(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025086
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】改装建具
(51)【国際特許分類】
E06B 3/263 20060101AFI20250214BHJP
E06B 1/56 20060101ALI20250214BHJP
E06B 1/62 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
E06B3/263 A
E06B1/56 A
E06B1/62 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129545
(22)【出願日】2023-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】北村 真吾
(72)【発明者】
【氏名】恐田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】大東 正樹
(72)【発明者】
【氏名】筒井 淳司
(72)【発明者】
【氏名】冨田 裕之
【テーマコード(参考)】
2E011
2E014
【Fターム(参考)】
2E011JA02
2E011KC02
2E011KC03
2E011KC04
2E011KD25
2E011KF01
2E011KG04
2E011KH01
2E014AA03
2E014BA02
2E014BB01
2E014BD03
(57)【要約】
【課題】室内外方向に熱の伝わりにくい改装建具を提供すること。
【解決手段】改装建具1は、建物躯体100の開口部11に設けられる既設枠2と、既設枠2の内周側に固定される新設枠3と、既設枠2と新設枠3との間に配置され、新設枠3を既設枠2に固定するアタッチメント4と、を備える。新設枠3は、互いに見込方向に分割された金属製の室外側枠部材311、321及び室内側枠部材312、322と、室外側枠部材311、321及び室内側枠部材312、322を連結する断熱性の連結部材313、323と、を有し、アタッチメント4と新設枠3とは、室外側枠部材311、321及びアタッチメント4を固定する室外側固定具910、930と、室内側枠部材312、322及びアタッチメント4を固定する室内側固定具920、940と、により固定される。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体の開口部に設けられる既設枠と、前記既設枠の内周側に固定される新設枠と、前記既設枠と前記新設枠との間に配置され、前記新設枠を前記既設枠に固定するアタッチメントと、を備える改装建具であって、
前記新設枠は、互いに見込方向に分割された金属製の室外側枠部材及び室内側枠部材と、室外側枠部材及び前記室内側枠部材を連結する断熱性の連結部材と、を有し、
前記アタッチメントと前記新設枠とは、前記室外側枠部材及び前記アタッチメントを固定する室外側固定具と、前記室内側枠部材及び前記アタッチメントを固定する室内側固定具と、により固定される、改装建具。
【請求項2】
前記アタッチメントは、前記既設枠に固定されるアタッチメント本体と、前記アタッチメント本体に固定されて前記既設枠の室外側に配置されるカバー部材と、を有し、
前記室外側枠部材は、前記アタッチメント本体の室外側に配置され、前記室内側枠部材は、前記アタッチメント本体の室内側に配置される、請求項1に記載の改装建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、改装建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物躯体の開口部をリフォーム等で改装する方法として開口部に新たな建具を設置するカバー工法が採用されている。カバー工法において、建物躯体の開口部に設けられる既設枠と、既設枠の内周側に配置される新設枠と、既設枠と新設枠との間に配置されるアタッチメントと、を備える改装建具が知られている。新設枠とアタッチメントとは、見込方向の中央部の一か所でネジにより固定されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アタッチメントと新設枠とが、一か所で固定されていると、熱が室内側又は室外側から伝わった場合に、すぐ他方へ伝わりやすいという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、建物躯体の開口部に設けられる既設枠と、前記既設枠の内周側に固定される新設枠と、前記既設枠と前記新設枠との間に配置され、前記新設枠を前記既設枠に固定するアタッチメントと、を備える改装建具であって、前記新設枠は、互いに見込方向に分割された金属製の室外側枠部材及び室内側枠部材と、室外側枠部材及び前記室内側枠部材を連結する断熱性の連結部材と、を有し、前記アタッチメントと前記新設枠とは、前記室外側枠部材及び前記アタッチメントを固定する室外側固定具と、前記室内側枠部材及び前記アタッチメントを固定する室内側固定具と、により固定される、改装建具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図4A】本実施形態の改装建具の上方の部分縦断面図である。
【
図4B】本実施形態の改装建具の下方の部分縦断面図である。
【0007】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の改装建具1は、例えば、マンション等のビル等の建物躯体100の開口部11に設けられる。
図1は、改装建具1を室内側から見た様子を示している。改装建具1は、すでに設置されている既設枠2に、新設枠3を取り付ける改修を行って形成される。
【0008】
