法線方向Dnに対して傾倒する複数の第2傾倒面26Cと、隣り合う第2傾倒面26Cを接続する複数の第2接続面26Dとを含んでいてよい。複数の第2傾倒面26Cは、上記法線方向Dnに沿って延びる任意の第2基準線L2に向かう方向に並ぶ。これらの例では、複数の第2傾倒面26Cは、第2基準線L2に向かう方向に並ぶと共に、第1基準線L1に向かう方向に並ぶ。また、複数の第1傾倒面26Aは、第1基準線L1に向かう方向に並ぶと共に、第2基準線L2に向かう方向に並ぶ。
図22乃至
図25Gに示す例では、第2基準線L2は第1基準線L1と一致しているが、これに限られない。第2基準線L2は、第1基準線L1と一致していなくてもよい。また、これらの例では、第2領域132は、少なくとも10の第2傾倒面26Cを含んでいる。第2領域132に含まれる第2傾倒面26Cの数は、10以上でもよく、50以上でもよく、100以上でもよく、200以上でもよい。
【0158】
図22乃至
図25Dに示す例では、第2傾倒面26Cは、基準線に近接して位置している。したがって、
図22乃至
図25Dに示す例では、第2傾倒面26Cを「基準線近接傾倒面」とも称する。また、
図22乃至
図25Dに示す例では、第1傾倒面26Aは、第2傾倒面26Cよりも基準線から離れている。したがって、
図22乃至
図25Dに示す例では、第1傾倒面26Aを「基準線離隔傾倒面」とも称する。
【0159】
一方、
図25E乃至
図25Gに示す例では、第1傾倒面26Aが基準線に近接して位置し、第2傾倒面26Cは、第1傾倒面26Aよりも基準線から離れている。したがって、
図25E乃至
図25Gに示す例では、第1傾倒面26Aを「基準線近接傾倒面」とも称し、第2傾倒面26Cを「基準線離隔傾倒面」とも称する。
【0160】
図22乃至
図25Gに示す例では、複数の第2傾倒面26Cは、連続した凸レンズ面をその厚み方向に垂直な面に沿って分割した複数のレンズ面に対応する。第2接続面26Dは、隣り合うレンズ面を接続するライズ面に対応する。
【0161】
第2領域132は、加飾積層体10の法線方向Dnに見て、複数の第2傾倒面26Cのうち最も外側に位置する傾倒面26Coから、複数の第2傾倒面26Cのうち最も内側に位置する傾倒面26Ccに亘る領域である。
【0162】
本明細書では、加飾積層体10の法線方向Dnに対する第2傾倒面26Cの角度(以下、「第2傾倒面角」とも称する)θCは、
図23B等に示すように、複数の第2傾倒面26Cが並ぶ方向に沿った賦形層20の断面において、各第2傾倒面26Cの頂部と底部を結ぶ直線LCの法線方向Dnに対する角度として、測定される。同様に、本明細書では、加飾積層体10の法線方向Dnに対する第2接続面26Dの角度(以下、「第2接続面角」とも称する)θDは、
図23Bに示すように、複数の第2接続面26Dが並ぶ方向に沿った賦形層20の断面において、各第2接続面26Dの頂部と底部を結ぶ直線LDの法線方向Dnに対する角度として、測定される。各第2傾倒面26Cの第2傾倒面角θCは、当該第2傾倒面26Cに接続する第2接続面26Dの第2接続面角θDよりも大きい。
【0163】
図22に示す例では、第2領域132において賦形層20には、第2領域132を錐体形状、錐台形状、略錐体形状若しくは略錐台形状のレンズとして機能させるための凹凸構造25が形成されている。この例では、第2領域132の凹凸構造25に対応する錐体、錐台、略錐体若しくは略錐台(以下、「第2の錐体若しくは錐台」とも呼ぶ。)の形状は、第1領域131の凹凸構造25に対応する錐体、錐台、略錐体若しくは略錐台(以下、「第1の錐体若しくは錐台」とも呼ぶ。)の形状とは異なる。より具体的には、第1の錐体若しくは錐台の底面の形状と、第2の錐体若しくは錐台の底面の形状とが異なる。この例では、第1領域131は、底面が四角形状である錐台(第1の錐台)の形状のレンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮するように構成され、第2領域132は底面が円の錐体、すなわち円錐(第2の錐体)の形状のレンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮するように構成されている。もちろん、第1領域131は、
図22に示す錐台形状以外の錐体形状、錐台形状、略錐体形状又は略錐台形状のレンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮するように、構成されてよい。また、第2領域132は、
図22に示す錐体形状以外の錐体形状、錐台形状、略錐体形状又は略錐台形状のレンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮するように、構成されてよい。
【0164】
図22に示す例において、複数の第2傾倒面26Cは、第2の錐体若しくは錐台の互いに異なる高さ位置における側面の形状をなしていてよい。この場合、複数の第2傾倒面26Cは互いに相似形であってよい。また、第2傾倒面26Cは、複数の第1傾倒面26A及び複数の第2傾倒面26Cが並ぶ方向に沿った単位光学要素13の断面において直線で表されてよい。
【0165】
図22に示す例では、第2領域132は、加飾積層体10の表側面11から入射した光に凸レンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学作用をもたらすよう構成されている。しかしながら、これに限られず、第2領域132は、加飾積層体10の表側面11から入射した光に凹レンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学作用をもたらすよう構成されていてもよい。これにより、加飾積層体10の厚み以上の豊かな立体感を表現できると共に、複雑な意匠を表現できる。
【0166】
図23Aは、
図22の23A-23A線に沿った単位光学要素13の断面を示す。また、
図23Bは、
図23Aの二点鎖線で囲まれた部分を拡大して示す。
図22に示す例では、複数の第2傾倒面26Cは、第2基準線L2を取り囲むように延びる。このため、
図23Aに示すように、複数の第2傾倒面26Cが並ぶ方向に沿った単位光学要素13の断面において、第2基準線L2の両側に複数の第2傾倒面26Cが存在する。図示された例では、第2基準線L2は、上記第2の錐体の垂線(第2の錐体の頂点から底面に垂直に下した線)に一致する。
【0167】
第2領域132が錐体形状、錐台形状、略錐体形状又は略錐台形状のレンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮するよう、単位賦形要素23は、次のような特徴を有している。すなわち、上述したように、複数の第2傾倒面26Cは、第2基準線L2に向かう方向に並ぶ。複数の第2傾倒面26Cは、第2基準線L2に向けて傾倒している。
図23Aに示す例では、上記断面において、第2傾倒面26Cは、第2基準線L2の一側(例えば
図23Aの左側)で上記法線方向Dnに対して第1方向D1に傾倒し、第2基準線L2の他側(例えば
図23Aの右側)で上記法線方向Dnに対して第1方向D1とは反対の第2方向D2に傾倒している。図示された例では、第1傾倒面26Aは、第1基準線L1及び第2基準線L2に向けて傾倒している。第2傾倒面26Cは、第1基準線L1及び第2基準線L2に向けて傾倒している。
【0168】
また、付加的特徴として、単位賦形要素23は、次のような特徴を有している。
図23Aに示すように、複数の第2傾倒面26Cが並ぶ方向に沿った単位光学要素13の断面において、複数の第2傾倒面26Cのうち第2基準線L2の一側(例えば
図23Aの左側)における第2傾倒面26CのピッチWC1の標準偏差が、5μm以下である。ピッチWC1は互いに等しくてもよい。また、第2基準線L2の一側において、複数の第2傾倒面26Cの高さ(Z方向Dzの寸法)H26の標準偏差が、1μm以下である。当該高さH26は互いに等しくてもよい。さらに、
図23Aに示すように、上記断面において、第2基準線L2の他側(例えば
図23Aの右側)にも複数の第2傾倒面26Cが存在する場合、第2基準線L2の他側における第2傾倒面26CのピッチWC2の標準偏差が、5μm以下である。ピッチWC2は互いに等しくてもよい。また、第2基準線L2の他側において、複数の第2傾倒面26Cの高さH26の標準偏差が、1μm以下である。当該高さH26は互いに等しくてもよい。ここで、ピッチWC1の平均値とピッチWC2の平均値とは、互いに等しくてもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0169】
あるいは、上記付加的特徴に替えて又は追加して、単位賦形要素23は、次のような付加的特徴を有していてもよい。すなわち、複数の第2傾倒面26Cが並ぶ方向に沿った単位光学要素13の断面において、第2基準線L2の一側の第2傾倒面26Cの第2傾倒面角θCの最大値と最小値との差が、1°以下である。さらに、
図23Aに示すように、上記断面において、第2基準線L2の他側にも複数の第2傾倒面26Cが存在する場合、第2基準線L2の他側の第2傾倒面26Cの第2傾倒面角θCの最大値と最小値との差が、1°以下である。第2基準線L2の一側の第2傾倒面角θCの平均値と第2基準線L2の他側の第2傾倒面角θCの平均値とは、互いに等しくてもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0170】
基準線L1,L2の一側において、第2傾倒面26CのピッチWC1の平均値と、第1傾倒面26AのピッチWA1の平均値とが異なっていてよい。
図23A及び
図23Bに示す例では、ピッチWC1の平均値はピッチWA1の平均値よりも大きいが、これに限られない。ピッチWC1の平均値は、ピッチWA1の平均値よりも小さくてもよい。また、基準線L1,L2の他側において、第2傾倒面26CのピッチWC2の平均値と、第1傾倒面26AのピッチWA2の平均値とが異なっていてよい。
図23A及び
図23Bに示す例では、ピッチWC2の平均値はピッチWA2の平均値よりも大きいが、これに限られない。ピッチWC2の平均値は、ピッチWA2の平均値よりも小さくてもよい。
【0171】
さらに、基準線L1,L2の一側において、第2傾倒面26Cの第2傾倒面角θCの平均値と、第1傾倒面26Aの第1傾倒面角θAの平均値とが異なっていてよい。
図23A及び
図23Bに示す例では、基準線L1,L2の一側において、第2傾倒面角θCの平均値は第1傾倒面角θAの平均値よりも大きいが、これに限られない。基準線L1,L2の一側において、第2傾倒面角θCの平均値は、第1傾倒面角θAの平均値よりも小さくてもよい。また、基準線L1,L2の他側において、第2傾倒面26Cの第2傾倒面角θCの平均値と、第1傾倒面26Aの第1傾倒面角θAの平均値とが異なっていてよい。
