(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025084
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】制御ユニット、駆動装置、および制御方法
(51)【国際特許分類】
G01L 3/14 20060101AFI20250214BHJP
H02P 31/00 20060101ALI20250214BHJP
B25J 17/00 20060101ALN20250214BHJP
【FI】
G01L3/14 A
H02P31/00
B25J17/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129539
(22)【出願日】2023-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000107147
【氏名又は名称】ニデックドライブテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 大輔
【テーマコード(参考)】
3C707
5H501
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707AS06
3C707BS09
3C707CX01
3C707CX03
3C707HT26
3C707KS21
3C707KS35
3C707KV06
5H501AA22
5H501LL32
5H501LL37
5H501LL49
5H501LL60
5H501MM09
5H501PP02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ロボットアーム駆動装置で、アームの状態を精度よく検出しつつ、モータを制御できる技術を提供する。
【解決手段】駆動装置は、モータ103、減速機1、および対象物を有する。減速機は、モータから出力される回転運動を減速する。対象物は、減速機から出力される回転運動により動作する。制御ユニット2は、減速機に搭載されたセンサ50の検出値に基づいてモータを制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータから出力される回転運動を減速する減速機と、
前記減速機から出力される回転運動により動作する対象物と、
を有する駆動装置の制御ユニットであって、
前記減速機に搭載されたセンサの検出値に基づいて前記モータを制御する、制御ユニット。
【請求項2】
複数のモータと、
前記複数のモータのそれぞれから出力される回転運動を減速する複数の減速機と、
前記複数の減速機のそれぞれから出力される回転運動により動作する複数の対象物と、
を有する駆動装置の制御ユニットであって、
前記複数の減速機のうちの少なくとも1つの減速機に搭載されたセンサの検出値に基づいて、前記複数のモータのうちの少なくとも1つのモータを制御する、制御ユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の制御ユニットであって、
前記センサは、前記減速機のギアに搭載された歪みゲージを含む、制御ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の制御ユニットであって、
前記センサは、前記ギアの温度に応じて出力信号が変化する温度センサである、制御ユニット。
【請求項5】
請求項4に記載の制御ユニットであって、
前記減速機は、2つの前記温度センサを有し、
前記制御ユニットは、前記2つの温度センサの出力信号の差が、所定の閾値以上になった場合に、アラート制御を行う、制御ユニット。
【請求項6】
請求項4に記載の制御ユニットであって、
前記温度センサの出力信号の値が、所定の許容範囲から外れた場合に、アラート制御を行う、制御ユニット。
【請求項7】
請求項3に記載の制御ユニットであって、
前記センサは、前記ギアにかかるトルクに応じて出力信号が変化するトルクセンサである、制御ユニット。
【請求項8】
請求項7に記載の制御ユニットであって、
前記減速機は、2つの前記トルクセンサを有し、
前記制御ユニットは、前記2つのトルクセンサの出力信号の差が、所定の閾値以上になった場合に、アラート制御を行う、制御ユニット。
【請求項9】
請求項7に記載の制御ユニットであって、
前記トルクセンサの出力信号の値が、所定の許容範囲から外れた場合に、アラート制御を行う、制御ユニット。
【請求項10】
請求項3に記載の制御ユニットであって、
前記センサは、前記ギアにかかるスラスト力に応じて出力信号が変化するスラストセンサである、制御ユニット。
【請求項11】
請求項10に記載の制御ユニットであって、
前記減速機は、2つの前記スラストセンサを有し、
前記制御ユニットは、前記2つのスラストセンサの出力信号の差が、所定の閾値以上になった場合に、アラート制御を行う、制御ユニット。
【請求項12】
請求項10に記載の制御ユニットであって、
前記スラストセンサの出力信号の値が、所定の許容範囲から外れた場合に、アラート制御を行う、制御ユニット。
【請求項13】
請求項1または請求項2に記載の制御ユニットと、
前記モータと、
前記減速機と、
前記対象物と、
を備えた駆動装置。
【請求項14】
モータと、
前記モータから出力される回転運動を減速する減速機と、
前記減速機から出力される回転運動により動作する対象物と、
を有する駆動装置の制御方法であって、
前記減速機に搭載されたセンサの検出値に基づいて前記モータを制御する、制御方法。
【請求項15】
複数のモータと、
前記複数のモータのそれぞれから出力される回転運動を減速する複数の減速機と、
前記複数の減速機のそれぞれから出力される回転運動により動作する複数の対象物と、
を有する駆動装置の制御方法であって、
前記複数の減速機のうちの少なくとも1つの減速機に搭載されたセンサの検出値に基づいて、前記複数のモータのうちの少なくとも1つのモータを制御する、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御ユニット、駆動装置、および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータと、モータの回転を減速する減速装置とを備えた駆動装置が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1の駆動装置では、モータのエンコーダに取り付けられた温度センサによって、アームの温度変化による膨張・収縮を補正しつつ、モータを制御している。
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この種の駆動装置では、モータとアームとの間に、減速機が配置される。このため、モータに取り付けられた温度センサでは、アームの温度変化を精度よく検出することが困難である。
【0005】
本発明の目的は、駆動装置において、アームの状態を精度よく検出しつつモータを制御できる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明は、モータと、前記モータから出力される回転運動を減速する減速機と、前記減速機から出力される回転運動により動作する対象物と、を有する駆動装置の制御ユニットであって、前記減速機に搭載されたセンサの検出値に基づいて前記モータを制御する。
【0007】
第2発明は、複数のモータと、前記複数のモータのそれぞれから出力される回転運動を減速する複数の減速機と、前記複数の減速機のそれぞれから出力される回転運動により動作する複数の対象物と、を有する駆動装置の制御ユニットであって、前記複数の減速機のうちの少なくとも1つの減速機に搭載されたセンサの検出値に基づいて、前記複数のモータのうちの少なくとも1つのモータを制御する。
【0008】
第3発明は、モータと、前記モータから出力される回転運動を減速する減速機と、前記減速機から出力される回転運動により動作する対象物と、を有する駆動装置の制御方法であって、前記減速機に搭載されたセンサの検出値に基づいて前記モータを制御する。
