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  • 特開-シート剥離装置およびシート剥離方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025047
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】シート剥離装置およびシート剥離方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129486
(22)【出願日】2023-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120592
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 崇裕
(74)【代理人】
【識別番号】100184712
【弁理士】
【氏名又は名称】扇原 梢伸
(74)【代理人】
【識別番号】100192223
【弁理士】
【氏名又は名称】加久田 典子
(72)【発明者】
【氏名】杉下 芳昭
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA53
5F131CA31
5F131CA41
5F131EA07
5F131EC32
5F131EC37
5F131EC72
5F131EC73
5F131EC76
(57)【要約】
【課題】接着シートの剥離制御が複雑になることを防止するすことができるシート剥離装置およびシート剥離方法を提供すること。
【解決手段】被着体WKの外周面WKEに貼付された接着シートASを保持するシート保持手段10と、シート保持手段10で保持された接着シートASに張力を付与し、被着体WKから接着シートASを剥離する剥離手段20とを備え、剥離手段20は、接着シートASを保持したシート保持手段10と被着体WKとが相対的に遠ざかるようにして当該接着シートASに張力を付与しながら、被着体WKから剥離される接着シートASの剥離境界部PEの位置が所定の領域AR内に収まるように、シート保持手段10と被着体WKとを相対回転させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着体の外周面に貼付された接着シートを保持するシート保持手段と、
前記シート保持手段で保持された前記接着シートに張力を付与し、前記被着体から前記接着シートを剥離する剥離手段とを備え、
前記剥離手段は、前記接着シートを保持した前記シート保持手段と前記被着体とが相対的に遠ざかるようにして当該接着シートに張力を付与しながら、前記被着体から剥離される前記接着シートの剥離境界部の位置が所定の領域内に収まるように、前記シート保持手段と前記被着体とを相対回転させることを特徴とするシート剥離装置。
【請求項2】
被着体の外周面に貼付された接着シートを保持するシート保持手段と、
前記シート保持手段で保持された前記接着シートに張力を付与し、前記被着体から前記接着シートを剥離する剥離手段とを備え、
前記剥離手段は、前記接着シートを保持した前記シート保持手段と前記被着体とを相対回転させて当該接着シートに張力を付与しながら、前記被着体から剥離される前記接着シートの剥離境界部の位置が所定の領域内に収まるように、前記シート保持手段と前記被着体とを相対的に遠ざけることを特徴とするシート剥離装置。
【請求項3】
前記所定の領域は、前記外周面から剥離される前記接着シートの剥離角度が0度となる位置から、当該接着シートの剥離角度が180度となる位置までの間であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシート剥離装置。
【請求項4】
被着体の外周面に貼付された接着シートをシート保持手段で保持するシート保持工程と、
前記シート保持手段で保持された前記接着シートに張力を付与し、前記被着体から前記接着シートを剥離する剥離工程とを実施し、
前記剥離工程では、前記接着シートを保持した前記シート保持手段と前記被着体とが相対的に遠ざかるようにして当該接着シートに張力を付与しながら、前記被着体から剥離される前記接着シートの剥離境界部の位置が所定の領域内に収まるように、前記シート保持手段と前記被着体とを相対回転させることを特徴とするシート剥離方法。
【請求項5】