本明細書において、「見付方向」とは、建物躯体100の壁に形成された開口部11に納められた改装建具1における障子71、72の面材の面が延びる方向を意味する。「見付方向の外側」は、開口部11における外周側を意味し、「見付方向の内側」は、開口部11における内周側を意味する。「見付面」は、改装建具1における室外側及び室内側に面するそれぞれの面を意味する。改装建具1の見付方向における横方向は左右方向である。
【0009】
本明細書において、「見込方向」とは、上記面材の厚さ方向(即ち、奥行き方向)を意味する。「見込方向」は室内外方向でもある。「見込面」は、改装建具1において室内外方向に延びる面を意味する。図面において、改装建具1の見込方向の室外側を室外側X1とし、改装建具1の見込方向の室内側を室内側X2とする。
【0010】
改装建具1は、
図1に示すように、建物躯体100の開口部11に設置された既設枠2の内周側に、アタッチメント4(
図2~
図4B参照)を介して、新設枠3を取り付けることで構成される。改装建具1は、既設枠2と、新設枠3と、アタッチメント4と、を有する。新設枠3の内側には、障子71、72が開閉可能に納められる。
【0011】
既設枠2は、窓枠10と一体又は別体で構成され、開口部11に設けられる枠体である。既設枠2は、矩形の枠状に形成される。既設枠2は、アルミニウム製、アルミ樹脂複合製又は樹脂製の形材により構成される。既設枠2は、既設上枠21と、既設下枠22と、左右一対の既設縦枠23と、を有する。
【0012】
既設上枠21は、開口部11の上方で見付方向に沿って延びる長尺の部材である。既設下枠22は、開口部11の下方で見付方向に沿って延びる長尺の部材である。一対の既設縦枠23は、開口部11の見付方向の両端部で上下方向に延びる長尺の部材である。
【0013】
新設枠3は、アタッチメント4(
図2~
図4B参照)を介して、既設枠2の内周側に固定される。新設枠3は、矩形の枠状に形成される。新設枠3は、アルミニウム製の形材により構成される。新設枠3は、新設上枠31と、新設下枠32と、左右一対の新設縦枠33と、を有する。
【0014】
新設上枠31は、開口部11の上方で見付方向に沿って延びる長尺の部材である。新設下枠32は、開口部11の下方で見付方向に沿って延びる長尺の部材である。一対の新設縦枠33は、開口部11の見付方向の両端部で上下方向に延びる長尺の部材である。
【0015】
図2~
図4Bに示すように、アタッチメント4は、既設枠2と新設枠3の間に配置され、新設枠3を既設枠2に固定するための部材である。アタッチメント4は、アタッチメント本体40と、カバー部材50と、の二部材を有する。アタッチメント本体40は、既設枠2の室内側X2に固定される。カバー部材50は、アタッチメント本体40に固定されて、既設枠2の室外側X1に配置される。
【0016】
アタッチメント本体40は、上枠アタッチメント本体41(
図2、
図4A参照)と、下枠アタッチメント本体42と、左右一対の縦枠アタッチメント本体43(
図3参照)と、を有する。上枠アタッチメント本体41、下枠アタッチメント本体42、及び左右一対の縦枠アタッチメント本体43は、それぞれ、例えば、アルミニウム製の形材により構成される。
【0017】
上枠アタッチメント本体41、下枠アタッチメント本体42、及び左右一対の縦枠アタッチメント本体43は、それぞれ、既設上枠21、既設下枠22、既設縦枠23の長手方向に沿って配置される。上枠アタッチメント本体41、下枠アタッチメント本体42及び左右一対の縦枠アタッチメント本体43は、既設上枠21、既設下枠22、既設縦枠23の長手方向において、間隔を空けて複数配置されてもよいし、既設上枠21、既設下枠22、既設縦枠23の長手方向に延びる一つの部材により構成されていてもよい。
【0018】
カバー部材50は、上枠カバー部材51と、下枠カバー部材52と、左右一対の縦枠カバー部材53と、を有する。
【0019】
図4Aにより、既設上枠21、新設上枠31、上枠アタッチメント本体41、及び上枠カバー部材51の固定構造について説明する。
【0020】
既設上枠21は、
図1に示すように、建物躯体100の開口部11の上方に取り付けられて見込方向に延びる。既設上枠21は、
図4Aに示すように、見込方向に延びる室内外方向延在板211と、室内外方向延在板211の室外側X1の端部から下方に突出する外側面部212と、室内外方向延在板211の室内側X2の端部から下方に突出する内側面部213と、室内外方向延在板211の室内外方向の途中から下方に向けて立設される既設障子用のガイドレール214、215と、室内外方向延在板211の室外側X1の端部から上方に突出する室外側L字片216と、室内外方向延在板211の室内側X2の端部から上方に突出する室内側L字片217と、室内側X2の端部に設けられるL字接続部材218と、を有する。ガイドレール214が室外側X1に設けられ、ガイドレール215が室内側X2に設けられる。
【0021】
既設上枠21は、開口部11の上部に配置され、室内側X2の端部が、L字状のL字接続部材218を介して、建物躯体100の内額縁101に固定されている。また、既設上枠21は、室外側L字片216及び室内側L字片217により、建物躯体100に固定されている。なお、本実施形態では、既設上枠21の室内側X2の端部に別体のL字接続部材218を接続したが、これに限定されない。L字接続部材218を設けずに、既設上枠21と一体で既設上枠21から突出するリブを設けてもよい。
【0022】
上枠アタッチメント本体41は、既設上枠21と新設上枠31とを接続する。上枠アタッチメント本体41は、
図4Aに示すように、開口部11の上方で既設上枠21及び新設上枠31の間に配置され、見付方向に延びる長尺の部材である。上枠アタッチメント本体41は、既設上枠21の内周側に接続される。上枠アタッチメント本体41は、既設上枠21の下方に配置され、既設上枠21に固定される。