【0009】
第4発明は、複数のモータと、前記複数のモータのそれぞれから出力される回転運動を減速する複数の減速機と、前記複数の減速機のそれぞれから出力される回転運動により動作する複数の対象物と、を有する駆動装置の制御方法であって、前記複数の減速機のうちの少なくとも1つの減速機に搭載されたセンサの検出値に基づいて、前記複数のモータのうちの少なくとも1つのモータを制御する。
【発明の効果】
【0010】
第1発明、第2発明、第3発明、および第4発明によれば、減速機に搭載されたセンサの検出値に基づいてモータを制御する。これにより、アームの状態を精度よく検出しつつモータを制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図2は、モータ、減速機、アーム、および制御ユニットの構成を、概念的に示した図である。
【
図5】
図5は、センサ基板の付近におけるフレックスギアの部分縦断面図である。
【
図7】
図7は、第1トルクセンサの第1ブリッジ回路の回路図である。
【
図8】
図8は、第2トルクセンサの第2ブリッジ回路の回路図である。
【
図9】
図9は、角度センサの第3ブリッジ回路の回路図である。
【
図10】
図10は、角度センサの第4ブリッジ回路の回路図である。
【
図11】
図11は、第3ブリッジ回路の第3電圧計の計測値と、第4ブリッジ回路の第4電圧計の計測値との、時間変化を示したグラフである。
【
図12】
図12は、第1スラストセンサの第5ブリッジ回路の回路図である。
【
図13】
図13は、第2スラストセンサの第6ブリッジ回路の回路図である。
【
図14】
図14は、制御ユニットによる制御の流れを示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、第1変形例に係る駆動装置の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本願の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
<1.駆動装置の構成>
図1は、一実施形態に係る制御ユニット2を備えた駆動装置100の概要図である。駆動装置100は、例えば、工業製品の製造ラインにおいて、部品の搬送、加工、組立等の作業を行う、いわゆる産業用ロボットである。
図1に示すように、駆動装置100は、モータ103と、減速機1と、アーム102と、制御ユニット2とを備える。また、本実施形態の駆動装置100は、ベースフレーム101をさらに備える。
【0014】
アーム102は、ベースフレーム101に対して、回動可能に支持されている。モータ103および減速機1は、ベースフレーム101とアーム102との間の関節部に、組み込まれている。モータ103に駆動電流が供給されると、モータ103から回転運動が出力される。減速機1は、モータ103から出力される回転運動を減速して、アーム102へ伝達する。これにより、ベースフレーム101に対してアーム102が、減速後の速さで回動する。すなわち、アーム102は、減速機1から出力される回転運動により動作する対象物である。
【0015】
制御ユニット2は、駆動装置100の動作を制御する装置である。制御ユニット2は、コンピュータまたは電気回路により構成される。
図1に示すように、制御ユニット2は、CPU等のプロセッサ201、RAM等のメモリ202、およびハードディスクドライブ等の記憶部203を有する。記憶部203には、駆動装置100の動作を制御するためのプログラムPが記憶されている。制御ユニット2は、当該プログラムPに従って動作する。
【0016】
図2は、モータ103、減速機1、アーム102、および制御ユニット2の構成を、概念的に示した図である。
図2に示すように、減速機1は、アーム102の状態を検出可能なセンサ50を有する。制御ユニット2は、センサ50およびモータ103と、電気的に接続されている。制御ユニット2は、減速機1に搭載されたセンサ50の検出値に基づいて、モータ103を制御する。これにより、モータ103よりもアーム102に近い位置に配置されたセンサ50に基づいて、モータ103を制御できる。したがって、アーム102の状態を精度よく検出しつつ、モータ103を制御できる。その結果、アーム102を精度よく動作させることができる。
【0017】
センサ50の詳細な構成については、後述する。
【0018】
<2.減速機の構成>
続いて、減速機1の詳細な構造について、説明する。
【0019】
なお、以下では、減速機1の中心軸9と平行な方向を「軸方向」、減速機1の中心軸9に直交する方向を「径方向」、減速機1の中心軸9を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。ただし、上記の「平行な方向」は、略平行な方向も含む。また、上記の「直交する方向」は、略直交する方向も含む。
【0020】
図3は、一実施形態に係る減速機1の縦断面図である。
図4は、
図2のA-A位置から見た減速機1の横断面図である。図の煩雑化を避けるため、
図4においては、断面を示すハッチングが省略されている。
【0021】
この減速機1は、波動歯車減速機である。減速機1は、モータ103から出力される第1回転速度の回転運動を、第1回転速度よりも遅い第2回転速度に減速する。
図3および
図4に示すように、減速機1は、入力シャフト10、インタナルギア20、フレックスギア30、および波動発生器40を備える。
【0022】
入力シャフト10は、減速前の第1回転速度で回転する部材である。入力シャフト10は、モータ103の出力軸に接続される。入力シャフト10は、中心軸9に沿って、軸方向に延びる。本実施形態の入力シャフト10は、中心軸9を中心とする円筒状である。入力シャフト10は、減速機1を軸方向に貫通する。なお、入力シャフト10は、モータ103の出力軸と同一の部材であってもよい。
【0023】
インタナルギア20は、入力シャフト10の回転に伴い、第1回転速度よりも遅い第2回転速度で回転するギアである。インタナルギア20は、アーム102に対して固定される。インタナルギア20は、後述する外歯32の径方向外側に配置される。インタナルギア20の剛性は、フレックスギア30の後述する胴部31の剛性よりも、十分に高い。
【0024】
インタナルギア20は、中心軸9を中心とする円環状である。インタナルギア20は、複数の内歯21を有する。複数の内歯21は、インタナルギア20の内周面から、径方向内方へ突出する。複数の内歯21は、インタナルギア20の内周面において、周方向に一定のピッチで配列されている。
【0025】
フレックスギア30は、撓み変形可能な環状のギアである。フレックスギア30は、ベースフレーム101に対して固定される。
図3および
図4に示すように、フレックスギア30は、胴部31、複数の外歯32、ダイヤフラム部33、および肉厚部34を有する。
【0026】
胴部31は、中心軸9を中心とする筒状の部分である。胴部31の軸方向一方端は、ダイヤフラム部33に接続される。胴部31は、ダイヤフラム部33の径方向内端部から、軸方向他方側へ向けて延びる。胴部31の軸方向他方側の端部は、波動発生器40の径方向外側、かつ、インタナルギア20の径方向内側に位置する。胴部31は、可撓性を有するため、径方向に撓み変形可能である。
【0027】
複数の外歯32は、胴部31の径方向外側面から、径方向外方に突出する。複数の外歯32は、胴部31の軸方向他方端の径方向外側面に配置される。複数の外歯32は、周方向に一定のピッチで配列されている。複数の外歯32の一部と、上述した複数の内歯21の一部とは、互いに噛み合う。インタナルギア20が有する内歯21の数と、フレックスギア30が有する外歯32の数とは、僅かに相違する。
【0028】
ダイヤフラム部33は、中心軸9を囲み、中心軸9と交差する方向に広がる。ダイヤフラム部33は、好ましくは、中心軸9に対して直交する面に沿って広がる。ダイヤフラム部33は、胴部31の軸方向一方端から、径方向外側へ向けて広がる。また、ダイヤフラム部33は、中心軸9を囲む環状である。ダイヤフラム部33は、薄肉状であるため、僅かに撓み変形可能である。
