特開 2025-2503 パネル材及びフェンス

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2025002503

(43)【公開日】2025-01-09

(54)【発明の名称】パネル材及びフェンス

(51)【国際特許分類】

   E04H 17/14 20060101AFI20241226BHJP

【ＦＩ】

E04H17/14 102A

【審査請求】未請求

【請求項の数】7

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023102727

(22)【出願日】2023-06-22

(71)【出願人】

【識別番号】000198787

【氏名又は名称】積水ハウス株式会社

(71)【出願人】

【識別番号】000107985

【氏名又は名称】セイコー産業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100080182

【弁理士】

【氏名又は名称】渡辺 三彦

(74)【代理人】

【識別番号】100142572

【弁理士】

【氏名又は名称】水内 龍介

(72)【発明者】

【氏名】榎本 恵一

(72)【発明者】

【氏名】青野 拓司

(72)【発明者】

【氏名】國枝 良

(72)【発明者】

【氏名】川西 彩

(72)【発明者】

【氏名】戸川 雅弘

(72)【発明者】

【氏名】久田 晴彦

【テーマコード（参考）】

2E142

【Ｆターム（参考）】

2E142AA10

2E142DD13

2E142DD23

2E142DD32

2E142DD36

2E142HH01

2E142HH03

2E142HH22

(57)【要約】

【課題】 意匠性を向上させつつ、強度や耐久性の低下を抑えたパネル材及びフェンスを提供する。
【解決手段】パネル材１は、水平方向に長尺で、互いに隙間を開けて上下に複数並べて配置され、下面から上方向に向けて形成される裏板挿入孔４０を有する水平木板材４と、前記裏板挿入孔４０に挿入され、ネジ孔５０が設けられた裏板５と、上下方向に長尺で、前記水平木板材４の裏面に当接する縦材６と、前記縦材６に形成された貫通孔６０を通して前記裏板５のネジ孔５０に螺着し、前記裏板５を前記縦材６に引き寄せて前記水平木板材４を前記縦材６に接続する接続ネジ７と、を備えるパネル材１であって、前記裏板挿入孔４０は前記水平木板材４の下面から上下方向の中間位置まで形成される。
【選択図】図３

【特許請求の範囲】

【請求項1】

水平方向に長尺で、互いに隙間を開けて上下に複数並べて配置され、下面から上方向に向けて形成される裏板挿入孔を有する水平木板材と、
前記裏板挿入孔に挿入され、ネジ孔が設けられた裏板と、
上下方向に長尺で、前記水平木板材の裏面に当接する縦材と、
前記縦材に形成された貫通孔を通して前記裏板のネジ孔に螺着し、前記裏板を前記縦材に引き寄せて前記水平木板材を前記縦材に接続する接続ネジと、
を備えるパネル材であって、
前記裏板挿入孔は前記水平木板材の下面から上下方向の中間位置まで形成されることを特徴とするパネル材。

【請求項2】

前記裏板挿入孔は、前記水平木板材の裏面側につながる上下に延びる鉛直溝を有し、
前記接続ネジは前記鉛直溝に挿入されることを特徴とする請求項１に記載のパネル材。

【請求項3】

請求項１又は請求項２に記載のパネル材を金属製の支柱に取り付けて形成されるフェンスであって、
前記縦材は金属製の平板状であり、
前記パネル材は、前記水平木板材の隙間から前記縦材を貫通する固定ビスが前記支柱に螺着して固定されることを特徴とするフェンス。

【請求項4】

前記パネル材の前記縦材は、幅方向の長さが前記支柱の幅よりも短く、前記支柱に重なるように配置されることを特徴とする請求項３に記載のフェンス

【請求項5】

複数の前記パネル材が前記支柱に上下に並べて固定されることを特徴とする請求項４に記載のフェンス。

【請求項6】

前記パネル材同士が上下に突き合せられる位置において、
上側の前記パネル材の前記縦材の下端、及び、下側の前記パネル材の前記縦材の上端は、それぞれ幅方向の半分を切り欠いて、前記水平木板材の隙間の長さ分突出する突出部を有して、互いに整合する形状であり、
それぞれの前記突出部に前記支柱に螺着する前記固定ビスが打ち込まれることを特徴とする請求項５に記載のフェンス。

