(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025089
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 11/33 20160101AFI20250214BHJP
H02K 5/22 20060101ALI20250214BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
H02K11/33
H02K5/22
H02K7/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129550
(22)【出願日】2023-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 彬文
【テーマコード(参考)】
5H605
5H607
5H611
【Fターム(参考)】
5H605BB10
5H605BB19
5H605CC01
5H605CC02
5H605CC06
5H605DD01
5H605DD32
5H605EA09
5H605EC01
5H605EC05
5H605EC20
5H605GG06
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB14
5H607BB17
5H607CC07
5H607DD08
5H607FF04
5H607JJ05
5H611BB01
5H611BB06
5H611TT01
5H611UA04
5H611UB01
(57)【要約】
【課題】電気部材に加わる荷重を軽減できるモータを提供する。
【解決手段】モータ(12)は、シャフト(26)と、前記シャフトを支持するハウジング(22)と、前記ハウジングに固定された基板(30)と、前記基板に接続された電気部材(32)と、前記シャフトの軸方向から前記基板を覆うケース(28)と、前記電気部材と前記ケースとの間をシールするシール材(36)と、を備え、前記シール材は、前記軸方向に前記ケースを貫通する貫通部(84)を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト(26)と、
前記シャフトを支持するハウジング(22)と、
前記ハウジングに固定された基板(30)と、
前記基板に接続された電気部材(32)と、
前記シャフトの軸方向から前記基板を覆うケース(28)と、
前記電気部材と前記ケースとの間をシールするシール材(36)と、
を備え、
前記シール材は、前記軸方向に前記ケースを貫通する貫通部(84)を有する、
モータ(12)。
【請求項2】
前記電気部材は、前記基板に接続された接続部(66A)を有するコネクタ部材(32)であり、
前記貫通部は、前記シール材のうち前記接続部に最も近い部分(36A)に少なくとも形成されている、
請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記貫通部は、前記シール材のうち前記軸方向と交差する方向に沿って延びる部分(36B)に少なくとも形成されている、
請求項1に記載のモータ。
【請求項4】
前記貫通部は、前記シール材の長さ方向に沿って延在している、
請求項1に記載のモータ。
【請求項5】
前記ケースは、前記軸方向に前記シャフトと対向するシャフト受け部(58)を有する、
請求項1に記載のモータ。
【請求項6】
前記ケースは、前記シャフト受け部の周囲に形成され、可撓性を有するカバー部(54)を有し、
前記シール材は、前記カバー部に設けられている、
請求項5に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、インペラと、モータとを備える送風機が開示されている。モータは、インペラが固定されるシャフトと、シャフトを支持するハウジングと、ハウジングに対するインペラと反対側に配置された基板と、基板に接続されたコネクタ部材と、ハウジングに対するインペラと反対側から基板を覆うケースとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記送風機では、例えば、インペラをシャフトに固定したり、ケースをハウジングに取り付けたり、送風機を対象物に設置したりする際に、コネクタ部材に荷重が加わると、コネクタ部材と基板との接続部に過大な応力が加わり、接続部が損傷する虞がある。したがって、コネクタ部材に加わる荷重を軽減できることが望まれる。このことは、コネクタ部材に限らず基板に接続された電気部材全般についても言える。