【0029】
肉厚部34は、ダイヤフラム部33の径方向外側に位置する、円環状の部分である。肉厚部34の軸方向の厚みは、ダイヤフラム部33の軸方向の厚みよりも厚い。肉厚部34は、ベースフレーム101に、直接、または他の部材を介して、固定される。
【0030】
波動発生器40は、フレックスギア30に周期的な撓み変形を発生させる機構である。波動発生器40は、外歯32の径方向内側に配置される。波動発生器40は、カム41および可撓性軸受42を有する。本実施形態では、入力シャフト10およびカム41が、単一の部品で形成されている。ただし、カム41は、入力シャフト10とは別の部品であってもよい。その場合、入力シャフト10に対してカム41が固定されていればよい。カム41は、フレックスギア30に180°の周期で変位を与える部品である。カム41の径方向外側面は、中心軸9を中心とする楕円形である。
【0031】
可撓性軸受42は、撓み変形可能な軸受である。可撓性軸受42は、カム41の径方向外側面と、フレックスギア30の胴部31の径方向内側面との間に配置される。
【0032】
可撓性軸受42の内輪は、カム41の径方向外側面に接触する。可撓性軸受42の外輪は、胴部31の径方向内側面に接触する。このため、胴部31は、カム41の径方向外側面に沿った楕円形状に変形する。その結果、当該楕円の長軸の両端に相当する2箇所において、フレックスギア30の外歯32と、インタナルギア20の内歯21とが噛み合う。周方向の他の位置においては、外歯32と内歯21とが噛み合わない。
【0033】
モータ103を駆動させると、入力シャフト10とともにカム41が、中心軸9を中心として第1回転速度で回転する。これにより、フレックスギア30の上述した楕円の長軸も、第1回転速度で回転する。そうすると、外歯32と内歯21との噛み合い位置も、周方向に第1回転速度で変化する。また、上述の通り、インタナルギア20の内歯21の数と、フレックスギア30の外歯32の数とは、僅かに相違する。この歯数の差によって、カム41の1回転ごとに、外歯32と内歯21との噛み合い位置が、周方向に僅かに変化する。その結果、フレックスギア30に対してインタナルギア20が、中心軸9を中心として、第1回転速度よりも遅い第2回転速度で回転する。
【0034】
<3.センサについて>
<3-1.センサの構造>
減速機1は、センサ50を有する。
図3に示すように、センサ50は、センサ基板51を有する。センサ基板51は、ダイヤフラム部33の表面に固定される。
【0035】
図5は、センサ基板51の付近におけるフレックスギア30の部分縦断面図である。
図6は、センサ基板51の平面図である。
図5に示すように、センサ基板51は、絶縁層511および導体層512を有する。
【0036】
絶縁層511は、柔軟に変形可能である。絶縁層511は、中心軸9に対して交差する方向に広がる。また、絶縁層511は、中心軸9を中心とする円環状である。絶縁層511は、絶縁体である樹脂または無機絶縁材料からなる。絶縁層511は、ダイヤフラム部33の表面に配置される。導体層512は、絶縁層511の表面に形成される。導体層512の材料には、導体である金属が使用される。導体層512の材料には、例えば、銅合金、クロム合金、または銅が使用される。
【0037】
導体層512は、トルクセンサ60、角度センサ70、スラストセンサ80、および温度センサ90を含む。トルクセンサ60、角度センサ70、およびスラストセンサ80は、それぞれ、歪みゲージにより構成される。すなわち、センサ50は、減速機1のギアに搭載された歪みゲージを含む。これにより、後述するように、歪みゲージによって様々なセンサを構成することができる。また、
図3に示すように、センサ50は、信号処理回路52を有する。信号処理回路52は、トルクセンサ60、角度センサ70、スラストセンサ80、および温度センサ90と電気的に接続されている。
【0038】
<3-2.トルクセンサ>
トルクセンサ60は、フレックスギア30のダイヤフラム部33にかかるトルクを検出するためのセンサである。すなわち、トルクセンサ60は、フレックスギア30にかかるトルクに応じて出力信号が変化するセンサである。
図6に示すように、本実施形態のトルクセンサ60は、第1トルクセンサ61と、第2トルクセンサ62とを有する。第2トルクセンサ62は、第1トルクセンサ61よりも、径方向外側に配置される。
【0039】
第1トルクセンサ61は、4つの歪みゲージRa,Rb,Rc,Rdを有する。4つの歪みゲージRa,Rb,Rc,Rdのうち、2つの歪みゲージRa,Rbは、周方向に間隔をあけて配置される。2つの歪みゲージRa,Rbは、それぞれ、中心軸9を中心とする約180°の範囲に、半円弧状に設けられている。中心軸9から歪みゲージRaまでの径方向の距離と、中心軸9から歪みゲージRbまでの径方向の距離と、は略同一である。
【0040】
4つの歪みゲージRa,Rb,Rc,Rdのうち、他の2つの歪みゲージRc,Rdは、上記の2つの歪みゲージRa,Rbよりも、径方向外側に配置される。2つの歪みゲージRc,Rdは、周方向に間隔をあけて配置される。2つの歪みゲージRc,Rdは、それぞれ、中心軸9を中心とする約180°の範囲に、半円弧状に設けられている。中心軸9から歪みゲージRcまでの径方向の距離と、中心軸9から歪みゲージRdまでの径方向の距離と、は略同一である。
【0041】
また、2つの歪みゲージRa,Rcと、2つの歪みゲージRb,Rdとは、同心かつ線対称に配置される。
【0042】
図6に示すように、歪みゲージRa,Rb,Rc,Rdは、それぞれ、ジグザグに曲折しながら周方向に延びるパターンである。各歪みゲージRa,Rb,Rc,Rdは、周方向に配列された互いに略平行な複数の抵抗線r1を有する。各抵抗線r1は、径方向および周方向の両方の成分を有する方向に延びる。
【0043】
歪みゲージRa,Rdの抵抗線r1は、径方向に対して周方向一方側に傾斜する。歪みゲージRb,Rcの抵抗線r1は、径方向に対して周方向他方側に傾斜する。径方向に対する抵抗線r1の傾斜角度は、例えば45°である。周方向に隣り合う抵抗線r1の端部同士は、径方向内側または径方向外側で交互に接続される。これにより、複数の抵抗線r1が、全体として直列に接続される。
【0044】
第2トルクセンサ62は、4つの歪みゲージRe,Rf,Rg,Rhを有する。4つの歪みゲージRe,Rf,Rg,Rhのうち、2つの歪みゲージRe,Rfは、周方向に間隔をあけて配置される。2つの歪みゲージRe,Rfは、それぞれ、中心軸9を中心とする約180°の範囲に、半円弧状に設けられている。中心軸9から歪みゲージReまでの径方向の距離と、中心軸9から歪みゲージRfまでの径方向の距離と、は略同一である。
【0045】
4つの歪みゲージRe,Rf,Rg,Rhのうち、他の2つの歪みゲージRg,Rhは、上記の2つの歪みゲージRe,Rfよりも、径方向外側に配置される。2つの歪みゲージRg,Rhは、周方向に間隔をあけて配置される。2つの歪みゲージRg,Rhは、それぞれ、中心軸9を中心とする約180°の範囲に、半円弧状に設けられている。中心軸9から歪みゲージRgまでの径方向の距離と、中心軸9から歪みゲージRhまでの径方向の距離と、は略同一である。
【0046】
また、2つの歪みゲージRe,Rgと、2つの歪みゲージRf,Rhとは、同心かつ線対称に配置される。
【0047】
図6に示すように、歪みゲージRe,Rf,Rg,Rhは、それぞれ、ジグザグに曲折しながら周方向に延びるパターンである。各歪みゲージRe,Rf,Rg,Rhは、周方向に配列された互いに略平行な複数の抵抗線r2を有する。各抵抗線r2は、径方向および周方向の両方の成分を有する方向に延びる。
【0048】
歪みゲージRe,Rhの抵抗線r2は、径方向に対して周方向一方側に傾斜する。歪みゲージRf,Rgの抵抗線r2は、径方向に対して周方向他方側に傾斜する。径方向に対する抵抗線r2の傾斜角度は、例えば45°である。周方向に隣り合う抵抗線r2の端部同士は、径方向内側または径方向外側で交互に接続される。これにより、複数の抵抗線r2が、全体として直列に接続される。
【0049】