被着体の外周面に貼付された接着シートをシート保持手段で保持するシート保持工程と、
前記シート保持手段で保持された前記接着シートに張力を付与し、前記被着体から前記接着シートを剥離する剥離工程とを実施し、
前記剥離工程では、前記接着シートを保持した前記シート保持手段と前記被着体とを相対回転させて当該接着シートに張力を付与しながら、前記被着体から剥離される前記接着シートの剥離境界部の位置が所定の領域内に収まるように、前記シート保持手段と前記被着体とを相対的に遠ざけることを特徴とするシート剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート剥離装置およびシート剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被着体の外周面に貼付された接着シートを当該被着体から剥離するシート剥離装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-30877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたテープ剥がしシステム70(シート剥離装置)では、ウエハW(被着体)から剥離された保護テープ27(接着シート)と当該被着体の接線方向とのなす剥離角度が90度となるように、すなわち、被着体から剥離される接着シートの剥離境界部が一点に留まるようにしながら、当該被着体から接着シートを剥離する剥離動作が行われているが、このような剥離動作を行うには、チャッキング機構93の後退速度と被着体の回転速度とを同期させたり、テープ送りローラ95によって接着シートを送る速度と被着体の回転速度とを同期させたりする同期制御を行うだけではこと足りず、剥離される接着シートの伸びや、被着体からの接着シートの剥離のし易さ等をも考慮して綿密な同期制御を行わなければならないので、接着シートの剥離制御が複雑になるという不都合を発生する。
【0005】
本発明の目的は、接着シートの剥離制御が複雑になることを防止することができるシート剥離装置およびシート剥離方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項に記載した構成を採用した。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、被着体から剥離される接着シートの剥離境界部の位置が所定の領域内に収まるようにシート保持手段と被着体とを相対回転させるので、剥離境界部が一点に留まるようにしながら当該被着体から接着シートを剥離するといった綿密な同期制御が不要となり、接着シートの剥離制御が複雑になることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(A)~(F)は、本発明の一実施形態に係るシート剥離装置の説明図および同装置の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態におけるX軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸およびY軸は、所定平面内の軸とし、Z軸は、前記所定平面に直交する軸とする。さらに、本実施形態では、Y軸と平行な矢印VD方向から観た場合を基準とし、図を指定することなく方向を示した場合、「上」がZ軸の矢印方向で「下」がその逆方向、「左」がX軸の矢印方向で「右」がその逆方向、「前」がY軸の矢印方向で「後」がその逆方向とする。
【0010】
本発明のシート剥離方法を実施するシート剥離装置EAは、被着体WKの外周面WKEに貼付された接着シートASを保持するシート保持工程を実施するシート保持手段10と、シート保持手段10で保持された接着シートASに張力を付与し、被着体WKから接着シートASを剥離する剥離工程を実施する剥離手段20と、剥離境界部PE(図1(D)参照)の位置を検知する剥離境界部検知工程を実施する剥離境界部検知手段30と、剥離用シートPSに所定のエネルギーとしての熱を付与するエネルギー付与工程を実施するエネルギー付与手段40とを備えている。
本実施形態では、被着体WKは、被着体中心WKCを中心とする円形形状のものが採用されている。
【0011】
