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  • 特開-リユース方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025071
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】リユース方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/10 20060101AFI20250214BHJP
   H01F 30/10 20060101ALI20250214BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20250214BHJP
   H01F 41/00 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
H01F41/10 D
H01F30/10 F
H01F27/29 S
H01F41/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129521
(22)【出願日】2023-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】上甲 和芳
(72)【発明者】
【氏名】田中 剛
【テーマコード(参考)】
5E043
【Fターム(参考)】
5E043EB02
5E043EB06
(57)【要約】
【課題】再利用する変成器用端子の品質を安定化できるリユース方法を提供する。
【解決手段】変成器の端子を再利用するリユース方法であって、接触による通電が行われる前記端子の接触部にレーザービームを照射してクリーニングする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変成器の端子を再利用するリユース方法であって、
接触による通電が行われる前記端子の接触部にレーザービームを照射してクリーニングするリユース方法。
【請求項2】
前記クリーニング後の前記接触部にメッキ処理を施す請求項1に記載のリユース方法。
【請求項3】
前記クリーニング後の前記接触部に対するメッキ処理の要否判定を行う請求項1又は2に記載のリユース方法。
【請求項4】
前記要否判定は、前記クリーニング後の前記接触部のメッキ層の厚みに基づいて行われる請求項3に記載のリユース方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リユース方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、二次電池モジュールに接続されるインタフェースを備える電池情報管理装置及び端末装置がネットワークによって接続され、電池情報管理装置及び端末装置によって取得される二次電池モジュールに記憶されている電池情報に基づいて、電池情報管理装置が二次電池モジュールの再利用のためのグレード分けを行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-141464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
変成器においても、上述の二次電池モジュールと同様、電線に取り付けられる、所謂二次ブッシング端子などの部品に対して表面の汚れを除去するクリーニング処理を施してリユースしている。
【0005】
しかしながら、斯かる部品のクリーニング処理は、手作業である研磨によって行われることから、作業者の熟練度によってクリーニング処理の品質が異なり、かつ、目視で研磨状況を確認しながら研磨が行われるので、部品のメッキ層のみならず母材まで傷つけてしまう恐れがあった。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、再利用する変成器用端子の品質を安定化できるリユース方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るリユース方法は、変成器の端子を再利用するリユース方法であって、接触による通電が行われる前記端子の接触部にレーザービームを照射してクリーニングする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、再利用する変成器用端子の品質を安定化できるリユース方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1に係る変成器用端子を示す斜視図である。
図2】変成器用端子のリユースに用いられる、レーザー照射装置と、制御部と、メッキ装置とを示す模式図である。
図3】実施形態1に係るリユース方法を用いた変成器用端子のリユースを説明するフローチャートである。
図4】接触部のクリーニング処理後の変成器用端子を示す図である。
図5】変成器用端子のリユースに用いられる、レーザー照射装置と、制御部と、メッキ装置と、厚み測定装置とを示す模式図である。
図6】実施形態2に係るリユース方法を用いた変成器用端子のリユースを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のリユース方法を、その実施の形態を示す図面に基づいて説明する。説明の便宜上、以下では、変成器用の二次ブッシング端子のリユースを例に挙げて説明する。以下では、変成器用の二次ブッシング端子を、変成器用端子と称する。
【0011】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る変成器用端子10を示す斜視図である。
変成器用端子10は、銅等の導電材からなり、電線、他端子等の他部品と接触して電気的に接続される接触部1と、接触部1を除く非接触部2とを有する。