図7は、第1トルクセンサ61の4つの歪みゲージRa,Rb,Rc,Rdを含む第1ブリッジ回路C1の回路図である。
図7に示すように、4つの歪みゲージRa,Rb,Rc,Rdは、互いに接続されて、第1ブリッジ回路C1を形成する。
【0050】
歪みゲージRaと歪みゲージRbとは、この順に直列に接続される。歪みゲージRcと歪みゲージRdとは、この順に直列に接続される。そして、電源電圧の+極と-極との間において、2つの歪みゲージRa,Rbの列と、2つの歪みゲージRc,Rdの列とが、並列に接続される。また、2つの歪みゲージRa,Rbの中間点M11と、2つの歪みゲージRc,Rdの中間点M12との間に、第1電圧計V1が接続される。
【0051】
各抵抗線r1の抵抗値は、その抵抗線r1が配置される領域にかかるトルクに応じて変化する。例えば、ダイヤフラム部33に、中心軸9を中心として、周方向の一方側へ向かうトルクがかかると、2つの歪みゲージRa,Rdの各抵抗線r1の抵抗値が増加し、他の2つの歪みゲージRb,Rcの各抵抗線r1の抵抗値が低下する。一方、ダイヤフラム部33に、中心軸9を中心として、周方向の他方側へ向かうトルクがかかると、2つの歪みゲージRa,Rdの各抵抗線r1の抵抗値が低下し、他の2つの歪みゲージRb,Rcの各抵抗線r1の抵抗値が増加する。このように、2つの歪みゲージRa,Rdと、他の2つの歪みゲージRb,Rcとは、トルクに対して互いに逆向きの抵抗値変化を示す。
【0052】
そして、4つの歪みゲージRa,Rb,Rc,Rdの各抵抗値が変化すると、2つの歪みゲージRa,Rbの中間点M11と、2つの歪みゲージRc,Rdの中間点M12との間の電位差が変化するので、第1電圧計V1の計測値も変化する。信号処理回路52は、この第1電圧計V1の計測値に基づいて、ダイヤフラム部33にかかるトルクの向きおよび大きさを検出する。
【0053】
図8は、第2トルクセンサ62の4つの歪みゲージRe,Rf,Rg,Rhを含む第2ブリッジ回路C2の回路図である。
図8に示すように、4つの歪みゲージRe,Rf,Rg,Rhは、互いに接続されて、第2ブリッジ回路C2を形成する。
【0054】
歪みゲージReと歪みゲージRfとは、この順に直列に接続される。歪みゲージRgと歪みゲージRhとは、この順に直列に接続される。そして、電源電圧の+極と-極との間において、2つの歪みゲージRe,Rfの列と、2つの歪みゲージRg,Rhの列とが、並列に接続される。また、2つの歪みゲージRe,Rfの中間点M21と、2つの歪みゲージRg,Rhの中間点M22との間に、第2電圧計V2が接続される。
【0055】
各抵抗線r2の抵抗値は、その抵抗線r2が配置される領域にかかるトルクに応じて変化する。例えば、ダイヤフラム部33に、中心軸9を中心として、周方向の一方側へ向かうトルクがかかると、2つの歪みゲージRe,Rhの各抵抗線r2の抵抗値が増加し、他の2つの歪みゲージRf,Rgの各抵抗線r2の抵抗値が低下する。一方、ダイヤフラム部33に、中心軸9を中心として、周方向の他方側へ向かうトルクがかかると、2つの歪みゲージRe,Rhの各抵抗線r2の抵抗値が低下し、他の2つの歪みゲージRf,Rgの各抵抗線r2の抵抗値が増加する。このように、2つの歪みゲージRe,Rhと、他の2つの歪みゲージRf,Rgとは、トルクに対して互いに逆向きの抵抗値変化を示す。
【0056】
そして、4つの歪みゲージRe,Rf,Rg,Rhの各抵抗値が変化すると、2つの歪みゲージRe,Rfの中間点M21と、2つの歪みゲージRg,Rhの中間点M22との間の電位差が変化するので、第2電圧計V2の計測値も変化する。信号処理回路52は、この第2電圧計V2の計測値に基づいて、ダイヤフラム部33にかかるトルクの向きおよび大きさを検出する。
【0057】
また、本実施形態の減速機1は、2つのトルクセンサ61,62を有する。信号処理回路52は、2つのトルクセンサ61,62の出力信号のうちのいずれか1つを、トルクセンサ60の出力信号とする。2つのトルクセンサ61,62を有することにより、いずれか一方のトルクセンサに異常が発生した場合でも、他方のトルクセンサによってトルクを検出できる。また、いずれか一方のトルクセンサに異常が発生した場合に、当該異常を検出できる。
【0058】
<3-3.角度センサ>
角度センサ70は、減速機1に入力される回転運動の回転角度を検出するためのセンサである。
図6に示すように、角度センサ70は、8つの歪みゲージRi,Rj,Rk,Rl,Rm,Rn,Ro,Rpを有する。8つの歪みゲージRi,Rj,Rk,Rl,Rm,Rn,Ro,Rpは、周方向に間隔をあけて配置される。
【0059】
8つの歪みゲージRi,Rj,Rk,Rl,Rm,Rn,Ro,Rpは、それぞれ、1本の導線により形成される。各歪みゲージRi,Rj,Rk,Rl,Rm,Rn,Ro,Rpは、周方向に沿って円弧状に延びる抵抗線を有する。ただし、各歪みゲージRi,Rj,Rk,Rl,Rm,Rn,Ro,Rpにおいて、周方向に延びる抵抗線が、径方向に繰り返し配置されていてもよい。また、各歪みゲージRi,Rj,Rk,Rl,Rm,Rn,Ro,Rpの抵抗線は、径方向に延びていてもよい。また、各歪みゲージRi,Rj,Rk,Rl,Rm,Rn,Ro,Rpにおいて、径方向に延びる抵抗線が、周方向に繰り返し配置されていてもよい。
【0060】
8つの歪みゲージRi,Rj,Rk,Rl,Rm,Rn,Ro,Rpのうち、互いに隣接しない4つの歪みゲージRi,Rk,Rm,Roは、互いに接続されて、第3ブリッジ回路C3を形成する。
図9は、第3ブリッジ回路C3の回路図である。
図9に示すように、歪みゲージRiと歪みゲージRkとは、この順に直列に接続される。歪みゲージRoと歪みゲージRmとは、この順に直列に接続される。そして、電源電圧の+極と-極との間において、2つの歪みゲージRi,Rkの列と、2つの歪みゲージRo,Rmの列とが、並列に接続される。また、2つの歪みゲージRi,Rkの中間点M31と、2つの歪みゲージRo,Rmの中間点M32との間に、第3電圧計V3が接続される。
【0061】
8つの歪みゲージRi,Rj,Rk,Rl,Rm,Rn,Ro,Rpのうち、残りの4つの歪みゲージRj,Rl,Rn,Rpは、互いに接続されて、第4ブリッジ回路C4を形成する。
図10は、第4ブリッジ回路C4の回路図である。
図10に示すように、歪みゲージRpと歪みゲージRnとは、この順に直列に接続される。歪みゲージRjと歪みゲージRlとは、この順に直列に接続される。そして、電源電圧の+極と-極との間において、2つの歪みゲージRp,Rnの列と、2つの歪みゲージRj,Rlの列とが、並列に接続される。また、2つの歪みゲージRp,Rnの中間点M41と、2つの歪みゲージRj,Rlの中間点M42との間に、第4電圧計V4が接続される。
【0062】
減速機1の駆動時には、フレックスギア30のダイヤフラム部33に、周方向に伸長する部分(以下「伸長部」と称する)と、周方向に収縮する部分(以下「収縮部」と称する)とが、発生する。具体的には、2つの伸長部と2つの収縮部とが、周方向に交互に発生する。すなわち、伸長部と収縮部とは、中心軸9を中心として、周方向に90°の間隔で交互に発生する。そして、これらの伸長部および収縮部の発生する箇所が、上述した第1回転速度で回転する。
【0063】
8つの歪みゲージRi,Rj,Rk,Rl,Rm,Rn,Ro,Rpの各抵抗値は、ダイヤフラム部33の周方向の伸縮に応じて変化する。例えば、上述した伸長部が、ある歪みゲージと重なるときには、その歪みゲージの抵抗値が増加する。また、上述した収縮部が、ある歪みゲージと重なるときには、その歪みゲージの抵抗値が低下する。
【0064】
図6の例では、収縮部が歪みゲージRi,Rmと重なるときには、伸長部が歪みゲージRk,Roと重なる。また、伸長部が歪みゲージRi,Rmと重なるときには、収縮部が歪みゲージRk,Roと重なる。したがって、第3ブリッジ回路C3では、歪みゲージRi,Rmと、歪みゲージRk,Roとが、逆向きの抵抗値変化を示す。
【0065】
また、