【請求項7】

最も上側のパネル材の縦材は、最も上側の前記水平木板材が設けられる高さに、前記支柱に係止される係止部を有することを特徴とする請求項６に記載のフェンス。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、水平木板材により形成されて屋外に用いられるパネル材及び当該パネル材を用いたフェンスに関する。

【背景技術】

【0002】

従来より、支柱にパネル材を固定したフェンスや化粧ルーバーなどの面材が知られている。木板材で形成される屋外フェンスは、ビス又は釘を木板材の表面から支柱に打ち込んで固定する方式、両端に設けられた支柱に縦溝を設けて、木板材の端部を当該縦溝に差し込んで固定する方式が一般的に知られている。

【0003】

木板材の表面からビス又は釘を打ち込む方式の場合には、ビス頭又は釘頭が木板材の表面に露出することとなるので、意匠性の低下や雨水による劣化等の耐久性が低下する問題がある。

【0004】

また、支柱の縦溝に木板材の端部を差し込む方式の場合、支柱が表裏両面に露出することによって意匠性が低下する問題があり、支柱が木製の場合には縦溝が雨や日光に晒されることで、変形や耐久性の低下が問題となる場合がある。

【0005】

一方、樹脂や金属製のパネル材においては、水平材の内部の中空部に裏板やナットを挿入して、ボルト等で支柱に固定することができ、表面側にボルト頭を露出させることがなく、接合部が意匠性を低下させることを抑制した発明が知られている（例えば特許文献１、又は特許文献２参照）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0006】

【特許文献1】特開２０１５－１１７５５３号公報

【特許文献2】実開昭５７－１５７６４９号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0007】

ところで、上述のような裏板を水平材の内部に挿入する構成の場合に、意匠性を向上させるために水平材を木製とすると、裏板を挿入するために設けられる孔などによって水平木板材の強度が低下する問題があり、また、裏板を挿入する孔から雨水が浸入することによって水平木板材の耐久性が低下する問題がある。

【0008】

そこで、本発明は、意匠性を向上させつつ、強度や耐久性の低下を抑えたパネル材及びフェンスを提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0009】

本発明の第一のパネル材は、水平方向に長尺で、互いに隙間を開けて上下に複数並べて配置され、下面から上方向に向けて形成される裏板挿入孔を有する水平木板材と、前記裏板挿入孔に挿入され、ネジ孔が設けられた裏板と、上下方向に長尺で、前記水平木板材の裏面に当接する縦材と、前記縦材に形成された貫通孔を通して前記裏板のネジ孔に螺着し、前記裏板を前記縦材に引き寄せて前記水平木板材を前記縦材に接続する接続ネジと、を備えるパネル材であって、前記裏板挿入孔は前記水平木板材の下面から上下方向の中間位置まで形成されることを特徴としている。

【0010】

本発明の第二のパネル材は、第一のパネル材の特徴に加えて、前記裏板挿入孔は、前記水平木板材の裏面側につながる上下に延びる鉛直溝を有し、前記接続ネジは前記鉛直溝に挿入されることを特徴としている。

【0011】

本発明の第一のフェンスは、第一又は第二のパネル材を金属製の支柱に取り付けて形成されるフェンスであって、前記縦材は金属製の平板状であり、前記パネル材は、前記水平木板材の隙間から前記縦材を貫通する固定ビスが前記支柱に螺着して固定されることを特徴としている。

【0012】

本発明の第二のフェンスは、第一のフェンスの特徴に加えて、前記パネル材の前記縦材は、幅方向の長さが前記支柱の幅よりも短く、前記支柱に重なるように配置されることを特徴としている。

【0013】

本発明の第三のフェンスは、第一又は第二のフェンスの特徴に加えて、複数の前記パネル材が前記支柱に上下に並べて固定されることを特徴としている。

【0014】

本発明の第四のフェンスは、第一から第三のフェンスの特徴に加えて、前記パネル材同士が上下に突き合せられる位置において、上側の前記パネル材の前記縦材の下端、及び、下側の前記パネル材の前記縦材の上端は、それぞれ幅方向の半分を切り欠いて、前記水平木板材の隙間の長さ分突出する突出部を有して、互いに整合する形状であり、それぞれの前記突出部に前記支柱に螺着する固定ビスが打ち込まれることを特徴としている。