【0012】
接触部1は、略矩形板形状を成しており、中央部に2つの貫通孔3が形成されている。貫通孔3は、円形であり、接触部1の長さ方向に隔てて形成されている。また、接触部1の一方の長辺には、長さ方向の中間部に、非接触部2が連設されている。
【0013】
非接触部2は有底円筒形状部21及び基部23を有しており、基部23は有底円筒形状部21に向かって接触部1の厚み方向の寸法が大きくなっている。また、有底円筒形状部21の底の中央部には円形の突起22が突設されている。
【0014】
このような変成器用端子10は、大気に露出される環境に置かれるので、時間経過と共に変成器用端子10の表面に、埃、油汚れ、酸化物などを含む汚れ層が形成される。このような汚れ層は抵抗を高めるなど通電の妨げになるので、除去する必要がある。
【0015】
実施形態1に係るリユース方法では、レーザービームを用いて変成器用端子10の接触部1に対するクリーニング処理を行い、クリーニング処理後の変成器用端子10の接触部1にメッキ処理を行う。
【0016】
図2は、変成器用端子10のリユースに用いられる、レーザー照射装置30と、制御部40と、メッキ装置50とを示す模式図である。図2中、符号Cは汚れ層を示す。
【0017】
レーザー照射装置30及びメッキ装置50は制御部40に接続されており、制御部40はレーザー照射装置30のクリーニング処理及びメッキ装置50のメッキ処理を制御する。
【0018】
レーザー照射装置30は、発振器を内蔵した筐体32と、筐体32に接続された光伝送チューブ33と、光伝送チューブ33の先端に接続されたレーザーヘッド31とを備える。また、筐体32は、レーザー照射処理の設定を受け付ける操作部34を備える。
作業者は、操作部34を操作することにより、レーザービーム照射の開始と停止、レーザービーム出力の設定、照射回数、スキャン方向及びスキャン範囲、送り速度、レンズの焦点距離等の設定を行うことができる。制御部40は、操作部34を介して作業者から斯かる設定を受け付ける。
【0019】
レーザー照射装置30においては、筐体32の前記発振器によりレーザービームが発生し、レーザーヘッド31からレーザービームが出射して、対象物(変成器用端子10)に照射する。制御部40は、操作部34を介して受け付けた設定に応じて、レーザービームを制御する。
【0020】
図3は、実施形態1に係るリユース方法を用いた変成器用端子10のリユースを説明するフローチャートである。リユースの対象となる変成器用端子10は、変成器から取り外したものであり、表面に汚れ層Cが付いている(図2参照)。
【0021】
作業者は、上述の如く、操作部34を操作してレーザー照射処理の設定を行い、制御部40は、操作部34を介して作業者から設定を受け付ける(ステップS101)。
【0022】
制御部40は、操作部34を介して受け付けた設定に基づいて、レーザービームを制御し、レーザーヘッド31からレーザービームが出射して変成器用端子10に照射される(ステップS102)。これによって、汚れ層Cが除去され、変成器用端子10のクリーニング処理が行われる。
【0023】
この際、レーザービームは、変成器用端子10の接触部1にのみ照射される。即ち、変成器用端子10の接触部1に対してのみクリーニング処理が行われる。上述の如く、接触部1でのみ他部品との接触による電気的な接続が行われることから、接触部1のみのクリーニング処理で足りる。
【0024】
図4は、接触部1のクリーニング処理後の変成器用端子10を示す図である。図4においては、比較のため、接触部1の一部に対してはクリーニング処理を施していない。図4中、黒塗り矢印は、クリーニング処理を施していない部分を指しており、白抜き矢印は、クリーニング処理を施した部分を指している。
【0025】
図4から、レーザービームを用いるクリーニング処理によって、接触部1の表面の汚れ層Cが除去されたことが視認できる。
【0026】
このように、クリーニング処理によって汚れ層Cが除去された変成器用端子10(接触部1)に対してメッキ処理が施される(ステップS103)。例えば、メッキ装置50が変成器用端子10に所定の電圧を印加して電解メッキ浴に所定時間浸すことにより、ニッケルなどの金属のメッキ膜を接触部1の表面に形成する。
【0027】
このようにして、接触部1に対するクリーニング処理及びメッキ処理が施された変成器用端子10は、リユースされる。よって資源を有効に活用でき、環境への負担を減らすことが出来る。
【0028】
上述の如く、実施形態1に係るリユース方法においては、上述の如く、レーザービームを用いて変成器用端子10の接触部1をクリーニング処理するので、手作業によって変成器用端子10の接触部1を研磨する場合に比べて、作業時間が短縮され、生産性が高まるうえに、レーザービーム制御により、母材を傷つけず、一様な仕上がりが得られるので、品質の安定化が担保できる。
【0029】
実施形態1に係るリユース方法においては、上述の如く、変成器用端子10の接触部1に対してのみクリーニング処理が行われるので、更に作業性を高め、かつコストダウンを図ることができる。
【0030】
以上においては、実施形態1に係るリユース方法を用いて変成器用端子10をリユースする場合を例に挙げて説明したが、変成器用端子10に限定されるものではなく、ボルト、ナット等、変成器の蓋押さえ金具に対しても適用できることは言うまでもない。
【0031】
(実施形態2)
実施形態2に係るリユース方法では、レーザービームを用いて変成器用端子10の接触部1に対するクリーニング処理を行い、クリーニング処理後の変成器用端子10の接触部1に対してメッキ処理の要否の判定が行われ、斯かる判定の結果に応じて、メッキ処理を行う。
【0032】
