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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025050
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】シャッター装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/82 20060101AFI20250214BHJP
   E06B 9/11 20060101ALN20250214BHJP
【FI】
E06B9/82
E06B9/11 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129490
(22)【出願日】2023-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】師岡 聖
(72)【発明者】
【氏名】近藤 雅徳
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042CA01
2E042CB01
2E042CB02
2E042CC08
2E042DA01
(57)【要約】
【課題】上限位置を調整する。
【解決手段】上限位置と下限位置との間でシャッターカーテンの開閉動作を行うシャッター装置であって、前記シャッターカーテンを開閉駆動するモータと、前記モータを制御することで前記開閉動作を行うとともに、前記開閉動作中において前記モータの過負荷状態を検知する過負荷検知を実行するシャッター制御装置と、を備え、前記シャッター制御装置は、所定の条件において前記上限位置を更新する、シャッター装置。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上限位置と下限位置との間でシャッターカーテンの開閉動作を行うシャッター装置であって、
前記シャッターカーテンを開閉駆動するモータと、
前記モータを制御することで前記開閉動作を行うとともに、前記開閉動作中において前記モータの過負荷状態を検知する過負荷検知を実行するシャッター制御装置と、
を備え、
前記シャッター制御装置は、所定の条件において前記上限位置を更新する、
シャッター装置。
【請求項2】
前記シャッター制御装置は、前記開閉動作を所定回数行わせた後に最初の開動作において前記上限位置を更新する、
請求項1に記載のシャッター装置。
【請求項3】
前記シャッター制御装置は、停電が解消されてから最初の開動作において前記上限位置を更新する、
請求項1又は2に記載のシャッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シャッター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上限位置(全開位置)と下限位置(全閉位置)との間でシャッターカーテンを開閉動作させるシャッター装置がある(例えば、特許文献1)。しかしながら、上限位置は調整する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-89329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、上限位置を調整することができるシャッター装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、上限位置と下限位置との間でシャッターカーテンの開閉動作を行うシャッター装置であって、前記シャッターカーテンを開閉駆動するモータと、前記モータを制御することで前記開閉動作を行うとともに、前記開閉動作中において前記モータの過負荷状態を検知する過負荷検知を実行するシャッター制御装置と、を備え、前記シャッター制御装置は、所定の条件において前記上限位置を更新する、シャッター装置である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施形態に係るシャッターシステムの概略構成の一例を示す図である。
図2】本実施形態に係るシャッター制御装置の概略構成図である。
図3】本実施形態に係るシャッター制御装置の制御部の機能ブロック図である。
図4】上限位置を更新するタイミングを示す図である。
図5】上限位置を更新するタイミングを示す図である。
図6】上限位置を更新するタイミングを示す図である。
図7】操作モードにおいて制御部13がシャッターカーテン4に開閉動作を行わせるときの処理を示すフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態に係るシャッター装置を、図面を用いて説明する。
【0008】