【0015】

本発明の第五のフェンスは、最も上側のパネル材の縦材は、最も上側の前記横架材が設けられる高さに、前記支柱に係止される係止部を有することを特徴としている。

【発明の効果】

【0016】

本発明の第一のパネル材によると、水平木板材が有する裏板挿入孔は、当該水平木板材の下面から上下方向の中間位置まで形成されるので、当該裏板挿入孔は水平木板材の上面には開いておらず、雨水が裏板挿入孔に浸入することを抑制できる。裏板挿入孔は水平方向に長尺な水平木板材の下面から上下方向の中間位置までに形成されるものであることから、当該水平木板材の断面欠損を最小限に抑えることができ、パネル材の強度の低下を抑制できる。接続ネジが縦材に形成された貫通孔を通して裏板のネジ孔に螺着し、裏板を縦材に引き寄せて水平木板材を縦材に接続するので、パネル材の表面には縦材やネジ頭が露出することがなく、パネル材の意匠性を高めることができる。

【0017】

本発明の第二のパネル材によると、第一のパネル材の効果に加えて、水平木板材は、裏板挿入孔から当該水平木板材の裏面側につながる上下に延びる鉛直溝を有しており、接続ネジは鉛直溝に挿入されて、裏板のネジ孔に螺着するので、縦材に対する水平木板材の上下方向の位置を細かく調整することができ、意匠性の低下を抑制でき、支柱へパネル材を固定する際の施工性の低下を抑えることができる。

【0018】

本発明の第一のフェンスによると、第一又は第二のパネル材の効果に加えて、パネル材が金属製の支柱に、水平木板材の隙間から金属製の縦材を貫通する固定ビスで固定されるので、簡単に施工することができ、金属同士の固定であるので、木材と比べて強固であり、雨水や日光による劣化を起こしにくい。

【0019】

本発明の第二のフェンスによると、第一のフェンスの効果に加えて、縦材の幅方向の長さが支柱の幅よりも短く形成されており、支柱に重なるように配置されるので、フェンスの裏側から見た場合に、縦材は支柱に隠れて視認されず、フェンス裏面の意匠性を向上させることができる。

【0020】

本発明の第三のフェンスによると、第一又は第二のフェンスの効果に加えて、複数のパネル材を上下に並べて支柱に固定して形成されているので、施工性を向上させることができる。

【0021】

本発明の第四のフェンスによると、第一から第三のフェンスの効果に加えて、パネル材同士が上下に突き合せられる位置において、上側のパネル材の縦材の下端と下側のパネル材の縦材の上端とが、それぞれ幅方向の半分を切り欠いて、もう半分が突出する突出部を有しており、突出部と切り欠きによって互いに整合する形状となっており、それぞれの突出部に支柱に螺着する固定ビスが打ち込まれるので、水平木板材の間の短い隙間で上下のパネル材の端部をそれぞれ固定することができる。

【0022】

本発明の第五のフェンスによると、最も上側のパネル材の縦材の最も上側の水平木板材が設けられる高さに、支柱に係止される係止部が形成されているので、パネル材の上端を意匠性を損なうことなく簡単に固定することができ、施工性も向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【0023】