【0023】
上枠アタッチメント本体41は、室内外方向延在板411と、室内側端部延出部412と、アタッチメント本体側起立片413と、突起414と、ネジ穴911、921と、を有する。
【0024】
室内外方向延在板411は、上枠アタッチメント本体41の見込方向に延び、ネジにより既設上枠21の室内外方向延在板211及び建物躯体100に固定される。室内外方向延在板411の上面には、室外側X1において既設上枠21の外側面部212の下端212aが当接し、室内側X2において既設上枠21の内側面部213の下端213aが当接する。
【0025】
既設上枠21のガイドレール214、215の下端214a、215aは、室内外方向延在板411の上面に当接する。既設上枠21のガイドレール214、215の下端214a、215aは、室内外方向延在板411の上面に当接せずに、室内外方向延在板411の上面から上方に離れて配置されていてもよい。
【0026】
室内側端部延出部412は、室内外方向延在板411の室内側X2の端部から、室内側X2へ延びる。
【0027】
アタッチメント本体側起立片413は、室内外方向延在板411の室外側X1の端部寄りに形成され、室内外方向延在板411の上面から上方に起立する。アタッチメント本体側起立片413は、既設上枠21の外側面部212の室内側X2の面に沿い、外側面部212の下端部2121に当接する。
【0028】
突起414は、室内外方向延在板411の室外側X1の端部から下方に突出して形成され、既設上枠21の外側面部212の下方に配置される。
【0029】
ネジ穴911は、室内外方向延在板411の見込方向における室外側X1寄りに配置される。より詳細には、室内外方向延在板411における既設上枠21のガイドレール214の下端214aと、ガイドレール215の下端215aとの間で、下端214a寄りに配置される。ネジ穴911は、室内外方向延在板411の厚さ方向にネジ溝が形成されることで構成される。
【0030】
ネジ穴921は、室内側端部延出部412における既設上枠21の内側面部213の下端213aが当接する部分の室内側X2に配置される。ネジ穴921は、室内側端部延出部412の厚さ方向にネジ溝が形成されることで構成される。
【0031】
上枠カバー部材51は、室内外方向延在板411の室外側X1に固定される。上枠カバー部材51は、見込面部としての上枠見込面部511と、カバー部材側起立片512と、室外側見付面部513と、ホロー部514と、を有する。
【0032】
上枠見込面部511は、上枠カバー部材51の見込方向に延びる。上枠見込面部511の室外側X1の端部は、後述する室外側見付面部513の上端に接続される。上枠見込面部511は、室外側見付面部513の上端から室内側X2へ延びる。上枠見込面部511は、その室内側X2の縁が、上枠アタッチメント本体41における室内外方向延在板411の室外側X1の下面に重ねて配置され、ネジにより固定される。上枠見込面部511は、最も室内側X2の端部に形成され、上方に屈曲する屈曲端部511aを有する。
【0033】
カバー部材側起立片512は、上枠見込面部511の上面から起立する。カバー部材側起立片512は、アタッチメント本体側起立片413に対向して配置され、既設上枠21における外側面部212の下端部2121の室外側X1に配置される。カバー部材側起立片512は、上端から既設上枠21の外側面部212に向かって屈曲する屈曲端部512aを有する。屈曲端部512aは、既設上枠21の室外側X1から既設上枠21の室外側突出板に当接するように配置される。カバー部材側起立片512と、屈曲端部512aと、外側面部212の下端部2121とで形成された空間には、止水材512bが配置されている。カバー部材側起立片512と、アタッチメント本体側起立片413とにより、外側面部212の下端部2121が挟まれて配置される。
【0034】
室外側見付面部513は、上枠カバー部材51の室外側X1の端部に配置される。室外側見付面部513は、既設上枠21よりも室外側X1に突出して配置され、上枠見込面部511の室外側X1の端部から下垂する。室外側見付面部513は、上下方向に所定幅を有するとともに、見付方向に沿って延びる。上枠カバー部材51の上枠見込面部511と室外側見付面部513とは、断面視で室内側X2及び下方側に向けて開放するL字状に形成される。室外側見付面部513は、新設上枠31の室外側X1に配置される。室外側見付面部513は、新設上枠31の室外側X1の端部の少なくとも一部を覆うように配置され、新設枠3の外側面部315に当接する。室外側見付面部513は、下端で室内側X2に向かって屈曲する屈曲端部513aを有する。
【0035】
ホロー部514は、上枠見込面部511の上方に配置され、上枠見込面部511と、室外側見付面部513から上方へ延出する室外側の面と、カバー部材側起立片512と、室外側見付面部513から延出する室外側の面の上端及びカバー部材側起立片512の上端を接続する上面514aにより形成される。ホロー部514は、内部が中空に形成される。ホロー部514の上面514aには、凹部514bが形成される。凹部514bには、上方に向かって突出するヒレ部514cが挿入される。ヒレ部514cは、ゴム等の軟質樹脂で形成され、既設上枠21の外側面部212の室外側面を覆っている。
【0036】
新設上枠31は、
図4Aに示すように、上枠アタッチメント本体41の内周側(上枠アタッチメント本体41の下方)に、スペーサ部材316を介して、取り付けられる。新設上枠31は、上枠アタッチメント本体41の室内外方向延在板411の下面との間に、板状のスペーサ部材316を挟んだ状態で、スペーサ部材316の下面に配置される。
【0037】