図1に示すシャッターシステム1は、シャッター装置2及び操作装置3を備える。
【0009】
シャッター装置2は、建物の窓やドア等の開口部の開放又は閉鎖を行う電動シャッター装置である。シャッター装置2は、シャッターカーテン4を備え、操作装置3からの操作信号に基づいてシャッターカーテン4を開閉することにより上記開口部を開放又は閉鎖することができる。
【0010】
操作装置3は、操作対象であるシャッター装置2に有線又は無線で接続され、シャッター装置2と相互に通信可能である。操作装置3は、ユーザや作業者が操作可能であって、シャッター装置2に対して操作信号を入力する手段を備える、例えばリモコン装置である。
【0011】
具体的には、操作装置3は、ユーザによっていずれかのスイッチが押下されると、シャッター装置2にスイッチに応じた信号である操作信号を出力する。
【0012】
例えば、操作装置3は、開スイッチSWoが操作されると、シャッターカーテン4の開動作を指示する第1の操作信号をシャッター装置2に送信する。操作装置3は、閉スイッチSWcが操作されると、シャッターカーテン4の閉動作を指示する第2の操作信号をシャッター装置2に送信する。操作装置3は、停止スイッチSWtが操作されると、シャッターカーテン4の開動作又は閉動作の停止を指示する停止信号をシャッター装置2に送信する。
【0013】
操作装置3は、ユーザによって所定の操作が行われると、設定信号をシャッター装置2に送信する。例えば、上記所定の操作は、開スイッチSWo、閉スイッチSWc、及び停止スイッチSWtのうち、一つのスイッチの短押し操作とは異なる操作である。具体的には、上記所定の操作は、開スイッチSWo、閉スイッチSWc、及び停止スイッチSWtのうち、二つ以上のスイッチの同時押し、又は、一つ以上のスイッチの長押しである。
【0014】
上記所定の操作は、開スイッチSWo、閉スイッチSWc、及び停止スイッチSWtのうち、二つ以上のスイッチの同時押し、又は、一つ以上のスイッチの長押しに限定されない。例えば、操作装置3は、初期設定ボタンを備えてもよい。上記所定の操作は、初期設定ボタンの押下操作であってもよい。例えば、初期設定ボタンは、操作装置3の前面に設けられてもよいし、背面に設けられてもよい。初期設定ボタンが操作装置3の背面に設けられる場合には、例えば、初期設定ボタンは、背面カバーに覆われており、当該背面カバーを取り外すことにより操作可能となる。初期設定ボタンは、背面カバーが取り外されると露出する位置に設けられている。
【0015】
初期設定ボタンは、電池を収納する電池ボックス内に設けられてもよい。この場合には、上記電池ボックスを操作装置3の背面側から覆うように操作装置3の本体ケースに取り付け可能に構成されている電池カバーを取り外すことで、初期設定ボタンは、ユーザにより操作可能に構成されている。初期設定ボタンは、電池カバーが取り外されると露出する位置に設けられている。
【0016】
操作装置3は、スマートフォンやタブレット端末等の携帯情報端末であってもよい。この場合には、上記所定の操作は、携帯情報端末のアプリケーション(例えば、スマートフォンアプリケーション)における初期設定用のコマンド操作であってもよい。
【0017】
次に、本実施形態に係るシャッター装置2の概略構成の一例について説明する。
【0018】
図1に示すように、シャッター装置2は、シャッターカーテン4、ガイドレール5a,5b及びシャッターボックス6を備える。
【0019】
シャッターカーテン4は、上下方向に連結された長尺な複数のスラット4a及び最下端に設けられた巾木部4bを有する。
【0020】
巾木部4bは、最下端のスラット4aに接続された矩形断面を有する長尺部材である。巾木部4bは、シャッターカーテン4が全開状態(上限位置Pu)になる場合にマグサ(不図示)又はシャッターボックス6に接触するように突出形成されている。巾木部4bは、シャッターカーテン4の全開状態時にはマグサ(不図示)又はシャッターボックス6に接触する。巾木部4bは、シャッターボックス6またはシャッター装置2に設けられた受け部(不図示)に接触するために、突出するように形成されている。巾木部4bは、シャッターカーテン4が全閉状態(下限位置Pl)になる場合には、シャッター装置2の枠体の下枠や床面に接触する。
【0021】
マグサは、シャッターカーテン4が上昇することで形成されるシャッター装置2の開口部の見切り部材であって、シャッターボックス6の下部に設けられていてもよい。
【0022】
ガイドレール5a及びガイドレール5bは、シャッターカーテン4の幅方向の両端に一対で設けられ、底面に対して垂直に立設されている。ガイドレール5a及びガイドレール5bは、シャッターカーテン4を構成する各スラット4aの横ずれを規制する。
【0023】
シャッターボックス6は、シャッター装置2の上部に設けられている。このシャッターボックス6は、シャッターカーテン4の巻き戻し(シャッターカーテン4の閉動作時)、又は、巻き取り(シャッターカーテン4の開動作時)を行う。