図6の例では、収縮部が歪みゲージRp,Rlと重なるときには、伸長部が歪みゲージRn,Rjと重なる。また、伸長部が歪みゲージRp,Rlと重なるときには、収縮部が歪みゲージRn,Rjと重なる。したがって、第4ブリッジ回路C4では、歪みゲージRp,Rlと、歪みゲージRn,Rjとが、逆向きの抵抗値変化を示す。
【0066】
図11は、第3ブリッジ回路C3の第3電圧計V3の計測値v3と、第4ブリッジ回路C4の第4電圧計V4の計測値v4との、時間変化を示したグラフである。
図11のグラフの横軸は、時刻を示す。
図11のグラフの縦軸は、電圧値を示す。減速機1の駆動時には、
図11のように、第3電圧計V3および第4電圧計V4から、それぞれ、周期的に変化する正弦波状の計測値v3,v4が出力される。この計測値v3,v4の周期Tは、上述した第1回転速度の周期の1/2倍に相当する。また、第3電圧計V3の計測値v3の位相に対して、第4電圧計V4の計測値v4の位相が、第1回転速度の1/8周期分(計測値v3,v4の1/4周期分)進んでいるか、それとも第1回転速度の1/8周期分(計測値v3,v4の1/4周期分)遅れているかにより、入力される回転運動の向きを判断できる。
【0067】
信号処理回路52は、これらの第3電圧計V3の計測値v3および第4電圧計V4の計測値v4に基づいて、減速機1に入力される回転運動の回転角度を検出する。具体的には、信号処理回路52は、第3電圧計V3の計測値v3および第4電圧計V4の計測値v4の組み合わせと、回転角度とを対応づけた関数テーブルを記憶している。信号処理回路52は、当該関数テーブルに、計測値v3,v4を入力することにより、回転角度を出力する。
【0068】
減速機1の駆動時には、フレックスギア30に周期的な撓み変形が生じる。このため、上述した第1トルクセンサ61の出力信号および第2トルクセンサ62の出力信号には、本来計測したいトルクを反映した成分と、フレックスギア30の周期的な撓み変形に起因する誤差成分(リップル誤差)とが含まれる。当該リップル誤差は、減速機1に入力される回転運動の回転角度に応じて、正弦波状に変化する。
【0069】
そこで、信号処理回路52は、角度センサ70により検出された回転角度に応じて、上述したリップル誤差を算出する。その後、第1トルクセンサ61および第2トルクセンサ62の出力信号を、算出されたリップル誤差を用いて補正する。具体的には、信号処理回路52は、第1トルクセンサ61および第2トルクセンサ62の出力信号を、リップル誤差をキャンセルする方向に、増加または減少させる。その結果、信号処理回路52は、フレックスギア30にかかるトルクを、より精度よく出力できる。
【0070】
なお、信号処理回路52は、上述した回転角度を演算することなく、第3電圧計V3および第4電圧計V4の各計測値v3,v4に所定の係数をかけて、第1トルクセンサ61および第2トルクセンサ62の出力信号に、合成してもよい。このようにすれば、回転角度の演算にかかる処理負担が削減される。したがって、信号処理回路52の演算速度を向上させることができる。
【0071】
<3-4.スラストセンサ>
スラストセンサ80は、フレックスギア30にかかるスラスト力を検出するためのセンサである。すなわち、スラストセンサ80は、フレックスギア30にかかるスラスト力に応じて出力信号が変化するセンサである。スラスト力とは、軸方向の力のことである。
図6に示すように、本実施形態のスラストセンサ80は、第1スラストセンサ81と、第2スラストセンサ82とを有する。
【0072】
第1スラストセンサ81は、4つの歪みゲージRq,Rr,Rs,Rtを有する。4つの歪みゲージRq,Rr,Rs,Rtのうち、2つの歪みゲージRq,Rrは、トルクセンサ60の径方向外側に配置される。つまり、2つの歪みゲージRq,Rrは、ダイヤフラム部33の径方向外端部に配置されるのが好ましい。また、2つの歪みゲージRq,Rrは、周方向に間隔をあけて配置される。2つの歪みゲージRq,Rrは、それぞれ、中心軸9を中心とする約180°の範囲に、半円弧状に設けられている。中心軸9から歪みゲージRqまでの径方向の距離と、中心軸9から歪みゲージRrまでの径方向の距離と、は略同一である。
【0073】
4つの歪みゲージRq,Rr,Rs,Rtのうち、他の2つの歪みゲージRs,Rtは、トルクセンサ60の径方向内側に配置される。つまり、2つの歪みゲージRs,Rtは、ダイヤフラム部33の径方向内端部に配置されるのが好ましい。また、2つの歪みゲージRs,Rtは、周方向に間隔をあけて配置される。2つの歪みゲージRs,Rtは、それぞれ、中心軸9を中心とする約180°の範囲に、半円弧状に設けられている。中心軸9から歪みゲージRsまでの径方向の距離と、中心軸9から歪みゲージRtまでの径方向の距離と、は略同一である。
【0074】
すなわち、2つの歪みゲージRq,Rrと、2つの歪みゲージRs,Rtとは、径方向に間隔をあけて配置される。
【0075】
図6に示すように、歪みゲージRq,Rr,Rs,Rtは、それぞれ、ジグザグに曲折しながら周方向に延びるパターンである。各歪みゲージRq,Rr,Rs,Rtは、周方向に配列された互いに略平行な複数の抵抗線r3を有する。各抵抗線r3は、径方向に延びる。周方向に隣り合う抵抗線r3の端部同士は、径方向内側または径方向外側で交互に接続される。これにより、複数の抵抗線r3が、全体として直列に接続される。
【0076】
第2スラストセンサ82は、4つの歪みゲージRu,Rv,Rw,Rxを有する。4つの歪みゲージRu,Rv,Rw,Rxのうち、2つの歪みゲージRu,Rvは、上述した歪みゲージRq,Rrの径方向外側に配置される。また、2つの歪みゲージRu,Rvは、周方向に間隔をあけて配置される。2つの歪みゲージRu,Rvは、それぞれ、中心軸9を中心とする約180°の範囲に、半円弧状に設けられている。中心軸9から歪みゲージRuまでの径方向の距離と、中心軸9から歪みゲージRvまでの径方向の距離と、は略同一である。
【0077】
4つの歪みゲージRu,Rv,Rw,Rxのうち、他の2つの歪みゲージRw,Rxは、上述した歪みゲージRs,Rtの径方向内側に配置される。また、2つの歪みゲージRw,Rxは、周方向に間隔をあけて配置される。2つの歪みゲージRw,Rxは、それぞれ、中心軸9を中心とする約180°の範囲に、半円弧状に設けられている。中心軸9から歪みゲージRwまでの径方向の距離と、中心軸9から歪みゲージRxまでの径方向の距離と、は略同一である。
【0078】
すなわち、2つの歪みゲージRu,Rvと、2つの歪みゲージRw,Rxとは、径方向に間隔をあけて配置される。
【0079】
図6に示すように、歪みゲージRu,Rv,Rw,Rxは、それぞれ、ジグザグに曲折しながら周方向に延びるパターンである。各歪みゲージRu,Rv,Rw,Rxは、周方向に配列された互いに略平行な複数の抵抗線r4を有する。各抵抗線r4は、径方向に延びる。周方向に隣り合う抵抗線r4の端部同士は、径方向内側または径方向外側で交互に接続される。これにより、複数の抵抗線r4が、全体として直列に接続される。
【0080】
図12は、第1スラストセンサ81の4つの歪みゲージRq,Rr,Rs,Rtを含む第5ブリッジ回路C5の回路図である。
図12に示すように、4つの歪みゲージRq,Rr,Rs,Rtは、互いに接続されて、第5ブリッジ回路C5を形成する。
【0081】
歪みゲージRqと歪みゲージRsとは、この順に直列に接続される。歪みゲージRtと歪みゲージRrとは、この順に直列に接続される。そして、電源電圧の+極と-極との間において、2つの歪みゲージRq,Rsの列と、2つの歪みゲージRt,Rrの列とが、並列に接続される。また、2つの歪みゲージRq,Rsの中間点M51と、2つの歪みゲージRt,Rrの中間点M52との間に、第5電圧計V5が接続される。
【0082】
第1スラストセンサ81の4つの歪みゲージRq,Rr,Rs,Rtに含まれる複数の抵抗線r3は、いずれも径方向に延びる。このため、周方向のトルクによる歪みゲージRq,Rr,Rs,Rtの抵抗値の変化は、極めて小さい。ただし、フレックスギア30のダイヤフラム部33が軸方向に変位すると、歪みゲージRq,Rr,Rs,Rtの抵抗値が変化する。
【0083】