図5は、変成器用端子10のリユースに用いられる、レーザー照射装置30と、制御部40と、メッキ装置50と、厚み測定装置60とを示す模式図である。
【0033】
レーザー照射装置30、メッキ装置50及び厚み測定装置60は制御部40に接続されており、制御部40はレーザー照射装置30のクリーニング処理、メッキ装置50のメッキ処理、及び厚み測定装置60の測定処理を制御する。また、厚み測定装置60は、例えば、X線を用いてクリーニング処理後の変成器用端子10の接触部1の厚み(メッキ層の厚み)を測定する。X線を用いたメッキ層の厚み測定はそれ自体公知技術であり、詳しい説明を省略する。
【0034】
図6は、実施形態2に係るリユース方法を用いた変成器用端子10のリユースを説明するフローチャートである。リユースの対象となる変成器用端子10は、変成器から取り外したものであり、表面に汚れ層Cが付いている(図5参照)。
【0035】
作業者は、上述の如く、操作部34を操作してレーザー照射処理の設定を行い、制御部40は、操作部34を介して作業者から設定を受け付ける(ステップS201)。
【0036】
制御部40は、操作部34を介して受け付けた設定に基づいて、レーザービームを制御し、レーザーヘッド31からレーザービームが出射して変成器用端子10の接触部1に照射される(ステップS202)。これによって、接触部1の汚れ層Cが除去され、変成器用端子10(接触部1)のクリーニングが行われる。
【0037】
このように、クリーニング処理によって汚れ層Cが除去された変成器用端子10(接触部1)に対して、制御部40はメッキ処理が必要か否かの判定を行う(ステップS203)。斯かる判定の結果に基づいて、クリーニング処理後の変成器用端子10に対するメッキ処理が行われる。
【0038】
メッキ処理が必要か否かの判定は、接触部1のメッキ層の厚みを用いて行われる。詳しくは、厚み測定装置60によって測定された、クリーニング処理後における変成器用端子10の接触部1のメッキ層の厚みと、出荷時の接触部1のメッキ層の厚みに基づいて定められた所定の閾値とを対比することによって行われる。例えば、制御部40には表示部が設けられており、制御部40は前記判定の結果を斯かる表示部に出力する。
【0039】
例えば、クリーニング処理後の変成器用端子10(接触部1)のメッキ層の厚みが閾値よりも薄い場合は、接触部1のメッキ層が剥がれ、又は、薄くなっていると判断されることから、制御部40はメッキ処理が必要であると判定する(ステップS203:YES)。
【0040】
メッキ処理が必要であると判定された場合、実施形態1と同様、メッキ装置50によるメッキ処理が行われる(ステップS204)。例えば、メッキ装置50は変成器用端子10に所定の電圧を印加して電解メッキ浴に所定時間浸すことにより、ニッケルなどの金属のメッキ膜を接触部1の表面に形成する。
以降、接触部1に対するクリーニング処理及びメッキ処理が施された変成器用端子10は、リユースされる。
【0041】
また、クリーニング処理後の変成器用端子10(接触部1)のメッキ層の厚みが閾値以上である場合、制御部40はメッキ処理が必要でないと判定し(ステップS203:NO)、処理は終了する。
以降、接触部1に対するクリーニング処理のみが施された変成器用端子10がリユースされる。
【0042】
上述の如く、実施形態2に係るリユース方法においては、上述の如く、クリーニング処理後の変成器用端子10(接触部1)に対してメッキ処理の要否判定が行われ、メッキ処理が不要と判定された変成器用端子10は、メッキ処理をしないでリユースされる。よって、メッキ処理を減らすことによって、作業量の軽減、及び、環境負担軽減を共に図ることが出来る。
【0043】
上述の如く、実施形態2に係るリユース方法においては、厚み測定装置60を用いてクリーニング処理後の変成器用端子10(接触部1)のメッキ層の厚みを測定し、斯かる測定の結果に基づいてメッキ処理の要否判定が行われる。よって、変成器用端子10のリユースに係る一連の工程を自動化できる。
【0044】
上述の如く、実施形態2に係るリユース方法においては、クリーニング処理後の変成器用端子10(接触部1)のメッキ層の厚みに基づいてメッキ処理の要否判定が行われる場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、クリーニング処理後の接触部1の色に基づいてメッキ処理の要否判定が行われるように構成しても良い。
【0045】
具体的には、カメラを用いて、クリーニング処理後の変成器用端子10(接触部1)のカラー画像を取得し、取得されたカラー画像からHSV色相判定値を求め、HSV色相判定値から算出された、色相(H)、彩度(S)及び明度(V)を基に画素の色判定処理を行って、判定結果に基づいて、メッキ処理の要否判定が行われても良い。即ち、クリーニング処理後の接触部1が所定色である場合、又は、接触部1(画像)が所定範囲の色相(H)、彩度(S)及び明度(V)である場合のみ、メッキ処理が施される。
【0046】
実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0047】
実施の形態1~2で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせることにより、新しい技術的特徴を想到することができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0048】
各実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載しても良い。
【符号の説明】
【0049】
1:接触部、2: 非接触部、10:変成器用端子、40:制御部、50:メッキ装置、60:厚み測定装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6