【0024】
以下に、本実施形態に係るシャッターボックス6の概略構成の一例について説明する。図1に示すように、シャッターボックス6は、シャフト7、モータ8、出力部9及びシャッター制御装置10を備える。シャッターボックス6のモータ8、出力部9及びシャッター制御装置10は外部から供給される電気により駆動される。シャッターボックス6は、停電し、外部から電気が供給されない状態を検知する。モータ8、出力部9及びシャッター制御装置10に電気を供給するのは、家庭用電源であってもよいし、バッテリーや発電機(太陽光パネル発電機)からであってもよい。
【0025】
シャフト7は、シャッターカーテン4の上端部とモータ8とに連結されている。シャフト7は、モータ8によって正逆方向に回転駆動される。このシャフト7の回転に応じて、シャッターカーテン4の巻き戻し、又は、巻き取りが行われる。シャフト7に巻き取られたシャッターカーテン4は、シャッターボックス6内に収容されるようになっている。
【0026】
モータ8は、シャフト7を回転駆動することでシャッターカーテン4を開閉駆動する駆動源であって、例えば直流モータから構成されている。モータ8は、シャッター制御装置10からの駆動信号に基づいて正回転、逆回転、又は回転停止する。
【0027】
出力部9は、モータ8の駆動状況を出力する機能を有する。出力部9は、例えばモータ8に内蔵されたエンコーダである。出力部9は、モータ8の回転に応じたパルス信号(以下、「位置パルス」という。)をシャッター制御装置10に出力する。例えば、出力部9は、モータ8が1回転すると1つの位置パルスをシャッター制御装置10に出力する。出力部9は、エンコーダに限らず、例えばモータ8の回転角量を計測する等、巻取り軸やモータ8の回転量を把握できる構成であれば任意に選択できる。
【0028】
図2に示すように、シャッター制御装置10は、通信部11、駆動部12及び制御部13を備える。
【0029】
通信部11は、操作装置3と通信することで情報を送受する。通信部11の通信方式は、特に限定されないが、本実施形態では、短距離無線通信規格RF4CE(Radio Frequency for Consumer Electronics)やBluetooth(登録商標)等の無線通信方式が用いられる。
【0030】
駆動部12は、制御部13からの指令に応じた駆動信号を生成してモータ8に出力することでモータ8を駆動、又は停止させる。
【0031】
制御部13は、例えばCPU又はMPUなどのマイクロプロセッサ、MCUなどのマイクロコントローラや記憶装置などから構成され、操作装置3のスイッチの操作に応じてモータ8の駆動を制御する。
【0032】
制御部13は、操作装置3からの操作信号に基づいて、モータ8の回転を制御することで、上限位置Puと下限位置Plとの間でシャッターカーテン4の開動作又は閉動作(以下、単に「開閉動作」という。)を実行する。上限位置Puは、シャッターカーテン4が全開状態となる位置(全開位置)である。下限位置Plは、シャッターカーテン4が全閉状態となる位置(全閉位置)である。
【0033】
制御部13は、通信部11を介して操作装置3から第1の操作信号を受信した場合には、シャッターカーテン4をシャフト7に巻き取らせて開動作させる指令(以下、「開指令」という。)を駆動部12に対して出力する。これにより、駆動部12は、モータ8を正転させてシャッターカーテン4を開動作させる。
【0034】
制御部13は、通信部11を介して操作装置3から第2の操作信号を受信した場合には、シャッターカーテン4をシャフト7から巻き出させて閉動作させる指令(以下、「閉指令」という。)を駆動部12に対して出力する。これにより、駆動部12は、モータ8を逆転させてシャッターカーテン4を閉動作させる。
【0035】
制御部13は、操作装置3から停止信号を受信した場合、シャッターカーテン4の動作を停止させる指令(以下、「停止指令」という。)を駆動部12に対して出力する。これにより、駆動部12は、モータ8の回転を停止させて開閉動作を停止させる。
【0036】
制御部13は、モータ8を制御することで開閉動作を行うとともにモータ8の過負荷状態を検知する過負荷検知を実行する。制御部13が過負荷検知した場合に、駆動部12に出力する指令については、詳細は後述する。
【0037】
制御部13は、操作装置3からの設定信号を受信した場合には、上限位置Pu及び下限位置Plを設定する設定モードに移行する。制御部13は、設定モードにおいて、モータ8を制御することで開閉動作を行うとともにモータ8の過負荷状態を検知する過負荷検知を実行する。制御部13は、設定モードにおいて、シャッターカーテン4の開動作時にモータ8の過負荷状態が検知された場合にはシャッターカーテン4の現在位置に基づいて上限位置Puを設定し、シャッターカーテン4の閉動作時にモータ8の過負荷状態が検知された場合にはシャッターカーテン4の現在位置に基づいて下限位置Plを設定する。