スペーサ部材316は、1枚以上のシートによって構成される。スペーサ部材316を構成するシートの厚み及びシートの積層数は、上枠アタッチメント本体41と新設上枠31との間の隙間の大きさ等に応じて適宜設定される。また、上枠アタッチメント本体41と新設上枠31との間の隙間の大きさによっては、スペーサ部材316を設けなくてもよい。
【0038】
新設上枠31は、室外側枠部材311と、室内側枠部材312と、連結部材313と、を有する。また、新設上枠31は、ガイドレール314a、314b、314cと、レール間カバー3113と、を有する。
【0039】
室外側枠部材311、室内側枠部材312、及び連結部材313は、新設上枠31の長手方向に沿って通しで配置されている。室外側枠部材311及び室内側枠部材312は、新設上枠31の見込方向に互いに二分割されて配置される。室外側枠部材311及び室内側枠部材312は、いずれも金属製の枠部材であり、それぞれアルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる。連結部材313は、室外側枠部材311及び室内側枠部材312を一体的に連結する。連結部材313は、樹脂等の断熱性を有する部材からなり、新設上枠31における室外側枠部材311から室内側枠部材312への熱の伝達を遮断する。
【0040】
図4Aに示すように、室外側枠部材311は、上枠アタッチメント本体41の室外側X1に配置される。室外側枠部材311は、中空部3111と、室外側延出部3112と、ネジ穴912と、を有する。
【0041】
中空部3111は、ガイドレール314bが配置される部位から連結部材313に亘って延びる断面略矩形状に形成される。中空部3111の室内側X2の端部には、上面及び下面の両方から、突起3111aが突出し、二つの突起3111aの間に形成された溝に連結部材313の一部が係止可能となっている。
【0042】
ネジ穴912は、中空部3111の上面及び下面を貫通し、上面及び下面にネジ溝が形成されることで構成される。ネジ穴912は、中空部3111における上枠アタッチメント本体41の室内外方向延在板411に形成されたネジ穴911に対応する位置に配置される。
【0043】
室外側延出部3112は、中空部3111と一体に連続し、室外側枠部材311の上面311aよりも低い位置で室外側X1に向けて延びる。新設上枠31が既設上枠21の内周側に取り付けられた状態において、室外側延出部3112は、新設上枠31で最も低い部位である。室外側延出部3112は、新設上枠31の室外側X1の端部に配置される。具体的には、室外側延出部3112は、ガイドレール314bとガイドレール314cとの間に配置される。室外側延出部3112は、新設上枠31の上面に浸入した雨水を室内側X2に流入させることなく、見付方向に流す排水溝でもある。
【0044】
室外側延出部3112の最も室外側X1の部位には、上下方向に延びる外側面部315が一体に設けられる。外側面部315は、上枠カバー部材51の室外側見付面部513の下端側の室内側X2に、見込方向に重なって配置されている。室外側見付面部513の下端の屈曲端部513aが、外側面部315に当接し、外側面部315と室外側見付面部513との間に止水材513bが設けられている。
【0045】
室内側枠部材312は、上枠アタッチメント本体41の室内側X2に配置される。室内側枠部材312は、中空部3121と、ネジ穴922と、を有する。
【0046】
中空部3121は、連結部材313から室内側X2に向けて延びる断面略矩形状に形成される。中空部3121の室外側X1の端部には、上面及び下面の両方から、連結部材313に係止する突起3121aが突出し、二つの突起3121aの間に形成された溝に連結部材313の一部が係止可能となっている。中空部3121は、後述するネジ920を締結する箇所を隔てて室内側X2と室外側X1とに分かれている。具体的には、室内側枠部材312の上面312aが、室内側枠部材312の見込方向の中央部よりも室内側X2で下面312bに接するように窪んで凹部312cを形成する。凹部312cには、後述するネジ920が挿通する。
【0047】
室内側枠部材312の上面312a及び室外側枠部材311の上面311aは、いずれも平坦面であり、新設上枠31の見込方向に面一状に並んで配置されている。
【0048】
室内側枠部材312の室内側X2の端部には、樹脂製もしくは木質由来材料製のアングル部材319が取り付けられている。アングル部材319は、室内側枠部材312の下面に沿って配置されるとともに、上枠側の固定構造の室内側を覆う化粧部材320に接続されている。
【0049】
ネジ穴922は、室内側枠部材312の上面312aと下面312bとが重なった凹部312cの底面に形成される。ネジ穴922は、凹部312cの底面を貫通し、ネジ溝が形成されることで構成される。
【0050】
連結部材313は、内部が中空の長尺の部材である。連結部材313の室外側X1の端部は、室外側枠部材311の中空部3111から突出する突起3111aの間に挿入される。連結部材313の室内側X2の端部は、室内側枠部材312の中空部3121から突出する突起3121aの間に挿入される。連結部材313の上面、室外側枠部材311の上面311a及び室内側枠部材312の上面312aと面一に配置されている。
【0051】
上枠アタッチメント本体41と、新設上枠31とは、ネジ910、920により固定される。ネジ910は、室外側枠部材311のネジ穴911、912に締結される室外側固定具であり、室外側枠部材311と上枠アタッチメント本体41とを固定する。ネジ920は、室内側枠部材312のネジ穴912、922に締結される室内側固定具であり、室内側枠部材312と上枠アタッチメント本体41とを固定する。
【0052】