【図1】本実施形態のフェンスの外観構成を説明する斜視図。

【図2】本実施形態のパネル材の外観構成を説明する斜視図。

【図3】パネル材を構成する水平木板材、裏板、縦材、及び接続ネジの構成を説明する一部省略斜視図。

【図4】縦材の外観構成を説明する正面図。

【図5】図３の水平木板材に裏板、縦材、及び接続ネジを固定した状態を示す斜視図。

【図6】水平木板材の裏板挿入孔に裏板を挿入し、鉛直溝に接続ネジを挿入して水平木板材と縦材とを接合する前後の状態を示す一部省略水平断面図。

【図7】水平木板材を縦材に接合させて形成されるパネル材の構成を説明する一部省略鉛直断面図。

【図8】鉛直溝が水平木板材の下端にまで伸びていない実施形態の変形例を説明する斜視図。

【図9】フェンスの正面図。

【図10】図９のα部分拡大図。

【図11】フェンスの鉛直断面図。

【図12】図１１のβ部分拡大図。

【図13】支柱にパネル材を固定する状態を説明する斜視図。

【図14】フェンスの水平断面図。

【図15】（Ａ）は図１４のγ部分拡大図、（Ｂ）は図１４のδ部分拡大図。

【発明を実施するための形態】

【0024】

以下、本発明のパネル材及びフェンスの実施形態について各図を参照しつつ説明する。パネル材１は、屋外に形成される、例えば、地面に立設される柵又はフェンス２を形成する面材である。フェンス２は、図１に示すように、当該パネル材１を金属製の支柱３に固定して形成され、屋外の２つの空間を区分けするものであり、例えば、宅地における隣地境界に設置される。フェンス２は、支柱３に例えば４枚のパネル材１を上下に並べて配置して形成される。なお、本実施形態において、フェンス２又はパネル材１の「表面」は、設置した際に支柱３がパネル材１に隠される側の面であり、「裏面」は、設置した際に支柱３が視認される側の面をいう。また、本実施形態において、上下方向はパネル材１が支柱３に固定された状態での上下方向を示す。パネル材１は、上述のものに限定されるものではなく、例えば図示しない建物の屋外側に固定されて、当該建物の開口部を覆うルーバー等に用いられるものであってもよい。

【0025】

パネル材１は、図２から図７に示すように、等間隔で上下に複数並べて配置される水平木板材４と、当該水平木板材４に形成される裏板挿入孔４０に挿入される裏板５と、水平木板材４の裏面に当接する縦材６と、縦材６の貫通孔６０を通して裏板５のネジ孔５０に螺着して、裏板５を縦材６に引き寄せることで、水平木板材４と縦材６とを接続する接続ネジ７とを備える。本実施形態のフェンス２においては、図１３に示すように、上下方向に長さが異なる４枚のパネル材１が用いられている。具体的には最上段及び最下段の２枚のパネル材１は、２枚の水平木板材４を縦材６に固定した構成であり、上下方向の中間の２枚のパネル材１は、８枚の水平木板材４を縦材６に固定した構成となっている。

【0026】

水平木板材４は、図２及び図３に示すように、水平方向に長尺な表面と裏面とを有する平板状に形成されており、寸法は、例えば、厚さ２０ｍｍ上下の長さ９０ｍｍの断面形状で、長さが１４５０ｍｍに形成されている。水平木板材４は、裏面側が縦材６に当接して固定され、上下方向に７ｍｍの隙間を開けて並べて配置されている。水平木板材４は天然木で形成されている。水平木板材４の下面には、裏板５を挿入可能な裏板挿入孔４０が形成されている。裏板挿入孔４０は、水平木板材４の下面から高さ方向の中間位置まで形成されている。また、水平木板材４には、裏面から裏板挿入孔４０につながる上下方向に延びる鉛直溝４１が形成されている。裏板挿入孔４０は、水平木板材４の厚さ方向に短く、水平木板材４の長さ方向に幅広に形成されており、鉛直溝４１は裏板挿入孔４０の幅よりも幅狭に形成されており、水平木板材４の下面及び水平断面を見ると、裏板挿入孔４０と鉛直溝４１とによって空間がＴ字の柱状に形成されている。

【0027】

このように、水平木板材４は裏板挿入孔４０と鉛直溝４１とによって形成されるＴ字柱状の空間が、当該水平木板材４の下面と裏面に開放されるとともに、当該空間は水平木板材４の上面及び表面には開かれていない。また、水平木板材４の裏面の鉛直溝４１が設けられている位置は、縦材６に覆われることとなる。したがって、雨水の浸入を抑制することができるとともに、雨水が裏板挿入孔４０に挿入したとしても下面から流れ出ることとなるので、水平木板材４の劣化を抑制することができる。そして、裏板挿入孔４０は水平木板材４の下面から上下方向の中間位置までに形成されるものであることから、当該水平木板材４の断面欠損を最小限に抑えることができ、パネル材１の強度の低下を抑制できる。

【0028】

なお、本実施形態においては、鉛直溝４１は水平木板材４の下端にまで伸びて形成されており、このように裏板挿入孔４０と鉛直溝４１とがともに水平木板材４の下端まで伸びて形成されることで、水平木板材４にこれらの裏板挿入孔４０及び鉛直溝４１を加工する作業を容易にすることができるが、図８に示すように、鉛直溝４１の下端は水平木板材４の下端よりも高い位置まで形成される長孔状であってもよい。このようにすればより断面欠損を小さくすることができ、水平木板材４の強度及び水平木板材４と縦材６との接合強度をより強くすることができる。