【0005】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであって、電気部材に加わる荷重を軽減できるモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、シャフト(26)と、前記シャフトを支持するハウジング(22)と、前記ハウジングに固定された基板と、前記基板に接続された電気部材(32)と、前記シャフトの軸方向から前記基板を覆うケース(28)と、前記電気部材と前記ケースとの間をシールするシール材(36)と、を備え、前記シール材は、前記軸方向に前記ケースを貫通する貫通部(84)を有するモータ(12)である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電気部材に加わる荷重を軽減できるモータが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係るモータ装置の断面図である。
【
図3】モータホルダ及びモータの分解斜視図である。
【
図5】モータホルダ及びモータの組立斜視図である。
【
図8】シャフトにファンを圧入する例を示す断面図である。
【
図9】ファン圧入時における第2シール材の作用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の一実施形態について説明する。
【0010】
図1及び
図2に示すように、モータ装置10は、モータ12と、ファン14と、モータホルダ16とを備える。ファン14は、本開示における「回転部材」の一例である。モータ12は、一例として、アウタロータ型のブラシレスモータである。モータ12は、ステータ18と、ロータ20と、ハウジング22と、一対のボールベアリング24と、シャフト26と、ケース28と、基板30と、コネクタ部材32と、第1シール材34と、第2シール材36とを備える。
【0011】
矢印A側は、モータ12の軸方向の一方側を示しており、矢印B側は、モータ12の軸方向の他方側を示している。モータ12の軸方向は、各部の軸方向と一致する方向である。なお、以下、各部の軸方向の一方側を「A側」と称し、各部の軸方向の他方側を「B側」と称する。「C側」は、モータの径方向外側を示している。
【0012】
ステータ18は、円環状に構成されている。ステータ18は、ステータコア38と、インシュレータ40と、巻線42とを有する。ステータコア38には、インシュレータ40を介して巻線42が巻装されている。
【0013】
ロータ20は、ロータハウジング44と、ロータマグネット46とを有する。ロータハウジング44は、有天円筒状に形成されている。ロータマグネット46は、ロータハウジング44の内周面に固定されている。ロータハウジング44の内側には、ステータ18が配置されている。ロータマグネット46は、ステータ18の径方向外側に配置されており、ステータ18と対向している。
【0014】
ハウジング22は、ベース部48と、センタピース50とを有する。ベース部48は、板状に形成されており、モータ12の軸方向を板厚方向として配置されている。センタピース50は、ベース部48材からA側に突出している。センタピース50は、モータ12の中心軸線と同軸上に配置されている。ベース部48とセンタピース50とは、一体に形成されていてもよく、別体でもよい。ステータコア38は、センタピース50に固定されており、これにより、ステータ18は、センタピース50に支持されている。センタピース50の中心部には、モータ12の軸方向に貫通する貫通穴50Aが形成されている。また、センタピース50におけるA側の端部及びB側の端部には、凹部50Bがそれぞれ形成されている。
【0015】
各ボールベアリング24は、凹部50Bに収容されている。各ボールベアリング24は、外輪24Aと、複数のボール24Bと、内輪24Cとを有する。各ボールベアリング24は、外輪24Aが凹部50Bの内側に挿入された状態で、センタピース50に保持されている。内輪24Cは、複数のボール24Bを介して外輪24Aに回転可能に支持されている。
【0016】
シャフト26は、棒状に形成されており、鉄製である。シャフト26は、モータ12の軸方向に沿って延びており、モータ12の中心軸線上に配置されている。シャフト26は、貫通穴50Aに挿入されている。また、シャフト26は、各ボールベアリング24の内輪24Cの内側に圧入されており、これにより、各ボールベアリング24を介してハウジング22に回転可能に支持されている。シャフト26には、ロータハウジング44が一体回転可能に固定されている。シャフト26におけるA側の端部は、ファン14を固定するための固定部26Aとして形成されている。固定部26Aは、ロータハウジング44から矢印A側に突出している。