図23A及び
図23Bに示す例では、基準線L1,L2の他側において、第2傾倒面角θCの平均値は第1傾倒面角θAの平均値よりも大きいが、これに限られない。基準線L1,L2の他側において、第2傾倒面角θCの平均値は、第1傾倒面角θAの平均値よりも小さくてもよい。
【0172】
図24に示す例では、第2領域132の賦形面20aには、フレネルレンズ構造が形成されている。この場合、複数の第2傾倒面26Cは、球面レンズやシリンドリカルレンズのような曲面レンズのレンズ面を、当該曲面レンズの厚み方向(光軸方向)に垂直な面に沿って複数に分割することにより得られる複数のレンズ面(以下、「分割レンズ面」とも呼ぶ。)に対応する。複数の第2接続面26Dは、隣り合う分割レンズ面を接続するライズ面に対応する。
図24に示す例では、第2領域132は、加飾積層体10の表側面11から入射した光に凸レンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学作用をもたらすよう構成されている。しかしながら、これに限られず、第2領域132は、加飾積層体10の表側面11から入射した光に凹レンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学作用をもたらすよう構成されていてもよい。これにより、加飾積層体10の厚み以上の豊かな立体感を表現できると共に、複雑な意匠を表現できる。
【0173】
図25Aは、
図24に示す単位光学要素13の、25A-25A線に沿った断面を示す。また、
図25Bに、
図25Aの二点鎖線で囲まれた部分を拡大して示す。
図24に示す例では、複数の第2傾倒面26Cは、第2基準線L2を取り囲むように延びる。このため、
図25Aに示すように、複数の第2傾倒面26Cが並ぶ方向に沿った単位光学要素13の断面において、第2基準線L2の両側に複数の第2傾倒面26Cが存在する。図示された例では、第2基準線L2は、上記曲面レンズの光軸に一致する。
【0174】
第2領域132が球面レンズやシリンドリカルレンズのような曲面レンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮する場合、単位賦形要素23は、次のような特徴を有している。すなわち、上述したように、複数の第2傾倒面26Cは、第2基準線L2に向かう方向に並ぶ。複数の第2傾倒面26Cは、第2基準線L2に向けて傾倒する。
図25Aに示す例では、上記断面において、第2傾倒面26Cは、第2基準線L2の一側(例えば
図25Aの左側)で上記法線方向Dnに対して第1方向D1に傾倒し、第2基準線L2の他側(例えば
図25Aの右側)で上記法線方向Dnに対して第1方向D1とは反対の第2方向D2に傾倒する。また、この例では、第1傾倒面26Aは、第1基準線L1及び第2基準線L2に向けて傾倒している。第2傾倒面26Cは、第1基準線L1及び第2基準線L2に向けて傾倒している。
【0175】
また、付加的特徴として、単位賦形要素23は、次のような特徴を有している。すなわち、
図25A及び
図25Bに示すように、上記断面において、第2傾倒面26Cの、第2基準線L2の一側(例えば
図25Aの左側)におけるピッチWC1の標準偏差が、5μmより大きい。また、複数の第2傾倒面26Cの、第2基準線L2の一側における高さ(Z方向Dzの寸法)H26の標準偏差が、1μm以下である。当該高さH26は互いに等しくてもよい。さらに、
図25Aに示すように、上記断面において、第2基準線L2の他側(例えば
図25Aの右側)にも複数の第2傾倒面26Cが存在する場合、第2傾倒面26Cの、第2基準線L2の他側におけるピッチWC2の標準偏差が、5μmより大きい。また、複数の第2傾倒面26Cの、第2基準線L2の他側における高さ(Z方向Dzの寸法)H26の標準偏差が、1μm以下である。当該高さH26は互いに等しくてもよい。ピッチWC1,WC2は、それぞれ、第2基準線L2から離れるにつれて小さくなる。ピッチWC1の平均値とピッチWC2の平均値とは、互いに等しくてもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0176】
あるいは、上記付加的特徴に替えて、単位賦形要素23は、次のような付加的特徴を有している。
図25C及び
図25Dに示すように、上記断面において、第2傾倒面26Cの、第2基準線L2の一側(例えば
図25Cの左側)におけるピッチWC1の標準偏差が、5μm以下である。当該ピッチWC1は互いに等しくてもよい。また、第2傾倒面26Cの、第2基準線L2の一側における高さ(Z方向Dzの寸法)H26の標準偏差が、1μmより大きい。さらに、
図25Cに示すように、上記断面において、第2基準線L2の他側(例えば
図25Cの右側)にも複数の第2傾倒面26Cが存在する場合、第2傾倒面26Cの、第2基準線L2の他側におけるピッチWC2の標準偏差が、5μm以下である。当該ピッチWC2は互いに等しくてもよい。また、第2傾倒面26Cの、第2基準線L2の他側における高さH26の標準偏差が、1μmより大きい。高さH26は、第2基準線L2の一側および他側のそれぞれにおいて、第2基準線L2から離れるにつれて高くなる。ここで、ピッチWC1の平均値とピッチWC2の平均値とは、互いに等しくてもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0177】
あるいは、上記付加的特徴に替えて又は追加して、単位賦形要素23は、次のような付加的特徴を有している。すなわち、上記断面において、第2傾倒面26Cの、第2基準線L2の一側における第2傾倒面角θCの最大値と最小値との差が、1°より大きい。さらに、
図25A及び
図25Cに示すように、上記断面において、第2基準線L2の他側にも複数の第2傾倒面26Cが存在する場合、第2傾倒面26Cの、第2基準線L2の他側における第2傾倒面角θCの最大値と最小値との差が、1°より大きい。第2傾倒面角θCは、第2基準線L2の一側および他側のそれぞれにおいて、第2基準線L2から離れるにつれて小さくなる。第2基準線L2の一側の第2傾倒面角θCの平均値と第2基準線L2の他側の第2傾倒面角θCの平均値とは、互いに等しくてもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0178】
図22乃至
図25Dに示す例では、第2領域132は、第1領域131の内側に位置している。言い換えると、第2領域132は、第1領域131よりも基準線L1,L2に近い。賦形面20aが有する複数の傾倒面26A,26Cのうち、第2傾倒面26Cが基準線L1,L2に最も近い。言い換えると、第2領域132は、複数の傾倒面26A,26Cのうち、基準線L1,L2に最も近い10の傾倒面26Cを含む。また、第1領域131は、第2領域132よりも基準線L1,L2から離れた位置にある。第1領域131は、第2傾倒面26Cよりも基準線L1,L2から離れた位置で基準線L1,L2に向かう方向に連続して並ぶ10の傾倒面26Aを含む。
【0179】
上述した例とは異なり、第2領域132は、第1領域131の外側に位置していてもよい。言い換えると、第2領域132は、第1領域131よりも基準線L1,L2から離れていてもよい。
図25E乃至
図25Gに示す例では、賦形面20aが有する複数の傾倒面26A,26Cのうち、第1傾倒面26Aが基準線L1,L2に最も近い。言い換えると、第1領域131は、複数の傾倒面26A,26Cのうち、基準線L1,L2に最も近い10の傾倒面26Aを含む。また、第2領域132は、第1領域131よりも基準線L1,L2から離れた位置にある。第2領域132は、第1傾倒面26Aよりも基準線L1,L2から離れた位置で基準線L1,L2に向かう方向に連続して並ぶ10の傾倒面26Cを含む。
図25Eに示す例では、第2領域132は、錐体形状、錐台形状、略錐体形状又は略錐台形状のレンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮する。
図25F及び
図25Gに示す例では、第2領域132において賦形面20aには、フレネルレンズ構造が形成されており、第2領域132は、球面レンズやシリンドリカルレンズのような曲面レンズの一部と同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮する。
【0180】
また、加飾積層体10が複数の単位光学要素13を有する場合、一部の単位賦形要素23に上述した第1傾倒面26A及び第1接続面26Bを含む凹凸構造25が形成され、他の一部の単位賦形要素23に上述したフレネルレンズ構造が形成されてもよい。
【0181】
また、凹凸構造25を精度良く形成することや賦形面20aと輝度調整層30との密着性を考慮すると、第2接続面角θDは、好ましくは15°以上であり、さらに好ましくは25°以上である。また、第2傾倒面26Cの面積を十分に確保する観点から、第2接続面角θDは、好ましくは55°以下であり、さらに好ましくは45°以下である。したがって、第2接続面角θDは15°以上55°以下であってよい。
【0182】
<<輝度調整層の変形例1>>
上述した例では、輝度調整層30が着色層30aである例を示したが、これに限られない。
図26Aに示すように、輝度調整層30は、反射層30bであってもよい。
【0183】
反射層30bは、賦形層20の賦形面20aを被覆することにより、賦形面20aと反射層30bとの間に反射界面を形成する。反射層30bによって、賦形面20aと反射層30bとの間の反射界面における可視光の反射率が向上し、これにより加飾積層体10で反射される光の輝度が調整される。この反射層30bは、金属材料の蒸着またはコーティング等により形成される金属反射層である。反射層30bは、薄い膜状の層として形成される。反射層30bの厚みは、接続面26B,26Dの高さH26よりも薄くてもよい。反射層30bの厚みは、接続面26B,26Dの高さH26の半分以下でもよく、接続面26B,26Dの高さH26の25%以下でもよく、接続面26B,26Dの高さH26の10%以下でもよい。このような厚みの反射層30bは、賦形面20aの凹凸を埋めることなく、賦形面20aに対面する側とは反対の側に賦形面20aの凹凸に対応する凹凸を有する。
【0184】
図26Aに示す例では、反射層30bの凹凸は接合層35によって埋められている。しかしながら、
図4に示す例と同様に、反射層30bは、賦形面20aの凹凸を埋めるように形成されてもよい。
【0185】