シート保持手段10は、当該シート保持手段10を構成する各部材を直接的または間接的に支持する支持部材11と、剥離用接着部材としての剥離用シートPSを支持する支持ローラ12と、剥離用シートPSを案内するガイドローラ13と、ガイドブロック14Aに摺動可能なスライド軸14Bに支持され、付勢手段としてのコイルばね14Cによってガイドブロック14Aから離間する方向に付勢されているシート支持台14と、エネルギー付与手段40を介して駆動機器としての直動モータ15Aの出力軸15Bに支持され、接着シートASを押圧する押圧面15Cを有する押圧部材15と、駆動機器としての直動モータ16Aの出力軸16Bに支持された切断手段としてのカッター刃16と、駆動機器としてのリニアモータ17Aのスライダ17Bに支持された受け部材17と、受け部材17に支持された駆動機器としての回動モータ18Aの出力軸18Bに取り付けられた押さえ部材18とを備え、押圧面15Cで剥離用シートPSを接着シートASに押圧して貼付することで、当該剥離用シートPSを介して接着シートASを保持するようになっている。
なお、本実施形態の剥離用シートPSは、所定のエネルギーとしての熱が付与されることで接着力が向上する感熱接着性の接着シートが採用されている。
【0012】
剥離手段20は、スライダ21Aで支持部材11を支持する駆動機器としてのリニアモータ21と、駆動機器としての回動モータ22と、回動モータ22の出力軸22Aに支持され、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段(保持手段)によって吸着保持が可能な支持面23Aを有する支持テーブル23と、カメラや投影機等の撮像手段や、光学センサや超音波センサ等の各種センサ等で構成され、接着シートASの剥離開始端縁AS1を検出可能な端縁検出器機24とを備え、接着シートASを保持したシート保持手段10と被着体WKとが相対的に遠ざかるようにして当該接着シートASに張力を付与しながら、被着体WKから剥離される接着シートASの剥離境界部PEの位置が所定の領域AR(図1(D)参照)内に収まるように、シート保持手段10と被着体WKとを相対回転させるようになっている。
なお、本実施形態の支持テーブル23は、回動モータ22によってテーブル中心23Cを中心に回転する構成となっている。
また、本実施形態の剥離手段20は、剥離境界部検知手段30の検知結果を基にして、シート保持手段10と被着体WKとを相対回転させるようになっている。
さらに、本実施形態の所定の領域ARは、図1(E)に示すように、外周面WKEから剥離される接着シートASの剥離角度PA(不図示)が0度となる位置PP1から、図1(F)に示すように、接着シートASの剥離角度PAが180度となる位置PP2までの間となっている。
また、本願発明で言う剥離角度PAは、図1(D)、(F)に示すように、剥離境界部PEを通る外周面WKEの接線TLと、外周面WKEから剥離された接着シートASの接着面ASBとがなす角度のことである。
【0013】
剥離境界部検知手段30は、カメラや投影機等の撮像手段や、光学センサや超音波センサ等の各種センサ等で構成された検知器機31を備え、支持テーブル23の左上方に配置されている。なお、剥離境界部検知手段30は、図1(A)以外では、図示省略となっている。
【0014】
エネルギー付与手段40は、コイルヒータやヒートパイプの加熱側等の加熱機器41を備えている。
【0015】
以上のシート剥離装置EAの動作を説明する。
先ず、図1(A)中実線で示す初期位置に各部材が配置されたシート剥離装置EAに対し、当該シート剥離装置EAの使用者(以下、単に「使用者」という)が、操作パネルやパーソナルコンピュータ等の図示しない操作手段を介して自動運転開始の信号を入力する。次いで、使用者または多関節ロボットやベルトコンベア等の図示しない搬送手段が、図1(A)に示すように、外周面WKEに接着シートASが貼付された被着体WKの被着体中心WKCがテーブル中心23Cと重なるように、当該被着体WKを支持テーブル23上に載置すると、剥離手段20が図示しない減圧手段を駆動し、支持面23Aでの吸着保持を開始する。
【0016】