【0038】
以下において、本実施形態に係る設定モードの処理を実行するための制御部13の機能部を、図3を用いて説明する。図3は、シャッター制御装置10の復帰処理を実行するための制御部13の機能ブロック図である。
【0039】
以下に、本開示の一実施形態に係る制御部13の機能部について説明する。
【0040】
制御部13は、駆動制御部14、負荷検出部15、処理部16及び格納部17を備える。
【0041】
駆動制御部14は、操作装置3に対して所定の操作が行われた場合には、駆動部12に開指令を出力してシャッターカーテン4の開動作を開始させる。駆動制御部14は、当該開動作中において過負荷検知によりモータ8の過負荷状態が検知された場合には、停止指令を出力して当該開動作を停止させる。駆動制御部14は、当該閉動作中において過負荷検知によりモータ8の過負荷状態が検知された場合には、停止指令を出力して当該閉動作を停止させ、駆動部12に閉指令を出力してシャッターカーテン4の閉動作を開始させる。
【0042】
負荷検出部15は、モータ8にかかる負荷(以下、「モータ負荷」という。)を検出する。負荷検出部15は、カウンタ151及び負荷計測部152を備える。
【0043】
カウンタ151は、位置パルスのパルス数をカウントする。なお、このパルス数のカウント値nは、シャッターカーテン4の現在位置に相当する。
【0044】
負荷計測部152は、出力部9から出力された位置パルスに基づいてモータ負荷を計測する。具体的には、例えば、負荷計測部152は、出力部9から出力された位置パルスのパルス幅Anをモータ負荷として、位置パルス毎(カウンタ151のカウント値n毎)に計測する。例えば、パルス幅Anは、モータ8が1回転したときの位置パルスのパルス幅である。
【0045】
位置パルスは、モータ8の回転速度が遅くなるにつれてそのパルス幅が大きくなり、モータ8の回転速度が速くなるにつれてそのパルス幅が小さくなる。すなわち、シャッターカーテン4が上限位置Puに到達して、巾木部4bがマグサやシャッターボックス6に接触すると、モータ8に負荷がかかり、モータ8は過負荷状態となる。そのため、モータ8の回転速度が遅くなり、位置パルスのパルス幅が大きくなる。
【0046】
シャッターカーテン4が下限位置Plに到達して、巾木部4bが床面又は下枠に当接してから、さらに閉動作が継続すると巾木部4bが床面又は下枠に押圧している状態になる。その結果、モータ8に負荷がかかり、モータ8は過負荷状態となる。そのため、モータ8の回転速度が遅くなり、位置パルスのパルス幅が大きくなる。
【0047】
シャッターカーテン4が下限位置Plに到達して、巾木部4bが床面又は下枠に当接してから、さらに閉動作が継続するとスラットに撓みが下方より発生する。その結果、モータ8に負荷がかかり、モータ8は過負荷状態となる。そのため、モータ8の回転速度が遅くなり、位置パルスのパルス幅が大きくなる。
【0048】
負荷計測部152は、位置パルス毎(カウント値n毎)に、その位置パルスのパルス幅を測定することにより、モータ8のパルス幅Anをモータ負荷として算出する。負荷計測部152は、カウント値nとモータ負荷とを関連付けて処理部16に出力する。負荷計測部152は、カウント値nとそのカウント値nに対応する位置パルスのパルス幅(モータ負荷)Anとを処理部16に出力する。負荷計測部152は、位置情報nと、その位置情報nに対応する位置パルスのパルス幅Anとを関連付けて負荷情報として格納部17に格納する。
【0049】
処理部16は、上限位置Pu及び下限位置Plを過負荷検知により設定する。具体的には、処理部16は、設定時処理部161及び操作時処理部162を備える。
【0050】
設定時処理部161は、設定モードにおけるシャッターカーテン4の開閉動作中において過負荷検知(以下、「設定時過負荷検知」)を実行する。設定時処理部161は、開動作時に設定時過負荷検知によってモータ8の過負荷状態を検知した場合には、シャッターカーテン4の現在位置に基づいて上限位置Puを設定する。例えば、設定時処理部161は、開動作時の過負荷検知によってモータ8の過負荷状態を検知されたときのカウント値nを上限位置Puに設定してもよい。例えば、設定時処理部161は、開動作時の設定時過負荷検知によってモータ8の過負荷状態を検知されたときのカウント値nを「0」にリセットし、「0」にリセットされたカウント値nを上限位置Puに設定してもよい。
【0051】
設定時過負荷検知とは、負荷検出部15から出力されるモータ負荷に基づいてモータ8が過負荷状態か否かを判定する処理である。例えば、設定時処理部161は、モータ負荷又はモータ負荷の変化率が所定の閾値th1を超えた場合には、モータ8が過負荷状態であると判定する。