反射層30bの材料としては、反射層30bが形成する反射界面の反射率が向上する材料を用いることが好ましく、さらに電波透過性をもつ材料を用いることがより好ましい。この場合、反射層30bを構成する材料としては、例えば、アルミニウム、インジウム、錫等の金属材料を用いることができる。
【0186】
また、上述したように、センサ5で用いられる電磁波が、加飾積層体10を透過する。反射層30bが、賦形面20aの全面に連続的に広がる層として形成されると、電磁波が遮断または減衰される。そこで、
図26Bに示すように、反射層30bは、複数の金属粒部31を含んでもよい。金属粒部31は、金属光沢を有し、可視光を反射可能となっている。反射層30bは、いわゆる海島構造の島を形成している。島状の金属粒部31が、互いに離間している。複数の金属粒部31の間には、海島構造の海を形成するすき間が設けられている。センサ5で用いられる電磁波、例えばミリ波は、このすき間を通過することによって、反射層30bを透過する。このような金属層は、例えばインジウム材料として、スパッタリングや真空蒸着等の蒸着により形成され得る。反射層30bは、複数の単位賦形要素23にまたがって、継ぎ目無しで一体的に形成してもよい。
【0187】
反射層30bの厚みは、反射層30bが形成する反射界面の反射率を向上させることができる厚みであることが好ましい。反射層30bの厚みは、例えば、0.005μm以上であってよい。また、反射層30bの厚みは、20μm以下であってよい。したがって、反射層30bの厚みは、0.005μm以上20μm以下であってよい。反射層30b及び加飾積層体10に含まれるその他の層の厚みも、走査型電子顕微鏡を用いて加飾積層体10の断面の画像を観察することによって測定できる。
【0188】
なお、本発明者らは、輝度調整層30が反射層30bである場合、加飾積層体10の表側面11における反射率を次のように調節することにより、すなわち、全光線反射率(RSCI)および拡散光線反射率(RSCE)が以下の式:
3%≦RSCI≦35%、
0.15%≦RSCE≦25%、
1.3≦RSCI/RSCE≦15、
を満たすように、加飾積層体10の表側面11における反射率を調節することにより、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも厚く見せることができると共に、加飾積層体10の立体感を高めることができることを見出した。
【0189】
【0190】
まず、
図10乃至
図12に示す方法と同様の方法により、基材72上に剥離層37aを形成し、剥離層37a上に、凹凸構造25を有する賦形層20を形成する。
【0191】
次に、
図27Aに示すように、賦形面20a上に、スパッタリングや真空蒸着等の成膜技術により、反射層30bを形成する。なお、図示された例では、凹凸構造25の接続面26B,26Dの接続面角θB,θDが0°ではなく、15°以上である。これにより、接続面26B,26D上に反射層30bを成膜することが容易である。
【0192】
次に、
図27Bに示すように、反射層30b上に接合層35を形成する。なお、反射層30bの接合層35と接触する面は、賦形層20の凹凸構造25に応じた凹凸を有する。図示された例では、賦形層20の接続面26B,26Dの接続面角θB,θDが15°以上であることにより、接続面角θB,θDが0°である場合と比較して、反射層30bの接続面26B,26Dを覆う部分と接合層35との密着性が向上する。この結果、反射層30bと接合層35との密着性が向上する。以上により、加飾積層体10を含む転写シート70が作製される。
【0193】
次に、転写シート70を、成形部65を成形するための成形型内に配置する。次に、加飾積層体10上の裏側面12(すなわち、接合層35)と成形型の内面との間に溶融樹脂を導入し、成形型内で樹脂を固化させる。これにより、転写シート70に接合された成形部65が、上記成形型内で成形される。その後、基材72を加飾積層体10から剥離する。これにより、成形部65に加飾積層体10が転写された加飾部材3(
図2A参照)が完成する。
【0194】
<<輝度調整層の変形例2>>
図26A乃至
図27Bに示す変形例において、輝度調整層30が反射層30bである例を示したが、これに限られない。輝度調整層30は、屈折率変調層30cであってもよい。屈折率変調層30cは、その屈折率が賦形層20の屈折率とは異なる層である。賦形層20の凹凸構造25が屈折率変調層30cによって覆われている場合、賦形層20と屈折率変調層30cとの間に反射界面が形成され、賦形面20aにおける光の反射率を向上させることができる。これにより、加飾積層体10で反射される光の輝度を調整できる。
【0195】
屈折率変調層30cは、高屈折率材料(例えば、金属酸化物、金属硫化物又は金属窒化物)の蒸着またはコーティング等により形成できる。屈折率変調層30cは、透明蒸着層であってもよい。屈折率変調層30cを形成する高屈折率材料としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、チタン酸バリウムのいずれか、若しくは、これらの組み合わせを採用可能である。また、屈折率変調層30cは、透明蒸着層であってもよい。屈折率変調層30cがこのような材料で形成されることにより、屈折率変調層30cの電磁波透過性を向上させることができる。
【0196】
屈折率変調層30cを高屈折率材料のコーティングで形成する場合、屈折率変調層30cは、例えば次のような方法により形成することができる。すなわち、高屈折率材料で形成された平均粒子径100nm以下の高屈折率粒子を含むインキを準備し、これを賦形面20aにコーティングする。これにより、屈折率変調層30cを形成することができる。このような高屈折率粒子を含むインキとしては、例えば、酸化ジルコニウム分散液(堺化学工業社製、SZR series(製品名))を採用可能である。インキは、バインダー樹脂を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。バインダー樹脂としては、紫外線硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂等を採用可能である。電離放射線硬化性樹脂は、例えば、電子線硬化性樹脂である。紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂をバインダー樹脂として含む屈折率変調層30cは、柔軟性があり、延伸性を有する。このため、加飾積層体10を成形部65の面に沿って湾曲または延伸させる際に、屈折率変調層30cを所望のように湾曲または延伸させることができる。言い換えると、屈折率変調層30cによって、加飾積層体10の湾曲または延伸が妨げられる虞が少ない。
【0197】
図示された例では、凹凸構造25の接続面26B,26Dの接続面角θB,θDが0°ではなく、15°以上である。これにより、接続面26B,26D上に屈折率変調層30cを成膜することが容易である。
【0198】
屈折率変調層30cは、
図26Aに示す反射層30bと同様に、薄い膜状の層として形成されてよい。この場合、屈折率変調層30cの厚みは、接続面26B,26Dの高さH26よりも薄くてもよい。屈折率変調層30cの厚みは、接続面26B,26Dの高さH26の半分以下でもよく、接続面26B,26Dの高さH26の25%以下でもよく、接続面26B,26Dの高さH26の10%以下でもよい。このような厚みの屈折率変調層30cは、賦形面20aの凹凸を埋めることなく、賦形面20aに対面する側とは反対の側に賦形面20aの凹凸に対応する凹凸を有する。
【0199】
あるいは、屈折率変調層30cは、
図4に示す例と同様に、賦形面20aの凹凸を埋めるように形成されてもよい。
【0200】
屈折率変調層30cの厚みは、屈折率変調層30cが形成する反射界面の反射率を向上させることができる厚みであることが好ましい。屈折率変調層30cの厚みは、例えば、0.005μm以上であってよい。また、屈折率変調層30cの厚みは、20μm以下であってよい。
【0201】
本発明者らは、輝度調整層30が屈折率変調層30cである場合、加飾積層体10の表側面11における反射率を次のように調節することにより、すなわち、全光線反射率(RSCI)および拡散光線反射率(RSCE)が以下の式:
3%≦RSCI≦35%、
0.15%≦RSCE≦25%、
1.3≦RSCI/RSCE≦15、
を満たすように、加飾積層体10の表側面11における反射率を調節することにより、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも厚く見せることができると共に、加飾積層体10の立体感を高めることができることを見出した。
【0202】
<<輝度調整層の変形例3>>
上述した例では、輝度調整層30は賦形層20との間に反射界面を形成するが、これに限られない。輝度調整層30が着色層30a、反射層30bおよび屈折率変調層30cのいずれである場合も、輝度調整層30は、賦形層20に対面する面32とは反対側の面33に対面する層(
図26Aに示す例では、接合層35)との間に反射界面を形成してもよい。この場合、
図26Aに示すように、輝度調整層30が上記反対側の面33に賦形面20aの凹凸に対応する凹凸を有していれば、上記反対側の面33における反射界面は、賦形面20aの凹凸に対応した形状になる。このため、上記反対側の面33における反射界面によって、単位光学要素13に入射した光に、賦形層20の凹凸構造25に応じた光学作用がもたらされる。また、この場合も、輝度調整層30によって、当該反射界面における可視光の反射率が調整され、加飾積層体10の表側面11の側で測定される可視光の反射率が調整される。
【0203】
したがって、輝度調整層30が屈折率変調層30cである場合であって、上記反対側の面33に賦形面20aの凹凸に対応する凹凸を有する場合、屈折率変調層30cは、上記反対側の面33に対面する層(
図26Aでは、接合層35)との間に反射界面を形成してよい。この場合、屈折率変調層30cの屈折率と上記反対側の面33に対面する層(
図26Aでは、接合層35)の屈折率とが異なっていてよい。この場合、屈折率変調層30cと賦形層20との間に反射界面が形成されていなくてもよい。より具体的には、屈折率変調層30cの屈折率と賦形層20の屈折率とが同じであってもよい。
【0204】
もちろん、輝度調整層30が上記反対側の面33に賦形面20aの凹凸に対応する凹凸を有する場合、輝度調整層30の両側に反射界面が形成されてもよい。
【0205】
<<その他の変形例>>
<着色層>
輝度調整層30が反射層30bまたは屈折率変調層30cである場合、加飾積層体10はさらに着色層45を有していてもよい。これにより、加飾積層体10を所望の色に着色できる。また、輝度調整層30だけでなく、着色層45によっても、加飾積層体10での反射光の輝度を調整できる。