その後、剥離手段20が回動モータ22および端縁検出器機24を駆動し、図1(B)に示すように、被着体WKを矢印RD方向に回転させて、端縁検出器機24で接着シートASの剥離開始端縁AS1を検出し、当該端縁検出器機24の検出結果を基にして、剥離開始端縁AS1の回転方向後方部を押圧部材15の右方に配置した状態で回動モータ22の駆動を停止する(図1(C)参照)。また、シート保持手段10がリニアモータ17Aを駆動し、図1(B)に示すように、受け部材17をシート支持台14に押し当てて当該受け部材17と共にシート支持台14を後方へ移動させ、剥離用シートPSの先端部を受け部材17上に位置させる。次に、シート保持手段10が回動モータ18Aを駆動し、図1(B)中二点鎖線で示すように、押さえ部材18と受け部材17とで剥離用シートPSの先端部を挟み込んで保持した後、リニアモータ17Aを駆動し、図1(C)に示すように、受け部材17を初期位置に復帰させて剥離用シートPSを所定長さ引き出す。
【0017】
そして、シート保持手段10が直動モータ15Aを駆動し、図1(C)中二点鎖線で示すように、押圧部材15で剥離用シートPSを剥離開始端縁AS1の回転方向後方部に押圧した後、エネルギー付与手段40が加熱機器41を駆動し、剥離用シートPSを加熱して当該剥離用シートPSを接着シートASに貼付する。次いで、シート保持手段10が直動モータ16Aを駆動し、図1(C)中二点鎖線で示すように、カッター刃16を凹溝14D内に入り込ませて剥離用シートPSを切断した後、直動モータ15A、16Aを駆動し、押圧部材15およびカッター刃16を初期位置に復帰させる。その後、剥離境界部検知手段30が検知器機31を駆動するとともに、剥離手段20がリニアモータ21を駆動し、図1(D)に示すように、支持部材11を左方に移動させて被着体WKから遠ざけ、シート保持手段10で保持した接着シートASに張力を付与し、被着体WKから接着シートASを剥離する。この際、支持部材11の左方への移動と同時に、剥離手段20が回動モータ22を駆動し、剥離境界部検知手段30の検知結果を基にして、剥離境界部PEの位置が所定の領域AR内に収まるように、被着体WKを矢印RD方向または矢印RDの反対方向に回転させる。
【0018】
次に、接着シートAS全体が被着体WKから剥離され、使用者または図示しない搬送手段が当該接着シートASを保持すると、剥離手段20がリニアモータ21および回動モータ22の駆動を停止する。そして、シート保持手段10が回動モータ18Aを駆動し、押さえ部材18を初期位置に復帰させると、使用者または図示しない搬送手段が、保持した接着シートASを図示しない廃棄位置に搬送する。次いで、剥離手段20が図示しない減圧手段の駆動を停止し、支持面23Aでの吸着保持を解除すると、使用者または図示しない搬送手段が被着体WKを次工程に搬送した後、剥離手段20がリニアモータ21を駆動し、支持部材11を初期位置に復帰させ、以降上記同様の動作が繰り返される。
【0019】
以上のような実施形態によれば、被着体WKから剥離される接着シートASの剥離境界部PEの位置が所定の領域AR内に収まるようにシート保持手段10と被着体WKとを相対回転させるので、剥離境界部PEが一点に留まるようにしながら当該被着体WKから接着シートASを剥離するといった綿密な同期制御が不要となり、接着シートASの剥離制御が複雑になることを防止することができる。
【0020】
本発明における手段および工程は、それら手段および工程について説明した動作、機能または工程を果たすことができる限りなんら限定されることはなく、まして、前記実施形態で示した単なる一実施形態の構成物や工程に全く限定されることはない。例えば、シート保持手段は、被着体の外周面に貼付された接着シートを保持可能なものであればどんなものでもよく、出願当初の技術常識に照らし合わせてその技術範囲内のものであればなんら限定されることはない(その他の手段および工程も同じ)。
【0021】
シート保持手段10は、被着体WKから接着シートASを剥離した後、剥離用シートPSを切断してもよいし、被着体WKに剥離用シートPSを貼付する前に当該剥離用シートPSを切断してもよいし、剥離用シートPSを切断しなくてもよいし、切断手段16がなくてもよいし、枚葉の剥離用シートPSを採用してもよいし、受け部材17、回動モータ18Aおよび押さえ部材18に代えてまたは併用して、チャックモータやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤(接着シート、接着テープ)、粘着剤(粘着シート、粘着テープ)、磁力、ベルヌーイ吸着、吸引吸着、駆動機器等で剥離用シートPSを保持する構成を採用してもよいし、例えば、多関節ロボット等の駆動器機によって、被着体WKの外周面WKEに貼付された接着シートASに剥離用シートPSを貼付してもよいし、剥離開始端縁AS1の回転方向前方部に剥離用シートPSを貼付してもよく、当該剥離開始端縁AS1をどこにするのかによって、剥離用シートPSを貼付する位置を決定し、剥離手段20が被着体WKを回転させる方向を決定することができる。