ガイドレール314a、314bは、新設枠3の内側に納められる2枚の障子71、72用に一対設けられる。ガイドレール314cは、新設枠3の最も室外側X1に納められる網戸73用に設けられる。ガイドレール314b、314cは、室外側枠部材311に配置され、下方に向けて突出している。ガイドレール314aは、室内側枠部材312において連結部材313に隣接して配置され、下方に向けて突出している。ガイドレール314a、314b、314cは、新設上枠31の長さ方向の全長に亘って延びている。
【0053】
レール間カバー3113は、一対のガイドレール314a、314bの間に取り付けられる。レール間カバー3113は、樹脂製もしくは木質由来材料製である。レール間カバー3113は、新設上枠31におけるガイドレール314a、314bの間を実質的に遮蔽するように、室外側枠部材311の下面311bと連結部材313の下面側とに亘って配置される。
図4Aに示すように、レール間カバー3113は、上板部3113aと、上板部3113aの下方に略平行に配置される下板部3113bと、上板部3113a及び下板部3113bを繋ぐ複数の連結板部3113cとによって構成される二重構造を有する。レール間カバー3113は、既設上枠21側から新設上枠31に伝わる外気温度が、新設上枠31の内周側に伝達されることを抑制する。
【0054】
次に、
図4Bにより、既設下枠22、新設下枠32及び下枠アタッチメント本体42、下枠カバー部材52の固定構造について説明する。
【0055】
既設下枠22は、
図4Bに示すように、建物躯体100の開口部の下部に配置され、見込方向では室外側X1から室内側X2に亘って階段状に形成される。既設下枠22は、階段状の底面221からそれぞれ上方に向けて突出する既設障子用の一対のガイドレール221a、221bと、既設網戸用のガイドレール221cと、最も室内側X2の内側面部221dと、を有する。既設下枠22の高さは、最も室内側X2のガイドレール221aから最も室外側X1のガイドレール221cにかけて、次第に低くなるように形成されている。既設下枠22の室外側X1には、室内側X2から室外側X1へ傾斜する外額縁102が固定されている。
【0056】
下枠アタッチメント本体42は、既設下枠22の上部を覆うように取り付けられる。下枠アタッチメント本体42は、室内外方向延在板421と、室外側傾斜部422と、室外側下垂面部423と、室内側突起424a~424cと、保持片425と、ネジ穴931、941と、を有する。
【0057】
室内外方向延在板421は、室内側X2の端部からガイドレール221bの上部付近までおおむね平坦に延びる。室内外方向延在板421は室内側の端部近傍で既設下枠22の室内側X2の端部に接続される。室内外方向延在板421は、室外側X1の端部に形成される凹部421aを有する。凹部421aは、下枠アタッチメント本体42の長手方向に沿って連続して形成される。凹部421aは、室内外方向延在板421の平坦な面の一部が下方に窪んで上方が開口した凹部である。凹部421aの開口及び底部の寸法は、後述するネジ930の直径よりも大きい。
【0058】
室内側突起424a~424cは、室内外方向延在板421の室内側X2で、下方に向かって突出する突起である。室内側突起424a~424cは、室内側X2から室外側X1へ向かって順に、互いに間を空けて並んでいる。室内側突起424aが最も室内側X2に配置され、室内側突起424bが室内側突起424aの室外側X1に、室内側突起424cが室内側突起424bの室外側に位置する。室内側突起424cは、下端が室外側X1へ屈曲し、既設下枠22の内側面部221dの上端に当接している。
【0059】
保持片425は、室内側突起424cから室外側X1へ間を空けた位置で下方に向かって延びるとともに、下端から室内側X2へ向かって屈曲する縦断面視L字型の形状をしている。保持片425の室内側の端部は、既設下枠22の内側面部221dの室外側X1面に当接している。
【0060】
ネジ穴931は、凹部421aの底部に形成され、厚さ方向にネジ930を締結可能なネジ溝が形成されることで構成される。
【0061】
ネジ穴941は、室内外方向延在板421における室内側突起424a及び室内側突起424bの間に形成される。室内外方向延在板421の室内側突起424a及び室内側突起424bの間は、室内側X2の端部が室外側X1よりも下方に位置しており、室内側X2から室外側に上り傾斜している。ネジ穴941は、厚さ方向にネジ940を締結可能なネジ溝が形成されることで構成される。
【0062】
室外側傾斜部422は、室内外方向延在板421の室外側X1の端部から下方へ傾斜する。室外側下垂面部423は、室外側傾斜部422の室外側X1の端部からガイドレール221cの室外側面に沿って下垂し、ガイドレール221cに固定される。
【0063】
下枠カバー部材52は、下枠アタッチメント本体42の室外側下垂面部423に固定され、室外側下垂面部423から室外側X1に間を空けた位置で上下方向に延び、室外側下垂面部423を覆う。
【0064】
新設下枠32は、室外側枠部材321と、室内側枠部材322と、連結部材323と、を有する。また、新設下枠32は、ガイドレール324a、324b、324cと、上面カバー327と、を有する。室外側枠部材321、室内側枠部材322、及び連結部材323は、新設下枠32の長手方向に沿って通しで配置されている。室外側枠部材321及び室内側枠部材322は、新設下枠32の見込方向に互いに二分割されて配置される。室外側枠部材321及び室内側枠部材322は、いずれも金属製の枠部材であり、それぞれアルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる。連結部材323は、室外側枠部材321及び室内側枠部材322を一体的に連結する。連結部材323は、樹脂等の断熱性を有する部材からなり、新設下枠32における室外側枠部材321から室内側枠部材322への熱の伝達を遮断する。
【0065】