図2B及び
図28に示す例では、着色層45は、賦形層20および輝度調整層30よりも加飾積層体10の裏側面12側に配置されている。より具体的には、接合層35、着色層45、輝度調整層30、賦形層20及び機能層37が、加飾積層体10の裏側面12から表側面11に向かう方向に、この順で積層されている。着色層45は、輝度調整層30を覆う。
図28に示す例では、着色層45は、機能層37、賦形層20および輝度調整層30を透過して観察される。したがって、機能層37、賦形層20および輝度調整層30は、透明となっている。なお、
図2Cに示すように、着色層45は、賦形層20および輝度調整層30よりも加飾積層体10の表側面11側に配置されていてもよい。この場合、賦形層20及び/又は輝度調整層30は着色層45を透過して観察される。このため、着色層45は透明である。
【0206】
着色層45は、顔料または染料を含む。着色層45は、上述した着色層30aと同様の材料で、着色層30aと同様の方法により形成されてよい。
図28に示すように、着色層45は、輝度調整層30の凹凸を埋める平坦化層として機能してよい。
【0207】
図28に示す加飾積層体10においても、加飾積層体10が着色層45を含む場合も、加飾積層体10の表側面11の全光線反射率(R
SCI)及び拡散光線反射率(R
SCE)を調節することにより、加飾積層体10の厚みを、実際の厚みよりも効果的に厚く見せることができる。
【0208】
着色層45が顔料又は染料で着色されている場合、加飾積層体10の表側面11における反射率を次のように調節することにより、すなわち、全光線反射率(RSCI)および拡散光線反射率(RSCE)が以下の式:
3%≦RSCI≦35%、
0.15%≦RSCE≦25%、
1.3≦RSCI/RSCE≦15、
を満たすように、加飾積層体10の表側面11における反射率を調節することにより、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも厚く見せることができる。また加飾積層体10を観察した場合に着色層45の色が鮮明に知覚される。
【0209】
具体的には、着色層45が黒色の染料又は顔料で着色されている場合、加飾積層体10の表側面11における反射率を次のように調節することにより、すなわち、全光線反射率(RSCI)および拡散光線反射率(RSCE)が以下の式:
3%≦RSCI≦12%、
0.4%≦RSCE≦3%、
2≦RSCI/RSCE≦12、
を満たすように、加飾積層体10の表側面11における反射率を調節することにより、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも厚く見せることができる。また、加飾積層体10の漆黒性を高めることができる。
【0210】
さらに、着色層45が黒色の染料又は顔料で着色されている場合、加飾積層体10の表側面11における反射率を次のように調節することにより、すなわち、全光線反射率(RSCI)および拡散光線反射率(RSCE)が以下の式:
4%≦RSCI≦8%、
0.8%≦RSCE≦2%、
4≦RSCI/RSCE≦8、
を満たすように、加飾積層体10の表側面11における反射率を調節することにより、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも遙かに厚く見せることができる。また、加飾積層体10の漆黒性を効果的に高めることができる。
【0211】
なお、加飾積層体10の表側面11における全光線反射率(RSCI)および拡散光線反射率(RSCE)は、着色層45に含まれる樹脂(V)に対する顔料(P)の重量比(P/V)を調整することにより、調整可能である。より具体的には、着色層45が、無色透明な樹脂と顔料とから形成される場合、P/Vは0.2以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.8以上がさらに好ましい。また、着色層45の耐久性や他の層との密着性の観点から、P/Vは2以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.2以下がさらに好ましい。したがって、P/Vは0.2以上2以下であってよい。
【0212】
<充填層>
輝度調整層30が賦形面20aの凹凸を埋めていない場合、加飾積層体10は、輝度調整層30の凹凸を埋める充填層40を有していてもよい。充填層40は、輝度調整層30の凹凸を埋める平坦化層である。
図29に示す例では、輝度調整層30の充填層40に対面する面は、賦形面20aの凹凸に対応する凹凸を有している。
図29に示す例では、接合層35、充填層40、輝度調整層30、賦形層20及び機能層37が、加飾積層体10の裏側面12から表側面11に向かう方向に、この順で積層されている。充填層40は、電離放射線硬化型樹脂の組成物を輝度調整層30上に供給し、輝度調整層30上で硬化させることによって、作製されてよい。
【0213】
充填層40は、透明または不透明な樹脂層であってよい。充填層40が不透明である場合、充填層40によって、加飾部材3が適用される物品の少なくとも一部を隠蔽することができる。例えば
図1Bに示す例では、充填層40が不透明であることにより、加飾部材3はセンサ5を隠蔽することができる。すなわち、充填層40は後述する隠蔽層60を兼ねていてもよい。
【0214】
<バッカー層>
図2D及び
図30に示すように、加飾積層体10は、バッカー層55を有していてもよい。バッカー層55は、加飾積層体10を補強し、加飾積層体10の一体化物としての形態を保持するための層である。加飾積層体10がバッカー層55を有することにより、加飾積層体10の強度が向上する。この結果、後述するように、加飾積層体10を、成形部65に接合する前に予備成形することができる。
図2D及び
図30に示す例では、バッカー層55、接合層56、輝度調整層30、賦形層20および機能層37が、加飾積層体10の裏側面12から表側面11に向かう方向に、この順で積層されている。バッカー層55は、加飾積層体10の裏側面12を形成している。
【0215】
バッカー層形成用の材料としては、例えば、ABS樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂を採用可能である。ポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレン樹脂が好ましい。これらの樹脂のうち、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂及びポリカーボネート樹脂が特に好ましい。また、成形部65を形成する材料がABS樹脂である場合は、バッカー層形成用の材料としてはABS樹脂が好ましい。成形部65を形成する材料がポリプロピレン樹脂である場合は、バッカー層形成用の材料としてはポリプロピレン樹脂が好ましい。成形部65を形成する材料がポリカーボネート樹脂である場合は、バッカー層形成用の材料としてはポリカーボネート樹脂が好ましい。バッカー層55は、上記バッカー層形成用の材料で作製されたフィルム状の部材であってよい。バッカー層55の厚みは、例えば0.1mm以上1.0mm以下である。
【0216】
バッカー層55は、透明でもよく、不透明でもよい。バッカー層55が不透明である場合、バッカー層55によって、加飾部材3が適用される物品の少なくとも一部を隠蔽することができる。例えば
図2Bに示す例では、バッカー層55が不透明であることにより、加飾部材3はセンサ5を隠蔽することができる。すなわち、バッカー層55は後述する隠蔽層60を兼ねていてもよい。
【0217】
接合層56は、バッカー層55と加飾積層体10の他の層とを接合させる。接合層56を形成する材料としては、接合層35と同様の材料を採用可能である。
【0218】
【0219】
まず、
図10乃至
図13に示す方法と同様の方法により、基材72上に、剥離層37a、賦形層20及び輝度調整層30を形成する。その後、
図31Aに示すように、輝度調整層30上に接合層56を形成する。次に、
図31Bに示すように、接合層56にバッカー層55を接合させる。最後に、基材72を加飾積層体10から剥離する。このようにして、
図30に示す加飾積層体10が作製される。
【0220】
次に、加飾部材3の表側面3aの形状に応じた予備成形型を用いて加飾積層体10を予備成形する。その後、予備成形した加飾積層体10を、成形部65を成形するための成形型内に配置する。次に、加飾積層体10上の裏側面12(すなわち、バッカー層55)と成形型の内面との間に溶融樹脂を導入し、成形型内で樹脂を固化させる。これにより、加飾積層体10に接合された成形部65が、成形型内で成形され、
図2Dに示す加飾部材3が完成する。このような加飾部材3の成形方法は、インサート成形として知られる。
【0221】
<機能層>
上述した例では、加飾積層体10は、機能層37が剥離層37aである例を示したが、これに限られない。機能層37は、加飾積層体10の他の層を支持する支持層37bであってもよい。
図2E及び
図32に示す例では、バッカー層55、接合層56、輝度調整層30、賦形層20及び支持層37bが、加飾積層体10の裏側面12から表側面11に向かう方向に、この順で積層されている。
【0222】
支持層37bを構成する材料としては、適切な支持性を有するものであればいかなる材料でもよいが、例えば、アクリル酸エステル、ABS、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、ポリプロピレンなどを採用可能である。
【0223】
図2E及び
図32に示す例では、支持層37bは加飾積層体10の表側面11を形成する。したがって、支持層37bは、耐擦傷機能を有することが好ましい。この場合、支持層37bは保護層としても機能する。このような支持層37bが加飾積層体10の表側面11を形成することにより、加飾部材3の表側面3aに加わる外力によって凹凸構造25が損傷する虞が、効果的に低減される。支持層37bは、反射防止機能、防眩機能、帯電防止機能、防汚機能等、他の機能を有していてもよい。
【0224】
【0225】
まず、支持層37bとして平板な基材を準備する。次に、
図33Aに示すように、支持層37b上に、賦形層20を形成する。賦形層20は、
図11及び
図12に示す方法と同様の方法により形成される。すなわち、まず支持層37b上に賦形層20の前駆材料の層29を形成する。次に、層29に賦形型100を押し当て、その後、層29を硬化させる。これにより、賦形層20が形成される。
【0226】
次に、
図33Bに示すように、賦形層20の賦形面20aに輝度調整層30を形成する。次に、