【0017】
ファン14は、ファン14の軸方向に貫通する貫通穴14Aを有する。貫通穴14Aは、ファン14の中心軸線に沿って貫通している。貫通穴14Aに固定部26Aが圧入されることにより、ファン14が固定部26Aに固定されている。つまり、ファン14は、A側から圧入により固定部26Aに固定される。
【0018】
ケース28は、ベース部48のB側に配置されている。ケース28は、筒状部52と、カバー部54と、フランジ部56とを有する。筒状部52は、モータ12の中心軸線上に設けられている。筒状部52は、ケース28の一部がA側に筒状に延出する形状によって形成されている。筒状部52の内側には、シャフト26におけるB側の部分が挿入されている。
【0019】
筒状部52の底部は、シャフト26へのファン14の圧入時にシャフト26を受けるためのシャフト受け部58として形成されている。シャフト受け部58は、平坦に形成されており、モータ12の中心軸線と直交する方向に延在している。シャフト受け部58は、モータ12の軸方向視で円形状に形成されている。シャフト受け部58は、シャフト26におけるB側の端部と隙間60を有して対向している。
【0020】
隙間60の寸法(すなわち、モータ12の軸方向に沿った幅寸法)は、ファン14の自重による各ボールベアリング24の変形(すなわち、外輪24Aに対する内輪24CのB側への変位)によって、シャフト26がB側に変位した場合でも、シャフト26とシャフト受け部58との間にクリアランスが確保される寸法の最小値に設定されている。
【0021】
カバー部54は、シャフト受け部58の周囲に形成されている。カバー部54は、板状に形成されており、モータ12の軸方向を板厚方向として配置されている。カバー部54は、ベース部48のB側にベース部48と対向して配置されている。カバー部54は、ハウジング22に対するB側(すなわち、ハウジング22に対する固定部26Aと反対側)からベース部48及び基板30を覆っている。ベース部48とカバー部54との間には、基板30を収容するための空間62が形成されている。カバー部54を含むケース28の全体は、樹脂によって形成されており、これにより、カバー部54は、可撓性を有する。
【0022】
フランジ部56は、カバー部54の周囲に形成されている。フランジ部56は、ベース部48のB側に配置されており、モータ12の軸方向にベース部48と対向している。
【0023】
基板30は、板状に形成されており、モータ12の軸方向を板厚方向として配置されている。基板30は、ベース部48にネジ等によって固定されることにより、ベース部48に設けられている。基板30には、巻線42に電流を供給するための電子部品等が実装されている。シャフト26におけるB側の部分は、基板30及び上述のベース部48を貫通している。
【0024】
コネクタ部材32は、コネクタケース64と、複数の接続端子66とを有する。コネクタ部材32は、本開示における「電気部材」の一例である。各接続端子66は、基板30に半田付けされることにより、基板30に接続されている。コネクタ部材32は、基板30に実装されており、かつ、ベース部48にねじ止めされている。
【0025】
図3から
図7に示すように、コネクタ部材32は、インナ部70と、アウタ部72とを有する。インナ部70は、コネクタ部材32のうちケース28の内側(すなわち、開口74よりも内側)に配置される部分であり、アウタ部72は、コネクタ部材32のうちケース28の外側(すなわち、開口74よりも外側)に配置される部分である。
【0026】
インナ部70は、具体的には、第1部分70Aと、一対の第2部分70Bと、第3部分70Cとを有する。第3部分70Cは、第1部分70AよりもC側に位置しており、一対の第2部分70Bは、第1部分70Aと第3部分70Cとを繋いでいる。各第2部分70Bは、モータ12の軸方向に対して傾斜する方向に沿って形成されている。具体的には、各第2部分70Bは、A側に向かうに従って第1部分70Aから第3部分70C側(すなわちC側)に向かうように、モータ12の軸方向に対して傾斜している。
【0027】
カバー部54のうちインナ部70と対応する位置には、開口74が形成されている。開口74は、インナ部70と同様に傾斜している。具体的には、開口74は、B側かつC側に向けて開口しており、モータ12の軸方向に対して傾斜している。ケース28における開口74の周縁部は、インナ部70のB側に位置しており、B側からインナ部70を覆っている。アウタ部72は、開口74を通じてケース28の外側に配置されている。アウタ部72には、コネクタ部材32の接続口76が形成されている。接続口76は、C側に向けて開口している。