押圧部材15は、エネルギー付与手段40を介さずに、直動モータ15Aの出力軸15Bに支持されてもよい。
押圧面15Cは、例えば、凹円弧形状、凸円弧形状、V字形状、逆V字形状、U字形状、逆U字形状、凹凸矩形形状、直線形状、その他の形状等どのような形状でもよい。
シート保持手段10は、剥離用シートPSを介さずに接着シートASを保持してもよく、例えば、チャックモータやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤(接着シート、接着テープ)、粘着剤(粘着シート、粘着テープ)、磁力、ベルヌーイ吸着、吸引吸着、駆動機器等で直接または間接的に接着シートASを保持してもよい。
【0022】
剥離手段20は、上記の実施形態で例示したシート剥離装置EAを用い、接着シートASを保持したシート保持手段10と被着体WKとを相対回転させて当該接着シートASに張力を付与しながら、被着体WKから剥離される接着シートASの剥離境界部PEの位置が所定の領域AR内に収まるように、シート保持手段10と被着体WKとを相対的に遠ざけるように構成してもよい。このような構成とされたシート剥離装置でも、上記実施形態で示したシート剥離装置EAと同じ効果を奏することができる。
剥離手段20は、支持面23Aでの吸着保持ができない支持テーブル23が採用されてもよいし、チャックモータやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤(接着シート、接着テープ)、粘着剤(粘着シート、粘着テープ)、磁力、ベルヌーイ吸着、吸引吸着、駆動機器等で被着体WKを保持してもよいし、被着体WKを支持テーブル23とで挟み込んで保持する上押さえ部材があってよいし、上記の例示では、被着体WKの移動によるシート保持手段10に対する離間動作は行わず、シート保持装置10の移動による被着体WKに対する離間動作を行って、接着シートASに張力を付与したり、剥離境界部PEの位置が所定の領域AR内に収まるようにしたりしたが、シート保持手段10の移動による被着体WKに対する離間動作は行わず、または、シート保持手段10の移動による被着体WKに対する離間動作を行いつつ、被着体WKの移動によるシート保持手段10に対する離間動作を行って、接着シートASに張力を付与したり、剥離境界部PEの位置が所定の領域AR内に収まるようにしたりしてもよいし、上記の例示では、シート保持手段10の移動による被着体WK周りの回転動作は行わず、被着体WKの自転による回転動作を行って、剥離境界部PEの位置が所定の領域AR内に収まるようにしたり、接着シートASに張力を付与したりしたが、被着体WKの自転による回転動作は行わず、または、被着体WKの自転動作による回転動作を行いつつ、シート保持手段10の移動による被着体WK周りの回転動作を行って、剥離境界部PEの位置が所定の領域AR内に収まるようにしたり、接着シートASに張力を付与したりしてもよいし、リニアモータ21、回動モータ22および支持テーブル23に代えて多関節ロボット等の駆動機器や他の装置等によって、接着シートASに張力を付与したり、剥離境界部PEの位置が所定の領域AR内に収まるようにしたりしてもよい。
【0023】
剥離境界部検知手段30は、支持テーブル23の下方や側方等に配置されていてもよく、剥離境界部PEの位置を検知可能な位置であればどこに配置されていてもよいし、本発明のシート剥離装置EAに備わっていてもよいし、備わっていなくてもよく、本発明のシート剥離装置EAに備わっていない場合、剥離される接着シートASの伸びや、被着体WKからの接着シートASの剥離のし易さ等を経験値によって考慮して、剥離境界部PEの位置が所定の領域AR内に収まるように、シート保持手段10と被着体WKとを相対回転させたり、シート保持手段10と被着体WKとを相対的に遠ざけたりすればよい。
【0024】