図33Cに示すように、輝度調整層30上に接合層56を形成する。次に、接合層56にバッカー層55を接合させる。このようにして、
図32に示す加飾積層体10が作製される。
【0227】
次に、加飾部材3の表側面3aの形状に応じた予備成形型を用いて加飾積層体10を予備成形する。その後、予備成形した加飾積層体10を、成形部65を成形するための成形型内に配置する。次に、加飾積層体10上の裏側面12(すなわち、バッカー層55)と成形型の内面との間に溶融樹脂を導入し、成形型内で樹脂を固化させる。これにより、加飾積層体10に接合された成形部65が、成形型内で成形され、
図2Eに示す加飾部材3が完成する。
【0228】
機能層37が支持層37bである場合、加飾積層体10は接合層56やバッカー層55を含まなくてもよい。
図2Fに示す例では、輝度調整層30、賦形層20及び支持層37bが、加飾積層体10の裏側面12から表側面11に向かう方向に、この順で積層されている。支持層37bが加飾積層体10の表側面11を形成し、輝度調整層30が加飾積層体10の裏側面12を形成している。
【0229】
【0230】
まず、
図33Aに示す方法と同様の方法により、支持層37b上に賦形層20を形成する。次に、
図33Bに示す方法と同様の方法により、賦形層20の賦形面20aに輝度調整層30を形成する。このようにして、
図2Fに示す加飾積層体10が作製される。
【0231】
次に、加飾部材3の表側面3aの形状に応じた予備成形型を用いて加飾積層体10を予備成形する。その後、予備成形した加飾積層体10を、成形部65を成形するための成形型内に配置する。次に、加飾積層体10上の裏側面12(すなわち、輝度調整層30)と成形型の内面との間に溶融樹脂を導入し、成形型内で樹脂を固化させる。これにより、加飾積層体10に接合された成形部65が、成形型内で成形され、
図2Fに示す加飾部材3が完成する
【0232】
<隠蔽層>
加飾積層体10は、後述するように、不透明な隠蔽層60を有していてもよい。隠蔽層60は、加飾部材3が適用される物品や成形部65の少なくとも一部を隠蔽する。隠蔽層60は、例えば顔料及び/又は染料とバインダー樹脂とから構成されてよい。隠蔽層60は、着色層45と同じ材料で形成されてよい。隠蔽層60に含まれる顔料としては、例えば、カーボンブラック等の黒顔料や、酸化チタン等の白顔料、アルミ系顔料が好ましい。このような顔料が隠蔽層60に含まれることにより、隠蔽層60の隠蔽性が向上する。あるいは、隠蔽層60は、アルミニウムやインジウム、錫などの金属を、加飾積層体10の他の層に蒸着させることにより、形成されてもよい。
【0233】
<その他の層>
加飾積層体10は、上述した層以外の層を含んでいてもよい。例えば、加飾積層体10は、図形、デザイン、絵、写真、キャラクター、マーク、ピクトグラム、文字や数字などの絵柄が形成された絵柄層を含んでいてもよい。絵柄層は、加飾積層体10に、背景を表示する意匠表現を行うこともできる。絵柄層には、例えば、木目調や大理石調の絵柄、金属調の質感、幾何学模様が設けられていてもよい。絵柄層は、印刷によって形成された印刷層でもよいし、転写によって形成された転写層であってもよい。
【0234】
<<加飾部材の変形例>>
図2A乃至
図2Fに示す例では、加飾積層体10が加飾部材3の表側面3aを形成するが、これに限られない。
図2G乃至
図2Jに示すように、加飾積層体10は、加飾部材3の裏側面3bを形成してもよい。また、
図2A乃至
図2Fに示す例では、賦形層20と輝度調整層30とが、加飾積層体10の表側面3aから裏側面3bに向かう方向に、この順で積層されているが、これに限られない。
図2G乃至
図2Iに示すように、賦形層20と輝度調整層30とは、加飾積層体10の裏側面3bから表側面3aに向かう方向に、この順で積層されてもよい。
【0235】
<
図2Gに示す加飾部材>
図2Gに示す例では、加飾積層体10は、機能層37と、賦形層20と、輝度調整層30と、接合層35とを含む。機能層37、賦形層20、輝度調整層30及び接合層35は、加飾部材3の裏側面3bから表側面3aに向かう方向に、この順で積層されている。接合層35が加飾積層体10の表側面11を形成し、機能層37が加飾積層体10の裏側面12を形成している。接合層35は、成形部65の裏側面67と加飾積層体10の他の層とを接合している。
【0236】
図2Gに示す加飾部材3は、
図2Aに示す加飾部材3と同様の方法により作製できる。
図2Gに示す例では、輝度調整層30及び/又は賦形層20は、成形部65及び接合層35を透過して観察される。したがって、成形部65及び接合層35は透明である。また、輝度調整層30も透明であってよい。
【0237】
<
図2Hに示す加飾部材>
図2Hに示す例では、加飾積層体10は、機能層37と、賦形層20と、輝度調整層30と、接合層56と、バッカー層55とを含む。機能層37、賦形層20、輝度調整層30、接合層56及びバッカー層55は、加飾部材3の裏側面3bから表側面3aに向かう方向に、この順で積層されている。バッカー層55が加飾積層体10の表側面11を形成し、機能層37が加飾積層体10の裏側面12を形成している。バッカー層55は、成形部65の裏側面67に接合している。
【0238】
図2Hに示す加飾部材3は、
図2Dに示す加飾部材3と同様の方法により作製できる。
図2Hに示す例では、輝度調整層30及び/又は賦形層20は、成形部65、バッカー層55及び接合層56を透過して観察される。したがって、成形部65、バッカー層55及び接合層56は透明である。また、輝度調整層30も透明であってよい。
【0239】
<
図2Iに示す加飾部材>
図2Iに示す例では、加飾積層体10は、機能層37と、賦形層20と、輝度調整層30と、接合層56と、バッカー層55とを含む。機能層37、賦形層20、輝度調整層30、接合層56及びバッカー層55は、加飾部材3の裏側面3bから表側面3aに向かう方向に、この順で積層されている。バッカー層55が加飾積層体10の表側面11を形成し、機能層37が加飾積層体10の裏側面12を形成している。バッカー層55は、成形部65の裏側面67に接合している。
【0240】
図2Iに示す加飾部材3は、
図2Eに示す加飾部材3と同様の方法により作製できる。
図2Iに示す例では、輝度調整層30及び/又は賦形層20は、成形部65、バッカー層55及び接合層56を透過して観察される。したがって、成形部65、バッカー層55及び接合層56は透明である。また、輝度調整層30も透明であってよい。
【0241】
<
図2Jに示す加飾部材>
図2Jに示す例では、加飾積層体10は、隠蔽層60と、輝度調整層30と、賦形層20と、機能層37と、接合層35とを含む。隠蔽層60、輝度調整層30、賦形層20、機能層37及び接合層35は、加飾部材3の裏側面3bから表側面3aに向かう方向に、この順で積層されている。接合層35が加飾積層体10の表側面11を形成し、隠蔽層60が加飾積層体10の裏側面12を形成している。接合層35は、成形部65の裏側面67に接合している。
【0242】
図2Jに示す加飾部材3は、次のようにして作製できる。まず、
図33A及び
図33Bに示す方法と同様の方法により、機能層37の一方の面上に賦形層20及び輝度調整層30を積層する。次に、
図34Aに示すように、輝度調整層30上に隠蔽層60を形成する。次に、
図34Bに示すように、機能層37の他方の面上に接合層35を形成する。
図34Bに示す工程の後、接合層35を成形部65の裏側面67に接合させる。これにより、
図2Jに示す加飾部材3が作製される。
【0243】
図2Jに示す例では、輝度調整層30及び/又は賦形層20は、成形部65、接合層35及び機能層37を透過して観察される。したがって、成形部65、接合層56及び機能層37は透明である。また、輝度調整層30も透明であってよい。
【0244】
<<加飾部材の反射率>>
上述した例では、加飾積層体10の表側面11における全光線反射率(RSCI)および拡散光線反射率(RSCE)が上述した所定の式を満たすように、加飾積層体10の表側面11における反射率を調節することで、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも厚く見せることを説明してきたが、同様の説明が加飾部材3に対しても成り立つ。すなわち、加飾積層体10が加飾部材3の表側面3aを形成している場合、加飾積層体10が加飾部材3の表側面3aと成形部65との間に配置されている場合、加飾積層体10が加飾部材3の裏側面3bを形成している場合、及び、加飾積層体10が加飾部材3の裏側面3bと成形部65との間に配置されている場合のいずれの場合であっても、加飾部材3の表側面3aにおける全光線反射率(RSCI)および拡散光線反射率(RSCE)が上述した所定の式を満たすように、加飾部材3の表側面3aにおける反射率を調節することで、加飾部材3aの厚みを実際の厚みよりも厚く見せることができる。
【0245】
図2G乃至
図2Jに示すように、成形部65が加飾部材3の表側面3aを形成している場合、及び、加飾積層体10が加飾部材3の裏側面3bと成形部65との間に配置されている場合(言い換えると、成形部65が加飾部材3の表側面3aと加飾積層体10との間に配置されている場合)、成形部65は透明であり且つ着色されていてよい。この場合、成形部65によって、加飾部材3の表側面3aにおける全光線反射率(R
SCI)および拡散光線反射率(R
SCE)を調整することができる。この場合も、加飾積層体10は、
図2K及び
図2Lに示すように、着色層45を含んでいてよい。加飾部材3が着色された成形部65及び着色層45を含む場合、成形部65及び着色層45によって、加飾部材3の表側面3aにおける全光線反射率(R
SCI)および拡散光線反射率(R
SCE)を調整することができる。なお、
図2Lに示す例では、賦形層20及び/又は輝度調整層30は着色層45を透過して観察される。このため、着色層45は透明である。
【0246】
あるいは、
図2M及び
図2Nに示すように、加飾積層体3は、着色層68を含んでもよい。この場合、着色層68によって、加飾部材3の表側面3aにおける全光線反射率(R
SCI)および拡散光線反射率(R
SCE)を調整することができる。
図2Mに示す例では、着色層68は、加飾積層体3の表側面3aを形成している。とりわけ、
図2Mに示す例では、着色層68は、成形部65の表側面66を覆っている。
図2Mに示す例において、成形部65及び加飾積層体10は、着色層68を透過して観察される。したがって、着色層68は、透明である。
図2Nに示す例では、着色層68は、成形部68の裏側面67を覆っている。
図2Nに示す例では、加飾積層体10は、着色層68を透過して観察される。したがって、着色層68は、透明である。
図2M及び