具体的には、ダイヤフラム部33の径方向内端部が、インタナルギア20へ近づく方向に変位すると、4つの歪みゲージRq,Rr,Rs,Rtのうち、外側の2つの歪みゲージRq,Rrの抵抗値が増加し、内側の2つの歪みゲージRs,Rtの抵抗値が低下する。一方、ダイヤフラム部33の径方向内端部が、インタナルギア20から遠ざかる方向に変位すると、4つの歪みゲージRq,Rr,Rs,Rtのうち、外側の2つの歪みゲージRq,Rrの抵抗値が低下し、内側の2つの歪みゲージRs,Rtの抵抗値が増加する。このように、外側の2つの歪みゲージRq,Rrと、内側の2つの歪みゲージRs,Rtとは、ダイヤフラム部33の軸方向の変位に対して互いに逆向きの抵抗値変化を示す。
【0084】
そして、4つの歪みゲージRq,Rr,Rs,Rtの各抵抗値が変化すると、2つの歪みゲージRq,Rsの中間点M51と、2つの歪みゲージRt,Rrの中間点M52との間の電位差が変化するので、第5電圧計V5の計測値も変化する。信号処理回路52は、この第5電圧計V5の計測値に基づいて、フレックスギア30にかかるスラスト力の向きおよび大きさを検出する。
【0085】
図13は、第2スラストセンサ82の4つの歪みゲージRu,Rv,Rw,Rxを含む第6ブリッジ回路C6の回路図である。
図13に示すように、4つの歪みゲージRu,Rv,Rw,Rxは、互いに接続されて、第6ブリッジ回路C6を形成する。
【0086】
歪みゲージRuと歪みゲージRwとは、この順に直列に接続される。歪みゲージRxと歪みゲージRvとは、この順に直列に接続される。そして、電源電圧の+極と-極との間において、2つの歪みゲージRu,Rwの列と、2つの歪みゲージRx,Rvの列とが、並列に接続される。また、2つの歪みゲージRu,Rwの中間点M61と、2つの歪みゲージRx,Rvの中間点M62との間に、第6電圧計V6が接続される。
【0087】
第2スラストセンサ82の4つの歪みゲージRu,Rv,Rw,Rxに含まれる複数の抵抗線r4は、いずれも径方向に延びる。このため、周方向のトルクによる歪みゲージRu,Rv,Rw,Rxの抵抗値の変化は、極めて小さい。ただし、フレックスギア30のダイヤフラム部33が軸方向に変位すると、歪みゲージRu,Rv,Rw,Rxの抵抗値が変化する。
【0088】
具体的には、ダイヤフラム部33の径方向内端部が、インタナルギア20へ近づく方向に変位すると、4つの歪みゲージRu,Rv,Rw,Rxのうち、外側の2つの歪みゲージRu,Rvの抵抗値が増加し、内側の2つの歪みゲージRw,Rxの抵抗値が低下する。一方、ダイヤフラム部33の径方向内端部が、インタナルギア20から遠ざかる方向に変位すると、4つの歪みゲージRu,Rv,Rw,Rxのうち、外側の2つの歪みゲージRu,Rvの抵抗値が低下し、内側の2つの歪みゲージRw,Rxの抵抗値が増加する。このように、外側の2つの歪みゲージRu,Rvと、内側の2つの歪みゲージRw,Rxとは、ダイヤフラム部33の軸方向の変位に対して互いに逆向きの抵抗値変化を示す。
【0089】
そして、4つの歪みゲージRu,Rv,Rw,Rxの各抵抗値が変化すると、2つの歪みゲージRu,Rwの中間点M61と、2つの歪みゲージRx,Rvの中間点M62との間の電位差が変化するので、第6電圧計V6の計測値も変化する。信号処理回路52は、この第6電圧計V6の計測値に基づいて、フレックスギア30にかかるスラスト力の向きおよび大きさを検出する。
【0090】
また、信号処理回路52は、2つのスラストセンサ81,82のいずれか一方により検出されたスラスト力に応じて、第1トルクセンサ61および第2トルクセンサ62の出力信号を補正する。具体的には、第1トルクセンサ61および第2トルクセンサ62の出力信号を、ダイヤフラム部33の軸方向の変位の影響をキャンセルする方向に、増加または減少させる。これにより、信号処理回路52は、フレックスギア30にかかるトルクを、より精度よく出力できる。
【0091】
また、本実施形態の減速機1は、2つのスラストセンサ81,82を有する。信号処理回路52は、2つのスラストセンサ81,82の出力信号のうちのいずれか1つを、スラストセンサ80の出力信号とする。2つのスラストセンサ81,82を有することにより、いずれか一方のスラストセンサに異常が発生した場合でも、他方のスラストセンサによってスラスト力を検出できる。また、いずれか一方のスラストセンサに異常が発生した場合に、当該異常を検出できる。
【0092】
<3-5.温度センサ>
温度センサ90は、フレックスギア30の温度を検出するセンサである。すなわち、温度センサ90は、フレックスギア30の温度に応じて出力信号が変化するセンサである。
図6に示すように、本実施形態の温度センサ90は、第1温度センサ91と、第2温度センサ92とを有する。
【0093】
第1温度センサ91は、1本の抵抗線r5を有する。抵抗線r5は、トルクセンサ60よりも径方向内側に配置される。抵抗線r5は、中心軸9を中心とする約360°の範囲に、円弧状に設けられている。このため、ダイヤフラム部33が周方向、径方向、または軸方向に変位した場合でも、抵抗線r5の抵抗値は、殆ど変化しない。したがって、抵抗線r5の抵抗値は、温度による変化が支配的となる。信号処理回路52は、抵抗線r5と固定抵抗とにより構成されるブリッジ回路からの出力信号に基づき、抵抗線r5の抵抗値を測定する。そして、信号処理回路52は、測定された抵抗値に基づいてフレックスギア30の温度を検出する。
【0094】
第2温度センサ92は、1本の抵抗線r6を有する。抵抗線r6は、トルクセンサ60よりも径方向外側に配置される。抵抗線r6は、中心軸9を中心とする約360°の範囲に、円弧状に設けられている。このため、ダイヤフラム部33が周方向、径方向、または軸方向に変位した場合でも、抵抗線r6の抵抗値は、殆ど変化しない。したがって、抵抗線r6の抵抗値は、温度による変化が支配的となる。信号処理回路52は、抵抗線r6と固定抵抗とにより構成されるブリッジ回路からの出力信号に基づき、抵抗線r6の抵抗値を測定する。そして、信号処理回路52は、測定された抵抗値に基づいてフレックスギア30の温度を検出する。
【0095】
また、信号処理回路52は、2つの温度センサ91,92のいずれか一方により検出された温度に応じて、第1トルクセンサ61および第2トルクセンサ62の出力信号を補正する。具体的には、第1トルクセンサ61および第2トルクセンサ62の出力信号を、温度による影響をキャンセルする方向に、増加または減少させる。これにより、信号処理回路52は、フレックスギア30にかかるトルクを、より精度よく出力できる。
【0096】
また、本実施形態の減速機1は、2つの温度センサ91,92を有する。信号処理回路52は、2つの温度センサ91,92の出力信号のうちのいずれか1つを、温度センサ90の出力信号とする。2つの温度センサ91,92を有することにより、いずれか一方の温度センサに異常が発生した場合でも、他方の温度センサによってフレックスギア30の温度を検出できる。また、いずれか一方の温度センサに異常が発生した場合に、当該異常を検出できる。
【0097】
<4.制御ユニットによる制御について>
制御ユニット2は、上記のセンサ50の検出値に基づいて、モータ103を制御する。
図14は、制御ユニット2による当該制御の流れを示すフローチャートである。
【0098】
制御ユニット2は、2つのセンサの出力信号の差が、所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS1)。具体的には、制御ユニット2は、2つの温度センサ91,92の出力信号の差が、予め記憶部203に記憶された第1閾値以上であるか否かを判定する。また、制御ユニット2は、2つのトルクセンサ61,62の出力信号の差が、予め記憶部203に記憶された第2閾値以上であるか否かを判定する。また、制御ユニット2は、2つのスラストセンサ81,82の出力信号の差が、予め記憶部203に記憶された第3閾値以上であるか否かを判定する。
【0099】