【0028】
モータホルダ16は、環状に形成されている。モータホルダ16内側には、モータ12が収容されている。ベース部48は、モータホルダ16に固定されており、モータ12は、モータホルダ16を介して対象物に取り付けられる。モータホルダ16は、環状に形成された環状部78を有する。環状部78は、ベース部48の径方向外側に配置されている。また、環状部78は、モータ12の軸方向にフランジ部56と対向している。
【0029】
第1シール材34は、フランジ部56に設けられている。第1シール部36Aは、フランジ部56の周方向に沿って環状に形成されている。第1シール材34は、フランジ部56とベース部48との間、及び、フランジ部56と環状部78との間にそれぞれ介在しており、フランジ部56とベース部48との間、及び、フランジ部56と環状部78との間をそれぞれシールしている。第1シール材34は、弾性を有する。第1シール材34は、ゴムによって形成されていてもよく、エラストマによって形成されていてもよい。
【0030】
第2シール材36は、本開示における「シール材」の一例である。第2シール材36は、カバー部54に設けられている。具体的には、第2シール材36は、開口74の周縁部に設けられている。第2シール材36は、開口74の周縁部とインナ部70との間に介在しており、開口74の周縁部とインナ部70との間をシールしている。第2シール材36も、弾性を有する。第2シール材36は、ゴムによって形成されていてもよく、エラストマによって形成されていてもよい。一例として、第1シール材34と第2シール材36とは、一体に形成されており、シール材80を形成している。なお、第1シール材34と第2シール材36とは、別体でもよい。
【0031】
第2シール材36は、具体的には、第1シール部36Aと、一対の第2シール部36Bと、第3シール部36Cとを有する。第1シール部36Aは、インナ部70のうちの第1部分70Aに沿って延在しており、各第2シール部36Bは、インナ部70のうちの第2部分70Bに沿って延在している。また、第3シール部36Cは、インナ部70のうちの第3部分70Cに沿って延在している。
【0032】
第1シール部36Aは、開口74の周縁部のうち第1部分70Aと対応する部分と第1部分70Aとの間をシールしており、各第2シール部36Bは、開口74の周縁部のうち第2部分70Bと対応する部分と第2部分70Bとの間をシールしており、第3シール部36Cは、開口74の周縁部のうち第3部分70Cと対応する部分と第3部分70Cとの間をシールしている。
【0033】
開口74の周縁部には、スリット82が形成されている。スリット82は、開口74の周縁部に沿って延在している。スリット82は、ケース28の厚さ方向(換言すれば、モータ12の軸方向)に貫通している。第2シール材36は、スリット82に挿入される貫通部84を有する。貫通部84は、スリット82に挿入されることにより、ケース28を貫通している。
【0034】
貫通部84は、第2シール材36の長さ方向に沿って延在している。具体的には、スリット82は、第1スリット82Aと、一対の第2スリット82Bとを有し、第2シール材36は、第1貫通部84Aと、一対の第2貫通部84Bとを有する。第1スリット82Aには、第1貫通部84Aが挿入されており、これにより、第1貫通部84Aは、ケース28を貫通している。また、各第2スリット82Bには、各第2貫通部84Bが挿入されており、これにより、各第2貫通部84Bは、ケース28を貫通している。一例として、第1貫通部84Aは、第1スリット82Aに嵌合されており、第2貫通部84Bは、第2スリット82Bに嵌合されている。
【0035】
第1貫通部84Aを有する第1シール部36Aは、例えば、第2シール材36のうち各接続端子66と基板30との接続部66Aに最も近い部分に相当する。つまり、モータ12の軸方向視において、第1シール部36Aは、各第2シール部36B及び第3シール部36Cよりも接続部66Aに近い位置に設けられている。一方、第2貫通部84Bを有する第2シール部36Bは、第2シール材36のうちモータ12の軸方向と交差する方向に沿って延びる部分に相当する。
【0036】
なお、第2シール材36のうちの貫通部84よりもA側の部分(すなわち、コネクタ部材32とハウジング22との間をシールする部分は、一例として、A側に向かうに従って先細り状になる断面形状を有する。
【0037】
次に、
図8を参照しながら、本実施形態に係るモータ装置10の製造方法について説明する。
【0038】