図2Nに示す着色層68は、上述した着色層30aと同様の材料を、成形部65の表側面66又は裏側面67に塗布することによって、形成できる。
【0247】
<<加飾部材の形状>>
加飾部材3の形状としては、任意の形状を採用し得る。言い換えると、加飾積層体10が適用される成形部65の形状は、任意の形状であってよい。例えば、
図35に示すように、加飾部材3は曲面68を含んでいてもよい。より具体的には、成形部65は加飾部材3の曲面3cに対応する曲面68を含んでおり、加飾積層体10は成形部65の曲面68を覆っていてもよい。加飾積層体10が曲面68を覆うことにより、加飾部材3の曲面3cを観察する観察者6は、加飾部材3に動かすことなく、加飾積層体10への光の入射角度の変化に応じた加飾積層体10の光学作用の変化を把握できる。言い換えると、加飾部材3の曲面3c上においては加飾積層体10に対する光の入射角度が場所によって異なるので、加飾部材3の曲面3cを観察する観察者6は、視線を動かすだけで、平らな加飾積層体10をその傾きを変化させながら観察した場合と同様の、加飾積層体10からの反射光の動きを感知できる。加飾積層体10の上記光学作用の変化を効果的に把握する観点から、加飾部材3の曲面(したがって、成形部65の曲面)の曲率半径は、250mm以下であることが好ましく、100mm以下であることが更に好ましい。
【0248】
以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例によれば、加飾積層体10は、賦形層20と輝度調整層30とを備えている。賦形層20は、凹凸構造25が形成された賦形面20aを有する。輝度調整層30は、賦形面20aを覆う。加飾積層体10は、少なくとも1つの単位光学要素13を有する。単位光学要素13は、加飾積層体10の表側面11に入射した光を、凹凸構造25に応じて反射、屈折および/又は回折させる。単位光学要素13において、賦形面20aは、複数の傾倒面26A,26Cと複数の接続面26B,26Dとを含む。複数の傾倒面26A,26Cは、加飾積層体10の法線方向Dnに沿って延びる任意の基準線L1,L2に向かう方向に並び、且つ、基準線L1,L2に向けて傾倒する。接続面26B,26Dは、隣り合う傾倒面26A,26Cを接続する。傾倒面26A,26Cの法線方向Dnに対する角度θA,θCが、当該傾倒面26A,26Cに接続する接続面26B,26Dの法線方向Dnに対する角度θB,θDよりも大きい。複数の傾倒面26A,26Cが並ぶ方向に沿った単位光学要素13の断面において、基準線近接傾倒面26Aの、基準線L1,L2の一側におけるピッチWA1の標準偏差が5μm以下であり且つ高さH26の標準偏差が1μm以下である。基準線近接傾倒面26Aは、基準線L1,L2に近接した位置で連続して並ぶ複数の傾倒面である。図示された例では、基準線近接傾倒面26Aは、複数の傾倒面26A,26Cのうち基準線L1,L2に最も近い10の傾倒面26Aである。この場合、単位光学要素13の基準線近接傾倒面26Aを含む領域131は、単位光学要素13に入射した光に、錐体若しくは錐台形状のレンズと同様の光学作用又は当該光学作用に対応する光学作用をもたらし得る。この結果、加飾積層体10の厚み以上の豊かな立体感を表現でき、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能となる。
【0249】
以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例によれば、複数の傾倒面26A,26Cはレンズ面であってよく、複数の接続面26B,26Dはライズ面であってよい。
【0250】
また、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例によれば、基準線近接傾倒面26Aは、共通の第1の錐体若しくは錐台の互いに異なる高さ位置における側面又は当該側面の一部の形状をなす。この場合、単位光学要素13の基準線近接傾倒面26Aを含む領域131は、単位光学要素13に入射した光に、錐体若しくは錐台形状のレンズと同様の光学作用又は当該光学作用に対応する光学作用をもたらし得る。
【0251】
また、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例によれば、基準線近接傾倒面26Aは、基準線L1,L2を取り囲むように延びている。単位光学要素13の上記断面は、基準線L1,L2の両側に基準線近接傾倒面26Aを含む。単位光学要素13の上記断面において、基準線近接傾倒面26Aの、基準線L1,L2の他側におけるピッチWA2の標準偏差が5μm以下であり且つ高さH26の標準偏差が1μm以下である。この場合、単位光学要素13の基準線近接傾倒面26Aを含む領域131は、単位光学要素13に入射した光に、錐体若しくは錐台形状のレンズと同様の光学作用又は当該光学作用に対応する光学作用をもたらし得る。この結果、加飾積層体10の厚み以上の豊かな立体感を、効果的に表現できる。
【0252】
また、この場合、単位光学要素13の上記断面において、基準線近接傾倒面26Aの、基準線L1,L2の一側におけるピッチWA1の平均値と基準線L1,L2の他側におけるピッチWA2の平均値とが異なる。この場合、単位光学要素13の基準線近接傾倒面26Aを含む領域131は、単位光学要素13に入射した光に、斜錐体形状又は斜錐体の頂部を取り除いた錐台形状のレンズと同様の光学作用又は当該光学作用に対応する光学作用をもたらし得る。
【0253】
また、以上に説明してきた変形例によれば、複数の傾倒面26A,26Cは、基準線近接傾倒面26Aよりも基準線L1,L2から離れた位置で連続して並ぶ基準線離隔傾倒面26Cを有している。基準線近接傾倒面26Aは、共通の第1の錐体若しくは錐台の互いに異なる高さ位置における側面又は当該側面の一部の形状をなしている。基準線離隔傾倒面26Cは、共通の第2の錐体若しくは錐台の互いに異なる高さ位置における側面又は当該側面の一部の形状をなしている。第1の錐体若しくは錐台の底面の形状と、前記第2の錐体若しくは錐台の底面の形状とが、互いに異なる。図示された例では、基準線離隔傾倒面26Cは、上記10の傾倒面26Aよりも基準線L1,L2から離れた位置で連続して並ぶ更に10の傾倒面である。この場合、単位光学要素13の基準線離隔傾倒面26Cを含む領域132は、単位光学要素13に入射した光に、錐台形状のレンズと同様の光学作用又は当該光学作用に対応する光学作用をもたらし得る。この結果、上記領域132によっても、加飾積層体10の厚み以上の豊かな立体感を表現でき、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能となる。また、上記領域131及び132の組み合わせによる複雑な意匠を表現できる。
【0254】
また、以上に説明してきた変形例によれば、単位光学要素13の上記断面において、基準線離隔傾倒面26Cの、基準線L1,L2の一側におけるピッチWC1の標準偏差が5μm以下であり且つ高さの標準偏差が1μm以下である。基準線離隔傾倒面26Cは、基準線近接傾倒面26Aよりも基準線L1,L2から離れた位置で連続して並ぶ複数の傾倒面である。図示された例では、基準線離隔傾倒面26Cは、上記10の傾倒面26Aよりも基準線L1,L2から離れた位置で連続して並ぶ更に10の傾倒面である。この場合、単位光学要素13の基準線離隔傾倒面26Cを含む領域132は、単位光学要素13に入射した光に、錐台形状のレンズと同様の光学作用又は当該光学作用に対応する光学作用をもたらし得る。この結果、上記領域132によっても、加飾積層体10の厚み以上の豊かな立体感を表現でき、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能となる。
【0255】
また、以上に説明してきた変形例によれば、単位光学要素13の上記断面において、基準線離隔傾倒面26Cの、基準線L2の一側におけるピッチWC1の標準偏差が5μmより大きく且つ高さH26の標準偏差が1μm以下である。基準線離隔傾倒面26Cは、基準線近接傾倒面26Aよりも基準線L1,L2から離れた位置で連続して並ぶ複数の傾倒面である。図示された例では、基準線離隔傾倒面26Cは、上記10の傾倒面26Aよりも基準線L1,L2から離れた位置で連続して並ぶ更に10の傾倒面である。この場合、単位光学要素13の基準線離隔傾倒面26Cを含む領域132は、単位光学要素13に入射した光に、フレネルレンズ構造のレンズと同様の光学作用又は当該光学作用に対応する光学作用をもたらし得る。この結果、上記領域132によっても、加飾積層体10の厚み以上の豊かな立体感を表現できる。この結果、加飾積層体10の厚み以上の豊かな立体感を、さらに効果的に表現できるまた、上記領域131及び132の組み合わせによる複雑な意匠を表現できる。基準線離隔傾倒面26CのピッチWC1が、基準線L1,L2から離れるにつれて小さくなってよい。
【0256】
また、以上に説明してきた変形例によれば、単位光学要素13の上記断面において、上記基準線離隔傾倒面26Cの、基準線L1,L2の一側におけるピッチWC1の標準偏差が5μm以下であり且つ高さの標準偏差が1μmより大きい。基準線離隔傾倒面26Cは、基準線近接傾倒面26Aよりも基準線L1,L2から離れた位置で連続して並ぶ複数の傾倒面である。図示された例では、基準線離隔傾倒面26Cは、上記10の傾倒面26Aよりも基準線L1,L2から離れた位置で連続して並ぶ更に10の傾倒面である。この場合、単位光学要素13の基準線離隔傾倒面26Cを含む領域132は、単位光学要素13に入射した光に、フレネルレンズ構造のレンズと同様の光学作用又は当該光学作用に対応する光学作用をもたらし得る。この結果、上記領域132によっても、加飾積層体10の厚み以上の豊かな立体感を表現できる。この結果、加飾積層体10の厚み以上の豊かな立体感を、さらに効果的に表現できる。また、上記領域131及び132の組み合わせによる複雑な意匠を表現できる。基準線離隔傾倒面26Cの高さH26が、基準線L1,L2から離れるにつれて高くなってよい。
【0257】