そして、2つのセンサの出力信号の差が、上記の閾値以上になった場合(ステップS1:Yes)、制御ユニット2は、アラート制御を行う(ステップS2)。アラート制御は、例えば、アラートの出力である。アラートの出力とは、ディスプレイへのアラートの表示であってもよく、警告ランプの点灯であってもよく、あるいは、警告音の鳴動であってもよい。また、アラート制御は、制御ユニット2が、駆動装置100の動作を停止または制限することであってもよい。また、アラート制御は、人間が知覚できる情報を発することなく、駆動装置100の動作を制御する場合であってもよい。
【0100】
具体的には、制御ユニット2は、2つの温度センサ91,92の出力信号の差が、第1閾値以上になった場合、アラート制御を行う。また、制御ユニット2は、2つのトルクセンサ61,62の出力信号の差が、第2閾値以上になった場合、アラート制御を行う。また、制御ユニット2は、2つのスラストセンサ81,82の出力信号の差が、第3閾値以上になった場合、アラート制御を行う。
【0101】
2つのセンサの出力信号の差が、閾値以上になった場合は、2つのセンサのいずれか一方が故障している可能性がある。このため、制御ユニット2は、上記のアラート制御を行う。これにより、駆動装置100のユーザが、故障の有無を確認したり、故障に対応したりすることができる。また、場合によっては、ユーザが駆動装置100の異常を確認する必要無く、駆動装置100の動作を制御するものであってもよい。
【0102】
ステップS1において、2つのセンサの出力信号の差が閾値以上になっていない場合(ステップS1:No)、制御ユニット2は、次に、センサ50の出力信号の値が、所定の許容範囲から外れているか否かを判定する(ステップS3)。具体的には、制御ユニット2は、温度センサ90の出力信号の値が、予め記憶部203に記憶された第1許容範囲から外れているか否かを判定する。また、制御ユニット2は、トルクセンサ60の出力信号の値が、予め記憶部203に記憶された第2許容範囲から外れているか否かを判定する。また、制御ユニット2は、スラストセンサ80の出力信号の値が、予め記憶部203に記憶された第3許容範囲から外れているか否かを判定する。
【0103】
そして、センサ50の出力信号の値が、上記の許容範囲から外れている場合(ステップS3:Yes)、制御ユニット2は、アラート制御を行う(ステップS4)。アラート制御は、例えば、アラートの出力である。アラートの出力とは、ディスプレイへのアラートの表示であってもよく、警告ランプの点灯であってもよく、あるいは、警告音の鳴動であってもよい。また、アラート制御は、制御ユニット2が、駆動装置100の動作を停止または制限することであってもよい。また、アラート制御は、人間が知覚できる情報を発することなく、駆動装置100の動作を制御する場合であってもよい。
【0104】
具体的には、制御ユニット2は、温度センサ90の出力信号の値が、第1許容範囲から外れた場合に、アラート制御を行う。また、制御ユニット2は、トルクセンサ60の出力信号の値が、第2許容範囲から外れた場合に、アラート制御を行う。また、制御ユニット2は、スラストセンサ80の出力信号の値が、第3許容範囲から外れた場合に、アラート制御を行う。
【0105】
温度センサ90の出力信号の値が、第1許容範囲から外れた場合は、フレックスギア30の温度が正常でないことを示す。トルクセンサ60の出力信号の値が、第2許容範囲から外れた場合は、フレックスギア30にかかるトルクが正常でないことを示す。また、スラストセンサ80の出力信号の値が、第3許容範囲から外れた場合は、フレックスギア30にかかるスラスト力が正常でないことを示す。このため、制御ユニット2は、上記のアラート制御を行う。これにより、駆動装置100のユーザが、当該状況に対処できる。また、場合によっては、ユーザが駆動装置100の異常を確認する必要無く、駆動装置100の動作を制御するものであってもよい。
【0106】
ステップS3において、センサ50の出力信号の値が許容範囲から外れていない場合(ステップS3:No)、制御ユニット2は、センサ50の出力信号に基づいて、モータ103の制御を行う(ステップS5)。
【0107】
具体的には、制御ユニット2は、温度センサ90の検出信号に基づいて、モータ103を制御する。温度センサ90の検出信号は、温度の変化によるアーム102の膨張量または収縮量と相関がある。特に、温度センサ90は、モータ103よりもアーム102に近い位置に配置されている。このため、温度センサ90の検出信号は、アーム102の膨張量または収縮量を精度よく反映した信号となっている。したがって、温度センサ90の検出信号に基づいて、モータ103を制御することで、温度の変化によるアーム102の膨張量または収縮量を考慮した制御を、精度よく行うことができる。
【0108】
また、制御ユニット2は、トルクセンサ60の検出信号に基づいて、モータ103を制御する。トルクセンサ60の検出信号は、アーム102の回転方向の揺れによりフレックスギア30にかかるトルクを反映している。特に、トルクセンサ60は、モータ103よりもアーム102に近い位置に配置されている。このため、トルクセンサ60の検出信号は、アーム102の回転方向の揺れを精度よく反映した信号となっている。したがって、トルクセンサ60の検出信号に基づいて、モータ103を制御することで、アーム102の回転方向の揺れを考慮した制御を、精度よく行うことができる。
【0109】
また、本実施形態のセンサ50は、減速機1のフレックスギア30に貼り付けられている。センサ50は、減速機1自体の状態を検知するためにも使用でき、かつ、上記のようにアーム102の状態を検知するためにも使用できる。したがって、減速機1自体の状態を検知するためのセンサと、アーム102の状態を検知するためのセンサとを、別々に設ける必要がない。これにより、駆動装置100に搭載されるセンサの数を低減できる。また、駆動装置100にセンサを搭載する場合の構成を簡易にできる。
【0110】
<5.変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態には限定されない。以下では、種々の変形例について、上記実施形態との相違点を中心に説明する。
【0111】
<5-1.第1変形例>
図15は、第1変形例に係る駆動装置100の概要図である。
図15のように、駆動装置100は、複数のモータと、複数のモータのそれぞれから出力される回転運動を減速する複数の減速機と、複数の減速機のそれぞれから出力される回転運動により動作する複数の対象物と、を有していてもよい。
図15の例では、駆動装置100は、2つのモータ103A,103Bと、2つのモータ103A,103Bのそれぞれから出力される回転運動を減速する2つの減速機1A,1Bと、2つの減速機1A,1Bのそれぞれから出力される回転運動により動作する2つのアーム102A,102Bと、を有する。
【0112】
アーム102Aは、ベースフレーム101に対して、回動可能に支持されている。モータ103Aおよび減速機1Aは、ベースフレーム101とアーム102Aとの間の第1関節部に、組み込まれている。モータ103Aに駆動電流が供給されると、モータ103Aから回転運動が出力される。減速機1Aは、モータ103Aから出力される回転運動を減速して、アーム102Aへ伝達する。これにより、ベースフレーム101に対してアーム102Aが、減速後の速さで回動する。すなわち、アーム102Aは、減速機1Aから出力される回転運動により動作する対象物である。
【0113】
アーム102Bは、アーム102Aに対して、回動可能に支持されている。モータ103Bおよび減速機1Bは、アーム102Aとアーム102Bとの間の第2関節部に、組み込まれている。モータ103Bに駆動電流が供給されると、モータ103Bから回転運動が出力される。減速機1Bは、モータ103Bから出力される回転運動を減速して、アーム102Bへ伝達する。これにより、アーム102Aに対してアーム102Bが、減速後の速さで回動する。すなわち、アーム102Bは、減速機1Bから出力される回転運動により動作する対象物である。
【0114】
この場合、制御ユニット2は、第2関節部の減速機1Bに搭載されたセンサ50の検出値に基づいて、第1関節部のモータ103Aを制御してもよい。このようにすれば、最も先端側に位置する対象物であるアーム102Bの回転方向の揺れ、軸方向の振動、膨張量または収縮量を考慮して、第1関節部のモータ103Aを制御できる。これにより、アーム102Bの先端の位置を、より精度よく制御できる。