図4Bに示すように、室外側枠部材321は、下枠アタッチメント本体42の室外側X1に配置される。室外側枠部材321は、室内側X2の端部が連結部材323に連結されるとともに、下枠アタッチメント本体42の室内外方向延在板421と、室外側傾斜部422との境界付近に固定される。室外側枠部材321は、概ね平坦に形成された上面にガイドレール324b、324cが配置され、内部が中空のホロー構造を有する。室外側枠部材321は、上面321aと、段差傾斜部321bと、外側面部321cと、第1突起3211と、第2突起3212と、第3突起3213と、第4突起3214と、ネジ穴932と、を有する。
【0066】
上面321aは、室内側枠部材322の上面322aよりも低い位置に延びている。段差傾斜部321bは、室外側傾斜部422の傾斜に沿いながら段差を有して下方へ傾斜する。外側面部321cは、下垂して外部に露出する。
【0067】
第1突起3211は、上面321aの連結部材323側の端部の近傍で、下方に突出して形成される。第1突起3211は、下枠アタッチメント本体42の室内外方向延在板421の上に載っている。第2突起3212は、第1突起3211から室外側X1に間を空けて配置され、第1突起3211と略平行に下方に向かって突出している。第2突起3212は、室内外方向延在板421の上に載っている。第3突起3213は、段差傾斜部321bから下方に突出し、後述する下枠アタッチメント本体42の室外側傾斜部422における平坦な部分に載っている。第4突起3214は、第1突起3211の室内側X2で、上面321aから見込方向の室内側X2に向かって突出する。第4突起3214は、上面321aから上下に間を空けて、上下一対突出し、二つの第4突起3214の間に形成された溝に連結部材323の一部が係止可能となっている。
【0068】
ネジ穴932は、第1突起3211と第2突起3212との間に形成される。ネジ穴932は、下枠アタッチメント本体42の凹部421aに形成されたネジ穴931に対応する位置に配置される。
【0069】
室内側枠部材322は、下枠アタッチメント本体42の室内側X2に配置される。室内側枠部材322は、下枠アタッチメント本体42の室内外方向延在板421の上に載置される。室内側枠部材322は、中空部3220と、上面322aと、下面322bと、突起322cと、係合部325と、固定片328と、を有する。
【0070】
中空部3220は、略方形筒状に形成されている。上面322aは、中空部3220の上面に配置され、室外側X1の端部が連結部材323に連結されており、連結部材323と上面322aとの境界から上方にガイドレール324aが突出している。下面322bは、上面322aに対向し、下枠アタッチメント本体42の室内外方向延在板421の上部に配置されている。突起322cは、中空部3220の室外側X1の端部から、室外側X1に突出する。突起311cは、上下に間を空けて、上下一対突出し、二つの突起311cの間に形成された溝に連結部材323の一部が係止可能となっている。係合部325は、上面322aの室内側X2の端部で上方に突出している。係合部325には、モール材326が接続されている。固定片328は、中空部3220の部分の室内側X2に突出し、ネジにより下枠アタッチメント本体42の室内側X2の端部に固定されている。
【0071】
ガイドレール324a、324bは、新設枠3の内側に納められる2枚の障子71、72用に一対設けられる。ガイドレール324cは、新設枠3の最も室外側X1に納められる網戸73用に設けられる。ガイドレール324b、324cは、室外側枠部材321に配置され、上方に向けて突出している。ガイドレール324aは、室内側枠部材322において連結部材323に隣接して配置され、上方に向けて突出している。ガイドレール324a、324b、324cは、新設下枠32の長さ方向の全長に亘って延びている。
【0072】
上面カバー327は、新設下枠32の上面に取り付けられる。上面カバー327は、樹脂製である。上面カバー327は、室外側上面カバー3271と、室内側上面カバー3272と、を有する。室外側上面カバー3271は、新設下枠32におけるガイドレール324a、324bの間を実質的に遮蔽するように、室外側枠部材321の上面と連結部材323の上面側とに亘って配置される。室内側上面カバー3272は、ガイドレール324bから係合部325の間に亘って配置される。上面カバー327は、平坦なカバー面327aと、カバー面327aの下面から下方に突出する小さな脚部327bとを有して形成される。上面カバー327は、既設下枠22側から新設下枠32に伝わる外気温度が、新設下枠32の内周側に伝達されることを抑制する。
【0073】
ネジ穴942は、固定片328に形成される。ネジ穴942は、室内外方向延在板421の室内側X2の端部に形成されたネジ穴941に対応する位置に配置される。
【0074】
連結部材323は、内部が中空の長尺の部材である。連結部材323の室外側X1の端部は、室外側枠部材321の第4突起3214の間に挿入される。連結部材323の室内側X2の端部は、室内側枠部材322の中空部3220から突出する突起322cの間に挿入される。
【0075】
下枠アタッチメント本体42と、新設下枠32とは、ネジ930、940により固定される。ネジ930は、室外側枠部材321のネジ穴931、932に締結される室外側固定具であり、室外側枠部材321と下枠アタッチメント本体42とを固定する。ネジ940は、室内側枠部材322のネジ穴941、942に締結される室内側固定具であり、室内側枠部材322と下枠アタッチメント本体42とを固定する。
【0076】
次に、
図3により、一対の既設縦枠23、新設縦枠33、縦枠アタッチメント本体43及び縦枠カバー部材53の固定構造について説明する。一対の既設縦枠23、新設縦枠33及び縦枠アタッチメント本体43については、見付方向左右の構成は概ね同様であることから、
図3に示す左側の構成の説明のみ行い、右側の構成の説明を省略する。
【0077】