また、以上に説明してきた変形例によれば、加飾積層体10は、賦形層20と輝度調整層30とを備えている。賦形層20は、凹凸構造25が形成された賦形面20aを有する。輝度調整層30は、賦形面20aを覆う。加飾積層体10は、少なくとも1つの単位光学要素13を有する。単位光学要素13は、加飾積層体10の表側面11に入射した光を、凹凸構造25に応じて反射、屈折および/又は回折させる。単位光学要素13において、賦形面20aは、複数の傾倒面26A,26Cと複数の接続面26B,26Dとを含む。複数の傾倒面26A,26Cは、加飾積層体10の法線方向Dnに沿って延びる任意の基準線L1,L2に向かう方向に並び、且つ、基準線L1,L2に向けて傾倒する。接続面26B,26Dは、隣り合う傾倒面26A,26Cを接続する。傾倒面26A,26Cの法線方向Dnに対する角度θA,θCが、当該傾倒面26A,26Cに接続する接続面26B,26Dの法線方向Dnに対する角度θB,θDよりも大きい。複数の傾倒面26A,26Cが並ぶ方向に沿った単位光学要素13の断面において、基準線近接傾倒面26Cの、基準線L1,L2の一側におけるピッチWC1の標準偏差が5μmより大きく且つ高さH26の標準偏差が1μm以下である。又は、基準線近接傾倒面26Cの、基準線L1,L2の一側におけるピッチWC1の標準偏差が5μm以下であり且つ高さH26の標準偏差が1μmより大きい。単位光学要素13の上記断面において、基準線離隔傾倒面26Aの、基準線L1,L2の一側におけるピッチWA1の標準偏差が5μm以下であり且つ高さH26の標準偏差が1μm以下である。基準線近接傾倒面26Cは、基準線L1,L2に近接した位置で連続して並ぶ複数の傾倒面である。基準線離隔傾倒面26Aは、基準線近接傾倒面26Cよりも基準線L1,L2から離れた位置で連続して並ぶ複数の傾倒面である。図示された例では、基準線近接傾倒面26Cは、基準線L1,L2に最も近い10の傾倒面26Cである。基準線離隔傾倒面26Aは、上記10の傾倒面26Cよりも基準線L1,L2から離れた位置で連続して並ぶ更に10の傾倒面26Aである。この場合、単位光学要素13の基準線離隔傾倒面26Aを含む領域131は、単位光学要素13に入射した光に、錐体若しくは錐台形状のレンズと同様の光学作用又は当該光学作用に対応する光学作用をもたらし得る。これにより、加飾積層体10の厚み以上の豊かな立体感を表現でき、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能となる。また、上記領域131及び132の組み合わせによる複雑な意匠を表現できる。さらに、上記領域132が単位光学要素13に入射した光にフレネルレンズ構造のレンズと同様の光学作用又は当該光学作用に対応する光学作用をもたらせば、上記領域132によっても、加飾積層体10の厚み以上の豊かな立体感を表現できる。この結果、加飾積層体10の厚み以上の豊かな立体感を、さらに効果的に表現できる。
【0258】
この変形例において、複数の傾倒面26A,26Cはレンズ面であってよく、複数の接続面26B,26Dはライズ面であってよい。
【0259】
この変形例において、基準線離隔傾倒面26Aは、共通の錐体若しくは錐台の互いに異なる高さ位置における側面又は当該側面の一部の形状をなす。この場合、単位光学要素13の基準線離隔傾倒面26Aを含む領域131は、単位光学要素13に入射した光に、錐体若しくは錐台形状のレンズと同様の光学作用又は当該光学作用に対応する光学作用をもたらし得る。この結果、加飾積層体10の厚み以上の豊かな立体感を、効果的に表現できる。
【0260】
また、この変形例において、基準線離隔傾倒面26Aは、基準線L1,L2を取り囲むように延びている。単位光学要素13の上記断面は、基準線L1,L2の両側に基準線離隔傾倒面26Aを含む。単位光学要素13の上記断面において、基準線離隔傾倒面26Aの、基準線L1,L2の他側におけるピッチWA2の標準偏差が5μm以下であり且つ高さの標準偏差が1μm以下である。この場合、単位光学要素13の基準線離隔傾倒面26Aを含む領域131は、単位光学要素13に入射した光に、錐体若しくは錐台形状のレンズと同様の光学作用又は当該光学作用に対応する光学作用をもたらし得る。この結果、加飾積層体10の厚み以上の豊かな立体感を、効果的に表現できる。
【0261】
また、この変形例において、単位光学要素13の上記断面において、基準線離隔傾倒面26Aの、基準線L1,L2の一側におけるピッチWA1の平均値と基準線L1,L2の他側におけるピッチWA2の平均値とが異なっていてもよい。この場合、単位光学要素13の基準線離隔傾倒面26Aを含む領域131は、単位光学要素13に入射した光に、斜錐体の頂部を取り除いた錐台形状のレンズと同様の光学作用又は当該光学作用に対応する光学作用をもたらし得る。
【0262】
また、この変形例において、基準線近接傾倒面26CのピッチWC1,WC2が、基準線L1,L2から離れるにつれて小さくなってよい。この場合、単位光学要素13の基準線近接傾倒面26Cを含む領域132は、単位光学要素13に入射した光に、フレネルレンズ構造のレンズと同様の光学作用又は当該光学作用に対応する光学作用をもたらし得る。
【0263】
また、この変形例において、基準線近接傾倒面26Cの高さH26が、基準線L1,L2から離れるにつれて高くなる。この場合、基準線近接傾倒面26Cは、単位光学要素13に入射した光に、フレネルレンズ構造のレンズと同様の光学作用又は当該光学作用に対応する光学作用をもたらし得る。
【0264】
また、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例によれば、加飾積層体10は、賦形層20と輝度調整層30とを備えている。賦形層20は、凹凸構造25が形成された賦形面20aを有する。輝度調整層30は、賦形面20aを覆う。加飾積層体10は、少なくとも1つの単位光学要素13を有する。単位光学要素13は、加飾積層体10の表側面11に入射した光を、凹凸構造25に応じて反射、屈折および/又は回折させる。単位光学要素13において、賦形面20aは、複数の傾倒面26A,26Cと複数の接続面26B,26Dとを含む。複数の傾倒面26A,26Cは、加飾積層体10の法線方向Dnに沿って延びる任意の基準線L1,L2に向かう方向に並び、且つ、基準線L1,L2に向けて傾倒する。接続面26B,26Dは、隣り合う傾倒面26A,26Cを接続する。傾倒面26A,26Cの法線方向Dnに対する角度θA,θCが、当該傾倒面26A,26Cに接続する接続面26B,26Dの法線方向Dnに対する角度θB,θDよりも大きい。複数の傾倒面26A,26Cが並ぶ方向に沿った単位光学要素13の断面において、基準線近接傾倒面26Aの、基準線L1,L2の一側における上記法線方向Dnに対する角度の最大値と最小値との差が、1°以下である。基準線近接傾倒面26Aは、基準線L1,L2に近接した位置で連続して並ぶ複数の傾倒面である。図示された例では、基準線近接傾倒面26Aは、複数の傾倒面26A,26Cのうち基準線L1,L2に最も近い10の傾倒面である。この場合、単位光学要素13の基準線近接傾倒面26Aを含む領域131は、単位光学要素13に入射した光に、錐体若しくは錐台形状のレンズと同様の光学作用又は当該光学作用に対応する光学作用をもたらし得る。この結果、加飾積層体10の厚み以上の豊かな立体感を表現でき、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能となる。
【0265】
この実施形態および変形例において、複数の傾倒面26A,26Cはレンズ面であってよく、複数の接続面26B,26Dはライズ面であってよい。
【0266】
また、以上に説明してきた変形例によれば、単位光学要素13の上記断面において、基準線離隔傾倒面26Cの、基準線L1,L2の一側における法線方向Dnに対する角度θCの最大値と最小値との差が、1°より大きい。基準線離隔傾倒面26Cは、基準線近接傾倒面26Aよりも基準線L1,L2から離れた位置で連続して並ぶ複数の傾倒面である。図示された例では、基準線離隔傾倒面26Cは、上記10の傾倒面26Aよりも基準線L1,L2から離れた位置で連続して並ぶ更に10の傾倒面である。この場合、上記領域131及び132の組み合わせによる複雑な意匠を表現できる。また、上記領域132が単位光学要素13に入射した光にフレネルレンズ構造のレンズと同様の光学作用又は当該光学作用に対応する光学作用をもたらせば、上記領域132によっても、加飾積層体10の厚み以上の豊かな立体感を表現できる。この結果、加飾積層体10の厚み以上の豊かな立体感を、さらに効果的に表現できる。
【0267】
また、以上に説明してきた変形例によれば、加飾積層体10は、賦形層20と輝度調整層30とを備えている。賦形層20は、凹凸構造25が形成された賦形面20aを有する。輝度調整層30は、賦形面20aを覆う。加飾積層体10は、少なくとも1つの単位光学要素13を有する。単位光学要素13は、加飾積層体10の表側面11に入射した光を、凹凸構造25に応じて反射、屈折および/又は回折させる。単位光学要素13において、賦形面20aは、複数の傾倒面26A,26Cと複数の接続面26B,26Dとを含む。複数の傾倒面26A,26Cは、加飾積層体10の法線方向Dnに沿って延びる任意の基準線L1,L2に向かう方向に並び、且つ、基準線L1,L2に向けて傾倒する。接続面26B,26Dは、隣り合う傾倒面26A,26Cを接続する。傾倒面26A,26Cの法線方向Dnに対する角度θA,θCが、当該傾倒面26A,26Cに接続する接続面26B,26Dの法線方向Dnに対する角度θB,θDよりも大きい。複数の傾倒面26A,26Cが並ぶ方向に沿った単位光学要素13の断面において、基準線近接傾倒面26Cの、基準線L1,L2の一側における上記法線方向Dnに対する角度の最大値と最小値との差が1°より大きい。単位光学要素13の上記断面において、基準線離隔傾倒面26Aの、基準線L1,L2の一側における上記法線方向Dnに対する角度の最大値と最小値との差が1°以下である。基準線近接傾倒面26Cは、基準線L1,L2に近接した位置で連続して並ぶ複数の傾倒面である。基準線離隔傾倒面26Aは、基準線近接傾倒面26Cよりも基準線L1,L2から離れた位置で連続して並ぶ複数の傾倒面である。図示された例では、基準線近接傾倒面26Cは、基準線L1,L2に最も近い10の傾倒面である。基準線離隔傾倒面26Aは、上記10の傾倒面26Cよりも基準線L1,L2から離れた位置で連続して並ぶ更に10の傾倒面である。この場合、単位光学要素13の基準線離隔傾倒面26Aを含む領域131は、単位光学要素13に入射した光に、錐体若しくは錐台形状のレンズと同様の光学作用又は当該光学作用に対応する光学作用をもたらし得る。この結果、加飾積層体10の厚み以上の豊かな立体感を表現でき、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能となる。また、上記領域131及び132の組み合わせによる複雑な意匠を表現できる。さらに、上記領域132が単位光学要素13に入射した光にフレネルレンズ構造のレンズと同様の光学作用又は当該光学作用に対応する光学作用をもたらせば、上記領域132によっても、加飾積層体10の厚み以上の豊かな立体感を表現できる。この結果、加飾積層体10の厚み以上の豊かな立体感を、さらに効果的に表現できる。
【0268】