エネルギー付与手段40は、所定のエネルギーとして、紫外線、赤外線、可視光線、音波、X線またはガンマ線等の電磁波を付与するものや、熱湯や熱風等の加熱媒体を付与するものや、冷水や冷風等の冷却媒体を付与するもの等どのようなものでもよく、剥離用接着部材の特性、特質、性質、材質、組成および構成等を考慮して当該剥離用接着部材の接着力を向上させることができるものであればどのようなエネルギーを付与するものであってもよいし、前記実施形態で示した位置以外の場所に設けられていてもよく、剥離用接着部材に所定のエネルギーを付与可能な位置であれば、どこに設けられていてもよいし、本発明のシート剥離装置EAに備わっていてもよいし、備わっていなくてもよい。
【0025】
接着シートASは、外周面WKEの周回方向における一方の端縁部と他方の端縁部とが重なるようにして被着体WKに貼付されていたり、一方の端縁と他方の端縁とが接触するようにして被着体WKに貼付されていたり、一方の端縁と他方の端縁とが離間するようにして被着体WKに貼付されていたりしてもよいし、平面形状が一直線形状、湾曲形状、屈折形状等、どのような形状でもよいし、所定の第2エネルギーによって接着力が低下するものでもよく、このような接着シートASは、例えば、所定の第2エネルギーとして、紫外線、赤外線、可視光線、音波、X線またはガンマ線等の電磁波や、熱湯や熱風等の加熱媒体や、冷水や冷風等の冷却媒体等どのようなエネルギーによって接着力が低下するものでもよく、この場合、シート剥離装置EAは、接着シートASに所定の第2エネルギーを付与する第2エネルギー付与手段として、例えば、電磁波を付与するものや、加熱媒体を付与するものや、冷却媒体を付与するもの等どのようなものが採用されてもよく、接着シートASの特性、特質、性質、材質、組成および構成等を考慮して第2エネルギー付与手段を任意に決定することができる。
被着体WKの外周面WKEに貼付されている接着シートASの表面形状は、当該被着体WKの外周面WKEの形状と同じ形状でもよいし、異なる形状でもよい。
【0026】
剥離用接着部材は、感圧接着性の接着シートや感熱接着性の接着シートでもよいし、接着シート以外に、例えば、接着テープ、粘着シート、粘着テープの他、金属、樹脂、ゴム等の基材に接着剤や粘着剤等の接着媒体が積層されたものでもよいし、所定のエネルギーとして、紫外線、赤外線、可視光線、音波、X線またはガンマ線等の電磁波や、熱湯や熱風等の加熱媒体や、冷水や冷風等の冷却媒体等、どのようなエネルギーが付与されることで接着力が向上するものでもよいし、所定のエネルギーによって接着力が向上しないものでもよい。
所定の領域ARは、例えば、剥離角度PAが0度となる位置から剥離角度PAが90度となる位置までの間でもよいし、剥離角度PAが30度となる位置から剥離角度PAが65度となる位置までの間でもよいし、剥離角度PAが75度となる位置から剥離角度PAが175度となる位置までの間でもよく、どのような範囲でもよいが、被着体WKから接着シートASを剥離するために付与する張力の分散を考慮すると、剥離角度PAが90度となる位置から剥離角度PAが180度となる位置までの間が特に良い。
【0027】
次工程は、めっき工程、洗浄工程、エッチング工程、浸漬工程、切断工程、酸化膜形成工程、窒化工程、研削工程、サンドブラスト工程、研磨工程、塗装工程、積層工程、シート接着工程、表面処理工程、穴あけ工程、曲げ工程、検査工程、検証工程、照射工程等、どのような工程でもよい。
【0028】
本発明における接着シートAS、剥離用接着部材および被着体WKの材質、種別、形状等は、特に限定されることはない。例えば、接着シートAS、剥離用接着部材および被着体WKは、円形、楕円形、三角形や四角形等の多角形、その他の形状であってもよいし、接着シートASや剥離用接着部材は、感圧接着性、感熱接着性等の接着形態のものであってもよく、感熱接着性の接着シートASや剥離用接着部材が採用された場合は、当該接着シートASや剥離用接着部材を加熱する適宜なコイルヒータやヒートパイプの加熱側等の加熱手段を設けるといった適宜な方法で接着されればよい。また、このような接着シートASや剥離用接着部材は、例えば、接着剤層だけの単層のもの、基材と接着剤層とが積層された2層のもの、基材と接着剤層との間に1または複数の中間層が積層された3層または3層以上のもの、基材の上面に1または複数のカバー層が積層された3層または3層以上のもの、基材、中間層またはカバー層が剥離可能に設けられたもの、接着剤層のみからなる単層の両面接着シート、1または複数の中間層の両最外面に接着剤層が積層された両面接着シート等、どのようなものでもよい。