一対の既設縦枠23は、
図3に示すように、建物躯体100の開口部11の上下方向に延びる側部に沿って配置される。既設縦枠23は、見込方向に延びる室内外方向延在板231と、室内外方向延在板231の室外側X1の端部から見付方向に延びる外側面部232と、室内外方向延在板231の室内側X2の端部から見付方向に延びる内側面部233と、室内外方向延在板231の室内外方向の途中から内周側に向けて立設される既設障子用のガイドレール234と、室内外方向延在板231の室外側X1の端部から見付方向外側に突出する室外側L字片236と、室内外方向延在板231の室内側X2の見付方向外側に突出する室内側L字片237と、を有する。
【0078】
縦枠アタッチメント本体43は、既設縦枠23と新設縦枠33とを接続する。縦枠アタッチメント本体43は、
図3に示すように、開口部11の側部において、既設縦枠23及び新設縦枠33の間に配置され、見込方向に所定幅を有するとともに、上下方向に延びる長尺の部材である。縦枠アタッチメント本体43は、既設縦枠23の見付方向内側に、既設縦枠23の見込面に沿って配置され、既設縦枠23に固定される。
【0079】
縦枠アタッチメント本体43は、見込方向に延びる。縦枠アタッチメント本体43は、室内外方向延在板431と、縦枠カバー部材固定部432と、接続片433と、を有する。室内外方向延在板431は、既設縦枠23の室内外方向延在板211と略平行な位置に延びる板状の部分である。縦枠カバー部材固定部432は、室内外方向延在板211の室外側の端部がわずかに見付方向外側にずれた位置で見込方向に延びる。縦枠カバー部材固定部432は、室内外方向延在板211から見付方向外側にくぼむように形成された段差に形成される。接続片433は、室内外方向延在板431の室内側X2で、見付方向外側の面から外側へ突出する平坦な部分である。接続片433は、既設縦枠23の内側面部233と重ねられてネジで固定される。
【0080】
縦枠カバー部材53は、縦枠アタッチメント本体43における見付方向内側の面に固定され、既設縦枠23の室外側X1に配置される。縦枠カバー部材53は、見込面部としての縦枠見込面部531と、接続片532と、室外側見付面部533と、を有する。
【0081】
縦枠見込面部531は見込方向に延びる薄板状の部分であり、縦枠アタッチメント本体43の縦枠カバー部材固定部432に重ねてネジで固定される。縦枠見込面部531は、後述する室外側見付面部533の室内側X2の面から見込方向の室内側X2へ延びている。縦枠見込面部531は、室内側X2の端部が縦枠カバー部材固定部432に向かって屈曲する屈曲端部531aを有する。屈曲端部531aが縦枠カバー部材固定部432に当接することで、縦枠見込面部531と縦枠カバー部材固定部432との間の隙間が塞がれている。
【0082】
接続片532は、縦枠見込面部531の見込方向の中央部近傍から見付方向外側に向かって突出する平坦な部分である。接続片532は、既設縦枠23の室外側X1から、外側面部232に当接するように配置される。より具体的には、接続片532は、自由端側が外側面部232に向かって屈曲する屈曲端部532aを有し、接続片532と、接続片532の屈曲端部532aと、外側面部232で囲まれた空間に止水材532bが配置される。接続片532の見付方向外側の端部には、見込方向外側に突出する係止爪532cが形成される、係止爪532cは、室外側X1へ突出した後室内側X2へ屈曲して内部に凹部を形成している。この係止爪532cの内部に、見付方向外側に向かって突出するヒレ部523dが挿入される。ヒレ部523dは、ゴム等の軟質樹脂で形成され、既設縦枠23と開口部11の側部を覆っている。
【0083】
室外側見付面部533は、縦枠見込面部531の最も室外側X1に配置され、縦枠見込面部531と略直交する方向に延びる。室外側見付面部533は、見付幅の狭い面を有し、縦枠見込面部531から見付方向の一方及び他方に延出している。
【0084】
一対の新設縦枠33は、
図3に示すように、建物躯体100の開口部11の上下方向に延びる側部に沿って配置される、一対の新設縦枠33は、縦枠アタッチメント本体43の見付方向内側に、スペーサ部材336を介して、取り付けられる。新設縦枠33は、室内外方向延在板331と、外側面部332と、ガイドレール334a~334cと、を有する。室内外方向延在板331は、縦枠アタッチメント本体43及び縦枠カバー部材53に沿って見込方向に延びる。室内外方向延在板331は、縦枠アタッチメント本体43の室内外方向延在板431との間に、板状のスペーサ部材336を挟んだ状態で、スペーサ部材336の内側面に配置される。
【0085】
スペーサ部材336は、1枚以上のシートによって構成される。スペーサ部材336を構成するシートの厚み及びシートの積層数は、縦枠アタッチメント本体43と新設縦枠33との間の隙間の大きさ等に応じて適宜設定される。また、縦枠アタッチメント本体43と新設縦枠33との間の隙間の大きさによっては、スペーサ部材336を設けなくてもよい。
【0086】
外側面部332は、室内外方向延在板331の最も室外側X1に配置され、室内外方向延在板331と略直交する方向に延びる。外側面部332は、見付幅の狭い面を有し、室内外方向延在板331から見付方向の一方及び他方に延出している。新設縦枠33の外側面部332の室外側X1に、縦枠カバー部材53の室外側見付面部533が配置され、いずれも上下方向に延びている。
【0087】
一対のガイドレール334a、334bは、新設枠3の内側に納められる2枚の障子71、72を案内する。ガイドレール334cは、新設枠3の最も室外側X1に納められる網戸73(
図3中不図示)を案内する。ガイドレール334a~334cは、室内外方向延在板331の内側面から見付方向内側に向かって突出する。ガイドレール334a、334b、334cは、新設縦枠33の長さ方向の全長に亘って延びている。