【0115】
また、制御ユニット2は、第1関節部の減速機1Aに搭載されたセンサ50と、第2関節部の減速機1Bに搭載されたセンサ50と、の両方の検出値に基づいて、第1関節部のモータ103Aを制御してもよい。
【0116】
このように、制御ユニット2は、複数の減速機1のうちの少なくとも1つの減速機1に搭載されたセンサ50の検出値に基づいて、複数のモータ103のうちの少なくとも1つのモータ103を制御してもよい。
【0117】
<5-2.他の変形例>
上記の実施形態では、1つの駆動装置100が、1つの制御ユニット2を有していた。しかしながら、制御ユニット2は、複数の駆動装置100を統合的に制御するシステムであってもよい。
【0118】
上記の実施形態では、センサ50が、トルクセンサ60、角度センサ70、スラストセンサ80、および温度センサ90を有していた。しかしながら、センサ50は、トルクセンサ60、角度センサ70、スラストセンサ80、および温度センサ90のうちの一部のセンサのみを有していてもよい。
【0119】
上記の実施形態では、トルクセンサ60は、第1トルクセンサ61と第2トルクセンサ62とを有していた。しかしながら、トルクセンサ60は、第1トルクセンサ61および第2トルクセンサ62のうちのいずれか1つのみであってもよい。
【0120】
上記の実施形態では、スラストセンサ80は、第1スラストセンサ81と第2スラストセンサ82とを有していた。しかしながら、スラストセンサ80は、第1スラストセンサ81および第2スラストセンサ82のうちのいずれか1つのみであってもよい。
【0121】
上記の実施形態では、温度センサ90は、第1温度センサ91と第2温度センサ92とを有していた。しかしながら、温度センサ90は、第1温度センサ91および第2温度センサ92のうちのいずれか1つのみであってもよい。
【0122】
上記の実施形態では、フレックスギア30にセンサ50が取り付けられていた。しかしながら、フレックスギア30に代えてインタナルギア20に、センサ50が取り付けられていてもよい。
【0123】
上記実施形態の減速機1は、フレックスギア30がベースフレーム101に固定され、インタナルギア20が減速後の第2回転速度で回転していた。しかしながら、インタナルギア20がベースフレーム101に固定され、フレックスギア30が減速後の第2回転速度で回転してもよい。
【0124】
上記実施形態のフレックスギア30は、ダイヤフラム部33が、胴部31から径方向外側へ向けて広がる、いわゆる「ハット型」のギアであった。しかしながら、フレックスギア30は、ダイヤフラム部33が、胴部31から径方向内側へ向けて広がる、いわゆる「カップ型」のギアであってもよい。
【0125】
上記実施形態では、駆動装置100が、アームを有する産業用ロボットであった。しかしながら、駆動装置100は、アシストスーツや無人搬送台車などの他の装置であってもよい。
【0126】
その他、モータ、減速機、駆動装置、および制御ユニットの細部の構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜に変更してもよい。また、上記の実施形態および変形例に登場した要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【0127】
<6.総括>
本技術は、以下の構成をとることが可能である。
【0128】
(1)モータと、前記モータから出力される回転運動を減速する減速機と、前記減速機から出力される回転運動により動作する対象物と、を有する駆動装置の制御ユニットであって、前記減速機に搭載されたセンサの検出値に基づいて前記モータを制御する、制御ユニット。
【0129】
(2)複数のモータと、前記複数のモータのそれぞれから出力される回転運動を減速する複数の減速機と、前記複数の減速機のそれぞれから出力される回転運動により動作する複数の対象物と、を有する駆動装置の制御ユニットであって、前記複数の減速機のうちの少なくとも1つの減速機に搭載されたセンサの検出値に基づいて、前記複数のモータのうちの少なくとも1つのモータを制御する、制御ユニット。
【0130】
(3)(1)または(2)に記載の制御ユニットであって、前記センサは、前記減速機のギアに搭載された歪みゲージを含む、制御ユニット。
【0131】
(4)(1)から(3)までのいずれか1つに記載の制御ユニットであって、前記センサは、前記ギアの温度に応じて出力信号が変化する温度センサである、制御ユニット。
【0132】
(5)(4)に記載の制御ユニットであって、前記減速機は、2つの前記温度センサを有し、前記制御ユニットは、前記2つの温度センサの出力信号の差が、所定の閾値以上になった場合に、アラート制御を行う、制御ユニット。
【0133】
(6)(4)または(5)に記載の制御ユニットであって、前記温度センサの出力信号の値が、所定の許容範囲から外れた場合に、アラート制御を行う、制御ユニット。
【0134】
(7)(1)から(3)までのいずれか1つに記載の制御ユニットであって、前記センサは、前記ギアにかかるトルクに応じて出力信号が変化するトルクセンサである、制御ユニット。
【0135】
(8)(7)に記載の制御ユニットであって、前記減速機は、2つの前記トルクセンサを有し、前記制御ユニットは、前記2つのトルクセンサの出力信号の差が、所定の閾値以上になった場合に、アラート制御を行う、制御ユニット。
【0136】
(9)(7)または(8)に記載の制御ユニットであって、前記トルクセンサの出力信号の値が、所定の許容範囲から外れた場合に、アラート制御を行う、制御ユニット。
【0137】
(10)(1)から(3)までのいずれか1つに記載の制御ユニットであって、前記センサは、前記ギアにかかるスラスト力に応じて出力信号が変化するスラストセンサである、制御ユニット。
【0138】
(11)(10)に記載の制御ユニットであって、前記減速機は、2つの前記スラストセンサを有し、前記制御ユニットは、前記2つのスラストセンサの出力信号の差が、所定の閾値以上になった場合に、アラート制御を行う、制御ユニット。
【0139】
(12)(10)または(11)に記載の制御ユニットであって、前記スラストセンサの出力信号の値が、所定の許容範囲から外れた場合に、アラート制御を行う、制御ユニット。
【0140】
(13)(1)から(12)までのいずれか1つに記載の制御ユニットと、前記モータと、前記減速機と、前記対象物と、を備えた駆動装置。
【0141】
(14)モータと、前記モータから出力される回転運動を減速する減速機と、前記減速機から出力される回転運動により動作する対象物と、を有する駆動装置の制御方法であって、前記減速機に搭載されたセンサの検出値に基づいて前記モータを制御する、制御方法。
【0142】
(15)複数のモータと、前記複数のモータのそれぞれから出力される回転運動を減速する複数の減速機と、前記複数の減速機のそれぞれから出力される回転運動により動作する複数の対象物と、を有する駆動装置の制御方法であって、前記複数の減速機のうちの少なくとも1つの減速機に搭載されたセンサの検出値に基づいて、前記複数のモータのうちの少なくとも1つのモータを制御する、制御方法。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明は、制御ユニット、駆動装置、および制御方法に利用できる。
【符号の説明】
【0144】
1,1A,1B 減速機
2 制御ユニット
9 中心軸
10 入力シャフト
20 インタナルギア
30 フレックスギア
40 波動発生器
50 センサ
51 センサ基板
52 信号処理回路
60,61,62 トルクセンサ
70 角度センサ
80,81,82 スラストセンサ
90,91,92 温度センサ
100 駆動装置
101 ベースフレーム
102,102A,102B アーム
103,103A,103B モータ
C1-C6 ブリッジ回路
Ra-Rx 歪みゲージ
V1-V6 電圧計
r1-r6 抵抗線