さらに、被着体WKとしては、例えば、食品、樹脂容器、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハ等の半導体ウエハ、回路基板、光ディスク等の情報記録基板、ガラス板、鋼板、陶器、木板または樹脂等の単体物であってもよいし、それら2つ以上で形成された複合物であってもよく、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。なお、接着シートASは、例えば、情報記載用ラベル、装飾用ラベル、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルム、ダイボンディングテープ、記録層形成樹脂シート等の任意のシート、フィルム、テープ等でもよい。
【0029】
前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、2軸または3軸以上の関節を備えた所謂多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等が単体で採用されてもよいし、それら電動機器やアクチュエータ等が直接的又は間接的に組み合わされたものが採用されてもよいし、それら電動機器やアクチュエータ等の出力部に対するトルク制御や速度制御等が可能なものや不能なものが採用されてもよい。
【0030】
前記実施形態において、何らかの物体(以下「物体A」という)および当該物体Aに対して移動する物体(以下「物体B」という)すなわち、相対移動する物体Aおよび物体Bは、移動することのない物体Aに対して物体Bが移動してもよいし、移動することのない物体Bに対して物体Aが移動してもよいし、物体Aおよび物体Bの両方が移動してもよいく、移動によって達成される結果が同じであれば、物体Aおよび物体Bの何れが移動してもよいし、ローラ等の回転部材が採用されている場合、当該回転部材を回転駆動させる駆動機器を備えてもよいし、回転部材の表面や回転部材自体をゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、回転部材の表面や回転部材自体を変形しない部材で構成してもよいし、ローラの代わりに回転するまたは回転しないシャフトやブレード等の他の部材を採用してもよいし、押圧ローラや押圧ヘッド等の押圧手段や押圧部材といった被押圧物を押圧するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、ローラ、丸棒、ブレード材、ブラシ状部材の他、大気やガス等の気体の吹き付けによるものを採用してもよいし、押圧するものをゴム、樹脂、スポンジ等の変形可能な部材で構成してもよいし、金属や硝子等の変形しない部材で構成してもよいし、剥離板や剥離ローラ等の剥離手段や剥離部材といった被剥離物を剥離するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、板状部材、丸棒、ローラ等の部材を採用してもよいし、剥離するものをゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、変形しない部材で構成してもよいし、支持(保持)手段や支持(保持)部材等の被支持部材(被保持部材)を支持(保持)するものが採用されている場合、チャックモータやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤(接着シート、接着テープ)、粘着剤(粘着シート、粘着テープ)、磁力、ベルヌーイ吸着、吸引吸着、駆動機器等で被支持部材を支持(保持)する構成を採用してもよいし、切断手段や切断部材等の被切断部材を切断または、被切断部材に切込や切断線を形成するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、カッター刃、レーザカッタ、イオンビーム、火力、熱、水圧、電熱線、気体や液体等の吹付け等で切断するものを採用したり、適宜な駆動機器を組み合わせたもので切断するものを移動させて切断するようにしたりしてもよいし、付勢手段が採用されている場合、ばね、ゴム、樹脂または駆動機器等で構成してもよい。
【符号の説明】
【0031】
EA…シート剥離装置
10…シート保持手段
20…剥離手段
AR…所定の領域
AS…接着シート
PA…剥離角度
PE…剥離境界部
WK…被着体
WKE…外周面
図1