この変形例において、複数の傾倒面26A,26Cはレンズ面であってよく、複数の接続面26B,26Dはライズ面であってよい。
【0269】
また、以上に説明してきた変形例によれば、賦形面20aは、基準線L1,L2と基準線近接傾倒面26A又は26Cとの間に平坦面又は曲面を含んでもよい。この場合、基準線近接傾倒面26Aと平坦面又は曲面の組み合わせによる複雑な意匠を表現できる。
【0270】
また、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例によれば、接続面26B,26Dの法線方向Dnに対する角度が、15°以上55°以下である。この場合、賦形層20を精度良く形成することができ、また賦形面20aと輝度調整層30との密着性が向上する。この結果、加飾積層体10を容易に製造できる。
【0271】
また、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例によれば、傾倒面26A,26Cの高さH26が、1μm以上10μm以下である。
【0272】
また、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例によれば、賦形層20の厚みT20を傾倒面26A,26Cの高さH26で除した値が、1.5以上8.0以下である。この場合、加飾部材3の表側面3aに加わる外力によって凹凸構造25が破損する虞を効果的に抑制できる。また、凹凸構造25を精度良く形成することができる。
【0273】
また、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例によれば、輝度調整層30は、顔料又は染料を含む。この場合、輝度調整層30によって加飾積層体10に入射した光の一部を吸収させることにより、輝度調整層30と賦形層20または輝度調整層30に隣接するその他の層(
図26Aに示す例では、接合層35)との間の反射界面における可視光の反射率を調整できる。また、この場合、加飾積層体10に所望の色彩を付与できる。
【0274】
あるいは、この実施形態および変形例では、輝度調整層30は、顔料又は染料で着色されている。加飾積層体10の表側面11の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦35%、
0.15%≦RSCE≦25%、
1.3≦RSCI/RSCE≦15
を満たす。この場合、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも厚く見せることができる。
【0275】
この実施形態および変形例では、賦形層20は、輝度調整層30は、黒色の顔料又は染料で着色されている。加飾積層体10の表側面11の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦8%、
0.15%≦RSCE≦1.2%、
4≦RSCI/RSCE≦15、
を満たす。この場合、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも厚く見せることができる。また、加飾積層体10の漆黒性を高めることができる。
【0276】
この実施形態および変形例では、加飾積層体10の表側面11を形成し、又は、表側面11と輝度調整層30との間に配置されている。賦形層20は、透明である。
【0277】
また、以上に説明してきた変形例によれば、輝度調整層30は、反射層30bまたは屈折率変調層30cである。この場合、輝度調整層30によって、輝度調整層30と賦形層20または輝度調整層30に隣接するその他の層(
図26Aに示す例では、接合層35)との間の反射界面における可視光の反射率を向上できる。これにより、加飾積層体10で反射される光の輝度を調整できる。また、この場合、凹凸構造25の表面に反射界面を形成することが容易である。
【0278】
この変形例では、加飾積層体10の表側面11の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦35%、
0.15%≦RSCE≦25%、
1.3≦RSCI/RSCE≦15、
を満たす。この場合、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも厚く見せることができる。
【0279】
あるいは、この変形例では、加飾積層体10は、輝度調整層30を覆う着色層45を更に備える。着色層45は、顔料又は染料で着色されている。
【0280】
あるいは、この変形例では、着色層45は、黒色の顔料又は染料で着色されている。加飾積層体10の表側面11の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦12%、
0.4%≦RSCE≦3%、
2≦RSCI/RSCE≦12、
を満たす。この場合、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも厚く見せることができる。また、加飾積層体10の漆黒性を高めることができる。
【0281】
あるいは、この変形例では、賦形層20は、加飾積層体10の表側面11を形成し、又は、表側面11と輝度調整層30との間に配置されている。賦形層20及び輝度調整層30は、透明である。
【0282】
また、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例によれば、加飾積層体10は、その表側面11又は裏側面12を形成する接合層35を更に備える。この場合、加飾積層体10を他の物品(例えば成形部65)に接合させることが容易である。
【0283】
また、以上に説明してきた変形例によれば、加飾積層体10は、その表側面11又は裏側面12を形成するバッカー層55を更に備える。この場合、加飾積層体10の強度を向上できる。
【0284】
また、以上に説明してきた変形例によれば、加飾積層体10は、その裏側面12を形成する隠蔽層60を更に備える。この場合、加飾積層体10によって、加飾積層体10が適用される物品(例えば成形部65)の少なくとも一部を隠蔽することができる。
【0285】
また、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例によれば、転写シート70は、基材72と上記加飾積層体10とを備える。加飾積層体10は、加飾積層体10の基材72に接触する面を形成する剥離層37aを有する。この場合、基材72を加飾積層体10から容易に剥離できる。
【0286】
また、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例によれば、加飾部材3は、成形部65と成形部65の少なくとも一部を覆う上記加飾積層体10とを備える。このような加飾部材3によれば、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能である。
【0287】
また、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例の加飾部材3によれば、輝度調整層30は、顔料又は染料で着色されている。加飾部材3の表側面3aの側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦35%、
0.15%≦RSCE≦25%、
1.3≦RSCI/RSCE≦15、
を満たす。この場合、加飾部材3の厚みを実際の厚みよりも厚く見せることができる。
【0288】
また、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例の加飾部材3によれば、輝度調整層30は、黒色の顔料又は染料で着色されている。加飾部材3の表側面3aの側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦8%、
0.15%≦RSCE≦1.2%、
4≦RSCI/RSCE≦15、
を満たす。この場合、加飾部材3の厚みを実際の厚みよりも厚く見せることができる。また、加飾部材3の漆黒性を高めることができる。
【0289】
また、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例の加飾部材3によれば、輝度調整層30は、反射層30bまたは屈折率変調層30cである。加飾部材3の表側面3aの側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦35%、
0.15%≦RSCE≦25%、
1.3≦RSCI/RSCE≦15、
を満たす。この場合、加飾部材3の厚みを実際の厚みよりも厚く見せることができる。
【0290】
また、この実施形態およびその変形例の加飾部材3によれば、加飾積層体10は、輝度調整層30を覆う着色層45を更に備える。着色層45は、顔料又は染料で着色されている。
【0291】
また、この実施形態およびその変形例の加飾部材3によれば、着色層45は、黒色の顔料又は染料で着色されている。加飾部材3の表側面3aの側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦12%、
0.4%≦RSCE≦3%、
2≦RSCI/RSCE≦12、
を満たす。この場合、加飾部材3の厚みを実際の厚みよりも厚く見せることができる。また、加飾部材3の漆黒性を高めることができる。
【0292】
また、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例によれば、移動体1は上記加飾積層体10を備えている。このような移動体1によれば、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能である。
【0293】
具体例を参照しながら一実施の形態およびその変形例を説明してきたが、以上の具体例が一実施の形態及び変形例を限定することを意図していない。上述した一実施の形態及び変形例は、その他の様々な具体例で実施されることが可能であり、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加等を行うことができる。
【符号の説明】
【0294】
1:移動体、3:加飾部材、5:センサ、10:加飾積層体、13:単位光学要素、131:第1領域、132:第2領域、20:賦形層、20a:賦形面、23:単位賦形要素、24:間隙領域、25:凹凸構造、26A:第1傾倒面、26B:第1接続面、26C:第2傾倒面、26D:第2接続面、30:輝度調整層、35:接合層、37:機能層、40:充填層、45:着色層、55:バッカー層、60:隠蔽層、65:成形部、68:着色層、70:転写シート、72:基材、100:賦形型