【0029】

裏板５は、図３、図６、及び図７に示すように、裏板挿入孔４０に全体が挿入可能な矩形プレートである。裏板５は例えばステンレス等の金属製である。裏板５にはネジ孔５０が形成されており、水平木板材４の裏面側から鉛直溝４１に挿入される接続ネジ７を螺着させることができる。

【0030】

縦材６は、図４に示すように、上下方向に長尺に形成された鋼製のフラットバーである。なお、図４においては、縦材６のうち、最も上のパネル材に設けられる縦材６と、上から２番目のパネル材に設けられる縦材６とを表している。縦材６は、１枚のパネル材１につき２本設けられており、パネル材１の両側端にそれぞれ配置されて、水平木板材４の両端をそれぞれ固定している。縦材６は、水平木板材４を固定する位置にそれぞれ貫通孔６０が等間隔で形成されている。貫通孔６０は、接続ネジ７の頭部が突出しないように皿穴状のザグリ加工がされている。パネル材１のうち、最も上側のパネル材１に設けられる一対の縦材６には、図３及び図４に示すように、当該パネル材１の最も上側の水平木板材４が固定される位置に、支柱３に形成される係止ボルト８に係止される係止部６１が形成されている。係止部６１は縦材６を貫通するだるま穴であり、支柱３から突出する係止ボルト８の頭部が係止部６１に引っ掛けられることで、縦材６及び当該縦材６に固定されたパネル材１が支柱３に係止される。

【0031】

パネル材１同士が上下に突き合せられる位置における縦材６は、図４及び図１０に示すように、互いに幅方向の半分を切り欠いて、上下の縦材６の端部同士が整合するように形成されている。具体的には、縦材６はパネル材１同士が上下に突き合せられる位置で、上側のパネル材１の縦材６の下端、及び、下側のパネル材１の縦材６の上端がそれぞれ、当該縦材６の幅方向の半分が水平木板材４よりも突出する突出部６２を形成し、縦材６の幅方向の互いに異なる半分が切り欠いて形成されている。上下の縦材６は、切り欠き同士が噛み合って整合している。突出部６２は、上側のパネル材１の最も下側の水平木板材４と、下側のパネル材１の最も上側の水平木板材４との間に形成される隙間から露出するように形成されており、支柱３に固定する際に、上下の縦材６のそれぞれの突出部６２に固定ビス９を打ち込んで固定する。

【0032】

したがって、パネル材１同士が上下に突き合せられる位置における上下のパネル材１のそれぞれの縦材６は、上端及び下端がそれぞれ固定ビス９で支柱３に固定されることとなるので、パネル材１の上下端が支柱３から離反することによるフェンス２の意匠性の低下やパネル材１の耐風性能の低下を抑制できる。

【0033】

接続ネジ７は、図３に示すように、縦材６の貫通孔６０から、水平木板材４の鉛直溝４１に挿入される皿ネジであり、図６及ぶ図７に示すように、裏板５に形成されたネジ孔５０に螺着する。そして、接続ネジ７を締め付けることで、裏板５を縦材６に接近させ、裏板５及び縦材６で水平木板材４を挟み込むことで、水平木板材４を縦材６に固定して、パネル材１を形成する。パネル材１は、接続ネジ７が縦材６に形成された貫通孔６０を通して裏板５のネジ孔５０に螺着し、裏板５を縦材６に引き寄せて水平木板材４を縦材６に接続するので、パネル材１の表面には縦材６やネジ頭が露出することがなく、パネル材１の意匠性を高めることができる。

【0034】

また、水平木板材４に形成される鉛直溝４１は、裏板挿入孔４０から当該水平木板材４の裏面側につながって上下に延びて形成されるので、水平木板材４は当相鉛直溝４１に挿入される接続ネジ７に対して上下方向に細かく位置調整が可能となっている。したがって、縦材６に上下に並べて固定される水平木板材４の間の隙間の幅を均等に調整してパネル材１の意匠性の低下を抑制することができ、支柱３へパネル材１を固定する際に上下の水平木板材４の間に固定ビス９を打ち込む隙間を確実に確保して施工性の低下を抑えることができる。