本実施形態に係るモータ装置10の製造方法は、シャフト26にファン14を圧入によって固定することにより、モータ装置10を製造する方法であり、ファン14を圧入する圧入工程を備える。圧入工程では、A側が鉛直方向上側とされる。また、圧入工程では、治具100の先端をB側からシャフト受け部58に突き当てた状態とする。
【0039】
そして、ファン14をB側に移動させてファン14の貫通穴14Aに固定部26Aを圧入していくと、ファン14の圧入荷重が、ボールベアリング24、ハウジング22、及び第2シール材36等を介してカバー部54に伝達されることにより、カバー部54がB側に撓んで、シャフト26がシャフト受け部58を介して治具100に突き当たった状態となる。この状態から、ファン14をB側にさらに移動させると、固定部26Aが貫通穴14Aの既定の位置まで圧入される。以上の要領で、ファン14が固定部26Aに圧入により固定され、圧入工程が完了する。
【0040】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0041】
先ず、本実施形態の効果を明確にするために比較例について説明する。
図10に示す比較例は、本実施形態に対して、スリット82が貫通しておらずB側において終端している例である。比較例では、ファン14の圧入時に、カバー部54の撓み量αが第2シール材36の圧縮量βを上回ると、コネクタ部材32に第2シール材36からの反力が加わることにより、接続端子66と基板30とを接続する半田付け部である接続部66Aに過大な応力が加わり、接続部66Aが損傷する虞がある。
【0042】
これに対して、
図9に示す本実施形態では、コネクタ部材32とケース28との間をシールする第2シール部36Bが、モータ12の軸方向にケース28を貫通する貫通部84を有する。したがって、ファン14の圧入時でも、第2シール材36が圧縮されることに伴って、貫通部84がB側に逃げることにより、第2シール材36からコネクタ部材32に加わる反力が軽減される。これにより、接続部66Aに加わる応力を軽減することができるので、接続部66Aが損傷することを抑制することができる。
【0043】
また、貫通部84は、第2シール材36のうち接続部66Aに最も近い部分に少なくとも形成されている。すなわち、貫通部84のうちの第1貫通部84Aは、第2シール材36のうち接続部66Aに最も近い部分である第1シール部36Aに形成されている。したがって、ファン14の圧入時には、第1貫通部84AがB側に逃げることにより、接続部66Aに加わる応力を効果的に軽減することができる。
【0044】
また、貫通部84は、第2シール材36のうちモータ12の軸方向と交差する方向に沿って延びる部分である第2シール部36Bに少なくとも形成されている。すなわち、貫通部84のうちの第2貫通部84Bは、第2シール材36のうちモータ12の軸方向と交差する方向に沿って延びる部分である第2シール部36Bに形成されている。したがって、例えば、コネクタ部材32にA側に荷重が作用し、コネクタ部材32とベース部48との間の隙間の分、コネクタ部材32が接続部66Aを起点にして倒れた場合でも、第2貫通部84BがB側に逃げることにより、接続部66Aに加わる応力を効果的に軽減することができる。
【0045】
また、貫通部84は、第2シール材36の長さ方向に沿って延在している。したがって、第2シール材36の長さ方向に沿ったより広い範囲で貫通部84がB側に逃げることができるので、接続部66Aに加わる応力を効果的に軽減することができる。
【0046】
また、ケース28は、モータ12の軸方向にシャフト26と対向するシャフト受け部58を有する。ここで、シャフト受け部58の代わりに貫通穴を設け、貫通穴にシャフト26を挿入して、シャフト26を治具100で直接的に受けることも考えられる。しかしながら、この場合には、貫通穴を塞ぐ部材が必要になり、コストアップになる。また、貫通穴から異物や水が入り込む虞がある。この点、本実施形態では、ケース28がシャフト受け部58を有しているので、貫通穴を有する場合に比して、部品点数の増加を抑制することができ、ひいては、コストダウンすることができる。また、ケース28が貫通穴を有しないので、貫通穴から異物や水が入り込むことも回避することができる。
【0047】
また、シャフト受け部58は、ケース28に形成されている。したがって、シャフト受け部58がケース28と別体である場合に比して、部品点数を削減することができるので、コストダウンすることができる。
【0048】