【0052】
設定時処理部161は、開動作時の設定時過負荷検知において、巾木部4bがマグサ又はシャッターボックス6に当接した位置(上限位置Pu)ではなく、上限位置Puからさらにシャッターカーテン4の開動作を行ってシャッターカーテン4を巻き締めした位置(以下、「巻き締め位置」という。)で、モータ8が過負荷状態を検知する。巻き締め位置と上限位置Puとの間のずれΔH1は、巻き締め位置と上限位置Puとの間の位置パルスのカウント数n1で表され、実験やシャッターカーテン4のサイズ等により予め求めることが可能である。設定時処理部161は、既知であるずれΔH1を用いて巻き締め位置から上限位置Puを求めてもよい。例えば、設定時処理部161は、開閉時の設定時過負荷検知によってモータ8の過負荷状態を検知されたときのカウント値nからカウント数n1を減算又は加算することで上限位置Puに設定してもよい。
【0053】
設定時処理部161は、設定モードにおけるシャッターカーテン4の閉動作中において設定時過負荷検知を実行する。設定時処理部161は、閉動作時の設定時過負荷検知によってモータ8の過負荷状態を検知した場合には、シャッターカーテン4の現在位置に基づいて下限位置Plを設定する。
【0054】
例えば、設定時処理部161は、閉動作時の設定時過負荷検知によってモータ8の過負荷状態を検知されたときのカウント値nを下限位置Plに設定してもよい。
【0055】
開動作時の設定時過負荷検知と閉動作時の設定時過負荷検知とは、同一の方法による過負荷検知であってもよいし、互いに異なる方法による過負荷検知であってもよい。
【0056】
設定時処理部161は、閉動作時の設定時過負荷検知において、巾木部4bが床面又は下枠に当接した位置(下限位置Pl)ではなく、下限位置Plからさらにシャッターカーテン4の閉動作を行ってシャッターカーテン4が床面又は下枠を押し込んだ位置(以下、「押し込み位置」という。)で、モータ8が過負荷状態を検知する。すなわち、押し込み位置のシャッターカーテン4は下方より撓みが発生しており、閉動作時の設定時過負荷検知でモータ8の過負荷状態が検知された位置である押し込み位置と上記撓みの無い下限位置との間にズレΔH2が生じる。この押し込み位置と下限位置Plとの間のずれΔH2は、押し込み位置と下限位置Plとの間の位置パルスのカウント数n2で表され、実験やシャッターカーテン4のサイズ等により予め求めることが可能である。設定時処理部161は、既知であるカウント数n2を用いて押し込み位置から下限位置Plを求めることができる。例えば、設定時処理部161は、閉動作時の設定時過負荷検知によってモータ8の過負荷状態を検知されたときのカウント値nからカウント数n2(ΔH2)を減算した値を下限位置Plに設定してもよい。ずれΔH2が許容できる程度であれば、設定時処理部161は、閉動作時の設定時過負荷検知によってモータ8の過負荷状態を検知されたときのカウント値nを下限位置Plに設定してもよい。カウント数n2を「第1の距離」と呼ぶ。
【0057】
設定時処理部161は、閉動作時の設定時過負荷検知によりモータ8過負荷状態が検知されたときのシャッターカーテン4の現在位置から開方向に第1の距離だけ離れた位置を下限位置Plに設定してもよい。開方向とは、シャッターカーテン4の開動作によってシャッターカーテン4が動作する方向であって、本実施形態では、シャッターボックス6が配置されている方向である。
【0058】
例えば、駆動制御部14は、操作装置3に対して所定の操作が行われた場合には、駆動部12に開指令を出力してシャッターカーテン4の開動作を開始させる。駆動制御部14は、当該開動作中において過負荷検知によりモータ8の過負荷状態が検知された場合には、停止指令を出力して当該開動作を停止させる。このとき、シャッターカーテン4の現在位置は、巻き締め位置である。駆動制御部14は、巻き締め位置のシャッターカーテン4をカウント数n1分だけ下降させて停止させる。設定時処理部161は、カウント数n1分だけ閉動作されたシャッターカーテン4の現在位置、すなわち現在のカウント値nを「0」にリセットし、「0」にリセットされたカウント値nを上限位置Puに設定してもよい。駆動制御部14は、上限位置Puが設定されたことを契機として自動で閉動作を実行する。
【0059】
ずれΔH1が許容できる程度であれば、巻き締め位置のシャッターカーテン4をカウント数n1分だけ下降させず、巻き締め位置を上限位置Puとして設定してもよい。
【0060】
操作時処理部162は、操作モードにおけるシャッターカーテン4の開閉動作中において過負荷検知(以下、「開閉時過負荷検知」)を実行する。操作モードにおけるシャッターカーテン4の開閉動作とは、駆動制御部14が駆動部12に開指令又は閉指令を出力した場合におけるシャッターカーテン4の開閉動作である。過負荷検知の手法については、上記説明した設定時過負荷検知と同様の方法でよい。初めに閉動作時についての処理について説明する。