【0035】

このように形成されるパネル材１を用いて形成されるフェンス２は、図９から図１５に示すように、パネル材１を支柱３に固定して形成される。支柱３は、図１５に示すように、アルミニウム製の四角筒状のアルミニウム製の化粧支柱３０と、当該化粧支柱３０の内部に配置される四角筒状の鋼製の下地柱３１と、を有する。支柱３は、地中に設けられた図示しないフェンス基礎に下地柱３１が固定されて立設されており、化粧支柱３０が下地柱３１の外側を囲うように当該下地柱３１に固定されて形成されている。化粧支柱３０には、図１０及び図１２に示すように、上端部に近い位置のパネル材１が固定される位置に、係止ボルト８が固定されており、当該係止ボルト８に前述の縦材６に形成された係止部６１を引っ掛けて、パネル材１を係止する。

【0036】

図１２及び図１３に示すように、パネル材１の水平木板材４の隙間から縦材６に固定ビス９を打ち込み、当該固定ビス９を支柱３の化粧支柱３０に螺着させることで、パネル材１は支柱３に固定され、フェンス２を形成している。縦材６及び支柱３は金属製であるので、パネル材１は水平木板材４が表面に現れて天然木の風合いを生かした意匠面材であるが、支柱３との接合部は金属製同士であるので、木材の収縮や劣化の影響を受けることなく、支柱３とパネル材１との間の接合強度を維持することができる。また、固定ビス９は上下のパネル材１同士が上下に突き合せられる位置における上側のパネル材１の最も下側の水平木板材４と、下側のパネル材１の最も上側の水平木板材４との間に形成される隙間には、上下それぞれのパネル材１の縦材６に形成されているそれぞれの突出部６２に固定ビス９を打ち込む。これにより上下のパネル材１の縦材６の上端及び下端がそれぞれ固定ビス９で支柱３に固定され、パネル材１の上下端が支柱３から離反する場合に生じる意匠性の低下や耐風性能の低下を防止できる。

【0037】

パネル材１の縦材６は図１４及び図１５に示すように、フェンス２の支柱３と重なるように配置されており、縦材６の幅方向の長さは、支柱３の幅方向の長さの２分の１以下に形成されている。縦材６が支柱３に重なって配置されることで、裏面側からは支柱３に隠されて縦材６を視認することができず、水平木板材４が支柱３に直接固定されているような印象となる。フェンス２は、３以上の支柱３を横方向に並べて立設し、互いに隣接するそれぞれの支柱３にパネル材１を架設させることで、必要に応じて連続して形成される。パネル材１が隣接する位置では、１本の支柱３に、隣り合うパネル材１同士が固定される。互いに隣り合うパネル材１のそれぞれの縦材６は、フェンス２の裏面側からは支柱３に隠されて視認されない配置となっている。

【0038】

以上のように、本実施形態のフェンス２は、表面からも裏面からもパネル材１と支柱３との接合部が視認されず、意匠性を向上させることができる。

【0039】

本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。

【0040】

＜第一の特徴＞
本発明の第一のパネル材は、水平方向に長尺で、互いに隙間を開けて上下に複数並べて配置され、下面から上方向に向けて形成される裏板挿入孔を有する水平木板材と、前記裏板挿入孔に挿入され、ネジ孔が設けられた裏板と、上下方向に長尺で、前記水平木板材の裏面に当接する縦材と、前記縦材に形成された貫通孔を通して前記裏板のネジ孔に螺着し、前記裏板を前記縦材に引き寄せて前記水平木板材を前記縦材に接続する接続ネジと、を備えるパネル材であって、前記裏板挿入孔は前記水平木板材の下面から上下方向の中間位置まで形成されることを特徴としている。

【0041】

これによると、水平木板材が有する裏板挿入孔は、当該水平木板材の下面から上下方向の中間位置まで形成されるので、当該裏板挿入孔は水平木板材の上面には開いておらず、雨水が裏板挿入孔に浸入することを抑制できる。裏板挿入孔は水平方向に長尺な水平木板材の下面から上下方向の中間位置までに形成されるものであることから、当該水平木板材の断面欠損を最小限に抑えることができ、パネル材の強度の低下を抑制できる。接続ネジが縦材に形成された貫通孔を通して裏板のネジ孔に螺着し、裏板を縦材に引き寄せて水平木板材を縦材に接続するので、パネル材の表面には縦材やネジ頭が露出することがなく、パネル材の意匠性を高めることができる。