図3に示すように、ガイドレール334aは、見付方向の一方側(
図3の右側)の障子71に係止するように、一対の新設縦枠33のうちの一方の室内外方向延在板331における室内側X2に配置される。ガイドレール334bは、見付方向の他方側(
図3の左側)の障子72に係止するように、一対の新設縦枠33のうちの他方の室内外方向延在板331における室外側に配置される。ガイドレール334cは、一対の新設縦枠33のそれぞれの室内外方向延在板331における室外側の端部に形成される。ガイドレール334cは、外側面部332と一体に連続して形成されている。
【0088】
次に、障子71、72について説明する。
【0089】
図2に示すように、障子71、72は、それぞれ上框711、721と、下框712、722と、左右一対の縦框713、723と、を矩形に四方組みした框体の内側に、1枚以上のガラス等からなる面材714、724を納めることによって構成される。
【0090】
図2に示すように、上框711、721は、アルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる上框本体7111、7211と、上框本体7111、7211の室内側X2の側面をカバーする樹脂製又は木質由来材料製のカバー部材7112、7212と、によって構成される。上框本体7111、7211は、新設上枠31のガイドレール314a、314bを見込方向に挟むように設けられる。
【0091】
図2に示すように、下框712、722は、アルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる下框本体7121、7221と、下框本体7121、7221の室内側X2の側面をカバーする樹脂製又は木質由来材料製のカバー部材7122、7222と、によって構成される。下框本体7121、7221は、新設下枠32のガイドレール324a、324bを見込方向に挟むように設けられる。下框本体7121、7221の内部には、戸車7123、7223が設けられ、ガイドレール324a、324b上に転動可能に載置されている。
【0092】
図3に示すように、縦框713、723は、アルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる縦框本体7131、7231と、縦框本体7131、7231の室内側X2の側面をカバーする樹脂製又は木質由来材料製のカバー部材7132、7232と、によって構成される。縦框本体7131、7231は、新設縦枠のガイドレール334a、334bを見込方向に挟むように設けられる。
【0093】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。改装建具1を、建物躯体100の開口部11に設けられる既設枠2と、既設枠2の内周側に固定される新設枠3と、既設枠2と新設枠3との間に配置され、新設枠3を既設枠2に固定するアタッチメント4と、を含んで構成した。新設枠3を、互いに見込方向に分割された金属製の室外側枠部材311、321及び室内側枠部材312、322と、室外側枠部材311、321及び室内側枠部材312、322を連結する断熱性の連結部材313、323と、を含んで構成した。アタッチメント4と新設枠3とは、室外側枠部材311、321及びアタッチメント4を固定するネジ910、930と、室内側枠部材312、322及びアタッチメント4を固定するネジ920、940と、により固定した。室外側枠部材311、321と、室内側枠部材312、322とが別体で、断熱性の連結部材313、323によって連結されているときに、室外側枠部材311、321及びアタッチメント4を室外側固定具910、930で固定し、室内側枠部材312、322及びアタッチメント4を室内側固定具920、940で固定することによって、連結部材313、323が高熱により溶けてしまっても、室外側枠部材311、321と、室内側枠部材312、322とが分離しにくい。よって、高熱を受けたときに、改装建具1が形状を維持しやすく、防火性能を向上させることができる。
【0094】
本実施形態によれば、アタッチメント4を、既設枠2に固定されるアタッチメント本体40と、アタッチメント本体40に固定されて既設枠2の室外側に配置されるカバー部材50と、を含んで構成した。室外側枠部材311、321を、アタッチメント本体40の室外側X1に配置し、室内側枠部材312、322を、アタッチメント本体40の室内側に配置させた。アタッチメント4がアタッチメント本体40とカバー部材50とに分かれていることで、室外側枠部材311、321及び室内側枠部材312、322の固定の際の部材の取り回しが容易になり、施工性が向上する。
【0095】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。上記実施形態では、新設縦枠33は室外側枠部材、室内側枠部材、及び連結部材を有していない。しかし、新設縦枠33の構成はこれに限定されず、新設上枠31及び新設下枠32と同様に、室外側枠部材、室内側枠部材、及び連結部材を備える構成としてもよい。また、上記実施形態では、室内側固定具、室外側固定具としてネジ910、920、930、940を例に説明したが、釘等のネジ以外の部材によって固定してもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 改装建具、 2 既設枠、 3 新設枠、 4 アタッチメント、 11 開口部、 40 アタッチメント本体、 50 カバー部材、 100 建物躯体、 311 室外側枠部材、 312 室内側枠部材、 313 連結部材、 321 室外側枠部材、 322 室内側枠部材、 323 連結部材、 910 ネジ(室外側固定具)、 920 ネジ(室内側固定具)、 930 ネジ(室外側固定具)、 940 ネジ(室内側固定具)