【0061】
操作時処理部162は、操作モードにおけるシャッターカーテン4の閉動作中において開閉時過負荷検知を実行する。設定時処理部161は、閉動作時の開閉時過負荷検知によってモータ8の過負荷状態を検知した場合には、駆動部12に反転動作を行わせる。設定時処理部161が閉動作時の設定時過負荷検知によってモータ8の過負荷状態を検知した場合には、駆動制御部14は、駆動部12に開指令を出力してシャッターカーテン4の開動作を開始させ、シャッターカーテン4の位置を上限位置Puに戻す。
【0062】
次に開動作時についての処理について説明する。操作時処理部162は、操作モードにおけるシャッターカーテン4の開動作中において開閉時過負荷検知を実行する。そして、設定時処理部161は、閉動作時の開閉時過負荷検知によってモータ8の過負荷状態を検知した場合には、駆動部12に反転動作を行わせる。設定時処理部161が開動作時の設定時過負荷検知によってモータ8の過負荷状態を検知した場合には、駆動制御部14は、駆動部12に閉指令を出力してシャッターカーテン4の閉動作を開始させ、シャッターカーテン4の位置を下限位置Plに戻す。
【0063】
シャッター装置2は、操作モードにおいて所定の条件を満たす場合には、上限位置を更新する。制御部13は、シャッターカーテン4を上限位置から開動作をさせ、閉動作をさせ、巻き締め位置から既知であるずれΔH1開方向の位置を上限位置と更新する。
【0064】
所定の条件は、例えば制御部13が上限位置を更新してから所定の回数操作モードにおける開閉動作をシャッターカーテン4に行わせたことである。図4は、所定の回数操作モードにおける開閉動作を行ったことを示す。制御部13は、N回目の開閉動作において上限位置を更新する。Nはあらかじめ決定される数である。
【0065】
所定の条件は、例えば停電が生じたことである。シャッターボックス制御装置10が停電を検知した場合に、次にシャッターカーテン4に操作モードにおける開閉動作を行わせるときに上限位置を更新する。図5は、停電が解消された後にシャッターカーテン4に開動作を行わせたことを示す。制御部13は、停電が解消された後の開動作をシャッターカーテン4に行わせるときに上限位置を更新する。
【0066】
図6は、停電が解消された後にシャッターカーテン4に閉動作を行わせたことを示す。制御部13は、停電が解消された後の閉動作をシャッターカーテン4に行わせ、下限位置においてシャッターカーテン4の動作を開動作に反転させ、当該開動作において上限位置を更新する。
【0067】
図7は、操作モードにおいて制御部13がシャッターカーテン4に開閉動作を行わせるときの処理を示すフローチャートの一例である。制御部13は、シャッター装置2が所定の条件を満たすか否かを判定する(ステップS11)。シャッター装置2が所定の条件を満たす場合(ステップS11、YES)、制御部13は、シャッターカーテン4を開動作させるときに上限位置を更新する(ステップS12)。シャッター装置2が所定の条件を満たさない場合(ステップS11、NO)、制御部13は、シャッターカーテン4に通常の開閉動作を行わせる(ステップS13)。
【0068】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照してこの開示の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この開示の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0069】
なお、上述した制御部13の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。この場合、上記コンピュータは、CPU、GPUなどのプロセッサ及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えてもよい。そして、上記制御部13の全部または一部の機能をコンピュータで実現するためのプログラムを上記コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムを上記プロセッサに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。ここで、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0070】
2 シャッター装置、3 操作装置、4 シャッターカーテン、8 モータ、13 制御部、14 駆動制御部、15 負荷検出部、16 処理部、17 格納部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7