【0042】

＜第二の特徴＞
本発明の第二のパネル材は、第一のパネル材の特徴に加えて、前記裏板挿入孔は、前記水平木板材の裏面側につながる上下に延びる鉛直溝を有し、前記接続ネジは前記鉛直溝に挿入されることを特徴としている。

【0043】

これによると、第一のパネル材の効果に加えて、水平木板材は、裏板挿入孔から当該水平木板材の裏面側につながる上下に延びる鉛直溝を有しており、接続ネジは鉛直溝に挿入されて、裏板のネジ孔に螺着するので、縦材に対する水平木板材の上下方向の位置を細かく調整することができ、意匠性の低下を抑制でき、支柱へパネル材を固定する際の施工性の低下を抑えることができる。

【0044】

＜第三の特徴＞
本発明の第一のフェンスは、第一又は第二のパネル材を金属製の支柱に取り付けて形成されるフェンスであって、前記縦材は金属製の平板状であり、前記パネル材は、前記水平木板材の隙間から前記縦材を貫通する固定ビスが前記支柱に螺着して固定されることを特徴としている。

【0045】

これによると、第一又は第二のパネル材の効果に加えて、パネル材が金属製の支柱に、水平木板材の隙間から金属製の縦材を貫通する固定ビスで固定されるので、簡単に施工することができ、金属同士の固定であるので、木材と比べて強固であり、雨水や日光による劣化を起こしにくい。

【0046】

＜第四の特徴＞
本発明の第二のフェンスは、第一のフェンスの特徴に加えて、前記パネル材の前記縦材は、幅方向の長さが前記支柱の幅よりも短く、前記支柱に重なるように配置されることを特徴としている。

【0047】

これによると、第一のフェンスの効果に加えて、縦材の幅方向の長さが支柱の幅よりも短く形成されており、支柱に重なるように配置されるので、フェンスの裏側から見た場合に、縦材は支柱に隠れて視認されず、フェンス裏面の意匠性を向上させることができる。

【0048】

＜第五の特徴＞
本発明の第三のフェンスは、第一又は第二のフェンスの特徴に加えて、複数の前記パネル材が前記支柱に上下に並べて固定されることを特徴としている。

【0049】

これによると、第一又は第二のフェンスの効果に加えて、複数のパネル材を上下に並べて支柱に固定して形成されているので、施工性を向上させることができる。

【0050】

＜第六の特徴＞
本発明の第四のフェンスは、第一から第三のフェンスの特徴に加えて、前記パネル材同士が上下に突き合せられる位置において、上側の前記パネル材の前記縦材の下端、及び、下側の前記パネル材の前記縦材の上端は、それぞれ幅方向の半分を切り欠いて、前記水平木板材の隙間の長さ分突出する突出部を有して、互いに整合する形状であり、それぞれの前記突出部に前記支柱に螺着する固定ビスが打ち込まれることを特徴としている。

【0051】

これによると、第一から第三のフェンスの効果に加えて、パネル材同士が上下に突き合せられる位置において、上側のパネル材の縦材の下端と下側のパネル材の縦材の上端とが、それぞれ幅方向の半分を切り欠いて、もう半分が突出する突出部を有しており、突出部と切り欠きによって互いに整合する形状となっており、それぞれの突出部に支柱に螺着する固定ビスが打ち込まれるので、水平木板材の間の短い隙間で上下のパネル材の端部をそれぞれ固定することができる。

【0052】

＜第七の特徴＞
本発明の第五のフェンスは、最も上側のパネル材の縦材は、最も上側の前記横架材が設けられる高さに、前記支柱に係止される係止部を有することを特徴としている。

【0053】

これによると、最も上側のパネル材の縦材の最も上側の水平木板材が設けられる高さに、支柱に係止される係止部が形成されているので、パネル材の上端を意匠性を損なうことなく簡単に固定することができ、施工性も向上させることができる。

【産業上の利用可能性】

【0054】

本発明に係るパネル材及びフェンスは、例えば住宅の敷地境界に設けられるフェンス及び当該フェンスを構成するパネル材として好適である。

【符号の説明】

【0055】

１ パネル材
２ フェンス
３ 支柱
４ 水平木板材
５ 裏板
６ 縦材
７ 接続ネジ
９ 固定ビス
４０ 裏板挿入孔
４１ 鉛直溝
５０ ネジ孔
６２ 突出部

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】