また、ケース28は、シャフト受け部58の周囲に形成され、可撓性を有するカバー部54を有し、第2シール部36Bは、カバー部54に設けられている。したがって、ファン14の圧入時にカバー部54が撓んだ場合でも、カバー部54に設けられた第2シール部36Bの貫通部84がB側に逃げることにより、接続部66Aに加わる応力を効果的に軽減することができる。
【0049】
なお、上記実施形態では、ファン14の圧入時に、第2シール部36Bの貫通部84がB側に逃げることにより、接続部66Aに加わる応力を軽減できることを説明したが、例えば、ケース28をハウジング22に取り付けたり、モータ装置10を対象物(例えば、車体)に設置したりする際に、ケース28に対してA側に荷重が加わった場合においても、第2シール部36Bの貫通部84がB側に逃げることにより、接続部66Aに加わる応力を軽減できる。
【0050】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0051】
上記実施形態では、シール材80のうちの第2シール材36と第1シール材34の一部とが、開口74を囲う環状に形成されているが、第2シール材36の全体が開口74を囲う環状に形成されていてもよい。また、この場合に、貫通部84は、第2シール部36Bの長さ方向(すなわち、周方向)の全長に亘って形成されていてもよい。すなわち、貫通部84は、開口74を囲う環状に形成されていてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、第2シール材36によってコネクタ部材32とケース28との間がシールされているが、コネクタ部材以外の電気部材(例えば、基板、ターミナル部材、コンデンサ、スイッチング素子、パワー素子、又は各種電子部品等)との間がシールされていてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、モータ装置10が、ファン14を備えるが、ファン14以外の回転部材を備えていてもよい。また、回転部材は、例えば、歯車等の被駆動部材でもよい。
【0054】
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0055】
本開示に関して、以下の付記を開示する。
(付記1)
シャフト(26)と、
前記シャフトを支持するハウジング(22)と、
前記ハウジングに固定された基板(30)と、
前記基板に接続された電気部材(32)と、
前記シャフトの軸方向から前記基板を覆うケース(28)と、
前記電気部材と前記ケースとの間をシールするシール材(36)と、
を備え、
前記シール材は、前記軸方向に前記ケースを貫通する貫通部(84)を有する、
モータ(12)。
(付記2)
前記電気部材は、前記基板に接続された接続部(66A)を有するコネクタ部材(32)であり、
前記貫通部は、前記シール材のうち前記接続部に最も近い部分(36A)に少なくとも形成されている、
付記1に記載のモータ。
(付記3)
前記貫通部は、前記シール材のうち前記軸方向と交差する方向に沿って延びる部分(36B)に少なくとも形成されている、
付記1又は付記2に記載のモータ。
(付記4)
前記貫通部は、前記シール材の長さ方向に沿って延在している、
付記1から付記3の何れか一つに記載のモータ。
(付記5)
前記ケースは、前記軸方向に前記シャフトと対向するシャフト受け部(58)を有する、
付記1から付記4の何れか一つに記載のモータ。
(付記6)
前記ケースは、前記シャフト受け部の周囲に形成され、可撓性を有するカバー部(54)を有し、
前記シール材は、前記カバー部に設けられている、
付記5に記載のモータ。
【符号の説明】
【0056】
10…モータ装置、12…モータ、14…ファン、14A…貫通穴、16…モータホルダ、18…ステータ、20…ロータ、22…ハウジング、24…ボールベアリング、24A…外輪、24B…ボール、24C…内輪、26…シャフト、26A…固定部、28…ケース、30…基板、32…コネクタ部材、34…第1シール材、36…第2シール材、36A…第1シール部、36B…第2シール部材、36C…第3シール部、38…ステータコア、40…インシュレータ、42…巻線、44…ロータハウジング、46…ロータマグネット、48…ベース部、50…センタピース、50A…貫通穴、50B…凹部、52…筒状部、54…カバー部、56…フランジ部、58…シャフト受け部、60…隙間、62…空間、64…コネクタケース、66…接続端子、66A…接続部、70…インナ部、70A…第1部分、70B…第2部分、70C…第3部分、72…アウタ部、74…開口、76…接続口、78…環状部、80…シール材、82…スリット、82A…第1スリット、82B…第2スリット、84…貫通部、84A…第1貫通部、84B…第2貫通部、100…治具